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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】加熱式エアロゾル発生装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/57 20200101AFI20250106BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20250106BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/51
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022558171
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(86)【国際出願番号】 CN2020082995
(87)【国際公開番号】W WO2021196128
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】519403945
【氏名又は名称】深▲せん▼麦時科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】胡昌河
(72)【発明者】
【氏名】張幸福
(72)【発明者】
【氏名】竇恒恒
(72)【発明者】
【氏名】李亜飛
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-113016(JP,A)
【文献】国際公開第2020/019123(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/190590(WO,A2)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0014636(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/57
A24F 40/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1段階において、発熱デバイスのエネルギー供給をPID制御により行い、前記PID制御は積分調整を行わない、または温度検出値と目標温度値との偏差がある設定値より大きい場合には積分項を考慮しない制御により、前記発熱デバイスの温度を初期温度から第1温度まで上昇させ、
第2段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第1温度から第2温度まで低下させ、前記第2温度は前記第1温度よりも低く、
第3段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第2温度で安定させることを特徴とし、
前記第2段階、第3段階では、
前記発熱デバイスの温度を検出して温度検出値を取得し、
前記温度検出値と前記第2温度をPID演算することで第1加熱制御情報を取得し、
前記第1加熱制御情報に基づいて前記発熱デバイスが周期的加熱を行うよう制御する、との方式、
或いは、
前記発熱デバイスの抵抗値を検出して抵抗検出値を取得し、
前記抵抗検出値と目標抵抗値をPID演算することで第2加熱制御情報を取得し、前記目標抵抗値は前記第2温度から決定し、
前記第2加熱制御情報に基づいて前記発熱デバイスが周期的加熱を行うよう制御する、との方式で、
前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を第2温度に到達させることを特徴とする加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項2】
第1段階において、前記発熱デバイスの温度は時間とともに曲線状に上昇し、
第2段階において、前記発熱デバイスの温度は曲線状に低下し、
第3段階において、前記発熱デバイスの温度は直線状に安定することを特徴とする請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項3】
更に、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、第2段階及び第3段階において、前記発熱デバイスの温度を予め設定された許容温度の範囲内に維持することを特徴とする請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項4】
前記許容温度の範囲は、450~500℃の間の上限と、250~300℃の間の下限を有することを特徴とする請求項3に記載の加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項5】
前記第1温度は300~450℃の間であり、
前記第2温度は300~400℃の間であることを特徴とする請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項6】
前記第1段階の時間は20秒よりも短く、
前記第2段階の時間は20秒よりも長く、
前記第3段階の時間は200~600秒であることを特徴とする請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項7】
前記発熱デバイスの温度を検出して温度検出値を取得する際には、
前記発熱デバイスの加熱周期の停止期間に、前記発熱デバイスの抵抗値を検出することで抵抗検出値を取得し、
前記抵抗検出値に基づき前記発熱デバイスの温度検出値を決定することを特徴とする請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項8】
前記抵抗検出値に基づき前記発熱デバイスの温度検出値を決定したあと、更に、
前記発熱デバイスの冷間・暖機状態に基づき、前記温度検出値について補償処理を行うことを特徴とする請求項7に記載の加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項9】
更に、環境温度に基づき前記第2温度について補償処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項10】
更に、前記温度検出値又は前記抵抗検出値が予め設定された範囲内か否かを判断し、
予め設定された範囲でない場合には、前記発熱デバイスに加熱を停止させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項11】
更に、予め設定された期間内の前記発熱デバイスのエネルギー供給が予め設定されたエネルギー値を超えたか否かを判断し、
予め設定されたエネルギー値を超えた場合には、前記発熱デバイスに加熱を停止させるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項12】
更に、第4段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第2温度から徐々に低下させることを特徴とする請求項1に記載の加熱式エアロゾル発生方法。
【請求項13】
発熱デバイスと、前記発熱デバイスにエネルギーを供給するための電源を含む加熱式エアロゾル発生装置であって、
更に、第1段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給をPID制御により行い、前記PID制御は積分調整を行わない、または温度検出値と目標温度値との偏差がある設定値より大きい場合には積分項を考慮しない制御により、前記発熱デバイスの温度を初期温度から第1温度まで上昇させ、
第2段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第1温度から第2温度まで低下させ、前記第2温度は前記第1温度よりも低く、
第3段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第2温度で安定させることを特徴とし、
前記第2段階、第3段階では、
前記発熱デバイスの温度を検出して温度検出値を取得し、
前記温度検出値と前記第2温度をPID演算することで第1加熱制御情報を取得し、
前記第1加熱制御情報に基づいて前記発熱デバイスが周期的加熱を行うよう制御する、との方式、
或いは、
前記発熱デバイスの抵抗値を検出して抵抗検出値を取得し、
前記抵抗検出値と目標抵抗値をPID演算することで第2加熱制御情報を取得し、前記目標抵抗値は前記第2温度から決定し、
前記第2加熱制御情報に基づいて前記発熱デバイスが周期的加熱を行うよう制御する、との方式で、
前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を第2温度に到達させる制御回路、を含むことを特徴とする加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記制御回路は、
前記発熱デバイスの温度/抵抗値を検出することで、温度/抵抗検出値を取得するための検出モジュールと、
前記温度/抵抗検出値と前記第2温度/目標抵抗値をPID演算することで加熱制御情報を取得し、前記加熱制御情報に基づいて前記発熱デバイスが周期的加熱を行うよう制御するためのマイクロプロセッサと、を含み、
前記目標抵抗値は前記第2温度から決定されることを特徴とする請求項13に記載の加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項15】
前記検出モジュールは、第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ及び標準抵抗を含み、前記第1スイッチングトランジスタの第1端子と前記第2スイッチングトランジスタの第1端子はそれぞれ前記電源のプラス端子に接続され、前記第1スイッチングトランジスタの第2端子は前記標準抵抗の第1端子に接続され、前記標準抵抗の第2端子及び前記第2スイッチングトランジスタの第2端子はそれぞれ前記発熱デバイスの第1端子に接続され、前記発熱デバイスの第2端子は前記第3スイッチングトランジスタの第1端子に接続され、前記第3スイッチングトランジスタの第2端子はグランドに接続され、前記マイクロプロセッサの第1入力端子は前記第1スイッチングトランジスタの第2端子に接続され、前記マイクロプロセッサの第2入力端子は前記標準抵抗の第2端子に接続され、前記マイクロプロセッサの第3入力端子は前記発熱デバイスの第2端子に接続され、前記マイクロプロセッサの第1出力端子は前記第1スイッチングトランジスタの制御端子に接続され、前記マイクロプロセッサの第2出力端子は前記第2スイッチングトランジスタの制御端子に接続され、前記マイクロプロセッサの第3出力端子は前記第3スイッチングトランジスタの制御端子に接続されることを特徴とする請求項14に記載の加熱式エアロゾル発生装置。
【請求項16】
前記第1スイッチングトランジスタはNPN型バイポーラトランジスタであり、前記第1スイッチングトランジスタの第1端子はコレクタであり、前記第1スイッチングトランジスタの第2端子はエミッタであり、前記第1スイッチングトランジスタの制御端子はベースであり、
前記第2スイッチングトランジスタはP型電界効果トランジスタであり、前記第2スイッチングトランジスタの第1端子はソースであり、前記第2スイッチングトランジスタの第2端子はドレインであり、前記第2スイッチングトランジスタの制御端子はゲートであり、前記第3スイッチングトランジスタはN型電界効果トランジスタであり、前記第3スイッチングトランジスタの第1端子はドレインであり、前記第3スイッチングトランジスタの第2端子はソースであり、前記第3スイッチングトランジスタの制御端子はゲートであることを特徴とする請求項15に記載の加熱式エアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タバコの分野に関し、特に、加熱式エアロゾル発生装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低温タバコ装置では、エアロゾル発生装置が経時変化のないエアロゾルを発生可能なことが望まれる。しかし、特に、人がエアロゾルを消費する場合には、連続的又は繰り返し加熱する過程において、加熱温度の変動幅がニコチン及び場合によっては香料を付帯するエアロゾル形成物の変化に影響を及ぼし得る。そのため、経時変化のない特性の一致したエアロゾルを搬送することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術に存在する経時変化のない特性の一致したエアロゾルを搬送できないとの欠点を解決しようとする技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
加熱式エアロゾル発生方法を構成する。当該方法は、以下を含む。
【0006】
第1段階において、発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を初期温度から第1温度まで上昇させる。
【0007】
第2段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第1温度から第2温度まで低下させる。前記第2温度は前記第1温度よりも低い。
【0008】
第3段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第2温度で安定させる。
【0009】
好ましくは、第1段階において、前記発熱デバイスの温度は時間とともに曲線状に上昇し、第2段階において、前記発熱デバイスの温度は曲線状に低下し、第3段階において、前記発熱デバイスの温度は直線状に安定する。
【0010】
好ましくは、更に、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、第2段階及び第3段階において、前記発熱デバイスの温度を予め設定された許容温度の範囲内に維持する。
【0011】
好ましくは、前記許容温度の範囲は、450~500℃の間の上限と、250~300℃の間の下限を有する。
【0012】
好ましくは、前記第1温度は300~450℃の間であり、前記第2温度は300~400℃の間である。
【0013】
好ましくは、前記第1段階の時間は20秒よりも短く、前記第2段階の時間は20秒よりも長く、前記第3段階の時間は200~600秒である。
【0014】
好ましくは、第2段階、第3段階では、前記発熱デバイスの温度を検出して温度検出値を取得し、前記温度検出値と前記第2温度をPID演算することで第1加熱制御情報を取得し、前記第1加熱制御情報に基づいて前記発熱デバイスが周期的加熱を行うよう制御する、との方式、或いは、前記発熱デバイスの抵抗値を検出して抵抗検出値を取得し、前記抵抗検出値と前記目標抵抗値をPID演算することで第2加熱制御情報を取得し、前記目標抵抗値は前記第2温度から決定し、前記第2加熱制御情報に基づいて前記発熱デバイスが周期的加熱を行うよう制御する、との方式で、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を第2温度に到達させる。
【0015】
好ましくは、上記の前記発熱デバイスの温度を検出して温度検出値を取得する際には、前記発熱デバイスの加熱周期の停止期間に、前記発熱デバイスの抵抗値を検出することで抵抗検出値を取得し、前記抵抗検出値に基づき前記発熱デバイスの温度検出値を決定する。
【0016】
好ましくは、前記抵抗検出値に基づき前記発熱デバイスの温度検出値を決定したあと、更に、前記発熱デバイスの冷間・暖機状態に基づき、前記温度検出値について補償処理を行う。
【0017】
好ましくは、更に、環境温度に基づき前記第2温度について補償処理を行う。
【0018】
好ましくは、更に、前記温度検出値又は前記抵抗検出値が予め設定された範囲内か否かを判断し、予め設定された範囲でない場合には、前記発熱デバイスに加熱を停止させるよう制御する。
【0019】
好ましくは、更に、予め設定された期間内の前記発熱デバイスのエネルギー供給が予め設定されたエネルギー値を超えたか否かを判断し、予め設定されたエネルギー値を超えた場合には、前記発熱デバイスに加熱を停止させるよう制御する。
【0020】
好ましくは、更に、第4段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第2温度から徐々に低下させる。
【0021】
本発明は、更に、発熱デバイスと、前記発熱デバイスにエネルギーを供給するための電源を含む加熱式エアロゾル発生装置を構成する。当該装置は、更に、第1段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を初期温度から第1温度まで上昇させ、第2段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第1温度から第2温度まで低下させ、前記第2温度は前記第1温度よりも低く、第3段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第2温度で安定させる制御回路、を含む。
【0022】
好ましくは、前記制御回路は、前記発熱デバイスの温度/抵抗値を検出することで、温度/抵抗検出値を取得するための検出モジュールと、前記温度/抵抗検出値と前記第2温度/目標抵抗値をPID演算することで加熱制御情報を取得し、前記加熱制御情報に基づいて前記発熱デバイスが周期的加熱を行うよう制御するためのマイクロプロセッサ、を含む。前記目標抵抗値は前記第2温度から決定される。
【0023】
好ましくは、前記検出モジュールは、第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ及び標準抵抗を含む。前記第1スイッチングトランジスタの第1端子と前記第2スイッチングトランジスタの第1端子はそれぞれ前記電源のプラス端子に接続され、前記第1スイッチングトランジスタの第2端子は前記標準抵抗の第1端子に接続される。前記標準抵抗の第2端子及び前記第2スイッチングトランジスタの第2端子はそれぞれ前記発熱デバイスの第1端子に接続され、前記発熱デバイスの第2端子は前記第3スイッチングトランジスタの第1端子に接続され、前記第3スイッチングトランジスタの第2端子はグランドに接続される。前記マイクロプロセッサの第1入力端子は前記第1スイッチングトランジスタの第2端子に接続され、前記マイクロプロセッサの第2入力端子は前記標準抵抗の第2端子に接続され、前記マイクロプロセッサの第3入力端子は前記発熱デバイスの第2端子に接続され、前記マイクロプロセッサの第1出力端子は前記第1スイッチングトランジスタの制御端子に接続され、前記マイクロプロセッサの第2出力端子は前記第2スイッチングトランジスタの制御端子に接続され、前記マイクロプロセッサの第3出力端子は前記第3スイッチングトランジスタの制御端子に接続される。
【0024】
好ましくは、前記第1スイッチングトランジスタはNPN型バイポーラトランジスタである。前記第1スイッチングトランジスタの第1端子はコレクタであり、前記第1スイッチングトランジスタの第2端子はエミッタであり、前記第1スイッチングトランジスタの制御端子はベースである。
【0025】
前記第2スイッチングトランジスタはP型電界効果トランジスタである。前記第2スイッチングトランジスタの第1端子はソースであり、前記第2スイッチングトランジスタの第2端子はドレインであり、前記第2スイッチングトランジスタの制御端子はゲートである。
【0026】
前記第3スイッチングトランジスタはN型電界効果トランジスタである。前記第3スイッチングトランジスタの第1端子はドレインであり、前記第3スイッチングトランジスタの第2端子はソースであり、前記第3スイッチングトランジスタの制御端子はゲートである。
【発明の効果】
【0027】
本発明の技術方案を実施する場合には、第2段階の目標温度(第1温度よりも低い第2温度)を設定することで、タバコカプセルが最適な温度でエアロゾルを継続的に発生するよう保証し得る。且つ、第3段階で第2温度の安定を維持することで、発熱デバイスからタバコカプセルへの熱伝導速度が上昇するため、経時変化のない特性の一致したエアロゾルを搬送可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の実施例1における加熱式エアロゾル発生方法のフローチャートである。
図2図2は、本発明の実施例1における発熱デバイスの温度分布の概略図である。
図3図3は、本発明の実施例1における加熱式エアロゾル発生装置の構造図である。
図4図4は、本発明の実施例1における加熱式エアロゾル発生装置の回路図である。
図5図5は、本発明の実施例2における発熱デバイスの温度分布の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明の実施例に係る図面を組み合わせて、本発明の実施例における技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、言うまでもなく、ここで記載する実施例は本発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的労働を要さないことを前提に取得するその他全ての実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【0030】
図1は、本発明の実施例1における加熱式エアロゾル発生方法のフローチャートである。本実施例の加熱式エアロゾル発生方法は、加熱式エアロゾル発生装置の制御回路に応用される。理解すべき点として、当該加熱式エアロゾル発生装置は、発熱デバイス及び電源を更に含む。電源は、発熱デバイスにエネルギーを供給するために用いられる。当該電源はバッテリとすることができ、例えば、充電可能なリチウムイオンバッテリ、ニッケル・水素バッテリ、ニッケル・カドミウムバッテリ又はリチウムバッテリとする。また、発熱デバイスはヒータとも称され、様々な形式を有し得る。例えば、発熱デバイスは、発熱シート、加熱針、加熱ロッド、加熱線又はワイヤとすることができる。また、代替的に、発熱デバイスは、上記の2種類又はそれ以上の異なる形式の発熱デバイスの組み合わせとしてもよい。
【0031】
図2を組み合わせて、本実施例の加熱式エアロゾル発生方法は、具体的に以下のステップを含む。
【0032】
ステップS10:第1段階において、発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を初期温度から第1温度まで上昇させる。
【0033】
当該ステップにおいて、第1段階とは0~t1の期間である。また、当該段階は急速に昇温する段階である。この段階では、原則的に、許容温度の設定をタバコカプセル中の所望の揮発性化合物が急速に揮発する温度とするが、気化温度の高い所望しない揮発性化合物の気化温度よりは低くする。第1温度は、正常な気圧、環境温度において250~500℃の間とする。図2に示すように、第1段階において、発熱デバイスの温度は時間とともに曲線形状をなして急速に上昇する。一実施形態において、正常な気圧は標準大気圧とし、正常な温度は15~25℃の間とすればよい。
【0034】
ステップS20:第2段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第1温度から第2温度まで低下させる。前記第2温度は前記第1温度よりも低い。
【0035】
当該ステップにおいて、第2段階とはt1~t2の期間である。また、当該段階はゆっくりと降温する段階である。この段階では、原則的に、化合物の揮発の一致性が維持される。また、ゆっくりと降温することでベイパー温度の低下を実現する。ゆっくりと低下させる過程では、化合物の揮発の一致性と快適なベイパー温度との両立が求められる。図2に示すように、第2段階において、発熱デバイスの温度は時間とともに曲線形状をなしてゆっくりと低下する。
【0036】
ステップS30:第3段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第2温度で安定させる。
【0037】
当該ステップにおいて、第段階とはt2~t3の期間である。また、当該段階は温度を維持する段階であり、例えば、温度の上下の変動は≦1.5℃である。この段階では、原則的に、化合物の揮発の合理性と、装置における吸い応え及び揮発の一致性維持が求められる。図2に示すように、第3段階において、発熱デバイスの温度は経時的に水平な直線状態を維持する。

【0038】
本実施例において、説明すべき点として、選択する第1温度及び第2温度は、加熱式エアロゾル発生装置が、第1、第2及び第3段階でエアロゾルを継続的に発生させるよう保証可能とする。また、第1温度及び第2温度は、基質中のエアロゾル形成物の揮発温度に対応する温度範囲に基づき決定すればよい。
【0039】
本実施例の技術方案によれば、第2段階の目標温度(第1温度よりも低い第2温度)を設定することで、タバコカプセルが最適な温度でエアロゾルを継続的に発生するよう保証し得る。且つ、第3段階で第2温度の安定を維持することで、発熱デバイスからタバコカプセルへの熱伝導速度が上昇するため、経時変化のない特性の一致したエアロゾルを搬送可能となる。
【0040】
更に、本発明の加熱式エアロゾル発生方法は以下を含む。
【0041】
前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、第2段階及び第3段階において、前記発熱デバイスの温度を予め設定された許容温度の範囲内に維持する。
【0042】
本実施例において、許容温度の範囲はエアロゾル形成基質に応じて決定する。エアロゾル形成基質は、温度の違いによって一部の揮発性化合物を放出する。また、エアロゾル形成基質から放出される揮発性化合物の一部は加熱過程でのみ形成され、各揮発性化合物は、特有の放出温度以上となったときに放出される。よって、最大操作温度を一部の揮発性化合物の放出温度以下に制御することで、これらの成分の放出又は形成を回避可能である。更に、最大操作温度は、正常な操作条件で基質が燃焼しないよう保証し得る温度とされる。
【0043】
許容温度の範囲は、450~500℃の間の上限と、250~300℃の間の下限を有する。第1温度は、300~450℃の間、第2温度は300~400℃の間とすることができる。好ましくは、第2温度は、一般的な燃焼式タバコに存在する所望しない化合物の燃焼温度以下又は約380度とする。また、第1段階の時間は20秒よりも短く、第2段階の時間は20秒よりも長く、第3段階の時間は200~600秒である。
【0044】
選択的な実施例において、第2段階、第3段階では、以下の方式で前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を第2温度(目標温度)に到達させる。
【0045】
前記発熱デバイスの温度を検出して温度検出値を取得する。
【0046】
前記温度検出値と前記第2温度をPID演算することで、第1加熱制御情報を取得する。
【0047】
前記第1加熱制御情報に基づいて、前記発熱デバイスが周期的加熱を行うよう制御する。
【0048】
本実施例では、まず、発熱デバイスの温度を検出したあと、温度検出値と目標温度(第2温度)をPIDとして入力し、PID演算後に第1加熱制御情報を出力する。最後に、内部に予め設定されているアルゴリズムによって加熱デューティー比に変換し、発熱デバイスに周期的加熱を実行させる。
【0049】
別の選択的な実施例において、第2段階、第3段階では、以下の方式で前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を第2温度(目標温度)に到達させる。
【0050】
前記発熱デバイスの抵抗値を検出して抵抗検出値を取得する。
【0051】
前記抵抗検出値と前記目標抵抗値をPID演算することで、第2加熱制御情報を取得する。なお、前記目標抵抗値は前記第2温度から決定する。
【0052】
前記第2加熱制御情報に基づいて、前記発熱デバイスが周期的加熱を行うよう制御する。
【0053】
本実施例では、まず、発熱デバイスの抵抗値を検出したあと、抵抗検出値と目標抵抗値(第2温度から逆算する)をPIDとして入力し、PID演算後に第2加熱制御情報を出力する。最後に、内部に予め設定されているアルゴリズムによって加熱デューティー比に変換し、発熱デバイスに周期的加熱を実行させる。
【0054】
上記では、第2及び第3段階で発熱デバイスを加熱制御するための2種類の実現方式について説明した。しかし、第1段階(急速に昇温する段階)については、上記方式のPID調節を行った場合、過剰調節との事態が発生する恐れがある。そこで、このような事態の発生を回避するために、第1段階では、発熱デバイスについて発熱制御を行う際に積分調整を実施しなくともよい。或いは、温度検出値と目標温度値の偏差が任意の設定値よりも大きい場合には、積分項を算入しない。こうすることで、昇温過程における積分項の影響を小さくできるため、温度制御段階のなだらかな移行が実現される。
【0055】
また、発熱デバイスを加熱制御する過程において、各加熱周期につき1回ずつ加熱制御を行う場合、加熱周期を大きく選択すると、各加熱周期における発熱デバイスの温度変化の幅が大きくなってしまう。一方、加熱周期を小さく選択すると、各加熱周期における発熱デバイスの温度変化の幅は小さくなるが、PID制御を実施するマイクロプロセッサの性能の限界から、リアルタイムでデータを収集及び処理するとのニーズを満たせない場合がある。そこで、実際の制御では、制御周期を加熱周期の整数倍とすればよい。即ち、制御周期=加熱周期*Nとする。Nは整数であり、且つ、N≧1である。こうすることで、加熱と制御の同期性を効果的に保証可能となる。
【0056】
更に、選択的な実施例では、以下の方式で温度検出値を取得可能とする。
【0057】
前記発熱デバイスの加熱周期の停止期間に、前記発熱デバイスの抵抗値を検出することで抵抗検出値を取得する。
【0058】
前記抵抗検出値に基づき、前記発熱デバイスの温度検出値を決定する。
【0059】
本実施例において、まず、説明すべき点として、発熱デバイスはデューティー比信号に基づき周期的な加熱制御を行う。よって、各加熱周期には、加熱期間と停止期間の2つの部分が含まれており、且つ、停止期間に発熱デバイスの抵抗値を検出する。そして、抵抗検出値を取得したあと、抵抗値と温度との対応関係に基づいて、当該抵抗検出値に対応する温度検出値を算出する。
【0060】
更に、前記抵抗検出値に基づき前記発熱デバイスの温度検出値を決定したあと、前記発熱デバイスの冷間・暖機状態に基づき、前記温度検出値について補償処理を行う。
【0061】
本実施例において、まず、説明すべき点として、発熱デバイスの温度にフィールド分布が存在する場合、加熱時間の増加及び発熱デバイスからマトリックスへの熱伝導の増大に伴って、同じ抵抗値の場合、温度は一定の低下過程を有し得る。この過程と発熱デバイスからマトリックスへの熱伝導の間には関連性が存在する。つまり、発熱デバイス自体が暖機状態の場合の揮発状況は冷間状態の場合と異なる。そこで、化合物の揮発の一致性と快適なベイパー温度との両立を達成するために、内部に補償アルゴリズムを追加する。当該アルゴリズムは、熱伝導に起因して温度が低下する場合に、関連項を時間及び目標温度とする。即ち、実際の温度検出値T=F(RHeater)+f(t,T目標)とする。これにより、吸入段階全体が冷間状態とほぼ一致するよう保証可能となる。
【0062】
更に、本発明の加熱式エアロゾル発生方法は以下を含む。
【0063】
環境温度に基づき第2温度について補償処理を行う。
【0064】
本実施例では、外部の環境温度が変化した場合に、製品の吸入段階における体験を維持するために、目標温度(第2温度)についても補償処理を行う必要がある。例えば、冬場の環境温度(例えば、環境温度15℃未満)が低い場合には、第2温度を引き上げて、口内への吸入温度を維持する。一方、夏場の温度が高い場合(例えば、環境温度25℃超)の場合には、第2温度を引き下げて、口内への吸入温度を維持する。
【0065】
更に、使用時の安全性を向上させるために、本発明の加熱式エアロゾル発生方法は以下を含む。
【0066】
温度検出値が予め設定された範囲内か否かを判断し、予め設定された範囲でない場合には、前記発熱デバイスに加熱を停止させるよう制御する。予め設定された範囲は、上限を380~500℃の間とし、下限を250~300℃の間とする。
【0067】
或いは、予め設定された期間内の前記発熱デバイスのエネルギー供給が予め設定されたエネルギー値を超えたか否かを判断し、予め設定されたエネルギー値を超えた場合には、前記発熱デバイスに加熱を停止させるよう制御する。
【0068】
本実施例では、温度制御段階の全般にわたり、リアルタイムで発熱デバイスの抵抗値を検出して温度値を推測する。そして、異常な場合に、発熱デバイスの抵抗検出値又は温度検出値が所定の上下限を超えると、装置が緊急停止して安全上のリスクを回避する。また、予め設定された期間(単位時間)内に、発熱デバイスの供給エネルギーが環境温度下における予め設定されたエネルギーを超えた場合にも、装置は緊急停止して安全上のリスクを回避する。例えば、通常の状況において、発熱デバイスのエネルギー供給は0.5~2.0Wの間であり、予め設定された期間(例えば、1~5S)内に3.0Wを超えたときに緊急停止する。
【0069】
図3は、本発明の実施例1における加熱式エアロゾル発生装置の構造図を示す。本実施例の加熱式エアロゾル発生装置は、ハウジング1、ハウジングに収容される発熱デバイス2、電源3及び制御回路4を含む。電源3は、前記発熱デバイス2にエネルギーを供給するために用いられる。制御回路4は、第1段階において、前記発熱デバイス2のエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイス2の温度を初期温度から第1温度まで上昇させる。また、第2段階において、前記発熱デバイス2のエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイス2の温度を前記第1温度から第2温度まで低下させる。前記第2温度は前記第1温度よりも低い。また、第3段階において、前記発熱デバイス2のエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイス2の温度を前記第2温度で安定させる。本実施形態において、エアロゾル形成基質5は、少なくとも一部がハウジングの一端からハウジング1内に挿入される。また、発熱デバイス2は、エアロゾル形成基質5の内部に挿入されて加熱を行う。エアロゾル形成基質5はタバコスティックである。前記発熱デバイス2は、シート状の発熱体21と、発熱体を固定するための固定ベース22を含む。
【0070】
更に、制御回路は、検出モジュール及びマイクロプロセッサを含む。検出モジュールは、前記発熱デバイスの温度/抵抗値を検出することで、温度/抵抗検出値を取得するために用いられる。マイクロプロセッサは、前記温度/抵抗検出値と前記第2温度/目標抵抗値をPID演算することで加熱制御情報を取得し、前記加熱制御情報に基づいて前記発熱デバイスが周期的加熱を行うよう制御するために用いられる。なお、前記目標抵抗値は前記第2温度から決定する。
【0071】
図4は、本発明の実施例1における加熱式エアロゾル発生装置の回路図である。本実施例の加熱式エアロゾル発生装置は、発熱デバイスHeater、電源(図示しない)及び制御回路を含む。且つ、制御回路は、マイクロプロセッサU1及び検出モジュールを含む。検出モジュールは、第1スイッチングトランジスタQ1、第2スイッチングトランジスタQ2、第3スイッチングトランジスタQ3及び標準抵抗R1を含む。第1スイッチングトランジスタQ1の第1端子と第2スイッチングトランジスタQ2の第1端子は、それぞれ電源のプラス端子BATに接続され、第1スイッチングトランジスタQ1の第2端子は標準抵抗R1の第1端子に接続される。また、標準抵抗R1の第2端子及び第2スイッチングトランジスタQ2の第2端子は、それぞれ発熱デバイスHeaterの第1端子に接続され、発熱デバイスHeaterの第2端子は第3スイッチングトランジスタQ3の第1端子に接続され、第3スイッチングトランジスタQ3の第2端子はグランドに接続される。マイクロプロセッサU1の第1入力端子は第1スイッチングトランジスタQ1の第2端子に接続され、マイクロプロセッサU1の第2入力端子は標準抵抗R1の第2端子に接続され、マイクロプロセッサU1の第3入力端子は発熱デバイスHeaterの第2端子に接続され、マイクロプロセッサU1の第1出力端子は第1スイッチングトランジスタQ1の制御端子に接続され、マイクロプロセッサU1の第2出力端子は第2スイッチングトランジスタQ2の制御端子に接続され、マイクロプロセッサU1の第3出力端子は第3スイッチングトランジスタQ3の制御端子に接続される。
【0072】
且つ、本実施例において、第1スイッチングトランジスタQ1はNPN型バイポーラトランジスタである。且つ、第1スイッチングトランジスタQ1の第1端子はコレクタであり、第1スイッチングトランジスタQ1の第2端子はエミッタであり、第1スイッチングトランジスタQ1の制御端子はベースである。また、第2スイッチングトランジスタQ2はP型電界効果トランジスタである。第2スイッチングトランジスタQ2の第1端子はソースであり、第2スイッチングトランジスタQ2の第2端子はドレインであり、第2スイッチングトランジスタQ2の制御端子はゲートである。また、第3スイッチングトランジスタQ3はN型電界効果トランジスタである。第3スイッチングトランジスタQ3の第1端子はドレインであり、第3スイッチングトランジスタQ3の第2端子はソースであり、第3スイッチングトランジスタQ3の制御端子はゲートである。理解すべき点として、その他の実施例において、3つのスイッチングトランジスタは別のタイプのスイッチングトランジスタとしてもよい。
【0073】
次に、当該電気回路の動作原理について説明する。
【0074】
まず、説明すべき点として、標準抵抗R1は高精度抵抗であり、測定精度と標準抵抗R1の発熱量を両立する。一般的に、R1の抵抗値の範囲は、1倍のRHeater~10倍のRHeaterの間である。また、電源の出力電圧の範囲は2.8~4.2Vである。
【0075】
マイクロプロセッサU1が、第2スイッチングトランジスタQ2及び第3スイッチングトランジスタQ3をオンにするよう制御し、且つ第1スイッチングトランジスタQ1をオフにするよう制御すると、電源は、第2スイッチングトランジスタQ2、発熱デバイスHeater及び第3スイッチングトランジスタQ3を通過して加熱経路を形成し、発熱デバイスHeaterを加熱する。また、マイクロプロセッサU1は、第3入力端子の電圧を収集することで、加熱経路の電流Iを近似計算可能である。即ち、I=VMEAS3/RQ3である。RQ3は、第3スイッチングトランジスタQ3がオンの場合の内部抵抗であり、VMEAS3は、マイクロプロセッサU1の第3入力端子の電圧である。これにより、当該電流Iから過電流の発生有無を判断可能であり、過電流が発生した場合には過電流保護を実施する。
【0076】
マイクロプロセッサU1が、第1スイッチングトランジスタQ1及び第3スイッチングトランジスタQ3をオンにするよう制御し、且つ第2スイッチングトランジスタQ2をオフにするよう制御すると、電源は、第1スイッチングトランジスタQ1、標準抵抗R1及び発熱デバイスHeaterと第3スイッチングトランジスタQ3を通過して抵抗値測定経路を形成する。このとき、標準抵抗R1に電圧V1が形成され、発熱デバイスHeaterに電圧V2が形成される。マイクロプロセッサU1は、その第1入力端子及び第2入力端子の電圧を収集することでV1を決定する。即ち、V1=MEAS1-MEAS2である。また、マイクロプロセッサU1は、その第2入力端子及び第3入力端子の電圧を収集することでV2を決定する。即ち、V2=MEAS2-MEAS3である。その後、下記の公式に基づいて、発熱デバイスHeaterの抵抗値RHeaterを推測する。即ち、RHeater=(MEAS2-MEAS3)*R1/(MEAS1-MEAS2)である。MEAS1はマイクロプロセッサU1の第1入力端子の電圧であり、MEAS2はマイクロプロセッサU1の第2入力端子の電圧である。
【0077】
更に、説明すべき点として、各加熱周期において、マイクロプロセッサU1は、デューティー比のオン時間に基づき第2スイッチングトランジスタQ2のイネーブルを制御することで、発熱デバイスの加熱制御を実現する。第2スイッチングトランジスタQ2のオフ段階では、当該オフ段階の一部又は全ての時間を選択し、第1スイッチングトランジスタQ1のイネーブルを制御することで、RHeaterを推測可能とする。また、第2スイッチングトランジスタQ2のオフ過程とオン過程で発熱デバイスの温度変動が大きくならないよう、各加熱周期の時間は1~50mSの間とすればよい。
【0078】
本発明の別の実施例において、本実施例の加熱式エアロゾル発生方法は、第3段階のあと、更に以下を含む。
【0079】
第4段階において、前記発熱デバイスのエネルギー供給を制御することで、前記発熱デバイスの温度を前記第2温度から徐々に低下させる。
【0080】
当該ステップにおいて、第4段階はt3以降の一定の時間であり、基質が蒸発して減少するに伴って、発熱デバイスをゆっくりと降温させるよう制御する。これにより、最終的な終了時点で、エアロゾル基質が所望の霧化量を達成するとの目的が達せられる。図5に示すように、第4段階において、発熱デバイスの温度は時間とともに曲線形状をなしてゆっくりと低下する。当然ながら、その他のいくつかの実施例では、斜線形状をなしてゆっくりと低下してもよい。
【0081】
以上の記載は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を制限するものではない。当業者にとって、本発明には各種の変更及び変形が存在し得る。本発明の精神及び原則の範囲内で実施される何らかの修正、同等の置換、改良等は、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5