(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】金属酸化物および酸素ゲッターを含むボンドコート
(51)【国際特許分類】
C04B 41/89 20060101AFI20250106BHJP
C04B 35/577 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
C04B41/89 K
C04B35/577
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023016102
(22)【出願日】2023-02-06
【審査請求日】2023-06-06
(32)【優先日】2022-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】アナント・アチュト・セトラー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリン・ワン
【審査官】安積 高靖
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-100545(JP,A)
【文献】特開2011-037702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 41/89
C04B 35/577
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆部品(100)であって:
炭化ケイ素を含み、表面(103)を有するセラミックマトリクス複合基板(102)と;
前記セラミックマトリクス複合基板(102)の前記表面(103)上のボンドコート(104)であって、前記ボンドコート(104)は、マトリクス相(112)内に分散された複数の離散粒子(110)を含み、前記複数の離散粒子(110)は、酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物を含み、前記マトリクス相(112)は、ムライトを含む、ボンドコート(104)と;
前記ボンドコート(104)上の環境バリアコーティング(108)と;
を含
み、
前記酸素ゲッターは、前記複数の離散粒子(110)内に第1の離散粒子(111a)を形成し、前記遷移金属酸化物は、前記複数の離散粒子(110)内に第2の離散粒子(111b)を形成する、被覆部品(100)。
【請求項2】
前記遷移金属酸化物が、Y
2O
3、Lu
2O
3、Sc
2O
3、TiO
2、Ta
2O
5、La
2O
3、CeO
2、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の被覆部品(100)。
【請求項3】
前記ボンドコート(104)が、0.1重量%~10重量%の前記遷移金属酸化物を含む、請求項1又は2に記載の被覆部品(100)。
【請求項4】
前記ボンドコート(104)が、15%未満の多孔性を有する、請求項
1に記載の被覆部品(100)。
【請求項5】
前記酸素ゲッターは、元素ケイ素、ケイ素合金、シリサイド、またはそれらの混合物を含む、請求項
1に記載の被覆部品(100)。
【請求項6】
前記酸素ゲッターは、元素ケイ素を含む、請求項
1に記載の被覆部品(100)。
【請求項7】
前記ボンドコート(104)が、1重量%~30重量%の酸素ゲッターを含む、請求項
1に記載の被覆部品(100)。
【請求項8】
前記マトリクス相(112)が連続相であり、前記マトリクス相(112)が前記ボンドコート(104)に広がり、前記セラミックマトリクス複合基板(102)の表面(103)におよび前記環境バリアコーティング(108)の内面(103)に直接接合される、請求項
1に記載の被覆部品(100)。
【請求項9】
前記マトリクス相(112)が、前記ボンドコート(104)の60体積%~98体積%を規定する、請求項
1に記載の被覆部品(100)。
【請求項10】
前記マトリクス相(112)が、実質的にムライトからなる、請求項
1に記載の被覆部品(100)。
【請求項11】
前記環境バリアコーティング(108)は、複数の層(114)を含み、前記環境バリアコーティング(108)の前記層(114)のうちの少なくとも1つは、気密層(116)を含む、請求項
1に記載の被覆部品(100)。
【請求項12】
前記気密層が前記ボンドコート(104)に隣接して、前記気密層が前記環境バリアコーティング(108)の内面(103)を規定する、請求項
11に記載の被覆部品(100)。
【請求項13】
前記環境バリアコーティング(108)は、ハフニア層、アルミナ層、希土類二ケイ酸塩層、および希土類一ケイ酸塩層のうちの少なくとも1つを含む、請求項
1に記載の被覆部品(100)。
【請求項14】
被覆部品(100)を形成する方法であって:
基板(102)の表面(103)上にボンドコート(104)を形成するステップであって、前記ボンドコート(104)は、マトリクス相(112)内に分散された複数の離散粒子(110)を含み、前記複数の離散粒子(110)は、酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物を含み、前記マトリクス相(112)は、ムライトを含む、ステップと;
前記ボンドコート(104)上に環境バリアコーティング(108)を形成するステップであって、前記複数の離散粒子(110)が、溶融されたときに、前記基板(102)の前記表面(103)と前記環境バリアコーティング(108)の内面(103)との間のマトリクス相(112)内に含まれる、ステップと;
を含
み、
前記酸素ゲッターは、前記複数の離散粒子(110)内に第1の離散粒子(111a)を形成し、前記遷移金属酸化物は、前記複数の離散粒子(110)内に第2の離散粒子(111b)を形成する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、一般に、セラミック部品、特にケイ素ベースのセラミックマトリクス部品上の環境バリアコーティングと共に使用するためのボンドコート、並びにその形成方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ガスタービンエンジンの効率を改善するために、より高い動作温度が絶えず求められている。しかしながら、動作温度が上昇するにつれて、エンジンの構成部品の高温耐久性もそれに対応して増加しなければならない。鉄、ニッケル、コバルトをベースにした超合金の形成により、高温性能の著しい進歩が達成された。それでも、超合金から構成された多くの高温ガス経路部品では、遮熱コーティング(TBC)を利用して部品を絶縁することができ、耐荷重合金とコーティング表面との間にかなりの温度差を維持することができ、したがって、構造部品の熱露出を制限することができる。
【0003】
[0003] 超合金は、ガスタービンエンジン全体にわたって、特に高温部で使用される部品に広く使用されているが、セラミックマトリクス複合(CMC)材料、特に炭化ケイ素繊維強化SiCおよびSiC-Siマトリクス複合材料、いわゆるSiC/SiC複合材料などの代替の軽量基板材料が提案されている。CMCおよびモノリシックセラミック部品は、高温エンジン部分の過酷な環境からそれらを保護するために、環境バリアコーティング(EBC)でコーティングすることができる。EBCは、高温燃焼環境において腐食性ガスに対して高密度の気密シールを提供することができる。
【0004】
[0004] 炭化ケイ素および窒化ケイ素セラミックは、乾燥した高温環境において酸化を受ける。この酸化により、材料の表面に不動態酸化ケイ素スケールが生成される。タービンエンジンのような水蒸気を含む湿った高温環境では、酸化と後退の両方が、不動態酸化ケイ素スケールの形成と、それに続く酸化ケイ素の気体状水酸化ケイ素への転化とによって生じる。湿った高温環境における後退を防止するために、環境バリアコーティング(EBC)が、炭化ケイ素および窒化ケイ素材料上に堆積される。
【0005】
[0005] 現在、EBC材料は希土類ケイ酸塩化合物から作られている。これらの材料は、水蒸気を遮断し、炭化ケイ素または窒化ケイ素表面上の酸化ケイ素スケールに水蒸気が到達するのを防ぎ、それによって後退を防ぐ。しかし、このような材料は、酸素の浸透を防ぐことができず、その結果、下にある基板が酸化される。基板の酸化は、炭素質または亜酸化窒素ガスの放出と共に、不動態酸化ケイ素スケールを生じる。炭素質酸化物(すなわち、CO、CO2)または亜酸化窒素(すなわち、NO、NO2など)のガスは、高密度のEBCを通って脱出することができず、したがって、ブリスタが形成され、EBCの破砕を引き起こし得る。ケイ素ボンドコートの使用は、今日までのブリスタの問題に対する解決策であった。ケイ素ボンドコートは、ガス状副生成物を放出することなく酸化する(EBCの下に不動態酸化ケイ素層を形成する)層を提供する。
【0006】
[0006] 当業者に向けられた、その最良の態様を含む本発明の完全かつ実施可能な開示は、添付の図面を参照して本明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】[0007]ボンドコートおよびその上のEBCを含む例示的な被覆部品の断面概略図である。
【
図2】[0008]その中に分散された、第1の離散粒子および第2の離散粒子を含む、複数の離散粒子を有するマトリクスから形成された例示的なボンドコートの側断面図である。
【
図3】[0009]本主題の様々な実施形態による例示的なガスタービンエンジンの概略断面図である。
【
図4】[0010]その中に分散された離散粒子を有するマトリクスから形成されたボンドコートを有する被覆部品を形成する例示的な方法のフローチャート図である。
【
図5】[0011]以下でより詳細に説明される実施例に従って形成された例示的なボンドコートの断面図を示す。
【
図6】[0012]以下でより詳細に説明される実施例に従って形成された例示的なボンドコートの断面図を示す。
【
図7】[0013]以下でより詳細に説明される実施例に従って形成された例示的なボンドコートの断面図を示す。
【
図8】[0014]以下でより詳細に説明される実施例に従って形成された例示的なボンドコートの断面図を示す。
【
図9】[0015]以下でより詳細に説明される実施例に従って形成された比較ボンドコートの断面図を示す。
【
図10】[0016]以下でより詳細に説明されて形成された別の比較ボンドコートの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0017] 本明細書および図面における参照符号の反復使用は、本発明の同一または類似の特徴または要素を表すことを意図している。
【0009】
定義
[0018] 本明細書で使用されるように、用語「第1の」、「第2の」、および「第3の」は、ある構成要素を別の構成要素から区別するために交換可能に使用されてもよく、個々の構成要素の位置または重要性を示すことを意図しない。
【0010】
[0019] 化学元素は、元素の周期表に一般的に見られるような、それらの一般的な化学略語を用いて、本開示において議論される。たとえば、水素はその一般的な化学略号Hで表され、ヘリウムはその一般的な化学略号Heで表され、その他もである。本明細書中で使用される場合、「RE」は、希土類元素または希土類元素の混合物を指す。より詳細には、「RE」は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、またはそれらの混合物の希土類元素を指す。
【0011】
[0020] 本明細書中で使用される場合、「アルミナ」は、Al2O3の形態の酸化アルミニウムを指す。
【0012】
[0021] 本明細書中で使用される場合、「シリカ」は、SiO2の形態の酸化ケイ素を指す。
【0013】
[0022] 逆に、「元素ケイ素」とは、偶発的な不純物を除いて、合金材料が存在しないケイ素を指す。当技術分野では「ケイ素金属」と呼ばれることもある。ケイ素元素の融点は約1414℃である。
【0014】
[0023] 本明細書中で使用される場合、用語「ムライト」は、一般に、アルミナおよびシリカを含有する鉱物を指す。すなわち、ムライトは、アルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)の比が約3対2(例えば、アルミナ対シリカの3対2の10モル%以内)である、アルミナとシリカの化合物である。しかしながら、約2対1の比がムライトとしても報告されている(例えば、アルミナ対シリカの2対1の10モル%以内)。
【0015】
[0024] 本明細書中で使用される場合、「遷移金属」は、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、およびランタニド(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、およびLu)の金属元素を指す。
【0016】
[0025] 本明細書中で使用される場合、用語「実質的に含まない」は、前記成分を完全に含まないか、または微量の前記成分を含むことを意味すると理解される。「微量」は、かろうじて検出可能であり、対象組成物の機能的または美的特性に対して何の利益ももたらさない化学成分の量的レベルである。「実質的に含まない」という用語はまた、完全に含まないことを包含する。
【0017】
[0026] 本開示において、層が別の層または基板の「上に(on)」または「上に(over)」と記載される場合、明示的に反対のことが記載されていない限り、層は、互いに直接接触するか、または層間に別の層または特徴を有し得ることが理解されるべきである。したがって、これらの用語は、単に、互いに対する層の相対位置を説明するものであり、上または下の相対位置は、観察者に対する装置の向きに依存するので、必ずしも「上」を意味するものではない。
【0018】
[0027] 次に、本発明の実施形態を詳細に参照し、その1つ以上の例を図面に示す。各実施例は、本発明の説明のために提供されるものであって、本発明を限定するものではない。実際、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明において様々な修正および変形を行うことができることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示された又は記載された特徴を別の実施形態と共に使用して、さらなる実施形態を得ることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に入るような修正および変形をカバーすることが意図される。
【0019】
[0028] ケイ素ボンドコートの存在は、ケイ素金属の融点が約1414℃と比較的低いので、EBCの動作の上限温度を制限する。これらの融点を超えると、ケイ素ボンドコートは、下にある基板から剥離し、ボンドコートおよびその上のEBCを効果的に除去し得る。最近、酸素ゲッターとしてケイ素粒子を含むボンドコートを利用する高温EBCが企図されている。
【0020】
[0029] しかし、これらの高温EBCは、中間温度範囲では弱いことが示されている。特に、ボンドコートは、650℃~1500℃の温度で下にある基板への水および酸素の両方の浸透を防止することが望ましい。水の浸透を防止するために、ボンドコート中のいかなる開放気孔も最小化または除去することが望ましい。従って、EBCにおいて改良されたボンドコートを有することは、EBCに対してより高い動作温度限界を達成すると同時に、より低い温度および中間の温度においても有効であり続けることが望ましい。
【0021】
[0030] 原理的には、ムライト層の液相焼結は、密なムライト層につながり得る。しかしながら、この層中の残留液相は、ムライト中の高い酸化剤透過性経路をもたらし、これは、本質的に、より高い密度の利点を否定する。本明細書に記載される方法およびコーティングは、液相焼結を介してムライトの高密度化をもたらし得るが、高温および低温酸化寿命において重大な不利益を被ることなく、適切な組成選択に対処する。したがって、本明細書に記載される方法およびコーティングは、高密度ムライト層の形成によってEBCの開放気孔を除去することによって、高温および低温の酸化寿命に重大な不利益を被ることなく、水の浸透を防止することができる。
【0022】
[0031] 被覆部品は、一般に、その形成および使用の方法と共に、その中に分散された複数の離散粒子を有するマトリクス相を含有するボンドコートを含む。一般に、複数の離散粒子は、酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物を含む。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、遷移金属酸化物の存在は、液相焼結によるムライトの高密度化を助けるが、高温および低温の酸化寿命において重大な不利益を被ることはない。例えば、本明細書に開示された方法は、緻密なムライト層の形成を通じて、ボンドコート中の開放気孔の除去をもたらすことができる。一実施形態では、遷移金属酸化物は、焼結温度(例えば、1475℃~1565℃)で液相焼結を誘発するが、酸化寿命の著しい低下をもたらさない特定のドーパント化学的性質をボンドコートに加える。
【0023】
[0032] ムライトを含有し、離散粒子を含むボンドコートは、1つの特定の実施形態において、一般に、基板の表面とその上の環境バリアコーティング(EBC)との間に配置される。
図1を参照すると、コーティングシステム106をその上に有する表面103を有する基板102から形成された例示的な被覆部品100が示されている。一般に、コーティングシステム106は、基板の表面103上のボンドコート104と、ボンドコート104上のEBC108とを含む。示された実施形態では、ボンドコート104は、その間にいかなる層もなく、表面103上に直接ある。
【0024】
[0033]
図2の例示的実施形態において、ボンドコート104は、その中に分散された複数の離散粒子110を有するマトリクス相112を有するように示されている。一般に、複数の離散粒子110は、それぞれ第1の離散粒子111aおよび第2の離散粒子111bに対応する酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物を含む。分離した離散粒子111aおよび111bとして示されているが、特定の実施形態では、酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物は、混合粒子を形成してもよい。示された実施形態では、マトリクス相112は、ボンドコート104の連続相を形成する。さらに、
図1に示す実施形態では、マトリクス相112は、ボンドコート104の厚さに広がり、基板102の表面103におよびEBC108の内面107に直接接合される。
【0025】
[0034] 一般に、複数の離散粒子110の第1の離散粒子111aは、酸素が基板102の下にある表面103に到達するのを抑制するように、部品の使用中に酸素と反応し、処理中にコーティングを緻密化するように構成された酸素ゲッターを含む。ボンドコートの離散粒子110の第2の離散粒子111bは、遷移金属酸化物を含む。ほとんどの実施形態において、酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物は、異なる粒子(すなわち、第1の離散粒子111aおよび第2の離散粒子111b)を形成する。しかし、他の実施形態では、酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物は、マトリクス相112内で複合粒子を形成する。
【0026】
[0035] 遷移金属酸化物は、一般に遷移金属酸化物(TMxOy、ここでTMは遷移金属であり、x、yは酸化物の価数のバランスをとる整数である)である。1つの特定の実施形態において、遷移金属酸化物は、特に、Al2O3-SiO2-TMxOy相図内のSiに近接している場合、その金属形態(例えば、元素遷移金属)への化学的還元に対して耐性がある。一般に、いずれのランタニド酸化物も液相焼結助剤となる可能性を有するが、Al2O3-SiO2-TMxOy相図内の最高温度の共晶組成が特に適していると考えられる。例えば、特に適切な遷移金属酸化物としては、Y2O3、Lu2O3、Sc2O3、TiO2、Ta2O5、La2O3、CeO2、またはそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0027】
[0036] 遷移金属酸化物は、単体の酸化物の形態であってもよいし、代替的に、アルミン酸塩-遷移金属酸化物複合体またはケイ酸塩-遷移金属酸化物複合体の形態であってもよい。特定の一実施形態では、例えば、酸化アルミニウムおよび遷移金属酸化物(例えば、Al2O3-TMxOy)から形成されるアルミン酸塩中に遷移金属酸化物を含有させて、アルミン酸塩-遷移金属酸化物複合体を形成することができる。このような実施形態では、追加の酸化アルミニウムは、ムライトと焼結して、アルミニウムに富むムライト組成物を形成することができる。例えば、過剰なAl2O3は、ムライト内に酸化アルミニウム(例えば、Al2O3)相を形成することもできる。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、過剰の酸化アルミニウムを有することは、酸素ゲッターの初期酸化、特にボンドコートおよびその上のEBC層の処理を遅くするのに役立ち得ると考えられる。さらに、共に複合化された酸化ケイ素および遷移金属酸化物は、改善された反応速度論を導くことができると考えられる。
【0028】
[0037] 酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物は、酸素が下にある表面に到達するのを阻止し、ボンドコートを比較的低い多孔性に保ち、および/または比較的高い温度においてさえボンドコートの構造的一体性を維持するのに十分な相対量でボンドコート内に含まれ得る。特定の実施形態において、酸素ゲッターは、ボンドコート中に1重量%~30重量%、例えば、1重量%~10重量%含まれ得る。特定の実施形態において、遷移金属酸化物は、ボンドコート中に0.1重量%~10重量%、例えば1重量%~5重量%含まれ得る。例えば、遷移金属酸化物は、マトリクス材料の0.1モル%~10モル%、例えば0.5モル%~5モル%の範囲でボンドコート中に含まれ得る。
【0029】
[0038] 一実施形態では、酸素ゲッターは、元素ケイ素などのケイ素を含む。例えば、酸素ゲッターは、酸素ゲッターの少なくとも95重量%がケイ素であるように(任意の酸素に曝される前に)、例えば、酸素ゲッターの少なくとも99重量%がケイ素であるように、(ボンドコートの形成時に)本質的にケイ素からなることができる。
【0030】
[0039] 1つの特定の実施形態において、ボンドコート104は、マトリクス相112内に含有される遷移金属酸化物および元素ケイ素(共に離散粒子110として)の混合物から形成され得る。以下でより詳細に説明するように、ムライト内の元素ケイ素は、マトリクス相内に含有されたままであり、ボンドコート104の機能を維持しながら、被覆部品の動作中に溶融することができる。ボンドコート104のこのような機能には、基板をその上のEBCに接合すること、およびガスを放出することなく酸素をゲッタリングして、さもなければ気体状の副生成物を生じることになる、下にある基板の酸化を防止することが含まれるが、これらに限定されない。したがって、コーティング部品の動作中(例えば、ガスタービンエンジン内)に、ボンドコート104内で液体の離散粒子を利用することができる。ボンドコート104は、離散粒子の融点を超えても機能し続けるので、被覆部品は、離散粒子の融点を超える温度で動作させることができる。
【0031】
[0040] ケイ素は酸化してSiCからCOのようなガスを形成することはないが、水蒸気と接触すると水酸化ケイ素ガス種を形成する。しかし、水酸化ケイ素ガス種の分圧は十分に低いので、それらは有意に気泡を形成しない。さらに、これらの分圧は、外部ガス表面に相互接続された細孔が存在しない限り、後退を抑制する。ムライトマトリクスの密度およびEBCの上層の気密性は、水酸化ケイ素の形成を最小限に抑えるように制御することができる。
【0032】
[0041] 一実施形態では、離散粒子は一般に粗く、その酸化反応がボンドコートの厚さにわたって比較的ゆっくりと起こるのに十分な大きさを有する。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、酸化は比較的粗い粒子の薄い表面層上でのみ起こり、より細かい粒子と比較して離散粒子の酸化を効果的に遅くすると考えられる。このように、比較的粗い粒子の存在は、より微細な粒子と比較してより扱いやすい応力状態を生成することができ、従って、より少ない亀裂傾向をもたらす。さらに、比較的粗い粒子の酸化は、より小さな粒子で見られる鋭い反応フロントの代わりに、ボンドコートの厚さ内に拡散した反応ゾーンを生成することができる。さらに、離散粒子は、コーティングの製造プロセス中に酸化または蒸発を受ける。粗い粒子は、そのような劣化を遅らせるという利点を提供し、したがって、ボンドコート中の粒子の所望の割合を維持するのに役立ち得る。
【0033】
[0042] 上述したように、複数の離散粒子は、酸素ゲッターの酸化反応がボンドコートの厚さにわたって比較的ゆっくりと起こるように、比較的大きなサイズ(すなわち、粗い粒子)を有する。しかし、離散粒子110のサイズが大きすぎるおよび/または含有量が多すぎる場合、酸素ゲッターが液化する温度(例えば、ケイ素を含む場合は1414℃を超える温度)での使用において、離散粒子は連続相を形成し得る。多すぎる連続相(液化された大きすぎる離散粒子によって形成される)は、コーティングの破砕をもたらす可能性がある。
【0034】
[0043] 例えば、複数の離散粒子は、その体積の50%以上(例えば、その体積の75%以上)が、10μm~100μmの平均サイズを有する粒子から形成される。1つの実施形態において、複数の離散粒子は、その体積の50%以上(例えば、その体積の75%以上)が、20μm~75μmの平均サイズを有する粒子から形成される。1つの特定の実施形態において、複数の離散粒子は、その体積の50%以上(例えば、その体積の75%以上)が、30μm~50μmの平均サイズを有する粒子から形成される。したがって、いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、これらの比較的大きな粒子の存在は、酸化反応を遅くして拡散反応ゾーンを形成し、膨張による応力を減少させ、亀裂を抑制すると考えられる。
【0035】
[0044] ボンドコート104の構成にかかわらず、酸素ゲッターの溶融時に、離散粒子110は、基板102の表面103と環境バリアコーティング108の内面107との間のマトリクス相112内に含まれる。すなわち、マトリクス相112は、ボンドコート104の厚さに広がり、基板102の表面103におよび環境バリアコーティング108の内面107に結合される3次元ネットワークを形成してもよい。このように、マトリクス相112は、基板102の表面103および環境バリアコーティング108と共に作用して、基板102の表面103から剥離することなくボンドコート104の一体性を維持しながら、その中に溶融酸素ゲッターを含有する。
【0036】
[0045] 従って、マトリクス相112は、ボンドコート104に構造的一体性を提供する量でボンドコート104に含まれ、一方、離散粒子110の酸素ゲッターは、十分な量の酸素ゲッターをその中に組み込みながら、酸素ゲッターがケイ素である場合には、元素ケイ素の融点(すなわち、約1414℃)を超えるような動作温度で溶融される。マトリクス相112はまた、離散粒子110に到達するための酸化剤、すなわち酸素または水蒸気の拡散を制限するように機能する。一実施形態では、マトリクス相は、ボンドコート104の少なくとも60体積%を規定することができる(例えば、ボンドコート104の少なくとも60体積%はムライトを含むことができる)。特定の実施形態では、ボンドコート104は、60体積%~98体積%のマトリクス相(例えば、ムライト)、例えば65体積%~96体積%のマトリクス相(例えば、ムライト)、例えば75体積%~95体積%のマトリクス相(例えば、ムライト)を含むことができる。
【0037】
[0046] 逆に、離散粒子110の酸素ゲッターは、酸素が下にある基板102に到達するのを防ぐために、酸素ゲッターとして作用するのに十分な量でボンドコート104に含まれる。特定の一実施形態では、酸素ゲッターは、ケイ素金属(すなわち、元素ケイ素)、ケイ素合金(例えば、ケイ素共晶合金)、シリサイド、またはそれらの混合物から形成され得る。このように、酸素ゲッターは、酸素ゲッターの組成に応じて、ボンドコート104が約1400℃~約2550℃の温度に達したときに溶融することができる。いくつかの実施形態において、マトリクス相112は、ムライトを含み、約1825℃から1890℃の融点を有する。ある状況下では、ボンドコート104の温度は、酸素ゲッターの融点より高く、マトリクス相112の融点より低くすることができ、その結果、酸素ゲッターは溶融する。例えば、酸素ゲッターは、約1414℃(すなわち、元素ケイ素の融点)~約1485℃の融点を有し得る。特定の実施形態において、酸素ゲッターは、1415℃、1450℃、1550℃、および/または1600℃のボンドコート温度で溶融されるケイ素材料から形成されてもよい。
【0038】
[0047] 例えば、ボンドコート104は、特定の実施形態において、2%~40体積%の離散粒子110(すなわち、酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物の混合物の全体積)、例えば、4%~35体積%の離散粒子110(例えば、5%~25体積%の離散粒子110)を含むことができる。
【0039】
[0048] 特定の実施形態では、約1900℃以下(例えば、約1400℃~約1900℃)の融点を有するシリサイドは、酸素ゲッターとして離散粒子110内にあってもよい。特定のシリサイドの融点を決定することは、Si相図を使用して容易に達成することができる。
【0040】
[0049] 特定の実施形態において、離散粒子内の酸素ゲッターは、マトリクス亀裂を回避するために、基板およびムライトとの最小の熱膨張係数ミスマッチ(例えば、1℃あたり約2~3 ppm以下)を有し得る。しかしながら、当業者であれば、ゲッター相の体積分率を減少させることによって、より大きな膨張係数ミスマッチに対応できることを知っている。別の特定の実施形態では、酸素ゲッターは、ムライト層およびその亀裂における応力を低減するために、酸化時の体積増加が最小限(例えば、150%以下、好ましくは100%以下、より好ましくは体積膨張ではなく酸化時の体積減少)であるべきである。膨張係数ミスマッチおよび酸化による体積変化の要件を満たす離散粒子の多くの実施形態が可能である。一実施形態において、酸素ゲッターは、元素ケイ素を含み、純粋な元素ケイ素であってもよい。別の実施形態では、酸素ゲッターは、ケイ素合金および/またはシリサイドを含む。酸素ゲッターが元素ケイ素を含む実施形態では、ボンドコートは「ムライト/Siボンドコート」と呼ばれることがある。ケイ素酸化は、それが非晶質シリカを形成する場合には約115%から約130%の体積膨張を生じ、結晶質シリカを形成する場合には約85%の体積膨張を生じる。しかし、酸化生成物は最初は例外なく非晶質であり、その後時間とともに結晶質になり得る。
【0041】
[0050] 酸素ゲッターの他の実施形態としては、ニッケル、コバルト、クロム、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。これらの酸素ゲッターは、特定の実施形態において、ケイ素、ケイ素合金、及び/又はシリサイドと共に使用されてもよい。例えば、ニッケルは、基板およびムライトとの膨張ミスマッチがはるかに大きい(1℃当たりほぼ8ppm)。したがって、許容されるニッケルの最大体積分率は、1ppm/℃未満のミスマッチを有するケイ素のそれよりも低いであろう。しかし、ニッケルは、非晶質シリカに転化するケイ素の約115%~約130%と比較して、酸化時に約65%の体積膨張を有する。一方、クロムは、ニッケルよりも基板およびムライトとの膨張ミスマッチが小さい。また、ケイ素(1410°C)およびニッケル(1455°C)と比較して、融点が高い(1907°C)。
【0042】
[0051] マトリクス相112は、酸化物材料、特に、酸素ゲッターの融点よりも高い融点を有する酸化物材料を含むことができる。さらに、マトリクス相112は、高い動作温度であっても、離散粒子110の酸素ゲッターと一般に反応しない酸化物材料を含むことができる。1つの特定の実施形態において、マトリクス相112は、酸素ゲッターの融点よりも高い融点を有する結晶化ムライトから形成される。特定の実施形態において、ムライトは、約1825℃~1890℃の融点を有し、一般に、酸素ゲッターおよび/または離散粒子110の遷移金属酸化物と反応しない。
【0043】
[0052] 一実施形態において、マトリクス相112は、約10モル%の過剰のアルミナまでの、過剰のアルミナを有するムライトを含むことができる。例えば、マトリクス相112は、約3対2から約3.5対2までの化学量論比で、または約2対1から約2.25対1までの化学量論比で、アルミナおよびシリカから形成されたムライトを含んでもよい。別の実施形態では、マトリクス相112は、過剰のシリカを含有するムライトを含むことができる。
【0044】
[0053] ムライトは、一般に、1650℃(例えば、1200℃~1650℃)までであっても、関心のある全ての温度において、酸素に対して比較的遅い拡散速度を有する。1200℃を超える温度では、ムライトよりも低い酸素拡散速度を有する唯一の他の結晶質酸化物はアルミナであると考えられ、これは基板と比較して非常に高い膨張係数を有し、破砕なしに緻密なコーティングとして堆積させることができない。ムライトは、SiC CMC基板102と同様の熱膨張係数(「CTE」)を有するが、ムライトのCTEは、SiCと正確に一致しない。ボンドコート104が厚すぎる場合、ムライトとSiCのCTEのわずかなミスマッチが、亀裂および/または剥離などの熱膨張に関連する問題を引き起こす可能性がある。例えば、20ミル(すなわち、508μm)の厚さを有するボンドコート104は、動作温度に繰り返し曝された後に、CTEミスマッチに関連する問題を引き起こすと考えられる。他方、15ミル以下、例えば1ミルから15ミル(すなわち、381μm以下、例えば25.4μmから381μm)の最大厚さを有するボンドコート104は、CTEのミスマッチによる重大な問題なしに、そのような動作温度に耐えると考えられる。1つの特定の実施形態では、ボンドコート104は、3ミルから10ミル(すなわち、127μm、例えば76.2μmから254μm)など、10ミルの最大厚さを有する。
【0045】
[0054] 上述のように、ムライト系マトリクス相中の酸素ゲッターと遷移金属酸化物との組み合わせは、比較的低い多孔度を有するボンドコートをもたらす。一実施形態において、ボンドコートは、ASTM E2109-01に従って測定されるとき、15%未満の多孔度を有する。
【0046】
[0055] 特定の一実施形態では、基板102は、セラミックマトリクス複合材料(「CMC」)から形成される。本明細書で使用される場合、セラミック-マトリクス-複合材料または「CMC」は、セラミックマトリクス相によって囲まれた補強材料(例えば、強化繊維)を含む材料のクラスを指す。一般に、強化繊維はセラミックマトリクスに構造的一体性を提供する。CMCのマトリクス材料のいくつかの例は、非酸化物ケイ素ベースの材料(例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの混合物)、酸化物セラミック(例えば、酸炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミノケイ酸塩、またはそれらの混合物)、またはそれらの混合物を含むことができるが、これらに限定されない。必要に応じて、セラミック粒子(例えば、Si、Al、Zr、Y、およびそれらの組み合わせの酸化物)および無機充填剤(例えば、パイロフィライト、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カイアナイト、およびモンモリロナイト)もまた、CMCマトリクス内に含まれ得る。
【0047】
[0056] CMCの強化繊維のいくつかの例は、非酸化物ケイ素系材料(例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、またはそれらの混合物)、非酸化物炭素系材料(例えば、炭素)、酸化物セラミック(例えば、酸炭化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、ムライトなどのアルミノケイ酸塩、またはそれらの混合物)、またはそれらの混合物を含むことができるが、これらに限定されない。
【0048】
[0057] 一般に、特定のCMCは、繊維のタイプ/マトリクスのタイプの組み合わせと呼ばれることがある。例えば、炭素繊維強化炭化ケイ素の場合はC/SiC、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素の場合はSiC/SiC、炭化ケイ素繊維強化窒化ケイ素の場合はSiC/SiN、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素/窒化ケイ素マトリクス混合物の場合はSiC/SiC-SiNなどである。他の例では、CMCは、マトリクスと、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素(SiO2)、アルミノケイ酸塩、およびそれらの混合物などの酸化物系材料を含む強化繊維とから構成されてもよい。アルミノケイ酸塩は、ムライト(3Al2O3・2SiO2)のような結晶質材料、並びにガラス状アルミノケイ酸塩を含むことができる。
【0049】
[0058] 特定の実施形態では、強化繊維は、マトリクス内に含まれる前に束ねられ、および/または被覆されてもよい。例えば、繊維の束は、一方向強化テープのような強化テープとして形成することができる。複数のテープを一緒に積層して、プリフォーム部品を形成することができる。繊維束は、プリフォームを形成する前に、またはプリフォームの形成後に、スラリー組成物を含浸させることができる。次いで、プリフォームは、プリフォーム内に高チャー残留物を生成するための硬化またはバーンアウトのような熱処理、および所望の化学組成を有するCMC材料から形成される部品に到達するための、ケイ素による溶融浸透のようなその後の化学処理を受けることができる。
【0050】
[0059] このような材料は、特定のモノリシックセラミック(すなわち、強化材料なしのセラミック材料)と共に、高温用途に特に適している。さらに、これらのセラミック材料は、超合金と比較して軽量であるが、それから作られた部品に強度および耐久性を与えることができる。したがって、このような材料は、現在、ガスタービンエンジンのより高温部分に使用される多くのガスタービン部品、例えば、翼形部(例えば、タービン及び翼)、燃焼器、シュラウド及び他の同様の部品に対して検討されており、これらの材料は、これらの材料が提供することができるより軽量でより高温の能力から利益を得るであろう。
【0051】
[0060] 本明細書中で使用される場合、環境バリアコーティングまたは「EBC」は、セラミック材料の1つまたは複数の層を含むコーティングシステムを指し、その各々は、下にあるCMCに対して特異的または多機能保護を提供する。EBCは、一般に、希土類ケイ酸塩コーティング(例えば、スラリーまたはAPS堆積イッテルビウム二ケイ酸イットリウム(YbYDS)などの希土類二ケイ酸塩)、アルカリ土類アルミノケイ酸塩(例えば、ある範囲のBaO、SrO、Al2O3、および/またはSiO2組成を有するなどのバリウム-ストロンチウム-アルミニウムケイ酸塩(BSAS)を含む)、気密層(例えば、希土類二ケイ酸塩)、および/または外側コーティング(例えば、スラリーまたはAPS堆積一ケイ酸イットリウム(YMS)などの希土類一ケイ酸塩を含む)などの複数の層を含む。1つ以上の層が所望によりドープされてもよく、EBCはまた、摩耗性コーティングで被覆されてもよい。
【0052】
[0061] 上述したように、ボンドコート104は、EBC108と共に使用して、ケイ素ボンドコートのみ(マトリクス相なし)を使用する場合と比較して高い動作温度を有する被覆部品100を形成することができる。EBC108は、希土類ケイ酸塩(例えば、一ケイ酸塩および二ケイ酸塩)、アルミノケイ酸塩(例えば、ムライト、バリウムストロンチウムアルミノケイ酸塩(BSAS)、希土類アルミノケイ酸塩など)、ハフニア、ジルコニア、安定化ハフニア、安定化ジルコニア、希土類ハフネート、希土類ジルコン酸塩、希土類酸化ガリウムなどを含むがこれらに限定されない、典型的なEBCまたは遮熱コーティング(「TBC」)層化学種から選択される材料から形成される1つ以上の層の任意の組み合わせを含むことができる。EBCは、ハフニア層、アルミナ層、またはその両方を含むことができる。代替的または追加的に、EBCは、希土類二ケイ酸塩層、希土類一ケイ酸塩層、またはその両方を含むことができる。
【0053】
[0062] EBC108は、複数の個々の層114から形成されてもよい。示される実施形態では、EBC108は、溶融時にボンドコート104内に離散粒子110の酸素ゲッターを収容するように、ボンドコート104上に直接配置された気密層116を含む。一実施形態では、この気密層は、厚さ2ミルまで、例えば好ましくは厚さ約0.1ミルから約1ミル(例えば、厚さ約0.1ミルから約0.5ミル)のムライトである。離散粒子110の酸素ゲッターは、酸素と反応性である(例えば、酸化ケイ素を形成する)ので、動作温度での酸素への部品100の曝露時に生成されるガス状酸化物(例えば、炭素酸化物)は最小限である。したがって、ボンドコート104を通るガスエスケープ層は必要なく、気密層はEBC108内に含まれてもよい。ボンドコート104への水蒸気の侵入を防止するために、気密層を有することも望ましい。一実施形態において、気密層116は、ボンドコート104上に直接配置されてもよいが、EBC108内の他の場所に配置されてもよい。
【0054】
[0063] 被覆部品100は、ガスタービンエンジンに存在する部品、例えば、燃焼器部品、タービンブレード、シュラウド、ノズル、熱シールド、及び翼のような高温環境で見られる部品としての使用に特に適している。特に、被覆部品100は、ガスタービンの高温ガス流路内に配置されたCMC部品であってもよく、これにより、コーティングシステム106は、下にある基板102に対して環境バリアを形成し、高温ガス流路にさらされたときにガスタービン内の部品100を保護する。特定の実施形態では、ボンドコート104は、被覆部品100が約1475℃~約1650℃の動作温度に曝される一方で、ボンドコート104がこれらの動作温度によって実質的に影響を受けないように構成される。したがって、ボンドコート104は、約1475℃~約1650℃の動作温度への曝露に耐えることができる。
【0055】
[0064]
図3は、本開示の例示的実施形態による、ガスタービンエンジンの概略断面図である。より詳細には、
図3の実施形態では、ガスタービンエンジンは、本明細書では「ターボファンエンジン10」と呼ばれる高バイパスターボファンジェットエンジン10である。
図3に示すように、ターボファンエンジン10は、軸方向A(基準のために設けられた縦軸12に平行に延びる)および半径方向Rを規定する。一般に、ターボファンエンジン10は、ファンセクション14と、ファンセクション14の下流に配置されたコアタービンエンジン16とを備える。ターボファンエンジン10を参照して以下に説明するが、本開示は、産業用及び舶用ガスタービンエンジン及び補助動力ユニットを含むターボジェット、ターボプロップ及びターボシャフトガスタービンエンジンを含む一般的なターボ機械に適用可能である。また、炭化水素燃料の燃焼から生じるものなど、気相に水蒸気を含む他の高温用途にも適用可能である。
【0056】
[0065] 図示される例示的なコアタービンエンジン16は、一般に、環状入口20を規定する実質的に管状の外側ケーシング18を含む。ケーシング18は、直列の流れ関係で、ブースタ又は低圧(LP)圧縮機22及び高圧(HP)圧縮機24を含む圧縮機セクションと、燃焼セクション26と、高圧(HP)タービン28及び低圧(LP)タービン30を含むタービンセクションと、ジェット排気ノズルセクション32とを収容する。高圧(HP)スプールまたはシャフト34は、HPタービン28をHP圧縮機24に駆動的に接続する。低圧(LP)スプールまたはシャフト36は、LPタービン30をLP圧縮機22に駆動的に接続する。
【0057】
[0066] 図示される実施形態では、ファンセクション14は、離間してディスク42に結合された複数のファンブレード40を有する可変ピッチファン38を含む。図示されるように、ファンブレード40は、一般的に半径方向Rに沿ってディスク42から外向きに延在する。各ファンブレード40は、ファンブレード40のピッチを一斉に集合的に変化させるように構成された適切な作動部材44に作動的に結合されたファンブレード40によって、ピッチ軸Pを中心としてディスク42に対して回転可能である。ファンブレード40、ディスク42、および作動部材44は、LPシャフト36によって、オプションのパワーギアボックス46を横切って、縦軸12を中心に共に回転可能である。パワーギアボックス46は、LPシャフト36の回転速度をより効率的なファン回転速度まで減速するための複数のギアを含む。
【0058】
[0067]
図3の例示的な実施形態をさらに参照すると、ディスク42は、複数のファンブレード40を通る空気流を促進するように空気力学的に輪郭形成された回転可能なフロントナセル48によって覆われる。さらに、例示的なファンセクション14は、ファン38および/またはコアタービンエンジン16の少なくとも一部を円周方向に囲む環状ファンケーシングまたは外側ナセル50を含む。ナセル50は、円周方向に間隔を置いて配置された複数の出口ガイド翼52によってコアタービンエンジン16に対して支持されるように構成することができることを理解されたい。さらに、ナセル50の下流セクション54は、コアタービンエンジン16の外側部分の上に延在して、その間にバイパス空気流通路56を規定することができる。
【0059】
[0068] ターボファンエンジン10の作動中、一定量の空気58が、ナセル50および/またはファンセクション14の関連する入口60を通ってターボファンエンジン10に入る。一定量の空気58がファンブレード40を通過すると、矢印62で示す空気の第1の部分がバイパス空気流路56に導かれ又は送られ、矢印64で示す空気の第2の部分がLP圧縮機22に導かれる又は送られる。空気の第1の部分62と空気の第2の部分64との間の比は、一般にバイパス比として知られている。次いで、空気64の第2の部分の圧力は、それが高圧(HP)圧縮機24を通って燃焼セクション26内に送られるにつれて増加し、そこで燃料と混合され、燃焼されて燃焼ガス66を提供する。
【0060】
[0069] 燃焼ガス66は、HPタービン28を通って送られ、ここで、燃焼ガス66からの熱エネルギーおよび/または運動エネルギーの一部が、外側ケーシング18に結合されたHPタービン静翼68と、HPスプールまたはシャフト34に結合されたHPタービン動翼70との連続段を介して抽出され、これにより、HPスプールまたはシャフト34を回転させ、これにより、HP圧縮機24の作動を支持する。次いで、燃焼ガス66は、LPタービン30を通って送られ、ここで、熱エネルギーおよび運動エネルギーの第2の部分が、外側ケーシング18に連結されたLPタービン静翼72と、LPスプールまたはシャフト36に連結されたLPタービン動翼74との連続段を介して燃焼ガス66から抽出され、これにより、LPスプールまたはシャフト36を回転させ、それによって、LP圧縮機22の動作および/またはファン38の回転を支持する。
【0061】
[0070] その後、燃焼ガス66は、コアタービンエンジン16のジェット排気ノズルセクション32を通って流れ、推進力を提供する。同時に、空気62の第1の部分の圧力は、空気62の第1の部分がターボファンエンジン10のファンノズル排気セクション76から排気される前にバイパス空気流路56を通って送られるにつれて実質的に増加し、推進力も提供する。HPタービン28、LPタービン30及びジェット排気ノズルセクション32は、コアタービンエンジン16を通して燃焼ガス66を送るための高温ガス通路78を少なくとも部分的に規定する。
【0062】
[0071] セラミック部品をコーティングするための方法も一般に提供される。例えば、
図4は、基板の表面上にコーティングシステムを形成する例示的な方法400の図を示す。402において、ボンドコート104に関して上述したように、マトリクス相内に含まれる離散粒子を含むように、ボンドコートが基板の表面上に形成される。一実施形態では、ボンドコートは、空気プラズマスプレーによって形成される。別の実施形態では、それは、所望の化学の液体懸濁液が空気プラズマスプレーに使用される懸濁液プラズマスプレーによって形成される。さらに別の実施形態では、コーティングは、低圧プラズマスプレーによって形成される。さらに別の実施形態では、1つまたは複数の被覆層は、スラリーコーティングプロセスとそれに続く層の焼結によって形成されてもよい。異なるコーティング層は、これらのプロセスのうちの1つまたは複数によって形成されてもよい。
【0063】
[0072] 404において、環境バリアコーティング(EBC)がボンドコート上に形成される。上述のように、離散粒子は、溶融されると、基板の表面と環境バリアコーティングの内面との間のマトリクス相内に含有される。
【0064】
実施例
[0073] 連続ムライト相内に分散された酸素ゲッターと遷移金属酸化物との混合物を用いて、例示的なボンドコート材料を調製し、遷移金属酸化物なしの比較ボンドコート材料を調製した。
【0065】
[0074]
図5は、熱試験後の、例示的なボンドコート材料を含むペレットの写真を示す。例示的なボンドコート材料を含むペレットは、マトリクス材料としての75.5重量%のムライト、ムライトをアルミニウムリッチに形成するための12.7重量%のAl
2O
3、酸素ゲッターとしての9.6重量%の元素ケイ素、および遷移金属酸化物としての2.1重量%のLu
2O
3から形成された。例示的なボンドコート材料は、ムライト、Al
2O
3、ケイ素、およびLu
2O
3の粉末混合物をペレットに冷間プレスし、続いて減圧焼結することによって形成された。このボンドコート材料は、コーティングではないが、例示的なボンドコート材料として役立った。次いで、ペレットを、空気中で1480℃~1540℃の温度で10時間加熱試験に供して、層内に多孔性が形成されるかどうかを決定した。示されるように、ペレット内の多孔性は、熱試験後でさえ、実質的に排除されている。
【0066】
[0075]
図6は、熱試験後の例示的なボンドコート材料を含有するペレットの写真を示す。例示的なボンドコート材料を含むペレットは、マトリクス材料としての76.6重量%のムライト、ムライトをアルミニウムリッチに形成するための12.9重量%のAl
2O
3、酸素ゲッターとしての9.8重量%の元素ケイ素、および遷移金属酸化物としての0.7重量%のSc
2O
3から形成された。例示的なボンドコート材料は、ムライト、Al
2O
3、ケイ素、およびSc
2O
3の粉末混合物をペレットに冷間プレスし、続いて減圧焼結することによって形成された。このボンドコート材料は、コーティングではないが、例示的なボンドコート材料として役立った。次いで、ペレットを、空気中で1480℃~1540℃の温度で10時間加熱試験に供して、層内に多孔性が形成されるかどうかを決定した。示されるように、ペレット内の多孔性は、熱試験の後でさえ、極めて小さい。
【0067】
[0076]
図7は、熱試験後の例示的なボンドコート材料を含有するペレットの写真を示す。例示的なボンドコート材料を含むペレットは、マトリクス材料としての76.5重量%のムライト、ムライトをアルミニウムリッチに形成するための12.8重量%のAl
2O
3、酸素ゲッターとしての9.8重量%の元素ケイ素、および遷移金属酸化物としての0.9重量%のTiO
2から形成された。例示的なボンドコート材料は、ムライト、Al
2O
3、ケイ素、およびTiO
2の粉末混合物をペレットに冷間プレスし、続いて減圧焼結することによって形成された。このボンドコート材料は、コーティングではないが、例示的なボンドコート材料として役立った。次いで、ペレットを、空気中で1480℃~1540℃の温度で10時間加熱試験に供して、層内に多孔性が形成されるかどうかを決定した。示されるように、ペレット内の多孔性は、熱試験の後でさえ、極めて小さい。
【0068】
[0077]
図8は、熱試験後の例示的なボンドコート材料の断面図を示す。例示的なボンドコート材料は、マトリクス材料として85体積%のムライト、ムライトをアルミニウムリッチにするための10重量%のAl
2O
3(ムライトおよびケイ素の総重量と比較して)、酸素ゲッターとして15体積%の元素ケイ素、および遷移金属酸化物として3.2重量%のLu
2Si
2O
7(ムライトおよびケイ素の総重量と比較して)の溶液プラズマスプレーによって形成された。溶液プラズマスプレーの固体画分は以下の通りであった。77重量%のムライト、11重量%のSi、9重量%のAl
2O
3、および3重量%のLu
2Si
2O
7。次いで、このコーティングを、空気中で1540℃の温度で10時間熱試験に供して、層内に多孔性が形成されるかどうかを決定した。示されるように、ボンドコート内の多孔性は、熱試験後でさえ、実質的に除去された。
【0069】
[0078]
図9は、熱試験後の、いかなる遷移金属酸化物も存在しない、比較ボンドコート材料を含む、ペレットの写真を示す。比較ボンドコート材料を含むペレットは、マトリクス材料として77.1重量%のムライト、ムライトをアルミニウムリッチにするための13重量%のAl
2O
3、および酸素ゲッターとして9.9重量%の元素ケイ素から形成された。ムライト、Al
2O
3およびケイ素の粉末混合物をペレット内に冷間プレスし、続いて減圧焼結することによって、比較ボンドコート材料を形成した。この比較ボンドコート材料は、
図5、
図6および
図7に関して上述したペレットと同じ方法で形成したが、遷移金属酸化物は存在しなかった。次いで、ペレットを、空気中で1480℃~1540℃の温度で10時間加熱試験に供して、層内に多孔性が形成されるかどうかを決定した。
図9に示すように、熱試験後の比較ペレット内には、有意な開放気孔率が存在する。
【0070】
[0079]
図10は、熱試験後の比較ボンドコート材料の断面図を示す。比較ボンドコート材料は、マトリクス材料として85体積%のムライト、ムライトをアルミニウムリッチにするための10重量%のAl
2O
3(ムライトおよびケイ素の総重量と比較して)、および酸素ゲッターとして15体積%の元素ケイ素の溶液プラズマスプレーによって形成された。溶液プラズマスプレー固体画分は、79重量%のムライト、12重量%のSi、および9重量%のAl
2O
3であった。この比較ボンドコートは、
図8に関して上述したコーティングと同じ方法で形成されたが、遷移金属酸化物は存在しなかった。次いで、このコーティングを、空気中で1540℃の温度で10時間熱試験に供して、層内に多孔性が形成されるかどうかを決定した。示されるように、ボンドコート内の多孔性は、熱試験後の
図8の例示的なボンドコートに示されるものよりもはるかに大きかった。
【0071】
[0080] 本開示の態様は、高密度のムライト層の形成を通じてEBCの開放気孔を除去することにより、高温および低温の酸化寿命において重大な不利益を被ることなく、水の浸透を防止する。
【0072】
[0081] 本発明のさらなる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
【0073】
[0082] 被覆部品であって:炭化ケイ素を含み、表面を有するセラミックマトリクス複合基板と;前記基板の前記表面上のボンドコートであって、前記ボンドコートは、マトリクス相内に分散された複数の離散粒子を含み、前記複数の離散粒子は、酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物を含み、前記マトリクス相は、ムライトを含む、ボンドコートと;前記ボンドコート上の環境バリアコーティングと;を含む、被覆部品。
【0074】
[0083] 前記遷移金属酸化物が、Y2O3、Lu2O3、Sc2O3、TiO2、Ta2O5、La2O3、CeO2、またはそれらの混合物を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0075】
[0084] 前記ボンドコートが、0.1重量%~10重量%の前記遷移金属酸化物を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0076】
[0085] 前記ボンドコートが、15%未満の多孔性を有する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0077】
[0086] 前記酸素ゲッターは、前記複数の離散粒子内に第1の離散粒子を形成し、前記遷移金属酸化物は、前記複数の離散粒子内に第2の離散粒子を形成する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0078】
[0087] 前記酸素ゲッターは、元素ケイ素、ケイ素合金、シリサイド、またはそれらの混合物を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0079】
[0088] 前記酸素ゲッターは、元素ケイ素を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0080】
[0089] 前記ボンドコートが、1重量%~30重量%の酸素ゲッターを含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0081】
[0090] 前記マトリクス相が連続相であり、前記マトリクス相が前記ボンドコートに広がり、前記基板の表面におよび前記環境バリアコーティングの内面に直接接合される、任意の前項に記載の被覆部品。
【0082】
[0091] 前記マトリクス相が、前記ボンドコートの60体積%~98体積%を規定する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0083】
[0092] 前記マトリクス相が、前記ボンドコートの65体積%~96体積%を規定する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0084】
[0093] 前記マトリクス相が、前記ボンドコートの75体積%~95体積%を規定する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0085】
[0094] 前記マトリクス相が、実質的にムライトからなる、任意の前項に記載の被覆部品。
【0086】
[0095] 前記環境バリアコーティングは、複数の層を含み、前記環境バリアコーティングの前記層のうちの少なくとも1つは、気密層を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0087】
[0096] 前記気密層が前記ボンドコートに隣接して、前記気密層が前記環境バリアコーティングの内面を規定する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0088】
[0097] 前記ボンドコートが、1475℃~1650℃の動作温度への曝露に耐えるように構成される、任意の前項に記載の被覆部品。
【0089】
[0098] 前記環境バリアコーティングが、ハフニア層、アルミナ層、またはその両方を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0090】
[0099] 前記環境バリアコーティングが、希土類二ケイ酸塩層、希土類一ケイ酸塩層、またはその両方を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0091】
[00100] 前項の被覆部品を形成する方法。
【0092】
[00101] 被覆部品を形成する方法であって:前記基板の前記表面上にボンドコートを形成するステップであって、前記ボンドコートは、マトリクス相内に分散された複数の離散粒子を含み、前記複数の離散粒子は、酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物を含み、前記マトリクス相は、ムライトを含む、ステップと;前記複数の離散粒子が、溶融されたときに、前記基板の前記表面と前記環境バリアコーティングの内面との間のマトリクス相内に含まれるように、前記ボンドコート上に環境バリアコーティングを形成するステップと;を含む、方法。
【0093】
[00102] 前記遷移金属酸化物が、Y2O3、Lu2O3、Sc2O3、TiO2、Ta2O5、La2O3、CeO2、またはそれらの混合物を含む、任意の前項に記載の方法。
【0094】
[00103] この明細書は、最良の態様を含む本発明を開示するために、また、任意の装置またはシステムを作製および使用し、任意の組み込まれた方法を実施することを含む本発明を当業者が実施できるようにするために、実施例を使用する。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、又はそれらが特許請求の範囲の文言と実質的な相違のない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【0095】
[00104] 本発明のさらなる態様は、以下の条項の主題によって提供される。
【0096】
[00105] 1.被覆部品であって:炭化ケイ素を含み、表面を有するセラミックマトリクス複合基板と;前記セラミックマトリクス複合基板の前記表面上のボンドコートであって、前記ボンドコートは、マトリクス相内に分散された複数の離散粒子を含み、前記複数の離散粒子は、酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物を含み、前記マトリクス相は、ムライトを含む、ボンドコートと;前記ボンドコート上の環境バリアコーティングと;を含む、被覆部品。
【0097】
[00106] 2.前記遷移金属酸化物が、Y2O3、Lu2O3、Sc2O3、TiO2、Ta2O5、La2O3、CeO2、またはそれらの混合物を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0098】
[00107] 3.前記ボンドコートが、0.1重量%~10重量%の前記遷移金属酸化物を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0099】
[00108] 4.前記ボンドコートが、15%未満の多孔性を有する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0100】
[00109] 5.前記酸素ゲッターは、前記複数の離散粒子内に第1の離散粒子を形成し、前記遷移金属酸化物は、前記複数の離散粒子内に第2の離散粒子を形成する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0101】
[00110] 6.前記酸素ゲッターは、元素ケイ素、ケイ素合金、シリサイド、またはそれらの混合物を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0102】
[00111] 7.前記酸素ゲッターは、元素ケイ素を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0103】
[00112] 8.前記ボンドコートが、1重量%~30重量%の酸素ゲッターを含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0104】
[00113] 9.前記マトリクス相が連続相であり、前記マトリクス相が前記ボンドコートに広がり、前記セラミックマトリクス複合基板の表面におよび前記環境バリアコーティングの内面に直接接合される、任意の前項に記載の被覆部品。
【0105】
[00114] 10.前記マトリクス相が、前記ボンドコートの60体積%~98体積%を規定する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0106】
[00115] 11.前記マトリクス相が、前記ボンドコートの65体積%~96体積%を規定する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0107】
[00116] 12.前記マトリクス相が、前記ボンドコートの75体積%~95体積%を規定する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0108】
[00117] 13.前記マトリクス相が、実質的にムライトからなる、任意の前項に記載の被覆部品。
【0109】
[00118] 14.前記環境バリアコーティングは、複数の層を含み、前記環境バリアコーティングの前記層のうちの少なくとも1つは、気密層を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0110】
[00119] 15.前記気密層が前記環境バリアコーティングの内面を規定するように、前記気密層が前記ボンドコートに隣接する、任意の前項に記載の被覆部品。
【0111】
[00120] 16.前記ボンドコートが、1475℃~1650℃の動作温度への曝露に耐えるように構成される、任意の前項に記載の被覆部品。
【0112】
[00121] 17.前記環境バリアコーティングが、ハフニア層、アルミナ層、またはその両方を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0113】
[00122] 18.前記環境バリアコーティングが、希土類二ケイ酸塩層、希土類一ケイ酸塩層、またはその両方を含む、任意の前項に記載の被覆部品。
【0114】
[00123] 19.被覆部品を形成する方法であって:基板の表面上にボンドコートを形成するステップであって、前記ボンドコートは、マトリクス相内に分散された複数の離散粒子を含み、前記複数の離散粒子は、酸素ゲッターおよび遷移金属酸化物を含み、前記マトリクス相は、ムライトを含む、ステップと;前記ボンドコート上に環境バリアコーティングを形成するステップであって、前記複数の離散粒子が、溶融されたときに、前記基板の前記表面と前記環境バリアコーティングの内面との間のマトリクス相内に含まれる、ステップと;を含む、方法。
【0115】
[00124] 20.前記遷移金属酸化物が、Y2O3、Lu2O3、Sc2O3、TiO2、Ta2O5、La2O3、CeO2、またはそれらの混合物を含む、任意の前項に記載の方法。