(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】筐体およびこれを備えた香味吸引器
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20250106BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20250106BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2023095283
(22)【出願日】2023-06-09
(62)【分割の表示】P 2023045003の分割
【原出願日】2018-10-26
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】塚本 恒二
(72)【発明者】
【氏名】三井 健雄
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-525237(JP,A)
【文献】特開2013-189013(JP,A)
【文献】特表2016-534730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
香味吸引器であって、
喫煙物品を加熱する発熱体
と、
前記発熱体を収容可能な第1筐体と、
前記第1筐体を取り囲む第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体との間の少なくとも一部に設けられ
た熱拡散部材と、を備え、
前記発熱体は、
柱状の喫煙物品を収容可能な内側管と、
前記内側管の外周面に配置され、前記喫煙物品を径方向の外側から加熱する加熱部材と、を有し、
前記第1筐体と前記第2筐体との間に前記熱拡散部材が設けられた領域において、前記発熱体、前記熱拡散部材、空気層、前記第2筐体がこの順に配置されている、
香味吸引器。
【請求項2】
請求項1に記載の
香味吸引器であって、
前記第1筐体および前記第2筐体は、樹脂製である
香味吸引器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の
香味吸引器であって、
前記熱拡散部材は、前記第1筐体の外部表面に接触する第1面と、前記第1面の反対側を向いた第2面と、を有し、前記第2面は、前記第2筐体の内部表面から離間している
香味吸引器。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の
香味吸引器であって、
前記第1筐体と前記第2筐体との間に前記熱拡散部材が設けられていない領域において、前記第1筐体の外部表面と前記第2筐体の内部表面とは、互いに接触している
香味吸引器。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の
香味吸引器であって、
前記第1筐体の外部表面および前記第2筐体の内部表面の少なくとも一方には、前記熱拡散部材を設けるための凹部が形成されている
香味吸引器。
【請求項6】
請求項5に記載の
香味吸引器であって、
前記凹部の深さは、前記熱拡散部材の厚さと等しいか、またはそれよりも大きい
香味吸引器。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の
香味吸引器であって、
前記発熱体は、柱形状を有し、
前記熱拡散部材は、前記発熱体の長手方向に沿って前記発熱体をみたときに、前記発熱体の全長を覆い、かつ前記発熱体の全長よりも長い範囲にわたって設けられている
香味吸引器。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の
香味吸引器であって、
前記熱拡散部材は、グラファイト製、アルミ製および銅製の少なくとも1つである
香味吸引器。
【請求項9】
請求項8に記載の
香味吸引器であって、
前記熱拡散部材は、グラファイト製であり、
前記熱拡散部材の前記第2筐体側の面には、保護部材が設けられている
香味吸引器。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の
香味吸引器であって、
前記第1筐体の熱伝導率および前記第2筐体の熱伝導率のうち、大きい方の熱伝導率(RA)に対する前記熱拡散部材の熱伝導率(RB)の比(RB/RA)は、2750以上20000以下である
香味吸引器。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の
香味吸引器であって、
前記熱拡散部材は、前記発熱体の外部表面の最高温度(T1)と前記第2筐体の外部表面の最高温度(T2)との温度差(T1-T2)が、17度以上27度以下になるように構成されている
香味吸引器。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の
香味吸引器であって、
前記熱拡散部材は、前記第2筐体の外部表面の最高温度(T2)が、43度以上53度以下になるように、前記発熱体および前記第2筐体に対して配置されている
香味吸引器。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の香味吸引器であって、
前記熱拡散部材は、前記第1筐体および前記第2筐体よりも高い熱伝導率を有する
香味吸引器。
【請求項14】
請求項
1から請求項13までのいずれか1項に記載の香味吸引器であって
、
前記発熱体は
、
前記内側管および前記加熱部材を取り囲んで配置されて、前記発熱体の外周面を形成する外側管と、
前記内側管と前記外側管の間の筒状空間に配置された断熱材と、を
さらに有する
香味吸引器。
【請求項15】
請求項14に記載の香味吸引器であって、
前記外側管は、前記発熱体の長手方向に沿って延在する、前記第1筐体の内部表面との接触領域を前記外側管の外周面に含み、
前記熱拡散部材は、前記発熱体の長手方向と直交する方向に、前記接触領域を横切って延在している
香味吸引器。
【請求項16】
請求項
1から請求項15までのいずれか1項に記載の香味吸引器であって、
前記第2筐体の内部表面は、前記熱拡散部材と向かい合った部分領域を有し、
前記第2筐体の外部表面における前記部分領域と対応する領域は、使用者が手で保持できるように構成されている
香味吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体およびこれを備えた香味吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味を吸引するための香味吸引器が知られている。このような香味吸引器として、例えば、ほぼ円筒形の加熱器を実質的に取り囲み、外部表面を有し、断熱材料で作られた絶縁ジャケットであって、外部表面の温度が40度未満のままであるように選択された厚みを有する絶縁ジャケットを含む点火器を用いた無煙シガレットシステムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新たな構造を有する筐体および香味吸引器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、筐体が提供される。この筐体は、発熱体を収容可能な第1筐体と、第1筐体を取り囲む第2筐体と、第1筐体と第2筐体との間の少なくとも一部に設けられ、第1筐体および第2筐体よりも高い熱伝導率を有する熱拡散部材と、を備える。
【0006】
本発明の他の一実施形態によれば、上記筐体を備えた香味吸引器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本実施形態に係る香味吸引器の全体斜視図である。
【
図1B】喫煙物品を保持した状態の本実施形態に係る香味吸引器の全体斜視図である。
【
図3】
図1Aに示した矢視3-3における断面図である。
【
図5】アウタハウジングが取り外された状態を示す香味吸引器の分解斜視図である。
【
図8】発熱体、インナハウジング、熱拡散シートおよびアウタハウジングの関係を模式的に示す側面図である。
【
図10】熱拡散シートが設けられたインナハウジングを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一のまたは相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0009】
図1Aは、本実施形態に係る香味吸引器の全体斜視図である。
図1Bは、喫煙物品を保
持した状態の本実施形態に係る香味吸引器の全体斜視図である。本実施形態に係る香味吸引器10は、例えば、エアロゾル源を含んだ香味源を有する喫煙物品110を加熱することで、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。
【0010】
図1Aおよび
図1Bに示すように、香味吸引器10は、トップハウジング11Aと、ボトムハウジング11Bと、カバー12と、スイッチ13と、蓋部14と、を有する。トップハウジング11Aとボトムハウジング11Bとは、互いに接続されることで、香味吸引器10の最外のアウタハウジング11(第2筐体)を構成する。アウタハウジング11は、使用者の手に収まるようなサイズである。使用者が香味吸引器10を使用する際は、香味吸引器10を手で保持して、香味を吸引することができる。
【0011】
トップハウジング11Aは、図示しない開口を有し、カバー12は、当該開口を閉じるようにトップハウジング11Aに結合される。
図1Bに示すように、カバー12は、喫煙物品110を挿入可能な開口12aを有する。蓋部14は、カバー12の開口12aを開閉するように構成される。具体的には、蓋部14は、カバー12に取り付けられ、開口12aを閉鎖する第1位置と開口12aを開放する第2位置との間を、カバー12の表面に沿って移動可能に構成される。これにより、蓋部14は、香味吸引器10の内部への喫煙物品110のアクセスを許可または制限することができる。
【0012】
スイッチ13は、香味吸引器10の作動のオンとオフとを切り替えるために使用される。例えば、使用者は、
図1Bに示すように喫煙物品110を開口12aに挿入した状態でスイッチ13を操作することで、図示しない加熱部材に図示しない電源から電力が供給され、喫煙物品110を燃焼させずに加熱することができる。喫煙物品110が加熱されると、喫煙物品110に含まれるエアロゾル源からエアロゾルが蒸発し、エアロゾルに香味源の香味が取り込まれる。使用者は、喫煙物品110の香味吸引器10から突出した部分(
図1Bにおいて図示された部分)を吸引することで、香味を含んだエアロゾルを吸引することができる。なお、本明細書において、香味吸引器10の長手方向とは、喫煙物品110が開口12aに挿入される方向をいう。
【0013】
次に、本実施形態に係る香味吸引器10に使用される喫煙物品110の構成について説明する。
図2は、喫煙物品110の断面図である。
図2に示す実施形態においては、喫煙物品110は、充填物111と、充填物111を巻装する第1の巻紙112と、を含む基材部110Aと、基材部110Aとは反対側の端部を形成する吸口部110Bと、を有する。基材部110Aと吸口部110Bとは、第1の巻紙112とは異なる第2の巻紙113によって連結されている。ただし、第2の巻紙113を省略し、第1の巻紙112を用いて基材部110Aと吸口部110Bとを連結することもできる。
【0014】
図2中の吸口部110Bは、紙管部114と、フィルタ部115と、紙管部114とフィルタ部115との間に配置された中空セグメント部116と、を有する。中空セグメント部116は、例えば、1つまたは複数の中空チャネルを有する充填層と、充填層を覆うプラグラッパーとで構成される。充填層は、繊維の充填密度が高いため、吸引時、空気やエアロゾルは、中空チャンネルのみを流れることになり、充填層内はほとんど流れない。喫煙物品110において、フィルタ部115でのエアロゾル成分の濾過による減少を少なくしたいときに、フィルタ部115の長さを短くして中空セグメント部116で置き換えることは、エアロゾルのデリバリ量を増大させるために有効である。
【0015】
図2中の吸口部110Bは、3つのセグメントから構成されているが、本実施形態において、吸口部110Bは、1つまたは2つのセグメントから構成されていてもよいし、4つまたはそれ以上のセグメントから構成されていてもよい。例えば、中空セグメント部116を省略し、紙管部114とフィルタ部115とを互いに隣接配置して吸口部110B
を形成することもできる。
【0016】
図2に示す実施形態において、喫煙物品110の長手方向の長さは、40mm~90mmであることが好ましく、50mm~75mmであることがより好ましく、50mm~60mmであることがさらに好ましい。喫煙物品110の円周は、15mm~25mmであることが好ましく、17mm~24mmであることがより好ましく、20mm~23mmであることがさらに好ましい。また、喫煙物品110における基材部110Aの長さは20mm、第1の巻紙112の長さは20mm、中空セグメント部116の長さは8mm、フィルタ部115の長さは7mmであってよいが、これら個々のセグメントの長さは、製造適性、要求品質等に応じて、適宜変更できる。
【0017】
本実施形態において、喫煙物品110の充填物111は、所定温度で加熱されてエアロゾルを発生するエアロゾル源を含有し得る。エアロゾル源の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質および/またはそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル源として、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、およびこれらの混合物を挙げることができる。充填物111中のエアロゾル源の含有量は、特に限定されず、十分にエアロゾルを発生するとともに、良好な香喫味の付与の観点から、通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、また、通常50重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
【0018】
本実施形態における喫煙物品110の充填物111は、香味源としてたばこ刻みを含有し得る。たばこ刻みの材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知のものを用いることができる。喫煙物品110における充填物111の含有量の範囲は、円周22mm、長さ20mmの場合、例えば、200mg~400mgであり、250mg~320mgであることが好ましい。充填物111の水分含有量は、例えば、8重量%~18重量%であり、10重量%~16重量%であることが好ましい。このような水分含有量であると、巻染みの発生を抑制し、基材部110Aの製造時の巻上適性を良好にする。充填物111として用いるたばこ刻みの大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20μm~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものを充填物111として用いてもよい。また、充填物111は、1種または2種以上の香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、好ましくはメンソールである。
【0019】
本実施形態において、喫煙物品110の第1の巻紙112および第2の巻紙113は、坪量が例えば20gsm~65gsmであり、好ましくは25gsm~45gsmである原紙から作られることができる。第1の巻紙112および第2の巻紙113の厚みは、特に限定されないが、剛性、通気性、および製紙時の調整の容易性の観点から、10μm~100μmであり、好ましくは20μm~75μmであり、より好ましくは30μm~50μmである。
【0020】
本実施形態において、喫煙物品110の第1の巻紙112および第2の巻紙113には、填料が含まれ得る。填料の含有量は、第1の巻紙112および第2の巻紙113の全重量に対して10重量%~60重量%を挙げることができ、15重量%~45重量%であることが好ましい。本実施形態において、好ましい坪量の範囲(25gsm~45gsm)に対して、填料が15重量%~45重量%であることが好ましい。填料としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等を使用することができる。このような填料を含む紙は、喫煙物品110の巻紙として利用する外観上の観点から好ましい白色系の明
るい色を呈し、恒久的に白さを保つことができる。そのような填料を多く含有させることで、例えば、巻紙のISO白色度を83%以上にすることができる。また、喫煙物品110の巻紙として利用する実用上の観点から、第1の巻紙112および第2の巻紙113は8N/15mm以上の引張強度を有することが好ましい。この引張強度は、填料の含有量を少なくすることで高めることができる。具体的には、上記で例示した各坪量の範囲において示した填料の含有量の上限よりも填料の含有量を少なくすることで、高めることができる。
【0021】
次に、
図1Aおよび
図1Bに示した香味吸引器10の内部構造について説明する。
図3は、
図1Aに示した矢視3-3における断面図である。
図3に示すように、香味吸引器10は、アウタハウジング11およびインナハウジング18(第1筐体)の内部空間に、電源部20と、回路部30と、加熱部40と、を有する。アウタハウジング11およびインナハウジング18については、後述する。回路部30は、第1回路基板31と、第1回路基板31と電気的に接続された第2回路基板32と、を有する。第1回路基板31は、例えば、図示のように長手方向に延びて配置される。これにより、電源部20と加熱部40は、第1回路基板31によって区画される。その結果、加熱部40において発生する熱が電源部20に伝達することが抑制される。
【0022】
第2回路基板32は、トップハウジング11Aと電源部20との間に配置され、第1回路基板31の延在方向と直交する方向に延びる。スイッチ13は、第2回路基板32と隣接して配置される。使用者がスイッチ13を押下したとき、スイッチ13の一部が、第2回路基板32と接触し得る。
【0023】
第1回路基板31および第2回路基板32は、例えばマイクロプロセッサ等を含み、電源部20から加熱部40への電力の供給を制御することができる。これにより、第1回路基板31および第2回路基板32は、加熱部40による喫煙物品110の加熱を制御することができる。
【0024】
電源部20は、第1回路基板31および第2回路基板32に電気的に接続される電源21を有する。電源21は、例えば、充電式バッテリまたは非充電式のバッテリであり得る。電源21は、第1回路基板31および第2回路基板32の少なくとも一方を介して、加熱部40と電気的に接続される。これにより、電源21は、喫煙物品110を適切に加熱するように、加熱部40に電力を供給することができる。また、図示のように、電源21は、加熱部40の長手方向に直交する方向に隣接して配置される。これにより、電源21の大きさを大きくしても、香味吸引器10の長手方向の長さが長くなることを抑制することができる。
【0025】
また、香味吸引器10は、外部電源と接続可能な端子22を有する。端子22は、例えばマイクロUSB等のケーブルと接続することができる。電源21が充電式バッテリである場合は、端子22に外部電源を接続することで、外部電源から電源21に電流を流し、電源21を充電することができる。また、端子22にマイクロUSB等のデータ送信ケーブルを接続することにより、香味吸引器10の作動に関連するデータを外部装置に送信できるようにしてもよい。
【0026】
加熱部40は、図示のように、長手方向に延びる加熱アセンブリ41を有する。加熱アセンブリ41は、複数の筒状の部材から構成され、全体として筒状体をなしている。加熱アセンブリ41は、その内部に喫煙物品110の一部を収納可能に構成され、喫煙物品110へ供給する空気の流路を画定する機能、および喫煙物品110を外周から加熱する機能を有する。
【0027】
ボトムハウジング11Bには、加熱アセンブリ41の内部に空気を流入するための通気口15が形成される。具体的には、通気口15は、加熱アセンブリ41の一端部(
図3における左側の端部)と流体連通する。また、香味吸引器10は、通気口15に着脱自在のキャップ16を有する。キャップ16は、通気口15に取り付けられた状態でも通気口15から加熱アセンブリ41の内部に空気が流入できるように構成され、例えば図示しない貫通孔または切欠き等を有し得る。キャップ16を通気口15に取り付けることで、加熱アセンブリ41内に挿入された喫煙物品110から発生する物質が、通気口15からアウタハウジング11の外部に落下することを抑制することができる。
【0028】
加熱アセンブリ41の他の一端部(
図3における右側の端部)は、
図1Bに示した開口12aと流体連通する。開口12aを有するカバー12と加熱アセンブリ41の他の一端部との間には、略筒状のアウターフィン17が設けられる。喫煙物品110は、
図1Bに示すようにカバー12の開口12aから香味吸引器10の内部に挿入されると、アウターフィン17を通過し、喫煙物品110の一部が加熱アセンブリ41の内部に配置される。このため、アウターフィン17は、加熱アセンブリ41の他の一端部側の開口の大きさより、カバー12側の開口の方が大きくなるように形成されることが好ましい。これにより、喫煙物品110を開口12aからアウターフィン17の内部に挿入し易くなる。また、加熱アセンブリ41の内部に喫煙物品110が挿入されていないときは、使用者は、開口12aからブラシ等の器具を挿入することで、加熱アセンブリ41の内部をクリーニングすることができる。クリーニング用の器具は、加熱アセンブリ41の一端部(
図3における左側の端部)から挿入されることもできる。その場合は香味吸引器10の通気口15からキャップが取り外される。
【0029】
図1Bに示すように喫煙物品110が開口12aから香味吸引器10内に挿入された状態で、使用者が、喫煙物品110の香味吸引器10から突出した部分、即ち
図2に示したフィルタ部115から吸引すると、通気口15から加熱アセンブリ41の内部に空気が流入する。流入した空気は、加熱アセンブリ41の内部を通過して、喫煙物品110から生じるエアロゾルと共に、使用者の口内に到達する。したがって、加熱アセンブリ41の通気口15に近い側は上流側であり、加熱アセンブリ41の開口12aに近い側(アウターフィン17に近い側)は下流側である。
【0030】
次に、
図3に示した加熱アセンブリ41の構成について説明する。
図4は、加熱アセンブリ41の断面図を示す。なお、ここでは、加熱アセンブリ41のうち、喫煙物品110を外周から加熱する発熱体50の構成に絞って説明する。発熱体50は、内側管42と、加熱部材43と、エアロゲル44(断熱材の一例に相当する)と、外側管45と、を有する。内側管42は、喫煙物品110を挿入可能な第1開口42aを一端に有し、且つ空気入口を形成する第2開口42bを他端に有して、喫煙物品110を収容可能に構成される。本実施形態では、内側管42は、柱状であり、第1開口42aから挿入された喫煙物品110の少なくとも一部と接触するように構成される。第2開口42bは、空気流の上流側に位置し、第1開口42aは下流側に位置する。
【0031】
外側管45は、内側管42を取り囲んで配置され、内側管42と外側管45との間に所定の筒状空間が形成される。加熱部材43は、例えば2枚のPI(ポリイミド)等のフィルムで発熱抵抗体を挟み込んで構成される、可撓性のフィルムヒータであり得る。加熱部材43は、内側管42に当接するように配置される。具体的には、図示の例では、加熱部材43が内側管42の外周面に配置され、加熱部材43の内部表面が内側管42の外部表面と接触する。加熱部材43は、内側管42の外周面に沿って配置されるので、全体として略筒状に変形される。
【0032】
エアロゲル44は、内側管42と外側管45との間に形成された筒状空間に配置される
。内側管42と外側管45との間にエアロゲル44が配置されるので、加熱部材43から発生する熱は、外側管45に伝わりにくくなる。また、本実施形態では、加熱部材43から発生する熱を断熱するためにエアロゲル44を採用しているが、これに限らず、他の断熱材を使用してもよいし、内側管42と外側管45との間に形成された筒状空間を真空にして真空断熱空間を構成してもよい。
【0033】
次に、
図3に示したアウタハウジング11およびインナハウジング18の構成について説明する。
図5は、アウタハウジング11が取り外された状態を示す香味吸引器10の分解斜視図である。
図6は、香味吸引器10の断面図である。
図5および
図6において、インナハウジング18は、
図3に示した電源部20と、回路部30と、加熱部40と、を内部空間に格納する。すなわち、インナハウジング18は、加熱アセンブリ41のうち、喫煙物品110を外周から加熱する発熱体50を格納している。アウタハウジング11を構成するトップハウジング11Aおよびボトムハウジング11Bは、インナハウジング18を取り囲んで、インナハウジング18を内部空間に格納する。インナハウジング18とアウタハウジング11との間には、熱拡散シート60(熱拡散部材の一例に相当する)が設けられている。本実施形態においては、インナハウジング18の表面(
図5における手前側の面)および裏面(
図5における奥側の面)に熱拡散シート60が設けられている。
【0034】
インナハウジング18およびアウタハウジング11は、例えば樹脂製であり、特に、ポリカーボネート(PC)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、または複数種類のポリマーを含有するポリマーアロイ等から形成され得る。インナハウジング18およびアウタハウジング11は、同じ材料で作られてもよいし、熱伝導率が異なる別の材料で作られてもよい。さらに、インナハウジング18および/またはアウタハウジング11が複数部品から構成される場合、それら複数部品は、同じ材料で作られてもよいし、熱伝導率が異なる別の材料で作られてもよい。また、熱拡散シート60は、例えばグラファイト製である。以下、
図7を参照しながら、熱拡散シート60の構造について説明する。
図7は、熱拡散シート60を示す側面図である。
図7において、熱拡散シート60は、インナハウジング18の外部表面に接触する第1面60aと、第1面60aの反対側を向いた第2面60bと、を有している。また、熱拡散シート60は、グラファイト材料により形成されたグラファイト層61と、グラファイト層61の一方の面に貼り付けられて第1面60aを形成する両面接着紙62と、グラファイト層61の他方の面に貼り付けられて第2面60bを形成する片面テープ63と、を有する。なお、熱拡散シート60は、例えば厚さ60マイクロメートルのグラファイト材料を3層積層した厚さ180マイクロメートルのグラファイト層61と、両面接着紙62と、片面テープ63と、をあわせて約0.2mmの厚さを有している。また、片面テープ63は、グラファイト層61の第2面60b側の面を保護する保護部材として機能する。また、熱拡散シート60の構造は、上記のものに限定されず、グラファイト層61は2層以下または4層以上であってもよいし、両面接着紙62および/または片面テープ63に代えて他の同等の機能を有する公知のものを用いてもよい。
【0035】
ここで、周囲温度が20℃であるときのインナハウジング18またはアウタハウジング11の熱伝導率は、例えば0.1W/mK~0.8W/mKであり、好ましくは0.1W/mK~0.4W/mkであり、典型的には0.2W/mKである。また、周囲温度が20℃であるときのグラファイト製の熱拡散シート60の熱伝導率は、例えば700W/mK~2000W/mKであり、好ましくは1100W/mK~1500W/mKであり、典型的には1300W/mKである。そこで、インナハウジング18の熱伝導率およびアウタハウジング11の熱伝導率のうち、大きい方の熱伝導率RAに対する熱拡散シート60の熱伝導率RBの比であるRB/RAは、875以上20000以下であり、好ましくは2750以上15000であり、典型的には6500である。なお、インナハウジング18、アウタハウジング11および熱拡散シート60の熱伝導率は、上記のものに限定さ
れず、熱拡散シート60の熱伝導率がインナハウジング18またはアウタハウジング11の熱伝導率よりも高ければよい。また。熱拡散シート60は、グラファイト製に限定されず、アルミや銅といった金属製であってもよい。
【0036】
熱拡散シート60は、発熱体50の外部表面の最高温度T1とアウタハウジング11の外部表面の最高温度T2との温度差であるT1-T2が、例えば17度以上27度以下になるように構成されている。また、熱拡散シート60は、アウタハウジング11の外部表面の最高温度T2が、例えば43度以上53度以下になるように、典型的には48度になるように、発熱体50およびアウタハウジング11に対して配置されている。なお、熱拡散シート60の性能は、上記のものに限定されない。
【0037】
図5および
図6に戻って、熱拡散シート60の第1面60aは、インナハウジング18の外部表面に接触し、熱拡散シート60の第2面60bは、アウタハウジング11の内部表面から離間している。具体的には、インナハウジング18とアウタハウジング11との間に熱拡散シート60が設けられている領域において、熱拡散シート60の第2面60bとアウタハウジング11の内部表面との間には、例えば空気層が形成されている。ただし、この空気層は必須ではなく、熱拡散シート60の第2面60bは、アウタハウジング11の内部表面と接触していてもよい。また、熱拡散シート60は、発熱体50の長手方向、すなわち、香味吸引器10の長手方向に沿って発熱体50をみたときに、発熱体50の全長を覆い、かつ発熱体50の全長よりも長い範囲にわたって設けられている。一方、インナハウジング18とアウタハウジング11との間に熱拡散シート60が設けられていない領域においては、インナハウジング18の外部表面とアウタハウジング11の内部表面とが互いに接触している。なお、外側管45の外周面には、発熱体50の長手方向に沿って延在する、インナハウジング18の内部表面との接触領域45aが形成される。熱拡散シート60は、発熱体50の長手方向と直交する方向に、接触領域45aを横切って延在している。
【0038】
次に、
図8を参照しながら、発熱体50、インナハウジング18、熱拡散シート60およびアウタハウジング11との位置関係について説明する。
図8は、発熱体50、インナハウジング18、熱拡散シート60およびアウタハウジング11の関係を模式的に示す側面図である。
図8において、熱拡散シート60の第2面60bとアウタハウジング11の内部表面との間には、例えば空気層等の隙間が形成されている。また、熱拡散シート60は、発熱体50の長手方向長さよりも長い範囲にわたって設けられている。ここで、アウタハウジング11の内部表面は、熱拡散シート60と向かい合った部分領域11cを有し、アウタハウジング11の外部表面における部分領域11cと対応する領域11dは、使用者が手で保持できるように構成されている。
【0039】
次に、
図9および
図10を参照しながら、インナハウジング18と熱拡散シート60との関係について説明する。
図9は、インナハウジング18を示す側面図である。
図10は、熱拡散シート60が設けられたインナハウジング18を示す側面図である。
図9および
図10において、インナハウジング18の外部表面には、熱拡散シート60を設けるための凹部18aが形成されている。また、凹部18aの深さは、熱拡散シート60の厚さと等しいか、またはそれよりも大きくなるように構成されている。具体的には、凹部18aの深さdに対する熱拡散シート60の厚さtの比であるt/dが、0.9以上1.0以下になるように構成されている。すなわち、凹部18aから熱拡散シート60がはみ出さないようになっている。なお、
図9および
図10に示したインナハウジング18の反対側の面にも、同様の凹部が形成されている。なお、凹部は、インナハウジング18に形成されるものに限定されず、アウタハウジング11の内部表面に形成されてもよいし、インナハウジング18およびアウタハウジング11の両方に形成されてもよい。
【0040】
上記構成の香味吸引器10によれば、発熱体50と、発熱体50を格納するインナハウジング18と、インナハウジング18を格納するアウタハウジング11と、インナハウジング18とアウタハウジング11との間の少なくとも一部に設けられ、インナハウジング18およびアウタハウジング11よりも高い熱伝導率を有する熱拡散シート60と、を備えている。そのため、発熱体50から発生した熱を熱拡散シート60によって拡散させることができ、筐体が局所的に熱くなることを防止することができる。また、香味吸引器10をインナハウジング18およびアウタハウジング11の二重構造とすることにより、香味吸引器10の防水性能を向上させることができる。また、香味吸引器10のハウジングを一重にした場合には、内部部品の固定構造と外装部品とを一体にすることとなりデザインの制約が大きくなるが、二重構造にすることにより、デザインの制約を解消することができる。
【0041】
また、熱拡散シート60は、インナハウジング18の外部表面に接触する第1面60aと、第1面60aの反対側を向いた第2面60bと、を有し、第2面60bは、アウタハウジング11の内部表面から離間している。そのため、熱拡散シート60がインナハウジング18に設けられ、熱拡散シート60の第2面60bとアウタハウジング11の内部表面との間に空気層が形成されているので、発熱体50から発生した熱を熱拡散シート60によって効率的に拡散させることができ、筐体が局所的に熱くなることをさらに防止することができる。具体的には、フーリエの法則より、熱拡散シート60内部の伝熱量は、温度勾配に比例する。そのため、より発熱体50に近いインナハウジング18側に熱拡散シート60を設置したほうが、高温部(熱源による温度上昇が大きい部分)と低温部(温度上昇が小さい部分)との温度勾配が大きくなり、伝熱量が大きくなる。さらに、断熱部としての空気層を設けることにより、アウタハウジング11の温度を全体的に下げることができる。すなわち、インナハウジング18、熱拡散シート60、空気層、アウタハウジング11の順番に配置することにより、高い熱拡散効果と断熱効果の両方を実現することができる。これに対して、アウタハウジング11に熱拡散シート60を設置し、インナハウジング18、空気層、熱拡散シート60、アウタハウジング11の順番に配置した場合には、空気層の断熱効果により熱拡散シート60の温度勾配が相対的に小さくなるので、熱拡散効果が相対的に小さくなる。さらに、アウタハウジング11に熱拡散シート60を設置する場合には、アウタハウジング11がトップハウジング11Aおよびボトムハウジング11Bに分離しているので、熱拡散シート60も分離することとなる。すなわち、インナハウジング18に熱拡散シート60を設置する場合と同じ面積でアウタハウジング11に熱拡散シート60を設置しようとすると、トップハウジング11A側とボトムハウジング11B側とで熱拡散シート60を分離して設置することとなる。インナハウジング18に熱拡散シート60を設置する場合には、熱拡散シート60を分離することなく広い面積に設置することができる。
【0042】
また、発熱体50は、柱形状を有し、熱拡散シート60は、発熱体50の長手方向に沿って発熱体50をみたときに、発熱体50の全長を覆い、かつ発熱体50の全長よりも長い範囲にわたって設けられている。また、外側管45は、発熱体50の長手方向に沿って延在する、インナハウジング18の内部表面との接触領域45aを外側管45の外周面に含み、熱拡散シート60は、発熱体50の長手方向と直交する方向に、接触領域45aを横切って延在している。そのため、発熱体50を覆うように熱拡散シート60を配置したので、発熱体50から発生した熱を熱拡散シート60によって効率的に拡散させることができ、筐体が局所的に熱くなることをさらに防止することができる。
【0043】
また、インナハウジング18とアウタハウジング11との間に熱拡散シート60が設けられていない領域において、インナハウジング18の外部表面とアウタハウジング11の内部表面とは、互いに接触している。そのため、アウタハウジング11をインナハウジング18に対して確実に固定することができる。
【0044】
また、インナハウジング18およびアウタハウジング11は、例えば樹脂製である。熱拡散シート60は、例えばグラファイト製である。また、インナハウジング18の熱伝導率およびアウタハウジング11の熱伝導率のうち、大きい方の熱伝導率RAに対する熱拡散シート60の熱伝導率RBの比であるRB/RAは、875以上20000以下であり、好ましくは2750以上15000であり、典型的には6500である。熱拡散シート60は、発熱体50の外部表面の最高温度T1とアウタハウジング11の外部表面の最高温度T2との温度差であるT1-T2が、例えば17度以上27度以下になるように構成されている。また、熱拡散シート60は、アウタハウジング11の外部表面の最高温度T2が、例えば43度以上53度以下になるように、発熱体50およびアウタハウジング11に対して配置されている。そのため、発熱体50から発生した熱を熱拡散シート60によって拡散させることができ、筐体が局所的に熱くなることを防止することができる。具体的には、発明者らによる実験の結果、周囲温度が25℃である環境下において、発熱体50の表面温度が約70度である場合に、発熱体50の表面から2.5mm離れた位置におけるアウタハウジング11の表面温度のピーク値が、約48度になった。なお、熱拡散シート60を用いない場合には、発熱体50の表面から2.5mm離れた位置におけるアウタハウジング11の表面温度のピーク値は、約60度であった。すなわち、アウタハウジング11の表面が局所的に高温化することを防止することができる。また、熱拡散シート60が導電性体であったとしても、樹脂であるインナハウジング18およびアウタハウジング11に熱拡散シート60が挟まれる構造であることから、基板がショートすることを防止することができる。
【0045】
また、インナハウジング18の外部表面およびアウタハウジング11の内部表面の少なくとも一方には、熱拡散シート60を設けるための凹部18aが形成されている。また、凹部18aの深さは、熱拡散シート60の厚さと等しいか、またはそれよりも大きくなるように構成されている。具体的には、凹部18aの深さdに対する熱拡散部材の厚さtの比t/dは、0.9以上1.0以下である。そのため、発熱体50から発生した熱を熱拡散シート60によって拡散させて、筐体が局所的に高温化することを防止するとともに、インナハウジング18またはアウタハウジング11が厚くなり、香味吸引器10が大型化することを防止することができる。
【0046】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、および明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書および図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【0047】
以下に本明細書が開示する形態のいくつかを記載しておく。
【0048】
第1形態によれば、発熱体を収容可能な第1筐体と、第1筐体を取り囲む第2筐体と、第1筐体と第2筐体との間の少なくとも一部に設けられ、第1筐体および第2筐体よりも高い熱伝導率を有する熱拡散部材と、を備えた筐体が提供される。
【0049】
第2形態によれば、第1形態の筐体において、第1筐体および第2筐体は、樹脂製である。
【0050】
第3形態によれば、第1形態または第2形態の筐体において、熱拡散部材は、第1筐体の外部表面に接触する第1面と、第1面の反対側を向いた第2面と、を有し、第2面は、第2筐体の内部表面から離間している。
【0051】
第4形態によれば、第1形態から第3形態までのいずれかの筐体において、第1筐体と
第2筐体との間に熱拡散部材が設けられていない領域において、第1筐体の外部表面と第2筐体の内部表面とは、互いに接触している。
【0052】
第5形態によれば、第1形態から第4形態までのいずれかの筐体において、第1筐体の外部表面および第2筐体の内部表面の少なくとも一方には、熱拡散部材を設けるための凹部が形成されている。
【0053】
第6形態によれば、第5形態の筐体において、凹部の深さは、熱拡散部材の厚さと等しいか、またはそれよりも大きい。
【0054】
第7形態によれば、第1形態から第6形態までのいずれかの筐体において、発熱体は、柱形状を有し、熱拡散部材は、発熱体の長手方向に沿って発熱体をみたときに、発熱体の全長を覆い、かつ発熱体の全長よりも長い範囲にわたって設けられている。
【0055】
第8形態によれば、第1形態から第7形態までのいずれかの筐体において、熱拡散部材は、グラファイト製、アルミ製および銅製の少なくとも1つである。
【0056】
第9形態によれば、第8形態の筐体において、熱拡散部材は、グラファイト製であり、
熱拡散部材の第2筐体側の面には、保護部材が設けられている。
【0057】
第10形態によれば、第1形態から第9形態までのいずれかの筐体において、第1筐体の熱伝導率および第2筐体の熱伝導率のうち、大きい方の熱伝導率(RA)に対する熱拡散部材の熱伝導率(RB)の比(RB/RA)は、2500以上16000以下である。
【0058】
第11形態によれば、第1形態から第10形態までのいずれかの筐体において、熱拡散部材は、発熱体の外部表面の最高温度(T1)と第2筐体の外部表面の最高温度(T2)との温度差(T1-T2)が、17度以上27度以下になるように構成されている。
【0059】
第12形態によれば、第1形態から第11形態までのいずれかの筐体において、熱拡散部材は、第2筐体の外部表面の最高温度(T2)が、43度以上53度以下になるように、発熱体および第2筐体に対して配置されている。
【0060】
第13形態によれば、第1形態から第12形態までのいずれかの筐体を備えた香味吸引器が提供される。
【0061】
第14形態によれば、第13形態の香味吸引器において、発熱体は、柱状の喫煙物品を収容可能な内側管と、内側管の外周面に配置され、喫煙物品を径方向の外側から加熱する加熱部材と、内側管および加熱部材を取り囲んで配置されて、発熱体の外周面を形成する外側管と、内側管と外側管の間の筒状空間に配置された断熱材と、を有する。
【0062】
第15形態によれば、第14形態の筐体において、外側管は、発熱体の長手方向に沿って延在する、第1筐体の内部表面との接触領域を外側管の外周面に含み、熱拡散部材は、発熱体の長手方向と直交する方向に、接触領域を横切って延在している。
【0063】
第16形態によれば、第13形態から第15形態までのいずれかの香味吸引器において、第2筐体の内部表面は、熱拡散部材と向かい合った部分領域を有し、第2筐体の外部表面における部分領域と対応する領域は、使用者が手で保持できるように構成されている。
【符号の説明】
【0064】
10…香味吸引器
11…アウタハウジング
18…インナハウジング
42…内側管
43…加熱部材
44…エアロゲル
45…外側管
50…発熱体
60…熱拡散シート
60a…第1面
60b…第2面
61…グラファイト層
62…両面接着紙
63…片面テープ
11A…トップハウジング
11B…ボトムハウジング