(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】農作業支援システム、農作業支援装置、農業機械
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01B69/00 301
(21)【出願番号】P 2023522273
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2022012181
(87)【国際公開番号】W WO2022244435
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-11-09
(31)【優先権主張番号】P 2021084022
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2021153541
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森本 孝紀
(72)【発明者】
【氏名】森下 孝文
(72)【発明者】
【氏名】玉谷 健二
(72)【発明者】
【氏名】吉村 史也
(72)【発明者】
【氏名】菊地 良太
(72)【発明者】
【氏名】作田 建
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-103088(JP,A)
【文献】特開2020-103085(JP,A)
【文献】特開2020-099268(JP,A)
【文献】特開2019-127120(JP,A)
【文献】特開2021-003035(JP,A)
【文献】特開2016-031649(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0357261(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0217516(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を示すマップを表示可能な表示部と、
前記表示部に表示された前記マップに第1エリアと当該第1エリアの内側に位置する第2エリアとを設定するエリア設定部と、
前記第1エリア及び前記第2エリアの少なくとも一方に農業機械を走行させる走行ルートを作成するルート作成部と、を備え、
前記ルート作成部は、前記走行ルートの少なくとも一部を、前記農業機械の操舵を自動で行い且つ前記農業機械の走行速度の変更を手動操作に委ねる自動操舵ルートと
、前記農業機械の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転ルートとのうちの、選択されたいずれかに設定可能であ
る農作業支援システム。
【請求項2】
前記自動運転ルートを前記自動操舵ルートに変更可能で且つ前記自動操舵ルートを前記自動運転ルートに変更可能なルート変更部を備えた請求項
1に記載の農作業支援システム。
【請求項3】
前記ルート変更部は、前記自動運転ルート又は前記自動操舵ルートを、前記農業機械の操舵と走行速度の変更とを手動操作に委ねる手動運転ルートに変更可能で且つ、前記手動運転ルートを前記自動運転ルート又は前記自動操舵ルートに変更可能である請求項
2に記載の農作業支援システム。
【請求項4】
前記表示部は、前記自動操舵ルートと前記自動運転ルートとを視認可能に異なる形態で画面に表示する請求項
1~
3のいずれか1項に記載の農作業支援システム。
【請求項5】
前記表示部は、前記第1エリア及び前記第2エリアに作成された前記走行ルートのうち、前記自動操舵ルートとして設定可能な部分を画面に表示する請求項1~
4のいずれか1項に記載の農作業支援システム。
【請求項6】
前記ルート作成部は、
前記走行ルートの進行方向に対して前後に並ぶ一部と他部との角度差が所定の閾値より大きい場合、前記一部と前記他部との間に前記農業機械の位置と進行方向とを変える切り返し地点を設定し、
前記角度差が前記閾値以下である場合、前記一部と前記他部とを接続して一連の前記自動操舵ルートとして設定する請求項1~
5のいずれか1項に記載の農作業支援システム。
【請求項7】
前記ルート作成部は、前記角度差が前記閾値以下である場合、前記一部と前記他部との接続点から所定距離離れた前記一部上の第1中間点と前記他部上の第2中間点とをつなぐ新たな走行ルートを作成して、前記一部の前記第1中間点及び前記他部の前記第2中間点から前記接続点までの部分を削除する請求項
6に記載の農作業支援システム。
【請求項8】
前記ルート作成部は、前記新たな走行ルートとして、前記農業機械を直進させる直進部を作成する請求項
7に記載の農作業支援システム。
【請求項9】
前記閾値を変更する閾値変更部を備えた請求項
6~
8のいずれか1項に記載の農作業支援システム。
【請求項10】
前記表示部は、位置検出部により検出された前記農業機械の位置を前記マップに表示し、且つ前記農業機械が前記走行ルートに基づいて走行するときに、前記農業機械の位置が前記切り返し地点に近づくと、前記農業機械の位置と進行方向とを変える切り返しを行うことを示唆する通知を表示する請求項
6~
9のいずれか1項に記載の農作業支援システム。
【請求項11】
前記マップで示される前記圃場の外形ラインより内側に前記圃場の輪郭を登録する圃場登録部を備え、
前記エリア設定部は、前記圃場の輪郭を内側にオフセットした輪郭で囲まれるエリアを前記第2エリアとして設定し、前記第2エリアと前記圃場の輪郭との間を前記第1エリアとして設定し、
前記ルート作成部は、前記農業機械に連結された作業装置の対地作業が可能な作業幅又は当該作業装置の外形幅に基づいて、前記第2エリアの周囲を周回する前記走行ルートを前記第1エリアに作成する請求項1~
10のいずれか1項に記載の農作業支援システム。
【請求項12】
前記エリア設定部は、前記作業装置の作業幅、当該作業幅より大きい前記作業装置の外形幅、所定の重なり代、又は所定のシフト量に基づいて演算した第1オフセット量で前記圃場の輪郭を内側に1回オフセットして第1輪郭を形成した後、前記作業幅又は前記重なり代に基づいて演算した第2オフセット量であって前記第1オフセット量より小さい第2オフセット量で前記第1輪郭を内側に1回以上オフセットして1つ以上の第2輪郭を形成し、最も内側にある前記第2輪郭で囲まれるエリアを前記第2エリアとして設定し、
前記ルート作成部は、前記第1エリアにおける前記圃場の輪郭と前記第1輪郭との間、前記第1輪郭と当該第1輪郭に最も近い前記第2輪郭との間、及び前記第2輪郭同士の間に前記走行ルートを作成する請求項
11に記載の農作業支援システム。
【請求項13】
前記ルート作成部は、前記第2エリアの周囲を異なる径で複数回周回する前記走行ルートを前記第1エリアに作成し、当該走行ルートのうち、最も外側の部分と前記圃場の輪郭との間隔を前記作業装置の作業幅、当該作業幅より大きい前記作業装置の外形幅、所定の重なり代、又は所定のシフト量に基づいて設定し、前記最も外側の部分と当該部分に最も近い内側の部分との間隔及び内側の部分同士の間隔を前記作業幅又は前記重なり代に基づいて、前記最も外側の部分と前記圃場の輪郭との間隔より狭く設定する請求項
11又は
12に記載の農作業支援システム。
【請求項14】
前記農業機械の位置を検出する位置検出部と、
前記農業機械の位置及び前記自動操舵ルートに基づいて前記農業機械の操舵を自動で行う自動操舵を実行し、且つ前記農業機械に連結された作業装置により前記圃場に対して農作業を行う自動制御部と、を備えた請求項1~
13のいずれか1項に記載の農作業支援システム。
【請求項15】
前記ルート作成部は、前記第1エリア及び前記第2エリアに作成された前記走行ルートの一部に前記自動操舵ルートを設定し、前記走行ルートの別の一部に
前記自動運転ルートを設定し、
前記自動制御部は、
前記農業機械の位置及び前記自動運転ルートに基づいて、前記農業機械の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転を実行し、
前記走行ルートに沿って前記農業機械が走行しているときに、互いに接続された前記自動操舵ルートと前記自動運転ルートの切り替わりに応じて、前記農業機械の前記自動操舵と前記自動運転とを自動的に切り替える請求項
14に記載の農作業支援システム。
【請求項16】
前記農業機械の位置と進行方向とを変える切り返しが手動運転で行われることによって、前記農業機械が前記自動操舵ルートに沿って後進するときに、前記自動制御部は前記農業機械の自動操舵を実行する請求項
14又は
15に記載の農作業支援システム。
【請求項17】
前記自動制御部は、前記農業機械と前記作業装置により前記圃場に対して農作業を開始する際に、最初に基づく前記走行ルートが前記自動操舵ルートに設定されている場合、当該自動操舵ルートに基づいて、前記農業機械の前記自動操舵を実行して、前記作業装置により前記圃場に対して農作業を開始する請求項
14~
16のいずれか1項に記載の農作業支援システム。
【請求項18】
前記自動操舵で農作業を行うか否かを選択する第1選択部を備え、
前記第1選択部により前記自動操舵で農作業を行うことが選択された場合、
前記自動制御部は、前記農業機械の位置及び前記走行ルートに基づいて、前記農業機械の前記自動操舵を実行して、前記作業装置により前記圃場に対して農作業を開始する請求項
14~
17のいずれか1項に記載の農作業支援システム。
【請求項19】
前記
農業機械の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転で農作業を行うか否かを選択する第2選択部を備え、
前記第2選択部により前記自動運転で農作業を行うことが選択された場合、
前記自動制御部は、前記農業機械の位置及び前記走行ルートに基づいて、前記農業機械の前記自動運転を実行して、前記作業装置により前記圃場に対して農作業を開始し、
前記第2選択部により前記自動運転で農作業を行わないことが選択された場合、
前記第1選択部による前記自動操舵の選択が可能になる請求項
18に記載の農作業支援システム。
【請求項20】
前記農業機械と前記作業装置による前記圃場に対しての農作業が一旦中断されてから再開される際に、前記自動操舵で農作業を再開するか又は前記農業機械の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転で農作業を再開するか否かを選択する第3選択部を備え、
前記第3選択部により前記自動操舵で農作業を再開することが選択された場合、
前記自動制御部は、前記農業機械の位置及び前記走行ルートに基づいて、前記農業機械の前記自動操舵を実行して、前記作業装置により前記圃場に対して農作業を再開し、
前記第3選択部により前記自動運転で農作業を再開することが選択された場合、
前記自動制御部は、前記農業機械の位置及び前記走行ルートに基づいて、前記農業機械の前記自動運転を実行して、前記作業装置により前記圃場に対して農作業を再開する請求項
14~
19のいずれか1項に記載の農作業支援システム。
【請求項21】
請求項1~
20のいずれか1項に記載の農作業支援システムに含まれる農作業支援装置であって、
圃場を示すマップを表示部に表示させる制御部と、
前記表示部に表示された前記マップに第1エリアと当該第1エリアの内側に位置する第2エリアとを設定するエリア設定部と、
前記第1エリア及び前記第2エリアに農業機械を走行させる走行ルートを作成するルート作成部と、を有し、
前記ルート作成部は、前記走行ルートの少なくとも一部を、前記農業機械の操舵を自動で行い且つ前記農業機械の走行速度の変更を手動操作に委ねる自動操舵ルートと
、前記農業機械の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転ルートとのうちの、選択されたいずれかに設定可能である農作業支援装置。
【請求項22】
前記自動運転ルートを前記自動操舵ルートに変更可能で且つ前記自動操舵ルートを前記自動運転ルートに変更可能なルート変更部を有し、前記農業機械に搭載可能である請求項
21に記載の農作業支援装置。
【請求項23】
請求項1~
20のいずれか1項に記載の農作業支援システムにより支援される農作業を行う農業機械であって、
走行可能な走行車体と、
前記走行車体に作業装置を連結可能な連結部と、
前記走行車体の位置を検出する位置検出部と、
圃場を示すマップを表示可能な表示部と、
前記表示部に表示された前記マップに第1エリアと当該第1エリアの内側に位置する第2エリアとを設定するエリア設定部と、
前記第1エリア及び前記第2エリアに前記走行車体が走行するための走行ルートを作成するルート作成部と、
前記作業装置により前記圃場に対して前記農作業を行う自動制御部と、を有し、
前記ルート作成部は、前記走行ルートの少なくとも一部を
、前記走行車体の操舵を自動で行い且つ前記走行車体の走行速度の変更を手動操作に委ねる自動操舵ルートと
、前記走行車体の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転ルートとのうちの、選択されたいずれかに設定可能であり、
前記自動制御部は、前記走行車体の位置及び前記自動操舵ルートに基づいて前記走行車体の操舵を自動で行う
自動操舵を実行し、前記走行車体の位置及び前記自動運転ルートに基づいて前記走行車体の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転を実行する農業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場で農業機械を走行させながら農作業を行うことを支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圃場で農業機械を自動運転で走行させながら、当該農業機械に連結された作業装置で農作業を行うことを支援する技術が開示されている。特許文献1に開示された農業機械は、取得部、作業設定部、及び表示装置を備えている。取得部は、圃場の外周部の位置データを取得する。作業設定部は、当該位置データに基づいて、畔際ラインと作業開始終了ラインと枕地ラインとを設定し、作業開始終了ラインと枕地ラインにより囲まれる圃場の中央部に作業走行ラインを設定する。これら各ラインは、表示装置に表示される。農業機械は、作業走行ラインに基づいて自動運転で走行しながら、圃場の中央部に対して作業装置により農作業を行う。それから、農業機械は、畔際ラインと作業開始終了ラインと枕地ラインとに基づいて自動運転で走行しながら、中央部の周囲にある枕地に対して作業装置により農作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特許公開公報「2018-39号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば圃場の平坦度、荒れ具合、又は輪郭等の影響で、農業機械を自動運転で走行させることが困難になり、農業機械に連結された作業装置による農作業の効率が低下することがある。またこの場合、農業機械の運転者が自動運転を停止させて、農業機械を手動運転すると、運転者の負担が大きくなり、さらに農作業の効率が低下することもある。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、農業機械の運転者の負担を軽減し且つ農作業の効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
本発明の一態様にかかる農作業支援システムは、圃場を示すマップを表示可能な表示部と、表示部に表示されたマップに第1エリアと当該第1エリアの内側に位置する第2エリアとを設定するエリア設定部と、第1エリア及び第2エリアの少なくとも一方に農業機械を走行させる走行ルートを作成するルート作成部と、を備え、ルート作成部は、走行ルートの少なくとも一部を、農業機械の操舵を自動で行い且つ農業機械の走行速度の変更を手動操作に委ねる自動操舵ルートと、農業機械の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転ルートとのうちの、選択されたいずれかに設定可能である。
【0006】
また、本発明の一態様では、農作業支援システムは、自動運転ルートを自動操舵ルートに変更可能で且つ自動操舵ルートを自動運転ルートに変更可能なルート変更部を備える。
【0007】
また、本発明の一態様では、ルート変更部は、自動運転ルート又は自動操舵ルートを、農業機械の操舵と走行速度の変更とを手動操作に委ねる手動運転ルートに変更可能で且つ、手動運転ルートを自動運転ルート又は自動操舵ルートに変更可能である。
また、本発明の一態様では、表示部は、自動操舵ルートと自動運転ルートとを視認可能に異なる形態で画面に表示する。
【0008】
また、本発明の一態様では、表示部は、第1エリア及び第2エリアに作成された走行ルートのうち、自動操舵ルートとして設定可能な部分を画面に表示する。
また、本発明の一態様では、ルート作成部は、走行ルートの進行方向に対して前後に並ぶ一部と他部との角度差が所定の閾値より大きい場合、前記一部と前記他部との間に農業機械の位置と進行方向とを変える切り返し地点を設定し、前記角度差が閾値以下である場合、前記一部と前記他部とを接続して一連の自動操舵ルートとして設定する。
【0009】
また、本発明の一態様では、ルート作成部は、前記角度差が閾値以下である場合、前記一部と前記他部との接続点から所定距離離れた前記一部上の第1中間点と前記他部上の第2中間点とをつなぐ新たな走行ルートを作成して、前記一部の第1中間点及び前記他部の第2中間点から前記接続点までの部分を削除する。
また、本発明の一態様では、ルート作成部は、前記新たな走行ルートとして、前記農業機械を直進させる直進部を作成する。
【0010】
また、本発明の一態様では、農作業支援システムは、前記閾値を変更する閾値変更部を備える。
また、本発明の一態様では、表示部は、位置検出部により検出された農業機械の位置をマップに表示し、且つ農業機械が走行ルートに基づいて走行するときに、農業機械の位置が前記切り返し地点に近づくと、農業機械の位置と進行方向とを変える切り返しを行うことを示唆する通知を表示する。
【0011】
また、本発明の一態様では、農作業支援システムは、マップで示される圃場の外形ラインより内側に圃場の輪郭を登録する圃場登録部を備え、エリア設定部は、圃場の輪郭を内側にオフセットした輪郭で囲まれるエリアを第2エリアとして設定し、第2エリアと圃場の輪郭との間を第1エリアとして設定し、ルート作成部は、農業機械に連結された作業装置の対地作業が可能な作業幅又は当該作業装置の外形幅に基づいて、第2エリアの周囲を周回する走行ルートを第1エリアに作成する。
【0012】
また、本発明の一態様では、エリア設定部は、作業装置の作業幅、当該作業幅より大きい作業装置の外形幅、所定の重なり代、又は所定のシフト量に基づいて演算した第1オフセット量で圃場の輪郭を内側に1回オフセットして第1輪郭を形成した後、作業幅又は重なり代に基づいて演算した第2オフセット量であって第1オフセット量より小さい第2オフセット量で第1輪郭を内側に1回以上オフセットして1つ以上の第2輪郭を形成し、最も内側にある第2輪郭で囲まれるエリアを第2エリアとして設定し、ルート作成部は、第1エリアにおける圃場の輪郭と第1輪郭との間、第1輪郭と当該第1輪郭に最も近い第2輪郭との間、及び第2輪郭同士の間に走行ルートを作成する。
【0013】
また、本発明の一態様では、ルート作成部は、第2エリアの周囲を異なる径で複数回周回する走行ルートを第1エリアに作成し、当該走行ルートのうち、最も外側の部分と圃場の輪郭との間隔を作業装置の作業幅、当該作業幅より大きい作業装置の外形幅、所定の重なり代、又は所定のシフト量に基づいて設定し、最も外側の部分と当該部分に最も近い内側の部分との間隔及び内側の部分同士の間隔を作業幅又は重なり代に基づいて、最も外側の部分と圃場の輪郭との間隔より狭く設定する。
【0014】
また、本発明の一態様では、農作業支援システムは、農業機械の位置を検出する位置検出部と、農業機械の位置及び自動操舵ルートに基づいて農業機械の操舵を自動で行う自動操舵を実行し、且つ農業機械に連結された作業装置により圃場に対して農作業を行う自動制御部と、を備える。
【0015】
また、本発明の一態様では、ルート作成部は、第1エリア及び第2エリアに作成された走行ルートの一部に自動操舵ルートを設定し、走行ルートの別の一部に自動運転ルートを設定し、自動制御部は、農業機械の位置及び自動運転ルートに基づいて、農業機械の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転を実行し、走行ルートに沿って農業機械が走行しているときに、互いに接続された自動操舵ルートと自動運転ルートとの切り替わりに応じて、農業機械の自動操舵と自動運転とを自動的に切り替える。
【0016】
また、本発明の一態様では、農業機械の位置と進行方向とを変える切り返しが手動運転で行われることによって、農業機械が自動操舵ルートに沿って後進するときに、自動制御部は農業機械の自動操舵を実行する。
【0017】
また、本発明の一態様では、自動制御部は、農業機械と作業装置により圃場に対して農作業を開始する際に、最初に基づく走行ルートが自動操舵ルートに設定されている場合、当該自動操舵ルートに基づいて、農業機械の自動操舵を実行して、作業装置により圃場に対して農作業を開始する。
【0018】
また、本発明の一態様では、農作業支援システムは、自動操舵で農作業を行うか否かを選択する第1選択部を備え、記第1選択部により自動操舵で農作業を行うことが選択された場合、自動制御部は、農業機械の位置及び走行ルートに基づいて、農業機械の自動操舵を実行して、作業装置により圃場に対して農作業を開始する。
【0019】
また、本発明の一態様では、農作業支援システムは、自動運転で農作業を行うか否かを選択する第2選択部を備え、第2選択部により自動運転で農作業を行うことが選択された場合、自動制御部は、農業機械の位置及び走行ルートに基づいて、農業機械の自動運転を実行して、作業装置により圃場に対して農作業を開始し、第2選択部により自動運転で農作業を行わないことが選択された場合、第1選択部による自動操舵の選択が可能になる。
【0020】
また、本発明の一態様では、農作業支援システムは、農業機械と作業装置による圃場に対しての農作業が一旦中断されてから再開される際に、自動操舵で農作業を再開するか又は農業機械の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転で農作業を再開するか否かを選択する第3選択部を備え、第3選択部により自動操舵で農作業を再開することが選択された場合、自動制御部は、農業機械の位置及び走行ルートに基づいて、農業機械の自動操舵を実行して、作業装置により圃場に対して農作業を再開し、第3選択部により自動運転で農作業を再開することが選択された場合、自動制御部は、農業機械の位置及び走行ルートに基づいて、農業機械の自動運転を実行して、作業装置により圃場に対して農作業を再開する。
【0021】
また、本発明の一態様にかかる農作業支援装置は、前記農作業支援システムに含まれる農作業支援装置であって、圃場を示すマップを表示部に表示させる制御部と、表示部に表示されたマップに第1エリアと当該第1エリアの内側に位置する第2エリアとを設定するエリア設定部と、第1エリア及び第2エリアに農業機械を走行させる走行ルートを作成するルート作成部と、を有し、ルート作成部は、走行ルートの少なくとも一部を、農業機械の操舵を自動で行う自動操舵ルートと、農業機械の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転ルートとのうちの、選択されたいずれかに設定可能である。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記農作業支援装置は、自動運転ルートを自動操舵ルートに変更可能で且つ自動操舵ルートを自動運転ルートに変更可能なルート変更部を有し、農業機械に搭載可能である。
【0023】
さらに、本発明の一態様にかかる農業機械は、農作業支援システムにより支援される農作業を行う農業機械であって、走行可能な走行車体と、走行車体に作業装置を連結可能な連結部と、走行車体の位置を検出する位置検出部と、圃場を示すマップを表示可能な表示部と、表示部に表示されたマップに第1エリアと当該第1エリアの内側に位置する第2エリアとを設定するエリア設定部と、第1エリア及び第2エリアに走行車体が走行するための走行ルートを作成するルート作成部と、作業装置により圃場に対して農作業を行う自動制御部と、を有し、ルート作成部は、走行ルートの少なくとも一部を自動操舵ルートと自動運転ルートとのうちの選択されたいずれかに設定可能であり、自動制御部は、走行車体の位置及び自動操舵ルートに基づいて走行車体の操舵を自動で行う自動操舵を実行し、走行車体の位置及び自動運転ルートに基づいて走行車体の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転を実行する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、農業機械の運転者の負担を軽減し且つ農作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】農作業支援装置のホーム画面の一例を示す図である。
【
図4】農作業支援装置の圃場登録画面の一例を示す図である。
【
図5A】圃場の登録方法を説明するための図である。
【
図5B】他の圃場の登録方法を説明するための図である。
【
図5C】他の圃場の登録方法を説明するための図である。
【
図6】農作業支援装置の作業選択画面の一例を示す図である。
【
図7】農作業支援装置の車両設定確認画面の一例を示す図である。
【
図8】農作業支援装置の圃場選択画面の一例を示す図である。
【
図9】農作業支援装置のルート作成1画面の一例を示す図である。
【
図10A】農作業支援装置のルート作成2画面の一例を示す図である。
【
図10B】農作業支援装置のルート作成2画面の一例を示す図である。
【
図10C】農作業支援装置のルート作成2画面の一例を示す図である。
【
図11A】エリアと走行ルートの設定方法を説明するための図である。
【
図11B】エリアと走行ルートの設定方法を説明するための図である。
【
図11C】エリアと走行ルートの設定方法を説明するための図である。
【
図11D】エリアと走行ルートの設定方法を説明するための図である。
【
図12】農作業支援装置の走行制御画面の一例を示す図である。
【
図13A】農業機械の自動運転を説明するための図である。
【
図13B】農業機械の自動運転を説明するための図である。
【
図13C】農業機械の自動運転を説明するための図である。
【
図13D】農業機械の自動運転を説明するための図である。
【
図14A】農作業支援装置のルート作成3画面の一例を示す図である。
【
図14B】農作業支援装置のルート作成3画面の一例を示す図である。
【
図14C】農作業支援装置のルート作成3画面の一例を示す図である。
【
図14D】農作業支援装置のルート作成3画面の他の例を示す図である。
【
図14E】農作業支援装置のルート作成3画面の他の例を示す図である。
【
図15】自動運転ルートと自動操舵ルートの一例を示す図である。
【
図16】農作業支援装置の走行制御画面の他の例を示す図である。
【
図17A】農作業支援装置の走行制御画面の他の例を示す図である。
【
図17B】農作業支援装置の走行制御画面の他の例を示す図である。
【
図18】農作業支援装置の走行制御画面の他の例を示す図である。
【
図20】農作業支援装置の走行制御画面の他の例を示す図である。
【
図21】農作業支援装置の走行制御画面の他の例を示す図である。
【
図22】農作業支援装置のルート作成3画面の他の例を示す図である。
【
図23A】イレギュラーな圃場での走行ルートの設定方法を説明するための図である。
【
図23B】イレギュラーな圃場での走行ルートの設定方法を説明するための図である。
【
図26A】イレギュラーな圃場への走行ルートの作成方法を説明するための図である。
【
図26B】イレギュラーな圃場への走行ルートの作成方法を説明するための図である。
【
図27A】走行ルートのスムージング処理を説明するための図である。
【
図27B】走行ルートのスムージング処理を説明するための図である。
【
図27C】走行ルートのスムージング処理を説明するための図である。
【
図28A】走行ルートの他のスムージング処理を説明するための図である。
【
図28B】走行ルートの他のスムージング処理を説明するための図である。
【
図28C】走行ルートの他のスムージング処理を説明するための図である。
【
図29】農作業支援装置の走行制御画面の他の例を示す図である。
【
図31】他のエリアと走行ルートの作成方法を説明するための図である。
【
図32】他のエリアと走行ルートの作成方法を説明するための図である。
【
図33】他のエリアと走行ルートの作成方法を説明するための図である。
【
図34】他のエリアと走行ルートの作成方法を説明するための図である。
【
図35】他のエリアと走行ルートの作成方法を説明するための図である。
【
図36】他のエリアと走行ルートの作成方法を説明するための図である。
【
図37A】農作業支援装置のルート作成1画面の他の例を示す図である。
【
図37B】農作業支援装置のルート作成2画面の他の例を示す図である。
【
図37C】ルート作成2画面に描画される選択部S1を示す図である。
【
図38】農作業支援装置の走行制御画面の他の例を示す図である。
【
図39】走行制御画面に描画される選択部S2を示す図である。
【
図40A】農作業支援装置のホーム画面の他の例を示す図である。
【
図40B】農作業支援装置の作業選択画面の一例を示す図である。
【
図40C】農作業支援装置の作業詳細画面の一例を示す図である。
【
図40D】作業詳細画面に描画される選択部S3を示す図である。
【
図41】農作業支援装置の走行制御画面の他の例を示す図である。
【
図42】農業機械から圃場の輪郭を構成する構造物までの距離と警告の関係の説明図である。
【
図43】農業機械からイレギュラーな圃場の輪郭を構成する構造物までの距離と警告の関係の説明図である。
【
図44】走行制御画面に描画される警告設定の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
<農業機械の構成>
図45は、農業機械1の側方全体図である。本実施形態の農業機械1は、トラクタから構成されている。なお、農業機械1は、トラクタに限定せず、例えば田植機又はコンバイン等の他の農業機械、或いは農作業を行うトラクタ以外の作業車両等により構成されてもよい。
【0027】
農業機械1は、走行車体3、原動機4、変速装置5、及び走行装置7を備えている。走行装置7は、前輪7F及び後輪7Rを有している。前輪7Fは、タイヤ型であってもよいし、クローラ型であってもよい。また、後輪7Rも、タイヤ型であってもよいし、クローラ型であってもよい。原動機4は、ディーゼルエンジン或いは電動モータ等から構成されている。変速装置5は、変速によって走行装置7の推進力を切り替え可能であると共に、走行装置7の前進と後進を切り替え可能である。原動機4の駆動力が変速装置5により走行装置7に伝達されて、走行装置7が駆動することで、走行車体3が前後に走行する。なお、
図45において、左側が走行車体3の前方であり、右側が走行車体3の後方である。
【0028】
走行車体3にはキャビン9が設けられている。キャビン9の内部には、運転席10が設けられている。走行車体3の後部には、3点リンク機構等で構成された昇降装置8が設けられている。昇降装置8には、農作業を行うための作業装置2を連結可能な連結部8g、8hが設けられている。作業装置2を連結部8g、8hに連結することで、作業装置2と走行車体3とが連結されて、走行車体3が作業装置2を牽引可能になる。
【0029】
作業装置2は圃場に対して対地作業を行う。例えば作業装置2には、圃場に対して耕うん作業を行う耕うん装置(ロータリ耕うん機)、粗耕起を行う粗耕起装置(スタブルカルチ)、及び代掻きを行う代掻き装置(ドライブハロー)、肥料若しくは農薬等を散布する散布装置、種まきを行う播種装置、苗を移植する移植装置、及び収穫を行う収穫装置等が含まれている。
【0030】
<農作業支援システムの構成>
図1は、農作業支援システム100の構成図である。
農作業支援システム100は農作業支援装置50を含んでいる。農作業支援システム100及び農作業支援装置50は、圃場で農業機械1の走行車体3を走行させながら作業装置2により農作業を行うことを支援する。
【0031】
農業機械1は、制御装置60、操作部62、変速装置5、制動装置6、操舵装置29、昇降装置8、測位装置40、及び警報部63を備えている。また、農業機械1には、LAN又はCAN等の車載ネットワークN1が構築されている。制御装置60、操作部62、測位装置40、及び警報部63は、車載ネットワークN1に接続されている。農業機械1に備わるこれらの各部60、62、5、6、29、8、40、63、N1は、農作業支援システム100に含まれる。
【0032】
制御装置60は、CPUとメモリとを含んだ電気回路等から構成されている。制御装置60は、農業機械1の各部の動作を制御する。制御装置60には、農業機械1の走行車体3(
図45)と作業装置2の動作を制御する自動制御部61が設けられている。操作部62は、運転席10に着座した運転者又は農業機械1の近傍にいる作業者等のユーザが操作可能なスイッチ、レバー、ペダル、及びその他のキー等から構成されている。操作部62には、モードスイッチ65が含まれている。モードスイッチ65は、農業機械1のモードを切り替えるために操作される。
【0033】
変速装置5は制御弁37に接続されている。制御弁37は、制御装置60から送信される制御信号に基づいて作動する電磁弁である。制御弁37には、油圧ポンプ33から吐出された作動油が供給される。制御弁37は、
図1では1つのブロックで示しているが、変速装置5に設けられた油圧クラッチ又は油圧シリンダ等の油圧機器の数に応じて適宜数設けられている。
【0034】
自動制御部61は、制御弁37の切り替え位置及び開度を電気的に制御することにより、変速装置5の駆動を制御する。変速装置5が原動機4の駆動力を走行装置7に伝達することで、走行装置7が作動して、走行車体3を前後に走行させる。また、例えば作業装置2が対地作業装置である場合等には、変速装置5は原動機4の駆動力を作業装置2に伝達する。これにより、作業装置2の作動力が大きくなる。
【0035】
また、自動制御部61は、車載ネットワークN1を経由して作業装置2と通信する。具体的には、作業装置2は、制御部と通信部とを備えている。自動制御部61は、車載ネットワークN1を経由して作業装置2に作業指令を送信する。作業装置2の制御部は、当該作業指令を通信部により受信すると、当該作業指令に基づいて作業装置2の各部の動作を制御して、農作業(対地作業)を行う。また、作業装置2の制御部は、作業状態等を示す情報又はデータを通信部により車載ネットワークN1を経由して制御装置60に送信する。自動制御部61は、作業装置2から車載ネットワークN1を経由して受信した情報又はデータに基づいて、作業装置2の作業状態等を検出する。
【0036】
制動装置6は制御弁38に接続されている。制御弁38は、制御装置60から送信される制御信号に基づいて作動する電磁弁である。制御弁38には、油圧ポンプ33から吐出された作動油が供給される。自動制御部61は、制御弁38の切り替え位置及び開度を電気的に制御することにより、制動装置6を作動させて、走行車体3にブレーキをかける。
【0037】
操舵装置29は、ハンドル(ステアリングホイール)30と回転軸(操舵軸)31と補助機構(パワーステアリング機構)32とを有している。ハンドル30は、キャビン9(
図45)の内部に設けられている。回転軸31は、ハンドル30の回転に伴って回転する。補助機構32は、ハンドル30による操舵を補助する。
【0038】
補助機構32には、制御弁34とステアリングシリンダ35とが含まれている。制御弁34は、制御装置60から送信される制御信号に基づいて作動する電磁弁である。詳しくは、制御弁34は、スプール等の移動によって切り替え可能な3位置切替弁から構成されている。制御弁34には、油圧ポンプ33から吐出された作動油が供給される。制御装置60は、制御弁34の切り替え位置及び開度を電気的に制御することにより、ステアリングシリンダ35に供給する油圧を調整して、ステアリングシリンダ35を伸縮させる。ステアリングシリンダ35は、前輪7Fの向きを変えるナックルアーム(図示省略)に接続されている。
【0039】
制御弁34は、操舵軸31の操舵によっても切り替え可能である。具体的には、ハンドル30を操作することで、当該操作状態に応じて操舵軸31が回転して、制御弁34の切り替え位置及び開度が切り替わる。ステアリングシリンダ35は、制御弁34の切り替え位置及び開度に応じて、走行車体3の左方又は右方に伸縮する。このステアリングシリンダ35の伸縮動作により、前輪7Fの操舵方向が変更される。なお、上述した操舵装置29は一例であり、上述した構成に限定されない。
【0040】
農業機械1の走行車体3は、ハンドル30の手動操作による手動操舵と、自動制御部61による自動操舵とが可能である。また、操作部62に備わるアクセル部材又はブレーキ部材(共に図示省略)の手動操作に応じて、変速装置5又は制動装置6が駆動することで、走行車体3は走行及び停止が可能である。さらに、自動制御部61による変速装置5と制動装置6の制御に応じて、走行車体3は、自動で走行及び停止が可能である。
【0041】
図2は、昇降装置8の斜視図である。昇降装置8は、リフトアーム8a、ロアリンク8b、トップリンク8c、リフトロッド8d、リフトシリンダ8eを有している。リフトアーム8aの前端部は、変速装置5(
図45)を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトアーム8aは、リフトシリンダ8eの駆動によって揺動(昇降)する。リフトシリンダ8eは、油圧シリンダから構成されている。リフトシリンダ8eは、
図1に示す制御弁36と接続されている。制御弁36は、制御装置60から送信される制御信号に基づいて作動する電磁弁である。制御弁36には、油圧ポンプ33から吐出された作動油が供給される。
【0042】
図2に示すロアリンク8bの前端部は、変速装置5(
図1、
図45)の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク8cの前端部は、ロアリンク8bよりも上方において、変速装置5の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド8dは、リフトアーム8aとロアリンク8bとを連結している。ロアリンク8b及びトップリンク8cの後端部には、作業装置2を連結可能な連結部8g、8hが設けられている。
【0043】
図1に示す自動制御部61は、制御弁36の切り替え位置及び開度を電気的に制御することにより、
図2に示すリフトシリンダ8eに供給する油圧を調整して、リフトシリンダ8eを伸縮させる。リフトシリンダ8eの伸縮動作により、リフトアーム8aが昇降するとともに、リフトロッド8dを介してリフトアーム8aと連結されたロアリンク8bが昇降する。これにより、作業装置2がロアリンク8bの前部(連結部8g、8hと反対側)を支点として、上方又は下方に揺動(昇降)する。
【0044】
図1に示す測位装置40は、受信装置41と慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)42とを有している。受信装置41は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信する。測位装置40は、受信装置41により受信した衛星信号に基づいて、現在位置(例えば、緯度、経度)を検出する。即ち、測位装置40は、農業機械1の走行車体3の位置を検出する位置検出部である。慣性計測装置42は、加速度センサとジャイロセンサ等を有している。慣性計測装置42は、走行車体3のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出する。
【0045】
警報部63は、走行車体3に設けられたブザー、スピーカ、又は警告灯等から構成されている。警報部63は、音又は光により走行車体3の周囲に対して警報を発する。
【0046】
農作業支援装置50は、例えば携帯型のタブレット端末装置等から構成されている。農作業支援装置50は、例えば農業機械1のキャビン9の内部に搭載され、農業機械1に対して着脱可能である。即ち、農業機械1は農作業支援装置50を備えている。
【0047】
農作業支援装置50には、制御部51、表示操作部52、記憶部53、及び通信部54が備わっている。制御部51は、CPUとメモリから構成されていて、農作業支援装置50の各部を制御する。制御部51には、圃場登録部51a、エリア設定部51b、ルート作成部51c、軌跡演算部51d、及び通知部51gが設けられている。これら各部は、ソフトウェアプログラムで構成されているが、ハードウェアで構成されてもよい。
【0048】
表示操作部52は、タッチパッドから構成されていて、各種の情報を画面に表示する。また、表示操作部52の表示画面に対して所定の操作を行うことにより、各種の入力を行うことができる。表示操作部52は、表示部であり且つ入力部である。表示操作部52に代えて、独立した表示部と操作部(入力部)とを農作業支援装置50に設けてもよい。
【0049】
記憶部53は、不揮発性のメモリ等から構成されている。記憶部53には、農業機械1の走行と作業を支援する情報又はデータが読み書き可能に記憶される。通信部54は、車載ネットワークN1に接続するためのインタフェイスから構成されている。制御部51は、通信部54により車載ネットワークN1を経由して、制御装置60、操作部62、測位装置40、警報部63、及び作業装置2と通信する。
【0050】
<農作業支援装置の表示と設定>
農作業支援装置50が起動すると、制御部51は、
図3に示すホーム画面D1を表示操作部52に表示させる。このホーム画面D1のデータと以降で説明する各画面D2~D9のデータは、記憶部53に記憶されている。制御部51は、必要に応じて記憶部53からデータを読み出して、当該データに基づく画面を表示操作部52に表示させる。
【0051】
ホーム画面D1には、農業機械マークX1、圃場キーB1、自動運転キーB2a、オートステアキーB2b、履歴キーB3、及び設定キーB0が表示されている。設定キーB0は、各種の設定を行うためのキーである。設定キーB0を選択(タップ操作)することで、所定の項目が設定可能になる。当該所定の項目には、例えば農作業支援装置50が搭載される農業機械1、当該農業機械1に連結される作業装置2の設定(登録)、又は表示操作部52の表示形態の設定等が含まれている。
【0052】
圃場キーB1は、農業機械1により農作業を行う圃場を登録するためのキーである。自動運転キーB2aは、農業機械1の自動走行作業モードに関する設定又は予測を行うためのキーである。オートステアキーB2bは、農業機械1の自動操舵作業モードに関する設定又は予測を行うためのキーである。
【0053】
上記の自動走行作業モードとは、農業機械1の走行車体3を自動運転で走行させながら、作業装置2により農作業(対地作業)を行うモードのことである。農業機械1の自動運転とは、走行車体3の走行速度を自動で変更し、且つ走行車体3の操舵を自動で行うことである。自動操舵作業モードとは、走行車体3の操舵を自動で行いながら、作業装置2により農作業(対地作業)を行うモードのことである。農業機械1が自動操舵作業モードにあるときは、農業機械1の運転者が操作部62(
図1)に含まれるアクセル部材又はブレーキ部材を操作することで、当該操作に応じて走行車体3の走行速度が変更される。即ち、自動操舵作業モードでは、走行車体3の走行速度が手動操作に基づいて変更される。
【0054】
また、農業機械1は、当然手動運転によっても走行可能であり、且つ当該走行時に作業装置2により対地作業を行うことが可能である。農業機械1の手動運転とは、運転者が操作部62のアクセル部材又はブレーキ部材を操作することにより、走行車体3の走行速度を変更し、且つハンドル30(
図1)を操作することにより、走行車体3の操舵を行うことである。
【0055】
図3のホーム画面D1中の履歴キーB3は、農業機械1の作業履歴を表示させるためのキーである。ホーム画面D1において、ユーザが圃場キーB1を選択すると、制御部51は、
図4に示す圃場登録画面D2を表示操作部52に表示させる。
【0056】
圃場登録画面D2には、マップMP1、農業機械1の走行車体3の位置Pv、新規キーB4、登録キーB5、呼出キーB6、取消キーB7、及び戻るキーB8が表示されている。マップMP1には、農業機械1がある位置の周辺の地図を示した画像が表示されている。当該地図のデータは、制御部51が測位装置40により取得し、或いは記憶部53に予め記憶されている。また、マップMP1には、農業機械1が農作業を行う圃場が表示されていて、緯度と経度等の位置情報が対応付けられている。ユーザがマップMP1上で所定操作を行うことで、マップMP1に表示されている地図が拡縮されたり、当該地図の表示箇所が移動したりする。
【0057】
図5Aは、圃場の登録方法を説明するための図である。例えばユーザ(農業機械1の運転者)が、
図4に示す圃場登録画面D2で新規キーB4を選択して、圃場内で農業機械1を手動運転で周回させる。この際、昇降装置8により作業装置2を上昇させて、圃場に対して作業装置2により農作業を行わなくてもよいし、又は昇降装置8により作業装置2を下降させて、圃場に対して作業装置2により農作業を行ってもよい。農作業支援装置50(
図1)の制御部51は、測位装置40により検出された位置Pvを通信部54により所定の周期で取得して、当該検出位置Pvを内部メモリに随時記録するとともに、当該検出位置PvをマップMP1上に随時表示させる。(
図4及び
図5Aでは、便宜上、位置Pvを一部だけ表示している。)
【0058】
圃場内での農業機械1の周回が終了して、ユーザが登録キーB5を選択する。すると、圃場登録部51aが、記録した複数の検出位置Pvに基づいて、走行車体3の走行軌跡K1を演算する。また、制御部51が、
図5Aに示すように、走行軌跡K1をマップMP1上に表示させる。
図5Aの例では、複数の検出位置Pvを検出順(取得順)に通った後に、最初に検出された位置Pvに戻るラインK1を、走行車体3の走行軌跡としている。
【0059】
検出位置Pvは、測位装置40のGPS位置であり、走行軌跡K1は、GPS位置が移動した軌跡である。このため、圃場登録部51aは、農業機械1におけるGPS位置から、作業装置2の周回外側端(
図5Aでは、農業機械1が右回りに圃場を周回しているので、作業装置2の左端のこと。)までの横幅方向の間隔と同等量、走行軌跡K1を外側にオフセットして、走行軌跡K1とマップMP1の外形ラインとの間にラインH1を形成する。本実施形態では、測位装置40のGPS位置は走行車体3の中心にあり、走行車体3の横幅方向の中心と作業装置2の横幅方向の中心とが一致しているので、上記のオフセット量を、作業装置2の外形幅(横幅方向の長さ)の半分の値又は作業装置2の対地作業が可能な作業幅(横幅方向の長さ)W1の半分の値と同値にしている。他の例として、農業機械1のGPS位置から作業装置2の周回外側端までの横幅方向の間隔より、所定程度小さい値又は所定程度大きい値を上記のオフセット量として、走行軌跡K1とマップMP1の外形ラインとの間にラインH1を形成してもよい。
【0060】
圃場登録部51aは、上記のように形成したラインH1を圃場の輪郭(外形)とし、当該輪郭H1で表される圃場マップMP2(圃場の輪郭を示すデータ)を記憶部53に登録(記憶)する。またこの際、圃場登録部51aは、圃場名と圃場管理番号等の圃場識別情報を圃場マップMP2に対応付けて記憶部53に登録する。なお、圃場識別情報は、例えば、圃場登録部51aが割り付けてもよいし、ユーザが表示操作部52を操作することにより入力してもよいし、又は予め記憶部53に記憶されていてもよい。圃場マップMP2等は、記憶部53に複数登録可能である。圃場登録部51aが圃場マップMP2を登録すると、制御部51が当該圃場マップMP2(圃場の輪郭H1)をマップMP1上に表示させる。
【0061】
上述した圃場の登録方法は、一例であり、これに限定されない。他の例として、圃場登録部51aが、
図5Bに示すように、走行車体3の走行軌跡K1から変曲点を演算して、当該変曲点を通るラインK2を形成する。そして、前述したオフセット量だけラインK2を外側にオフセットして、走行軌跡K1とマップMP1の外形ラインとの間にラインH1を形成し、当該ラインH1を圃場の輪郭H1及び圃場マップMP2とし、当該圃場マップMP2を記憶部53に登録してもよい。
【0062】
また、農業機械1が周回する際に、ユーザが操作部62に設けられた所定のスイッチ等を操作することで、
図5Cに示すように、圃場の端部を指定してもよい。またこの場合、圃場登録部51aは、圃場の各端部を指定順に通った後に、最初に指定された端部に戻るラインK3を形成する。そして、前述したオフセット量だけラインK3を外側にオフセットして、走行軌跡K1とマップMP1の外形ラインとの間にラインH1を形成し、当該ラインH1を圃場の輪郭H1及び圃場マップMP2とし、当該圃場マップMP2を記憶部53に登録してもよい。さらに、圃場の輪郭H1及び圃場マップMP2は、例えば位置(緯度、経度)で示されたデータ、座標(X軸、Y軸)系で示されたデータ、又はその他の表現で示されたデータであってもよい。
【0063】
図4に示す圃場登録画面D2において、ユーザが呼出キーB6を選択すると、制御部51が、記憶部53に登録されているいずれかの圃場マップMP2のデータを読み出し、当該データに基づいて圃場マップMP2を圃場登録画面D2に表示させる。また、ユーザが取消キーB7を選択すると、圃場登録部51aが、このときマップMP1上に表示されていた走行車体3の位置Pvと圃場マップMP2(圃場の輪郭H1)を消去し、これらのデータも記憶部53から消去する。つまり、圃場の輪郭H1と圃場マップMP2の登録が取り消される。
【0064】
圃場の登録が終了して、ユーザが戻るキーB8を選択すると、制御部51は、
図3のホーム画面D1を表示操作部52に表示させる。即ち、戻るキーB8は、表示操作部52の表示画面を前の画面に戻すためのキーである(以降の画面D3~D9で同様)。ホーム画面D1において、ユーザが自動運転キーB2aを選択すると、制御部51は、
図6に示す作業選択画面D3を表示操作部52に表示させる。
【0065】
作業選択画面D3には、入力操作手順を示すメッセージが表示されている。また、作業選択画面D3には、複数の作業キーB31~B35、上矢印キーB41、下矢印キーB42、次へキーB9、及び戻るキーB8が表示されている。作業キーB31~B35は、農業機械1と当該農業機械1に連結された作業装置2とで行うことが可能な農作業を示したキーである。
図6では、5つの作業キーB31、B32、B33、B34、B35を表示しているが、農業機械1及び作業装置2で実行可能な農作業が6つ以上ある場合は、ユーザが上矢印キーB41又は下矢印キーB42を選択することで、制御部51が他の作業を示す作業キーを作業選択画面D3に表示させる。
【0066】
ユーザが作業キーB31~B35のいずれかを選択すると、制御部51は、選択された作業キーを他の作業キーとは異なる表示形態で作業選択画面D3に表示させる。
図6の例では、選択された耕うん作業キーB31だけに、黒丸印が付されている。作業キーB31、B32、B33、B34のいずれかが選択された状態で、ユーザが次へキーB9を選択すると、制御部51は、
図7に示す車両設定確認画面D4を表示操作部52に表示させる。即ち、次へキーB9は、表示操作部52の表示画面を次の画面に切り替えるためのキーである(以降の画面D4~D9で同様)。
【0067】
車両設定確認画面D4には、入力操作手順を示すメッセージ、農作業の種別、農業機械1のタイプ、及び作業装置2で作業可能な作業幅が表示されている。この車両設定確認画面D4に表示される農業機械1のタイプと作業装置2の作業幅は、例えばユーザが、
図3に示したホーム画面D1中の設定キーB0を選択して、所定の入力操作を行うことで設定可能である。また、ユーザが設定キーB0を選択して、所定の入力操作を行うことで、複数の農業機械と、複数の作業装置のタイプ及び作業幅等の仕様が農作業支援装置50に登録可能である。作業装置2の作業幅は、作業装置2の進行方向に対して垂直な水平面内の作業可能な長さである。
【0068】
また、
図7の車両設定確認画面D4には、無人機設定キーB10、有人機設定キーB11、次へキーB9、及び戻るキーB8が表示されている。ユーザは、車両設定確認画面D4に表示された農業機械1のタイプ又は作業幅を変更したい場合、無人機設定キーB10又は有人機設定キーB11を選択する。すると、制御部51は、農業機械1のタイプ又は作業幅を変更可能な他の設定画面(図示省略)を表示操作部52に表示させる。ユーザが、当該他の設定画面で農業機械1のタイプ又は作業幅を変更した後、所定の操作を行うと、制御部51が、再び車両設定確認画面D4を表示操作部52に表示させる。
【0069】
また、ユーザは、車両設定確認画面D4に表示された農業機械1のタイプと作業幅を変更する必要が無い場合、次へキーB8を選択する。すると、制御部51は、
図8に示す圃場選択画面D5を表示操作部52に表示させる。
【0070】
圃場選択画面D5には、登録された1つ以上の圃場マップMP2、上矢印キーB41、下矢印キーB42、次へキーB9、及び戻るキーB8が表示されている。
図8では、3つの圃場マップMP2を表示しているが、登録された圃場マップMP2が4つ以上ある場合は、ユーザが上矢印キーB41又は下矢印キーB42を選択することで、制御部51が登録された他の圃場マップMP2を圃場選択画面D5に表示させる。
【0071】
ユーザがいずれかの圃場マップMP2を選択すると、制御部51は、選択された圃場マップMP2を他の圃場マップMP2とは異なる表示形態で表示させる。
図8では、選択された圃場マップMP2だけを太線枠で囲っている。また、制御部51は、選択された圃場マップMP2で農作業を行った前回の作業日時と、当該圃場マップMP2の面積とを圃場選択画面D5に表示させる。いずれかの圃場マップMP2が選択された状態で、ユーザが次へキーB9を選択すると、制御部51は、
図9に示すルート作成1画面D6を表示操作部52に表示させる。
【0072】
ルート作成1画面D6には、選択された圃場マップMP2(圃場の輪郭H1)、農業機械マークX1、入力操作手順を示すメッセージ、自動枕地作業キーB43、作業タイプキーB44、次へキーB9、及び戻るキーB8が表示されている。自動枕地作業キーB43は、後述するように圃場マップMP2に設定された枕地で、農業機械1の走行車体3を自動運転で走行させながら作業装置2により農作業をするか又は農作業をしないかを選択するためのキーである。
【0073】
作業タイプキーB44は、作業装置2で行う作業状態を選択するためのキーである。本実施形態では、
図6の作業選択画面D3で耕うん作業が選択された場合を例に挙げているため、
図9の作業タイプキーB44は、耕うん作業のタイプが隣接であるか又は間接であるかを選択するためのキーとなっている。
図6の作業選択画面D3で他の作業が選択された場合には、
図9の作業タイプキーB44は、当該他の作業の状態を選択するためのキーとなる。ユーザが自動枕地作業キーB43と作業タイプキーB44とで作業状態をそれぞれ選択した後、次へキーB9を選択すると、制御部51は、
図10Aに示すルート作成2画面D7を表示操作部52に表示させる。
【0074】
図10Aのルート作成2画面D7には、選択された圃場マップMP2、農業機械マークX1、入力操作手順を示すメッセージ、複数の設定項目とそれらの数値入力欄、推奨キーB12、ルート作成キーB13、軌跡予測キーB14、プラスキーB45、マイナスキーB46、次へキーB9、及び戻るキーB8が表示されている。ルート作成2画面D7の表示中に、制御部51は、測位装置40により検出された実際の走行車体3の位置を通信部54により取得し、当該走行車体3の位置に応じた圃場マップMP2上の該当箇所に農業機械マークX1を表示させてもよい。
【0075】
ルート作成2画面D7中の複数の設定項目には、予想作業距離、枕地数、作業方向、枕地の重なり代、及び中央部の重なり代がある。このうち、予想作業距離以外の項目に対して数値入力が可能である。枕地数とは、登録された圃場の輪郭H1(圃場マップMP2)の内側に当該輪郭H1に沿って一重以上設定する枕地の数のことである。
【0076】
作業方向とは、圃場の枕地の内側にある中央部で走行車体3を直進で往復させながら作業装置2で作業を行う方向のことである。作業方向の数値入力欄に所定の数値(例えば「1」又は「2」等)を入力することで、当該数値に対応するルート作成2画面D7上の縦方向又は横方向が設定される。枕地の重なり代とは、枕地に対する作業装置2の作業幅の食み出し代のことである。中央部の重なり代とは、圃場の中央部で走行車体3を直進で往復させながら作業装置2で作業を行う際の作業幅同士の重なり代のことである。
【0077】
ユーザが上記の各設定項目の数値入力欄を選択して、プラスキーB45又はマイナスキーB46を操作することで、各数値入力欄に数値が入力される。また、ユーザが推奨キーB12を選択することで、制御部51が、予め記憶部53に記憶された設定値のうち、作業選択画面D3(
図6)で選択された農作業に応じた各設定項目の設定値を読み出して、当該設定値を対応する数値入力欄に入力(表示)する。
各設定項目に数値が入力された後、ユーザがルート作成キーB13を選択する。すると、
図10Bに示すように、エリア設定部51b(
図1)が、圃場マップMP2に中央エリア(第2エリア)C1と枕地エリア(第1エリア)E1とを設定する。また、ルート作成部51c(
図1)が、圃場マップMP2に走行ルート(走行予定ルート)L1を作成する。
【0078】
図11A~
図11Dは、エリアC1、E1と走行ルートL1の設定方法を説明するための図である。ルート作成キーB13がユーザにより選択されると、まずエリア設定部51bが、圃場の輪郭H1、作業装置2の作業幅、入力された枕地数、又は枕地の重なり代に基づいて、中央エリアC1と枕地エリアE1とを設定する。詳しくは、例えばエリア設定部51bは、
図11Aに示すように、作業装置2の作業幅W1から枕地の重なり代W2を減算した幅W4で圃場の輪郭H1を枕地数分だけ内側にオフセットすることで形成される輪郭C1を演算し、当該輪郭C1で囲まれるエリア(中央部)を中央エリアC1として設定する。
【0079】
他の例として、エリア設定部51bは、圃場の輪郭H1を作業装置2の作業幅(又は作業装置2の外形幅)で枕地数分だけ内側にオフセットすることで形成される輪郭を演算し、当該輪郭で囲まれるエリア(中央部)を中央エリアとして設定してもよい。また、枕地数、枕地の重なり代、又は中央部の重なり代を予め設定された固定値にして、当該固定値を記憶部53に記憶させておき、エリア設定部51bが必要に応じて記憶部53から読み出すようにしてもよい。
【0080】
エリア設定部51bは、上記のように中央エリアC1を設定すると、当該中央エリアC1の外側で且つ圃場の輪郭H1の内側にある枠状のエリア(外枠部)を、枕地エリアE1として設定する。そして、エリア設定部51bは、各エリアC1、E1を示す位置などのデータを記憶部53に記憶させる。
【0081】
ルート作成部51cは、設定されたエリアC1、E1、作業装置2の作業幅、入力された作業方向、枕地の重なり代、及び中央部の重なり代に基づいて、走行ルートL1を作成する。詳しくは、まずルート作成部51cは、
図11Bに示すように、作業方向(
図11Bで縦方向)と平行な中央エリアC1の一方の端部(
図11Bでは右端部)から、作業装置2の作業幅W1で順に区切ることによって、中央エリアC1内に複数の単位作業区画C2を作成して行く。この際、ルート作成部51cは、最初に作成する単位作業区画C2では、枕地エリアE1に対して作業幅W1を枕地の重なり代W2だけ重ならせる。また、ルート作成部51cは、2番目以降に作成する単位作業区画C2では、1つ前に作成した単位作業区画C2に対して作業幅W1を中央部の重なり代W3だけ重ならせる。
【0082】
次に、ルート作成部51cは、
図11Cに示すように、単位作業区画C2毎に、走行車体3が直進する直進ルートL1aを作成する。この際、ルート作成部51bは、単位作業区画C2の幅方向(
図11Cでは左右方向)の中心線上に、当該単位作業区画C2の長手方向の両端部を結ぶ直線状の直進ルートL1aを作成する。なお、最後に作成された単位作業区画C2(
図11Bでは中央エリアC1の左端部にある単位作業区画C2)では、当該単位作業区画C2に作成された直進ルートL1aが中央エリアC1の外側に作成された場合は、ルート作成部51bが当該直進ルートL1aを走行ルートL1から除外してもよい。
【0083】
次に、ルート作成部51cは、隣り合う直進ルートL1a同士をつなぐルートL1bを枕地エリアE1に作成する。このルートL1bは、隣り合う2本の直進ルートL1aのうち、一方から他方へ向かうように走行車体3が旋回する旋回ルートである。なお、
図11C等では、簡素な半円状の旋回ルートL1bを例示しているが、この形は表示操作部52の表示画面D7(及び後述する表示画面D8、D10、D11)に表示し易くしたり、当該表示画面で走行ルートL1を視認し易くしたりする等の便宜を図ったためである。実際に走行車体3が一方の直進ルートL1aに基づいて走行した後、他方の直進ルートL1aに向かって旋回する際は、走行車体3が前進又は後進しながら旋回するため、旋回ルートL1bよりも複雑な形状の軌跡を描く。ルート作成部51cは、半円状以外の形状の旋回ルートL1bを作成してもよい。後述する他の旋回ルート及び他の走行ルートに含まれる旋回部についても同様である。
【0084】
農業機械1の制御装置60(
図1)は、直進ルートL1aに基づいて走行車体3を走行させているときに、昇降装置8(
図2)により作業装置2を下降させて、当該作業装置2により対地作業を行う。また、制御装置60は、旋回ルートL1bに基づいて走行車体3を走行させているときに、昇降装置8により作業装置2を上昇させて、作業装置2による対地作業を停止する。
【0085】
即ち、直進ルートL1aは、農業機械1の走行車体3を自動運転で走行させながら作業装置2により対地作業を行う作業ルートである。また、直進ルートL1aが複数作成された中央エリアC1は、走行車体3を自動運転で直進させつつ往復させながら作業装置2により対地作業を行う作業エリアである。なお、作業ルートは、直進ルートL1aのような直線状のルートに限らず、曲線状のルートであってもよい。また、作業エリアには、直線状の作業ルートと曲線状の作業ルートのうち、少なくとも一方の作業ルートを1つ以上作成すればよい。
【0086】
図9のルート作成1画面D6で自動枕地作業キーB43により枕地で作業しないことが選択された場合、ルート作成部51cは、
図11Cに示すように、直進ルートL1aと旋回ルートL1bとから構成される走行ルートL1を作成して、当該走行ルートL1を示す位置等のデータを記憶部53に記憶させる。また、ルート作成部51cは、中央エリアC1の両側にある直進ルートL1aの端部のうち、旋回ルートL1bとつながっていない一方の直進ルートL1aの端部(
図11Cで右端の直進ルートL1aの上端部)にスタート位置Psを設定し、他方の直進ルートL1aの端部(
図11Cで左端の直進ルートL1aの下端部)にゴール位置Pgを設定する。そして、ルート作成部51cは、各位置Ps、Pgを示すデータを記憶部53に記憶させる。
【0087】
また、ルート作成部51cは、全ての直進ルートL1aに基づいて走行車体3を走行させながら作業装置2により対地作業を行う予想作業距離を演算して、当該演算結果を記憶部53に記憶させる。さらに、ルート作成部51cは、走行車体3を自動運転で走行させる車速(移動速度)を、直進ルートL1aと旋回ルートL1bに設定して、当該各車速を各ルートL1a、L1bのデータに対応付けて記憶部53に記憶させる。この際、例えばルート作成部51cが、各ルートL1a、L1bの曲率が大きい部分程、遅くなるように車速を設定する。又は、例えばルート作成2画面D7に各ルートL1a、L1bの車速を入力する入力欄を設け、当該各入力欄に入力された車速を、ルート作成部51cが各ルートL1a、L1bに設定してもよい。
【0088】
上記のように設定及び作成が終了すると、制御部51が、エリアC1、E1、走行ルートL1、スタート位置Ps、ゴール位置Pg、及び予想作業距離をルート作成2画面D7に表示させる(
図11C参照)。このとき、エリアC1、E1、走行ルートL1、スタート位置Ps、及びゴール位置Pgは、
図11Cに示すようにルート作成2画面D7に表示される。また、走行ルートL1は、直進ルートL1aと旋回ルートL1bとから構成される。
【0089】
対して、
図9のルート作成1画面D6で自動枕地作業キーB43により枕地で作業することが選択された場合は、ルート作成部51cが、直進ルートL1aと旋回ルートL1bに加えて、
図11Dに示すように中央エリアC1の外側を周回する周回ルートL1cを枕地エリアE1に作成する。このとき、例えばルート作成部51cは、エリア設定部51bにより中央エリアC1の外側に一重以上設定された枕地E2a、E2b、E2cのうち、中央エリアC1に対して最も近い枕地E2aに、周回ルートL1cを作成する。
【0090】
また、ルート作成部51cは、中央エリアC1の両端(
図11Dで左右の端)にある直進ルートL1aの両端部のうち、旋回ルートL1bとつながっていない一方の直進ルートL1aの端部(
図11Dで右端の直進ルートL1aの上端部)にスタート位置Psを設定し、他方の直進ルートL1aの端部(
図11Dで左端の直進ルートL1aの下端部)に周回ルートL1cをつなげる。また、ルート作成部51cは、直進ルートL1aとつながっていない周回ルートL1cの端部に、ゴール位置Pgを設定する。
【0091】
周回ルートL1cは、走行車体3を自動運転で走行させながら作業装置2により対地作業を行う作業ルートである。周回ルートL1cには、略真っ直ぐな直進部L1sと、所定の曲率半径以上で湾曲した旋回部L1rとが複数含まれている。直進部L1sは、枕地E2aの幅方向の中心線上に作成されている。旋回部L1rは、周回ルート(走行ルート)L1cの進行方向に対して前後に並ぶ周回ルートL1cの一部である一方の直進部L1sと、周回ルートL1cの他部であって一方の直進部L1sとは延伸方向(進行方向)が異なる他方の直進部L1sとをつないで、一方の直進部L1sから他方の直進部L1sに向かって走行車体3を旋回させるルートである。
【0092】
なお、圃場の輪郭H1の形状によっては(例えば圃場の輪郭H1が歪んでいる場合)、直進部L1sと旋回部L1rとに加えて、所定の曲率半径未満で湾曲した緩いカーブ部(曲線状のルート、図示省略)が周回ルートL1cに含まれてもよい。またこの場合、周回ルートL1cの直進部L1s又は緩いカーブ部に基づいて走行車体3が自動運転で走行しているときは、作業装置2により対地作業が行われ、旋回部L1rに基づいて走行車体3が自動運転で走行しているときは、作業装置2により対地作業が行われないようにしてもよい。
【0093】
上記のように周回ルートL1cが作成された枕地E2aは、走行車体3が中央エリアC1の外側を周回しながら作業装置2により対地作業を行う作業エリアである。他の例として、枕地E2aの外側にある他の枕地E2b、E2cにも、ルート作成部51cが周回ルートを作成してもよい。また、周回ルートを作成する枕地の数を入力するキーを、ルート作成2画面D7に設けてもよい。
【0094】
さらに、ルート作成部51cが、複数の枕地E2a、E2b、E2cのうち、少なくとも1つの枕地に複数回周回する周回ルートを作成してもよいし、又は隣り合う一方の枕地と他方の枕地の両方を通るように周回ルートを作成してもよい。即ち、ルート作成部51cは、中央エリアC1の周囲を枕地数以上の回数で周回するような周回ルートを枕地エリアE1に作成してもよい。
【0095】
上述したように、ルート作成部51cは、直進ルートL1aと旋回ルートL1bと周回ルートL1cとから構成される走行ルートL1を作成すると、当該走行ルートL1を示す位置等のデータを記憶部53に記憶させる。また、ルート作成部51cは、当該走行ルートL1のスタート位置Psとゴール位置Pgを設定して、当該位置Ps、Pgを示すデータを記憶部53に記憶させる。また、ルート作成部51cは、全ての直進ルートL1aと周回ルートL1cとに基づいて走行車体3を走行させながら作業装置2により対地作業を行う予想作業距離を演算して、当該演算結果を記憶部53に記憶させる。さらに、ルート作成部51cは、走行車体3を自動運転で走行させる車速を、直進ルートL1aと旋回ルートL1bと周回ルートL1cとに設定して、当該各車速を各ルートL1a、L1b、L1cのデータに対応付けて記憶部53に記憶させる。
【0096】
上記のように設定及び作成が終了すると、制御部51が、
図10Bに示すように、エリアC1、E1、走行ルートL1、スタート位置Ps、ゴール位置Pg、及び予想作業距離をルート作成2画面D7に表示させる。このとき表示された走行ルートL1は、直進ルートL1aと旋回ルートL1bと周回ルートL1cとから構成されている。
【0097】
ルート作成2画面D7で走行ルートL1が表示された後、ユーザが軌跡予測キーB14を選択する。すると、軌跡演算部51d(
図1)が、走行ルートL1に基づいて走行車体3を自動運転で走行させながら作業装置2により対地作業を行うことが予測される作業部分、即ち作業装置2の予測作業軌跡J1を演算する。
【0098】
詳しくは、軌跡演算部51dは、走行ルートL1と作業装置2の作業幅とに基づいて予測作業軌跡J1を演算する。例えば、軌跡演算部51dは、走行ルートL1のうち、作業装置2により対地作業を行う作業ルート(
図10Cでは直進ルートL1aと周回ルートL1cの直進部L1s)に沿って走行車体3及び作業装置2を移動(前進又は後進)させた場合における、作業装置2の作業幅の通過部分(通過面積)を予測作業軌跡J1として求める。このとき、走行車体3の幅方向の中心と作業装置2の作業幅の中心は、当該作業ルート上に設定される。
【0099】
そして、軌跡演算部51dは、予測作業軌跡J1のデータを記憶部53に記憶させる。また、制御部51が、
図10Cに示すように、ルート作成2画面D7中の圃場マップMP2の走行ルートL1上に予測作業軌跡J1(ハッチングで示す部分)を重ねるように表示させる。
【0100】
なお、ルート作成部51cが走行ルートL1を作成すると、直ぐに軌跡演算部51dが予測作業軌跡J1を演算して、当該予測作業軌跡J1のデータを記憶部53に記憶させてもよい。そして、ユーザが軌跡予測キーB14を選択したときに、制御部51が予測作業軌跡J1のデータを記憶部53から読み出して、当該データに基づいて予測作業軌跡J1をルート作成2画面D7に表示させてもよい。また、軌跡演算部51dは、走行ルートL1のうち、直線状の作業ルートだけでなく、曲線状の作業ルートに沿って作業装置2を移動させた場合における、作業装置2の作業幅の通過部分を予測作業軌跡J1として求めてもよい。
【0101】
図10Cでは、中央エリアC1と枕地E2aに走行車体3を自動運転で走行させながら作業装置2により対地作業を行う作業ルートL1a、L1c(直進ルートL1a、周回ルートL1c)が作成されているため、当該作業ルートL1a、L1cに沿って予測作業軌跡J1が表示される。
【0102】
対して、
図9のルート作成1画面D6において、自動枕地作業キーB43により枕地で作業しないことが選択されて、
図11Cに示すように、中央エリアC1だけに作業ルートL1aが作成された場合は、当該作業ルートL1aに沿って予測作業軌跡J1が表示される。
【0103】
例えば、ルート作成2画面D7に表示された走行ルートL1又は予測作業軌跡J1を見たユーザが、いずれかの設定項目に対する数値入力をやり直した後、ルート作成キーB13を選択する。この場合、前述した手順で再び、エリア設定部51bがエリアC1、E1を設定し、ルート作成部51cが走行ルートL1を作成し、ルート作成2画面D7中のエリアC1、E1又は走行ルートL1等の表示が更新される。
【0104】
また、ユーザがスタート位置Ps又はゴール位置Pgを選択して、当該位置Ps、位置Pgを圃場マップMP2上の所望の位置に移動させた後、ルート作成キーB13を選択する。すると、前述した手順で再び、エリア設定部51bがエリアC1、E1を設定し、再度ルート作成部51cが走行ルートL1を作成し、ルート作成2画面D7中のエリアC1、E1又は走行ルートL1等の表示が更新される。
【0105】
また、上記のエリアC1、E1及び走行ルートL1の更新後に、ユーザが軌跡予測キーB14を選択する。すると、前述した手順で再び、軌跡演算部51dが予測作業軌跡を演算し、ルート作成2画面D7中の予測作業軌跡J1の表示が更新される。
【0106】
ルート作成2画面D7に走行ルートL1が表示された後、ユーザが次へキーB9を選択すると、制御部51が、当該画面D7で表示していた圃場マップMP2、エリアC1、E1、及び走行ルートL1を示すデータを通信部54により車載ネットワークN1を経由して、制御装置60(
図1)に送信する。また、制御部51は、
図12に示す走行制御画面D8を表示操作部52に表示させる。
【0107】
<自動走行作業モード>
走行制御画面D8は、自動走行作業モードにおける農業機械1の走行状態と作業状態を表示する画面である。なお、
図12に示す走行制御画面D8では、自動走行作業モードが開始されてからしばらくした後の農業機械1の走行状態と作業状態を例示している。走行制御画面D8には、圃場マップMP2、走行ルートL1、スタート位置Ps、ゴール位置Pg、農業機械マークX2、農業機械1の走行状態、設定変更キーB20、作業軌跡キーB15、及び軌跡クリアキーB16が表示されている。
【0108】
制御部51は、測位装置40により検出された実際の走行車体3の位置を所定の周期で通信部54により取得し、当該走行車体3の位置に応じた圃場マップMP2上の該当箇所に、農業機械マークX2を随時表示させる。即ち、走行制御画面D8中の農業機械マークX2は、農業機械1の走行車体3の実際の位置を示している。
【0109】
例えばユーザが走行制御画面D8を見ながら農業機械1を手動運転でスタート位置Psに移動させた後、モードスイッチ65(
図1)で自動走行作業モードに移行するための所定操作を行う。すると、自動制御部61(
図1)は、自動走行作業モードに移行し、農作業支援装置50から受信(取得)した走行ルートL1と、測位装置40により検出された走行車体3の位置とに基づいて、走行車体3を自動運転で走行させながら作業装置2により対地作業を行う。
【0110】
詳しくは、自動制御部61は、まずスタート位置Psから直進ルートLa1と旋回ルートL1bとに基づいて、走行車体3を自動運転で走行させながら作業装置2により対地作業を行う。この際、自動制御部61は、直進ルートL1aに基づいて走行車体3を自動運転で走行させているときは、作業装置2により対地作業を行い、旋回ルートL1bに基づいて走行車体3を自動運転で走行(旋回)させているときは、作業装置2による対地作業を停止する。そして、隣の直進ルートL1aに基づいて走行車体3を自動運転で走行させ始めるときに、作業装置2による対地作業を再開する。これにより、走行車体3が自動運転で中央エリアC1を往復直進し、中央エリアC1に対して作業装置2により対地作業が行われる。
【0111】
その後、自動制御部61は、周回ルートL1cと走行車体3の位置とに基づいて、走行車体3を自動運転で走行させながら作業装置2により対地作業を行う。これにより、走行車体3が中央エリアC1の外側を自動運転で周回し、中央エリアC1を囲む枕地E2a(
図11D等参照)に対して作業装置2により対地作業が行われる。
【0112】
図13A~
図13Dは、農業機械1の自動操舵を説明するための図である。自動走行作業モードにおいて、自動制御部61は走行車体3を自動で走行させながら、測位装置40により検出された走行車体3の位置と走行ルートL1との偏差を演算する。当該偏差が閾値未満である場合は(例えば
図13A)、自動制御部61は、操舵軸31(
図1)の回転角を維持する。走行車体3の位置と走行ルートL1との偏差が閾値以上であって、走行車体3が走行ルートL1に対して左側に位置している場合は(例えば
図13B)、自動制御部61は、走行車体3の操舵方向が右方向となるように、操舵軸31を回転させる。走行車体3の位置と走行ルートL1との偏差が閾値以上であって、走行車体3が走行ルートL1に対して右側に位置している場合は(例えば
図13C)、自動制御部61は、走行車体3の操舵方向が左方向となるように、操舵軸31を回転させる。
【0113】
上記の例では、走行車体3の位置と走行ルートL1との偏差に基づいて、操舵装置29の操舵角を変更しているが、他の例として、
図13Dに示す走行ルートL1に対する走行車体3の進行方向F1の角度θgに基づいて、操舵装置29の操舵角を変更してもよい。この場合、例えば自動制御部61が、走行車体3の位置の変化から走行車体3の進行方向F1を演算し、さらに走行ルートL1に対する進行方向F1の角度θgを演算する。そして、自動制御部61は、角度θgが閾値以上である場合に、走行車体3の進行方向F1が走行ルートL1の方位と一致する(即ち、θg=「0°」になる)ように操舵軸31を回転させる。
【0114】
また、他の例として、自動制御部61は、走行車体3の位置と走行ルートL1との偏差に基づいて第1操舵角を演算し、走行ルートL1と走行車体3の進行方向F1とに基づいて第2操舵角を演算してもよい。そして、自動制御部61は、第1操舵角と第2操舵角とに基づいて第3操舵角を演算し、当該第3操舵角に基づいて操舵軸31を回転させてもよい。
【0115】
また、自動制御部61は、走行ルートL1に基づいて走行車体3を自動で走行させているときに、走行車体3の位置の変化に基づいて走行車体3の実際の車速を演算する。そして、実際の車速が直進ルートL1a、旋回ルートL1b、又は周回ルートL1cに対応付けられた車速と一致するように、変速装置5、制動装置6、及び原動機4の駆動を制御する。
【0116】
上述したように、自動走行作業モードにおいて、農業機械1の自動制御部61は、走行ルートL1と走行車体3の位置とに基づいて、走行車体3の走行速度を自動で変更しながら、走行車体3の操舵を自動で行う。また、自動制御部61は、作業装置2による農作業(対地作業)を自動で実行したり停止したりする。
【0117】
図12に示す走行制御画面D8において、ユーザが作業軌跡キーB15を選択する。すると、軌跡演算部51dが、測位装置40により検出された走行車体3の位置と作業装置2の作業幅とに基づいて、作業装置2が対地作業を行った実際の作業軌跡J2を演算する。また、軌跡演算部51dは、実際の作業軌跡J2のデータを記憶部53に記憶させる。そして、制御部51が、
図12に示すように、圃場マップMP2の直進ルートL1a上に実際の作業軌跡J2(ハッチングで示す部分)を重ねるように表示させる。ユーザが軌跡クリアキーB16を選択すると、制御部51が実際の作業軌跡J2の表示を消去する。
【0118】
また、自動走行作業モードの実行中に作業軌跡キーB15が選択された場合は、軌跡演算部51dが、自動走行作業モードの開始時から現在までの実際の作業軌跡J2を演算して、当該作業軌跡J2のデータを記憶部53に記憶させる。そして、制御部51が、実際の作業軌跡J2を圃場マップMP2上に表示させる。なお、作業軌跡キーB15の選択が継続された場合は、実際の作業軌跡J2の演算と表示とデータの記憶とが所定の周期で実行される。これにより、走行制御画面D8において、走行車体3の位置を示す農業機械マークX2の表示位置が随時更新されると共に、実際の作業軌跡J2が延びて行く。
【0119】
なお、自動走行作業モードに移行した後、軌跡演算部51dが所定の周期で実際の作業軌跡J2を演算して、当該作業軌跡J2のデータを記憶部53に記憶させてもよい。そして、ユーザが作業軌跡キーB15を選択したときに、制御部51が実際の作業軌跡J2のデータを記憶部53から読み出して、当該データに基づいて実際の作業軌跡J2を走行制御画面D8に表示させてもよい。
【0120】
<農業機械のモード>
農業機械1で実行可能なモードには、前述したように自動走行作業モードに加えて、自動操舵作業モードが含まれている。自動走行作業モードでは、走行車体3の操舵と走行速度の変更とが自動で行われる(即ち自動運転走行状態、単に自動走行状態とも言う)。これに対して、自動操舵作業モードでは、走行車体3の操舵が自動で行われ(即ち自動操舵状態)、走行車体3の走行速度の変更は手動操作に委ねられる。
【0121】
また、自動走行作業モード及び自動操舵作業モードでは、作業装置2による対地作業が適宜自動で行われる。農業機械1で実行可能な作業モードには、自動走行作業モードと自動操舵作業モードに加えて、手動運転作業モードが含まれている。手動運転作業モードでは、農業機械1のユーザが操作部32のアクセル部材又はブレーキ部材を操作することにより、走行車体3の走行速度を変更し、且つハンドル30を操作することにより、走行車体3の操舵を行う。また、手動運転作業モードでは、作業装置2による対地作業の実行と停止は、ユーザが操作部62により操作してもよいし、或いは自動制御部61が走行車体3の位置と走行ルートL1、L2とに基づいて制御してもよい。
【0122】
上記の各モード以外にも、例えば、作業装置2による対地作業を自動で行わずに、走行車体3を自動運転で走行させる自動走行モード又は走行車体3の自動操舵を行う自動操舵モードが、農業機械1で実行可能である。
【0123】
<自動操舵作業モードの設定と表示>
例えばユーザが、
図12に示した走行制御画面D8で設定変更キーB20を選択すると、農作業支援装置50の制御部51が、
図3に示したホーム画面D1を表示操作部52に表示させる。そして、ユーザがホーム画面D1中のオートステアキーB2bを選択すると、このとき既に設定されている有効な自動走行作業モードに関する設定(
図4~
図10C等の画面D2~D7で設定された内容)を維持するか又は破棄するかを選択するための選択画面(図示省略)を、制御部51が表示操作部52に表示させる。当該選択画面で、ユーザが所定操作を行って、有効な自動走行作業モードに関する設定を維持することを選択すると、制御部51は、
図14Aに示すルート作成3画面D10を表示操作部52に表示させる。
【0124】
ルート作成3画面D10は、自動操舵作業モードに関する設定を行うための画面である。ルート作成3画面D10には、圃場マップMP2、農業機械マークX1、入力操作手順を示すメッセージ、複数の設定項目とそれらの数値入力欄、AS(オートステア)枕地作業キーB47、ルート作成キーB13、軌跡予測キーB14、ルート変更キーB21、プラスキーB45、マイナスキーB46、次へキーB9、及び戻るキーB8が表示されている。
【0125】
ルート作成3画面D10中の圃場マップMP2には、前述したルート作成2画面D7(
図10B等)での入力に基づいて、エリア設定部51bにより設定されたエリアC1、E1と、ルート作成部51cにより作成された走行ルートL1と、当該走行ルートL1のスタート位置Ps及びゴール位置Pgとが表示されている。
図14Aに表示された走行ルートL1は、自動走行作業モードで走行車体3を自動運転で走行させるための自動運転ルートである。
【0126】
ルート作成3画面D10中の複数の設定項目には、前述した予想作業距離、作業方向、枕地の重なり代、及び中央部の重なり代がある。このうち、作業方向、枕地の重なり代、及び中央部の重なり代の数値入力欄には、前述したルート作成2画面D7(
図10B等)で入力された数値が表示されている。この作業方向、枕地の重なり代、及び中央部の重なり代の各数値入力欄に表示された数値は、プラスキーB45又はマイナスキーB46を操作することにより変更可能である。予想作業距離の数値表示欄には、ルート作成部51cにより走行ルートL1に基づいて演算された数値が表示されている。
【0127】
AS枕地作業キーB47は、圃場マップMP2に設定された枕地で、農業機械1の走行車体3の自動操舵を行いながら作業装置2により作業をするか又は作業をしないかを選択するためのキーである。ルート変更キーB21は、走行ルートの用途を変更するためのキーである。
【0128】
ユーザが各設定項目に数値を入力し、且つAS枕地作業キーB47により枕地での作業状態を選択した後、ルート作成キーB13を選択する。すると、ルート作成部51c(
図1)が、エリアC1、E1、作業装置2の作業幅、枕地の重なり代、及びAS枕地作業キーB47の選択状態に基づいて、
図14Bに示すように、圃場マップMP2に自動操舵作業モード用の走行ルートL2を作成する。このとき、例えば枕地で作業することがAS枕地作業キーB47により選択されていた場合、ルート作成部51cは、
図15に示すように、圃場マップMP2上の走行ルートL1が作成されていない枕地E2b、E2bに、中央エリアC1を周回する走行ルートL2を作成する。
【0129】
詳しくは、例えばルート作成部51cは、スタート位置Psが設定されていない走行ルートL1の一端(周回ルートL1cの先端)から連続するように、内側の枕地E2bに中央エリアC1を周回する走行ルートL2を作成する。次に、ルート作成部51cは、内側の枕地E2bに作成した走行ルートL2の先端部から連続するように、外側の枕地E2cに中央エリアC1を周回する走行ルートL2を作成する。そして、ルート作成部51cは、外側の枕地E2cに作成した走行ルートL2の先端部に、ゴール位置Pgを設定し直す。
【0130】
周回ルートL1cの直進部L1sと旋回部L1rと同様に、走行ルートL2にも、略真っ直ぐな直進部L2sと、所定の曲率半径以上で湾曲した旋回部L2rとが複数含まれている。直進部L2sは、各枕地E2b、E2cの幅方向の中心線上に作成されている。旋回部L2rは、走行ルートL2の進行方向に対して前後に並ぶ走行ルートL2の一部である一方の直進部L2sと、走行ルートL2の他部であって一方の直進部L2sとは延伸方向(進行方向)が異なる他方の直進部L2sとをつないで、一方の直進部L2sから他方の直進部L2sに向かって走行車体3を旋回させるルートである。
【0131】
なお、
図15等では、円弧状の旋回部L2rを例示しているが、これに限定せず、旋回部L2rを適宜形状で作成してもよい。圃場の輪郭H1の形状によっては、直進部L2sと旋回部L2rに加えて、所定の曲率半径未満で湾曲した緩いカーブ部(曲線状のルート、
図14B~
図14E及び
図15では図示省略、後述の
図23A、
図23B等のカーブ部L2c参照)が走行ルートL2に含まれる。
【0132】
農業機械1の自動操舵作業モードでは、ユーザが操作部62に含まれるアクセル部材又はブレーキ部材を操作することで、当該操作に基づいて自動制御部61が変速装置5又は制動装置6(
図1)を制御して、走行車体3の走行速度を変更し、走行車体3を走行ルートL2に沿って走行させる。そして、走行車体3が走行ルートL2の直進部L2s(又はカーブ部)に沿って走行する際に、自動制御部61は、測位装置40により検出された走行車体3の位置と直進部L2s(あるいは緩いカーブ部)とに基づいて、操舵装置29(
図1)を制御し、走行車体3の操舵を自動で行う。また、走行車体3が走行ルートL2の旋回部L2rに沿って走行する際は、ユーザがハンドル30(
図1)を操作して、走行車体3の操舵を手動で行う。
【0133】
即ち、走行ルートL2の直進部L2s(又はカーブ部)は、農業機械1の走行車体3の操舵を自動で行い、走行車体3の走行速度の変更を手動操作に委ねる自動操舵ルートである。走行ルートL2の旋回部L2rは、農業機械1の走行車体3の操舵と走行速度の変更を手動操作に委ねる手動運転ルートである。
【0134】
前述したように、枕地で作業することがAS枕地作業キーB47により選択された場合、走行車体3が走行ルートL2の直進部L2s(又はカーブ部)に沿って走行するとき(自動操舵時)は、自動制御部61が作業装置2により対地作業を行う。また、走行車体3が走行ルートL2の旋回部L2rに沿って走行するとき(手動操舵時)は、通常、自動制御部61が昇降装置8により作業装置2を上昇させて、作業装置2により対地作業を行わない。
【0135】
即ち、走行ルートL2の直進部L2s(又はカーブ部)は、走行車体3が中央エリアC1の外側を周回しながら作業装置2により対地作業を行う作業ルートである。また、走行ルートL2が作成された枕地E2b、E2cは、走行車体3が中央エリアC1の外側を周回しながら作業装置2により対地作業を行う作業エリアである。さらに、枕地E2b、E2cと、走行ルートL1が作成された枕地E2aとから成る枕地エリアE1も作業エリアである。
【0136】
上述したように、ルート作成部51cは、走行ルートL1に追加で走行ルートL2を作成すると、当該走行ルートL2を示す位置等のデータを、走行ルートL1のデータに関連付けて記憶部53に記憶させる。また、ルート作成部51cは、設定変更したゴール位置Pgのデータをスタート位置Psのデータに関連付けて記憶部53に記憶させる。また、ルート作成部51cは、走行ルートL1、L2に基づいて走行車体3を走行させながら作業装置2により対地作業を行う予想作業距離を演算し直して、当該演算結果を記憶部53に記憶させる(予想作業距離の更新)。
【0137】
上記のように走行ルートL2の追加又はこれに関連する設定が終了すると、制御部51が、
図14Bに示すように、走行ルートL1、L2、スタート位置Ps、ゴール位置Pg、及び予想作業距離をルート作成3画面D10中の圃場マップMP2に表示させる。また、制御部51は、走行ルートL1と走行ルートL2とを異なる形態で圃場マップMP2に表示させる。
【0138】
さらに、制御部51は、走行ルートL1、L2の各部の用途と当該用途に応じた表示形態を示す凡例Y3を、ルート作成3画面D10に表示させる。
図14B等では、走行ルートL1が自動運転ルートであり且つ実線の矢印で表示されていることと、走行ルートL2の直進部L2sが自動操舵ルートであり且つ1点鎖線の矢印で表示されていることと、走行ルートL2の旋回部L2rが手動運転ルートであり且つ破線の矢印で表示されていることとが、凡例Y3で示されている。なお、表示操作部52がカラー表示可能な場合は、自動運転ルートと自動操舵ルートと手動運転ルートとを表す線又は矢印の色を異ならせてもよい。
【0139】
ルート作成3画面D10で走行ルートL1、L2が表示された後、例えばユーザが軌跡予測キーB14を選択する。この場合、軌跡演算部51d(
図1)が、走行ルートL1に基づいて自動運転(自動走行作業モード)時の作業装置2の予測作業軌跡J1し、且つ走行ルートL2に基づいてオートステア(自動操舵作業モード)時の作業装置2の予測作業軌跡J3を演算する。自動運転時の予測作業軌跡J1の演算方法は、前述した通りである。
【0140】
オートステア時の予測作業軌跡J3を演算する際は、例えば、まず軌跡演算部51dは、走行ルートL2のうち、作業装置2により対地作業を行う作業ルート(
図15では直進部L1s)に沿って走行車体3及び作業装置2を移動(前進又は後進)させた場合における、作業装置2の作業幅の通過部分(通過面積)をオートステア時の予測作業軌跡J3として求める。このとき、走行車体3の幅方向の中心と作業装置2の作業幅の中心は、当該作業ルート上に設定される。そして、軌跡演算部51dは、各予測作業軌跡J1、J3のデータを記憶部53に記憶させる。
【0141】
また、制御部51が、
図14Cに示すように、ルート作成3画面D10中の圃場マップMP2の走行ルートL1上に自動運転時の予測作業軌跡J1を重ねるように表示する。また、制御部51は、走行ルートL2上にオートステア時の予測作業軌跡J3を重ねるように表示させる。
図14Cでは、中央エリアC1と枕地E2aに作業ルートL1a、L1cが作成されているため、当該作業ルートL1a、L1cに沿って自動運転時の予測作業軌跡J1が表示される。また、枕地E2b、E2cに作業ルートL2が作成されているため、当該作業ルートL2に沿ってオートステア時の予測作業軌跡J3が表示される。
【0142】
また、制御部51は、自動運転時の予測作業軌跡J1とオートステア時の予測作業軌跡J3とを異なる形態で圃場マップMP2に表示する。さらに、制御部51は、各予測作業軌跡J1、J3の表示形態を示す凡例Y4をルート作成3画面D10に表示させる。この凡例Y4には、農業機械1の手動運転時の予測作業軌跡の表示形態も示されている。本例では、自動運転時とオートステア時と手動運転時の各予測作業軌跡を異なるハッチングで表示しているが、表示操作部52がカラー表示可能な場合は、当該各予測作業軌跡を異なる色で塗り潰したり、当該塗り潰した色の濃淡を異ならせたりしてもよい。(後述する自動運転時とオートステア時と手動運転時の各実際の作業軌跡も同様である。)
【0143】
上述したように、ルート作成部51cは、圃場マップMP2に作成した一連の走行ルートL1、L2の一部を、自動運転ルートL1(直進ルートL1a、旋回ルートL1b、周回ルートL1c)として設定する。また、ルート作成部51cは、走行ルートL1、L2の他の一部を、自動操舵ルートL2s(走行ルートL2の直進部L2s)又は手動運転ルートL2r(走行ルートL2の旋回部L2r)として設定する。また、ルート作成部51cは、一連の走行ルートL1、L2の一部を、作業ルートL1a、L1s、L2s(走行ルートL1の直進ルートL1a、周回ルートL1cの直進部L1s、走行ルートL2の直進部L2s)として設定する。
【0144】
ルート作成部51cは、上記のようなルートの設定情報を各ルートに関連付けて記憶部53に記憶させる。他の例として、制御部51が、記憶部53に記憶された各ルートのデータに基づいて各ルートの位置と形状とを検出し、当該検出結果に基づいて各ルートの用途(即ち、自動運転ルートL1、自動操舵ルートL2s、及び作業ルートL1a、L1s、L2s)を判断してもよい。具体的には、例えば制御部51は、中央エリアC1と最も内側にある枕地E2aとに作成された走行ルートL1が自動運転ルートであると判断し、他の枕地E2b、E2cに作成された走行ルートL2の直進部L2sが自動操舵ルートであると判断し、直線状の直進ルートL1aと直進部L1s、L2sが作業ルートであると判断すればよい。
【0145】
前述したように、作業ルートL1a、L1sは自動運転ルートとして設定され、作業ルートL2sは自動操舵ルートとして設定される。然るに、ユーザが作業ルートL1a、L1s、L2sのうちいずれかのルートを選択した状態で、続けてルート変更キーB21に対して所定の操作を行うことで、当該選択したルートを自動操舵ルート、自動運転ルート、又は手動運転ルートのいずれかに設定変更することができる。
【0146】
具体的には、例えばユーザがルート作成3画面D10において、作業ルートで且つ自動運転ルートである複数の直進ルートL1a及び周回ルートL1cの複数の直進部L1sのうち、いずれか1つのルートをユーザがタップして、当該ルートを選択する。そして、ユーザがルート変更キーB21を1回タップすると、選択状態にあるルートが自動操舵ルートに設定変更される。また、ユーザがルート変更キーB21をもう1回タップすると、選択状態にあるルートが手動運転ルートに設定変更される。また、ユーザがルート変更キーB21をさらにもう1回タップすると、選択状態にあるルートが自動運転ルートに設定変更される。
【0147】
このようなルートの用途の設定変更に応じて、制御部51がルートの表示形態を変更し、ルート作成部51cが当該設定変更の内容を記憶部53に記憶させる。作業ルートで且つ自動操舵ルートである走行ルートL2の複数の直進部L2sについても、上記と同様の手順で用途を設定変更することができ、表示形態と記憶内容も変更することができる。表示操作部52とルート作成部51cとは、上記のようにルートを変更するルート変更部である。
【0148】
例えば
図14Bに示す圃場マップMP2に設定された複数の枕地E2a、E2b、E2cのうち、最も内側にある枕地E2aに作成された周回ルートL1cに含まれる各直進部L1sは、当該周回ルートL1cに含まれる各旋回部L1rと共に、自動運転ルートに設定されている。この枕地E2aに作成された各直進部L1sを、例えば上述した操作手順で自動運転ルートから自動操舵ルートに変更する。この場合、制御部51が、
図14Bに示すように枕地E2aに作成された各直進部L1sの表示を、
図14Dに示すように自動操舵作業モード用の走行ルートL2に含まれる直進部L2sの表示に変更する。またこれに伴い、制御部51は、
図14Bに示すように枕地E2aに作成された各旋回部L1rの表示を、
図14Dに示すように自動操舵作業モード用の走行ルートL2に含まれる旋回部L2rの表示(手動運転ルートの表示)に変更する。即ち、制御部51は、
図14Bに示すように枕地E2aに作成された周回ルートL1cを、
図14Dに示すように自動操舵作業モード用の走行ルートL2の表示に変更する。また、このようなルートの設定変更の内容を、ルート作成部51cが記憶部53に記憶させる。
【0149】
また、
図14Bに示す圃場マップMP2の最も外側にある枕地E2cに作成された走行ルートL2に含まれる各直進部L2sは、当該走行ルートL2に含まれる各旋回部L2rと共に、自動操舵ルートに設定されている。この枕地E2cに作成された各直進部L2sを、例えば上述した操作手順で自動操舵ルートから手動運転ルートに変更する。この場合、制御部51が、
図14Bに示すように枕地E2cに作成された各直進部L2sの表示を、
図14Dに示すように手動運転作業モード用の手動運転ルートL3に含まれる直進部L3sの表示に変更する。またこれに伴い、制御部51は、
図14Bに示すように枕地E2cに作成された各旋回部L2rの表示を、
図14Dに示すように手動運転作業モード用の手動運転ルートL3に含まれる旋回部L3rの表示(手動運転ルートの表示)に変更する。即ち、制御部51は、
図14Bに示すように枕地E2cに作成された走行ルートL2を、
図14Dに示すように手動運転作業モード用の手動運転ルートL3の表示に変更する。また、このようなルートの設定変更の内容を、ルート作成部51cが記憶部53に記憶させる。
【0150】
表示操作部52は、走行ルートL1、L2、L3のうち、自動操舵ルートとして設定可能(設定変更可能も含む)な部分(本例では、直進部L2s、L1s、L3s、直進ルートL1a)を表示している。当該自動操舵ルートとして設定可能な部分L2s、L1s、L3s、L1aを、他の部分とは異なる形態で表示操作部52により表示してもよい。また、走行ルートL1、L2、L3のうち、自動操舵ルートとして設定不可能な部分(本例では、旋回ルートL1b、旋回部L1r、L2r、L3r)を、表示操作部52の画面操作により選択できないような形態で表示してもよい。
【0151】
例えば
図14Dに示すように、ユーザがルートの用途を設定変更した後に、軌跡予測キーB14を選択する。この場合、軌跡演算部51dが、走行ルートL1、L2、L3に基づいて、自動運転時の予測作業軌跡J1、オートステア時の予測作業軌跡J3、及び手動運転時の予測作業軌跡J3を演算する。そして、制御部51が、当該演算結果に基づいて、各予測作業軌跡J1、J3、J4を圃場マップMP2に表示させる。
【0152】
それにより、
図14Eに示すように、中央エリアC1だけに、自動運転ルートL1aに基づいて自動運転時の予測作業軌跡J1が描画される。また、内側の枕地E2a、E2bに、自動操舵ルートL2sに基づいてオートステア時の予測作業軌跡J3が描画される。さらに、最も外側の枕地E2cに、手動運転ルートL3の直進部L3sに基づいて手動運転時の予測作業軌跡J4が描画される。
【0153】
<複数の作業モードの併用>
例えば
図14Bに示すルート作成3画面D10において、ユーザが次へキーB9を選択する。この場合、制御部51が、当該画面D10で表示していた圃場マップMP2、エリアC1、E1、及び走行ルートL1、L2を示すデータを通信部54により車載ネットワークN1を経由して、制御装置60(
図1)に送信する。また、制御部51は、
図16に示す走行制御画面D11を表示操作部52に表示させる。
【0154】
走行制御画面D11は、前述した複数の作業モードを併用する場合の農業機械1の走行状態と作業状態を表示する画面である。なお、
図16では、スタート位置Psより自動走行作業モードが開始されてからしばらくした後の農業機械1の走行状態と作業状態を例示している。走行制御画面D11には、圃場マップMP2、走行ルートL1、L2、スタート位置Ps、ゴール位置Pg、農業機械マークX2、農業機械1の走行状態、設定変更キーB20、作業軌跡キーB15、軌跡クリアキーB16、及び凡例Y5が表示されている。
【0155】
凡例Y5は、農業機械1の自動運転(自動走行作業モード)時に作業装置2により行った実際の作業軌跡(自動運転;左に向かって下降するように傾斜する斜線のハッチング)、オートステア(自動操舵作業モード)時に作業装置2により行った実際の作業軌跡(オートステア;右に向かって下降するように傾斜する斜線のハッチング)、及び手動運転(手動運転作業モード)時に作業装置2により行った実際の作業軌跡(手動運転;ドットのハッチング)の表示形態を示している。
【0156】
例えばユーザが走行制御画面D11を見ながら農業機械1を手動運転でスタート位置Psに移動させた後、モードスイッチ65(
図1)で自動走行作業モードに移行するための所定操作を行う。すると、自動制御部61(
図1)は、前述したように自動走行作業モードに移行し、測位装置40により検出された走行車体3の位置と走行ルートL1とに基づいて、走行車体3を自動運転で走行させながら作業装置2により対地作業を行う。また、農作業支援装置50の制御部51が、農業機械1の自動運転が作業中であることを走行制御画面D11に表示し(凡例Y5の上方に表示)、走行車体3の位置に基づいて農業機械マークX2の表示位置を更新する。
【0157】
また、ユーザが作業軌跡キーB15を選択すると、軌跡演算部51dが、走行車体3の位置と作業装置2の作業幅とに基づいて、作業装置2が対地作業を行った自動運転時の実際の作業軌跡J2を演算し、当該作業軌跡J2のデータを記憶部53に記憶させる。そして、制御部51が、
図16に示すように、直進ルートL1a上に実際の作業軌跡J2を重ねるように表示させる。
【0158】
自動制御部61により自動走行作業モードが実行されることで、走行車体3が自動運転で中央エリアC1を往復直進し、中央エリアC1に対する対地作業が作業装置2により行われる。また、引き続き、走行車体3が自動運転で中央エリアC1の周囲にある枕地E2aを周回し、当該枕地E2aに対する対地作業が作業装置2により行われる。
【0159】
そして、
図17Aに示すように、作業装置2による対地作業が走行ルートL1の終了地点(自動運転による対地作業の終了位置)Pg1まで行われると、自動制御部61が、昇降装置8により作業装置2を上昇させて、作業装置2による対地作業を停止し、自動走行作業モードを終了する。また、農作業支援装置50の通知部51gが、走行制御画面D11の中央部分に、「自動運転を終了しました。引き続きオートステアで作業できます。作業を継続するときは、手動操作を行ってオートステアの開始地点に移動してください。」というメッセージを含んだ通知U4を表示させる。即ち、農業機械1の自動運転が終了したことと、続いて農業機械1のオートステアが実行可能であることと、手動操作で走行車体3をオートステアの開始地点に移動させることとが、通知部51gと表示操作部52により通知される。
【0160】
上記通知U4を視認したユーザが、例えば引き続き自動操舵作業モードで対地作業を行うため、走行車体3の切り返しを手動で行い、自動操舵作業モードの開始地点(走行ルートL2の最初の直進部L2sの開始点)Ps1に走行車体3を移動させる。
【0161】
詳しくは、例えばユーザは、まずハンドル30と操作部62のアクセル部材又はブレーキ部材を操作して、走行ルートL1の終了地点Pg1に接続された走行ルートL2の旋回部L2rに沿って走行車体3を旋回させる。次に、ユーザは、ハンドル30とアクセル部材等を操作して、当該旋回部L2rに接続された直進部L2sに沿って走行車体3を後進させて、走行車体3の向きを当該直進部L2sの進行方向に一致させて行く。この走行車体3の後進前に、ユーザがモードスイッチ65を操作して、自動操舵作業モードを開始した場合、ユーザがハンドル30を操作せずに、アクセル部材を操作して、走行車体3を後進させると、自動制御部61が、直進部L2sと走行車体3の位置とに基づいて走行車体3の自動操舵を行う。
【0162】
そして、ユーザがブレーキ部材を操作して、
図17Bに示すように走行車体3を自動操舵作業モードの開始地点Ps1に停車させると(車速=0)、通知部51gが、走行制御画面D11の中央部分に、「オートステアで作業を開始するときは、開始操作と走行操作を行ってください。」というメッセージを含んだ通知U5を表示させる。即ち、農業機械1のオートステアで対地作業を開始する場合、開始操作と走行操作を行う必要があることが、通知部51gと表示操作部52により通知される。
【0163】
上記通知U5を視認したユーザが、例えばモードスイッチ65を操作して、自動操舵作業モードを開始すると、自動制御部61が、自動走行作業モードを開始し、昇降装置8により作業装置2を対地作業が可能位置に下降させる。それから、ユーザがアクセル部材を操作して、走行車体3を走行(前進)させると、自動制御部61が、走行ルートL2の直進部L2sと走行車体3の位置とに基づいて、走行車体3の自動操舵を行いながら作業装置2により対地作業を行う。
【0164】
なお、前述した自動操舵作業モードの開始地点Ps1に移動するための走行車体3の切り返し時に、ユーザがモードスイッチ65を操作して、自動操舵作業モードを開始した場合は、通知U5が表示された後、ユーザがモードスイッチ65を再度操作することなく、アクセル部材を操作して、走行車体3を走行させることがある。この場合、自動制御部61は、走行車体3が開始地点Ps1に停車したときに、昇降装置8により作業装置2を対地作業が可能位置に下降させておき、走行車体3が走行したときに、直進部L2sと走行車体3の位置とに基づいて、走行車体3の自動操舵を行いながら作業装置2により対地作業を行う。
【0165】
他の例として、走行ルートL1の終了地点Pg1から自動操舵作業モードの開始地点Ps1までの走行車体3の切り返しと、自動走行作業モードから自動操舵作業モードへの切り替えとを、自動制御部61が自動で行うようにしてもよい。この場合、作業装置2による対地作業が終了地点Pg1まで行われると、自動制御部61が、昇降装置8により作業装置2を上昇させて、作業装置2による対地作業を停止した後、走行ルートL2と走行車体3の位置とに基づいて、走行車体3を自動運転で切り返す。
【0166】
詳しくは、例えば自動制御部61は、まず、終了地点Pg1に接続された走行ルートL2の旋回部L2rに沿って走行車体3を自動運転で旋回させる。次に、自動制御部61は、当該旋回部L2rと接続された直進部L2sに沿って走行車体3を自動運転で後進させて、走行車体3の向きを当該直進部L2sの進行方向に一致させて行く。そして、自動制御部61は、走行車体3を自動操舵作業モードの開始地点Ps1に停車させると、昇降装置8により作業装置2を対地作業が可能な位置に下降させて、自動走行作業モードから自動操舵作業モードへ移行する。
【0167】
自動操舵作業モードが開始されて、走行車体3が手動操作により走行すると、農作業支援装置50の制御部51が、走行制御画面D11において、通知U5を消去して、農業機械1のオートステアが作業中であることを表示し(例えば
図18の凡例Y5の上方に表示)、走行車体3の位置に基づいて農業機械マークX2の表示位置を更新する。
【0168】
また、作業軌跡キーB15が選択された場合、軌跡演算部51dが、走行車体3の位置と作業装置2の作業幅とに基づいて、作業装置2により対地作業を行ったオートステア時の実際の作業軌跡J5を演算し、当該作業軌跡J5のデータを記憶部53に記憶させる。そして、制御部51が、走行ルートL2の直進部L2s上に実際の作業軌跡J5を重ねるように表示させる(
図18)。
【0169】
走行車体3の自動操舵中に、ユーザがハンドル30を操作すると、自動制御部61が走行車体3の自動操舵を停止して、自動操舵作業モードを終了する。このとき、走行車体3の操舵は、ハンドル30の操作に基づいて行われる(手動操舵状態)。その後、ユーザがモードスイッチ65で所定の操作を行って、自動操舵作業モードを再開すると、自動制御部61が走行車体3の自動操舵を再開する。
【0170】
図18において、走行ルートL2の各直進部L2sの先端と各旋回部L2rとの接続点Px(黒丸で示す点は、走行車体3の自動操舵が一旦停止されて、次の直進部L2sに移動するための走行車体3の切り返しを手動で開始する切り返し地点(切り返し開始位置)である。(
図18では、便宜上、黒丸で示す点の一部にのみ符号Pxを付している。)
【0171】
なお、切り返し地点Pxとは、走行ルートL2、L1の直進部L2s、L1s、旋回部L2r、L1r、直進ルートL1a、又は旋回ルートL1bといった部分同士の接続点(又は直進部L2s同士の接続点)であって、そのうち一方の部分と他方の部分との角度差が所定の閾値より大きい位置のことである。(詳細は、
図24などを用いて後述する。)
【0172】
図18に示すように、走行車体3が切り返し地点Pxより所定距離手前にある直進部L2sの所定の中間地点Px1に到達すると、通知部51gが、走行制御画面D11の中央部分に、「切り返し地点に近づきました。ご注意ください。」というメッセージを含んだ通知U6を所定時間表示させる。即ち、自動操舵が一旦停止される切り返し地点Pxに走行車体3が近づいたことと、走行車体3の切り返しを手動操作で行わなければならないこととが、通知部51gと表示操作部52により通知される。
【0173】
上記通知U6が表示された後、
図19Aに示すように走行車体3が一方の直進部L2sに沿って走行して、例えば走行車体3又は作業装置2が切り返し地点Pxに到達する。このとき、農作業支援装置50の制御部51が、切り返し地点Pxに到達したこと、又は走行車体3の切り返しを手動操作で行うことを示すメッセージ等を、走行制御画面D11に表示させてもよい。
【0174】
例えばユーザは、
図18に示した通知U6等を見た後、走行制御画面D11で農業機械マークX2が切り返し地点Pxに到達したことを視認すると、走行ルートL2と走行車体3の位置とに基づいて、走行車体3の切り返しを手動で行う。
【0175】
詳しくは、例えばユーザは、まずハンドル30とアクセル部材又はブレーキ部材を操作して、走行車体3を前進させながら旋回部L2rに沿って旋回させる(手動運転状態)。このとき、自動制御部61は、走行車体3の自動操舵を一旦停止し、昇降装置8により作業装置2を上昇させて、作業装置2による対地作業を一旦停止する。また、農作業支援装置50の制御部51が、オートステアが一旦停止されたことを、走行制御画面D11に表示させる(図示省略)。
【0176】
例えば
図19Bに示すように走行車体3が旋回すると、ユーザは、ハンドル30と操作部62に含まれる前後進切替レバーとアクセル部材等を操作して、走行車体3を次の直進部L2sに沿って後進させる。そして、ユーザは、ブレーキ部材を操作して、
図19Bに示すように走行車体3を次の直進部L1sの開始地点に停車させる。これにより、走行車体3の向きが次の直進部L2sの進行方向と一致して、走行車体3の切り返しが終了する。この後、例えばユーザが、モードスイッチ65で所定の操作を行ってオートステアを再開すると、自動制御部61は、昇降装置8により作業装置2を下降させて、作業装置2による対地作業が可能な状態にする。
【0177】
上記に対して、例えばユーザが、次の直進部L2sに沿って走行車体3を後進させる前に、モードスイッチ65で所定の操作を行ってオートステアを再開させる。この場合、ユーザがハンドル30を操作せずに、アクセル部材等を操作して、走行車体3を後進させると、自動制御部61が次の直進部L2sと走行車体3の位置とに基づいて、走行車体3の自動操舵を行う(自動操舵再開)。そして、走行車体3が次の直進部L2sの開始地点に停車したときに、自動制御部61は、昇降装置8により作業装置2を下降させて、作業装置2による対地作業が可能な状態にする。
【0178】
それにより、走行車体3の後進時に、ユーザがハンドル30の操作により走行車体3の操舵を行わなくてもよくなり、走行車体3の向きが次の直進部L2sの進行方向と一致し易くなる。またその後、ユーザがハンドル30とアクセル部材等を操作して、走行車体3を前進させたときにも、自動制御部61が走行車体3の自動操舵を行うため、再度ユーザがモードスイッチ65で所定の操作を行ってオートステアを再開させなくてもよくなる。
【0179】
他の例として、例えばユーザがハンドル30を操作せずに、アクセル部材等を操作して、走行車体3を次の直進部L2sの開始地点から所定距離前進させたときに、自動制御部61が走行車体3の自動操舵を再開してもよい。これにより、モードスイッチ65で所定の操作が行われなくても、走行車体3の自動操舵が再開される。
【0180】
また、走行車体3の切り返しの手順及び走行車体3の切り返し時の挙動は、上記に限定されない。例えば、農業機械1のユーザの運転の習熟度、又は一方の直進部L2sと次の直進部L2sとの位置関係等により、走行車体3の手動での切り返し時に、ユーザがハンドル30又はアクセル部材等を操作して、走行車体3を何度も旋回させたり後進させたり前進させたりすることもある。このような場合にも、走行車体3が自動操舵ルートL2sに沿って後進又は前進するときに、自動制御部61は走行車体3の自動操舵を実行する。
【0181】
一方、ユーザが走行車体3を手動運転で切り返さなかったため、
図19Dに示すように、走行車体3及び作業装置2が直進し続けて、切り返し地点Pxを通過することがある。そこで、例えば走行車体3が切り返し地点Pxを通過してから、ハンドル30の手動操作が行われることなく、所定時間内が経過すると(又は走行車体3が所定距離走行すると)、自動制御部61は、制動装置6(
図1)により走行車体3を強制停車させる。またこのとき、通知部51gが、走行車体3の切り返しが手動で行われなかったため、強制停車したことを示すメッセージ等を、表示操作部52に表示させることにより通知してもよい。
【0182】
例えばユーザが、
図19A~
図19Cに示すように走行車体3の切り返しを手動で行い、且つモードスイッチ65で所定の操作を行ってオートステアを再開した後、ユーザがアクセル部材を操作して、走行車体3を走行させる。すると、自動制御部61が、走行ルートL2の直進部L2sと走行車体3の位置とに基づいて走行車体3の自動操舵を行い、作業装置2により対地作業を再開する。また、農作業支援装置50の制御部51が、オートステアが作動中であることを走行制御画面D11に表示させる。
【0183】
その後、上述したように、走行車体3が走行ルートL2の直進部L2sに沿って手動操作により走行しながら当該走行車体3の自動操舵が行われることと、走行車体3が旋回部L2rと直進部L2sに沿って手動操作で切り返されることとが交互に繰り返される。これにより、走行車体3が枕地E2bを周回し、当該枕地E2bに対する対地作業が作業装置2により行われ、続いて、走行車体3が枕地E2cを周回し、当該枕地E2cに対する対地作業が作業装置2により行われる。
【0184】
そして、作業装置2がゴール位置Pgに到達して、枕地E2cに対する作業装置2による対地作業が終了すると、自動制御部61が走行車体3の自動操舵を終了し、自動操舵作業モードも終了する。また、農作業支援装置50の制御部51が、オートステアが終了したことを走行制御画面D11に表示させる。さらに、走行制御画面D11中の作業軌跡キーB15が選択されている場合、
図20に示すように、圃場マップMP2の中央エリアC1と最も内側の枕地E2aに相当する箇所に自動運転時の実際の作業軌跡J2が表示され、枕地E2aの外側にある枕地E2b、E2c(
図14B等参照)にオートステア時の実際の作業軌跡J5が表示される。
【0185】
一方、農業機械1での自動走行作業モードの実行中に、ユーザによるモードスイッチ65の操作又は何らかのトラブル等で、自動制御部61が走行車体3の自動運転を停止(解除)することがある。この場合、農作業支援装置50の通知部51g(
図1)が、例えば
図21に示すように、「自動運転が解除されました。引き続き手動運転で作業できます。作業を終了もしくは中断するときは次へキーを操作してください。」というメッセージを含んだ通知U7を、走行制御画面D11に表示させる。即ち、農業機械1の自動運転が解除されたことと、農業機械1を手動運転して対地作業を行えることと、農業機械1による対地作業を終了するか中断するかが選択可能であることとが、通知部51gと表示操作部52により通知される。ユーザは、この通知U7を見て、農業機械1の状態を把握可能となる。
【0186】
また、農業機械1での自動操舵作業モードの実行中にも、同様に自動制御部61が走行車体3の自動操舵(オートステア)を停止することがある。この場合は、農作業支援装置50の通知部51gが、例えば「オートステアが解除されました。引き続き手動運転で作業できます。作業を終了もしくは中断するときは次へキーを操作してください。」というメッセージを含んだ通知を、走行制御画面D11に表示させる(図示省略)。即ち、農業機械1の自動操舵が解除されたことと、農業機械1を手動運転して対地作業を行えることと、農業機械1による対地作業を終了するか中断するかが選択可能であることとが、通知部51gと表示操作部52により通知される。ユーザは、上記通知を見て、農業機械1の状態を把握可能となる。
【0187】
上述した実施形態では、
図14B、
図14D、及び
図20等に示したように、圃場マップMP2の枕地エリアE1に自動操舵作業モード用の走行ルートL2を作成した例を示したが、例えば
図22に示すように、中央エリアC1に走行ルートL2を作成してもよい。
【0188】
図22に示す例では、ルート作成3画面D10中の圃場マップMP2において、中央エリアC1の略右半分に、自動走行作業モード用の走行ルート(自動運転ルート)L1aが作成され、中央エリアC1の略左半分に、自動操舵作業モード用の走行ルートL2が作成されている。この中央エリアC1の走行ルートL2は、直進ルートL2aと旋回ルートL2bとを含んでいる。直進ルートL2aと旋回ルートL2bとは、走行ルートL1の直進ルートL1aと旋回ルートL2bとそれぞれ同様の形状に作成されている。各直進ルートL1a、L2aは作業ルートである。また、直進ルートL2aは自動操舵ルートである。
【0189】
また、中央エリアC1の周囲にある複数の枕地E2a、E2b、E2cのうち、最も内側にある枕地E2aには、手動運転作業モード用の手動運転ルートL3が作成され、他の枕地E2b、E2cには、自動操舵作業モード用の走行ルートL2が作成されている。枕地E2aの手動運転ルートL3は、直進部L3sと旋回部L3rとを含んでいる。枕地E2b、E2cの走行ルートL2は、直進部L2sと旋回部L2rとを含んでいる。各直進部L3s、L2sは作業ルートである。直進部L2sは自動操舵ルートである。
【0190】
上述したように、各ルートL1、L2、L3に含まれる作業ルートL1a、L2a、L2s、L3sは、自動運転ルートと自動操舵ルートと手動運転ルートのいずれかに設定されていて、ルート作成3画面D10とルート変更キーB21の所定操作により、自動運転ルートと自動操舵ルートと手動運転ルートのいずれかに変更可能である。
【0191】
図22に示すように圃場マップMP2に作成されたルートL1、L2、L3に基づいて、農業機械1により対地作業が行われる際は、自動制御部61が、自動運転ルートと自動操舵ルートのうち、一方のルートから他方のルートへの切り替わりに応じて、走行車体3の自動運転と自動操舵とを自動的に切り替える。また、自動走行作業モード、自動操舵作業モード、及び手動運転作業モードのうち、一方のモードから他方のモードへの切り替わり時に、当該モードの切り替わり内容を示す通知又は操作部62の操作をユーザに促すメッセージ等を示す通知を、通知部51gが表示操作部52に表示させてもよい。
【0192】
上述した実施形態では、圃場マップMP2に作成した各ルートL1、L2、L3に含まれる作業ルートL1a、L1s、L2a、L2s、L3sを、ルート変更キーB21の操作に応じて、ルート作成部51cが自動運転ルートと自動操舵ルートと手動運転ルートのいずれかに変更する例を示した。然るに、各ルートL1、L2、L3に含まれる作業ルート以外の部分(旋回ルートL1b、L2b、旋回部L1r、L2r等)を、ルート変更キーB21の操作に応じて、ルート作成部51cが自動運転ルートと自動操舵ルートと手動運転ルートのいずれかに変更してもよい。
【0193】
また、上述した実施形態では、圃場マップMP2に自動走行作業モード用の走行ルートL1を作成した後、自動操舵作業モード用の走行ルートL2を追加する例を示した。然るに、例えば、
図3に示したホーム画面D1中のオートステアキーB2bが自動運転キーB2aより前に選択されることで、表示操作部52に表示されたルート3画面D10で、走行ルートL2を走行ルートL1より先に圃場マップMP2に作成したり、走行ルートL2だけを中央エリアC1と枕地エリアE1に作成したりしてもよい。またその後、圃場マップMP2に作成した自動操舵作業モード用の走行ルートL2の各部L2s、L2r、L2a、L2bを、自動走行作業モード用の走行ルートL1の各部L1s、L1r、L1a、L1b、又は手動運転作業モード用の手動運転ルートL3の各部L3s、L3rに設定変更してもよい。
【0194】
また、上述した実施形態では、ルート作成3画面D10にルートの用途又は表示を変更するルート変更キーB21を設けたが、これ以外に、例えば走行制御画面D11、D8又はルート作成2画面D7にもルート変更キーB21を設けてもよい。走行制御画面D11、D8にルート変更キーB21を設けることで、農業機械1での自動走行作業モード、自動操舵作業モード、又は手動運転作業モードの実行中に、ルート変更キーB21を操作して、自動運転ルート、自動操舵ルート、及び手動運転ルートを他の用途のルートに変更することが可能となる。また、ルート作成2画面D7にルート変更キーB21を設けることで、自動運転ルートの作成時に、ルート変更キーB21を操作して、自動運転ルートを自動操舵ルート或いは手動運転ルートに変更することが可能となる。
【0195】
また、上述した実施形態では、
図14B等に示したルート作成3画面D10で、走行ルートL1を自動運転ルートとして設定し、走行ルートL2の直進部L2sを自動操舵ルートとして設定した例を示した。然るに、例えばルート作成用の画面(画面D7と画面D10)の表示中又は走行ルートの作成時には、走行ルートの各部の用途を設定せず、その後の走行制御画面(画面D8と画面D11)の表示中に、表示操作部52の操作に応じて走行ルートの少なくとも一部を自動操舵ルート、自動運転ルート、又は手動運転ルートのいずれかに設定してもよい。
【0196】
或いは、走行制御画面D8、D11の表示中に、モードスイッチ65の操作に応じて、自動操舵作業モード、自動走行作業モード、又は手動運転作業モードのいずれかを実行すると共に、走行ルートの少なくとも一部を自動操舵ルート、自動運転ルート、又は手動運転ルートのいずれかに設定してもよい。またこの場合、例えば中央エリア又は枕地エリアに作成した走行ルートのうち、農作業を行う部分の全てを自動操舵ルートか或いは自動運転ルートに設定してもよい。
【0197】
また、ルート作成3画面D10(
図14等)にAS枕地作業キーB47を設けずに、走行制御画面D8、D11(
図12、
図16等)にAS枕地作業キーB47を設けてもよい。また、走行制御画面D8、D11の表示中において、農業機械1の自動走行が完了或いは中断して、農業機械1を手動運転するタイミング(
図17Aの通知U4が表示されるタイミング等)で、AS枕地作業キーB47をダイアログで走行制御画面D8、D11に表示させてもよい。
【0198】
つまり、農業機械1が自動走行から手動運転へ移行するタイミングで、枕地E1において農業機械1の自動操舵を行いながら作業装置2により作業をするか又は作業をしないかをAS枕地作業キーB47により選択可能にしてもよい。そして、当該AS枕地作業キーB47により「する」が選択された場合、即ち枕地E1で農業機械1の自動操舵を行いながら作業装置2により作業をすることが選択された場合に、ルート作成部51c(
図1)が枕地E1に走行ルートL2を作成し、制御部51が当該走行ルートL2を走行制御画面D8、D11に表示させてもよい。またこの際、ルート作成部51cが、走行ルートL2の作成に応じて、ゴール位置Pgを設定し直したり、走行ルートL2の直進部L2sを自動操舵ルートに設定したりしてもよい。
【0199】
また、AS枕地作業キーB47が走行制御画面D8、D11に表示される前に、ルート作成部51cが枕地E1に走行ルートL2を作成していてもよい。そして、走行制御画面D8、D11に表示されたAS枕地作業キーB47により「する」が選択された場合に、ルート作成部51cが、走行ルートL2の直進部L2sを自動操舵ルートに設定してもよい。
【0200】
<イレギュラーな輪郭の圃場>
農業機械1により農作業を行う圃場には、前述したように矩形の輪郭を有する圃場だけでなく、矩形とは異なるイレギュラーな輪郭を有する圃場もある。
図23A~
図23Bは、イレギュラーな輪郭H1を有する圃場を表した圃場マップMP2におけるエリアC1、E1と走行ルートL1、L2の設定例を示した図である。
図24は、
図23A~
図23Bに示した各枕地E2a、E2b、E2cの右側部分に作成される走行ルートL2の拡大図である。
【0201】
図23A~
図23Bに示す圃場マップMP2の輪郭H1の大半の部分は矩形であるが、一部(右側部分)はジグザグ状になっている。即ち、
図23A~
図23Bに示す圃場の輪郭H1は、真直部Hsとジグザグ部Hjとから構成されている。各真直部Hsは1本の直線で表され、ジグザグ部Hjは複数本の直線を接続することにより表されている。
【0202】
このような圃場マップMP2に対して、先に、
図10A等に示したルート作成2画面D7でエリアC1、E1と自動走行作業モード用の走行ルートL1を設定し、後で、
図14A等に示したルート作成3画面D10で自動操舵作業モード用の走行ルートL2を設定する場合を例に説明する。
前述したように、まずエリア設定部51bが、圃場の輪郭H1、作業装置2の作業幅(若しくは作業装置2の外形幅)、ルート作成2画面D7(
図10A等)で入力された枕地数、又は枕地の重なり代に基づいて、圃場マップMP2に中央エリアC1と枕地エリアE1とを設定する。
図23Aに示す例では、エリア設定部51bが、作業装置2の作業幅から枕地の重なり代を減算した幅で圃場の輪郭H1を内側に枕地数分(3回分)オフセットすることで形成される輪郭C1を、中央エリアC1として設定している。また、エリア設定部51bは、中央エリアC1の外側に3つの枕地E2a、E2b、E2cから成る枕地エリアE1を設定している。
【0203】
次に、ルート作成部51cが、エリアC1、E1、作業装置2の作業幅、作業方向、枕地の重なり代、及び中央部の重なり代に基づいて、例えば中央エリアC1と枕地E2aに渡って複数の直進ルートL1aと複数の旋回ルートL1bとから構成される走行ルートL1を作成する。これにより、
図23Bに示すように、自動運転ルートであり且つ作業ルートである直進ルートL1aが中央エリアC1に設定される。
【0204】
その後、ルート作成部51cが、エリアC1、E1、作業装置2の作業幅、枕地の重なり代、及びルート作成3画面D10(
図14A等)のAS枕地作業キーB47の選択状態に基づいて、自動操舵作業モード用の走行ルートL2を枕地エリアE1に作成する。詳しくは、ルート作成部51cは、走行ルートL1と連続し且つ中央エリアC1を周回するように、枕地E2a、E2b、E2cに走行ルートL2を作成する。
【0205】
その際、ルート作成部51cは、走行ルートL2として、各枕地E2a、E2b、E2cの幅方向の中心線上に、圃場の輪郭H1と平行に直進部L2sを作成する。これにより、
図23Bに示すように、圃場の輪郭H1の各真直部Hsと平行な各枕地E2a、E2b、E2cの真直な部分に、比較的長い1本の直進部L2s-1(実線の矢印)がそれぞれ作成される。また、圃場の輪郭H1のジグザグ部Hjと平行な各枕地E2a、E2b、E2cの右側部分に、比較的短い複数本の直進部L2s-2(実線の矢印)がそれぞれ作成される。複数本の直進部L2s-2は、輪郭H1のジグザグ部Hjと平行にジグザグ状に連続している。
【0206】
次に、ルート作成部51cは、各枕地E2a、E2b、E2cに作成された各直進部L2sの角度を検出する。このとき、ルート作成部51cは、予め設定された座標(図示省略)を基準に各直進部L2sの角度を演算する。次に、ルート作成部51cは、走行ルートL2の進行方向に対して前後に並ぶ当該走行ルートL2の一部である一方の直進部L2sの角度と、当該走行ルートL2の他部であって一方の直進部L2sとは延伸方向が異なる他方の直進部L2sの角度との差(角度差)Δθを演算する。なお、この角度差Δθは絶対値とする。また、角度差Δθは、
図24に示すように、一方の直進部L2sの進行方向と他方の直進部L2sの進行方向とのなす角度のうち、小さい方の角度でもある。
【0207】
次に、ルート作成部51cは、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの角度差Δθが所定の第1閾値Δθs1より大きければ、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの間(接続点でもよい。)に切り返し地点Pxを設定する。第1閾値Δθs1は、例えば走行車体3の自動操舵が可能な操舵角の上限値(例えば45°)以下の値に設定されている。
【0208】
またこの際、例えば
図24の枕地E2a、E2b、E2cの上部と下部に示すように、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの角度差Δθが、所定の第2閾値Δθs2以上であれば、ルート作成部51cは、一方の直進部L2sの先端より所定長手前の位置に切り返し地点Pxを設定し、且つ当該切り返し地点Pxから他方の直進部L2sに向かって走行車体3を手動で旋回(切り返し)させるための旋回部L2rを作成してもよい(
図23Bも参照)。第2閾値Δθs2は、第1閾値Δθs1以上の値に設定する(例えば90°)。このような旋回部L2rの作成手順を、前述した走行ルートL1の旋回部L1rの作成時に適用してもよい。
【0209】
他の例として、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの角度差Δθと、第2閾値Δθs2との比較を省略し、当該角度差Δθが第1閾値Δθs1より大きい場合に、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの間に切り返し地点Pxだけを設定してもよい。
【0210】
一方、
図24に示すように、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの角度差Δθが第1閾値Δθs1以下であれば、ルート作成部51cは、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの間に切り返し地点Px及び旋回部L2rを設定せず、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとを接続して、一連の自動操舵ルートとして設定する。
【0211】
上記により、
図23Bに示すように、枕地E2a、E2b、E2cに作成された複数の直進部L2s-1、L2s-2のうち、角度差Δθが第1閾値Δθs1より大きい直進部同士の間には、切り返し地点Px又は旋回部L2rが設定される。また、角度差Δθが第1閾値Δθs1以下である直進部L2s同士は、一連の自動操舵ルートに設定される。
図23Bでは、便宜上、一部の切り返し地点に符号Pxを付し、その他の切り返し地点は黒丸印の点で示している。
【0212】
ルート作成部51cは、上記のように枕地E2a、E2b、E2cに走行ルートL2を作成すると、走行ルートL1、L2の各部(直進ルートL1a、旋回ルートL1b、直進部L2s、旋回部L2r、及びこれらの接続点(切り返し地点Pxを含む)等)のデータを記憶部53に記憶させる。また、ルート作成部51cは、走行ルートL1の一端にスタート位置Psを設定し、走行ルートL2の一端にゴール位置Pgを設定して、当該位置Ps、Pgを示すデータを記憶部53に記憶させる。また、ルート作成部51cは、走行ルートL1、L2に含まれる直進ルートL1aと直進部L2sとに基づいて、走行車体3を走行させながら作業装置2により対地作業を行う予想作業距離を演算して、当該演算結果を記憶部53に記憶させる。
【0213】
制御部51は、
図23Bに示すようにルート作成部51cにより設定された走行ルートL1、L2又は位置Ps、Pg等を圃場マップMP2と共に、ルート作成3画面D10(
図14B等)又は走行制御画面D11(
図16等)に表示させる。
【0214】
その後、前述したように農業機械1で自動走行作業モードが実行された後、自動操舵作業モードが実行されて、走行車体3が枕地E2a、E2b、E2cの走行ルートL2の自動操舵ルート(直進部)L2sに沿って走行する。この際、自動制御部61は、直進部L2sと走行車体3の位置とに基づいて、走行車体3の自動操舵を行いながら作業装置2により対地作業を行う。そして、切り返し地点Pxが設定されていない直進部L2s同士の接続点では、自動制御部61が当該接続点の両側にある直進部L2sと走行車体3の位置とに基づいて、走行車体3の自動操舵を継続して行い、作業装置2により対地作業も継続して行う。
【0215】
それに対して、走行車体3が切り返し地点Pxに近づくと、農業機械1の切り返しを行うことを示唆する通知U6(
図18)が表示操作部52により走行制御画面D11に表示される。また、走行車体3が切り返し地点Pxに到達すると、自動制御部61が走行車体3の自動操舵を一旦停止する。切り返し地点Pxで走行車体3が運転者の手動操作により切り返されて、走行車体3の向きが次の直進部L2sの進行方向と一致すると、自動制御部61は走行車体3の自動操舵を再開する。
【0216】
なお、上記の走行車体3の切り返しの際、切り返し地点Pxに旋回部L2rが接続されている場合、自動制御部61は、作業装置2による対地作業を一旦停止する。また、切り返し地点Pxが直進部L2s-2同士の接続点である場合、自動制御部61は、作業装置2による対地作業を一旦停止してもよいし、或いは作業装置2による対地作業を継続してもよい。
【0217】
上述した切り返し地点Pxなどを設定するための第1閾値Δθs1を、例えば
図25A~
図25Cに示すような第1閾値変更キーB23によって変更できるようにしてもよい。具体的には、例えば、
図23Bに示すような走行ルートL1、L2などが、ルート作成3画面D10(
図14B等)或いは走行制御画面D11(
図16等)に表示されたときに、ユーザが、走行ルートL2の直進部L2s、旋回部L2r、及び切り返し地点Pxのいずれかを選択(タップ操作)してから、ルート変更キーB21又は設定変更キーB20に対して、所定の操作(例えば所定時間以上タッチするロングタップ操作、又は短い間隔で複数タッチする連続タップ操作)を行う。このユーザ操作が表示操作部52から通知されると、制御部51は、
図25A~
図25Cに示すような第1閾値変更キーB23を、ルート作成3画面D10或いは走行制御画面D11に表示させる。
【0218】
第1閾値変更キーB23は、前述した第1閾値Δθs1を0°~45°の範囲で変更するためのキーである。第1閾値変更キーB23には、第1閾値Δθs1を示すカーソル66と、第1閾値Δθs1の変更可能な範囲を示すメータ67とが含まれている。なお、第1閾値変更キーB23で第1閾値Δθs1を変更可能な範囲は、0°~45°に限定されず、例えば0°より大きい値から45°未満の値までの範囲などのように、その他の角度範囲でもよい。
【0219】
初期状態では、第1閾値Δθs1は、走行車体3の自動操舵又は自動走行を行うための最適値(例えば20°)に設定されている。また、
図25Aに示すように、第1閾値変更キーB23のカーソル66が第1閾値Δθs1の最適値を示す位置にあって、メータ67の0°からカーソル66の示す位置までの部分が他の部分より強調表示される。即ち、初期状態では第1閾値変更キーB23は、第1閾値Δθs1が最適値に設定されていて、メータ67の0°から最適値までの間の角度が自動操舵を行う操舵角として有効であることを示している。このように第1閾値Δθs1が最適値に設定されている場合、
図23B及び
図24に示すように、枕地エリアE1に走行ルートL2の直進部L2s、旋回部L2r、及び切り返し地点Pxがルート作成部51cにより作成される。
【0220】
例えばユーザが、第1閾値変更キーB23のカーソル66をドラッグ操作して、
図25Bに示すように、カーソル66を最適値より大きな値(例えば30°)を示す位置に移動させる。すると、メータ67の0°から当該大きな値までの間の角度が自動操舵を行う操舵角として有効になって、当該間の部分が強調表示される。また、ルート作成部51cが、第1閾値Δθs1をカーソル66の示す大きな値に変更して、当該変更後の第1閾値Δθs1に基づいて、走行ルートL2の直進部L2s、旋回部L2r及び切り返し地点Pxを作成し直す。これにより、例えば
図26Aに示すように、走行ルートL2において、切り返し地点Pxが減少し、走行車体3の自動操舵を連続して行う距離が長くなる。
【0221】
また、例えばユーザが、
図25Cに示すようにカーソル66を最適値より小さな値(例えば10°)を示す位置に移動させる。すると、メータ67の0°から当該小さな値までの間の角度が自動操舵を行う操舵角として有効になって、当該間の部分が強調表示される。また、ルート作成部51cが、第1閾値Δθs1をカーソル66の示す小さな値に変更して、当該変更後の第1閾値Δθs1に基づいて、走行ルートL2の直進部L2s、旋回部L2r、及び切り返し地点Pxを作成し直す。これにより、例えば
図26Bに示すように、走行ルートL2において、切り返し地点Pxが増加し、走行車体3の自動操舵時の操舵角を小さく抑えて、自動操舵をより安定に行えるようになる。
【0222】
制御部51は、上記のようなルート作成部51cによる走行ルートL2の変更に応じて、ルート作成3画面D10中或いは走行制御画面D11中の走行ルートL2の表示を更新する。また、制御部51は、第1閾値変更キーB23が一定時間操作されなければ、当該第1閾値変更キーB23の表示を消去する。表示操作部52とルート作成部51cとは、上述したように第1閾値Δθs1を変更する閾値変更部である。
【0223】
上述した実施形態では、第1閾値Δθs1が変更されると、ルート作成部51cが全ての走行ルートL2を作成し直している。然るに、他の例として、ルート作成部51cが一旦作成した走行ルートL2の直進部L2s又は切り返し地点Pxのいずれかをユーザが選択した状態で、第1閾値Δθs1が変更されたときに、ルート作成部51cが、当該選択された部分とこれに接続された直進部L2sとに対して、新たに走行ルートL2を作成し直してもよい。また、前述した第2閾値Δθs2を変更可能な第2閾値変更キーを、ユーザが操作可能に表示操作部52の画面D10、D11等に設けてもよい。
【0224】
上述した実施形態では、
図24に示したように、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの角度差Δθが第1閾値Δθs1以下の場合に、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとが連続する自動操舵ルートとして設定されたが、これ以外に、例えば
図27A~
図27Cに示すように、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとに対して、自動操舵時の操舵角を小さく抑えるスムージング処理を実行してもよい。
具体的には、例えばルート作成部51cは、枕地エリアE1に作成した走行ルートL2の互いに接続された一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの角度差Δθを演算した後、
図27Aに示すように、角度差Δθが第1閾値Δθs1以下である一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとに対してスムージング処理を行う。
【0225】
スムージング処理では、まずルート作成部51cは、
図27Aに示すような、角度差Δθが第1閾値Δθs1以下である一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの接続点Pαから、所定距離dxだけ離れた一方の直進部L2s上に第1中間点Pα1を作成し、接続点Pαから所定距離dxだけ離れた他方の直進部L2s上に第2中間点Pα2を作成する(
図27B)。次に、ルート作成部51cは、第1中間点Pα1と第2中間点Pα2とをつなぐ新たな直進部L2sを作成して、一方の直進部L2sの第1中間点Pα1及び他方の直進部L2sの第2中間点Pα2から接続点Pαまでの部分を削除する(
図27C)。なお、
図27Cでは、先に作成された直進部L2sの削除部分を破線で示している。そして、ルート作成部51cは、一方の直進部L2sと新たな直進部L2sと他方の直進部L2sとを接続して、一連の自動操舵ルートとして設定する。
【0226】
これにより、
図27A~
図27Bに示した連続する2つの直進部L2sが、
図27Cに示すように連続する3つの直進部L2sとなる。また、
図27Aに示した連続する直進部L2s同士(先に作成された直進部L2s同士)の角度差Δθより、
図27Cに示した連続する直進部L2s同士(新たな直進部L2sと先に作成された直進部L2s)の角度差Δθ’の方が小さくなる。つまり、上記のように直進部L2sを追加することで、連続する直進部L2s同士の角度差Δθ’が小さくなり、走行ルートL2のジグザグ度合い(曲がり度合い)が小さくなる。このため、
図27Aに示した連続する直進部L2s同士より、
図27Cに示した連続する直進部L2s同士の方が、自動操舵時の操舵角を小さく抑えることができる。
【0227】
なお、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの角度差Δθが、第1閾値Δθs1以下でも、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sのうちのいずれかの長さが所定距離dxより短い場合、ルート作成部51cは、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの間に新たに直進部L2sを作成せず、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとを接続して、一連の自動操舵ルートとして設定する。
【0228】
上述した実施形態では、角度差Δθが第1閾値Δθs1以下である一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとに対してスムージング処理を行ったが、これ以外に、例えば角度差Δθが第1閾値Δθs1以下で且つ所定の第3閾値Δθs3より大きい一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとに対してスムージング処理を行うようにしてもよい。第3閾値Δθs3は、第1閾値Δθs1以下の値に設定される。
【0229】
その場合のスムージング処理では、まずルート作成部51cは、角度差Δθが第1閾値Δθs1以下で且つ第3閾値Δθs3以上である一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとに対して、
図27A~
図27Cに示したように、当該直進部L2s同士の接続点Pαから、所定距離dxだけ離れた一方の直進部L2s上に第1中間点Pα1を作成し、接続点Pαから所定距離dxだけ離れた他方の直進部L2s上に第2中間点Pα2を作成する。次に、ルート作成部51cは、第1中間点Pα1と第2中間点Pα2とをつなぐ新たな直進部L2sを作成して、一方の直進部L2sの第1中間点Pα1及び他方の直進部L2sの第2中間点Pα2から接続点Pαまでの部分を削除する。そして、ルート作成部51cは、一方の直進部L2sと新たな直進部L2sと他方の直進部L2sとを接続して、一連の自動操舵ルートとして設定する。
【0230】
また、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの角度差Δθが、第1閾値Δθs1以下で且つ第3閾値Δθs3以上でも、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sのうちのいずれかの長さが所定距離dxより短い場合、ルート作成部51cは、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの間に新たに直進部L2sを作成せず、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとを接続して、一連の自動操舵ルートとして設定する。また、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの角度差Δθが、第3閾値Δθs3未満でも、ルート作成部51cは、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの間に新たに直進部L2sを作成せず、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとを接続して、一連の自動操舵ルートとして設定する。
【0231】
上記により、角度差Δθが第1閾値Δθs1以下で且つ第3閾値Δθs3以上である長めの直進部L2s同士だけにスムージング処理が行われるので、ルート作成部51cの処理負担を軽減することができる。また、スムージング処理を行った場合の走行ルートL2は、スムージング処理を行わない場合の走行ルートL2より、比較的短い直進部L2s-2が増加し、自動操舵時の操舵角を小さく抑えることができる。
【0232】
他の例として、第3閾値Δθs3を変更可能な第3閾値変更キーを、ユーザが操作可能に表示操作部52の画面D10、D11等に設けてもよい。この場合、第3閾値Δθs3が第1閾値Δθs1に対してより小さい値に設定されるに連れて、走行ルートL2の直進部L2sに対して行うスムージング処理の回数が多くなる。このため、走行ルートL2において、比較的短い直進部L2s-2が一層増加し、自動操舵時の操舵角を一層小さく抑えることができる。また、第3閾値Δθs3が第1閾値Δθs1と同値又は第1閾値Δθs1に近い値に設定されるに連れて、走行ルートL2の直進部L2sに対して行うスムージング処理の回数が少なくなる。このため、ルート作成部51cの処理負担が軽減され、走行ルートL2において、比較的短い直進部L2s-2が減少し、自動操舵時に走行車体3を連続で直線させる距離を長くすることができる。
【0233】
制御部51は、上記のようなルート作成部51cのスムージング処理による走行ルートL2の変更に応じて、ルート作成3画面D10中又は走行制御画面D11中の走行ルートL2の表示を更新する。また、制御部51は、第3閾値変更キーB24が一定時間操作されなければ、当該キーB24の表示を消去する。表示操作部52とルート作成部51cとは、上述したように第3閾値Δθs3を変更する閾値変更部でもある。
【0234】
上述した実施形態では、スムージング処理において、
図27A~
図27Cに示したように、角度差Δθが第1閾値Δθs1以下など(且つ第3閾値Δθs3以上)である直進部L2s同士の間に、新たな直進部L2sを作成した例を示したが、当該新たな直進部L2sに代えて、例えば
図28A~
図28Cに示すように、新たなカーブ部L2cを作成してもよい。カーブ部L2cは、走行車体3を緩やかにカーブ(曲がらせながら進行)させるルートであって、走行ルートL2に含まれる。また、カーブ部L2cは、自動操舵ルート、自動運転ルート、又は手動運転ルートに設定可能である。
【0235】
具体的には、ルート作成部51cは、角度差Δθが第1閾値Δθs1以下(又は第1閾値Δθs1以下で且つ第3閾値Δθs3以上)である一方の直進部L2sと他方の直進部との接続点Pαから(
図28A)、所定距離dxだけ離れた一方の直進部L2s上に第1中間点Pα1を作成し、接続点Pαから所定距離dxだけ離れた他方の直進部L2s上に第2中間点Pα2を作成する(
図28B)。次に、ルート作成部51cは、第1中間点Pα1と第2中間点Pα2とをつなぐように、新たなカーブ部L2cを作成して、一方の直進部L2sの第1中間点Pα1及び他方の直進部L2sの第2中間点Pα2から接続点Pαまでの部分を削除する(
図28C)。そして、ルート作成部51cは、一方の直進部L2sと新たなカーブ部L2cと他方の直進部L2sとを接続して、一連の自動操舵ルートとして設定する。
【0236】
なお、カーブ部L2cの曲率半径は、例えば、直進部L2s同士の角度差Δθ、第1閾値Δθs1(又は第3閾値Δθs3)、各直進部L2sの長さ(距離)、所定距離dx、又は接続点Pαの位置に基づいて、ルート作成部51cが設定する。また、接続点Pαからカーブ部L2cまでの最短距離が、少なくとも所定距離dxより小さい所定の離間距離(図示省略)未満になるように、カーブ部L2cを作成するのが好ましい。
【0237】
また、スムージング処理を実行するか否か、又は閾値Δθs1、Δθs2、Δθs3を変更するか否かを、ユーザが選択することができるようなキーをルート作成3画面D10などに設けたりしてもよい。また、輪郭H1にジグザグ部Hjを有する圃場だけでなく、円弧状などに湾曲する湾曲部を有する圃場に対しても、上述した走行ルートL2若しくは切り返し地点Pxの作成手順、又はスムージング処理の手順を適用してもよい。
【0238】
上述した実施形態では、自動操舵作業モード用の走行ルートL2に含まれる直進部L2s、L2a(直進ルートL2a)と旋回部L2r、L2b(旋回ルートL2b)などを、表示操作部52の画面に表示させる例を示した。然るに、そのうち、手動運転ルートである旋回部L2r、L2bを表示操作部52に表示させず、自動操舵ルートである直進部L2s、L2aなどを表示操作部52に表示させるようにしてもよい。
【0239】
例えば
図29に示す実施形態では、表示操作部52に表示される走行制御画面D11中の圃場マップMP2に、ルート作成部51cが作成した走行ルートL2のうち、自動操舵ルートである直進部L2sが表示され、手動運転ルートである旋回部L2r(
図16等)は表示されていない。また、ルート変更キーB21等の操作により自動操舵ルートに設定変更可能な直進ルート(自動運転ルート)L1aは、圃場マップMP2に表示されている。このようにすることで、ユーザは走行ルートL1、L2のうち、自動操舵ルートとして設定可能な部分(直進部L2s、L1aなど)を容易に視認することができる。
【0240】
また、ルート作成2画面D7、ルート作成3画面D10、又は走行制御画面D8に表示される圃場マップMP2においても、走行ルートL1、L2、L3のうち、自動操舵ルートとして設定可能な部分を表示させて、自動操舵ルートとして設定不可能な部分(旋回部L2r、L1r、L3r、L2b、L1b)を表示させないようにしてもよい。また、自動操舵ルートとして設定不可能な部分の表示と非表示とをユーザに選択させるための操作キーを、画面D7、D8、D10、D11に設けてもよい。
【0241】
上述した実施形態では、ルート作成部51cが自動操舵作業モード用の走行ルートL2を作成する際に、自動操舵ルートである直進部L2s、L2aを作成すると共に、手動運転ルートである旋回部L2r、L2bを作成する例を示した。然るに、ルート作成部51cが走行ルートL2を作成する際に、自動操舵ルートである直進部L2s、L2aを作成し、手動運転ルートである旋回部L2r、L2bを作成しないようにしてもよい。この場合、ルート作成部51cにより作成された直進部L2s、L2aは、後の走行制御画面D8、D11に表示されるが、作成されていない旋回部L2r、L2bは、走行制御画面D8、D11に表示されない。
【0242】
またその後、ルート変更キーB21等の操作により、直進部L2s、L2aが自動運転ルートに設定変更された場合は、ルート作成部51cが変更後の直進部とつながる旋回部を作成し、これらすべてを制御部51が表示操作部52の走行制御画面D8、D11に表示させればよい。
【0243】
<他の実施形態>
<切り返しの通知>
図18に示した実施形態では、自動操舵作業モードにおいて、走行車体3が切り返し地点Pxに近づくと、走行車体3の切り返しを行うことを示唆する通知U6を表示操作部52の画面D11に表示させた例を示した。然るに、自動走行作業モードにおいても、走行車体3が位置若しくは進行方向を変える地点(走行ルートL1に含まれる直進ルートL1aの終了点又は周回ルートL1cに含まれる直進部L1sの終了点等)に近づくと、走行車体3の切り返しが自動で行われることを示唆する通知を表示操作部52の走行制御画面D8、D11に表示させてもよい。
【0244】
また、手動運転作業モードにおいても、走行車体3が位置又は進行方向を変える地点(走行ルートL3の直進部L3sの終了点等)に近づくと、走行車体3の切り返しを行うことを示唆する通知を表示操作部52の画面に表示させてもよい。また、農業機械1の走行車体3の切り返しとは、走行車体3の位置や進行方向を変えるために、走行車体3を前進、後進、又は旋回させる動作であって、例えば走行車体3の旋回を伴わない前進と後進のうち一方の動作を含まなくてもよい。
【0245】
上述した実施形態では、
図23A~
図23Bなどに示したようなレギュラーな輪郭H1を有する圃場マップMP2にルート作成部51cが走行ルートL2を作成する際に、一方の直進部L2sの進行方向と、当該一方の直進部L2に接続された他方の直進部L2sとの角度差Δθに基づいて、直進部L2s、旋回部L2r、又は切り返し地点Pxなど(カーブ部L2cを含む。)を作成する例を挙げた。然るに、例えば
図14B等に示したような矩形の輪郭H1を有する圃場マップMP2にルート作成部51cが自動操舵作業モード用の走行ルートL2を作成する際に、同様に、当該走行ルートL2に含まれる一方の直進部と、当該一方の直進部の先端に接続された他方の直進部との角度差に基づいて、直進部、旋回部、又は切り返し地点などを作成してもよい。また、ルート作成部51cが自動走行作業モード用の走行ルートL1を作成する際に、同様に、一方の直進部の進行方向と、当該一方の直進部の先端に接続された他方の直進部との角度差に基づいて、直進部、旋回部、又は切り返し地点などを作成してもよい。
【0246】
<圃場のオフセット>
上述した実施形態では、
図11A等に示したように、エリア設定部51bが、作業装置2の作業幅W1より小さい幅W4で圃場の輪郭H1を枕地数分だけ内側にオフセットすることで形成された輪郭C1の内側を中央エリアとし、輪郭C1と輪郭H1の間を枕地エリアE1として設定した。然るに、例えば圃場の畔際の整備状態又は農業機械1による作業性などを考慮して、枕地エリアE1をより広く設定してもよい。また、圃場の輪郭H1よりある程度内側を農業機械1が走行するように、走行ルートL2を作成してもよい。
【0247】
具体的には、例えば農作業支援装置50の制御部51が、
図3に示した設定キーB0が選択された後、表示操作部52で所定の入力操作が行われたときに、
図30に示すような圃場シフト量変更キーB25を表示操作部52に表示させる。或いは、
図9のルート作成1画面D6又は
図10のルート作成2画面D7などに、圃場シフト量変更キーB25を表示させてもよい。圃場シフト量変更キーB25は、圃場マップMP2において、最も外側に形成される走行ラインの位置、即ち最も外側の走行ラインと圃場の輪郭H1との間隔であるシフト量W5を調整するためのキーである。圃場シフト量変更キーB25には、シフト量W5を示し且つ変更するカーソル70と、シフト量W5の調整可能な範囲を示すメータ71とが含まれている。シフト量W5は、圃場シフト量変更キーB25により、例えば0~30cmの範囲で調整可能である。
【0248】
図30に示すように、圃場シフト量変更キーB25のカーソル70が操作されて、最も外側の走行ラインと圃場の輪郭H1との間隔あるシフト量W5が0より大きい値に設定された場合、まずエリア設定部51bが、
図31に示すように、作業装置2の作業幅W1から枕地の重なり代W2を減算した幅W4と、シフト量W5とを加算して得たオフセット量(第1オフセット量=W4+W5=W1-W2+W5)で、圃場の輪郭H1を内側にオフセットして、輪郭E3(第1輪郭)を演算する。次に、エリア設定部51bは、入力された枕地数から1を減算した数だけ輪郭E3を幅W4(第2オフセット量)でオフセットすることにより形成される輪郭E31、E32(第2輪郭)を演算する。そして、エリア設定部51bは、輪郭E31、E32のうち、最も内側にある輪郭E32で囲まれるエリア(輪郭E32の内側)C1を中央エリアC1として設定し、中央エリアC1と圃場の輪郭H1との間に、入力された枕地数分の枕地E2a、E2b、E2cを設定する。これにより、最も外側にある枕地E2cの幅は、上記オフセット量と同値になる。その他の枕地E2b、E2aの幅は、幅W4と同値になり、枕地E2cの幅より狭くなる。
【0249】
上記のように圃場の輪郭H1の内側に中央エリアC1と枕地エリアE1が設定されると、ルート作成部51cが、
図32に示すように、中央エリアC1と枕地エリアE1に走行ルートL1、L2を作成する。この際、中央エリアC1と枕地エリアE1の最も外側の枕地E2c以外の枕地E2a、E2bに対しては、
図11B~
図11D及び
図15等で説明した手順で、ルート作成部51cが走行ルートL1、L1c、L2を作成する。枕地エリアE1の最も外側にある枕地E2cに対しては、幅W4の半分の値とシフト量W5とを加算して得たオフセット量(W4÷2+W5)で圃場の輪郭H1を内側にオフセットすることにより作成されたラインE4上に、ルート作成部51cが走行ルートL2を作成する。
また、枕地の重なり代W2が0値に設定された場合、幅W4と作業幅W1とは同値(W4=W1)になるため、
図33に示すように、最も外側に設定された枕地E2cの幅は、作業幅W1と間隔W5との加算値と同値となり、その他の枕地E2b、E2aの幅は、作業幅W1と同値となる。そして、最も外側の枕地E2cには、作業幅W1の半分の値とシフト量W5とを加算して得たオフセット量(W1÷2+W5)で、圃場の輪郭H1を内側にオフセットすることにより作成されたラインE5上に、ルート作成部51cが走行ルートL2を作成する。
【0250】
また、作業装置2の外形幅(横幅)を考慮して、走行ルートL2又はエリアC1、E1を作成してもよい。具体的には、作業装置2の外形幅W6が作業幅W1より大きい場合、例えば
図31~
図33又は
図11Aなどに示したように、エリア設定部51bが中央エリアC1と枕地エリアE1を設定した後、ルート作成部51cが、
図34~
図36に示すように、中央エリアC1と枕地エリアE1に走行ルートL1、L1c、L2を作成する。この際、中央エリアC1に対しては、
図11B~
図11Cで説明した手順で、ルート作成部51cが走行ルートL1を作成する。また、ルート作成部51cは、作業装置2の外形幅W6から作業幅W1を減算した値の半分を、オフセット量W7として算出する(W7=(W6-W1)÷2)。
【0251】
図34に示すように、枕地エリアE1の最も外側にある枕地E2cの幅(W4+W5)が、内側の枕地E2a、E2bの幅W4より大きい場合、最も外側にある枕地E2cに対しては、ルート作成部51cが、作業装置2の作業幅W1から枕地の重なり代W2を減算した幅W4の半分の値とシフト量W5とを加算して得たオフセット量(W4÷2+W5)で、圃場の輪郭H1を内側に1回オフセットすることによりラインE4を作成する。そして、ルート作成部51cは、オフセット量W7でラインE4を内側に1回オフセットすることにより作成されたラインE4a上に、走行ルートL2を作成する。
【0252】
また、枕地の重なり代W2が0に設定されていて、
図35に示すように、枕地エリアE1の最も外側にある枕地E2cの幅(W1+W5)が、内側の枕地E2a、E2bの幅W4より大きい場合は、ルート作成部51cが、作業装置2の作業幅W1の半分の値とシフト量W5とを加算して得たオフセット量(W1÷2+W5)で、圃場の輪郭H1を内側に1回オフセットすることによりラインE5を作成する。そして、ルート作成部51cは、オフセット量W7でラインE5を内側に1回オフセットすることにより作成されたラインE5a上に、走行ルートL2を作成する。
【0253】
また、
図36に示すように、枕地エリアE1の各枕地E2a、E2b、E2cの幅が同値W4である場合、最も外側にある枕地E2cに対しては、ルート作成部51cが、枕地の重なり代W2の半分の値で枕地E2cの幅方向の中心線E9を内側に1回オフセットすることによりラインE9aを作成する。そして、ルート作成部51cは、オフセット量W7でラインE9aを内側に1回オフセットすることにより作成されたラインE9b上に、走行ルートL2を作成する。
【0254】
さらに、
図34~
図36の場合において、枕地エリアE1の内側の枕地E2b、E2aに対しては、ルート作成部51cが、各枕地E2b、E2aの幅方向の中心線上に、走行ルートL2(又は周回ルートL1c)を作成する。
【0255】
上記により、その後自動制御部61が各枕地E2a、E2b、E2cに形成された走行ルートL2に基づいて、走行車体3の自動操舵を行いながら、作業装置2により対地作業を行った場合、枕地E2aの作業軌跡と枕地E2bの作業軌跡とが重なり代W2で重なるのに対して、枕地E2bの作業軌跡と枕地E2cの作業軌跡とが重なり代W2とオフセット量W7とを加算した幅(W2+W7)で重なる。
【0256】
また、最も外側の枕地E2cに作成された走行ルートL2と圃場の輪郭H1との間隔(
図34の場合はW4÷2+W5+W7、
図35の場合はW1÷2+W5+W7、
図36の場合はW4÷2+W2÷2+W7)が、作業装置2の外形幅W6の半分の値以上に設定される。(
図34の場合は、シフト量W5を2倍した値以下に重なり代W2を設定すればよい。)このため、自動制御部61が最も外側の枕地E2cに作成された走行ルートL2に基づいて、走行車体3の自動操舵を行いながら、作業装置2により対地作業を行った場合、作業装置2が圃場から食み出ることが防止される。
【0257】
また、
図31において、シフト量W5に代えて、オフセット量W7を適用して、エリアE1、C1を設定してもよい。具体的には、エリア設定部51bが、作業装置2の作業幅W1から枕地の重なり代W2を減算した幅W4と、オフセット量W7とを加算して得たオフセット量(第1オフセット量=W4+W7=W1-W2+W7)で、圃場の輪郭H1を内側にオフセットして、第1輪郭を演算する(図示省略)。次に、エリア設定部51bは、第1輪郭を幅W4(第2オフセット量)で、入力された枕地数から1を減算した数だけ内側にオフセットすることにより形成される第2輪郭を演算する。そして、エリア設定部51bは、第2輪郭のうち、最も内側にある第2輪郭で囲まれるエリアを中央エリアC1として設定し、当該中央エリアC1と圃場の輪郭H1との間に、入力された枕地数分の枕地E2a、E2b、E2cを設定する。これにより、最も外側にある枕地E2cの幅は、第1オフセット量W7と幅W4との加算値と同値になる。その他の枕地E2b、E2aの幅は、幅W4と同値になり、枕地E2cの幅より狭くなる。
【0258】
上記のように圃場の輪郭H1の内側に中央エリアC1と枕地エリアE1が設定されると、ルート作成部51cが、中央エリアC1と枕地エリアE1に走行ルートL1、L1c、L2を作成する。この際、中央エリアC1と枕地エリアE1の最も外側の枕地E2c以外の枕地E2a、E2bに対しては、前述した手順で、ルート作成部51cが走行ルートL1、L1c、L2を作成する。枕地エリアE1の最も外側にある枕地E2cに対しては、幅W4の半分の値と第1オフセット量W7とを加算して得たオフセット量(W4÷2+W7)で圃場の輪郭H1を内側にオフセットすることにより作成されたライン上に、ルート作成部51cが走行ルートL2を作成する。
【0259】
上述したように、圃場の輪郭H1を内側にオフセットして、最も外側の枕地E2cと走行ルートL2を作成することで、自動制御部61が当該走行ルートL2に基づいて枕地エリアE1で農業機械1(走行車体3)の自動操舵を行いながら、作業装置2により対地作業を行ったときに、作業装置2が圃場の輪郭H1から食み出して、畔などに衝突するのを回避することができる。特に、
図32に示した圃場シフト量変更キーB25で圃場の輪郭H1を内側にシフト(オフセット)する間隔W5を0より大きな値に設定したり、作業装置2の作業幅W1より大きい外形幅W6を考慮して、最も外側の枕地E2cを設定したり、当該枕地E2cに走行ルートL2を作成したりすることで、作業装置2が圃場の輪郭H1から食み出して、畔などに衝突するのを一層回避することができる。さらに、最も外側の枕地E2cの幅より狭い幅W4で内側の枕地E2b、E2aを作成することで、自動走行作業ルートを設定する中央エリアC1を広く確保することができる。
【0260】
図30に示した例では、圃場の輪郭H1を内側にシフト(オフセット)するシフト量W5を、圃場シフト量変更キーB25により0~30cmの範囲で調整可能にしたが、圃場シフト量変更キーB25によるシフト量W5の変更可能な範囲を、0より大きい下限値から当該下限値より大きい上限値までにしてもよい。また、圃場の輪郭H1を内側にオフセットすることによって最も外側の枕地E2c又は走行ルートL2を作成するか否かを、ユーザが選択することができるようなキーを、画面D6、D7などに設けたりしてもよい。
また、他の例として、
図11B等に示した単位作業区画C2又は枕地E2a~E2cの幅方向の中心線からずれた位置に、走行ルートL1~L3を作成してもよい。
【0261】
<農作業開始時のモード>
上述した実施形態では、圃場マップMP2の中央エリアC1と枕地エリアE1に走行ルートが作成されてから、当該圃場マップMP2に対応する圃場に対して農業機械1及び作業装置2により農作業を開始する際に、自動制御部61が最初に農業機械1を自動運転して作業装置2により圃場に対して農作業を行う自動走行作業モードを実行する例を示した。然るに、これに限定せず、圃場マップMP2に走行ルートが作成されてから、当該圃場マップMP2に対応する圃場に対して農業機械1及び作業装置2により農作業を開始する際に、自動制御部61が最初に農業機械1を自動操舵して作業装置2により圃場に対して農作業を行う自動操舵作業モードを実行するようにしてもよい。
【0262】
例えば、
図37Aに示すように、表示操作部52に表示されるルート作成1画面D6に、自動枕地作業キーB43及び作業タイプキーB44などに加えて、自動中央作業キーB50を設ける。自動中央作業キーB50は、圃場マップMP2に設定された中央エリアC1で、農業機械1(走行車体3)を自動運転で走行させながら作業装置2により農作業をする(自動走行作業モード)か否かを選択するためのキーである。自動中央作業キーB50以外のルート作成1画面D6の構成は、
図9に示したルート作成1画面D6の構成と同一である。
【0263】
ルート作成1画面D6において、ユーザが、圃場の中央部(中央エリアC1)で農業機械1を自動運転で走行させながら作業装置2で農作業を行うことを自動中央作業キーB50により選択し、且つ枕地(枕地エリアE1)で農業機械1を自動運転で走行させながら作業装置2で農作業を行うことを自動枕地作業キーB43により選択した後、次へキーB9を選択する。
【0264】
この場合、前述したように、制御部51がルート作成2画面D7(
図10A)を表示操作部52に表示させる。そして、ルート作成2画面D7の各入力欄への入力内容に基づいて、エリア設定部51bが圃場マップMP2に中央エリアC1と枕地エリアE1とを設定し、ルート作成部51cがエリアC1、E1に走行ルートL1を作成し、スタート位置Psとゴール位置Pgなどを設定する。また、ルート作成部51cは、作成した走行ルートL1を、自動運転ルートとして設定する。さらに、制御部51が、エリアC1、E1と走行ルートL1をルート作成2画面D7中の圃場マップMP2に表示させる(
図10B、
図10C)。
【0265】
それから、ユーザがルート作成2画面D7中の次へキーB9を選択すると、制御部51が走行制御画面D8(
図12)を表示操作部52に表示させる。そして、ユーザが農業機械1の自動運転を行うための所定操作を行うと、自動制御部61が、測位装置40により検出された農業機械1(走行車体3)の位置と、自動運転ルートL1とに基づいて、農業機械1を自動運転で走行させながら作業装置2により対地作業を行う自動運転作業モードを開始する。
【0266】
なお、ユーザが行う農業機械1の自動運転を行うための所定操作には、手動運転による農業機械1のスタート位置Psへの移動と、自動走行作業モードに移行するモードスイッチ65の操作と、変速装置5の変速状態を切り換える変速レバーと、作業装置2の位置を変えるポジションレバーなどの操作部材(図示省略)を所定のデフォルト位置に戻す操作などが含まれている。
【0267】
これに対して、農業機械1の自動操舵を行って農作業する際は、走行車体3の走行速度と作業装置2の位置の変更が手動操作で行われるため、当該自動操舵での農作業の開始前に、変速レバーとポジションレバーなどの操作部材は任意の位置にあってもよく、操作部材をデフォルト位置に戻す操作は行わなくてもよい。
【0268】
一方、ルート作成1画面D6において、
図37Aに示すようにユーザが、圃場の中央部で農業機械1を自動運転で走行させながら作業装置2で農作業を行わないことを自動中央作業キーB50により選択し、且つ枕地で農業機械1を自動運転で走行させながら作業装置2で農作業を行わないことを自動枕地作業キーB43により選択した後、次へキーB9を選択する。
【0269】
この場合、制御部51が、
図37Bに示すようなルート作成2画面D7を表示操作部52に表示させる。
図37Bに示すルート作成2画面D7には、自動運転で対地作業を行う枕地数を入力する入力欄が設けられている。これ以外の構成は、
図10A~
図10Cに示したルート作成2画面D7と同様である。前述したように、枕地で農業機械1を自動運転で走行させながら作業装置2で農作業を行わないことを自動枕地作業キーB43により選択したため、自動運転で対地作業を行う枕地数として0が自動的に入力されている。
【0270】
ルート作成2画面D7の各入力欄への入力内容が完了して、ユーザが次へキーB9を選択すると、エリア設定部51bが、ルート作成2画面D7の各入力欄への入力内容に基づいて、圃場マップMP2に中央エリアC1と枕地エリアE1とを設定する。また、ルート作成部51cが、ルート作成2画面D7の各入力欄への入力内容に基づいて、エリアC1、E1に走行ルートL1を作成し、スタート位置Psとゴール位置Pgなどを設定する。このとき作成された走行ルートL1は、ルート作成部51cにより自動運転ルートとして設定されていてもよいし、未設定であってもよい。また、制御部51が、エリアC1、E1と走行ルートをルート作成2画面D7中の圃場マップMP2に表示させ、且つルート作成2画面D7の中央に、
図37Cに示すような選択部S1を表示させる。
【0271】
選択部S1では、農業機械1を自動操舵(オートステア)して農作業を行うか否かを選択することが可能である。選択部S1には、「オートステアで農作業を行いますか?」という問いかけと、当該問いかけに応えるYESキーB51とNOキーB52とが表示されている。ユーザが、自動操舵で農作業を行うために、YESキーB51を選択すると、制御部51が、
図38に示すように走行制御画面D11を表示操作部52に表示させる。また、ルート作成部51cが、エリアC1、E1に作成した走行ルートL1を、自動操舵ルートL2として設定(又は変更)する。
【0272】
そして、ユーザが手動運転で農業機械1を自動操舵で農作業を開始するスタート位置Psに移動させて、モードスイッチ65で自動操舵作業モードに移行する操作を行う。又は、このとき農業機械1が、
図37Cに示すように農作業を開始する走行ルート(自動操舵ルート)L2の端部に位置している場合は、ユーザがモードスイッチ65で自動操舵作業モードに移行する操作を行う。これにより、自動制御部61が、農業機械1の位置と自動操舵ルートL2とに基づいて農業機械1を自動操舵して、作業装置2により対地作業を行う自動操舵作業モードを開始する。自動操舵作業モードでは、ユーザがアクセル部材などを操作して、農業機械1の走行速度を変更したり、ポジションレバーなどを操作して、作業装置2の位置を変更したりする。
【0273】
上記によれば、圃場に対して農作業を開始する際に、自動制御部61が最初に基づく走行ルートが自動操舵ルートL2に設定されているため、当該自動操舵ルートL2と農業機械1の位置とに基づいて、自動制御部61が農業機械1の自動操舵を実行して、作業装置2により圃場に対して農作業を開始可能である。
【0274】
なお、
図37C及び
図38に示す例では、農業機械1が最初に枕地エリアE1に対して自動操舵作業モードで農作業を開始しているが、これに限定しない。例えば、ユーザが手動運転で農業機械1を中央エリアC1に設定された走行ルート(自動操舵ルート)L2の端部に位置させてから、モードスイッチ65で自動操舵作業モードに移行する操作を行うことで、農業機械1が最初に中央エリアC1に対して自動操舵作業モードで農作業を開始することは可能である。
【0275】
農業機械1での圃場に対する農作業を一旦中断してから再開する際にも、農業機械1で最初から自動操舵作業モードを実行するようにしてもよい。この場合、農業機械1と作業装置2による圃場への対地作業がゴール位置Pgまで完了する前に、ユーザが所定操作を行って、農業機械1と作業装置2を停止させて、中央エリアC1又は枕地エリアE1への対地作業を一旦停止すると、制御部51が、
図39に示すような選択部S2を表示させる。
【0276】
選択部S2では、停止された農業機械1による農作業を後で再開するために中断するか否を選択することが可能である。選択部S2は、農作業の終了(後で農作業を再開しないケース)若しくは中断(後で農作業を再開するケース)の指示を求めるメッセージと、終了キーB53と中断キーB54とが表示されている。ユーザが、後で農作業の続きを農業機械1で行う(再開する)ために、中断キーB54を選択すると、制御部51は、農業機械1及び作業装置2で行った農作業の内容、農業機械1及び作業装置2の仕様、作業状態、及び農作業を中断した日時などの作業履歴を記憶部53に記憶させる。対して、ユーザが、後で農作業の続きを農業機械1で行わずに終了(完了)するために、終了キーB53を選択すると、制御部51は上記作業履歴を記憶部53に記憶させない。
【0277】
中断した農作業の作業履歴が記憶部53に記憶されている場合、制御部51は、その後ホーム画面D1を表示操作部52に表示させたときに、
図40Aに示すように作業再開キーB55をホーム画面D1に表示させる。ここで、ユーザが作業再開キーB55を選択すると、制御部51は、中断した農作業の作業履歴を記憶部53から全て読み出して、当該作業履歴の概略を示す作業選択画面D12を、
図40Bに示すように表示操作部52に表示させる。
【0278】
作業選択画面D12において、ユーザが再開する農作業を選択してから、作業詳細キーB56を選択すると、制御部51が、
図40Cに示すような作業詳細画面D13を表示操作部52に表示させる。作業詳細画面D13には、選択された農作業の作業履歴の詳細を示す情報と、圃場マップMP2における農業機械1の作業軌跡などが表示されている。ユーザが作業詳細画面D13に表示された農作業を再開するために、次へキーB9を選択すると、制御部51が、
図40Dに示すような選択部S3を作業詳細画面D13の中央に表示させる。
【0279】
選択部S3では、停止された農作業を再開する作業方法として、自動操舵(オートステア)又は自動運転を選択することが可能である。選択部S3には、中断された農作業を再開する作業方法の選択を要求するメッセージと、自動操舵で農作業を再開することを選択するオートステアキーB57と、自動運転で農作業を再開することを選択する自動運転キーB58とが表示されている。
【0280】
ユーザが、自動操舵で農作業を再開するために、オートステアキーB57を選択すると、制御部51が、
図41に示すように、中断前に行われた農作業の作業軌跡を含む走行制御画面D11を表示操作部52に表示させる。また、ルート作成部51cが、農業機械1が未だ走行及び対地作業をしていないエリアC1、E2の未作業部分にある走行ルートを、自動操舵ルートL2として設定(又は変更)する。そして、例えば、ユーザが手動運転で農業機械1を自動操舵で農作業を再開する位置に移動させて、モードスイッチ65で自動操舵作業モードに移行する操作を行い、さらに走行制御画面D11で開始キーB59を選択する。これにより、自動制御部61が、農業機械1の位置と未作業部分にある自動操舵ルートL2とに基づいて農業機械1を自動操舵して、作業装置2により対地作業を行う自動操舵作業モードを再開する。
【0281】
一方、
図40Dの選択部S3において、ユーザが、自動運転で農作業を再開するために、自動運転キーB58を選択すると、制御部51は、中断前に行われた農作業の作業軌跡を含む走行制御画面D11を表示操作部52に表示させる。ルート作成部51cは、エリアC1、E2の未作業部分にある走行ルートを、自動運転ルートL1として設定(又は変更)する。そして、例えば、ユーザが手動運転で農業機械1を自動操舵で農作業を再開する位置に移動させて、モードスイッチ65で自動運転作業モードに移行する操作を行い、さらに走行制御画面D11で開始キーB59を選択する。これにより、自動制御部61が、農業機械1の位置と未作業部分にある自動運転ルートL1とに基づいて農業機械1を自動運転して、作業装置2により対地作業を行う自動運転作業モードを再開する。
【0282】
上記によれば、農業機械1と作業装置2により圃場での農作業を一旦中断してから再開する際に、自動制御部61が最初に基づく走行ルートが自動操舵ルートL2として設定されているため、当該自動操舵ルートL2と農業機械1の位置とに基づいて、自動制御部61が農業機械1の自動操舵を実行して、作業装置2により圃場に対して農作業を再開可能である。
【0283】
なお、上述した農業機械1と作業装置2による圃場での農作業の中断と再開の各処理は、自動運転ルートL1、自動操舵ルートL2、及び手動運転ルートL3のうちの一方から他方への切り換わり時、走行ルートの終端部、及び走行ルートの中途部などで、制御部51及び自動制御部61が実行可能である。
【0284】
また、農業機械1により農作業を再開する位置は、農業機械1が未だ走行及び対地作業をしていないエリアC1、E2の未作業部分に限らず、農業機械1が既に走行及び対地作業をしたエリアC1、E2の既作業部分、又はその他の部分であってもよい。この場合、例えば、ユーザが自動操舵(又は自動運転)で農作業を再開するために、オートステアキーB57(又は自動運転キーB58)を選択すると、ルート作成部51cが、農業機械1の進行方向に対して直前にある走行ルートからゴール位置Pgへと続く走行ルートまでを、自動操舵ルートL2(又は自動運転ルートL1)として設定(又は変更)する。そして、ユーザがモードスイッチ65で自動操舵作業モード(又は自動運転作業モード)に移行する操作を行って、開始キーB59を選択すると、自動制御部61が、農業機械1の位置と上記設定された自動操舵ルートL2(又は自動運転ルートL1)とに基づいて農業機械1を自動操舵(又は自動運転)して、作業装置2により対地作業を行う自動操舵作業モード(又は自動運転作業モード)を再開する。これにより、エリアC1、E2の任意の走行ルートに対応する位置から、農業機械1により自動操舵(又は自動走行)で農作業を再開することができる。
【0285】
また、上述した実施形態では、ルート作成部51cがエリアC1、E2に走行ルートを作成する前に、
図37Aに示したルート作成1画面D6中の自動中央作業キーB50と自動枕地作業キーB43により、自動運転で農作業を開始するか否かを設定し、ルート作成部51cがエリアC1、E2に走行ルートを作成した後に、
図37Cに示した選択部S1により、自動操舵で農作業を開始するか否かを設定したが、これに限定しない。自動運転で農作業を開始するか否かを設定と、自動操舵で農作業を開始するか否かの設定は、ルート作成部51cがエリアC1、E2に走行ルートを作成する前でもよいし、又は後でもよい。
【0286】
また、例えばホーム画面D1において、ユーザにより自動運転キーB2aが選択された場合に、その後ルート作成部51cが走行ルートを作成すると、当該走行ルートを全て自動運転ルートL1として設定してもよい。この場合、圃場に対して農作業を開始する際に、自動制御部61が、自動操舵作業モードを経由せずに、自動運転ルートL1に基づいて自動運転作業モードを実行して、圃場に対して農作業を開始可能となる。
【0287】
また、ホーム画面D1において、ユーザによりオートステアキーB2bが選択された場合に、その後ルート作成部51cが走行ルートを作成すると、当該走行ルートを全て自動操舵ルートL2として設定してもよい。この場合、圃場に対して農作業を開始する際に、自動制御部61が、自動運転作業モードを経由せずに、自動操舵ルートL2に基づいて自動操舵作業モードを実行して、圃場に対して農作業を開始可能となる。
【0288】
<枕地での自動操舵時の警告>
圃場の輪郭は、畔などの構造物で構成されていることがある。また、圃場から畔の向こう側には、別の圃場又は崖などが形成されているというように、農業機械1を走行させたくない状況なっていることがある。このため、農業機械1が、圃場の枕地エリアE1(特に、最外周にある枕地E2c)に作成された走行ルートL2に沿って自動操舵で走行しているときに、圃場の輪郭を構成する畔等の構造物に対して農業機械1(及び作業装置2)が接触したり、農業機械1が構造物よりも圃場の外側に食み出(越境)したりするのを回避する必要がある。
【0289】
上記の対策として、農業機械1が枕地エリアE1を自動操舵で走行しているときに、農業機械1が圃場の輪郭を構成する畔等の構造物に接近すると、農作業支援装置50の制御部51が警告を行うようにしてもよい。
【0290】
具体的には、例えば制御部51が、圃場登録部51aにより登録された圃場の輪郭H1、及び予め取得した圃場の周辺情報などに基づいて、圃場の輪郭H1を構成する畔等の構造物の位置を検出する。圃場の輪郭H1の位置と、輪郭H1を構成する構造物の位置とは略同一である。
【0291】
そして、農業機械1が枕地エリアE1に作成された走行ルートL2に沿って自動操舵で走行しているときに、制御部51が、測位装置40により農業機械1(走行車体3)の位置を所定の周期で検出する。また、制御部51に設けられた距離算出部51h(
図1)が、農業機械1の位置から農業機械1の進行方向に対して前方にある構造物までの距離を所定の周期で算出する。
【0292】
例えば
図42に示すように、距離算出部51hにより算出された農業機械1から構造物までの距離daが所定距離ds以下になると、制御部51に設けられた警告部51i(
図1)が、ユーザに対して警告を行う。所定距離dsは、0より大きい値であって、走行中の農業機械1が制動装置6(
図1)の作動によって構造物よりも圃場の内側に停止することが可能に距離に設定されている(例えば5m~10mなど)。また、制御部51が農業機械1の位置の変化に基づいて、農業機械1の走行速度を検出し、当該走行速度に応じて所定距離dsを変更してもよい。
【0293】
警告部51iが行う警告として、例えば、農業機械1に設けられたブザー、スピーカ、又は警告灯等の警報部63(
図1)により、音又は光で農業機械1のユーザと周囲に対して警報を発する。また、このとき表示操作部52に表示された画面に、農業機械1が構造物に接近していることを示す表示を描写して警告を行うことは可能であるが、農業機械1による作業状態を視認し易くするためには、表示操作部52の画面への警告表示を行わない方がよい。
【0294】
さらに、警告部51iは、農業機械1から構造物までの距離daが所定距離ds以下になると、当該距離daが短くなるに連れて警告の強度を高くする。具体的には、距離daが短くなるに連れて、例えばブザーなどから出力する警告音の音量を大きくしたり、間欠的に出力する警告音の出力間隔を短くしたりする。又は、距離daが短くなるに連れて、例えば警告灯の点滅間隔を短くしたり、警告灯の発光色を黄色から赤色に変えたりする。又は、距離daが短くなるに連れて、警告を発する装置数を増やしてもよい。
【0295】
警告部51iによる警告中に、ユーザが農業機械1を操作して、農業機械1が停車したり、農業機械1から構造物までの距離daが所定距離dsより長くなったりすると、警告部51iにより警告は停止される。
【0296】
例えば
図43に示すような、イレギュラーな形状の輪郭H1を有する圃場では、農業機械1が最外周の枕地E2cに作成された自動操舵ルートL2に沿って走行している際に、農業機械1から構造物(≒輪郭H1)までの距離daが所定距離ds以下になって、警告部51iにより警告が行われる。例えば矢印A1で示す状態では、農業機械1が自動操舵ルートL2の比較的短い直進部L2s-2の途中に位置していて、当該直進部L2s-2の終端まで距離がある程度ある。しかし、農業機械1から構造物(≒輪郭H1)までの距離daが所定距離ds以下であるため、警告部51iにより警告が行われる。警告部51iは、距離daが所定距離dsより長くなるまで警告を継続する。この後、農業機械1が矢印A2で示す位置まで来ると、農業機械1から構造物までの距離daが所定距離dsより長くなるため、警告部51iにより警告が停止される。
【0297】
また、農業機械1から構造物までの距離daが所定距離dsより短い所定の接近距離以下になると、警告部51iが農業機械1の停車要求を通信部54により自動制御部61に送信し、自動制御部61が当該停車要求を受けて、制動装置6などにより農業機械1を緊急停車させてもよい。
また、走行車体3の前部にライダーや超音波センサなどのセンシング装置を設置して、センシング装置のセンシング結果に基づいて制御部51が、圃場の輪郭H1を構成する畔等の構造物の位置を検出してもよい。
【0298】
また、枕地エリアE1において、農業機械1が自動操舵で後進する際にも、農業機械1の進行方向に対して前方にある構造物までの距離が所定距離以下になると、警告部51iにより警告を行ってもよい。但し、農業機械1で方向転換のための切り返しを行うために後進する際には、ユーザが目視で後方確認をするため、煩雑にならないように、警告部51iによる警告を行わないようにしてもよい。
【0299】
また、例えば
図44に示すように、走行制御画面D11中の設定変更キーB20を選択することにより、警告部51iによる警告が畔などの構造物への接近を通知するものであることを示す表示を表示操作部52に描画したり、当該警告のON(有効化)又はOFF(無効化)を設定できるようにしたりしてもよい。これにより、ユーザが警告部51iによる警告の意味を認識することができ、また当該警告を任意に有効化したり無効化したりすることができる。
【0300】
上述した実施形態では、携帯型のタブレット端末装置等から成る農作業支援装置50を例に挙げたが、これ以外に、例えばクラウド上に設けられたサーバ等のような、農業機械1に搭載されない電子装置で農作業支援装置を構成してもよい。また、農作業支援装置50と同等機能のアプリケーションプログラムをインストールした携帯型若しくは据え置き型の電子装置等で農作業支援装置を構成してもよい。さらに、農作業支援装置に代えて、例えばユーザが保有する電子装置により、クラウド上から取得してインストール可能なアプリケーションプログラムを農作業支援システムに含めてもよい。この場合、アプリケーションプログラムをインストールした電子装置に備わる表示部又は当該電子装置に接続されたディスプレイ装置に、走行ルートなどを表示させればよい。
【0301】
<本実施形態の効果>
以上説明した本実施形態の農作業支援システム100、農作業支援装置50、及び農業機械1は、以下の効果を奏する。
【0302】
本実施形態の農作業支援システム100は、圃場を示すマップMP1、MP2を表示可能な表示部(表示操作部)52と、表示部52に表示されたマップMP1、MP2に第1エリア(枕地エリア)E1と当該第1エリアE1の内側に位置する第2エリア(中央エリア)C1とを設定するエリア設定部51bと、第1エリアE1及び第2エリアC1の少なくとも一方に農業機械1を走行させる走行ルートL1、L2、を作成するルート作成部51cと、を備え、ルート作成部51cは、走行ルートL1、L2の少なくとも一部(直進ルートL1a、L2a、直進部L1s、L2s、カーブ部L2c)を、農業機械1の操舵を自動で行い且つ農業機械1の走行速度の変更を手動操作に委ねる自動操舵ルートとして設定可能である。
【0303】
上記の構成によれば、自動操舵ルートに基づいて、農業機械1の運転者が農業機械1を手動操作で走行させると、農業機械1の操舵が自動で行われるので、運転者の負担を軽減し且つ農業機械1により行う農作業の効率を向上させることができる。
また、圃場の平坦度、荒れ具合、又は輪郭等の影響で、農業機械1を自動運転で走行させることが困難な箇所が圃場に生じることがある。例えば、圃場の中央にある作業エリア(中央エリア)C1よりも、農業機械1の走行又は切り返しが頻繁に行われる枕地E2a、E2b、E2cの方が、地面が荒れ易く、畔との関係等で、農業機械1を自動運転で走行させることが困難な箇所が生じ易い。然るに、そのような困難な箇所に自動操舵ルートを設定して、農業機械1の操舵を自動で行うことで、農業機械1を手動運転するよりも、運転者の負担を軽減し且つ農業機械1により行う農作業の効率を向上させることができる。
【0304】
また、本実施形態では、ルート作成部51cは、第1エリアE1及び第2エリアC1に作成された走行ルートL2、L1の少なくとも一部を、自動操舵ルートか或いは農業機械1の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転ルートに設定可能である。これにより、圃場の第1エリアE1及び第2エリアC1に作成された走行ルートL2、L1の一部又は別の一部を、自動操舵ルート又は自動運転ルートとして設定することができる。このため、農業機械1の運転者の負担をより軽減し、且つ農業機械1により行う農作業の効率を向上させ、且つ利便性も向上させることができる。
【0305】
また、本実施形態では、農作業支援システム100は、自動運転ルートを自動操舵ルートに変更可能で且つ自動操舵ルートを自動運転ルートに変更可能なルート変更部52、51c(表示操作部52、ルート作成部51c)を備える。これにより、走行ルートL1、L2の少なくとも一部の用途を自動操舵ルート又は自動運転ルートに任意に変更することができ、利便性を一層向上させることが可能となる。
【0306】
また、本実施形態では、ルート変更部52、51cは、自動運転ルート又は自動操舵ルートを、農業機械1の操舵と走行速度の変更とを手動操作に委ねる手動運転ルートに変更可能で且つ、手動運転ルートを自動運転ルート又は自動操舵ルートに変更可能である。これにより、走行ルートL1、L2の少なくとも一部の用途を自動操舵ルート、自動運転ルート、及び手動運転ルートのいずれかに任意に変更することができ、利便性を一層向上させることが可能となる。
【0307】
また、本実施形態では、表示部52は、自動操舵ルートと自動運転ルートとを視認可能に異なる形態で画面に表示する。これにより、ユーザが自動操舵ルートと自動運転ルートとを認識したり、これらのルートの用途を変更したりするのが容易になり、利便性を一層向上させることが可能となる。
【0308】
また、本実施形態では、表示部52は、第1エリアE1及び第2エリアC1に作成された走行ルートL2、L1、L3のうち、自動操舵ルートとして設定可能な部分L2s、L1s、L1a、L2a、L3s、L2c(直進部L2s、L1s、L3s、直進ルートL1a、L2a、カーブ部L2c)を画面に表示する。これにより、ユーザが走行ルートL2、L1のうち、自動操舵ルートとして設定可能な部分L2s、L1s、L3s、L1a、L2a、L2cを認識したり、当該ルートの設定を変更したりするのが容易になり、利便性を一層向上させることが可能となる。
【0309】
また、本実施形態では、ルート作成部51cは、走行ルートL2の進行方向に対して前後に並ぶ一部(直進部)L2sと他部(直進部)L2sとの角度差Δθが所定の閾値(第1閾値)Δθs1より大きい場合、一部L2sと他部L2sとの間に農業機械1の位置と進行方向とを変える切り返し地点Pxを設定し、角度差Δθが閾値Δθs1以下である場合、一部L2sと他部L2sとを接続して一連の自動操舵ルートとして設定する。これにより、自動操舵ルートである走行ルートL2に基づいて自動操舵を行い且つ手動操作で走行している農業機械1が、角度差Δθの大きい走行ルートL2の一部L2sと他部L2sの間で無理に自動操舵を行わず、当該一部L2sと他部L2sの間に設定された切り返し地点Pxで、運転者に農業機械1の切り返しを手動運転で行わせることができ、農業機械1の自動操舵による走行時又は対地作業時の安全性を確保することが可能となる。また、角度差Δθの小さい走行ルートL2の一部L2sと他部L2sとが一連の自動操舵ルートとして設定されるので、当該一部L2sから他部L2sにかけて、農業機械1の自動操舵を安全に継続して行うことができ、運転者の負担を軽減し且つ農業機械1により行う農作業の効率を向上させることが可能となる。
【0310】
また、本実施形態では、ルート作成部51cは、農業機械1を直進させる直進部L2sを含み且つ複数の直進部L2sが連続する走行ルートL2を作成可能であり、連続する複数の直進部L2sのうち、走行ルートL2の一部である一方の直進部L2sと、走行ルートL2の他部である他方の直進部L2sとの角度差Δθが閾値Δθs1以下である場合、一方の直進部L2sと他方の直進部L2sとの接続点Pαから所定距離dx離れた一方の直進部L2s上の第1中間点Pα1と他方の直進部L2s上の第2中間点Pα2とをつなぐ新たな走行ルート(直進部L2s又はカーブ部L2c)を作成して、一方の直進部L2sの第1中間点Pα1及び他方の直進部L2sの第2中間点Pα2から接続点Pαまでの部分を削除する。これにより、走行ルートL2の連続する直進部L2s同士の角度差又は直進部L2sとカーブ部L2cとの角度差を小さくすることができ、当該走行ルートL2に基づいて農業機械1の自動操舵を行う際に、操作角を小さく抑えて、農業機械1の安定性を向上させることが可能となる。
【0311】
また、本実施形態では、ルート作成部51cは、閾値Δθs1以下の角度差Δθがある走行ルートL2の一部である一方の直進部L2sと、走行ルートL2の他部である他方の直進部L2sの間に、新たな走行ルートとして、農業機械1を直進させる直進部L2sを作成する。これにより、一方の直進部L2s、新たな直進部L2s、及び他方の直進部L2sに基づいて、農業機械1の自動操舵を一層安定に行うことができる。
【0312】
また、本実施形態では、農作業支援システム100は、閾値Δθs1を変更する閾値変更部52、51c(表示操作部52、ルート作成部51c)を備える。これにより、例えば閾値Δθs1を大きな値に変更することで、農業機械1の切り返しを手動運転で行う地点Pxを減らして、農業機械1の自動操舵を行う距離を長くすることができる。また、例えば閾値Δθs1を小さな値に変更することで、農業機械1の切り返しを手動運転で行う地点Pxを増やして、農業機械1を曲がらせるような自動操舵を行う頻度を減少させて、自動操舵の安定性を向上させることができる。即ち、閾値Δθs1を変更することで、農業機械1が直進するように自動操舵を行う距離と箇所、並びに農業機械1が左右に緩やかに曲がるように自動操舵を行う距離と箇所を任意に調整することができ、利便性を一層向上させることが可能となる。
【0313】
また、本実施形態では、ルート作成部51cは、農業機械1を直進させる直進部L2s、L1s、L1a、L2aと、農業機械1を旋回させる旋回部L2r、L1b、L1r、L2bとを含む走行ルートL1、L2を作成可能である。表示部52は、位置検出部(測位装置)40により検出された農業機械1の位置をマップ(圃場マップ)MP2に表示し、且つ農業機械1が走行ルートL2に基づいて走行するときに、農業機械1の位置が切り返し地点Pxに近づくと、農業機械1の位置と進行方向とを変える切り返しを行うことを示唆する通知U5を表示する。これにより、自動操舵ルートである走行ルートL2に基づいて自動操舵を行い且つ手動操作又は自動で走行している農業機械1が切り返し地点Pxに到達する前に、農業機械1の切り返しを手動運転で行うことを運転者に促すことができる。そして、運転者が農業機械1の切り返しを手動運転で行った後、自動操舵ルートL2に基づいて自動操舵が再開されるので、運転者の負担を軽減し且つ農業機械1により行う農作業の効率を向上させることができる。
【0314】
また、本実施形態では、農作業支援システム100は、マップMP1で示される圃場の外形ラインより内側に圃場の輪郭H1を登録する圃場登録部51aを備え、エリア設定部51bは、圃場の輪郭H1を内側にオフセットした輪郭C1で囲まれるエリアを第2エリア(中央エリア)C1として設定し、当該第2エリアC1と圃場の輪郭H1との間を第1エリア(枕地エリア)E1として設定し、ルート作成部51cは、農業機械1に連結された作業装置2の対地作業が可能な作業幅W1又は当該作業装置2の外形幅W6に基づいて、第2エリアC1の周囲を周回する走行ルートL1c、L2を第1エリアE1に作成する。これにより、圃場の外形ラインより内側に圃場の輪郭H1を設定し、当該輪郭H1の内側に第1エリアE1を設定し、第1エリアE1の内側に第2エリアC1を設定することができる。そして、圃場の外形ラインから食み出すことなく、第2エリアC1と第1エリアE1に農業機械1の走行ルートL1、L2、L1cを作成することができる。
【0315】
また、本実施形態では、エリア設定部51bは、作業装置2の作業幅W1、当該作業幅W1より大きい作業装置2の外形幅W6、所定の重なり代W2、又は所定のシフト量W5に基づいて演算した第1オフセット量(W1-W2+W5=W4+W5、W1+W5、W4+W7=W4+(W6-W1)÷2)で圃場の輪郭H1を内側に1回オフセットして第1輪郭E3を形成した後、作業幅W1又は重なり代W2に基づいて演算した第2オフセット量であって第1オフセット量より小さい第2オフセット量(W4=W1-W2)で第1輪郭E3を内側に1回以上オフセットして1つ以上の第2輪郭E31、E32を形成し、最も内側にある第2輪郭E32、で囲まれるエリアを第2エリアC1として設定し、ルート作成部51cは、第1エリアE1における圃場の輪郭H1と第1輪郭E3との間、第1輪郭E3と当該第1輪郭E3に最も近い第2輪郭E31との間、及び第2輪郭E31、E32同士の間に走行ルートL2、L1cを作成する。
【0316】
上記により、農業機械1において、走行ルートL2に基づいて枕地エリアE1で走行車体3の自動操舵を行いながら、作業装置2により対地作業を行ったときに、作業装置2が圃場の輪郭H1から食み出して畔などに衝突するのを回避することができる。また、圃場の輪郭H1を内側にオフセットする間隔(シフト量)W5を圃場シフト量変更キーB25で0より大きな値に設定したり、作業装置2の作業幅W1より大きい外形幅W6を考慮して、最も外側の枕地E2cを作成したり、当該枕地E2cに走行ルートL2を作成したりすることで、作業装置2が圃場の輪郭H1から食み出して畔などに衝突するのを一層回避することができる。さらに、第1エリアE1の最も外側の枕地E2cの幅より、狭い幅W4で内側の枕地E2b、E2aが設定されるので、自動走行作業ルートを設定する中央エリアC1を広く確保することができる。
【0317】
また、本実施形態では、ルート作成部51cは、第2エリアC1の周囲を異なる径で複数回周回する走行ルートL2、L1cを第1エリアE1に作成し、当該走行ルートL2、L1cのうち、最も外側の部分と圃場の輪郭H1との間隔を作業装置2の作業幅W1、当該作業幅W1より大きい作業装置2の外形幅W6、所定の重なり代W2、又は所定のシフト量W5に基づいて設定し、最も外側の部分と当該部分に最も近い内側の部分との間隔及び内側の部分同士の間隔を作業幅W1又は前記重なり代W2に基づいて、最も外側の部分と圃場の輪郭H1との間隔より狭く設定する。
【0318】
上記により、第1エリアE1に作成する走行ルートL2、L1cのうち、最も外側の部分L2(枕地E2cに作成された走行ルートL2)と圃場の輪郭H1との間隔が広くなり、当該部分L2に基づいて農業機械1の自動操舵を行いながら、作業装置2により対地作業を行ったときに、作業装置2が圃場の輪郭H1から食み出して畔などに衝突するのを回避することができる。また、第1エリアE1に作成する走行ルートL2、L1cのうち、最も外側の部分L2と当該部分L2に最も近い内側の部分L2との間隔及び内側の部分L2、L1c同士の間隔が狭くなり、中央エリアC1を広く確保することができる。また、ルート作成部51cが、第2エリアC1の周囲を異なる径で複数回周回する走行ルートL2、L1cのうち、内側の部分L2、L1c同士の間隔より、最も外側の部分L2と当該部分L2に最も近い内側の部分L2との間隔を狭く設定することで、最も外側の部分L2に基づいて農業機械1の自動操舵を行いながら、作業装置2により対地作業を行ったときに、作業装置2が圃場の輪郭H1から食み出して畔などに衝突するのを一層回避することができる。
【0319】
また、本実施形態では、農作業支援システム100は、農業機械1の位置を検出する位置検出部(測位装置)40と、農業機械1の位置及び自動操舵ルートに基づいて農業機械1の操舵を自動で行う自動操舵を実行し、且つ農業機械1に連結された作業装置2により圃場に対して農作業を行う自動制御部61と、を備える。これにより、農業機械1の位置及び自動操舵ルートに基づいて農業機械1を手動操作で走行させて、農業機械1の自動操舵を行いながら、作業装置2により圃場に対して農作業を行うことができ、運転者の負担を軽減し且つ農業機械1により行う農作業の効率を向上させることが可能となる。
【0320】
また、本実施形態では、ルート作成部51cは、第1エリアE1及び第2エリアC1に作成された走行ルートL1、L2の一部に自動操舵ルートを設定し、走行ルートL1、L2の別の一部に農業機械1の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転ルートを設定し、自動制御部61は、農業機械1の位置及び自動運転ルートに基づいて農業機械1の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転を実行し、走行ルートL2、L1に沿って農業機械1が走行しているときに、互いに接続された自動操舵ルートと自動運転ルートの切り替わりに応じて、農業機械1の自動操舵と自動運転とを自動的に切り替える。これにより、農業機械1の運転者が手動操作で農業機械1の自動運転と自動操舵とを切り替えなくてもよくなり、運転者の負担を一層軽減し且つ農業機械1により行う農作業の効率を向上させることが可能となる。
【0321】
また、本実施形態では、農業機械1の位置と進行方向とを変える切り返しが手動運転で行われることによって、農業機械1が自動操舵ルートに沿って後進するときに、自動制御部61は農業機械1の自動操舵を実行する。これにより、農業機械1の手動での切り返し時に、運転者の負担を軽減することができ、当該切り返しにかかる時間を短縮することもできる。
【0322】
また、本実施形態では、自動制御部61は、農業機械1と作業装置2により圃場に対して農作業を開始する際に、最初に基づく走行ルートが自動操舵ルートL2に設定されている場合、当該自動操舵ルートL2に基づいて、農業機械1の自動操舵を実行して、作業装置2により圃場に対して農作業を開始する。これにより、農業機械1と作業装置2とによって圃場に対して農作業を開始する際に、自動運転作業モードを経由せずに、自動操舵作業モードを実行して、農業機械1を自動操舵しながら、作業装置2により圃場に対して農作業を開始することができる。また、自動運転作業モードを実行するための煩雑な操作をユーザ(農業機械1の運転者)が行わなくてもよくなり、利便性を向上させることができる。さらにこれらの結果、ユーザの負担を軽減し且つ農作業の効率を向上させることが可能となる。
【0323】
また、本実施形態では、農作業支援システム100は、自動操舵で農作業を行うか否かを選択する第1選択部S1を備え、第1選択部S1により自動操舵で農作業を行うことが選択された場合、自動制御部61は、農業機械1の位置及び走行ルートに基づいて、農業機械1の自動操舵を実行して、作業装置2により圃場に対して農作業を開始する。これにより、農業機械1と作業装置2とによって圃場に対して農作業を開始する際に、自動運転作業モードを経由せずに、自動操舵作業モードを実行して、農業機械1を自動操舵しながら、作業装置2により圃場に対して農作業を開始することができる。
【0324】
また、本実施形態では、農作業支援システム100は、自動運転で農作業を行うか否かを選択する第2選択部B43、B50(自動枕地作業キーB43、自動中央作業キーB50)を備え、第2選択部B43、B50により自動運転で農作業を行うことが選択された場合、自動制御部61は、農業機械1の位置及び走行ルートに基づいて、農業機械1の自動運転を実行して、作業装置2により圃場に対して農作業を開始し、第2選択部B43、B50により自動運転で農作業を行わないことが選択された場合、第1選択部S1による自動操舵の選択が可能になる。これにより、農業機械1と作業装置2とによって圃場に対して農作業を開始する際に、自動運転作業モードを実行して、農業機械1を自動運転しながら、作業装置2により圃場に対して農作業を開始することができる。また、ユーザが自動運転作業モードを実行しないことを選択して、代わりに自動操舵作業モードを実行するか否かを選択することができる。
【0325】
また、本実施形態では、農作業支援システム100は、農業機械1と作業装置2による圃場に対しての農作業が一旦中断されてから再開される際に、自動操舵で農作業を再開するか又は農業機械の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転で農作業を再開するか否かを選択する第3選択部S3を備え、第3選択部S3により自動操舵で農作業を再開することが選択された場合、自動制御部61は、農業機械1の位置及び走行ルートに基づいて、農業機械1の自動操舵を実行して、作業装置2により圃場に対して農作業を再開し、第3選択部S3により自動運転で農作業を再開することが選択された場合、自動制御部61は、農業機械1の位置及び走行ルートに基づいて、農業機械1の自動運転を実行して、作業装置2により圃場に対して農作業を再開する。これにより、圃場に対しての農業機械1と作業装置2による農作業が一旦中断されてから再開される際に、ユーザが第3選択部S3により自動操舵で農作業を再開することを選択すると、自動運転作業モードを経由せずに、自動操舵作業モードを実行して、農業機械1を自動操舵しながら、作業装置2により圃場に対して農作業を開始することができる。また、ユーザが第3選択部S3により自動運転で農作業を再開することを選択すると、自動運転作業モードを実行して、農業機械1を自動運転しながら、作業装置2により圃場に対して農作業を開始することができる。
【0326】
また、本実施形態では、農作業支援システム100は、自動制御部61が農業機械1の位置及び第1エリアE1に設定された自動操舵ルートに基づいて自動操舵を実行して、農業機械1が第1エリアE1を走行しているときに、位置検出部(測位装置)40により検出された農業機械1の位置から農業機械1の進行方向に対して前方にある圃場の輪郭H1を構成する構造物までの距離を算出する距離算出部51hと、距離算出部51hにより算出された構造物までの距離daが所定距離ds以下になると警告を行う警告部51iと、を備え、警告部51iは、構造物までの距離daが短くなるに連れて警告の強度を高くする。これにより、農業機械1が、圃場の第1エリアE1に作成された走行ルートL2に沿って自動操舵で走行しているときに、農業機械1が圃場の輪郭H1を構成する畔等の構造物に接近すると、警告部51iが警告を行うので、農業機械1の運転者(ユーザ)が運転操作を行って、農業機械1が構造物に対して接触したり、構造物よりも圃場の外側に食み出(越境)したりするのを回避することができる。
【0327】
また、本実施形態の農作業支援装置50は、農作業支援システム100に含まれる農作業支援装置であって、圃場を示すマップMP2を表示部(表示操作部)52に表示させる制御部51と、表示部52に表示されたマップMP2に第1エリアE1と当該第1エリアE1の内側に位置する第2エリアC1とを設定するエリア設定部51bと、第1エリアE1及び第2エリアC1に農業機械1を走行させる走行ルートL1、L2を作成するルート作成部51cと、を有し、ルート作成部51cは、走行ルートL1、L2の少なくとも一部(直進ルートL1a、L2a、直進部L1s、L2s、カーブ部L2c)を、農業機械1の操舵を自動で行い且つ農業機械1の走行速度の変更を手動操作に委ねる自動操舵ルートとして設定可能である。この構成によれば、自動操舵ルートに基づいて、農業機械1の運転者が農業機械1を手動操作で走行させると、農業機械1の操舵が自動で行われるので、運転者の負担を軽減し且つ農業機械1により行う農作業の効率を向上させることができる。
【0328】
また、本実施形態では、ルート作成部51cは、走行ルートL1、L2の少なくとも一部を、自動操舵ルートか或いは農業機械1の操舵と走行速度の変更とを自動で行う自動運転ルートに設定可能であり、農作業支援装置50は、自動運転ルートを自動操舵ルートに変更可能で且つ自動操舵ルートを自動運転ルートに変更可能なルート変更部52、51cを有し、農業機械1に搭載可能である。これにより、走行ルートL1、L2、L3の少なくとも一部の用途を自動操舵ルート又は自動運転ルートに任意に変更することができ、運転者の負担を軽減し且つ農業機械1により行う農作業の効率を向上させ且つ利便性を向上させることが可能となる。
【0329】
さらに、本実施形態の農業機械1は、農作業支援システム100により支援される農作業を行う農業機械であって、走行可能な走行車体3と、走行車体3に作業装置2を連結可能な連結部8g、8hと、走行車体3の位置を検出する位置検出部(測位装置)40と、圃場を示すマップMP2を表示可能な表示部(表示操作部)52と、表示部52に表示されたマップMP2に第1エリアE1と当該第1エリアE1の内側に位置する第2エリアC1とを設定するエリア設定部51bと、第1エリアE1及び第2エリアC1に走行車体3が走行するための走行ルートL2、L1を作成するルート作成部51cと、作業装置2により圃場に対して農作業を行う自動制御部61と、を有し、ルート作成部51cは、走行ルートL1、L2の少なくとも一部(直進ルートL1a、L2a、直進部L1s、L2s、カーブ部L2c)を自動操舵ルートとして設定可能であり、自動制御部61は、走行車体3の位置及び自動操舵ルートに基づいて走行車体3の操舵を自動で行う。この構成によれば、自動操舵ルートに基づいて、農業機械1の運転者が農業機械1を手動操作で走行させると、自動制御部61が農業機械1の自動操舵を行うので、運転者の負担を軽減し且つ農業機械1により行う農作業の効率を向上させることができる。
【0330】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0331】
1 :農業機械
2 :作業装置
3 :走行車体
8g、8h :連結部
40 :測位装置(位置検出部)
50 :農作業支援装置
51 :制御部
51a :圃場登録部
51b :エリア設定部
51c :ルート作成部(ルート変更部、閾値変更部)
51h :距離算出部
51i :警告部
52 :表示操作部(表示部、ルート変更部、閾値変更部)
61 :自動制御部
100 :農作業支援システム
B43 :自動枕地作業キー(第2選択部)
B50 :自動中央作業機(第2選択部)
C1 :中央エリア(第2エリア)
da :農業機械から構造物までの距離
ds :所定距離
dx :所定距離
E1 :枕地エリア(第1エリア)
H1 :圃場の輪郭
L1 :走行ルート、自動運転ルート
L1a :直進ルート、自動運転ルート
L1b :旋回ルート、自動運転ルート
L1c :周回ルート、自動運転ルート
L1r :旋回部、自動運転ルート
L1s :直進部、自動運転ルート
L2 :走行ルート
L2a :直進ルート、自動操舵ルート
L2c :カーブ部、自動操舵ルート
L2r :旋回部、手動運転ルート
L2s :直進部、自動操舵ルート
L2s-1 :直進部、自動操舵ルート
L2s-2 :直進部、自動操舵ルート
L3 :走行ルート
L3r :旋回部、手動運転ルート
L3s :直進部、手動運転ルート
MP1 :マップ
MP2 :圃場マップ(マップ)
Px :切り返し地点(地点)
Pα :接続点
Pα1 :第1中間点
Pα2 :第2中間点
S1 :選択部(第1選択部)
S3 :選択部(第3選択部)
U5 :通知
W1 :作業幅
W2 :枕地の重なり代
W4 :幅(第2オフセット量)
W5 :シフト量
W6 :外形幅
E3 :輪郭(第1輪郭)
E31、E32 :輪郭(第2輪郭)
Δθ :角度差
Δθ1 :第1閾値(閾値)