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特許7612604電池のリサイクルにおけるカソード材料の回収方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】電池のリサイクルにおけるカソード材料の回収方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 7/00 20060101AFI20250106BHJP
   C22B 3/06 20060101ALI20250106BHJP
   C22B 3/38 20060101ALI20250106BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20250106BHJP
   C22B 3/22 20060101ALI20250106BHJP
   C22B 15/00 20060101ALI20250106BHJP
   C22B 26/12 20060101ALI20250106BHJP
   C22B 23/00 20060101ALI20250106BHJP
   C22B 47/00 20060101ALI20250106BHJP
   H01M 10/54 20060101ALI20250106BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20250106BHJP
   B09B 3/70 20220101ALI20250106BHJP
【FI】
C22B7/00 C
C22B3/06
C22B3/38
C22B3/44 101A
C22B3/22
C22B15/00
C22B26/12
C22B23/00 102
C22B47/00
H01M10/54
B09B5/00 A ZAB
B09B3/70
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021560619
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020060487
(87)【国際公開番号】W WO2020212363
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】1950468-7
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521444701
【氏名又は名称】ノースボルト・エービー
【氏名又は名称原語表記】Northvolt AB
【住所又は居所原語表記】Alstroemergatan 20,112 47 Stockholm,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】アレムラジャビ、マムード
(72)【発明者】
【氏名】カールソン、イングリッド
(72)【発明者】
【氏名】フェーダール、ラグナー
(72)【発明者】
【氏名】ネーレンハイム、エマ
(72)【発明者】
【氏名】ペトラニコバ、マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】トゥンス、クリスティアン
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108193054(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107196004(CN,A)
【文献】特開平11-006020(JP,A)
【文献】特開平11-097076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00-61/00
H01M 10/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式電池のリサイクルにおいてアルミニウム及び鉄を除去するための方法であって、
a)黒色塊からの浸出液を準備すること、
b)前記工程a)からの浸出液にリン酸(HPO)を添加すること、
c)pHを調節してリン酸鉄(FePO)及びリン酸アルミニウム(AlPO)を形成させること、
d)前記形成されたFePO及びAlPOを沈殿させ除去すること、並びに
e)カソード金属を回収するためのろ液を形成すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記充電式電池が充電式リチウムイオン電池である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記沈殿をpHが異なる2工程で行う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第1の沈殿工程において、pHを1.5~4に調節する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第2の工程において、pHを2.5~6.5に調節する、請求項3又は4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の沈殿工程において、種晶を添加してFePO及びAlPOを沈殿させる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記種晶が、アルミニウム及び鉄のリン酸塩結晶を含み、前記種晶を、0.05~0.3g/Lの量で添加する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の沈殿工程を、20~95℃で実施する、請求項4~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記各沈殿工程の滞留時間が、2~24時間である、請求項4~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記FePO及びAlPOを含む沈殿物を、pH1.5~5.5の水溶液で洗浄する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ろ液が、リチウム、ニッケル、マンガン及びコバルトを含み、かつ、アルミニウム、鉄又は銅の1つ以上が10ppm未満である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記工程a)における黒色塊からの浸出液が銅を実質的に含まない、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記アルミニウム及び鉄の除去に続いて銅を回収する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池のリサイクル、並びに、特にカソード材料、例えばリチウム(Li)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)及びコバルト(Co)の回収における処理工程に関し、ニッケル、マンガン及びコバルトはNMC金属と呼ばれることが多い。
【背景技術】
【0002】
化石燃料から再生可能エネルギーへの転換は、かなり勢いを増している。最も重要な要因の1つは、より良好で安価な充電式電池の開発である。現在、リチウムイオン電池が益々普及している。それは、リチウムイオンが放電中に負極から正極に移動し、充電時に戻る充電式電池の一種である。この普及の結果として、リチウムイオン電池に必要な元素の需要が指数関数的に増加している。こうした元素には、リチウムの他に、NMC金属、特にコバルトも含まれる。コバルトの世界的供給源は枯渇しつつあるように見え、そのため、現在は焦点がコバルトの抽出から回収へと移っている。加えて、コバルトの採掘は、国によっては、深刻な環境的及び社会的悪影響、例えば汚染、児童労働などに関係している。
【0003】
天然資源を保全し、汚染を最小限に抑えるには、経済的で環境に優しいリチウム電池のリサイクルが必要である。加えて、リサイクルは、新しい電池の生産のための持続可能な供給源を提供することにもなる。現在、リチウムイオン電池のリサイクルは、まだ開発の初期段階にある。この段階の大きな障害の1つは、安定供給の欠如である。期限切れの電池の量が増加すれば、費用対効果の高い技術及び世界的に標準化された方法の開発がより容易になる。また、リサイクルコストの高さが利益性の障壁を生み出し、大規模市場の開発の妨げとなっている。考慮すべき別の問題は、さまざまな製造業者製のリチウムイオン電池がエネルギーを貯蔵し放出するためのさまざまな化学的プロセスを使用していることであり、それが標準化されたリサイクル手順の創出を困難にしている。
【0004】
結論として、リチウムイオン電池用の原料に対する需要の増加が見込まれること、コバルトの埋蔵量が危機的であること、及びリチウムの供給と価格が不安定であることから、効率的で費用対効果の高いリサイクル方法の開発が強く望まれている。
【0005】
米国特許出願公開第2011/0059339号(H. Yamasakiら)は、リチウム電池の処理のための方法を開示する。この方法は、酸性溶液、即ちリン酸水溶液、水性炭酸水又は硫化水素水を、正極部材を構成する正極活物質層及び正極集電体の表面に接触させる酸性溶液処理プロセスを含む。次いで、正極活物質層を正極集電体から分離し、正極活物質層に由来する金属成分を含有する被処理材料をシュウ酸水溶液と反応させるシュウ酸処理プロセスに供する。
【0006】
独国特許出願公開第102014014894号(Adensis GmbH)は、リチウムイオン電池のカソードから材料を回収する方法を開示する。この方法は、酸化性又は非酸化性酸を使用して基板材料からカソード材料を酸剥離することを含む。酸化性酸として、好ましくは硝酸、リン酸及び/又は硫酸が使用できる。
【0007】
欧州特許出願公開第2532759号(SARP Industries)は、リチウム電池から材料を分離するための方法を開示し、この方法は、粉砕した材料の一部を溶解させるために粉砕した材料を酸性媒体に浸出させて、金属イオンと不溶性の粉砕した材料の一部を含有する溶液を得ること、及び溶液中に存在する金属イオンを分離することを含む。浸出工程に使用する酸は、鉱酸、例えば硫酸、塩酸、リン酸、硝酸及びそれらの1種以上の混合物から選択される。好ましい酸は硫酸である。
【0008】
欧州特許出願公開第2450991号(Eco Recycling S.R.L.)は、アルカリ、亜鉛炭素電池及び鉛蓄電池を除くあらゆる種類の耐用年数を過ぎた蓄電池及び電池を処理するための方法を開示する。この方法は、物理的操作の第1段階と化学的操作の第2段階とを含み、これらが組み合わされてニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池及び蓄電池、一次リチウム電池に通常含まれる銅及びプラスチック材料の回収を可能とする。この方法は、高純度のリチウム生成物(LiCO)、コバルト(Co/CoSO/CoCO)及びニッケル(Ni/NiCO)の取得を可能にする溶媒を用いた精製操作の使用を特徴とする。
【0009】
国際公開第2018/0209164号(Worcester Polytechnic Institute)は、新しい電池用の正極活物質の生産ためのCo(コバルト)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)及びMn(マンガン)の抽出に関する。LiFePOが廃棄物流として生じ、多くの場合、リサイクルが不可能なために廃棄される。国際公開第2018/0209164号は、溶液に溶解されないグラファイト及び炭素と共に副生成物を形成するFePOとしてのLiFePOの沈殿を教示する。次いで、FePOは、グラファイト及び炭素から分離し、カソード材料としてのLiFePOの合成に使用することができ、一方、グラファイトは、アノード材料として再生できる。
【発明の概要】
【0010】
充電式リチウムイオン電池に使用される金属に対する需要の増加と、環境への関心の高まりを考慮すると、カソード金属を回収するための改善された方法の開発が残されたままである。
【0011】
本発明の第1の側面は、充電式電池、好ましくは充電式リチウムイオン電池のリサイクルにおいてアルミニウム及び鉄を除去するための方法であって、
a)黒色塊からの浸出液を準備する工程、
b)工程a)からの浸出液にリン酸(HPO)を添加する工程、
c)pHを調節してリン酸鉄(FePO)及びリン酸アルミニウム(AlPO)を形成させる工程、
d)形成されたFePO及びAlPOを沈殿させ除去する工程、並びに
e)カソード金属を回収するためのろ液を形成する工程
を含む、方法である。
【0012】
前記側面の一態様によると、沈殿はpHが異なる別々の2工程で行われる。
【0013】
第1の沈殿工程において、pHを、場合によってはアルカリを使用して、1.5~4、例えば1.5~3.5、好ましくは1.5~3に調節する。
【0014】
第2の工程において、pHを2.5~6.5、例えば2.5~6、好ましくは2.5~4に調節する。
【0015】
上記と自由に組み合わせることができる一態様によると、第1の沈殿工程において、種晶を添加してFePO及びAlPOを沈殿させる。
【0016】
好ましくは、種晶は、アルミニウム及び鉄のリン酸塩結晶を含み、前記種晶は、0.05~0.3g/L、例えば0.05~0.2g/L、好ましくは0.05~0.15g/Lの量で添加される。
【0017】
第1及び第2の沈殿工程は、好ましくは20~95℃、例えば55~95℃、例えば55~85℃、好ましくは65~75℃で実施される。
【0018】
好ましくは、各沈殿工程の滞留時間はそれぞれ、2~24時間、例えば12~18時間、例えば2~12時間、好ましくは2~6時間である。
【0019】
上記側面及び態様と自由に組み合わせることができる一態様によると、第1の沈殿工程では第2の沈殿工程よりも多量のFePO及びAlPOを沈殿させる。第1の沈殿物はろ過により除去され、微量のアルミニウム及び鉄を含む浸出液が第2の沈殿工程に導かれ、そこではpHが2.5~6.5、例えば2.5~6、好ましくは2.5~4に調節される。第2の沈殿物が形成され、ろ過により除去される。結果として得られた浸出液は、アルミニウム及び鉄を実質的に含まず、NMC金属とリチウムを多く含む。黒色塊からの浸出液が銅を実質的に含んでいなかった場合、結果として得られた浸出液は、銅も含まない。黒色塊らの浸出液が銅を含んでいた場合、これは、アルミニウム及び鉄の除去後に、例えば沈殿又は溶媒抽出により除去できる。
【0020】
場合によっては、この浸出液はさらなる処理に供されて、リチウムを分離し、NMC金属を水酸化物の形態で沈殿させる。
【0021】
上記側面及び態様と自由に組み合わせることができる一態様によると、FePO及びAlPOを含む沈殿物を、酸性水溶液、好ましくはpH1.5~5.5、好ましくは1.5~2.5の水溶液で洗浄する。第1の沈殿工程だけでなく、第2の沈殿工程で形成される沈殿物も、前記酸性水溶液で洗浄され、酸性ろ液は、黒色塊浸出ユニットに再循環される。
【0022】
黒色塊からの浸出液は、好ましくは銅が実質的に0であるか、ごく少量の銅、好ましくは10ppm未満、好ましくは5ppm未満の銅を含有する。別の例では、前記浸出液は銅を含有してもよく、その場合、銅はアルミニウム及び鉄の除去に続いて除去される。
【0023】
次に、図面を参照し、さまざまな側面を例として記載する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、電池のリサイクルにおいてカソード金属を回収する方法の概略を示すフローチャートである。このフローチャートにおいて、浸出工程(A)の後にろ過工程(B)が続き、そこから浸出残留物が洗浄工程(W)に導かれる。Bからのろ液は、関連する銅回収工程(D)、例えば1種以上の銅専用抽出化合物(の混合物)での銅の溶媒抽出とそれに続く銅電解抽出又は電解採取を伴う銅抽出工程(C)に導かれ、銅金属が得られる。次いで、銅を実質的に含まない浸出液が、アルミニウム及び鉄沈殿ユニット(E)に導かれる。銅、アルミニウム及び鉄の除去後、工程(F)でNMC金属が最小限の量のリチウムと共に回収される。工程(G)において、この最小限の量のリチウムは選択的に溶解され、NMC水酸化物のケーキが得られる。工程Fからのリチウムを多く含む溶液は、リチウム回収ユニット(H)に導かれる。工程W及びGからの洗浄液は、最初の浸出工程Aへと再循環させることができる。
図2図2は、AlとFeのリン酸塩の沈殿操作が1工程で行われる態様の概略を示すフローチャートである。銅が実質的に0であるか、ごく少量の銅を含有する浸出液(X)が、pH調節ユニット100を介して第1の沈殿タンク200に入る。事前に規定された滞留時間の後、タンク200の内容物はフィルター300でろ過され、沈殿物と浸出液(Y)が得られ、浸出液は、銅、アルミニウム及び鉄を実質的に含まず、NMC金属とリチウムを多く含む。沈殿物は、洗浄ユニット310に導かれて酸性洗浄溶液にさらされ、微量の共沈したLiを含むFePO及びAlPOの洗浄済沈殿物(Z)が得られる。
図3図3は、2工程でのAl及びFeのリン酸塩沈殿操作の態様の概略を示すフローチャートである。銅が実質的に0であるか、ごく少量の銅を含有する浸出液(I)が、pH調節ユニット100を介して第1の沈殿タンク200に入る。事前に規定された滞留時間の後、タンク200の内容物はフィルター300でろ過され、沈殿物と浸出液が得られる。沈殿物は、洗浄ユニット310に導かれて酸性洗浄溶液にさらされる一方、浸出液は、pH調節ユニット400を介して第2の沈殿タンク500に導かれる。前の工程と同じにすることも異なるものとすることもできる滞留時間の後、タンク500の内容物はフィルター600でろ過され、銅、アルミニウム及び鉄を実質的に含まず、NMC金属とリチウムを多く含む浸出液IVと、リン酸塩の形態で残存するアルミニウム及び鉄を含む沈殿物が得られ、沈殿物はユニット610で洗浄される。
図4図4は、実施例2に基づくグラフで、さまざまなpH値でリン酸塩としての特定の元素の沈殿収率がどのように変化するかを示す。pHを約1から開始して上昇させると、異なる元素がさまざまなpHで沈殿する。Fe及びAlの沈殿はpH2で始まり、pH3.2では、沈殿はそれぞれ99及び95%を超えた。Pは、Alと同様の傾向を示す。Cu及びZnについては、3を超えるpHで沈殿が始まり、pH約6.4で100%近くの沈殿収率に達する。Co、Ni、Mn及びMgに関しては、pH約6.4に上昇させても沈殿収率は60%を超えない。Liは沈殿しない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を説明する前に、理解すべきことであるが、本発明の範囲は、特許請求の範囲とその均等物によってのみ限定されるため、本明細書で利用する専門用語は、特定の態様だけを説明する目的のために使用されており、限定を意図したものではない。
【0026】
電池は、大まかに使い捨て電池と充電式電池とに分類することができる。使い捨て電池は主にアルカリ型であり、それは、カソードが酸化マンガン、アノードが亜鉛粉末、電解質が水酸化カリウムであることを意味する。現在、多くの使い捨て電池が最終的に埋め立て処分されている。充電式電池は、さまざまな化学的作用に基づくもので、普及が進むリチウムイオン電池によって例示され、リチウムイオン電池では、酸化リチウムコバルトがカソードとして、炭素がアノードとして使用されている。別の例は、ニッケルカドミウム電池、ニッケル亜鉛電池及びニッケル水素電池である。充電式電池は、数百回、場合によっては数千回再充電し、長期間使用できるが、最終的には廃棄する必要がある。廃棄物を最小限に抑え、地球の資源を保全するには、使い捨て電池と充電式電池の両者をリサイクルし、その成分を回収することが必要である。本明細書において、「電池」という用語は、使い捨て電池及び充電式電池の両者を含むことを意図している。電池は、多くの異なる材料、例えばそのハウジングを構成するプラスチック及び金属、カソード及びアノード材料、並びに電解質を含む。電池のリサイクルは、化学組成に応じて廃電池を分別し、次いでそれらを破砕又は細断することから始まる。細断された電池は、コンベアベルトで加振機に運ばれ、そこで、一連のフィルターを通過する。プラスチックと金属の細片は、リサイクルのために分離され、洗浄され、回収される。
【0027】
この細断及び精製プロセスにより、電解質、カソード及びアノード材料、並びに他の成分を含有する「黒色塊」と呼ばれる生成物が生じる。電池の分別が困難で、顧みられないこともあるため、黒色塊の組成はさまざまである。ニッケル、NMC又はコバルトのいずれかを多く含む黒色塊(BM)のさまざまな組成の例を、以下の表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
したがって、本明細書及び特許請求の範囲において、「黒色塊」という用語は、プラスチック、固体金属部品などを除去した後に、リサイクル方法に供給される破砕又は細断された電池の内容物を記述するために使用される。
【0030】
「カソード材料」及び「カソード金属」という用語は、電池のカソードを構成する材料又は金属を記述するために交換可能に使用される。一般的なカソード材料は、酸化リチウムコバルト(コバルト酸リチウムとも称される)、酸化リチウムマンガン(スピネル又はマンガン酸リチウムとしても知られている)、リン酸リチウム鉄の他、リチウムニッケルマンガンコバルト(NMCと略されることが多い)及び酸化リチウムニッケルコバルトアルミニウム(NCA)である。
【0031】
リチウムイオン電池の多くは、アノード材料としてグラファイト粉末を使用する。しかし、「アノード材料」という用語には、天然及び人工のグラファイト、活性炭、カーボンブラック、導電性添加剤、LTO(チタン酸リチウム)、表面官能化シリコン及び高性能粉末グラフェンが含まれる。
【0032】
最後に、留意しなければならないことであるが、本明細書及び特許請求の範囲において、文脈が明確に別の指示をしない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数の対象も含む。
【0033】
本発明の第1の側面は、充電式電池のリサイクルにおいてアルミニウム及び鉄を回収するための方法であって、
a)黒色塊からの浸出液を準備する工程、
b)工程a)からの浸出液にリン酸(HPO)を添加する工程、
c)pHを調節してリン酸鉄(FePO)及びリン酸アルミニウム(AlPO)を形成させる工程、
d)形成されたFePO及びAlPOを沈殿させ除去する工程、並びに
e)カソード金属を回収するためのろ液を形成する工程
を含む、方法に関する。
【0034】
工程a)における浸出液は、好ましくは銅を実質的に含まず、それは、銅が実質的に0であるか、ごく少量の銅、好ましくは10ppm未満、好ましくは5ppm未満の銅を含有することを意味する。別の例では、浸出液は銅を含有してもよく、銅はアルミニウム及び鉄の除去に続いて、例えば沈殿又は溶媒抽出により除去できる。
【0035】
浸出液のpHは、通常1.5未満、例えば1未満、好ましくは0.7未満、例えば約0.5である。
【0036】
鉄及びアルミニウムは、3価の状態のリン酸塩としては溶解度が低く、したがって、第1の浸出液にHPOを添加すると、さらなる回収のために鉄及びアルミニウムが効果的に沈殿する。Al及びFeの水酸化物は、NMC金属とリチウムを吸収する傾向があるため、リン酸塩の形態でのFeとAlの沈殿は、水酸化物の形態での沈殿と比較して有利である。さらに、Al及びFeのリン酸塩は、対応する水酸化物よりもろ過による分離が容易で、洗浄も容易である。
【0037】
前記側面の一態様によると、沈殿はpHが異なる別々の2工程として行われ、これは、アルミニウム及び鉄の除去の効率を上げることができるため、有利である。そのような場合、第1の工程は、単一工程の沈殿と同じ条件で行ってもよい。
【0038】
第1の沈殿工程において、pHを、場合によってはアルカリを使用して、1.5~4、例えば1.5~3.5、好ましくは1.5~3に調節する。第2の工程において、pHは、場合によってはアルカリを使用して、3~6.5、例えば3~6、好ましくは3~5.5に調節される。
【0039】
好ましくは、第1の沈殿工程において、種晶を添加してFePO及びAlPOを沈殿させる。種晶の添加は、結晶化を促進し、FePO及びAlPOの凝集を容易にするため、ろ過による効率的な分離が可能となる。
【0040】
好ましくは、種晶は、アルミニウム及び鉄のリン酸塩結晶を含み、前記種晶は、0.05~0.3g/L、例えば0.05~0.2g/L、好ましくは0.05~0.15g/Lの量で添加される。
【0041】
低pHでの第1の沈殿は、リチウムとNMC金属の共沈を最小限に抑えるという利点がある。第2の沈殿工程が行われると存在する固体が少なくなる。これは、より高いpHでの共沈の傾向を打ち消すため、有利である。
【0042】
第1及び第2の沈殿工程は、通常、20~95℃、例えば55~95℃、例えば55~85℃、好ましくは65~75℃で実施される。この利点は、温度が高くなると沈殿の効率が上がることである。
【0043】
沈殿工程の滞留時間は、通常、2~24時間、例えば12~18時間、例えば2~12時間、好ましくは2~6時間であり、有利なことに、これにより多量のFePO及びAlPOの形成と凝集が可能である。温度と時間は相関しており、温度が高いほど時間は短くなり、逆もまた同様である。
【0044】
好ましくは、沈殿させることができるFePO及びAlPOは第1の浸出液中により多く存在するので、第1の沈殿工程では、第2の沈殿工程よりも多量のFePO及びAlPOを沈殿させる。
【0045】
好ましくは、効率的な洗浄のため、FePO及びAlPOを含む沈殿物を、pH1.5~5.5、好ましくは1.5~2.5の水溶液で洗浄する。
【0046】
好ましい態様において、ろ液は、リチウム、ニッケル、マンガン及びコバルトを回収に適する量で含有し、アルミニウム、銅及び鉄を実質的に含まず、例えば、10ppm未満、好ましくは5ppm未満のアルミニウム、鉄及び/又は銅を含有する。このような量を判定するための好適な手法は、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)である。
【0047】
本明細書で開示する方法は、貴重なNMC金属、ニッケル、マンガン及びコバルトの共沈を最小限に抑えながら、鉄及びアルミニウムのより効果的な除去をもたらす。同時に、この方法は、リチウムを多く含むろ液の生成をもたらし、それは、銅、鉄及びアルミニウムを実質的に含まず、したがってNMC金属の沈殿とリチウムの回収の両者に好適である。
【実施例
【0048】
実施例1:1工程で行われるAl及びFeのリン酸塩の沈殿
実質的に銅が全て除去された浸出液(X)を、図2に概略的に示すように、沈殿ユニット100に導く。この例では、浸出液の流量は約60L/時で、この浸出液の初期pHは約0.5である。第1の工程において、85%のリン酸(HPO)と水酸化ナトリウム(NaOH、固体)の添加によりpHを約2.5に調節する。浸出液を沈殿タンク200に収集し、そこに種晶(Al及びFeのリン酸塩結晶)を、濃度が約0.1g/Lになるまで添加する。第1の沈殿タンクでの滞留時間は、少なくとも70℃で好ましくは約24時間であり、その後、内容物は分離ユニット300、例えばフィルターに導かれ、沈殿物とろ液(Y)に分離される。沈殿物は、洗浄ユニット310に導かれ、微量の共沈したLi及びNMCを含むFePO及びAlPOの洗浄済沈殿物(Z)が得られる。
【0049】
実施例2:2工程で行われるAl及びFeのリン酸塩の沈殿
実質的に銅が全て除去された浸出液(I)を、図3に概略的に示すように、沈殿ユニット100に導く。この例では、浸出液の流量は約60L/時で、この浸出液の初期pHは約0.5である。第1の工程において、85%のリン酸(HPO)と水酸化ナトリウム(NaOH、固体)の添加によりpHを約2.5に調節する。浸出液を第1の沈殿タンク200に収集し、そこに種晶(Al及びFeのリン酸塩結晶)を、濃度が約0.1g/Lになるまで添加する。第1の沈殿タンクでの滞留時間は、少なくとも70℃で好ましくは約24時間であり、その後、内容物は分離ユニット300、例えばフィルターに導かれ、沈殿物とろ液に分離される。
【0050】
沈殿物は、洗浄ユニット310に導かれ、微量の共沈したLi及びNMCを含むFePO及びAlPOの洗浄済沈殿物(II)と、ろ液(III)が得られる。このろ液(III)は、好ましくは、例えばリサイクル方法上流の浸出ユニット(図示せず)に導くことによりリサイクルされる。
【0051】
沈殿タンク200及び分離ユニット300からのろ液のpHを、ユニット400で、例えばNaOHの添加により約5に調節し、第2の沈殿タンク500に導く。第2の沈殿タンクでの滞留時間は、少なくとも70℃で好ましくは約24時間である。場合によっては、種晶(Al及びFeのリン酸塩結晶)を濃度が約0.1g/Lになるまで添加する。次いで、第2の沈殿タンクの内容物を分離ユニット600、例えばフィルターに導き、Cu、Al及びFeを含まないリチウムを多く含むろ液(IV)と、固体沈殿物を得る。この沈殿物を好ましくはユニット610で洗浄し、残存するAl及びFeと、共沈したNi、Mn及びCoを含有する洗浄済固体沈殿物(VI)と、ろ液(VII)を得、ろ液は、ユニット310でAl及びFeリン酸塩沈殿物を洗浄するために再循環する。
【0052】
Al-Fe沈殿は、NaOH及びHPOといったバルク化学物質のみを使用し、有機溶媒を用いることなく形成され、Cu、Al及びFeを実質的に含まないNMCを多く含む水性流を生成する。実質的にFePO及びAlPOからなり、共沈した微量のNi、Mn及びCoを含む主な沈殿物と、残存するFePO及びAlPOと、共沈したNi、Mn及びCoとを含む第2の沈殿物の2つの沈殿物流が形成される。電池のリサイクル方法において代表的な組成の浸出液の60L/時の流入流であれば、推定で60L/時のリチウムを多く含む浸出液/ろ液を得ることができる。主な沈殿物流は約1.5kg/時、第2の沈殿物流は0.3kg/時となり、主な沈殿物が実際にはAlと数種のリン酸塩であることが理解できる。
【0053】
洗浄ユニット610では好ましくは酸性水溶液が添加され、ろ液は洗浄ユニット310に導かれる。ユニット310からのろ液がリサイクル/回収工程の上流のユニットにリサイクルされるため、水の消費は最小限に抑えられる。推定されるフローを表3に示す:
【0054】
【表3】
【0055】
工業規模のプロセスでは、銅を含まない第1の浸出液は、通常、40 000~80 000L/時、例えば50 000~70 000L/時、好ましくは55 000~65 000L/時の量で添加される。第1の沈殿工程では、85%の濃度のリン酸HPOが、通常、第1の浸出液に500~2500kg/時、例えば1000~2000kg/時、好ましくは1250~1750kg/時の量でpHが約2.5になるまで添加される。
【0056】
第2の沈殿工程では、第2の沈殿のためにpHを約5に調節するため、通常、第1の浸出液に250~1500kg/時、例えば500~1000kg/時、好ましくは700~800kg/時の量でNaOHが添加される。
【0057】
黒色塊からの第1の浸出液が銅を含有する別の例では、銅は、アルミニウム及び鉄の除去後に、例えば沈殿又は溶媒抽出により除去できる。
【0058】
本明細書で開示する方法は、いくつかの利点を有する。リン酸塩の形態でのAl及びFeの沈殿は、リチウムとNMC金属の共沈を最小限に抑える。さらに、Al及びFeのリン酸塩は、例えば対応する水酸化物の沈殿物よりもろ過が容易で、形成される沈殿物は洗浄が容易である。
【0059】
加えて、この方法は非常に柔軟性があり、アルミニウム及び鉄が早い段階で効率的に除去されるため、量が変化するアルミニウム及び鉄を含む黒色塊浸出液を扱うことができる。これは、充電式リチウムイオン電池の大規模な回収では、さまざまな組成の黒色塊の取り扱いを伴うため、特に有利である。本明細書で開示する方法は、初期の浸出液の組成が変化する場合でも、NMC金属とリチウムの効率的な回収を保証する。
【0060】
実施例3:さまざまなpH値でのリン酸塩としての主要元素の沈殿収率の評価
鉄及びアルミニウムを理想的に沈殿させるのに必要な化学量論的HPO(純粋)に対して10%過剰に相当する量を特定の体積の浸出液に添加し、30分間混合した(この場合、約60mLの原液を準備した。これは、4.52mLの85%HPOを55mLの浸出液に添加することを意味し、それは、浸出液1L当たり82mLの酸に相当する)。
【0061】
その後、この溶液を小型のガラスバイアルに、各バイアルに5mLずつ注いだ。次いで、溶液のpHを上昇させるために700g/LのNaOHをゆっくりと添加し、溶液中に存在するリン酸塩と共に鉄及びアルミニウムを沈殿させるのに理想的とした。
【0062】
実験は、20mLのガラスバイアル中22℃の室温で行った。調査対象の化合物の完全な混合及び反応を確実にするため、NaOHの添加後、溶液を2時間撹拌した。
【0063】
表4及び図4は、さまざまな量のNaOHを添加し、異なるpH値で実験を行い、誘導結合プラズマ発光分析(ICP-OES)により溶液の組成を測定した結果をまとめたものである。
【0064】
【表4】
【0065】
Pの沈殿収率は、鉄-アルミニウムリン酸塩沈殿物の形成の結果としてのFe及びAlの沈殿収率と合致している。10%過剰なリンは、3.5未満のpHではFe及びAlを沈殿させるのに十分で、残りの元素に対して選択的である。
【0066】
さらに詳細に説明を行わなくても、当業者は、実施例を含む本明細書を使用して、本発明を最大限に利用できると考えられる。また、本明細書では、現在公知の最良の様式を構成する好ましい態様について説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、この技術分野における通常の技術を有する者には明らかであるようなさまざまな変更及び修正を行うことができることを理解すべきである。
【0067】
したがって、さまざまな側面及び態様を本明細書で開示したが、他の側面及び態様も当業者には明らかである。本明細書で開示するさまざまな側面及び態様は、例示を目的とするものであって、限定を意図するものではなく、真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 充電式電池のリサイクルにおいてアルミニウム及び鉄を除去するための方法であって、
a)黒色塊からの浸出液を準備すること、
b)前記工程a)からの浸出液にリン酸(H PO )を添加すること、
c)pHを調節してリン酸鉄(FePO )及びリン酸アルミニウム(AlPO )を形成させること、
d)前記形成されたFePO 及びAlPO を沈殿させ除去すること、並びに
e)カソード金属を回収するためのろ液を形成すること
を含む、方法。
[2] 前記充電式電池が充電式リチウムイオン電池である、[1]に記載の方法。
[3] 前記沈殿をpHが異なる2工程で行う、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 第1の沈殿工程において、pHを1.5~4、例えば1.5~3.5、好ましくは1.5~3に調節する、[3]に記載の方法。
[5] 第2の工程において、pHを2.5~6.5、例えば2.5~6、好ましくは2.5~4に調節する、[3]又は[4]に記載の方法。
[6] 前記第1の沈殿工程において、種晶を添加してFePO 及びAlPO を沈殿させる、[3]~[5]のいずれか一つに記載の方法。
[7] 前記種晶が、アルミニウム及び鉄のリン酸塩結晶を含み、前記種晶を、0.05~0.3g/L、例えば0.05~0.2g/L、好ましくは0.05~0.15g/Lの量で添加する、[6]に記載の方法。
[8] 前記第1及び第2の沈殿工程を、20~95℃、例えば55~95℃、例えば55~85℃、好ましくは65~75℃で実施する、[4]~[7]のいずれか一つに記載の方法。
[9] 前記各沈殿工程の滞留時間が、2~24時間、例えば12~18時間、例えば2~12時間、好ましくは2~6時間である、[4]~[8]のいずれか一つに記載の方法。
[10] 前記第1の沈殿工程では前記第2の沈殿工程よりも多量のFePO 及びAlPO を沈殿させる、[4]~[9]のいずれか一つに記載の方法。
[11] 前記FePO 及びAlPO を含む沈殿物を、pH1.5~5.5、好ましくは1.5~2.5の水溶液で洗浄する、[1]~[10]のいずれか一つに記載の方法。
[12] 前記ろ液が、リチウム、ニッケル、マンガン及びコバルト、並びに、10ppm未満、例えば5ppm未満のアルミニウム、鉄及び/又は銅を含む、[1]~[11]のいずれか一つに記載の方法。
[13] 前記工程a)における黒色塊からの浸出液が銅を実質的に含まない、[1]~[12]のいずれか一つに記載の方法。
[14] 前記アルミニウム及び鉄の除去に続いて銅を回収する、[1]~[12]のいずれか一つに記載の方法。
【0068】
態様の項目別リスト
これは、本発明の態様の項目別リストである:
1.充電式リチウムイオン電池のリサイクルにおいてアルミニウム及び鉄を除去するための方法であって、
a)黒色塊からの浸出液から銅を抽出し、第1の浸出液を生成すること、
b)工程a)からの浸出液にリン酸(HPO)を添加すること、
c)pHを調節してリン酸鉄(FePO)及びリン酸アルミニウム(AlPO)を形成させること、
d)形成されたFePO及びAlPOを沈殿させ除去すること、並びに
e)カソード金属を回収するためのろ液を形成すること
を含む、方法。
2.沈殿を、pHが異なる2工程で行う、項1に記載の方法。
3.第1の沈殿工程におけるpHを1.5~4、例えば1.5~3.5、好ましくは1.5~3に調節し、第2の工程におけるpHを3~6.5、例えば3~6、好ましくは3~5.5に調節する、項2に記載の方法。
4.第1の沈殿工程において、種晶を添加してFePO及びAlPOを沈殿させる、項2又は3に記載の方法。
5.種晶がアルミニウム及び鉄のリン酸塩結晶を含み、前記種晶を、0.05~0.3g/L、例えば0.05~0.2g/L、好ましくは0.05~0.15g/Lの量で添加する、項4に記載の方法。
6.沈殿工程を55~95℃、例えば55~85℃、好ましくは65~75℃で実施する、項3~5のいずれか一項に記載の方法。
7.各沈殿工程の滞留時間が、2~24時間、例えば2~12時間、好ましくは2~6時間である、項3~6のいずれか一項に記載の方法。
8.第1の沈殿工程では第2の沈殿工程よりも多量のFePO及びAlPOを沈殿させる、項3~7のいずれか一項に記載の方法。
9.FePO及びAlPOを含む沈殿物を、pH1.5~5.5、好ましくは1.5~2.5の水溶液で洗浄する、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
10.ろ液が、リチウム、ニッケル、マンガン及びコバルト並びに、10ppm未満、例えば5ppm未満のアルミニウム、鉄及び/又は銅を含む、先行する項のいずれか一項に記載の方法。
図1
図2
図3
図4