(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】医療用容器用のアダプタ、アダプタを含む医療用容器、およびアダプタを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20250106BHJP
A61M 5/00 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
A61M39/10 120
A61M5/00 518
(21)【出願番号】P 2022549572
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 EP2021053849
(87)【国際公開番号】W WO2021165295
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2024-01-23
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プージャ ブーバネシュ クルカルニ
(72)【発明者】
【氏名】セドリック リヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ウーヴラード
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシ ポーラ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン ガリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック ミシェル
【審査官】川上 佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-536798(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03202390(EP,A1)
【文献】国際公開第2018/178096(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用容器(100)をコネクタに接続するためのアダプタ(1)であって、
前記医療用容器(100)の遠位先端(102)に固定されるように構成された近位部分(2)と、
前記医療用容器(100)の前記遠位先端(102)と前記コネクタとの間の流体連通を確立するために、前記コネクタを受け入れるように構成された遠位部分(4)であって、前記アダプタの側壁(6)を通って延びる窓(60)を備えた、遠位部分(4)と、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能なインジケータ(8)であって、前記第1の位置に対して外側に延在し、
前記第1の位置から前記第2の位置への前記インジケータ(8)の移動をブロックするように構成されたブロック手段と、
前記第1の位置にある前記アダプタ(1)の内側の前記窓(60)から突出するカム部分(82)であって、前記コネクタが前記アダプタ(1)内の所定の位置に達すると、前記コネクタによって外側に押し出され、それによってブロックを解除し、前記インジケータ(8)を前記第2の位置に押して、前記コネクタと前記アダプタ(1)の間の接続が終了したことをエンドユーザに視覚的表示を提供するように構成される、カム部分(82)と、
を備えた、インジケータ(8)と、
を備えた、アダプタ(1)。
【請求項2】
前記ブロック手段が、前記アダプタの前記側壁(6)の内面または前記アダプタ(1)の把持リブ(64)に当接するように構成された突出部(10)を備えた、請求項1に記載のアダプタ(1)。
【請求項3】
前記窓(60)が、前記アダプタ(1)の内側ねじ(40)のねじルート(40b)内で開く、請求項1-2のいずれかに記載のアダプタ(1)。
【請求項4】
前記インジケータ(8)が、前記アダプタ(1)の前記側壁(6)に回転可能に接続されている、請求項1-3のいずれかに記載のアダプタ(1)。
【請求項5】
前記ブロック手段は、前記インジケータ(8)が、前記第1の位置から前記第2の位置に押されると、変形され、次いで解放され、それによって音を発生させるように構成された弾性脚(84)を備えた、請求項1-4のいずれかに記載のアダプタ(1)。
【請求項6】
前記インジケータ(8)が、前記アダプタ(1)に取り付けら
れる、請求項1-5のいずれかに記載のアダプタ(1)。
【請求項7】
前記インジケータ(8)が、前記アダプタ(1)にクリップされる、請求項1-6のいずれかに記載のアダプタ(1)。
【請求項8】
前記インジケータ(8)および前記アダプタ(1)は、単一の部品で作られている、請求項1-4のいずれかに記載のアダプタ(1)。
【請求項9】
前記インジケータ(8)が弾性アーム(86)によって前記側壁(6)に接続され、前記弾性アーム(86)は、前記インジケータ(8)を前記第2の位置に向かって応力を与えるように構成される、請求項1-4または
8のいずれかに記載のアダプタ(1)。
【請求項10】
遠位先端(102)と、請求項1-
9のいずれかに記載のアダプタ(1)とを備えた医療用容器(100)であって、前記アダプタ(1)が前記医療用容器(100)の前記遠位先端(102)に取り付けられる、医療用容器(100)。
【請求項11】
前記医療用容器(100)が、前記アダプタ(1)に係合する接続部分を有するキャップを備え、前記接続部分が、前記インジケータ(8)の前記カム部分(82)に当接せずに前記キャップを前記アダプタ(1)に固定するように構成される、請求項
10に記載の医療用容器(100)。
【請求項12】
請求項1-
9のいずれかに記載のアダプタ(1)を製造する方法であって、
射出成形によりインジケータ(8)を形成するステップと、
射出成形によりアダプタ(1)を形成するステップと、
と備える方法。
【請求項13】
前記方法が、前記インジケータ(8)と前記アダプタ(1)とを組み立てるステップをさらに備える、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記インジケータ(8)を形成するステップおよび前記アダプタ(1)を形成する前記ステップが、前記インジケータ(8)および前記アダプタ(1)を一緒に同じ射出成形金型内で形成する単一のステップである、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
前記インジケータ(8)が、前記第2の位置にあるように射出成形される、請求項
14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用容器をコネクタに取り付けるためのアダプタ、上記アダプタを含む医療用容器、および上記アダプタを製造するための方法に関する。
【0002】
本出願において、構成部分またはデバイスの遠位端は、使用者の手から最も遠い端を意味すると理解され、近位端は、使用者の手に最も近い端を意味すると理解されるものである。同様に、本出願において、”遠位方向“は、本発明のアダプタまたは医療容器に関して、注入の方向を意味すると理解され、”近位方向”は、上記注入の方向とは反対の方向、すなわち、注入操作に関して、容器を保持している使用者の手に向かう方向を意味すると理解されるものである。
【背景技術】
【0003】
基本的に、例えば注射器といった医療用容器は、その高い化学的不動態性、低いガス透過率および高い透明性のためにガラスでできていることが好ましく、それによって長期保存および容易な検査が可能となる。
【0004】
医療用容器は、通常、医療用製品を収容するためのリザーバを形成する容器を備える。容器は、医薬品が容器から排出される軸方向の通路を画定する長手方向の先端の形態の遠位端を有する。しかしながら、この長手方向の先端は、それ自体で非経口投与を可能にせず、注射器をニードルハブなどのコネクタに接続することを可能にする杭付きニードルまたはアダプタのいずれかを備えなければならない。このコネクタは、典型的には、アダプタにねじ込まれ、容器の遠位端に係合して、リザーバと前記コネクタとの間の流体経路を確立する。
【0005】
コネクタがアダプタに適切にねじ込まれていることが重要である。エンドユーザは、コネクタの容器の遠位端への適切なフィッティングを得るために、コネクタをアダプタにねじ込むときに十分なトルクをかけなければならない。コネクタをアダプタに十分にねじ込ないと、コネクタが飛び出したり、容器とコネクタの間で流体を移送するときに漏れが発生したり、コネクタとシリンジの先端との間で漏れが発生し得る。代替的に、コネクタをアダプタにねじ込みすぎると、アダプタの回転または傾きにつながり得る。
【0006】
したがって、コネクタがアダプタに正しくねじ込みされていることをエンドユーザに表示を提供し、したがって、接続および注入ステップ中のエンドユーザの信頼性を向上させる医療用容器が必要である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の態様は、医療用容器をコネクタに接続するためのアダプタであって、
医療用容器の遠位先端に固定されるように構成された近位部分と、
前記医療用容器の前記遠位先端と前記コネクタとの間に流体連通を確立するために前記コネクタを受け入れるように構成された遠位部分であって、前記アダプタの側壁を通って延びる窓を備える、遠位部分と、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、前記第1の位置に対して外向きに延びるインジケータであって、
前記第1の位置から前記第2の位置への前記インジケータの移動をブロックするように構成されたブロック手段と、
前記第1の位置にある前記アダプタ内の窓から突出するカム部分であって、前記カム部分は、前記コネクタが前記アダプタ内の所定の位置に到達したときに、前記コネクタによって外側に押し出されるように構成され、それによって、コネクタとアダプタとの間の接続が完了したことをエンドユーザに視覚的表示を提供するために、ブロックを解除し、インジケータを第2の位置に押し出す、前記カム部分と、
を備えるインジケータと、
を備えるアダプタである。
【0008】
したがって、本発明のアダプタは、不足または過剰なフィット接続を回避し、したがって、流体移送中の漏れまたはコネクタの噴出のリスクを回避するために、コネクタのアダプタへの接続がいつ停止するべきかをエンドユーザが知ることを可能にする。実際、インジケータは、アダプタの所定の位置に配置され、前記位置は漏出限界に対応する。したがって、コネクタがこの漏出限界に達した場合にのみ、インジケータが第2の位置に押し込まれる。さらに、ブロック手段は、アダプタ内のコネクタの安全な接続の前にインジケータの任意の不注意な開口を防止し、したがって、エンドユーザに接続が終了したと誤解させることを回避する。ブロック手段にインジケータを促すカム部分は、さらに、ブロック手段が第2の位置に突然移動するインジケータを解放するまで、増加するねじ込みトルクを提供する。結果として、これは、接続が終了したという追加的な触覚的表示を与え得る。好ましくは、接続が終了したという表示は、視覚的および触覚的の両方である。
【0009】
第1の位置は、有利には、インジケータの外面に接する平面、およびアダプタの外壁に接する平面であって、5°以下、好ましくは2°以下、より好ましくは約0°であり得る平面であり得る。
【0010】
第2の位置は、有利には、インジケータの外面に接する平面、およびアダプタの外壁に接する平面であって、10°以上、好ましくは20°以上、より好ましくは30°以上の平面であり得る。
【0011】
第1の位置と第2の位置との間の角度差は、有利には10°以上、好ましくは20°以上、より好ましくは30°以上である。
【0012】
本発明のアダプタは、好ましくは、内部ねじを備える。したがって、コネクタはアダプタにねじ込まれる。有利には、コネクタは、互いに直径方向に対向し得る少なくとも2つのウイングを備える。
【0013】
一実施形態では、ブロック手段は、アダプタ側壁の内面に対して、またはアダプタの把持リブに対して当接するように構成された突出部を備える。
【0014】
カム部分は、コネクタがアダプタにねじ込まれるにつれて、コネクタによって前記カム部分に及ぼされる圧力を徐々に増加させるように構成された傾斜壁を備え得る。これは、エンドユーザに触覚的表示を提供し得る。
【0015】
一実施形態では、窓は、アダプタの内部ねじのねじルートで開く。
【0016】
カム部分は、ねじルート幅の大部分にわたって軸方向に延在し得る。これは、コネクタの接続要素が、この接続要素がどのようなものであっても、カム部分に当接することを保証する。
【0017】
一実施形態では、インジケータは、アダプタの側壁に回転可能に接続される。
【0018】
したがって、接続が確保されるとインジケータがフラップのように開く。
【0019】
インジケータは、アダプタの他の部分とは異なる色を有し得る。
【0020】
これはエンドユーザに提供される視覚的表示を強化する。
【0021】
アダプタは、第1の位置でエンドユーザに隠され、第2の位置でエンドユーザに見える表示面を提供され得、前記表示面は、アダプタの残りの部分とは異なる色を有する。この色差は、エンドユーザに提供される視覚的表示を改善する。
【0022】
インジケータは、好ましくはアダプタの全長に沿って、窓の上に軸方向に延びる外壁を有し得る。この長い外壁は、インジケータをエンドユーザに容易に見えるようにし、したがって、視覚的表示を改善する。
【0023】
第1の実施形態では、ブロック手段は、インジケータが第1の位置から第2の位置に押されるときに変形され、次いで解放され、それによって音を発するように構成された弾性脚を備える。例えば、前記音は「クリック」であり得る。
【0024】
前記第1の実施形態では、ブロック手段は、代替的または補完的に、アダプタの把持リブに対して当接するように構成された突起を備え得る。
【0025】
第1の実施形態では、インジケータは、アダプタに取り付けられ、好ましくは、アダプタにクリップされる。
【0026】
したがって、インジケータおよびアダプタは、一緒に組み立てられる2つの異なる部品であり得る。インジケータは、2つの隆起または2つの凹部を備え得、窓は、ピボット接続を形成するように、前記2つの隆起または前記凹部を受け入れるように構成された2つの凹部または2つの隆起を備える。
【0027】
第2の実施形態では、インジケータおよびアダプタは、単一の部品で構成される。
【0028】
これは、本実施形態がいかなる組み立て工程も必要としないため、製造コストおよび製造工程の数を制限する。
【0029】
この第2の実施形態では、インジケータは、弾性アームによって側壁に接続され、前記弾性アームは、インジケータを第2の位置に向かって応力を与えるように構成される。
【0030】
これにより、インジケータは容易に第2の位置に移動する。さらに、インジケータが第2の位置に到達すると、インジケータがアダプタ側壁に実質的に直交するように弾性アームが構成され得るため、この第2の位置は、ユーザにより可視である。
【0031】
この第2の実施形態では、ブロック手段は、アダプタ側壁の内面に当接するように構成された突出部を備える。
【0032】
本発明の別の態様は、遠位先端と、上記のアダプタとを備え、前記アダプタが医療用容器の遠位先端に取り付けられている医療用容器である。
【0033】
一実施形態では、医療用容器は、アダプタに係合された接続部分を有するキャップを備え、前記接続部分は、インジケータのカム部分に当接することなく、キャップをアダプタに固定するように構成される。
【0034】
本発明の別の態様は、上記のアダプタを製造する方法であり、前記方法は、
射出成形によってインジケータを形成するステップと、
射出成形によりアダプタを形成するステップと、を備える。
【0035】
一実施形態では、方法は、インジケータおよびアダプタを組み立てるステップをさらに備える。
【0036】
代替の実施形態では、インジケータを形成し、アダプタを形成するステップは、インジケータおよびアダプタを完全に同じ射出成形型で形成する単一のステップである。
【0037】
前記実施形態では、インジケータは、第2の位置にあるように注入成形される。
【0038】
その結果、インジケータの通常の形状は、インジケータが第2の位置にあるときである。したがって、第1の位置は、不安定な位置に対応する:インジケータは第2の位置に戻る傾向があり、ブロック手段によってのみ防止され、それは、コネクタによってカム部に加えられる圧力がブロック手段の作用を克服し、それによってインジケータが通常の形状に自由に戻る、すなわち第2の位置に移動するまで続く。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明およびそれから生じる利点は、以下の添付の図面を参照して以下に示す詳細な説明から明らかになる:
【
図1】
図1は、インジケータが第1の位置にある、本発明の第1の実施形態によるアダプタの斜視図である。
【
図2】
図2は、インジケータが第2の位置にある、本発明の第1の実施形態によるアダプタの斜視図である。
【
図3】
図3は、インジケータが第1の位置にある、本発明の第1の実施形態によるアダプタの上面図である。
【
図4】
図4は、インジケータが第1の位置にある、本発明の第2の実施形態によるアダプタの斜視図である。
【
図5】
図5は、インジケータが第1の位置にある、本発明の第2の実施形態によるアダプタの斜視図である。
【
図6】
図6は、インジケータが第2の位置にある、本発明の第2の実施形態によるアダプタの斜視図である。
【
図7】
図7は、インジケータが第1の位置にある、本発明の第2の実施形態によるアダプタの上面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態による医療用容器の断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施形態によるアダプタの分解図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2の実施形態によるアダプタの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるアダプタ1が示される。
図8を参照すると、アダプタ1は、医療用容器100の遠位先端102に、より正確には、上記遠位先端102の外面に取り付けられることを意図される。上記外面は、円筒形または遠位に向かってテーパード形状であり得る。アダプタ1は、ニードルハブ200などのコネクタをこの遠位先端102に接続することを可能にする。
【0041】
アダプタ1は、医療用容器100に固定されるように構成された取り付けリングの形態であり得る近位部分2と、遠位先端102の通路と前記コネクタとの間に信頼できる流体連通を確立するためにコネクタを受け入れるように構成された接続リングの形態であり得る遠位部分4とを備える。したがって、遠位部分4は、コネクタを遠位先端102に固定するために、ニードルハブ200のウイング202などの対応する接続手段と係合するように構成された、内部ねじ40などの接続手段を含む。有利には、アダプタ1に受け入れられたニードルハブ200などのコネクタは、直径方向に対向する2つのウイング202を備える。
図8に示されるように、内部ねじ40は、ねじ山40aおよびねじルート40bを有する。この接続手段は、代替的に、バヨネット要素、スナップ要素、または圧入要素を備え得る。
【0042】
図9および10を参照すると、アダプタ1は、窓60を備えた側壁6を有する。窓60は、前記側壁6の外面から内面62に延在する貫通開口部を画定する。窓60は、コネクタの接続手段の経路に沿って配置され得る。
図9に示されるように、窓60は、好ましくは、内部ねじ40のねじルート40bで開き得る。しかしながら、窓60は、内部ねじ40のねじ山40aなど、アダプタ1の別の場所で開き得る。窓60は、内部ねじ40に平行に、すなわち、アダプタ1の長手方向軸Aと、または前記長手方向軸Aに直交する横断面と角度を画定するために長手方向に延在し得る。アダプタ1の側壁6は、軸方向把持リブ64を含み得る。窓60は、2つの隣接する把持リブ64の間に位置する側壁6の一部を通して配置され得る。
【0043】
アダプタ1は、コネクタとアダプタ1との間の接続が完了したことをエンドユーザに示すように構成されたインジケータ8をさらに備える。具体的には、インジケータ8は、インジケータ8がアダプタ1の側壁6に対して隣接または近くにある第1の位置(
図1、3~5、7)と、インジケータ8が第1の位置から外向きに延びる第2の位置(
図2、6、10)との間で移動可能である。第1の位置では、インジケータ8は、窓60を通って延在し得る。アダプタ1に対するインジケータ8の第1の位置は、インジケータ8の外面に接する平面、およびアダプタ1の外壁に接する平面であって、5°以下、好ましくは2°以下、より好ましくは約0°の平面であり得る。インジケータ8のアダプタ1に対する第2の位置は、インジケータ8の外面に接する平面、およびアダプタ1の外壁に接し10°以上の平面であり得る。好ましくは、第1の位置と第2の位置との間の角度差は、有利には10°以上、好ましくは20°以上、より好ましくは30°以上であり、エンドユーザは接続が完了したことを容易に気付くことができる。
【0044】
アダプタ1は、以下でさらに詳細に説明するように、コネクタとアダプタ1との間の接続が完了していない限り、インジケータ8を第1の位置に保持するように構成されたブロック手段を備える。
【0045】
図3および7に示されるように、インジケータ8は、第1の位置で窓60を通って延びるカム部分82をさらに備える。カム部分82は、コネクタがアダプタ1内の所定の位置に到達したときに、コネクタによって外向きに、好ましくは半径方向外向きに押されるように構成され、それによって、コネクタのアダプタ1への挿入を引き起こし、ブロック手段の作用を克服し、インジケータ8を第2の位置に押す。前記所定の位置は、ISO80369-7(2016)(段落6.1および6.2)に定義されるように、コネクタの漏出限界であると有利に画定される。コネクタの接続が十分でなく前記位置に達していない場合、漏れが発生し得る。対称的に、コネクタが過剰に接続されている場合、コネクタが壊れたり、アダプタから排出され得る。インジケータ8は、コネクタが漏出限界位置に到達したときにのみ、作動されるように、すなわち第2の位置に移動されるように構成されることに留意されたい。したがって、インジケータ8、より具体的には、インジケータ8のカム部分82は、コネクタが所定の位置に到達したときにのみインジケータ8が第2の位置に移動するように、アダプタ1に位置される。
【0046】
図3および7に見られるように、カム部分82は、第1の位置にあるアダプタ1の側壁6の内側62面から内側に突出する。カム部分82は、コネクタの経路、より具体的には、コネクタの接続手段の経路に配置される。例えば
図9を参照すると、カム部分82は、有利には、第1の位置にある内側ねじのねじルート40bに位置する。カム部分82は、コネクタが所定の位置に到達するときに、ニードルハブ200のウイング202がインジケータ8のカム部分82に当接することを確実にするために、ねじルート40bの幅の主要部分にわたって軸方向に延び得ることが企図される。カム部分82は、コネクタがアダプタ1にねじ込まれるにつれて、コネクタによって前記カム部分82に及ぼされる圧力を徐々に増加させるように構成された傾斜壁820を備え得る。この傾斜壁820は、平面または凹状の当接面を有し得る。カム部分82および作用ブロック手段は、ねじ込みトルクの増加、続いて解放を生じさせ、それによって、接続が終了したというさらなる触覚表示をユーザに提供する。傾斜壁820は、カム部分82がコネクタによって外向きに、好ましくは半径方向外向きに、または代替的に軸方向外向きなどの別の方向に押し出されるように成形される。
【0047】
第1の実施形態では、
図3を参照すると、インジケータ8は、インジケータ8が第1の位置から第2の位置に移動するときに可聴音を発するように構成された弾性脚84などの音を発する手段を備え、それによってエンドユーザに、接続が完了したことを示す可聴表示を提供する。弾性脚84は、弾性脚84が音、好ましくはクリックを発するように、インジケータ8が第1の位置から第2の位置に押されるときに変形され、次いで解放されるように構成され得る。弾性脚84は、カム部分82とインジケータ8の外壁80との間に延在し得る。弾性脚84は、第1の位置でアダプタ1の側壁6に当接し、コネクタがカム部分82に当接するときに変形し、インジケータ8が第2の位置に移動するときに正常な形状に戻るように構成された自由端840を有し得る。一実施形態では、ブロック手段は、前記弾性脚84を備える。弾性脚84は、通常の形状、すなわち非変形状態で内向きに湾曲し得る。
【0048】
図3に例示される第1の実施形態では、ブロック手段は、代替的または相補的に、把持リブ64に当接するように構成された突出部10を備え得る。突出部10は、軸方向に延びるリブまたは肩部であり得る。突出部10は、丸い形状を有し得る。
図3に示されるように、突出部10は、インジケータ8の外壁80、例えば、その縁部に配置され得る。
【0049】
図1-3および9に例示される第1の実施形態では、インジケータ8は、第1の位置で窓60を閉じ得、第2の位置で窓60を開き得る外壁80を有し得る。外壁80は、可能には第1の位置でアダプタ1の側壁6に平行に延在し、第2の位置では前記側壁6に角度付けされ得、または直交し得る。外壁80は、側壁6または第1の位置にある把持リブ64の外面640と同一平面であり得、インジケータ8が有利には、前記第1の位置にあるアダプタ1の側壁6から突出しない。
図1、2および9に示されるように、アダプタ1の外壁80は、好ましくは窓60よりも大きく、
図1および2に見られるように、アダプタ1の長さの大部分にわたって、好ましくはアダプタ1の全長に沿って軸方向に延在し得る。この特徴は、インジケータ8が第1または第2の位置にあるかどうかのより良い視覚的表示を有することを可能にする。
【0050】
図7に例示される第2の実施形態では、ブロック手段は、側壁6の内面62に当接するように構成された突出部10を備え得る。突出部10は、軸方向リブであり得る。突出部10は、丸い形状を有し得る。
図7に示されるように、突出部10は、インジケータ8のカム部分82、より具体的には、カム部分82の第2の端部822に配置され得る。
【0051】
インジケータ8は、アダプタ1の長手方向軸Aに平行または直交し得る回転軸の周りに、アダプタ1上に回転可能に取り付けられる。好ましくは、インジケータ8は、アダプタ1の長手方向軸Aに平行な回転軸の周りに、アダプタ1上に回転可能に取り付けられる。したがって、カム部分82は、好ましくは、コネクタがアダプタ1の所定の位置に達したときに、コネクタによって半径方向外側に押されるように構成される。アダプタ1は、インジケータ8をアダプタ1の側壁6に回転可能に接続するピボット接続を備える。したがって、インジケータ8は、第1の位置で窓60を閉じ、第2の位置で窓60を開く回転可能なフラップを形成する。
図3または7に示されるように、回転軸は、カム部分82の第1の端部826に配置され得、前記カム部分82は、前記第1の端部826に対向する第2の端部822に設けられた頂点824を有し得る。アダプタ1は、接続が完了するとインジケータ8が突然第2の位置に飛び出すように、インジケータ8を第2の開位置に向かってバイアスするように構成されたバイアス手段を含み得る。結果として、第2の位置にあるインジケータ8は、安定した平衡状態にあり得、一方、第1の位置にあるインジケータ8は、不安定な平衡状態にあり得る。
【0052】
図1-
図3および
図9に示す第1の実施形態では、インジケータ8とアダプタ1は、一緒に組み立てられる2つの異なる部品である。ピボット接続は、2つの補完的な形状の凹部14と係合した2つの隆起12によって形成され得る。隆起12または凹部は、インジケータ8に配置され得、一方、凹部14または隆起は、それぞれ、窓60内に配置され得る。
【0053】
図6-7および
図10に示す第2の実施形態では、インジケータ8およびアダプタ1は単一の部品で成形される。接続は、インジケータ8をアダプタ1の側壁6に、より具体的には窓60内に接続する弾性アーム86によって形成され得る。弾性アーム86は、インジケータ8を第2の開位置に向かってバイアスするバイアス手段を形成し得る。
【0054】
インジケータ8は、有利には、アダプタ1の他の部分とは異なり、より具体的には、アダプタ1の側壁6の色とは異なる色を有することが企図される。また、アダプタ1には、インジケータ8が第1の位置にあるときにエンドユーザに隠され、インジケータ8が第2の位置にあるときにエンドユーザに見えるようになる指示面が設けられる可能性がある。この指示面は、アダプタ1の残りの部分、より具体的には、インジケータ8が第1の位置にあるときにエンドユーザに見える任意の表面とは異なる色を有し得る。例えば、指示面は、インジケータ8の外壁80の内面80a、またはインジケータ8の縁面8a、または側壁6の外面61であり得、前記外面61は、第1の位置でインジケータ8によって隠されている。
【0055】
アダプタ1は、プラスチック材料、より正確には、高密度ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、およびこれらの組み合わせなどの医療用途に適合した任意の剛性ポリマーで作製され得る。好ましくは、アダプタ1はポリカーボネート(PC)製である。インジケータ8は、アダプタ1の残りの部分と同じ材料、または例えば、高密度ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、およびこれらの組み合わせの間の異なる材料で作製され得る。
図1~3および9に示す第1の実施形態では、インジケータは、好ましくはポリカーボネート(PC)製であり得る。
図4-7および10に示す第2の実施形態では、インジケータは、好ましくは、ポリプロピレン(PP)またはポリオキシメチレン(POM)製であり得る。
【0056】
図8-10を参照すると、本発明はまた、遠位先端102と、上記の特徴を有するアダプタ1とを備える医療用容器100に関し、前記アダプタ1は、医療用容器100の遠位先端102上に取り付けられる。医療用容器100は、医療用製品のリザーバを画定する管状バレル104を備える、事前充填可能な注射器または充填済み注射器などの注射器であり得る。管状バレル104には、遠位肩部106から突出し得る遠位先端102が設けられている。遠位先端102は、円筒状または遠位にテーパード形状であり得る。遠位先端102は、リザーバと連通する内部通路108を含む。管状バレル104および遠位先端102は、好ましくはガラス製である。医療用容器100は、医療用製品をリザーバから排出し、通路を通るように、ピストンおよびプランジャロッド(図示せず)を備え得る。アダプタ1は、接着、ねじ込み、摩擦力、またはスナップフィッティングによって遠位先端102に固定され得る。
【0057】
図8を参照すると、医療用容器100は、キャップをアダプタ1に固定するように、アダプタ1の内側ねじ40と係合するように構成された外側ねじ112を有するキャップ110を備え得る。キャップ110は、キャップ110の外部ねじ112がインジケータ8のカム部分82に当接することなく、アダプタ1に固定されるように構成される。したがって、キャップ110は、長さがアダプタ1の遠位端とインジケータ8のカム部分82との間の距離未満である接続部分114を含み得る。さらに、キャップ110は、キャップ110がアダプタ1にさらに挿入されることができないように、アダプタ1の遠位端に当接するように構成された近位当接面116を備え得、それによって、キャップ110がカム部分82に任意の圧力を加えることを防止する。キャップ110は、遠位先端102を密閉して閉じるために、キャップよりも柔らかい材料で作られる内側キャップ118を含み得る。
【0058】
アダプタ1の使用は、
図1-2または4-6を参照して以下に説明される。
【0059】
ユーザは、コネクタをアダプタ1の遠位端に挿入し、ニードルハブ200のウイング202をアダプタ1の内部ねじ40と係合させる。ユーザは、ニードルハブ200をアダプタ1にねじ込むことを開始する。ニードルハブ200が所定の位置に到達すると、ニードルハブ200のウイング202は、インジケータ8のカム部分82に当接し始め、前記ウイング202は、このカム部分82に半径方向の圧力を印加する。しかしながら、ブロック手段により、インジケータ8は第1の位置に留まり、ニードルハブ200によってカム部分82に及ぼされる半径方向の力が十分に高くない限り、開かない。ユーザは、ニードルハブ200をアダプタ1にねじ込むことを続ける。したがって、ニードルハブ200によって及ぼされる半径方向の力は、この力がブロック手段の作用を克服するまで増加する。したがって、インジケータ8は、第2の位置に向かって移動され、ニードルハブ200が所定の位置に到達したことをエンドユーザに見えるようする。したがって、接続が完了する(
図2および6)。この位置では、ニードルハブ200とアダプタ1との間の接続は、漏出のリスクなしにユーザが注入操作を実行することを可能にするのに十分に強力である。この位置はまた、使用者があまりにも高いねじ込みトルクを加えることにつながり、したがってアダプタ1を遠位先端102に対して回転させる、および/またはニードルハブ200および/またはアダプタ1の破断につながる任意の過度のねじ込みを抑止する。
【0060】
本発明はまた、上述のアダプタ1を製造するための方法に関し、前記方法は、
射出成形によりインジケータ8を形成するステップと、
射出成形によりアダプタ1を形成するステップと、を備える。
【0061】
図1-3および9に示される第1の実施形態によるアダプタ1を参照すると、方法は、インジケータ8およびアダプタ1の側壁6を組み立てるステップをさらに備え得る。例えば、インジケータ8は、アダプタ1の側壁6にクリップされる。より具体的には、インジケータ8の隆起は、窓60の凹部に配置される。したがって、インジケータ8は、単一の簡単なステップでアダプタ1上に回転可能に取り付けられる。
【0062】
図4-7および
図10に示す第2の実施形態に係るアダプタ1を参照すると、インジケータ8を形成し、アダプタ1を形成するステップは、インジケータ8およびアダプタ1の残りを同一の射出成形型に形成する単一のステップである。したがって、アダプタ1およびインジケータ8は、同じ材料であり得、または2つの異なる材料で作られるように共射出成形され得る。この場合、インジケータ8の材料は、アダプタ1の残りの部分を形成する材料よりも剛性が低くあり得る。好ましくは、インジケータ8およびアダプタ1は、インジケータ8が第2の位置にある状態で完全に射出成形され、インジケータ8の通常の形状が第2の開位置である。この第2の位置では、弾性アーム86は変形しない。方法は、ブロック手段が作動するまで第1の位置にインジケータ8を移動させ、したがって、変形した弾性アーム86のばね作用に対して第1の位置にインジケータ8を維持するさらなるステップを備える。