(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】セラミックコーティング/含浸された材料のための表面処理
(51)【国際特許分類】
C04B 35/80 20060101AFI20250106BHJP
D06M 15/327 20060101ALI20250106BHJP
D06M 15/643 20060101ALI20250106BHJP
D06M 15/507 20060101ALI20250106BHJP
D06M 11/79 20060101ALI20250106BHJP
D06M 11/45 20060101ALI20250106BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20250106BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
C04B35/80
D06M15/327
D06M15/643
D06M15/507
D06M11/79
D06M11/45
B32B5/26
B32B5/02 B
(21)【出願番号】P 2021560569
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(86)【国際出願番号】 US2020027583
(87)【国際公開番号】W WO2020210569
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-04-07
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521443265
【氏名又は名称】アクシアム マテリアルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダワン, ジェイ. ラジ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】トンティサキス, アントニオス
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン, ワイリー
(72)【発明者】
【氏名】リンカーン, ジョン
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/085618(WO,A1)
【文献】特表2005-535450(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0259506(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/80-35/84
B32B 5/00-5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理された布補強プリプレグ複合物を形成する方法であって、前記方法は、
5mm~
75mmの厚さを有する無機布を提供することと、
0.1mm~
4.99mmの厚さを有する無機紙を提供することであって、前記無機紙は、ランダムに向けられた無機繊維から形成される、ことと、
前記無機布に第1のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された布を形成することであって、前記第1のスラリー混合物は、酸化物成分と液体媒体とを備えている、ことと、
前記無機紙に第2のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された紙を形成することであって、前記第2のスラリー混合物は、酸化物成分と液体媒体とを備えている、ことと、
前記溶浸された紙を前記溶浸された布の表面に適用し、表面処理された布補強プリプレグ複合物を形成することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記溶浸された紙を前記溶浸された布の表面に適用することに先立って、前記溶浸された布を乾燥させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶浸された布と前記溶浸された紙とを同時に乾燥させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記無機布は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせを備えている複数の繊維を備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記無機布は、織成、不織、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記無機紙は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記酸化物成分は、アルミニウム、シリコン、ホウ素、ジルコニウム、イットリウム、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上の酸化物を備えている、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記1つ以上の酸化物は、球体、中空球体、繊維、ウィスカ、またはそれらの任意の組み合わせを備えている粒子として提供される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、
1ナノメートル~
10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルシリカをさらに備えている、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、
1ナノメートル~
10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルアルミナをさらに備えている、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記液体媒体は、水、アルコール、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、水性スラリー混合物であり、前記水性スラリー混合物は、
0.1重量%~
40重量%のコロイダルシリカと、
0.1重量%~
10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、
40重量%~
85重量%の酸化アルミニウム粉末と、
10重量%~
60重量%の水と
を備えている、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、水性スラリー混合物であり、前記水性スラリー混合物は、
15重量%~
30重量%のコロイダルシリカと、
0.1重量%~
4重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、
45重量%~
65重量%の酸化アルミニウム粉末と、
20重量%~
40重量%の水と
を備えている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体媒体可溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールである、請求項
12または請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、アルコール系スラリーであり、前記アルコール系スラリーは、
0.1重量%~
50重量%の1つ以上の有機結合剤であって、前記有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、
40重量%~
85重量%の酸化アルミニウム粉末と、
5重量%~
60重量%のアルコールであって、前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C
5-C
8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールと
を備えている、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、アルコール系スラリーであり、前記アルコール系スラリーは、
5重量%~
25重量%の1つ以上の有機結合剤であって、前記有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、
45重量%~
65重量%の酸化アルミニウム粉末と、
30重量%~
50重量%のアルコールであって、前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C
5-C
8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールと
を備えている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物のpHは、プロトン酸を使用して、
3~
5のpHに調節される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、
0.1重量%~
2重量%のプロトン酸をさらに備えている、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、
0.1重量%~
1重量%のプロトン酸をさらに備えている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、1つ以上の添加剤をさらに備え、前記1つ以上の添加剤は、無機ポリマー材料、有機ポリマー材料、1つ以上の界面活性剤、1つ以上の粘度調整剤、グリコール、ポリオール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
10psi
(6.89×10
4
Pa)~
200psi
(1.3789×10
4
Pa)の圧力、かつ
、75℃~
500℃の温度において前記布補強プリプレグ複合物を硬化させることをさらに含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
700℃~
1400℃の焼結温度において前記布補強プリプレグ複合物を焼結させることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記焼結は、前記焼結温度が達成されるまで、
1℃/分~
10℃/分の加熱率を使用して遂行される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
高剪断ミキサ、ボールミル、アトライタ、プラネタリ、またはそれらの任意の組み合わせを使用して、前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物を配合することをさらに含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記無機布は、
20℃~
150℃の溶浸温度まで加熱された前記第1のスラリー混合物を溶浸され、および/または、前記無機紙は、
20℃~
150℃の溶浸温度まで加熱された前記第2のスラリー混合物を溶浸される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
布補強セラミックマトリクス複合物品を形成する方法であって、前記方法は、
溶浸された布の1つ以上の層を備えているプリプレグ複合物を提供することであって、前記溶浸された布は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第1のスラリー混合物を溶浸された無機布を備えている、ことと、
前記プリプレグ複合物をプリフォームの表面と接触させることと、
0.1mm~
4.99mmの溶浸前厚さを有する溶浸された紙を提供することであって、前記溶浸された紙は、ランダムに向けられた無機繊維から形成され、前記溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第2のスラリー混合物を溶浸された無機紙を備えている、ことと、
前記溶浸された紙を前記プリプレグ複合物の少なくとも1つの表面に適用し、表面処理されたプリプレグ複合物を形成することと、
700℃~
1400℃の焼結温度において前記表面処理されたプリプレグ複合物を焼結させ、前記布補強セラミックマトリクス複合物品を形成することと
を含む、方法。
【請求項27】
布補強セラミックマトリクス複合物品を形成する方法であって、前記方法は、
溶浸された布の1つ以上の層を備えているプリプレグ複合物を提供することであって、前記溶浸された布は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第1のスラリー混合物を溶浸された無機布を備えている、ことと、
前記プリプレグ複合物をプリフォームの表面と接触させることと、
0.1mm~
4.99mmの溶浸前厚さを有する溶浸された紙を提供することであって、前記溶浸された紙は、ランダムに向けられた無機繊維から形成され、前記溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第2のスラリー混合物を溶浸された無機紙を備えている、ことと、
前記溶浸された紙を前記プリプレグ複合物の少なくとも1つの表面に適用し、表面処理されたプリプレグ複合物を形成することと、
10psi
(6.89×10
4
Pa)~
200psi
(1.3789×10
4
Pa)の圧力、かつ
、75℃~
500℃の温度において前記表面処理されたプリプレグ複合物を硬化させることと、
700℃~
1400℃の焼結温度において前記表面処理されたプリプレグ複合物を焼結させ、前記布補強セラミックマトリクス複合物品を形成することと
を含む、方法。
【請求項28】
布補強セラミックマトリクス複合物品を形成する方法であって、前記方法は、
溶浸された布の1つ以上の層を備えているプリプレグ複合物を提供することであって、前記溶浸された布は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第1のスラリー混合物を溶浸された無機布を備えている、ことと、
10psi
(6.89×10
4
Pa)~
200psi
(1.3789×10
4
Pa)の圧力、かつ
、75℃~
500℃の温度において前記プリプレグ複合物を硬化させ、硬化させられたプリプレグ複合物を形成することと、
0.1mm~
4.99mmの溶浸前厚さを有する溶浸された紙を提供することであって、前記溶浸された紙は、ランダムに向けられた無機繊維から形成され、前記溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第2のスラリー混合物を溶浸された無機紙を備えている、ことと、
前記溶浸された紙を前記硬化させられたプリプレグ複合物の少なくとも1つの表面に適用し、表面処理されたプリプレグ複合物を形成することと、
700℃~
1400℃の焼結温度において前記表面処理されたプリプレグ複合物を焼結させ、前記布補強セラミックマトリクス複合物品を形成することと
を含む、方法。
【請求項29】
前記無機布は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせを備えている複数の繊維を備えている、請求項26~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記無機布は、前記第1のスラリー混合物を溶浸される前、
5mm~
75mmの厚さを有する、請求項26~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記無機布は、織成、不織、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項26~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記無機紙は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、請求項26~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記酸化物成分は、アルミニウム、シリコン、ホウ素、ジルコニウム、イットリウム、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上の酸化物を備えている、請求項26~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記1つ以上の酸化物は、球体、中空球体、繊維、ウィスカ、またはそれらの任意の組み合わせを備えている粒子として提供される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、
1ナノメートル~
10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルシリカをさらに備えている、請求項33または請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、
1ナノメートル~
10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルアルミナをさらに備えている、請求項33または請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記液体媒体は、水、アルコール、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項26~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、水性スラリー混合物であり、前記水性スラリー混合物は、
0.1重量%~
40重量%のコロイダルシリカと、
0.1重量%~
10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、
40重量%~
85重量%の酸化アルミニウム粉末と、
10重量%~
60重量%の水と
を備えている、請求項26~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、水性スラリー混合物であり、前記水性スラリー混合物は、
15重量%~
30重量%のコロイダルシリカと、
0.1重量%~
4重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、
45重量%~
65重量%の酸化アルミニウム粉末と、
20重量%~
40重量%の水と
を備えている、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記液体媒体可溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールである、請求項38または請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、アルコール系スラリーであり、前記アルコール系スラリーは、
0.1重量%~
50重量%の1つ以上の有機結合剤であって、前記有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、
40重量%~
85重量%の酸化アルミニウム粉末と、
5重量%~
60重量%のアルコールであって、前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C
5-C
8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールと
を備えている、請求項26~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、アルコール系スラリーであり、前記アルコール系スラリーは、
5重量%~
25重量%の1つ以上の有機結合剤であって、前記有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、
45重量%~
65重量%の酸化アルミニウム粉末と、
30重量%~
50重量%のアルコールであって、前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C
5-C
8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールと
を備えている、請求項26~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物のpHは、プロトン酸を使用して、
3~
5のpHに調節される、請求項26~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、
0.1重量%~
2重量%のプロトン酸をさらに備えている、請求項26~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、
0.1重量%~
1重量%のプロトン酸をさらに備えている、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、1つ以上の添加剤をさらに備え、前記1つ以上の添加剤は、無機ポリマー材料、有機ポリマー材料、1つ以上の界面活性剤、1つ以上の粘度調整剤、グリコール、ポリオール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、請求項26~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記焼結は、前記焼結温度が達成されるまで、
1℃/分~
10℃/分の加熱率を使用して遂行される、請求項26~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
表面処理されたプリプレグ複合物であって、前記表面処理されたプリプレグ複合物は、
上面層と底面層とを有する溶浸された布であって、前記溶浸された布は、
5mm~
75mmの溶浸前厚さを有し、前記溶浸された布は、アルミナ、シリカ、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている繊維を備え、前記上面層および前記底面層は、前記溶浸された布上のコーティングを形成し、各表面層は、
40重量%~
85重量%(前記表面層の重量比)の酸化アルミニウムまたは
0.1重量%~
40重量%のシリカ(前記表面層の重量比)を備えている、溶浸された布と、
0.1mm~4
.99mmの溶浸前厚さを有する溶浸された紙であって、前記溶浸された紙は、ランダムに向けられた無機繊維から形成され、前記溶浸された紙は、前記溶浸された布の上面層および/または底面層を実質的に覆い、それと接触しており、前記溶浸された紙は、アルミナ、シリカ、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている繊維を備え、前記溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えているスラリー混合物を溶浸されている、溶浸された紙と
を備えている、表面処理されたプリプレグ複合物。
【請求項49】
表面処理されたプリプレグ複合物であって、前記表面処理されたプリプレグ複合物は、
複数の溶浸された布層であって、各溶浸された布層は、
5mm~
75mmの溶浸前厚さを有し、前記層は、互いに接触するようにスタックされ、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップを形成し、前記プリプレグ複合レイアップは、上面と底面とを有し、前記溶浸された布層の各々は、アルミナ、シリカ、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている繊維を備え、前記繊維は、少なくとも部分的に、
40重量%~
85重量%(コーティングの重量比)の酸化アルミニウムまたは
0.1重量%~
40重量%のシリカ(前記コーティングの重量比)を備えている前記コーティングを用いてコーティングされている、複数の溶浸された布層と、
0.1mm~
4.99mmの溶浸前厚さを有する溶浸された紙であって、前記溶浸された紙は、ランダムに向けられた無機繊維から形成され、前記溶浸された紙は、前記プリプレグ複合レイアップの前記上面および/または前記底面の少なくとも一部を覆っており、前記溶浸された紙は、アルミナ、シリカ、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている繊維を備え、前記溶浸された紙は、
40重量%~
85重量%(スラリーの重量比)の酸化アルミニウムまたは
0.1重量%~
40重量%のシリカ(前記スラリーの重量比)を備えているスラリー混合物を溶浸されている、溶浸された紙と
を備えている、表面処理されたプリプレグ複合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本PCT出願は、2019年4月11日に出願された米国仮出願第62/832,586号の利益を主張する。本書は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、新規の表面処理された布補強プリプレグ複合物、セラミックマトリクス複合(「CMC」)材料、およびそのような複合物および材料を作製する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
布補強CMC材料は、それらの機械的特性(例えば、構造的可撓性または構造的可撓性がないこと)、熱耐久性、および化学的安定性により、特に、航空宇宙産業における構造用途のために適している。布補強CMCを作製するために使用される典型的な技法は、繊維状材料を成形し、プリフォームを作成することを含む。プリフォームの多孔性は、次いで、セラミックスラリーを用いて充填され、それは、次いで、硬化および/または焼結され、CMC材料を形成する。
【0004】
そのようなCMC材料に関連付けられた問題は、それらが、それらの最終使用の前、追加のコーティングがそれらのセラミックコーティングされた表面に適用される必要があることである。これらの追加のコーティングは、一般的に、時間、リソース、およびエネルギー集約的の両方である追加の乾燥、焼結、または他の処理(例えば、塗装)ステップを要求する。
【0005】
故に、追加のコーティング層をCMC材料に適用することの代替を提供する改良された技法および対応するセラミックスラリー組成物の両方の必要性が、存在する。より効率的な適用技法に加えて、改良された靱性、熱耐性、および高温強度を無機布材料に授け得る表面処理の開発は、高温におけるそれらの物理的特性に依存する用途のために使用される材料を管理することにおいてより多くの選択肢を提供するであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、表面処理された布補強プリプレグ複合物を形成する方法を提供し、方法は、無機布に第1のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された布を形成することであって、スラリー混合物は、酸化物成分と液体媒体とを備えている、ことと、無機紙に第2のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された紙を形成することであって、第2のスラリー混合物は、酸化物成分と液体媒体とを備えている、ことと、溶浸された紙を溶浸された布の表面に適用し、表面処理された布補強プリプレグ複合物を形成することとを含む。
【0007】
いくつかの実装は、溶浸された紙を溶浸された布の表面に適用することに先立って、溶浸された布を乾燥させることをさらに含む。
【0008】
いくつかの実装は、溶浸された布および溶浸された紙を同時に乾燥させることをさらに含む。
【0009】
いくつかの実装では、無機布は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせを備えている複数の繊維を備えている。例えば、繊維は、本質的に、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせから成る。
【0010】
いくつかの実装では、無機布は、第1のスラリー混合物を溶浸される前、約5mm~約75mmの厚さを有する。
【0011】
いくつかの実装では、無機布は、織成、不織、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0012】
いくつかの実装では、無機紙は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせを備えている。例えば、無機紙は、本質的に、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせから成る。
【0013】
いくつかの実装では、無機紙は、第2のスラリー混合物を溶浸される前、約0.1mm~約4.99mmの厚さを有する。
【0014】
いくつかの実装では、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物の酸化物成分は、アルミニウム、シリコン、ホウ素、ジルコニウム、イットリウム、またはそれらの任意の組み合わせの1つ以上の酸化物から成る。
【0015】
いくつかの実装では、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物の1つ以上の酸化物は、球体、中空球体、繊維、ウィスカ、またはそれらの任意の組み合わせを備えている粒子として提供される。
【0016】
いくつかの実装では、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物は、約1ナノメートル~約10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルシリカをさらに備えている。
【0017】
いくつかの実装では、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物は、約1ナノメートル~約10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルアルミナをさらに備えている。
【0018】
いくつかの実装では、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物の液体媒体は、水、アルコール、またはそれらの任意の組み合わせである。例えば、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダルシリカと、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、約10重量%~約60重量%の水とを備えている水性スラリー混合物である。他の例では、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物は、約15~約30重量%のコロイダルシリカと、約0.1~約4重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約45~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、約20~約40重量%の水とを備えている水性スラリー混合物である。いくつかの実装では、液体媒体可溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールである。
【0019】
他の実装では、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約50重量%の1つ以上の有機結合剤であって、有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、約5重量%~約60重量%のアルコールであって、アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールとを備えているアルコール系スラリーである。例えば、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物は、約5重量%~約25重量%の1つ以上の有機結合剤であって、有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、約30重量%~約50重量%のアルコールであって、アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールとを備えているアルコール系スラリーである。
【0020】
いくつかの実装では、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物のpHは、プロトン酸を使用して、約3~約5のpHに調節される。
【0021】
いくつかの実装では、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約2重量%のプロトン酸をさらに備えている。例えば、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約1重量%のプロトン酸をさらに備えている。
【0022】
いくつかの実装では、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物は、無機ポリマー材料、有機ポリマー材料、1つ以上の界面活性剤、1つ以上の粘度調整剤、グリコール、ポリオール、またはそれらの任意の組み合わせをさらに備えている、1つ以上の添加剤から成る。
【0023】
いくつかの実装は、約10psi~約200psiの圧力、かつ約75℃~約500℃の温度において布補強プリプレグ複合物を硬化させることをさらに含む。
【0024】
いくつかの実装は、約700℃~約1,400℃の焼結温度において布補強プリプレグ複合物を焼結させることをさらに含む。
【0025】
いくつかの実装では、焼結は、焼結温度が達成されるまで、約1℃/分~約10℃/分の加熱率を使用して遂行される。
【0026】
いくつかの実装はさらに、高剪断ミキサ、ボールミル、アトライタ、プラネタリ、またはそれらの任意の組み合わせを使用して、第1のスラリー混合物および/または第2のスラリー混合物を配合することを含む。
【0027】
いくつかの実装では、無機布は、約20℃~約150℃の溶浸温度まで加熱された第1のスラリー混合物を溶浸され、および/または、無機紙は、約20℃~約150℃の溶浸温度まで加熱された第2のスラリー混合物を溶浸される。
【0028】
本発明の別の側面は、布補強セラミックマトリクス複合物品を形成する方法を提供し、方法は、溶浸された布の1つ以上の層を備えているプリプレグ複合物を提供することであって、溶浸された布は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第1のスラリー混合物を溶浸された無機布を備えている、ことと、プリプレグ複合物をプリフォームの表面と接触させることと、溶浸された紙をプリプレグ複合物の少なくとも1つの表面に適用し、表面処理されたプリプレグ複合物を形成することであって、溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第2のスラリー混合物を溶浸された無機紙を備えている、ことと、約700℃~約1,400℃の焼結温度において表面処理されたプリプレグ複合物を焼結させ、布補強セラミックマトリクス複合物品を形成することとを含む。
【0029】
本発明の別の側面は、布補強セラミックマトリクス複合物品を形成する方法を提供し、方法は、溶浸された布の1つ以上の層を備えているプリプレグ複合物を提供することであって、溶浸された布は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第1のスラリー混合物を溶浸された無機布を備えている、ことと、プリプレグ複合物をプリフォームの表面と接触させることと、溶浸された紙をプリプレグ複合物の少なくとも1つの表面に適用し、表面処理されたプリプレグ複合物を形成することであって、溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第2のスラリー混合物を溶浸された無機紙を備えている、ことと、約10psi~約200psiの圧力、かつ約75℃~約500℃の温度において表面処理されたプリプレグ複合物を硬化させることと、約700℃~約1,400℃の焼結温度において表面処理されたプリプレグ複合物を焼結させ、布補強セラミックマトリクス複合物品を形成することとを含む。
【0030】
本発明の別の側面は、布補強セラミックマトリクス複合物品を形成する方法を提供し、方法は、溶浸された布の1つ以上の層を備えているプリプレグ複合物を提供することであって、溶浸された布は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第1のスラリー混合物を溶浸された無機布を備えている、ことと、約10psi~約200psiの圧力、かつ約75℃~約500℃の温度においてプリプレグ複合物を硬化させ、硬化させられたプリプレグ複合物を形成することと、溶浸された紙を硬化させられたプリプレグ複合物の少なくとも1つの表面に適用し、表面処理されたプリプレグ複合物を形成することであって、溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第2のスラリー混合物を溶浸された無機紙を備えている、ことと、約700℃~約1,400℃の焼結温度において表面処理されたプリプレグ複合物を焼結させ、布補強セラミックマトリクス複合物品を形成することとを含む。
【0031】
本発明の別の側面は、上面層と底面層とを有する溶浸された布であって、溶浸された布は、アルミナ、シリカ、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている繊維を備え(または本質的にそれから成り)、上面層および底面層は、繊維のうちの1つ以上のものをコーティングし、各表面層は、約40重量%~約85重量%(表面層の重量比)の酸化アルミニウムまたは約0.1重量%~約40重量%のシリカ(表面層の重量比)を備えている、溶浸された布と、溶浸された布の上面層および/または底面層を実質的に覆い、それと接触している溶浸された紙であって、溶浸された紙は、アルミナ、シリカ、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている繊維を備え(または本質的にそれから成り)、溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えている、スラリー混合物を溶浸されている、溶浸された紙とを備えている表面処理されたプリプレグ複合物を提供する。
【0032】
本発明の別の側面は、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップを形成するために互いに接触するようにスタックされた複数の溶浸された布層であって、プリプレグ複合レイアップは、上面と底面とを有し、溶浸された布層の各々は、アルミナ、シリカ、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている(または本質的にそれから成る)繊維を備え、繊維は、約40重量%~約85重量%(コーティングの重量比)の酸化アルミニウムまたは約0.1重量%~約40重量%のシリカ(コーティングの重量比)を備えているコーティングを用いてコーティングされている、複数の溶浸された布層と、プリプレグ複合レイアップの上面および/または底面の少なくとも一部を覆っている溶浸された紙であって、溶浸された紙は、約40重量%~約85重量%(スラリーの重量比)の酸化アルミニウムまたは約0.1重量%~約40重量%のシリカ(スラリーの重量比)を備えているスラリー混合物を溶浸されている、溶浸された紙とを備えている表面処理されたプリプレグ複合物を提供する。
【0033】
本発明の別の側面は、無機布に第1のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された布を形成することと、溶浸された布を乾燥させ、布補強プリプレグ複合物を形成することとを含み、第1のスラリー混合物は、酸化物成分と、液体媒体と、随意に、プロトン酸とを備え得る、表面処理された布補強プリプレグ複合物を形成する方法を提供する。方法は、無機紙に第2のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された紙を形成することであって、第2のスラリー混合物は、酸化物成分と液体媒体とを備えている、ことと、溶浸された紙を布補強プリプレグ複合物の表面に適用することと、溶浸された紙を乾燥させ、紙プリプレグ複合物を形成することとをさらに含む。
【0034】
いくつかの実装では、方法は、布補強プリプレグ複合物の外面(例えば、上面および/または底面)上に紙プリプレグ複合物の1つ以上の層をスタックし、交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップを形成することをさらに含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、方法は、布補強プリプレグ複合物の2つ以上の層をスタックし、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップを形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップの上面および/または底面上に紙プリプレグ複合物の1つ以上の層をスタックし、紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップを形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、布補強プリプレグ複合物の上面および底面上に紙プリプレグ複合物の少なくとも1つの層を交互にスタックし、スタックされた交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップを形成することをさらに含み、スタックされた交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップは、少なくとも5つの交互する層を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法は、溶浸された紙、紙プリプレグ複合物、溶浸された布、布補強プリプレグ複合物、交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップ、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ、紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ、スタックされた交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップ、またはそれらの任意の組み合わせをプリフォームにオートクレーブ処理、オーブン硬化、および/またはプレス硬化し、硬化させられたセラミックマトリクス複合物品を形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、オートクレーブ処理、オーブン硬化、および/またはプレス硬化することは、約10psi~約200psiの硬化圧力において実施される。いくつかの実施形態では、方法は、硬化させられたマトリクス物品を焼結させ、布補強セラミックマトリクス複合物品を形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、焼結させることは、約700℃~約1,400℃の焼結温度において実施される。いくつかの実施形態では、焼結温度は、約1℃/分~約10℃/分の加熱率で温度まで漸増される。
【0037】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダルシリカと、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、スラリーのpHを約3~約5のpHに調節するために十分なプロトン酸(例えば、約0.1重量%~約2重量%)と、約10重量%~約60重量%の水とを備えている水性スラリーである。いくつかの実施形態では、第1および/または第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダルアルミナと、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約40重量%~約80重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、約3~約5のpHを提供するための約0.1重量%~約2重量%のプロトン酸と、約10重量%~約60重量%の水とを備えている水性スラリーである。本明細書に提供される重量パーセント(重量%)は、別様に記載されない限り、スラリーの重量比である。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のスラリー混合物は、約15重量%~約30重量%のコロイダルシリカと、約0.1重量%~約4重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、約20重量%~約40重量%の水と、随意に、約3~約5のpHを提供するための約0.1重量%~約1重量%のプロトン酸とを備えている、水性スラリーである。いくつかの実施形態では、第1および/または第2のスラリー混合物は、約15重量%~約30重量%のコロイダルアルミナと、約0.1重量%~約4重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、約20重量%~約40重量%の水と、随意に、約3~約5のpHを提供するための約0.1重量%~約1重量%のプロトン酸とを備えている、水性スラリーである。本明細書に提供される重量パーセント(重量%)は、別様に記載されない限り、スラリーの重量比である。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2のスラリー混合物は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを含む約0.1重量%~約50重量%の1つ以上の有機結合剤と、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、約5重量%~約60重量%のアルコールであって、アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールとを備えているアルコール系スラリーである。いくつかの実施形態では、第1および/または第2のスラリー混合物は、約5重量%~約25重量%の1つ以上の有機結合剤であって、有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、約30重量%~約50重量%のアルコールであって、アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールとを備えているアルコール系スラリーである。本明細書に提供される重量パーセント(重量%)は、別様に記載されない限り、スラリーの重量比である。
【0040】
いくつかの実施形態では、方法は、高剪断ミキサ、ボールミル、アトライタ、プラネタリ、またはそれらの任意の組み合わせを使用して、スラリー混合物を配合することをさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、酸化物成分は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている。いくつかの実施形態では、酸化物成分は、球体、中空球体、繊維、ウィスカ、またはそれらの任意の組み合わせとして提供される。いくつかの実施形態では、酸化物成分は、約1ナノメートル~約10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルシリカである。いくつかの実施形態では、酸化物成分は、約1ナノメートル~約10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルアルミナを備えている。いくつかの実施形態では、液体媒体可溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールである。いくつかの実施形態では、スラリー混合物は、無機ポリマー材料、有機ポリマー材料、1つ以上の界面活性剤、1つ以上の粘度調整剤、グリコール、ポリオール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている1つ以上の添加剤をさらに備えている。いくつかの実施形態では、溶浸ステップは、約20℃~約150℃の溶浸温度において実施される。いくつかの実施形態では、不織無機布は、セラミック布またはセラミックマットのうちの少なくとも1つから成る。
【0042】
本発明の別の側面は、布補強セラミックマトリクス複合物品を形成する方法を提供し、方法は、無機布に第1のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された布を形成することであって、第1のスラリー混合物は、酸化物成分と、液体媒体と、随意に、プロトン酸とを備え得る、ことと、溶浸された布を乾燥させ、布補強プリプレグ複合物を形成することと、無機紙に第2のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された紙を形成することであって、第2のスラリー混合物は、酸化物成分と、液体媒体と、随意に、プロトン酸とを備え得る、ことと、溶浸された紙を布補強プリプレグ複合物の少なくとも1つの表面に適用し、表面処理された布補強プリプレグ複合物を形成することと、表面処理された布補強プリプレグ複合物をプリフォームの表面に接触させることと、表面処理された布補強プリプレグ複合物をプリフォームに硬化(例えば、オートクレーブ処理、オーブン硬化、および/またはプレス硬化)し、硬化させられたマトリクス物品を形成することと、硬化させられたマトリクス物品を焼結させ、布補強セラミックマトリクス複合物品を形成することとを含む。
【0043】
本発明の本側面の実施形態は、以下の随意の特徴のうちの1つ以上のものを含み得る。いくつかの実施形態では、スラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダルシリカと、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、約3~約5のpHを提供するための約0.1重量%~約2重量%のプロトン酸と、約10重量%~約60重量%の水とを備えている水性スラリーである。いくつかの実施形態では、スラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダルアルミナと、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、約3~約5のpHを提供するための約0.1重量%~約2重量%のプロトン酸と、約10重量%~約60重量%の水とを備えている水性スラリーである。本明細書に提供される重量パーセント(重量%)は、別様に記載されない限り、スラリーの重量比である。
【0044】
いくつかの実施形態では、スラリー混合物は、約15重量%~約30重量%のコロイダルシリカと、約0.1重量%~約4重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、約3~約5のpHを提供するための約0.1重量%~約1重量%のプロトン酸と、約20重量%~約40重量%の水とを備えている水性スラリーである。いくつかの実施形態では、スラリー混合物は、約15重量%~約30重量%のコロイダルアルミナと、約0.1重量%~約4重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、約3~約5のpHを提供するための約0.1重量%~約1重量%のプロトン酸と、約20重量%~約40重量%の水とを備えている水性スラリーである。本明細書に提供される重量パーセント(重量%)は、別様に記載されない限り、スラリーの重量比である。
【0045】
いくつかの実施形態では、スラリー混合物は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを含む約0.1重量%~約50重量%の1つ以上の有機結合剤と、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、約5重量%~約60重量%のアルコールであって、アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、任意のC5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールとを備えているアルコール系スラリーである。いくつかの実施形態では、スラリー混合物は、約5重量%~約25重量%の1つ以上の有機結合剤であって、有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、約30重量%~約50重量%のアルコールであって、アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、任意のC5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールとを備えているアルコール系スラリーである。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法は、高剪断ミキサ、ボールミル、アトライタ、プラネタリ、またはそれらの任意の組み合わせを使用して、スラリー混合物を配合することをさらに含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、酸化物成分は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている。いくつかの実施形態では、酸化物成分は、上記の酸化物成分のうちのいずれかの球体、中空球体、繊維、またはウィスカ、またはそれらの任意の組み合わせから成る。いくつかの実施形態では、コロイダルシリカは、約1ナノメートル~約10ミクロンの平均粒子直径を有する。いくつかの実施形態では、コロイダルアルミナは、約1ナノメートル~約10ミクロンの平均粒子直径を有する。いくつかの実施形態では、液体媒体可溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールである。いくつかの実施形態では、スラリー混合物はさらに、無機ポリマー材料、有機ポリマー材料、1つ以上の界面活性剤、1つ以上の粘度調整剤、またはそれらの任意の組み合わせを備えている1つ以上の添加剤を備えている。
【0048】
いくつかの実施形態では、溶浸ステップは、約20℃~約150℃の溶浸温度において実施される。
【0049】
いくつかの実施形態では、オートクレーブ処理、オーブン硬化、および/またはプレス硬化ことは、約10psi~約200psiの硬化圧力において実施される。
【0050】
いくつかの実施形態では、焼結させることは、約700℃~約1,400℃の焼結温度において実施される。いくつかの実施形態では、焼結温度は、約1℃/分~約10℃/分の加熱率において漸増させることによって到達される。
【0051】
いくつかの実施形態では、不織無機布は、セラミック布またはセラミックマットのうちの少なくとも1つから成る。いくつかの実施形態では、無機布は、約5mm~約75mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、無機布は、溶浸に先立って、約10グラム/平方メートル(gsm)~約200gsmの重量範囲を有する。いくつかの実施形態では、プリフォームは、ツール、パネル、支持部材、タンク、スクリーン、シールド、ケーブル、ワイヤ、繊維、無機物品、および有機物品、層状物品、配合物品、またはそれらの任意の組み合わせを備える。
【0052】
本発明の別の側面は、紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップを提供し、紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップは、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップを形成するために互いに接触するようにスタックされる複数の布補強プリプレグ複合層であって、複数の布補強プリプレグ複合層は、不織無機布、織成無機繊維、またはそれらの組み合わせと、約0.1重量%~約40重量%のコロイダル酸化物成分と、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約50重量%~約99重量%の酸化アルミニウム粉末とを備えている表面層とを含む、複数の布補強プリプレグ複合層と;紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップを形成するために多プライ布補強プリプレグ複合レイアップの上面および底面に結合される1つ以上の紙プリプレグ複合層であって、1つ以上の紙プリプレグ複合層は、無機紙と、約0.1重量%~約40重量%のコロイダル酸化物成分と、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末とを備えている第2の表面層とを含む、1つ以上の紙プリプレグ複合層とを備えている。
【0053】
本発明の別の側面は、溶浸された紙、紙プリプレグ複合物、溶浸された布、布補強プリプレグ複合物、交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップ、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ、紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ、スタックされた交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップ、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上のものにオートクレーブ処理またはプレス硬化および焼結された、プリフォームを備えた紙および布補強セラミックマトリクス複合物品を提供する。各プリプレグ複合物は、溶浸された布および/または溶浸された紙に結合される少なくとも1つの表面層を含み、表面層は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダル酸化物成分と、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末とを備えている。
【0054】
本発明のまた別の側面は、表面処理されたプリプレグ複合レイアップを形成するために無機布および/または無機紙を表面処理する方法を提供し、方法は、無機布に第1のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された布を形成することであって、スラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダル酸化物成分と、約5重量%~約40重量%の液体媒体と、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、プロトン酸とを備え得る、ことと、溶浸された布を乾燥させ、布補強プリプレグ複合物を形成することと、無機紙に第2のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された紙を形成することであって、第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダル酸化物成分と、約5重量%~約40重量%の液体媒体と、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、プロトン酸とを備え得る、ことと、溶浸された紙を乾燥させ、紙プリプレグ複合物を形成することと、布補強プリプレグ複合物を紙プリプレグ複合物と層状にすることであって、布補強プリプレグ複合物の少なくとも1つの層は、紙プリプレグ複合物の少なくとも1つの層と交互にスタックされ、交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップを形成する、こととを含む。交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップは、レイアップの各端部上に少なくとも1つの紙プリプレグ層を含み、交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップは、少なくとも3つの交互する層を含む。
【0055】
本発明の別の側面は、プリプレグ複合物を形成するために無機布および/または無機紙を処理する方法を提供する。方法は、無機布に第1のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された布を形成することであって、スラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダル酸化物成分と、約5重量%~約40重量%の液体媒体と、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、プロトン酸とを備え得る、ことと、無機紙に第2のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された紙を形成することであって、第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダル酸化物成分と、約5重量%~約40重量%の液体媒体と、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、プロトン酸とを備え得る、ことと、溶浸された布を溶浸された紙と層状にすることであって、溶浸された布の少なくとも1つの層は、溶浸された紙の少なくとも1つの層と交互にスタックされ、交互する溶浸された布および紙スタックを形成する、ことと、交互する溶浸された布および紙スタックを乾燥させ、交互する紙/布/紙プリプレグ複合物を形成することとを含む。交互する紙/布/紙プリプレグ複合物は、レイアップの各端部上に少なくとも1つの紙プリプレグ層を含み、交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップは、少なくとも3つの交互する層を含む。
【0056】
別の側面は、無機布と、酸化物成分から成る溶浸材系であって、溶浸材系は、無機布全体を通して実質的に均質に分散される、溶浸材系とを備えているプリプレグ複合物を提供する。
【0057】
いくつかの実施形態では、酸化物成分は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている。
【0058】
いくつかの実施形態では、酸化物成分は、球体、中空球体、繊維、ウィスカ、またはそれらの任意の組み合わせを備えている。
【0059】
いくつかの実施形態では、溶浸材系は、コロイダルシリカまたはコロイダルアルミナをさらに備えている。
【0060】
いくつかの実施形態では、溶浸材系は、約0.1~約40重量%のコロイダル酸化物成分と、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約50重量%~約99重量%の酸化アルミニウム粉末とを備えている。いくつかの実施形態では、溶浸材系は、約15重量%~約40重量%のコロイダル酸化物成分と、約0.1重量%~約7重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約50重量%~約80重量%の酸化アルミニウム粉末とを備えている。
【0061】
いくつかの実施形態では、溶浸材系は、約0.1重量%~約50重量%のコロイダルシリカまたはコロイダルアルミナと、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約40重量%~約99重量%の酸化アルミニウム粉末とを備えている。いくつかの実施形態では、溶浸材系は、約15~約40重量%のコロイダルシリカまたはコロイダルアルミナと、約0.1~約7重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約50~約80重量%の酸化アルミニウム粉末とを備えている。
【0062】
いくつかの実施形態では、溶浸材系は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせから選択される約0.1重量%~約60重量%の1つ以上の有機結合剤と、約40重量%~約99重量%の酸化アルミニウム粉末とを備えている。いくつかの実施形態では、溶浸材系は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、約15~約40重量%の1つ以上の有機結合剤と、約60%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末とを備えている。
【0063】
いくつかの実施形態では、プリプレグ複合物は、プリプレグ複合物の表面と接触し、それによって、表面処理されたプリプレグ複合物を画定する、無機紙をさらに備え、溶浸材系は、無機紙全体を通して実質的に均質に分散される。
【0064】
別の側面は、互いに接触するようにスタックされる、2つ以上のプリプレグ複合物を備えているプリプレグ複合レイアップを提供する。
【0065】
いくつかの実施形態では、プリプレグ複合レイアップは、互いに接触するようにスタックされる無機布の1つ以上の層であって、溶浸材系は、無機布全体を通して実質的に均質に分散される、無機布の1つ以上の層と、第1の表面フィルムを画定する無機紙の1つ以上の層であって、溶浸材系は、第1の表面フィルム全体を通して実質的に均質に分散される、無機紙の1つ以上の層とを備え、第1の表面フィルムは、無機布の1つ以上の層の第1の側上にスタックされる。
【0066】
いくつかの実施形態では、プリプレグ複合レイアップは、第2の表面フィルムを画定する、無機紙の1つ以上の層をさらに備え、溶浸材系は、第2の表面フィルム全体を通して実質的に均質に分散され、第2の表面フィルムは、無機布の1つ以上の層の第2の側上にスタックされる。
【0067】
いくつかの実施形態では、第1の側は、前側であり、第2の側は、裏側である。
【0068】
別の側面は、プリフォームにオートクレーブ処理またはプレス硬化および焼結されるプリプレグ複合物またはプリプレグ複合レイアップを備えているセラミックマトリクス複合物品を提供する。
【0069】
本発明の他の特徴および利点が、以下の発明を実施するための形態、図、および請求項から明白となるであろう。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
表面処理された布補強プリプレグ複合物を形成する方法であって、前記方法は、
無機布に第1のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された布を形成することであって、前記第1のスラリー混合物は、酸化物成分と液体媒体とを備えている、ことと、
無機紙に第2のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された紙を形成することであって、前記第2のスラリー混合物は、酸化物成分と液体媒体とを備えている、ことと、
前記溶浸された紙を前記溶浸された布の表面に適用し、表面処理された布補強プリプレグ複合物を形成することと
を含む、方法。
(項目2)
前記溶浸された紙を前記溶浸された布の表面に適用することに先立って、前記溶浸された布を乾燥させることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記溶浸された布と前記溶浸された紙とを同時に乾燥させることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記無機布は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせを備えている複数の繊維を備えている、項目1-3のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記無機布は、前記第1のスラリー混合物を溶浸される前、約5mm~約75mmの厚さを有する、項目1-4のいずれか1項に記載の方法。
(項目6)
前記無機布は、織成、不織、またはそれらの任意の組み合わせである、項目1-5のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記無機紙は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、項目1-6のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記無機紙は、前記第2のスラリー混合物を溶浸される前、約0.1mm~約4.99mmの厚さを有する、項目1-7のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記酸化物成分は、アルミニウム、シリコン、ホウ素、ジルコニウム、イットリウム、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上の酸化物を備えている、項目1-8のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記1つ以上の酸化物は、球体、中空球体、繊維、ウィスカ、またはそれらの任意の組み合わせを備えている粒子として提供される、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、約1ナノメートル~約10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルシリカをさらに備えている、項目9または項目10に記載の方法。
(項目12)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、約1ナノメートル~約10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルアルミナをさらに備えている、項目9または項目10に記載の方法。
(項目13)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記液体媒体は、水、アルコール、またはそれらの任意の組み合わせである、項目1-12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、水性スラリー混合物であり、前記水性スラリー混合物は、
約0.1重量%~約40重量%のコロイダルシリカと、
約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、
約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、
約10重量%~約60重量%の水と
を備えている、項目1-9のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、水性スラリー混合物であり、前記水性スラリー混合物は、
約15~約30重量%のコロイダルシリカと、
約0.1~約4重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、
約45~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、
約20~約40重量%の水と
を備えている、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記液体媒体可溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールである、項目9または項目10に記載の方法。
(項目17)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、アルコール系スラリーであり、前記アルコール系スラリーは、
約0.1重量%~約50重量%の1つ以上の有機結合剤であって、前記有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、
約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、
約5重量%~約60重量%のアルコールであって、前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールと
を備えている、項目1-9のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、アルコール系スラリーであり、前記アルコール系スラリーは、
約5重量%~約25重量%の1つ以上の有機結合剤であって、前記有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、
約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、
約30重量%~約50重量%のアルコールであって、前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールと
を備えている、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物のpHは、プロトン酸を使用して、約3~約5のpHに調節される、項目1-18のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約2重量%のプロトン酸をさらに備えている、項目1-19のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約1重量%のプロトン酸をさらに備えている、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、1つ以上の添加剤をさらに備え、前記1つ以上の添加剤は、無機ポリマー材料、有機ポリマー材料、1つ以上の界面活性剤、1つ以上の粘度調整剤、グリコール、ポリオール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、項目1-21のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
約10psi~約200psiの圧力、かつ約75℃~約500℃の温度において前記布補強プリプレグ複合物を硬化させることをさらに含む、項目1-22のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
約700℃~約1,400℃の焼結温度において前記布補強プリプレグ複合物を焼結させることをさらに含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記焼結は、前記焼結温度が達成されるまで、約1℃/分~約10℃/分の加熱率を使用して遂行される、項目24に記載の方法。
(項目26)
高剪断ミキサ、ボールミル、アトライタ、プラネタリ、またはそれらの任意の組み合わせを使用して、前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物を配合することをさらに含む、項目1-24のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
前記無機布は、約20℃~約150℃の溶浸温度まで加熱された前記第1のスラリー混合物を溶浸され、および/または、前記無機紙は、約20℃~約150℃の溶浸温度まで加熱された前記第2のスラリー混合物を溶浸される、項目1-26のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
布補強セラミックマトリクス複合物品を形成する方法であって、前記方法は、
溶浸された布の1つ以上の層を備えているプリプレグ複合物を提供することであって、前記溶浸された布は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第1のスラリー混合物を溶浸された無機布を備えている、ことと、
前記プリプレグ複合物をプリフォームの表面と接触させることと、
溶浸された紙を前記プリプレグ複合物の少なくとも1つの表面に適用し、表面処理されたプリプレグ複合物を形成することであって、前記溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第2のスラリー混合物を溶浸された無機紙を備えている、ことと、
約700℃~約1,400℃の焼結温度において前記表面処理されたプリプレグ複合物を焼結させ、前記布補強セラミックマトリクス複合物品を形成することと
を含む、方法。
(項目29)
布補強セラミックマトリクス複合物品を形成する方法であって、前記方法は、
溶浸された布の1つ以上の層を備えているプリプレグ複合物を提供することであって、前記溶浸された布は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第1のスラリー混合物を溶浸された無機布を備えている、ことと、
前記プリプレグ複合物をプリフォームの表面と接触させることと、
溶浸された紙を前記プリプレグ複合物の少なくとも1つの表面に適用し、表面処理されたプリプレグ複合物を形成することであって、前記溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第2のスラリー混合物を溶浸された無機紙を備えている、ことと、
約10psi~約200psiの圧力、かつ約75℃~約500℃の温度において前記表面処理されたプリプレグ複合物を硬化させることと、
約700℃~約1,400℃の焼結温度において前記表面処理されたプリプレグ複合物を焼結させ、前記布補強セラミックマトリクス複合物品を形成することと
を含む、方法。
(項目30)
布補強セラミックマトリクス複合物品を形成する方法であって、前記方法は、
溶浸された布の1つ以上の層を備えているプリプレグ複合物を提供することであって、前記溶浸された布は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第1のスラリー混合物を溶浸された無機布を備えている、ことと、
約10psi~約200psiの圧力、かつ約75℃~約500℃の温度において前記プリプレグ複合物を硬化させ、硬化させられたプリプレグ複合物を形成することと、
溶浸された紙を前記硬化させられたプリプレグ複合物の少なくとも1つの表面に適用し、表面処理されたプリプレグ複合物を形成することであって、前記溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えている第2のスラリー混合物を溶浸された無機紙を備えている、ことと、
約700℃~約1,400℃の焼結温度において前記表面処理されたプリプレグ複合物を焼結させ、前記布補強セラミックマトリクス複合物品を形成することと
を含む、方法。
(項目31)
前記無機布は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせを備えている複数の繊維を備えている、項目28-30のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記無機布は、前記第1のスラリー混合物を溶浸される前、約5mm~約75mmの厚さを有する、項目28-31のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記無機布は、織成、不織、またはそれらの任意の組み合わせである、項目28-32のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記無機紙は、アルミナ、シリカ、ムライト、ジルコニア、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、項目28-33のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記無機紙は、前記第2のスラリー混合物を溶浸される前、約0.1mm~約4.99mmの厚さを有する、項目28-343のいずれか1項に記載の方法。
(項目36)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記酸化物成分は、アルミニウム、シリコン、ホウ素、ジルコニウム、イットリウム、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上の酸化物を備えている、項目28-35のいずれか1項に記載の方法。
(項目37)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記1つ以上の酸化物は、球体、中空球体、繊維、ウィスカ、またはそれらの任意の組み合わせを備えている粒子として提供される、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、約1ナノメートル~約10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルシリカをさらに備えている、項目36または項目37に記載の方法。
(項目39)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、約1ナノメートル~約10ミクロンの平均粒子直径を有するコロイダルアルミナをさらに備えている、項目36または項目37に記載の方法。
(項目40)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物の前記液体媒体は、水、アルコール、またはそれらの任意の組み合わせである、項目28-39のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、水性スラリー混合物であり、前記水性スラリー混合物は、
約0.1重量%~約40重量%のコロイダルシリカと、
約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、
約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、
約10重量%~約60重量%の水と
を備えている、項目28-36のいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、水性スラリー混合物であり、前記水性スラリー混合物は、
約15~約30重量%のコロイダルシリカと、
約0.1~約4重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、
約45~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、
約20~約40重量%の水と
を備えている、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記液体媒体可溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールである、項目41または項目42に記載の方法。
(項目44)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、アルコール系スラリーであり、前記アルコール系スラリーは、
約0.1重量%~約50重量%の1つ以上の有機結合剤であって、前記有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、
約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、
約5重量%~約60重量%のアルコールであって、前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールと
を備えている、項目28-36のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、アルコール系スラリーであり、前記アルコール系スラリーは、
約5重量%~約25重量%の1つ以上の有機結合剤であって、前記有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、
約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、
約30重量%~約50重量%のアルコールであって、前記アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、アルコールと
を備えている、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物のpHは、プロトン酸を使用して、約3~約5のpHに調節される、項目28-45のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約2重量%のプロトン酸をさらに備えている、項目28-45のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約1重量%のプロトン酸をさらに備えている、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記第1のスラリー混合物および/または前記第2のスラリー混合物は、1つ以上の添加剤をさらに備え、前記1つ以上の添加剤は、無機ポリマー材料、有機ポリマー材料、1つ以上の界面活性剤、1つ以上の粘度調整剤、グリコール、ポリオール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、項目28-48のいずれか1項に記載の方法。
(項目50)
前記焼結は、前記焼結温度が達成されるまで、約1℃/分~約10℃/分の加熱率を使用して遂行される、項目28-49のいずれか1項に記載の方法。
(項目51)
表面処理されたプリプレグ複合物であって、前記表面処理されたプリプレグ複合物は、
上面層と底面層とを有する溶浸された布であって、前記溶浸された布は、アルミナ、シリカ、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている繊維を備え、前記上面層および前記底面層は、前記溶浸された布上のコーティングを形成し、各表面層は、約40重量%~約85重量%(前記表面層の重量比)の酸化アルミニウムまたは約0.1重量%~約40重量%のシリカ(前記表面層の重量比)を備えている、溶浸された布と、
前記溶浸された布の上面層および/または底面層を実質的に覆い、それと接触している溶浸された紙と
を備え、
前記溶浸された紙は、アルミナ、シリカ、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている繊維を備え、前記溶浸された紙は、酸化物成分と液体媒体とを備えているスラリー混合物を溶浸されている、表面処理されたプリプレグ複合物。
(項目52)
表面処理されたプリプレグ複合物であって、前記表面処理されたプリプレグ複合物は、
互いに接触するようにスタックされた複数の溶浸された布層であって、前記複数の溶浸された布層は、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップを形成し、前記プリプレグ複合レイアップは、上面と底面とを有し、前記溶浸された布層の各々は、アルミナ、シリカ、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えている繊維を備え、前記繊維は、少なくとも部分的に、約40重量%~約85重量%(コーティングの重量比)の酸化アルミニウムまたは約0.1重量%~約40重量%のシリカ(前記コーティングの重量比)を備えている前記コーティングを用いてコーティングされている、複数の溶浸された布層と、
前記プリプレグ複合レイアップの前記上面および/または前記底面の少なくとも一部を覆っている溶浸された紙と
を備え、
前記溶浸された紙は、約40重量%~約85重量%(スラリーの重量比)の酸化アルミニウムまたは約0.1重量%~約40重量%のシリカ(前記スラリーの重量比)を備えている前記スラリー混合物を溶浸されている、表面処理されたプリプレグ複合物。
【図面の簡単な説明】
【0070】
以下の図は、例として提供され、請求される発明の範囲を限定することを意図していない。
【0071】
【
図1】
図1は、本発明の実装による、布補強セラミックマトリクス複合物品を形成する方法を図示するフロー図である。
【0072】
【
図2】
図2は、本発明の一側面による、交互する紙および布補強プリプレグ複合レイアップの断面概略図である。
【0073】
【
図3】
図3は、本発明の一側面による、スタックされた交互する紙および布補強プリプレグ複合レイアップの断面概略図である。
【0074】
【
図4】
図4は、本発明の一側面による、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップの断面概略図である。
【0075】
【
図5】
図5は、本発明の一側面による、紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップの断面概略図である。
【0076】
【
図6】
図6は、本発明の一側面による、多プライ紙プリプレグ複合レイアップの断面概略図である。
【0077】
【
図7】
図7は、本発明の一側面による、紙および多プライ布補強プリプレグ複合物の断面走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0078】
【
図8】
図8は、本発明の一側面による、紙および多プライ布補強プリプレグ複合物の断面SEM画像である。
【0079】
【
図9】
図9は、本発明の一側面による、紙および多プライ布補強プリプレグ複合物の断面SEM画像である。
【0080】
【
図10A】
図10Aは、本発明の一側面による、紙および多プライ布補強プリプレグ複合物のツール側写真画像である。
【0081】
【
図10B】
図10Bは、本発明の一側面による、紙および多プライ布補強プリプレグ複合物のバッグ側写真画像である。
【0082】
【
図11】
図11は、例1のサンプルおよび対応する対照サンプルに関する線粗度の棒グラフである。
【0083】
【
図12】
図12は、例1のサンプルおよび対応する対照サンプルに関する面粗度の棒グラフである。
【0084】
【
図13】
図13は、例1のサンプルおよび対応する対照サンプルに関する誘電定数値の棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本発明は、表面処理された布補強プリプレグ複合物と、無機紙を用いて無機布を表面処理し、補強プリプレグ複合物を形成する方法とを提供し、方法は、無機布に第1のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された布を形成することと、無機紙に第2のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された紙を形成することと、溶浸された紙を溶浸された布の少なくとも1つの表面に適用することとを含む。いくつかの実施形態は、溶浸された紙を適用することに先立って、溶浸された布を乾燥させ、布補強プリプレグ複合物を形成することを含む。いくつかの実施形態は、溶浸された紙を布補強プリプレグ複合物に適用することに先立って、溶浸された紙を乾燥させることも含む。
【0086】
(I.定義)
【0087】
本明細書に使用される場合、以下の定義が、別様に示されない限り、適用されるものとする。
【0088】
本明細書に使用される場合、用語「布」は、機械的に相互係止された繊維またはフィラメントから成るテキスタイル材料を指し、テキスタイル材料は、溶浸に先立って5mm以上の厚さを有する。テキスタイル材料は、ランダムに統合される(不織布)、または互いに直角に経糸および充填材ストランドによって密接に向けられ得る(織成布)。用語「布」は、通常、ウール、綿、または他の合成繊維を指すが、本明細書に使用される布は、限定ではないが、ガラス(絶縁またはEガラスを含む)、アルミナ(酸化アルミニウム)、ムライト、シリカ(二酸化シリコン)、マイクロガラス、炭素(黒鉛を含む)、活性炭、アラミド、メアシャム(水和ケイ酸マグネシウム)、チタン酸カリウム、ウォラストナイト(ケイ酸カルシウム)、ポリ-p-フェニレン-ベンゾオキサゾール(PBO)、アルミナ-シリカ、ロックウール、ホウ素、石英、玄武岩、セラミック、およびそれらの組み合わせを含む無機材料から作製されることができる。
【0089】
本明細書に使用される場合、用語「紙」は、セラミック繊維等のランダムに向けられた無機繊維から形成される無機材料を指し、無機材料は、溶浸に先立って5mm未満の厚さを有するシートまたはマットを形成するために化学処理を受けている。限定ではないが、ガラス(絶縁またはEガラスを含む)、マイクロガラス、アルミナ、シリカ、炭素(黒鉛を含む)、活性炭、アラミド、メアシャム(水和ケイ酸マグネシウム)、チタン酸カリウム、ウォラストナイト(ケイ酸カルシウム)、ポリ-p-フェニレン-ベンゾオキサゾール(PBO)、アルミナ-シリカ、ロックウール、ホウ素、石英、玄武岩、セラミック、およびそれらの組み合わせを含む多種多様な源が、そのような無機紙のために使用されている。紙は、種々の異なる方法を使用して生成され得るが、典型的に、以下のステップを含む:1)紙に関する所望の材料特性を伴う無機繊維を生成すること、2)無機繊維への充填材または他の添加剤の添加、3)無機紙を回転および乾燥させるために使用される機械上での紙シートの形成、4)紙の所望の厚さを取得するためのカレンダ処理、および、5)最終仕上げのために紙をコーティングすること。
【0090】
紙および布は、同じ繊維から形成されることができるが、紙は、紙が5mmを下回る厚さを有する一方、布が5mm以上の厚さを有する点において、不織布から区別され、これらの材料のそれぞれの厚さは、周囲条件下で溶浸に先立って評価される。
【0091】
本明細書に使用される場合、用語「スラリー」は、液体媒体中に懸濁された固体粒子を備えている流体混合物(例えば、機械的混合物)を意味する。
【0092】
本明細書に使用される場合、用語「溶浸する」は、浸透すること、吸着すること、または湿潤することを意味する。いくつかの事例では、溶浸する行為は、液体またはスラリーの一部が無機紙または無機布の少なくとも一部の中に浸透、吸着、湿潤するように、または別様に引き込まれるように、無機紙または無機布(例えば、無機織成布または無機不織布)を液体またはスラリーと接触させる(例えば、滴下鋳造、塗装、浸漬、噴霧等)によって遂行されることができる。
【0093】
本明細書に使用される場合、用語「プリプレグ複合物」は、部分的に乾燥した、または乾燥した溶浸された布(すなわち、溶浸された無機布)を指し、溶浸された布は、酸化物成分(例えば、アルミニウム、ホウ素、ジルコニウム、またはシリコンの酸化物、またはムライト)と液体とを備えているスラリー混合物を無機布に溶浸することによって形成される。プリプレグ複合物は、熱(例えば、焼結)および他の処理条件を受け、硬化させられた(または実質的に堅い)ワークピースを備えているセラミックマトリクス複合材料を形成することができる。
【0094】
本明細書に使用される場合、用語「ムライト」は、SiO2と、Al2O3とを備えている化合物であり、それらは、3Al2O3 2SiO2または2Al2O3 SiOの化学量論的な量において存在する。ムライトは、ジルコニウムコーティングされたムライトも含む。
【0095】
本明細書に使用される場合、用語「レイアップ」は、プリプレグ複合物の1つ以上の層(例えば、1層、2層、3層、4層、5層、6層、7層、8層、9層、10層、1~3層、2~4層、1~5層、または2~5層)から形成された層状にされた材料またはスタックされた材料を指し、層状にされた材料またはスタックされた材料は、硬化させられた(例えば、実質的に堅い)ワークピースを形成するための最終熱処理(例えば、焼結)を受けていない。例えば、レイアップのプリプレグ複合物の各層は、乾燥(または部分的に乾燥)されているが、硬化させられたワークピースを形成するために熱的に処理されていない。レイアップの他の例は、プリプレグ複合物の1つ以上の層および溶浸された紙の1つ以上の層から形成された材料を含み、溶浸された紙は、レイアップの外面を構成する。他の例では、溶浸された紙は、プリプレグ複合物の層の間に差し挟まれ、交互する一続きの層を有するレイアップを形成する。
【0096】
本明細書に使用される場合、用語「プロトン酸」は、水性溶液中に水素カチオンを形成する酸を指す。プロトン酸の例は、ハロゲン化水素(例えば、HCl、HBr、HF、およびHI)、酢酸、硫酸、リン酸等を含む。
【0097】
本明細書に使用される場合、語句「安定した、または化学的に実現可能な」は、本明細書に開示される目的のうちの1つ以上のもののためのそれらの生成、検出、および好ましくは、それらの回収、精製、および使用を可能にするための条件にさらされたとき、実質的に改変されない化合物および材料を指す。いくつかの実施形態では、安定した化合物または化学的に実現可能な化合物は、少なくとも1週間にわたって水分または他の化学的に反応性の条件の存在なしで40℃以下の温度にさらされたとき、実質的に改変されないものである。
【0098】
本明細書に使用される場合、用語「および/または」は、2つ以上のアイテムのリストにおいて使用されるとき、列挙されるアイテムのうちのいずれか1つがそれだけで採用され得ること、または列挙されるアイテムのうちの2つ以上のものの任意の組み合わせが採用され得ることを意味する。例えば、ある組成物が、成分A、B、および/またはCを含むものとして説明される場合、組成物は、Aを単独で、Bを単独で、Cを単独で、AおよびBを組み合わせて、AおよびCを組み合わせて、BおよびCを組み合わせて、またはA、B、およびCを組み合わせて含むことができる。
【0099】
記述語「第1」、「第2」、「第3」等の使用が、別個の要素(例えば、溶媒、反応ステップ、プロセス、試薬等)を区別するために使用され、説明される要素の相対的順序または相対的時系列を指すことも、そうでないこともあることに留意されたい。
【0100】
(II.プリプレグ材料)
【0101】
本発明の一側面は、プリプレグ複合物またはプリプレグ複合物のスタックの少なくとも1つの外面に結合される溶浸された無機紙層を備えているレイアップを提供する。プリプレグ複合物は、第1のスラリー混合物を溶浸された無機布(織成または不織)から形成され、第1のスラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%の酸化物成分(例えば、コロイダル酸化物成分)と、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約50重量%~約99重量%の酸化アルミニウム粉末とを備え、無機紙は、第2のスラリー混合物を溶浸され、第2のスラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%の酸化物成分(例えば、コロイダル酸化物成分)と、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約50重量%~約99重量%の酸化アルミニウム粉末とを備えている。
【0102】
(A.無機布基材)
【0103】
本発明の方法、表面処理されたプリプレグ複合物、および表面処理されたCMC材料において有用な布基材は、無機布(例えば、不織無機布、織成無機布、またはそれらの任意の組み合わせ)を含む。これらの種々の無機布は、製作された複合基材(例えば、プリプレグ複合物およびCMC材料)において構造的補強を提供する無機繊維を含み、これらの無機繊維は、チョップド繊維、連続繊維、フィラメント、トウ、バンドル、シート、プライ、またはそれらの任意の組み合わせの形態をとり得る。連続繊維はさらに、一方向性(一方向に整列させられる)、多方向性(異なる方向に整列させられる)、不織、織成、編成、縫合、巻取、穿刺、および編組構成、およびスワールマット、フェルトマット、およびチョップドマット構造のうちのいずれかを採用し得る。織成繊維構造は、複数の織成トウを備え、各トウは、複数のフィラメント、例えば、数十、数百、または数千本のフィラメントから成り得る。
【0104】
いくつかの側面では、無機布は、ガラス(絶縁またはEガラスを含む)、マイクロガラス、炭素(黒鉛を含む)、活性炭、アラミド、メアシャム(水和ケイ酸マグネシウム)、チタン酸カリウム、ウォラストナイト(ケイ酸カルシウム)、ポリ-p-フェニレン-ベンゾオキサゾール(PBO)、アルミナ、シリカ、アルミナ-シリカ、ロックウール、ホウ素、石英、玄武岩、セラミック、ムライト、およびそれらの任意の組み合わせから成る1つ以上の無機繊維を備えている。
【0105】
いくつかの側面では、布は、マット、ブランケット、ボード、またはフェルトの形態における不織セラミック布を含み得、酸化アルミニウム、酸化シリコン、ムライト、および/または他の無機繊維の繊維を備えていることができる。そのような実施形態では、布の無機繊維は、約40重量%~約100重量%の酸化アルミニウム繊維、約0重量%~約60重量%の酸化シリコン繊維、約1重量%~約100重量%のムライト、および/または約0%~約50%の他の無機繊維に及び得る。これらの重量パーセントは、布の重量によって与えられる。
【0106】
本発明において使用される無機布は、5mm以上の(例えば、5mm~約100mm、5mm~約75mm、5mm~約50mm、約10mm~約50mm、約10mm~約30mm、約10mm~約25mm、または約6mm~約25mm)の厚さを有する。無機布の厚さは、溶浸に先立って、周囲条件下で決定される。
【0107】
いくつかの側面では、無機布は、無機結合剤を含み得る。他の側面では、無機布は、いかなる無機または有機結合剤も実質的にない。
【0108】
いくつかの側面では、無機布は、布に増加された可撓性を授けるために穿刺され得る。
【0109】
いくつかの側面では、無機布は、アルミナ(例えば、多結晶アルミナ)繊維、シリカ繊維、ムライト繊維、または他のセラミック繊維を備えているか、それらから形成されるか、または本質的にそれらから成る。例えば、無機布は、アルミナ(例えば、多結晶アルミナ)繊維、シリカ繊維、ムライト繊維、またはそれらの任意の組み合わせを備えているか、それらから形成されるか、または本質的にそれらから成る。
【0110】
無機布の商業的に入手可能な例は、限定ではないが、DENKA(登録商標) ALCEN(登録商標)ブランケット、DENKA(登録商標) ALCEN(登録商標)フェルト、MAFTEC(登録商標) MLSブランケット、CEREMATERIALS(登録商標)セラミックブランケット、UNIFRAX(登録商標) FIBERFRAX(登録商標)セラミックマット、およびUNIFRAX(登録商標) FIBERFRAX(登録商標)セラミックブランケットを含む。
【0111】
いくつかの側面では、無機布は、DENKA(登録商標) ALCEN(登録商標)ブランケット、DENKA(登録商標) ALCEN(登録商標)フェルト、MAFTEC(登録商標) MLSブランケット、CEREMATERIALS(登録商標)セラミックブランケット、UNIFRAX(登録商標) FIBERFRAX(登録商標)セラミックマット、UNIFRAX(登録商標) FIBERFRAX(登録商標)セラミックブランケット、または、それらの任意の組み合わせを備えている。
【0112】
いくつかの側面では、無機布は、熱的に安定し、約700℃~約1,600℃、約800℃~約1,400℃、または約700℃~約1,200℃の標準的動作温度においてその機械的特性を維持することができる。いくつかの側面では、織成および/または不織無機布は、その標準的動作温度において少なくとも50psi、少なくとも75psi、少なくとも100psi、少なくとも125psi、少なくとも150psi、または少なくとも200psiの引張強度を有する。
【0113】
いくつかの側面では、無機布は、約25%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満の強熱減量を有する。例えば、無機布は、約0.001%~約10%(例えば、約0.01%~約5%)の強熱減量を有する。いくつかの側面では、無機布は、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約5%未満、または約4%未満の処理温度における熱収縮率を有する。例えば、無機布は、約0.001%~約10%(例えば、約0.01%~約5%)の処理温度における熱収縮率を有する。
【0114】
(B.無機紙基材)
【0115】
本明細書に開示されるプリプレグ複合物、CMC材料、および方法の表面処理のために有用な無機紙基材は、表面処理されたプリプレグ複合物およびそのレイアップにおける構造的補強を提供する不織ランダム配向無機繊維を含み、これらの無機繊維は、チョップド繊維、連続繊維、フィラメント、トウ、バンドル、シート、プライ、またはそれらの任意の組み合わせの形態をとり得る。
【0116】
いくつかの側面では、無機紙の繊維は、限定ではないが、ガラス(絶縁またはEガラスを含む)、マイクロガラス、炭素(黒鉛を含む)、活性炭、アルミナ、シリカ、メアシャム(水和ケイ酸マグネシウム)、チタン酸カリウム、ウォラストナイト(ケイ酸カルシウム)、ポリ-p-フェニレン-ベンゾオキサゾール(PBO)、アルミナ-シリカ、ムライト、ロックウール、ホウ素、石英、玄武岩、セラミック、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0117】
いくつかの側面では、無機紙は、アルミナ(例えば、多結晶アルミナ)繊維、シリカ繊維、ムライト繊維、または他のセラミック繊維を備えているか、それらから形成されるか、または本質的にそれらから成る。例えば、無機紙は、アルミナ(例えば、多結晶アルミナ)繊維、シリカ繊維、ムライト繊維、またはそれらの任意の組み合わせを備えているか、それらから形成されるか、または本質的にそれらから成る。
【0118】
いくつかの側面では、無機紙は、酸化アルミニウム、二酸化シリコン、および/または他の無機繊維を備えている繊維を備えていることができる。そのような実施形態では、紙の無機繊維は、約40%~約100%の酸化アルミニウム繊維、約0%~約60%の酸化シリコン繊維、および/または約0%~約50%の他の無機繊維に及び得る。
【0119】
本発明において有用な無機紙は、5mm未満の厚さを有する。例えば、無機紙は、0.05mm~約4mm、約0.10mm~約3.5mm、約0.5mm~約3.0mm、約0.1mm~約1mm、または約0.75mm~約2.75mmの厚さを有する。無機紙の厚さは、溶浸に先立って、周囲条件下で決定される。
【0120】
いくつかの側面では、無機紙は、無機結合剤、無機充填材、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの側面では、無機充填材は、例えば、限定ではないが、沈降炭酸カルシウム(PCC)、重質炭酸カルシウム(GCC)、炭酸カルシウム、カオリン粘土、タルク、二酸化チタン(TiO2)、三水和アルミナ、アルミナ、沈殿シリカ、ケイ酸塩(PSS)、およびそれらの組み合わせを含み得る。
【0121】
いくつかの側面では、無機紙は、例えば、限定ではないが、DENKA(登録商標) ALCEN(登録商標)紙、SAFFIL(登録商標)紙、3M(登録商標) CEQUIN(登録商標)紙、CEREMATERIALS(登録商標)セラミック紙、UNIFRAX(登録商標) FIBERFRAX(登録商標)紙、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0122】
いくつかの側面では、無機紙は、熱的に安定し、約700℃~約1,600℃、約800℃~約1,400℃、または約700℃~約1,200℃の標準的動作温度においてその機械的特性を維持することができる。いくつかの側面では、無機紙は、その標準的動作温度において少なくとも50psi、少なくとも75psi、少なくとも100psi、少なくとも125psi、少なくとも150psi、または少なくとも200psiの引張強度を有する。いくつかの側面では、無機紙は、約25%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満の強熱減量を有する。例えば、無機紙は、約0.01%~約5%の強熱減量を有する。いくつかの側面では、無機紙は、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約5%未満、または約4%未満の処理温度における熱収縮率を有する。例えば、無機紙は、約0.01%~約5%の処理温度における熱収縮率を有する。
【0123】
(C.スラリー混合物)
【0124】
本発明の方法および材料において有用なスラリーは、無機紙、無機布、またはそれらの任意の組み合わせに溶浸および/または浸透することができる。いくつかの側面では、スラリーは、無機布に溶浸するために使用される第1のスラリーと、無機紙に溶浸するために使用される第2のスラリーとを含み得る。使用されるスラリー混合物の数およびそれらのそれぞれの標識は、限定であることを意味せず、単に、1つ以上のスラリー混合物が、無機紙、無機布、またはそれらの任意の組み合わせに溶浸すること、それをコーティングすること、それに浸透すること、それに染み込むこと、それを被覆すること、それを充填すること、および/またはそれに進入することを行うために使用され得ることを指定する。いくつかの側面では、単一のスラリー混合物または組成物が、無機布および無機紙の両方に溶浸するために使用され得る。他の側面では、異なるスラリー混合物が、無機布および無機紙の各々のために使用され得る。なおも他の側面では、異なるスラリー混合物の組み合わせが、最終CMC材料の所望の用途に応じて、無機布および無機紙の各々に溶浸するために使用され得る。
【0125】
いくつかの側面では、スラリー混合物は、酸化物成分を備えている。酸化物成分は、アルミニウム、シリコン、ホウ素、ナトリウム、カルシウム等の酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを備えていることができる。いくつかの例では、スラリー混合物の酸化物成分は、(周囲条件下で)液体中に懸濁された粉末または粒子(例えば、中実球体、中空球体、繊維、ウィスカ、またはそれらの任意の組み合わせ)として提供される酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ホウ素、ムライト等の組み合わせを備えている。スラリー混合物において使用される酸化物成分粒子は、形状が球状であり得、光散乱または光学顕微鏡によって測定されるような約0.1ナノメートル~約10ミクロン、約1ナノメートル~約10ミクロン、または約10ナノメートル~約10ミクロンに及ぶ平均粒子サイズを有し得る。いくつかの側面では、酸化物成分は、酸化アルミニウム、酸化シリコン、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、ムライト、またはそれらの任意の組み合わせを備えているか、または本質的にそれから成る。なおも他の側面では、酸化物成分は、スラリー混合物中に提供される粒子(例えば、中実球体、中空球体、繊維、ウィスカ、またはそれらの任意の組み合わせ)から成る。いくつかの側面では、スラリー中の酸化物成分の重量%濃度は、スラリー混合物の重量比で約40重量%~約85重量%、約45重量%~約75重量%、約45重量%~約65重量%、または約50重量%~約85重量%である。
【0126】
いくつかの側面では、スラリーの液体は、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、C5-C8直鎖または分岐アルキルアルコール、ポリオール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている。いくつかの側面では、スラリー中の液体の重量%濃度は、約5重量%~約60重量%、約15重量%~約60重量%、約25重量%~約50重量%、約5重量%~約20重量%、約35重量%~約45重量%、約20重量%~約40重量%、約30重量%~約50重量%、または約40重量%~約60重量%である。
【0127】
いくつかの側面では、スラリーは、安定化剤、例えば、有機および/または無機ポリマー材料および/またはポリマーエマルションを備えている。いくつかの側面では、液体媒体可溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールである。いくつかの側面では、スラリー混合物は、無機ポリマー材料、有機ポリマー材料、1つ以上の界面活性剤、1つ以上の粘度調整剤、またはそれらの任意の組み合わせを備えている1つ以上の添加剤をさらに備えている。
【0128】
いくつかの側面では、スラリーは、プロトン酸を備えている。例えば、プロトン酸が、スラリーに約3~約5のpHを与えるために十分な量においてスラリー混合物に添加される。いくつかの例では、プロトン酸は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、フッ化水素、臭化水素、酢酸、硝酸、ギ酸、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの側面では、スラリー混合物は、高剪断混合、または、例えば、ボールミル、アトライタ、またはプラネタリを含む、ミリングプロセスを適用することによって、実質的に均質に形成され得る。
【0129】
いくつかの側面では、スラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダルシリカと、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約40~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、約0.1重量%~約2重量%のプロトン酸と、約10重量%~約60重量%の水とを備えている水性スラリーである。
【0130】
いくつかの実施形態では、スラリー混合物は、約15重量%~約30重量%のコロイダルシリカと、約0.1重量%~約4重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、約0.1重量%~約1重量%のプロトン酸と、約20重量%~約40重量%の水とを備えている水性スラリーである。
【0131】
他の側面では、スラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダルアルミナと、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約40重量%~約80重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、約0.1重量%~約2重量%のプロトン酸と、約10重量%~約60重量%の水とを備えている水性スラリーである。
【0132】
いくつかの実施形態では、スラリー混合物は、約15重量%~約30重量%のコロイダルアルミナと、約0.1重量%~約4重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、約0.1重量%~約1重量%のプロトン酸と、約20重量%~約40重量%の水とを備えている水性スラリーである。
【0133】
なおも他の側面では、スラリー混合物は、アルコール系スラリーであり、アルコール系スラリーは、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを含む約0.1重量%~約50重量%の1つ以上の有機結合剤と、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、約5重量%~約60重量%のアルコールと、随意に、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、随意に、約0.1重量%~約2重量%のプロトン酸とを備え、アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、C5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている。
【0134】
いくつかの実施形態では、スラリー混合物は、アルコール系スラリーであり、アルコール系スラリーは、約5重量%~約25重量%の1つ以上の有機結合剤であって、有機結合剤は、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリ乳酸、またはそれらの任意の組み合わせを備えている、有機結合剤と、約45重量%~約65重量%の酸化アルミニウム粉末と、約30重量%~約50重量%のアルコールとを備え、アルコールは、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール、任意のC5-C8アルコール、またはそれらの任意の組み合わせを備えている。
【0135】
なおも他の側面では、スラリー混合物は、約0.1重量%~約40重量%のコロイダル酸化物成分(例えば、コロイドシリカまたはコロイダルアルミナ)と、約5重量%~約40重量%の液体媒体と、約40重量%~約85重量%の酸化アルミニウム粉末と、随意に、約0.1重量%~約10重量%の液体媒体可溶性ポリマーと、随意に、約3~約5のpHを提供するためのプロトン酸(例えば、約0.1重量%~約2重量%または約0.1重量%~約1重量%のプロトン酸)とを備えている。
【0136】
いくつかの実施形態では、スラリー混合物は、紙または布に完全に溶浸し、紙または布全体を通して実質的に均質または均質に分散する。乾燥すると、スラリー中の液体媒体は、紙または布から除去され、紙または布全体を通して実質的に均質または均質に分散された(実質的に液体媒体がない(例えば、実質的に水またはアルコールがない))乾燥したスラリーの溶浸材系を残す。
【0137】
(III.プリプレグ複合物を形成する方法)
【0138】
本明細書に説明される方法は、紙および布補強セラミックマトリクス複合物品に加えて、溶浸された紙を用いて表面処理されたプリプレグ複合物、プリプレグ複合物の表面処理されたレイアップを形成する種々の方法を説明する。それぞれの方法は、無機布(本明細書に説明される任意の無機布等)に第1のスラリー混合物(本明細書に説明される任意のスラリー混合物等)を溶浸させ、溶浸された布を形成することを含むことができる。方法は、加えて、無機紙(本明細書に説明される任意の無機紙等)に第2のスラリー混合物(本明細書に説明される任意のスラリー混合物等)を溶浸させ、溶浸された紙を形成することを含む。方法は、加えて、最終プリプレグ複合物またはセラミックマトリクス複合物品を加工するために選定される方法論に応じて、溶浸された布および/または溶浸された紙を乾燥させ、表面処理されたプリプレグ複合物を形成することを含み得る。
【0139】
図1を参照すると、表面処理された布補強セラミックマトリクス複合物品を形成するために使用される、例示的方法100を図示する、フロー図が、提供される。方法100は、無機布(織成または不織)に第1のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された布を形成すること104から開始され得る。第1のスラリー混合物は、本明細書に説明されるスラリー混合物のうちのいずれか等、酸化物成分と、液体媒体と、随意に、液体媒体可溶性ポリマーと、随意に、プロトン酸とを備え得る。第1のスラリー混合物は、高剪断ミキサ、ボールミル、アトライタ、プラネタリ、またはそれらの任意の組み合わせを使用して混合または形成され得る。いくつかの側面では、ステップ104は、溶浸された布を乾燥させ、プリプレグ複合物を形成することを含む。
【0140】
次は、無機紙に第2のスラリー混合物を溶浸させ、溶浸された紙を形成すること108である。第2のスラリー混合物は、本明細書に説明される任意のスラリー混合物等、酸化物成分と、液体媒体と、随意に、液体媒体可溶性ポリマーと、随意に、プロトン酸とを備え得る。第2のスラリー混合物は、高剪断ミキサ、ボールミル、アトライタ、プラネタリ、またはそれらの任意の組み合わせを使用して混合または形成され得る。いくつかの側面では、第2のスラリー混合物は、第1のスラリー混合物と同じ組成物を有し得る。他の側面では、異なるスラリー混合物の組み合わせが、無機布および/または無機紙のいずれかに対して使用され得る。同じまたは異なるスラリー混合物の後続適用は、溶浸された布または溶浸された紙が、依然として湿潤しているときに適用され得るか、または、そうでければ、代替として、乾燥した溶浸された紙または布補強プリプレグ複合物に適用され得る。いくつかの側面では、ステップ108は、溶浸された紙を乾燥させ、乾燥または実質的に乾燥した溶浸された紙を形成することを含み得る。
【0141】
図1のいくつかの側面では、次は、布補強プリプレグ複合物の上面および/または底面上に溶浸された紙の1つ以上の層をスタックまたは適用し、紙/布複合物(図示せず)または交互する紙/布/紙複合物または交互する紙/布/紙複合レイアップを形成すること112である。いくつかの側面では、紙/布複合物または交互する紙/布/紙複合物は、各層が依然としてそれぞれの第1および第2のスラリー混合物の適用から湿潤している溶浸された布の表面上に溶浸された紙を層状にし、続けて、紙/布複合物または紙/布/紙スタックを乾燥させ、乾燥させられた紙/布複合物または交互する紙/布/紙複合物を形成することによって、スタックが形成されるときに製作される。代替として、他の側面では、紙/布複合物または交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップは、スタックが、布補強プリプレグ複合物および溶浸された紙を層状にすることによって形成されるときに製作され、両方のタイプの層は、ステップ104および108に参照される乾燥ステップからすでに乾燥させられている。いくつかの側面では、布補強プリプレグ複合物および溶浸された紙層は、粘着性があり得、紙/布複合物または交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップを形成するために層状にされることができる。ここで
図2を参照すると、交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップ10の断面概略図が、提供される。
図2は、交互する紙/布/紙複合レイアップ10を形成するための布補強プリプレグ複合物18の上面および底面上の溶浸された紙14の交互スタックを図示する。
【0142】
図1の他の側面では、ステップ116は、布プリプレグ複合物を紙プリプレグ複合物と層状にすること116であり、布補強プリプレグ複合物の少なくとも1つの層は、紙プリプレグ複合物の少なくとも1つの層と交互にスタックされ、スタックされた交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップを形成する。いくつかの側面では、ステップ116は、代替として、スタックが、スタックされた様式で溶浸された布の各側上に溶浸された紙を層状にすること(各層は、依然としてそれぞれの第1および第2のスラリー混合物の適用から湿潤し得る)によって形成されるときに製作され得るスタックされた交互する紙/布/紙プリプレグ複合物を含み得る。溶浸された紙/布/紙スタックの後続乾燥は、交互する紙/布/紙プリプレグ複合物を形成することができる。ここで
図3を参照すると、スタックされた交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップ20の断面概略図が、布補強プリプレグ複合レイアップ18の上面および底面上にスタックされる紙プリプレグ複合物14の1つの層を有し、スタックされた交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップ20を形成するように図示される。
【0143】
図1のなおも他の側面では、次は、布補強プリプレグ複合物の2つ以上の層をスタックし、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップを形成すること120である。他の側面では、ステップ120は、代替として、溶浸された布の2つ以上の層をスタックし、続けて乾燥させ、多プライ布補強プリプレグ複合物を形成することを含み得る。ここで
図4を参照すると、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ30の断面概略図が、提供される。図示されるように、スタックは、布補強プリプレグ複合物18の2つ以上の層を含み、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ30を形成する。いくつかの側面では、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ30は、布補強プリプレグ複合物18の4つの層を含むことができる。他の側面では、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ30は、布補強プリプレグ複合物18の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または8つを上回る層を含み得る。
【0144】
図1の追加の側面では、次は、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップの上面および底面上に紙プリプレグ複合物の1つ以上の層をスタックし、紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップを形成すること124である。他の側面では、ステップ124は、多プライ溶浸布または多プライ布補強プリプレグ複合レイアップの上面および底面上に溶浸された紙の1つ以上の層をスタックし、紙および多プライ布補強プリプレグ複合物を形成することを含み得る。ここで
図5を参照すると、紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ40の断面概略図が、提供される。図示されるように、紙プリプレグ複合物14の1つ以上の層が、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ30の上面および底面上にスタックされ、紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ40を形成する。
【0145】
図1のなおも他の側面では、次は、紙プリプレグ複合物の2つ以上の層をスタックし、多プライ紙プリプレグ複合レイアップを形成すること128である。他の側面では、ステップ128は、代替として、溶浸された紙の2つ以上の層をスタックし、続けて乾燥させ、多プライ紙プリプレグ複合物を形成することを含み得る。ここで
図6を参照すると、多プライ紙プリプレグ複合レイアップ50の断面概略図が、提供される。図示されるように、紙プリプレグ複合物18の2つ以上の層が、スタックされ、多プライ紙プリプレグ複合レイアップ50を形成する。いくつかの側面では、多プライ紙プリプレグ複合レイアップ50は、紙プリプレグ複合物14の4つの層を含み得る。他の側面では、多プライ紙プリプレグ複合レイアップ50は、紙プリプレグ複合物18の2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、または8つを上回る層を含み得る。
【0146】
依然として
図1を参照すると、次は、プリプレグ複合レイアップ10、20、30、40、50のうちの少なくとも1つをプリフォームの表面に接触させる、または結合すること132である。いくつかの側面では、プリフォームは、限定ではないが、例えば、ツール、パネル、支持部材、タンク、スクリーン、シールド、ケーブル、ワイヤ、繊維、無機物品、有機物品、層状物品、配合物品、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの側面では、
図2-6に図示されるレイアップは、それぞれのプリプレグ複合物またはプリプレグ複合レイアップとしてプリフォームに適用され得る。他の側面では、
図2-6に提供される層状は、それぞれの溶浸された紙および布層を使用して、プリフォームの表面に直接湿潤したまま適用され得、それは、続けて乾燥させられることができる。いくつかの実施形態では、溶浸された紙、紙プリプレグ複合物、溶浸された布、布補強プリプレグ複合物、交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップ、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ、紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ、スタックされた交互する紙/布/紙プリプレグ複合レイアップ、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つが、マトリクス物品を形成するために、プリフォームの表面に接触または結合され得る。
【0147】
次は、プリプレグをプリフォームにオートクレーブ処理、オーブン硬化、および/またはプレス硬化し、硬化させられたマトリクス物品を形成すること136である。いくつかの側面では、熱および/または圧力の任意の組み合わせが、プリプレグを硬化させ、硬化させられたマトリクス物品を形成するために使用され得、このステップは、概して、「硬化ステップ」と称され得る。この硬化ステップ、例えば、オートクレーブ処理、オーブン硬化、および/またはプレス硬化ステップは、マトリクス物品に対する布補強プリプレグ複合物、紙プリプレグ複合物、紙および布補強スタックプリプレグ複合レイアップ、多プライ布補強プリプレグ複合レイアップ、多プライ紙および/または布補強プリプレグ複合レイアップに熱および/または圧力を加え、硬化させられたマトリクス物品を形成することを含む。いくつかの側面では、オートクレーブ処理、オーブン硬化、および/またはプレス硬化ステップは、約10psi~約200psi、約70psi~約200psi、または約10psi~約20psiの硬化圧力において実施される。
【0148】
次は、硬化させられたマトリクス物品を焼結させ、布補強セラミックマトリクス複合物品を形成すること140である。いくつかの側面では、焼結させることは、約700℃~約1,400℃、約750℃~約1,400℃、約850℃~約1,300℃、または約900℃~約1,300℃の焼結温度において実施される。他の側面では、焼結温度は、約1℃/分~約50℃/分、約1℃/分~約25℃/分、または約1℃/分~約10℃/分の加熱率で温度まで漸増させられる。
【0149】
任意の組み合わせで使用され得る前で議論される布補強セラミックマトリクス複合物品を形成するために使用されるプリプレグ複合物を概説および教示する説明が、布補強セラミックマトリクス複合物品またはプリプレグ複合物を形成する方法100に等しくうまく適用されることを理解されたい。
【0150】
本明細書に説明される補強プリプレグ複合物および対応する構造を作製する方法は、現在生産されている技法および構造に優る利点を提供することができる。例えば、無機材料の表面または外側部分のみをコーティングするために使用される一般的に実装される表面仕上げ技法ではなく、本明細書に開示される技法は、無機不織布層、無機織成布層、および/または無機紙層に完全に溶浸し、均質なセラミックプリプレグ複合物を提供する。布および紙層全体を通したスラリー混合物の均一な分布は、最終的に製造されるセラミック装置においてより均等な材料特性を提供する。スラリー混合物の完全かつ均一な分布は、温度および圧力を含む溶浸条件に加えて、適切な液体媒体を選択することを含むスラリーの組成の両方によって促進される。
【0151】
本明細書に開示される補強プリプレグ複合物は、加えて、それぞれの構成要素にわたる改良された空気流につながり得るより平滑な表面を提供する。これらのセラミック表面は、微小亀裂を最小化することによって表面熱循環を改良し、したがって、複合部品の表面への損傷を防止することができる。これらの補強プリプレグ複合物を形成するために使用される技法は、磨き/充填/磨きサイクルのために必要とされる時間を最小化することによって部品を生産するために要求される時間を短縮することによって生産時間を減少させることによって、製作における効率を改良することができる。
【0152】
本明細書に製作および開示される布補強プリプレグ複合物は、熱安定性および機械的完全性の両方がそれぞれの装置の最終的機能性に重要である複雑なツールおよび/または航空構成要素に対して使用されることができる。本明細書に開示される布補強プリプレグ複合物は、多数の材料特性を実証し、それらは、布補強プリプレグ複合物を高温において使用され得る強靭な材料を要求する用途に関する優れた候補にする。例えば、本明細書のCMCを作製するために使用される布補強プリプレグ複合物およびそれぞれのレイアップは、最大1,600℃の動作温度、少なくとも50psiの引張強度、25mm未満の厚さ、10%未満の強熱減量、および6%未満の処理温度における熱収縮率を有する。
【0153】
(IV.実施例)
【0154】
以下の例は、本開示の方法および組成物の例証であり、限定であることを意味していない。当分野において通常遭遇し、当業者に明らかである種々の条件およびパラメータの他の好適な修正および適合は、本開示の精神および範囲内である。
【0155】
(実施例1)
【0156】
3つの無機布、すなわち、DF11-8HS1500D、DF11-5HS3000D、およびDF11-TW4500D(3MTM NEXTELTM)が、水性ケイ酸アルミニウムスラリーで溶浸され、乾燥させられ、プリプレグシートを形成した。DF11-8HS1500D布に関して、プリプレグは、6インチ×6インチの部分に切断され、[0°]12プライレイアップが、発生された。2つの6インチ×6インチのALCEN紙スウォッチ(0.3mm厚さ)が、ケイ酸アルミナスラリーを用いて手動でプリプレグされ、12プライレイアップの上面および底面上に設置され、表面処理(または表面フィルム)を形成した。レイアップは、袋詰めされ、350°Fおよび100psiにおいてオートクレーブ硬化させられ、2,000°Fにおいて焼結された。0.5インチ×0.2インチの試料が、積層体からダイヤモンド切断され、サイズに合わせて研磨された。この試料は、EMS150Tスパッタコータを用いて、8nmのイリジウムを用いてコーティングされた。下記の表1は、実施例1の紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップに関して取得された材料特性を提供する。
図7-9は、FEI Magellan 400 SEMを使用した積層体-表面仕上げフィルム界面の断面SEM画像である。
図10Aおよび10Bは、それぞれ、実施例1の12プライプリプレグレイアップのツール側およびバッグ側写真画像である。同じ手順が、DF11-5HS3000DおよびDF11-TW4500D布に関して使用された。
【0157】
【0158】
実施例1の3つの異なるNEXTELTM布を使用した紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップが、AX-7810 CMCに関する表面処理または表面フィルムとして使用されたときの表面および面粗度に対する効果に関して試験された。試験された実施例1の紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップは、紙表面フィルム(または表面処理)層を含んでいた。紙表面フィルム層(または表面処理)を伴わない対応するサンプルが、比較(「対照」)のために試験された。表面分析が、KRUSS表面粗度分析器(SRA)を用いて実施された。KRUSS SRAパラメータは、itom 3.1.0ソフトウェア、光強度17.6~19%、倍率10倍、測定面積8.5×8mm、測定高さ350ミクロン、粗度カットオフなし、うねりカットオフ0.8mmであった。表面粗度は、共焦点顕微鏡技法を使用して決定された。線および面粗度が、測定された。
【0159】
CMC線粗度値は、表面2に示される。Ra粗度値は、
図11に提供されるグラフにプロットされる。実施例1の紙表面フィルムを伴う複合レイアップの使用は、線粗度における有意な改良、すなわち、表面仕上げフィルムを伴う8HS1500Dおよび5HS3000D積層体に関して線粗度における約58%の低減、表面仕上げフィルムを伴うTW4500D積層体に関して線粗度における約41%の低減をもたらし、表面仕上げフィルム粗度値は、全ての布の織りを横断して一貫していた(約2.7μm)。
【0160】
【0161】
CMC面粗度値は、表3に示される。Sa粗度値は、
図12に提供される棒グラフにプロットされる。実施例1の紙表面フィルムを伴う複合レイアップの使用は、面粗度における有意な改良、すなわち、8HS1500D積層体に関して面粗度における約52%の低減、5HS3000D積層体に関して面粗度における約44%の低減、TW4500D積層体に関して面粗度における約28%の減少をもたらした。面粗度は、デニールの増加に伴って標準的積層体において減少する。
表面仕上げフィルム粗度値は、全ての布の織りにわたって幾分一貫していた(約3.3μm)。
【0162】
【0163】
実施例1の3つの異なるNEXTELTM布を使用した紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップが、AX-7810 CMCに関する表面フィルムとして使用されたときの誘電特性に対する効果に関して試験された。試験された実施例1の紙および多プライ布補強プリプレグ複合レイアップは、紙表面フィルム層を含んでいた。紙表面フィルム層を伴わない対応するサンプルが、比較(「対照」)のために試験された。誘電試験は、IEC 61189-2-721を使用して、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)に対して実施され、9.5GHzの周波数、<0.1の典型的なDK分解能、およびタンデルタ0.00001において試験された。参照のために、アルミナ、ムライト、およびシリカは、それぞれ、10、7、および4の誘電定数(εr)を有する。
【0164】
誘電特性は、表4に示される。誘電定数(eps’)値は、
図13に提供される棒グラフにプロットされる。実施例1の紙表面フィルムを伴う複合レイアップの使用は、誘電特性における大きな改良、すなわち、誘電定数における約17%の低減、誘電定数における大きな低減をもたらした(クーポン厚さ、標準的プリプレグプライカウント、およびビームに垂直な異方性マトリクスが豊富な表面仕上げフィルムの誘電応答の要因であると考えられる)。
【0165】
【0166】
本発明は、その発明を実施するための形態と併せて説明されたが、前述の説明は、添付される請求項の範囲によって定義される本発明の範囲を例証することを意図しており、限定することを意図していないことを理解されたい。他の側面、利点、および修正も、以下の請求項の範囲内である。