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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】立体画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/50 20200101AFI20250106BHJP
   H04N 13/302 20180101ALI20250106BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20250106BHJP
   G02F 1/15 20190101ALI20250106BHJP
【FI】
G02B30/50
H04N13/302
G02F1/13 505
G02F1/15 506
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021156152
(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公開番号】P2023047196
(43)【公開日】2023-04-05
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 展英
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-138999(JP,A)
【文献】特開平11-242120(JP,A)
【文献】特開平06-233328(JP,A)
【文献】特開平11-174376(JP,A)
【文献】特開2018-132671(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0042554(US,A1)
【文献】国際公開第2016/121233(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/50
G02F 1/13
H04N 13/302
H04N 13/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線再生型の裸眼立体視可能な立体画像表示装置であって、
光学特性が電気的に変更可能な光学材料で形成された複数の画素セルを3次元的に配置し、前記複数の画素セルに対し、透明な配線パタンで電気的に接続した3次元画素ユニットと、
前記3次元画素ユニットに対して、照明光を出射するバックライトと、
入力された3次元映像データに基づいて前記配線パタンを介して前記画素セルを個別に制御し、3次元的に光学特性が変更される画素セル及び光学特性が変更されない画素セルを配置させて、前記3次元画素ユニットを多視点で結像可能な透過型ホログラムとして機能させる演算/制御回路と、
を備えた立体画像表示装置。
【請求項2】
前記3次元画素ユニットは、二次元配置された画素セルを絶縁膜を介して複数層積層して構成されている
請求項1記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記3次元画素ユニットは、円筒状の光学材料と、前記光学材料の開口中に延在する第1ラインと、導電膜と絶縁膜とを交互に積層した積層体を有し、
前記光学材料及び前記第1ラインを一体に前記積層体に対し、積層方向に沿って貫通させて配置した、
請求項1または請求項2記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記3次元画素ユニットは、所定方向に延在する光学材料と、前記光学材料に電気的に接するように光学材料の延在方向に沿って延在する第1ラインと、導電膜と絶縁膜とを交互に積層した積層体を有し、
前記第1ラインを前記導電膜と絶縁した状態で、前記光学材料及び前記第1ラインを一体に前記積層体に対し、積層方向に沿って貫通させて配置した、
請求項1または請求項2記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
前記光学材料として、液晶、電気光学ポリマなどに代表されるエレクトロクロミック材料を用いている、
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の立体画像表示装置。
【請求項6】
前記演算/制御回路は、前記3次元映像データに基づいて、前記3次元画素ユニットにおける3次元画素パターンデータを算出して出力する3次元画素パタン算出回路と、
前記3次元画素パターンデータが入力され、前記3次元画素ユニットの各画素に3次元画素パターンデータに対応する動作を行わせるための電圧信号を出力する電圧出力回路と、
を備えた請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
前記バックライトは、複数の色の光源を備え、
前記演算/制御回路は、各光源に対応した立体像を時間分割的に再生することでカラー映像を表示する、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の立体画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、立体画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体画像表示装置として、平面ディスプレイとレンチキュラーレンズを組み合わせることにより複数視点からの画像を表示する画像表示装置や、干渉縞を焼き付けたホログラム表示装置等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平02-029697号公報
【文献】特開平06-233328号公報
【文献】特開2004-226736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、視点が離散的で視野角が限定されたり、動画の表示ができなかったりする等の問題点があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、視野角の限定が少なく、いずれの方向からでも視認することが可能で、動画の表示も可能となる立体画像表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の立体画像表示装置は、光線再生型の裸眼立体視可能な立体画像表示装置であって、光学特性が電気的に変更可能な光学材料で形成された複数の画素セルを3次元的に配置し、複数の画素セルに対し、透明な配線パタンで電気的に接続した3次元画素ユニットと、3次元画素ユニットに対して、照明光を出射するバックライトと、入力された3次元映像データに基づいて配線パタンを介して画素セルを個別に制御し、3次元的に光学特性が変更される画素セル及び光学特性が変更されない画素セルを配置させて、前記3次元画素ユニットを多視点で結像可能な透過型ホログラムとして機能させる演算/制御回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、立体画像表示システムの概要構成ブロック図である。
図2図2は、3次元画素ユニットの構造の一例の模式斜視図である。
図3図3は、3次元画素ユニットの説明図である。
図4図4は、画素セルの構成例の概念説明図である。
図5図5は、光学材料層に対する印加電圧と光透過率との関係の一例の説明図である。
図6図6は、画素セルの光学特性の変更方法の説明図である。
図7図7は、3次元画素ユニットの制御状態の一例の説明図である。
図8図8は、画素セルの他の構成例の概念説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、立体画像表示システムの概要構成ブロック図である。
立体画像表示システム10は、3次元映像情報生成装置11と、データ変換装置12と、情報送信装置13と、3次元映像表示装置14と、を備えている。
【0009】
3次元映像情報生成装置11は、TOF(Time Of Flight)センサ等を備え、被写体の各部までの距離も含めて被写体の撮影を行い、撮影データを出力する撮影装置11Aと、撮影データに基づいて、演算処理を行って、3次元映像表示を行うための透過型の体積型ホログラムを実現するための3次元映像データを生成して後述の転送情報生成装置12Aに出力する。
この場合において、3次元映像情報生成装置11は、現在の2次元画像が画面上の座標(x,y)と色や明るさ(まとめて仮にcとする)の情報で(x,y,c)の群によってある瞬間の画面を構成しているとすると3次元画像においては、画面において光線再生を行うための情報が出力される。
より詳細には、(x,y)の画素から、迎角(v)、方向角(h)の方向に色や明るさ(c)を見せる、ということで、(x,y,v,h,c)の群により、ある瞬間の画面を構成することとなる。この場合において、送信順のルールを予め決めておけば、(x,y,v,h)の情報を省略して、色や明るさ等のcの情報のみを伝送するようにすることも可能である。
【0010】
ここで、体積型ホログラムは、干渉縞を材料内部の屈折率、偏光面、位相、透過率等の光学情報の分布として形成する。
【0011】
データ変換装置12は、転送情報生成装置12A及びハードディスクドライブ装置等のストレージ12Bを有し、ストレージ12Bに入力された3次元映像データを格納し、転送情報生成装置12Aは、ストレージ12Bを用いて3次元映像データを通信ネットワークあるいは放送波を介して転送可能なフォーマットに変換して、転送用3次元映像データを情報送信装置13に出力する。
【0012】
情報送信装置13は、通信ネットワークを介して転送用3次元映像データを3次元映像表示装置に配信するサーバあるいは放送波を介して転送用3次元映像データを3次元映像表示装置に送信する放送装置として構成される。
【0013】
3次元映像表示装置14は、情報送信装置13から転送用3次元映像データを受信する受信装置14Aと、受信した転送用3次元映像データに対する演算処理を行って、3次元画素パタンを算出して、3次元映像表示装置全体の制御を行う演算/制御回路14Bと、演算/制御回路14Bの制御下で3次元映像データに基づいて透過型の体積型ホログラムとして機能する3次元構造を有する表示パネル14Cと、演算/制御回路14Bの制御下で表示パネル14Cの背面から照明光を照射するバックライト14Dと、を備えている。
【0014】
上記構成において、演算/制御回路14Bは、3次元映像データに基づいて、表示パネル14Cにおける3次元画素パターンデータを算出して出力する3次元画素パタン算出回路14B1と、3次元画素パターンデータが入力され、表示パネル14Cの各画素に3次元画素パターンデータに対応する動作を行わせるための電圧信号を出力する電圧出力回路14B2と、電圧出力回路14B2の電圧信号出力及び3次元画素パタンに基づいてバックライト14Dを構成する導波路及び光源を制御するバックライト点灯回路14B3と、を備えている。
上記構成において、3次元画素パタン算出回路14B1は、表示パネル14Cのような表示装置(ディスプレイ)の構成(画素数、画素積層数)に適応した、表示装置により好適な3次元画素パターンデータを算出することとなる。
【0015】
表示パネル14Cは、電圧信号を伝達する配線パタン部14C1と、配線パタン部14C1に接続されて干渉縞として機能する光学材料で構成された3次元画素ユニット14C2と、を備えている。
【0016】
バックライト14Dは、表示パネル14Cに照射する照明光を出射する単色あるいは多色の光源14D1と、光源14D1が出射した照明光を表示パネル14Cに導く導波路14D2と、を備えている。
【0017】
ここで、表示パネル14Cを構成している3次元画素ユニット14C2の構成について説明する。
【0018】
図2は、3次元画素ユニットの構造の一例の模式斜視図である。
3次元画素ユニット14C2は、表示画素部21、Z方向画素選択ライン26、X方向画素選択ライン28、配線27及びY方向画素選択ライン29を備えている。
29を備えている。
以下の説明においては、Y方向画素選択ライン29の延在方向をY方向とし、画素の積層方向をZ方向とし、Y方向およびZ方向に垂直な方向をX方向とする。
【0019】
表示画素部21は、3次元配列された複数の画素を有し、各画素を構成している光学材料としては、電圧印加状態に応じて屈折率もしくは透過率を可変とすることが可能な材料が用いられている。
この場合において、各画素は後述するように、スイッチング素子としてのトランジスタにより選択状態にあるZ方向に延在する中心電極と、スイッチング素子としてのトランジスタにより選択状態にある水平方向板状電極間で駆動電圧が印加されて屈折率、透過率等の光学特性が変更される。
【0020】
この場合において、スイッチング素子としてのトランジスタは、3次元画素ユニット14C2の表示画素部21の上面(+Z方向の面)あるいは下面(-Z方向の面)に配置されている。
【0021】
この場合において、各トランジスタのゲートに接続されたX方向画素選択ライン28と、各トランジスタのドレインに接続されたY方向画素選択ライン29との間には、チャネルが位置している。
【0022】
さらにチャネルとX方向画素選択ライン28との間には薄いゲート絶縁膜が配置され、絶縁されている構成となっている。
【0023】
この結果、いずれかのゲートに対応するX方向画素選択ライン28と、いずれかのドレインに対応するY方向画素選択ライン29に駆動電圧を印加することにより、X方向画素選択ライン28とY方向画素選択ライン29とが直交した位置にあるチャネルが開くことで、対応する後述の画素ストリングにのみ、ドレイン電圧が伝達され、同時に一つのZ方向画素選択ライン26を選択して電圧を印加することで、対応する画素のみが屈折率、透過率等の光学特性が変更されることとなる。
【0024】
具体的には、光学材料層132は、液晶または電気光学ポリマに代表されるエレクトロクロミック材料などから構成されている。
エレクトロクロミック材料は、電圧や電流によって屈折率、光透過率、偏光面等の光学特性が変化する物質である。
また、エレクトロクロミック材料としては、無機エレクトロクロミック材料と、有機エレクトロクロミック材料と、が挙げられる。
【0025】
無機エレクトロクロミック材料としては、例えば、酸化タングステンWOが挙げられる。また、有機エレクトロクロミック材料としては、例えば、メチルビオロゲン、テトラチアフルバレン等が挙げられる。
【0026】
Z方向画素選択ライン26は、所定の範囲に存在する画素とZ方向位置が同じ画素をスイッチング素子を介して画素駆動用の電源を接続している。
さらに、Y方向画素選択ライン29は、所定の範囲に存在する画素とY方向位置が同じ画素をスイッチング素子を介して画素駆動用の電源を接続している。
【0027】
上記構成において、透明光学材料で構成されたZ方向画素選択ライン26には、図示しない駆動回路が接続され、この駆動回路により印加される電圧が制御されている。
表示画素部21のZ方向画素選択ライン26は、階段状に加工された構造となっている。
これらの結果、画素である光学材料は、選択状態にあるZ方向画素選択ライン26、選択状態にあるX方向画素選択ライン28及び選択状態にあるY方向画素選択ライン29により電圧印加がなされて屈折率、透過率等の光学特性が変更される。
【0028】
図3は、3次元画素ユニットの説明図である。
図3(A)は、X-Y方向画素選択回路200の一例の説明図である。
X-Y方向画素選択回路は、画素毎にゲート端子がX方向画素選択ライン28に接続され、ドレイン端子がY方向画素選択ライン29に接続され、ソース端子が画素電極202に接続されたTFT201を備えている。
【0029】
この結果、選択状態にあるX方向画素選択ライン28及びY方向画素選択ライン29の交点に位置する画素ストリングGSが選択状態となる。
【0030】
図3(B)は、画素セルの選択状態の説明図である。
図3(B)に示すように、いずれかのZ方向画素選択ライン26が選択されることで、選択状態の画素ストリングGS中の画素セルGCが選択されて表示が行われることとなる。
ここで、表示とは、上述したように、座標(x,y)の画素である選択された画素セルGCの作用により、3次元画素ユニット14C2の表面から迎角(v)、方向角(h)の方向に色や明るさ(c)を見せる、ということである。
【0031】
さらに図6(B)に示すように、選択しようとするZ方向画素選択ライン26、選択X方向画素選択ライン28及びY方向画素選択ライン29に対応する選択スイッチをオン状態とすることで、選択Z方向画素選択ライン26S、選択X方向画素選択ライン28S及び選択Y方向画素選択ライン29Sとすることで一つの画素セルGCを選択画素セルGCSとすることが可能となる。
【0032】
以上の説明は、画素セルGCを透明/非透明で切り替える場合のものであるが、画素セルGCに印加される電圧を可変することで、中間調を表現するようにすることも可能であり、例えば、画素セルGCのエレクトロクロミック材料として光透過率を変更可能なものを用いれば、画素セル単位で透過率を制御可能となる。
【0033】
また、画素セルGCのエレクトロクロミック材料として屈折率を変更可能なものを用いれば、画素セル単位で屈折率を制御可能となる。また、画素セルGCのエレクトロクロミック材料として偏光面を変更可能なものを用いれば、画素セル単位で偏光面の制御が可能となる。
【0034】
図4は、画素セルの構成例の説明図である。
図4において、対向している導電膜として機能するZ方向画素選択ライン26の間には、図示しない透明絶縁膜が設けられているものとする。
【0035】
各画素セルGCは、Y方向画素選択ライン29及びZ方向画素選択ライン26の対向する位置(Z方向画素選択ライン26内)に形成されており、各画素セルGCを個別に制御できるようになっている。
すなわち、対向しているZ方向画素選択ライン26の間の距離毎に画素セルGCが図8の垂直方向に沿って配置されている状態となっている。
【0036】
すなわち、3次元画素ユニット14C2は、円筒状の光学材料と、光学材料の開口中に延在する第1ラインとして機能するY方向画素選択ライン29と、導電膜であるZ方向画素選択ライン26と図示しない絶縁膜とを交互に積層した積層体を有し、光学材料及び第1ラインとして機能するY方向画素選択ライン29を一体に前記積層体に対し、積層方向に沿って貫通させて配置した構造となっている。
【0037】
ここで、光学材料層132として光透過率が変化するエレクトロクロミック材料を用いた場合の印加電圧と光透過率との関係の一例について説明する。
【0038】
図5は、光学材料層に対する印加電圧と光透過率との関係の一例の説明図である。
図5の例においては、電圧未印加の場合(印加電圧0[V])に光透過率が高い(透明)光学材料層132を用いている。
ここで、電圧Vthは、光透過率が大きく変化する電圧である。
また、電圧V1[V]は光透過率が十分高い状態を維持できる電圧とされている。
【0039】
また、電圧V1の2倍の電圧V1×2[V]を印加した場合には、確実に反応閾値電圧Vthよりも高い電圧となって光透過率は低い状態でほぼ一定となる。
【0040】
そこで、これを利用して、画素セルの光学特性の変更制御を行う。
図6は、画素セルの光学特性の変更方法の説明図である。
ある画素セルGCに対して、選択対象のY方向画素選択ライン29Sには、電圧+V1[V]を印加するものとする。また非選択対象のY方向画素選択ライン29Nには、電圧0[V]を印加するものとする。
【0041】
同様に選択対象の選択Z方向画素選択ライン26Sには電圧-V1を印加するものとする。また、非選択対象のZ方向画素選択ライン26Nには、電圧0[V]を印加するものとする。
これらの結果、選択対象のY方向画素選択ライン29S及び選択対象のZ方向画素選択ライン26Sの交点に位置する画素セルGC1には、実効的に電圧V1の2倍の電圧V1×2[V]が印加されるので、画素セルGC1は不透明化することとなる。
【0042】
これに対し、選択対象のY方向画素選択ライン29S及び非選択対象のZ方向画素選択ライン26Nの交点に位置する画素セルGC2には、実効的に電圧V1[V]が印加されることとなるが、画素セルGC2は反応せず透明状態を維持したままとなる。
【0043】
同様に、非選択対象のY方向画素選択ライン29N及び選択対象の選択Z方向画素選択ライン26Sの交点に位置する画素セルGC3には、実効的に電圧V1[V]が印加されることとなるが、画素セルGC3は反応せず透明状態を維持したままとなる。
【0044】
図7は、3次元画素ユニットの制御状態の一例の説明図である。
図7に示すように3次元画素ユニット14C2は、3次元的に不透明の選択画素セルGCS及び透明の非選択画素セルGCNが配置された状態となっている。
この結果、バックライト14Dから出射された照明光Lが3次元画素ユニット14C2を透過する際には、3次元画素ユニット14C2は、透過型のホログラム表示装置として機能し、多視点に対応する光線再生型の立体映像表示を行うことが可能となる。
【0045】
この場合において、3次元画素ユニット14C2は、干渉縞体積型として機能し、干渉縞を材料内部の屈折率分布もしくは透過率分布として実現が可能となっている。
【0046】
また、光学材料または光路制御素子及びその制御配線を立体的に配置しているため、動的に変更可能な干渉縞を形成することができる。
したがって、動画のホログラム表示を行うことも可能である。
【0047】
以上の説明のように、本実施形態の3次元映像表示装置においては、光学材料または光路制御素子とその制御配線を、3次元メモリにおける電荷蓄積材料及び配線に類似する配置とすることで、積層成膜と微細加工による製造が可能な構造となっている。
したがって、大量生産が可能な普及型裸眼立体視ディスプレイを製造することが可能となる。
【0048】
以上の説明においては、光源14D1については、詳細に述べなかったが、複数色の光源を設け、各色の光源に対応した立体像を時間分割的に再生することでカラー映像を表示するように構成することも可能である。
以上の説明においては、3次元画素ユニット14C2を設ける場合について説明したが、1層のみであっても、従来の透過型ホログラム装置と同様の表示を行うことも可能である。
【0049】
図8は、画素セルの他の構成例の概念説明図である。
図8において、対向しているZ方向画素選択ライン26の間及びY方向画素選択ライン29Aと対向するZ方向画素選択ライン26との間には、図示しない透明絶縁膜が設けられているものとする。
各画素セルGCは、Y方向画素選択ライン29A及びZ方向画素選択ライン26の対向する位置(Z方向画素選択ライン26内)に形成されており、各画素セルGCを個別に制御できるようになっている。
【0050】
すなわち、対向しているZ方向画素選択ライン26の間の距離毎に画素セルGCが図12の垂直方向に沿って配置されている状態となっている。
すなわち、3次元画素ユニット14C2は、板状の光学材料と、光学材料に電気的に接するように光学材料の延在方向に沿って延在する第1ラインとして機能するY方向画素選択ライン29Aと、導電膜であるZ方向画素選択ライン26と図示しない絶縁膜とを交互に積層した積層体を有し、第1ラインとして機能するY方向画素選択ライン29Aを導電膜であるZ方向画素選択ライン26と絶縁した状態で、光学材料及び第1ラインとして機能するY方向画素選択ライン29Aを一体に積層体に対し、積層方向に沿って貫通させて配置した構造となっている。
この構成によっても、図4に示した構成と同様に立体画像の表示を行うことが可能である。
【0051】
本実施形態の演算/制御回路14Bは、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっており、CPUなどの制御装置と、GPUなどの画像処理が可能な高速演算装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、を備えている。また、必要に応じてSSD、HDDなどの外部記憶装置を備えてもよい。
【0052】
本実施形態の演算/制御回路14Bで実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでSSD、USBメモリなどの半導体記憶装置、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0053】
また、本実施形態の演算/制御回路14Bで実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の演算/制御回路14Bで実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0054】
また、本実施形態の演算/制御回路14Bのプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
10 立体画像表示システム
11 3次元映像情報生成装置
11A 撮影装置
12 データ変換装置
12A 転送情報生成装置
12B ストレージ
13 情報転送装置
13A 入力装置
13B 放送機器
14 3次元映像表示装置
14A 受信装置
14B 演算/制御回路
14C 表示パネル
14D バックライト
21 表示画素部
26 Z方向画素選択ライン
26N 非選択Z方向画素選択ライン
26S 選択Z方向画素選択ライン
28 X方向画素選択ライン
29、29A Y方向画素選択ライン
29S 選択Y方向画素選択ライン
GC 画素セル
GCN 非選択画素セル
GCS 選択画素セル
GS 画素ストリング
L 照明光
SGD ドレイン側選択トランジスタ
SGS ソース側選択トランジスタ
Vth 反応閾値電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8