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特許7612897通信方法、ユーザ装置、チップセット、プログラム、及び移動通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】通信方法、ユーザ装置、チップセット、プログラム、及び移動通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/06 20090101AFI20250106BHJP
   H04W 72/231 20230101ALI20250106BHJP
【FI】
H04W4/06
H04W72/231
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023572426
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 JP2022047339
(87)【国際公開番号】W WO2023132258
(87)【国際公開日】2023-07-13
【審査請求日】2024-07-03
(31)【優先権主張番号】63/296,238
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(72)【発明者】
【氏名】チャン ヘンリー
【審査官】篠田 享佑
(56)【参考文献】
【文献】Kyocera,Remaining issues of broadcast service continuity and control plane aspects[online],3GPP TSG RAN WG2 #116-e R2-2110206,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_116-e/Docs/R2-2110206.zip>,2021年10月22日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4、6
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムにおいてユーザ装置が実行する通信方法であって、
MBSセッションに関するMBS興味通知をネットワークノードに送信することが許可されるかを判定するための条件に関する情報を含むブロードキャストメッセージを前記ネットワークノードから受信することと、
前記情報に基づいて、前記MBS興味通知の送信処理を行うか否かを判定することと、を有する
通信方法。
【請求項2】
前記情報は、前記MBS興味通知を前記ネットワークノードに送信することが許可される条件を設定する設定情報である
請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記設定情報により設定された前記条件が満たされないときは前記送信処理を行わずに、前記設定情報により設定された前記条件が満たされたことに応じて前記送信処理を行うことをさらに有する
請求項2に記載の通信方法。
【請求項4】
前記設定情報は、前記MBS興味通知の送信をトリガするトリガ条件として規定された複数種別のトリガ条件のうち前記ユーザ装置において適用する前記トリガ条件の種別を設定するトリガ設定情報を含み、
前記送信処理を行うことは、前記複数種別のトリガ条件のうち前記トリガ設定情報により設定された前記種別のトリガ条件が満たされたことに応じて前記送信処理をトリガすることを含む
請求項3に記載の通信方法。
【請求項5】
前記設定情報は、n回目(n≧1)のMBS興味通知を送信してからn+1回目の前記MBS興味通知の送信を可能とするまでの禁止時間を設定する禁止時間設定情報を含み、
前記送信処理を行うことは、前回のMBS興味通知を送信してから、前記禁止時間設定情報により設定された前記禁止時間が経過したことに応じて、今回のMBS興味通知の送信を行うことを含む
請求項3に記載の通信方法。
【請求項6】
前記設定情報は、前記禁止時間設定情報と対応付けられたトリガ種別情報をさらに含み、
前記トリガ種別情報は、前記MBS興味通知の送信をトリガするトリガ条件として規定された複数種別のトリガ条件のうち前記禁止時間を適用するトリガ条件の種別を示す情報である
請求項5に記載の通信方法。
【請求項7】
前記送信処理を行うことは、前記トリガ種別情報により示される前記種別のトリガ条件が満たされたことに応じて前記前回のMBS興味通知を送信した後、前記禁止時間設定情報により設定された前記禁止時間が経過し、且つ、前記トリガ種別情報により示される前記種別のトリガ条件が満たされたことに応じて、前記今回のMBS興味通知の送信を行うことを含む
請求項6に記載の通信方法。
【請求項8】
前記設定情報は、前記ユーザ装置を含む複数のユーザ装置による複数のMBS興味通知の送信を時間方向及び/又は周波数方向に分散させるための分散化情報を含み、
前記送信処理を行うことは、前記分散化情報に基づいて定められるタイミング及び/又は周波数において前記MBS興味通知を送信することを含む
請求項3に記載の通信方法。
【請求項9】
前記設定情報は、前記分散化情報と対応付けられたトリガ種別情報をさらに含み、
前記送信処理を行うことは、前記トリガ種別情報により示される前記種別のトリガ条件が満たされたことに応じて、前記分散化情報に基づいて定められる前記タイミング及び/又は前記周波数において前記MBS興味通知を送信することを含む
請求項8に記載の通信方法。
【請求項10】
前記分散化情報は、前記ユーザ装置が前記MBS興味通知を送信するセルを設定するセル情報を含む
請求項8又は9に記載の通信方法。
【請求項11】
前記分散化情報は、前記ユーザ装置が前記MBS興味通知を送信するタイミングを制御するタイミング制御情報を含む
請求項8又は9に記載の通信方法。
【請求項12】
前記送信処理を行うことは、前記タイミング制御情報と、前記ユーザ装置に固有の識別子とに基づいて、前記MBS興味通知を送信する前記タイミングを決定することを含む
請求項11に記載の通信方法。
【請求項13】
前記送信処理を行うことは、前記タイミング制御情報と、前記ユーザ装置で発生させた乱数とに基づいて、前記MBS興味通知を送信する前記タイミングを決定することを含む
請求項11に記載の通信方法。
【請求項14】
前記送信処理を行うことは、前記タイミング制御情報と、前記ユーザ装置が把握しているMBSセッション開始タイミングとに基づいて、前記MBS興味通知を送信する前記タイミングを決定することを含む
請求項11に記載の通信方法。
【請求項15】
ユーザ装置であって、
マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)セッションに関するMBS興味通知をネットワークノードに送信することが許可されるかを判定するための条件に関する情報を含むブロードキャストメッセージを前記ネットワークノードから受信する受信部と、
前記情報に基づいて、前記MBS興味通知の送信処理を行うか否かを判定する制御部と、を備える
ユーザ装置。
【請求項16】
ユーザ装置のためのチップセットであって、
マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)セッションに関するMBS興味通知をネットワークノードに送信することが許可されるかを判定するための条件に関する情報を含むブロードキャストメッセージを前記ネットワークノードから受信する処理と、
前記情報に基づいて、前記MBS興味通知の送信処理を行うか否かを判定する処理と、を実行する
チップセット。
【請求項17】
ユーザ装置に、
マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)セッションに関するMBS興味通知をネットワークノードに送信することが許可されるかを判定するための条件に関する情報を含むブロードキャストメッセージを前記ネットワークノードから受信する処理と、
前記情報に基づいて、前記MBS興味通知の送信処理を行うか否かを判定する処理と、を実行させる
プログラム。
【請求項18】
マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムであって、
MBSセッションに関するMBS興味通知をネットワークノードに送信することが許可されるかを判定するための条件に関する情報を含むブロードキャストメッセージを前記ネットワークノードから受信し、
前記情報に基づいて、前記MBS興味通知の送信処理を行うか否かを判定するユーザ装置を備える
移動通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動通信システムで用いる通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)規格において、第5世代(5G)の無線アクセス技術であるNR(New Radio)の技術仕様が規定されている。NRは、第4世代(4G)の無線アクセス技術であるLTE(Long Term Evolution)に比べて、高速・大容量かつ高信頼・低遅延といった特徴を有する。3GPPにおいて、5G/NRのマルチキャストブロードキャストサービス(MBS)の技術仕様を策定する議論が行われている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】3GPP寄書:RP-201038、“WID revision: NR Multicast and Broadcast Services”
【発明の概要】
【0004】
5G/NRのマルチキャストブロードキャストサービスは、4G/LTEのマルチキャストブロードキャストサービスよりも改善されたサービスを提供することが望まれる。
【0005】
そこで、本開示は、改善されたマルチキャストブロードキャストサービスを実現可能とする通信方法を提供することを目的とする。
【0006】
第1の態様に係る通信方法は、マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムにおいてユーザ装置が実行する通信方法であって、前記ユーザ装置が受信している又は受信に興味を持つMBSセッションに関するMBS興味通知を基地局に送信することが許可される条件を設定する設定情報を前記基地局から受信するステップと、前記設定情報により設定された前記条件が満たされたことに応じて前記MBS興味通知の送信処理を行うステップと、を有する。
【0007】
第2の態様に係る通信方法は、マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムにおいてユーザ装置が実行する通信方法であって、前記ユーザ装置が同時に受信可能な複数の周波数からなる組み合わせのうち前記ユーザ装置が受信している又は受信に興味を持つ1つ又は複数のMBS周波数を示す情報を含む第1のMBS興味通知を基地局に送信するステップと、キャリアアグリゲーション(CA)の設定に関するCA設定情報を前記基地局から受信するステップと、前記CA設定情報に応じて前記組み合わせが変更され、且つ、前記ユーザ装置が受信している又は受信に興味を持つMBS周波数が変更された場合、変更後のMBS周波数を示す情報を含む第2のMBS興味通知を前記基地局に送信するステップと、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成を示す図である。
図3】実施形態に係るgNB(基地局)の構成を示す図である。
図4】データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
図5】シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
図6】実施形態に係るMBSトラフィック配信の概要を示す図である。
図7】実施形態に係る配信モードを示す図である。
図8】実施形態に係るUEのMBS受信に関する内部処理の一例を示す図である。
図9】実施形態に係るUEのMBS受信に関する内部処理の他の例を示す図である。
図10】MIIの概要を説明するための図である。
図11】実施形態に係る移動通信システムの第1動作例を示す図である。
図12】実施形態に係る移動通信システムの第1動作例におけるトリガ設定情報を説明するための図である。
図13】実施形態に係る移動通信システムの第2動作例におけるトリガ種別情報(トリガ種別ID)と禁止時間設定情報(禁止タイマ値)とを説明するための図である。
図14】実施形態に係る移動通信システムの第2動作例を示す図である。
図15】実施形態に係る移動通信システムの第2動作例におけるトリガ種別情報(トリガ種別ID)と禁止時間設定情報(禁止タイマ値)とを説明するための図である。
図16】実施形態に係る移動通信システムの第2動作例におけるトリガ種別情報(トリガ種別ID)と禁止時間設定情報(禁止タイマ値)とを説明するための図である。
図17】実施形態に係る移動通信システムの第3動作例におけるトリガ種別情報(トリガ種別ID)と分散化情報とを説明するための図である。
図18】実施形態に係る移動通信システムの第3動作例におけるトリガ種別情報(トリガ種別ID)と分散化情報とを説明するための図である。
図19】実施形態に係る移動通信システムの第3動作例を示す図である。
図20】実施形態に係る移動通信システムの動作の変更例に係るUEの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照しながら、実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0010】
(移動通信システムの構成)
図1は、実施形態に係る移動通信システムの構成を示す図である。移動通信システム1は、3GPP規格の第5世代システム(5GS:5th Generation System)に準拠する。以下において、5GSを例に挙げて説明するが、移動通信システムにはLTE(Long Term Evolution)システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。また、移動通信システムには第6世代(6G)システムが少なくとも部分的に適用されてもよい。
【0011】
移動通信システム1は、ユーザ装置(UE:User Equipment)100と、5Gの無線アクセスネットワーク(NG-RAN:Next Generation Radio Access Network)10と、5Gのコアネットワーク(5GC:5G Core Network)20とを有する。以下において、NG-RAN10を単にRAN10と呼ぶことがある。また、5GC20を単にコアネットワーク(CN)20と呼ぶことがある。
【0012】
UE100は、移動可能な無線通信装置である。UE100は、ユーザにより利用される装置であればどのような装置であっても構わない。例えば、UE100は、携帯電話端末(スマートフォンを含む)やタブレット端末、ノートPC、通信モジュール(通信カード又はチップセットを含む)、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置(Vehicle UE)、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置(Aerial UE)である。
【0013】
NG-RAN10は、基地局(5Gシステムにおいて「gNB」と呼ばれる)200を含む。gNB200は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して相互に接続される。gNB200は、1又は複数のセルを管理する。gNB200は、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。gNB200は、無線リソース管理(RRM)機能、ユーザデータ(以下、単に「データ」という)のルーティング機能、モビリティ制御・スケジューリングのための測定制御機能等を有する。「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。「セル」は、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語としても用いられる。1つのセルは1つのキャリア周波数(以下、単に「周波数」と呼ぶ)に属する。
【0014】
なお、gNBがLTEのコアネットワークであるEPC(Evolved Packet Core)に接続することもできる。LTEの基地局が5GCに接続することもできる。LTEの基地局とgNBとが基地局間インターフェイスを介して接続されることもできる。
【0015】
5GC20は、AMF(Access and Mobility Management Function)及びUPF(User Plane Function)300を含む。AMFは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う。AMFは、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100のモビリティを管理する。UPFは、データの転送制御を行う。AMF及びUPFは、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してgNB200と接続される。
【0016】
図2は、実施形態に係るUE100(ユーザ装置)の構成を示す図である。UE100は、受信部110、送信部120、及び制御部130を備える。受信部110及び送信部120は、gNB200との無線通信を行う無線通信部を構成する。
【0017】
受信部110は、制御部130の制御下で各種の受信を行う。受信部110は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部130に出力する。
【0018】
送信部120は、制御部130の制御下で各種の送信を行う。送信部120は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部130が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0019】
制御部130は、UE100における各種の制御及び処理を行う。このような処理は、後述の各レイヤの処理を含む。制御部130は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPU(Central Processing Unit)とを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0020】
図3は、実施形態に係るgNB200(基地局)の構成を示す図である。gNB200は、送信部210、受信部220、制御部230、及びバックホール通信部240を備える。送信部210及び受信部220は、UE100との無線通信を行う無線通信部を構成する。バックホール通信部240は、CN20との通信を行うネットワーク通信部を構成する。
【0021】
送信部210は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部210は、アンテナ及び送信機を含む。送信機は、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換してアンテナから送信する。
【0022】
受信部220は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部220は、アンテナ及び受信機を含む。受信機は、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換して制御部230に出力する。
【0023】
制御部230は、gNB200における各種の制御及び処理を行う。このような処理は、後述の各レイヤの処理を含む。制御部230は、少なくとも1つのプロセッサ及び少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサと、CPUとを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0024】
バックホール通信部240は、基地局間インターフェイスであるXnインターフェイスを介して隣接基地局と接続される。バックホール通信部240は、基地局-コアネットワーク間インターフェイスであるNGインターフェイスを介してAMF/UPF300と接続される。なお、gNB200は、CU(Central Unit)とDU(Distributed Unit)とで構成され(すなわち、機能分割され)、両ユニット間がフロントホールインターフェイスであるF1インターフェイスで接続されてもよい。
【0025】
図4は、データを取り扱うユーザプレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0026】
ユーザプレーンの無線インターフェイスプロトコルは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、SDAP(Service Data Adaptation Protocol)レイヤとを有する。
【0027】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100のPHYレイヤとgNB200のPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。なお、UE100のPHYレイヤは、gNB200から物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)上で送信される下りリンク制御情報(DCI)を受信する。具体的には、UE100は、無線ネットワーク一時識別子(RNTI)を用いてPDCCHのブラインド復号を行い、復号に成功したDCIを自UE宛てのDCIとして取得する。gNB200から送信されるDCIには、RNTIによってスクランブルされたCRCパリティビットが付加されている。
【0028】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ:Hybrid Automatic Repeat reQuest)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。UE100のMACレイヤとgNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。gNB200のMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme))及びUE100への割当リソースブロックを決定する。
【0029】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとgNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0030】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化等を行う。
【0031】
SDAPレイヤは、コアネットワークがQoS(Quality of Service)制御を行う単位であるIPフローとAS(Access Stratum)がQoS制御を行う単位である無線ベアラとのマッピングを行う。なお、RANがEPCに接続される場合は、SDAPが無くてもよい。
【0032】
図5は、シグナリング(制御信号)を取り扱う制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックの構成を示す図である。
【0033】
制御プレーンの無線インターフェイスのプロトコルスタックは、図4に示したSDAPレイヤに代えて、RRC(Radio Resource Control)レイヤ及びNAS(Non-Access Stratum)レイヤを有する。
【0034】
UE100のRRCレイヤとgNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間にコネクション(RRCコネクション)がある場合、UE100はRRCコネクティッド状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間にコネクション(RRCコネクション)がない場合、UE100はRRCアイドル状態にある。UE100のRRCとgNB200のRRCとの間のコネクションがサスペンドされている場合、UE100はRRCインアクティブ状態にある。
【0035】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。UE100のNASレイヤとAMF300AのNASレイヤとの間では、NASシグナリングが伝送される。なお、UE100は、無線インターフェイスのプロトコル以外にアプリケーションレイヤ等を有する。また、NASレイヤよりも下位のレイヤをASレイヤと呼ぶ。
【0036】
(MBSの概要)
実施形態に係るMBSの概要について説明する。MBSは、NG-RAN10からUE100に対してブロードキャスト又はマルチキャスト、すなわち、1対多(PTM:Point To Multipoint)でのデータ送信を可能とするサービスである。MBSのユースケース(サービス種別)としては、公安通信、ミッションクリティカル通信、V2X(Vehicle to Everything)通信、IPv4又はIPv6マルチキャスト配信、IPTV(Internet protocol television)、グループ通信、及びソフトウェア配信等が想定される。
【0037】
ブロードキャストサービスは、高信頼性のQoSを必要としないアプリケーションのために、特定のサービスエリア内のすべてのUE100に対してサービスを提供する。ブロードキャストサービスに用いるMBSセッションをブロードキャストセッションと呼ぶ。
【0038】
マルチキャストサービスは、すべてのUE100に対してではなく、マルチキャストサービス(マルチキャストセッション)に参加しているUE100のグループに対してサービスを提供する。マルチキャストサービスに用いるMBSセッションをマルチキャストセッションと呼ぶ。マルチキャストサービスによれば、ブロードキャストサービスに比べて、無線効率の高い方法でUE100のグループに対して同じコンテンツを提供できる。
【0039】
図6は、実施形態に係るMBSトラフィック配信の概要を示す図である。
【0040】
MBSトラフィック(MBSデータ)は、単一のデータソース(アプリケーションサービスプロバイダ)から複数のUEに配信される。5Gコアネットワークである5G CN(5GC)20は、アプリケーションサービスプロバイダからMBSデータを受信し、MBSデータのコピーの作成(Replication)を行って配信する。
【0041】
5GC20の観点からは、5GC共有MBSトラフィック配信(5GC Shared MBS Traffic delivery)及び5GC個別MBSトラフィック配信(5GC Individual MBS Traffic delivery)の2つのマルチキャスト配信方法が可能である。
【0042】
5GC個別MBSトラフィック配信方法では、5GC20は、MBSデータパケットの単一コピーを受信し、UE100ごとのPDUセッションを介してそれらのMBSデータパケットの個別のコピーを個別のUE100に配信する。したがって、UE100ごとに1つのPDUセッションをマルチキャストセッションと関連付ける必要がある。
【0043】
5GC共有MBSトラフィック配信方法では、5GC20は、MBSデータパケットの単一コピーを受信し、それらのMBSパケットの単一コピーをRANノード(すなわち、gNB200)に配信する。gNB200は、MBSトンネル接続を介してMBSデータパケットを受信し、それらを1つ又は複数のUE100に配信する。
【0044】
RAN(5G RAN)10の観点からは、5GC共有MBSトラフィック配信方法における無線を介したMBSデータの送信には、PTP(Point-to-Point)及びPTM(Point-to-Multipoint)の2つの配信方法が可能である。PTPはユニキャストを意味し、PTMはマルチキャスト及びブロードキャストを意味する。
【0045】
PTP配信方法では、gNB200は、MBSデータパケットの個別のコピーを無線で個々のUE100に配信する。他方、PTM配信方法では、gNB200は、MBSデータパケットの単一コピーを無線でUE100のグループに配信する。gNB200は、1つのUE100に対するMBSデータの配信方法としてPTM及びPTPのどちらを用いるかを動的に決定できる。
【0046】
PTP配信方法及びPTM配信方法は主としてユーザプレーンに関するものである。MBSデータ配信の制御モードとしては、第1配信モード及び第2配信モードの2つの配信モードがある。
【0047】
図7は、実施形態に係る配信モードを示す図である。
【0048】
第1配信モード(Delivery mode 1:DM1)は、RRCコネクティッド状態のUE100が利用できる配信モードであって、高QoS要件のための配信モードである。第1配信モードは、MBSセッションのうちマルチキャストセッションに用いられる。但し、第1配信モードがブロードキャストセッションに用いられてもよい。第1配信モードは、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態のUE100も利用可能であってもよい。
【0049】
第1配信モードにおけるMBS受信の設定は、UE固有(UE-dedicated)シグナリングにより行われる。例えば、第1配信モードにおけるMBS受信の設定は、gNB200からUE100にユニキャストで送信されるRRCメッセージであるRRC Reconfigurationメッセージ(又はRRC Releaseメッセージ)により行われる。
【0050】
MBS受信の設定は、MBSデータを伝送するMBSトラフィックチャネルの設定に関するMBSトラフィックチャネル設定情報(以下、「MTCH設定情報」と呼ぶ)を含む。MTCH設定情報は、MBSセッションに関するMBSセッション情報(後述のMBSセッション識別子を含む)と、このMBSセッションに対応するMBSトラフィックチャネルのスケジューリング情報とを含む。MBSトラフィックチャネルのスケジューリング情報は、MBSトラフィックチャネルの間欠受信(DRX)設定を含んでもよい。間欠受信設定は、オン期間(On Duration:受信期間)を定義するタイマ値(On Duration Timer)、オン期間を延長するタイマ値(Inactivity Timer)、スケジューリング間隔もしくはDRXサイクル(Scheduling Period、DRX Cycle)、スケジューリングもしくはDRXサイクルの開始サブフレームのオフセット値(Start Offset、DRX Cycle Offset)、オン期間タイマの開始遅延スロット値(Slot Offset)、再送時までの最大時間を定義するタイマ値(Retransmission Timer)、HARQ再送のDL割り当てまでの最小間隔を定義するタイマ値(HARQ RTT Timer)のいずれか一つ以上のパラメータを含んでもよい。
【0051】
なお、MBSトラフィックチャネルは論理チャネルの一種であって、MTCHと呼ばれることがある。MBSトラフィックチャネルは、トランスポートチャネルの一種である下りリンク共有チャネル(DL-SCH:Down Link―Shared CHannel)にマッピングされる。
【0052】
第2配信モード(Delivery mode 2:DM2)は、RRCコネクティッド状態のUE100だけではなく、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態のUE100が利用できる配信モードであって、低QoS要件のための配信モードである。第2配信モードは、MBSセッションのうちブロードキャストセッションに用いられる。但し、第2配信モードは、マルチキャストセッションにも適用可能であってもよい。
【0053】
第2配信モードにおけるMBS受信の設定は、ブロードキャストシグナリングにより行われる。例えば、第2配信モードにおけるMBS受信の設定は、gNB200からUE100にブロードキャストで送信される論理チャネル、例えば、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH)及び/又はマルチキャスト制御チャネル(MCCH)により行われる。UE100は、例えば、技術仕様で予め規定された専用のRNTIを用いてBCCH及びMCCHを受信できる。BCCH受信用のRNTIがSI-RNTIであって、MCCH受信用のRNTIがMCCH-RNTIであってもよい。
【0054】
第2配信モードにおいて、UE100は、次の3つの手順でMBSデータを受信してもよい。第1に、UE100は、gNB200からBCCH上で伝送されるSIB(MBS SIB)によりMCCH設定情報を受信する。第2に、UE100は、MCCH設定情報に基づいてgNB200からMCCHを受信する。MCCHは、MTCH設定情報を伝送する。第3に、UE100は、MTCH設定情報に基づいて、MTCH(MBSデータ)を受信する。以下において、MTCH設定情報及び/又はMCCH設定情報をMBS受信設定と呼ぶことがある。
【0055】
第1配信モード及び第2配信モードにおいて、UE100は、gNB200から割り当てられるグループRNTI(G-RNTI)を用いてMTCHを受信してもよい。G-RNTIは、MTCH受信用RNTIに相当する。G-RNTIは、MBS受信設定(MTCH設定情報)に含まれていてもよい。
【0056】
なお、ネットワークは、MBSセッションごとに異なるMBSサービスを提供できる。MBSセッションは、TMGI(Temporary Mobile Group Identity)、ソーススペシフィックIPマルチキャストアドレス(アプリケーション機能やアプリケーションサーバ等のソースユニキャストIPアドレスと、宛先アドレスを示すIPマルチキャストアドレスとから成る)、セッション識別子、及びG-RNTIのうち少なくとも1つにより識別される。TMGI、ソーススペシフィックIPマルチキャストアドレス、及びセッション識別子の少なくとも1つをMBSセッション識別子と呼ぶ。TMGI、ソーススペシフィックIPマルチキャストアドレス、セッション識別子、及びG-RNTIを総括してMBSセッション情報と呼ぶ。
【0057】
図8は、実施形態に係るUE100のMBS受信に関する内部処理の一例を示す図である。図9は、実施形態に係るUE100のMBS受信に関する内部処理の他の例を示す図である。
【0058】
1つのMBS無線ベアラ(MRB)は、マルチキャストセッション又はブロードキャストセッションを伝送する1つの無線ベアラである。すなわち、MRBにマルチキャストセッションが対応付けられる場合と、MRBにブロードキャストセッションが対応付けられる場合とがある。
【0059】
MRB及び対応する論理チャネル(例えば、MTCH)は、RRCシグナリングによってgNB200からUE100に設定される。MRBの設定手順は、データ無線ベアラ(DRB)の設定手順と分離されていてもよい。RRCシグナリングでは、1つのMRBを、「PTMのみ(PTM only)」、「PTPのみ(PTP only)」、又は「PTM及びPTPの両方(both PTM and PTP)」で設定できる。このようなMRBの種別はRRCシグナリングにより変更できる。
【0060】
図8において、MRB#1にはマルチキャストセッション及び専用トラフィックチャネル(DTCH)が対応付けられ、MRB#2にはマルチキャストセッション及びMTCH#1が対応付けられ、MRB#3にはブロードキャストセッション及びMTCH#2が対応付けられる一例を示している。すなわち、MRB#1はPTPのみ(PTP only)のMRBであり、MRB#2はPTMのみ(PTM only)のMRBであり、MRB#3はPTMのみ(PTM only)のMRBである。なお、DTCHは、セルRNTI(C-RNTI)を用いてスケジューリングされる。MTCHは、G-RNTIを用いてスケジューリングされる。
【0061】
UE100のPHYレイヤは、物理チャネルの1つであるPDSCH上で受信したユーザデータ(受信データ)を処理し、トランスポートチャネルの1つである下りリンク共有チャネル(DL-SCH)に流す。UE100のMACレイヤ(MACエンティティ)は、DL-SCH上で受信したデータを処理し、受信データに含まれるヘッダ(MACヘッダ)に含まれる論理チャネル識別子(LCID)に基づいて、当該受信データを対応する論理チャネル(対応するRLCエンティティ)に流す。
【0062】
図9において、マルチキャストセッションと対応付けられるMRBに、DTCH及びMTCHが対応付けられる一例を示している。具体的には、1つのMRBが2つのレグに分割(スプリット)され、一方のレグがDTCHと対応付けられ、他方のレグがMTCHと対応付けられている。当該2つのレグは、PDCPレイヤ(PDCPエンティティ)において結合される。すなわち、当該MRBは、PTM及びPTPの両方(both PTM and PTP)のMRBである。このようなMRBは、スプリットMRBと呼ばれることがある。
【0063】
(MBS興味通知の概要)
実施形態に係るMBS興味通知(MII:MBS Interest Indication)の概要について説明する。図10は、MIIの概要を説明するための図である。
【0064】
UE100は、RRCコネクティッド状態(ステップS1)においてMBSセッションを受信している又は受信に興味を持つ(ステップS2)。
【0065】
UE100は、MIIの送信トリガ(トリガイベント)の発生(ステップS3)に応じて、MIIの送信処理(すなわち、MIIプロシージャ)を行う。具体的には、UE100は、MIIを生成し(ステップS4)、MIIをサービングセル(gNB200)に送信する(ステップS5)。MIIは、RRCメッセージの一種であるUEAssistanceInformationメッセージにより送信されてもよい。また、当該MIIは、新しく定義されるメッセージ(MIIメッセージ)により送信されてもよい。
【0066】
例えば、MIIの送信トリガ(トリガイベント)の種別としては、接続確立が成功したとき、ブロードキャストサービスエリアに入った又は出たとき、MBSブロードキャストセッションの開始又は停止時、MBSの興味の変更時、MBSブロードキャスト受信とユニキャスト受信との間の優先度の変更時、MBSのサービス継続性のためのSIBをブロードキャストするセル(プライマリセル)への変更時等がある。
【0067】
MIIは、UE100が受信している又は受信に興味を持つMBS周波数のリストであるMBS周波数リストと、リストされているすべてのMBS周波数の受信とユニキャストベアラの受信とのどちらを優先するかの優先度を示す優先度情報、UE100が受信している又は受信に興味を持つMBSセッションのリストであるTMGIリストと、のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0068】
なお、MIIの送信は、MBSのサービス継続性のためのSIB(以下、「SIBx1」と呼ぶ)をブロードキャストするサービングセル、すなわち、MBSのサービス継続性のための機能を有するサービングセルのみに限定されてもよい。UE100は、サービングセルがSIBx1を送信する場合に限り、当該サービングセルに対してMIIを送信してもよい。
【0069】
(移動通信システムの動作)
実施形態に係る移動通信システム1の動作について説明する。
【0070】
UE100から多数のMIIが送信されると、ネットワークの輻輳を引き起こす懸念がある。例えば、多くのUE100が同時期にMIIを送信したり、各UE100が頻繁にMIIを送信したりすると、ネットワークの輻輳を引き起こし得る。
【0071】
多くのUE100が同時期にMIIを送信するシナリオとして、「MBSブロードキャストセッションの開始又は停止」をトリガ条件(トリガイベント)として多くのUE100が同時期にMIIを送信するシナリオが想定される。これは、MBSブロードキャストセッションに興味のあるすべてのUE100に共通のイベントであるためである。このようなシナリオを考慮すると、例えばトリガ条件の種別が「セッション開始」の場合において、時間方向及び/又は周波数方向にMII送信を分散させることが考えられる。また、例えばトリガ条件の種別が「セッション停止」の場合において、MII送信をオフすることが考えられる。
【0072】
各UE100が頻繁にMIIを送信するシナリオとして、例えば、ユーザの好みに応じてUE100がその興味を頻繁に変更するシナリオが想定される。この問題を引き起こす可能性のあるトリガ条件は、「興味の変更」及び「MBSブロードキャスト受信とユニキャスト受信の間の優先度の変更」であり得る。このようなシナリオを考慮すると、頻繁なMII送信を禁止するための禁止タイマをUE100に設定することが考えられる。
【0073】
実施形態に係る移動通信システム1において、gNB200は、UE100が受信している又は受信に興味を持つMBSセッションに関するMIIをgNB200に送信することが許可される条件を設定する設定情報をUE100に送信する。UE100は、当該設定情報をgNB200(サービングセル)から受信する。UE100は、当該設定情報により設定された条件が満たされたことに応じてMIIの送信処理を行う。
【0074】
このような動作によれば、設定情報によりMIIの送信をきめ細かくgNB200が制御可能になる。そのため、多くのUE100が同時期にMIIを送信したり、各UE100が頻繁にMIIを送信したりすることを抑制可能になる。その結果、MIIに起因するネットワークの輻輳を回避できる。なお、MIIの送信処理には、MII送信のためのスケジューリングリクエスト(SR)の送信及び/又はバッファ状態報告(BSR)の送信が含まれていてもよい。
【0075】
なお、gNB200は、ブロードキャストメッセージであるSIB(例えば、SIBx1)、又はUE専用メッセージであるRRC Reconfigurationにより設定情報をUE100に送信してもよい。gNB200は、UE100をRRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態に遷移させるUE専用メッセージであるRRC Releaseにより設定情報をUE100に送信してもよい。UE100は、設定情報を含むメッセージをgNB200から受信し、受信した設定情報を記憶する。
【0076】
以下において、実施形態に係る移動通信システム1の第1動作例乃至第3動作例を説明する。第1動作例乃至第3動作例は、別個独立して実施してもよい。また、当該第1動作例乃至当該第3動作例は、2以上の動作例を組み合わせて実施してもよい。
【0077】
(1)第1動作例
本動作例において、gNB200からUE100に送信される設定情報は、MIIの送信をトリガするトリガ条件として規定された複数種別のトリガ条件のうちUE100において適用するトリガ条件の種別を設定するトリガ設定情報を含む。UE100は、複数種別のトリガ条件のうちトリガ設定情報により設定された種別のトリガ条件が満たされたことに応じてMIIの送信処理をトリガする。このように、gNB200は、各トリガ条件についてオン(イネーブル)/オフ(ディセーブル)制御を行う。例えば、gNB200の負荷が高まっている状況下において、特定のトリガ条件種別についてMII送信をオフすることでネットワーク輻輳を軽減できる。
【0078】
図11は、実施形態に係る移動通信システム1の第1動作例を示す図である。ここでは、図10の動作との相違点について主として説明する。
【0079】
図11に示すように、ステップS11において、gNB200は、UE100において適用するトリガ条件の種別を設定するトリガ設定情報を含む設定情報をUE100に送信する。UE100は、トリガ設定情報を含む設定情報を受信し、受信した設定情報を記憶する。
【0080】
ステップS12において、UE100は、ステップS11で設定された種別のトリガ条件が満たされたか否かを判定する。
【0081】
ステップS11で設定された種別のトリガ条件が満たされたと判定した場合(ステップS12:YES)、ステップS4において、UE100は、MIIを生成する。そして、ステップS5において、UE100は、MIIをgNB200に送信する。gNB200は、MIIを受信する。
【0082】
一方、ステップS11で設定された種別のトリガ条件が満たされないと判定した場合(ステップS12:NO)、MII送信処理(ステップS4及びS5)を行わない。なお、ステップS12で「NO」の場合、処理が再度ステップS12に戻るとしてもよい。
【0083】
図12は、本動作例におけるトリガ設定情報を説明するための図である。
【0084】
図12に示すように、各トリガ条件種別に識別子が付与されている。図12において、トリガ種別ID“1”が「接続確立の成功」を示し、トリガ種別ID“2”が「ブロードキャストサービスエリアに入った又は出た」を示し、トリガ種別ID“3”が「MBSブロードキャストセッションの開始又は停止」を示し、トリガ種別ID“4”が「MBSの興味の変更」を示し、トリガ種別ID“5”が「MBSブロードキャスト受信とユニキャスト受信との間の優先度の変更」を示し、トリガ種別ID“6”が「SIBx1をブロードキャストするプライマリセルへの変更」を示す一例を示している。なお、トリガ種別IDとトリガ種別の内容との対応関係は図12に示す例に限定されず、トリガ種別の内容も図12に示す例に限定されない。例えば、「MBSブロードキャストセッションの開始」及び「MBSブロードキャストセッションの停止」に対して互いに異なるIDが付与されてもよい。
【0085】
トリガ設定情報は、UE100において適用するトリガ条件の種別を示すトリガ種別IDのリストであってもよい。或いは、トリガ設定情報は、UE100において適用しないトリガ条件の種別を示すトリガ種別IDのリストであってもよい。
【0086】
トリガ設定情報は、UE100において適用する又は適用しないトリガ条件の種別をビット位置で示すビット列であってもよい。例えば、トリガ種別ID“1”乃至“6”と対応付けられた6ビットのビット列を規定し、UE100において適用するトリガ条件の種別をTrue(1)、UE100において適用しないトリガ条件の種別をFalse(0)で表す。
【0087】
具体例を挙げると、トリガ種別ID“1”、“3”、“5”のみを適用する場合、当該ビット列は、“101010”になる。その場合、UE100は、トリガ種別ID“1”、“3”、“5”が示す種別のトリガ条件が満たされた場合に限り、MII送信処理を行う。すなわち、UE100は、トリガ種別ID“2”、“4”、“6”が示す種別のトリガ条件が満たされても、MII送信処理を行わない。なお、トリガ種別IDを“1”から採番する例を示したが、“0”から採番されてもよい。また、ビット列“101010”の例ではMSB(Most Significant Bit)がトリガ種別ID“1”に対応し、LSB(Least Significant Bit)がトリガ種別ID“6”に対応する例を示したが、当該対応関係は逆であってもよい。すなわち、当該ビット列は“010101”であり、LSBがトリガ種別ID“1”に対応し、MSBがトリガ種別ID“6”に対応する。
【0088】
トリガ設定情報は、UE100において適用する又は適用しないトリガ条件種別の組み合わせを示す組み合わせIDにより構成されてもよい。例えば、UE100において適用する又は適用しないトリガ条件種別の取り得る組み合わせごとにIDを規定したテーブルをUE100及びgNB200で共有し、このような組み合わせIDにより、UE100において適用する又は適用しないトリガ条件の種別を指定してもよい。
【0089】
(2)第2動作例
本動作例において、gNB200からUE100に送信される設定情報は、n回目(n≧1)のMIIを送信してからn+1回目のMIIの送信を可能とするまでの禁止時間を設定する禁止時間設定情報(いわゆる、禁止タイマ値)を含む。UE100は、前回のMIIを送信してから、禁止時間設定情報により設定された禁止時間が経過した(すなわち、禁止タイマが満了した)ことに応じて、今回のMIIの送信を行う。これにより、UE100による頻繁なMII送信を抑制できる。具体的には、禁止時間中(すなわち、禁止タイマの動作中)はMIIの送信が禁止されるため、例えばMBS興味が頻繁に変更されるUE100であっても頻繁なMII送信を行わないように制御できる。
【0090】
禁止タイマは、特定のトリガ条件のみに対応付けられていてもよい。すなわち、UE100は、禁止タイマをトリガ条件ごとに管理してもよい。その場合、gNB200からUE100に送信される設定情報は、禁止時間設定情報と対応付けられたトリガ種別情報をさらに含んでもよい。トリガ種別情報は、MIIの送信をトリガするトリガ条件として規定された複数種別のトリガ条件のうち禁止時間を適用するトリガ条件の種別を示す情報である。
【0091】
例えば、図13に示すように、gNB200からUE100に送信される設定情報は、トリガ種別情報(トリガ種別ID)と禁止時間設定情報(禁止タイマ値)とのセットを複数含む。図13において、トリガ種別ID“1”について禁止タイマ値“A”が設定され、トリガ種別ID“2”について禁止タイマ値“B”が設定され、トリガ種別ID“3”について禁止タイマ値“C”が設定される一例を示している。但し、すべてのトリガ種別について禁止タイマ値が設定されずに、一部のトリガ種別についてのみ禁止タイマ値が設定されてもよい。また、各トリガ種別IDについて独立(個別)に禁止タイマ値が設定されずに、複数のトリガ種別IDについて共通の禁止タイマ値が設定されてもよい。
【0092】
トリガ条件と禁止タイマ値とを対応付ける場合、UE100は、トリガ条件ごとに禁止タイマを管理する。例えば、UE100は、トリガ種別情報により示される種別のトリガ条件(以下、「特定のトリガ条件」と呼ぶ)が満たされたことに応じて前回のMIIを送信した後、当該特定のトリガ条件と対応付けられた禁止時間が経過(すなわち、禁止タイマが満了)し、且つ、当該特定のトリガ条件が満たされたことに応じて、今回のMIIの送信を行う。
【0093】
但し、UE100は、トリガ条件と禁止タイマ値とを対応付けずに、すべてのトリガ種別について共通の禁止タイマを管理してもよい。その場合、UE100は、トリガ条件にかかわらず、前回のMIIを送信してから、禁止時間設定情報により設定された禁止時間が経過した(すなわち、禁止タイマが満了した)ことに応じて、今回のMIIの送信を行う。
【0094】
図14は、実施形態に係る移動通信システム1の第2動作例を示す図である。ここでは、図10の動作との相違点について主として説明する。また、トリガ条件とタイマ値とを対応付けるケースを例に挙げて説明する。
【0095】
ステップS21において、gNB200は、禁止時間設定情報(禁止タイマ値)とトリガ種別情報とを含む設定情報をUE100に送信する。UE100は、禁止時間設定情報とトリガ種別情報とを含む設定情報を受信し、受信した設定情報を記憶する。
【0096】
ここで、複数のトリガ条件に対して複数又は単一の禁止タイマ値が設定されてもよい。例えば、共通の禁止タイマを用いる場合、図15に示すように、各トリガ条件にタイマ適用/非適用の識別子が対応付けられ、禁止タイマ値は単一値が設定されてもよい。もしくは、図16に示すように、各トリガ条件には、どの禁止タイマ値が割り当てられるのかを示す識別子(禁止タイマID)が対応付けられており、複数の禁止タイマ値のそれぞれが禁止タイマIDと対応付けられていてもよい。
【0097】
ステップS3において、UE100にて、MIIの送信トリガイベントが発生する。ここで発生したトリガの種別を以下において「特定のトリガ条件」と呼ぶ。特定のトリガ条件は、例えば「MBS興味が変わった」ことであってもよい。
【0098】
ステップS4において、UE100は、MIIを生成する。
【0099】
ステップS5において、UE100は、MIIをサービングセル(gNB200)に送信する。gNB200は、UE100からMIIを受信する。
【0100】
ステップS22において、UE100は、特定のトリガ条件に禁止タイマ値が対応付けられている場合、特定のトリガ条件と対応付けられた禁止タイマ値をセットした禁止タイマを開始(始動)する。
【0101】
ステップS23において、UE100にて、MIIの送信トリガイベントが発生する。
【0102】
ステップS24において、UE100は、ステップS23で発生した送信トリガイベントが特定のトリガ条件(例えば、「MBS興味が変わった」)に相当するか否かを判定する。ステップS23で発生した送信トリガイベントが特定のトリガ条件に相当しない場合(ステップS24:NO)、例えば、「ブロードキャストセッションの開始」である場合、UE100は、MII送信処理(ステップS27及びS28)を行う。
【0103】
一方、ステップS23で発生した送信トリガイベントが特定のトリガ条件に相当する場合(ステップS24:YES)、ステップS25において、UE100は、特定のトリガ条件と対応付けられた禁止タイマが満了したか否かを判定する。
【0104】
当該禁止タイマが満了していない、すなわち、当該禁止タイマが動作中(running)である場合(ステップS25:NO)、ステップS26において、UE100は、ステップS23で発生した送信トリガイベントを無視し、MII送信処理を行わない。或いは、ステップS26において、UE100は、ステップS23で発生した送信トリガイベントに応じたMII送信を、禁止タイマが満了するまで保留する。
【0105】
一方、当該禁止タイマが満了している場合(ステップS25:YES)、ステップS27及びS28において、UE100は、ステップS23で発生した送信トリガイベントに応じたMII送信処理を行う。なお、UE100は、タイマが満了した時、保留したトリガ条件が存在する場合は、当該トリガ条件によりMIIを送信してもよい。
【0106】
本動作例において、UE100は、RRCアイドル状態又はRRCインアクティブ状態に遷移した場合、禁止タイマを停止してもよい。そのような停止を行うか又はタイマ動作を継続するかは、gNB200から(トリガ条件ごとに)UE100に設定されてもよい。
【0107】
(3)第3動作例
本動作例において、設定情報は、複数のUE100による複数のMIIの送信を時間方向及び/又は周波数方向に分散させるための分散化情報を含む。UE100は、分散化情報に基づいて定められるタイミング及び/又は周波数においてMIIを送信する。複数のUE100による複数のMIIの送信を時間方向及び/又は周波数方向に分散させることにより、MIIに起因してネットワークの輻輳が発生することを抑制できる。
【0108】
分散化情報は、特定のトリガ条件のみに対応付けられていてもよい。すなわち、UE100は、分散化情報に応じたMII送信制御をトリガ条件ごとに管理してもよい。その場合、gNB200からUE100に送信される設定情報は、分散化情報と対応付けられたトリガ種別情報をさらに含んでもよい。UE100は、トリガ種別情報により示される種別のトリガ条件が満たされたことに応じて、分散化情報に基づいて定められるタイミング及び/又は周波数においてMIIを送信してもよい。
【0109】
トリガ条件と分散化情報とを対応付ける方法は、上述の第2動作例と同様の方法を用いることができる。例えば、共通の分散化情報を用いる場合、図17に示すように、各トリガ条件に分散化情報適用/非適用の識別子が対応付けられ、分散化情報は単一値が設定されてもよい。或いは、図18に示すように、各トリガ条件には、どの分散化情報が割り当てられるのかを示す識別子(分散化情報ID)が対応付けられており、複数の分散化情報のそれぞれが分散化情報IDと対応付けられていてもよい。
【0110】
但し、UE100は、トリガ条件と分散化情報とを対応付けずに、すべてのトリガ種別について共通の分散化情報を適用してもよい。その場合、UE100は、トリガ条件にかかわらず、各MII送信について、分散化情報に基づいてMIIを送信するタイミング及び/又は周波数を決定する。
【0111】
図19は、実施形態に係る移動通信システム1の第3動作例を示す図である。ここでは、図10の動作との相違点について主として説明する。また、トリガ条件と分散化情報とを対応付けるケースを例に挙げて説明する。
【0112】
ステップS31において、gNB200は、分散化情報とトリガ種別情報とを含む設定情報をUE100に送信する。UE100は、分散化情報とトリガ種別情報とを含む設定情報を受信し、受信した設定情報を記憶する。
【0113】
ステップS3において、UE100にて、MIIの送信トリガイベントが発生する。ここで発生したトリガの種別を以下において「特定のトリガ条件」と呼ぶ。
【0114】
ステップS32において、UE100は、特定のトリガ条件に分散化情報が対応付けられている場合、特定のトリガ条件と対応付けられた分散化情報に基づいて、MIIを送信するタイミング及び/又は周波数を決定する。
【0115】
ステップS4において、UE100は、MIIを生成する。なお、ステップS4は、ステップS32の前であってもよい。
【0116】
ステップS5において、UE100は、ステップS32で決定したタイミング及び/又は周波数において、MIIをサービングセル(gNB200)に送信する。gNB200は、UE100からMIIを受信する。
【0117】
(3.1)周波数方向の分散化の例
分散化情報は、UE100がMIIを送信するセルを設定するセル情報を含んでもよい。これにより、MIIの送信を周波数方向に分散させることが可能になる。例えば、gNB200は、キャリアアグリゲーション(CA)を設定しているUE100に対して、分散化情報(セル情報)により、プライマリセル(PCell)又はセカンダリセル(SCell)でMIIを送信することを指示する。UE100は、設定されたセルに対してMIIを送信する。
【0118】
セル情報は、UE100がMIIを送信するセルを示すセルIDであってもよい。SCellに連番(設定の順番)が割り当てられている場合、セル情報は、UE100がMIIを送信するSCellを示すSCell番号であってもよい。セル情報は、特定のセルを指定せずに、単にSCellであればどれでもよいという指示であってもよい。UE100は、当該指示が無い場合、PCellでMIIを送信すると判断してもよい。なお、セル情報は、セルIDに代えて周波数情報(例えばARFCN)であってもよく、セルIDと周波数情報との組み合わせであってもよい。
【0119】
なお、CAが設定されていたら、必ずSCellでのみMII送信が許可されるというルールが規定されてもよい。その場合、CAが設定されたUE100は、MIIをPCellで送信せずに、MIIをSCellで送信する。このようなルールが存在する前提下において、gNB200がUE100にCAを設定するCA設定情報は、分散化情報の一種であるとみなすことができる。
【0120】
(3.2)時間方向の分散化の例
分散化情報は、UE100がMIIを送信するタイミングを制御するタイミング制御情報を含んでもよい。これにより、MIIの送信を時間方向に分散させることが可能になる。タイミング制御情報は、UE間でMII送信タイミングを時間方向に分散させるための処理をオン(イネーブル)/オフ(ディセーブル)することを設定する情報であってもよいし、当該処理に用いるパラメータ(例えば閾値等)を含んでもよい。
【0121】
(3.2.1)時間方向の分散化の第1パターン
UE100は、タイミング制御情報と、UE100に固有の識別子(以下、「UE-ID」と呼ぶ)とに基づいて、MIIを送信するタイミングを決定してもよい。或いは、UE100は、タイミング制御情報と、UE100で発生させた乱数とに基づいて、MIIを送信するタイミングを決定してもよい。これにより、より確実に、複数のUE100が複数のMIIを送信するタイミングを時間方向に分散させることが可能になる。
【0122】
例えば、UE100は、
[UE-ID] mod [フレーム番号]=0
を満たすフレームでMIIを送信することが許可される。ここで、
【0123】
[UE-ID]=[5G-S-TMSI] mod [フレーム上限値]
としてもよい。また、[フレーム上限値]=10(subframeの場合)又は1024(radio frameの場合)としてもよい。
【0124】
或いは、UE100は、閾値(0~1)を設定し、乱数を生成し、この乱数が閾値以上(又は以下)の場合に、送信が許可される。但し、試行回数ごとにMIIを送信するUE100の母数が減少していく。MIIを送信可能になる確率が一定であると、試行回数ごとにMIIを送信するUE100の数も減少していくため、MIIの送信遅延が必要以上に大きくなり得る。そのため、試行回数の増加につれて、MIIを送信可能になる確率を上げるように制御してもよい。具体的には、試行回数ごとにMIIを送信するUE100の数を一定に保つように、閾値によるスケーリングを行ってもよい。具体的には、
【0125】
[適用する閾値]=[初期閾値]+[スケーリング値]×([試行回数]-1)
とする。例えば、[初期閾値]=0.5、[スケーリング値]=0.1、3回目の試行の場合、[適用する閾値]は、0.5+0.1×(3-1)=0.7になる。ここで、[初期閾値]は、gNB200から設定された閾値を意味する。
【0126】
或いは、
[適用する閾値]=[前回適用した閾値]+[スケーリング値]
としてもよい。
【0127】
1回目の試行のみ、
[前回適用した閾値]=[初期閾値]-[スケーリング値]
としてもよい。
【0128】
(3.2.2)時間方向の分散化の第2パターン
UE100は、タイミング制御情報と、UE100が把握しているMBSセッション開始タイミングとに基づいて、MIIを送信するタイミングを決定してもよい。UE100は、MBSセッション開始タイミングを、例えば、上位レイヤ情報であるUSD(User Service Description)により把握できる。具体的には、USDには、セッション開始タイミング(時刻など)の情報が含まれているものとする。
【0129】
第1に、UE100は、USDから興味のあるTMGI及び当該TMGIのセッション開始タイミングを読み出す。
【0130】
第2に、UE100は、当該セッション開始タイミングよりも前に、適当なタイミングでMIIを送信する。
【0131】
或いは、gNB200は、UE100に対して、当該セッション開始タイミングを起点に、どれくらい前にMIIの送信を開始するのかを指示するタイミング制御情報を送信してもよい。このようなタイミング制御情報は、どれくらい前にMIIの送信を開始するのかの情報であって、例えば、Radio frame、Subframe、Hyper frameで表現されてもよい。また、このようなタイミング制御情報は、時間情報(秒、分、時間など)により表現されてもよい。
【0132】
UE100は、当該指示に従い、次の方法でMIIの送信可否を判断してもよい。例えば、UE100は、
【0133】
[UE-ID] mod [経過時間] = 0
を満たす経過時間にてMIIの送信が許可される。ここで、[経過時間]は、例えば、秒、分であってもよいし、Radio frameなどでもよい。なお、
【0134】
[UE-ID]=[5G-S-TMSI] mod [どれくらい前かの情報]
としてもよい。
【0135】
このようなUE-IDを用いる方法に代えて、上述のような時間方向に分散させる方法を用いてもよい。その場合、[どれくらい前]の時点から、時間方向に分散させる方法を適用する。また、gNB200は、UE100に対して、MII送信を許可するタイミングを示すタイミング情報を通知してもよい。当該タイミング情報は、無線フレームやサブフレームのパターン及び/又はリファレンス点(例えば開始無線フレーム)であってもよい。当該タイミング情報は、前記トリガ種別と紐づいていてもよい。
【0136】
(移動通信システムの動作の変更例)
実施形態に係る移動通信システムの動作の変更例について説明する。
【0137】
UE100にキャリアアグリゲーション(CA)が設定される場合、CAの状況に応じて、UE100が受信している又は受信に興味を持つ又は受信が可能なMBS周波数が変更され得る。この場合、以前のMIIでgNB200に通知したMBS周波数リストから変化が生じた場合、興味のある最新のMBS周波数をgNB200に通知することが考えられる。
【0138】
図20は、本変更例に係るUE100の動作を示す図である。
【0139】
ステップS41において、UE100は、UE100が同時に受信可能な複数の周波数からなる組み合わせのうちUE100が受信している又は受信に興味を持つ1つ又は複数のMBS周波数を示す情報を含む第1のMIIをgNB200に送信する。具体的には、UE100は、同時受信可能な興味のあるMBS周波数からなるMBS周波数リストを含む第1のMIIを送信する。
【0140】
ステップS42において、UE100は、キャリアアグリゲーション(CA)の設定に関するCA設定情報をgNB200から受信する。CA設定情報は、例えばRRC ReconfigurationによりgNB200からUE100に送信される。CA設定情報は、CAの設定、設定変更、又は設定解除の情報である。
【0141】
UE100は、CA設定情報に応じて組み合わせが変更され、且つ、UE100が受信している又は受信に興味を持つMBS周波数が変更された場合(ステップS43:YES)、ステップS44において、変更後のMBS周波数を示す情報を含む第2のMIIをgNB200に送信する。具体的には、UE100は、興味のある周波数を再評価し、現在のCA設定により同時受信可能な周波数に変化があるか否かを確認する。変化があった場合、UE100は、同時受信可能な興味のある周波数を特定し、当該特定した周波数を、MIIの周波数情報にセットし、MIIを送信する。
【0142】
このように、UE100は、CA設定(変更)時、前回MIIで報告した同時受信可能な興味のある周波数情報に変更があった場合、MIIを送信する。ここで、具体例を挙げて説明する。第1に、UE100は、興味のあるMBSが周波数F4及び周波数F5で提供されており、MIIでF5に興味があるとgNB200に通知済みであるものとする。ここで、UE100は、同時受信可能な周波数の組み合わせとして、次の2つの組み合わせ(Band combination)をサポートしているものとする。
【0143】
・Band combination#1:F1、F2、F3、F4
・Band combination#2:F1、F2、F4、F5
【0144】
また、UE100にF1及びF2のCAが設定されているものとする。その場合、Band combination#1及びBand combination#2の両方が使える。
【0145】
第3に、UE100はCA設定によりF3のSCellが追加される。その結果、UE100は、Band combination#1しか使えなくなる。第4に、UE100の興味がある周波数がF5からF4に変わる。第5に、UE100は、F4をMIIで通知するべきと判断し、F4をMIIでgNB200に通知する。
【0146】
(その他の実施形態)
上述の各動作フローは、別個独立に実施する場合に限らず、2以上の動作フローを組み合わせて実施可能である。例えば、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローに追加してもよいし、1つの動作フローの一部のステップを他の動作フローの一部のステップと置換してもよい。
【0147】
上述の実施形態及び実施例において、基地局がNR基地局(gNB)である一例について説明したが基地局がLTE基地局(eNB)又は6G基地局であってもよい。また、基地局は、IAB(Integrated Access and Backhaul)ノード等の中継ノードであってもよい。基地局は、IABノードのDUであってもよい。また、UE100は、IABノードのMT(Mobile Termination)であってもよい。
【0148】
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC:System on a chip)として構成してもよい。
【0149】
本開示で使用されている「に基づいて(based on)」、「に応じて(depending on)」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。また、「取得する(obtain/acquire)」は、記憶されている情報の中から情報を取得することを意味してもよく、他のノードから受信した情報の中から情報を取得することを意味してもよく、又は、情報を生成することにより当該情報を取得することを意味してもよい。「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。さらに、本開示で使用されている「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0150】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0151】
本願は、米国仮出願第63/296238号(2022年1月4日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【0152】
(付記1)
1.導入
NR Multicast and Broadcast Services(MBS)の改訂版ワークアイテムは、RAN#88で承認された。RAN2#116eでは、MBS興味通知(MII)の詳細について大きな進展があった。
【0153】
本付記では、MBSの興味通知に関する残された課題について考察する。
【0154】
2.議論
2.1.メッセージの定義
TS38.331の現在実行中のCRでは、次のような更なる検討が必要な事項が取り込まれている。
【0155】
MII(MBMS興味通知)がUE Assistance Informationと新しいRRCメッセージのどちらで報告され、MII情報が別のIEを使用するか、RRCメッセージ構造に直接含まれるかについては、更なる検討が必要である。
【0156】
LTEでは、MBMS興味通知(MII)がUAI(UE Assistance Information)と分離されている。これは、MIIではSIB15の取得、UAIではRRC Connection Reconfigurationという前提条件が異なるためである。一方、LTEでは別メッセージだったIDC(In-device Coexistence Indication)は、NRではUAIの中に統合されている。これは、LTE(及びNR)において、IDCとUAIの前提条件が同じ、すなわちRRC Connection Reconfigurationであったため、実現可能であると考えられる。
【0157】
所見1:MBS興味通知をUE Assistance Informationと統合できるかどうかは、2つのメッセージの間で前提条件が一致しているかどうかに依存する。
【0158】
NR MBSでは、上記のIEを含むMBS興味通知メッセージを生成するために、SIB内の近隣周波数情報が必要である。また、UEがサービングセルからSIBを取得できる場合は、MBS興味通知の送信が許可されるが、これはLTE eMBMSと同様、承認されたCRで「SIBx1がPCellからブロードキャストされていれば」という条件ですでに把握されているものである。したがって、UAIの事前条件であるRRC Reconfigurationとは一致しない。よって、MBS興味通知は、LTE eMBMSのように、UAIとは別のメッセージであるべきである。
【0159】
提案1:RAN2は、MBS興味通知を新しいメッセージとして、つまりUAIとは別に定義することに合意すべきである。
【0160】
提案2:RAN2は、UEがサービングセルからMBS固有のSIB(すなわちSIBx1)を取得できる場合(すなわち、事前条件として)、MBS興味通知の送信を許可することに合意すべきである。
【0161】
2.2. その他のトリガとネットワーク制御
以下の更なる検討が必要な事項は、現在の実行CRに取り込まれている。
【0162】
その他のトリガとネットワーク制御については、更なる検討が必要である。
【0163】
RAN2#116eでは、MBS興味通知の様々なトリガについて合意されている。
UEは、接続確立に成功したとき、ブロードキャストサービスエリアに入ったとき又はブロードキャストサービスエリアから出たとき、MBSブロードキャストセッションの開始又は停止時、興味変更時、MBSブロードキャスト受信とユニキャスト受信の優先順位変更時、PCellブロードキャストSIBx1への変更時にMII手順を開始できることを確認する。その他のトリガ及びネットワーク制御については更なる検討が必要である。
【0164】
追加トリガについては、周波数リスト変更時にMBS興味通知を送信する必要があると考えられる。RAN2#116eでは、興味周波数の設定方法に関する詳細な動作について、以下のように合意した。
【0165】
MIIの間、UEはUEが同時に受信可能なMBS周波数のセットのみを報告する必要がある。つまり、UEは少なくとも1つのバンドの組み合わせをサポートしており、指示された周波数のセットを受信することができる。
【0166】
UEは、MIIでの報告のために同時に受信できる周波数を評価する際、現在設定されているサービング周波数を考慮しない。つまり、現在のサービングセルと一緒に受信できるかどうかに関係なく、受信に興味があるMBS周波数のみを考慮する。
【0167】
上記の合意によると、キャリアアグリゲーションの構成が更新された場合(SCellの追加又は削除など)、UEが現在動作可能な帯域幅の組み合わせに影響を与える可能性があるため、周波数リストが変更されることがある。この場合、前回のMBS興味通知で報告された周波数リストと異なる場合、最新の興味周波数をサービングセルに報告する必要がある場合がある。そのため、RAN2は、サービングセルの設定変更により、サービングセル及び非サービングセルの周波数が変更された場合に、MBS興味通知を送信すべきかどうかを検討する必要がある。
【0168】
提案3:RAN2は、サービングセルの設定変更によりUEの興味のある周波数が変更された場合に、MBS興味通知を送信すべきかどうかを検討する必要がある。
【0169】
ネットワーク制御については、ネットワークの輻輳を避けるために、多数のUEからのMBS興味通知の送信を管理することができれば間違いなく有用である。リソースの過負荷を引き起こす問題には、MBS興味通知の「急増(spike)」と「頻繁な(frequent)」MBS興味通知がある。
【0170】
所見2:多くのUEからMBS興味通知が急増したり、あるUEからMBS興味通知が頻発したりすると、ネットワークの輻輳が発生する可能性がある。
【0171】
送信の急増については、膨大な数のUEがMBS興味通知を同時に送信した場合に発生する。これは、MBSブロードキャストセッションに興味を持つすべてのUEに共通するイベントであるため、この問題を引き起こす可能性のあるトリガは、「MBSブロードキャストセッションの開始又は停止」である可能性がある。特に、セッションが停止した場合、gNBはMBSブロードキャストセッションがCNによって停止されたことを既に知っているため、MBS興味通知がなくても、UEはこのTMGIに興味がなくなったと判断することができる。これらのシナリオを考慮すると、ネットワーク制御としては、MBS興味通知を時間領域及び/又は周波数領域で広げる(例:セッション開始)、又はこのイベント時にMBS興味通知をオン/オフする(例:セッション停止)ことが考えられる。
【0172】
頻繁な送信については、UEがユーザの好みなどによって頻繁に興味を変更する場合に発生する。この問題を引き起こすトリガとしては、「興味の変化」、「MBSブロードキャスト受信とユニキャスト受信の優先度の変化」などが考えられる。ネットワーク制御としては、UEに禁止タイマを設定することが考えられる。
【0173】
その他のトリガ、すなわち「接続確立の成功」、「ブロードキャストサービスエリアへの入退出」、「SIBx1をブロードキャストするPCellへの変更」については、これらは(時間的に)十分にランダム化されているか、すでにネットワークによって制御されているため、大きな問題は発生しないと考えることができる。
【0174】
上記の議論を踏まえると、異なるトリガは異なる制御方法、すなわち拡散、オン/オフ、禁止タイマを必要とする可能性があり、さらに他のトリガは何の強化も必要としない可能性があることが確認された。そのため、RAN2はネットワーク制御を考慮すべきかどうか、もし考慮するならば、どのトリガがどのようなネットワーク制御を必要とするかを議論する必要がある。
【0175】
提案4:RAN2は、UEがMBS興味通知によって送信の急増及び頻繁な送信を行うことを防ぐためのネットワーク制御について議論すべきである。
【0176】
提案5:RAN2は、MBS興味通知の異なるトリガに異なるネットワーク制御方法を適用するかどうかを議論するべきである。
【0177】
2.3.BWPの切り替え動作を改善するための早期通知
この検討事項は、「MBS興味通知はセキュリティ起動後に送信する(より良いBWP切り替え動作のために追加の最適化が必要かどうかをまだ議論できる)」というRAN2の合意に基づいて、現在の実行中のCRで取り込まれている。
BWPの切り替え動作を改善するために追加の最適化が必要かどうかは更なる検討が必要である。
【0178】
より良いBWP切り替え動作のために、さらなる最適化が必要かどうかについては更なる検討が必要である。
【0179】
サービス継続の問題は、UEがコネクティッド状態に移行したときに発生する。具体的には、サービングセルがUEにCFRと整合していない専用のBWPを設定した場合、UEはブロードキャストセッションを継続して受信することができない。このような設定はMBS興味通知の後に回避できるが、問題はMBS興味通知の前、つまりASセキュリティのアクティブ化前に行われた設定によって発生する。
【0180】
インアクティブ状態のUEがMsg4(RRC Resume)で専用のBWPを設定できることが指摘されており、UEがMBSブロードキャストセッションを受信していることをサービングセルに通知するために、Msg3に1ビット表示を設けることが提案されている。サービングセルはインアクティブにあるUEのUEコンテキストを持っており、これには以前に報告されたMBS興味通知が含まれている。この興味情報は最新ではないが、サービングセルは、インアクティブ状態からコネクティッド状態に移行するUEがブロードキャストセッションを受信しているかどうかを予測することが期待される。そのため、メッセージサイズが制限されていることを考えると、Msg3を拡張することは重要ではない。
【0181】
次のRRC Reconfigurationでサービングセルが専用BWPを設定するための情報であるMsg5の早期「ブロードキャスト受信」指示を導入することが提案されている。この解決策は簡単な拡張でありながら有用である。
【0182】
SA3からのLSによると、それらはASセキュリティ起動前にTMGIリストを報告することのみを懸念している。さらに、ASセキュリティのアクティブ化前に他の情報(周波数リスト及び優先順位情報)を報告することができると明示的に述べている。そのため、UEは早期MBS興味通知を送信することができると考えられ、早期MBS興味通知はMsg5とともに送信され、TMGIリスト以外のフルコンテンツ、すなわち上記の1ビット表示の代わりに周波数リスト及び優先順位情報を含んでいる。gNBは、Msg5で早期MBS興味通知を受信すると、MBS興味通知が第2配信モード用であるため、このUEがブロードキャストセッションを受信しているかどうかを判断することができる。また、UEが興味を持つTMGIがまだ不明であっても、gNBが異なる周波数に対して適切なコンフィギュレーション(例えば、SCellコンフィギュレーション)を決定するために、フルコンテンツが有用である場合がある。これらのコンテンツは、ASセキュリティのアクティブ化後に最終的に報告されるため、早期のMBS興味通知で報告される場合は、シグナリングのオーバーヘッドがない。
【0183】
さらに、早期MBS興味通知に追加情報が必要かどうかについても検討する価値がある。例えば、UEは、早期MBS興味通知において、興味のあるMBSブロードキャストセッションを受信しているCFRを報告する。CFR情報は、例えば、そのようなCFRが専用BWPの一部であるように、適切な専用BWPを決定するためにgNBによって使用されてもよい。別の例として、UEは、興味のあるMBSブロードキャストセッションが提供されるCell IDを、早期MBS興味通知で報告する。
【0184】
提案6:RAN2は、TMGIリスト以外のフルコンテンツ、すなわち周波数リストと優先度情報を含むMsg5と共に早期MBS興味通知を送信するかどうかを検討する必要がある。
【0185】
提案7:RAN2は、追加情報が早期MBS興味通知で報告されることが有用であるかどうか、例えばCFRや興味のあるセルIDなどについてさらに議論するべきである。
【0186】
2.4.マルチキャストセッションのMBS興味通知
RAN2は現在、MBS興味通知がブロードキャストセッションでサポートされ、マルチキャストセッションではサポートされないと想定している。RAN2#115eは、MBS興味通知の基本的な内容、つまりMBS周波数リスト、優先度、TMGIリストに合意した。
【0187】
マルチキャストセッションでは、上位レイヤにセッション参加手順があるため、コアネットワークはUEの興味をgNBに通知するというのが共通の理解であると考えられる。UEの興味はMBSサービスにも当てはまると考えられる。また、gNBはUEの興味のあるMBSの周波数とMBSサービスを提供するセルを知っている可能性がある。しかし、MBS受信とユニキャスト間の優先順位は、純粋にAS関連の情報であるため、コアネットワークから提供されない可能性がある。つまり、UEがセッション参加手順の中でコアネットワークに優先順位情報を伝えるのは不自然(strange)なことである。
【0188】
所見3:マルチキャストセッションでは、コアネットワークはUEの興味事であるMBSサービスをgNBに提供し、gNBはMBS周波数/セルを知っているかもしれないが、コアネットワークとgNBは、MBSとユニキャスト間のUEのAS優先度を知らない可能性がある。
【0189】
優先度情報は、LTE eMBMSと同様に、スケジューリングやハンドオーバーの決定など、gNBにおいても有用であり、サービスの継続性にも関係すると考えられる。したがって、UEは、マルチキャストセッションについても、その優先度情報をgNBに通知する必要がある。この意味で、RAN2は、マルチキャストサービス/第1配信モードについてもMBS興味通知がサポートされるべきであると合意すべきである。
【0190】
提案8:RAN2は、少なくともUEがMBS受信とユニキャスト受信の間の優先順位をgNBに通知するために、MBS興味通知がマルチキャストセッション/第1配信モードでもサポートされることに合意すべきである。
【0191】
(付記2)
上述の実施形態に関する特徴について記載する。
【0192】
(1)
マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムにおいてユーザ装置が実行する通信方法であって、
前記ユーザ装置が受信している又は受信に興味を持つMBSセッションに関するMBS興味通知を基地局に送信することが許可される条件を設定する設定情報を前記基地局から受信することと、
前記設定情報により設定された前記条件が満たされたことに応じて前記MBS興味通知の送信処理を行うことと、を有する
通信方法。
【0193】
(2)
前記送信処理を行うことは、前記設定情報により設定された前記条件が満たされないときは前記送信処理を行わずに、前記設定情報により設定された前記条件が満たされたことに応じて前記送信処理を行うことを含む
上記(1)に記載の通信方法。
【0194】
(3)
前記設定情報は、前記MBS興味通知の送信をトリガするトリガ条件として規定された複数種別のトリガ条件のうち前記ユーザ装置において適用する前記トリガ条件の種別を設定するトリガ設定情報を含み、
前記送信処理を行うことは、前記複数種別のトリガ条件のうち前記トリガ設定情報により設定された前記種別のトリガ条件が満たされたことに応じて前記送信処理をトリガすることを含む
上記(1)又は(2)に記載の通信方法。
【0195】
(4)
前記設定情報は、n回目(n≧1)のMBS興味通知を送信してからn+1回目の前記MBS興味通知の送信を可能とするまでの禁止時間を設定する禁止時間設定情報を含み、
前記送信処理を行うことは、前回のMBS興味通知を送信してから、前記禁止時間設定情報により設定された前記禁止時間が経過したことに応じて、今回のMBS興味通知の送信を行うことを含む
上記(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の通信方法。
【0196】
(5)
前記設定情報は、前記禁止時間設定情報と対応付けられたトリガ種別情報をさらに含み、
前記トリガ種別情報は、前記MBS興味通知の送信をトリガするトリガ条件として規定された複数種別のトリガ条件のうち前記禁止時間を適用するトリガ条件の種別を示す情報である
上記(4)に記載の通信方法。
【0197】
(6)
前記送信処理を行うことは、前記トリガ種別情報により示される前記種別のトリガ条件が満たされたことに応じて前記前回のMBS興味通知を送信した後、前記禁止時間設定情報により設定された前記禁止時間が経過し、且つ、前記トリガ種別情報により示される前記種別のトリガ条件が満たされたことに応じて、前記今回のMBS興味通知の送信を行うことを含む
上記(5)に記載の通信方法。
【0198】
(7)
前記設定情報は、前記ユーザ装置を含む複数のユーザ装置による複数のMBS興味通知の送信を時間方向及び/又は周波数方向に分散させるための分散化情報を含み、
前記送信処理を行うことは、前記分散化情報に基づいて定められるタイミング及び/又は周波数において前記MBS興味通知を送信することを含む
上記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の通信方法。
【0199】
(8)
前記設定情報は、前記分散化情報と対応付けられたトリガ種別情報をさらに含み、
前記送信処理を行うことは、前記トリガ種別情報により示される前記種別のトリガ条件が満たされたことに応じて、前記分散化情報に基づいて定められる前記タイミング及び/又は前記周波数において前記MBS興味通知を送信することを含む
上記(7)に記載の通信方法。
【0200】
(9)
前記分散化情報は、前記ユーザ装置が前記MBS興味通知を送信するセルを設定するセル情報を含む
上記(7)又は(8)に記載の通信方法。
【0201】
(10)
前記分散化情報は、前記ユーザ装置が前記MBS興味通知を送信するタイミングを制御するタイミング制御情報を含む
上記(7)又は(8)に記載の通信方法。
【0202】
(11)
前記送信処理を行うことは、前記タイミング制御情報と、前記ユーザ装置に固有の識別子とに基づいて、前記MBS興味通知を送信する前記タイミングを決定することを含む
上記(10)に記載の通信方法。
【0203】
(12)
前記送信処理を行うことは、前記タイミング制御情報と、前記ユーザ装置で発生させた乱数とに基づいて、前記MBS興味通知を送信する前記タイミングを決定することを含む
上記(10)に記載の通信方法。
【0204】
(13)
前記送信処理を行うことは、前記タイミング制御情報と、前記ユーザ装置が把握しているMBSセッション開始タイミングとに基づいて、前記MBS興味通知を送信する前記タイミングを決定することを含む
上記(10)に記載の通信方法。
【0205】
(14)
マルチキャストブロードキャストサービス(MBS)を提供する移動通信システムにおいてユーザ装置が実行する通信方法であって、
前記ユーザ装置が同時に受信可能な複数の周波数からなる組み合わせのうち前記ユーザ装置が受信している又は受信に興味を持つ1つ又は複数のMBS周波数を示す情報を含む第1のMBS興味通知を基地局に送信することと、
キャリアアグリゲーション(CA)の設定に関するCA設定情報を前記基地局から受信することと、
前記CA設定情報に応じて前記組み合わせが変更され、且つ、前記ユーザ装置が受信している又は受信に興味を持つMBS周波数が変更された場合、変更後のMBS周波数を示す情報を含む第2のMBS興味通知を前記基地局に送信することと、を有する
通信方法。
【符号の説明】
【0206】
1 :移動通信システム
10 :RAN
20 :CN
100 :UE
110 :受信部
120 :送信部
130 :制御部
200 :gNB
210 :送信部
220 :受信部
230 :制御部
240 :バックホール通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
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図19
図20