(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20250106BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
A61M25/00
B65D85/00 C
(21)【出願番号】P 2023058391
(22)【出願日】2023-03-31
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】林田 紳吾
【審査官】黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0247137(US,A1)
【文献】特開2009-201826(JP,A)
【文献】特表2019-529263(JP,A)
【文献】特表2007-527295(JP,A)
【文献】米国特許第05816403(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具と、
前記医療器具を保持する台座シートと、
前記医療器具とともに前記台座シートを封入する袋体と、
前記袋体を格納する箱体と、を備え、
前記台座シートは、
前記医療器具を保持するための主面部と、
前記主面部に対して第1方向に隣り合う側面部と、
前記主面部と前記側面部との間に設けられ前記第1方向と直交する第2方向に沿って延びる折り曲げ用の罫線部と、
前記罫線部と前記第1方向に重ならない位置にある前記主面部からなる緩衝領域と、を備え、
前記台座シートは、前記罫線部で折り曲げた折り曲げ状態で前記箱体に格納され、
前記主面部の前記第2方向外側にある外縁部は、前記台座シートが前記折り曲げ状態にあるとき、前記第2方向で最も外側にある前記罫線部の最外端部よりも前記第2方向外側に設けられ、前記緩衝領域の一部を構成
し、
前記袋体は、前記台座シートを収容する収容部と、前記収容部に対して前記第1方向及び前記第2方向の少なくとも一方に設けられる折り畳み部を備え、
前記折り畳み部は、
前記緩衝領域に対して厚さ方向で前記医療器具のある表側に重なる箇所に位置する包装体。
【請求項2】
前記緩衝領域は、前記主面部の前記第2方向の端部に設けられ、前記第2方向外側に向かうに連れて前記第1方向に徐々に幅狭となる形状である請求項1に記載の
包装体。
【請求項3】
前記台座シートは、前記罫線部と前記第1方向に重なる位置にある前記主面部及び前記側面部からなる折り曲げ領域を備え、
前記折り曲げ領域の前記第1方向の外寸は、前記箱体の前記第1方向での内寸よりも大きい請求項1に記載の
包装体。
【請求項4】
前記主面部には、前記主面部の平面部に対して起立した状態で前記医療器具の一部を保持可能な保持部が設けられる請求項1に記載の
包装体。
【請求項5】
前記医療器具は、少なくとも一つの本体部と、前記本体部に接続され可撓性を持つ少なくとも一つの線状部と、を備え、
前記台座シートは、前記罫線部と前記第1方向に重なる位置にある前記主面部及び前記側面部からなる折り曲げ領域を備え、
前記折り曲げ領域は、前記保持部により前記医療器具が保持された状態にあるとき、前記折り曲げ領域内に前記本体部が収まるように設けられる請求項4に記載の
包装体。
【請求項6】
前記折り畳み部は、前記収容部に対して前記第1方向に設けられる第1折り畳み部と、前記収容部に対して前記第2方向に設けられる第2折り畳み部と、を含み、
前記第1折り畳み部及び前記第2折り畳み部の双方は、前記台座シートに対して厚さ方向で表側に重なる箇所に位置する請求項
1に記載の包装体。
【請求項7】
前記箱体は、前記台座シートと前記第2方向に対向する内側面を備え、
前記箱体の内部には、前記緩衝領域の潰れ変形を伴い前記内側面に前記台座シートが前記第2方向に接近しようとしたとき、前記内側面への前記側面部の接近を許容するスペースが設けられる請求項
1に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療器具を包装するための包装体及び包装体に用いられる台座シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、医療器具を包装するための包装体(医療用機器セット)を開示する。この包装体は、医療器具を保持するためのトレーと、医療器具とともにトレーを封入する袋体と、を備えている。包装体は、通常、この他に、袋体を格納する箱体を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トレー、袋体、箱体を組み合わせた包装体を用いる場合、その落下又は運搬時の衝撃によって、トレーにより保持される位置から医療器具が外れ易いという問題があった。この医療器具の外れという問題は、トレーに替えて、医療器具を保持する他の保持部材を用いた場合にも共通する問題であり、その改善が望まれる。
【0005】
そこで、本開示の目的の1つは、医療器具の外れを抑制できる新たな保持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は保持部材となる台座シートに関するものであり、その台座シートは、医療器具とともに袋体に封入された状態で箱体に格納される台座シートであって、前記医療器具を保持するための主面部と、前記主面部に対して第1方向に隣り合う側面部と、前記主面部と前記側面部との間に設けられ前記第1方向と直交する第2方向に沿って延びる折り曲げ用の罫線部と、前記罫線部と前記第1方向に重ならない位置にある前記主面部からなる緩衝領域と、を備える台座シートである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、台座シートからの医療器具の外れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態の台座シートの使用状態を示す平面図である。
【
図6】
図2の範囲Saの保持部を示す側面断面図である。
【
図7】
図7(A)は、参考形態の台座シートが箱体に格納された状態を示す模式的な正面断面図であり、
図7(B)は、その平面断面図である。
【
図8】実施形態の台座シートが箱体に格納された状態を示す模式的な正面断面図である。
【
図9】実施形態の台座シートが箱体に格納された状態を示す模式的な平面断面図である。
【
図10】実施形態の袋体の折り畳み手順を示す説明図である。
【
図11】実施形態の台座シートが箱体に格納された状態を示す模式的な側面断面図である。
【
図12】
図12(A)は、
図9から袋体を省略した図であり、
図12(B)は、台座シートの緩衝領域の変形途中の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の台座シートを実施するための実施形態を説明する。同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
【0010】
図1を参照する。台座シート10は、医療器具14を包装するための包装体12の一部となり、包装用台座シートとして用いられる。包装体12は、医療器具14を保持するための保持部材としての台座シート10と、医療器具14とともに台座シート10を封入する袋体16と、袋体16を格納する箱体18と、を備える。
【0011】
(医療器具)
図2を参照する。包装体12により包装される医療器具14の具体例は特に限定されない。本実施形態の医療器具14は、カテーテルであるが、この他にも、ペースメーカー、埋込型除細動器、人工血管、ステント、ステントグラフト、塞栓用コイル、内視鏡等でもよい。本実施形態のカテーテルは、電極カテーテルであるが、その具体例は特に限定されず、例えば、バルーンカテーテル、ガイディングカテーテル、異物除去カテーテル、造影カテーテル、マイクロカテーテル等でもよい。
【0012】
医療器具14は、少なくとも一つの本体部14a、14bと、本体部14a、14bに接続され可撓性を持つ少なくとも一つの線状部14c、14dと、を備えてもよい。本体部14a、14bは、本体部14a、14bに接続される線状部14c、14dと比べて硬質であり、かつ、その線状部14c、14dの径方向での寸法が線状部14c、14dよりも大きくなる。ここでの線状部14c、14dの径方向とは、線状部14c、14dの中心線と同心の円の半径方向をいう。
【0013】
線状部14c、14dは、一端が自由端となり他端側において本体部14aに接続される主線状部14cと、複数の本体部14a、14bを接続する少なくとも一つの副線状部14dとを含んでもよい。主線状部14cは、副線状部14dよりも線長方向での長さが長くなる。本体部14a、14bは、主線状部14cが接続される主本体部14aの他に、副線状部14dを介して主本体部14aに接続される少なくとも一つの副本体部14bを含んでもよい。
【0014】
実施形態のカテーテルでいえば、主本体部14aは、術者により把持されるハンドルであり、主線状部14cは、ハンドルに接続されるカテーテルシャフトである。また、副本体部14bは、カテーテルシャフト内にガイドワイヤーを挿入するためのメスルアーや、外部給電装置に接続可能な一対のコネクタである。また、副線状部14dは、メスルアーとハンドルを接続する保護チューブや、コネクタとハンドルを接続する保護チューブである。ここで挙げた本体部14a、14b、線状部14c、14dは一例に過ぎず、これらに限定されるものではない。
【0015】
(袋体)
図1を参照する。袋体16は、全体として可撓性を持つ。袋体16は、例えば、展開した状態にあるとき、台座シート10の厚み方向(
図1の視点)から見て、一方向に長い矩形状をなす。袋体16は、その内部に収容物を入れるための開口部16aを備える。袋体16は、その内部に医療器具14とともに台座シート10を収容した後、その開口部16aをヒートシール等により封止することで、医療器具14とともに台座シート10を封入した封入状態となる。ここでは、袋体16の封止箇所の一例を二点鎖線で示す。袋体16は、菌不透過性を持つ素材により構成され、封入状態にあるときに、外部から内部への菌の透過が阻止される。
【0016】
袋体16は、滅菌処理をされた収容物(医療器具14、台座シート10)を封入する。この滅菌処理の具体例は特に限定されないが、例えば、滅菌ガスを用いるガス滅菌、加熱蒸気を用いる湿熱滅菌、放射線滅菌等でもよい。この滅菌処理は、後述する滅菌袋22を用いて封入状態のままされてもよいし、収容物の収容前に無菌環境でされてもよい。後者の場合、無菌環境において、滅菌処理された収容物を袋体16に収容した後、袋体16の開口部16aを封止してもよい。この場合、袋体16として滅菌袋22以外のものを採用してもよい。
【0017】
本実施形態の袋体16は、封入状態のまま収容物を滅菌処理可能な滅菌袋22である。滅菌袋22は、その少なくとも一部において通気性を持つ通気部22aと、それ以外の箇所に設けられ通気性を持たない非通気部22bと、を備える。例えば、通気部22aは滅菌紙等により構成され、非通気部22bは合成樹脂製フィルムにより構成される。これにより、滅菌袋22を封入状態にしたまま、その通気部22aを滅菌ガス、加熱蒸気等が透過することで、その収容物の滅菌処理がなされる。滅菌袋22の構成は特に限定されず、滅菌袋22に採用される各種構成が適用されてもよい。ここでは、矩形状の合成樹脂製フィルムと滅菌紙を重ね合わせ、開口部16aとなる箇所を残して、その内部空間となる箇所を取り囲むように接合した滅菌袋22を示す。これらの接合箇所は破線で示す。
【0018】
(箱体)箱体18は、台座シート10の厚み方向から見て、台座シート10の短手方向Xに短く長手方向Yに長い立方体状をなす。箱体18は、1枚のシート基材を折り曲げたうえで、自身の一部を重ね合わせた箇所を接着剤等で接続することで構成される。箱体18は、格納物を出し入れするための開口部18aが設けられる箱本体部18bと、開口部18aを開閉可能な蓋部18cとを備える。ここでの格納物とは、医療器具14とともに台座シート10を封入した袋体16をいう。本実施形態の箱本体部18bは四角筒状をなし、短手方向Y両側に開口部18aが設けられる。本実施形態の蓋部18cは、箱本体部18bの個別の開口部18aのそれぞれに対応して個別に設けられる。箱本体部18b、蓋部18cの位置、構造はここで挙げた内容に限定されず、各種箱体18に採用される様々な位置、構造が適用されてもよい。
【0019】
台座シート10、医療器具14及び袋体16は、箱体18の長手方向に対して台座シート10の長手方向Yを揃えた状態で箱体18の内部に格納される。これら台座シート10等は、箱体18に対して少なくとも台座シート10の長手方向X(箱体18の長手方向)に相対移動可能に格納される。
【0020】
(台座シート)台座シート10の説明に移る。
図2、
図3を参照する。なお、
図3は、台座シート10の平面図、
図4は、その右側面図、
図5は、その正面図である。台座シート10の背面図は平面図と対称のため省略し、その左側面図は右側面図と対称のため省略し、その背面図は正面図と対称のため省略する。
図3の破線はミシン目を示す。
【0021】
台座シート10は、全体として平面状をなすとともに可撓性を持つ平面構造体である。本実施形態の台座シート10は、全体として一方向に長い長尺状をなす。以下、台座シート10の厚み方向(
図3の紙面直交方向)に直交する二方向のうち、台座シート10が長く延びる一方向を長手方向Yとし、それと直交する方向を短手方向Xという。
【0022】
台座シート10は、トムソン加工等のシート基材に対する型抜き加工により得ることができる。本実施形態の台座シート10は、紙により構成されるが、合成樹脂素材を用いた樹脂シート等により構成されてもよい。
【0023】
台座シート10は、医療器具14とともに袋体16に封入された状態で箱体18に格納される。台座シート10は、箱体18に格納された状態にあるとき、後述する罫線部32で折り曲げた折り曲げ状態で箱体18に格納される。台座シート10は、この折り曲げ状態にあるときに、その状態を維持できる程度の剛性を持つ素材により構成されるとよい。
【0024】
台座シート10は、医療器具14を保持するための主面部30と、主面部30に対して台座シート10の短手方向Xに隣り合う側面部34A、34Bと、主面部30と側面部34A、34Bとの間に設けられ台座シート10の長手方向Yに沿って延びる罫線部32と、を備える。
【0025】
(主面部)主面部30は、主面部30の厚さ方向一側となる表側(
図2、
図3の紙面手前側)に配置される医療器具14を受けることができる。医療器具14は、次に説明する保持部36A~36Cを用いて主面部30により着脱可能に保持してもよいし、接着テープ等の主面部30に着脱可能に固定するための固定部材を用いて主面部30に保持させてもよい。
【0026】
主面部30には、主面部30の平面部30aに対して起立した状態で医療器具14の一部を保持可能な保持部36A~36Cが設けられてもよい。保持部36A~36Cは、主面部30に形成した切り込み線38により囲まれた箇所により構成される。平面部30aは、保持部36A~26Cに連続する平面状の部分である。保持部36A~36Cは、平面部30aとの境界部を表面側に折り曲げることで、平面部30aに対して起立可能である。保持部36A~36Cと平面部30aとの境界部には折り曲げ用の罫線部30bが設けられてもよい。
【0027】
本実施形態の保持部36A~36Cは、医療器具14の主本体部14aに対応する主本体保持部36Aと、その副本体部14bに対応する副本体保持部36Bと、その主線状部14cに対応する線状部保持部36Cと、を含む。主本体保持部36Aは、主本体部14aに対して長手方向Y両側に個別に設けられ、主本体部14aの一部、又は、主本体部14aに接続される線状部14c、14dの主本体部14a側の端部を保持する。詳しくは、一の主本体保持部36A(
図2の紙面左側の保持部36A)は、主線状部14cの主本体部14a側の端部を保持している。また、他の主本体保持部36A(
図2の紙面右側の保持部36A)は、副線状部14dの主本体部14a側の端部を保持している。副本体保持部36Bは、副本体部14bの一部、又は、副本体部14bに接続される副線状部14dの副本体部14b側の端部を保持する。本実施形態において、ルアーに対応する副本体保持部36Bは、ルアー(副本体部14b)の一部を保持しており、コネクタに対応する副本体保持部36Bは、コネクタに接続される副線状部14dのコネクタ側の端部を保持している。保持部36A~36Cは、長手方向Yに間隔を空けて複数設けられている。
【0028】
図6を参照する。ここでは、各保持部36A~36Cに共通する特徴について、主本体保持部36Aを例に説明する。保持部36A~36Cには、自身に挿通された医療器具14の一部を保持する保持孔36aと、保持孔36aを開放する切れ目36bとが形成される。これにより、切れ目36bを通して保持孔36a内に医療器具14の一部を容易に配置可能となる。切れ目36bは、例えば、保持部36A~36Cが起立した状態にあるとき、台座シート10の厚さ方向Zと交差する方向(例えば、短手方向X)に延びていてもよい。
【0029】
(側面部)
図2、
図3を参照する。側面部34A、34Bは、台座シート10を罫線部32で折り曲げた折り曲げ状態にあるとき、主面部30に対して表側に起立した状態となる。罫線部32に折り曲げ箇所を設けることで、台座シート10が折り曲げ状態にあるとき、台座シート10の強度(形状保持性)が高められる。本実施形態の側面部34A、34Bは、主面部30に対して短手方向一側に隣り合う第1側面部34Aと、短手方向他側に隣り合う第2側面部34Bとを含む。ここでは、計1つの第1側面部34Aと計1つの第2側面部34Bとが存在する例を示すが、側面部34A、34Bの個数は特に限定されない。例えば、側面部34A、34Bの個数は単数でもよい。これは、第1側面部34A及び第2側面部34Bの何れかのみが存在する場合である。また、第1側面部34A及び第2側面部34Bの少なくとも一方は、長手方向Yに間隔を空けて複数設けられていてもよい。
【0030】
(罫線部)折り曲げ用の罫線部32は、罫線部32に沿った折り曲げを容易にするために設けられる。本実施形態の罫線部32は、第1側面部34A及び第2側面部34Bそれぞれと主面部30との間に個別に設けられる。罫線部32は、断続的に設けられるミシン罫を用いて構成される例を示すが、その具体例は特に限定されず、折罫、リード罫、ハーフカット等を用いて構成されてもよい。罫線部32は、ミシン罫等の断続的な罫線要素を用いる場合、断続的な罫線要素の他に、その断続的な罫線要素の延長上にある台座シート10の一部により構成される。
【0031】
ここでは側面部34A、34Bと主面部30との間に一つの罫線部32が設けられる例を示す。この他にも、これらの間に複数の罫線部32が設けられていてもよい。例えば、側面部34A、34Bと主面部30との間に三つの罫線部32を設け、短手方向Xに向かって谷折りと山折りとが交互に並ぶように個々の罫線部32で折り曲げてもよい。この他にも、側面部34A、34Bと主面部30との間において、一つの罫線部32が設けられる箇所と、それとは長手方向Yの異なる位置で複数の罫線部32が設けられる箇所とがあってもよい。
【0032】
ここで、台座シート10の長手方向Yの中央位置10aから長手方向に遠ざかる側を長手方向外側といい、その中央位置10aに長手方向で近づく側を長手方向内側という。罫線部32は、台座シート10の長手方向Yで最も外側にある最外端部32aを備える。ここでの「長手方向で最も外側にある最外端部32a」とは、台座シート10の中央位置10aに対して長手方向片側に単数の罫線部32しか存在しない場合、その罫線部32の長手方向外側にある端部をいう。また、台座シート10の中央位置10aに対して長手方向片側に複数の罫線部32が存在する場合、そのうちの最も長手方向外側にある罫線部32の端部をいう。罫線部32がミシン罫等の断続的な罫線要素を用いる場合、その断続的な罫線要素の延長線と台座シート10の長手方向Yの外縁部10bとの交点に罫線部32の最外端部32aが設けられる。台座シート10には、罫線部32で折り曲げた折り曲げ状態にあるとき、この罫線部32の最外端部32aに角部40が形成される(後述の
図8も参照)。
【0033】
主面部30と第1側面部34Aとの間には、計二つの罫線部32の最外端部32aが存在し得る。主面部30と第2側面部34Bとの間にも、計二つの罫線部32の最外端部32aが存在し得る。つまり、台座シート10には計4つの罫線部32の最外端部32aが存在し得る。
【0034】
罫線部32の最外端部32aは、その最外端部32aと長手方向Yで同じ側にある主面部30の最外端30cよりも長手方向内側に位置する。ここでの最外端30cとは、主面部30の長手方向外側にある外縁部30dにおいて、最も長手方向外側にある端をいう。本実施形態の罫線部32の最外端部32aは、主面部30の外縁部30dにおいて最も長手方向内側にある最内端と同じ箇所に位置する。この罫線部32の最外端部32aと主面部30の外縁部30dとに関する位置条件は、複数の罫線部32の最外端部32aのうちの少なくとも一つとの関係で満たしていればよい。本実施形態では計4つの最外端部32aのそれぞれに関して、この位置条件を満たしている。
【0035】
前述の位置条件を満たすうえで、本実施形態において、台座シート10の長手方向外側にある外縁部10bは、長手方向外側に向かうに連れて短手方向Yに徐々に幅狭となる形状をなしている。これを実現する形状として、ここでは円弧状をなす例を示すが、これに限定されず、三角形状、台形状等をなしていてもよい。この他にも、前述の位置条件を満たすうえで、台座シート10の外縁部10bを短手方向Xに沿った直線状に形成したうえで、側面部34A、34Bと主面部30との間に外縁部10bから長手方向Y内側に延びる切り込みを入れてもよい。この場合、切り込みの長手方向Y内側の末端位置に罫線部32の最外端部32aが設けられる。この他にも、前述の位置条件を満たすうえで、矩形状の台座シート10の角部を切り欠くことで、主面部30の外縁部に対して側面部34A、34Bの外縁部の位置を長手方向Y内側にずれさせてもよい。いずれにしても、前述の位置条件を満たすための具体的構造は特に限定されない。
【0036】
図3を参照する。台座シート10は、台座シート10の罫線部32と短手方向Xに重ならない位置にある主面部30からなる緩衝領域50と、罫線部32と短手方向Xに重なる位置にある主面部30及び側面部34A、34Bからなる折り曲げ領域52と、を備える。緩衝領域50は、台座シート10の一部の長手方向範囲を構成し、折り曲げ領域52は、緩衝領域50とは異なる台座シート10の一部の長手方向範囲を構成する。台座シート10が折り曲げ状態にあるとき、緩衝領域50は、罫線部32で折り曲げた折り曲げ箇所の存在しない領域となり、折り曲げ領域52は、その折り曲げ箇所の存在する領域となる。台座シート10が折り曲げ状態にあるとき、緩衝領域50は、折り曲げ箇所がないため相対的に強度の低い箇所となり、折り曲げ領域52は、折り曲げ箇所があるため相対的に強度の高い箇所となる。
【0037】
緩衝領域50は、本実施形態において、主面部30の長手方向Yの端部30eに設けられる。この緩衝領域50は、長手方向Y外側に向かうに連れて短手方向Xに徐々に幅狭となる形状である。これを実現する形状として、本実施形態の緩衝領域50は円弧状をなす例を示すが、これに限定されず、三角形状、台形状等をなしてもよい。
【0038】
以上の台座シート10の効果を説明する。
図9を参照する。台座シート10には、箱体18の内面に台座シート10の外縁部10bが当たることで衝撃荷重F1が入力される。ここで、台座シート10に緩衝領域50を設けることで、台座シート10に長手方向Yの衝撃荷重F1が入力されたとき、強度の高い折り曲げ領域52では形状を維持したまま、強度の低い緩衝領域50での長手方向Yでの潰れ変形を促進できる。このため、台座シート10に入力される衝撃荷重F1を緩衝可能になる。これにより、台座シート10の主面部30上に保持される医療器具14に伝達される衝撃荷重F1を軽減でき、その主面部30上で保持される位置からの医療器具14の外れを抑制できる。ここでの「医療器具14の外れ」とは、保持部36A~36Cを用いて医療器具14を保持する場合、その保持部36A~36Cから医療器具14の一部が分離してしまうことを意味する。また、ここでの「医療器具14の外れ」とは、接着テープ等の固定部材を用いて医療器具14を保持する場合、その接着テープ等の分離により固定部材による医療器具14の一部に対する保持が解除されることを意味する。
【0039】
本願発明者は、台座シート10に長手方向Yの衝撃荷重F1が入力された場合に、保持部36A~36Cにおいて破損を招き易くなるという新たな知見を得た。特に、本願発明者は、保持部36A~36Cの保持孔36aよりも表面側における幅狭な部分36c(
図6参照)において破損を招き易くなるという新たな知見を得た。この点、本実施形態のように台座シート10が緩衝領域50を備える場合、緩衝領域50により衝撃荷重を緩衝することで、保持部36A~36Cにおける破損を抑制できる。特に、保持部36A~36Cの強度増大のための保持部36A~36Cの大型化を要さずに、保持部36A~36Cの破損を抑制できる点で有利となる。
【0040】
また、本実施形態では、長手方向Y外側に向かうに連れて徐々に幅狭となる緩衝領域50の形状を採用している。よって、参考形態のように主面部30の外縁部30dが短手方向Xに沿った直線状をなす場合(
図7(B)参照)と比べ、箱体18の内面に対する主面部30の外縁部30dの接触面積が低減する。このため、箱体18に対する主面部30の接触箇所周りでの衝撃応力の増大により、緩衝領域50での潰れ変形を促進でき、緩衝領域50による衝撃荷重F1の緩衝効果を発揮し易くなる。
【0041】
図7(A)、
図7(B)を参照して、参考形態の台座シート100を説明する。参考形態の台座シート100は、その外縁部100aが短手方向Xに沿った直線状をなしており、罫線部32の最外端部32aが主面部30の最外端30c(外縁部30d)と同じ長手方向位置に設けられる。
【0042】
台座シートを箱体18に格納した包装体12の落下又は運搬時、包装体12には衝撃荷重が入力される。この衝撃荷重に起因して、箱体18に対して台座シートが様々な方向に相対移動することで、袋体16を介して箱体18の内面に台座シートが衝突する。ここでは、箱体18に対して台座シートが長手方向Yに相対移動する場合を考える。
【0043】
参考形態の台座シート100の場合、台座シート100が折り曲げ状態にあるとき、罫線部32の最外端部32aに形成される角部40も、主面部30の最外端30cと同じ長手方向位置に設けられる。これに起因して、箱体18に対して台座シート100が長手方向Yに相対移動した場合に、主面部30の最外端30cと同時に台座シート100の角部40も袋体16に当たり易くなる。この結果、台座シート100の角部40が袋体16に当たる角当たりの発生を招く。
【0044】
図8、
図9を参照する。本実施形態によれば、罫線部32の最外端部32aが主面部30の最外端30cよりも長手方向内側に位置している。よって、台座シート10が折り曲げ状態にあるとき、罫線部32の最外端部32aに形成される角部40も、主面部30の最外端30cよりも長手方向内側に位置することになる。このため、箱体18に対して台座シート10が長手方向Yに相対移動することで、主面部30の最外端30cが袋体16に当たるとき、その最外端30cと同時に角部40が袋体16に当たり難くなる。ひいては、参考形態の台座シート100と比べて、袋体16に対する台座シート10の角当たりを抑制できるようになる。
【0045】
仮に、台座シート10の角当たりに起因して袋体16が破損してしまうと、袋体16の封入状態が解除されてしまう。これに起因して袋体16内に菌が侵入してしまうと、医療器具14を使用不能になる。この点、本実施形態によれば、台座シート10の角当たりを抑制できるため、それに起因して医療器具14を使用不能になるリスクを低減できる。
【0046】
医療器具14を受ける台座として立体的なトレーを用いた場合、通常、真空成形等の高コストの成形手法を要する。この点、本実施形態によれば、医療器具14を受ける台座として、平面状の台座シート10が用いられる。よって、トレーの成形手法と比べて安価な型抜き加工等の加工手法により台座シート10を得られ、製造コストを低減できる。
【0047】
立体的なトレーは、通常、医療器具を収容する凹部が設けられた収容部と、収容部の外周縁部から垂下する外周壁部と、を備える。このトレーは、通常、箱体の底面にトレーの外周壁部を載せた状態で箱体に格納される。このため、箱体の高さ方向(台座シート10でいう厚さ方向)に衝撃荷重が入力されたとき、その衝撃荷重は箱体からトレーの外周壁部に伝達される。トレーの外周壁部は、通常、全周に亘り連続しており、トレーは全体として剛性が非常に高くなる。このため、箱体からトレーに入力された高さ方向の衝撃荷重は、トレーの外周壁部及び収容部の変形により緩衝されることなく収容部内の医療器具に伝達され易く、それに起因して医療器具がトレーから外れ易くなる。この点、本実施形態の台座シート10は、折り曲げた状態で箱体に格納され、トレーのような全周に亘り連続する箇所がなく、トレーと比べて剛性が低くなる。このため、箱体18から伝達された箱体18の高さ方向(台座シート10の厚さ方向)での衝撃荷重を台座シート10の各部位の変形により緩衝し易くなる。また、高さ方向の衝撃荷重は、トレーの外周壁部と比べて箱体の底面に対する接触面積の広い台座シート10の主面部30により受けられる。このような台座シート10の主面部30の変形により、その衝撃荷重を効果的に緩衝できる。これらが相まって、トレーと比べて、医療器具14の外れを抑制できる。
【0048】
図2を参照する。台座シート10の折り曲げ領域52は、保持部36A~36Cにより医療器具14が保持された状態にあるとき、折り曲げ領域52内に医療器具14の本体部14a、14bが収まるように設けられる。ここでの「収まる」とは、折り曲げ領域52から、医療器具14の言及している部位(ここでは本体部14a、14b)が長手方向Yにはみ出ないことを意味する。折り曲げ領域52は、保持部36A~36Cにより医療器具14が保持された状態にあるとき、その本体部14a、14bが緩衝領域50内に配置されないように設けられているともいえる。この条件を満たすうえで、折り曲げ領域52は、その折り曲げ領域52内に全ての本体部14a、14bが収まるように設けられていればよい。なお、折り曲げ領域52には、保持部36A~36Cにより医療器具14が保持された状態にあるとき、折り曲げ領域52内に医療器具14の線状部14c、14dも収まるように設けられてもよい。
【0049】
台座シート10に衝撃荷重F1が入力されたとき、前述のように、折り曲げ領域52での形状を維持したまま、緩衝領域50の潰れ変形が促進される。本実施形態によれば、医療器具14の本体部14a、14bが、潰れ変形の起きる緩衝領域50ではなく折り曲げ領域52内に設けられる構造となる。よって、医療器具14の本体部14a、14bに衝撃荷重F1が伝達され難くなる点で有利となる。
【0050】
図3、
図9を参照する。展開した状態にある台座シート10の折り曲げ領域52における短手方向Xの外寸L52は、箱体18の短手方向Xの内寸L18よりも大きくなる。箱体18は、短手方向X両側に設けられる対の長辺側面部18eを備える。箱体18の内寸L18とは、箱体18の対の長辺側面部18e間の内寸をいう。この折り曲げ領域52の外寸L52と箱体18の内寸L18に関する寸法条件は、折り曲げ領域52のある長手方向範囲の少なくとも一部において満たしていればよい。この寸法条件を満たす範囲は、台座シート10の折り曲げ領域52のある長手方向範囲のうち広いほど好ましく、例えば、その長手方向範囲の半分以上の範囲において満たしていてもよいし、その大部分において満たしていてもよい。ここでの大部分とは、折り曲げ領域52のある長手方向範囲の9割以上の範囲をいう。なお、台座シート10が折り曲げ状態にあるとき、台座シート10の主面部30を通る厚さ方向位置での短手方向Xの外寸L30は、箱体18の短手方向Xでの内寸L18よりも小さくなる。
【0051】
仮に、折り曲げ状態にある台座シート10を箱体18に格納した場合に、台座シート10が、その罫線部32での折り曲げ角が小さくなる方向D1に変形しようとするケースを考える。このケースにおいて、前述の寸法条件を満たした場合、その寸法条件を満たさない場合と比べ、その罫線部32で折り曲げた状態のまま、台座シート10の側面部34A、34Bを箱体18の長辺側面部18eに安定して当てることができる。このため、台座シート10の折り曲げ角を小さくする変形を箱体18により拘束することで、その罫線部32で折り曲げた状態を安定して維持できる。ひいては、箱体18に格納した状態にあるとき、台座シート10を折り曲げ状態に維持することで、高い強度を安定して維持可能になる。
【0052】
図10を参照する。袋体16は、台座シート10を収容する収容部60の他に、任意の構成として、収容部60に対して短手方向X及び長手方向Yの少なくとも何れかに設けられる折り畳み部62A、62Bを備える。袋体16の収容部60及び折り畳み部62A、62Bは、台座シート10とともに箱体18に格納された状態(
図10の最下段の状態)にあるときに設けられる。ここでは、説明の便宜のため、袋体16を展開した状態にあるときの収容部60となる箇所にもハッチングを付して示す。
【0053】
本実施形態の折り畳み部62A、62Bは、収容部60に対して短手方向Xにある第1折り畳み部62Aと、収容部60に対して長手方向Yにある第2折り畳み部62Bと、を含む。ここでの第1折り畳み部62Aは、短手方向両側に設けられる例を示すが、短手方向片側にのみ設けられてもよい。また、ここでの第2折り畳み部62Bは、長手方向両側に設けられる例を示すが、長手方向片側にのみ設けられてもよい。なお、袋体16は、第1折り畳み部62A及び第2折り畳み部62Bのいずれかのみを含んでいてもよい。
【0054】
袋体16は、各折り畳み部62A、62Bを展開した状態にあるとき、その短手方向Xの端側にある長辺側部分16cと、その長手方向Yの端側にある短辺側部分16dとを備える。第1折り畳み部62Aは、袋体16の長辺側部分16cを短手方向X(
図10の方向D2)に折り畳むことで設けられる。第2折り畳み部62Bは、袋体16の短辺側部分16dを長手方向Y(
図10の方向D3)に折り畳むことで設けられる。ここでの第1折り畳み部62Aは、袋体16の長辺側部分16cを二つ折りすることで設けられ、その折り返し数が1つとなる例を示す。第1折り畳み部62Aの折り返し数は特に限定されず、2つ以上の折り返し数であってもよい。第2折り畳み部62Bも同様である。
【0055】
図8、
図11を参照する。折り畳み部62A、62Bは、袋体16に格納された状態にあるとき、台座シート10に対して厚さ方向で医療器具14のある表側(
図8、
図11の紙面上側)に重なる箇所に位置する。この条件は、二つの第1折り畳み部62Aと二つの第2折り畳み部62Bの双方が満たしているが、それらのうちのいずれ一つの折り畳み部62A、62Bが少なくとも満たしていればよい。
【0056】
これにより、箱体18に対して袋体16及び台座シート10が厚さ方向に相対移動することで、袋体16に表側から衝撃荷重F2が入力されたとき、袋体16の折り畳み部62A、62Bが変形することで、その衝撃荷重F2を緩衝することができる。ひいては、台座シート10の表側に配置される医療器具14に伝達される衝撃荷重F2を軽減でき、医療器具14の保護を図ることができる。特に、このような効果との関係で、第1折り畳み部62A及び第2折り畳み部62Bの双方が、台座シート10に対して表側に重なる箇所に位置していると好ましい。
【0057】
図8を参照する。以上の折り畳み部62A、62Bは、台座シート10の主面部30の端部30eに設けられる緩衝領域50に対して厚さ方向で表側に重なる箇所に位置する。
図8では、第2折り畳み部62Bのみがこの条件を満たす例を示すが、第1折り畳み部62Aと第2折り畳み部62Bとの双方がこの条件を満たしていてもよい。この利点を説明する。
【0058】
前述のように、台座シート10に長手方向Yの衝撃荷重F1が入力されることで、主面部30の端部30eの緩衝領域50が潰れ変形した場合を考える。この場合に、その緩衝領域50と厚さ方向に重なる箇所にある袋体16の折り畳み部62A、62Bも潰れ変形でき、両者により衝撃荷重を緩衝できる点で有利となる。特に、主面部30の端部30eに折り曲げ領域52が設けられる場合と比べ、その主面部30の端部30eと厚さ方向に重なる箇所にある袋体16の折り畳み部62A、62Bの変形を促進できる点で有利となる。また、台座シート10の緩衝領域50のある箇所では側面部34A、34Bがないため、その緩衝領域50と厚み方向に重なる箇所において、袋体16の折り畳み部62A、62B(特に、第2折り畳み部62B)を配置し易くなる点で有利となる。
【0059】
図12(A)を参照する。箱体18は、台座シート10と長手方向Yに対向する内側面18fを備える。箱体18は、長手方向Y両側に設けられる対の短辺側面部18gを備え、それぞれの短辺側面部18gの内側に内側面18fが設けられる。
【0060】
箱体18の内部には、台座シート10の緩衝領域50の潰れ変形を伴い箱体18の内側面18fに台座シート10が長手方向Yに接近しようとしたときに、その内側面18fへの台座シート10の側面部34A、34Bの接近を許容するスペース70が設けられる。このスペース70は、台座シート10の主面部30よりも表側(
図12(A)の紙面手前側)において、台座シート10の側面部34A、34Bに対して長手方向Yに重なる箇所に設けられる。本実施形態では、このスペース70は、台座シート10の厚み方向(
図12(A)の視点)から見て、箱体18の内部における四隅の角部で、かつ、その長手方向Yに対向する箱体18の内側面18fと台座シート10の側面部34A、34Bとの間に設けられる。このスペース70には、袋体16の他には、台座シート10の側面部34A、34Bと長手方向Yに当たることで、箱体18の内側面18fに対する、その側面部34A、34Bの長手方向Yでの接近を拘束する部材が存在しない。ここでの「拘束する部材」とは、箱体18の内部に格納される緩衝部材等をいう。なお、このスペース70には、前述した袋体16の折り畳み部62A、62Bの一部が配置される。
【0061】
この利点を説明する。
図12(B)に示すように、箱体18の内側面18fに台座シート10が長手方向Yに接近することで、箱体18の内側面18fから台座シート10に長手方向Yの衝撃荷重が入力される場合を考える。この場合に、前述のスペース70において、台座シート10の側面部34A、34Bが他部材により拘束されることなく箱体18の内側面18fに対して方向D4に接近できるようになる。ひいては、台座シート10の緩衝領域50が容易に長手方向Yに潰れ変形できるようになる。ここでは台座シート10の緩衝領域50にダブルハッチングを付して示す。
【0062】
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。
【0063】
包装体12により包装される医療器具14は、本体部14a、14bと線状部14c、14dを備えるものに限定するものではない。医療器具14が本体部14a、14bと線状部14c、14dを備える場合、ハンドル等の主本体部14aと、カテーテルシャフト等の主線状部14cのみを備えていてもよい。
【0064】
台座シート10の緩衝領域50は、主面部30の長手方向の中間部に設けられていてもよい。緩衝領域50は、主面部30の長手方向Xの端部30eに設けられる場合、主面部30の外縁部30dにおいて短手方向Xに沿った直線状をなす形状であってもよい。
【0065】
箱体18に格納された台座シート10を折り曲げ状態に維持するうえで、前述した折り曲げ領域52の外寸L52と箱体18の内寸L18に関する寸法条件を満たすことは必須ではない。例えば、台座シート10の側面部34A、34Bと箱体18の長辺側面部18eとの間に緩衝材等のスペーサを配置し、そのスペーサにより台座シート10を折り曲げ状態に維持してもよい。
【0066】
台座シート10の折り曲げ領域52は、保持部36A~36Cにより医療器具14が保持された状態にあるとき、折り曲げ領域52から本体部14a、14bがはみ出るように設けられてもよい。
【0067】
ここまで、包装体12の各構成要素の位置関係を説明するうえで、台座シート10の短手方向X及び長手方向Yを用いて説明した。ここまで説明した事項に関して、「短手方向X」を「第1方向」に置き換え、「長手方向Y」を「第2方向」に置き換えて捉えてもよい。ここまでの説明は、第1方向が短手方向Xであり、第2方向が長手方向Yである例を説明したと捉えることができる。これに替えて、これら方向を入れ替えた内容、つまり、第1方向を長手方向Yとし、第2方向を短手方向Xとした内容も本開示の範囲に含まれる。例えば、台座シート10は、主面部と、主面部に対して罫線部を挟んで長手方向Y(第1方向)に隣り合う側面部とを備えてもよいということである。この場合、短手方向X(第2方向)で最も外側にある罫線部の最外端部が、短手方向Xで同じ側にある主面部の最外端よりも短手方向X内側にあればよいということである。
【0068】
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。実施形態及び変形形態において言及している構造、数値には、寸法誤差等の製造誤差等を考慮すると同一とみなすことができるものも当然に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10…台座シート、12…包装体、14…医療器具、14a…本体部、14c…線状部、16…袋体、18…箱体、30…主面部、30a…平面部、30b…罫線部、30c…最外端、32…罫線部、32a…最外端部、34A、34B…側面部、36A…保持部、50…緩衝領域、52…折り曲げ領域、60…収容部、62A,62B…折り畳み部。