(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】センターベアリングサポート
(51)【国際特許分類】
F16F 15/08 20060101AFI20250106BHJP
B60K 17/24 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
F16F15/08 Y
B60K17/24
(21)【出願番号】P 2023569298
(86)(22)【出願日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 JP2022045354
(87)【国際公開番号】W WO2023120222
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2024-04-03
(31)【優先権主張番号】P 2021206093
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217102
【氏名又は名称】冨永 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100189289
【氏名又は名称】北尾 拓洋
(72)【発明者】
【氏名】龍 佳久
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0264739(US,A1)
【文献】特開平08-159154(JP,A)
【文献】特開2013-064438(JP,A)
【文献】特表2007-521450(JP,A)
【文献】特開2011-093441(JP,A)
【文献】特開2015-147526(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105443573(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/08
B60K 17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動力を伝達する自動車のプロペラシャフトの外周面に回転自在に装着されるセンターベアリングを前記自動車の車体側へ弾性的に支持するセンターベアリングサポートにおいて、
前記車体側の部材に外周面が接した状態で該部材に取り付けられる筒状の外環と、
前記センターベアリングの外周に内周面が接した状態で該センターベアリングに取り付けられる筒状の内環と、
前記外環の内周面と前記内環の外周面とに接続するとともに、前記外環の前記内周面と前記内環の前記外周面の間において前記プロペラシャフトに沿った一方向に向かって凸となったベローズ状屈曲形状をなして広がる弾性体と、を備え、
前記弾性体は、前記外環の前記内周面と前記内環の前記外周面の間において一定の厚さを維持したまま前記ベローズ状屈曲形状をなして広がる屈曲した板状のベース部と、該ベース部の屈曲した部分の両面のうちの前記一方向の側の面である凸面上に積層し前記一方向に向かって突出した凸部と、を有し、前記ベース部と前記凸部とが弾性材料で一体的に形成されてなるものであり、
前記弾性体の共振周波数が600~1000Hzであり、
前記ベース部の前記屈曲した部分の体積に対する前記凸部の体積の比率は0.6~0.8であり、
前記弾性体は、前記凸部として、前記プロペラシャフトの中心軸から離れる方向である径方向の距離が互いに異なる、前記凸面上の互いに離れた位置に、前記弾性体の共振周波数を低周波側にシフトさせる複数の凸部を有するものであるセンターベアリングサポート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動力を伝達する自動車のプロペラシャフトの外周面に回転自在に装着されるセンターベアリングを、自動車の車体側へ弾性的に支持するセンターベアリングサポートに関する。
【背景技術】
【0002】
回転駆動力を伝達する自動車のプロペラシャフトの外周面に回転自在に装着されるセンターベアリングを、自動車の車体側へ弾性的に支持するセンターベアリングサポートが従来から知られている。プロペラシャフトは、衝撃や振動に対する耐久性やレイアウトの観点から、単体(一本)ではなく複数本の部位に分割されていることが多く、センターベアリングおよびセンターベアリングサポートは、そうした分割箇所付近に配置されるのが通常である。以下、従来から知られている一般的なセンターベアリングサポートについて簡単に説明する。
【0003】
図1は、従来から知られている一般的なセンターベアリングサポート10Aの断面の斜視図である。
【0004】
図1のセンターベアリングサポート10Aは、自動車の車体側の部材(不図示)に取り付けられる筒状の外環3と、自動車のプロペラシャフト(不図示)に装着されるセンターベアリング(不図示)に取り付けられる筒状の内環2とを、弾性体1Aで接続した構成を有している。ここで、弾性体1Aは、弾性材料で形成された部材であり、プロペラシャフトに沿った一方向(
図1のX方向)に向かって凸となったベローズ状屈曲形状をなして広がっている。
【0005】
センターベアリングサポート10Aでは、このような弾性体1Aが外環3と内環2の間に介在する構成を備えることで、プロペラシャフトと自動車の車体側との間で伝達される振動が吸収される。一般に、このような振動吸収効果は、プロペラシャフトの軸に垂直な方向(
図1の上下方向)の弾性体1Aの振動状態におけるバネ定数(動バネ定数)が低い方が大きいことが知られている。ここで、弾性体1Aには、この方向の振動に関し、外環側可撓部13Aのバネ定数と内環側可撓部12Aのバネ定数の和を屈曲部11Aの質量で除算した値の平方根に比例して決まる固有の共振周波数が存在する。上述の動バネ定数は、弾性体1Aがこうした共振周波数で共振しているときに高くなることが知られており、従って、センターベアリングサポート10Aの振動吸収能力は、弾性体1Aの共振周波数周辺の周波数領域で低下する。
【0006】
ここで、
図1に示すように、従来から知られている一般的なセンターベアリングサポート10Aの弾性体1Aでは、外環3から内環2に至るまでのゴム状弾性材料の厚さはほぼ一定となっている。しかしながら、このような形状の弾性体1Aでは、弾性体1Aの共振周波数周辺の周波数領域が、プロペラシャフトや車体の振動の周波数領域と重なってしまうことがあり、そうした周波数領域でセンターベアリングサポート10Aの振動吸収能力が低下することがある。こうした事態を回避するため、センターベアリングサポートの中には、弾性体の共振周波数が高周波側にシフトするよう弾性体の形状が工夫されたものが存在する(たとえば特許文献1参照)。
【0007】
図2は、弾性体1Bの共振周波数が高周波側にシフトするよう弾性体1Bの形状が工夫されたセンターベアリングサポート10Bの断面の斜視図である。
【0008】
図2では、
図1と同一の構成要素については同一の符号が付されており、その重複説明は省略する。
図2に示すように、弾性体1Bでは、屈曲部11Bの厚さは、外環側可撓部13Bや内環側可撓部12Bの厚さと比べ小さくなっている。このような形状の弾性体1Bでは屈曲部11Bの質量が小さく、そのため弾性体1Bの共振周波数が大きくなる。典型的には、弾性体1Bの共振周波数を1500Hz以上に調整することができる。
図2のセンターベアリングサポート10Bでは、このように弾性体1Bの共振周波数を高周波側にシフトさせることで、弾性体1Bの共振周波数周辺の周波数領域と、プロペラシャフトや車体の振動の周波数領域との重なりの低減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、プロペラシャフトや車体の高周波の振動を積極的に吸収することが要求される状況もしばしばあり、
図2の弾性体1Bの形状では、こうした要求に応えられないことがある。このため、高周波領域でのセンターベアリングサポートの振動吸収能力の低下を抑えるにあたっては、さらなる工夫が求められる。
【0011】
上記の事情を鑑み、本発明では、高周波領域での振動吸収能力の低下を抑えるのに適したセンターベアリングサポートの実現を図っている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するため、本発明は、以下のセンターベアリングサポートを提供する。
【0013】
[1] 回転駆動力を伝達する自動車のプロペラシャフトの外周面に回転自在に装着されるセンターベアリングを前記自動車の車体側へ弾性的に支持するセンターベアリングサポートにおいて、前記車体側の部材に外周面が接した状態で該部材に取り付けられる筒状の外環と、前記センターベアリングの外周に内周面が接した状態で該センターベアリングに取り付けられる筒状の内環と、前記外環の内周面と前記内環の外周面とに接続するとともに、前記外環の前記内周面と前記内環の前記外周面の間において前記プロペラシャフトに沿った一方向に向かって凸となったベローズ状屈曲形状をなして広がる弾性体と、を備え、前記弾性体は、前記外環の前記内周面と前記内環の前記外周面の間において一定の厚さを維持したまま前記ベローズ状屈曲形状をなして広がる屈曲した板状のベース部と、該ベース部の屈曲した部分の両面のうちの前記一方向の側の面である凸面上に積層し前記一方向に向かって突出した凸部と、を有し、前記ベース部と前記凸部とが弾性材料で一体的に形成されてなるものであるセンターベアリングサポート。
【0014】
[2] 前記弾性体の共振周波数が600~1000Hzである[1]に記載のセンターベアリングサポート。
【0015】
[3] 前記ベース部の前記屈曲した部分の体積に対する前記凸部の体積の比率は0.6~0.8である[2]に記載のセンターベアリングサポート。
【0016】
[4] 前記弾性体は、互いに離れた位置に複数の前記凸部を有するものである[1]~[3]のいずれかに記載のセンターベアリングサポート。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、弾性体は、一定の厚さを持つベース部の凸面上に積層する凸部の存在により、ベース部の屈曲した部分と凸部とからなる弾性体の屈曲部の厚さは、弾性体の他の部分の厚さよりも大きくなっている。このため凸部が存在しない場合に比べ屈曲部の質量が大きくなり、それにより弾性体の共振周波数が小さくなる。本発明では、このように弾性体の共振周波数を低周波側にシフトさせることで、弾性体の共振周波数周辺の周波数領域と、プロペラシャフトや車体の高周波の振動の周波数領域との重なりが低減される。この結果、本発明では、高周波領域での振動吸収能力の低下を抑えるのに適したセンターベアリングサポートが実現している。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来から知られている一般的なセンターベアリングサポートの断面の斜視図である。
【
図2】弾性体の共振周波数が高周波側にシフトするよう弾性体の形状が工夫されたセンターベアリングサポートの断面の斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態のセンターベアリングサポートを自動車のプロペラシャフトとともに表した図である。
【
図4】
図3のセンターベアリングサポートの断面の斜視図である。
【
図5】本発明の別の一実施形態であるセンターベアリングサポートの断面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0020】
図3は、本発明の一実施形態のセンターベアリングサポート10を自動車100のプロペラシャフト4とともに表した図であり、
図4は、
図3のセンターベアリングサポート10の断面の斜視図である。
【0021】
自動車100のプロペラシャフト4は、エンジン5から得られる回転駆動力を、エンジン5とは反対側の車輪6に伝達するための駆動力伝達機構の一構成要素である。本実施形態のセンターベアリングサポート10は、このプロペラシャフト4の外周面に回転自在に装着されるセンターベアリング(センターベアリングサポート10に覆われているため
図3では不図示)を自動車100の車体(不図示)側へ弾性的に支持するための部材である。センターベアリングについては、従来から知られているもの、たとえば特許文献1のセンターベアリングと同じものを採用することができる。なお、
図1のプロペラシャフト4は、衝撃や振動に対する耐久性やレイアウトの観点から、単体(一本)ではなくセンターベアリングサポート10の付近で2本に分割されている。
【0022】
図4の断面の斜視図に示されているように、センターベアリングサポート10は、外環3、内環2、および弾性体1を備えている。
【0023】
外環3は、
図3の自動車100の車体(不図示)側の部材(不図示)に外環3の外周面3bが接した状態で、その車体側の部材に取り付けられる筒状の部材である。外環3としては、たとえば、金属製の筒状部材を採用することができる。外環3は、単一の部品である必要はなく、複数の部品が組み合わされて筒に近い形状(筒状)になったものでもよい。なお、車体側の部材としては、たとえば車体側に固定されているブラケットが挙げられる。
【0024】
内環2は、
図3の自動車100のプロペラシャフト4に装着されるセンターベアリング(不図示)の外周に内環2の内周面2bが接した状態で、センターベアリングに取り付けられる筒状の部材である。内環2としては、たとえば、金属製の筒状部材を採用することができる。内環2も、単一の部品である必要はなく、複数の部品が組み合わされて筒状に近い形状になったものでもよい。
【0025】
弾性体1は、外環3の内周面3aと内環2の外周面2aとに接続する、弾性材料で形成された部材である。弾性体1は、外環3の内周面3aと内環2の外周面2aの間においてプロペラシャフト4(
図3参照)に沿った一方向(
図4のX方向)に向かって凸となったベローズ状屈曲形状をなして広がっている。
【0026】
センターベアリングサポート10では、このような弾性体1が外環3と内環2の間に介在する構成を備えることで、プロペラシャフト4(
図3参照)と自動車100(
図3参照)の車体(不図示)側との間で伝達される振動が吸収される。
【0027】
以下では、弾性体1についてさらに詳しく説明する。
【0028】
図4に示すように弾性体1は、その構成部位としてベース部15と凸部14とを有しており、弾性体1は、これらベース部15と凸部14とが上述の弾性材料で一体的に形成されてなるものである。
【0029】
ここで、ベース部15は、外環3の内周面3aと内環2の外周面2aの間において一定の厚さを維持したまま上述のベローズ状屈曲形状をなして広がる屈曲した板状の部位である。なお、ここでいう「一定の厚さを維持」とは、板状のベース部15がどの箇所でも同程度の厚さを有していることを意味しており、必ずしも、完全に同一の厚さの値が板状のベース部15のどの箇所でも厳格に維持されているという意味ではない。
【0030】
一方、凸部14は、ベース部15の屈曲した部分(後述のベース屈曲部11)の両面である凸面11aおよび凹面11bのうちの、
図4のX方向を向いた凸面11a上に積層しX方向に向かって突出した部位である。
【0031】
図4に示すように弾性体1は、一定の厚さを持つベース部15の凸面11a上に積層する凸部14の存在により、ベース部15の屈曲した部分(後述のベース屈曲部11)と凸部14とからなる弾性体1の屈曲部の厚さは、弾性体1の他の部分の厚さよりも大きくなっている。このため、凸部14が存在しない場合に比べ屈曲部の質量が大きくなり、それにより弾性体1の共振周波数が小さくなる。本実施形態では、このように弾性体1の共振周波数を低周波側にシフトさせることで、弾性体1の共振周波数周辺の周波数領域と、プロペラシャフト4(
図3参照)や自動車100(
図3参照)の車体の高周波の振動の周波数領域との重なりが低減される。この結果、本実施形態では、高周波領域での振動吸収能力の低下を抑えるのに適したセンターベアリングサポートが実現している。
【0032】
以下では、弾性体1についてさらに詳しく説明する。
【0033】
上述したように、凸部14の存在により弾性体1の共振周波数を下げることができるが、凸部14の大きさを調整することで、弾性体1の共振周波数が600~1000Hzとなっていることが好ましい。
【0034】
このような形態によれば、弾性体1の共振周波数周辺の周波数領域と、プロペラシャフト4(
図3参照)や自動車100(
図3参照)の車体の高周波の振動の周波数領域との重なりが、より確実に低減される。
【0035】
ここで、
図4に示すようにベース部15をその構成部位の形状によって大別して考えると、ベース部15は、主に、外環側可撓部13、内環側可撓部12、およびベース屈曲部11の3つの部位によって構成されている。外環側可撓部13は、外環3の内周面3aから、多少のテーパーを含む筒状に広がって延びる部位である。一方、内環側可撓部12は、内環2の外周面2aから、多少のテーパーを含む筒状に広がって延びる部位である。ベース屈曲部11は、両端部が外環側可撓部13および内環側可撓部12に接続している、
図4に点線で示すような屈曲した板状の部位であり、上述した「ベース部15の屈曲した部分」に対応する部位である。ベース屈曲部11の両面である凸面11aおよび凹面11bはいずれも湾曲しているが、凸面11aおよび凹面11bの断面(
図4参照)の曲率半径にそれぞれ対応する円は互いに同心となっている。
【0036】
このとき、ベース屈曲部11の体積に対する凸部14の体積の比率は0.6~0.8であることが好ましい。
【0037】
このような形態によれば、弾性体1の共振周波数が600~1000Hzの範囲に収まりやすくなる。
【0038】
以上の実施形態では、弾性体1における凸部14は1つしか存在しなかったが、本発明では、同様の凸部が複数存在していてもよい。以下そのような実施形態について説明する。
【0039】
図5は、
図4とは別の本発明の実施形態のセンターベアリングサポート10’の断面の斜視図である。
【0040】
図5では、
図4と同一の構成要素については同一の符号が付されており、その重複説明は省略する。
図5のセンターベアリングサポート10’が
図4のセンターベアリングサポート10と異なる点は、複数の凸部14’(具体的には3つの凸部14’)を有する弾性体1’が採用されている点である。この点を除き、
図5のセンターベアリングサポート10’は、
図4のセンターベアリングサポート10と同一の構成を有する。
【0041】
すなわち、
図5の弾性体1’も、一定の厚さを持つベース部15’が、多少のテーパーを含む筒状に広がって延びる外環側可撓部13’および内環側可撓部12’を有するとともに、これらに両端部が接続しているベース屈曲部11’(図中の点線部分参照)を有している。ここで、ベース屈曲部11’の凸面11a’および凹面11b’の断面の曲率半径にそれぞれ対応する円は互いに同心となっている。ただし、
図5の弾性体1’は、
図4の弾性体1とは異なり、ベース部15’ の凸面11a’上に、互いに離れた位置に複数の凸部14’(具体的には3つの凸部14’)を有している。
【0042】
図5のセンターベアリングサポート10’でも、3つの凸部14’の存在により、ベース屈曲部11’と3つの凸部14’とからなる弾性体1の屈曲部の厚さは弾性体1’の他の部分の厚さよりも大きくなっている。それに伴い弾性体1’の共振周波数は低周波側にシフトしており、弾性体1の共振周波数周辺の周波数領域と、プロペラシャフト4(
図3参照)や自動車100(
図3参照)の車体の高周波の振動の周波数領域との重なりは低減されている。
【0043】
ここで、一般に、弾性体の屈曲部の厚さがの他の部分の厚さよりも大きくなっていると、プロペラシャフト4(
図3参照)の軸方向の変位についての追従性が低下して弾性体の耐久性が低下することが危惧される。
【0044】
しかしながら、
図5の弾性体1’では、3つの凸部14’が互いに離れた位置に配置されることで、
図4のように単一の凸部14が一箇所に存在する場合に比べて追従性の低下が抑えられている。この結果、
図5のセンターベアリングサポート10’では、弾性体1’の耐久性が向上している。
【0045】
また、
図5のセンターベアリングサポート10’においても、弾性体1’の共振周波数が600~1000Hzとなっていることが好ましく、ベース屈曲部11’の体積に対する凸部14’全体の体積(3つの凸部14’の体積の総和)の比率が0.6~0.8であることが好ましい。上述したように、共振周波数が600~1000Hzとなっていることで、弾性体1’の共振周波数周辺の周波数領域と、プロペラシャフト4(
図3参照)や自動車100(
図3参照)の車体の高周波の振動の周波数領域との重なりが、より確実に低減される。そして、上記比率が0.6~0.8であることで、共振周波数が600~1000Hzの範囲に収まりやすくなる。
【0046】
以上が本発明の実施形態の説明である。
【0047】
以上の説明では、凸部の数が1つおよび3つの場合について説明したが、本発明では、凸部の数が2つあるいは4つ以上存在している実施形態が採用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、高周波領域での振動吸収能力の低下を抑えるのに適したセンターベアリングサポートを実現するのに有用である。
【符号の説明】
【0049】
1,1’,1A,1B:弾性体、
2:内環、
2a:外周面、
2b:内周面、
3:外環、
3a:内周面、
3b:外周面、
4:プロペラシャフト、
5:エンジン、
6:車輪、
10,10’,10A,10B:センターベアリングサポート、
11,11’:ベース屈曲部、
11a:凸面、
11b:凹面、
12,12’:内環側可撓部、
13,13’:外環側可撓部、
14,14’:凸部、
15,15’:ベース部、
100:自動車。