(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】死角検出制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023175410
(22)【出願日】2023-10-10
【審査請求日】2024-02-06
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】322007626
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートナマス・モビリティ・ジャーマニー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダン・パーキン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヒョンジュン
(72)【発明者】
【氏名】嶋津 裕己
(72)【発明者】
【氏名】福田 純也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 宏次
【審査官】宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-233864(JP,A)
【文献】特開2009-231938(JP,A)
【文献】特開2009-211557(JP,A)
【文献】特開2018-101295(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0128138(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両とともに使用するための死角検出制御装置(10)であって、
前記車両の死角ゾーンにおいて検出サイクル中に検出された物体が警報対象物であるかどうかを判定するための判定手段(20)であって、前記死角ゾーンにおいて検出された前記物体が警報対象物であると前記判定手段(20)が判定したことに基づいて、前記車両の運転者に、前記死角ゾーンに物体が存在することを警告する警告手段(30)に判定の結果を出力するための判定手段(20)を備え、
前記判定手段(20)は、現在の検出サイクル中に前記死角ゾーンにおいて検出された現在の対象物に関する検出パラメータを、少なくとも前の検出サイクル中に前記死角ゾーンにおいて検出された対象物に対応する基準移動物に関する検出パラメータと比較することによって、前記死角ゾーンにおいて検出された物体が警報対象物であるかどうかを判定するように構成される、死角検出制御装置(10)。
【請求項2】
前記判定手段(20)は、前記車両に対する、前記対象物および前記基準移動物の位置座標の差および/または前記車両に対する、前記対象物および前記基準移動物の相対速度の差に基づいて、前記現在の対象物に関する前記検出パラメータを前記基準移動物に関する前記検出パラメータと比較するように構成される、請求項1に記載の死角検出制御装置(10)。
【請求項3】
前記判定手段(20)は、前記現在の対象物に関する前記検出パラメータと、前記位置座標および/または相対速度に関して1つまたは複数の所定の条件を充足する前記基準移動物に関する前記検出パラメータとの比較に基づいて、前記現在の対象物を警報対象物であると判定するように構成される、請求項2に記載の死角検出制御装置(10)。
【請求項4】
前記判定手段(20)は、以下の条件、すなわち、
Abs(DistX-DistXref)<DistX_Thresh、
Abs(DistY-DistYref)<DistY_Thresh、
Abs(VrelX-VrelXref)<VrelX_Thresh、
Abs(VrelY-VrelYref)<VrelY_Thresh、
が充足されることに基づいて、前記現在の対象物を警報対象物であると判定するように構成され、ここで、
DistXは、前記車両に対する前記対象物のX位置であり、
DistYは、前記車両に対する前記対象物のY位置であり、
DistXrefは、前記車両に対する前記基準移動物のX位置であり、
DistYrefは、前記車両に対する前記基準移動物のY位置であり、
VrelXは、前記車両に対する前記対象物のX相対速度であり、
VrelYは、前記車両に対する前記対象物のY相対速度であり、
VrelXrefは、前記車両に対する前記基準移動物のX相対速度であり、
VrelYrefは、前記車両に対する前記基準移動物のY相対速度であり、
DistX_
Threshは、X位置差分のしきい値であり、
DistY_
Threshは、Y位置差分のしきい値であり、
VrelX_
Threshは、X速度差分のしきい値であり、
VrelY_
Threshは、Y速度差分のしきい値である、請求項3に記載の死角検出制御装置(10)。
【請求項5】
基準移動物が、現在、設定されていないことと、前記死角ゾーンにおける物体の存在を前記運転者に対して前記警告手段に警告させるためのトリガが設定されていることとに基づいて、前記死角ゾーンにおいて現在の検出サイクル中に検出された現在の対象物を前記基準移動物として設定し、および/または、
前記基準移動物が、現在、設定されているが前記死
角ゾーンにおいて検出されていないことと、前記現在の対象物が前の検出サイクルにおいて警報対象物であると判定されたこととに基づいて、現在の検出サイクルにおいて前記死角ゾーンにおいて検出された現在の対象物を前記基準移動物として設定し、および/または、
前記基準移動物が前記死
角ゾーンにおいて、現在、検出されていないことと、前の検出サイクルにおいて警報対象物であると判定された現在の対象物が存在しないことと、現在時刻と前記基準移動物が前記死
角ゾーンから出たことが検出された時刻との差が所定のしきい値を超えていることとに基づいて、前記基準移動物の前記設定を初期化する、ように構成される基準移動物設定/更新手段(40)をさらに備える、請求項1~4のいずれかに記載の死角検出制御装置(10)。
【請求項6】
基準移動物設定/更新手段(40)は、前記基準移動物が前記死
角ゾーンにおいて、現在、検出されていないことと、前の検出サイクルにおいて警報対象物であると判定された現在の対象物がないことと、前記現在時刻と前記基準移動物が前記死
角ゾーンから出たことが検出された前記時刻との前記差が前記所定のしきい値よりも小さいこととに基づいて、前記設定された基準移動物を維持するように構成される、請求項5に記載の死角検出制御装置(10)。
【請求項7】
車両のための運転者支援システム(1)であって、
検出サイクル中に前記車両の死角ゾーンにおいて物体を検出するための検出手段(60)と、
請求項
1に記載の死角検出
制御装置(10)と、
前記死角ゾーンにおいて検出された前記物体が警報対象物であると前記死角検出
制御装置(10)の前記判定手段(20)が判定したことに基づいて、前記死角ゾーンに物体が存在することを前記車両の運転者に警告するための警告手段(30)と、を備える、運転者支援システム(1)。
【請求項8】
前記警告手段(30)は、前記死角ゾーンにおいて検出された前記物体が警報対象物であると前記判定手段(20)が判定したことに基づいて、前記車両の運転者に、前記死角ゾーンに物体が存在することを警告するように構成され、および/または、タイマTが0を超える限り、警告が維持されるように保ち、前記タイマTは、以下の関数、すなわち、
T=MIN(T
MAX,MAX(T,TTC))-T
cycle
に基づいて更新され、ここで、
TTCは、警報対象物が警告ゾーンを出るまでの時間であり、
Tは、タイマ長であり、
T
MAXは、タイマ長の最大しきい値であり、
T
cycleは、検出サイクルの時間長である、請求項7に記載の運転者支援システム(1)。
【請求項9】
車両の死角検出を制御するためのコンピュータ実装方法であって、以下のステップ、すなわち、
前記車両の死角ゾーンにおいて検出サイクル中に検出された物体が警報対象物であるかどうかを判定するステップと、前記死角ゾーンにおいて検出された前記物体が警報対象物であると判定したことに基づいて、前記死角ゾーンに物体が存在することを前記車両の運転者に警告するための判定の結果を出力するステップとを含み、
現在の検出サイクル中に前記死角ゾーンにおいて検出された現在の対象物に関する検出パラメータを、少なくとも前の検出サイクル中に前記死角ゾーンにおいて検出された対象物に対応する基準移動物に関する検出パラメータと比較することによって、前記死角ゾーンにおいて検出された物体が警報対象物であるかどうかが判定される、コンピュータ実装方法。
【請求項10】
命令を含むコンピュータ
のプログラムであって、前記命令は、前記プログラムが
前記コンピュータによって実行されると、請求項9に記載のコンピュータ実装方法を前記コンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のコンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の死角検出制御装置および方法に関する。さらに、本発明は、そのような死角検出制御装置を備える車両のための運転者支援システムと、死角検出方法を実行するための対応するコンピュータプログラムと、それぞれのコンピュータ可読媒体とに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用の従来の運転者支援システムまたは先進運転支援システム(ADAS)は、例えば、従来の車両ならびに自動運転車両に関連して広く使用されている。
【0003】
多くの車両事故は、ヒューマンエラーによって引き起こされ、それらはそのような先進運転支援システム(ADAS)によって回避されたかもしれない。一般的に知られている安全上、重要なADASの用途は、例えば、歩行者の検出/回避、車線逸脱の警告/修正、交通標識の認識、自動緊急ブレーキおよび死角検出を含む。長距離レーダは、通常、緊急ブレーキアシストおよびアダプティブクルーズコントロールのような用途に使用されるが、短距離レーダは、死角検出(BSD)、後方交差交通警報および車線変更支援のような用途に関連して使用されることが多い。
【0004】
死角検出に関しては、複数の視覚ベースのアルゴリズムが、制御装置で運転者が直接見ることができない車両の周囲のエリアである、いわゆる死角の監視において車両の運転者を支援するために使用される。
【0005】
換言すれば、死角は、(サイドミラーが車両上で適切に調整されることを期待して)前方を見ている間、またはバックミラーもしくはサイドミラーのいずれかを通して見ることができない道路のエリアである。最も一般的なのは、車両の両側の後方に向かうエリアである後方の4分の1の死角である。これらの死角に入る道路の隣接車線の車両は、自動車のミラーだけでは見えない場合がある。
【0006】
一般的に知られている死角検出システムは、センサを使用して、他の方法では取得することが困難または不可能である重要な情報を運転者に提供する。例えば、死角検出システムに関連して、短距離レーダセンサまたはカメラセンサを使用することができる。いくつかのシステムは、運転者が占有車線内に移動しようとするときなど、運転者の死角内の物体を検出したときに警報を鳴らす。死角検出システムは、このエリアを監視することができる。センサは、対象車両/自車両の後方および隣の道路エリアを監視し、隙間がないか、または他の車両のような物体があるにもかかわらず、車線から出ようとしている場合に警告する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、BSDシステムの機能は、他の車両のような移動物体がBSDゾーン/エリア内にあるときに運転者に警告することであるが、場合によっては、BSDゾーン内の移動物体が(BSDシステムが設けられている)自車両/対象車両と同様の速度で移動するとき、静的物体と間違えられることがあり、この誤検出のために警告が誤って停止される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による死角検出制御装置は、車両とともに使用するためのものであり、(自/対象)車両の死角ゾーンにおいて検出サイクル中に検出された物体が警報対象物であるかどうかを判定するための判定手段であって、死角ゾーンにおいて検出された物体が警報対象物であると判定手段が判定したことに基づいて、(自/対象)車両の運転者に、死角ゾーンに物体が存在することを警告する警告手段に判定の結果を出力するための判定手段を備え、判定手段は、現在の検出サイクル中に死角ゾーンにおいて検出された現在の対象物に関する検出パラメータを、少なくとも前の検出サイクル中に死角ゾーンにおいて検出された対象物に対応する基準移動物に関する検出パラメータと比較することによって、死角ゾーンにおいて検出された物体が警報対象物であるかどうかを判定するように構成される。
【0009】
本発明による死角検出制御装置によれば、検出された物体が死角検出ゾーンを出る/出たとしても、警報対象と判定されれば、死角検出警告を出力し続けることができる。これは、対象物が警報対象と判定された場合、タイマが設定され、一定期間が経過している限り、警告が出力されるからである。
【0010】
例えば、対象物は、その位置および速度が基準移動物の位置および速度と類似している場合、すなわち、現在、検出された物体の検出パラメータと基準移動物の検出パラメータとの比較によって、警報対象物であると判定することができる。このため、現在、検出されている対象物が、最初は静止物体であると判定される可能性があったとしても、その位置や速度が基準移動物と類似していれば、警報対象であると判定される。
【0011】
換言すれば、対象物が警報対象物であると判定された場合、例えば、少なくとも前の検出サイクル中に死角ゾーン/エリアにおいて検出された対象物が基準移動物に設定されている場合、基準移動物は、死角検出ゾーンから出たとしても、一定期間、保たれる。基準移動物は、一定期間が経過した後にのみ初期化/削除される。基準移動物が保持され、基準移動物と類似する(新たなまたは同一の)対象物が発見される限り、死角検出警告が出力され続ける。
【0012】
基準移動物の設定および更新については、最初に死角検出警告が正しく作動されれば、現在、検出されている対象物を基準移動物として設定する。基準移動物が死角検出ゾーンから消えたまたは出た後の一定時間期間内に、設定された基準移動物と類似する識別または検出された警報対象が残っている場合、その対象物を新たな基準移動物として設定することができ、そうでない場合、基準移動物を初期化する、すなわち消去することができる。これにより、問題のある状況であってもアラーム形式の警告を継続的に出力することができる。したがって、本発明によって達成される有利な効果の1つは、例えば、誤検出を回避することである。
【0013】
本発明による死角検出制御装置は、判定手段が、(自/対象)車両に対する、対象物および基準移動物の位置座標の差および/または(自/対象)車両に対する、対象物および基準移動物の相対速度の差に基づいて、現在の対象物に関する検出パラメータを基準移動物に関する検出パラメータと比較するように構成されるようにさらに構成することができる。
【0014】
さらに、本発明による死角検出制御装置は、判定手段が、現在の対象物に関する検出パラメータと、位置座標および/または相対速度に関して1つまたは複数の所定の条件を充足する基準移動物に関する検出パラメータとの比較に基づいて、現在の対象物を警報対象物であると判定するように構成されるように実装されてもよい。
【0015】
これに関連して、本発明による死角検出制御装置は、判定手段が、以下の条件が充足されることに基づいて、現在の対象物を警報対象物であると判定するように構成されるように実現され得る。
【0016】
Abs(DistX-DistXref)<DistX_Thresh、
Abs(DistY-DistYref)<DistY_Thresh、
Abs(VrelX-VrelXref)<VrelX_Thresh、
Abs(VrelY-VrelYref)<VrelY_Thresh、
ここで、
DistXは、(自/対象)車両に対する対象物のX位置であり、
DistYは、(自/対象)車両に対する対象物のY位置であり、
DistXrefは、(自/対象)車両に対する基準移動物のX位置であり、
DistYrefは、(自/対象)車両に対する基準移動物のY位置であり、
VrelXは、(自/対象)車両に対する対象物のX相対速度であり、
VrelYは、(自/対象)車両に対する対象物のY相対速度であり、
VrelXrefは、(自/対象)車両に対する基準移動物のX相対速度であり、
VrelYrefは、(自/対象)車両に対する基準移動物のY相対速度であり、
DistX_Threshは、X位置差分のしきい値であり、
DistY_Threshは、Y位置差分のしきい値であり、
VrelX_Threshは、X速度差分のしきい値であり、
VrelY_Threshは、Y速度差分のしきい値である。
【0017】
また、本発明による死角検出制御装置は、
基準移動物が、現在、設定されていないことと、死角ゾーンにおける物体の存在を運転者に対して警告手段に警告させるためのトリガが設定されていることとに基づいて、死角ゾーンにおいて現在の検出サイクル中に検出された現在の対象物を基準移動物として設定し、および/または、
基準移動物が、現在、設定されているが死角検出ゾーンにおいて検出されていないことと、現在の対象物が前の検出サイクルにおいて警報対象物であると判定されたこととに基づいて、現在の検出サイクルにおいて死角ゾーンにおいて検出された現在の対象物を基準移動物として設定し、および/または、
基準移動物が死角検出ゾーンにおいて、現在、検出されていないことと、前の検出サイクルにおいて警報対象物であると判定された現在の対象物が存在しないことと、現在時刻と基準移動物が死角検出ゾーンから出たことが検出された時刻との差が所定のしきい値を超えていることとに基づいて、基準移動物の設定を初期化/消去する、ように構成される基準移動物設定/更新手段をさらに備えてもよい。
【0018】
また、本発明による死角検出制御装置は、基準移動物設定/更新手段が、基準移動物が死角検出ゾーンにおいて、現在、検出されていないことと、前の検出サイクルにおいて警報対象物であると判定された現在の対象物がないことと、現在時刻と基準移動物が死角検出ゾーンから出たことが検出された時刻との差が所定のしきい値よりも小さいこととに基づいて、設定された基準移動物を維持するように構成されるようにさらに構成されてもよい。すなわち、基準移動物がBSDゾーンを出ても、基準移動物は直ちに消去されない。一定時間が経過した後に初めて、依然としてBSDゾーン外にある基準移動物が消去される。そうではなく、指定された時間がまだ経過していないために基準移動物がまだ設定されている場合、まだ設定されている基準移動物の検出パラメータと類似する検出パラメータを有する対象物が、警報対象物であると検出される可能性があり、これは、設定された基準移動物のパラメータとの比較なしに静止物体として検出される可能性があるが、これは本発明によって防止することができる。
【0019】
本発明による車両のための運転者支援システムは、検出サイクル中に車両の死角ゾーンにおいて物体を検出するための検出手段と、本発明による死角検出装置と、死角ゾーンにおいて検出された物体が警報対象物であると死角検出装置の判定手段が判定したことに基づいて、死角ゾーンに物体が存在することを車両の運転者に警告するための警告手段とを備え得る。検出手段は、死角ゾーン/エリアにおいて物体を検出するために別々にまたは組み合わせて使用されるレーダセンサ、例えば短距離レーダセンサ、および/または、カメラセンサ/画像センサのようなセンサを備えてもよい。例えば、運転者支援システムは、先進運転支援システム(ADAS)、または特に後方横断交通警報(RCTA)システムの一部であってもよい。
【0020】
本発明による運転者支援システムは、さらに、警告手段が、死角ゾーンにおいて検出された物体が警報対象物であると判定手段が判定したことに基づいて、車両の運転者に、死角ゾーンに物体が存在することを警告するように構成され、および/または、タイマTが0を超える限り、警告がオンにされる/維持されるように保ち、タイマTは、以下の関数、すなわち、
T=MIN(TMAX,MAX(T,TTC))-Tcycle
に基づいて更新され、ここで、
TTCは、警報対象物が警告ゾーンを出るまでの時間であり、
Tは、タイマ長であり、
TMAXは、タイマ長の最大しきい値であり、
Tcycleは、検出サイクルの時間長である。
【0021】
警報対象物が検出されない場合(flag_NotStatic==Falseの場合)、タイマTは、プロセスサイクルの時間長、すなわち、以下の式に従って差し引かれる:T=T-Tcycle。この場合、警告手段は、従来の警告処理によって警告をオンに設定したかオフに設定したかにかかわらず、タイマTが0を超えている限り、再び警告をオンに設定するか、警告をオンに保つかのいずれかである。
【0022】
関数T=MIN(TMAX,MAX(T,TTC))-Tcycleに関して、以下が適用される。
【0023】
ステップ1:MAX(T,TTC)は、T>TTCならばTを返し、T<TTCならばTTCを返す。この結果として、より長いTTCが検出された場合、タイマは延長される。
【0024】
ステップ2:T=MIN(Tmax,MAX(T,TTC))は、Tmax<MAX(T,TTC)ならばTmaxを返し、Tmax>MAX(T,TTC)ならばMAX(T,TTC)を返す。したがって、タイマ長はTmaxよりも短く保たれ、長い誤ったBSD警告のリスクを低減する。
【0025】
ステップ3:タイマがタイマとして作用するように、T=T-Tcycleが計算される。この計算は、警報対象が検出されたか否かにかかわらず(「flag_NotStatic==False」または「flag_NotStatic==True」の設定にかかわらず)実行される。
【0026】
本発明による車両の死角検出を制御するためのコンピュータ実装方法は、以下のステップ、すなわち、
車両の死角ゾーンにおいて検出サイクル中に検出された物体が警報対象物であるかどうかを判定するステップと、死角ゾーンにおいて検出された物体が警報対象物であると判定したことに基づいて、死角ゾーンに物体が存在することを車両の運転者に警告するための判定の結果を出力するステップとを含み、
現在の検出サイクル中に死角ゾーンにおいて検出された現在の対象物に関する検出パラメータを、少なくとも前の検出サイクル中に死角ゾーンにおいて検出された対象物に対応する基準移動物に関する検出パラメータと比較することによって、死角ゾーンで検出された物体が警報対象物であるかどうかが判定される。
【0027】
したがって、本発明による死角検出制御装置に関連して説明された特性および利点は、本発明による車両の死角検出を制御するための方法に関して同じまたは同様の方法で生じるが、これは、繰り返しを避けるために、本発明による死角検出制御装置に関するそれぞれの説明を参照する理由である。
【0028】
本発明によるコンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータによって実行されると、本発明によるコンピュータ実装方法をコンピュータに実行させる命令を含む。
【0029】
本発明によるコンピュータ可読媒体は、本発明によるコンピュータプログラムを記憶している。
【発明の効果】
【0030】
本発明の好ましい実施形態および利点は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を読めば、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態による死角検出制御の全体的なプロセスのフローチャートである。
【
図2】
図1の全体的なプロセスによって実行される警報対象判定プロセスのフローチャートである。
【
図3】
図1の全体的なプロセスによって実行される死角検出警告プロセスのフローチャートである。
【
図4】
図2の警報対象判定プロセスによって実行される基準移動物設定/更新プロセスのフローチャートである。
【
図5】
図2の警報対象判定プロセスによって実行される対象物発見プロセスのフローチャートである。
【
図6】本発明による方法を実行するように構成された、本発明による運転者支援システムに設けられた本発明による死角検出制御装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面を参照して、本発明の1つの好ましい実施形態を、ここで例示目的のために具体的に説明する。この実施形態における構成要素または要素は、例としてのみ示され説明されるが、本発明をそれらに限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0033】
図1~
図5を用いて、運転者支援システム1が備える本発明による死角検出制御装置10の動作を詳細に説明する前に、
図6を用いて、本発明による死角検出制御装置10の構成をより詳細に説明する。
【0034】
図6は、両方とも本発明による方法を実行するように構成された、本発明による運転者支援システム1に設けられた本発明による死角検出制御装置10を概略的に示す。
【0035】
運転者支援システム1は、従来の自動車または自動運転車両のような車両のためのものであり、検出手段60と、本発明による死角検出装置10と、警告手段30とを備える。
【0036】
検出手段60は、検出サイクル中に自車両/対象車両の死角ゾーンにおいて他の車両のような物体を検出するように構成される。例えば、検出手段60は、この実施形態では、自車両/対象車両の死角ゾーン/エリア、例えば、運転者支援システム1が配置されている自車両/対象車両の後方および/または側方に位置する死角エリアにおいて他の車両のような物体を検出するための短距離レーダセンサを備える。
【0037】
死角検出制御装置10は、判定手段20を備え、判定手段は、基準移動物設定/更新手段40および対象物発見手段50を備える。
図1~
図5を用いて、すべての構成要素についてより詳細に説明する。
【0038】
図1は、死角検出装置10によって実行され、本発明による死角検出装置10の動作モードを表す、本発明の実施形態による死角検出制御の全体的なプロセスのフローチャートを示す。
【0039】
死角検出装置10の動作を説明するために、まず以下の条件が仮定される。
【0040】
死角検出装置10が配置された自車両/対象車両は、特定のペースで移動し、例えば、特定の速度で前進し、他の車両である対象物が自車両の死角検出エリアに進入し、その結果として、この実施形態では、従来の死角検出警告プロセスによってまず死角検出アラームを作動させる。
【0041】
全体的なプロセスは、死角検出警告(BSD警告)を強制的にオフにするためのものではなく、以下で明らかになるそれぞれの条件が適合した場合にのみBSD警告をオンに保つ。
【0042】
したがって、全体的なプロセスが実行される前に、従来のBSD警告プロセスが実行され、死角検出アラームを作動するかどうかが決定される。以下に見られるように、従来のBSD警告プロセスにおいてBSD警告を作動しない(「bAlarm」は「False」に設定される)と決定された場合でも、タイマTに時間が残っていれば、BSD警告が作動され(すなわち、「bAlarm」はTrueに設定される)、BSD警告の出力が維持される。しかしながら、上述したように、この場合、従来のBSD警告プロセスで死角検出アラームが作動されたと仮定する。
【0043】
図1から分かるように、全体的なプロセスが開始されると、最初のステップS10が実行され、それに従って判定手段20によって警報対象判定プロセスが実行されるが、このプロセスについては、
図2に関連して後述する。
【0044】
続いて、ステップS20が実行され、警告手段30によって、BSD警告し続けるための死角検出警告プロセスが実行されるが、このプロセスについては、
図3に関連して後述する。
【0045】
図1からさらに分かるように、ステップS10で実行される警報対象判定プロセスの結果は、「flag_NotStatic」と名付けられたフラグの形式のデータ構造であり、「True」および「False」の2つの値を取ることができる。フラグ「flag_NotStatic」は、以下に見られるように、死角検出警告プロセスで使用され、前の検出サイクルにおいて、基準物体に類似する対象物が検出された(「True」)か、または検出されなかった(「False」)ことを意味する。
【0046】
図2は、判定手段20によって、
図1の全体的なプロセスで実行される警報対象判定プロセスS10のフローチャートを示す。このプロセスにより、死角検出ゾーン(BSDゾーン)に警報対象があるか否かが判定され、その判定は判定手段20により行われる。
【0047】
警報対象判定プロセスS10が開始されると、まず、基準移動物設定/更新手段40によって基準移動物設定または更新プロセスS11が実行され、これは
図4に関連して後述する。基準移動物設定または更新プロセスS11では、「基準移動物」が設定/更新され、または初期化/消去される。
【0048】
図2からさらに分かるように、S11で実行される基準移動物設定または更新プロセスの結果は、「bRefSet」と名付けられたフラグの形式のデータ構造であり、「True」および「False」の2つの値を取ることができる。フラグ「bRefSet」は、基準移動物が設定される(「True」)か、否か、すなわち初期化/消去される(「False」)かを示すために用いられる。基準移動物が「True」に設定されている場合、BSDゾーンにおいて対象物が検出されており、「False」に設定されている場合、BSDゾーンにおいて対象物が検出されていない。
【0049】
次のステップS12で、基準移動物が設定されているか否か、すなわち「bRefSet」が「True」に設定されているか、それとも「False」に設定されているかが判定される。
【0050】
ステップS12で、基準移動物が設定されていると判定された場合(BRefSet==True)、手順はステップS13に進み、対象物発見プロセスが対象物発見手段50によって実行され、これについては
図5に関連してさらに説明される。
【0051】
ステップS12で、基準移動物が設定されていない、すなわち初期化/消去されていると判定された場合(BRefSet==False)、手順はステップS16に進み、そこで、「flag_NotStatic」と名付けられたフラグの形式のデータ構造が「False」に設定され(flag_NotStatic=False)、これは、基準移動物が設定されていない(「bRefSet==False」)ことの結果、基準移動物に類似する物体が発見されないことを意味する。ステップS16の後、警報対象判定プロセスを終了する。
【0052】
ステップS13で、対象物発見手段50による対象物発見プロセスが実行され、その結果は、警報対象物が発見されたか否かである。そこで、ステップS13で、警報対象物が発見された場合、フラグ「flag_NotStatic」は「True」に設定され、発見されなかった場合「False」に設定される。
【0053】
次のステップS14で、警報対象物がステップS13で発見されたかどうかが判定される。警報対象物が発見された場合、手順はステップS15に進み、フラグ「flag_NotStatic」が「True」に設定されることが確認される。警報対象物が発見されなかった場合、手順は上記のようにステップS16に進み、フラグ「flag_NotStatic」が「False」に設定されることが確認される。その後、手順は終了する。
【0054】
次に、基準移動物設定または更新プロセスが実行される
図2のステップS11について、
図4を用いてさらに説明する。
【0055】
図4は、
図2の警報対象判定プロセスにおいて実行される基準移動物設定または更新プロセスS11のフローチャートを示す。基準移動物設定または更新プロセスS11は、上記で示したように、基準移動物設定/更新手段40によって実行される。
【0056】
図4から分かるように、ステップS111で、フラグ「bRefSet」が「True」に設定されているか否(「False」)か、すなわち基準移動物が設定されているか否かが判定される。
【0057】
「bRefSet」が「True」に設定されていると判定された場合、手順はステップS113に進み、基準移動物が死角検出ゾーン(BSDゾーン)内に存在するか否かが判定され、その検出は検出手段60によって実行される。
【0058】
ステップS113で、基準移動物が死角検出ゾーン内にある(「True」)と判定された場合、基準移動物設定または更新プロセスS11は終了し、現在、設定されている基準移動物はそのままである。
【0059】
基準移動物が死角検出ゾーン内にない(「False」)と判定された場合、手順はステップS114に進む。
【0060】
ステップS114で、フラグ「flag_NotStatic」が「True」に設定されているか否(「False」)かが判定される。フラグ「flag_NotStatic」が「True」に設定されている場合、すなわち、死角検出ゾーンにおいて、前の検出サイクルで基準移動物と類似する対象物が発見された場合、手順はステップS117に進む。
【0061】
ステップS117で、前の検出サイクルで検出された対象物は新たな基準移動物として設定され、フラグ「bRefSet」は「True」に設定される。換言すれば、基準移動物設定/更新手段40は、基準移動物が、現在、設定されているが死角検出ゾーンにおいて検出されず、かつ、前の検出サイクルで警報対象物であると判断された場合、現在の検出サイクルで死角ゾーンにおいて検出された現在の対象物を基準移動物と設定するように構成される。
【0062】
一方、ステップS114で、フラグ「flag_NotStatic」が「True」ではなく「False」に設定されていると判定された場合、手順はステップS115に進み、これは、基準移動物と類似する対象物が前の検出サイクルで発見されなかったことを意味する。
【0063】
ステップS115で、以下の条件が判定される。
【0064】
Tnow-Tref_exit>T0
ここで、Tnowは現在時刻に対応し、Tref_exitは、基準移動物がBSDゾーンから出た/消えた時刻に対応し、T0は、新しい基準移動物を発見するためのしきい値時間に対応する。
【0065】
換言すれば、時点Tnow(これは時点Tref_exitよりも後である)と時点Tref_exitとの差がしきい値T0を超えていれば、すなわち、例えば、特定の時間、物体が検出されていなければ、手順はステップS116に進む(ステップS115の「True」)。
【0066】
ステップS116で、基準移動物設定/更新手段40は、死角検出ゾーンにおいて基準移動物が、現在、検出されておらず、かつ、前の検出サイクルにおいて、現在の対象物が警報対象物であると判定されておらず、かつ、現在時刻と、基準移動物が死角検出ゾーンから出たことが検出された時刻との差が所定のしきい値を超える場合、基準移動物の設定を初期化/消去する。
【0067】
時点Tnowと時点Tref_exitとの差がしきい値T0を超えない場合(ステップS115で「False」)、基準移動物設定または更新プロセスS11を終了し、すなわち、当面、基準移動物はそのまま維持される。
【0068】
換言すれば、基準移動物設定/更新手段40は、死角検出ゾーンにおいて基準移動物が、現在、検出されておらず、かつ、前の検出サイクルにおいて、現在の対象物が警報対象物であると判定されておらず、かつ、現在時刻と、基準移動物が死角検出ゾーンから出たことが検出された時刻との差が所定のしきい値よりも小さい場合、設定された基準移動物を維持する。
【0069】
ステップS111に戻って、フラグ「bRefSet」が「True」ではなく「False」に設定されていると判定された場合、手順はステップS112に進み、そこで、フラグ「bAlarm」が「True」に設定されているか否かが判定され、このフラグは、「True」に設定されていれば、死角検出警告をオンにし、「False」に設定されていれば、死角検出警告をオフにすることを示すためのグローバルフラグである。この場合、物体が従来のBSD警告プロセスにおいて死角検出アラームを正しく作動した場合、「bAlarm」は「True」に設定されるべきである。
【0070】
ステップS112で、「bAlarm」が「True」に設定されていると判定された場合、手順は、上述したステップS117に進む。この場合、基準移動物が設定されておらず、「bAlarm」が「True」に設定されているので、死角検出アラームを最初に作動した対象物が基準移動物に設定される。
【0071】
換言すれば、基準移動物設定/更新手段40は、基準移動物が、現在、設定されておらず、かつ、死角ゾーンに物体が存在することを運転者に対して警告手段に警告させるためのトリガが設定されている場合、死角ゾーンにおいて現在の検出サイクル中に検出された現在の対象物を基準移動物に設定するように構成される。
【0072】
ステップS112で、「bAlarm」が「True」に設定されていない(「False」)と判定された場合、基準移動物設定または更新プロセスS11は終了する。
【0073】
次に、対象物発見プロセスS13について、
図5を用いてより具体的に説明し、これは、
図2の警報対象判定プロセスにおいて対象物発見手段50によって実行される対象物発見プロセスS13のフローチャートを示す。
【0074】
対象物発見プロセスS13が開始されると、まず、ステップS131が実行され、基準移動物が死角検出ゾーンにあるかどうかが判定される。基準移動物が死角検出ゾーンにある場合(ステップS131で「True」)、手順はステップS132に進む。他方、基準移動物が死角検出ゾーンにない場合(ステップS131で「False」)、対象物発見プロセスS13を終了する。
【0075】
ステップS132で、死角検出ゾーンにおいて(新たな)対象物を発見するためのプロセスが、対象物発見手段50によって実行される。本質的に、判定手段20の対象物発見手段50は、車両に対する対象物および基準移動物の位置座標の差と、車両に対する対象物および基準移動物の相対速度の差とに基づいて、現在の対象物に関する検出パラメータを基準移動物に関する検出パラメータと比較する。より詳細には、判定手段20の対象物発見手段50は、現在の対象物に関する検出パラメータと基準移動物に関する検出パラメータとの比較が、位置座標および相対速度に関して2つの所定の条件を充足する場合、現在の対象物を警報対象物であると判定する。
【0076】
より具体的には、(新たな)対象物は、検出された物体(比較される物体)が「位置チェック」および「速度チェック」に関する基準(上記の条件である)を満足する場合に決定され、これらの基準は、より具体的に以下に記載される。
【0077】
位置チェック:
Abs(DistX-DistXref)<DistX_Thresh
Abs(DistY-DistYref)<DistY_Thresh
速度チェック:
Abs(VrelX-VrelXref)<VrelX_Thresh
Abs(VrelY-VrelYref)<VrelY_Thresh
「位置チェック」および「速度チェック」に用いられる式は以下の通りである。
【0078】
Abs(Value):「Value」の絶対値
DistX:自車両/対象車両に対する対象物のX位置、
DistY:自車両/対象車両に対する対象物のY位置、
DistXref:自車両/対象車両に対する基準移動物のX位置、
DistYref:自車両/対象車両に対する基準移動物のY位置、
VrelX:自車両/対象車両に対する対象物のX相対速度、
VrelY:自車両/対象車両に対する対象物のY相対速度、
VrelXref:自車両/対象車両に対する基準移動物のX相対速度、
VrelYref:自車両/対象車両に対する基準移動物のY相対速度、
DistX_Thresh:X位置差分のしきい値、
DistY_Thresh:Y位置差分のしきい値、
VrelX_Thresh:X速度差分のしきい値、
VrelY_Thresh:Y速度差分のしきい値。
【0079】
検出された物体が上記の基準を満足する場合、flag_NotStaticは「True」に設定され、そうでない場合、Flag_NotStaticは「False」に設定される。そして、対象物発見プロセスS13を終了し、手順は上述したように
図2のステップS14に進む。
【0080】
再び
図1に戻り、全体的なプロセスにおいてステップS10を実行した後、手順はステップS20に進み、
図3に示すように、警告手段30により、「flag_NotStatic」を「True」または「False」のいずれかに設定した状態で、死角検出警告プロセスが実行される。
図3は、
図1の全体的なプロセスにおいて警告手段30よって実行される死角検出警告プロセスS20のフローチャートを示す。警告手段30は、判定手段20が、死角ゾーンにおいて検出された物体が警報対象物であると判断した場合に、車両の運転者に、死角ゾーンに物体が存在することを警告するように構成され、および/またはタイマTが0を超える限り、BSD警告をオンにする/維持するように保ち、タイマTは、以下に示す機能に基づいて更新される。換言すれば、例えば、対象物がBSDゾーン/エリアにおいて検出されないので、従来のBSD警告プロセスがBSD警告をオフにする場合、本発明による死角検出警告プロセスは、タイマTが0を超える限り、いずれの場合にもBSD警告をオンに設定する(bAlarm=True)。
【0081】
すなわち、死角検出警告プロセスS20が開始されると、まずステップS21が実行され、flag_NotStaticが「True」に設定されているか否(「False」)かが判定される。flag_NotStaticが「True」に設定されている場合、手順はステップS22に進み、タイマTが更新される。そうでない場合、手順はステップS25に進み、タイマTがプロセスサイクルTcycleの時間長だけ、すなわち、以下の式:T=T-Tcycleに従って差し引かれ、手順はステップS23に進む。換言すれば、警報対象物が検出されない場合(flag_NotStatic==Falseの場合)、タイマTは、プロセスサイクルTcycleの時間長だけ、すなわち式T=T-Tcycleに従って差し引かれる。
【0082】
ステップS22で、以下のようにタイマT更新機能が実行される。
【0083】
T=MIN(TMAX,MAX(T,TTC))-Tcycle
上記のタイマ更新機能では、以下の式が用いられる。
【0084】
TTC:物体が警告ゾーンを出るまでの時間
T:タイマ長、
TMAX:タイマ長の最大しきい値、
Tcycle:プロセスサイクルの時間長
関数T=MIN(TMAX,MAX(T,TTC))-Tcycleに関して、以下が適用される。
【0085】
ステップ1:MAX(T,TTC)は、T>TTCならばTを返し、T<TTCならばTTCを返す。この結果として、より長いTTCが検出された場合、タイマは延長される。
【0086】
ステップ2:T=MIN(Tmax,MAX(T,TTC))は、Tmax<MAX(T,TTC)ならばTmaxを返し、Tmax>MAX(T,TTC)ならばMAX(T,TTC)を返す。したがって、タイマ長はTmaxよりも短く保たれ、長い誤ったBSD警告のリスクを低減する。
【0087】
ステップ3:タイマがタイマとして作用するように、T=T-Tcycleが計算される。この計算は、警報対象が検出されたか否かにかかわらず(「flag_NotStatic==False」または「flag_NotStatic==True」の設定にかかわらず)実行される。タイマTが更新された後、手順はステップS23に進み、タイマTの残り時間が0よりも大きいか否かが判定される。Tが0よりも大きい場合、手順はステップS24に進み、bAlarmが「True」に設定され、これは、対象物が、現在、検出されていない場合に備えて、従来のBSD警告プロセスが死角検出警告をオフにした(bAlarmは「False」に設定された)場合に備えて、死角検出警告をオンにするか、またはオンにしたままに保つことを示す。そうでない場合には、手順はステップS24をスキップして、死角検出警告プロセスS20を終了する。
【0088】
再び
図1に戻り、ステップS20が実行された後、全体的なプロセスが終了し、指定されたサイクルで再度実行される。
【0089】
前述の説明、図面および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個別におよび任意の組合せで本発明を実現するために欠かせないものになり得る。