(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】部分的なレーザリフトオフを使用する発光ダイオードダイの転送方法
(51)【国際特許分類】
H10H 20/85 20250101AFI20250106BHJP
H10H 20/825 20250101ALI20250106BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/32
(21)【出願番号】P 2022535737
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(86)【国際出願番号】 US2020063895
(87)【国際公開番号】W WO2021119060
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-12-11
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポクリヤル, アヌシャ
(72)【発明者】
【氏名】ギャラガー, ティモシー
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0068995(US,A1)
【文献】特開2012-230969(JP,A)
【文献】特開2012-099710(JP,A)
【文献】特開2013-021251(JP,A)
【文献】特表2019-522226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードアセンブリの発光ダイオードダイの転送方法であって、
第1基板の上に第1発光ダイオードを提供する
ステップと、
前記第1基板との界面にガリウム及び窒素を含むバッファ層をそれぞれ含む前記第1発光ダイオードのそれぞれと前記第1基板の上に位置する追加の第1発光ダイオードとを含む第1ソースクーポンを提供するステップと、
ボンディングパッドのアレイを含むバックプレーンを提供するステップと、
前記第1発光ダイオードのそれぞれの上にダイオード側ボンディング材料部を形成するステップと、
前記ボンディングパッドのそれぞれの上にバックプレーン側ボンディング材料部を形成するステップと、
前記ダイオード側ボンディング材料部のそれぞれと前記バックプレーン側ボンディング材料部のそれぞれとの各メーティングペアを第1の力で互いに押し付けるステップと、
前記第1ソースクーポンを前記バックプレーンに押し付け、前記第1基板から前記第1発光ダイオードの部分的なレーザリフトオフを行う
ステップと、
前記ダイオード側ボンディング材料部のそれぞれと前記バックプレーン側ボンディング材料部のそれぞれとの各メーティングペアを前記第1の力を超える第2の力で互いに押し付けることによって、前記ダイオード側ボンディング材料部と前記バックプレーン側ボンディング材料部とを圧印加工するステップと、
前記第1発光ダイオードを前記バックプレーンにレーザボンディングする
ステップと、
前記第1発光ダイオードから前記第1基板を分離する
ステップと、を
有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記
第1基板から前記第1発光ダイオード
の部分的なレーザリフトオフを行う
ステップは、前記第1基板を介して前記第1発光ダイオードに分離レーザビームを照射する
ステップを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1発光ダイオードは、前記第1基板と第1導電型の結晶性の半導体層との間に、ガリウム
及び窒素
を含む非晶質のバッファ層を含み、
前記第1発光ダイオードに分離レーザビームを照射する
ステップは、前記非晶質のバッファ層を液体ガリウムリッチ液滴に変換する
ステップを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体ガリウムリッチ液滴は、前記第1発光ダイオードを前記第1基板に接続する少なくとも55原子パーセントのガリウムを含むガリウムリッチ材料部に凝固し、
前記第1発光ダイオードから前記第1基板を分離する
ステップは、前記ガリウムリッチ材料部の溶融温度を超えて前記
第1発光ダイオードを加熱する
ステップを含む
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのボンディング材料部が
、前記ボンディングパッド
のそれぞれと
前記第1発光ダイオード
のそれぞれとの垂直方向に隣り合う各ペアの間に配されるように、前記ボンディングパッドのアレイの上に前記第1発光ダイオードを配する
ステップと、
前記部分的なレーザリフトオフ
を行うステップによって、前記第1発光ダイオードの第1サブセットの前記バッファ層のサブセットを、55%を超える原子濃度でガリウム原子を含むガリウムリッチ材料部に変換する
ステップと、
少なくとも1つのボンディング材料部のそれぞれの下にあるセットの上への局所レーザ照射によって、前記第1発光ダイオードの前記第1サブセットを前記ボンディングパッドのそれぞれの下にある1つにレーザボンディングする
ステップと、
前記ガリウムリッチ材料部を溶融することによって、前記バックプレーンの第1アセンブリ及び前記第1発光ダイオードの前記第1サブセットを、前記第1基板の第2アセンブリ及び前記第1発光ダイオードの第2サブセットから分離する
ステップと、を更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ガリウムリッチ材料部のそれぞれは、90%を超える原子濃度のガリウム原子を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1発光ダイオードのそれぞれは
、前記バッファ層
のそれぞれによって前記第1基板から離間されたガリウム
及び窒素
を含む第1導電型半導体層を含み、
前記バッファ層のそれぞれは
、窒化ガリウムからなる
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
第2基板との界面に追加のバッファ層のそれぞれを含む前記第2基板の上に位置する第2発光ダイオードを含む第2ソースクーポンを提供する
ステップと、
少なくとも1つの追加のボンディング材料部
が前記ボンディングパッドのそれぞれ
と前記第2発光ダイオード
のそれぞれとの垂直方向に隣り合う各ペアの間に配されるように、前記第1アセンブリの上に前記第2発光ダイオードを配する
ステップと、
別の部分的なレーザリフトオフによって、前記追加のバッファ層のサブセットを、55%を超える原子濃度でガリウム原子を含む追加のガリウムリッチ材料部に変換する
ステップと、
少なくとも1つの追加のボンディング材料部のそれぞれの下にあるセットの上への局所レーザ照射によって、前記第2発光ダイオードの第1サブセットを前記ボンディングパッドのそれぞれの下にある1つにレーザボンディングする
ステップと、
前記追加のガリウムリッチ材料部を溶融することによって、前記バックプレーンの第3アセンブリ、前記第1発光ダイオードの前記第1サブセット、及び前記第2発光ダイオードの前記第1サブセットを、前記第2基板の第4アセンブリ及び前記第1発光ダイオードの第2サブセットから分離する
ステップと、を更に含
み、
前記第2発光ダイオードは、前記第1アセンブリにおける前記第1発光ダイオードの前記第1サブセットの鏡像パターンを含む空孔を含むパターンで配されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記第1発光ダイオードを平坦面に押し付ける
ステップと、
第1レーザ照射によって、前記第1発光ダイオードの第1サブセット内の前記バッファ層の第1サブセットをガリウムリッチ液滴に変換する
ステップと、
前記ガリウムリッチ液滴を、55%を超える原子濃度でガリウム原子を含むガリウムリッチ材料部に凝固させる
ステップと、
第2レーザ照射によって、前記ガリウムリッチ材料部を前記ガリウムリッチ材料部よりも高い接着力を有するガリウムリッチ接着部に変換する
ステップと、
前記第1発光ダイオードを前記平坦面から取り外す
ステップと、
少なくとも1つのボンディング材料部
が前記ボンディングパッド
のそれぞれと前記第1発光ダイオード
のそれぞれとの垂直方向に隣り合う各ペアの間に配されるように、前記ボンディングパッドのアレイの上に前記第1発光ダイオードを配するステップと、
少なくとも1つのボンディング材料部のそれぞれの下にあるセットの上への局所レーザ照射によって、前記第1発光ダイオードの前記第1サブセットを前記ボンディングパッドのそれぞれの下にある1つにレーザボンディングする
ステップと、
前記ガリウムリッチ接着部を溶融する
ステップによって、前記バックプレーンの第1アセンブリ及び前記第1発光ダイオードの前記第1サブセット
を前記第1基板の第2アセンブリ及び前記第1発光ダイオードの第2サブセットから分離する
ステップと、を更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1発光ダイオードの前記第2サブセットは、前記第1アセンブリから分離された後に、前記バッファ層の第2サブセットによって前記第2アセンブリの前記第1基板に取り付けられる
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ダイオード側ボンディング材料部は、前記第1レーザ照射の工程中に前記平坦面に押し付けられ、
前記第1レーザ照射は、前記ダイオード側ボンディング材料部を圧印加工する
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1発光ダイオードのそれぞれは
、前記バッファ層
のそれぞれによって前記第1基板から離間されたガリウム
及び窒素
を含む第1導電型半導体層を含み、
前記バッファ層のそれぞれは
、窒化ガリウムからなる
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる2019年12月11日に出願された米国仮特許出願番号62/946,557の優先権の利益を主張する。
【0002】
本発明の実施形態は、一般に、半導体発光ダイオードを製造する方法、特に、部分的なレーザリフトオフを使用する発光ダイオードダイの転送の方法、および、それによって形成される構造に関する。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(LED)は、例えば、ラップトップまたはLEDテレビの液晶ディスプレイなどに用いられる。しかしながら、異なる色のLEDを、高い歩留まりでディスプレイデバイスの同じバックプレーンに取り付けることは困難である。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様によると、転送方法は、第1基板の上に第1発光ダイオードを提供することと、第1基板から第1発光ダイオードの部分的なレーザリフトオフを行うことと、部分的なレーザリフトオフを行った後に、第1発光ダイオードをバックプレーンにレーザボンディングすることと、レーザボンディングの後に、第1発光ダイオードから第1基板を分離することと、を含む。
【0005】
本開示のさらに別の態様によると、発光デバイスアセンブリは、ボンディングパッドを含むバックプレーンと、それぞれのボンディング材料部を介してボンディングパッドの第1サブセットに取り付けられた第1発光ダイオードと、を含む。第1発光ダイオードのそれぞれは、第1導電型半導体層と、第1導電型半導体層の表面の上に位置し、55%を超える原子濃度でガリウムを含むガリウムリッチ材料部と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による発光デバイスのダイを含む基板を概略的に示す。
【0007】
【
図2】
図2は、4つの異なるタイプのデバイスを4つの転送基板から4つのバックプレーンに転送するための例示的な転送パターンおよび例示的な転送シーケンスを示す。
【0008】
【
図3E】
図3A~3Eは、
図2に示される例示的な転送パターンによる発光デバイスの転送のための概略シーケンスである。
【0009】
【
図4】
図4は、本開示の実施形態による、ソース基板の上に位置する発光ダイオードを含むソースクーポンの垂直断面図である。
【0010】
【
図5A】
図5Aは、本開示の第1実施形態による、バックプレーンと、第1基板の上に位置する第1発光ダイオードを含む第1ソースクーポンと、を含む第1の例示的構造の垂直断面図である。
【0011】
【
図5B】
図5Bは、本開示の第1実施形態による、バックプレーンおよび第1ソースクーポンを位置合わせし、クランプした後の第1の例示的な構造の垂直断面図である。
【0012】
【
図5C】
図5Cは、本開示の第1実施形態による、分離レーザ照射の後の第1の例示的な構造の垂直断面図である。
【0013】
【
図5D】
図5Dは、本開示の第1実施形態による、冷却ステップの後の第1の例示的構造の垂直断面図である。
【0014】
【
図5E】
図5Eは、本開示の第1実施形態による、バックプレーンと第1ソースクーポンとを互いに押し当てた後の第1の例示的な構造の垂直断面図である。
【0015】
【
図5F】
図5Fは、本開示の第1実施形態による、ボンディングレーザ照射の後の第1の例示的な構造の垂直断面図である。
【0016】
【
図5G】
図5Gは、本開示の第1実施形態による、バックプレーンの第1アセンブリおよび第1発光ダイオードの第1サブセットを、第1基板の第2アセンブリおよび第1発光ダイオードの第2サブセットから分離した後の第1の例示的な構造の垂直断面図である。
【0017】
【
図6A】
図6Aは、本開示の第1実施形態による、第2基板の上に位置する第2発光ダイオードを含む第2ソースクーポンを第1アセンブリに位置合わせした後の第1の例示的な構造の垂直断面図である。
【0018】
【
図6B】
図6Bは、本開示の第1実施形態による、第2ソースクーポンを第1アセンブリに位置合わせし、クランプした後の第1の例示的な構造の垂直断面図である。
【0019】
【
図6C】
図6Cは、本開示の第1実施形態による、バックプレーンの第3アセンブリ、第1発光ダイオードの第1サブセット、および、第2発光ダイオードの第1サブセットを、第2基板の第4アセンブリから分離した後の第1の例示的な構造の垂直断面図である。
【0020】
【
図7】
図7は、本開示の第1実施形態による、第3発光ダイオードをバックプレーンに転送した後の第1の例示的な構造の垂直断面図である。
【0021】
【
図8A】
図8Aは、本開示の第2実施形態による、第1発光ダイオードの上のダイオード側ボンディング材料部をダミー基板に対してスタンプした後の第2の例示的な構造の垂直断面図である。
【0022】
【
図8C】
図8Bおよび8Cは、本開示の第2実施形態による、連続的な分離レーザおよび部分接着レーザの照射ステップの後の第2の例示的な構造の垂直断面図である。
【0023】
【
図8D】
図8Dは、本開示の第2実施形態による、ダミー基板から第1ソースクーポンを分離した後の第2の例示的な構造の垂直断面図である。
【0024】
【
図8E】
図8Eは、本開示の第2実施形態による、バックプレーンおよび第1ソースクーポンを位置合わせし、クランプした後の第2の例示的な構造の垂直断面図である。
【0025】
【
図8F】
図8Fは、本開示の第2実施形態による、ボンディングレーザ照射の後の第2の例示的な構造の垂直断面図である。
【0026】
【
図8G】
図8Gは、本開示の第2実施形態による、バックプレーンの第1アセンブリおよび第1発光ダイオードの第1サブセットを、第1基板の第2アセンブリおよび第1発光ダイオードの第2サブセットから分離した後の第2の例示的な構造の垂直断面図である。
【0027】
【
図9A】
図9Aは、本開示の第2実施形態による、第2基板の上に位置する第2発光ダイオードを含む第2ソースクーポンを第1アセンブリに位置合わせした後の第2の例示的な構造の垂直断面図である。
【0028】
【
図9B】
図9Bは、本開示の第2実施形態による、バックプレーンの第3アセンブリ、第1発光ダイオードの第1サブセット、および、第2発光ダイオードの第1サブセットを、第2基板の第4アセンブリから分離した後の第2の例示的な構造の垂直断面図である。
【0029】
【
図10】
図10は、本開示の第2実施形態による、第3発光ダイオードをバックプレーンに転送した後の第2の例示的な構造の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の実施形態は、発光ダイオードを製造する方法、特に、部分的なレーザリフトオフを使用するLEDダイの転送の方法、および、それによって形成される構造に関し、その種々の態様が、以下に記載される。図面全体を通して、同等の要素は同じ参照番号によって示される。特に明記しない限り、同じ参照番号を有する要素は、同じ材料の構成を有すると推定される。図面は、縮尺通りに描かれない。要素の重複がないことが明確に記載されているか、そうでないことが明示的に示されていない限り、要素の単一のインスタンスが書かれていても、要素の複数のインスタンスが複製されてもよい。例えば“第1”、“第2”および“第3”などの序数は、単に同様の要素を識別するために用いられ、本開示の明細書および特許請求の範囲にわたって異なる序数が用いられてもよい。
【0031】
発光ダイオードは、p側のコンタクトとn側のコンタクトとが構造の反対側に位置する縦型構造(例えば、縦型LED)であってもよいし、また、p側のコンタクトとn側のコンタクトとが構造の同じ側に位置する横型構造であってもよい。本明細書で用いられる場合、“発光デバイスアセンブリ”は、少なくとも1つの発光ダイオードが、少なくとも1つの発光ダイオードの安定した機械的支持を提供するように構成される、例えば、バックプレーンまたは任意の他の構造を含みうる搬送構造に対して構造的に固定されるアセンブリを指す。
【0032】
本開示の実施形態において、発光ダイオードのアレイを成長基板から、例えば、バックプレーンなどのターゲット基板に転写するための方法が提供される。例示的な一例において、ターゲット基板は、発光ダイオードを駆動するための、例えば、能動または受動マトリックスバックプレーン基板などのバックプレーン基板でありうる。本明細書で用いられる場合、“バックプレーン”または“バックプレーン基板”は、複数のダイオードをその上に貼るように構成された任意の基板を指す。1つの実施形態において、バックプレーン基板の上の隣接する発光ダイオードの中心と中心との距離は、成長基板の上の隣接する発光ダイオードの中心と中心との距離の整数倍でありうる。発光ダイオードは、1つは青色光を放射するように構成され、1つは緑色光を放射するように構成された、例えば、2つの発光ダイオードのグループなど、複数の発光ダイオードを含んでいてもよい。発光ダイオードは、1つは青色光を放射するように構成され、1つは緑色光を放射するように構成され、1つは赤色光を放射するように構成された3つの発光ダイオードのグループを含んでいてもよい。本明細書で用いられる場合、“隣接する発光ダイオード”は、少なくとも他の発光ダイオードよりも近接して位置する複数の2つ以上の発光ダイオードを指す。本開示の方法は、成長基板の上の発光ダイオードアレイからバックプレーン基板へ発光ダイオードの一部分の選択的な転送を提供しうる。
【0033】
同じタイプのダイオードが、個別の初期成長基板の上に製造されうる。本明細書で用いられる場合、“初期成長基板”は、その上またはその中にデバイスを形成するように処理される基板を指す。デバイスは、発光ダイオード、および/または、センサデバイス(例えば、光検出器)、および/または、任意の他のエレクトロニックデバイスを含みうる。発光ダイオードは、任意のタイプの発光ダイオード、すなわち、縦型発光ダイオード、横型発光ダイオード、または、それらの任意の組み合わせでありうる。同じタイプのダイオードが、各初期成長基板の上に形成されうり、タイプは、ある初期成長基板と別とで異なる。ダイオードは、個別の初期成長基板の上にアレイとして形成されうる。
【0034】
図1を参照すると、発光ダイオード10のダイを含む成長基板を含む第1ソースクーポン1が示されている。基板は、外縁にダイオードが形成されていないエッジ除外領域300を含んでいてもよい。基板は、第1アレイ構成で配された同じタイプ(本明細書において第1タイプと呼ぶ)の発光ダイオードを含みうる。第1タイプの発光ダイオードは、例えば、同じピーク波長で光を放射する発光ダイオードであってもよい同じダイオードの複数のインスタンスである。例えば、第1タイプの発光ダイオードは、赤色発光ダイオード、緑色発光ダイオード、または、青色発光ダイオードであってもよい。
【0035】
第1アレイ構成は、個別に第1方向(すなわち、第1アレイ構成の第1方向)に沿った第1方向ピッチPx1を有し、個別に第2方向(すなわち、第1アレイ構成の第2方向)に沿った第2方向ピッチPy1を有する。本明細書で用いられる場合、アレイ構成の第1方向および第2方向は、それに沿ってアレイ構成のユニットセルが繰り返される2つの方向を指す。矩形のアレイ構成において、第1方向と第2方向とは互いに垂直であってもよく、x方向およびy方向と呼ばれる。
【0036】
基板の上の発光ダイオード10は、第2アレイ構成のボンディングサイトを有する複数のバックプレーンに転送されうる。所定の転送パターンおよび所定の転送シーケンスが、発光ダイオード10の転送のために使用されうる。異なる基板から提供される異なるタイプの発光ダイオードが、機能的な直視型発光ダイオードアセンブリを提供するために、基板からの発光ダイオード10と共に使用されうる。
【0037】
図2を参照すると、4つの異なるタイプのデバイス(10B、10G、10R、10S)(例えば、それぞれ、青色、緑色および赤色発光LED、および、任意のセンサ)を4つのバックプレーン(BP1、BP2、BP3、BP4)に転送するための例示的な転送パターンおよび例示的な転送シーケンスが示されている。4つの異なるタイプのデバイス(10B、10G、10R、10S)は、4つの転送基板、または、4つの成長基板、または、それらの組み合わせを含みうる4つのソース基板(B、G、R、S)の上に提供されうる。第1発光ダイオード10Bは第1ソース基板Bの上に提供されうり、第2発光ダイオード10Gは第2ソース基板Gの上に提供されうり、第3発光ダイオード10Rは第3ソース基板Rの上に提供されうり、センサ10Sは第4ソース基板Sの上に提供されうる。
【0038】
“1”とラベル付けされた第1発光ダイオード10Bのサブセットは、第1ソース基板Bから、第1バックプレーンBP1の“1”と記された位置に転送されうる。その後、“2”とラベル付けされた第2ダイオード10Gのサブセットが、第2ソース基板Gから、第2基板BP2に、第2バックプレーンBP2の“2”と記された位置に転送されうる。連続する転送は、数字インデックス“16”でラベル付けされたダイオードのセットまで、徐々に増加する数字インデックスでラベル付けされたダイオードの各セットで続けられる。
【0039】
例示的な転送パターンおよび例示的な転送シーケンスは、4つのソース基板(B、G、R、S)および4つのバックプレーン(BP1、BP2、BP3、BP4)が使用される場合について示されているが、本開示の方法は、mが1を超える整数であり、nが1を超える整数であり、nがm以上であるm個の転送アセンブリおよびn個のバックプレーンが使用される任意の場合に適用されうる。n個のバックプレーンは、m個の転送アセンブリからのダイオードとボンディングし、n個の一体化された発光ダイオードアセンブリを形成する。1つの実施形態において、nは、mと同じであってもよく、または、mよりも大きくてもよい。
【0040】
複数の転送アセンブリ、例えば、m個の転送アセンブリが提供される。m個の転送アセンブリのそれぞれは、それぞれのソース基板(B、G、R、S)と、同じ2次元周期性を有する2次元アレイ内のそれぞれのデバイス(10B、10G、10R、10S)と、を含む。本明細書で用いられる場合、複数の構造に対する同じ2次元周期性は、複数の構造の各々が個別の単位構造を有し、個別の単位構造のインスタンスが周期性の2つの独立した方向(例えば、第1周期性方向および第2周期性方向)に沿って繰り返される構成を指し、単位構造は、すべての複数の構造について、同じ第1ピッチでそれぞれ第1周期性方向に沿って繰り返され、同じ第2ピッチでそれぞれ第2周期性方向に沿って繰り返され、第1周期性方向と第2周期性方向との間の角度は、すべての複数の構造に対して同じである。n個のバックプレーンの各々は、m個のタイプのダイオードを実装するように構成された、個別の単位ボンディング材料部パターンの周期的な繰り返しを有する。
【0041】
m個のタイプのデバイスの各々は、m個の転送アセンブリ間の個別の転送アセンブリ内のデバイスのうちの1つでありうる。n個のバックプレーンの各々内の2つの独立した方向に沿った各単位ボンディング材料部パターンのピッチは、m個の転送アセンブリの各々内のデバイスの2次元周期性の個別のピッチの倍数でありうる。例示的な例において、デバイス(10B、10G、10R、10S)のそれぞれは、第1方向に沿った第1周期aと、第2方向(第1方向に垂直であってもよい)に沿った第2周期bと、を有し、それぞれの転送アセンブリ内で周期的でありうる。バックプレーンの各々内の単位導電性ボンディングパッドパターンは、第1方向に沿った第1周期性2a(aの整数倍である)を有しうり、第2方向(第1方向に垂直であってもよい)に沿った第2周期性2b(bの整数倍である)を有しうる。
【0042】
それぞれの転送アセンブリの上の既存のデバイスの、それぞれのバックプレーン(BP1、BP2、BP3、BP4)に以前にボンディングされていたいずれかのデバイス(10B、10G、10R、10S)との衝突を妨げる位置に、それぞれの移送アセンブリをそれぞれのバックプレーン(BP1、BP2、BP3、BP4)の上に配することによって、m個の転送アセンブリのそれぞれからのデバイス(10B、10G、10R、10S)のサブセットは、n個のバックプレーンのうちのそれぞれのバックプレーン(BP1、BP2、BP3、BP4)に順次転送されうる。
【0043】
図4を参照すると、第1基板8A(第1成長基板または第1ソース基板とも呼ばれる)と、第1基板8Aの上に位置する第1発光ダイオード10Bと、を含む第1ソースクーポン1が示されている。第1基板8Aは、例えば、LED半導体層を成長させることができる単結晶基板など、LED層が成長しうる任意の適切な基板でありうる。例えば、第1基板8Aは、サファイア基板でありうる。
【0044】
各第1発光ダイオード10Bは、バッファ層11と第1導電型半導体層12とを含む。各バッファ層11は、ガリウムと窒素とを含む非晶質のIII-V族化合物半導体層である。各第1導電型半導体層12は、ガリウムと窒素とを含む結晶性のIII-V族化合物半導体材料層である。例えば、バッファ層は、非晶質の窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)または窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)を含みうり、第1導電型半導体層12は、単結晶または多結晶のGaN、InGaN、AlGaNまたはAlInGaNを含みうる。第1導電型半導体層12は、n型またはp型でありうる第1タイプの導電型を有する。例えば、第1導電型半導体層12は、n型半導体層を含む。バッファ層11は、アンドープであってもよいし、第1導電型であってもよい。
【0045】
バッファ層11は、第1導電型半導体層12と第1基板8Aとの間に位置する。バッファ層11は、第1導電型半導体層12と同じ材料組成を有していてもよい。例えば、バッファ層11および第1導電型半導体層12は、いずれも窒化ガリウムを含みうる。アモルファス窒化ガリウムバッファ層11は、パターニングされたサファイア基板(PSS)8Aの上に結晶性の窒化ガリウム第1導電型半導体層12を初期堆積する間に形成されうり、ここで、窒化ガリウム成長条件は、アモルファスから結晶性の窒化ガリウム層成長に遷移する。バッファ層11の厚さは、より小さなおよびより大きな厚さもまた使用されうるが、例えば、150nmから300nmなど、100nmから400nmの範囲でありうる。第1導電型半導体層12の厚さは、より小さなおよびより大きな厚さもまた使用されうるが、例えば、1から3ミクロンのような、500nmから5ミクロンの範囲でありうる。
【0046】
活性層13が、第1導電型半導体層12の上に位置する。1つの実施形態において、活性層13は、GaN、InGaN、AlGaNおよび/またはAlInGaNから選択される少なくとも1つのバルク層、準バルク層または量子井戸層を含みうる。例えば、活性層は、それぞれのGaNおよび/またはAlGaNバリア層の間に、1つ以上のInGaN量子井戸層のスタックを含みうる。一般に、当技術分野で知られている任意の発光層スタックが、活性層13に使用されうる。
【0047】
第2導電型半導体層14が、活性層の上に位置する。第2導電型半導体層14は、第2導電型のドーピングを有する。第2導電型は、第1導電型とは逆である。第1導電型がn型である場合、第2導電型はp型であり、その逆も同様である。1つの実施形態において、第1導電型はn型であり、第2導電型はp型である。各第2導電型半導体層14は結晶性(例えば、単結晶または多結晶)のGaN、InGaN、AlGaNおよび/またはAlInGaN層を含みうる。したがって、活性層13は、第1および第2導電型層の間に位置する。
【0048】
コンタクトレベル材料層15が、第2導電型層14の上に位置する。コンタクトレベル材料層15は、電極(例えば、p型側電極)として機能する少なくとも1つの導電層を含む。コンタクトレベル材料層15は、下から上に、透明導電性酸化物層、反射体層および/またはボンディングパッド材料層を含むスタックを含みうる。透明導電性酸化物層は、例えば、インジウムスズ酸化物またはアルミニウムドープ酸化亜鉛など、透明導電性酸化物材料を含む。反射体層は、金、銀および/またはアルミニウムを含む。ボンディングパッド材料層は、例えば、金、銅、ニッケル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、後に使用されるはんだ材料よりも高い融点を有する他の金属、それらの合金、および/または、それらの層スタックなど、ボンディングパッドとして機能しうる金属材料を含む。
【0049】
第2導電型半導体層14、活性層13、および、任意に各第1発光ダイオード10B内の第1導電型半導体層12のスタックは、種々のパターニング法を使用して、隣接するLED10B間に溝19を形成するようにパターニングされうる。誘電体マトリクス層16が、第1LED10B間に形成されうる。溝19は、各第1LED10Bのエリアを定義する。具体的には、第1基板8Aを覆い、一組の溝19によって横方向に囲まれたパターニングされた材料層の各連続セットが、第1発光ダイオード10Bを構成する。1つの実施形態において、溝19は、第1発光ダイオード10Bの周期的アレイでありうる第1発光ダイオード10Bのアレイを提供するために、格子パターンで形成されうる。第1発光ダイオード10Bは、例えば、青色スペクトルの範囲の第1ピーク波長を有する青色光など、第1ピーク波長の光を放射しうる。
【0050】
図4は、第1発光ダイオード10Bの特定の実施形態を示すが、本開示の実施形態は、各第1発光ダイオード10Bの第1基板8Aとは反対を向く側にボンディング材料部を取り付けるための構造が提供されていれば、第1発光ダイオード10Bのための任意の構成を使用して利用することができる。
【0051】
図5Aを参照すると、第1発光ダイオード10Bのそれぞれにおいて、ダイオード側ボンディング材料部17が、コンタクトレベル材料層15に取り付けられうる。1つの実施形態において、ダイオード側ボンディング材料部17は、例えば、純スズまたはスズとインジウムとの合金などはんだ材料部でありうる。
【0052】
バックプレーン32が提供される。バックプレーン32は、基板と、基板の前側表面の上に形成された金属相互接続層325と、を含む。1つの実施形態において、基板は、プラスチック(例えば、ポリマー)基板を含みうる。1つの実施形態において、金属相互接続層325は、基板の表面に位置する、および/または、少なくとも1つの絶縁材料に埋め込まれた複数の金属相互接続構造を含みうり、バックプレーン32の上にボンディングされる発光ダイオードとバックプレーン32の入出力ピンとの間の電気的接続を提供する。
【0053】
ボンディングパッド34が、金属相互接続層325を覆うバックプレーン32の表面の上に提供されうる。1つの実施形態において、ボンディングパッド34は、2次元周期的アレイとして、または、1次元周期的アレイとして配されうる。ボンディングパッド34は、例えば、金、銅、ニッケル、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、後に使用されるはんだ材料よりも高い融点を有する他の金属、それらの合金、および/または、それらの層スタックなど、ボンディングパッド材料を含む。
【0054】
バックプレーン側ボンディング材料部37が、ボンディングパッド34に取り付けられうる。1つの実施形態において、バックプレーン側ボンディング材料部37は、例えば、純スズまたはスズとインジウムとの合金などはんだ材料部でありうる。
【0055】
第1ソースクーポン1およびバックプレーン32は、ダイオード側ボンディング材料部17およびバックプレーン側ボンディング材料部37のペアがボンディングパッド34の周期的アレイの各格子点において互いに対向するように整列させることができる。
【0056】
図5Bを参照すると、バックプレーン32と第1ソースクーポン1とが、ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部分37との対向するペアが互いに接触するように、互いに接触させられる。ダイオード側ボンディング材料部17のそれぞれは、下にあるそれぞれのバックプレーン側ボンディング材料部37とエリアのオーバーラップを有することができる。1つの実施形態において、オーバーラップするエリアは、ダイオード側ボンディング材料部17の面積の例えば、80%超および/または90%超など、少なくとも70%でありうる。1つの実施形態において、各ダイオード側ボンディング材料部17の幾何学的中心が、下にあるバックプレーン側ボンディング材料部37の幾何学的中心を覆っていてもよい。
【0057】
一般に、それぞれのボンディングパッド34と第1発光ダイオード10Bとの垂直方向に隣り合う各ペアの間に、少なくとも1つのボンディング材料部(17、37)が配されうる。1つの実施形態において、それぞれのボンディングパッド34と第1発光ダイオード10Bとの垂直方向に隣り合う各ペアの間に、ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37との1つのペアが提供されうる。1つの実施形態において、ダイオード側ボンディング材料部17は省略されうる。他の実施形態において、バックプレーン側ボンディング材料部37は省略されうる。
【0058】
1つの実施形態において、バックプレーン32と第1発光ダイオード10Bとの間にはんだフラックス35が、はんだフラックス35が各ボンディング材料部(17、37)を横方向に囲むように、塗布されうる。はんだフラックス35は、酸化スズと反応して金属スズボンディング材料部(17、37)を残す任意の適切な液体フラックスでありうる。1つの実施形態において、例えば、クランプ400など固定治具が、バックプレーン32と第1ソースクーポン1とのアセンブリの横方向のずれのない適所の保持に使用されうる。例示的な例において、クランプ400は、バックプレーン32または第1ソースクーポン1の一方の裏面を押圧する上部プレート400Uと、バックプレーン32または第1ソースクーポン1の他方の裏面を押圧する下部プレート400Lと、上部プレート400Uおよび下部プレート400Lを適所に保持する機械的支持要素を含むフレーム400Fと、上部プレート400Uおよび/または下部プレート400Lに加えられる力を調整する、または、上部プレート400Uと下部プレート400Lとの間の距離を調整する調整ユニット400Aと、を含みうる。例えば、上部プレート400Uなど第1ソースクーポン1に接触するプレートは、UV、可視光またはIRレーザ照射を透過する材料を含んでいてもよく、および/または、上部プレート400Uが第1ソースクーポン1の縁部のみをクランプし、例えば、レーザビームがそれを通過できるように中央開口部を含んでいてもよい。
【0059】
例示的な例において、バックプレーン32および第1ソースクーポン1は、バックプレーン32、ボンディング材料部(17、37)および第1ソースクーポン1のアセンブリに垂直方向に沿って圧縮力が適用されている間、適所に保持されうる。圧縮力の大きさは、ボンディング材料部(17、37)が著しく変形しないように、すなわち、ボンディング材料部(17、37)がクランプ前に提供された形状を維持し、それぞれのボンディング材料部17および37を互いにボンディングしないように選択されうる。例示的な例において、100,000ペアのダイオード側ボンディング材料部17およびバックプレーン側ボンディング材料部37が、バックプレーン32と第1ソースクーポン1との間に存在する場合、クランプ400によって加えられる圧縮力の大きさは、250Nから400Nの範囲でありうる。
【0060】
図5Cを参照すると、次いでバックプレーン32に移送されるべき第1発光ダイオード10Bの上にある各バッファ層11に、分離レーザビームLDを選択的に照射するための、逐次的なレーザ照射プロセスが行われうる。その後バックプレーン32に転送される全ての第1発光ダイオード10Bのセットは、本明細書において第1発光ダイオード10Bの第1サブセットと呼ばれる。分離レーザビームLDは、第1発光ダイオード10Bの第1サブセットを部分的にリフトオフするために使用される部分レーザリフトオフプロセスを行い、本明細書において分離レーザ照射プロセスと呼ばれる。第1発光ダイオード10Bの第1サブセットの各バッファ層11は、分離レーザビームLDを順次照射される。分離レーザビームLDの横方向の寸法(例えば、直径など)は、第1発光ダイオード10Bの横方向の寸法とほぼ同じでありうる。したがって、隣接するバッファ層11の組成を大きく変更させることなく、各バッファ層11が個別に照射されうる。
【0061】
分離レーザビームLDは、紫外線波長または可視光領域の波長を有しうり、照射されたバッファ層11のガリウムおよび窒素含有III-V族化合物半導体材料によって吸収されうる。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、バッファ層11の上への分離レーザビームLDの照射は、ガリウム原子を蒸発させることなく、または、ガリウム原子の蒸発を最小限に抑えて、窒素原子を蒸発させると考えられる。したがって、照射は、残りの材料中の窒素の原子パーセントを減少させる。第1ソースクーポン1およびバックプレーン32は、このステップの間および後に、クランプ400によって機械的に適所に保持されうる。
【0062】
1つの実施形態において、特定の理論に束縛されるものではないが、第1発光ダイオード10Bの第1サブセット内のバッファ層11の照射されたサブセットは、ガリウムリッチ液滴111に変換されうると考えられる。ガリウムリッチ液滴111は、純粋な液体ガリウムリッチ液滴からなっていてもよく、または、例えば、60%~99%など、55%を超える原子濃度のガリウムを含むガリウムと窒素との合金を含んでいてもよい。
【0063】
図5Dに示されるように、第1ソースクーポン1の温度がガリウム(例えば、29.76℃)またはその合金の溶融温度未満に維持される場合、液状ガリウムリッチ液滴111は、照射後に、固体ガリウムリッチ材料部(例えば、純粋なガリウムまたはガリウムリッチ合金粒子または領域)211に凝固されうる。1つの実施形態において、レーザ照射されたバッファ層11の残りの各部分(第1発光ダイオード10Bの第1サブセット内のバッファ層11のサブセットである)は、ガリウムリッチ材料部211(すなわち、固体純粋ガリウムまたはガリウムリッチ合金粒子または領域)を含みうる。1つの実施形態において、ガリウムリッチ材料部211は、例えば、60%から100%など、55%を超える原子濃度のガリウム原子を含みうる。ガリウムリッチ材料部211は、より小さなおよびより大きな厚さもまた使用されうるが、例えば、10nmから50nmなど、5nmから100nmの範囲の平均厚さを有しうる。各ガリウムリッチ材料部211は、連続材料層を含みうり、または、ボール状の材料部のクラスタを含みうる。その後にバックプレーン32に転写されない第1発光ダイオード10Bの第2サブセット内に位置するバッファ層11のサブセットは、レーザビームLDが照射されず、したがって、例えば、約50原子パーセントのガリウムを有し、したがって、ガリウムリッチ材料部211よりも高い融点を有する窒化ガリウムバッファ層などのバッファ層11として残る。
【0064】
バックプレーン側ボンディング材料部37と隣接する各ペア内のダイオード側ボンディング材料部17とは、レーザ照射中に単に互いに接触し、互いにボンディングされないため、レーザ照射からの機械的衝撃は、比較的壊れやすいポリマーを含みうるバックプレーン32に伝わらない。したがって、ガリウムリッチ材料部211を形成する
図5Cおよび
図5Dに関して上述した部分的なレーザリフトオフは、バックプレーン32およびバックプレーン32の上の導電性要素(34、325)にほとんど、または、全くダメージを生じさせない原因になりうる。さらに、部分レーザリフトオフプロセスは、ボンディングリフローが部分的なレーザリフトオフの後に起きるため、例えば、
図5Fのプロセス工程など後続のプロセス工程における再凝固ボンディング材料部のダメージを抑制する。
【0065】
図5Eを参照すると、バックプレーン32および第1ソースクーポン1は、ボンディング材料部(17、37)の変形を誘起するために(すなわち、ボンディング材料部を圧印加工(coin)して、任意の粗いボンディング表面を滑らかにするために)、より大きな力で互いに押し付けられうる。したがって、それぞれのダイオード側ボンディング材料部17とそれぞれのバックプレーン側ボンディング材料部37との各メーティングペアは、バッファ層11のサブセットをガリウムリッチ材料部211に変換した後に、第1圧力を超える第2圧力で互いに押し付けられうる。第2圧力は、ダイオード側ボンディング材料部17およびバックプレーン側ボンディング材料部37の変形を形成するのに十分である。例示的な例において、100,000ペアのダイオード側ボンディング材料部17およびバックプレーン側ボンディング材料部37が、バックプレーン32と第1ソースクーポン1との間に存在する場合、クランプ400によって加えられる圧縮力の大きさは、500Nから1,000Nの範囲でありうる。
【0066】
図5Fを参照すると、バックプレーン32に転送される第1発光ダイオード10Bの第1サブセットの下に位置するダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37とのそれぞれのメーティングペアのリフローおよびその後のボンディングを誘起するために、逐次的な局所レーザ照射プロセスが行われうる。レーザ照射は、第1発光ダイオード10Bの第1サブセットのバックプレーン32へのボンディングを誘起し、本明細書においてボンディングレーザ照射プロセスと呼ばれる。ボンディングレーザ照射プロセス中に使用されるレーザビームLBは、第1発光ダイオード10B内のIII-V族化合物半導体材料(例えば、ガリウムおよび窒素含有材料)のバンドギャップよりも小さい光子エネルギを有し、したがって、第1発光ダイオード10Bを通過する。例えば、ボンディングレーザ照射プロセスで使用されるレーザビームLBは、例えば、波長9.4ミクロンまたは10.6ミクロンを有する炭酸ガスレーザビームなど、赤外線レーザビームでありうる。
【0067】
レーザビームLBは、ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37との各メーティングペアを順次照射しうる。ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37との各照射されたペアは、ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37とのペアのボンディング材料(はんだ材料でありうる)がリフローするリフロー温度まで加熱される。ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37とのメーティングペアへのレーザビームの照射が終了すると、リフローされた材料が再凝固して再凝固ボンディング材料部47が提供される。各再凝固ボンディング材料部47は、ボンディングパッド34と第1発光ダイオード10Bのコンタクトレベル材料層15とにボンディングされる。
【0068】
一般に、第1発光ダイオード10Bの第1サブセットは、少なくとも1つのボンディング材料部(17、37)のそれぞれの下にあるセットの上への局所レーザ照射によって、ボンディングパッド34のそれぞれの下にある1つにボンディングされうり、これらはリフローされ、再凝固し、再凝固ボンディング材料部47を形成する。1つの実施形態において、ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37とのそれぞれのメーティングペアは、局所レーザ照射中に第2圧力で互いに押し付けられうる。第1発光ダイオード10Bの第1サブセット内の各第1発光ダイオード10Bは、バックプレーン32にボンディングされうり、第1発光ダイオード10Bの第2サブセット内の各第1発光ダイオード10Bは、バックプレーン32にボンディングされずに残りうる。ガリウムリッチ材料部211は、第1基板8Aと第1導電型半導体層12との間に弱い接着力を提供する。第1発光ダイオード10Bは、ガリウムリッチ材料部211によって適所に保持されるため、従来技術のボンディングプロセスよりも低出力レーザビームLBを使用することができる。これによって、バックプレーン32のダメージがさらに抑制される。はんだフラックス35は、レーザビームLBの照射中に蒸発させてもよいし、この工程の後に流出させてもよい。
【0069】
図5Gを参照すると、第1ソースクーポン1およびバックプレーン32は、クランプ400から取り外され、ガリウムリッチ材料部分211の溶融温度よりも高いが、非晶質のバッファ層11の融点よりも低い(例えば、窒化ガリウムの溶融温度よりも低い)温度に加熱される。例えば、ガリウムリッチ材料部211が純粋なガリウムを含む場合、ガリウムリッチ材料部211を溶融してガリウムリッチ液滴111にするために、温度は、例えば、35から50℃など、少なくとも30℃に上昇される。これは、機械的な力を加える、または、加えずに、バックプレーン32および第1発光ダイオード10Bの第1サブセットを、第1基板8Aの第2アセンブリおよび第1発光ダイオード10Bの第2サブセットから分離する。例えば、第2アセンブリは、100Nよりも小さい力で第1アセンブリから引き離すことができる。任意に、ガリウムリッチ材料部311(例えば、再凝固ガリウムリッチ液滴111または部分211の残留物など)が、第1導電型半導体層12の表面の上に位置していてもよい。ガリウムリッチ材料部分311は、95%を超えうる、55%を超える原子濃度のガリウムを含む。1つの実施形態において、ガリウムリッチ材料部311は、本質的にガリウムからなりうり、例えば、10nmから50nmなど、5nmから100nmの範囲の厚さを有しうる。
【0070】
単一カラーのLEDデバイスが所望される場合、製造プロセスは
図5Gに示される工程で終了する。代わりに、マルチカラーディスプレイを形成するために、異なる色のLEDがバックプレーン32にボンディングされるように、
図5A~5Gに示される工程が繰り返されてもよい。
【0071】
図6Aを参照すると、第2基板8Bの上に位置する第2発光ダイオード10Gを含む第2ソースクーポン2が提供されうる。第2発光ダイオード10Gのそれぞれは、第2基板8Bとの界面に、それぞれの追加のバッファ層11を含みうる。第2発光ダイオード10Gは、第1アセンブリにおける第1発光ダイオード10Bの第1サブセットの鏡像パターンを含む空孔を含むパターンで配されうる。1つの実施形態において、第2発光ダイオード10Gは、第1ピーク波長とは異なる第2ピーク波長の光を放射しうる。第2ソースクーポンと第1アセンブリとは、バックプレーン32の上の各第1発光ダイオード10Bが第2ソースクーポン内の空孔のそれぞれの1つの下に位置するように、互いに位置合わせされうる。
【0072】
図6Bを参照すると、第2発光ダイオード10Gは、少なくとも1つの追加のボンディング材料部(17、37)がそれぞれのボンディングパッド34と第2発光ダイオード10Gのそれぞれとの垂直方向に隣り合う各ペアの間に配されるように、第1アセンブリの上に配されうる。第2ソースクーポン2は、
図5Bに関して上述したプロセスの工程を使用して、クランプ400を使用して第1アセンブリに位置合わせされ、クランプされうる。はんだフラックス35(明瞭化のために図示せず)は、これらの工程中も同様に使用されうる。
【0073】
追加のバッファ層11のサブセットは、後にバックプレーン32に転送される第2発光ダイオード10Gの第1サブセット内の各追加のバッファ層11の上で、
図5Cおよび
図5Dのプロセスの工程を行うことによって、追加のガリウムリッチ材料部211に変換されうる。
【0074】
図5Eおよび
図5Fのプロセスの工程が、その後、少なくとも1つの追加のボンディング材料部(17、37)のそれぞれの下にあるセットの上に、局所レーザ照射によって、第2発光ダイオード10Gの第1サブセットをボンディングパッド34のそれぞれの下にある1つにボンディングするために行われうる。ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37との各照射されたペアは、ダイオード側ボンディング材料部17およびバックプレーン側ボンディング材料部37のペアのボンディング材料(はんだ材料でありうる)がリフローするリフロー温度まで加熱される。ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37とのメーティングペアへのレーザビームの照射が終了すると、リフローされた材料が再凝固して再凝固ボンディング材料部47が提供される。各再凝固ボンディング材料部47は、ボンディングパッド34と第2発光ダイオード10Gのコンタクトレベル材料層15とにボンディングされる。
【0075】
図6Cを参照すると、バックプレーン32の第3アセンブリ、第1発光ダイオード10Bの第1サブセット、および、第2発光ダイオード10Gの第1サブセットは、追加のガリウムリッチ材料部211でそれらを分離することによって、第2基板8Bの第4アセンブリ、および、バックプレーン32にボンディングされていない第2発光ダイオード10Gの第2サブセットから分離(すなわち、分離)されうる。ガリウムリッチ材料部311(例えば、再凝固ガリウムリッチ層など)が、第2発光ダイオード10Gの第1導電型半導体層12の表面の上に位置していてもよい。
【0076】
図7を参照すると、第3基板の上に位置する第3発光ダイオード10Rを含む第3ソースクーポンが提供されうる。第3発光ダイオード10Rのそれぞれは、第3基板との界面に、それぞれの追加のバッファ層を含みうる。第3発光ダイオード10Rは、第1発光ダイオード10Bの第1サブセットおよび第3アセンブリにおける第2発光ダイオード10Gの第1サブセットの鏡像パターンを含む空孔を含むパターンで配されうる。1つの実施形態において、第3発光ダイオード10Rは、第1ピーク波長および第2ピーク波長とは異なる第3ピーク波長の光を放射しうる。
【0077】
第3発光ダイオード10Rの第1サブセットをバックプレーン32に転送するために、
図5B~5Gのプロセスの工程が行われうる。バックプレーン32は、直視型ディスプレイデバイスを提供するために、画素のアレイを含みうる。各画素は、1つ以上のLED(10B、10G、10R)を含みうる。1つの実施形態において、バックプレーン32は、直視型ディスプレイデバイスのためのディスプレイフレームでありうり、直視型ディスプレイデバイスの各画素は、620nmから750nmの範囲のピーク波長の光を放射するように構成された少なくとも1つの赤色発光ダイオード(例えば、第3発光ダイオード10Rなど)と、495nmから570nmの範囲のピーク波長の光を放射するように構成された少なくとも1つの緑色発光ダイオード(例えば、第2発光ダイオード10Gなど)と、450から495nmの範囲のピーク波長の光を放射するように構成された少なくとも1つの青色発光ダイオード(例えば、第1発光ダイオード10Bなど)と、を含んでいてもよい。
【0078】
図8Aを参照すると、バックプレーン32、ボンディングパッド34、および、バックプレーン側ボンディング材料部37の組合せを平坦面(すなわち平面である)に置き換えることによって、
図5Bの第1の例示的な構造から第2の例示的な構造が派生しうる。平坦面は、ダミー基板932の平坦面、または、例えば、ステージ、チャックまたはクランプなどの支持体の平坦面を含んでもよい。したがって、第1ソースクーポン1をクランプ400でクランプする前に、例えば、ダミー基板の平面のような平坦面に、第1発光ダイオード10Bのそれぞれに、ダイオード側ボンディング材料部17が形成されうる。
【0079】
例示的な例において、ダミー基板932と第1ソースクーポン1とが、ダイオード側ボンディング材料部17が変形しないように、互いに軽く押し付けられうる。100,000個のダイオード側ボンディング材料部17が、第1ソースクーポン1に提供されている場合、クランプ400によって加えられる圧縮力の大きさは、100Nから200Nの範囲でありうる。
【0080】
図8Bを参照すると、第1レーザ照射プロセスが、ダイオード側ボンディング材料部17がダミー基板932の平面に配されている間に行われる。分離する第1発光ダイオード10Bの各バッファ層11は、レーザビームを照射され、本明細書において分離レーザビームLDと呼ばれる。その後分離される全ての第1発光ダイオード10Bのセットは、本明細書において第1発光ダイオード10Bの第1サブセットと呼ばれる。各バッファ層11は、分離レーザビームLDを順次照射されうる。分離レーザビームLDの横方向の寸法(例えば、直径など)は、第1発光ダイオード10Bの横方向の寸法とほぼ同じでありうる。したがって、隣接するバッファ層11の組成を大きく変更させることなく、各バッファ層11が個別に照射されうる。
【0081】
分離レーザビームLDは、紫外線波長または可視光領域の波長を有しうり、バッファ層11のIII-V族化合物半導体材料によって吸収されうる。分離レーザビームLDのバッファ層11への照射は、ガリウム原子を蒸発させることなく、または、ガリウム原子の蒸発を最小限に抑えて、窒素原子を蒸発させると考えられ、したがって、残りの材料中の窒素の原子パーセントを減少させる。1つの実施形態において、第1発光ダイオード10Bの第1サブセット内のバッファ層の照射されたサブセットは、ガリウムリッチ液滴111に変換されうる。ガリウムリッチ液滴111は、上述したように、55%を超える原子濃度のガリウムを含みうる。さらに、レーザ照射の熱衝撃は、ダミー基板932の比較的硬い平面に対してダイオード側ボンディング材料部17を圧印加工(例えば、平坦化)すると考えられる。
【0082】
図8Cを参照すると、第2レーザ照射プロセスが、ダイオード側ボンディング材料部17がダミー基板932の平面に配されている間に、第1発光ダイオード10Bの第1サブセットに対して行われる。第2レーザビームは、ここでは取付レーザビームLAと呼ばれる。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、取付レーザビームLAは、ガリウムリッチ液滴111および/またはガリウムリッチ材料部211(ガリウムリッチ液滴111が分離レーザビームLDを照射された後に凝固する場合)をリフローさせ、さらに粘着性を増して、照射された第1発光ダイオード10Bを第1基板8Aに弱く取り付ける(すなわち、部分的に接続する)ガリウムリッチ接着部411を形成させる原因になると考えられる。取付レーザビームLAは、分離レーザビームLDと同じパラメータ(すなわち、波長およびパワー)を有しうる。ガリウムリッチ接着部411は、ガリウムリッチ材料部211よりも大きな接着強度を有しうる。
【0083】
1つの実施形態において、ガリウムリッチ接着部411は、例えば、60%から100%など、90%超を含む、55%を超える原子濃度のガリウム原子を含みうる。ガリウムリッチ接着部411は、より小さなおよびより大きな厚さもまた使用されうるが、例えば、10nmから50nmなど、5nmから100nmの範囲の平均厚さを有しうる。各ガリウムリッチ接着部411は、連続材料層を含みうり、または、ボール状の材料部のクラスタを含みうる。レーザビームLDおよびLAを照射されない第1発光ダイオード10Bの第2サブセット内に位置するバッファ層11のサブセットは、バッファ層11として残る。
【0084】
図8Dを参照すると、クランプ400をアンクランプし、第1基板8Aおよびすべての第1発光ダイオード10Bのアセンブリをクランプ400から取り外すことによって、第1ソースクーポン1が、ダミー基板932から分離される。ガリウムリッチ接着部411は、第1基板8Aと第2サブセットのそれぞれの下にある第1発光ダイオード10Bとの間のバッファ層11によって提供される接着よりも、第1基板8Aと第1サブセットの下にあるそれぞれの第1発光ダイオード10Bとの間のより小さい接着(すなわち、より低い接着の大きさ)を提供する。しかしながら、ガリウムリッチ接着部411によって提供される接着力は、第1ソースクーポン1の転送中に、第1サブセットの下にある第1発光ダイオード10Bを第1基板8Aに接着するのに十分である。第1ソースクーポン1は、将来使用するために(例えば、第1サブセットの第1発光ダイオード10Bをバックプレーンに将来取り付けるために)格納されてもよい。代わりの実施形態において、第1基板8Aの上の全ての第1発光ダイオード10BがレーザビームLDおよびLAを照射され、全てのバッファ層11がガリウムリッチ接着部411に変換される。この代わりの実施形態において、第1発光ダイオード10Bの第2セットは存在せず、第1ソースクーポン1のすべての第1発光ダイオード10Bは同じバックプレーン32に転送されうる。
【0085】
図8Eを参照すると、第1ソースクーポン1は、ボンディングパッド34およびバックプレーン側ボンディング材料部37をその上に有するバックプレーン32の上に配される。任意のはんだフラックス35は、ボンディング材料部(17、37)の周囲に塗布されうる。第1ソースクーポン1およびバックプレーン32は、ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37とのメーティングペアが第1発光ダイオード10Bとボンディングパッド34との対向するペアの間に位置するように整列させることができる。クランプ400が、第1ソースクーポン1とバックプレーン32のアセンブリとを適所に保持するために使用されうる。
【0086】
一般に、第1発光ダイオード10Bは、少なくとも1つのボンディング材料部(17、37)がそれぞれのボンディングパッド34と第1発光ダイオード10Bのそれぞれとの垂直方向に隣り合う各ペアの間に配されるように、バックプレーン32の上のボンディングパッド34のアレイの上に配されうる。第1実施形態と同様に、第1発光ダイオード10Bをボンディングパッド34のアレイの上に配した後に、ダイオード側ボンディング材料部17をバックプレーン側ボンディング材料部37のそれぞれの1つに押し付けることによって、バックプレーン側ボンディング材料部37は、スタンプ(例えば、圧印加工)されうる。例示的な例において、100,000ペアのダイオード側ボンディング材料部17およびバックプレーン側ボンディング材料部37が、バックプレーン32と第1ソースクーポン1との間に存在する場合、クランプ400によって加えられる圧縮力の大きさは、500Nから1,000Nの範囲でありうる。1つの実施形態において、少なくとも1つのボンディング材料部(17、37)のそれぞれは、ダイオード側ボンディング材料部17のそれぞれ1つとバックプレーン側ボンディング材料部37のそれぞれ1つとのスタックを含みうる。
【0087】
図8Fを参照すると、ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン32に転送される第1発光ダイオード10Bの第1サブセットの下にあるバックプレーン側ボンディング材料部37との各メーティングペアのリフローを誘起する局所レーザ照射プロセスである、第3レーザ照射プロセスが行われうる。局所レーザ照射プロセスは、第1発光ダイオード10Bの第1サブセットのバックプレーン32へのボンディングを誘起し、本明細書においてボンディングレーザ照射プロセスと呼ばれる。ボンディングレーザ照射プロセス中に使用されるレーザビームLBは、第1発光ダイオード10B内のIII-V族化合物半導体材料のバンドギャップよりも小さい光子エネルギを有し、したがって、第1発光ダイオード10Bを通過する。例えば、ボンディングレーザ照射プロセスで使用されるレーザビームLBは、例えば、波長9.4ミクロンまたは10.6ミクロンを有する炭酸ガスレーザビームなど、赤外線レーザビームでありうる。
【0088】
レーザビームLBは、第1サブセットの第1発光ダイオード10Bの下にあるダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37とのそれぞれのメーティングペアを順次照射しうる。ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37との各照射されたペアは、ダイオード側ボンディング材料部17およびバックプレーン側ボンディング材料部37のペアのボンディング材料(はんだ材料でありうる)がリフローするリフロー温度まで加熱される。ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37とのメーティングペアへのレーザビームの照射が終了すると、リフローされた材料が再凝固して再凝固ボンディング材料部47が提供される。各再凝固ボンディング材料部47は、ボンディングパッド34と第1サブセットの第1発光ダイオード10Bのコンタクトレベル材料層15とにボンディングされる。
【0089】
一般に、第1発光ダイオード10Bの第1サブセットは、少なくとも1つのボンディング材料部(17、37)のそれぞれの下にあるセットの上への局所レーザ照射によって、ボンディングパッド34のそれぞれの下にある1つにボンディングされうり、これらはリフローされ、再凝固し、再凝固ボンディング材料部47を形成する。1つの実施形態において、ダイオード側ボンディング材料部17とバックプレーン側ボンディング材料部37とのそれぞれのメーティングペアは、局所レーザ照射中に第2圧力で互いに押し付けられうる。第1発光ダイオード10Bの第1サブセット内の各第1発光ダイオード10Bは、バックプレーン32にボンディングされうり、第1発光ダイオード10Bの第2サブセット内の各第1発光ダイオード10Bは、バックプレーン32からボンディングされずに残りうる。第1ソースクーポン1およびバックプレーン32は、局所レーザ照射中に第1発光ダイオード10Bのアレイおよびボンディング材料部(17、37、47)を介して互いに押し付けられることによって、適所に保持されうる。
【0090】
図8Gを参照すると、ガリウムリッチボンディング部411の溶融温度を超えて第1アセンブリをアニールすることによって、バックプレーン32の第1アセンブリおよび第1発光ダイオード10Bの第1サブセットは、第1基板8Aの第2アセンブリおよび第1発光ダイオード10Bの第2サブセットから分離されうる。例えば、ガリウムリッチボンディング部411が純粋なガリウムを含む場合、ガリウムリッチボンディング部411を溶融してガリウムリッチ液滴にするために、温度は、例えば、35から50℃など、少なくとも30℃に上昇される。これは、機械的な力を加える、または、加えずに、バックプレーン32および第1発光ダイオード10Bの第1サブセットを、第1基板8Aの第2アセンブリおよび第1発光ダイオード10Bの第2サブセットから分離する。例えば、第2アセンブリは、第1アセンブリから引き離すことができる。ガリウムリッチ液滴によって提供される接着は弱く、分離は100Nよりも小さい力によって誘起されうる。
【0091】
任意に、ガリウムリッチ材料部311(ガリウムリッチ接着部411の残留物を含みうる)が、第1導電型半導体層12の表面の上に位置していてもよい。ガリウムリッチ材料部311は、例えば、96%から100%など、95%を超えうる、55%を超える原子濃度のガリウムを含む。1つの実施形態において、ガリウムリッチ材料部311は、本質的にガリウムからなりうり、例えば、10nmから50nmなど、5nmから100nmの範囲の厚さを有しうる。
【0092】
単一カラーのLEDデバイスが所望される場合、製造プロセスは
図8Gに示される工程で終了する。代わりに、マルチカラーディスプレイを形成するために、異なる色のLEDがバックプレーン32にボンディングされるように、
図8A~8Gに示される工程が繰り返されてもよい。
【0093】
図9Aを参照すると、第2基板8Bの上に位置する第2発光ダイオード10Gを含む第2ソースクーポン2が提供されうる。第2発光ダイオード10Gのそれぞれは、第2基板8Bとの界面に、それぞれの追加のバッファ層11を含みうる。第2発光ダイオード10Gは、第1アセンブリにおける第1発光ダイオード10Bの第1サブセットの鏡像パターンを含む空孔を含むパターンで配されうる。1つの実施形態において、第2発光ダイオード10Gは、第1ピーク波長とは異なる第2ピーク波長の光を放射しうる。
【0094】
第2ソースクーポン2の第2発光ダイオード10Gの上のダイオード側ボンディング材料部17を部分的にレーザリフトオフし、圧印加工を行うために、
図8A~
図8Dのプロセスの工程が、第1ソースクーポン1の代わりに第2ソースクーポン2を使用して行われうる。
【0095】
図9Bを参照すると、第2ソースクーポンと第1アセンブリとは、バックプレーン32の上の各第1発光ダイオード10Bが第2ソースクーポン内の空孔のそれぞれの1つの下に位置するように、互いに位置合わせされうる。その後、追加のバッファ層11のサブセットを追加のガリウムリッチボンディング部411に変換し、少なくとも1つの追加のボンディング材料部(17、37)のそれぞれの下にあるセットの上に局所レーザ照射することによって、第2発光ダイオード10Gの第1サブセットをボンディングパッド34のそれぞれの下にある1つにボンディングし、バックプレーン32の第3アセンブリ、第1発光ダイオード10Bの第1サブセットおよび第2発光ダイオード10Gの第1サブセットを、第2基板8Bの第4アセンブリおよびバックプレーン32に転送されない第2発光ダイオード10Gの第2サブセットから分離するために、
図8E~8Gのプロセスの工程が行われうる。
【0096】
図10を参照すると、第3基板の上に位置する第3発光ダイオード10Rを含む第3ソースクーポンが提供されうる。第3発光ダイオード10Rのそれぞれは、第3基板との界面に、それぞれの追加のバッファ層を含みうる。1つの実施形態において、第3発光ダイオード10Rは、第1ピーク波長および第2ピーク波長とは異なる第3ピーク波長の光を放射しうる。
【0097】
第3発光ダイオード10Rの第1サブセットをバックプレーン32に転送するために、
図8B~8Gのプロセスの工程が行われうる。第3発光ダイオード10Rは、第1発光ダイオード10Bの第1サブセットおよび第3アセンブリにおける第2発光ダイオード10Gの第1サブセットの鏡像パターンを含む空孔を含むパターンで配されうる。バックプレーン32は、第1実施形態に関して上述したように、直視型ディスプレイデバイスを提供するために、画素のアレイを含みうる。
【0098】
すべての図面を参照すると、本開示の様々な実施形態によれば、ボンディングパッド34を含むバックプレーン32と、それぞれのボンディング材料部47を介してボンディングパッド34の第1サブセットに取り付けられた第1発光ダイオード10Bと、を含む発光ダイオードアセンブリが提供される。第1発光ダイオードのそれぞれは、第1導電型半導体層12と、第1導電型半導体層12の表面の上に位置し、55%を超える原子濃度でガリウムを含むガリウムリッチ材料部311と、を含む。
【0099】
1つの実施形態において、ガリウムリッチ材料部311のそれぞれは、例えば90%を超えるなど、55%を超える原子濃度のガリウム原子を含む。1つの実施形態において、ガリウムリッチ材料部311は、窒素を含まない、または、5%よりも小さい原子濃度の窒素原子を含む。1つの実施形態において、第1導電型半導体層12は、結晶性の窒化ガリウム層を含む。
【0100】
1つの実施形態において、アセンブリはまた、それぞれのボンディング材料部47を介してバックプレーン32の上のボンディングパッド34の第2サブセットに取り付けられた第2発光ダイオード10Gを含みうる。第2発光ダイオード10Gのそれぞれは、第1発光ダイオード10Bのそれぞれとは異なるピーク波長の光を放射するように構成される。第2発光ダイオードのそれぞれは、別の第1導電型半導体層12と、第1導電型半導体層の表面の上に位置し、55%を超える原子濃度でガリウムを含む別のガリウムリッチ材料部311と、を含む。
【0101】
本開示の様々な実施形態は、ガリウムおよび窒素含有バッファ層11が低融点を有するガリウムリッチ材料部311に変換される部分的なダイ分離方法を含む部分レーザリフトオフプロセスを提供する。ボンディングパッド34と、ソースクーポンからバックプレーン32に転送される発光ダイオード(10B、10G、10R)のサブセット内のコンタクトレベル材料層との各メーティングペアをボンディングする前に、局所レーザ照射が使用される。したがって、バックプレーン32への分離レーザ照射からの機械的衝撃が、低減または回避されうる。バックプレーン32のボンディングされたアセンブリおよび発光ダイオードの取り付けられたサブセットからのソースクーポンの残りの部分の分離は、機械的な力を加えることなく、または、バックプレーン32にダメージを与えない小さい大きさの機械的な力を加えながら、第1実施形態のガリウムリッチ材料部211または第2実施形態のガリウムリッチ材料接着部411の溶融温度よりも高い比較的低い温度にボンディングされたアセンブリを加熱することによって行われうる。
【0102】
前述は、特定の好ましい実施形態を指すが、本発明は、それに限定されないことが理解されるであろう。当業者であれば、開示された実施形態に様々な変更を加えることができ、そのような変更は本発明の範囲内にあることが意図されている。特定の構造、および/または、構成を用いる実施形態が本開示に示されている場合、本発明は、そのような置換が明示的に禁止されていないか、または、当業者には不可能であることが知られていなければ、機能的に等価な他の適合する構造および/または構成で実施できることが理解される。