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特許7612850ピリジニルフェニル化合物の結晶及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】ピリジニルフェニル化合物の結晶及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/73 20060101AFI20250106BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20250106BHJP
   A61K 31/4418 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
C07D213/73
A61P27/02
A61K31/4418
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023519557
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2021121466
(87)【国際公開番号】W WO2022063325
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】202011044638.7
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521077875
【氏名又は名称】チューハイ ユナイテッド ラボラトリーズ シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】ZHUHAI UNITED LABORATORIES CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ポン
(72)【発明者】
【氏名】リー、シアオリン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、チー
(72)【発明者】
【氏名】ホー、ハイイン
(72)【発明者】
【氏名】フー、クオピン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チエン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シューホイ
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/125659(WO,A1)
【文献】平山令明,有機化合物結晶作製ハンドブック,2008年,pp.17-23,37-40,45-51,57-65
【文献】BYRN, S. et al.,Pharmaceutical Solids: A Strategic Approach to Regulatory Considerations,Pharmaceutical Research,1995年,Vol.12, No.7,pp.945-954
【文献】SAVJANI, K.T. et al.,Drug Solubility: Importance and Enhancement Techniques,International Scholarly Research Network ISRN Pharmaceutics,2012年,Vol.2012,p.1-10
【文献】Mino R. CAIRA,CRYSTALLINE POLYMORPHISM OF ORGANIC COMPOUNDS,TOPICS IN CURRENT CHEMISTRY,ドイツ,SPRINGER,1998年,vol.198,p.163-208,http://link.springer.com/chapter/10.1007%2F3-540-69178-2_5?LI=true#page-1
【文献】高田則幸,創薬段階における原薬Formスクリーニングと選択,PHARM STAGE,Vol. 6, No. 10,2007年01月15日,pp. 20-25
【文献】芦澤一英,医薬品の多形現象と晶析の化学,2002年,pp.273,278,305-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/73
A61K 31/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.231±0.200°、17.058±0.200°、及び18.955±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)で表される化合物のB型結晶。
【化1】
【請求項2】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.231±0.200°、17.058±0.200°、18.955±0.200°、21.712±0.200°、及び25.678±0.200°において特徴的な回折ピークを有する、請求項1に記載のB型結晶。
【請求項3】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.231±0.200°、12.068±0.200°、16.505±0.200°、17.058±0.200°、18.955±0.200°、21.712±0.200°、24.242±0.200°、及び25.678±0.200°において特徴的な回折ピークを有する、請求項2に記載のB型結晶。
【請求項4】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.083±0.200°、8.231±0.200°、11.294±0.200°、12.068±0.200°、14.091±0.200°、16.505±0.200°、17.058±0.200°、18.955±0.200°、21.712±0.200°、24.242±0.200°、25.678±0.200°、及び30.869±0.200°において特徴的な回折ピークを有する、請求項3に記載のB型結晶。
【請求項5】
粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.083°、8.231°、11.294°、12.068°、14.091°、14.806°、16.505°、17.058°、18.202°、18.955°、21.712°、22.182°、23.903°、24.242°、24.653°、25.350°、25.678°、26.270°、27.001°、27.658°、29.052°、29.721°、30.869°、34.644°、及び35.009°において特徴的な回折ピークを有する、請求項4に記載のB型結晶。
【請求項6】
XRPDスペクトルは表2に示される通りである、

請求項5に記載のB型結晶。
【請求項7】
示差走査熱量曲線は101.7±3.0℃及び158.7±3.0℃のそれぞれにおいて1つの吸熱ピークの開始点を有する、又は
熱重量分析曲線は120.00℃±3.0℃の際に重量が5.477%減少する、請求項1~6のいずれか1項に記載のB型結晶。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載のB型結晶含む、ドライアイを治療するための医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は下記の優先権を主張する:
【0002】
CN202011044638.7、出願日は:2020年09月28日である。
【0003】
本発明はピリジニルフェニル化合物の結晶及びその製造方法に関し、更に、関連疾患を治療するための医薬の製造における前記結晶の使用を含む。
【背景技術】
【0004】
ドライアイは、乾性角結膜炎としても称され、何らかの理由で異常な涙液の質又は量、或いは躍動性の異常を引き起こして、涙液の安定性の低下を引き起こし、それに伴う眼の不快感(又は)眼表面組織病変をもたらす様々な疾病の総称である。具体的な不快感の症状では、目の刺激、視覚障害及び涙液層の不安定性などが挙げられる。これらの症候群の一部は、眼表面の炎症によって引き起こされ、涙腺機能の喪失をもたらす。更に、全身性自己免疫とも関連している。
【0005】
マロンジアルデヒド(MDA)、4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4HNE)などの一部の有毒なアルデヒドは、代謝メカニズムなどを通じて体内又は眼の組織・臓器によって生成され、これらのアルデヒドが、タンパク質、炭水化物、油脂及びDNAと高度に反応することによって、生体分子が化学修飾され、NF-kappaBなどの炎症分子調節因子の活性化をもたらし、異なる臓器の損傷を促するが、これは、ドライアイ症候群の原因の1つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は研究により、低分子薬物は点眼薬の形で眼の炎症部位に入り、体内のアルデヒドと錯体形成反応を起こし、それによって、アルデヒドの毒性を減らし、炎症を減らし、ドライアイの治療効果を達成する。式(II)で表される化合物は良好な化学的安定性を有し、水和物の1分子は結晶水であり、緻密な結晶形態で配置され、式(II)で表される化合物は体内及び体外でいずれも活性アルデヒド分子を十分に複合化でき、角膜によく浸透し、抗炎症の役割を果たしてドライアイを治療でき、動物に点眼薬を投与した後、全ての最高濃度の式(II)で表される化合物の点眼薬は、動物にいかなる不快感の起こさず、潜在的な医薬開発において安全で有効な特性を持っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.14±0.20°、12.46±0.20°、18.87±0.20°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物のA型結晶を提供する。
【0008】
【化1】
【0009】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.14±0.20°、12.46±0.20°、15.99±0.20°、17.06±0.20°、18.87±0.20°、20.25±0.20°、21.41±0.20°、25.00±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0010】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.14±0.20°、10.11±0.20°、12.46±0.20°、14.35±0.20°、15.99±0.20°、17.06±0.20°、18.87±0.20°、20.25±0.20°、21.41±0.20°、25.00±0.20°において特徴的な回折ピークを有する。
【0011】
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.142±0.200°、12.456±0.200°、18.868±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物のA型結晶を提供する。
【0012】
【化2】
【0013】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.142±0.200°、12.456±0.200°、15.993±0.200°、17.057±0.200°、18.868±0.200°、20.249±0.200°、21.413±0.200°、24.995±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0014】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.142±0.200°、12.456±0.200°、14.347±0.200°、15.993±0.200°、17.057±0.200°、18.868±0.200°、20.249±0.200°、21.413±0.200°、24.995±0.200°、25.897±0.200°、29.566±0.200°、30.442±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0015】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.142°、8.234°、10.112°、11.302°、12.056°、12.377°、12.456°、14.086°、14.347°、15.993°、16.530°、16.834°、17.057°、17.482°、18.868°、20.249°、21.413°、22.599°、22.721°、23.750°、23.941°、24.191°、24.763°、24.995°、25.897°、27.931°、29.566°、30.442°、31.373°、31.582°、32.162°、32.936°、33.830°、34.537°、34.774°、35.312°、36.107°、36.401°、37.575°において特徴的な回折ピークを有する。
【0016】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A型結晶のXRPDスペクトルは基本的に図1に示された通りである。
【0017】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A型結晶のXRPDスペクトル解析データは表1に示された通りである。
【0018】
【表1-1】
【0019】
【表1-2】
【0020】
【表1-3】
【0021】
本発明の幾つかの実施態様において、上記A型結晶の示差走査熱量曲線はそれぞれ81.03±3.0℃、113.62±3.0℃及び151.37±3.0℃において1つの吸熱ピークの開始点を有する。
【0022】
本発明の幾つかの実施態様において、上記A型結晶のDSCスペクトルは基本的に図2に示された通りである。
【0023】
本発明の幾つかの実施態様において、前記A型結晶の熱重量分析曲線は96.01℃±3.0℃の際に重量が2.046%減少し、163.66℃±3.0℃の際に重量が7.708%減少する。
【0024】
本発明の幾つかの実施態様において、上記A型結晶のTGAスペクトルは基本的に図2に示された通りである。
【0025】
本発明は、式(II)で表される化合物を提供する。
【0026】
【化3】
【0027】
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.231±0.200°、17.058±0.200°、18.955±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)で表される化合物のB型結晶を提供する。
【0028】
本発明の幾つかの実施態様において、上記B型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.231±0.200°、17.058±0.200°、18.955±0.200°、21.712±0.200°、25.678±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0029】
本発明の幾つかの実施態様において、上記B型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.231±0.200°、12.068±0.200°、16.505±0.200°、17.058±0.200°、18.955±0.200°、21.712±0.200°、24.242±0.200°、25.678±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0030】
本発明の幾つかの実施態様において、上記B型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.083±0.200°、8.231±0.200°、11.294±0.200°、12.068±0.200°、14.091±0.200°、16.505±0.200°、17.058±0.200°、18.955±0.200°、21.712±0.200°、24.242±0.200°、25.678±0.200°、30.869±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0031】
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:8.231±0.200°、17.058±0.200°、及び/又は18.955±0.200°、及び/又は7.083±0.200°、及び/又は11.294±0.200°、及び/又は12.068±0.200°、及び/又は14.091±0.200°、及び/又は14.806±0.200°、及び/又は16.505±0.200°、及び/又は18.202±0.200°、及び/又は21.712±0.200°、及び/又は22.182±0.200°、及び/又は23.903±0.200°、及び/又は24.242±0.200°、及び/又は24.653±0.200°、及び/又は25.350±0.200°、及び/又は25.678±0.200°、及び/又は26.270±0.200°、及び/又は27.001±0.200°、及び/又は27.658±0.200°、及び/又は29.052±0.200°、及び/又は29.721±0.200°、及び/又は30.869±0.200°、及び/又は34.644±0.200°、及び/又は35.009±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(II)で表される化合物のB型結晶を提供する。
【0032】
本発明の幾つかの実施態様において、上記B型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:7.083°、8.231°、11.294°、12.068°、14.091°、14.806°、16.505°、17.058°、18.202°、18.955°、21.712°、22.182°、23.903°、24.242°、24.653°、25.350°、25.678°、26.270°、27.001°、27.658°、29.052°、29.721°、30.869°、34.644°、35.009°において特徴的な回折ピークを有する。
【0033】
本発明の幾つかの実施態様において、上記B型結晶のXRPDスペクトルは基本的に図3に示された通りである。
【0034】
本発明の幾つかの実施態様において、上記B型結晶のXRPDスペクトル解析データは表2に示された通りである。
【0035】
【表2】
【0036】
本発明の幾つかの実施態様において、上記B型結晶の示差走査熱量曲線はそれぞれ101.7±3.0℃及び158.7±3.0℃において1つの吸熱ピークの開始点を有する。
【0037】
本発明の幾つかの実施態様において、上記B型結晶のDSCスペクトルは基本的に図4に示された通りである。
【0038】
本発明の幾つかの実施態様において、上記B型結晶の熱重量分析曲線は120.00℃±3.0℃の際に重量が5.477%減少する。
【0039】
本発明の幾つかの実施態様において、上記B型結晶のTGAスペクトルは基本的に図5に示された通りである。
【0040】
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:12.871±0.200°、17.488±0.200°、19.079±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(I)で表される化合物のC型結晶を提供する。
【0041】
【化4】
【0042】
本発明の幾つかの実施態様において、上記C型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:12.871±0.200°、17.488±0.200°、18.403±0.200°、19.079±0.200°、20.853±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0043】
本発明の幾つかの実施態様において、上記C型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:12.871±0.200°、13.274±0.200°、14.294±0.200°、17.488±0.200°、18.403±0.200°、19.079±0.200°、20.853±0.200°、21.468±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0044】
本発明の幾つかの実施態様において、上記C型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:10.105±0.200°、12.871±0.200°、13.274±0.200°、14.294±0.200°、17.488±0.200°、18.403±0.200°、19.079±0.200°、20.853±0.200°、21.468±0.200°、22.647±0.200°、23.977±0.200°、24.409±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0045】
本発明の幾つかの実施態様において、上記C型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:9.128°、10.105°、12.871°、13.274°、13.933°、14.294°、16.420°、17.488°、18.403°、19.079°、20.853°、21.468°、22.647°、23.042°、23.507°、23.977°、24.409°、24.798°、25.861°、26.309°、28.698°、30.293°、37.464°において特徴的な回折ピークを有する。
【0046】
本発明の幾つかの実施態様において、上記C型結晶のXRPDスペクトルは基本的に図6に示された通りである。
【0047】
本発明の幾つかの実施態様において、上記C型結晶のXRPDスペクトル解析データは表3に示された通りである。
【0048】
【表3】
【0049】
本発明の幾つかの実施態様において、上記C型結晶の示差走査熱量曲線は157.36±3.0℃において1つの吸熱ピークの開始点を有する。
【0050】
本発明の幾つかの実施態様において、上記C型結晶のDSCスペクトルは基本的に図7に示された通りである。
【0051】
本発明の幾つかの実施態様において、上記C型結晶の熱重量分析曲線は120.00℃±3.0℃の際に重量が1.589%減少する。
【0052】
本発明の幾つかの実施態様において、上記C型結晶のTGAスペクトルは基本的に図7に示された通りである。
【0053】
本発明はまた、式(III)で表される化合物を提供する。
【0054】
【化5】
【0055】
ただし、mは、0~1から選択され、好ましくは、0、0.25、0.5又は1である。
【0056】
本発明の一部の実施形態において、上記の化合物は、式(III-1)で表される構造を有する。
【0057】
【化6】
【0058】
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.600±0.200°、17.775±0.200°、19.138±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(III-1)で表される化合物のD型結晶を提供する。
【0059】
本発明の幾つかの実施態様において、上記D型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.600±0.200°、13.178±0.200°、17.775±0.200°、19.138±0.200°、25.798±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0060】
本発明の幾つかの実施態様において、上記D型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.600±0.200°、13.178±0.200°、17.303±0.200°、17.775±0.200°、18.667±0.200°、19.138±0.200°、21.245±0.200°、25.798±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0061】
本発明の幾つかの実施態様において、上記D型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.600±0.200°、11.004.200°、13.178±0.200°、15.521±0.200°、16.592±0.200°、17.303±0.200°、17.775±0.200°、18.667±0.200°、19.138±0.200°、21.245±0.200°、25.798±0.200°、27.353±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0062】
本発明の幾つかの実施態様において、上記D型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.600°、8.659°、9.558°、11.004°、12.463°、13.178°、13.728°、14.871°、15.521°、16.592°、17.303°、17.775°、18.379°、18.667°、19.138°、20.572°、21.245°、21.989°、22.247°、22.561°、23.940°、25.087°、25.798°、26.686°、27.353°、28.044°、28.859°、29.645°、30.375°、32.351°、34.603°、35.456°、39.550°において特徴的な回折ピークを有する。
【0063】
本発明の幾つかの実施態様において、上記D型結晶のXRPDスペクトルは基本的に図8に示された通りである。
【0064】
本発明の幾つかの実施態様において、上記D型結晶のXRPDスペクトル解析データは表4に示された通りである。
【0065】
【表4】
【0066】
本発明の幾つかの実施態様において、上記D型結晶の示差走査熱量曲線はそれぞれ116.98±3.0℃、133.04±3.0℃及び154.86±3.0℃において1つの吸熱ピークの開始点を有する。
【0067】
本発明の幾つかの実施態様において、上記D型結晶のDSCスペクトルは基本的に図9に示された通りである。
【0068】
本発明の幾つかの実施態様において、上記D型結晶の熱重量分析曲線は150.00℃±3.0℃の際に重量が6.939%減少する。
【0069】
本発明の幾つかの実施態様において、上記D型結晶のTGAスペクトルは基本的に図9に示された通りである。
【0070】
本発明は、式(IV)で表される化合物を提供する。
【0071】
【化7】
【0072】
ただし、nは、0~1から選択され、好ましくは、0、0.25、0.5又は1である。
【0073】
本発明の一部の実施形態において、上記の化合物は、式(IV-1)で表される構造を有する。
【0074】
【化8】
【0075】
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:18.097±0.200°、18.691±0.200°、20.693±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(IV-1)で表される化合物のE型結晶を提供する。
【0076】
本発明の幾つかの実施態様において、上記E型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:17.465±0.200°、18.097±0.200°、18.691±0.200°、19.1790.200°、20.693±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0077】
本発明の幾つかの実施態様において、上記E型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.675±0.200°、16.119±0.200°、17.465±0.200°、18.097±0.200°、18.691±0.200°、19.179±0.200°、20.693±0.200°、26.658±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0078】
本発明の幾つかの実施態様において、上記E型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.675±0.200°、8.741±0.200°、11.391±0.200°、13.762±0.200°、16.119±0.200°、17.465±0.200°、18.097±0.200°、18.691±0.200°、19.179±0.200°、20.693±0.200°、23.386±0.200°、26.658±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0079】
本発明の幾つかの実施態様において、上記E型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.675°、8.741°、9.365°、11.391°、12.205°、13.310°、13.762°、15.302°、16.119°、16.407°、17.465°、18.097°、18.691°、19.179°、20.693°、21.329°、21.860°、22.674°、23.386°、24.819°、25.311°、25.757°、26.658°、26.980°、29.110°、29.540°、30.536°、31.639°、33.068°、33.972°、36.724°、38.646°において特徴的な回折ピークを有する。
【0080】
本発明の幾つかの実施態様において、上記E型結晶のXRPDスペクトルは基本的に図10に示された通りである。
【0081】
本発明の幾つかの実施態様において、上記E型結晶のXRPDスペクトル解析データは表5に示された通りである。
【0082】
【表5】
【0083】
本発明の幾つかの実施態様において、上記E型結晶の示差走査熱量曲線はそれぞれ106.62±3.0℃、134.32±3.0℃及び158.33±3.0℃において1つの吸熱ピークの開始点を有する。
【0084】
本発明の幾つかの実施態様において、上記E型結晶のDSCスペクトルは基本的に図11に示された通りである。
【0085】
本発明の幾つかの実施態様において、上記E型結晶の熱重量分析曲線は150.00℃±3.0℃の際に重量が6.673%減少する。
【0086】
本発明の幾つかの実施態様において、上記E型結晶のTGAスペクトルは基本的に図11に示された通りである。
【0087】
本発明は、式(V)で表される化合物を提供する。
【0088】
【化9】
【0089】
本発明は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:14.012±0.200°、16.936±0.200°、17.424±0.200°において特徴的な回折ピークを有することを特徴とする、式(V)で表される化合物のF型結晶を提供する。
【0090】
本発明の幾つかの実施態様において、上記F型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:14.012±0.200°、16.936±0.200°、17.424±0.200°、17.954±0.200°、22.043±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0091】
本発明の幾つかの実施態様において、上記F型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:12.567±0.200°、14.012±0.200°、15.666±0.200°、16.936±0.200°、17.424±0.200°、17.954±0.200°、20.717±0.200°、22.043±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0092】
本発明の幾つかの実施態様において、上記F型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.104±0.200°、12.567±0.200°、14.012±0.200°、15.666±0.200°、16.936±0.200°、17.424±0.200°、17.954±0.200°、20.717±0.200°、22.043±0.200°、25.436±0.200°において特徴的な回折ピークを有する。
【0093】
本発明の幾つかの実施態様において、上記F型結晶は、粉末X線回折スペクトルが以下の2θ角:6.104°、9.825°、12.567°、14.012°、15.666°、16.936°、17.424°、17.954°、19.298°、20.717°、21.106°、22.043°、25.436°、26.230°、26.94°、29.721°において特徴的な回折ピークを有する。
【0094】
本発明の幾つかの実施態様において、上記F型結晶のXRPDスペクトルは基本的に図12に示された通りである。
【0095】
本発明の幾つかの実施態様において、上記F型結晶のXRPDスペクトル解析データは表6に示された通りである。
【0096】
【表6】
【0097】
本発明の幾つかの実施態様において、上記F型結晶の示差走査熱量曲線はそれぞれ83.44±3.0℃及び154.65±3.0℃において1つの吸熱ピークの開始点を有する。
【0098】
本発明の幾つかの実施態様において、上記F型結晶のDSCスペクトルは基本的に図13に示された通りである。
【0099】
本発明の幾つかの実施態様において、上記F型結晶の熱重量分析曲線は120.00℃±3.0℃の際に重量が2.972%減少する。
【0100】
本発明の幾つかの実施態様において、上記F型結晶のTGAスペクトルは基本的に図13に示された通りである。
【0101】
本発明はまた、ドライアイを治療するための医薬の製造における上記の化合物又はA型結晶、B型結晶、C型結晶、D型結晶、E型結晶又はF型結晶の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図1】式(I)で表される化合物のA型結晶のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
図2】式(I)で表される化合物のA型結晶のDSC及びTGAスペクトルである。
図3】式(I)で表される化合物のB型結晶のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
図4】式(II)で表される化合物のB型結晶のDSCスペクトルである。
図5】式(II)で表される化合物のB型結晶のTGAスペクトルである。
図6】式(I)で表される化合物のC型結晶のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
図7】式(I)で表される化合物のC型結晶のDSC及びTGAスペクトルである。
図8】式(III-1)で表される化合物のD型結晶のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
図9】式(III-1)で表される化合物のD型結晶のDSC及びTGAスペクトルである。
図10】式(IV-1)で表される化合物のE型結晶のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
図11】式(IV-1)で表される化合物のE型結晶のDSC及びTGAスペクトルである。
図12】式(V)で表される化合物のF型結晶のCu-Kα線のXRPDスペクトルである。
図13】式(V)で表される化合物のF型結晶のDSC及びTGAスペクトルである。
図14】式(II)で表される化合物のB型結晶の立体構造楕円体図である。
図15】式(III-1)で表される化合物のD型結晶の核磁気スペクトルである。
図16】式(IV-1)で表される化合物のE型結晶の核磁気スペクトルである。
図17】マウススコポラミンドライアイモデルの動物における涙液分泌量である。
図18】マウススコポラミンドライアイモデルの動物における角膜蛍光染色である。
図19】ラット高浸透圧ドライアイモデルの動物における涙液分泌量である。
図20】ラット高浸透圧ドライアイモデルの動物における角膜蛍光染色である。
図21】ラット高浸透圧ドライアイモデルの動物における涙液層破壊時間である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
[定義及び説明]
別途に説明しない限り、本明細書で用いられる以下の用語及び連語は以下の意味を含む。一つの特定の連語又は用語は、特別に定義されない場合、不確定又は不明瞭ではなく、普通の定義として理解されるべきである。本明細書で商品名が出た場合、相応の商品又はその活性成分を指す。
【0104】
本発明の中間体化合物は当業者に熟知の様々な合成方法によって製造することができ、以下に挙げられた具体的な実施形態、他の化学合成方法と合わせた実施形態及び当業者に熟知の同等の代替方法を含み、好適な実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0105】
本発明の具体的な実施形態の化学反応は適切な溶媒で完成され、前記の溶媒は本発明の化学変化及びそれに必要な試薬と材料に適するべきである。本発明の化合物を得るため、当業者が既存の実施形態に基づいて合成工程又は反応スキームを変更又は選択することが必要であることもある。
【0106】
本発明の化合物の構造は、当業者に周知の従来の方法によって確認することができ、本発明が化合物の絶対配置に関する場合、絶対配置は、当業者の従来の技術的手段によって確認することができる。例えば、単結晶X線回折(SXRD)、培養された単結晶はBruker D8 venture回折計によって収集され、光源はCuKα放射線、走査方法:φ/ω走査、関連データを収集した後、更に直接法は(Shelxs97)結晶構造解析により、絶対配置を確認できる。
【0107】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の何らの制限にもならない。
【0108】
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品で、さらに精製せずにそのままで使用してもよい。
【0109】
本発明に使用されたすべての溶媒は市販品から得ることができる。発明は下記略語を使用する:DCMはジクロロメタンを表し、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表し、DMSOはジメチルスルホキシドを表し、EtOHはエタノールを表し、MeOHはメタノールを表す。
【0110】
[技術効果]
本発明の化合物の結晶は、良好な安定性を有し、薬になりやすく、式(II)で表される化合物のB型結晶の点眼薬は、スコポラミン臭化水素酸塩溶液によって誘発されるマウスのドライアイモデルに対していずれも良好な治療効果を示し、主に、ドライアイモデルマウスにおける涙液分泌量及び角膜損傷を改善し、式(II)で表される化合物のB型結晶の点眼薬は、高張塩化ナトリウム溶液によって誘発されたラットのドライアイモデルに対していずれも良好な治療効果を示すことができ、主にドライアイモデルラットにおける涙液分泌量、角膜損傷及び涙液層破壊時間を改善する。
【0111】
本発明の粉末X線回折(X-ray powder diffractometer、XRPD)方法
計器モデル:Bruker D8 Advance X-線回折計
測定方法:約10mgの試料をXRPDの検出に用いる。
詳細なXRPDパラメータは以下通りである:
光管:銅管/K-Alpha1(λ=1.5418Å)
電圧:40キロボルト(kV)
電流:40ミリアンペア(mA)
回転速度:15[r/min]
走査範囲:3~39.9978[°]
ステップ幅:0.020428946300[°]
時間/ステップ(s):0.12[s]
総時間:234.72[s]
【0112】
本発明の示差熱分析(Differential Scanning Calorimeter、DSC)方法
計器モデル:DISCOVERY DSC-2500示差走査熱量計
測定方法:試料(0.5mg~1mg)をDSCアルミニウム製坩堝に取って測定を行い、50mL/min N条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温から250℃まで加熱する。
【0113】
本発明の熱重量分析(Thermal Gravimetric Analyzer、TGA)方法
計器モデル:DISCOVERY TGA 5500熱重量分析計
測定方法:試料(2~5mg)をTGA白金坩堝に取って測定を行い、25mL/min N条件で、10℃/minの昇温速度で、試料を室温から300℃まで、又は重量が20%減少するまで加熱する。
【0114】
本発明の内容がよりよく分かるように、以下に具体的な実施の形態を参照しながらさらに説明するが、具体的な実施態様は本発明の内容を制限するものではない。
【実施例
【0115】
実施例1:式(II)で表される化合物のB型結晶の製造
【0116】
【化10】
【0117】
合成スキーム:
【0118】
【化11】
【0119】
ステップ1:化合物2の製造
化合物1(30g、130.4mmol、1eq)、ビス(ピナコラート)ジボロン(66.23g、260.80mmol、2eq)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(5.32g、6.52mmol、0.1eq)及び酢酸カリウム(25.60g、260.80mmol、2eq)をトルエン(500mL)に加え、窒素ガスで3回置換し、反応溶液を110℃で15時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を珪藻土で濾過し、濾液を濃縮し、残余物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=0~100:6)で精製して化合物2を得た。
【0120】
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.84 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.06 (s, 1H), 7.04 (d, J=8.0 Hz, 1H), 5.65 (brs, 2H), 3.87 (s, 3H), 1.35 (s, 12H)。
【0121】
ステップ2:化合物4の製造
化合物3(100g、460.79mmol、1eq)を無水エタノール(1L)に溶解させた後、濃硫酸(225.97g、2.30mol、122.81mL、5eq)及び無水硫酸ナトリウムNaSO(65.45g、460.79mmol、46.75mL、1eq)を加え、反応溶液を85℃で48時間撹拌して反応させた。反応完了後、反応溶液を室温に冷却させた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(1L)を反応溶液に滴下して、大量の固体が形成され、濾過し、ケーキを水(500mL)で洗浄し、得られた固体を真空乾燥させて化合物4を得た。
【0122】
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.10 (d, J=1.8 Hz, 1H), 7.26 (s, 1H), 4.47 (q, J=7.1 Hz, 2H), 1.46 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0123】
ステップ3:化合物5の製造
化合物4(70.00g、285.63mmol、1eq)をテトラヒドロフラン(1L)に溶解させ、窒素ガスの保護下で、-78℃に冷却させ、メチルリチウム(1.6M、892.59mL、5eq)を反応溶液にゆっくりと滴下し、反応溶液を-78℃で3時間撹拌した。反応完了後、水(100mL)をゆっくりと滴下して反応をクエンチングさせ、室温に温度を上げ、飽和塩化アンモニウム水溶液(500mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(500mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をn-ヘプタン(500mL)でスラリー化させ、濾過し、乾燥させて化合物5を得た。
【0124】
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 7.86 (d, J=1.9 Hz, 1H), 6.98 (d, J=1.9 Hz, 1H), 4.57 (br s, 2H), 1.57 (s, 6H)。
【0125】
ステップ4:化合物6の製造
化合物5(10g、43.27mmol、1eq)、化合物2(23.98g、86.55mmol、2eq)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン錯体(1.77g、2.16mmol、0.05eq)、炭酸セシウム(28.20g、86.55mmol、2eq)をジオキサン(300mL)及び水(75mL)に加え、窒素ガスで3回置換し、反応溶液を80℃で5時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を濃縮し、残余物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:テトラヒドロフラン=0~100:40)で精製して粗生成物化合物6を得た。前記粗生成物をテトラヒドロフラン(4mL/g)で80℃に加熱させ、冷却させて再結晶させ、25℃で15時間撹拌し、濾過し、ケーキを乾燥させて化合物6を得た。
【0126】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.94 (d, J=2.0 Hz, 1H), 7.77 (d, J=8.0 Hz, 1H), 7.17 (d, J=2.0 Hz, 1H), 6.99 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.77 - 7.75 (m, 3H), 5.69 (s, 2H), 5.50 (s, 1H), 3.81 (s, 3H), 1.52 (s, 6H)。
【0127】
ステップ5:式(I)で表される化合物の製造
化合物6(8.78g、29.14mmol、1eq)をテトラヒドロフラン(80mL)に溶解させ、窒素ガスの保護下で0℃に冷却させた。メチルマグネシウムブロミド(3M、97.12mL、10eq)を反応溶液に滴下し、0℃で1時間撹拌して反応させた。反応完了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(400mL)をゆっくりと加えて、反応をクエンチングさせ、酢酸エチル(400mL×2)で抽出し、有機相を減圧濃縮し、残余物、即ち粗生成物をジクロロメタン(3mL/g)で25℃で精製し、濾過し、乾燥させて生成物を得た。
【0128】
H NMR (400 MHz, DMSO-d) δ 7.88 (d, J=1.8 Hz, 1H), 7.15 - 7.01 (m, 2H), 6.82 (d, J=1.6 Hz, 1H), 6.69 (dd, J=1.5, 8.0 Hz, 1H), 5.59 (br s, 2H), 5.51 (br s, 2H), 5.44 (s, 1H), 5.23 (s, 1H), 1.51 (d, J=3.6 Hz, 12H)。
【0129】
11.9gの上記生成物を秤量して丸底フラスコに加え、150mLのメチルtert-ブチルエーテルを加え、上記試料を50℃に置き、12時間撹拌し、更に25℃に温度を下げて4時間撹拌した。濾過して乾燥させ、固体を得た。XRPDでA型結晶と検出された。
【0130】
約50mgのA型結晶を秤量して、2.0mLのガラスバイアルに加え、適量の溶媒又は溶媒混合物を加え、懸濁液にした。磁石を加えた後、上記試料をマグネティックヒーティングスターラー上(25℃/50℃)に置いて一週間撹拌し、遠心分離した後、得られた固体試料を40℃の真空乾燥機に置き、一晩乾燥させて、式(II)で表される化合物のB型結晶を得た。
【0131】
【表7-1】
【0132】
実施例2:式(II)で表される化合物の構造の確認
【0133】
【化12】
【0134】
単結晶培養プロセス:約5mgの式(II)で表される化合物のB型結晶を取り、室温の条件で、3mLのジクロロメタン/メタノール(2:1)に溶解させた。試料溶液を4mLの半密閉試料バイアルに置き、室温でゆっくりと揮発させた。5日目に無色透明の結晶を得た。回折実験に使用される結晶のサイズは、0.20×0.18×0.15mmであった。
【0135】
単結晶回折計器:Bruker D8 venture
測定した化合物の情報:分子式:C1725、結晶系:単斜晶系、空間群:C2/c、単位格子パラメータ:a=20.6603(14)Å、b=15.6554(14)Å、c=21.0124(16)Å、β=90.01°、α=γ=90°、体積:V=6796.4(9)Å図14は、式(II)で表される化合物のB型結晶の立体構造楕円体図である。同時に、単結晶の結晶を測定し、B型結晶であることを確認した。
【0136】
実施例3:各結晶の製造
【0137】
【化13】
【0138】
約50mgのA型結晶を秤量して、2.0mLのガラスバイアルに加え、適量のメタノール又はエタノールを加え、懸濁液にした。磁石を加えた後、上記試料をマグネティックヒーティングスターラー上(50℃)に置いて一週間撹拌し、遠心分離した後、得られた固体試料を40℃の真空乾燥機に置き、一晩乾燥させて、式(I)で表される化合物のC型結晶を得た。
【0139】
【化14】
【0140】
約50mgのA型結晶を秤量して、2.0mLのガラスバイアルに加え、適量の酢酸エチルを加え、懸濁液にした。磁石を加えた後、上記試料をマグネティックヒーティングスターラー上(25℃/50℃)に置いて一週間撹拌し、遠心分離した後、得られた固体試料を40℃の真空乾燥機に置き、一晩乾燥させて、式(III-1)で表される化合物のD型結晶を得た。核磁気データは図15に示された通りである。
【0141】
【化15】
【0142】
約50mgのA型結晶を秤量して、2.0mLのガラスバイアルに加え、適量のアセトニトリルを加え、懸濁液にした。磁石を加えた後、上記試料をマグネティックヒーティングスターラー上(25℃/50℃)に置いて一週間撹拌し、遠心分離した後、得られた固体試料を40℃の真空乾燥機に置き、一晩乾燥させて、式(IV-1)で表される化合物のE型結晶を得た。核磁気データは図16に示された通りである。
【0143】
【化16】
【0144】
約50mgのA型結晶を秤量して、2.0mLのガラスバイアルに加え、適量のジクロロメタンを加え、懸濁液にした。磁石を加えた後、上記試料をマグネティックヒーティングスターラー上(25℃)に置いて一週間撹拌し、遠心分離した後、得られた固体試料を40℃の真空乾燥機に置き、一晩乾燥させて、式(V)で表される化合物のF型結晶を得た。
【0145】
実施例4:式(II)で表される化合物のB型結晶予備安定性実験
試験試料として、式(II)で表される化合物のB型結晶を約50mg正確に秤量し、乾燥した清潔なガラスバイアルに入れ、薄層に広げ、影響要因の試験条件(40℃、25℃/92.5%のRH、光照射、光照射対照)及び加速条件(40℃/75%のRH及び60℃/75%のRH)で、試料を完全に露出させた。40℃、25℃/92.5%のRH、光照射、光照射対照は、5日目、10日目にサンプリングして分析し、加速条件は、1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目にサンプリングして分析した。
【0146】
【表7-2】
【0147】
実験結論:式(II)で表される化合物のB型結晶を影響要因試験条件(40℃、25℃/92.5%のRH、光照射、光照射対照)で10日間、40℃の条件で1ヶ月間、長期加速条件(40℃/75%のRH及び60℃/75%のRH)で3ヶ月間放置した結果、結晶は安定していた。
【0148】
実施例5:式(II)で表される化合物のB型結晶及び式(I)で表される化合物のC型結晶の25℃水分活性競合実験
約15mgの式(I)で表される化合物のC型結晶をそれぞれ秤量し、室温で適量の溶媒系をそれぞれ加えて飽和溶液を形成した。状態が透明な場合は、溶液が飽和するまで化合物を追加し続けた。0.45μmのナイロンニードルフィルターを使用して液相バイアルに濾過した後、ほぼ等量の式(II)で表される化合物のB型結晶と式(I)で表される化合物のC型結晶を液相バイアルに加えて懸濁液を製造した。磁石を加えた後、上記懸濁液試料を恒温ミキサー(25℃、700rpm)に入れて振とうさせた。
【0149】
【表7-3】
【0150】
結果:式(II)で表される化合物のB型結晶及び式(I)で表される化合物のC型結晶は、水分活性度が0である場合、5日間懸濁・スラリー化させた後、式(I)で表される化合物のC型結晶を得た。しかし、水分活性度の増加に伴い、5日間懸濁・スラリー化させた後、得られたものはすべて式(II)で表される化合物のB型結晶であった。また、水分活性度が0.9及び1.0である場合に得られた生成物を乾燥させた後に特徴付けたところ、両者はほぼ同じであった。従って、式(II)で表される化合物のB型結晶は、式(I)で表される化合物のC型結晶よりも安定していた。
【0151】
生物学的試験データ
実施例1:マウスドライアイモデルに対する式(II)で表される化合物のB型結晶の点眼薬の影響試験研究
試験目的:
C57BL/6マウスドライアイモデルに対する式(II)で表される化合物のB型結晶の点眼薬の治療効果を調べるために、スコポラミン臭化水素酸塩溶液を下肢に皮下注射し、C57BL/6マウスのドライアイモデルを誘導した。
【0152】
試験プロセス:
涙液の分泌量に応じて、動物を無作為に5つの群に均等に分け、それぞれ陰性対照群(生理食塩水)、モデル対照群(溶媒)、式(II)で表される化合物のB型結晶の低濃度群(1mg/mL)、中濃度群(2.5mg/mL)、高濃度群(5mg/mL)であり、各群には8匹の動物であり、すべてメスであった。群分け当日はD0として記録した。群分けした後、各群の動物を実験設定に従ってモデリングし、点眼薬を投与し、角膜蛍光染色評価を実行し、涙液の分泌量を測定した。
【0153】
実験結果:
式(II)で表される化合物のB型結晶溶液(1mg/mL、2.5mg/mL、5mg/mL)は、スコポラミン臭化水素酸塩溶液によって誘発されるマウスのドライアイモデルに対していずれも良好な治療効果を有し、主にドライアイモデルマウスにおける涙液分泌量及び角膜損傷を改善した。涙液分泌量(表7、図17)及び角膜蛍光染色(表8、図18)評価結果から式(II)で表される化合物のB型結晶の点眼薬は、5mg/mL濃度で最高の治療効果を有すると判断された。
【0154】
【表7-4】
【0155】
【表8】
【0156】
実験結論:
式(II)で表される化合物のB型結晶の点眼薬は、スコポラミン臭化水素酸塩溶液によって誘発されるマウスのドライアイモデルに対していずれも良好な治療効果を有し、主にドライアイモデルマウスにおける涙液分泌量及び角膜損傷を改善した。
【0157】
実施例2:ラット高浸透圧ドライアイモデルに対する式(II)で表される化合物のB型結晶点眼薬の影響試験研究
適応性観察に適格なメスSDラット20匹を対象に、角膜蛍光染色評価と涙液分泌量を測定し、問題となる角膜蛍光染色異常と涙液分泌量の差が大きい動物は除外した。
【0158】
ピペットを使用して20μLの塩化ナトリウム溶液(浸透圧:500mOsmol/L)を採取し、動物の両眼の結膜嚢に5回/日、20μL/回、毎回約2時間の間隔で28日間滴下し、滴下した後動物の瞼を約90秒間受動的に閉じた。モデリング期間14日目、動物を対象に両眼角膜の蛍光染色評価及び涙液分泌量測定を実行し、当該データと基礎データを比較し、両眼涙液分泌量に有意な差がある動物を選択して群を分け、動物の両眼涙液分泌量の平均値に応じて動物を無作為に4つの群に均等に分け、それぞれモデル対照群、式(II)で表される化合物のB型結晶の低濃度群、高濃度群(1mg/mL、5mg/mL)であり、各群には4匹の動物、8つの目があり、群分け当日をD0として記録した。
【0159】
各群の動物はいずれもD1に10μL/眼/回、4回/日、約3時間の間隔で合計14日間、点眼薬を投与し、投与期間中、週に1回体重を測定した。D7、D14にそれぞれ第2回目の投与を実行してから約30分後、両眼の涙液分泌量を測定し、D7及びD14に第3回目の投与を実行してから約30分後、角膜の蛍光染色評価を実行した。D14指標を測定した後、二酸化炭素吸入により動物を安楽死させた。
【0160】
実験結果:表9、10並びに図19、20、及び21をに示された通りである。
【0161】
【表9】
【0162】
【表10】
【0163】
実験結論:式(II)で表される化合物のB型結晶の点眼薬は、高張塩化ナトリウム溶液によって誘発されるラットのドライアイモデルに対して良好な治療効果を有し、主にドライアイモデルラットにおける涙液分泌量、角膜損傷及び涙液層破壊時間を改善した。
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図21