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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】ガス遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/915 20060101AFI20250106BHJP
【FI】
H01H33/915
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023565796
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 JP2021045297
(87)【国際公開番号】W WO2023105704
(87)【国際公開日】2023-06-15
【審査請求日】2024-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神保 智彦
(72)【発明者】
【氏名】デバシス ビスワス
(72)【発明者】
【氏名】真島 周也
(72)【発明者】
【氏名】内井 敏之
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-162329(JP,A)
【文献】特開2000-268687(JP,A)
【文献】特開平11-111126(JP,A)
【文献】特開2007-258137(JP,A)
【文献】実開昭60-062742(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/04
H01H 33/915
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消弧性ガスが充填された密閉容器と、
前記密閉容器内に配置された対向接触子と、
前記密閉容器内に配置され、閉極状態で前記対向接触子に接触するとともに、前記閉極状態から前記対向接触子に対して第1方向に変位することで、前記対向接触子から離間して前記対向接触子との間にアーク放電が発弧するアーク空間を形成する可動接触子と、
前記可動接触子と一体に変位するとともに、前記可動接触子が前記対向接触子から最も離間した完全開極状態で前記対向接触子および前記アーク空間を囲む筒状に形成されており、前記第1方向とは反対側の第2方向の端部にノズル開口部を有し、前記完全開極状態で前記対向接触子との間に前記アーク空間および前記ノズル開口部を連通させる第1排気流路を形成する絶縁ノズルと、
前記消弧性ガスを蓄圧するとともに、前記消弧性ガスを前記アーク空間に放出して前記アーク放電に対して吹き付ける蓄圧部と、
筒状に形成されており、内部空間が前記第1方向に開放されて前記完全開極状態で前記ノズル開口部に連通した排気チャンバと、
前記可動接触子に結合し、前記アーク空間に連通する内部空間を有し、内外を連通する通気孔が形成され、前記内部空間が前記アーク空間および前記通気孔を連通させる第2排気流路を形成し、前記第2排気流路は縮小部、前記縮小部の前記通気孔側に連なる最小部、および前記最小部の前記通気孔側に連なる拡大部を有し、前記縮小部の流路断面積は前記アーク空間側から前記通気孔側に向かうに従い漸次縮小し、前記拡大部の流路断面積は前記通気孔に向かうに従い漸次拡大する、操作ロッドと、
少なくとも一部が前記内部空間に配置され、前記操作ロッドの内面との間に前記拡大部を形成するフローガイドと、
を備え、
前記操作ロッドの内面は、前記縮小部、前記最小部および前記拡大部を形成する絞り部を有し、
前記フローガイドにおける前記第2方向の端部は、前記第1方向および前記第2方向に平行な軸方向において前記絞り部における内径が最も小さい狭小部よりも前記第2方向に位置する、
ガス遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガス遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統において電流開閉を行うガス遮断器は、消弧性ガスを充填する密閉容器内で、遮断過程において接触子を機械的に切り離し、接触子の切り離しによって生じる接触子間のアーク放電を消弧性ガスの吹き付けによって消弧する。ガス遮断器は、アーク放電によって熱せられたガスを接触子間から速やかに除去することで、接触子間の絶縁耐力の回復を図る。熱ガスの円滑な排気が滞ると、接触子間に熱ガスが残留して絶縁耐力および電流遮断性能が低下する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2018-113189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ガスを円滑に排気できるガス遮断器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のガス遮断器は、密閉容器と、対向接触子と、可動接触子と、絶縁ノズルと、蓄圧部と、排気チャンバと、操作ロッドと、を持つ。密閉容器には、消弧性ガスが充填されている。対向接触子は、密閉容器内に配置されている。可動接触子は、密閉容器内に配置されている。可動接触子は、閉極状態で対向接触子に接触する。可動接触子は、閉極状態から対向接触子に対して第1方向に変位することで、対向接触子から離間して対向接触子との間にアーク放電が発弧するアーク空間を形成する。絶縁ノズルは、可動接触子と一体に変位する。絶縁ノズルは、可動接触子が対向接触子から最も離間した完全開極状態で対向接触子およびアーク空間を囲む筒状に形成されている。絶縁ノズルは、第1方向とは反対側の第2方向の端部にノズル開口部を持つ。絶縁ノズルは、完全開極状態で対向接触子との間にアーク空間およびノズル開口部を連通させる第1排気流路を形成する。蓄圧部は、消弧性ガスを蓄圧する。蓄圧部は、消弧性ガスをアーク空間に放出してアーク放電に対して吹き付ける。排気チャンバは、筒状に形成されている。排気チャンバの内部空間は、第1方向に開放されて完全開極状態でノズル開口部に連通している。操作ロッドは、可動接触子に結合している。操作ロッドは、アーク空間に連通する内部空間を持つ。操作ロッドには、内外を連通する通気孔が形成されている。操作ロッドの内部空間は、アーク空間および通気孔を連通させる第2排気流路を形成する。第2排気流路は縮小部、縮小部の通気孔側に連なる最小部、および最小部の通気孔側に連なる拡大部を持つ。縮小部の流路断面積はアーク空間側から通気孔側に向かうに従い漸次縮小している。拡大部の流路断面積は通気孔に向かうに従い漸次拡大している。排気チャンバの地絡の生じやすさに応じて決定された第1排気流路のガス流量、および第2排気流路のガス流量の配分に基づいて、第1排気流路における最小流路断面積、および最小部の流路断面積の比が設定されている。最小部の流路断面積に対する第1排気流路における最小流路断面積の比の関数として、ガス流量の比を設定した。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態のガス遮断器を示す縦断面図。
図2図1に示すガス遮断器の一部を拡大して示す縦断面図。
図3】第1の実施形態のガス遮断器の作用を示す図。
図4】第1の実施形態に係るガス遮断器において、遮断動作時のアーク発生後のアーク空間におけるガス温度の変化を示す図。
図5】第1の実施形態に係るガス遮断器における流路断面積および流量の関係を示す図。
図6】第2の実施形態に係るガス遮断器の一部を拡大して示す縦断面図。
図7】第3の実施形態に係るガス遮断器の一部を拡大して示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態のガス遮断器およびガス遮断器の設計方法を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のガス遮断器を示す縦断面図である。なお、図1ではガス遮断器の完全開極状態を示しており、以下の各部材の配置に関する説明では、特に記載のない限り完全開極状態の配置を説明する。
図1に示すように、ガス遮断器1は、電力系統の電気回路を開閉する開閉装置である。ガス遮断器1は、消弧性ガスが充填された密閉容器2と、密閉容器2内に配置された対向ユニット3および可動ユニット4と、を備えている。消弧性ガスは、消弧性能および絶縁性能に優れたガスであり、例えば六フッ化硫黄(SF)ガスである。対向ユニット3および可動ユニット4は、密閉容器2に消弧性ガスとともに収納されている。
【0009】
密閉容器2は、電気回路を流れる電流の遮断が行われる内部空間を有する。密閉容器2は、金属材料等により形成されている。密閉容器2は、接地されている。密閉容器2の内部には、一対の導体(一方の導体5のみ図示)が密閉容器2の外部から引き込まれている。
【0010】
対向ユニット3および可動ユニット4は、電気回路の一部を構成している。対向ユニット3は、一方の導体5に導通した対向接触子部20を備えている。可動ユニット4は、他方の導体(不図示)に導通した可動接触子部40を備えている。ガス遮断器1は、対向接触子部20および可動接触子部40を互いに接触または離間させることで、電気回路の開閉し、電流を導通または遮断する。以下の説明では、対向接触子部20および可動接触子部40が互いに接触した状態を閉極状態といい、対向接触子部20および可動接触子部40が互いに離間した状態を開極状態という。また、閉極状態のうち平常時に適用される状態を特に投入状態という。また、開極状態のうち、電流の遮断動作が完了した状態を特に完全開極状態という。また、投入状態から完全開極状態に向けて対向接触子部20および可動接触子部40を互いに離間させる過程を開極過程という。
【0011】
対向ユニット3および可動ユニット4は、それぞれ複数の円筒状または円柱状の部材により形成されている。円筒状または円柱状の各部材は、共通軸線Oと同軸に配置されている。対向ユニット3および可動ユニット4は、共通軸線Oの軸方向で対向するように配置されている。なお、以下の説明では、共通軸線Oの軸方向を単に軸方向と称する。また、共通軸線O回りを周回する方向を周方向と称する。また、共通軸線Oに直交する方向を径方向と称する。本実施形態では、軸方向は水平方向に平行であり、軸方向に沿う1方向を前方(第2方向)と定義し、その反対方向を後方(第1方向)と定義する。
【0012】
対向ユニット3は、可動ユニット4の前方に配置されている。対向ユニット3は、密閉容器2に対して固定的に配置されている。対向ユニット3は、排気チャンバ10と、サポート15と、対向接触子部20と、を備えている。
【0013】
排気チャンバ10は、互いに導通する内筒11および外筒13を有する。内筒11および外筒13は、それぞれ金属材料等により円筒状に形成されている。内筒11および外筒13は、上述した一方の導体5に導通している。
【0014】
内筒11は、周壁部11aと、閉塞部11bと、を備える。周壁部11aは、一定の内径および一定の外径で軸方向に延びている。閉塞部11bは、周壁部11aの前端部を閉塞している。閉塞部11bは、周壁部11aの前端部から径方向の内側に張り出している。これにより、内筒11は、後方に開口した有底筒状に形成されている。ただし、閉塞部11bに貫通孔が形成されていてもよい。
【0015】
内筒11の周壁部11aには、径方向に貫通する貫通孔12が形成されている。貫通孔12は、周方向および軸方向に間隔をあけて複数設けられている。貫通孔12は、内筒11の内外を連通させている。
【0016】
外筒13は、内筒11を囲うように形成されている。外筒13の前端部は、内筒11の前端部の外周面に全周にわたって密接している。外筒13は、後方に開口している。これにより、外筒13と内筒11との間の空間は、前端で閉塞されているとともに、後方に開放されている。外筒13は、後半部13aと、前半部13bと、を備える。
【0017】
後半部13aは、外筒13の後端部から前方に延びている。後半部13aは、外筒13の後端部から前方に向かうに従い漸次拡径している。換言すると、後半部13aの内径は、外筒13の前端部から後方に向かうに従い漸次増大している。
【0018】
前半部13bは、後半部13aよりも前方に配置されている。前半部13bは、外筒13の前端部から後方に延びている。前半部13bの後端部は、後半部13aの前端部に接続している。前半部13bは、一定の内径および一定の外径で軸方向に延びている。前半部13bは、周方向の全体にわたって内筒11の外周面に対して径方向に間隔をあけている。前半部13bは、径方向の外側から見て内筒11に形成された全ての貫通孔12に重なっている。前半部13bには、導体5が結合している。
【0019】
サポート15は、金属材料等により形成されている。外筒13の内周面から径方向の内側に突出している。サポート15は、外筒13における後半部13aと前半部13bとの境界部に結合している。サポート15は、外筒13に導通している。サポート15は、内筒11の周壁部11aを貫通している。サポート15には、内筒11の内側で後述する対向アーク接触子26が結合している。
【0020】
対向接触子部20は、対向通電接触子21と、対向アーク接触子26(対向接触子)と、を備えている。
対向通電接触子21は、金属材料により、円筒状に形成されている。対向通電接触子21は、内筒11の後端部に結合している。対向通電接触子21は、排気チャンバ10よりも後方に突出している。対向通電接触子21は、後方に開口している。対向通電接触子21の後端部は、径方向の内側に向かって膨出している。対向通電接触子21は、排気チャンバ10に導通している。
【0021】
対向アーク接触子26は、金属材料により、円柱状に形成されている。対向アーク接触子26は、対向通電接触子21の内側に配置されている。対向アーク接触子26は、サポート15に結合している。対向アーク接触子26は、サポート15との結合部から後方に延びている。対向アーク接触子26の後端面は、半球面状に形成されて丸みを帯びている。対向アーク接触子26は、サポート15を介して排気チャンバ10に導通している。
【0022】
図2は、図1に示すガス遮断器の一部を拡大して示す縦断面図である。
図2に示すように、可動ユニット4は、操作ロッド30と、シリンダ34と、ピストン37と、可動接触子部40と、絶縁ノズル50と、を備えている。
【0023】
操作ロッド30は、金属材料等により形成されている。操作ロッド30は、後端部において絶縁ロッドを介して駆動装置(いずれも不図示)に接続され、密閉容器2および対向ユニット3に対して軸方向に変位可能になっている。操作ロッド30は、図示しない他方の導体に導通している。操作ロッド30は、円筒状に形成され、前方に開口している。操作ロッド30には、径方向に貫通する通気孔31が形成されている。通気孔31は、軸方向の所定の位置で周方向に間隔をあけて並んでいる。通気孔31は、共通軸線Oを中心として回転対称に配置されている。なお操作ロッド30のうち通気孔31よりも後方に位置する部分は中実に形成されていてもよい。操作ロッド30の外周面には、径方向の外側に張り出した外フランジ32が形成されている。外フランジ32は、通気孔31よりも前方に位置する。外フランジ32は、周方向の全体にわたって連続して延びる円環状に形成されている。
【0024】
シリンダ34は、操作ロッド30に対して固定的に配置されている。シリンダ34は、操作ロッド30に連動して、操作ロッド30と一体に軸方向に変位する。シリンダ34は、金属材料等により、円筒状に形成されている。シリンダ34は、操作ロッド30に導通している。シリンダ34は、軸方向に沿って延在する周壁34aと、周壁34aから径方向の内側に張り出した第1フランジ34bおよび第2フランジ34cと、を備えている。周壁34aは、操作ロッド30を径方向の外側から囲っている。第1フランジ34bは、周壁34aの前端部から、径方向の内側に向かって張り出している。第1フランジ34bは、円環板状に形成されている。第1フランジ34bの内周縁は、操作ロッド30の外周面に径方向で対向している。第1フランジ34bは、操作ロッド30の外フランジ32よりも前方に位置する。第1フランジ34bの内周部には、軸方向に貫通する排気孔35が形成されている。排気孔35は、共通軸線Oを中心として回転対称に形成されている。第2フランジ34cは、第1フランジ34bよりも後方に位置する。第2フランジ34cの内周縁は、操作ロッド30の外周面に径方向で対向している。第2フランジ34cの内周縁は、操作ロッド30の外フランジ32の外周縁に径方向で対向している。第2フランジ34cの内周縁の全体は、操作ロッド30の外フランジ32の外周縁に対して径方向に間隔をあけて延びている。
【0025】
ピストン37は、円環状に形成されている。ピストン37は、操作ロッド30と、シリンダ34の周壁34aと、の間に配置されている。ピストン37は、密閉容器2に対して固定的に配置されている。ピストン37は、シリンダ34の第2フランジ34cよりも後方に位置する。ピストン37は、操作ロッド30の通気孔31よりも前方に位置する。ピストン37は、操作ロッド30と、シリンダ34の周壁34aと、の隙間を埋めるように配置されている。
【0026】
シリンダ34、ピストン37および操作ロッド30は、消弧性ガスを蓄圧する第1パッファ室71および第2パッファ室72(蓄圧部)を画成している。第1パッファ室71は、シリンダ34の第2フランジ34cとピストン37との間に形成されている。第2パッファ室72は、シリンダ34の第1フランジ34bと第2フランジ34cとの間に形成されている。第1パッファ室71は、操作ロッド30の変位に連動して容積可変である。第1パッファ室71は、シリンダ34および操作ロッド30の後方の変位に伴って容積が減少することで、内部の消弧性ガスを昇圧する。第1パッファ室71で昇圧した消弧性ガスは、第2フランジ34cと操作ロッド30の外周面(外フランジ32)との間を通じて第2パッファ室72に流入する。第2パッファ室72の内部の消弧性ガスは、第1パッファ室71からの消弧性ガスの流入に伴って昇圧する。第2パッファ室72で昇圧した消弧性ガスは、排気孔35を通じて第2パッファ室72から放出される。
【0027】
可動接触子部40は、可動アーク接触子41(可動接触子)と、可動通電接触子46と、を備えている。
可動アーク接触子41は、金属材料により円筒状に形成されている。可動アーク接触子41は、操作ロッド30に導通している。可動アーク接触子41の両端は、軸方向に開口している。可動アーク接触子41の後端縁は、操作ロッド30の前端縁に全周にわたって結合している。可動アーク接触子41は、操作ロッド30を前方に延長するように設けられている。本実施形態では、可動アーク接触子41は、操作ロッド30と一体に形成されている。ただし、可動アーク接触子41は、操作ロッド30とは別体に設けられて操作ロッド30の前端部に結合していてもよい。可動アーク接触子41の内部空間は、操作ロッド30の内部空間に連通している。可動アーク接触子41の前端部は、径方向の内側に向かって膨出している。可動アーク接触子41の前端部の内径は、対向アーク接触子26の外径と略一致している。可動アーク接触子41および操作ロッド30の内径は、可動アーク接触子41の前端部を除き、通気孔31よりも前方部分で一定である。
【0028】
なお、可動アーク接触子41には、図示しない複数のスリットが形成されている。複数のスリットは、可動アーク接触子41の前端縁から後方に切り込まれている。複数のスリットは、周方向に略等間隔に形成されている。これにより、可動アーク接触子41は、隣り合うスリット間に設けられたフィンガーを複数備えている。フィンガーは、板ばね状に形成され、径方向に撓み変形可能となっている。
【0029】
可動アーク接触子41は、操作ロッド30に連動して、軸方向に変位する。対向アーク接触子26および可動アーク接触子41は、操作ロッド30の変位に伴って軸方向に互いに接離可能に設けられている。対向アーク接触子26および可動アーク接触子41は、閉極状態で互いに接触するとともに、開極状態で互いに離間する。対向アーク接触子26および可動アーク接触子41は、対向アーク接触子26が可動アーク接触子41の開口に挿入されることで、互いに接触して導通する。開極過程では、対向アーク接触子26および可動アーク接触子41が互いに離間して、対向アーク接触子26および可動アーク接触子41の間にアーク放電が発弧するアーク空間76が形成される。可動アーク接触子41の内部空間は、可動アーク接触子41の前端部の開口を通じてアーク空間76に連通する。これにより、可動アーク接触子41の内部空間は、操作ロッド30の内部空間とアーク空間76とを連通させている。可動アーク接触子41および操作ロッド30それぞれの内部空間は、アーク空間76のガスを排気するガス排気流路の一部として、アーク空間76に連通する可動側ガス流路90(第2排気流路)となる。
【0030】
可動通電接触子46は、金属材料により、円筒状に形成されている。可動通電接触子46は、可動アーク接触子41を囲うように配置されている。可動通電接触子46は、シリンダ34の第1フランジ34bから前方に突出している。可動通電接触子46は、シリンダ34に導通している。可動通電接触子46の前端部は、前方に開口している。可動通電接触子46の外径は、対向通電接触子21の後端部の内径に一致している。
【0031】
可動通電接触子46は、シリンダ34を介して操作ロッド30に対して固定されている。可動通電接触子46は、操作ロッド30に連動して、操作ロッド30と一体に軸方向に変位する。対向通電接触子21および可動通電接触子46は、操作ロッド30の変位に伴って軸方向に互いに接離可能に設けられている。対向通電接触子21および可動通電接触子46は、投入状態で互いに接触するとともに、開極状態で互いに離間する。対向通電接触子21および可動通電接触子46は、可動通電接触子46が対向通電接触子21の開口に挿入されることで、互いに接触して導通する。対向通電接触子21および可動通電接触子46は、開極過程において対向アーク接触子26および可動アーク接触子41よりも早く互いに離間する。
【0032】
絶縁ノズル50は、絶縁材料により、円筒状に形成されている。絶縁ノズル50は、可動アーク接触子41と可動通電接触子46との間において、シリンダ34の第1フランジ34bから前方に突出している。絶縁ノズル50は、可動アーク接触子41および可動通電接触子46よりも前方に突出している。つまり、絶縁ノズル50の前端縁は、可動アーク接触子41の前端縁、および可動通電接触子46の前端縁よりも前方に位置している。絶縁ノズル50は、前端部にノズル開口部51を備える。ノズル開口部51は、排気チャンバ10の内側で前方に開口し、内筒11の内部空間に連通している。絶縁ノズル50の後端縁は、シリンダ34の第1フランジ34bに全周にわたって密接している。絶縁ノズル50の後端開口は、排気孔35に直接連通している。
【0033】
絶縁ノズル50の内周面は、スロート部52と、上流側案内部53と、下流側案内部54と、を備えている。
スロート部52は、絶縁ノズル50において内径が最小の部分を含む。スロート部52は、絶縁ノズル50における軸方向の中途部に設けられている。スロート部52は、可動アーク接触子41よりも前方に位置する。スロート部52は、閉極状態で対向アーク接触子26を囲む。スロート部52は、開極状態でアーク空間76を径方向の外側から画成し、アーク放電を囲む。スロート部52は、完全開極状態で対向アーク接触子26よりも後方に位置する。
【0034】
上流側案内部53は、絶縁ノズル50における後端部とスロート部52との間に設けられている。上流側案内部53は、可動アーク接触子41を囲んでいる。上流側案内部53は、可動アーク接触子41の外周面および前端面に対向している。上流側案内部53は、全長にわたって可動アーク接触子41に対して間隔をあけている。上流側案内部53は、可動アーク接触子41の外周面と協働して、排気孔35を通じて第2パッファ室72に連通する接続空間77を画成している。接続空間77は、アーク空間76に直接連通している。接続空間77は、第2パッファ室72から放出された消弧性ガスをアーク空間76へ誘導してアーク放電に吹き付ける。
【0035】
下流側案内部54は、絶縁ノズル50における前端部とスロート部52との間に設けられている。下流側案内部54は、前方に向かうに従い内径が漸次増大するように延びている。下流側案内部54は、完全開極状態で対向アーク接触子26における後端部を囲んでいる。下流側案内部54と対向アーク接触子26との間の空間は、アーク空間76に直接連通している。下流側案内部54と対向アーク接触子26との間の空間は、アーク空間76のガスを排気するガス排気流路の一部として、対向側ガス流路80(第1排気流路)となる。
【0036】
完全開極状態において、下流側案内部54は、対向アーク接触子26との間に、流路断面積が極小となる極小部81と、極小部81から下流側のノズル開口部51まで流路断面積が漸次拡大する対向側拡大部82と、を形成する。これら極小部81および対向側拡大部82は、対向側ガス流路80の一部である。極小部81は、下流側案内部54の中途部と対向アーク接触子26の外周面の後端縁との間に形成されている。なお、流路断面積は、共通軸線Oに直交する断面上で規定される。
【0037】
フローガイド60は、操作ロッド30の内部空間に配置されている。フローガイド60は、共通軸線Oを中心とする回転体形状に形成されている。フローガイド60の外径は、軸方向に沿って変化する。フローガイド60は、前方に先細るように形成されている。フローガイド60の外径は、後方に向かうに従い漸次増大している。フローガイド60の前端は、通気孔31よりも前方に位置している。フローガイド60の後端は、通気孔31よりも後方に位置し、操作ロッド30の内側を閉塞している。すなわち、フローガイド60は、通気孔31よりも後方から前方にわたる領域に配置されている。フローガイド60は、可動側ガス流路90の流路断面積を軸方向の位置に応じて変化させる。なお、フローガイド60は、アーク放電により熱せられた高温のガス(熱ガス)に対する耐熱性を有する材料で形成されていることが好ましい。
【0038】
フローガイド60は、操作ロッド30の内面との間に、下流側に向かって流路断面積が漸次縮小する縮小部91と、流路断面積が最小となる最小部92と、下流側に向かって流路断面積が漸次拡大する拡大部93と、を形成する。これら縮小部91、最小部92および拡大部93は、可動側ガス流路90の一部である。縮小部91は、フローガイド60の前端から通気孔31の前端縁にわたる範囲に形成されている。拡大部93は、通気孔31の前端縁から後端縁にわたる範囲に形成されている。拡大部93は、軸方向において縮小部91よりも大きく形成されている。ただし、拡大部93は、軸方向において縮小部91以下の大きさに形成されていてもよい。最小部92は、縮小部91と拡大部93との間であり、フローガイド60における中途部と通気孔31の前端縁との間に形成されている。ただし、最小部92は、通気孔31の前端縁よりも前方に形成されていてもよい。
【0039】
続いて、ガス遮断器1の遮断動作について説明する。
投入状態では、可動通電接触子46が対向通電接触子21の内側に挿入されて接触し、対向アーク接触子26が可動アーク接触子41の内側に挿入されて接触している。これにより、対向ユニット3と可動ユニット4とが導通する。
【0040】
ガス遮断器1は、電流を遮断する場合、操作ロッド30を後方に変位させ、対向接触子部20および可動接触子部40を互いに離間させる。操作ロッド30を後方に変位させると、可動アーク接触子41、可動通電接触子46、絶縁ノズル50およびシリンダ34が操作ロッド30に連動して後方に変位する。シリンダ34が後方に変位すると、第1パッファ室71の容積が減少し、第1パッファ室71の内部の消弧性ガスが昇圧される。第1パッファ室71で昇圧した消弧性ガスは、第2パッファ室72に流入する。これにより、第2パッファ室72の内部の消弧性ガスが昇圧される。
【0041】
投入状態から操作ロッド30を後方に変位させると、対向通電接触子21と可動通電接触子46とが離間する。この状態では、対向アーク接触子26と可動アーク接触子41とが互いに接触しているので、対向ユニット3と可動ユニット4とが導通している。
【0042】
さらに操作ロッド30を後方に変位させると、対向アーク接触子26と可動アーク接触子41とが離間し、閉極状態から開極状態に移行する。対向アーク接触子26と可動アーク接触子41とが離間すると、対向アーク接触子26と可動アーク接触子41との間で、アーク放電が発弧する。アーク放電が発弧すると、アーク空間76の消弧性ガスが加熱されて高温の熱ガスとなり膨張する。膨張した消弧性ガスの一部は、接続空間77を通って第2パッファ室72に流入する。これにより、第2パッファ室72の内部の消弧性ガスがさらに昇圧される。
【0043】
遮断動作が進行すると、対向アーク接触子26と可動アーク接触子41との距離が開くとともに、電流が電流ゼロ点に向けて小さくなり、アーク放電が小さくなる。アーク放電が小さくなると、アーク空間76から第2パッファ室72への消弧性ガスの流入が停止し、電流ゼロ点付近のタイミングで、第2パッファ室72の圧力が最大となる。このとき、アーク空間76と第2パッファ室72との差圧によって第2パッファ室72から高圧の消弧性ガスが放出される。
【0044】
図3は、第1の実施形態のガス遮断器の作用を示す図である。
図3に示すように、第2パッファ室72から放出された消弧性ガスは、接続空間77を通ってアーク放電に吹き付けられる。これにより、アーク放電が消弧に至り、電流が遮断される。そして、可動接触子部40は、対向接触子部20から最も離間した位置で完全開極状態に至り、遮断動作が完了する。
【0045】
アーク放電に吹き付けられた消弧性ガスは、対向側ガス流路80と可動側ガス流路90とに分かれてアーク空間76から排出される。対向側ガス流路80に流入した消弧性ガスは、ノズル開口部51から排出される。ノズル開口部51から排出された消弧性ガスは、内筒11の内部空間から貫通孔12を通じて内筒11と外筒13との間の空間に至り、最終的には外筒13の前端開口から密閉容器2内に排出される。可動側ガス流路90に流入した消弧性ガスは、可動アーク接触子41の前端開口から可動側ガス流路90を経て、通気孔31から密閉容器2内に排出される。
【0046】
ここで、中小電流遮断過程または大電流遮断過程初期において、アーク空間76の圧力上昇が比較的小さい場合には、アーク空間76から可動側ガス流路90に排出されたガス流は亜音速流れとなる。この場合、可動側ガス流路90の縮小部91はノズルとして作用し、ガス流は加速される。その後、ガス流は、最小部92を通過する際には音速に達するとともに拡大部93で通気孔31に向けて拡散し、淀むことなく通気孔31から密閉容器2内に排気される。その結果、アーク空間76から可動側ガス流路90を通じて熱ガスを速やかに排出することが可能となる。
【0047】
また、大電流遮断過程において、アーク空間76の圧力上昇が大きい場合には、操作ロッド30内のガス流が超音速流れとなる場合がある。この場合、可動側ガス流路90の縮小部91はディフューザーとして作用し、ガス流を減速する。その後、ガス流は、最小部92を通過する際には音速まで低下するとともに拡大部93で通気孔31に向けて拡散し、淀むことなく通気孔31から密閉容器2内に排気される。その結果、操作ロッド30内でチョークが発生しにくくなり、アーク空間76から可動側ガス流路90を通じて熱ガスを速やかに排出することが可能となる。
【0048】
図4は、第1の実施形態に係るガス遮断器において、遮断動作時のアーク発生後のアーク空間におけるガス温度の変化を示す図である。図4に示す横軸は、アーク放電が発弧した時点を起点とした経過時間を表している。縦軸は、アーク空間76におけるガス温度を表している。
図4に示すように、消弧性ガスをアーク放電に吹き付けて生じた熱ガスを、可動側ガス流路90を通じてアーク空間76から排出することで、アーク空間76の温度を急激に低下させることができる。その結果、消弧に至るとともに、熱ガスがアーク空間76から排出されたことで再点弧を抑制することができる。
【0049】
ここで、本実施形態では、対向側ガス流路80および可動側ガス流路90のガス流量の配分に基づいて、対向側ガス流路80および可動側ガス流路90それぞれの流路断面積を設定している。対向側ガス流路80の流量Q1は、絶縁ノズル50のノズル開口部51よりも下流側における質量流量である。可動側ガス流路90の流量Q2は、操作ロッド30の通気孔31よりも下流側における質量流量である。対向側ガス流路80の流路断面積S1(最小流路断面積)は、極小部81(図2のA-A断面で示す位置)における流路断面積である。可動側ガス流路90の流路断面積S2は、最小部92(図2のB-B断面で示す位置)における流路断面積である。
【0050】
図5は、第1の実施形態に係るガス遮断器における流路断面積および流量の関係を示す図である。図5に示す横軸は、可動側ガス流路90の流路断面積S2に対する対向側ガス流路80の流路断面積S1の比(S1/S2)を表している。縦軸は、対向側ガス流路80の流量Q1に対する可動側ガス流路90の流量Q2の比(Q2/Q1)を表している。
図5に示すように、流量比(Q2/Q1)は、面積比(S1/S2)の関数である。特に、対向側ガス流路80および可動側ガス流路90それぞれの圧力が流路断面積を規定する位置で互いに等しい場合、流路断面積をS1=S2とすると、流量はQ1=Q2となる。
【0051】
ところで、排気チャンバ10内に熱ガスが滞留すると、密閉容器2と排気チャンバ10との間の絶縁性能が低下し、地絡が生じやすくなる。本実施形態では、対向側ガス流路80および可動側ガス流路90の流量配分を、対向ユニット3における地絡の生じやすさに応じて決定する。対向ユニット3における地絡は、電流値が大きくなるに従い生じやすくなる。また、対向ユニット3における地絡は、電流の周期が長くなるに従い生じやすくなる。本実施形態では、ガス遮断器1の仕様(電流値や交流周波数等)に基づいて流量比(Q2/Q1)を設定し、面積比(S1/S2)を決定する。
【0052】
以上に説明したように、本実施形態のガス遮断器1によれば、操作ロッド30内のガス流が超音速流れとなる場合、可動側ガス流路90の縮小部91をディフューザーとして作用させてガス流を減速することができる。このため、ガス流は、最小部92を通過する際には音速まで低下するとともに拡大部93で通気孔31に向けて拡散し、淀むことなく通気孔31から密閉容器2内に排気される。その結果、操作ロッド30内でチョークが発生しにくくなり、アーク空間76から可動側ガス流路90を通じて熱ガスを速やかに排出することが可能となる。したがって、ガスを円滑に排気できるガス遮断器1を提供できる。
【0053】
また、対向側ガス流路80および可動側ガス流路90に熱ガスを分配して流すことができるので、ガス遮断器1の各部が熱ガスにより損傷することを抑制できる。
【0054】
さらに、対向側ガス流路80の極小部81における流路断面積S1、および可動側ガス流路90の最小部92における流路断面積S2の比は、対向側ガス流路80のガス流量Q1、および可動側ガス流路90のガス流量Q2の配分に基づいて設定されている。この構成によれば、排気チャンバ10内に熱ガスが過度に流入することを抑制できる。したがって、排気チャンバ10の地絡の発生を抑制できる。
【0055】
また、ガス遮断器1は、操作ロッド30の内面との間に縮小部91、最小部92および拡大部93を形成するフローガイド60を備える。この構成によれば、操作ロッド30自体が簡素な形状となるため、操作ロッド30が製造容易になる。
【0056】
また、フローガイド60は、軸方向において通気孔31と同じ位置で後方に向かうに従い漸次拡径しているので、フローガイド60に沿うガス流を通気孔31に向けて案内することができる。したがって、ガスを円滑に排気できる。
【0057】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態に係るガス遮断器の一部を拡大して示す縦断面図である。
図6に示す第2の実施形態に係るガス遮断器1Aは、フローガイド60に代えて、絞り部61および閉塞部材62を備える点で、第1の実施形態のガス遮断器1と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0058】
図6に示すように、本実施形態のガス遮断器1Aは、絞り部61により可動側ガス流路90に縮小部91、最小部92および拡大部93を形成している。絞り部61は、操作ロッド30の内面に形成されている。絞り部61は、径方向の内側に突出し、周方向の全体にわたって一様に延びている。絞り部61の内径は、軸方向に沿って変化する。絞り部61は、いわゆるラバールノズル状に形成されている。絞り部61の全体は、通気孔31よりも前方に位置している。絞り部61は、可動側ガス流路90の流路断面積を軸方向の位置に応じて変化させる。なお、絞り部61は、熱ガスに対する耐熱性を有する材料で形成されていることが好ましい。絞り部61は、操作ロッド30と一体に形成されていてもよいし、操作ロッド30と別体に設けられていてもよい。
【0059】
閉塞部材62は、操作ロッド30の内側を閉塞する。閉塞部材62は、通気孔31よりも後方に配置されている。閉塞部材62は、前方に先細るように形成されている。閉塞部材62の前端は、通気孔31の後端よりも前方に位置している。ただし、閉塞部材62の全体が通気孔31よりも後方に配置されていてもよい。
【0060】
以上に説明したように、本実施形態のガス遮断器1Aによれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。また、可動側ガス流路90に縮小部91、最小部92および拡大部93を形成する絞り部61を操作ロッド30の内面に設けたので、操作ロッド30の形状変更のみで上述した作用効果を奏するガス遮断器1Aが得られる。
【0061】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態に係るガス遮断器の一部を拡大して示す縦断面図である。
図7に示す第3の実施形態に係るガス遮断器1Bは、フローガイド60に加えて、第2の実施形態の絞り部61をさらに備える点で、第1の実施形態のガス遮断器1と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0062】
フローガイド60の前端は、軸方向において絞り部61の形成範囲内に位置する。フローガイド60の前端は、軸方向において絞り部61における内径が最も小さい狭小部と同じ位置にある。ただし、フローガイド60の前端は、絞り部61の狭小部よりも前方に位置していてもよい。フローガイド60および絞り部61は、縮小部91、最小部92、および拡大部93を可動側ガス流路90に形成する。例えば、縮小部91が絞り部61により形成され、拡大部93がフローガイド60および絞り部61により協働して形成されている。
【0063】
以上に説明したように、本実施形態のガス遮断器1Bによれば、第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0064】
なお、上記実施形態では、排気チャンバ10が内筒11および外筒13を有している。しかし、排気チャンバは、単一の筒体により形成されていてもよい。
【0065】
また、消弧性ガスは、六フッ化硫黄ガスに限定されない。上記実施形態によれば、排気チャンバ10の地絡の発生を抑制できるので、消弧性ガスとして、例えば空気や、二酸化炭素、酸素、窒素およびその混合ガス等を適用してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、対向接触子部20が密閉容器2に対して固定的に配置されているが、この構成に限定されない。対向接触子部は、可動接触子部の軸方向の変位に連動して、可動接触子の変位方向とは反対方向に変位するように形成されていてもよい。
【0067】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、可動側ガス流路は縮小部、縮小部の通気孔側に連なる最小部、および最小部の通気孔側に連なる拡大部を持つ。縮小部の流路断面積はアーク空間側から通気孔側に向かうに従い漸次縮小する。拡大部の流路断面積は通気孔に向かうに従い漸次拡大する。このため、操作ロッド内でチョークが発生しにくくなり、アーク空間から可動側ガス流路を通じて熱ガスを速やかに排出することが可能となる。したがって、ガスを円滑に排気できるガス遮断器を提供できる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7