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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】無機物の歪みゲージ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
G01B7/16 R
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023528739
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 EP2021081780
(87)【国際公開番号】W WO2022101494
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】2011737
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル・フェンドラー
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-44052(JP,A)
【文献】特開2008-298769(JP,A)
【文献】特開平10-298970(JP,A)
【文献】特開平7-207239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00-7/34
G01L 1/00-1/26
25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な本体(55)と歪みゲージ(5)とを備える変形を測定するデバイス(50)であって、前記歪みゲージが、前記変形可能な本体と接触した支持体(15)および前記支持体と接触した金属の抵抗部材(10)を備え、前記抵抗部材が、前記変形可能な本体の変形により変化し得る抵抗を有し、前記支持体が、電気絶縁性多孔質であり少なくとも1つの耐熱性のセラミック化合物を含む少なくとも1つの支持体材料から作られ、前記支持体材料が水和セメントおよび/または硬化セラミック接着剤を含む、デバイス(50)。
【請求項2】
前記支持体の多孔率が、10%から40%の間である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記支持体材料が、水和セメントおよび/または硬化セラミック接着剤である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記セラミック化合物が、前記支持体材料の質量の50%超えに相当する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記セラミック化合物が、Al、AlN、SiO、MgO、マイカ、SiC、ZrO、ZrSiO、CaO、CuO、CuO、Y、インジウム錫酸化物、TiOおよびその混合物から選ばれる、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記セラミック化合物が、酸化物である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記支持体の厚さが、0.025mmから5.00mmの間である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記抵抗部材が、金属が充填された水和セメントである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記支持体が、単一層支持体である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
変形を測定する前記デバイス(50)を製造する方法であって、
a)前記変形可能な本体(55)上に組成物を堆積させることによって少なくとも1つの層を形成するステップと、
b)前記支持体(15)を形成するように前記層を硬化するステップと、
c)金属抵抗部材(10)を前記支持体(15)と接触させて堆積させて、請求項1に記載のデバイス(50)を得る、ステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記組成物が、セメントペーストまたはセラミック接着剤である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、ステップa)において、前記支持体上にコーティングされる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記支持体上に前記抵抗部材を印刷するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記印刷するステップが、金属インクまたは金属ペーストのスクリーン印刷または押し出し、および金属インクのインクジェット印刷から選ばれる技術によって行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抵抗部材が、付加的造形技術によって印刷される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
変形を測定する方法であって、
請求項1に記載のデバイスを用意するステップと、
変形可能な本体を、400℃超えの温度まで加熱するステップと、
歪みゲージを用いて前記本体の変形を測定するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触歪みゲージによる変形の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
接触歪みゲージは、所与の方向における本体の変形の測定を可能にする。この目的のため、それは、変形の測定が求められる本体と、一般的に接着結合で、接触している。
【0003】
図1に示されるように、接触歪みゲージ5は、常法により、薄い電気絶縁支持体15に締結されたワイヤまたはトラックの形態の金属抵抗部材10からなる。抵抗部材は、蛇行形状20を有する。それは、大部分が、互いに平行に延在し連結部30によって連結された直線部25から形成される。蛇行形状の両端は、例えば接続ケーブルを溶接することによって、ある機器にゲージを接続するために、接続パッド35によって延長されている。
【0004】
方向Xにおける変形可能な本体の変形εxxを測定するために、歪みゲージは、直線部25が方向Xに対して平行に配置されるように、本体に対して接着結合される。
【0005】
本体の変形の間、長さlの直線部は、伸長または収縮し、それがワイヤの抵抗Rの変動として発現する。
【0006】
抵抗の変動ΔRは、第一近似において、式(1)に従って各直線部の伸長Δlに比例する。
【0007】
【数1】
【0008】
式(1)中、Kは定数であり、当該のワイヤを構成する材料に応じて決まるゲージ率を示す。Kは、例えば、コンスタンタン製またはニッケル-クロム製のワイヤでは2、エリンバ製のワイヤでは3.2である。
【0009】
ワイヤの変形は歪みゲージが締結されている本体の部分の変形と一致すると考えられるので、歪みゲージの金属ワイヤの抵抗の相対的な変動を測定することによって、式(2)に従って本体の変形εxxを決定することが可能である。
【0010】
【数2】
【0011】
したがって、本体が伸縮挙動を有するとき、歪みゲージの下の軸Xに沿って本体に加えられる応力を決定することが可能である。
【0012】
変形可能な本体は、具体的には、機械センサの一部とすることができる。その場合、それは試験体として表される。したがって、試験体の変形の測定は、力、加速度、圧力、振動の振り幅などの力学量を間接的に決定することを可能にする。
【0013】
歪みゲージの支持体は、ワイヤの抵抗の変動の測定を妨害しないために、電気絶縁材料から作られる。さらにそれは、直線部の変形が、それが覆っている本体の部分の変形と一致するように十分に薄い。
【0014】
一般に、支持体は、高分子材料から作られる。
【0015】
例えば、約20μmから30μmまでの厚さの支持体は、エポキシ樹脂を用いることによって得ることができる。高精度歪みゲージは、こうして製造することができるが、100℃を超える温度では使用できない。ゲージの使用温度範囲を350℃まで広げるために、エポキシ樹脂とガラス繊維によって強化されたフェノール樹脂との混合物の圧力下での熱間圧延によって得られるゲージ支持体が開発されてきた。こうして得られるゲージが測定することができるのは、せいぜい2.0%の変形である。
【0016】
ポリイミド支持体を装備したゲージも知られている。そのような支持体は可撓性があり強く、ポリイミドは、充填剤(filler)で強化されると、400℃まで、約20%の切断時変形の限界を有する。ポリイミド支持体のゲージは、特に、高い精度が要求されない変形測定にさらに適している。
【0017】
有機材料をベースとした支持体を含む歪みゲージを製造する様々な方法も知られている。
【0018】
例えば、それらの1つは、プリント回路、フォトリソグラフィおよび選択エッチングの分野からの技術を用いて、20から30ミクロンの間の厚さを有するエポキシ樹脂支持体から、および50ミクロンの厚さを有する金属シートから形成される、いわゆる膜歪みゲージを得る。
【0019】
印刷技術を用いて歪みゲージを製造することが知られている。ゲージが印刷された本体の変形は、例えば、ポリマー結合剤中の金属粒子充填剤の抵抗率の変化から決定される。非特許文献1および、非特許文献2は、そうした印刷されたゲージの例について述べている。しかし、印刷されたゲージの使用温度範囲は限られている。さらに、それらは、受容能力が限定される複雑な製造装置が必要であり、したがって、ゲージによって取り付けられ得る本体の寸法が限られる。
【0020】
本体に接触させることができ、400℃を超える温度でその本体の変形を測定することができる歪みゲージは少ない。
【0021】
非特許文献3は、NiCr/PdCr合金から作られた抵抗層によって囲繞されたアルミニウムAlの層を陰極スパッタリングすることで堆積させることによって航空機エンジンのタービンブレードに接触する歪みゲージの形成について述べている。したがって、そのようなゲージは、900℃のブレードの動作温度で変形を測定することに適している。しかし、Kayserらが述べている方法は、陰極スパッタリングデバイスの真空チャンバに導入できる1m未満の体積の本体だけに使用できる。例えば橋、または例えばそうした方法を用いて何トンかの重さを加えるプレスである工業計器である構造物に取り付けることはできない。さらに、そのような方法は、本体を構成する任意のタイプの材料、具体的には、脱ガスすることがある、および、陰極スパッタリングの実施に必要な真空を得ることを阻止することがある材料には使用できない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0022】
【文献】「INKtellingent printed strain gauge」、M.Maiwaldら、Sensors and Actuators A、162、pp.198~201(2010)
【文献】「Nanoparticle films as sensitive strain gauges」、J.Herrmannら、Appl.Phys.Lett.、91、183105(2007)
【文献】「High temperature thin-films strain gauges」、P.Kayserら、Sensors and Actuators A、37~38、pp.328~332(1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、上述した欠点を克服することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、変形可能な本体と歪みゲージとを備える変形を測定するデバイスであって、歪みゲージが、変形可能な本体と接触した支持体および支持体と接触した金属の抵抗部材を備え、抵抗部材が、変形可能な本体の変形により変化し得る抵抗を有し、支持体が、電気絶縁性多孔質であり少なくとも1つの耐熱性の、任意選択で水和された、セラミック化合物を含む少なくとも1つの支持体材料から作られる、デバイスを提案する。
【0025】
本発明によるデバイスは、400℃超え、または700℃超え、またはさらには1000℃超えの温度で変形可能な本体の変形を測定することを可能にする。
【0026】
さらに、以下においてより明確になるように、歪みゲージは、大きなサイズを有することができる本体上に容易に形成することができる。具体的には、それは、ゲージをそこに堆積させるために工場に本体を送り返す必要なくして、現場で直接形成することができる。
【0027】
セラミック化合物は、支持体材料の質量の50%超えに相当し得る。
【0028】
セラミック化合物は、Al、AlN、SiO、MgO、マイカ、SiC、ZrO、ZrSiO、CaO、CuO、CuO、Y、インジウム錫酸化物、TiOおよびその混合物から選ばれ得る。
【0029】
セラミック化合物は、好ましくは、酸化物である。
【0030】
支持体材料は、水和セメントおよび/または硬化セラミック接着剤を含む、またはそれによって構成され得る。
【0031】
支持体材料は、結合マトリックス(binding matrix)、および結合マトリックス内に分散する粒子から形成される充填剤からなり得る。結合マトリックスは、支持体材料に凝集力を与えるように粒子を互いに結合する。
【0032】
充填剤の質量は、支持体材料の質量の少なくとも50%に相当することができる。
【0033】
充填剤は、Al、AlN、SiO、MgO、マイカ、SiC、ZrO、ZrSiO、CaO、CuO、CuO、Y、インジウム錫酸化物、TiOおよびその混合物から選ばれる少なくとも1つの材料から作られる粒子から形成される少なくとも1つの微粒子群(particulate fraction)を含む、またはそれからなることができる。
【0034】
それは、Al、SiO、MgO、マイカ、SiC、ZrO、ZrSiO、CaO、CuO、CuO、Y、インジウム錫酸化物、TiOおよびその混合物から選ばれる少なくとも1つの酸化物材料から作られる粒子から形成される少なくとも1つの微粒子群を含む、またはそれからなることができる。
【0035】
充填剤は、複数の微粒子群を含む、またはそれからなることができ、各微粒子群の粒子は、他の微粒子群を構成する1つまたは複数の材料とは異なる材料から作られる。
【0036】
結合マトリックスは、好ましくは、その質量の90%を超える、またはその質量の95%を超える、またはその質量の99%を超える無機結合剤を含む。
【0037】
無機結合剤は、水和水硬性結合剤とすることができる。
【0038】
無機結合剤は、ケイ酸ナトリウム、石灰、アルミナシリケート、ケイ酸カルシウム、アルミン酸カルシウム、粘土、具体的にはシリコン粘土、具体的にはアルカリ性物質によって活性化され得るフライアッシュ、およびその混合物から選ばれる少なくとも1つの化合物を含むことができる。
【0039】
さらに、結合マトリックスは、その質量の5%未満、または1%未満の有機結合剤を含むこともある。具体的には、結合マトリックスは、有機化合物を含まないこともある。有機化合物とは、化学式が少なくとも炭素原子および水素原子を含む任意の化合物であると理解されたい。
【0040】
支持体材料は、焼結され得る。
【0041】
支持体材料は、電気絶縁性であり、換言すると、1014Ω.cmを超える体積抵抗率を有し、6000Vを超える、交流電流で測定される破壊電圧を有する。
【0042】
支持体は、支持体に良好な機械的強度を与えるために、10%から40%の間が好ましい多孔率を有する。
【0043】
支持体の多孔率は、以下の方法で決定することができる。まず、支持体は、樹脂で浸潤させる。こうして浸潤された支持体の一片を切断し、次いで、良好な表面状態を得るために研磨する。研磨は、最低でも1200グレード紙、好ましくはダイヤモンドペーストを用いて行われる。画像は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、好ましくは、支持体材料と樹脂との間において高いコントラストを与える後方散乱電子を用いたモードで生成される。各画像は、最低でも、1024×768画素を有する。使用される倍率は、画像の幅が孔の平均サイズの50倍から100倍の間になるように、具体的には10nmから10μmの間のサイズの孔を考慮に入れるような倍率とする。最初の画像は、孔の平均サイズの目測によって生成され得る。孔が占める面積は、ImageJ(https://imagej.nih.gov/ij/)などの画像分析ソフトウェアにおいて実施される侵食/膨張方法による画像分析によって決定される。多孔率は、各画像のすべての面積の合計に対する、画像にあるすべての孔が占める面積の合計によって決定される。
【0044】
支持体は、単一層または多層の支持体であり得る。
【0045】
支持体は、複数の支持体材料を含むことができる。例えば、支持体は、支持体の各層が異なる支持体材料である、多層支持体である。
【0046】
支持体は、好ましくは、変形可能な本体の厚さの少なくとも40分の1より小さい厚さを有する。歪みゲージと変形可能な本体との間の良好な機械的結合はこうして確実にされる。変形可能な本体の厚さは、支持体の下において、支持体に対して垂直方向に測定される。
【0047】
支持体の厚さは、0.05mmから5.00mmの間である。それは、変形可能な本体と抵抗部材との間の最適な電気的絶縁を確実にするために、抵抗部材の特性に従って選ぶことができる。
【0048】
好ましくは、支持体は、薄い形状を有する。例えば、プレートの厚さに対する長さの比は、少なくとも10、好ましくは少なくとも100である。
【0049】
支持体は、平面または湾曲している場合がある。
【0050】
抵抗部材は、蛇行形状を有するように、連結部によって対に連結された複数の直線部を備えることができる。連結部は、直線または湾曲している場合がある。
【0051】
それは、1から500の間の直線部を備えることができる。
【0052】
直線部は、0.3mmから150mmの間の長さをそれぞれ有することができる。
【0053】
一変形形態では、抵抗部材は、支持体上に形成されたトラックである場合があり、それは抵抗ペーストを堆積させることによって、または金属粒子の粉末を吹き付けることによって形成され得る。
【0054】
抵抗部材は、硬化セラミック接着剤である場合がある。それは、好ましくはNi、Agおよびその混合物から選ばれる金属が充填された水和セメントとすることができる。
【0055】
トラックの厚さは、0.025mmから1mmの間とすることができる。トラックの幅は、0.025mmから15mmの間とすることができる。2つの隣り合う直線部同士の間の距離は、0.025mmから15mmの間とすることができる。それは、支持体の平面内で、直線部のうちの1つの延長部の軸に対して垂直な軸に沿って測定される。
【0056】
抵抗部材は、ワイヤであってもよい。ワイヤは、0.025mmから1.0mmの間の直径を有することができる。ワイヤは、支持体材料の硬化前に堆積され得る。好ましくは、ワイヤは、支持体材料において、好ましくはその側面の全体にわたって、コーティングされる。
【0057】
抵抗部材は、例えば、円形、矩形または正方形の断面である様々な断面を有することができる。断面の面積は0.0005から15mmの間とすることができる。
【0058】
抵抗部材の抵抗は、50Ωから2000Ωの間、好ましくは120Ωまたは350Ωとすることができる。高抵抗の抵抗部材によって、式(1)による変形測定の精度を向上させることができる。
【0059】
抵抗部材は、その質量の40%を超える、銅、アルミニウム、金、銀、チタン、パラジウム、ニッケル、鉄、プラチナ、チタン、錫、およびその合金から選ばれる少なくとも1つの金属を含むことができる。具体的には、抵抗部材は、その質量の40%を超える、銀、ニッケルおよびその混合物から選ばれる少なくとも1つの金属を含むことができる。
【0060】
具体的には、抵抗部材は、以下から選ばれる合金であってもよい。
- 質量%で、ニッケル55%および銅34%を含むコンスタンタン、
- 質量%で、ニッケル74%、クロム20%、アルミニウム3%および鉄3%を含むカルマ、
- 質量%で、ニッケル36%、クロム8%、モリブデン0.5%、鉄55.5%を含むアイソエラスティック組成物(isoelastic)、
- 質量%で、ニッケル80%およびクロム20%を含むニクロムV
- 質量%で、プラチナ92%およびタングステン8%を含む合金、ならびに、
- 質量%で、鉄70%、クロム20%およびアルミニウム10%を含むアーマー(Armour)。
【0061】
さらに、歪みゲージは、本体の変形の間の抵抗の変動を測定する測定機器に歪みゲージを接触させるために、支持体および抵抗部材と接触している接続パッドを備えることができる。接続パッドは、錫めっきされ得る。接続パッドは、抵抗部材と同じ材料から形成され得る。測定機器を歪みゲージに接続するケーブルは、接続パッドのうちの1つに溶接され得る。
【0062】
変形可能な本体は、金属製、またはセメント系材料、またはセラミック、またはガラス、または具体的には熱可塑性物質である、プラスチック、または具体的にはエポキシ-ガラス繊維コンポジット(composite)であるコンポジットから作られ得る。
【0063】
変形可能な本体の体積は、1m超え、または5m超えであり得る。
【0064】
変形可能な本体は、例えば変形の測定が望まれる土木構造物である、構造物または構造物の一部であり得る。
【0065】
支持体が接触している変形可能な本体の部分は、平面または湾曲していてよい。例えば、それは、回転円筒形または球形を有する。
【0066】
本発明によるデバイスは、例えば、変形可能な本体を備える試験体を備える、圧力または変形である力学量を測定するためのセンサとすることができる。センサは、試験体の変形を測定することによって、力学量の値の推定を可能にするようなセンサである。
【0067】
変形可能な本体は、例えば、熱成形型である。変形可能な本体の変形の測定は、熱成形型内の、具体的には成形面における、圧力の決定を可能にすることができる。
【0068】
他の例によれば、変形可能な本体は、プラスチック射出成形型の充填チャネル(filling channel)である。変形可能な本体の変形の測定は、チャネルの振動振り幅の決定、したがって、成形型に射出されるプラスチック材料の重合フロント(polymerization front)の伝播のモニタリングを可能にすることができる。
【0069】
さらに他の例によれば、変形可能な本体は、例えば、ポンプ本体である、鋳造品である。変形可能な本体の変形の測定は、例えば振り幅が公称値を超えたときに変形可能な本体の予防保守を行うために、変形可能な本体の振動振り幅の決定を可能にすることができる。
【0070】
さらに他の例によれば、変形可能な本体は、例えば、チタンから作られたプロテーゼである。変形の測定は、プロテーゼに加えられる力の強さの決定を可能にする。
【0071】
さらに、本発明は、変形を測定する方法であって、
- 本発明によるデバイスを用意するステップと、
- 変形可能な本体を、400℃超え、または500℃超え、または700℃超え、または1000℃超えの温度まで加熱するステップと、
- 歪みゲージを用いて本体の変形を測定するステップと
を含む、方法に関する。
【0072】
最後に、本発明は、変形を測定するデバイスを製造する方法であって、
a)変形可能な本体上に組成物を堆積させることによって少なくとも1つの層を形成するステップと、
b)支持体を形成するように層を硬化するステップと、
c)デバイスが本発明に従うように、支持体と接触して抵抗部材を堆積させるステップと
を含む、方法に関する。
【0073】
組成物は、セメントペースト、またはセラミック接着剤とすることができる。セメントペーストは、水硬性結合剤、例えば、シリカおよび/または石灰、および水を含む。セラミックペーストは、結合剤中に少なくとも1つの耐熱性セラミックの粒子を含む。耐熱性セラミック粒子は、溶媒中に分散され得る。
【0074】
結合剤は、
- 具体的には、粘土、石灰、ケイ酸ナトリウムおよびその混合物から選ばれる無機化合物、ならびに/または、
- 具体的には、タール、ビチューメン、ピッチ、具体的には加工でんぷん、リグノスルホン酸塩、糖蜜、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、およびその混合物から選ばれる有機化合物
を含むことができる。
【0075】
組成物は、その質量の少なくとも50%に、Al、AlN、SiO、MgO、マイカ、SiC、ZrO、ZrSiO、CaO、CuO、CuO、Y、インジウム錫酸化物、TiOおよびその混合物から選ばれる少なくとも1つの材料を含むことができる。
【0076】
具体的には、それは、その質量の少なくとも50%に、アルミニウムまたはジルコンまたはジルコニアを含むことができる。したがって、その組成物は、耐熱性であるとみなされ得る。
【0077】
例えば、組成物は、Andermanより市販されている、アルミナ系接着剤ALUCEM-HT2、アルミナをベースとする接着剤JYALUCEM20、ジルコンをベースとする接着剤ZIRCOCEM1またはZIRCOMCEM5/5F、あるいはジルコニアをベースとする接着剤ZIRCOCEM9から選ばれる。
【0078】
ペーストは、渦(vortex)またはクエット粘度計によって測定される粘度を有することができ、それは1000cpsから100000cpsの間である。
【0079】
ステップa)において、組成物は、支持体上にコーティングされ得る。
【0080】
組成物のコーティングは、ブラシ、注入器を用いて、または好ましくは印刷装置、好ましくは3D印刷装置を用いて行われ得る。
【0081】
3D印刷装置は、ベースおよびベースに対して動くことができる連接アームを備えるロボットを備えることができる。ベースは、フレームに締結、または輸送車両上に取り付けられ得る。印刷装置は、連接アームによって支承される印刷ノズルを備えることができ、このノズルを通って、組成物のビードが押し出され、支持体上に層の形態に堆積され得る。
【0082】
ビードは、層を形成するために、支持体上に、印刷ノズルを複数回通して堆積され得る。そのようないくつかの層の堆積によって、乾燥の最適化、および結合剤の簡単な除去が可能になる。
【0083】
方法は、層が所定の厚さを有するために、層の平滑化を含むことができる。平滑化は、層の一面上で平滑化工具を動かすことを含むことができる。平滑化工具は、例えば、スクイージまたはブラシである。
【0084】
ステップb)において、硬化はセメントペーストに含有される水硬性結合剤の凝結から生じ得る。
【0085】
硬化は、接着剤に含有される溶媒の蒸発から生じることもある。結合剤の構成物質は、追加的に、粒子を互いに結合するように耐熱性セラミック粒子を構成する材料と反応することがある。
【0086】
硬化は、組成物の焼結によって得られることもある。
【0087】
方法は、層の硬化を加速させるために、ステップa)で形成された層の加熱を含むことができる。加熱は、層の温度が少なくとも50℃になるまで実施され得る。
【0088】
加熱は、層に熱風を吹き付けることによって、および/または、赤外線を層に照射することによって、および/または、周囲温度の空気流の強制対流によって実施され得る。
【0089】
ステップb)の最後において、層は、支持体材料のヤング率が、硬化の24時間後に測定の支持体材料のヤング率の値の80%以上となったらすぐに、硬化したものと判断される。
【0090】
ステップc)において、方法は、好ましくは、支持体上に抵抗部材を印刷することを含む。抵抗部材の印刷は、金属インクまたは金属ペーストのスクリーン印刷または押し出し、および金属インクのインクジェット印刷から選ばれる技術によって実施され得る。
【0091】
一変形形態では、抵抗部材は、付加的造形(additive manufacturing)技術、具体的には支持体上に金属粒子を吹き付けることを含み、その粒子の速度が超音速である、技術によって印刷され得る。そのような技術は、「コールドスプレー」と称される。
【0092】
本発明は、その非限定的な例示的な実施形態の以下にある詳細な説明を読み添付の図面を検討すればより良く理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】従来技術の歪みゲージの概略的な正面図である。
図2】本発明によるデバイスの例示的な一実施形態の概略的な斜視図である。
図3】本発明による製造方法を実施する一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0094】
添付の図面に示される要素の相対的な比率は、図面を明確にするために常に注視されるわけではない。
【0095】
図2は、本発明によるデバイス50の一例を示す。デバイスは、変形可能な本体55と、変形可能な本体に接触している歪みゲージ5とを備える。
【0096】
歪みゲージは、変形可能な本体と接触している支持体15と、抵抗部材10とを備える。
【0097】
抵抗部材10は、支持体の、変形可能な本体55とは反対の面60と接触している。
【0098】
抵抗部材は、蛇行形状を有するトラックである。それは、例えば10mmに等しい長さlの直線部25を有する。図示の例では、それは6つの直線部を備えるがこの数は非限定的である。
【0099】
直線部は、0.5mmと等しくてよい厚さWを有する。隣り合う部分同士は、例えば0.1mmに等しい距離Wだけ離れている。
【0100】
直線部は、連結部30によって互いに対に連結される。
【0101】
歪みゲージは、抵抗部材を支承する支持体の面60上に配置された接続パッド35を備える。接続パッド35は、抵抗部材10と電気接触している。
【0102】
支持体は、薄く、例えば50μmの厚さeを有する。それは、10%よりも大きい多孔率を有する。例えば、それは、硬化セラミック接着剤または水和セラミックセメントから作られる。
【0103】
図3は、本発明によるデバイスの製造方法を実施する一例を示す。
【0104】
半球部80を有する変形可能な本体55は、クランプテーブル95に螺着されるクランプ部材85上に取り付けられる。
【0105】
ロボット100は、ベース105と、ベース上に取り付けられた連接アーム110とを備え、クランプテーブルに締結される。それは、変形可能な本体上に組成物を堆積させるための塗布ノズル120を備える注入器115をさらに備える。塗布ノズルは、組成物を収容するディスペンサ125によって、供給管123を介して供給を受ける。
【0106】
ロボットは、制御ユニット130によって制御される。制御ユニット130は、ロボットを制御するための命令を含むプログラム140がロードされたメモリ、および命令を実行するためのプロセッサを有する、コンピュータ135を備える。
【0107】
ロボットの連接アームの様々な経路および供給ノズルの開閉動作を決定するためにプログラムによって解釈される、変形可能な本体の幾何学的形状および歪みゲージの幾何学的形状を含む3Dモデルが定義される。3Dモデルは、コンピュータのメモリ内にロードされる。
【0108】
第1のステップでは、ディスペンサに、少なくとも1つの耐熱性セラミックを基にした組成物が装填され、連接アームが、経路のうちの1つに沿って変形可能な本体の半球面145に沿って動かされ、その組成物が、層を形成するために堆積される。次いで、層は、支持体15を形成するように硬化される。
【0109】
第2のステップでは、セラミック組成物の代わりに金属ペーストがディスペンサに導入される。次いで、連接アームが他の経路に沿って支持体に沿って動かされ、その金属ペーストが、抵抗部材10を形成するために、支持体15上に塗布ノズルを通して堆積される。
【0110】
しかし、本発明は、上述した例、実施形態および実施モードに限定されない。
【符号の説明】
【0111】
5 歪みゲージ
10 抵抗部材
15 支持体
25 直線部
30 連結部
35 接続パッド
50 デバイス
55 変形可能な本体
60 面
80 半球部
85 クランプ部材
95 クランプテーブル
100 ロボット
105 ベース
110 連接アーム
115 注入器
120 塗布ノズル
123 供給管
125 ディスペンサ
130 制御ユニット
135 コンピュータ
140 プログラム
145 半球面
e 厚さ
l 長さ
厚さ
距離
図1
図2
図3