(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20250106BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
A61B1/045 618
A61B1/045 616
A61B1/00 C
(21)【出願番号】P 2023504996
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2021009679
(87)【国際公開番号】W WO2022190298
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 宏尚
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕也
【審査官】廣崎 拓登
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/012911(WO,A1)
【文献】特開2019-136241(JP,A)
【文献】国際公開第2014/050638(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/133370(WO,A1)
【文献】特開2009-225933(JP,A)
【文献】特開2009-178180(JP,A)
【文献】国際公開第2016/189765(WO,A1)
【文献】特開2006-223481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェアを備えるプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
被検体内を写す撮像画像の評価値を算出し、
前記評価値がメモリに記録された特定の抽出範囲内に含まれるか否かを判定し、
前記抽出範囲内に前記評価値が含まれると判定した場合に、前記撮像画像を病変を含む関心画像として抽出し、
前記評価値に基づき前記抽出範囲を更新
し、
前記抽出範囲は、
第1の基準値と、前記第1の基準値よりも大きい第2の基準値と、により規定される範囲であり、
前記撮像画像は、
内視鏡によって撮像された画像であり、
前記プロセッサは、
前記評価値が前記第1の基準値を上回り、かつ、前記評価値が前記第2の基準値を上回っている場合に、前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定し、
前記内視鏡が特定の臓器に到達したか否かを判定し、前記特定の臓器に到達したと判定した場合に、前記第2の基準値を初期値にリセットする画像処理装置。
【請求項2】
前記関心画像が抽出された旨を報知するアラーム、または、表示するモニタをさらに備え、
前記プロセッサは、
前記撮像画像を前記関心画像として抽出した場合に前記関心画像が抽出された旨を前記アラームに報知させる、または、前記モニタに表示させるように制御する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記撮像画像の特徴量に基づいて、前記評価値を算出する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記撮像画像内の画素毎の画素値に基づいて、前記特徴量を算出する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定した場合に、前記評価値が前記第2の基準値となるように前記抽出範囲を更新する請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
既定時間が経過したか否かを判定し、前記既定時間が経過したと判定した場合に、前記第2の基準値を更新前の初期値にリセットする請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
ユーザ操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記プロセッサは、
前記操作部に対して前記ユーザ操作が行われた場合に、前記第2の基準値を初期値にリセットする請求項
1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記抽出範囲は、
第3の基準値と、前記第3の基準値よりも小さい第4の基準値と、により規定される範囲であり、
前記プロセッサは、
前記評価値が前記第3の基準値を下回り、かつ、前記評価値が前記第4の基準値を下回っている場合に、前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定した場合に、前記評価値が前記第4の基準値となるように前記抽出範囲を更新する請求項
8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
既定時間が経過したか否かを判定し、前記既定時間が経過したと判定した場合に、前記第4の基準値を初期値にリセットする請求項
8に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記撮像画像は、
内視鏡によって撮像された画像であり、
前記プロセッサは、
前記内視鏡が特定の臓器に到達したか否かを判定し、前記特定の臓器に到達したと判定した場合に、前記第4の基準値を初期値にリセットする請求項
8に記載の画像処理装置。
【請求項12】
ユーザ操作を受け付ける操作部をさらに備え、
前記プロセッサは、
前記操作部に対して前記ユーザ操作が行われた場合に、前記第4の基準値を初期値にリセットする請求項
8に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記評価値は、
前記撮像画像の重要度である請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項14】
画像処理装置におけるプロセッサは、被検体内を写す撮像画像の重要度を評価する評価値を算出し、
前記プロセッサは、前記評価値がメモリに記録された特定の抽出範囲に含まれるか否かを判定し、
前記プロセッサは、前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定した場合に、前記撮像画像を病変を含む関心画像として抽出し、
前記プロセッサは、前記評価値に基づき前記抽出範囲を更新し、
前記抽出範囲は、
第1の基準値と、前記第1の基準値よりも大きい第2の基準値と、により規定される範囲であり、
前記撮像画像は、
内視鏡によって撮像された画像であり、
前記プロセッサは、
前記評価値が前記第1の基準値を上回り、かつ、前記評価値が前記第2の基準値を上回っている場合に、前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定し、
前記内視鏡が特定の臓器に到達したか否かを判定し、前記特定の臓器に到達したと判定した場合に、前記第2の基準値を初期値にリセットする画像処理方法。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記撮像画像を前記関心画像として抽出した場合に前記関心画像が抽出された旨をアラームに報知させる、または、モニタに表示させるように表示する請求項
14に記載の画像処理方法。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記撮像画像の特徴量に基づいて、前記評価値を算出する請求項
14に記載の画像処理方法。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記撮像画像内の画素毎の画素値に基づいて、前記特徴量を算出する請求項
16に記載の画像処理方法。
【請求項18】
以下を実行する一時的ではない記録媒体:
被検体内を写す撮像画像の重要度を評価する評価値を算出し、
前記評価値がメモリに記録された特定の抽出範囲に含まれるか否かを判定し、
前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定した場合に、前記撮像画像を病変を含む関心画像として抽出し、
前記抽出範囲は、
第1の基準値と、前記第1の基準値よりも大きい第2の基準値と、により規定される範囲であり、
前記撮像画像は、
内視鏡によって撮像された画像であり、
プロセッサは、
前記評価値が前記第1の基準値を上回り、かつ、前記評価値が前記第2の基準値を上回っている場合に、前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定し、
前記内視鏡が特定の臓器に到達したか否かを判定し、前記特定の臓器に到達したと判定した場合に、前記第2の基準値を初期値にリセットし、
前記評価値に基づき前記抽出範囲を更新する記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲み込み型のカプセル型内視鏡を用いることによって被検体内の撮像画像を取得し、当該撮像画像を医療従事者に観察させる内視鏡システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カプセル型内視鏡によって撮像される撮像画像は、膨大な数である。このため、当該膨大な数の撮像画像の全てを医療従事者に確認させた場合には、被検体の診断に多くの時間が掛かってしまう。
そこで、膨大な数の撮像画像から、一部の撮像画像を関心画像として抽出することが考えられる。ここで、関心画像とは、出血部位や病変部が写り込んだ撮像画像であって、医療従事者による診断を必要とする画像を意味する。すなわち、当該関心画像のみを医療従事者に確認させれば、被検体の診断に多くの時間が掛かることがない。
【0005】
ここで、関心画像を抽出する方法としては、撮像画像毎に、当該撮像画像を関心画像として抽出するための指標である評価値を算出し、当該評価値が特定の閾値を超える撮像画像を関心画像として抽出することが考えられる。しかしながら、当該関心画像を抽出する方法では、時間的に近接し、確認の必要性の低い類似した撮像画像をも関心画像として抽出してしまう、という問題がある。
そこで、医療従事者による確認の必要性の高い関心画像を抽出することができる技術が要望されている。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、医療従事者による確認の必要性の高い撮像画像を関心画像として抽出することができる画像処理装置、画像処理方法、及び記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、ハードウェアを備えるプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
被検体内を写す撮像画像の評価値を算出し、
前記評価値がメモリに記録された特定の抽出範囲内に含まれるか否かを判定し、前記抽出範囲内に前記評価値が含まれると判定した場合に、前記撮像画像を病変を含む関心画像として抽出し、前記評価値に基づき前記抽出範囲を更新し、前記抽出範囲は、第1の基準値と、前記第1の基準値よりも大きい第2の基準値と、により規定される範囲であり、前記撮像画像は、内視鏡によって撮像された画像であり、前記プロセッサは、前記評価値が前記第1の基準値を上回り、かつ、前記評価値が前記第2の基準値を上回っている場合に、前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定し、前記内視鏡が特定の臓器に到達したか否かを判定し、前記特定の臓器に到達したと判定した場合に、前記第2の基準値を初期値にリセットする。
【0008】
また、本発明に係る画像処理方法は、画像処理装置におけるプロセッサは、被検体内を写す撮像画像の重要度を評価する評価値を算出し、前記プロセッサは、前記評価値がメモリに記録された特定の抽出範囲に含まれるか否かを判定し、前記プロセッサは、前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定した場合に、前記撮像画像を病変を含む関心画像として抽出し、前記プロセッサは、前記評価値に基づき前記抽出範囲を更新し、前記抽出範囲は、第1の基準値と、前記第1の基準値よりも大きい第2の基準値と、により規定される範囲であり、前記撮像画像は、内視鏡によって撮像された画像であり、前記プロセッサは、前記評価値が前記第1の基準値を上回り、かつ、前記評価値が前記第2の基準値を上回っている場合に、前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定し、前記内視鏡が特定の臓器に到達したか否かを判定し、前記特定の臓器に到達したと判定した場合に、前記第2の基準値を初期値にリセットする。
【0009】
また、本発明に係る記録媒体は、以下を実行する一時的ではない記録媒体:被検体内を写す撮像画像の重要度を評価する評価値を算出し、前記評価値がメモリに記録された特定の抽出範囲に含まれるか否かを判定し、前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定した場合に、前記撮像画像を病変を含む関心画像として抽出し、前記抽出範囲は、第1の基準値と、前記第1の基準値よりも大きい第2の基準値と、により規定される範囲であり、前記撮像画像は、内視鏡によって撮像された画像であり、プロセッサは、前記評価値が前記第1の基準値を上回り、かつ、前記評価値が前記第2の基準値を上回っている場合に、前記抽出範囲に前記評価値が含まれると判定し、前記内視鏡が特定の臓器に到達したか否かを判定し、前記特定の臓器に到達したと判定した場合に、前記第2の基準値を初期値にリセットし、前記評価値に基づき前記抽出範囲を更新する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムによれば、医療従事者による確認の必要性の高い撮像画像を関心画像として抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システムを示す図である。
【
図4】
図4は、受信装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態2に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態3に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態4に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態5に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施の形態6に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施の形態7に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、実施の形態8に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、実施の形態9に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、実施の形態10に係る受信装置の動作を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、実施の形態1~5の変形例を示す図である。
【
図21】
図21は、実施の形態6~10の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0013】
(実施の形態1)
〔内視鏡システムの概略構成〕
図1は、実施の形態1に係る内視鏡システム1を示す図である。
内視鏡システム1は、飲み込み型のカプセル型内視鏡2を用いて、被検体100内の撮像画像を取得し、当該撮像画像を医療従事者等に観察させるシステムである。
この内視鏡システム1は、
図1に示すように、カプセル型内視鏡2の他、受信装置3と、画像表示装置4とを備える。
【0014】
カプセル型内視鏡2は、被検体100の臓器内部に導入可能な大きさに形成されたカプセル型の内視鏡装置であり、経口摂取等によって被検体100の臓器内部に導入され、蠕動運動党によって臓器内部を移動しつつ、順次、撮像する。そして、カプセル型内視鏡2は、撮像することによって生成した画像データを順次、送信する。
【0015】
受信装置3は、本発明に係る画像処理装置に相当する。この受信装置3は、例えばループアンテナまたはダイポールアンテナ等を用いてそれぞれ構成された複数の受信アンテナ3a~3fのうち少なくとも一つを経由することによって被検体100内のカプセル型内視鏡2からの画像データを受信する。本実施の形態1では、受信装置3は、
図1に示すように、被検体100に携帯された状態で使用される。このような使用態様としたのは、カプセル型内視鏡2を導入している間の被検体100の行動が制約されることを抑制するためである。すなわち、受信装置3は、被検体100内を数時間~十数時間の間、移動しつつ送信される画像データを受信し続ける必要があるが、かかる長時間に亘って被検体100を病院内に留めることとするのは、カプセル型内視鏡2を用いることによる利便性を損なうこととなる。このため、本実施の形態1では、受信装置3を携帯可能な程度に小型化することによってカプセル型内視鏡2を導入している間でも被検体100の行動の自由度を確保し、被検体100の負担を軽減することとしている。
【0016】
なお、受信アンテナ3a~3fは、
図1に示すように被検体100の体表上に配置されていてもよいし、被検体100に着用させるジャケットに配置されていてもよい。また、受信アンテナ3a~3fの数は、1つ以上であればよく、特に6つに限定されない。
なお、受信装置3の詳細な構成については、後述する「受信装置の構成」において説明する。
【0017】
画像表示装置4は、受信装置3から被検体100内の画像データを取得し、取得した画像データに対応する画像を表示するワークステーションとして構成されている。
【0018】
〔受信装置の構成〕
次に、受信装置3の詳細な構成について説明する。
図2及び
図3は、受信装置3を示す図である。
受信装置3は、
図2または
図3に示すように、受信部31(
図3)と、画像処理部32(
図3)と、制御部33(
図3)と、記憶部34(
図3)と、データ送受信部35(
図3)と、操作部36(
図3)と、表示部37とを備える。
【0019】
受信部31は、カプセル型内視鏡2から送信された画像データを、複数の受信アンテナ3a~3fのうち少なくとも一つを経由することによって受信する。
画像処理部32は、受信部31によって受信した画像データ(デジタル信号)に対して、種々の画像処理を実行する。
ここで、当該画像処理としては、オプティカルブラック減算処理、ホワイトバランス調整処理、デジタルゲイン処理、デモザイク処理、色補正マトリクス処理、ガンマ補正処理、RGB信号を輝度信号及び色差信号(Y,Cb/Cr信号)に変換するYC処理等を例示することができる。
【0020】
制御部33は、本発明に係るプロセッサに相当する。この制御部33は、例えばCPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を用いて構成され、記憶部34に記憶されたプログラム(本発明に係る画像処理プログラムを含む)にしたがって、受信装置3全体の動作を制御する。なお、制御部33の機能については、後述する「受信装置の動作」において説明する。
記憶部34は、制御部33が実行するプログラム(本発明に係る画像処理プログラムを含む)、及び当該制御部33の処理に必要な情報を記憶する。また、記憶部34は、カプセル型内視鏡2から順次、送信され、画像処理部32によって画像処理が実行された後の画像データを順次、記憶する。
【0021】
データ送受信部35は、通信インターフェースであり、有線または無線によって、画像表示装置4との間でデータの送受信を行う。例えば、データ送受信部35は、記憶部34に記憶された画像データを画像表示装置4に対して送信する。
操作部36は、ボタン及びタッチパネル等の操作デバイスを用いて構成され、ユーザ操作を受け付ける。そして、操作部36は、当該ユーザ操作に応じた操作信号を制御部33に対して出力する。
【0022】
表示部37は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等を用いて表示ディスプレイで構成され、制御部33による制御の下、画像を表示する。
本実施の形態1では、受信装置3の表示モードは、リアルタイムビューモードと、プレイバックビューモードとの2つの表示モードである。当該2つの表示モードは、操作部36へのユーザ操作によって切り替えられる。
具体的に、リアルタイムビューモードでは、表示部37には、カプセル型内視鏡2から順次、送信され、画像処理部32によって画像処理が実行された後の画像データに基づく画像が順次、表示される。
また、プレイバックビューモードでは、表示部37には、制御部33によって抽出された関心画像が表示される。
【0023】
〔受信装置の動作〕
次に、上述した受信装置3の動作について説明する。当該受信装置3の動作は、本発明に係る画像処理方法に相当する。
図4は、受信装置3の動作を示すフローチャートである。
先ず、受信部31は、カプセル型内視鏡2から送信されたN枚目の画像データ(以下、撮像画像と記載)を受信(取得)する(ステップS1)。また、画像処理部32は、受信部31によって受信したN枚目の撮像画像に対して画像処理を実行する。そして、画像処理が実行された後のN枚目の撮像画像は、記憶部34に記憶される。
【0024】
ステップS1の後、制御部33は、記憶部34に記憶されたN枚目の撮像画像を読み出し、当該N枚目の撮像画像の特徴量を抽出する(ステップS2)。
図5は、ステップS2を説明する図である。具体的に、
図5は、N枚目の撮像画像Pnを示した図である。なお、
図5において、黒塗りの領域Arは、撮像画像Pnに写り込んだ出血部位等を示している。
本実施の形態1では、制御部33は、ステップS2において、N枚目の撮像画像Pnの全画素について、画素毎に特徴量を算出する。ここで、特徴量とは、撮像画像に写り込んだ出血部位や病変部等の特徴を示す特徴量である。具体的に、制御部33は、N枚目の撮像画像Pnの全画素について、画素毎に、画素値(R,G,B)におけるRをBで除したR/Bを特徴量としてそれぞれ算出する。例えば、
図5に示した特定の画素PIの画素値(R,G,B)が(180,0,10)である場合には、制御部33は、当該特定の画素PIについて、R/B=18を特徴量として算出する。
【0025】
ステップS2の後、制御部33は、N枚目の撮像画像Pnの評価値を算出する(ステップS3)。
具体的に、制御部33は、ステップS3において、画素毎の特徴量であるR/Bを特定の基準値(例えば10)とそれぞれ比較する。そして、制御部33は、N枚目の撮像画像Pnの全画素において、当該特定の基準値を超えるR/Bを有する画素の数を当該N枚目の撮像画像Pnの評価値として算出する。
【0026】
ステップS3の後、制御部33は、関心画像を示す特定の抽出範囲内にステップS3において算出した評価値が存在するか否かを判定する(ステップS4)。
ここで、関心画像とは、出血部位や病変部が写り込んだ撮像画像であって、医療従事者による診断を必要とする画像を意味する。また、評価値は、撮像画像を関心画像として抽出するための指標である。
図6は、特定の抽出範囲を示す図である。
本実施の形態1では、特定の抽出範囲は、
図6に示すように、第1の基準値と、当該第1の基準値よりも大きい第2の基準値(n)とを有する範囲であって、当該第1の基準値を上回り、かつ、第2の基準値(n)を上回る範囲である。なお、第2の基準値の初期値は、少なくとも第1の基準値以上の値である。
具体的に、制御部33は、ステップS4において、評価値が第1の基準値を上回っているか否かを判定する(ステップS41)。
評価値が第1の基準値を上回っていないと判定した場合(ステップS41:No)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0027】
一方、評価値が第1の基準値を上回っていると判定した場合(ステップS41:Yes)には、制御部33は、当該評価値が第2の基準値を上回っているか否かを判定する(ステップS42)。
評価値が第2の基準値を上回っていないと判定した場合(ステップS42:No)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0028】
一方、評価値が第2の基準値を上回っていると判定した場合(ステップS42:Yes)には、制御部33は、N枚目の撮像画像Pnを関心画像として抽出する(ステップS5)。
具体的に、制御部33は、ステップS5において、記憶部34に記憶された当該撮像画像Pnに対して関心画像であることを示す情報(以下、関心情報と記載)を関連付ける。
【0029】
ステップS5の後、制御部33は、特定の情報を報知させる(ステップS6)。
具体的に、制御部33は、ステップS6において、「医療従事者を呼んで下さい」等のメッセージを表示部37に表示させるとともにスピーカ(図示略)から音を出力させる。
なお、特定の情報の報知方法としては、上述したメッセージの表示及び音の出力に限らず、被検体100に対して振動を付与する方法を採用しても構わない。
【0030】
ステップS6の後、制御部33は、特定の抽出範囲を更新する(ステップS7)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
本実施の形態1では、制御部33は、ステップS7において、第2の基準値を大きい値に変更することによって特定の抽出範囲を更新する。例えば、
図6に示すように、これまで使用していた第2の基準値(n)を当該第2の基準値(n)よりも大きい第2の基準値(n+1)に変更する。
【0031】
ステップS8以降では、受信装置3は、N枚目の撮像画像Pnの次の撮像画像に切り替えて(N=N+1)、改めてステップS1~S7の処理を実行する。
【0032】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態1に係る受信装置3では、制御部33は、撮像画像に基づいて、当該撮像画像の評価値を算出する。また、制御部33は、関心画像を示す特定の抽出範囲内に当該評価値が存在するか否かを判定する。具体的に、制御部33は、当該評価値が第1の基準値を上回り、かつ、当該評価値が当該第1の基準値よりも大きい第2の基準値を上回っている場合に、当該特定の抽出範囲内に当該評価値が存在すると判定する。さらに、制御部33は、当該特定の抽出範囲内に当該評価値が存在すると判定した場合に、当該撮像画像を関心画像として抽出する。そして、制御部33は、当該特定の抽出範囲内に当該評価値が存在すると判定した場合に、当該第2の基準値を大きい値に変更することによって当該特定の抽出範囲を更新する。
例えば、評価値が特定の閾値を超える撮像画像を関心画像として抽出した場合を想定する。この場合には、時間的に近接し、確認の必要性の低い類似した撮像画像をも関心画像として抽出してしまう。
これに対して、本実施の形態1では、特定の抽出範囲を用いて関心画像を抽出するとともに、上述したように当該特定の抽出範囲を更新する。このため、時間的に近接し、確認の必要性の低い類似した撮像画像を関心画像として抽出することがなく、出血部位等が写り込んだ代表的な撮像画像を関心画像として抽出することができる。
したがって、本実施の形態1に係る受信装置3によれば、医療従事者による確認の必要性の高い撮像画像を関心画像として抽出することができる。
【0033】
特に、本実施の形態1では、受信装置3を本発明に係る画像処理装置として構成している。そして、受信装置3は、撮像画像を関心画像として抽出した場合に特定の情報を報知する。
このため、受信装置3において、撮像画像を関心画像として抽出する処理をリアルタイムで行い、かつ、当該関心画像として抽出した場合に特定の情報を報知することによって、医療従事者が被検体の診断方針を迅速に決定することが可能となる。
【0034】
また、制御部33は、撮像画像内の画素毎の画素値(R,G,B)に基づいて、当該撮像画像の特徴量を算出する。
このため、簡単な処理で特徴量を算出することができる。
【0035】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図7は、実施の形態2に係る受信装置3の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態2では、
図7に示すように、上述した実施の形態1に対して、受信装置3の動作が異なる。具体的に、本実施の形態2では、上述した実施の形態1に対して、ステップS9~S14が追加されている点が異なる。このため、以下では、ステップS9~S14を主に説明する。
【0036】
ステップS9は、ステップS6の後に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS9において、第2の基準値の初期値へのリセット(後述するステップS11またはステップS14)を既に実行したか否かを判定する。
【0037】
第2の基準値の初期値へのリセットを既に実行したと判定した場合(ステップS9:Yes)には、受信装置3は、ステップS7に移行する。
一方、第2の基準値の初期値へのリセットを未だ実行していないと判定した場合(ステップS9:No)には、制御部33は、既定時間が経過したか否かを判定する(ステップS10)。例えば、制御部33は、ステップS10において、1枚目の画像データを受信した時点から時間を計測し、当該計測した時間が既定時間を経過したか否かを判定する。
【0038】
既定時間が経過していないと判定した場合(ステップS10:No)には、受信装置3は、ステップS7に移行する。
一方、既定時間が経過したと判定した場合(ステップS10:Yes)には、制御部33は、第2の基準値を初期値にリセットする(ステップS11)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0039】
ステップS12は、評価値が第2の基準値を上回っていないと判定した場合(ステップS42:No)に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS12において、第2の基準値の初期値へのリセット(ステップS11または後述するステップS14)を既に実行したか否かを判定する。
【0040】
第2の基準値の初期値へのリセットを既に実行したと判定した場合(ステップS12:Yes)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
一方、第2の基準値の初期値へのリセットを未だ実行していないと判定した場合(ステップS12:No)には、制御部33は、ステップS10と同様に、既定時間が経過したか否かを判定する(ステップS13)。
【0041】
既定時間が経過していないと判定した場合(ステップS13:No)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
一方、既定時間が経過したと判定した場合(ステップS13:Yes)には、制御部33は、第2の基準値を初期値にリセットする(ステップS14)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0042】
以上説明した本実施の形態2によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
ところで、被検体100がカプセル型内視鏡2を飲み込む前に、当該カプセル型内視鏡2が赤い服や赤い壁等を撮像した場合には、ステップS7において、本来、更新してはいけない特定の抽出範囲の更新が実行されることとなる。この場合には、医療従事者による確認の必要性の高い出血部位等が写り込んだ撮像画像が関心画像として抽出されない可能性がある。
本実施の形態2に係る受信装置3では、既定時間が経過した場合に、第2の基準値を初期値にリセットする。
このため、上述した場合においても、医療従事者による確認の必要性の高い出血部位等が写り込んだ撮像画像を関心画像として抽出することができる。
【0043】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図8は、実施の形態3に係る受信装置3の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態3では、
図8に示すように、上述した実施の形態1に対して、受信装置3の動作が異なる。具体的に、本実施の形態3では、上述した実施の形態1に対して、ステップS15,S16が追加されている点が異なる。このため、以下では、ステップS15,S16を主に説明する。
【0044】
ステップS15は、評価値が第2の基準値を上回っていないと判定した場合(ステップS42:No)に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS15において、既定時間が経過したか否かを判定する。例えば、制御部33は、評価値が第1の基準値を上回っているが、第2の基準値を上回っていない状態が継続している時間を計測し、当該計測した時間が既定時間を経過したか否かを判定する。
【0045】
既定時間が経過していないと判定した場合(ステップS15:No)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
一方、既定時間が経過したと判定した場合(ステップS15:Yes)には、制御部33は、第2の基準値を初期値にリセットする(ステップS16)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0046】
以上説明した本実施の形態3によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
ところで、被検体100内においてカプセル型内視鏡2が停滞している場合や、出血部位が複数あり、一部の出血部位が最初に関心画像として抽出される撮像画像に写り込んだ出血部位よりも出血の程度が低い場合がある。このような場合には、医療従事者による確認の必要性の高い出血部位が写り込んだ撮像画像が関心画像として抽出されない可能性がある。
本実施の形態3に係る受信装置3では、既定時間の経過とともに定期的に第2の基準値を初期値にリセットする。
このため、上述した場合においても、医療従事者による確認の必要性の高い出血部位が写り込んだ撮像画像を関心画像として抽出することができる。
【0047】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図9は、実施の形態4に係る受信装置3の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態4では、
図9に示すように、上述した実施の形態1に対して、受信装置3の動作が異なる。具体的に、本実施の形態4では、上述した実施の形態1に対して、ステップS17~S20が追加されている点が異なる。このため、以下では、ステップS17~S20を主に説明する。
【0048】
ステップS17は、ステップS6の後に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS17において、カプセル型内視鏡2が関心臓器に到達したか否かを判定する。当該関心臓器とは、カプセル型内視鏡2が辿る経路に存在する臓器であって、予め設定された少なくとも1つの特定の臓器を意味する。例えば、制御部33は、1枚目の画像データを受信した時点からの経過時間、N枚目の撮像画像Pnに写り込んだ被写体の形状または色味等に基づいて、カプセル型内視鏡2が関心臓器に到達したか否かを判定する。
【0049】
関心臓器に到達していないと判定した場合(ステップS17:No)には、受信装置3は、ステップS7に移行する。
一方、関心臓器に到達したと判定した場合(ステップS17:Yes)には、制御部33は、第2の基準値を初期値にリセットする(ステップS18)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0050】
ステップS19は、評価値が第2の基準値を上回っていないと判定した場合(ステップS42:No)に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS19において、ステップS17と同様に、カプセル型内視鏡2が関心臓器に到達したか否かを判定する。
【0051】
関心臓器に到達していないと判定した場合(ステップS19:No)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
一方、関心臓器に到達したと判定した場合(ステップS19:Yes)には、制御部33は、第2の基準値を初期値にリセットする(ステップS20)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0052】
以上説明した本実施の形態4によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
ところで、胃や小腸等の臓器毎に出血部位等を確認したい場合がある。しかしながら、例えば、胃内の撮像画像についてステップS1~S8を繰り返し実行した場合には、第2の基準値が大きい値に更新されており、胃の後に到達する小腸において、出血部位等が写り込んだ撮像画像が関心画像として抽出されない可能性がある。
本実施の形態4に係る受信装置3では、カプセル型内視鏡2が関心臓器に到達する毎に第2の基準値を初期値にリセットする。
このため、各関心臓器において、医療従事者による確認の必要性の高い出血部位等が写り込んだ撮像画像を関心画像として抽出することができる。
【0053】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図10は、実施の形態5に係る受信装置3の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態5では、
図10に示すように、上述した実施の形態1に対して、受信装置3の動作が異なる。具体的に、本実施の形態5では、上述した実施の形態1に対して、ステップS21~S24が追加されている点が異なる。このため、以下では、ステップS21~S24を主に説明する。
【0054】
ステップS21は、ステップS6の後に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS21において、ユーザによる操作部36へのリセット操作(ユーザ操作)があったか否かを判定する。
【0055】
リセット操作がないと判定した場合(ステップS21:No)には、受信装置3は、ステップS7に移行する。
一方、リセット操作があったと判定した場合(ステップS21:Yes)には、制御部33は、第2の基準値を初期値にリセットする(ステップS22)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0056】
ステップS23は、評価値が第1の基準値を上回っていないと判定した場合(ステップS41:No)、または、評価値が第2の基準値を上回っていないと判定した場合(ステップS42:No)に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS23において、ユーザによる操作部36へのリセット操作(ユーザ操作)があったか否かを判定する。
【0057】
リセット操作がないと判定した場合(ステップS23:No)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
一方、リセット操作があったと判定した場合(ステップS23:Yes)には、制御部33は、第2の基準値を初期値にリセットする(ステップS24)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0058】
図11ないし
図13は、リセット操作の具体例を示す図である。具体的に、
図11は、ステップS6が実行された際の受信装置3の状態を示している。
図12は、ステップS6が実行された後、医療従事者が受信装置3の表示モードをプレイバックビューモードに切り替えた状態を示している。
図13は、医療従事者が
図12の状態を確認した後、受信装置3の表示モードをリアルタイムビューモードに切り替えた状態を示している。なお、
図11ないし
図13において、表示部37に表示されているアイコンICは、上述したリセット操作によって押下されるアイコンである。
リアルタイムビューモードでは、表示部37には、カプセル型内視鏡2から順次、送信され、画像処理部32によって画像処理が実行された後の画像データに基づく撮像画像が順次、表示される。ここで、ステップS6において、N枚目の撮像画像Pn(
図11)が関心画像として抽出された場合には、受信装置3から特定の情報が報知される。
【0059】
受信装置3からの特定の情報の報知に応じて、医療従事者は、受信装置3を確認する。具体的に、医療従事者は、操作部36へのユーザ操作によって受信装置3の表示モードをプレイバックビューモードに切り替える。そして、医療従事者は、
図12に示すように、過去に受信した画像データに基づく撮像画像であり、関心画像として抽出された撮像画像Pnを確認する。
【0060】
医療従事者は、プレイバックビューモードにおいて撮像画像Pnを確認した後、操作部36へのユーザ操作によって受信装置3の表示モードをリアルタイムビューモードに切り替える。そして、医療従事者は、
図13に示すように、現在、受信している画像データに基づく撮像画像Pn´から、出血がないかを確認する。出血がなく、正常な状態であることを確認することができた場合には、医療従事者は、アイコンICを押下する。
【0061】
以上説明した本実施の形態5によれば、上述した実施の形態1と同様の効果の他、以下の効果を奏する。
本実施の形態5に係る受信装置3では、ユーザによる操作部36へのリセット操作に応じて、第2の基準値を初期値にリセットする。
このため、医療従事者は、プレイバックビューモードにおいて撮像画像Pnを確認した後、リアルタイムビューモードにおいて出血がなく正常な状態であることを確認した場合には、リセット操作で第2の基準値を初期値にリセットする。これによって、次の出血部位等が写り込んだ撮像画像を関心画像として抽出することができる。
【0062】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図14は、実施の形態6に係る受信装置3の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態6では、
図14に示すように、上述した実施の形態1に対して、受信装置3の動作が異なる。具体的に、本実施の形態6では、上述した実施の形態1に対して、ステップS2~S4,S7の代わりにステップS2A~S4A,S7Aが採用されている点が異なる。このため、以下では、ステップS2A~S4A,S7Aを主に説明する。
【0063】
〔ステップS2A〕
制御部33は、N枚目の撮像画像Pnの全画素について、画素毎に、画素値(R,G,B)におけるBをRで除したB/Rを特徴量としてそれぞれ算出する。例えば、
図5に示した特定の画素PIの画素値(R,G,B)が(180,0,10)である場合には、制御部33は、当該特定の画素PIについて、B/R=1/18を特徴量として算出する。
【0064】
〔ステップS3A〕
制御部33は、画素毎の特徴量であるB/Rのうち最も小さい値をN枚目の撮像画像Pnの評価値として算出する。
【0065】
〔ステップS4A〕
制御部33は、関心画像を示す特定の抽出範囲内にステップS3Aにおいて算出した評価値が存在するか否かを判定する。
図15は、特定の抽出範囲を示す図である。
本実施の形態6では、特定の抽出範囲は、
図15に示すように、第3の基準値と、当該第3の基準値よりも小さい第4の基準値(n)とを有する範囲であって、当該第3の基準値を下回り、かつ、第4の基準値(n)を下回る範囲である。なお、第4の基準値の初期値は、少なくとも第3の基準値以下の値である。
【0066】
具体的に、制御部33は、ステップS4Aにおいて、評価値が第3の基準値を下回っているか否かを判定する(ステップS41A)。
評価値が第3の基準値を下回っていないと判定した場合(ステップS41A:No)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
一方、評価値が第3の基準値を下回っていると判定した場合(ステップS41A:Yes)には、受信装置3は、ステップS5に移行する。
【0067】
〔ステップS7A〕
制御部33は、第4の基準値を小さい値に変更することによって特定の抽出範囲を更新する。例えば、
図15に示すように、これまで使用していた第4の基準値(n)を当該第4の基準値(n)よりも小さい第4の基準値(n+1)に変更する。
【0068】
以上説明した本実施の形態6のように受信装置3が動作した場合であっても、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0069】
(実施の形態7)
次に、実施の形態7について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態6と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図16は、実施の形態7に係る受信装置3の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態7では、
図16に示すように、上述した実施の形態6に対して、受信装置3の動作が異なる。具体的に、本実施の形態7では、上述した実施の形態6に対して、ステップS9A~S14Aが追加されている点が異なる。このため、以下では、ステップS9A~S14Aを主に説明する。
【0070】
ステップS9Aは、ステップS6の後に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS9Aにおいて、第4の基準値の初期値へのリセット(後述するステップS11AまたはステップS14A)を既に実行したか否かを判定する。
【0071】
第4の基準値の初期値へのリセットを既に実行したと判定した場合(ステップS9A:Yes)には、受信装置3は、ステップS7Aに移行する。
一方、第4の基準値の初期値へのリセットを未だ実行していないと判定した場合(ステップS9A:No)には、制御部33は、既定時間が経過したか否かを判定する(ステップS10A)。例えば、制御部33は、ステップS10Aにおいて、1枚目の画像データを受信した時点から時間を計測し、当該計測した時間が既定時間を経過したか否かを判定する。
【0072】
既定時間が経過していないと判定した場合(ステップS10A:No)には、受信装置3は、ステップS7Aに移行する。
一方、既定時間が経過したと判定した場合(ステップS10A:Yes)には、制御部33は、第4の基準値を初期値にリセットする(ステップS11A)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0073】
ステップS12Aは、評価値が第4の基準値を下回っていないと判定した場合(ステップS42A:No)に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS12Aにおいて、第4の基準値の初期値へのリセット(ステップS11Aまたは後述するステップS14A)を既に実行したか否かを判定する。
【0074】
第4の基準値の初期値へのリセットを既に実行したと判定した場合(ステップS12A:Yes)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
一方、第4の基準値の初期値へのリセットを未だ実行していないと判定した場合(ステップS12A:No)には、制御部33は、ステップS10Aと同様に、既定時間が経過したか否かを判定する(ステップS13A)。
【0075】
既定時間が経過していないと判定した場合(ステップS13A:No)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
一方、既定時間が経過したと判定した場合(ステップS13A:Yes)には、制御部33は、第4の基準値を初期値にリセットする(ステップS14A)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0076】
以上説明した本実施の形態7のように受信装置3が動作した場合であっても、上述した実施の形態2,6と同様の効果を奏する。
【0077】
(実施の形態8)
次に、実施の形態8について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態6と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図17は、実施の形態8に係る受信装置3の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態8では、
図17に示すように、上述した実施の形態6に対して、受信装置3の動作を異なる。具体的に、本実施の形態8では、上述した実施の形態6に対して、ステップS15A,S16Aが追加されている点が異なる。このため、以下では、ステップS15A,S16Aを主に説明する。
【0078】
ステップS15Aは、評価値が第4の基準値を下回っていないと判定した場合(ステップS42A:No)に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS15Aにおいて、既定時間が経過したか否かを判定する。例えば、制御部33は、評価値が第3の基準値を下回っているが、第4の基準値を下回っていない状態が継続している時間を計測し、当該計測した時間が既定時間を経過したか否かを判定する。
【0079】
既定時間が経過していないと判定した場合(ステップS15A:No)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
一方、既定時間が経過したと判定した場合(ステップS15A:Yes)には、制御部33は、第4の基準値を初期値にリセットする(ステップS16A)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0080】
以上説明した本実施の形態7のように受信装置3が動作した場合であっても、上述した実施の形態3,6と同様の効果を奏する。
【0081】
(実施の形態9)
次に、実施の形態9について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態6と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図18は、実施の形態9に係る受信装置3の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態9では、
図18に示すように、上述した実施の形態6に対して、受信装置3の動作が異なる。具体的に、本実施の形態9では、上述した実施の形態6に対して、ステップS17A~S20Aが追加されている点が異なる。このため、以下では、ステップS17A~S20Aを主に説明する。
【0082】
ステップS17Aは、ステップS6の後に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS17Aにおいて、カプセル型内視鏡2が関心臓器に到達したか否かを判定する。当該関心臓器とは、カプセル型内視鏡2が辿る経路に存在する臓器であって、予め設定された特定の臓器を意味する。例えば、制御部33は、1枚目の画像データを受信した時点からの経過時間、N枚目の撮像画像Pnに写り込んだ被写体の形状または色味等に基づいて、カプセル型内視鏡2が関心臓器に到達したか否かを判定する。
【0083】
関心臓器に到達していないと判定した場合(ステップS17A:No)には、受信装置3は、ステップS7Aに移行する。
一方、関心臓器に到達したと判定した場合(ステップS17A:Yes)には、制御部33は、第4の基準値を初期値にリセットする(ステップS18A)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0084】
ステップS19Aは、評価値が第4の基準値を下回っていないと判定した場合(ステップS42A:No)に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS19Aにおいて、ステップS17Aと同様に、カプセル型内視鏡2が関心臓器に到達したか否かを判定する。
【0085】
関心臓器に到達していないと判定した場合(ステップS19A:No)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
一方、関心臓器に到達したと判定した場合(ステップS19A:Yes)には、制御部33は、第4の基準値を初期値にリセットする(ステップS20A)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0086】
以上説明した本実施の形態9のように受信装置3が動作した場合であっても、上述した実施の形態4,6と同様の効果を奏する。
【0087】
(実施の形態10)
次に、実施の形態10について説明する。
以下の説明では、上述した実施の形態6と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図19は、実施の形態10に係る受信装置3の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態10では、
図19に示すように、上述した実施の形態6に対して、受信装置3の動作が異なる。具体的に、本実施の形態6では、上述した実施の形態6に対して、ステップS21A~S24Aが追加されている点が異なる。このため、以下では、ステップS21A~S24Aを主に説明する。
【0088】
ステップS21Aは、ステップS6の後に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS21Aにおいて、ユーザによる操作部36へのリセット操作(ユーザ操作)があったか否かを判定する。
なお、本実施の形態10に係るリセット操作としては、上述した実施の形態5において
図11ないし
図13によって示したリセット操作を例示することができる。
【0089】
リセット操作がないと判定した場合(ステップS21A:No)には、受信装置3は、ステップS7Aに移行する。
一方、リセット操作があったと判定した場合(ステップS21A:Yes)には、制御部33は、第4の基準値を初期値にリセットする(ステップS22A)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0090】
ステップS23Aは、評価値が第3の基準値を下回っていないと判定した場合(ステップS41A:No)、または、評価値が第4の基準値を下回っていないと判定した場合(ステップS42A:No)に実行される。
具体的に、制御部33は、ステップS23Aにおいて、ユーザによる操作部36へのリセット操作(ユーザ操作)があったか否かを判定する。
【0091】
リセット操作がないと判定した場合(ステップS23A:No)には、受信装置3は、ステップS8に移行する。
一方、リセット操作があったと判定した場合(ステップS23A:Yes)には、制御部33は、第4の基準値を初期値にリセットする(ステップS24A)。この後、受信装置3は、ステップS8に移行する。
【0092】
以上説明した本実施の形態10のように受信装置3が動作した場合であっても、上述した実施の形態5,6と同様の効果を奏する。
【0093】
(その他の実施形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1~10によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1~5では、N枚目の撮像画像Pnの評価値を1つのみ(N枚目の撮像画像Pnの全画素において、特定の基準値を超えるR/Bを有する画素の数)算出し、それぞれ1つのみの第1,第2の基準値と比較していたが、これに限らない。n個の評価値を算出し、それぞれn個の第1,第2の基準値と比較しても構わない。
図20は、実施の形態1~5の変形例を示す図であって、2個の評価値を算出し、それぞれ2個の第1,第2の基準値と比較する場合を例示している。
具体的に、1つ目の評価値(x)としては、N枚目の撮像画像Pnの全画素において、特定の基準値を超えるRを有する画素数を例示することができる。また、2つ目の評価値(y)としては、N枚目の撮像画像Pnの画素毎のR/Bのうち最も大きい値を例示することができる。さらに、当該2つの評価値(x)及び評価値(y)に対応させて、2つの第1の基準値(x)及び第1の基準値(y)を設けるとともに、2つの第2の基準値(x)(n)及び第2の基準値(y)(n)を設ける。そして、ステップS41では、2つの評価値(x)及び評価値(y)がX軸及びY軸と2つの第1の基準値(x)及び第1の基準値(y)を結ぶ線とで囲まれる領域外に存在するか否かを判定する。同様に、ステップS42では、2つの評価値(x)及び評価値(y)がX軸及びY軸と2つの第2の基準値(x)(n)及び第2の基準値(y)(n)を結ぶ線とで囲まれる領域外に存在するか否かを判定する。ここで、
図20に示した2つの第2の基準値(x)(n+1)及び第2の基準値(y)(n+1)は、ステップS7において、2つの第2の基準値(x)(n)及び第2の基準値(y)(n)をそれぞれ変更した値を示している。
なお、
図20では、上述した2つの第1の基準値を結ぶ線、及び上述した2つの第2の基準値を結ぶ線を曲線によって示しているが、当該線は、楕円の一部となる曲線、円の一部となる曲線、直線、及び矩形の一部となる直線としても構わない。
【0094】
上述した実施の形態6~10では、N枚目の撮像画像Pnの評価値を1つのみ(N枚目の撮像画像Pnの画素毎のB/Rのうち最も小さい値)算出し、それぞれ1つのみの第3,第4の基準値と比較していたが、これに限らない。n個の評価値を算出し、それぞれn個の第3,第4の基準値と比較しても構わない。
図21は、実施の形態6~10の変形例を示す図であって、2個の評価値を算出し、それぞれ2個の第3,第4の基準値を比較する場合を例示している。
具体的に、1つ目の評価値(x)としては、N枚目の撮像画像Pnの画素毎のG/Rのうち最も小さい値を例示することができる。また、2つ目の評価値(y)としては、N枚目の撮像画像Pnの画素毎のB/Rのうち最も小さい値を例示することができる。さらに、当該2つの評価値(x)及び評価値(y)に対応させて、2つの第3の基準値(x)及び第3の基準値(y)を設けるとともに、2つの第4の基準値(x)(n)及び第4の基準値(y)(n)を設ける。そして、ステップS41Aでは、2つの評価値(x)及び評価値(y)がX軸及びY軸と2つの第3の基準値(x)及び第3の基準値(y)を結ぶ線とで囲まれる領域内に存在するか否かを判定する。同様に、ステップS42Aでは、2つの評価値(x)及び評価値(y)がX軸及びY軸と2つの第4の基準値(x)(n)及び第4の基準値(y)(n)を結ぶ線とで囲まれる領域内に存在するか否かを判定する。なお、
図21に示した2つの第4の基準値(x)(n+1)及び第4の基準値(y)(n+1)は、ステップS7Aにおいて、2つの第4の基準値(x)(n)及び第4の基準値(y)(n)をそれぞれ変更した値を示している。
なお、
図21では、上述した2つの第3の基準値を結ぶ線、及び上述した2つの第4の基準値を結ぶ線を曲線によって示しているが、当該線は、楕円の一部となる曲線、円の一部となる曲線、直線、及び矩形の一部となる直線としても構わない。
【0095】
上述した実施の形態1~10において、N枚目の撮像画像Pnの評価値として、以下に示す評価値を採用しても構わない。
例えば、上述した実施の形態1~5において、N枚目の撮像画像Pnにおける画素毎のB/Rのうち最も大きい値を当該N枚目の撮像画像Pnの評価値として採用しても構わない。
また、例えば、上述した実施の形態1~10において、ディープラーニングの技術を用いることによって、病変部や出血部位を数値化した値をN枚目の撮像画像Pnの評価値として採用しても構わない。
【0096】
上述した実施の形態1~10では、受信装置3を本発明に係る画像処理装置として構成していたが、これに限らず、画像表示装置4を本発明に係る画像処理装置として構成しても構わない。
【0097】
上述した実施の形態1~10では、カプセル型内視鏡2によって撮像された撮像画像に対して処理を行う構成を採用していたが、これに限らず、時系列に取得された撮像画像であれば、その他の撮像画像に対して処理を実行する構成を採用しても構わない。
【0098】
また、処理フローは、上述した実施の形態1~10において説明したフローチャートにおける処理の順序に限られず、矛盾のない範囲で変更しても構わない。
【符号の説明】
【0099】
1 内視鏡システム
2 カプセル型内視鏡
3 受信装置
3a~3f 受信アンテナ
31 受信部
32 画像処理部
33 制御部
34 記憶部
35 データ送受信部
36 操作部
37 表示部
4 画像表示装置
100 被検体
Ar 黒塗りの領域
IC アイコン
PI 画素
Pn N枚目の撮像画像
Pn´ 撮像画像