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特許7612611ダイヤモンド対ダイヤモンド反応材料軸受係合のための材料処理
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】ダイヤモンド対ダイヤモンド反応材料軸受係合のための材料処理
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/24 20060101AFI20250106BHJP
   B24B 39/04 20060101ALI20250106BHJP
   B24C 1/10 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
F16C33/24 Z
B24B39/04 Z
B24C1/10 E
B24C1/10 A
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2021570806
(86)(22)【出願日】2020-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 US2020034437
(87)【国際公開番号】W WO2020243030
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】16/425,758
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】524194034
【氏名又は名称】エックスアール リザーブ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】プレヴォスト グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ マイケル ヴイ
(72)【発明者】
【氏名】ミース デヴィッド ピー
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-275286(JP,A)
【文献】特開平06-241232(JP,A)
【文献】特開2010-174902(JP,A)
【文献】米国特許第09309923(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0216661(US,A1)
【文献】特開2018-141197(JP,A)
【文献】特開2002-070507(JP,A)
【文献】米国特許第09284980(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 33/24
B24B 39/04
B24C 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受を製造する方法であって、
多結晶ダイヤモンドを含む軸受面を有する個別の多結晶ダイヤモンド軸受要素を設ける段階と、
対向軸受面を有する対向軸受要素を設ける段階であって、前記対向軸受面がダイヤモンド反応材料を含み、前記ダイヤモンド反応材料が金属であり、前記ダイヤモンド反応材料が前記ダイヤモンド反応材料の総重量に基づいて少なくとも2重量%のダイヤモンド溶媒又はダイヤモンド触媒を含む段階と、
前記対向軸受面の前記ダイヤモンド反応材料を硬化させる段階と、
前記軸受面を前記対向軸受面に摺動可能に係合させる段階と、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記対向軸受面は、前記軸受面が前記対向軸受面に係合された後に硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ダイヤモンド反応材料は、前記対向軸受面のみで硬化される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記硬化させる段階は、前記対向軸受面上の凹凸を塑性変形させる段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記硬化させる段階は、前記対向軸受面を加工硬化させる段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記加工硬化させる段階は、前記対向軸受面を研磨する段階を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記研磨する段階は、前記軸受面と前記対向軸受面とを摺動接触状態に係合させる段階を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記加工硬化させる段階は、前記対向軸受面をショットピーニングする段階を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記硬化させる段階は、前記対向軸受面の無心焼入れ、肌焼入れ又は低温処理を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多結晶ダイヤモンド軸受要素は、少なくとも0.050’’のエッジ半径を有し、前記対向軸受面と前記軸受面のエッジとの間の接触が排除されるように、前記軸受面をエッジ処理する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
軸受アセンブリを使用する方法であって、
軸受アセンブリを設ける段階であって、前記軸受アセンブリが、多結晶ダイヤモンドを含む軸受面を有する個別の多結晶ダイヤモンド軸受要素と、ダイヤモンド反応材料を含む対向軸受面を有する対向軸受要素と、を含み、前記ダイヤモンド反応材料が金属であり、前記ダイヤモンド反応材料が前記ダイヤモンド反応材料の総重量に基づいて少なくとも2重量%のダイヤモンド溶媒又はダイヤモンド触媒を含み、前記対向軸受面の前記ダイヤモンド反応材料が硬化され、前記軸受面が前記対向軸受面に摺動可能に係合される段階と、
前記軸受アセンブリを坑内環境の中に配備する段階と、
を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
軸受アセンブリであって、
多結晶ダイヤモンドを含む軸受面を有する個別の多結晶ダイヤモンド軸受要素と、
対向軸受面を有する対向軸受要素であって、前記対向軸受面がダイヤモンド反応材料を含み、前記ダイヤモンド反応材料が金属であり、前記ダイヤモンド反応材料が前記ダイヤモンド反応材料の総重量に基づいて少なくとも2重量%のダイヤモンド溶媒又はダイヤモンド触媒を含む対向軸受要素と、
前記対向軸受面の前記ダイヤモンド反応材料が硬化され、
前記軸受面が前記対向軸受面に摺動可能に係合される、
ことを特徴とする軸受アセンブリ。
【請求項13】
前記対向軸受面の前記ダイヤモンド反応材料は、加工硬化されている、請求項12に記載の軸受アセンブリ。
【請求項14】
前記対向軸受面の前記ダイヤモンド反応材料は、ショットピーニングされる、請求項13に記載の軸受アセンブリ。
【請求項15】
前記対向軸受面の前記ダイヤモンド反応材料は、研磨されている、請求項13に記載の軸受アセンブリ。
【請求項16】
前記対向軸受面の前記ダイヤモンド反応材料は、無心焼入れ、肌焼入れ又は低温処理されている、請求項12に記載の軸受アセンブリ。
【請求項17】
前記対向軸受面はクロムめっき、金属-リン酸塩層、クラッディング又は炭素の犠牲層を含む、又は、前記対向軸受面は陽極酸化されている、請求項12に記載の軸受アセンブリ。
【請求項18】
前記ダイヤモンド溶媒又は前記ダイヤモンド触媒は、鉄、銅、コバルト、ニッケル又はチタンである、請求項12に記載の軸受アセンブリ。
【請求項19】
前記金属は、金属合金である、請求項12に記載の軸受アセンブリ。
【請求項20】
前記金属は、鋼である、請求項12に記載の軸受アセンブリ。
【請求項21】
前記金属は、超硬質材料よりも柔らかい、請求項12に記載の軸受アセンブリ。
【請求項22】
前記個別の多結晶ダイヤモンド軸受要素は、多結晶ダイヤモンド焼結体を含む、請求項12に記載の軸受アセンブリ。
【請求項23】
前記多結晶ダイヤモンド焼結体は、炭化タングステン基板によって支持されている、請求項22に記載の軸受アセンブリ。
【請求項24】
前記軸受面は、前記対向軸受面と前記軸受面のエッジとの間の接触が排除されるように、前記対向軸受面に摺動可能に係合される、請求項12に記載の軸受アセンブリ。
【請求項25】
前記個別の多結晶ダイヤモンド軸受要素を含む複数の離間した多結晶ダイヤモンド軸受要素を含み、複数の多結晶ダイヤモンド軸受要素の各々は、前記複数の多結晶ダイヤモンド軸受要素の他方から離間した独立タイプの多結晶ダイヤモンド軸受要素であり、前記多結晶ダイヤモンド軸受要素の各々は、多結晶ダイヤモンドの軸受面を有し、前記軸受面の各々は、前記対向軸受面に摺動可能に係合される、請求項12に記載の軸受アセンブリ。
【請求項26】
軸受要素を含むシステムであって、
金属軸受面を有する第1の構成要素であって、前記金属軸受面が金属の総重量に基づいて少なくとも2重量%の鉄、銅、コバルト、ニッケル、チタン又はこれらの組み合わせを含む第1の構成要素と、
第2の構成要素と、
前記第2の構成要素上の個別の多結晶ダイヤモンド軸受要素であって、ダイヤモンド軸受面を有する個別の多結晶ダイヤモンド軸受要素と、
前記ダイヤモンド軸受面が前記金属軸受面に摺動可能に係合され、
前記金属軸受面が研磨されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項27】
前記第2の構成要素は、カム従動子であり、前記第1の構成要素は、カムである、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記カムは、回転子である、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記カム及び前記カム従動子は、内燃機関、ボール盤又は工作機械の構成要素である、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1の構成要素及び前記多結晶ダイヤモンド軸受要素は、ラジアル軸受を形成している、請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素の一方は回転子であり、前記第1の構成要素及び前記第2の構成要素の他方は固定子である、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1の構成要素及び前記個別の多結晶ダイヤモンド軸受要素は、スラスト軸受を形成している、請求項26に記載のシステム。
【請求項33】
前記個別の多結晶ダイヤモンド軸受要素は、前記第2の構成要素内に埋め込まれているか又は取り付けられている、請求項26に記載のシステム。
【請求項34】
前記個別の多結晶ダイヤモンド軸受要素は、前記第2の構成要素に直接取り付けられた独立タイプの要素である、請求項26に記載のシステム。
【請求項35】
前記個別の多結晶ダイヤモンド軸受要素は、ろう付け、糊付け、圧入、焼き嵌め、又はネジ止めよって前記第2の構成要素に直接取り付けられる、請求項26に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、それ自体が引用によって本明細書にその全体が組み込まれている2018年7月30日出願の「多結晶ダイヤモンド係合要素を有するカム従動子(Cam Follower with Polycrystalline Diamond Engagement Element)」という名称の米国特許出願第16/049,588号(係属中)の一部継続出願(CIP)である2019年5月29日出願の「ダイヤモンド対ダイヤモンド反応材料軸受係合のための材料処理(Material Treatments for Diamond-on-Diamond Reactive Material Bearing Engagements)」という名称の米国特許出願第16/425,758号(係属中)の利益を主張するものである。本出願はまた、引用によって本明細書にその全体が組み込まれている2018年7月30日出願の「多結晶ダイヤモンドラジアル軸受(Polycrystalline Diamond Radial Bearing)」という名称の米国特許出願第16/049,608号(係属中)の一部継続出願(CIP)である。本出願はまた、引用によって本明細書にその全体が組み込まれている2018年7月30日出願の「多結晶ダイヤモンドスラスト軸受及びその要素(Polycrystalline Diamond Thrust Bearing and Element Thereof)」という名称の米国特許出願第16/049,617号(係属中)の一部継続出願(CIP)である。
【0002】
本発明の開示は、カム従動子、ラジアル軸受、スラスト軸受を含むダイヤモンド対ダイヤモンド反応材料(例えば、ダイヤモンド対鋼鉄)軸受係合を有する装置に対して使用するための表面処理を含む材料処理、それを含むシステム、並びにそれを作るかつ使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの構成要素は、互いに対して移動する係合状態にある複数の面を含む。そのような面を含む一連の例示的構成要素は、カム従動子、ラジアル軸受、及びスラスト軸受を含む軸受である。
【0004】
カム従動子は、カムから別の構成要素に付与される運動を変換するのに使用される。例えば、円筒カムの回転運動は、カム従動子によって直線運動に変換することができる。カム従動子は、他の機構の中でも取りわけ、内燃機関、バルブ、ポンプ、圧縮機、機械加工ツール、織物加工機器、坑内回転ステアラブルシステム、坑内撹袢機、及び米国特許出願第15/430,254号明細書(’254出願)に開示されている掘削機械のような掘削機械を含む多数の機構でカムとの係合に使用されている。2017年2月10日出願の「掘削機械(Drilling Machine)」という名称の’254出願は、その全体が引用によって本明細書に組み込まれている。
【0005】
カム従動子は、ローラーカム従動子と非ローラーカム従動子とを含む2つの主要グループに分類される。ローラーカム従動子に関して、ヨークマウント又はスタッドマウント転動部材が使用される。これらの転動部材は、ブッシングタイプのものであり、又はボール、ローラー、ニードル軸受、又はその組合せを使用する。非ローラーカム従動子は、ナイフエッジ、平坦面、又は時としてマッシュルームと呼ばれる湾曲シューとして分類される。下記の表1は、関連する欠点を含む様々なカム従動子を列挙している。
【0006】
(表1)
【0007】
炭化タングステンによって支持される又はされない熱的安定多結晶ダイヤモンド(TSP)及び多結晶ダイヤモンド焼結体(PDC又はPCD)は、ダイヤモンド先端式ツールのようなツールに使用される場合がある。コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、クロム、マンガン、銅、チタン、又はタンタルを含むダイヤモンド触媒元素又はダイヤモンド溶媒元素を微量よりも多く含有する含鉄金属及び他の金属、合金、複合材、硬化肉盛、コーティング、又はメッキの機械加工において熱的安定多結晶ダイヤモンド及び多結晶ダイヤモンド焼結体を含む多結晶ダイヤモンドを使用することは忌避事項であると考えられている。更に、多結晶ダイヤモンドのこの従来の使用忌避は、微量よりも多いダイヤモンド触媒元素又はダイヤモンド溶媒元素を含有する鉄系、コバルト系、及びニッケル系の超合金を含むいわゆる「超合金」にまで及んでいる。そのような材料の機械加工において典型的に使用される面速度は、典型的には、約0.2m/sから約5m/sの範囲である。これらの面速度は、特に高いわけではないが、切削先端等での荷重及び関連して発生する温度は、ダイヤモンドのグラファイト化温度(すなわち、約700℃)を多くの場合に超え、それによってダイヤモンド触媒元素又はダイヤモンド溶媒元素の存在下ではダイヤモンド先端式ツールのような構成要素の急激な摩耗及び不良がもたらされる場合がある。理論に縛られることなく、炭素含有ダイヤモンドと機械加工中の炭素誘引材料との化学相互作用から特定の不具合機構がもたらされると考えられる。ダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含有する金属又は合金の機械加工に対する多結晶ダイヤモンドの忌避に関する例示的な参考文献は、引用によって本明細書にその全体が組み込まれている米国特許第3,745,623号明細書である。ダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含有する材料を機械加工することへの多結晶ダイヤモンドの忌避は、長きにわたってそのような材料との接触がある全ての用途での多結晶ダイヤモンドの使用回避の原因となっていた。
【0008】
ダイヤモンド合成に関する初期のGeneral Electricの文献には、銅及びチタンは典型的には列挙されていなかったが、後に追加されている。関連の参考文献は、Dobrzhinetskaya及びGreen著「水及びSiO2の存在下でのグラファイトからのダイヤモンド合成(Diamond Synthesis from Graphite in the Presence of Water and SiO2)」、II International Geology Review、第49巻、2007年、及びSun他著「高圧及び高温下でのダイヤモンド合成のための非金属触媒(Non-metallic catalysts for diamond synthesis under high pressure and high temperature)」、Science in China、1999年8月を含む。
【0009】
この出願の技術の背景に関する情報を与える追加の重要な参考文献は、「動的摩擦の技術による多結晶ダイヤモンドのポリッシング、第1部:インタフェースの温度増大の予想(Polishing of polycrystalline diamond by the technique of dynamic friction、part 1: Prediction of the interface temperature rise)」及び「第2部:材料除去機構(Part 2、Material removal mechanism)」という名称のInternational Journal of Machine Tools & Manufacture、第46巻及び第47巻、2005年及び2006年から得られる。これらの参考文献は、炭素誘引鋼鉄円盤を用いた荷重下での乾燥摺動接触を利用するPDC面の動的摩擦ポリッシングに対して報じている。これらの参考文献での重要な発見は、ポリッシング速度が荷重よりも摺動速度に対して敏感であること、及びダイヤモンド面の面仕上げが改善される時に鋼鉄円盤とダイヤモンド面の間の熱化学反応の速度が大きく低下することを示している。著者はまた、鋼鉄円盤とPDC面の間の熱化学反応が、27MPaの圧力下で10.5m/sよりも小さい摺動速度では発生しないという従来の結論を参考している。これらの参考文献は、その全てが示されるかのごとく引用によって本明細書に組み込まれている。
【0010】
ラジアル軸受は、ツール、機械、及び構成要素内で荷重を担持するのに使用される。非鉄超硬材料又はより一般的には厳密に整合する相補形多結晶ダイヤモンド面に嵌合する多結晶ダイヤモンド軸受面を有する多結晶ダイヤモンドラジアル軸受が開発されている。超硬材料又は整合する多結晶ダイヤモンドのいずれかと接触する多結晶ダイヤモンドラジアル軸受に関する例示的参考文献は、引用によって本明細書にその全体が組み込まれているMcPhersonに付与されてSmith International Inc.に譲渡された米国特許第4,764,036号明細書である。当業者には理解されるように、硬度は、例えば、ASTM E10-14に従ってブリネル硬さを用いて決定することができる。
【0011】
いわゆる高性能多結晶ダイヤモンド軸受は、坑内掘削ポンピング環境又は風力タービンエネルギユニットのような苛酷な環境に特化して設計され、摺動嵌合重複多結晶ダイヤモンド要素を利用する。この軸受は、各々が厳密な外形を有するように成形された多数の多結晶ダイヤモンド要素を必要とする。例えば、回転子が装着された多結晶ダイヤモンド要素は、回転子の外径に実質的に整合する凸面外形を有するように成形される。固定子多結晶ダイヤモンド要素は、固定子の内径に実質的に整合する凹面外形を有するように成形される。多結晶ダイヤモンド要素のこの成形は厳密な精度を必要とし、高価であり、例えば、放電機械加工(EDM)レーザを用いた切削又はダイヤモンド研削を必要とする。この場合に、嵌合摺動係合を保証するために、多結晶ダイヤモンド要素は、正確な場所に正確な位置合わせで、かつ正確に指定された高さ又は露出で装着されなければならない。そのような構成要素での目標は、軸受区域としての多結晶ダイヤモンド要素の全面接触である。従って、そのような多結晶ダイヤモンド要素を調製するのに使用される工程は高価で時間を消費し、変化の多大な可能性が廃棄部品をもたらす。位置合わせ及び/又は露出の不良は、多結晶ダイヤモンド要素が互いに対して回転する時にいわゆる「エッジ衝突」をもたらし、破断要素を生成し、最終的に軸受不良をもたらす可能性が高い。
【0012】
輪郭形成された多結晶ダイヤモンド要素から構成されるほぼ全周の周方向アレイが回転子上に装着され、超硬材料が固定子上に装着された多結晶ダイヤモンドを利用したそれ程高価ではないラジアル軸受が提案されている。この手法は、上述の手法よりも少ない多結晶ダイヤモンド要素しか必要としないが、依然として回転子装着要素の輪郭形成を必要とする。更に、そのようないわゆる超硬材料は脆弱でありがちであり、本明細書に開示するダイヤモンド反応材料よりも衝撃損傷が引き起こされやすい。
【0013】
スラスト軸受は、ツール、機械、及び構成要素内で少なくとも主として軸荷重を担持するのに使用される。多結晶ダイヤモンド軸受が開発された時に、軸受製造業者は、長い時間をかけて多結晶ダイヤモンド軸受面を非鉄のいわゆる超硬度材料又はより一般的には密接に対面する相補形多結晶ダイヤモンド面のいずれかと適合させた。図20は、多結晶ダイヤモンド対多結晶ダイヤモンドインタフェースを有するスラスト軸受2000の部分切り欠き図を示している。多結晶ダイヤモンドスラスト軸受に関する例示的参考文献は、引用によって本明細書にその各々の全体が組み込まれているNagelに付与された米国特許第4,468,138号明細書、Gonzalezに付与された米国特許第9,702,401号明細書、及びOffenbacherに付与された米国防衛公開第T102,90号明細書である。
【0014】
坑内掘削及びポンピング又は風力タービンエネルギユニットのような苛酷な環境に特化して設計された高性能多結晶ダイヤモンドスラスト軸受は、一般的に、摺動嵌合重複多結晶ダイヤモンド要素を利用する。この軸受は、対向する多結晶ダイヤモンド要素セットとの厳密な平坦係合状態に各々がある多数の多結晶ダイヤモンド要素を必要とする。嵌合摺動係合を保証するために、多結晶ダイヤモンド要素は、厳密に指定された高さ又は露出で装着しなければならない。この従来技術での目標は、軸受区域としての多結晶ダイヤモンド要素の両面上での全面接触である。位置合わせ及び/又は露出の不良は、多結晶ダイヤモンド要素が互いに対して回転する時に点荷重印加、不均等な荷重分配、又は「エッジ衝突」をもたらし、破断要素を生成し、最終的に軸受不良をもたらす可能性が高い。多結晶ダイヤモンドはより脆弱であり、ダイヤモンド反応材料(本明細書において以下に定める)よりも衝撃損傷が引き起こされやすい。
【0015】
下記の表2は、乾燥静止状態と潤滑静止状態の両方にあるポリッシングされた多結晶ダイヤモンドを含む様々な材料に関する摩擦係数の要約を示しており、この表では、「第1の材料」は、そのCoFを決定するために「第2の材料」に対して移動される材料である。
【0016】
(表2*

*参考文献は、「機械ハンドブック(Machinerys Handbook)」、Sexton TN、Cooley CH著「石油及びガスの坑内掘削ツールのための多結晶ダイヤモンドスラスト軸受(Polycrystalline diamond thrust bearings for down-hole oil and gas drilling tools)」、Wear 2009、267、1041-5を含む。
【0017】
強調される点として、上述の数値は、空気中での乾燥稼働に基づいている。液冷潤滑環境での稼働の場合に、明らかに、熱化学反応を開始することなくより高い速度及び荷重を達成することができる。同じく注意される点は、ポリッシングされた多結晶ダイヤモンド面のより低い熱化学応答である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【文献】米国特許出願第16/049,588号明細書
【文献】米国特許出願第16/425,758号明細書
【文献】米国特許出願第16/049,608号明細書
【文献】米国特許出願第16/049,617号明細書
【文献】米国特許出願第15/430,254号明細書
【文献】米国特許第3,745,623号明細書
【文献】米国特許第4,764,036号明細書
【文献】米国特許第4,468,138号明細書
【文献】米国特許第9,702,401号明細書
【文献】米国防衛公開第T102,90号明細書
【文献】米国特許第5,447,208号明細書
【文献】米国特許第5,653,300号明細書
【文献】米国特許第8,881,849号明細書
【非特許文献】
【0019】
【文献】Dobrzhinetskaya及びGreen著「水及びSiO2の存在下でのグラファイトからのダイヤモンド合成(Diamond Synthesis from Graphite in the Presence of Water and SiO2)」、II International Geology Review第49巻、2007年
【文献】Sun他著「高圧及び高温下でのダイヤモンド合成のための非金属触媒(Non-metallic catalysts for diamond synthesis under high pressure and high temperature)」、Science in China、1999年8月
【文献】「動的摩擦の技術による多結晶ダイヤモンドのポリッシング、第1部:インタフェースの温度増大の予想(Polishing of polycrystalline diamond by the technique of dynamic friction、part 1: Prediction of the interface temperature rise)」及び「第2部:材料除去機構(Part 2、Material removal mechanism)」、International Journal of Machine Tools & Manufacture第46巻及び第47巻、2005年及び2006年
【文献】「機械ハンドブック(Machinerys Handbook)」、Sexton TN
【文献】Cooley CH著「石油及びガスの坑内掘削ツールのための多結晶ダイヤモンドスラスト軸受(Polycrystalline diamond thrust bearings for down-hole oil and gas drilling tools)」、Wear 2009、267、1041-5
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の開示の一実施形態は、装置内で荷重を担持する方法を含む。本方法は、軸受面を対向軸受面と係合させる段階を含む。軸受面は、ポリッシングされた多結晶ダイヤモンドを含む。対向軸受面は、ダイヤモンド反応材料を含む。ダイヤモンド反応材料は硬化される。
【0021】
本発明の開示の別の実施形態は、装置を含む。装置は、ポリッシングされた多結晶ダイヤモンドを含む軸受面を含む。装置は、ダイヤモンド反応材料を含む対向軸受面を含む。ダイヤモンド反応材料は硬化される。軸受面と対向軸受面は可動係合する。
【0022】
本発明の開示の一部の態様は、カムとカム従動子とを含むカムアセンブリを含み、並びにそれを含む装置、システム、及び機械に関する。カムは、対向ダイヤモンド反応係合面を含む。カム従動子は、多結晶ダイヤモンド要素を含む。多結晶ダイヤモンド要素は、カムの対向係合面に係合する係合面を含む。
【0023】
本発明の開示の追加の態様は、そのようなカム従動子、カムアセンブリ、及びこれらを含む装置、システム、及び機械の使用方法を含む。本方法は、係合面をその上に含む多結晶ダイヤモンド要素を含むカム従動子を与える段階を含む。本方法は、係合面をカムの対向ダイヤモンド反応係合面と係合させる段階を含む。
【0024】
本発明の開示の一部の態様は、多結晶ダイヤモンド要素を含むラジアル軸受アセンブリを含む。各多結晶ダイヤモンド要素は、対向係合面との摺動係合状態にある係合面を含む。対向係合面は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成されるか又はそれを含む。
【0025】
本発明の開示の他の態様は、回転子と固定子間を含む構成要素間の係合をインタフェースする方法を含む。本方法は、各多結晶ダイヤモンド要素が係合面を有するその多結晶ダイヤモンド要素を含むラジアル軸受アセンブリを与える段階を含む。本方法は、係合面が、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料を含む対向係合面との摺動係合状態になるように、多結晶ダイヤモンド要素を用いて回転子と固定子間の係合をインタフェースする段階を含む。
【0026】
本発明の開示の更に別の態様は、回転子及び固定子のためのラジアル軸受アセンブリを設計する方法を含む。ラジアル軸受アセンブリは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含有する対向係合面との摺動係合状態にある係合面を各多結晶ダイヤモンド要素が含むその多結晶ダイヤモンド要素を含む。本方法は、回転子と固定子の最大摺動速度が事前設定限界(例えば、10.5m/s)よりも低いかを決定する段階を含む。最大摺動速度が事前設定限界よりも低い場合に、本方法は、固定子及び回転子内のラジアル軸受アセンブリの構成を選択する段階を含む。本方法は、固定子及び回転子内のラジアル軸受アセンブリの選択構成での多結晶ダイヤモンド要素の選択個数と予想荷重とに基づいて多結晶ダイヤモンド要素毎の最大接触圧力を計算する段階を含む。計算最大接触圧力には、任意的に安全係数が乗じられる。本方法は、任意的に安全係数が乗じられた計算最大接触圧力が事前設定最大許容圧力よりも低いかを決定する段階を含む。計算最大接触圧力が事前設定最大許容圧力よりも低いと決定された場合に、本方法は、少なくとも最小個数の多結晶ダイヤモンド要素を固定子及び回転子内のラジアル軸受アセンブリの選択構成上に配備する段階を含む。この個数の多結晶ダイヤモンド要素が固定子及び回転子内のラジアル軸受アセンブリの選択構成上に適合する場合に、本方法は、ラジアル軸受アセンブリと回転子と固定子とのアセンブリを作る段階を含む。
【0027】
本発明の開示の一部の態様は、スラスト軸受アセンブリを含む。スラスト軸受アセンブリは、多結晶ダイヤモンド要素を有するスラスト面を含む。多結晶ダイヤモンド要素は、その上に係合面を有する。スラスト軸受アセンブリは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む対向スラスト面を含む。スラスト面は、係合面が対向スラスト面との接触状態になるように対向スラスト面と結合される。
【0028】
本発明の開示の他の態様は、軸荷重を担持する方法を含む。本方法は、スラスト面を対向スラスト面と結合する段階を含む。スラスト面は、それに結合された多結晶ダイヤモンド要素を含む。多結晶ダイヤモンド要素は、その上に係合面を有する。対向スラスト面は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成されるか又はそれを含む。スラスト面は、係合面が対向スラスト面と接触状態になるように対向スラスト面と結合される。
【0029】
本発明の開示の別の態様は、スラスト面を定めるスラストリングを含むスラスト軸受アセンブリを含む。多結晶ダイヤモンド要素が、スラスト面と結合されて係合面を定める。スラスト軸受アセンブリはまた、対向スラスト面を定める対向スラストリングを含む。対向スラストリングは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成されるか又はそれを含む。係合面は、対向スラスト面と接触している。
【0030】
本発明の開示のシステム、装置、及び/又は方法の特徴及び利点をより詳細に理解することができるように、本明細書の一部を形成する添付図面に示すこれらのシステム、装置、及び/又は方法の実施形態を参照することにより、上記で簡単に要約した説明のより具体的な説明を行うことができる。しかし、これらの図面が様々な単に例示的実施形態しか示しておらず、従って、本発明の開示の概念は、他の有効な実施形態を含むことができるので、これらの図面を本発明の開示の概念を限定するものと見なすべきではないことに注意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の開示のある一定の態様によるカム従動子の等角投影図である。
図2A】本発明の開示のある一定の態様によりカム作動回転子との摺動係合状態にあるカム従動子を含むカムアセンブリの等角投影図である。
図2B図2Aのカムアセンブリの断面図である。
図3】本発明の開示のある一定の態様によりカムとの摺動係合状態にある平面多結晶ダイヤモンド要素を有するカム従動子を含むカムアセンブリの断面図である。
図4】本発明の開示のある一定の態様によりカムとの摺動係合状態にあるドーム形多結晶ダイヤモンド要素を有するカム従動子を含むカムアセンブリの断面図である。
図5】エッジ又はポイント接触を伴わずにカムに係合したカム従動子を描く図である。
図6】固体潤滑剤ソースを有するカムアセンブリを描く図である。
図7】本明細書に開示する技術を使用するための一般的評価基準を示す流れ図である。
図8A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図8B図8Aの回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの線A-Aに沿って取った断面図である。
図9A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図9B図9Aのアセンブリの線B-Bに沿って取った断面図である。
図10A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図10B図4Aのアセンブリの線C-Cに沿って取った断面図である。
図11A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図11B図11Aのアセンブリの線D-Dに沿って取った断面図である。
図12A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図12B図12Aのアセンブリの線E-Eに沿って取った断面図である。
図13A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図13B図13Aのアセンブリの線F-Fに沿って取った断面図である。
図14A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図14B図14Aのアセンブリの線G-Gに沿って取った断面図である。
図15A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図15B図15Aのアセンブリの線H-Hに沿って取った断面図である。
図16A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図16B図16Aのアセンブリの線I-Iに沿って取った上部断面図である。
図17A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図17B図17Aのアセンブリの線J-Jに沿って取った断面図である。
図18A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図18B図18Aのアセンブリの線K-Kに沿って取った断面図である。
図19A】この出願の技術の実施形態の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図である。
図19B図19Aのアセンブリの線L-Lに沿って取った断面図である。
図20】従来技術の多結晶ダイヤモンド対多結晶ダイヤモンドインタフェーススラスト軸受の部分切り欠き図である。
図21A】この出願の技術の実施形態のスラスト軸受の多結晶ダイヤモンドスラスト面の上面図である。
図21B】少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む対向スラスト面と摺動接触している図21Aの多結晶ダイヤモンドスラスト面の側面図である。
図22A】この出願の技術の実施形態のスラスト軸受の多結晶ダイヤモンドスラスト面の上面図である。
図22B】少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む対向スラスト面と摺動接触している図23Aの多結晶ダイヤモンドスラスト面の側面図である。
図23】この出願の技術の実施形態の例示的多結晶ダイヤモンド要素の側面図である。
図24】この出願の技術の実施形態の例示的多結晶ダイヤモンド要素の側面図である。
図25】この出願の技術の実施形態の例示的多結晶ダイヤモンド要素の側面図である。
図26】この出願の技術の実施形態の例示的多結晶ダイヤモンド要素の側面図である。
図27】この出願の技術の実施形態の例示的多結晶ダイヤモンド要素の側面図である。
図28】エッジ処理が行われておらず、尖鋭コーナを有する多結晶ダイヤモンド要素の側面図である。
図29A】エッジ処理を受けた多結晶ダイヤモンド要素と対向スラスト面の間のエッジ接触の簡略的な描写の図である。
図29B】エッジ処理を受けておらず、尖鋭コーナを有する多結晶ダイヤモンド要素と対向スラスト面の間のエッジ接触の簡略的な描写の図である。
図30A】表面処理の前の軸受面を描く図である。
図30B】表面処理の後の図30Aの軸受面を描く図である。
図31A】材料処理の前の軸受本体を描く図である。
図31B】材料処理の後の図31Aの軸受本体を描く図である。
図32】実施例3でのシャフトのバニシ仕上げ中の荷重及びCoFのグラフである。
図33A】実施例3のシャフトの画像である。
図33B】実施例3のシャフトの画像である。
図33C】実施例3のシャフトの画像である。
図33D】実施例3のシャフトの概略図である。
図33E】実施例3のシャフトの画像である。
【0032】
ここで、本発明の開示によるシステム、装置、及び方法を様々な例示的実施形態を示す添付図面を参照してより完全に以下に説明する。しかし、本発明の開示による概念は、多くの異なる形態に具現化することができ、本明細書に示す例示実施形態によって限定されるものと解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本発明の開示が徹底的で完全なものになり、様々な概念の範囲及び実施の最良かつ好ましいモードを当業者に完全に伝えることになるように提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の開示のある一定の実施形態は、カム従動子、ラジアル軸受、スラスト軸受のような軸受面を含む互いに移動する係合(例えば、ダイヤモンド-オン-鋼鉄係合)状態にある複数の面を有する装置、及びそれを含むシステム、並びにそれを作る、組み立てる、及び使用する方法を含む。本発明の開示の一部の実施形態は、材料処理された(例えば、表面処理された)装置、材料を処理する方法、及びそれを作る、組み立てる、及び使用する方法を規定する。
【0034】
定義、例、及び基準
ラッピングされた及びポリッシングされた-本明細書に使用する場合に、面は、20μinの面仕上げ又は約18μinから約22μinの範囲である面仕上げのような約20μinの面仕上げを有する場合に「高度にラッピングされた」として定義される。本明細書に使用する場合に、面は、約10μinよりも細かいか又は約2μinから約10μinまでの面仕上げを有する場合に「ポリッシングされた」として定義される。本明細書に使用する場合に、面は、約2μinよりも細かいか又は約0.5μinから約2μin未満までの面仕上げを有する場合に「高度にポリッシングされた」として定義される。当業者には理解されるように、面仕上げは、粗面計又は原子間力顕微鏡を用いて測定することができる。0.5μinの面仕上げまでポリッシングされた多結晶ダイヤモンドは、20~40μinの面仕上げを有する標準ラッピングされた多結晶ダイヤモンドの約半分の摩擦係数を有する。Lund他に付与されてその全体が引用によって本明細書に組み込まれている米国特許第5,447,208号明細書及び第5,653,300号明細書は、多結晶ダイヤモンドのポリッシングに関する開示を提供している。
【0035】
ダイヤモンド反応材料-本明細書に使用する場合に、「ダイヤモンド反応材料」は、微量よりも多いダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含有する材料である。本明細書に使用する場合に、「微量」よりも多いダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含有するダイヤモンド反応材料は、少なくとも2重量パーセント(重量%)のダイヤモンド反応材料を含有する。一部の態様では、本明細書に開示するダイヤモンド反応材料は、2重量%から100重量%、5重量%から95重量%、10重量%から90重量%、15重量%から85重量%、20重量%から80重量%、25重量%から75重量%、25重量%から70重量%、30重量%から65重量%、35重量%から60重量%、40重量%から55重量%、45重量%から50重量%のダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含有する。本明細書に使用する場合に、「ダイヤモンド触媒」は、例えば、荷重下及びダイヤモンドのグラファイト化温度(すなわち、約700℃)又はそれよりも高い温度で多結晶ダイヤモンドのグラファイト化に触媒効果を及ぼす機能を有する化学元素、化合物、又は材料である。本明細書に使用する場合に、「ダイヤモンド溶媒」は、荷重下及びダイヤモンドのグラファイト化温度又はそれよりも高い温度で多結晶ダイヤモンドを可溶化する機能を有する化学元素、化合物、又は材料である。従って、ダイヤモンド反応材料は、荷重下及びダイヤモンドのグラファイト化温度又はそれよりも高い温度での多結晶ダイヤモンドで形成されたダイヤモンド先端式ツールのような構成要素の摩耗、時に急激な摩耗、及び不良をもたらす可能性がある材料を含む。ダイヤモンド反応材料は、微量よりも多いダイヤモンド触媒元素又はダイヤモンド溶媒元素を含有する金属、合金、及び複合材料を含むがこれらに限定されない。一部の態様では、ダイヤモンド反応材料は、硬化肉盛、コーティング、又はメッキの形態にある。例えば、限定することなく、ダイヤモンド反応材料は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、クロム、マンガン、銅、チタン、タンタル、アルミニウム、又はこれらの合金とすることができる。一部の実施形態では、ダイヤモンド反応材料は鋼鉄又は鋳鉄である。一部の態様では、ダイヤモンド反応材料は、鉄系、コバルト系、及びニッケル系の超合金を含むがこれらに限定されない超合金である。ある一定の態様では、ダイヤモンド反応材料は、いわゆる「超硬材料」ではない及び/又はそれを含まない(すなわち、特定的に除外する)。
【0036】
超硬材料-当業者には理解されるように、「超硬材料」は、ブリネル硬さ、ロックウェル硬さ、ヌープ硬さ、及び/又はビッカース硬さに従って決定することができる材料の硬度によって定義される材料の部類である。例えば、超硬材料は、ビッカース硬度試験によって測定した時に40ギガパスカル(GPa)よりも大きい硬度値を有する材料を含む。本明細書に使用する場合に、超硬材料は、例えば、これらの硬度スケールのうちの1つ、例えば、ブリネル硬さに従って決定された場合に少なくとも炭化タングステンタイル及び/又は炭化タングステン超硬合金と同程度に硬質の材料を含む。当業者は、ブリネル硬さ試験を例えばASTM E10-14に従って実施することができ、ビッカース硬度試験を例えばASTM E384に従って実施することができ、ロックウェル硬度試験を例えばASTM E18に従って実施することができ、ヌープ硬度試験を例えばASTM E384に従って実施することができることは理解されるであろう。本明細書に開示する「超硬材料」は、炭化タングステン(例えば、タイル又は超硬合金)、浸透された炭化タングステンマトリックス、炭化珪素、窒化珪素、立方晶窒化ホウ素、及び多結晶ダイヤモンドを含むがこれらに限定されない。従って、一部の態様では、「ダイヤモンド反応材料」は、上述の硬度試験のうちの1つ、例えば、ブリネル硬さに従って決定された場合に超硬材料よりも軟質な(硬質ではない)、例えば、炭化タングステン(例えば、タイル又は超硬合金)よりも硬質ではない材料(例えば、金属、合金、複合材)で部分的又は全体的に構成される。当業者には理解されるように、硬度は、ASTM E10-14等に従ってブリネル硬さを用いて決定することができる。当業者には理解されるように、「超合金」は、高温に耐えることができる高強度合金である。
【0037】
係合面-本明細書に使用する場合に、「係合面」は、アセンブリの作動時に、アセンブリの2つの構成要素の間(例えば、固定子と回転子の間、スラスト面と対向スラスト面の間、又はカムとカム従動子の間)の接触をインタフェースするようにアセンブリの中(例えば、軸受アセンブリの中)に位置決め及び配置された材料(例えば、多結晶ダイヤモンド又はダイヤモンド反応材料)の面を意味する。本明細書では、「係合面」を特定の用途に依存して「軸受面」、「スラスト軸受面」、「軸方向軸受面」、「スラスト面」、「対向係合面」、又は他の面と呼ぶ場合もある。
【0038】
多結晶ダイヤモンド-一部の実施形態では、本明細書に開示する多結晶ダイヤモンド要素は、例えば、用途と係合カムの構成及び直径とに依存して3mm(約1.8’’)程度まで小さいか又は75mm(約3’’)程度まで大きい直径を有することができる。本明細書に開示する多結晶ダイヤモンド要素のうちの一部は、8mm(約5/16’’)から25mm(約1’’)までの直径を有することになる。当業者は、多結晶ダイヤモンド要素がこれらの特定のダイヤモンドに限定されず、特定の用途に依存してサイズ及び形状が異なる場合があることは理解されるであろう。一部の態様では、多結晶ダイヤモンド要素は、未浸出、浸出、浸出及び再充填、化学蒸着(CVD)被覆されたもの又は当業技術で公知の様々な手法で加工されたものである。ある一定の用途では、本明細書に開示する多結晶ダイヤモンド要素は、外側多結晶ダイヤモンド面と炭化タングステン支持スラグの間に高コバルト含有量の転移層を有する。一部の用途では、本明細書に開示する多結晶ダイヤモンド要素は、炭化タングステンによって支持されない場合があり、かつ直接に装着される(例えば、カム従動子本体又は軸受構成要素上に)実質的に「独立タイプ」の個別の多結晶ダイヤモンド本体とすることができる。多結晶ダイヤモンド要素が平坦面又はドーム形の多結晶ダイヤモンド要素である実施形態では、多結晶ダイヤモンド要素は、それ自体の軸線の周りに回転することが可能な方式で装着することができる。ダイヤモンド反応材料と面接触している間に自体の軸線の周りに自転回転する多結晶ダイヤモンド要素を可能にする方法の非限定例として、Shen他に付与された米国特許第8,881,849号明細書を参照されたい。
【0039】
本明細書に開示する多結晶ダイヤモンド要素は、一部の実施形態では対向係合面と正確に適合するようには成形されない。ある一定の実施形態では、多結晶ダイヤモンド要素の係合面の摺動インタフェース接触面積は、多結晶ダイヤモンド要素の全面積の80%よりも小さく、75%よりも小さく、70%よりも小さく、又は60%よりも小さい。本明細書に使用する場合に、係合面の「接触面積」は、対向係合面と接触している係合面の面積を意味する。
【0040】
多結晶ダイヤモンド要素は、円筒形で最も一般的に利用可能であるが、この出願の技術は、正方形、矩形、楕円形、図を参照して本明細書に説明する形状のうちのいずれか、又は当業技術で公知のいずれかの他の適切な形状である多結晶ダイヤモンド要素を用いて実施することができることは理解される。
【0041】
一部の態様では、多結晶ダイヤモンド要素には、エッジアール処理が施される。多結晶ダイヤモンド要素のエッジアール処理の当業技術は公知である。平面又は凹面の多結晶ダイヤモンド要素を使用するこの出願の技術の一部の実施形態では、そのような多結晶ダイヤモンド要素のエッジアール処理を使用することが好ましい。エッジアール処理を使用する1つの目的は、外側エッジが所与の多結晶ダイヤモンド要素と対向係合面(例えば、湾曲面)との直線係合区域の外側境界を切削又は掻削する可能性を低減又は回避することである。
【0042】
硬化及び未硬化材料及び面-本明細書に使用する場合に、「硬化材料」は、硬化が施され、その結果、少なくとも材料の面において材料の硬度の増大がもたらされた材料であり、この場合に、硬度は、ブリネル硬さ、ヌープ硬さ、及び/又はビッカース硬さによって決定される。すなわち、材料は、硬化を受ける前に第1の硬度を有し、硬化が施された後に第1の硬度よりも高い第2の硬度を有する。硬度増大は、材料にわたる場合があり、又は材料の1又は2以上の面のような材料の一部分のみの硬度増大である場合がある。本明細書のいずれかの他の箇所でより詳細に説明するように、材料を通して一様に又は材料の面に個別的にそのいずれかで材料の硬度を増大させるために様々な工程を使用することができる。下記でより詳細に説明する一部の例示的工程は、バニシ仕上げ及びショットピーニングのような冷間加工及び加工硬化の工程と、無心焼入れ、肌焼入れ、及びサブゼロ低温凍結処理のような熱処理工程とを含む。
【0043】
本明細書に使用する場合に、「未硬化材料」は、材料の硬度の増大が発生しないように硬化が施されなかった材料である。
【0044】
メッキ面、未メッキ面、被覆面、及び未被覆面-本明細書に使用する場合に、「メッキ面」及び「被覆面」は、それぞれメッキ又はコーティングが施され、その結果、面上にメッキ層又はコーティング層の存在がもたらされた面である。本明細書のいずれかの他の箇所でより詳細に説明するように、面にメッキ層又はコーティング層を付加するのに様々な工程を使用することができる。下記でより詳細に説明する一部の例示的工程は、クロムメッキを含む電解メッキ及び無電解メッキと、リン酸塩処理と、物理蒸着(PVD)及び化学蒸着(CVD)を含む蒸着と、陽極処理とを含む。
【0045】
本明細書に使用する場合に、「未メッキ面」及び「未被覆面」は、面がメッキ又はコーティングそれぞれを欠くようにメッキ又はコーティングそれぞれが施されなかった面である。
【0046】
クラッディング-本明細書に使用する場合に、「クラッド面」は、クラッディングが施され、その結果、面上にクラッディングの存在がもたらされた面である。本明細書のいずれかの他の箇所でより詳細に説明するように、面にクラッディングを付加するのに様々な工程を使用することができる。下記でより詳細に説明する一部の例示的工程は、ロールボンディングと、レーザクラッディングと、爆発溶接とを含む。
【0047】
本明細書に使用する場合に、「未クラッド面」は、面が、その上にクラッディングを欠くようにクラッディングが施されなかった面である。
【0048】
カム従動子
本発明の開示のある一定の態様は、カム従動子とカムアセンブリを含み、更に、これらを含む装置及びシステム、及びこれらの使用方法に関する。カム従動子は、固定カム従動子とすることができる。一部のそのような態様では、この固定カム従動子は、既存固定タイプカム従動子よりも低い摩擦係数を有する。
【0049】
本明細書に開示するカム従動子は、既存ローラー-タイプカム従動子よりも高い許容荷重を有することができる。従って、一部の態様では、本明細書に開示するカム従動子は、既存ローラー-タイプ従動子よりも堅固で長持ちをする。
【0050】
本発明の開示のある一定の態様によるカム従動子を、図1を参照して説明する。カム従動子105は、カム従動子本体104を含む。カム従動子本体104は、当業者に公知の様々な材料のうちのいずれかで構成することができる。カム従動子本体104は、第1の端部106と第2の端部108を有する。当業者は、カム従動子本体104が、図1に示す特定の形状に限定されず、特定の用途及び用法に依存して様々な他の適切な形状のうちのいずれかとすることができることは理解されるであろう。
【0051】
第2の端部108では、カム従動子本体104は、多結晶ダイヤモンドからなる多結晶ダイヤモンド要素102に結合されるか又はそれと一体である。一部の態様では、多結晶ダイヤモンド要素102は、炭化タングステンによって支持されるか又はされないかのいずれかである熱的安定多結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンド焼結体から構成される。
【0052】
多結晶ダイヤモンド要素102は、取付具103を通じてカム従動子本体104に取り付けられる。多結晶ダイヤモンド要素102は、糊付け、ろう付け、LSボンディング、圧入、又は当業技術で公知の別の取付手段又は取付方法を含むがこれらに限定されない様々な取付方法のうちのいずれかによってカム従動子本体104に取り付けることができる。
【0053】
多結晶ダイヤモンド要素102は、係合面101を含む。係合面101は、多結晶ダイヤモンド層とすることができる。係合面101は、図1に示すように、平坦面とすることができる。他の態様では、係合面101は平坦面ではない。一部の態様では、係合面101は、ラッピング又はポリッシングされ、任意的に高度にラッピング又は高度にポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素102の面である。少なくとも一部の用途では高度にポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素が好ましいが、本発明の開示の範囲は、高度にポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素に限定されず、高度にラッピング又はポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素を含む。一部の態様では、係合面101は、0.5μinから40μin、2μinから30μin、5μinから20μin、又は8μinから15μinの範囲である面仕上げ又はこれらの数値の間のいずれかの範囲の面仕上げを有する。
【0054】
多結晶ダイヤモンド要素102は、ほぼ円盤として成形されてカム従動子本体104の第2の端部108上に配置されたものとして示すが、当業者は、多結晶ダイヤモンド要素102は、その特定の用途及び用法に依存して様々な形状のうちのいずれかとすることができ、カム従動子本体104上に他の構成で配置することができることは理解されるであろう。
【0055】
カム従動子-アセンブリ
本発明の開示のある一定の態様は、カム(カム作動構成要素)に係合したカム従動子を含むカムアセンブリを含み、更に、これらを含む装置及びシステム、及びこれらの使用方法に関する。本発明の開示のある一定の態様によるカムアセンブリを、図2A図6を参照して説明する。図2A図6では、類似の参照番号が類似の要素を指示する。例えば、図1では例示的カム従動子を参照番号「105」を用いて示しており、図2A及び図2Bでは参照番号「205」を用いて示している。
【0056】
図2Aはカムアセンブリ200の等角投影図であり、図2Bはカムアセンブリ200の断面図である。図2A及び図2Bを参照すると、カムアセンブリ200はカム従動子205を含む。カム従動子105の場合と同様に、カム従動子205は、第1の端部206と第2の端部208とを有するカム従動子本体204を含み、多結晶ダイヤモンド要素202が取付具203を通じて第2の端部208でカム従動子本体204に結合される。カム従動子205の係合面201は、これらの図ではカム作動回転子として示すカム216の対向係合面211との摺動係合状態にある。図2Aにはカム216をカム作動回転子として示すが、当業者は、本明細書に開示するカムを様々な摺動構成要素又は回転構成要素のうちのいずれかとすることができることは理解されるであろう。
【0057】
一部の態様では、係合面201の全面に満たない一部しか対向係合面211に係合しないように、対向係合面211に係合した時に係合面201によって定義される平坦面が、対向係合面211によって定義される面に対してある角度にあることが可能である。本発明の開示の一態様により、係合面201は、平面多結晶ダイヤモンド要素の例証である。
【0058】
図2Bには、カム回転中心線を207に示している。カム216が回転中心線を207の周りに回転すると、対向係合面211は、係合面201に係合したままこの面を横断するように摺動移動する。対向係合面211及び任意的にカム106の全体は、ダイヤモンド反応材料で構成することができる。
【0059】
一部の態様では、対向係合面は、少なくとも2重量%のダイヤモンド反応材料、又は2重量%から100重量%、5重量%から95重量%、10重量%から90重量%、15重量%から85重量%、20重量%から80重量%、25重量%から75重量%、25重量%から70重量%、30重量%から65重量%、35重量%から60重量%、40重量%から55重量%、又は45重量%から50重量%のダイヤモンド反応材料を含むか又はこれらの重量%から構成される。
【0060】
図3は、本発明の開示の一態様による例示的平面多結晶ダイヤモンドカム従動子305を含むカムアセンブリ300の断面図である。本発明の開示の一態様により、カム従動子305は、例示的カム316のダイヤモンド反応材料との摺動係合状態にある。カム316が回転中心307の周りに回転すると、対向係合面311は、係合面301上で摺動移動する。
【0061】
図4は、カム416が回転中心407の周りに回転する間にカム416の対向係合面411との摺動係合状態にある係合面401を有するドーム形多結晶ダイヤモンド要素402を有するカム従動子405を含むカムアセンブリ400の断面図である。
【0062】
カム従動子-多結晶ダイヤモンド要素
本発明の開示のある一定の態様では、多結晶ダイヤモンド要素とカムの間のエッジ接触又はポイント接触の回避を提供することができる。例えば、カムローブ幾何学形状が、多結晶ダイヤモンドとの面接触のみが発生することになるようなものである場合に、インタフェース(すなわち、係合面と対向係合面の間の係合)に向けて平坦面多結晶ダイヤモンド要素を使用することができる。他の態様では、上述のものとは異なり、時により複雑なカムローブ幾何学形状は、ドーム形、半球形、卵形、円筒形、放物面形、鈍頭円錐形、先丸チゼル形、又は他の形態の多結晶ダイヤモンド要素のような別様に成形された多結晶ダイヤモンド要素を必要とする場合がある。多結晶ダイヤモンド要素の特定の形状に関わらず、多結晶ダイヤモンド要素は、当業技術で公知の方法を用いてラッピング又はポリッシングすることができる。図5を参照すると、係合面501がカム516の対向係合面511と接触しているカム従動子505が示されている。多結晶ダイヤモンド要素のエッジ又はポイント503は、対向係合面511との接触状態にない(すなわち、エッジ接触又はポイント接触が回避される)。
【0063】
カム従動子-固体潤滑剤ソース
ある一定の用途では、多結晶ダイヤモンド要素及び対向カム作動係合面と摺動的にインタフェースする多結晶ダイヤモンド要素の係合面は、固体潤滑剤ソースによって増強することができる。固体潤滑剤ソースは、例えば、ダイヤモンド反応材料の少なくとも一部を含む対向カム作動係合面と接触しており、付勢状態又は非付勢状態のいずれかにあるグラファイト又は六方晶窒化ホウ素の棒又は介在物とすることができるがこれらに限定されない。図6は、カムアセンブリ600が、対向係合面311と接触している固体潤滑剤ソース650を含むことを除いて図3と同じ例示的カムアセンブリ600を示している。
【0064】
カム従動子-対向係合面の処理
一部の態様では、ダイヤモンド反応材料の対向係合面には、炭素が事前飽和される(例えば、係合面との係合の前に)。そのような事前飽和は、多結晶ダイヤモンドの面のグラファイト化によって炭素を誘引するダイヤモンド反応材料の機能を低減する。ダイヤモンド反応材料面の事前飽和は、当業技術で公知のいずれかの方法によって達成することができる。
【0065】
一部の態様では、対向係合面は、ホウ化、窒化、又は肌焼入れされる。理論に縛られることなく、対向係合面のそのような処理は、この面の性能を改善すると考えられる。
【0066】
カム従動子-用途
本明細書に開示するカム従動子及びカムアセンブリは、ディーゼルエンジンと、ガソリンエンジンと、高性能な競走車エンジン及び競艇エンジンとを含むがこれらに限定されない内燃機関、掘削機械、様々な機械加工ツール等での高性能用途、並びに他の用途などを含む様々な用途のうちのいずれかに対して使用することができる。ある一定の態様では、本明細書に開示するカム従動子は、坑内環境のような苛酷な環境において信頼性の高い適用が可能な高性能カム従動子である。本明細書に開示するカム従動子は、採鉱環境、航空宇宙環境、非大気環境、暴風環境、又は農業環境を含むがこれらに限定されない無潤滑環境、多塵環境、及び/又は真空環境での適用が可能な高性能カム従動子とすることができる。
【0067】
ある一定の用途では、本明細書に開示するカム従動子は、グラファイト化、並びにそれに関連付けられた多結晶ダイヤモンド構成要素の摩耗及び不良の発生なくダイヤモンド反応材料との摺動係合状態で作動させることができる。
【0068】
ラジアル軸受
本発明の開示のある一定の態様は、ラジアル軸受及びラジアル軸受アセンブリ、及びこれらを含む装置及びシステムを含み、更にこれらの使用方法に関する。便宜上、以下の説明は、外側固定子構成要素と内側回転子構成要素を提供する。しかし、当業者は、本明細書に開示する例示的実施形態の各々では、内側構成要素を固定状態に保持することができ、外側構成要素を回転させることができることは理解されるであろう。更に、当業者は、本発明の開示の説明が回転子と固定子との構成に関するが、本明細書に開示する技術がそのような用途に限定されず、内輪と外輪とを有してこれらの両方が回転するか又はこれらの一方又は他方が固定状態に保持される個別の軸受を含む様々な他の用途において適用することができることは理解されるであろう。
【0069】
ラジアル軸受-多結晶ダイヤモンドとダイヤモンド反応材料とのインタフェース
一部の態様では、本発明の開示は、回転子と固定子間の係合をダイヤモンド反応材料と接触している多結晶ダイヤモンド要素を用いてインタフェースすることを規定する。例えば、多結晶ダイヤモンド要素は、回転子との摺動接触に向けて固定子上に位置決め及び配置することができ、この場合に、回転子は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成されるか又はそれを含む。これに代えて、多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む固定子との摺動接触に向けて回転子上に位置決め及び配置することができる。多結晶ダイヤモンド要素は、ダイヤモンド反応材料の対向係合面との係合のための係合面を有することができる。
【0070】
一部の態様では、対向係合面は、少なくとも2重量%のダイヤモンド反応材料、又は2重量%から100重量%、5重量%から95重量%、10重量%から90重量%、15重量%から85重量%、20重量%から80重量%、25重量%から75重量%、25重量%から70重量%、30重量%から65重量%、35重量%から60重量%、40重量%から55重量%、又は45重量%から50重量%のダイヤモンド反応材料を含むか又はこれらの重量%から構成される。
【0071】
ある一定の用途では、多結晶ダイヤモンド要素又は少なくともその係合面は、ラッピング又はポリッシングされ、任意的に高度にラッピング又は高度にポリッシングされる。少なくとも一部の用途では高度にポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素が好ましいが、本発明の開示の範囲は、高度にポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素に限定されず、高度にラッピング又はポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素を含む。
【0072】
ラジアル軸受-評価基準
図7は、この出願の技術を乾燥した無潤滑環境に対して使用するための評価基準の象徴的な一般化セットのフローチャート700を示している。ボックス701に示すように、最初に、当該用途での最大摺動速度が10.5m/sよりも低いかが評価される。本明細書に使用する場合に、「摺動インタフェース速度」とも呼ぶ「摺動速度」は、接触している2つの構成要素が互いに対して移動する速度(例えば、固定子と接触している回転子が固定子に対して移動する速度)である。
【0073】
最大摺動速度が10.5m/sよりも低くないと決定された場合に、次いで、ボックス702に示すように、評価ターゲット用途が、摺動速度が高すぎるという理由からダイヤモンド反応材料との摺動係合での多結晶ダイヤモンド要素の使用に適する候補ではないと決定される。当業者は、潤滑環境又は湿潤環境では、摺動インタフェース速度が、乾燥無潤滑環境内よりも大きく高い可能性がある(本明細書での評価が行われる場合に)ことは理解されるであろう。
【0074】
最大摺動速度が10.5m/sよりも低いと決定された場合に、次いで、ボックス703に示すように、目下の特定の用途に依存して多結晶ダイヤモンド要素の構成(例えば、形状、サイズ、及び配置)が選択される。ボックス703は、様々な軸受構成でのダイヤモンド反応材料との摺動係合のための様々な非限定的多結晶ダイヤモンド要素構成を示している。例えば、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む円筒形回転子に係合する固定子上に使用するために平面多結晶ダイヤモンド要素を選択することができ、又は少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む円筒形回転子に係合する固定子上に使用するために凸面多結晶ダイヤモンド要素を選択することができ、又は少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む円筒形回転子に係合する固定子上に使用するために凹面又は少なくとも若干凹面の面を有する多結晶ダイヤモンド要素を選択することができ、又は少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む円筒形固定子に係合する回転子上に使用するために凸面又は少なくとも若干凸面の面を有する多結晶ダイヤモンド要素を選択することができ、又は少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む溝付き回転子に係合する固定子上に使用するためにチゼル形多結晶ダイヤモンド要素を選択することができ、又は少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む溝付き回転子に係合する固定子上に使用するためにドーム形又は半球形の多結晶ダイヤモンド要素を選択することができ、又は少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む円錐形回転子に係合する円錐形固定子上に使用するために平面多結晶ダイヤモンド要素を選択することができ、又は少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む円錐形回転子に係合する円錐形固定子上に使用するために凸面又は少なくとも若干凸面の面を有する多結晶ダイヤモンド要素を選択することができ、又は少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む円錐形固定子に係合する円錐形回転子上に使用するために凸面又は少なくとも若干凸面の面を有する多結晶ダイヤモンド要素を選択することができ、又は少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む円錐形回転子に係合する円錐形固定子上に使用するために凹面又は少なくとも若干凹面の面を有する多結晶ダイヤモンド要素を選択することができ、又は少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む球形固定子に係合する球形回転子上に使用するために凹面又は少なくとも若干凹面の面を有する多結晶ダイヤモンド要素を選択することができ、又は少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む球形回転子に係合する球形固定子上に使用するために平面、凸面、又は少なくとも若干凸面の面を有する多結晶ダイヤモンド要素を選択することができる。当業者は、本発明の開示がこれらの特定の選択形状及び選択輪郭に限定されないこと、並びに回転子、固定子、多結晶ダイヤモンド要素、及び他の用途独特の構成要素の面輪郭を含む形状が特定の用途に依存して異なる場合があることは理解されるであろう。
【0075】
ボックス703に示すように構成を選択した後に、多結晶ダイヤモンド要素毎の最大接触圧力が計算される。ボックス704に示すように、多結晶ダイヤモンド要素毎の最大接触圧力は、多結晶ダイヤモンド要素の個数と、半径方向荷重、軸荷重、曲げ荷重、又は他の荷重を含む予想荷重とに基づいて計算される。最大接触圧力は、当業者に公知の方法によって決定することができる。
【0076】
多結晶ダイヤモンド要素毎の最大接触圧力の計算の後に、ボックス705に示すように、計算された多結晶ダイヤモンド要素毎の最大接触圧力に安全係数が乗じられる。ボックス704において決定された最高圧力よりも高いか又は超える安全係数の適用は、例えば、設計者の自由裁量で設定して適用することができる。従って、安全係数は、適用された場合に、多結晶ダイヤモンド要素毎の最大接触圧力に対して多結晶ダイヤモンド要素毎の低い圧力を指定する。
【0077】
ボックス706では、計算された最高圧力が装置の予想サイクル数に対する許容可能最高圧力よりも低いかが決定される。当業者には理解されるように、ダイヤモンド反応材料の疲労は制限ファクタである。荷重は、ダイヤモンド/ダイヤモンド反応材料(例えば、金属)インタフェースにかかる。アセンブリ内のPDC要素が多いほど、金属に対する瞬間荷重は低い。ボックス706において決定を行うことを容易にするために、S-N曲線(接触応力対サイクル数)を使用することができる。
【0078】
ボックス706において計算された圧力が許容可能最高圧力を下回わらないことが決定される度に、ボックス707に示すように、ボックス703で選択される設計構成に追加の多結晶ダイヤモンド要素が配置される。これらの追加の多結晶ダイヤモンド要素が配置された後に、それによって修正された設計構成がボックス704及び705の度に評価され、その後に、再度ボックス706の基準によって決定される。
【0079】
ボックス706において計算された圧力が許容可能最高圧力を下回わっていることが決定される度に、ボックス708に示すように、先行ボックス701~706によって必要とされることが示された少なくとも最小個数の多結晶ダイヤモンド要素をボックス703の選択設計構成の構成要素上に配置することによって(例えば、最小個数の多結晶ダイヤモンド要素を固定子又は回転子の上に取り付ける)提案設計構成を提供する。
【0080】
ボックス709では、ボックス708の度に、最小個数の多結晶ダイヤモンド要素がボックス703の選択構成上に収まることになるかが決定される。最小個数の多結晶ダイヤモンド要素がボックス703の選択構成上に収まることになると決定された場合に、ボックス110に示すように、回転子及び固定子内に軸受アセンブリが製造される。最小個数の多結晶ダイヤモンド要素がボックス703の選択構成上に収まることにはならないと決定された場合に、ボックス703の選択構成が、ダイヤモンド反応材料との摺動係合状態での多結晶ダイヤモンド要素の使用に適する候補ではないとボックス702の度に決定される。
【0081】
軸受構成の設計者は、必要最小個数の多結晶ダイヤモンド要素が初期選択される設計構成上に収まることにはならない場合にボックス703から代替軸受構成を選択する任意オプション(図示せず)を有することも考えられる。これに代えて、必要とされる多結晶ダイヤモンド要素の最小個数を低減するために安全係数を引き下げることができる。当業者は、図7に示す基準が例示的なものに過ぎないこと、及び特定の用途に依存して他の基準を評価することができること、並びに少なくとも一部の用途では図7に示す基準のうちの一部を本発明の開示の範囲から逸脱することなく除外することができることは理解されるであろう。
【0082】
様々な例示的な回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリを、図8A図19Bを参照して以下に説明する。図8A図19Bでは、類似の参照番号が類似の要素を指示する。例えば、例示的アセンブリを図8A及び図8Bでは参照番号「800」を用いて示し、図9A及び図9Bでは参照番号「900」を用いて示している。
【0083】
ラジアル軸受-平面多結晶ダイヤモンド要素を有する固定子
図8Aは、回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの部分側面図であり、図8Bは、図8Aの回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリの線A-Aに沿って取った断面図である。図8A図8Bの両方を参照して、回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリ800を以下に説明する。
【0084】
回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリ800は、回転子803に係合した固定子802を含む。固定子802と回転子803の間の摺動係合を規定するために4つの平面多結晶ダイヤモンド要素801が固定子802の中に嵌合され、この場合に、回転子803は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成されるか又はそれを含む。多結晶ダイヤモンド要素801は、固定子802内で、固定子本体811内に形成された及び/又はその中に配置されたポートである装填ポート804の中に配置(例えば、機械的に嵌合)される。例えば、限定することなく、各多結晶ダイヤモンド要素801は、当業者に公知の方法によって固定子802(又は他の用途では回転子)上に圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。当業者は、本発明の開示がこれらの特定の取付方法又は固定子本体内のポートの使用に限定されないこと、及び様々な方法のうちのいずれかによって多結晶ダイヤモンド要素を固定子又は回転子に取り付けることができることは理解されるであろう。更に、均一に離間した平面多結晶ダイヤモンド要素を含むものとして示すが、当業者は、多結晶ダイヤモンド要素の個数、間隔、装備、形状、及びサイズが、図7に示す基準を含むがこれに限定されないいずれかの個数の様々な設計基準に依存して異なる場合があることは理解されるであろう。一部の態様では、多結晶ダイヤモンド要素は、炭化タングステンによって支持されるか又はされないかのいずれかである熱的安定多結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンド焼結体から構成される。
【0085】
各多結晶ダイヤモンド要素801は係合面813(この図では平坦面として示す)を含み、回転子803は対向係合面815を含む。多結晶ダイヤモンド要素801は、作動中に回転子803の横方向移動を制限し、一方で回転子803の自由な摺動回転を許すように回転子803との確実な接触状態で固定子802上に配備される。多結晶ダイヤモンド要素801は、係合面813が対向係合面815との接触(例えば、摺動接触)状態になるように位置決め及び配置される。すなわち、係合面813と対向係合面815は、回転子803と固定子802の間の摺動接触をインタフェースする。
【0086】
図8A及び図8Bは、坑内のポンプ又はモータに使用されるように考えられるような回転子及び固定子を示している。しかし、当業者は、他の用途のためのラジアル軸受、並びに個別のラジアル軸受を本発明の開示による同じか又は類似の方式で設計及び製造することができることは理解されるであろう。そのような個別の軸受に対する非限定的な近位寸法及び遠位寸法を図8Aに示す破線805に示している。図8Bに示すように、任意的に、例えば、個別の軸受に使用することができる貫通ボア807が回転子803内に設けられる。図8Bで明らかなように、多結晶ダイヤモンド要素801は、回転子803を半径方向に支持し、摺動係合を規定するように固定子802に配備される。
【0087】
図8A及び図8Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素801を含むアセンブリを示すが、当業者は、特定の用途及び構成、例えば、固定子又は回転子上でそのような多結晶ダイヤモンド要素に利用可能な空間に基づいて、3つの多結晶ダイヤモンド要素のような4よりも少ない多結晶ダイヤモンド要素、又は4よりも多い多結晶ダイヤモンド要素を使用することができることは理解されるであろう。更に、図8A及び図8Bは多結晶ダイヤモンド要素801の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び横方向荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを固定子(又は回転子)に配置することができることは理解されるであろう。
【0088】
ラジアル軸受-凸面多結晶ダイヤモンド要素を有する固定子
図9A及び図9Bは、多結晶ダイヤモンド要素901が図8A及び図8Bの平坦な平面係合面ではなく凸面係合面913を有することを除いて図8A及び図8Bと実質的に類似の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリ900を示している。
【0089】
図9A及び図9Bを参照すると、回転子と固定子とのラジアル軸受900は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む回転子903との摺動係合を規定するために固定子902の固定子本体911の中に嵌合された凸面多結晶ダイヤモンド要素901を含む。多結晶ダイヤモンド要素901は、装填ポート904を通じて固定子902に配置され、当業者に公知の方法を用いて圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。多結晶ダイヤモンド要素901は、作動中に回転子903の横方向移動を制限し、一方で回転子903の自由な摺動回転を許すような回転子903との確実な接触位置に置かれる。図9Bから明らかなように、多結晶ダイヤモンド要素901は、回転子903を半径方向に支持し、それとの摺動係合を規定するように固定子902に配備される。図9Bは、個別の軸受に対して使用することができるような任意的な貫通ボア907も示している。
【0090】
図9A及び図9Bは、坑内のポンプ又はモータに使用されるように考えられるような回転子及び固定子を示すが、個別のラジアル軸受アセンブリを含む他のアセンブリを同じか又は実質的に同じ手法で設計及び製造することができる。そのような個別の軸受に対する非限定的な近位寸法及び遠位寸法を破線905に示している。更に、図9A及び図9Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素901を示すが、当業者は、より少ない(例えば、3つ)又はより多くの多結晶ダイヤモンド要素を固定子902に配置することができることは理解されるであろう。更に、図9A及び図9Bは多結晶ダイヤモンド要素901の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び横方向荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを固定子に配置することができることは理解されるであろう。
【0091】
アセンブリ800の場合と同様に、作動時に、係合面913は、対向係合面915とインタフェースして回転子903と固定子902の間の荷重を担持する。
【0092】
凹面多結晶ダイヤモンド要素を有する固定子
図10A及び図10Bは、多結晶ダイヤモンド要素1001が図8A及び図8Bの平坦な平面係合面又は図9A及び図9Bの凸面係合面ではなく凹面又は少なくとも若干凹面の係合面1013を有することを除いて図8A図9Bと実質的に類似の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリ1000を示している。
【0093】
回転子1003との摺動係合を規定するために、若干凹面の多結晶ダイヤモンド要素1001が固定子1002の固定子本体1011の中に嵌合される。多結晶ダイヤモンド要素1001は、装填ポート1004を通じて固定子1002に配備される。多結晶ダイヤモンド要素1001は、当業者に公知の方法を用いて圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。多結晶ダイヤモンド要素1001は、作動中に回転子1003の横方向移動を制限し、一方で回転子1003の自由な摺動回転を許すような回転子1003との確実な接触位置に置かれる。
【0094】
アセンブリ900の場合と同様に、作動時に、係合面1013は、対向係合面1015とインタフェースして回転子1003と固定子1002の間の荷重を担持する。各多結晶ダイヤモンド要素1001の少なくとも僅かな凹面は、凹面の軸線により、回転子1003の周方向回転と一致して向けが決められ、それによって多結晶ダイヤモンド要素1001と回転子1003の間にエッジ接触がないことを保証し、多結晶ダイヤモンド要素1001と回転子1003の間でほぼ凹面の最深部分による線形面接触を規定する。すなわち、多結晶ダイヤモンド要素1001と回転子1003の間の係合は、多結晶ダイヤモンド要素1001のエッジ又はポイント1017が回転子1003と接触しないように係合面1013と対向係合面1015とによってのみインタフェースされる。従って、多結晶ダイヤモンド要素1001と回転子1003の間には線形面接触のみが発生し、エッジ接触又はポイント接触は発生しない。図10Bから明らかなように、多結晶ダイヤモンド要素1001は、回転子1003を半径方向に支持し、それとの摺動係合を規定するように固定子1002に配備される。図10Bは、個別の軸受に対して使用することができるような任意的な貫通ボア1007も示している。
【0095】
図10A及び図10Bは、坑内のポンプ又はモータに使用されるように考えられるような回転子及び固定子を示すが、個別のラジアル軸受アセンブリを含むアセンブリを同じか又は実質的に同じ手法で設計及び製造することができる。そのような個別の軸受に対する非限定的な近位寸法及び遠位寸法を破線1005に示している。更に、図10A及び図10Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素1001を示すが、当業者は、より少ない(例えば、3つ)又はより多くの多結晶ダイヤモンド要素を固定子1002に配置することができることは理解されるであろう。更に、図10A及び図10Bは多結晶ダイヤモンド要素1001の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び横方向荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを固定子に配置することができることは理解されるであろう。
【0096】
ラジアル軸受-凸面多結晶ダイヤモンド要素を有する回転子
図11A及び図11Bは、凸面ドーム形の係合面1113を有する多結晶ダイヤモンド要素1101が固定子上ではなく回転子1103上に設けられていることを除いて図9A及び図9Bと実質的に類似の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリ1100を示している。
【0097】
少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む固定子1102との摺動係合を規定するために、凸面の多結晶ダイヤモンド要素1101が回転子1103の回転子本体1123の中に嵌合される。多結晶ダイヤモンド要素1101は、回転子1103内で、回転子本体1123内に形成された及び/又は配置されたソケット1104に配備される。多結晶ダイヤモンド要素1101は、当業者に公知の方法を用いて圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。多結晶ダイヤモンド要素1101は、作動中に回転子1103の横方向移動を制限し、一方で回転子1103の自由な摺動回転を許すような固定子1102に対する確実な接触位置に置かれる。図11Bから明らかなように、多結晶ダイヤモンド要素1101は、固定子1102を半径方向に支持し、それとの摺動係合を規定するように回転子1103に配備される。図11Bは、個別の軸受に対して使用することができるような任意的な貫通ボア1107も示している。
【0098】
図11A及び図11Bは、坑内のポンプ又はモータに使用されるように考えられるような回転子及び固定子を示すが、個別のラジアル軸受アセンブリを含む他のアセンブリを同じか又は実質的に同じ手法で設計及び製造することができる。そのような個別の軸受に対する非限定的な近位寸法及び遠位寸法を破線1105に示している。更に、図11A及び図11Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素1101を示すが、当業者は、より少ない(例えば、3つ)又はより多くの多結晶ダイヤモンド要素を回転子1103に配置することができることは理解されるであろう。更に、図11A及び図11Bは多結晶ダイヤモンド要素1101の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び横方向荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを回転子に配置することができることは理解されるであろう。
【0099】
上述のように、図8A図10Bに図示の実施形態とは反対に、図11A及び図11Bに図示の実施形態では、係合面1113は回転子1103上にあり、対向係合面1115は固定子1102上の。
【0100】
ラジアル軸受-チゼル形多結晶ダイヤモンド要素を有する固定子
図12A及び図12Bは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む回転子1203との摺動係合を規定するために固定子1202の固定子本体1211の中に嵌合されたチゼル形多結晶ダイヤモンド要素1201を有する回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリ1200を示している。多結晶ダイヤモンド要素1201は、固定子本体1211内に形成及び/又は配置された装填ポート1204を通じて固定子1202に配備される。多結晶ダイヤモンド要素1201は、当業者に公知の方法を用いて圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。
【0101】
多結晶ダイヤモンド要素1201は、作動中に回転子1203の横方向移動及び軸方向移動を制限し、一方で回転子1203の自由な摺動回転を許すような回転子1203の半径方向/スラスト面溝1206内の確実な接触位置に置かれる。チゼル形多結晶ダイヤモンド要素1201は、回転子1203の嵌合半径方向/スラスト面溝1206の中に摺動的に係合するように位置決め、配置、成形、サイズ決定し、及び向けられる。チゼル形多結晶ダイヤモンド要素1201は、対向係合面、この場合は半径方向/スラスト面溝1206の面との接触状態でインタフェースする係合面(チゼル形多結晶ダイヤモンド要素1201によって定義された)を含む。図12Bから明らかなように、チゼル形多結晶ダイヤモンド要素1201は、回転子1203を半径方向及び軸方向に支持し、それとの摺動係合を規定するように固定子1202に配備される。図12Bは、個別の軸受に対して使用することができるような任意的な貫通ボア1207も示している。図12A及び図12Bに図示の実施形態は、回転子係止具として更に機能することができる。
【0102】
図12A及び図12Bは、坑内のポンプ又はモータに使用されるように考えられるような回転子及び固定子を示すが、個別のラジアル軸受アセンブリを含む他のアセンブリを同じか又は実質的に同じ手法で設計及び製造することができる。そのような個別の軸受に対する非限定的な近位寸法及び遠位寸法を破線1205に示している。更に、図12A及び図12Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素1201を示すが、当業者は、より少ない(例えば、3つ)又はより多くの多結晶ダイヤモンド要素1201を固定子1202に配置することができることは理解されるであろう。更に、図12A及び図12Bは多結晶ダイヤモンド要素1201の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び軸方向支持、並びに横方向荷重受容機能及び軸荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを固定子に配置することができることは理解されるであろう。
【0103】
ドーム形又は半球形の多結晶ダイヤモンド要素を有する固定子
図13A及び図13Bは、多結晶ダイヤモンド要素1301がチゼル形多結晶ダイヤモンド要素ではなくドーム形又は半球形の係合面1313を有することを除いて図13A及び図13Bと実質的に類似の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリ1300を示している。
【0104】
回転子1303との摺動係合を規定するために、ドーム形又は半球形の多結晶ダイヤモンド要素1301が固定子1302の固定子ハウジング1311の中に嵌合される。多結晶ダイヤモンド要素1301は、固定子本体1311内に形成及び/又は配置された装填ポート1304を通じて固定子1302に配備される。多結晶ダイヤモンド要素1301は、当業者に公知の方法を用いて圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。多結晶ダイヤモンド要素1301は、作動中に回転子1303の横方向移動及び軸方向移動を制限し、一方で回転子1303の自由な摺動回転を許すような回転子1303の半径方向/スラスト面溝1306に対する確実な接触位置に置かれる。ドーム又は半球の多結晶ダイヤモンド要素1301は、回転子1303の嵌合半径方向/スラスト面溝1306に摺動係合する。ドーム又は半球の多結晶ダイヤモンド要素1301は、対向係合面、この場合は半径方向/スラスト面溝1306の面との接触をインタフェースする係合面を定める。図13Bから明らかなように、ドーム又は半球の多結晶ダイヤモンド要素1301は、回転子1303を半径方向及び軸方向に支持してそれとの摺動係合を規定するように固定子1302に配備される。図13Bは、個別の軸受に対して使用することができるような任意的な貫通ボア1307も示している。図13A及び図13Bに図示の実施形態は、回転子係止具として更に機能することができる。
【0105】
図13A及び図13Bは、坑内のポンプ又はモータに使用されるように考えられるような回転子及び固定子を示すが、個別のラジアル軸受アセンブリを含む他のアセンブリを同じか又は実質的に同じ手法で設計及び製造することができる。そのような個別の軸受に対する非限定的な近位寸法及び遠位寸法を破線1305に示している。更に、図13A及び図13Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素1301を示すが、当業者は、より少ない(例えば、3つ)又はより多くの多結晶ダイヤモンド要素を固定子1302に配置することができることは理解されるであろう。更に、図13A及び図13Bは多結晶ダイヤモンド要素の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び軸方向支持、並びに横方向荷重受容機能及び軸荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを固定子に配置することができることは理解されるであろう。
【0106】
ラジアル軸受-平面多結晶ダイヤモンド要素を有する固定子
図14A及び図14Bは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む回転子1403との摺動係合を規定するために固定子1402の固定子本体1411の中に嵌合された平面多結晶ダイヤモンド要素1401を含む回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリ1400を示している。多結晶ダイヤモンド要素1401は、固定子本体1411内に形成及び/又は配置された装填ポート1404を通じて固定子1402に配備される。多結晶ダイヤモンド要素1401は、当業者に公知の方法を用いて圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。
【0107】
多結晶ダイヤモンド要素1401は、作動中に回転子1403の横方向移動及び上向き軸方向移動を制限し、一方で回転子1403の自由な摺動回転を許すような回転子1403の半径方向/スラスト円錐面1406に対する確実な接触位置に置かれる。
【0108】
平面多結晶ダイヤモンド要素1401は、係合面1413が対向係合面1406に接触してインタフェースするように回転子1403の嵌合半径方向/スラスト円錐面に摺動係合する。図14Bから明らかなように、多結晶ダイヤモンド要素1401は、回転子1403を半径方向及び軸方向に支持してそれとの摺動係合を規定するように固定子1402に配備される。
【0109】
図14A及び図14Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素1401を示すが、当業者は、より少ない(例えば、3つ)又はより多くの多結晶ダイヤモンド要素を固定子1402に配置することができることは理解されるであろう。更に、図14A及び図14Bは多結晶ダイヤモンド要素1401の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び軸方向支持、並びに横方向荷重受容機能及び軸荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを固定子に配置することができることは理解されるであろう。
【0110】
ラジアル軸受-凸面多結晶ダイヤモンド要素を有する固定子
図15A及び図15Bは、多結晶ダイヤモンド要素1501が平面係合面ではなく凸面の係合面1513を有することを除いて図14A及び図14Bと実質的に類似の回転子及び固定子ラジアル軸受アセンブリ1500を示している。
【0111】
回転子1503との摺動係合を規定するために、凸面の多結晶ダイヤモンド要素1501が固定子1502の固定子本体1511の中に嵌合される。多結晶ダイヤモンド要素1501は、固定子本体1511内に形成及び/又は配置された装填ポート1504を通じて固定子1502に配備される。多結晶ダイヤモンド要素1501は、当業者に公知の方法を用いて圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。
【0112】
凸面多結晶ダイヤモンド要素1501は、作動中に回転子1503の横方向移動及び上向き軸方向移動を制限し、一方で回転子1503の自由な摺動回転を許すような回転子1503の半径方向/スラスト円錐面1506との確実な接触位置に置かれる。多結晶ダイヤモンド要素1501は、係合面1513が対向係合面1506に接触してインタフェースするように回転子1503の嵌合半径方向/スラスト円錐面に摺動係合する。
【0113】
図15Bから明らかなように、凸面多結晶ダイヤモンド要素1501は、回転子1503を半径方向及び軸方向に支持してそれとの摺動係合を規定するように固定子1502に配備される。
【0114】
図15A及び図15Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素1501を示すが、当業者は、より少ない(例えば、3つ)又はより多くの多結晶ダイヤモンド要素を固定子1502に配置することができることは理解されるであろう。更に、図15A及び図15Bは多結晶ダイヤモンド要素1501の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び軸方向支持、並びに横方向荷重受容機能及び軸荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを固定子に配置することができることは理解されるであろう。
【0115】
ラジアル軸受-凸面多結晶ダイヤモンド要素を有する回転子
図16A及び図16Bは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む固定子1602との摺動係合を規定するために回転子1603の回転子本体1623の中に嵌合された凸面多結晶ダイヤモンド要素1601を含む回転子及び固定子半径方向及びスラスト軸受アセンブリ1600を示している。多結晶ダイヤモンド要素1601は、回転子本体1623内に形成された及び/又は配置されたソケット1604に回転子1603内で配備される。多結晶ダイヤモンド要素1601は、当業者に公知の方法を用いて圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。
【0116】
凸面多結晶ダイヤモンド要素1601は、作動中に回転子1603の横方向移動及び上向き軸方向移動を制限し、一方で回転子1603の自由な摺動回転を許すような固定子1602の半径方向/スラスト円錐面1606内の確実な接触位置に置かれる。凸面多結晶ダイヤモンド要素1601は、係合面1613が対向係合面1606に接触してインタフェースするように固定子1602の嵌合半径方向/スラスト円錐面に摺動係合する。図16Bから明らかなように、凸面多結晶ダイヤモンド要素1601は、ターゲット材料の固定子1602を半径方向及び軸方向に支持してそれとの摺動係合を規定するように回転子1603に配備される。
【0117】
図16A及び図16Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素1601を示すが、当業者は、より少ない(例えば、3つ)又はより多くの多結晶ダイヤモンド要素を回転子1603に配置することができることは理解されるであろう。更に、図16A及び図16Bは多結晶ダイヤモンド要素1601の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び軸方向支持、並びに横方向荷重受容機能及び軸荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを回転子に配置することができることは理解されるであろう。
【0118】
ラジアル軸受-平面多結晶ダイヤモンド要素を有する固定子
図17A及び図17Bは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む回転子1703との摺動係合を規定するために固定子1702の固定子本体1711の中に嵌合された凹面又は少なくとも若干凹面の多結晶ダイヤモンド要素1701を含む回転子及び固定子半径方向及びスラスト軸受アセンブリ1700を示している。多結晶ダイヤモンド要素1701は、固定子1702を貫通するように形成及び/又は配置された装填ポート1704を通じて固定子1702に配備される。多結晶ダイヤモンド要素1701は、当業者に公知の方法を用いて圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。
【0119】
多結晶ダイヤモンド要素1701は、作動中に回転子1703の横方向移動及び上向き軸方向移動を制限し、一方で回転子1703の自由な摺動回転を許すような回転子1703の半径方向/スラスト円錐面1706内の確実な接触位置に置かれる。多結晶ダイヤモンド要素1701は、凹面の軸線により、回転子1703の周方向回転と一致して向けられ、従って、ほぼ凹面の最深部分による線形面接触に限られることを保証する。若干凹面の多結晶ダイヤモンド要素1701は、係合面1713が対向係合面1706に接触してインタフェースするように回転子1703の嵌合半径方向/スラスト円錐面に摺動係合する。
【0120】
図17Bから明らかなように、若干凹面の多結晶ダイヤモンド要素1701は、回転子1703を半径方向及び軸方向に支持してそれとの摺動係合を規定するように固定子1702に配備される。
【0121】
図17A及び図17Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素1701を示すが、当業者は、より少ない(例えば、3つ)又はより多くの多結晶ダイヤモンド要素を固定子1702に配置することができることは理解されるであろう。更に、図17A及び図17Bは多結晶ダイヤモンド要素1701の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び軸方向支持、並びに横方向荷重受容機能及び軸荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを固定子に配置することができることは理解されるであろう。
【0122】
ラジアル軸受-凸面多結晶ダイヤモンド要素を有する回転子
図18A及び図14Bは、固定子1802との摺動係合を規定するために回転子1803の回転子本体1823の中に嵌合された凸面多結晶ダイヤモンド要素1801を含む回転子及び固定子半径方向及びスラスト軸受アセンブリ1800を示している。多結晶ダイヤモンド要素1801は、回転子本体1823内に形成された及び/又は配置されたソケット1804に回転子1803内で配備される。多結晶ダイヤモンド要素1801は、当業者に公知の方法を用いて圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。
【0123】
凸面多結晶ダイヤモンド要素1801は、作動中に回転子1803の横方向移動及び上向き軸方向移動を制限し、一方で回転子1803の自由な摺動回転を許すような固定子1802の半径方向/スラスト凹面湾曲面1806内の確実な接触位置に置かれる。凸面多結晶ダイヤモンド要素1801は、係合面1813が半径方向/スラスト凹面湾曲面1806に係合するように固定子1802の嵌合半径方向/スラスト凹面湾曲面に摺動係合する。図18A及び図18Bの実施形態では、半径方向/スラスト凹面湾曲面1806は、対向係合面であるか又はそれを形成する。アセンブリ1800では、凸面多結晶ダイヤモンド要素1801上の接触区域はほぼ円形である。しかし、当業者は、多結晶ダイヤモンド要素がそのような接触区域を有することに限定されないことは理解されるであろう。
【0124】
図18Bから明らかなように、凸面多結晶ダイヤモンド要素1801は、固定子1802を半径方向及び軸方向に支持してそれとの摺動係合を規定するように回転子1803に配備される。
【0125】
図18A及び図18Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素1801を示すが、当業者は、より少ない(例えば、3つ)又はより多くの多結晶ダイヤモンド要素を回転子1803に配置することができることは理解されるであろう。更に、図18A及び図18Bは多結晶ダイヤモンド要素1801の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び軸方向支持、並びに横方向荷重受容機能及び軸荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを回転子に配置することができることは理解されるであろう。
【0126】
ラジアル軸受-平面多結晶ダイヤモンド要素を有する固定子
図19A及び図19Bは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む回転子1903との摺動係合を規定するために固定子1902の固定子本体1911の中に嵌合された平面(又はドーム形、図示していない)多結晶ダイヤモンド要素1901を含む回転子及び固定子半径方向及びスラスト軸受アセンブリ1900の部分側面図を示している。多結晶ダイヤモンド要素1901は、固定子本体1911内に形成及び/又は配置された装填ポート1904を通じて固定子1902に配備される。多結晶ダイヤモンド要素1901は、当業者に公知の方法を用いて圧入、糊付け、ろう付け、ネジ止め、又は他に装着することができる。
【0127】
多結晶ダイヤモンド要素1901は、作動中に回転子1903の横方向移動及び上向き軸方向移動を制限し、一方で回転子1903の自由な摺動回転を許すような回転子1903の半径方向/スラスト凸面湾曲面1906との確実な接触位置に置かれる。半径方向/スラスト凸面湾曲面1906は、対向係合面であるか又はそれを形成する。多結晶ダイヤモンド要素1901は、係合面1913が対向係合面(すなわち、半径方向/スラスト凸面湾曲面1906)に係合するように回転子1903の半径方向/スラスト凸面湾曲面1906に摺動係合する。アセンブリ1900では、平面又はドーム形の多結晶ダイヤモンド要素上の接触区域は、典型的には円形である。しかし、当業者は、多結晶ダイヤモンド要素が異なる接触区域を有することができることは理解されるであろう。
【0128】
図19Bから明らかなように、平面多結晶ダイヤモンド要素1901は、回転子1903を半径方向及び軸方向に支持してそれとの摺動係合を規定するように固定子1902に配備される。
【0129】
図19A及び図19Bは4つの多結晶ダイヤモンド要素1901を示すが、当業者は、より少ない(例えば、3つ)又はより多くの多結晶ダイヤモンド要素を固定子1902に配置することができることは理解されるであろう。更に、図19A及び図19Bは多結晶ダイヤモンド要素1901の単一の周方向セットを示すが、当業者は、軸受アセンブリの横方向支持及び軸方向支持、並びに横方向荷重受容機能及び軸荷重受容機能を高めるために多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の追加の周方向セットを固定子に配置することができることは理解されるであろう。
【0130】
図8A図19Bに照らして明らかであるように、本発明の開示の一部の態様は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む湾曲面又は円筒面との摺動係合状態にある多結晶ダイヤモンド要素を組み込んだ高性能ラジアル軸受を含む。一部のそのような態様は、回転子を含むダイヤモンド反応材料が、固定子上に装着された好ましくは3又は4以上の多結晶ダイヤモンド要素との摺動接触状態に入れられる高性能ラジアル軸受を含む。固定子の多結晶ダイヤモンド要素は、好ましくは平面であるが、若干凹面、凸面、又はこれら3つのあらゆる組合せとすることができる。固定子の多結晶ダイヤモンド要素の面輪郭は、固定子の周方向の湾曲に整合する必要はなく、好ましくは整合しない。3又は4以上の多結晶ダイヤモンド要素が好ましいが、この出願の技術は、水平に向けられた容積型ポンプ内の固定子の重力的に低い側又は傾斜掘りアセンブリの掻削側の反対側で摩耗及び摩擦を低減するために多結晶ダイヤモンド要素が使用される場合等では1つ又は2つ程度の少ない多結晶ダイヤモンド要素を用いて実施することができる。
【0131】
ある一定の用途では、本明細書に開示する軸受アセンブリは、スラスト荷重に耐えるように構成される。本明細書に開示する軸受アセンブリの少なくとも一部の実施形態は、半径方向荷重とスラスト荷重の両方の成分に同時に対応する機能を有する。
【0132】
本明細書に開示する軸受アセンブリの少なくとも一部の実施形態は、採算に見合う比較的大きい直径のものである。
【0133】
ラジアル軸受-PCD要素の形状、サイズ、及び配置
一部の用途では、ラジアル軸受は、固定子(又は回転子)と摺動接触している回転子(又は固定子)上に装着された1又は2以上の凸面輪郭多結晶ダイヤモンド要素を有する。
【0134】
一部の用途では、多結晶ダイヤモンド要素は、軸受構成要素に沿う環状に配備される。非限定例は、固定子の遠位部分上に配置された5つの平面多結晶ダイヤモンド要素のリング、及び固定子の近位部分上に配置された5つの平面多結晶ダイヤモンド要素の別のリングである。従って、高性能多結晶ダイヤモンド要素軸受アセンブリは、固定子/回転子インタフェースの長さに沿って安定な作動を保証し、一方で従来の既存アセンブリに使用されるものよりも少ない全多結晶ダイヤモンド要素数しか必要としないように配置することができる。
【0135】
多結晶ダイヤモンド要素は、対向軸受面上の多結晶ダイヤモンド要素係合面との重複接触に対する必要性を気にせずに望ましい支持を与えるために軸受アセンブリの中にいずれかのパターン、レイアウト、間隔、又は千鳥配置で配置することができる。
【0136】
ラジアル軸受-係合面の接触区域
重要な性能基準は、多結晶ダイヤモンド要素が、対向係合面又は対向係合構成要素とのあらゆるエッジ接触又はポイント接触を排除するように構成及び配置されることである。固定子上に置かれた平面多結晶ダイヤモンド要素では、一般的に、そのような多結晶ダイヤモンド要素は、回転子との不完全面接触に遭遇する。すなわち、回転子が多結晶ダイヤモンド要素に対して回転する時に、係合面接触区域は全面よりも小さい。回転子又は固定子のいずれかに装着された少なくとも若干ドーム形又は凸面の多結晶ダイヤモンド要素では、そのような多結晶ダイヤモンド要素は、小さくてほぼ円形の係合面接触区域を示している。回転子又は固定子のいずれかの上に装着された凸面多結晶ダイヤモンド要素が鞍形である場合に、多結晶ダイヤモンド要素は小さい線形面係合面接触区域を示している。固定子上に配置された若干凹面の多結晶ダイヤモンド要素では、各多結晶ダイヤモンド要素上に幾分狭い線形係合面接触区域が見られる。
【0137】
ラジアル軸受-PCD要素の装着
多結晶ダイヤモンド要素は、ろう付け、糊付け、圧入、焼き嵌め、又はネジ止めを含むがこれらに限定されない当業技術で公知の方法によって軸受要素(例えば、固定子又は回転子)に直接に装着することができる。更に、多結晶ダイヤモンド要素は、個別の1又は複数のリング内に装着することができる。次いで、1又は複数のリングは、糊付け、圧入、ネジ係止、又はろう付けを含むがこれらに限定されない当業技術で公知の方法によって軸受要素(回転子又は固定子)上に配置することができる。平面又はドーム形の多結晶ダイヤモンド要素は、それらが自らの軸線の周りに回転することを可能にする方式で装着することができる。
【0138】
ラジアル軸受-対向係合面の処理
一部の態様では、ダイヤモンド反応材料の対向係合面には炭素が事前飽和される(例えば、係合面との係合の前に)。そのような事前飽和は、多結晶ダイヤモンドの面のグラファイト化によって炭素を誘引するダイヤモンド反応材料の機能を低減する。ダイヤモンド反応材料面接触区域の事前飽和は、当業技術で公知のいずれかの方法によって達成することができる。
【0139】
ラジアル軸受-固体潤滑剤ソース
ある一定の用途では、固体潤滑剤ソース、例えば、付勢状態又は非付勢状態のいずれかにあるグラファイト又は六方晶窒化ホウ素の棒又は介在物は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む対向係合面と接触している。
【0140】
ラジアル軸受-用途
本明細書に開示する軸受アセンブリは、機械又は他の装置又はシステムの一部分を形成することができる。一部のそのような態様では、固定子の近位端は、ドリルストリング又はモータハウジングのような別の構成要素にネジ止め接続、溶接、又は当業技術で公知の他の接続手段によって接続することができる。一部の態様では、軸受アセンブリが坑内用途に使用される場合に、回転子の遠位端は、スラスト軸受で増強することができ、この遠位端は、ドリルビットの取り付けに向けてネジ止め接続部を担持することができ、又は回転子のマンドレルの端部の上に直接に形成された及び/又は配置されたドリルビットとすることができる。これらの構成要素接続部は、坑内用途に限定されず、他の用途、例えば、風力タービンエネルギ発生機又は機械用途に適用することができる。
【0141】
本明細書に説明する軸受アセンブリの個別の形態は、重機、自動車、タービン、動力伝達系、鉄道車両、コンピュータハードドライブ、遠心分離器、医療機器、ポンプ、及びモータを含むがこれらに限定されない広範な他の用途に使用することができる。
【0142】
ある一定の態様では、本明細書に開示する軸受アセンブリは、苛酷な環境(例えば、坑内)での配置及び使用に適している。一部のそのような態様では、軸受アセンブリは、多結晶ダイヤモンド係合面が別の多結晶ダイヤモンド係合面と係合する軸受アセンブリよりも破断を受けにくい。ある一定の態様では、そのような苛酷な環境に適するラジアル軸受は、別の多結晶ダイヤモンド係合面と係合された多結晶ダイヤモンド係合面を含む軸受アセンブリと比較して高いサービス価値を提供する。更に、本明細書に開示する軸受アセンブリは、別の多結晶ダイヤモンド係合面と係合された多結晶ダイヤモンド係合面を含む軸受アセンブリを使用する時に必要とされる間隔よりも大きい距離で離間させることができる場合がある。
【0143】
坑内用途のようなある一定の用途では、本明細書に開示する軸受アセンブリは、回転子係止具として更に機能することができる。
【0144】
潤滑環境では、軸受アセンブリは、その移動要素と固定要素の間にクリアランスを生成する潤滑剤の流体力学効果から利益を得ることができる。
【0145】
スラスト軸受
本発明の開示のある一定の実施形態は、スラスト軸受及びスラスト軸受アセンブリ、及びこれらを含む装置及びシステムを含み、更に、これらを製造、組み立て、かつ使用する方法に関する。スラスト軸受では、一方のスラスト面は、少なくとも一部の多結晶ダイヤモンドで形成されるか又はそれを含み、他方の対向スラスト面は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成されるか又はそれを含む。
【0146】
スラスト軸受-多結晶ダイヤモンドとダイヤモンド反応材料とのインタフェース
一部の態様では、本発明の開示は、スラスト面と対向スラスト面の間の係合をダイヤモンド反応材料と接触している多結晶ダイヤモンド要素を用いてインタフェースすることを可能にする。例えば、多結晶ダイヤモンド要素は、一方のスラスト面上に他方の対向スラスト面との接触に向けて位置決め及び配置することができ、この場合に、他方の対向スラスト面は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成されるか又はそれを含む。多結晶ダイヤモンド要素は、ダイヤモンド反応材料の対向係合面との係合のための係合面を有することができる。
【0147】
一部の態様では、対向係合面は、少なくとも2重量%のダイヤモンド反応材料、又は2重量%から100重量%、5重量%から95重量%、10重量%から90重量%、15重量%から85重量%、20重量%から80重量%、25重量%から75重量%、25重量%から70重量%、30重量%から65重量%、35重量%から60重量%、40重量%から55重量%、又は45重量%から50重量%のダイヤモンド反応材料を含むか又はこれらの重量%のダイヤモンド反応材料から構成される。
【0148】
ある一定の用途では、多結晶ダイヤモンド要素又は少なくともその係合面は、ラッピング又はポリッシングされ、任意的に高度にラッピング又は高度にポリッシングされる。少なくとも一部の用途では高度にポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素が好ましいが、本発明の開示の範囲は、高度にポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素に限定されず、高度にラッピング又はポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素を含む。
【0149】
例示的スラスト軸受
次いで、図に着目して、ここでスラスト軸受の例示的非限定的な実施形態を以下に説明する。図を通じて、類似の参照番号が類似の要素を指示する。例えば、図21A及び図21Bでは、参照番号2102は、多結晶ダイヤモンド要素の係合面を指示し、図22A及び図22Bでは、参照番号2202は、多結晶ダイヤモンド要素の係合面を指示する。
【0150】
図21Aは、この出願の技術の実施形態によるスラスト面2101を有するスラストリング2120の上面図を示している。スラスト面2120(多結晶ダイヤモンドスラスト面とも呼ぶ)は、その中に埋め込まれた、そこに取り付けられた、それと結合及び/又は係合した多結晶ダイヤモンド要素2102を含む。多結晶ダイヤモンド要素2102は、ろう付け、糊付け、圧入、焼き嵌め、又はネジ止めを含むがこれらに限定されない当業技術で公知の方法によってスラスト面2120に直接に装着することができる。スラスト面2120を3つの多結晶ダイヤモンド要素2102を有するものとして図示して説明するが、当業者は、スラスト面2120が、3よりも多いか又は少ない多結晶ダイヤモンド要素2102を含むことができることは理解されるであろう。同様に、図示は均等に離間しているが、当業者は、多結晶ダイヤモンド要素2102の間の間隔を均等又は不均等にすることができることは理解されるであろう。更に、当業者は、多結晶ダイヤモンド要素2102の間の間隔を図21Aに示すものよりも大きくするか又は小さくすることができることを理解するであろう。
【0151】
各多結晶ダイヤモンド要素2102は係合面2122を含む。係合面2122は、ラッピングされた、ポリッシングされた、高度にラッピングされた、又は高度にポリッシングされた多結晶ダイヤモンドの表層とすることができる。一部の態様では、係合面2122は、平面又は凸面とすることができる。
【0152】
図21Bは、対向スラストリング2103の対向スラスト面2104と摺動接触しているスラストリング2120のスラスト面2101を含むスラスト軸受アセンブリ2100を示している。スラストリング2103及び対向スラスト面2104は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成されるか又はそれを含む。従って、作動時にスラスト軸受アセンブリ2100が荷重を担持している時に、係合面2122は、対向スラスト面2104(対向係合面とも呼ぶ)と摺動接触している。
【0153】
両方のスラストリング2120及び2103は、リング形状を有するように示すが、当業者は、本明細書に開示するスラスト面を特定の用途に依存してスラスト軸受に適する他の形状のスラスト構成要素上に形成することができることは理解されるであろう。
【0154】
図22Aは、この出願の実施形態による多結晶ダイヤモンド要素2202が結合されたスラスト面2201を有するスラストリング2220の上面図を示している。この実施形態では、スラスト面2201には、各々が係合面2222を有する12個の多結晶ダイヤモンド要素2202が嵌め込まれる。
【0155】
図22Bは、係合面2222が、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む対向スラスト面2204との摺動接触状態になるようにスラスト面2204と摺動接触している図22Aのスラスト面2201を含むスラスト軸受アセンブリ2200の側面図を示している。
【0156】
スラスト軸受-エッジアールを有する多結晶ダイヤモンド層
図23は、この出願の技術の実施形態の例示的多結晶ダイヤモンド要素2302の側面図を示している。この例では、多結晶ダイヤモンド要素2302は、炭化タングステン基板2326によって支持された多結晶ダイヤモンド層2324を含む。ダイヤモンド対基板インタフェース線を2305に示している。
【0157】
多結晶ダイヤモンド層2324上には、それと炭化タングステン基板2326の間のインタフェースの反対側(すなわち、ダイヤモンド対基板インタフェース線2305の反対側)に係合面2322が形成される。係合面2322は、ラッピングされた、ポリッシングされた、高度にラッピングされたか、又は高度にポリッシングされた多結晶ダイヤモンド層2324の上面とすることができる。図示のように、多結晶ダイヤモンド層2324は、ダイヤモンド対基板インタフェース線2305から係合面2322へのエッジ2328に沿って比較的有意なエッジアール2306を有する。当業者は、本明細書に開示する多結晶ダイヤモンド層がこの特定の形状に限定されず、更に炭化タングステン上に支持されることに限定されないか又は支持されること自体に限定されないことは理解されるであろう。
【0158】
スラスト軸受-円弧形エッジを有する多結晶ダイヤモンド層
図24は、この出願の技術の実施形態の例示的多結晶ダイヤモンド要素2402の側面図を示している。この例では、多結晶ダイヤモンド層2424が炭化タングステン基板2426によって支持され、ダイヤモンド対基板インタフェース線2405において炭化タングステン基板2426とインタフェースする。多結晶ダイヤモンド要素2402は、多結晶ダイヤモンド層2424がエッジアール2406と比較してより円弧形のエッジ2407を有する点を除いて多結晶ダイヤモンド要素2402と実質的に類似である。多結晶ダイヤモンド層2424の円弧形エッジ2407は、当業技術で公知の円弧形エッジ処理によって提供することができる。同じくサイドエッジ2428も示されている。
【0159】
スラスト軸受-大きいエッジアールを有する多結晶ダイヤモンド層
図25は、この出願の技術の実施形態の例示的多結晶ダイヤモンド要素2502の側面図を示している。この例では、多結晶ダイヤモンド層2524が炭化タングステン基板2526によって支持され、ダイヤモンド対基板インタフェース線が2505に示されている。多結晶ダイヤモンド要素2502は、多結晶ダイヤモンド層2524が大きいアールのエッジ2507を有する点を除いて多結晶ダイヤモンド要素2502と実質的に類似である。大きいアールのエッジ2507は、当業技術で公知の大きいアールのエッジ処理によって提供することができる。同じくサイドエッジ2528も示されている。
【0160】
スラスト軸受-より大きいエッジアールを有する多結晶ダイヤモンド層
図26は、この出願の技術の実施形態の例示的多結晶ダイヤモンド要素2602の側面図を示している。この例では、多結晶ダイヤモンド層2624が炭化タングステン基板2626によって支持され、ダイヤモンド対基板インタフェース線が2605に示されている。多結晶ダイヤモンド要素2602は、多結晶ダイヤモンド層2624が当業技術で公知の大きいアールのエッジ処理によって提供することができる一層大きいアールのエッジ2609を有する点を除いて多結晶ダイヤモンド要素2502と実質的に類似である。この例では、エッジアールは、多結晶ダイヤモンド要素2502の場合のように多結晶ダイヤモンド層2624上ではなく、炭化タングステン基板2626内の接点2610で始まる。同じくサイドエッジ2628も示されている。
【0161】
スラスト軸受-多成分エッジを有する多結晶ダイヤモンド層
図27は、この出願の技術の実施形態の例示的多結晶ダイヤモンド要素2702の側面図を示している。この例では、多結晶ダイヤモンド層2724が炭化タングステン基板2726によって支持され、ダイヤモンド対基板インタフェース線が2705に示されている。多結晶ダイヤモンド層2724は、エッジアール2711が面取傾斜部2712に接続され、それが追加のエッジアール2713に接続されたものを含む多構成要素エッジの処理によって処理されたものである。
【0162】
従って、一部の実施形態では、この出願の軸受は、対向スラスト面のダイヤモンド反応材料が別のスラスト面上に装着された少なくとも1つの多結晶ダイヤモンド要素との摺動接触状態に入れられた高性能スラスト軸受である。スラスト面の多結晶ダイヤモンド要素は、好ましくは平面であるが、凸面とすることができる。3又は4以上の多結晶ダイヤモンド要素が好ましいが、この出願の技術は、1つ又は2つ程度の少ない多結晶ダイヤモンド要素を用いて実施することができる。対向ダイヤモンド反応材料面と摺動接触している単一多結晶ダイヤモンド要素の使用であっても、スラスト軸受面(スラスト面)間の摩擦係数の低下をもたらすことができ、面間の摩損を解消又は低減するように機能することができる。
【0163】
本明細書に開示するスラスト軸受の少なくとも一部の実施形態は、苛酷な環境での使用に適している。本明細書に開示するスラスト軸受の少なくとも一部の実施形態は、多結晶ダイヤモンド対多結晶ダイヤモンド係合を有するスラスト軸受と比較して多結晶ダイヤモンドの破断を受けにくい。従って、この出願の技術によって達成されるスラスト軸受は、多結晶ダイヤモンド対多結晶ダイヤモンド係合を有するスラスト軸受と比較して高いサービス価値を提供する苛酷環境適合スラスト軸受である。
【0164】
スラスト軸受-エッジ接触の排除
本発明の開示のスラスト軸受の少なくとも一部の実施形態の重要な性能基準は、多結晶ダイヤモンド軸受要素が、それ自体と、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む対向構成要素(すなわち、対向スラスト面)との間のあらゆるエッジ接触を排除するように構成(すなわち、位置決め、配置)されることである。この重要な性能基準をもたらす好ましい方法は、比較的有意なエッジアールを有する多結晶ダイヤモンド要素を使用することである。多結晶ダイヤモンド要素のエッジアールは、スラスト面のうちの一方又は両方の傾斜又は不整合が発生した場合に、多結晶ダイヤモンド要素のエッジアールが、ダイヤモンド反応材料の面の機械加工、切削、又は掻削をもたらす可能性がある鋭角エッジを示すのではなく、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む対向スラスト面に対して鈍角面を示すことになるようなものである。本発明の開示を限定することなく、ある一定の実施形態では、従来の面取多結晶ダイヤモンドエッジ処理は好ましくはない。
【0165】
図23図27を参照して図示して説明した多結晶ダイヤモンドエッジ処理は、それぞれの多結晶ダイヤモンド要素の別様に平面的な面(係合面2322、2422、2522、2622、2722)を鈍化する非限定的方法を提供する。平面のエッジのそのような鈍化は、多結晶ダイヤモンドスラスト面(係合面)及びダイヤモンド反応材料の対向スラスト面のうちのいずれかが傾斜又はマスク検査システム位置合わせを受ける場合等に対向スラスト面間の機械加工又は切削の発生を回避する。そのような傾斜又は不整合が発生し、多結晶ダイヤモンド要素の多結晶ダイヤモンド層が処理されたエッジではなく図28に示すように鋭角エッジ2830を有する場合に、鋭角エッジ2830は、機械加工、切削、又は他に不適切に対向スラスト面を係合する場合がある。図28の多結晶ダイヤモンド要素2802の描写内には、係合面2822、サイドエッジ2828、多結晶ダイヤモンド層2824、ダイヤモンド対基板インタフェース線2805、及び炭化タングステン基板2826も示されている。
【0166】
図29A及び図29Bは、それぞれ、エッジ処理された多結晶ダイヤモンド要素及びエッジ処理されていない多結晶ダイヤモンド要素の使用を示している。図29Aは、スラスト軸受アセンブリ2900aの一部分を示し、スラストリング2903a(その一部分しか示していない)と摺動接触している多結晶ダイヤモンド要素2902aを示している。図29Aでは、スラストリング2903aは多結晶ダイヤモンド要素2902aに対して傾斜しており又は不整合になっており、従って、スラスト面2904aによって定められた平面は、係合面2922aによって定められた平面に対してある角度にある。従って、スラスト面2904aは、多結晶ダイヤモンド要素2902aのエッジ2950に係合している。
【0167】
図29Aと同様に、図29Bは、スラスト軸受アセンブリ2900bの一部分を示しており、スラストリング2903b(その一部分しか示していない)と摺動接触している多結晶ダイヤモンド要素2902bを示している。図29Bでは、スラストリング2903bは多結晶ダイヤモンド要素2902bに対して傾斜しており又は不整合になっており、従って、スラスト面2904bによって定められた平面は、係合面2922bによって定められた平面に対してある角度にある。従って、スラスト面2904bは、多結晶ダイヤモンド要素2902bのエッジ2930に係合している。しかし、多結晶ダイヤモンド要素2902aにはエッジ処理が施されているので、エッジ2950は、鋭角であるエッジ2930と比較して鈍角である。エッジ2930は鋭角であるので、スラスト面2904bを機械加工する、切削するか、又は他にそれと不適切に係合する場合がある。しかし、図29Aに図示の実施形態ではエッジ2950は鈍角であるので、そのような機械加工又は切削の発生が低減又は排除される。
【0168】
ある一定の態様では、本明細書に開示するスラスト軸受は、少なくとも0.050’’アールのエッジアールを有する多結晶ダイヤモンド層を含む。ある一定の態様では、本明細書に開示するスラスト軸受は、少なくとも0.060’’アール、少なくとも0.070’’アール、少なくとも0.080’’アール、又は少なくとも0.090’’アールであるエッジアールを有する多結晶ダイヤモンド層を含む。
【0169】
スラスト軸受-多結晶ダイヤモンド要素-形状、サイズ、及び配置
一部の態様では、多結晶ダイヤモンド要素は、軸受構成要素に沿うリング(すなわち、スラストリング)に配備される。本発明の技術の多結晶ダイヤモンド軸受要素は、配置スラスト面の周りのリングに配置することができる。非限定例は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む対向スラスト面との係合のための5つの平面多結晶ダイヤモンド軸受要素から構成されるリングである。理論に縛られることなく、多結晶ダイヤモンドスラスト面対多結晶ダイヤモンドスラスト面(多結晶ダイヤモンドスラスト面対ダイヤモンド反応材料スラスト面ではなく)を有する同等のスラスト軸受は、軸荷重を担持するために20個又は30個さえもの多結晶ダイヤモンド要素全数を必要とする場合がある。従って、この出願の技術の一部の実施形態は、多結晶ダイヤモンドスラスト面対多結晶ダイヤモンドスラスト面接触を有するスラスト軸受において達成可能なものよりも大きい個々の多結晶ダイヤモンド要素間隔を有する多結晶ダイヤモンドスラスト軸受をもたらす。この出願の技術を用いて、多結晶ダイヤモンド要素は、対向軸受面上の多結晶ダイヤモンド面との重複接触の必要性に対する懸念なく望ましい支持を与えるいずれかのパターン、レイアウト、間隔、又は千鳥配置で配置することができる。
【0170】
スラスト軸受-PCD要素の装着
上述のように、多結晶ダイヤモンド要素は、ろう付け、糊付け、圧入、焼き嵌め、又はネジ止めを含むがこれらに限定されない当業技術で公知の方法によって軸受要素(例えば、スラストリング)に直接に装着することができる。多結晶ダイヤモンド要素は、個別の1又は複数のリング内に装着することができる。次いで、1又は複数のリングは、糊付け、圧入、ネジ係止、又はろう付けを含むがこれらに限定されない当業技術で公知の方法によって軸受要素上に配置することができる。
【0171】
平坦面又はドーム形の多結晶ダイヤモンド要素は、それ自体が自らの軸線の周りに回転することを可能にする方式で装着することができる。
【0172】
スラスト軸受-対向係合面の処理
一部の態様では、ダイヤモンド反応材料の対向係合面には炭素が事前飽和される(例えば、係合面との係合の前に)。そのような事前飽和は、多結晶ダイヤモンドの面のグラファイト化によって炭素を誘引するダイヤモンド反応材料の機能を低減する。ダイヤモンド反応材料面接触区域の事前飽和は、当業技術で公知のいずれかの方法によって達成することができる。
【0173】
ある一定の用途では、固体潤滑剤ソース、例えば、付勢状態又は非付勢状態のいずれかにあるグラファイト又は六方晶窒化ホウ素の棒又は介在物は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応材料で形成された又はそれを含む対向係合面と接触する。
【0174】
潤滑環境では、軸受アセンブリは、その移動要素と固定要素の間にクリアランスを生成する潤滑剤の流体力学効果から利益を得ることができる。
【0175】
材料処理
本発明の開示のある一定の実施形態は、互いに移動接触している係合面と対向係合面とを有する装置の材料及び面を含む材料又はその面の処理のための処理工程を含み、更に、そのような処理工程によって処理された材料又は面を有する装置に関する。本明細書に開示する処理工程は、ダイヤモンド反応材料を含む本明細書に開示する対向係合面を処理するのに使用することができる。本明細書に開示する処理工程は、図1図6のカム従動子アセンブリ(及びその一部分)と、図8A図19Bのラジアル軸受アセンブリ(及びその一部分)と、図21A図29Bのスラスト軸受アセンブリ(及びその一部分)とを含む本明細書に図示して説明する装置のうちのいずれかに適用することができる。例えば、図1図29Bを参照すると、本明細書に開示する処理工程を用いて処理することができる例示的な材料及び面のうちの一部は、対向係合面211(図2A及び図2B)、対向係合面311(図3及び図6)、対向係合面411(図4)、対向係合面511(図5)、対向係合面815(図8A及び図8B)、対向係合面915(図9A及び図9B)、対向係合面1015(図10A及び図10B)、対向係合面1115(図11A及び図11B)、対向係合面1215(図12A及び図12B)、対向係合面1315(図13A及び図13B)、対向係合面1415(図14A及び図14B)、対向係合面1515(図15A及び図15B)、対向係合面1615(図16A及び図16B)、対向係合面1715(図17A及び図17B)、対向係合面1815(図18A及び図18B)、対向係合面1915(図19A及び図19B)、対向係合面2104(図21A及び図21B)、対向係合面2204(図22A及び図22B)、並びに対向係合面2904a及び2904b(図29A及び図29B)である。
【0176】
一部の特定の実施形態では、本明細書に開示する材料処理が施される対向係合面は、鋼鉄又は別のダイヤモンド反応材料であるか又はそれを含み、係合面は、多結晶ダイヤモンドであるか又はそれを含む。
【0177】
ダイヤモンド反応材料又は少なくともその対向軸受面を処理するのに使用することができるある一定の材料処理は、対向軸受面上へのグラファイト又は六方晶窒化ホウ素のような固体潤滑剤の付加と、炭素による対向軸受面の事前飽和と、ホウ化、窒化、又は他に肌焼入れされた対向軸受面とを含む、組み込まれている米国特許出願第16/049,588号明細書、第16/049,608号明細書、及び第16/049,617号明細書に説明されている材料処理を含む。対向軸受面へのグラファイト又は別の形態の炭素の付加は、下記でより詳細に説明する炭素犠牲層を設けることができる。
【0178】
一部の実施形態では、ダイヤモンド反応材料又はその面は、1又は2以上の材料処理を通じて硬化されるか、又は耐腐食性を高めるように処理されるか、又はその組合せが行われる。例えば、ダイヤモンド反応材料には、硬化、メッキ、コーティング、クラッディング、又はその組合せを行うことができる。ダイヤモンド反応材料及びその面を処理するのに使用することができる一部の例示的材料処理は、バニシ仕上げ及びショットピーニングのような冷間加工又は加工硬化と、無心焼入れ、肌焼入れ、又は低温処理のような熱処理と、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、クロムメッキ、リン酸塩処理、又は陽極処理のようなメッキ又はコーティングと、クラッディングとを含むがこれらに限定されない。
【0179】
冷間加工/加工硬化
一部の実施形態では、ダイヤモンド反応材料を硬化し、その面を平滑化するためにダイヤモンド反応材料又は少なくともその対向係合面に塑性変形が施される。使用することができる一部の例示的塑性変形工程は、冷間加工を含む加工硬化を含む。
【0180】
「加工硬化」(場合によって歪み硬化と呼ぶ)は、材料の塑性変形により、材料の結晶構造内の転位の結果として材料を強化する工程である。一部の加工硬化工程は、当該材料の再結晶温度よりも低い温度(例えば、周囲温度)で材料を処理する冷間加工工程又は冷間成形工程である。金属の加工硬化は、金属の硬度、降伏強さ、及び引張強度を高め、更に、金属の疲労寿命(耐疲労性)を延ばす。
【0181】
一部の実施形態では、ダイヤモンド係合面とダイヤモンド反応材料の対向係合面とが互いに係合し、かつ互いに対して移動する時に、これらの面の間のそのような可動係合は、対向係合面の加工硬化をもたらす。すなわち、これらの面のそのような可動係合に関与する熱的力及び機械的力は、ダイヤモンド反応材料の少なくともその面での塑性変形をもたらす。そのような塑性変形の結果として、少なくとも対向係合面においてダイヤモンド反応材料の結晶構造の中に転位が発生する。従って、そのような係合面と対向係合面とを含む構成要素の作動は、少なくとも対向係合面の加工硬化をもたらす。
【0182】
加工硬化-バニシ仕上げ
1つの特定のタイプの加工硬化は「バニシ仕上げ」である。面をバニシ仕上げするために、面は、別の面との摺動接触状態に入れられる。2つの面(例えば、本明細書に開示する係合面と対向係合面)の係合及びインタフェーシングは、そのような摺動接触中にこれらの面のうちの少なくとも一方の塑性変形をもたらし、バニシ仕上げされた面を平滑化及び光沢化し、かつ硬化する。塑性変形は、面上の接触応力が面での材料の降伏強さを超えた時に発生する。バニシ仕上げされた面は、疲労不良、腐食、及び応力腐食に対する高い耐性、目視欠陥及び孔隙率の減少、及び面圧縮残留応力を示すことができる。
【0183】
一部の実施形態では、対向係合面のバニシ仕上げは、対向係合面に係合した時の係合面の摺動移動の結果として発生する(例えば、カム従動子がカム作動回転子上で摺動するか又はラジアル軸受要素が軸受面に対して摺動する場合)。
【0184】
一部の実施形態では、ダイヤモンド反応材料を含む対向係合面がバニシ仕上げされる。バニシ仕上げされた対向係合面は、ブリネル硬さ、ロックウェル硬さ、ヌープ硬さ、及び/又はビッカース硬さに従って決定された場合にバニシ仕上げ前の対向係合面と比較して高い硬度を示し、更にバニシ仕上げ前の対向係合面と比較して改善された面仕上げ(例えば、より平滑な面)を示す。バニシ仕上げの方法は当業者に公知であり、より詳細には説明しない。
【0185】
加工硬化-ショットピーニング
別のタイプの加工硬化は、材料面上に圧縮残留応力層を提供する「ショットピーニング」である。面をショットピーニングするために、金属、ガラス、又はセラミックで構成することができる「ショット」(粒子)を面に衝突させる。ショットは、少なくとも材料の面において材料の塑性変形をもたらすほど十分な力で面に衝突する。一部の実施形態では、対向係合面には、係合面との係合の前にショットピーニングが施される。
【0186】
従って、一部の実施形態では、ダイヤモンド反応材料の対向係合面には、ポリッシングのような研削工程とは反対に非研削工程による硬化及び/又は面平滑化が施される。ショットピーニングの方法は当業者に公知であり、より詳細には説明しない。
【0187】
熱処理
一部の実施形態では、ダイヤモンド反応材料又は少なくともその対向係合面には、ダイヤモンド反応材料を硬化するための熱処理が施される。使用することができる一部の例示的熱処理工程は、無心焼入れ、肌焼入れ、及び低温処理を含む。
【0188】
熱処理-無心焼入れ
「無心焼入れ」は、材料を焼入れして材料の硬度の増大をもたらす段階を含む。無心焼入れは、材料の面のみとは対照的に材料の大部分を通じて材料のほぼ一様な硬化をもたらす。材料を無心焼入れするために材料は加熱され、次いで、焼入れされ、その後に再加熱又は焼戻される。
【0189】
従って、一部の実施形態では、ダイヤモンド反応材料は、その対向係合面だけにおいて硬化される(例えば、肌焼入れにより)のとは対照的に材料を通じて硬化される(例えば、無心焼入れにより)。無心焼入れの方法は当業者に公知であり、より詳細には説明しない。
【0190】
熱処理-肌焼入れ
「肌焼入れ」は、装置の面の硬化を装置のその面の下方の実質的な硬化の発生を伴わずにもたらす。本明細書に開示する肌焼入れは、浸炭と、窒化と、シアン化と、浸炭窒化と、ホウ化とを含むことができる。一部の実施形態では、本明細書に開示する肌焼入れは、炎焼入れ、高周波焼入れ、又はレーザ焼入れを含む。一部の実施形態では、肌焼入れは、ダイヤモンド反応材料の面上への物質の導入と、物質がダイヤモンド反応材料の中に移動するように加熱する段階とを含む。例えば、浸炭、窒化、及びホウ化は、面硬化をもたらす鋼鉄(例えば、0.3%C又はそれ未満の比較的低い炭素の鋼鉄)の面内への外部元素の溶解を含む場合がある。これは、物質がダイヤモンド反応材料の中に移動した面においてダイヤモンド反応材料の硬化をもたらす。例えば、炭素又は炭素含有物質をダイヤモンド反応材料の対向係合面上に導入し、ダイヤモンド反応材料の表層で炭素含有量が高まり、それによって表層が硬化されるように加熱することができる。従って、肌焼入れは、材料をダイヤモンド反応材料に添加する工程(炭素の添加)を含むことができる。一部の実施形態では、肌焼入れは、炎焼入れ、高周波焼入れ、レーザ焼入れを含み、外部炭素又は他の元素の導入なく金属の面が硬化される。例えば、十分な量の炭素を含有する鋼鉄(例えば、0.3%C又はそれよりも多い比較的高い炭素の鋼鉄)を炎焼入れ、高周波焼入れ、又はレーザ焼入れによって硬化することができる。
【0191】
一部の実施形態では、係合面との係合の前に対向係合面に肌焼入れが施される。肌焼入れの方法は当業者に公知であり、より詳細には説明しない。
【0192】
熱処理-低温処理
一部の実施形態では、ダイヤモンド反応材料又は少なくともその対向係合面を硬化するために、ダイヤモンド反応材料に低温凍結のような冷間処理又は低温処理が施される。例えば、ダイヤモンド反応材料は、-100°Fから-300°Fの範囲である温度まで冷却することができる(例えば、液体又は気体の窒素を用いて)。高い硬度に加えて、そのような処理は、ダイヤモンド反応材料又は少なくとも対向係合面に高い耐摩耗性を与えることができる。低温処理の方法は当業者に公知であり、より詳細には説明しない。
【0193】
外層-メッキ、コーティング、及びクラッディング
上述のように、加工硬化工程及び熱処理工程は、ダイヤモンド反応材料自体が示す物理特性(例えば、硬度)の変化をもたらすようにダイヤモンド反応材料を処理する工程である。しかし、一部の実施形態では、ある一定の特性を与えるために、添加材料がダイヤモンド反応材料の上に又はそれにわたって添加される。添加材料は、例えば、メッキ、コーティング、又はクラッディングの形態でダイヤモンド反応材料上に添加することができる。例えば、添加材料は、それをその上に持たないダイヤモンド反応材料の耐腐食性と比較して高い耐腐食性をダイヤモンド反応材料に与えることができる。
【0194】
外層-クロムメッキ
一例示的メッキ工程は、比較的薄いクロム層をダイヤモンド反応材料の対向係合面上に電解メッキすることによってダイヤモンド反応材料の対向係合面を電解メッキ、例えば、クロム合金メッキ又はクロムメッキし、クロム合金メッキ又はクロムメッキの前の耐腐食性及び/又は面硬度と比較して高い耐腐食性及び/又は面硬度を有する対向係合面を提供する段階を含むことができる。メッキの方法は当業者に公知であり、より詳細には説明しない。
【0195】
外層-リン酸塩処理
ダイヤモンド反応材料の対向係合面に外層を設ける別の例示的工程はリン酸塩処理である。リン酸塩処理では、ダイヤモンド反応材料の対向係合面上の酸-金属反応によって少なくとも一時的な腐食保護を付加する金属-リン酸塩層が形成される。リン酸塩処理の方法は当業者に公知であり、より詳細には説明しない。
【0196】
外層-蒸着
一部の実施形態では、ダイヤモンド反応材料の対向係合面上に蒸着を通じて外層が設けられる。一部の実施形態では、CVD工程中にプラズマが使用され、この工程は、時としてプラズマ蒸着と呼ばれる。
【0197】
蒸着は、1つの成分を気相状態から別の固体成分の面上に堆積してこの面上に堆積層を形成する段階を含む。一部の実施形態では、係合面との係合の前に対向係合面に蒸着が施される。対向係合面上に堆積層を形成するために対向係合面上に堆積することができる一例示的成分は炭素である。蒸着の方法は当業者に公知であり、より詳細には説明しない。
【0198】
炭素の犠牲層
例えば、対向係合面上に炭素犠牲層を堆積させることができる。本明細書に使用する場合に、「炭素犠牲層」は、対向係合面と係合面がダイヤモンドのグラファイト化温度(すなわち、約700℃)又はそれよりも高い温度で可動係合する時に、ダイヤモンド反応材料と炭素犠牲層の間の反応が係合面のダイヤモンドのグラファイト化に優先して又は少なくともその前に発生するように対向係合面に係合面のダイヤモンドの間に配置された炭素層を意味する。すなわち、炭素犠牲層は、ダイヤモンドの係合面とダイヤモンド反応材料の対向係合面との間に配置されるので、炭素犠牲層の方が係合面のダイヤモンドよりもダイヤモンド反応材料の近くにあり、従って、ダイヤモンド反応材料との反応がもたらされやすい。炭素犠牲層は、本明細書の他の箇所で説明するように蒸着又は固体潤滑剤の付加又は炭素の事前飽和のような別の方法によって提供することができる。従って、ダイヤモンド反応材料の対向係合面は、その上に炭素犠牲層を有することができる。炭素犠牲層は、炭素又は炭素含有分子又は炭素含有組成物を含むことができる。一実施形態では、多結晶ダイヤモンドの面のグラファイト化によって炭素を誘引するダイヤモンド反応材料の機能が低下するように、ダイヤモンド反応材料の対向係合面を炭素で事前飽和して犠牲炭素層を形成することができる(例えば、係合面との係合の前に)。
【0199】
外層-クラッディング
一部の実施形態では、対向係合面をクラッディングすることによって対向係合面上に外層が設けられる。対向係合面は、ダイヤモンド反応材料ではない材料を含む多くの材料のうちのいずれかを用いてクラッディングすることができる。例えば、対向係合面は、ダイヤモンド反応材料よりも高い耐腐食性を有する材料を用いてクラッディングすることができる。クラッディングの方法は当業者に公知であり、より詳細には説明しない。
【0200】
外層-陽極処理
一部の実施形態では、対向係合面の耐腐食性、耐摩耗性、及び/又は硬度を高めるために、ダイヤモンド反応材料の対向係合面に陽極処理が施される。陽極処理の方法は当業者に公知であり、より詳細には説明しない。
【0201】
ダイヤモンド反応材料からの材料除去を全く又はほぼ伴わずに(バニシ仕上げ及びショットピーニング)、ダイヤモンド反応材料への材料の添加(外層及び肌焼入れ)を含む様々な材料処理工程を説明したが、材料処理はそのような工程に限定されない。一部の実施形態では、ダイヤモンド反応材料は、それにポリッシング又は浸出工程を適用することなどによってダイヤモンド反応材料からの材料の除去をもたらす方式で処理される。
【0202】
材料処理の方法
一部の実施形態では、加工硬化/冷間加工、熱処理、及び外層付加(例えば、メッキ、コーティング、クラッディング)を含む本明細書に開示する材料処理工程のうちの1又は2以上を用いてダイヤモンド反応材料又は少なくともその対向係合面を処理する方法を提供する。例えば、ダイヤモンド反応材料(又は対向係合面)は、それ(又は対向係合面)に高い硬度、高い耐腐食性、又はその組合せを与えるように処理することができる。本明細書に開示する様々な材料処理工程を個々に説明したが、これらの材料処理工程のうちの1又は2以上は組み合わせることができる。例えば、対向係合面を肌焼入れし、次いで、バニシ仕上げして無心焼入れし、更にショットピーニングするか又は材料処理工程のいずれかの他の組合せを行うことができる。
【0203】
一部の実施形態では、係合面との係合の前に対向係合面に材料処理工程が施される。例えば、係合面との係合の前に、対向係合面を無心焼入れ及び/又はショットピーニングすることができる。他の実施形態では、係合面との係合時に又はそれに続いて対向係合面に材料処理工程が施される。例えば、係合面を対向係合面と移動(例えば、摺動)係合することにより、対向係合面のバニシ仕上げがもたらされる。すなわち、係合面は、対向係合面と移動(例えば、摺動)係合することにより、一部の用途では、十分な機械的力及び/又は熱的力を発生させて対向係合面をバニシ仕上げすることができる。
【0204】
一部の実施形態では、本方法は、対向係合面を塑性変形して対向係合面の硬化、対向係合面の面平滑化(すなわち、面仕上げの改善)、又はその組合せをもたらす段階を含む。そのような方法は、対向係合面をバニシ仕上げ又はショットピーニングする段階、又は別の加工硬化工程又は冷間加工工程を含むことができる。
【0205】
一部の実施形態では、本方法は、ダイヤモンド反応材料の硬度及び/又は耐腐食性を高めるようにダイヤモンド反応材料を熱処理する段階を含む。
【0206】
一部の実施形態では、本方法は、高い硬度及び/又は耐腐食性のような追加の特性を対向係合面に与えるために対向係合面の上又は上方に1又は2以上の外層を付加する段階を含む。
【0207】
一部の実施形態では、本方法は、ポリッシング又は浸出のような材料除去工程を含まない。
【0208】
一部の実施形態では、ダイヤモンド反応材料は、ダイヤモンド反応材料の全体を通して示される特性の変化(例えば、硬度の増大)をもたらすように処理される。一部のそのような実施形態では、特性変化は、ダイヤモンド反応材料を通じて一様に(又はほぼ一様に)示される。例えば、無心焼入れは、ダイヤモンド反応材料を通じてほぼ一様な硬度増大をもたらす。ダイヤモンド反応材料を通じて示されるそのような特性変化の例を図31Bに示している。
【0209】
他の実施形態では、ダイヤモンド反応材料は、その面及び面下方のダイヤモンド反応材料の全体深さよりも浅い個別の深さに至るまでしか示されない特性変化(例えば、硬度増大)をもたらすように処理される。すなわち、そのような実施形態では、ダイヤモンド反応材料の下方のある一定の深さでは、材料処理によってもたらされる特性変化は示されない。例えば、肌焼入れは、面及びその下方の個別の深さまでダイヤモンド反応材料の個別の硬化をもたらす。ダイヤモンド反応材料の面に示されるそのような特性変化の例を図30Bに示している。
【0210】
事前バニシ仕上げされた面
ある一定の実施形態は、事前バニシ仕上げされた対向係合面を提供する。本明細書に使用する場合に、「事前バニシ仕上げされた」対向係合面は、現場への配備(例えば、運用使用のための坑内配備)の前のような運用使用前にバニシ仕上げが施された対向係合面である。対向係合面は、係合面と可動係合した時に対向係合面が実質的に一定の摩擦係数(CoF)を維持するほど十分な量だけ事前バニシ仕上げすることができる。軸受面を事前バニシ仕上げすることにより、塑性変形に起因して比較的容易に変形を受ける面部分(例えば、凹凸)がもはや存在しないので、この軸受面を含む装置は、より長い運用寿命を有することができる。そのような事前バニシ仕上げによって与えられるより低いCoFと、比較的容易に変形を受ける面部分の排除とにより、係合面と対向係合面とを含む部分又は装置は、これらの面間の低い「切断」しか示さないことになる。
【0211】
材料処理された装置
本発明の開示の一部の実施形態は、ダイヤモンドの係合面とダイヤモンド反応材料の対向係合面とを含み、係合面と対向係合面が互いに移動(例えば、摺動)接触している(すなわち、係合面及び対向係合面のうちの少なくとも一方が、他方の面との接触状態を保ちながら他方に対して移動する)装置を含む。一部のそのような実施形態では、係合面及び対向係合面は、カム従動子アセンブリ、ラジアル軸受アセンブリ、又はスラスト軸受アセンブリのような軸受アセンブリの面である。一部のそのような実施形態では、ダイヤモンド反応材料(又は少なくとも対向係合面)は、加工硬化される、熱処理される、又は上に外層を有するように処理される。
【0212】
図30A及び図30Bは、それぞれ材料処理の前及び後の一例示的対向係合面を示している。図30Aを参照すると、構成要素3000aは、鋼鉄又は別のダイヤモンド反応材料のような材料3002を含む。構成要素3000は、軸受面である対向係合面3004aを含む。図30Bを参照すると、構成要素3000は、処理された層3006を含む処理された面3004bが形成されるように、本明細書に開示する1又は2以上の材料処理(例えば、加工硬化/冷間加工、熱処理、及び外層の付加)が施されたものである。一部の実施形態では、処理された層3006は、材料3002とは異なる材料組成物である。他の実施形態では、処理された層3006は、材料3002と同じか又は実質的に同じ組成物である。例えば、処理された層3006は、加工硬化(例えば、バニシ仕上げ又はショットピーニング)が施された材料3002の層とすることができる。一部の実施形態では、処理された層3006は、材料3002とは異なり、コーティング、メッキ、クラッディング、又は蒸着等によって材料3002上に堆積した第2の材料の層である。一部の実施形態では、処理された層3006は、少なくとも1つの特性において材料3002の残余と異なる(例えば、高い硬度)ように材料処理工程によって修正された材料3002の部分である。一部のそのような実施形態では、処理された層3006は、浸炭、窒化、シアン化、又は浸炭窒化のような肌焼入れが施された材料3002の層である。処理された層3006は、硬化されたダイヤモンド反応材料の層とすることができる。例えば、処理された層3006は、バニシ仕上げ又はショットピーニングされたダイヤモンド反応材料のような加工硬化されたダイヤモンド反応材料、又は肌焼入れされたダイヤモンド反応材料のような熱処理されたダイヤモンド反応材料の層とすることができる。処理された層3006は、メッキ、コーティング、リン酸塩処理、陽極処理された層、クラッディング、又は堆積層のような追加の材料の外層とすることができる。本明細書に使用する場合に、材料又は面は、加工硬化が施されたものである場合に「加工硬化された」ものであり、熱処理が施されたものである場合に「熱処理された」ものであり、肌焼入れが施されたものである場合に「肌焼入れされた」ものであり、無心焼入れが施されたものである場合に「無心焼入れされた」ものであり、低温処理が施されたものである場合に「低温処理された」ものである。処理された層3006は、炭素犠牲層とすることができる。
【0213】
図30A及び図30Bに示すように、一部の実施形態では、外層(処理された層3006)のみが、高い硬度のような望ましい特性を示すように処理され、材料3002の残余は、材料処理の前と比較して変化しないままに留まる。個別の処理された層3006を提供することができる一部の例示的材料処理は、バニシ仕上げ、ショットピーニング、肌焼入れ、クロムメッキ、陽極処理、リン酸塩処理、CVD、PVD、及びクラッディングを含む。
【0214】
他の実施形態では、図31A及び図31Bに示すように、材料3002の全体が、処理の前と比較して修正された特性(例えば、高い硬度)を示している。処理された材料3106を提供することができる例示的材料処理は、無心焼入れを含む。一部のそのような実施形態では、処理された材料3106は、一様な特性(例えば、一様な硬度)を示し、他の実施形態では一様な特性を示さない。
【0215】
一部の実施形態では、対向係合面は、16μin又はそれ未満、12μin又はそれ未満、又は8μin又はそれ未満の面仕上げを有するように処理される。
【0216】
材料処理の選択
1又は2以上の材料処理のうちのどれがダイヤモンド反応材料に適用されるかの選択を特定の用途に基づいて行うことができる。材料処理の選択でのファクタとすることができる一部の要件は、材料処理の費用的なコスト、用途の過酷さ(例えば、作動時の対向軸受面上の予想荷重又は作動環境の腐食性)、又はその組合せを含むがこれらに限定されない。例えば、一部の用途では、冷間加工/加工硬化は、メッキ/コーティングよりも実施するための費用負担が小さい場合があり、メッキ/コーティングは、熱処理よりも実施するための費用負担が小さい場合がある。より厳しい用途では、熱処理は、冷間加工/加工硬化よりも高い耐摩耗性を軸受面に与えることができ、冷間加工/加工硬化は、メッキ/コーティングよりも高い耐摩耗性を軸受面に与えることがでる。様々な処理は、様々な作動条件及び環境条件の下で摩耗に対処するための様々な機能を有するので、そのような要件は本発明の開示に限定されず、例証目的のためのものに過ぎない。
【0217】
実施例
以下の実施例は、本発明の開示の特定の実施形態を示している。これらの実施例は、例証として提供するものであり、本明細書又は特許請求の範囲を限定するように意図したものではないことは理解される。
【実施例1】
【0218】
実施例1-カム従動子
様々な用途での使用に向けて、例えば、’254出願に開示されている「掘削機械」技術での使用又はそれとの併用に向けて堅固なカム従動子を開発及び評価するために、本出願人は、最新の試験台を設計及び構成した。この試験台には、硬質面の鉄固定子ハウジングの内側で硬質面の鉄回転子マンドレルを駆動する200RPM電気ギヤモータを用いた。マンドレルは、その長さに沿う中程に非硬質面のオフセットカム作動シリンダを組み込んだものであった。回転子/固定子アセンブリには、容積型ポンプを用いて循環流体を給送した。候補カム従動子機構を回転子マンドレルのカム作動シリンダとの密封接触状態にかつそれによる荷重下に置いた。試験台を用いて、候補カム従動子機構を浄水又は砂混じりの掘削流体のいずれかの中で500lbfから3000lbfの範囲である荷重下で残存性能及び摩耗に関して試験した。
【0219】
実施した試験は、回転下にある平面多結晶ダイヤモンドとの高荷重線形面接触状態での鉄曲面の試験を含むものであった。この試験は、多結晶ダイヤモンドの面上にその1/2’’幅面の全体に沿って約0.250’’幅の若干変色したヘルツ接触区域線を生成した。理論に縛られることなく、接触区域の幅は、システム内の振動、及び可能性として荷重下での鉄金属の僅かな変形の結果である可能性がある。計算により、いずれか所与の時点での1/2’’多結晶ダイヤモンド要素面上の全接触面積は、多結晶ダイヤモンド要素面の全面積の約7%である。この試験に用いた構成は、多結晶ダイヤモンド要素の面上の小さい面積であってもかなりの荷重に対処することができることを例証した。従って、多結晶ダイヤモンド要素とターゲット材料のカム面との全面接触の必要なく有効な多結晶ダイヤモンド要素カム従動子を設計及び製造することができる。
【0220】
摺動インタフェースの様々な構成に対して試験を実施した。下記の表3は、実施した試験及びその結果のうちの一部を要約している。
【0221】
(表3)


【0222】
試験1及び試験2は、荷重下にある鋼鉄カップ内で転動する個々の鋼鉄ボールの失敗した試験を要約している。試験3は、鋼鉄カップ内で単一ポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素によって支持された鋼鉄ボールのある程度成功した試験の結果を要約している。試験4は、鋼鉄カップ内で3つのポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素のアレイによって支持された単一鋼鉄ボールの非常に成功した試験を要約している。試験5から試験9までは、回転鉄カム面と摺動接触している単一ポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素の各々の徐々に厳しくなる試験を要約している。試験10は、各々が回転鉄カム面と摺動接触している単一ポリッシングされた多結晶ダイヤモンド要素対単一ポリッシング未加工多結晶ダイヤモンド要素の比較試験を要約している。これらの試験は、ポリッシング未加工多結晶ダイヤモンド要素を用いた時のかなりの摩擦係数増大を例証したものである。理論に縛られることなく、表3に提示した条件及び結果は、ダイヤモンド反応材料上での多結晶ダイヤモンドの潜在的な使用を象徴するものと考えられ、本明細書に開示する方法、システム、及び装置を限定又は完全に包含するものと見なすべきではない。
【0223】
行った多くのかつ広範な試験は、有害作用又は明らかな化学相互作用を伴わずにポリッシングされた多結晶ダイヤモンド面と摺動接触している鉄カム作動シリンダを作動させる機能を例証した。鉄材料は、その容易な利用可能性、形成及び機械加工のし易さ、いわゆる超硬材料よりも高い弾性、及び低いコストに起因して軸受用途に対して魅力的である。
【0224】
本出願人が行った試験は、比較的高い荷重及び高いRPM速度であっても、多結晶ダイヤモンドとダイヤモンド反応材料のカムの間の成功裏のカム従動子インタフェース又は荷重インタフェースを実施することができることを立証した。この試験の重要な発見は、多結晶ダイヤモンド要素が、機械加工及び化学相互作用をもたらす可能性があると考えられるエッジ接触状態又はポイント接触状態に入れられない限り、多くの商業用途及び工業用途において必要とされる典型的な荷重及び速度で多結晶ダイヤモンド要素をダイヤモンド反応材料との摺動接触状態で使用することができることであった。この試験の予想せぬ成功は、本明細書に開示する新しい高性能カム従動子の開発につながった。本出願人の試験のこの予想せぬ意外な成功は、新しい高性能ラジアル軸受及びスラスト軸受の開発にもつながった。
【0225】
本出願人は、多結晶ダイヤモンド、特にポリッシングされた多結晶ダイヤモンドが、広範囲のカム作動機構にわたって適用するのに十分に低い摺動摩擦係数を有し、同時に小さい移動部品の要件及び密封潤滑に対する必要性も回避するカム従動子係合面をもたらすことを見出した。これらの発見は、多結晶ダイヤモンドをダイヤモンド反応材料との直接摺動係合状態に使用することへの従来の忌避に反し、この忌避の観点からは意外で予想しないことであった。
【0226】
理論に縛られることなく、作動時に、カム及びカム従動子を液冷潤滑環境において稼働することにより、熱化学反応が始まることなくより高い速度及び荷重を達成することを可能にする。更に、ポリッシングされた多結晶ダイヤモンド面は、より低い熱化学応答をもたらす。
【0227】
一般的なカム材料が受けるPSIは、典型的には、58,000PSIから226,000PSIの範囲である。理論に縛られることなく、1/2’’径のPDCカム従動子を有する本明細書に開示のカム作動PDCアセンブリでは、カム作動PDCアセンブリの作動中に10,000lbsから15,000lbsの力を印加することができ、このアセンブリの実用寿命は、少なくとも一部の実施形態では、約1,000,000サイクルからサイクルまでであると考えられる。150,000PSIに等しい3000lbsの力で作動する時は、本明細書に開示するアセンブリの少なくとも一部の実施形態は、1,000,000サイクルから100,000,000サイクルのサイクル寿命にわたって作動させることができる。
【0228】
上記に提示した説明及び数字から、この出願の面対面の係合技術を上述の坑内環境を含む広範な用途に使用することができることを容易に理解することができるであろう。更に、本明細書に提供する技術は、他の工業用途への幅広い応用を有する。
【0229】
更に、この実施例ではカム従動子の面とカムの面の間の係合を示し、それに関して説明したが、当業者は、本発明の開示がこの特定の用途に限定されないこと、及び本明細書に開示する概念をダイヤモンド材料の面に係合するあらゆるダイヤモンド反応材料面との間の係合に適用することができることを理解するであろう。
【実施例2】
【0230】
実施例2-追加試験
実施例1の続きでは、平面多結晶ダイヤモンド面に対する荷重及び回転下にある球形鉄ボールの追加試験は、多結晶ダイヤモンド要素の中心に小さく、約0.030径の変色したヘルツ接触区域を生成した。実施例1の接触の説明の場合と同様に、理論に縛られることなく、変色の直径は、試験装置内の荷重下での鉄金属の僅かな変形による僅かな振動の結果であると考えられる。
【0231】
ラジアル軸受での多結晶ダイヤモンド要素の適用は、これらの要素の全面よりも遥かに小さい面のみを用いて依然としてかなりの荷重を受け入れることができることが見出されている。この発見は、多結晶ダイヤモンド要素と対向面との全面接触の必要なく有効な多結晶ダイヤモンド要素含有ラジアル軸受を設計及び製造することができることを意味する。この出願の技術にこの発見を使用することにより、使用される多結晶ダイヤモンド要素の遥かに少ない処理しか伴わずにラジアル軸受を製造し、ダイヤモンド反応材料対向面のエッジ衝突又は機械加工の発生のリスクを有意に低減することができる。
【実施例3】
【0232】
実施例3-バニシ仕上げ
実施例3では、ダイヤモンド反応材料(鋼鉄)で製造された軸受面には、ポリッシングされたダイヤモンド軸受面との移動係合下で図32のグラフに示すように80時間の期間にわたって20klbsの力(半径方向荷重)を印加した。軸受面の試験中に軸受面に関する摩擦係数を決定し、それを同じく図32のグラフ内にプロットしており、この図では荷重がグラフ内の上側の線であり、CoFがグラフ内の下側の線である。図32から明らかなように、摩擦係数が低下する約20時間の初期期間がある。最初の約20時間の荷重担持の後に、摩擦係数は比較的安定した状態に達し、軸受面の摩擦係数は有意に更に低下せず、試験の最後の60時間にわたって実質的に一定に維持される。
【0233】
そのようなバニシ仕上げによって軸受面が改善されることが見出されている。理論に縛られることなく、そのようなバニシ仕上げ中に金属軸受面上の凹凸が冷間加工又は塑性変形されてバニシ仕上げの前に比較して相対的に平滑な面仕上げが与えられると考えられる。同様に、軸受面の面仕上げが平滑(細かい面仕上げ)になっていく時に、ダイヤモンドとダイヤモンド反応材料との摩擦係数は低下することも見出されている。ロックウェルC(HRC)が32から38に増大することが観察されている。同様に、面仕上げは約16μin又はそれ未満であった。
【0234】
図33A及び図33Bは、この試験中にバニシ仕上げされたraceの画像を示している。これらの画像から明らかなように、矢印に示すバニシ仕上げされたraceは、母材よりもかなりポリッシングされた外見のものである。この試験の前には、図33Aに示すシャフトの全体が黒色のリン酸塩で被覆されていたが、バニシ仕上げされたraceには黒色のリン酸塩はもはや存在しない。理論に縛られることなく、黒色のリン酸塩コーティングは、この試験中の比較的早期に摩耗し切ったと考えられる。表4は、母材及びこの試験中に得られた軸受raceの平均硬度を示しており、軸受raceが試験の80時間に硬度を6HRCだけ増大させたことが明らかである。母材に対する軸受raceに沿う寸法の変化が示されている。母材は、バニシング未加工面であった。
【0235】
(表4-平均硬度)
【0236】
図33Cは、軸受区域を事前バニシ仕上げするために再機械加工されたシャフトの画像である。シャフトの軸受区域を8μinの面仕上げまで事前バニシ仕上げした。バニシング未加工側部も矢印で示されている。
【0237】
図33Dは、A、B、C、及びDという4つの半径方向場所を示す図33Cのシャフトの構造図である。場所B及びCはバニシ仕上げされ、場所A及びDはバニシング未加工である。表5は、各区域に関する平均HRCを示している。
【0238】
(表5-平均硬度)
【0239】
表5から明らかなように、バニシ仕上げされた場所は、バニシング未加工の場所と比較して高い硬度を有する。
【0240】
図33Eは、10時間にわたる34klbsの半径方向荷重の印加の後の図33C及び図33Dの事前バニシ仕上げされた区域を有する再機械加工されたシャフトを示している。軸受raceに沿って事前バニシ仕上げされた軸受区域の残余と比較して測定可能な変化がないことが見出されている。従って、軸受面を事前バニシ仕上げすることにより、軸受raceに沿う寸法変化の発生又は少なくとも軸受raceに沿う実質的な寸法変化の発生を伴わない作動の機能を有する軸受面が与えられる。
【0241】
以上の実施形態及び利点を詳細に説明したが、本発明の開示の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更、置換、及び修正を加えることができることを理解しなければならない。更に、本発明の開示の範囲は、本明細書に説明する工程、機械、製造、物質組成、手段、方法、及び段階の特定の実施形態に限定されるように意図したものではない。当業者は本発明の開示から直ちに理解されるように、本明細書に説明する対応する実施形態と実質的に同じ機能を実施するか又は実質的に同じ結果をもたらす既存の又は今後に開発されることになる工程、機械、製造、物質組成、手段、方法、又は段階を本発明の開示に従って利用することができる。従って、特許請求の範囲は、そのような工程、機械、製造、物質組成、手段、方法、又は段階をその範囲内に含むように意図している。
本発明のその他の実施態様を以下に記載する。
〔実施形態1〕
装置内で荷重を担持する方法であって、
軸受面を対向軸受面と係合させる段階、
を含み、
前記軸受面は、ポリッシングされた多結晶ダイヤモンドを含み、
前記対向軸受面は、硬化されるダイヤモンド反応材料を含む、
ことを特徴とする方法。
〔実施形態2〕
前記ダイヤモンド反応材料は、前記対向軸受面で硬化されることを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態3〕
前記ダイヤモンド反応材料は、該ダイヤモンド反応材料の全体を通して硬化されることを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態4〕
前記ダイヤモンド反応材料は、前記軸受面を前記対向軸受面と係合させた後に硬化されることを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態5〕
前記ダイヤモンド反応材料は、前記軸受面を前記対向軸受面と係合させる前に硬化されることを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態6〕
前記対向軸受面は、16μin又はそれ未満の面仕上げを有することを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態7〕
前記ダイヤモンド反応材料は、前記対向軸受面上の凹凸を塑性変形することによって硬化され、
前記凹凸を塑性変形することが、前記対向軸受面の面仕上げを縮小する、
ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態8〕
前記ダイヤモンド反応材料は、前記対向軸受面を加工硬化することによって硬化されることを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態9〕
前記加工硬化することは、前記対向軸受面をバニシ仕上げすることを含むことを特徴とする実施形態8に記載の方法。
〔実施形態10〕
前記バニシ仕上げすることは、前記軸受面と前記対向軸受面を摺動接触状態に係合させることを含むことを特徴とする実施形態9に記載の方法。
〔実施形態11〕
前記対向軸受面は、前記軸受面との摺動接触を通じて少なくとも該軸受面と該対向軸受面の間の摩擦係数が定常状態条件に達するまでバニシ仕上げされることを特徴とする実施形態10に記載の方法。
〔実施形態12〕
前記加工硬化することは、前記対向軸受面をショットピーニングすることを含むことを特徴とする実施形態8に記載の方法。
〔実施形態13〕
前記ダイヤモンド反応材料は、該ダイヤモンド反応材料を熱処理することによって硬化されることを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態14〕
前記熱処理することは、無心焼入れ、肌焼入れ、又は低温処理を含むことを特徴とする実施形態13に記載の方法。
〔実施形態15〕
材料の外層を前記対向軸受面の上に設ける段階を更に含むことを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態16〕
前記材料の外層を設ける段階は、該材料の外層を前記対向軸受面の上にメッキ又は被覆する段階を含むことを特徴とする実施形態15に記載の方法。
〔実施形態17〕
前記材料の外層を設ける段階は、前記メッキする段階を含み、
前記メッキする段階は、クロムの層を前記対向軸受面の上にクロムメッキする段階を含む、
ことを特徴とする実施形態16に記載の方法。
〔実施形態18〕
前記材料の外層を設ける段階は、前記対向軸受面上に金属-リン酸塩層を形成するために該対向軸受面をリン酸塩処理する段階を含むことを特徴とする実施形態15に記載の方法。
〔実施形態19〕
前記材料の外層を設ける段階は、蒸着を通じて該外層を前記対向軸受面の上に堆積させる段階を含むことを特徴とする実施形態15に記載の方法。
〔実施形態20〕
前記蒸着は、化学蒸着又は物理蒸着を含むことを特徴とする実施形態19に記載の方法。
〔実施形態21〕
前記材料の外層を設ける段階は、前記対向軸受面をクラッディングする段階を含むことを特徴とする実施形態15に記載の方法。
〔実施形態22〕
前記材料の外層を設ける段階は、前記対向軸受面を陽極処理する段階を含むことを特徴とする実施形態15に記載の方法。
〔実施形態23〕
前記対向軸受面上に炭素の犠牲層を設ける段階を更に含むことを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態24〕
前記装置は、前記軸受面と前記対向軸受面とを含む軸受アセンブリを含み、
前記軸受アセンブリは、カムアセンブリ、ラジアル軸受アセンブリ、又はスラスト軸受アセンブリである、
ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態25〕
軸受アセンブリを坑内環境の中に配備する段階を更に含み、
前記対向軸受面は、前記軸受アセンブリを配備する前に事前バニシ仕上げされる、
ことを特徴とする実施形態1に記載の方法。
〔実施形態26〕
装置であって、
ポリッシングされた多結晶ダイヤモンドを含む軸受面と、
硬化されるダイヤモンド反応材料を含む対向軸受面と、
を含み、
前記軸受面及び前記対向軸受面は、可動係合される、
ことを特徴とする装置。
〔実施形態27〕
前記ダイヤモンド反応材料は、前記対向軸受面で硬化された層を含むことを特徴とする実施形態26に記載の装置。
〔実施形態28〕
前記ダイヤモンド反応材料は、該ダイヤモンド反応材料の全体を通して硬化されることを特徴とする実施形態26に記載の装置。
〔実施形態29〕
前記対向軸受面は、16μin又はそれ未満の面仕上げを有することを特徴とする実施形態26に記載の装置。
〔実施形態30〕
前記対向軸受面は、加工硬化されることを特徴とする実施形態26に記載の装置。
〔実施形態31〕
前記対向軸受面は、バニシ仕上げされることを特徴とする実施形態30に記載の装置。
〔実施形態32〕
前記対向軸受面は、ショットピーニングされることを特徴とする実施形態30に記載の装置。
〔実施形態33〕
前記ダイヤモンド反応材料は、熱処理されることを特徴とする実施形態26に記載の装置。
〔実施形態34〕
前記ダイヤモンド反応材料は、無心焼入れ、肌焼入れ、又は低温処理されることを特徴とする実施形態33に記載の装置。
〔実施形態35〕
前記対向軸受面上に材料の外層を更に含むことを特徴とする実施形態26に記載の装置。
〔実施形態36〕
前記材料の外層は、メッキ又はコーティングを含むことを特徴とする実施形態35に記載の装置。
〔実施形態37〕
前記材料の外層は、前記メッキを含み、
前記メッキは、クロムメッキを含む、
ことを特徴とする実施形態36に記載の装置。
〔実施形態38〕
前記材料の外層は、金属-リン酸塩層を含むことを特徴とする実施形態35に記載の装置。
〔実施形態39〕
前記材料の外層は、蒸着層を含むことを特徴とする実施形態35に記載の装置。
〔実施形態40〕
前記材料の外層は、クラッディングを含むことを特徴とする実施形態35に記載の装置。
〔実施形態41〕
前記材料の外層は、陽極処理された層を含むことを特徴とする実施形態36に記載の装置。
〔実施形態42〕
前記対向軸受面上に炭素の犠牲層を設けることを更に含むことを特徴とする実施形態26に記載の装置。
〔実施形態43〕
装置が、前記軸受面と前記対向軸受面とを含む軸受アセンブリを含み、
前記軸受アセンブリは、カムアセンブリ、ラジアル軸受アセンブリ、又はスラスト軸受アセンブリである、
ことを特徴とする実施形態26に記載の装置。
〔実施形態44〕
対向係合面は、事前バニシ仕上げされることを特徴とする実施形態26に記載の装置。
【符号の説明】
【0242】
101 係合面
102 多結晶ダイヤモンド要素
104 カム従動子本体
105 カム従動子
106 第1の端部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29A
図29B
図30A
図30B
図31A
図31B
図32
図33A
図33B
図33C
図33D
図33E