(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】選択的特性を有するコラーゲン、それを含むコラーゲン生成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/24 20060101AFI20250106BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20250106BHJP
A61L 27/22 20060101ALI20250106BHJP
A61L 27/26 20060101ALI20250106BHJP
A61L 27/44 20060101ALI20250106BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20250106BHJP
A61L 27/58 20060101ALI20250106BHJP
A61P 7/04 20060101ALI20250106BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20250106BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20250106BHJP
C12P 21/00 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
A61L27/24
A61K38/39
A61L27/22
A61L27/26
A61L27/44
A61L27/54
A61L27/58
A61P7/04
A61P17/02
A61P19/00
C12P21/00 C
(21)【出願番号】P 2023516103
(86)(22)【出願日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2021049646
(87)【国際公開番号】W WO2022060622
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-05-16
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521542708
【氏名又は名称】コラジェン マトリックス,インク.
【氏名又は名称原語表記】Collagen Matrix, Inc.
【住所又は居所原語表記】15 Thornton Road, Oakland, NJ 07436, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, ナツヨ シシド
(72)【発明者】
【氏名】アモン, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】チェン, フイ-チェン
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-074846(JP,A)
【文献】特開2001-316282(JP,A)
【文献】特開2004-244359(JP,A)
【文献】特開2002-255847(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L
A61K
C12P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
望ましい特性を示すペプチドを添加する前のコラーゲンに比べて増幅された望ましい特性を有する標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、
コラーゲンを消化して、そこから望ましい特性を示すペプチドを得る工程、及び
望ましい特性を示すペプチドをコラーゲンに添加して、標的コラーゲン生成物を形成する工程を含
み、
添加する工程が、望ましい特性を示すペプチドを混合物に添加して、コラーゲンを標的コラーゲン生成物に再構成することを含み、
再構成されたコラーゲンが、望ましい特性を示すペプチドの放出プロファイルを制御できるように、添加する工程が実行されるか、又は、再構成されたコラーゲンが、望ましい特性を示すペプチドに共有結合されるように、添加する工程が実行され、
望ましい特性が、創傷治癒、骨生成、血液凝固、器官足場、硬膜修復、神経修復、眼球修復、上皮修復、心臓血管修復、乳房修復、及び内皮修復からなる群から選択される用途のために有用な特性である、方法。
【請求項2】
消化する工程のためにコラーゲンを調達する工程をさらに含み、調達する工程が、真核生物、遺伝子改変原核生物及び遺伝子改変植物細胞からなる群からコラーゲンを得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
望ましい特性についてペプチドを試験する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
望ましい特性を示すペプチドを単離する工程をさらに含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
添加する工程が、望ましい特性を示すペプチドをインタクトなコラーゲンに添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、(1)2020年9月16日に出願された米国仮特許出願第63/079,187号;(2)2020年10月19日に出願された米国仮特許出願第63/093,554号;及び(3)2021年2月12日に出願された米国仮特許出願第63/149,068号に対する優先権を主張し、これら3つの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は、生物学的組織修復を含む、多様な目的のために、様々な組織への用途のために意図したカスタマイズ可能なコラーゲンに関する。さらに特には、本発明の実施形態は、軟組織修復への用途又は骨修復への用途などの標的使用のために、コラーゲンの特定の特性を増幅又は低下させる方法に関する。本発明の実施形態はまた、層状の標的コラーゲン生成物/コンストラクトを含む操作されたコラーゲンコンストラクト、それを作製するための方法、カスタマイズ可能なコラーゲンを含む生体分子の3D印刷を使用するための方法、及びそのような方法によって形成されるコラーゲンコンストラクトに関する。
【背景技術】
【0003】
コラーゲンは、人間及び動物に見られる天然に存在するタンパク質である。コラーゲン組織は多くの場合、ドナーから調達され、美容整形から骨修復、創傷治癒に至るまで、様々な医療用途に使用される。原核生物のコラーゲンは、遺伝子操作された微生物や遺伝子操作された植物からも得られる場合がある。
【0004】
コラーゲンは、増強、再構成、濃縮、架橋、他の生物学的物質との結合など、多くの異なる方法で処理及び/又は加工することができる。そのため、様々な医療用途向けに様々なコラーゲン生成物を製造することができる。
【0005】
本発明のいくつかの実施形態は、一般に、ラピッドプロトタイピングシステム、特には、例えば、歯の骨移植、歯の膜、ステント、涙点プラグ、眼のコラーゲンオンレー及びインレー、コンタクトレンズ、整形外科の骨への用途、脊椎への用途、神経への用途、及び皮膚への用途などのコラーゲンベースの医療用及び歯科用デバイスを作製するための3D印刷システムに関する。さらに特には、本発明は、インクジェット、溶融堆積モデル化(FDM)、選択的レーザー焼結(SLS)、ステレオリソグラフィ(SLA)、デジタル光処理(DLP)、バイオ印刷、又はそれらの組み合わせを使用して、本発明の多くの材料システム及び新規の樹脂システムからの3次元オブジェクトとしての医療デバイスを構築することに関する。インクジェット印刷システムは、インクジェット印刷ヘッドを介して材料を吐出し、冷却、重合、及び光照射によって硬化する3Dオブジェクトを形成する。FDMは、ノズル全体に熱可塑性樹脂材料を押し出し、3Dオブジェクトを構築する。SLSはレーザーを動力源として使用し、粉末材料を焼結して固体オブジェクトを形成する。レーザービームを使用したSLAは、各層の形状をトレースし、感光性樹脂をバット(リザーバー又はバス)で硬化させる。DLPシステムは、デジタルライトプロセッサ(Digital Light Processor;DLP)プロジェクターを使用して連続したボクセル平面を液体樹脂に投影し、液体樹脂を硬化させることで3次元オブジェクトを構築する。バイオ印刷は、生物学的マトリックスが細胞を伴って、又は伴わずに印刷される層ごとの処理である。その場合、オブジェクトは、細胞化された組織を成長させるためのマトリックス又は足場として機能する。一般に、ラピッドプロトタイピングとは、硬化材料の層を使用した層ごとに基づいて構築されるパーツの製造に使用される従来の製造処理を指す。この技術によれば、製造されるパーツは、組み合わさると3次元構造を構成する一連の個別の断面領域と見なされる。パーツを層ごとに構築することは、金属又はプラスチック片を切断し、ドリルで穴をあけて望ましい形状に仕上げる従来の機械加工技術とは大きく異なる。ラピッドプロトタイピング技術では、コンピュータ支援設計(CAD)又はその他のデジタル画像からパーツが直接作成される。ソフトウェアを使用して、デジタル画像を薄い断面層にスライスする。その後、プラスチック又は他の硬化材料の層を互いの上に配置することによってパーツがコンストラクトされる。構造材料の層を組み合わせるために使用できる様々な技術がある。一部の技術では、材料の層を完全に硬化させるために最終的な硬化工程が必要になる場合がある。パウダーベッドのインクジェット印刷又はFDMなどの一部の技術では、高密度の3Dオブジェクトを形成するために、シーラーの適用が必要になる場合がある。一部の技術に付加的なフライス加工が追加される場合がある。
【0006】
インクジェット印刷技術は、3次元オブジェクトの製造に使用することができるラピッドプロトタイピング法である。Sachsらの米国特許第5,204,055号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているマサチューセッツ工科大学で開発された周知のインクジェット印刷法の1つにおいては、プリンターヘッドを使用して、パウダーベッド内の粉末粒子の層上にバインダー材料を放出する。粉末層は、生成されるオブジェクトのデジタル的に重ね合わされた切片に対応する。バインダーは、選択された領域において、粉末粒子を融合させる。この結果、プラットフォーム上に形成されるオブジェクトの融合断面セグメントが生じる。望ましいオブジェクトが得られるまで、新しい層ごとに工程が繰り返される。最後の工程では、レーザービームがオブジェクトをスキャンすることで、必要に応じて粉末層を焼結させて、融合させる。Sandersの米国特許第5,506,607号及び第5,740,051号に記載される別のインクジェット印刷処理においては、低融点の熱可塑性樹脂材料が1つのインクジェット印刷ヘッドを通して吐出され、3次元オブジェクトを形成する。第2のインクジェットプリンターヘッドは、ワックス材料又は他の支持材料を吐出して、3次元オブジェクトの支持体を形成する。オブジェクトが生成された後、ワックス支持体を除去し、必要に応じてオブジェクトを仕上げる。高品質なPolyJet及びMultiJet 3D印刷処理などのMultiJetプリンターは、紫外線を使用してフォトポリマーを架橋する。しかしながら、レーザーをスキャンして層を硬化させるのではなく、プリンタージェットがフォトポリマーの小さな液滴(インクジェットプリンターのインクに似ている)を第1の層の形状にスプレーする。プリンターヘッドに取り付けられたUVランプがポリマーを架橋し、層の形状を固定させる。その後、ビルドプラットフォームが1つの層の厚さ分だけ下降し、以前の層の上にさらなる材料が直接堆積される。Stratasys Objet 500 Connex3で使用されているトリプルジェット技術(PolyJet)は、PolyJet 3D印刷の最も高度な方法である。この技術では、3つの材料の精密印刷を実行することで、3色の混合が可能となる。
【0007】
溶融堆積モデル化(FDM)技術は、1980年代にStratasys Ltd.の創設者であるScott Crumpによって、初めて開発され、実装された。この技術の利点は、FDMで印刷された全てのパーツが、高性能でエンジニアリンググレードの熱可塑性樹脂とすることができるということである。FDMは、生産グレードの熱可塑性樹脂でパーツを構築する唯一の3D印刷技術であり、印刷されたものは優れた機械的、熱的、及び化学的品質を備えている。FDM技術を使用する3D印刷機は、熱可塑性樹脂フィラメントを加熱して押し出すことにより、オブジェクトを下から上に向かって層ごとにより構築する。熱可塑性樹脂だけではなく、プリンターは支持材料も押し出すことができる。その後、プリンターは、熱可塑性樹脂を融点まで加熱して、ノズルからビルドプラットフォームに押し出す。上部層を支えるために、プリンターは、印刷が完了した後に、溶解することができる特別な材料の下に配置する場合がある。プラスチックの薄い層がその下の層に結合すると、冷えて硬化する。層が仕上がると、ベースを下げて次の層の構築を開始する。この技術は、使い勝手がよく、環境にもやさしいと考えられている。様々な種類の熱可塑性樹脂を使用して、歯科用オブジェクトを印刷することができる。
【0008】
選択的レーザー焼結(Selective Laser;SLS)は、レーザーをパワー源として使用して固体の3Dオブジェクトを形成する技術である。この技術は、1980年代にテキサス大学の学生であるCarl Deckard及び彼の教授であるJoe Beamanによって開発された。SLSとSLAの主な違いは、ステレオリソグラフィが行うような液体樹脂の代わりに粉末材料をバットに使用することである。ステレオリソグラフィ(stereolithography;SLA)及び溶融堆積モデル化(fused deposition modeling;FDM)のような他の付加的な製造処理とは異なり、SLSは、印刷されるオブジェクトが常に未焼結の粉末に囲まれているため、支持構造を使用する必要がない。このタイプの3Dプリンターで使用できる材料が幅広く様々であるため、この技術はカスタマイズされた製品を3D印刷するために非常に人気がある。SLSでは高出力のレーザーを使用する必要があるため、プリンターが非常に高価になる。この処理で作られた歯科用オブジェクトには、広範な表面仕上げが必要である。
【0009】
SLA 3D印刷法は、1986年に3D Systems, Inc.の共同設立者であるCharles Hullによって特許が取得され、液体プラスチックを固体3Dオブジェクトに変換する。SLA 3Dプリンターは、過剰な液体樹脂を用いて動作し、照射によって硬化して固体オブジェクトを形成する。構築されるパーツは、通常、表面が滑らかであるが、その品質は使用するSLA機器の品質に依存して様々である。プラスチックが硬化した後、プリンターのプラットフォームがタンク内で1ミリの画分だけ下降(トップダウンプリンター)又は上昇(ボトムアッププリンター)し、印刷が完了するまで次の層がレーザー形成される。全ての層が印刷されると、オブジェクトを溶媒でリンスし、硬化後オーブンに入れて処理を終了させる。
【0010】
デジタル光処理(Digital Light Processing)は、ステレオリソグラフィと非常によく似たもう1つの3D印刷処理である。DLP技術は、1987年にTexas InstrumentsのLarry Hornbeckによって作成され、プロジェクター製造において多大な人気を博した。半導体チップ上に配置されたデジタルマイクロミラーを使用している。3Dインクジェット、DLP及びSLAは全てフォトポリマーで動作する。SLAとDLP処理の違いは、異なる光源である。DLP法は、連続したボクセル平面を液体樹脂に投影し、その後、液体樹脂を硬化させる。印刷に使用する材料は、透明樹脂容器に入った液体樹脂である。光を照射させることにより、樹脂が急速に硬化する。特にCarbon3DのCLIP (Continuous Liquid Interface Production)技術により、印刷速度は感動的である。硬化材料の層は、このようなプリンターを用いて数秒で作成できる。層が仕上がると、上に移動し、次の層の作業が開始される。CLIP技術は、光と酸素のバランスをとることで、標準的なDLP処理の工程である機械的な工程及び層を排除し、市販の品質のオブジェクトを高速で生産することが可能となる。
【0011】
バイオ印刷は、バイオインクとして知られている1つ又は複数の細胞、マトリックス、及び栄養素を含み、プリンターカートリッジに入れられ、患者の医療用スキャンを利用して堆積される。バイオ印刷された前組織がインキュベーターに移されると、この細胞ベースの前組織は組織に成熟する。また、マトリックスを細胞なしで印刷し、その後、イン-ビボ又はエクス-ビボで細胞を定植させることもできる。
【0012】
生物学的コンストラクトを製造するための3Dバイオ印刷では、典型的には、組織様の3次元構造を生成するために、連続的な層ごとの手法を使用して細胞を生体適合性の足場に分配することを含む。体内の全ての組織が、天然では異なる細胞型で構成されていることを考えると、これらの細胞を印刷するための多くの技術では、製造処理中の細胞の安定性及び生存率を確保する能力が異なっている。細胞の3Dバイオ印刷に使用される方法のいくつかは、上記の印刷技術の一部と、支持体ゲルへの押出印刷を含む。
【0013】
本発明の一態様は、主にコラーゲン、改変コラーゲン及び/又はコラーゲンベースのペプチドから構成される、歯科用及び医療用デバイス並びにECM足場及び細胞足場をデジタル的に処理するための3D印刷の利用に関する。重合性ペプチドを生成するためには、コラーゲンを酵素で消化し、その後、放射線で重合可能な官能基でペプチドを改変する。その後、これらの改変ペプチドは、特定の歯科又は医療用途に望ましい設計インプットを作成するために、開始剤、架橋剤、溶媒、及び/又は他の添加剤と配合される。その後、この配合物を3D印刷することができる。別の処理では、コラーゲンを消化してペプチドを作成し、他のペプチドを添加するか又は取り除いて、特定の歯科又は医療用途のためにカスタマイズされた望ましい設計インプットを生成する。その後、これらの新しく配合されたペプチドは、照射で重合可能な官能基を用いて改変される。その後、これらの改変ペプチドは、開始剤、架橋剤、溶媒、及び/又は他の添加剤と配合され、特定の歯科又は医療用途に望ましい設計インプットが作成される。その後、この配合物を3D印刷することができる。別の例では、溶媒に可溶型であるように改変され、任意選択的に、エネルギー駆動の後処理を行うことができる官能基化学で改変されたコラーゲンを押し出すことを含む。コラーゲンの生物学的処理を増幅するために、押し出し可能なコラーゲンには、コラーゲン模倣ペプチド(「CMP」)、及びコラーゲンハイブリダイジングペプチド(「CHP」)のような、他のコラーゲンベースのペプチドもまた、含めることができる。治癒処理を増強するために、押し出し可能なコラーゲンには、他の生物活性ベースのペプチド及び成長因子もまた、含めることができる。
【0014】
3D印刷は、頻繁に「ラピッドプロトタイピング」と呼ばれる。本発明は、3D印刷を利用して最終的な製造生成物を作成するための方法を含む。本発明のいくつかの実施形態は、歯科用又は医療用デバイスにおいて、CMP及びCHPを濃縮、希釈、添加又は取り除くことによるコラーゲンの増幅に対して指向される。デバイスは、成形又は3D印刷によって製造できる。
【発明の概要】
【0015】
本明細書において提供されるのは、望ましい特性を増幅させるか、又は望ましくない特性を低減させた標的コラーゲン生成物を形成するための方法である。
【0016】
1つの例示的な実施形態において、増幅された望ましい特性を有する標的コラーゲン生成物を形成するための方法は、望ましい特性を示すペプチドをコラーゲンに添加して標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む。
【0017】
別の例示的な実施形態において、望ましくない特性を欠損させた標的コラーゲン生成物を形成するための方法は、望ましくない特性を示すペプチドをコラーゲンから取り除いて、標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む。
【0018】
本発明のさらなる態様には、以下が含まれる:
【0019】
1. 増幅された望ましい特性を有する標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、コラーゲンを調達する工程;コラーゲンを消化して、それからペプチドを得る工程;ペプチドを望ましい特性について試験する工程;望ましい特性を示すペプチドを単離する工程;及び、コラーゲンを標的コラーゲン生成物に再構築するために、望ましい特性を示すペプチドを混合物に添加する工程を含む、方法。
【0020】
2. 調達する工程が、真核生物又は遺伝子改変原核生物からコラーゲンを得ることを含む、上記の態様1に記載の方法。
【0021】
3. 消化する工程が、調達したコラーゲンを酵素に供することを含む、上記の態様1に記載の方法。
【0022】
4. 酵素が、コラゲナーゼ、ペプシン、パパイン、及びパンクレアチンからなる群から選択される、上記の態様3に記載の方法。
【0023】
5. 単離されたペプチドの望ましい特性が、創傷治癒、骨生成、血液凝固、器官足場、硬膜修復、神経修復、眼球修復、上皮修復、心臓血管修復、内皮修復、乳房修復、抗酸化剤、抗菌、抗炎症性活性、及び薬物の送達用からなる群から選択される用途を有する、上記の態様1に記載の方法。
【0024】
6a. 標的コラーゲン生成物がデバイスである、上記の態様1に記載の方法。
【0025】
6b. 添加する工程が、混合物に1つ又は複数の増幅ペプチドを添加してコラーゲンを再構成することを包む、上記の態様1に記載の方法。
【0026】
7. 添加する工程が、増幅ペプチドを再構成されたコラーゲンに共有結合的に連結させることを含む、上記の態様6bに記載の方法。
【0027】
8. 添加する工程が、増幅ペプチドを再構成されたコラーゲンに非共有結合的に連結させることを含む、上記の態様6bに記載の方法。
【0028】
9. 非共有結合的に連結させた増幅ペプチドが、一定期間にわたって放出される、上記の態様8に記載の方法。
【0029】
10. 望ましくない特性を欠損させた標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、コラーゲンを調達する工程;コラーゲンを消化して、それからペプチドを得る工程;望ましくない特性についてペプチドを試験する工程;望ましくない特性を示すペプチドを単離する工程;並びに望ましくない特性を示すペプチドをコラーゲン混合物から取り除く工程;及び、コラーゲン混合物を再構成して標的コラーゲン生成物を形成することを含む、方法。
【0030】
11. 増幅された望ましい特性を有する標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、コラーゲンを調達する工程;コラーゲンを消化して、それからペプチドを得る工程;望ましい特性についてペプチドを試験する工程;望ましい特性を示すペプチドを単離する工程;及び、望ましい特性を示すペプチドをインタクトなコラーゲンに添加して標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む、方法。
【0031】
12. 調達する工程が、真核生物又は遺伝子改変された原核生物からコラーゲンを得ることを含む、上記の態様11に記載の方法。
【0032】
13. 消化する工程が、調達したコラーゲンを酵素に供することを含む、上記の態様11に記載の方法。
【0033】
14. 酵素がコラゲナーゼ及びペプシンからなる群から選択される、上記の態様13に記載の方法。
【0034】
15. 単離されたペプチドの望ましい特性が、創傷治癒、骨生成、血液凝固、器官足場、硬膜修復、神経修復、眼球修復、上皮修復、乳房修復、及び心臓血管修復、内皮修復からなる群から選択される用途を有する、上記の態様11に記載の方法。
【0035】
16. 添加する工程が、1つ又は複数の増幅ペプチドを混合物に添加してコラーゲンを再構成することを含む、上記の態様11に記載の方法。
【0036】
17. 添加する工程が、増幅ペプチドをインタクトなコラーゲンに共有結合的に連結させることを含む、上記の態様16に記載の方法。
【0037】
18. 添加する工程が、増幅ペプチドをインタクトなコラーゲンに非共有結合的に連結させることを含む、上記の態様16に記載の方法。
【0038】
19. 非共有結合的に連結された増幅ペプチドが一定期間にわたって放出される、上記の態様18に記載の方法。
【0039】
20. 望ましくない特性が欠損した標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、コラーゲンを調達する工程;コラーゲンを消化して、それからペプチドを得る工程;望ましくない特性についてペプチドを試験する工程;望ましくない特性を示すペプチドを単離する工程;及び、インタクトなコラーゲンから望ましくない特性を示すペプチドを取り除いて、標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む、方法。
【0040】
21. 細胞を遺伝子操作して改変コラーゲンを生成することを含む、増幅又は脱増幅された望ましい特性を有する標的コラーゲン生成物を形成するための方法。
【0041】
22. 細胞が、原核細胞、真核細胞、及び植物細胞からなる群から選択される、上記の態様21に記載の方法。
【0042】
23. 増幅された望ましい特性を有する標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、コラーゲンを調達すること;コラーゲンを消化して、それからペプチドを得る工程;ペプチドを望ましい特性について試験する工程;望ましい特性を示すペプチドを単離する工程;及び、望ましい特性を示すペプチドを混合物に添加してコラーゲンを標的コラーゲン生成物に再構成し、再構成タンパク質が生物活性タンパク質又はペプチドの放出プロファイルを制御できるようにする工程を含む、方法。
【0043】
24. 望ましくない特性が欠損した標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、コラーゲンを調達する工程;コラーゲンを消化して、それからペプチドを得る工程;ペプチドを望ましくない特性について試験する工程;望ましくない特性を示すペプチドを単離する工程;並びに、コラーゲン混合物から望ましくない特性を示すペプチドを取り除く工程;及び、再構成タンパク質が生物活性タンパク質又はペプチドの放出プロファイルを制御できるように、コラーゲン混合物を再構成して標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む、方法。
【0044】
25. 望ましい特性を示すペプチドを混合物に添加して、コラーゲンを標的コラーゲン生成物に再構成することを含む、増幅された望ましい特性を有する標的コラーゲン生成物を形成するための方法。
【0045】
26. コラーゲンを調達する工程をさらに含む、上記の態様25に記載の方法。
【0046】
27. コラーゲンを消化して、それからペプチドを得る工程をさらに含む、上記の態様25に記載の方法。
【0047】
28. 望ましい特性についてペプチドを試験する工程をさらに含む、上記の態様25に記載の方法。
【0048】
29. 望ましい特性を示すペプチドを単離する工程をさらに含む、上記の態様25に記載の方法。
【0049】
30. 望ましくない特性が欠損した標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、コラーゲン混合物から望ましくない特性を示すペプチドを取り除いて、標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む、方法。
【0050】
31. コラーゲンを調達する工程をさらに含む、上記の態様30に記載の方法。
【0051】
32. コラーゲンを消化し、そこからペプチドを得る工程をさらに含む、上記の態様30に記載の方法。
【0052】
33. 望ましくない特性についてペプチドを試験する工程をさらに含む、上記の態様30に記載の方法。
【0053】
34. 望ましくない特性を示すペプチドを単離する工程をさらに含む、上記の態様30に記載の方法。
【0054】
35. コラーゲン混合物を再構成する工程をさらに含む、上記の態様30に記載の方法。
【0055】
36. 増幅された少なくとも1つの選択された特性を有する層状の標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、少なくとも1つの選択された増幅特性を示すペプチドを有する第1の標的コラーゲン生成物を形成する工程;第1の標的コラーゲン生成物を含む第1のコラーゲン層を調製する工程;及び、第1のコラーゲン層を第2の層上に重ねる工程を含む、方法。
【0056】
37. 調製する工程が、第1の標的コラーゲン生成物をコラーゲン層に添加して、第1のコラーゲン層を形成することを含む、上記の態様36に記載の方法。
【0057】
38. 調製する工程が、第1のコラーゲン層として第1の標的コラーゲン生成物を形成することを含む、上記の態様36に記載の方法。
【0058】
39. 第2の層が第2のコラーゲン層である、上記の態様36に記載の方法。
【0059】
40. 第2のコラーゲン層が第2の標的コラーゲン生成物を含む、上記の態様39に記載の方法。
【0060】
41. 少なくとも1つの選択された増幅特性が、第1の標的コラーゲン生成物及び第1のコラーゲン層における第1の選択された増幅特性、並びに第2の標的コラーゲン生成物及び第2のコラーゲン層における第2の選択された増幅特性を含み;第1の選択された増幅特性が、第2の選択された増幅特性と異なる、上記の態様40に記載の方法。
【0061】
42. 第2の層が基材である、上記の態様36に記載の方法。
【0062】
43. 基材がコラーゲンを含まない、上記の態様42に記載の方法。
【0063】
44. 第1の増幅特性を含む第1の標的コラーゲン生成物を有する第1のコラーゲン層;及び第1のコラーゲン層に重なり、第2の増幅特性を含む第2の標的コラーゲン生成物を有する第2のコラーゲン層を含み、第1の増幅特性は第2の増幅特性とは異なる、層状の標的コラーゲン生成物。
【0064】
45. 第1の増幅特性及び第2の増幅特性が、創傷治癒、骨生成、血液凝固、器官足場、硬膜修復、神経修復、眼球修復、上皮修復、乳房修復、及び心臓血管修復、内皮修復からなる群から選択される用途を有する、上記の態様44に記載の生成物。
【0065】
46. 基材及び、前記基材に重なり、少なくとも1つの増幅特性を含む標的コラーゲン生成物を有するコラーゲン層を含む、層状の標的コラーゲン生成物。
【0066】
47. 基材が非改変のコラーゲンを含む、上記の態様46に記載の生成物。
【0067】
48. 少なくとも1つの選択された望ましくない特性が欠損した層状の標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、少なくとも1つの選択された望ましくない特性を示すペプチドをコラーゲンから取り除く工程によって第1の標的コラーゲン生成物を形成する工程;第1の標的コラーゲン生成物を含む第1のコラーゲン層を調製する工程;及び、第1のコラーゲン層を第2の層上に重ねる工程を含む、方法。
【0068】
49. 調製する工程が、第1の標的コラーゲン生成物をコラーゲン層に添加して第1のコラーゲン層を形成することを含む、上記の態様48に記載の方法。
【0069】
50. 調製する工程が、第1の標的コラーゲン生成物を第1のコラーゲン層として形成することを含む、上記の態様48に記載の方法。
【0070】
51. 第2の層が第2のコラーゲン層である、上記の態様48に記載の方法。
【0071】
52. 第2のコラーゲン層が第2の標的コラーゲン生成物を含む、上記の態様51に記載の方法。
【0072】
53. 少なくとも1つの選択された望ましくない特性が、第1の標的コラーゲン生成物及び第1のコラーゲン層における第1の選択された望ましくない特性、並びに第2の標的コラーゲン生成物及び第2のコラーゲン層における第2の選択された望ましくない特性を含み;並びに、第1の選択された望ましくない特性が、第2の選択された望ましくない特性とは異なる、上記の態様52に記載の方法。
【0073】
54. 第2の層が基材である、上記の態様48に記載の方法。
【0074】
55. 基材がコラーゲンを含まない、上記の態様54に記載の方法。
【0075】
56. 層状の標的コラーゲン生成物であって、第1の選択された望ましくない特性が欠損した第1の標的コラーゲン生成物を有する第1のコラーゲン層;及び、第1のコラーゲン層に重なり、第2の選択された望ましくない特性が欠損した第2の標的コラーゲン生成物を有する第2のコラーゲン層を含み、第1の選択された望ましくない特性が第2の選択された望ましくない特性とは異なる、生成物。
【0076】
57. 第1の選択された望ましくない特性及び第2の選択された望ましくない特性が、創傷治癒、骨生成、血液凝固、器官足場、硬膜修復、神経修復、眼球修復、上皮修復、乳房修復、及び心臓血管修復、内皮修復からなる群から選択される用途を有する、上記の態様56に記載の生成物。
【0077】
58. 層状の標的コラーゲン生成物であって、基材、及び前記基材に重なり、少なくとも1つの選択された望ましくない特性が欠損した標的コラーゲン生成物を有するコラーゲン層を含む、生成物。
【0078】
59. 基材が非改変のコラーゲンを含む、上記の態様58に記載の生成物。
【0079】
60. 増幅された望ましい特性を有する標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、望ましい特性を示すコラーゲンベースのペプチドを、コラーゲンを含むコラーゲン混合物に添加する工程、及びコラーゲン混合物を3D印刷して標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む、方法。
【0080】
61. コラーゲン混合物が、細胞及び増殖培地を含む、上記の態様60に記載の方法。
【0081】
62. 3D印刷する工程が、DLP、SLA、押し出し、バイオ印刷、及びインクジェット印刷からなる群から選択される操作を含む、上記の態様60に記載の方法。
【0082】
63. 標的コラーゲン生成物を後処理する工程をさらに含む、上記の態様60に記載の方法。
【0083】
64. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物に細胞を添加することを含む、上記の態様63に記載の方法。
【0084】
65. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物に増殖培地を添加することを含む、上記の態様63に記載の方法。
【0085】
66. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物に成長因子を添加することを含む、上記の態様63に記載の方法。
【0086】
67. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物から残留分子を抽出することを含む、上記の態様63に記載の方法。
【0087】
68. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物をUV硬化することを含む、上記の態様63に記載の方法。
【0088】
69. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物を熱処理することを含む、上記の態様63に記載の方法。
【0089】
70. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物を架橋することを含む、上記の態様63に記載の方法。
【0090】
71. 単離されたペプチドの望ましい特性が、創傷治癒、骨生成、血液凝固、器官足場、硬膜修復、神経修復、眼球修復、上皮修復、心臓血管修復、内皮修復、乳房修復、抗酸化剤、抗菌、抗炎症性活性、及び薬物の送達用からなる群から選択される用途を有する、上記の態様60に記載の方法。
【0091】
72. 添加する工程が、1つ又は複数の増幅ペプチドをコラーゲン混合物に添加することを含む、上記の態様60に記載の方法。
【0092】
73. 添加する工程が、コラーゲン混合物に1つ又は複数の増幅ペプチドを共有結合的に連結させることを含む、上記の態様72に記載の方法。
【0093】
74. 添加する工程が、コラーゲン混合物に1つ又は複数の増幅ペプチドを非共有結合的に連結させることを含む、上記の態様72に記載の方法。
【0094】
75. 1つ又は複数の非共有結合的に連結される増幅ペプチドが、一定期間にわたって放出される、上記の態様74に記載の方法。
【0095】
76. コラーゲン混合物のコラーゲンを改変する工程をさらに含む、上記の態様60に記載の方法。
【0096】
77. 改変する工程が、フリーラジカル、縮合反応及び開環重合基からなる群からの1つ又は複数を用いて実行される、上記の態様76に記載の方法。
【0097】
78. コラーゲン混合物のコラーゲンが可溶型コラーゲンである、上記の態様60に記載の方法。
【0098】
79. コラーゲン混合物のコラーゲンが不溶型コラーゲンである、上記の態様60に記載の方法。
【0099】
80. 添加する工程が、コラーゲン混合物に1つ又は複数のミネラルを添加することを含む、上記の態様60に記載の方法。
【0100】
81. 少なくとも1つのミネラルが、ヒドロキシアパタイト又はヒドロキシアパタイト様物質である、上記の態様80に記載の方法。
【0101】
82. 望ましくない特性が欠損した標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、コラーゲンを含むコラーゲン混合物から望ましくない特性を示すコラーゲンベースのペプチドを取り除く工程;及び、コラーゲン混合物を3D印刷して標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む、方法。
【0102】
83. 3D印刷する工程が、DLP、SLA、押し出し、バイオ印刷、及びインクジェット印刷からなる群から選択される操作を含む、上記の態様82に記載の方法。
【0103】
84. 標的コラーゲン生成物を後処理する工程をさらに含む、上記の態様82に記載の方法。
【0104】
85. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物に細胞を添加することを含む、上記の態様84に記載の方法。
【0105】
86. 後処理する工程が、増殖培地を標的コラーゲン生成物に添加することを含む、上記の態様84に記載の方法。
【0106】
87. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物に成長因子を添加することを含む、上記の態様84に記載の方法。
【0107】
88. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物から残留分子を抽出することを含む、上記の態様84に記載の方法。
【0108】
89. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物をUV硬化することを含む、上記の態様84に記載の方法。
【0109】
90. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物を熱処理することを含む、上記の態様84に記載の方法。
【0110】
91. 後処理する工程が、標的コラーゲン生成物を架橋することを含む、上記の態様84に記載の方法。
【0111】
92. コラーゲン混合物のコラーゲンを改変する工程をさらに含む、上記の態様82に記載の方法。
【0112】
93. 改変する工程が、フリーラジカル、縮合反応及び開環重合基からなる群からの1つ又は複数を用いて実行される、上記の態様92に記載の方法。
【0113】
94. コラーゲン混合物のコラーゲンが可溶型コラーゲンである、上記の態様82に記載の方法。
【0114】
95. コラーゲン混合物のコラーゲンが不溶型コラーゲンである、上記の態様82に記載の方法。
【0115】
96. 少なくとも1つのミネラルが、ヒドロキシアパタイト又はヒドロキシアパタイト様物質である、上記の態様94に記載の方法。
【0116】
97. 増幅された望ましい特性を有する標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、望ましい特性を示すコラーゲンベースのペプチドをコラーゲンに添加する工程;及び、コラーゲンを3D印刷して標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む、方法。
【0117】
98. 望ましくない特性が欠損した標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、コラーゲンから望ましくない特性を示すペプチドを取り除く工程;及び、標的コラーゲン生成物を形成するためにコラーゲンを3D印刷する工程を含む、方法。
【0118】
99. 増幅された望ましい特性を有する標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、細胞を遺伝子操作して改変コラーゲンを生成する工程;及び、改変コラーゲンを3D印刷して標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む、方法。
【0119】
100. 細胞が、原核細胞、真核細胞及び植物細胞からなる群から選択される、上記の態様99に記載の方法。
【0120】
101. コラーゲンを調達する工程をさらに含む、上記の態様60、82、97又は98のいずれか一項に記載の方法。
【0121】
102. コラーゲンを消化して、それからコラーゲンベースのペプチドを得る工程をさらに含む、上記の態様60、82、97又は98のいずれか一項に記載の方法。
【0122】
103. 望ましい特性又は望ましくない特性についてコラーゲンベースのペプチドを試験する工程をさらに含む、上記の態様102に記載の方法。
【0123】
104. 望ましい特性又は望ましくない特性を示すペプチドを単離する工程をさらに含む、上記の態様60、82、97又は98のいずれか一項に記載の方法。
【0124】
105. 1つ又は複数の成長因子をコラーゲン混合物に添加する工程をさらに含む、上記の態様60、82、97又は98のいずれか一項に記載の方法。
【0125】
106. 増幅された少なくとも1つの選択された特性を有する層状の標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、少なくとも1つの選択された増幅特性を示すペプチドを有する第1の標的コラーゲン生成物を形成する工程;第1の標的コラーゲン生成物を含む第1のコラーゲン層を調製する工程;及び、第1のコラーゲン層を第2の層上に重ねる工程を含む、方法。
【0126】
107. 調製する工程が、第1の標的コラーゲン生成物をコラーゲン層に添加して、第1のコラーゲン層を形成することを含む、上記の態様106に記載の方法。
【0127】
108. 調製する工程が、第1の標的コラーゲン生成物を第1のコラーゲン層として形成することを含む、上記の態様106に記載の方法。
【0128】
109. 第2の層が、第2の標的コラーゲン生成物を含む第2のコラーゲン層である、上記の態様106に記載の方法。
【0129】
110. 少なくとも1つの選択された増幅特性が、第1の標的コラーゲン生成物及び第1のコラーゲン層における第1の選択された増幅特性、並びに第2の標的コラーゲン生成物及び第2のコラーゲン層における第2の選択された増幅特性を含み;第1の選択された増幅特性が、第2の選択された増幅特性とは異なる、上記の態様109に記載の方法。
【0130】
111. 第2の層がコラーゲンを含まない基材である、上記の態様106に記載の方法。
【0131】
112. 第1の増幅特性を含む第1の標的コラーゲン生成物を有する第1のコラーゲン層、及び第1のコラーゲン層に重なる第2の層を含む、層状の標的コラーゲン生成物。
【0132】
113. 第2の層が、第2の増幅特性を含む第2の標的コラーゲン生成物を有する第2のコラーゲン層であり;第1の増幅特性が、第2の増幅特性とは異なる、上記の態様112に記載の層状の標的コラーゲン生成物。
【0133】
114. 第1の増幅特性及び第2の増幅特性が、創傷治癒、骨生成、血液凝固、器官足場、硬膜修復、神経修復、眼球修復、上皮修復、乳房修復、及び心臓血管修復、内皮修復からなる群から選択される用途を有する、上記の態様113に記載の層状の標的コラーゲン生成物。
【0134】
115. 第2の層が基材である、上記の態様112に記載の層状の標的コラーゲン生成物。
【0135】
116. 基材が非改変のコラーゲンを含む、上記の態様115に記載の層状の標的コラーゲン生成物。
【0136】
117. 少なくとも1つの選択された望ましくない特性が欠損した層状の標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、コラーゲンから少なくとも1つの選択された望ましくない特性を示すペプチドを取り除くことによって第1の標的コラーゲン生成物を形成する工程;第1の標的コラーゲン生成物を含む第1のコラーゲン層を調製する工程;及び、第1のコラーゲン層を第2の層上に重ねる工程を含む、方法。
【0137】
118. 調製する工程が、第1の標的コラーゲン生成物をコラーゲン層に添加して第1のコラーゲン層を形成することを含む、上記の態様117に記載の方法。
【0138】
119. 調製する工程が、第1の標的コラーゲン生成物を第1のコラーゲン層として形成することを含む、上記の態様117に記載の方法。
【0139】
120. 第2の層が、第2の標的コラーゲン生成物を含む第2のコラーゲン層である、上記の態様117に記載の方法。
【0140】
121. 少なくとも1つの選択された望ましくない特性が、第1の標的コラーゲン生成物及び第1のコラーゲン層における第1の選択された望ましくない特性、並びに第2の標的コラーゲン生成物及び第2のコラーゲン層における第2の選択された望ましくない特性を含み;第1の選択された望ましくない特性が、第2の選択された望ましくない特性とは異なる、上記の態様120に記載の方法。
【0141】
122. 第2の層がコラーゲンを含まない基材である、上記の態様117に記載の方法。
【0142】
123. 第1の選択された望ましくない特性が欠損した第1の標的コラーゲン生成物を有する第1のコラーゲン層、及び第1のコラーゲン層に重なる第2の層を含む、層状の標的コラーゲン生成物。
【0143】
124. 第2の層が、第2の選択された望ましくない特性が欠損した第2の標的コラーゲン生成物を有する第2のコラーゲン層であり;第1の選択された望ましくない特性が、第2の選択された望ましくない特性とは異なる、上記の態様123に記載の層状の標的コラーゲン生成物。
【0144】
125. 第1の選択された望ましくない特性及び第2の選択された望ましくない特性が、創傷治癒、骨生成、血液凝固、器官足場、硬膜修復、神経修復、眼球修復、上皮修復、乳房修復、及び心臓血管修復、内皮修復からなる群から選択される用途を有する、上記の態様124に記載の生成物。
【0145】
126. 第2の層が基材である、上記の態様123に記載の層状の標的コラーゲン生成物。
【0146】
127. 基材が非改変のコラーゲンを含む、上記の態様126に記載の層状の標的コラーゲン生成物。
【0147】
128. 増幅された望ましい特性を有する標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、望ましい特性を示すペプチドをコラーゲンに添加して標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む、方法。
【0148】
129. コラーゲンを消化して、それから望ましい特性を示すペプチドを得る工程をさらに含む、上記の態様128に記載の方法。
【0149】
130. 消化する工程のためにコラーゲンを調達する工程をさらに含み、調達する工程が真核生物又は遺伝子改変原核生物からコラーゲンを得ることを含む、上記の態様129に記載の方法。
【0150】
131. 望ましい特性についてペプチドを試験する工程をさらに含む、上記の態様129に記載の方法。
【0151】
132. 望ましい特性を示すペプチドを単離する工程をさらに含む、上記の態様131に記載の方法。
【0152】
133. 添加する工程が、望ましい特性を示すペプチドを混合物に添加して、コラーゲンを標的コラーゲン生成物に再構成することを含む、上記の態様128に記載の方法。
【0153】
134. 再構成されたコラーゲンが、望ましい特性を示すペプチドの放出プロファイルを制御できるように、添加する工程が実行される、上記の態様133に記載の方法。
【0154】
135. 添加する工程が、望ましい特性を示すペプチドをインタクトなコラーゲンに添加することを含む、上記の態様128に記載の方法。
【0155】
136. ペプチドの望ましい特性が、創傷治癒、骨生成、血液凝固、器官足場、硬膜修復、神経修復、眼球修復、上皮修復、乳房修復、及び心臓血管修復、及び内皮修復からなる群から選択される用途を有する、上記の態様128に記載の方法。
【0156】
137. 望ましくない特性が欠損した標的コラーゲン生成物を形成するための方法であって、コラーゲンから望ましくない特性を示すペプチドを取り除いて、標的コラーゲン生成物を形成する工程を含む、方法。
【0157】
138. コラーゲンを消化して、それから望ましくない特性を示すペプチドを得る工程をさらに含む、上記の態様137に記載の方法。
【0158】
139. 望ましくない特性についてペプチドを試験する工程をさらに含む、上記の態様138に記載の方法。
【0159】
140. 望ましくない特性を示すペプチドを単離する工程をさらに含む、上記の態様139に記載の方法。
【0160】
141. 取り除く工程が、混合物から望ましくない特性を示すペプチドを取り除いて、コラーゲンを標的コラーゲン生成物に再構成することを含む、上記の態様137に記載の方法。
【0161】
142. 取り除く工程が、望ましくない特性を示すペプチドをインタクトなコラーゲンから取り除くことを含む、上記の態様137に記載の方法。
【0162】
143. コラーゲンを増幅するためにCHP又はCMPペプチドを添加することをさらに含み、CHP又はCMPペプチドが合成されたものである、上記の態様のいずれか一項に記載の方法。
【0163】
144. CHP又はCMPペプチドが、一本鎖ペプチド、二本鎖ペプチド及び三本鎖ペプチドからなる群から選択される、態様143に記載の方法。
【0164】
145. CHP又はCMPペプチドが重合基又は反応性基で改変され、それによってコラーゲン又は改変コラーゲンに結合することができる、態様144に記載の方法。
【0165】
本発明の実施形態がさらに記載されるが、決して以下の図面によって限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【
図1】本発明の第1の実施形態による方法のフローチャートを示す図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態による方法のフローチャートを示す図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態による方法のフローチャートを示す図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態による方法のフローチャートを示す図である。
【
図5】本発明の第5の実施形態による方法のフローチャートを示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、多層コラーゲン生成物の概略図を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、基材及びコラーゲン層を含むハイブリッド医療生成物の概略図を示す図である。
【
図8】本発明の第6の実施形態による方法のフローチャートを示す図である。
【
図9】本発明の第7の実施形態による方法のフローチャートを示す図である。
【
図10】本発明の第8の実施形態による方法のフローチャートを示す図である。
【
図11】本発明の第9の実施形態による方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0167】
以下でさらに説明するように、本開示による方法(100)の第1の例示的な実施形態のフローチャートである
図1を参照されたい。
【0168】
コラーゲンは、処理のために動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ)又はヒト源から調達される(110)か、微生物又は遺伝子操作された細胞から遺伝子操作される。この用途のために調達できるコラーゲン組織の例としては、真皮、腱、腹膜組織、心膜、軟骨が挙げられる。骨は、さらに消化され、分画されるコラーゲンの供給源にもなる。コラーゲンのタイプは、任意のタイプのコラーゲン、例えばタイプ1、タイプ3など、又は遺伝子改変変異体であり得る。もちろん、遺伝子操作された微生物からもコラーゲンを得ることができることも認識されている。
【0169】
コラーゲンを消化し、分画し(120)、コラーゲンをその構成フラグメント又はペプチドに分解する。そのようなペプチドには、例えば、P20及びP35が含まれる。市販の調製は、通常、次の5つの方法のいずれかによって達成される:(1)アルカリ加水分解;(2)酵素加水分解(例えば、ペプシン、パパイン、コラゲナーゼ、パンクレアチンなどを使用して);(3)酸加水分解;(4)化学・酵素のハイブリッド法;(5)発酵による合成。加水分解されたコラーゲンは、限外濾過膜を使用してさらに分画される。様々な実施形態において、ペプチドは、ペプチド合成機において合成される。
【0170】
異なるペプチドは、特定の医療用途における治療用法に対するより高い親和性のような、望ましい/望まれる属性/特性を付与する異なる生物学的特徴を有する。一実施形態では、コラーゲン組織の消化及び断片化の後、コラーゲン画分/ペプチドのそれぞれは、例えば、創傷治癒、血液凝固、骨形成/骨生成、美容用途、器官再生のための足場、抗酸化剤としての使用、抗菌及び/又は抗炎症性活性、並びにインスリンやメチレンブルーなどの薬物の送達のために有用な属性/特性などの、様々な生物学的特徴について試験され(130)、より低い吸水性が示される。
【0171】
様々な実施形態において、コラーゲンは、アッセイに供されることによって試験される。このようなアッセイには、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、H.Yasminら、酵素及び蛍光性反応による増幅された及び選択的なコラーゲンのアッセイ、Scientific Reports、4:4950、2014年5月13日に記載されるような、新規の蛍光試薬、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(3,4-DHPAA)を使用した生物学的試料中の全コラーゲンのアッセイが含まれる。細胞アッセイは、刺激活性、骨誘導又は骨伝導を決定するために、例えば骨生成などの細胞活性を決定するために使用することができる。別のアッセイは、創傷治癒のための血液アッセイによるペプチドの凝固能であり得る。
【0172】
この方法のいくつかの実施形態では、コラーゲン画分/ペプチドの試験(130)は1回だけ遂行される。この方法の他の実施形態では、そのような試験は2回以上遂行することができる。さらに他の実施形態では、例えば、コラーゲン画分/ペプチドの生物学的特徴がすでに知られている場合、試験は遂行されない。
【0173】
アッセイ又はその他の試験の実行に続いて、その結果に基づいて、又は、事前の試験からすでに知られている場合には、例えば、軟組織の創傷治癒を促進するなどの特定の望ましい/望まれる特徴を有するコラーゲン画分/ペプチドを特定、単離(140)、及び再構成されたコラーゲン生成物への添加のために選択する。最初に、皮膚、骨、腱、又は靭帯などのコラーゲンの天然の供給源を、当技術分野で周知の方法によって掃除、洗浄し、非コラーゲン性不純物を除去する(例えば、米国特許第5,512,291号及びOneson、ら、J.Am.Leather Chemists Assoc. 65:440~450、1970年を参照されたい;これらの両方は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。精製処理から得られた繊維は、再構成されたコラーゲンマトリックスにさらに処理される。再構成されたコラーゲンマトリックスは、以下の一般的な工程を使用して形成することができる:a)生体高分子繊維を含む水性分散体を形成する;b)繊維を再構成する;c)再構成させた繊維を回転マンドレル上で配向させて管状の膜を形成するか、シートを製造する場合にはそれらを平らなシート状に形成する;d)水和繊維を圧縮して、過剰の溶液を除去し、望ましい密度又は厚さにする;e)繊維を乾燥する;及びf)膜を架橋する。(例えば、米国特許第6,391,333号、第6,599,524号、及び第7,807,192号を参照されたい;これらの全ては参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0174】
選択されたコラーゲン画分/ペプチドを混合物に添加して(150)、コラーゲンを、軟組織創傷治癒を標的とするコラーゲンのような、単離された画分/ペプチドの増幅された望ましい特性を有する「標的コラーゲン」に再構成する。様々な実施形態において、コラーゲン画分又は合成コラーゲンペプチド(例えば、CHP又はCMP)は、一本鎖、二本鎖、又は三本鎖ペプチドであり得る。
【0175】
一つの実施形態では、選択された分画された生物活性ペプチドは、再構成されたコラーゲン処理を実行する前に添加され、処理の間に再構成されたコラーゲンに架橋される。生物活性ペプチドを再構成コラーゲンに添加することの代替として、再構成コラーゲンの処理の後に、そのようなペプチドを添加して、生物活性ペプチドがコラーゲンに共有結合的に連結されるのではなく、再構成されたコラーゲンから時間の経過とともに放出できるようにする。他の代替的な実施形態において、生物活性ペプチドは、コラーゲンが再構成された後に、再構成されたコラーゲンに共有結合的に連結される。別の実施形態において、コラーゲンがその生物活性特性を持たないように、生物活性ペプチドを再構成する前に除去することができる。別の実施形態において、画分が単独で、医療デバイスに再構成される。これらの工程の組み合わせ及びバリエーションもまた、可能である。
【0176】
図2は、コラーゲンがその生物活性特性を持たないように、生物活性ペプチドが再構成される前に除去される方法(200)の実施形態を説明する。コラーゲンの一部を除去したことにより、残りのコラーゲンが生物活性ペプチド配列を有する可能性があり、それによって、再構成後にその生物活性配列を実際に濃縮する。この方法は、コラーゲンを調達すること(210)、コラーゲンを消化及び分画しペプチドを得ること(220)を含む、いくつかの
図1に示す方法(100)及び上記で議論した方法と同じ工程を含む。その後、分画されたコラーゲンペプチドを望ましくない特徴/特性について試験し(235)、次いで、そのような望ましくない特徴/特性を有するペプチドを単離し(240)、及びコラーゲン混合物から取り除く(255)。その後、コラーゲン混合物を再構成して(260)、標的コラーゲン生成物を形成する。別の実施形態においては、コラーゲン混合物は再構成されず、取り除く工程(255)の完了時に標的コラーゲン生成物が形成される。
【0177】
図3は、コラーゲンを標的コラーゲン生成物に再構成するために、望ましい特徴/特性を有する分画されたコラーゲンペプチドを混合物に添加する工程(350)を含む方法(300)の別の実施形態を説明する。様々な実施形態において、方法(300)は、
図1に説明され、その関連する方法(100)とのつながりで上記において議論したような添加の工程を含むことができる。
【0178】
図4は、標的コラーゲン生成物を形成するために、混合物から望ましくない特徴/特性を有する分画されたコラーゲンペプチドを取り除く工程(455)を含む方法(400)のさらなる別の実施形態を説明する。様々な実施形態において、方法(400)は、
図2に説明され、その関連する方法(200)とのつながりで上記において議論したような添加の工程を含むことができる。
【0179】
また、本明細書では、コラーゲン層及び表面コーティング(「層」という用語は、層及び表面コーティングの両方を含むように本明細書で使用される)を開示し、ここで、コラーゲンは、(上記の実施形態で議論されるように)種々の医療用途のための選択的特性を付与されている。また、多層コラーゲン生成物、層状コラーゲン/基材生成物、及びそれらを形成する方法も、本明細書に開示される。
【0180】
開示された発明の様々な実施形態において、コラーゲンは、各層が特徴及び/又はアミノ酸含有量が異なる再構成されたコラーゲンを含むように積層される。層は、創傷治癒処理又は骨修復処理のような生物学的処理の様々な段階で有用となるアミノ酸配列を多かれ少なかれ含むことができる。層は、各層が異なる物理的特徴又は生物活性を有するように、各層が異なる量のコラーゲン繊維を有するように、処理時にコラーゲン繊維をより速い速度又はより遅い速度で再構成することを可能にするアミノ酸配列を含むことができる。
【0181】
様々な実施形態において、コラーゲンの層は、成長因子、生物活性ペプチド、ステロイド、抗生物質、腫瘍学、GI、心臓血管、腎性、抗ウイルス、RNA、中枢神経系(CNS)、神経筋などの医薬品有効成分(API)が含浸されており、適用又は移植後に患者の領域の疾患又は損傷部分の中又はその上にAPIを放出することができる。
【0182】
ここで
図5を参照する;以下でさらに説明するように、
図5は、本開示による方法(500)の別の例示的な実施形態のフローチャートである。方法(500)は、
図1に示され、上記で議論した方法(100)の同じ工程のいくつかを含み、コラーゲン(510)を調達すること、コラーゲン(520)を消化及び分画してペプチドを得ること、コラーゲン画分/ペプチド(530)のそれぞれを種々の生物学的特徴について試験すること、特定の望ましい/望まれる特徴を有するコラーゲン画分/ペプチドを単離する(140)こと、並びに選択されたコラーゲン画分/ペプチド(550)を混合物に添加して、コラーゲンを、単離された画分/ペプチドの増幅された望ましい特性を有する「標的コラーゲン」、例えば軟組織の創傷治癒を標的としたコラーゲンに再構成することを含む。合成的に生成されたペプチド(すなわち、CHP及び/又はCMP)は、様々な実施形態において代替的に使用することができる。
【0183】
この方法のいくつかの実施形態では、コラーゲン画分/ペプチドの試験(530)は1回だけ遂行される。この方法の他の実施形態では、そのような試験は2回以上遂行することができる。さらに他の実施形態では、例えば、コラーゲン画分/ペプチドの生物学的特徴がすでに知られている場合、試験は遂行されない。
【0184】
一実施形態では、選択された分画された生物活性ペプチドは、再構成されたコラーゲン処理を実行する前に添加され、処理中に再構成されたコラーゲンに架橋される。生物活性ペプチドを再構成されたコラーゲンに添加することの代替としては、生物活性ペプチドがコラーゲンに共有結合的に連結されるのではなく、再構成されたコラーゲンから、時間の経過とともに、放出できるようにするように、再構成コラーゲンの処理後にそのようなペプチドを添加する。他の代替的な実施形態において、生物活性ペプチドは、コラーゲンが再構成された後に、再構成されたコラーゲンに共有結合的に連結される。他の実施形態において、生物活性ペプチドは、再構成されていないコラーゲンに添加される。別の実施形態においては、コラーゲンがその生物活性特性を持たないように、生物活性ペプチドを再構成する前に除去することができる。別の実施形態では、コラーゲンの一部を除去して、残留している生物活性部位の濃度を高める。この部分は、その後、再構成してデバイスを形成する。これらの工程の組み合わせやバリエーションもまた、可能である。
【0185】
様々な実施形態において、コラーゲン生成物が上記の工程に従って形成された後(再構成されたかどうかにかかわらずに)、それは1つ又は複数の層として形成され得るか、又は1つ又は複数の層に添加され得る(560)。この層形成工程又は層化工程(560)により、コラーゲン増幅が、層様式に操作されることが可能となる。言い換えれば、選択された分画された生物活性ペプチドは、コラーゲンに添加されて標的コラーゲンを形成し、その後、生物学的処理の制御を容易にするために1つ又は複数の層として形成される。
【0186】
いくつかの実施形態では、標的コラーゲン生成物層の2つ以上を互いに重ね合わせて、ラミネートのような層状コラーゲン生成物を形成する。3つのコラーゲン層CL1、CL2及びCL3を有する層状コラーゲン生成物CPを説明する
図6を参照されたい。様々な実施形態において、異なる標的コラーゲン層CL1、CL2及びCL3は、異なる生物活性特徴を有するように操作される。非限定的な例として、異なるコラーゲン層は、異なる放出時間を有するように「プログラム」することができ、例えば、薬剤、タンパク質、又は他の生物活性物質を含浸させるか、選択的に吸収し、1つ又は複数の層内の生物学的環境から放出することができる。
【0187】
他の実施形態において、標的コラーゲン層は、標的コラーゲン層ではない基材又は他の表面をコーティング又は接触させるために使用される。基材S及びコラーゲン層CLを有する層状のハイブリッド生成物CPを説明する
図7を参照されたい。コラーゲン層CLは、本明細書に記載の方法に従って形成された標的コラーゲン生成物を構成するか、又は含む一方で、基材Sは、未処理のコラーゲン又は任意の他の生体適合性材料であり得る。非限定的な例として、前述の方法を使用して、骨形成タンパク質(BMP)に結合して骨芽細胞の増殖を引き起こす選択されたペプチドで増幅されたコラーゲン層CLを形成することができ、基材Sはコラーゲン層CLが堆積された整形外科用インプラントの外面である。さらなる実施形態において、インプラント表面/基材Sとは反対側のコラーゲン層CL上に表面コーティング(図示せず)が形成される。表面コーティングは、患者の周囲の組織から骨芽細胞を動員するために、表面に高濃度のアルファ2ベータ1を結合するように設計される。一度、表面コーティングに動員されると、骨芽細胞は、下部にある増幅されたコラーゲン層CLに移動し、そのペプチドはBMPに結合して、動員された骨芽細胞を増殖させる。様々な実施形態において、基材Sは、本明細書に開示される方法に従って改変されていないコラーゲン(すなわち、非改変のコラーゲン)を含む。
【0188】
上記の方法の他の実施形態において、生物活性ペプチドは、得られたコラーゲン生成物がその生物活性特性を有さないように、コラーゲンから除去される(添加されることとは反対に)。コラーゲンは、再構成されていても、されていなくてもよい。
【0189】
したがって、特定のコラーゲン画分/ペプチドを含む標的コラーゲン生成物は、特定の医療用途向けに設計され、コラーゲン層として提供又は形成される。例えば、標的コラーゲン生成物層は、血液凝固、骨形成/骨生成、乳房修復又は創傷治癒に対処するために、このように設計することができる。プログラムされた多層コラーゲン生成物は、上に記載のように、層が異なる生物活性特徴及び機能を有するように、異なるコラーゲン層中の異なる特定のコラーゲン画分/ペプチドで作成することができる。
【0190】
さらに、層状の標的コラーゲン生成物は、上記に記載の処理、並びに当技術分野で知られている任意の1つ又は複数の付加的な処理から形成されてもよいことが認識される。
【0191】
ここで
図8を参照するが、この図は、以下でさらに説明するように、本開示による方法(600)の別の例示的な実施形態のフローチャートである。方法(600)は、コラーゲンを調達すること(610)、コラーゲンを消化及び分画してペプチドを得ること(620)、コラーゲン画分/ペプチドのそれぞれを種々の生物学的特徴について試験すること(630)、及び特定の望ましい/望まれる特徴を有するコラーゲン画分/ペプチドを単離すること(640)を含み、
図1に示す方法(100)及び上記で議論した方法のいくつかの同じ工程を含む。
【0192】
この方法のいくつかの実施形態では、コラーゲン画分/ペプチドの試験(630)は、1回だけ遂行される。この方法の他の実施形態では、そのような試験は2回以上遂行することができる。さらに他の実施形態では、例えば、コラーゲン画分/ペプチドの生物学的特徴がすでに知られている場合には、試験は遂行されない。
【0193】
既知のコラーゲン模倣ペプチド(CMP)、単一、二重、及び三重らせんCMPは、ペプチド合成によって合成的に作ることができる。このようなCMPはまた、様々な実施形態において再構成されたコラーゲンマトリックスに添加することができる。
【0194】
選択されたコラーゲン画分/ペプチドを3D印刷可能なコラーゲン混合物に添加して(665)、コラーゲン混合物を3D印刷し(670)、軟組織の創傷治癒を標的とするコラーゲンのような、単離された画分/ペプチドの増幅した望ましい特性を有する「標的コラーゲン」を形成する。
【0195】
一実施形態では、選択された分画された生物活性ペプチドは、3D印刷コラーゲン処理を実行する前に添加され、印刷処理中にコラーゲンに架橋される。印刷されたコラーゲンに生物活性ペプチドを添加するための1つの代替手段としては、印刷されたコラーゲンの処理後にそのようなペプチドを添加することであって、それにより、生物活性ペプチドがコラーゲンに共有結合的に連結するのではなく、時間の経過とともに再構成されたコラーゲンから放出することができるようにすることである。他の代替的な実施形態において、生物活性ペプチドは、コラーゲンが印刷された後又は印刷されている間に、印刷されたコラーゲンに共有結合的に連結される。別の実施形態では、コラーゲンがその生物活性特性を有さないようにするために、生物活性ペプチドは、印刷される前に除去することができる。これらの工程の組み合わせ及びバリエーションもまた、可能である。
【0196】
図9は、コラーゲンがその生物活性特性を有さないように、3D印刷される前に生物活性ペプチドが除去される方法(700)の別の実施形態を説明している。この方法には、コラーゲンを調達すること(710)、コラーゲンを消化及び分画してペプチドを得ること(720)、コラーゲン画分/ペプチドのそれぞれを種々の望ましくない生物特徴について試験すること(735)、望ましくない特徴を有するコラーゲン画分/ペプチドを単離すること(740)、及びコラーゲン混合物から望ましくない特徴を有するコラーゲン画分/ペプチドを取り除くこと(755)を含む、
図2に示す方法(200)及び上記で議論した方法のいくつかの同じ工程が含まれる。その後、コラーゲン混合物を3D印刷して(770)、標的コラーゲン生成物を形成する。
【0197】
図10は、望ましい特徴/特性を有する分画されたコラーゲンペプチドを混合物に添加する工程(850)を含む方法(800)の別の実施形態を説明している。その後、コラーゲン混合物を3D印刷して(870)、標的コラーゲン生成物を形成する。様々な実施形態において、方法(800)は、
図8で説明されるような付加的な工程、及びその関連する方法(600)とのつながりで上記において議論した付加的な工程を含むことができる。
【0198】
図11は、混合物から望ましくない特徴/特性を有する分画されたコラーゲンペプチドを取り除いて標的コラーゲン生成物を形成する工程(955)を含む方法(900)のさらなる別の実施形態を説明している。その後、コラーゲン混合物を3D印刷して(970)、標的コラーゲン生成物を形成する。様々な実施形態において、方法(900)は、
図9で説明されるような付加的な工程、及びその関連する方法(700)とのつながりで上記において議論したような、付加的な工程を含むことができる。
【0199】
様々な実施形態において、生物活性ペプチドは、一度、決定されると、遺伝子改変によってコラーゲンに添加又はコラーゲンから取り除くことができる。DNA又はRNAは、様々なCRISPR技術並びに亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、又は転写活性化因子様エンドヌクレアーゼ(TALENS)を介して改変することができる。改変コラーゲンが細胞内で合成されると、改変コラーゲンは従来の手段によって単離することができる。様々な実施形態において、生物活性ペプチドは、遺伝子改変から除去される(添加されるのではなく)。
【0200】
したがって、特定のコラーゲン画分/ペプチドを含む標的コラーゲン生成物は、特定の医療用途のために設計されている。例えば、標的コラーゲン生成物は、血液凝固、骨形成/骨生成、乳房修復、又は創傷治癒に対処するために、このように設計され得る。
【0201】
いくつかの実施形態において、望ましい特性を有するペプチドを単離することもでき、インタクトなコラーゲンに添加又は取り除くこともできる。例えば、標的コラーゲン生成物が止血製品に使用されることが意図されている場合、血液凝固特性は、そのような標的コラーゲン生成物から添加又は濃縮され得る。一実施形態では、コラーゲンはインタクトなものである。
【0202】
様々な実施形態において、増幅ペプチドは、共有結合的に、イオン結合的に、水素結合されて、若しくは疎水性会合を介してコラーゲンに連結され、及び/又は時間の経過とともにコラーゲンから放出されることが可能である。別の実施形態において、増幅ペプチドは、時間の経過とともに放出できるように生分解性担体とともに製剤化させることができる。
【0203】
他の実施形態において、増幅ペプチドは、生物活性タンパク質の薬物動態又は放出特性に影響を与えるように、再構成されたコラーゲンに添加されるか、又は再構成されたコラーゲンから取り除かれる。コラーゲンは、生物活性タンパク質又はペプチドの放出に影響を与えるように遺伝子改変することもできる。添加できる生物活性タンパク質の例としては、BMP、PDGF、BDNF、EGF、VEGF、NGF、TNFなどが挙げられる。
【0204】
いくつかの実施形態において、増幅されたペプチドを有する標的コラーゲンは、遺伝子操作された原核生物及び真核生物によって産生され得る。このコラーゲンは、処理を介してさらに単離される。
【0205】
もちろん、複数の望ましい特性が、標的コラーゲンの内又は外で操作され得ることが認識される。例えば、皮膚の創傷治癒においては、生物活性ペプチドを介したコラーゲンの増幅を凝固、上皮成長、及びより速い吸収のために添加することができる。凝固試験は、この処理を誘導するペプチドを特定することができ、上皮細胞アッセイは、細胞活性の生物活性ペプチドを特定することができ、及び酵素コラゲナーゼによって標的とされるペプチドは、コラーゲン吸収を増加させるために添加することができる。
【0206】
さらに、標的コラーゲン生成物は、上記の処理、並びに当技術分野で知られている任意の1つ又は複数の付加的な処理から形成されてもよいことが認識される。
【0207】
一般的に、本明細書に記載の開示された特質、成分、及び方法の任意の組み合わせが可能である。方法の工程は、物理的に可能である任意の順序で実行することができる。
【0208】
全ての引用文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0209】
実施形態が開示されたが、本発明はそれによって限定されない。