IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニムの特許一覧

<>
  • 特許-患者固有のナビゲーションガイド 図1
  • 特許-患者固有のナビゲーションガイド 図2
  • 特許-患者固有のナビゲーションガイド 図3
  • 特許-患者固有のナビゲーションガイド 図4
  • 特許-患者固有のナビゲーションガイド 図5
  • 特許-患者固有のナビゲーションガイド 図6
  • 特許-患者固有のナビゲーションガイド 図7
  • 特許-患者固有のナビゲーションガイド 図8
  • 特許-患者固有のナビゲーションガイド 図9
  • 特許-患者固有のナビゲーションガイド 図10
  • 特許-患者固有のナビゲーションガイド 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】患者固有のナビゲーションガイド
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/17 20060101AFI20250106BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
A61B17/17
A61B17/70
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021543598
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 IB2019058162
(87)【国際公開番号】W WO2020074990
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-05-24
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】102018000009227
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512073792
【氏名又は名称】メダクタ・インターナショナル・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(72)【発明者】
【氏名】フィシュテル,メインラド
(72)【発明者】
【氏名】インシンナ,ユリ
(72)【発明者】
【氏名】シッカルディ,フランチェスコ
【合議体】
【審判長】平瀬 知明
【審判官】土田 嘉一
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0123850(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0358152(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2749235(EP,A1)
【文献】特表2013-530773(JP,A)
【文献】国際公開第2014/090908(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0245587(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/17
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎手術で使用するための患者固有のナビゲーションガイドキットであって、
第1の患者固有のナビゲーションガイドおよび第2の患者固有のナビゲーションガイドを備え、前記第1の患者固有のナビゲーションガイドおよび前記第2の患者固有のナビゲーションガイドの各々は、
支持フレーム(4)と一体である第1のガイド部材(2)であって、当該第1のガイド部材(2)は、当該第1のガイド部材(2)の長手方向の展開軸(2a)に沿って当該第1のガイド部材(2)の近位開口部(2p)から当該第1のガイド部材(2)の遠位開口部(2d)まで延在しており、患者の第一椎骨(100)に手術器具を案内するために、当該第1のガイド部材(2)の長手方向の展開軸(2a)に沿って当該第1のガイド部材(2)の近位開口部(2p)から当該第1のガイド部材(2)の遠位開口部(2d)に通じる内部チャネルを有する第1のガイド部材(2)と、
前記支持フレーム(4)と一体である第2のガイド部材(3)であって、当該第2のガイド部材(3)は、当該第2のガイド部材(3)の長手方向の展開軸(3a)に沿って当該第2のガイド部材(3)の近位開口部(3p)から当該第2のガイド部材(3)の遠位開口部(3d)まで延在しており、患者の第一椎骨(100)に手術器具を案内するために、当該第2のガイド部材(3)の長手方向の展開軸(3a)に沿って当該第2のガイド部材(3)の近位開口部(3p)から当該第2のガイド部材(3)の遠位開口部(3d)に通じる内部チャネルを有する第2のガイド部材(3)と、
前記患者の椎骨(100、200)に沿って前記患者固有のナビゲーションガイドを配置するための患者固有の接触部材(14、15、16)であって、前記患者の第一椎骨(100)および第二椎骨(200)の対応する複数の接触領域(101、102、103)と一致するように適合された接触部材(14、15、16)と、を備え、
前記複数の接触領域(101、102、103)は、それぞれ、前記患者の第一椎骨(100)の仙骨稜または棘突起に対して横方向に位置する表面、および仙骨稜または棘突起の側面に位置する前記第二椎骨(200)の2つの椎弓板のうちの一方に対応し、
前記第1のガイド部材(2)および前記第2のガイド部材(3)が、前記第1のガイド部材(2)および前記第2のガイド部材(3)の間を通る正中面(X)に対して対称の位置にあり
前記第1の患者固有のナビゲーションガイドおよび前記第2の患者固有のナビゲーションガイドの各々が、ガイド部材として3つのガイド部材のみを持つように、前記第一椎骨(100)に隣接して且つ連続する第二椎骨(200)に当接するように適合された第3のガイド部材(6)を含み、
前記第1の患者固有のナビゲーションガイドの前記第3のガイド部材(6)は、前記第1の患者固有のナビゲーションガイドの前記第1のガイド部材(2)にのみ接続されたプレート(8)を介して前記第1の患者固有のナビゲーションガイドの前記支持フレーム(4)と一体であり、前記第2の患者固有のナビゲーションガイドの前記第3のガイド部材(6)は、前記第2の患者固有のナビゲーションガイドの前記第2のガイド部材(3)にのみ接続されたプレート(8)を介して前記第2の患者固有のナビゲーションガイドの前記支持フレーム(4)と一体であり、
前記第1の患者固有のナビゲーションガイドの前記第3のガイド部材(6)および前記第2の患者固有のナビゲーションガイドの前記第3のガイド部材(6)は、対応するそれぞれの前記第1のガイド部材(2)および前記第2のガイド部材(3)を分ける前記正中面(X)に対して対称であり、
前記第1の患者固有のナビゲーションガイドの前記第3のガイド部材(6)は、前記正中面に向かって傾斜し且つ第1の患者固有のナビゲーションガイドの上に入射する軸を規定し、前記第2の患者固有のナビゲーションガイドの前記第3のガイド部材(6)は、前記正中面に向かって傾斜し且つ第2の患者固有のナビゲーションガイドの上に入射する軸を規定する、ナビゲーションガイドキット。
【請求項2】
前記第1の患者固有のナビゲーションガイドが前記患者に使用されている場合に、前記第1の患者固有のナビゲーションガイドの前記プレート(8)が前記第1の患者固有のナビゲーションガイドの前記支持フレーム(4)からカウダル方向に延び、前記第2の患者固有のナビゲーションガイドが前記患者に使用されている場合に、前記第2の患者固有のナビゲーションガイドの前記プレート(8)が前記第2の患者固有のナビゲーションガイドの前記支持フレーム(4)からカウダル方向に延びる、請求項1に記載のナビゲーションガイドキット。
【請求項3】
前記第1のガイド部材(2)、前記第2のガイド部材(3)および前記第3のガイド部材(6)が管状である、請求項1または2に記載のナビゲーションガイドキット。
【請求項4】
隣接する前記第二椎骨(200)上に手術器具をガイドするために、前記第3のガイド部材(6)が、前記第3のガイド部材(6)の長手方向の展開軸(6a)に沿って、前記第3のガイド部材(6)の近位開口部(6p)から前記第3のガイド部材(6)の遠位開口部(6d)まで延びており、前記第3のガイド部材(6)の長手方向の展開軸(6a)に沿って前記第3のガイド部材(6)の近位開口部(6p)から前記第3のガイド部材(6)の遠位開口部(6d)に通じる内部チャネルを有し、前記第3のガイド部材(6)の前記長手方向の展開軸(6a)は、前記正中面(X)を横切り、且つ前記第1のガイド部材(2)および前記第2のガイド部材(3)の前記長手方向の展開軸(2a、3a)に対して傾斜している、請求項1から3のいずれか1項に記載のナビゲーションガイドキット。
【請求項5】
前記プレート(8)が、その近位面(8p)において、使用時に前記患者の前記第二椎骨(200)の椎弓板と接触するように構成された接触面(103)を規定する、請求項1に記載のナビゲーションガイドキット。
【請求項6】
前記支持フレーム(4)が、前記第1のガイド部材(2)および第2のガイド部材(3)を接続するブリッジ(9)を備え、前記ブリッジ(9)は、前記第一椎骨(100)の棘突起または仙骨稜(12)に結合されるように適合された主接触部材(10)を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載のナビゲーションガイドキット。
【請求項7】
前記ブリッジ(9)が、前記主接触部材(10)の上方にある、外科医が把持できる把持要素(17)を備える、請求項6に記載のナビゲーションガイドキット。
【請求項8】
前記仙骨稜を収容するように適合されたノッチ(11)が、前記ブリッジ(9)の前記主接触部材(10)の、前記仙骨稜に向かい合う面に形成されている、請求項6または7に記載のナビゲーションガイドキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形外科の技術分野に関する。より具体的には、本発明は、脊椎手術で使用される脊椎のための患者固有のナビゲーションガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
患者固有のガイドは使い捨てのテンプレートであり、特定の患者のコンピュータ断層撮影画像から得られた骨の解剖学的構造に一致するように個別に設計されている。穿孔や切開などの外科手術は、コンピュータ支援技術を使用して術前段階で計画することができ、結果として得られる患者固有のガイドにより、外科医は計画された手術を患者の体に正確に再現できる。
【0003】
患者固有のガイドは、脊椎手術を含む整形外科の様々な分野で採用されている。
【0004】
この分野では、椎弓根スクリューの挿入中の外科医を支援するために、患者固有のガイドが主に使用され、その結果、スクリューを最適な事前に計画された挿入方向に骨構造内に挿入できる。
【0005】
仙椎は、頸椎、胸椎、または腰椎とは異なる形状を持つ。脊椎すべり症‐第五腰椎(L05)が第一仙椎(S01)に対して腹部に向かって前方にスライドするときに発生する病状‐などの一番下の腰椎に関連する病状の特定のケース、または脊柱側彎症または脊柱前彎症のケースでは、第一仙椎、特にS01とS02の手術を行う必要がある。
【0006】
これらの手術に現在使用されているガイドのサイズは非常に大きく、4つの管状ガイド部材が2つの隣接する椎骨、S01とS02に、同時に作用する必要がある。
【0007】
脊椎手術は低侵襲手術を利用して行われる傾向があるので、創傷のサイズを最小限に抑える傾向がある。これに照らして、第一仙椎であるS01およびS02を手術する場合、外科医の目的は、切開のサイズを可能な限り小さくし、その長さを可能な限り制限することである。例えば、手術がL05、S01およびS02への介入を伴う場合、従来技術では、切開は依然としてL05からS02まで行われなければならない。
【0008】
これらの既知のナビゲーションガイドを挿入するには、創傷を拡大し、ガイドを挿入して配置できるように、切開が非常に広範囲である必要がある。
【0009】
切開が広げられると、手術はもはや低侵襲ではなくなり、その結果、手術時間と回復期の患者の回復時間とが長くなる。さらに、そのような切開は、尾骨の近くなど、創傷が治癒するのに苦労する皮膚の特に可動性の領域にまで及ぶ。
【0010】
例えば、EP2749235、EP3217895、またはEP2502582で知られ、説明されているナビゲーションガイドは、後仙骨またはsacro-alar固定手術(S02‐AIスクリュー)では使用できない。それらは、S01レベルに制限されており、前後方向のスクリューの収束またはわずかに発散する軌道に最適化されているためである(S02‐AIスクリューの一般的な軌道は大きく発散している)。さらに、マスクは、S02‐AIスクリューに必要な切開に関してあまりにも扱いにくく、S02スクリューを埋め込むために使用される外科的手法のために不安定性も大きくなる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服することである。特に、本発明の目的は、扱いにくくなく且つ低侵襲手術においてS01およびS02椎骨で使用することができる患者固有のナビゲーションガイドを提案することである。
【0012】
本発明の別の目的は、連続的なビーム制御なしに、困難な軌道であっても、スクリューを安全且つ正確に挿入することを可能にする患者固有のナビゲーションガイドを生成することである。
【0013】
本発明の目的はまた、安定した安全な方法で患者の骨構造上に単純化された位置決めを提供することができる患者固有のナビゲーションガイドを提供することである。
【0014】
これらおよび他の目的および利点は、添付の請求項に記載されている患者固有のナビゲーションガイド、および請求項10に記載の固有のナビゲーションキットによって達成される。
概要
本発明の第1の態様は、脊椎手術で使用するための患者固有のナビゲーションガイドを含み、当該ナビゲーションガイドは第1および第2のガイド部材を含み、第1および第2のガイド部材の両方とも、支持フレームと一体であり且つ患者の第一椎骨に手術器具をガイドするために近位開口部から遠位開口部までそれぞれの長手方向の進展軸に沿って延びる。ガイドはまた、患者の椎骨に対する患者固有のナビゲーションガイドの固有の結合構成を規定するために、患者の椎骨上の対応する複数の接触領域に一致するように設計された接触部材を含む。第1および第2のガイド部材は、2つのガイド部材の長手方向軸を結ぶ直線に直交する正中面と実質的に反対である。
【0015】
第1および第2のガイド部材は、好ましくは、第一椎骨に関連付けることができる。
【0016】
ガイドはまた、最初の2つに加えて単一の追加のガイド部材を、特に、第一椎骨に隣接し且つ連続する第二椎骨に並置して当接するように適合された第3のガイド部材を含む。
【0017】
ナビゲーションガイドは、合計3つのガイド部材を備える。最初の2つは、2つのガイド部材の長手方向軸を結ぶ直線に直交する正中面に対して対称であり、第3のガイド部材は、第1または第2のガイド部材にのみ接続される。
【0018】
第3のガイド部材は、好ましくは、第1または第2のガイド部材に接続されたプレートを介して支持フレームと一体である。
【0019】
有利なことに、プレートは、使用時に、患者の脊椎に沿ってカウダル方向に前記支持フレームから延びる。
【0020】
3つのガイド部材は、好ましくは管状である。
【0021】
有利には、第3のガイド部材は、第一椎骨に隣接する第二椎骨に手術器具をガイドするために、近位開口部から遠位開口部まで、その長手方向の展開軸に沿って延びる。長手方向の展開軸は、正中面を横切り且つ第1および第2のガイド部材の長手方向の展開軸を横切る。
【0022】
プレートは、好ましくは、その近位面で、すなわち、患者の椎骨に面する側で、患者の第二椎骨の椎弓板との接触面を規定する。
【0023】
有利には、支持フレームは、第1および第2のガイド部材を接続するブリッジを備える。ブリッジはまた、第一椎骨の仙骨稜または棘突起と結合されるように適合された主接触部材を含む。
【0024】
ブリッジは、好ましくは、実質的に主接触部材の上に、使用中に装置を所定の位置に保持するための圧力要素としても機能する把持要素を備えなければならない。
【0025】
有利なことに、ブリッジの接触部材の下に、棘突起または仙骨稜を収容するように適合されたノッチがある。
【0026】
本発明の第2の態様は、2つのナビゲーションガイドを含む患者固有のナビゲーションガイドキットを含み、第1のガイドは、第二椎骨の片側に穴を開けることを可能にするために、プレートを介して第1のガイド部材に接続された第3のガイド部材を有する。キットはまた、第一および第二椎骨が属する脊柱の長手方向線と反対の第二椎骨の側に穴を開けることを可能にするために、プレートを介して第2のガイド部材に接続された第3のガイド部材を有する第2のガイドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
説明およびクレームされた患者固有のナビゲーションガイドは、以下の例示的且つ非網羅的な図にも示されている。
図1】本発明による第1の患者固有のナビゲーションガイドの斜視図である。
図2図1に示したガイドの下から見た図である。
図3図1に示したガイドの上から見た図である。
図4図1に示したガイドの側面図である。
図5】本発明による第2の患者固有のナビゲーションガイドの斜視図である。
図6図1に示したガイドの下から見た図である。
図7図1に示したガイドの上から見た図である。
図8図1に示したガイドの側面図である。
図9】使用構成で且つ患者の椎骨に取り付けられた図1のガイドの斜視図である。
図10】使用構成で且つ患者の椎骨に取り付けられた図5のガイドの斜視図である。
図11図9に示した使用構成のガイドの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付の図を参照すると、番号1は、本発明の第1の態様による患者固有のナビゲーションガイドを示す。
【0029】
このガイド1は、第一椎骨100、特にS01、および第一椎骨100に隣接して且つ連続する第二椎骨200、特にS02に作用するように構成されている。
【0030】
ガイド1は、好ましくは管状である第1のガイド部材2および第2のガイド部材3を備え、これらは両方とも支持フレーム4と一体である。
【0031】
第1のガイド部材2および第2のガイド部材3の両方は、それぞれの長手方向の展開軸2aおよび3aに沿って、それぞれの近位開口部2p、3pからそれぞれの遠位開口部2d、3dまで延在し、各々は、それぞれの長手方向軸2a、3aに沿って内部チャネル5を有する。
【0032】
以下の説明では、近位および遠位という用語は患者を参照する。
【0033】
これらのガイド部材2および3は、それらの軸方向チャネル5内に、患者の第一椎骨100に作用するように適合されたキルシュナー鋼線、カニューレドリルビットまたはスクリューなどの手術器具を収容する。
【0034】
添付の図に見られるように、第1のガイド部材2および第2のガイド部材3は、第1のガイド部材2および第2のガイド部材3の長手方向軸2aおよび3aを結ぶ直線に直交する正中面Xに対して実質的に対称である。
【0035】
この正中面Xは、使用時に、第一椎骨100と第二椎骨200が属する患者の脊柱の長手方向線を通る。
【0036】
第1のガイド部材2および第2のガイド部材3は、並置により、第一椎骨100の一部を覆うことができ、固定された且つ不動の拘束(immovable bond)なしに、接触のみによって第一椎骨100と結合することができる。
【0037】
有利には、本発明の主題であるナビゲーションガイド1は、第1のガイド部材2および第2のガイド部材3に加えて、ただ1つの追加のガイド部材、具体的には第一椎骨100に隣接して且つ連続する第二椎骨200と結合されるように適合された第3のガイド部材6を含む。
【0038】
したがって、全体として、ガイドは3つのガイド部材のみを有する。すなわち、並置によって第一椎骨100の一部を覆い且つ第一椎骨100と結合される第1のガイド部材2および第2のガイド部材3と、並置によって隣接する第二椎骨200の一部を覆い且つ第二椎骨200と結合される第3のガイド部材6である。これらのガイド部材は、椎骨と一体的に拘束されているのではなく、接触によってのみ結合されている。
【0039】
第3のガイド部材6は、他の2つのガイドの一方、すなわち第1のガイド部材2または第2のガイド部材3にのみ接続されるプレート8のおかげで、支持フレーム4と一体である。このプレート8は、使用構成にあるガイドを考慮すると、支持フレーム4からカウダル方向に、第1のガイド部材2および第2のガイド部材3が載っている第一椎骨(S01)100から、第3のガイド部材6が載っている第二椎骨(S02)200まで延びる。
【0040】
第3のガイド部材6はまた、その長手方向の展開軸6aに沿って、近位開口部6pから遠位開口部6dまで延びる。
【0041】
第3のガイド部材6は、長手方向軸6aに沿って展開する内部チャネル7を有し、内部チャネル7内に、患者200の第二椎骨に作用するように適合されたキルシュナー鋼線、カニューレドリルビットまたはスクリューなどの手術器具が挿入される。
【0042】
添付の図からわかるように、第3のガイド部材6の長手方向の展開軸6aは、正中面Xに対して、並びに、第1のガイド部材2および第2のガイド部材3の長手方向の展開軸2a、3aに対して、横方向に配置されている。
【0043】
第1のガイド部材2および第2のガイド部材3は、正中面Xに向かって遠位方向に収束する長手方向軸2aおよび3aを有し、ここで、遠位方向は、患者の脊椎から最も遠い方向を意味する。換言すれば、第1のガイド部材2および第2のガイド部材3の長手方向軸2aおよび3aは、使用構成にあるガイドを考慮する場合、固有のナビゲーションガイド1の上で交差する。
【0044】
さらに、第1のガイド部材2および第2のガイド部材3の長手方向軸2aおよび3aは、カウダル方向に、すなわち、プレート8に向かって傾斜しており、使用構成にある場合のナビゲーションガイドの上で交差する傾向がある。
【0045】
第1のガイド部材2の長手方向軸2aおよび第2のガイド部材3の長手方向軸3aは両方とも、第3のガイド部材6の長手方向軸6aに対して傾斜している。
【0046】
ナビゲーションガイド1はまた、それぞれの椎骨100および200への患者固有のナビゲーションガイド1の単一の結合構成を規定するために、患者の第一椎骨100および第二椎骨200上で特定できる対応する複数の接触領域101、102、103に一致するように設計された接触面14、15、16を備える。言い換えれば、これらの接触面14、15および16は、患者固有であり、したがって、それらが結合されている患者の椎骨の解剖学的傾向に従う。
【0047】
第1のガイド部材2、第2のガイド部材3および第3のガイド部材6の傾斜と、上記の接触面14、15および16を介したガイド1と椎骨100、200との単一の結合との組み合わせは、第1のガイド部材2または第2のガイド部材3のチャネル5の内側、または第3のガイド部材6のチャネル7の内側に挿入される手術器具を正確且つ明確に案内して、正確で且つ予め定められた動作点を特定する。
【0048】
特に、接触面14、15および16は、それぞれ、第1のガイド部材2および第2のガイド部材3の下、並びに第3のガイド部材6と第1のガイド部材2または第2のガイド部材3のいずれかとを接続するプレート8の下に形成される。プレート8の下に位置する接触面16はまた、第3のガイド部材6の下に延びる。
【0049】
椎骨の接触領域101、102および103は、それぞれ、第一椎骨100の仙骨頂または棘突起に対して横方向に位置する表面、および仙骨頂または棘突起の側面に位置する第二椎骨200の2つの椎弓板のうちの一方に対応する。
【0050】
特に、プレート8は、その近位面、すなわち、患者の椎骨と接触している表面に、患者の椎骨の椎弓板との接触面103を規定する。
【0051】
支持フレーム4は、第1のガイド部材2および第2のガイド部材3を接続するブリッジ9を備える。前記ブリッジ9は、好ましくは、実質的に反転したV字形を有する。
【0052】
有利には、ブリッジ9は、第一椎骨100の棘突起または仙骨頂に結合されるように適合された主接触部材10を備える。
【0053】
より取り扱い易くするために、ブリッジ9は、棘突起または仙骨頂に結合することができる主接触器官10の実質的に上に、把持要素17を含み、把持要素17は、ガイド部材のチャネルへの手術器具の挿入中にガイドを安定した位置に維持するための圧力点としても機能する。
【0054】
第1のガイド部材2および第2のガイド部材3の長手方向軸2aおよび3aは、カウダル方向に、すなわち、プレート8に向かって傾斜しており、ナビゲーションガイドのブリッジ9の把持要素17の上で交差する傾向がある。
【0055】
ブリッジ9の主接触部材10の下には、仙骨頂または棘突起を収容するように適合されたノッチ11がある。このノッチ11は、ブリッジ9の中心に配置されているのではなく、ブリッジ9の頂点の中点に対してずれており、仙骨頂または棘突起の近くに配置されている。一実施形態では、仙骨頂または棘突起は、ノッチ11の内側に収容され、それらの間にいかなる接触もない。別の実施形態では、仙骨頂または棘突起は、ノッチ11の内側に収容され、ノッチ11と接触する。別の実施形態では、患者に固有であるようにノッチ11を形成し、患者の仙骨頂または棘突起の形態に完全に一致するように成形された内面を提示することが可能である。
【0056】
有利なことに、第2の態様では、本発明は、上記の2つのガイド1を含む患者固有のナビゲーションガイドキットに関する。
【0057】
これらのガイド1(図1-8で1’および1’’で示される)は、互いに実質的に対称である。言い換えれば、両方とも、第1のガイド部材2および第2のガイド部材3が接続される支持フレーム4を含む同じ構造を有する。支持フレーム4は、上記のように、ノッチ11を備えたブリッジ9を有する。
【0058】
ガイド1’、1’’は両方とも、第1のガイド部材2’および第2のガイド部材3に加えて、ただ1つの追加の第3のガイド部材6を含む。すなわち、第1のガイド1’は、プレート8を介して第1のガイド部材2のみに接続されたこの第3のガイド部材6を有し、第2のガイド1’’は、プレート8を介して第2のガイド部材3のみに接続されたこのガイド部材6を有する。使用構成の固有のナビゲーションガイドを考慮する場合、両方のプレート8はカウダル方向に延びる。
【0059】
このように、最初に第1のガイドを使用し、第1のガイドを適切に取り外した後に、次に第2のガイドを使用して、2つの椎骨100および200が属する脊柱の長手方向線に対して実質的に対称である第二椎骨200の2つの側面をドリルすることが可能である。
【0060】
使用中、外科医は実質的にL05椎骨からS01椎骨までを切開する。
【0061】
この装置を使用すると、S02椎骨が外科的プロセスに含まれる場合でも、S02椎骨まで切開を広げないことが可能である。
【0062】
指で創傷をわずかに拡大することにより、第1のガイドを最初に挿入し、適切な手術器具をそれぞれのチャネル5および7に挿入することにより、第一椎骨(S01)100および第二椎骨(S02)200に対して作用することが可能である。
【0063】
第1のガイド部材2および第2のガイド部材3は、第一椎骨100に作用し、したがって、並置によって第一椎骨100に一緒に結合することができる。
【0064】
他方、第3のガイド部材6は、第一椎骨に隣接する第二椎骨200に作用し、次に並置によってそれに結合される。
【0065】
言い換えれば、ガイド部材2、3および6は、椎骨と一体的に拘束されているのではなく、接触によってそれらに結合されているだけである。
【0066】
続いて、第1のガイド1を取り外し、2つのナビゲーションガイドの第1のガイド部材2と第2のガイド部材3が一致することを考慮すると、第一椎骨(S01)100に既に開けられた穴を使用して第2のガイドを挿入することができ、このようにして、第1のガイド部材2と第2のガイド部材3のチャネル5内にすでに配置されている器具を挿入する。外科医は、このようにして、第2のガイドの第3のガイド部材6を介して、正中面Xに対して反対側の第二椎骨(S02)200を手術することができる。
【0067】
このようにして生み出された本発明は、所定の目的を達成することを可能にする。
【0068】
上記のナビゲーションガイドを使用すると、装置の寸法が縮小されているので、低侵襲手術で仙椎の外科手術を行うことができる。
【0069】
実際、単一のガイドには、S01に対して作用するように適合された手術器具用の穴と、S02椎骨の右または左に手術器具を挿入するための第3の穴とが組み込まれている。
【0070】
3つのガイド部材は、低侵襲技術で手術器具を挿入することを可能にし、一方のガイドの右側の、もう一方のガイドの左側の、S02への器具の挿入側にある大きな支持面は、使用中のより大きな安定性を保証する。
【0071】
このため、本発明の主題であるガイドは、外科医が、困難な軌道であっても、連続的なビーム制御なしで、安全且つ正確に手術器具を挿入することを可能にする。
【0072】
最後に、説明されたガイドは、安定した安全な方法で患者の骨構造に対する簡易化された配置を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【文献】EP2749235
【文献】EP3217895
【文献】EP2502582
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11