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  • 特許-相変化障壁およびその使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】相変化障壁およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/18 20060101AFI20250106BHJP
   F25D 21/04 20060101ALI20250106BHJP
   F28F 13/18 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
C09K3/18
F25D21/04 D
F28F13/18 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021513374
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019031626
(87)【国際公開番号】W WO2019217755
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】62/669,507
(32)【優先日】2018-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520439715
【氏名又は名称】ネルンボ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ブロックウェイ,ランス・アール
(72)【発明者】
【氏名】ウォルサー,デビッド・シー
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-539888(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0366568(US,A1)
【文献】特開2018-041875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0272301(US,A1)
【文献】国際公開第2018/053452(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0058355(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0335360(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0315353(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/18
F25D 21/04
F28F 13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上での相変化の発生を防止するまたは遅延させるための方法であって、
ナノ構造化表面改質を含む改質表面を提供する工程であって、前記ナノ構造化表面が、前記ナノ構造化表面改質を含まないことを除き前記改質表面と同一の未改質表面と比較して、前記改質表面と接触している物質について、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または前記相変化に必要な推進力を増加させる、前記工程;および
蒸気相および/または液体相の物質を含む少なくとも1つの第1の相の物質を含む流体流を、前記未改質表面上で第2の相への相変化が起こり得る環境条件下で前記改質表面と接触させる工程;
を含み、
前記第1の相から前記第2の相への前記相変化が、前記ナノ構造化表面改質上での前記物質の核形成を含み、
前記物質の凝縮液滴が、脱濡れのカシー・バクスター状態で、形成の臨界半径以上で、前記ナノ構造化表面上に存在し、
前記未改質表面と比較して、前記改質表面上では前記相変化が、防止または遅延され、
前記ナノ構造化表面改質が:基材を、金属塩およびアミンを含む溶液に接触させて、それによって前記基材上にナノ構造化金属酸化物コーティングを堆積する工程;および約100~約600℃の温度で加熱することによって、前記基材上の前記ナノ構造化コーティングを固定する工程を含む方法で作製される、前記方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の相が、水蒸気を含む蒸気相を含み、前記第2の相が、水を含む液体相を含み、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、液体を形成する前記蒸気の凝縮の防止または遅延を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の相が、水蒸気を含む蒸気相を含み、前記第2の相が、水を含む固体相を含み、前記蒸気が前記表面上で凝縮して前記カシー・バクスター状態の前記液滴を含む凝縮物を形成し、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、固体を形成する前記凝縮物の凝固の防止または遅延を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の相が、水蒸気を含む蒸気相と液体相を含み、前記第2の相が、水を含む液体相を含み、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、液体を形成する前記蒸気の凝縮の防止または遅延を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の相が、水蒸気を含む蒸気相と液体相を含み、前記第2の相が、水を含む固体相を含み、前記表面が、前記カシー・バクスター状態の前記液滴を含む前記蒸気および/または液体からの凝縮物を含み、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、固体を形成する前記凝縮物および/または前記液体の凝固の防止または遅延を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の相が蒸気相を含み、前記第2の相が固体相を含み、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、固体を形成する前記蒸気の凝固の防止または遅延を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記蒸気が水蒸気であり、前記固体が水霜または氷であり、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、水霜または氷を形成する前記水蒸気の凝固の防止または遅延を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記ナノ構造化表面改質が、霜形成が起こる温度を低下させる、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記蒸気がCO気体であり、前記固体が凍結したCOであり、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、凍結したCOを形成する前記CO気体の凝固の防止または遅延を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記改質表面が前記第1の相から前記第2の相への平衡相転移値未満に過冷却され、前記物質が前記第1の相に依然として存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記改質表面が前記第1の相から前記第2の相への平衡相転移値よりも約0.25℃超下回る温度に過冷却され、前記物質が前記第1の相に依然として存在する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の相から前記第2の相への相変化に対するエネルギー障壁が、均一核形成エネルギーの約50%よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノ構造化表面改質が、障壁コーティング、化成コーティング、またはそれらの組合せを含む、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
核形成が起こる前記ナノ構造化表面改質が、金属酸化物またはポリマーを含む、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
核形成が起こる前記ナノ構造化表面改質が、1種または複数の末端アルキルまたはフッ素化化合物を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記改質表面が金属蒸気照明または高度なリソグラフィ装置の上にあり、前記物質が金属であり、前記相変化が金属蒸気の凝縮を含み、前記改質表面が、前記金属蒸気照明または高度なリソグラフィ装置の作動中の金属蒸気の凝縮を防止または低減する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[01]本出願は、2018年5月10日に出願された米国仮出願第62/669,507号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[02]本発明は、凝縮および結晶化などであるがこれらに限定されない核形成相変化に対するエネルギー障壁、または核形成相変化に必要な推進力を増加させる表面、ならびに、防曇ガラス用途および顕熱冷却(sensible cooling)のみを必要とするシステムにおける熱交換器上での凝縮の防止などのその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[03]低エネルギー表面上での典型的な凝縮は、核形成時に丸い液滴を生じず、むしろ水および他の凝縮物が、応力を受けた、接触角がより低い状態で凝縮する。脱濡れ状態と比較して、濡れ状態を介した核形成における接触面積の差は、液滴形成のエネルギー障壁をシフトさせる(即ち、凝縮プロセスのエネルギー障壁を改変する)可能性がある。典型的な表面は、露点で空気中の水を凝縮させる。多くの場合、凝縮は、周囲以下の冷却を利用するコンピュータもしくはデータセンターなどの電子機器が配置された表面、または窓、レンズ、および鏡などの視認性が望まれるガラス表面上では、望ましくない。
【0004】
[04]熱伝達面からの凝縮物を防止するための解決策は、通常、冷却剤温度を露点より有意に高く保つ必要があり、それは、熱伝達容量の低下を招き、作動範囲を限定する可能性がある。多くの場合、冷却剤温度は、容量を可能な限り高く維持しつつ凝縮を防止するため、システム制御で許容される最小量まで下げられる。システムに対する制御または入力エラーが発生した場合、表面上に水が凝縮して潜在的に電子機器を破壊するリスクが存在する。冷却剤温度と凝縮の効果的な発生との最大差を可能にしつつ、熱伝達を最大化するために可能な最低冷却剤温度を可能とするための解決策が必要とされている。現在、この凝縮の発生は、露点である。
【0005】
[05]シャワー鏡、自動車用ガラス、および建物の窓などのガラス窓および鏡の結露および曇りも問題である。典型的な解決策は、現在、タオルもしくはスキージーを使用して凝縮物を拭き取ること、または親水性コーティングを使用して凝縮物を拡散させて薄膜にし、依然として窓越しに見える、または鏡の中の反射像が見えるようにすることである。これらの親水性コーティングは、凝縮を加速させ、表面に汚染物質を堆積させて、洗浄頻度の増加をもたらすという点で、問題がある。
【0006】
[06]古典的な核形成理論によると、均一核形成の自由エネルギーは、体積項と表面項の和、ΔGhomo=4/3(πr)Δg+4πrσ[式中、rは形成相の球の半径、Δgは過飽和相の単位体積当たりの自由エネルギーと核形成相の自由エネルギーの差、σは核とその周囲との界面の表面張力である]と定義される。ΔGhomo の自由エネルギー障壁を伴う形成の臨界半径rは、d(ΔGhomo)/dr=0を取ることによって計算できる。この導関数がゼロとなる半径がr=-2σ/Δgに対応する。次いで、均一核形成の自由エネルギーが、ΔGhomo =ΔGhomo(r)=16πσ/(3(Δg))として定義できる。不均一核形成は、蒸気から液体への相変化について、表面上での接触角(θ)の関数として決定できるエネルギー障壁がより低い。この関係は、ΔGhetero =f(θ)ΔGhomo [式中、f(θ)=(2-3cosθ+cosθ)/4である]として近似させることができる。
【0007】
[07]蒸気から液体への転移と同様に、多くの用途において、小さな寮の部屋の単位から工業規模の配送センターの単位に至るまで、様々なサイズの冷蔵庫または冷凍庫用の熱交換器表面上などで、液体から固体へ相転移の障壁を増加させることが望ましい。氷は、霜除去のためにシステムを定期的に停止させる必要があり、それが産業用途ではスループットを低下させ、多量のエネルギーを消費するため、これらの熱伝達システムにとっては問題である。加えて、霜除去装置ユニットは、大規模なものは高価である。
【0008】
[08]着氷も、航空機翼および風車などの翼の表面では、問題である。航空機翼上の氷は、飛行にとって危険であり、離陸前に除去しなければならず、費用がかかる遅延が発生する。風車は氷を蓄積する可能性があり、それは、出力電力を著しく低下させる原因となり、ブレード表面から氷を飛ばすという安全上のリスクを生じさせる。
【発明の概要】
【0009】
[09]気液転移温度(例えば、露点)未満の気体(例えば、蒸気)相の凝縮を低減(例えば、防止もしくは遅延)する、または液体相の凝固(例えば、凍結)を低減(例えば、防止もしくは遅延)する方法、ならびにその方法を実施するためのシステム、装置、および組成物、またはその方法が行われるシステム、装置、および組成物が、本明細書において提供される。
【0010】
[10]一態様において、表面上での相変化の発生を防止するまたは遅延させるための方法が、本明細書において提供される。方法は、未改質表面と比較して、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または相変化に必要な推進力を増加させる改質表面を提供するステップと、流体流を、未改質表面上で相変化が起こり得る環境条件下で改質表面と接触させるステップとを含み、前記相変化が、未改質表面と比較して防止または遅延される。一実施形態において、相変化の発生を防止するまたは遅延させるための方法は、表面改質を含む改質表面を提供するステップであり、改質表面が、表面改質を含まないことを除き改質表面と同一の未改質表面と比較して、改質表面と接触している物質について、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または相変化に必要な推進力を増加させる、ステップと、少なくとも1つの第1の相(例えば、気体(例えば、蒸気)相および/または液体相)の物質を含む流体流を、未改質表面上で第2の相への相変化(例えば、気体から液体;液体から固体;気体から固体)が起こり得る環境条件下で改質表面と接触させるステップとを含み、未改質表面と比較して、改質表面上では第1の相から第2の相への相変化が防止または遅延される。
【0011】
[11]一部の実施形態において、少なくとも1つの第1の相は気体(例えば、蒸気)相を含み、第2の相は液体相を含み、相変化の防止または遅延は、表面上での、液体を形成する気体(例えば、蒸気)の凝縮の防止または遅延を含む。一実施形態において、気体相は水蒸気であり、流体流は空気であり、相変化の防止または遅延は、表面上での水蒸気の凝縮の防止または遅延を含む。
【0012】
[12]一部の実施形態において、少なくとも1つの第1の相は気体(例えば、蒸気)相を含み、第2の相は固体相を含み、気体(例えば、蒸気)は表面上で凝縮して液体(例えば、凝縮物)を形成し、相変化の防止または遅延は、表面上での、固体を形成する液体(例えば、凝縮物)の凝固の防止または遅延を含む。一実施形態において、気体相は水蒸気であり、流体流は空気であり、液体相は水凝縮物であり、相変化の防止または遅延は、表面上での、水霜または氷を形成する水凝縮物の凝固の防止または遅延を含む。
【0013】
[13]一部の実施形態において、少なくとも1つの第1の相は気体(例えば、蒸気)相と液体相を含み、第2の相は液体相を含み、相変化の防止または遅延は、表面上での、液体を形成する気体(例えば、蒸気)の凝縮の防止または遅延を含む。一実施形態において、気体相は水蒸気であり、液体相は液体水であり、流体流は空気であり、相変化の防止または遅延は、表面上での水蒸気の凝縮の防止または遅延を含む。
【0014】
[14]一部の実施形態において、少なくとも1つの第1の相は気体(例えば、蒸気)相と液体相を含み、第2の相は固体相を含み、表面は気体(例えば、蒸気)からの凝縮物を含み、および/または物質の液体を含み、相変化の防止または遅延は、表面上での、固体を形成する前記凝縮物および/または液体の凝固防止または遅延を含む。一実施形態において、気体相は水蒸気であり、表面上の液体相および液体は水であり、流体流は空気であり、表面は水蒸気および/または液体水の凝縮物を含み、相変化の防止または遅延は、表面上で水霜または氷を形成する表面上の水凝縮物および/または液体水の凝固の防止または遅延を含む。
【0015】
[15]一部の実施形態において、少なくとも1つの第1の相は気体(例えば、蒸気)相を含み、第2の相は固体相を含み、相変化の防止または遅延は、表面上での、固体を形成する気体(例えば、蒸気)の凝固の防止または遅延を含む。一実施形態において、気体相は水蒸気であり、固体は水霜または氷であり、相変化の防止または遅延は、表面上での、水霜または氷を形成する水蒸気の凝固の防止または遅延を含む。一実施形態において、気体相はCO気体を含むかCO気体であり、固体は凍結したCO(COドライアイス)であり、相変化の防止または遅延は、表面上での、COドライアイスを形成するCO気体の凝固の防止または遅延を含む。
【0016】
[16]一部の実施形態において、改質表面は、第1の相から第2の相(例えば、気体(例えば、蒸気)から液体;気体(例えば、蒸気)から固体;液体から固体への転移)への平衡相転移値(equilibrium phase transition value)(例えば、温度)未満に過冷却(サブクール)(subcool)され、物質は依然として第1の相として存在する。様々な実施形態において、改質表面は、第1の相から第2の相への平衡相転移値よりも約0.25、0.5、1、2、3、5、または10℃のいずれかより多く下回る温度にサブクールされ、物質は依然として第1の相として存在する。
【0017】
[17]様々な実施形態において、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁は、均一核形成エネルギーの約50、60、70、80、90、95、または99%のいずれかよりも大きい。
【0018】
[18]一部の実施形態において、第1の相から第2の相への相変化は、改質表面上での物質の核形成を含む。核形成が起こる改質表面または表面コーティングは、例えば、障壁コーティング、化成(コンバージョン)(conversion)コーティング、またはそれらの組合せであってもよい。一部の実施形態において、核形成が起こる改質表面または表面コーティングは、ナノ構造化されている。一部の実施形態において、核形成が起こる改質表面または表面コーティングは、金属酸化物、例えば、堆積もしくは変換によって作り出された金属酸化物層、またはポリマー、例えば、アルキルもしくはフルオロアルキルモノマー単位を含有するポリマーを含む。一部の実施形態において、改質表面または表面コーティングは、末端アルキルまたはフッ素化化合物(複数可)を含む。
【0019】
[19]一部の実施形態において、第1の相は主に水蒸気を含み、第2の相は液体水または水氷を含む。一部の実施形態において、第1の相は水蒸気を含む空気であり、第2の相は液体水または水氷である。一部の実施形態において、第1の相は液体水であり、第2の相は水氷である。一部の実施形態において、第1の相は二酸化炭素蒸気を含み、第2の相はドライアイスまたは固体COである。
【0020】
[20]一部の実施形態において、第1の相は気体蒸気を含み、第2の相は包接化合物を含む。例えば、物質は生の天然ガスであってもよく、第1の相は気体(例えば、蒸気)相を含み、第2の相は包接化合物を含む。一実施形態において、第1の相は気体(例えば、蒸気)または液体であり、第2の相は超臨界相である。
【0021】
[21]一部の実施形態において、物質は金属であり、第1の相は金属蒸気を含み、第2の相は凝縮した金属蒸気を含む。
[22]一部の実施形態において、形成の臨界半径以上の流体の凝縮液滴は、脱濡れのカシー・バクスター状態で存在する。一部の実施形態において、形成の臨界半径以上の流体の凝縮液滴は、それまで濡れたウェンゼル状態で存在していたものが、脱濡れしたカシー・バクスター状態で存在する。
【0022】
[23]一部の実施形態において、改質表面は、熱交換器または熱伝達面の上にある。
[24]一部の実施形態において、改質表面は、ガラス、窓、鏡、またはレンズの表面の上にある。
【0023】
[25]一部の実施形態において、改質表面は、凝縮が審美的に好ましい、または機能的に望ましい形で起こるように、ガラス構成要素上でパターンになっている。
[26]一部の実施形態において、改質表面は、コンピュータケースまたは冷却ラックの上にある。一部の実施形態において、改質表面は、気体気化器、例えば、気体気化器熱交換器の上にある。一部の実施形態において、改質表面は気化器デバイスの中にあり、改質表面は、気化器デバイス上での凝縮の形態での付着物を防止または低減する。
【0024】
[27]一部の実施形態において、改質表面は、エンジンまたは燃焼ノズルの中にあり、例えば、改質表面は、エンジンまたは燃焼ノズルにおける二酸化炭素の凝縮を防止または低減する。
【0025】
[28]一部の実施形態において、改質表面は、産業向けの気体および/または液体用の処理装置の上にあり、例えば、改質表面は、処理装置における産業向けの気体および液体の処理中の水および気体水和物、ならびに/または包接化合物の形成を防止または低減する。一実施形態において、物質は生の天然ガスであり、相変化は、水和またはホスト-ゲスト錯体形成(host-guest complexing)(例えば、固体材料の形成)を含む。一部の実施形態において、第1の相は気体(例えば、蒸気)または液体であり、第2の相は超臨界相である。
【0026】
[29]一部の実施形態において、改質表面は、金属蒸気照明または高度なリソグラフィ装置の上にあり、例えば、改質表面は、金属蒸気照明または高度なリソグラフィ装置の作動中の金属蒸気の凝縮を防止または低減する。一実施形態において、均一性および堆積の防止は、高度なリソグラフィ装置の正確な動作にとって重要である。
【0027】
[30]別の態様において、未改質表面と比較して、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または相変化に必要な推進力を増加させる、本明細書に記載される改質表面を含む熱交換器または熱伝達面が提供され、改質表面を含まない熱交換器または熱伝達面と比較して、熱交換器または熱伝達面における相変化の発生が防止または遅延される。
【0028】
[31]別の態様において、未改質表面と比較して、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または相変化に必要な推進力を増加させる、本明細書に記載される改質表面を含むガラス、窓、鏡、またはレンズが提供され、改質表面を含まないガラス、窓、鏡、またはレンズと比較して、ガラス、窓、鏡、またはレンズ上での相変化の発生が防止または遅延される。
【0029】
[32]別の態様において、未改質表面と比較して、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または相変化に必要な推進力を増加させる、本明細書に記載されるパターン化された改質表面を含むガラス構成要素が提供され、未改質表面と比較して、改質表面上での相変化の発生が防止または遅延される。例えば、パターン化は、審美的に好ましいおよび/または機能的な形で凝縮が起こるように、ガラス上に装飾的および/または機能的に望ましいパターンを提供できる。
【0030】
[33]別の態様において、未改質表面と比較して、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または相変化に必要な推進力を増加させる、本明細書に記載される改質表面を含むコンピュータケースまたは冷却ラックが提供され、改質表面を含まないコンピュータケースまたは冷却ラックと比較して、コンピュータケースまたは冷却ラック上での相変化の発生が防止または遅延される。例えば、改質表面は、電子機器またはそこに収容されたコンピュータ装置への結露に関連する損傷を防止または低減してもよい。
【0031】
[34]別の態様において、未改質表面と比較して、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または相変化に必要な推進力を増加させる、本明細書に記載される改質表面を含む気体気化器が提供され、改質表面を含まない気体気化器と比較して、気体気化器上での相変化の発生が防止または遅延される。例えば、改質表面は、内側の気化器熱交換器上での凝縮および/または霜を防止または低減してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】[35]図1Aは、実施例1に記載される、表面改質済および未改質のアルミニウムプレート上の水の相変化を示す図である。図1Bは、実施例1に記載される、表面改質済および未改質のアルミニウムプレート上の水の相変化を示す図である。
図2】[36]実施例2に記載の実験における、表面改質済および未改質の熱交換器での氷形成の結果を示すグラフである。
図3】[37]実施例3に記載される、閉ループ空調システムを示す概略図である。
図4】[38]実施例3に記載される、凝縮核形成障壁を熱交換器に追加した結果を示すグラフである。
図5】[39]図5Aは、実施例4に記載される、未改質表面および改質表面上での水の液体から固体への相変化の時間的進行を示す図である。図5Bは、実施例4に記載される、未改質表面および改質表面上での水の液体から固体への相変化の時間的進行を示す図である。図5Cは、実施例4に記載される、未改質表面および改質表面上での水の液体から固体への相変化の時間的進行を示す図である。図5Dは、実施例4に記載される、未改質表面および改質表面上での水の液体から固体への相変化の時間的進行を示す図である。図5Eは、実施例4に記載される、未改質表面および改質表面上での水の液体から固体への相変化の時間的進行を示す図である。
図6】[40]実施例5に記載される、空気速度と表面温度が制御された環境チャンバにおける、未改質表面および改質表面の場合の氷の厚さ対時間のプロットを示すグラフである。
図7】[41]実施例6に記載される、改質済の熱交換器と未改質の熱交換器の空気側の圧力降下を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[42]高接触角の丸い状態で液滴を凝縮させる能力は、液滴形成のエネルギー障壁を増加させることにより、凝縮の有効発生温度をバルク露点未満に低下させる。本明細書において、核形成相変化に対するエネルギー障壁を増加させることにより、特定の環境条件下、例えば、温度および/または相対湿度下で、凝縮または霜形成の発生を防止するまたは遅延させる改質表面および方法が提供される。本明細書に記載される材料および使用方法は、凝縮および/または氷の形成が望ましくないシステムに適用可能である。更に、特定の用途において安全性を高める、またはそうしたシステムの安全もしくは効果的な作動のための環境条件の範囲を拡大するための方法が提供される。そうしたシステムの霜除去または乾燥を行う必要性を遅延または除去することによって性能を向上させるための方法も提供される。
【0034】
[43]本明細書に記載される材料および方法によって対処される他の相変化現象としては、COシステムからの固体二酸化炭素の形成、例えば、深海探査システムにおける包接水和物の形成、および気化システムにおける蒸気相化合物の凝縮が挙げられる。亜臨界および超臨界作動条件の両方で作動するシステムも、対象とされる。
【0035】
[44]一部の実施形態において、熱交換器などのシステムは、本明細書に記載される表面改質を含まない同一のシステムと比較して、凝縮を起こすことなく、より低温で作動するか、より大きな温度変動を処理することができる。一部の実施形態において、核形成が5℃未満の超冷却(露点と表面温度の差)で抑制され得る。
[45]一部の実施形態において、表面改質は、ナノ構造の組成物を含む。
【0036】
定義
[46]本明細書において提示される数値範囲は、範囲を規定する数値を含む。
【0037】
[47]「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が別段の明確な指示をしない限り、複数形への言及を含む。
[48]「平衡相転移値」は、エネルギー障壁なしで相変化が熱力学的に起こり得る温度/圧力条件である。この相変化は、露点(例えば、凝縮)、霜点(例えば、結霜)、または凝固点(例えば、結晶化)のいずれかでの転移とすることができ、転移相が飽和状態に達すると起こる。「霜点」は、より低密度の固体水相の形成を指し、「凝固点」は、完全密度に近い氷の形成を指す。典型的には、水の場合、霜は雪のように白色で粉末状に見え、凍結/氷はより密度が高く、光学的に透明な氷である。
【0038】
[49]「均一核形成エネルギー」は、古典的な核形成理論で定義されているように、核形成に対するエネルギー障壁ΔGhomo を指す。
[50]「露点」は、液体水相が蒸気相よりもエネルギー的に有利である環境圧力および湿度条件の所与の一組の場合の温度である。これは、エネルギー障壁がない場合に凝縮が起こる点である。
【0039】
[51]「接触角」は、接触面での表面と液体-蒸気界面との間の液体を通して測定される角度である。
[52]「自由表面エネルギー」は、界面(液体-蒸気、固体-液体、または蒸気-固体)のエネルギーを指す。高エネルギー表面は、低エネルギー表面よりも容易に濡れる。
【0040】
[53]「障壁コーティング」は、物理的な障壁を形成し、そのため、望ましくない要素(例えば、水(「水分障壁」として);電解質(「腐食障壁」として)との接触を最小限に抑える。
【0041】
[54]「化成コーティング」は、反応物質が処理すべき表面と化学的に反応する表面層を指す。
[55]「ナノ構造」コーティングは、少なくとも1次元に100ナノメートル未満である特徴を有するコーティング組成物を指す。
【0042】
[56]「凝縮条件」は、表面が蒸気の露点未満に冷却される条件を指す。
[57]「顕熱」は、相が変化せずに気体または物体の温度が変化したことによる熱の量を指す。
【0043】
[58]「顕熱冷却容量」は、相変化の非存在下で材料に伝達できる熱の量を指す。
[59]「潜熱」は、温度変化なしで相を変化させる(例えば、固体相と液体もしくは気体相との間;または液体と気体相との間で)のに必要なエネルギー(例えば、熱)の量を指す。
【0044】
[60]「潜熱冷却容量」は、相変化によって材料に、または材料から伝達できるエネルギー(例えば、熱)の量を指す。
[61]「顕熱比」は、総冷却容量に対する顕熱冷却容量の比を指す。総冷却容量は多くの場合、顕熱冷却容量と潜熱冷却容量の合計である。
【0045】
[62]「カシー・バクスター状態」は、ハイブリッド界面が存在するテクスチャ化表面の上に液滴がある状態の形成を指し、典型的には、液滴の表面の下に捕捉された気体相の形態である。
【0046】
[63]「ウェンゼル状態」は、ある量の液体がテクスチャ化表面と接触しており、液体が下にある表面を濡らしている状態の形成を指す。
[64]「生の天然ガス」は、未処理の天然ガスを指し、それは、天然ガスの液体(例えば、凝縮物、天然ガソリン、液化石油ガス)、水、および他の不純物(例えば、窒素、二酸化炭素、硫化水素、ヘリウム)を含有してもよい。
【0047】
[65]本明細書における相変化に関連する「水和」および「ホスト-ゲスト錯体形成」は、水の取り込みによる異なる相の形成、または包接化合物もしくは包接化合物状構造の形成を指す。
【0048】
[66]「包接化合物(クラスレート)(clathrate)」は、1種の物質の分子が別の物質の結晶構造内に物理的に捕捉されている化合物を指す。
[67]「超臨界条件」は、材料が超臨界相に存在する温度および圧力条件を指す。「超臨界相」は、その臨界温度および圧力よりも高い温度および圧力の流体を指す。物質の臨界温度は、その温度を超えるとどれほど圧力を加えても物質の蒸気が液化できない温度である。物質の臨界圧力は、臨界温度で気体を液化するのに必要な圧力である。
[68]「スーパークール(supercool)」または「サブクール(subcool)」(過冷却)は、所与の圧力の場合に、第1の相の物質を第2の相への平衡相変化温度(例えば、露点または凝固点)未満の温度に冷却することを指し、物質は、第2の相に転移しない(例えば、物質は液体になることなく露点未満に冷える、または物質は固体になることなく凝固点未満に冷える)。
【0049】
表面改質
[69]本明細書において、均一核形成臨界半径未満のサイズで球形または実質的に球形の液滴を維持する表面改質が提供され、それによって露点未満である核形成の発生時の表面温度がもたらされる。一部の実施形態において、水は、表面温度が平衡露点未満であっても、本明細書に記載される改質表面上では凝縮しない(例えば、十分な材料が凝集して、容易に観察できるか、接触角を測定できるほど大きな液体相を形成する)。
【0050】
[70]一部の実施形態において、表面改質は、障壁コーティング、化成コーティング、またはそれらの組合せの形態である。一実施形態において、表面改質は、ナノ構造の表面改質である。表面改質は、自由表面エネルギーの減少をもたらし、それによって、液滴は、臨界核形成半径未満のサイズでより球形となる。
【0051】
[71]特定の実施形態において、表面改質は、金属酸化物またはポリマーを含む。一実施形態において、表面改質は、アルキルまたはフルオロアルキルモノマー単位を含有するポリマーを含む。一実施形態において、表面改質は、堆積または変換によって作り出される金属酸化物層を含む。一実施形態において、表面改質は、アルキルまたはフッ素化化合物(複数可)によって終了される。
【0052】
[72]一部の非限定的実施形態において、表面は、例えば、0.25M~1Mの硝酸亜鉛、硝酸マグネシウム、および/または硫酸マンガンなどのII族または遷移金属塩と、0.1M~2Mのヘキサミンまたは尿素などのアミンとの混合物に、約40℃~約90℃の溶液温度で約5分~約2時間の期間、洗浄した基板を浸漬することによって、ナノ構造の混合金属酸化物で改質される。次いで、サンプルを溶液から取り出し、すすぎ、約100℃~約600℃の温度でベーキングすることができる。次いで、サンプルは、疎水性化学物質の希薄溶液、例えば、ステアリン酸のヘキサン溶液、ヘキサデシルホスホン酸のイソプロパノール溶液、またはエタノール中にパーフルオロデシルトリエトキシシランを含有する溶液に、約5分~約120分間浸漬することができる。次いで、基板を取り出し、約105℃のオーブンで約1時間乾燥することができる。
[73]本明細書において使用し得る表面改質の非限定的実施形態は、例えば、WO2018/053452およびWO2018/053453に記載されており、その全体が参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0053】
使用用途
[74]本明細書に記載される改質表面の使用用途において、表面は、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁を増加させる。
【0054】
[75]一部の実施形態において、第1の相は、第2の相への平衡相転移値未満にサブクールされ、第1の相として依然として存在する。例えば、第1の相は、第2の相への平衡相転移値より約0.25℃~約10℃、約0.25℃~約1℃、約0.5℃~約2℃、約1℃~約5℃、約3℃~約5℃、または約5℃~約10℃下回る温度にサブクールされ、第1の相として依然として存在してもよい。一部の実施形態において、第1の相は、第2の相への平衡相転移値より約0.25℃、0.5℃、1℃、2℃、3℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、または10℃のいずれかより多く下回る温度にサブクールされ、第1の相として依然として存在してもよい。
【0055】
[76]一部の実施形態において、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁は、均一核形成エネルギーの約50%~約99%、約50%~約70%、約60%~約80%、約70%~約90%、約80%~約90%、約85%~約95%、または約95%~約99%である。一部の実施形態において、エネルギー障壁は、均一核形成障壁の約50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%のいずれかより大きくてもよい。
【0056】
[77]一部の実施形態において、核形成は、約5℃を超える過冷却で抑制される。
[78]一実施形態において、第1の相は水蒸気からなるか、水蒸気から本質的になり、第2の相は水液体または氷である。別の実施形態において、第1の相は水蒸気を含有する空気であり、第2の相は液体水または氷である。別の実施形態において、第1の相は液体水であり、第2の相は水氷である。別の実施形態において、第1の相は空気と水蒸気からなるか、空気と水蒸気から本質的になり、第2の相は水氷である。別の実施形態において、第1の相は二酸化炭素蒸気であり、第2の相は二酸化炭素氷(ドライアイス)である。別の実施形態において、第1の相は液体であり、第2の相は固体相の凝縮である。別の実施形態において、第1の相は金属蒸気であり、第2の相は凝縮した金属蒸気である。
【0057】
[79]本明細書に記載される使用用途の一部の実施形態において、形成の臨界半径での凝縮液滴は、脱濡れ状態(即ち、カシー・バクスター状態)で改質表面上に存在する。
[80]熱交換器/熱伝達の使用方法は、本明細書の材料を使用して、熱交換を促進し、凝縮が観察される温度を低下させることを含む。更に、熱交換器上でのこれらの材料を使用して結霜が起こる温度を低下させることは、動作実行時間を増加させ、氷形成が熱伝達性能に与える影響を最小限に抑え、システムの作動範囲を増加させることにより、従来の材料よりも恩恵をもたらす。本明細書に記載される材料を、例えば、熱交換器の1つまたは複数の表面上にコーティングまたは層として含む熱交換器も提供され、表面材料は、熱交換を促進し、凝縮が観察される温度、および/または結霜が起こる温度を低下させるという機能的特性を提供する。
【0058】
[81]ガラス窓、鏡、またはレンズの使用用途は、本明細書に記載される表面改質を使用して、視覚的用途にとって望ましくない凝縮を防止することを含む。更に、使用方法は、ガラス上に装飾的なパターンを提供するためにパターン化および使用できる材料、例えば、審美的に好ましい形(aesthetically pleasing manner)で凝縮が起こるように、水、ワインまたはビールグラスの外側にパターンを形成することを含んでもよい。ガラス、鏡、またはレンズの表面上に本明細書に記載される材料を、例えば、コーティングまたは層として含むガラス、鏡、およびレンズも提供され、表面材料は、望ましくない凝縮を防止するという機能的特性を提供し、一部の実施形態においては、装飾的なパターンの表面コーティングまたは層を含む。
【0059】
[82]コンピュータケース/ラックの冷却の使用用途は、本明細書に記載される表面改質を使用して、望ましくない凝縮に関連する電子機器の損傷を防止することを含む。更に、使用方法は、本明細書に記載される表面改質を適用してコンピュータケースまたはラックの最も冷たい構成要素上での凝縮物の形成に対する追加の操作上の障壁を提供することを含んでもよい。凝縮に必要な推進力を増加させると、追加的な安全の操作上の余裕がもたらされる。コンピュータケースまたはラックの表面上に本明細書に記載される表面改質を、例えば、コーティングまたは層として含むコンピュータケースおよび/またはラックも提供され、表面材料は、電子機器に損傷を与える可能性のある望ましくない凝縮を防止するという機能的特性を提供する。
【0060】
[83]気体気化器の使用用途は、本明細書に記載される表面改質を使用して、液体窒素交換器などであるがこれに限定されない気化器熱交換器上での望ましくない凝縮および霜を防止することを含む。気化器熱交換器上での凝縮物および氷の形成は、熱交換器の有効性を制限するため、膨張気体の利用可能な流れを低減するか、より大型の熱交換器を必要とする。本明細書に記載される表面改質の使用の二次的な利点は、交換器上に形成された氷を剥落させる能力の向上である。気体気化器の表面上に、例えば、液体窒素交換器などの気化器熱交換器の表面上に、例えば、コーティングまたは層として本明細書に記載される表面改質を含む気体気化器も提供され、表面材料は、望ましくない凝縮および/または霜を防止するという機能的特性を提供する。
【0061】
[84]防汚凝縮の使用用途は、本明細書に記載される表面改質を使用して、気化器デバイス上での望ましくない凝縮を防止することを含む。こうした実施形態において、凝縮の防止は、より重質の成分および天然油の付着および堆積を防止することが意図されている。一例は、グリコールベースの電子たばこまたは他の同様のデバイスである。追加の防汚用途としては、ノズルベースの感熱式プリンタおよびデバイスが挙げられる。電子たばこもしくは類似のデバイス、または感熱式プリンタもしくはデバイスのノズルなどの気化器の表面上に、例えば、コーティングまたは層として本明細書に記載される表面改質を含む気化器も提供され、表面材料は、凝縮を防止して重質成分および油の付着および/または堆積を防止するという機能的特性を提供する。
【0062】
[85]エンジン/ノズル着氷の使用用途は、エンジンおよび燃焼ノズルの用途における二酸化炭素の凝縮を防止することを含む。エンジンまたはノズルの表面上に、例えば、コーティングまたは層として本明細書に記載される表面改質を含む燃焼エンジンおよびノズルも提供され、表面材料は、二酸化炭素の凝縮を防止するという機能的特性を提供する。
【0063】
[86]水和物および包接化合物防止の使用用途は、圧縮天然ガス生産、または高圧掘削用途におけるメタン包接化合物堆積などの、処理装置における産業向けの気体および液体の処理中の水および気体水和物の形成を防止することを含む。処理装置の表面上に、例えば、コーティングまたは層として本明細書に記載される表面改質を含む産業向けの気体および液体用の処理装置も提供され、表面材料は、水および気体水和物形成を防止するという機能的特性を提供する。
【0064】
[87]金属蒸気凝縮防止の使用用途は、均一性および堆積防止が正確な動作にとって重要である、金属蒸気照明、または高度なリソグラフィ用途の作動中の金属凝縮を防止することを含む。装置の表面上に、例えば、コーティングまたは層として本明細書に記載される表面改質を含む金属蒸気照明およびリソグラフィ装置も提供され、表面材料は、装置の作動中の金属凝縮を防止するという機能的特性を提供する。
【0065】
[88]下記の実施例は、本発明を説明することが意図されているが、本発明を限定するものではない。
【実施例
【0066】
実施例1
[89]0.25M~1Mの硝酸亜鉛、硝酸マグネシウムおよび/または硫酸マンガンなどのII族または遷移金属塩と、0.1M~2Mのヘキサミンまたは尿素などのアミンとの混合物に、40℃~90℃の溶液温度で5分~2時間の期間、洗浄したアルミニウム板を浸漬することによって、アルミニウム板をナノ構造の混合金属酸化物で改質した。次いで、サンプルを溶液から取り出し、すすぎ、100℃~600℃の温度でベーキングした。次いで、サンプルをステアリン酸のヘキサン希薄溶液、イソプロパノールのヘキサデシルホスホン酸希薄溶液、またはエタノール中にパーフルオロデシルトリエトキシシランを含有する溶液に、30~90分間浸漬した。次いで、サンプルを取り出し、105℃のオーブンで1時間乾燥させた。
【0067】
[90]表面改質されたアルミニウム板を、表面に置き、-10℃に冷却した状態で顕微鏡を通して撮影した。コーティングしていないサンプルでは、凝縮が遙かに早く始まるのが観察され、コーティングしたサンプルは、遙かに遅く、表面温度を露点未満に低下させると凝縮が始まった(図1A)。実験を続けると、コーティングしていないサンプルは、水を氷に核形成した一方、コーティングしたサンプルは、液体水のままであった(図1B)。この例は、蒸気から液体への転移および液体から固体への転移の両方に対する核形成障壁を示している。
【0068】
実施例2
[91]熱交換器の表面を、実施例1に記載されたようにして、核形成障壁コーティングで改質した。着氷テストを実施し、閉ループ風洞内で熱交換器と空気を同時に0℃未満の温度に冷却して、結霜の発生を判定した。図2は、テストの結果を示し、未改質の熱交換器は氷を形成し始め、表面改質済の熱交換器は、氷を形成しなかった(中央の帯、核形成障壁と表示)。この表面改質は、対照の未改質表面と比較して、核形成の温度を約2℃低下させた。
【0069】
実施例3
[92]図3に示すように、閉ループ空調システムは、30℃、50%相対湿度(RH)の室内空気を、サーバーラックを通して循環させ、そこで空気は、約40℃、27%RHに加熱される。空気は即座に、冷却剤が20℃で入る液体空気熱交換器に通される。
【0070】
[93]図4に示すように、サーバーラックに出入りする空気はどちらも、平衡露点が18℃である。未改質の熱交換器を使用すると、制御システムに2℃の誤差が残り、サーバーラックに滴り落ちる可能性のある凝縮を防止する。熱交換器に凝縮核形成障壁を追加することにより、エネルギー障壁が追加され、16℃まで凝縮が観察されなくなり、効果的に安全余裕度が倍増して、装置に更なる保護が追加される。
【0071】
実施例4
[94]2枚の3003アルミニウム板、改質済1枚と未改質の対照1枚を、-10℃に冷却した冷却板上に並べて熱的に結合させた。空気温度は約22℃、湿度は40%であった。この空気を長さ243.84cm(8フィート)の風洞に約2m/sの前面風速で通過させて、これらの板の表面を通過させた。表面は、実施例1と同様の手順で改質した。この実験を開始する前に冷却板をオン・オフして、冷却板を1時間結霜させ、10分間除霜した。図5A~5Eの画像の進行は、図5Aの約30秒の時点から図5Eの約1時間の時点までの時間の経過に伴う相変化を示す。改質表面は、液体水から水氷への相変化を遅延させ、その後のその形成を減速する。1時間後、改質済サンプル上には依然として液体水が存在するが、未改質のサンプルでは、液体水は完全に凍結する。
【0072】
実施例5
[95]未改質のアルミニウムプレートと、実施例1に記載した方法に従い改質されたアルミニウムプレートを、表面温度約-5℃に設定した熱電冷却板上に置いた。風洞内にて、前面風速1.5m/s、空気温度および相対湿度はそれぞれ25℃および40%で、プレートを横切るように空気を通過させた。顕微鏡を使用して氷の厚さを測定し、断面を時間の関数と見なした。時間の関数としての氷の厚さのプロットを図6に図示する。改質済のアルミニウムプレート上では、顕微鏡による測定では結霜の発生は11分に始まり、霜を形成するまで未改質プレートよりも6分長くかかった。相変化におけるこの障壁遅延は、持続時間全体にわたって継続し、2時間後に3mm薄い氷の層が生じた。未改質プレート上の氷の厚さは7mmであったが、改質されたプレート上の氷の厚さは4mmであった。
【0073】
実施例6
[96]2.54cm(1インチ)当たり4枚の平行なフィンを備えたアルミニウムフィンのステンレス鋼管熱交換器を、実施例1に記載したようにして、な相変化障壁コーティングで改質し、未改質の熱交換器と比較して風洞でテストした。グリコール冷媒の温度を-4℃に設定し、毎秒約800グラムの流量でコイルの管側を通過させた。コイルのフィン側を通して空気を前面風速3m/s、入口温度および湿度はそれぞれ2℃および83%で通過させた。コイルの熱伝達容量と空気側圧力降下を5時間監視した。未改質コイル上では、水が空気から凝縮し、水の凝固点未満の温度であった表面上で即座に凍結した。これにより、圧力降下が増加した。フィンが相変化障壁コーティングで改質された熱交換器上では、表面上の液体水が凍結するのに遙かに長い時間を要し、その結果、空気から凝縮した水が長時間コイルから流出した。5時間後、未改質コイル上での空気側圧力降下は約195Paであり、改質済コイル上での空気側圧力降下は約140Paであった。この液体から固体への相変化の遅延は、空気側圧力降下に約30%の向上をもたらした。時間の関数としての空気側圧力降下のプロットを、図7に示す。
【0074】
[97]前述の発明は、理解を明確にするために例示および例として幾分詳細に説明されてきたが、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく特定の変更および修正を実施できることは当業者には明らかである。したがって、説明は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0075】
[98]本明細書で引用される刊行物、特許、および特許出願は全て、あらゆる目的のために、個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示された場合と同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[態様1]
表面上での相変化の発生を防止するまたは遅延させるための方法であって、
表面改質を含む改質表面を提供する工程であって、前記改質表面が、前記表面改質を含まないことを除き前記改質表面と同一の未改質表面と比較して、前記改質表面と接触している物質について、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または前記相変化に必要な推進力を増加させる、前記工程;および
蒸気相および/または液体相の物質を含む少なくとも1つの第1の相の物質を含む流体流を、前記未改質表面上で第2の相への相変化が起こり得る環境条件下で前記改質表面と接触させる工程;
を含み、
前記未改質表面と比較して、前記改質表面上では前記相変化が、防止または遅延される、前記方法。
[態様2]
前記少なくとも1つの第1の相が蒸気相を含み、前記第2の相が液体相を含み、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、液体を形成する前記蒸気の凝縮の防止または遅延を含む、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記蒸気が水蒸気であり、前記流体流が空気であり、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での前記水蒸気の凝縮の防止または遅延を含む、態様2に記載の方法。
[態様4]
前記少なくとも1つの第1の相が蒸気相を含み、前記第2の相が固体相を含み、前記蒸気が前記表面上で凝縮して凝縮物を形成し、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、固体を形成する前記凝縮物の凝固の防止または遅延を含む、態様1に記載の方法。
[態様5]
前記蒸気が水蒸気であり、前記流体流が空気であり、前記凝縮物が水凝縮物であり、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、霜または氷を形成する前記水凝縮物の凝固の防止または遅延を含む、態様4に記載の方法。
[態様6]
前記少なくとも1つの第1の相が蒸気相と液体相を含み、前記第2の相が液体相を含み、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、液体を形成する前記蒸気の凝縮の防止または遅延を含む、態様1に記載の方法。
[態様7]
前記蒸気が水蒸気であり、前記液体が水であり、前記流体流が空気であり、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上で前記水蒸気の凝縮の防止または遅延を含む、態様6に記載の方法。
[態様8]
前記少なくとも1つの第1の相が蒸気相と液体相を含み、前記第2の相が固体相を含み、前記表面が前記蒸気および/または液体からの凝縮物を含み、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、固体を形成する前記凝縮物および/または前記液体の凝固の防止または遅延を含む、態様1に記載の方法。
[態様9]
前記蒸気が水蒸気であり、前記液体が水であり、前記流体流が空気であり、前記表面が前記水蒸気および/または液体水の凝縮物を含み、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、霜または氷を形成する前記表面上の前記水凝縮物および/または液体水の凝固の防止または遅延を含む、態様8に記載の方法。
[態様10]
前記少なくとも1つの第1の相が蒸気相を含み、前記第2の相が固体相を含み、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、固体を形成する前記蒸気の凝固の防止または遅延を含む、態様1に記載の方法。
[態様11]
前記蒸気が水蒸気であり、前記固体が水霜または氷であり、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、水霜または氷を形成する前記水蒸気の凝固の防止または遅延を含む、態様10に記載の方法。
[態様12]
前記蒸気がCO 気体であり、前記固体が凍結したCO であり、前記相変化の防止または遅延が、前記表面上での、凍結したCO を形成する前記CO 気体の凝固の防止または遅延を含む、態様10に記載の方法。
[態様13]
前記改質表面が前記第1の相から前記第2の相への平衡相転移値未満に過冷却され、前記物質が前記第1の相に依然として存在する、態様1に記載の方法。
[態様14]
前記改質表面が前記第1の相から前記第2の相への平衡相転移値よりも約0.25℃超下回る温度に過冷却され、前記物質が前記第1の相に依然として存在する、態様13に記載の方法。
[態様15]
前記改質表面が前記第1の相から前記第2の相への平衡相転移値よりも約0.5℃超下回る温度に過冷却され、前記物質が前記第1の相に依然として存在する、態様14に記載の方法。
[態様16]
前記改質表面が前記第1の相から前記第2の相への平衡相転移値よりも約1℃超下回る温度に過冷却され、前記物質が前記第1の相に依然として存在する、態様15に記載の方法。
[態様17]
前記改質表面が前記第1の相から前記第2の相への平衡相転移値よりも約2℃超下回る温度に過冷却され、前記物質が前記第1の相に依然として存在する、態様16に記載の方法。
[態様18]
前記改質表面が前記第1の相から前記第2の相への平衡相転移値よりも約3℃超下回る温度に過冷却され、前記物質が前記第1の相に依然として存在する、態様17に記載の方法。
[態様19]
前記改質表面が前記第1の相から前記第2の相への平衡相転移値よりも約5℃超下回る温度に過冷却され、前記物質が前記第1の相に依然として存在する、態様18に記載の方法。
[態様20]
前記改質表面が前記第1の相から前記第2の相への平衡相転移値よりも約10℃超下回る温度に過冷却され、前記物質が前記第1の相に依然として存在する、態様19に記載の方法。
[態様21]
前記第1の相から前記第2の相への相変化に対するエネルギー障壁が、均一核形成エネルギーの約50%よりも大きい、態様1に記載の方法。
[態様22]
前記改質表面上での前記第1の相から前記第2の相への相変化に対するエネルギー障壁が、均一核形成エネルギーの約60%よりも大きい、態様21に記載の方法。
[態様23]
前記改質表面上での前記第1の相から前記第2の相への相変化に対するエネルギー障壁が、均一核形成エネルギーの約70%よりも大きい、態様22に記載の方法。
[態様24]
前記改質表面上での前記第1の相から前記第2の相への相変化に対するエネルギー障壁が、均一核形成エネルギーの約80%よりも大きい、態様23に記載の方法。
[態様25]
前記改質表面上での前記第1の相から前記第2の相への相変化に対するエネルギー障壁が、均一核形成エネルギーの約90%よりも大きい、態様24に記載の方法。
[態様26]
前記改質表面上での前記第1の相から前記第2の相への相変化に対するエネルギー障壁が、均一核形成エネルギーの約95%よりも大きい、態様25に記載の方法。
[態様27]
前記改質表面上での前記第1の相から前記第2の相への相変化に対するエネルギー障壁が、均一核形成エネルギーの約99%よりも大きい、態様26に記載の方法。
[態様28]
前記第1の相から前記第2の相への前記相変化が、前記表面改質上での前記物質の核形成を含み、前記表面改質が、障壁コーティング、化成コーティング、またはそれらの組合せを含む、態様1から27のいずれかに記載の方法。
[態様29]
核形成が起こる前記表面改質が、ナノ構造化されている、態様28に記載の方法。
[態様30]
核形成が起こる前記表面改質が、金属酸化物またはポリマーを含む、態様28または29に記載の方法。
[態様31]
核形成が起こる前記表面改質が、アルキルまたはフルオロアルキルモノマー単位を含むポリマーを含む、態様30に記載の方法。
[態様32]
核形成が起こる前記表面改質が、堆積または変換により作り出された金属酸化物層を含む、態様30に記載の方法。
[態様33]
核形成が起こる前記表面改質が、1種または複数の末端アルキルまたはフッ素化化合物を含む、態様30から32のいずれかに記載の方法。
[態様34]
前記物質が水であり、前記第1の相が主に水蒸気を含み、前記第2の相が液体水または水氷を含む、態様1に記載の方法。
[態様35]
前記物質が水であり、前記第1の相が空気中の水蒸気を含み、前記第2の相が液体水または水氷である、態様1に記載の方法。
[態様36]
前記物質が水であり、前記第1の相が液体水であり、前記第2の相が水氷である、態様1に記載の方法。
[態様37]
前記物質が二酸化炭素であり、前記第1の相が二酸化炭素蒸気を含み、前記第2の相がドライアイスである、態様1に記載の方法。
[態様38]
前記物質が生の天然ガスであり、前記第1の相が気体蒸気を含み、前記第2の相が包接化合物を含む、態様1に記載の方法。
[態様39]
前記第1の相が蒸気または液体であり、前記第2の相が超臨界相である、態様1または態様38に記載の方法。
[態様40]
前記物質が金属であり、前記第1の相が金属蒸気を含み、前記第2の相が凝縮した金属蒸気を含む、態様1に記載の方法。
[態様41]
表面改質を含む改質表面を含む熱交換器または熱伝達面であって、前記改質表面が、前記表面改質を含まないことを除き前記改質表面と同一の未改質表面と比較して、前記改質表面と接触している物質について、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または前記相変化に必要な推進力を増加させるものであり、前記改質表面を含まない熱交換器または熱伝達面と比較して、前記熱交換器または熱伝達面における前記相変化の発生が防止または遅延される、前記熱交換器または熱伝達面。
[態様42]
前記改質表面が熱交換器または熱伝達面の上にある、態様1に記載の方法。
[態様43]
表面改質を含む改質表面を含むガラス、窓、鏡、またはレンズであって、前記改質表面が、前記表面改質を含まないことを除き前記改質表面と同一の未改質表面と比較して、前記改質表面と接触している物質について、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または前記相変化に必要な推進力を増加させるものであり、前記改質表面を含まないガラス、窓、鏡、またはレンズと比較して、前記ガラス、窓、鏡、またはレンズ上での前記相変化の発生が防止または遅延される、前記ガラス、窓、鏡、またはレンズ。
[態様44]
前記改質表面がガラス、窓、鏡、またはレンズの表面の上にある、態様1に記載の方法。
[態様45]
表面改質を含むパターン化された改質表面を含むガラス構成要素であって、前記改質表面が、前記表面改質を含まないことを除き前記改質表面と同一の未改質表面と比較して、前記改質表面と接触している物質について、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または前記相変化に必要な推進力を増加させるものであり、前記未改質表面と比較して、前記改質表面上での前記相変化の発生が防止または遅延され、前記改質表面が、前記相変化が審美的に好ましい形で起こるように前記ガラス上で装飾的なパターンに構成されている、前記ガラス構成要素。
[態様46]
審美的に好ましい形で前記相変化が起こるように、前記改質表面がガラス構成要素上でパターンになっている、態様1に記載の方法。
[態様47]
表面改質を含む改質表面を含むコンピュータケースまたは冷却ラックであって、前記改質表面が、前記表面改質を含まないことを除き前記改質表面と同一の未改質表面と比較して、前記改質表面と接触している物質について、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または前記相変化に必要な推進力を増加させるものであり、前記改質表面を含まないコンピュータケースまたは冷却ラックと比較して、前記コンピュータケースまたは冷却ラック上での前記相変化の発生が防止または遅延され、前記相変化が水の凝縮を含み、前記改質表面が、未改質表面と比較して、そこに収容された電子機器に対する凝縮に関連する損傷を防止または低減する、前記コンピュータケースまたは冷却ラック。
[態様48]
前記改質表面がコンピュータケースまたは冷却ラックの上にある、態様1に記載の方法。
[態様49]
表面改質を含む改質表面を含む気体気化器または気体気化器熱交換器であって、前記改質表面が、前記表面改質を含まないことを除き前記改質表面と同一の未改質表面と比較して、物質について、第1の相から第2の相への相変化に対するエネルギー障壁、または前記相変化に必要な推進力を増加させるものであり、前記気体気化器上での前記相変化の発生が防止または遅延され、前記物質が水であり、前記相変化が水の凝縮および/または霜の形成を含み、前記改質表面が、未改質表面と比較して、前記気体気化器または気体気化器熱交換器における凝縮および/または霜形成を防止または低減する、前記気体気化器または気体気化器熱交換器。
[態様50]
前記改質表面が気体気化器の上にある、態様1に記載の方法。
[態様51]
前記改質表面が気体気化器熱交換器の上にある、態様50に記載の方法。
[態様52]
前記改質表面が気化器デバイスの中にあり、前記物質が水であり、前記相変化が水の凝縮を含み、前記改質表面が、未改質表面と比較して、前記気化器デバイス上での凝縮の形態での付着物を防止または低減する、態様1に記載の方法。
[態様53]
前記改質表面がエンジンまたは燃焼ノズルの中にあり、前記物質が二酸化炭素であり、前記相変化が二酸化炭素の凝縮を含み、前記改質表面が、未改質表面と比較して、前記エンジンまたは燃焼ノズルにおける二酸化炭素の凝縮を防止または低減する、態様1に記載の方法。
[態様54]
前記改質表面が産業向けの気体および/または液体用の処理装置の上にあり、前記物質が生の天然ガスであり、前記相変化が水和またはホスト-ゲスト錯体形成を含み、前記改質表面が、未改質表面と比較して、前記処理装置における前記産業向けの気体および液体の処理中の水および気体水和物、ならびに/または包接化合物の形成を防止または低減する、態様1に記載の方法。
[態様55]
前記第1の相が蒸気または液体であり、前記第2の相が超臨界相である、態様54に記載の方法。
[態様56]
前記改質表面が金属蒸気照明または高度なリソグラフィ装置の上にあり、前記物質が金属であり、前記相変化が金属蒸気の凝縮を含み、前記改質表面が、前記金属蒸気照明または高度なリソグラフィ装置の作動中の金属蒸気の凝縮を防止または低減する、態様1に記載の方法。
[態様57]
均一性および堆積の防止が、前記高度なリソグラフィ装置の正確な動作にとって重要である、態様56に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5A-5E】
図6
図7