(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】荷降ろし装置
(51)【国際特許分類】
B65G 67/24 20060101AFI20250106BHJP
B65G 47/90 20060101ALN20250106BHJP
【FI】
B65G67/24
B65G47/90 B
(21)【出願番号】P 2024008421
(22)【出願日】2024-01-24
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000137960
【氏名又は名称】株式会社メイキコウ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 純一
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-87464(JP,A)
【文献】特開平8-73047(JP,A)
【文献】特開平8-165031(JP,A)
【文献】特開2024-9701(JP,A)
【文献】特開2018-39583(JP,A)
【文献】特開平11-171347(JP,A)
【文献】特開2017-206318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 67/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷降ろし装置であって、
台車と、
前記台車に搭載された多関節のアーム装置と、
前記アーム装置の先端に設けられて荷物を保持する保持部と、
前記アーム装置の側方にて搬出方向に延出し、かつ昇降装置によって昇降される昇降コンベアと、
前記昇降コンベアの上流側に設けられ、前記保持部から受けた荷物を前記搬出方向と交差する横方向に搬送する受取コンベアを有する荷降ろし装置。
【請求項2】
請求項1記載の荷降ろし装置であって、
前記昇降コンベアの下流側に設けられ、前記搬出方向に伸縮可能な伸縮コンベアを有する荷降ろし装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の荷降ろし装置であって、
前記受取コンベアには、前記荷物を前記受取コンベア上に案内するスロープ部が設けられ、
前記スロープ部は、前記搬出方向と交差する方向に拡縮可能である荷降ろし装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の荷降ろし装置であって、
前記受取コンベアには、前記搬出方向の下流側において起立し、かつ前記荷物を前記横方向に搬送するガイドコンベアが設けられる荷降ろし装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の荷降ろし装置であって、
前記昇降装置は、前記昇降コンベアの上流側を上下に変位させる方向に前記昇降コンベアを傾動させる荷降ろし装置。
【請求項6】
請求項5記載の荷降ろし装置であって、
前記受取コンベアは、前記昇降コンベアの上流側に上下方向に傾動可能に連結され、
前記受取コンベアの下方への傾動を規制し、かつ上方への傾動を許容するストッパが設けられる荷降ろし装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載の荷降ろし装置であって、
前記アーム装置に設けられたカメラと、
前記カメラからの映像に基づいて荷物を認識して前記アーム装置と前記保持部を作動させるコントローラを有する荷降ろし装置。
【請求項8】
請求項7記載の荷降ろし装置であって、
前記コントローラは、横方向に並んだ複数の荷物を認識した際、前記昇降コンベアに近い側から遠い側の順に前記受取コンベアに荷物を渡す荷降ろし装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばトラックの荷室やコンテナ内に多段積みされた多数個の荷物を荷降ろしする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の荷降ろし装置には、人手によらず自動で多数個の荷物を荷降ろしする荷降ろし装置が提供されている。特許文献1には荷室内に進入する台車に多関節ロボットを搭載し、多関節ロボットに荷物の把持装置を装備した荷降ろし装置が開示されている。この荷降ろし装置によれば、把持した荷物が多関節ロボットの動作により後方に連結した搬出コンベアに移載されて荷降ろしされる。特許文献2には、搬出コンベアの先端に吸着パッドを有するグリッパ機構を設けた荷降ろし装置が開示されている。この荷降ろし装置では、荷物を吸着した状態でグリッパ機構を搬送コンベアに対して後退させることで荷物が搬送コンベア上に移載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-206318号公報
【文献】特許第7186697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示では、荷降ろしのための作業時間がより短縮化される荷降ろし装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの局面によれば、荷降ろし装置は、台車と、台車に搭載された多関節のアーム装置と、アーム装置の先端に設けられて荷物を保持する保持部を有する。荷降ろし装置は、アーム装置の側方にて搬出方向に延出し、かつ昇降装置によって昇降される昇降コンベアを有する。荷降ろし装置は、昇降コンベアの上流側に設けられ、保持部から受けた荷物を搬出方向と交差する横方向に搬送する受取コンベアを有する。
【0006】
従って、例えば荷室内の荷積み位置で保持部に保持された荷物は、アーム装置の動作により受取コンベア上に移載される。受取コンベア上に移載された荷物は横方向に搬送されて側方の昇降コンベアの上流側に搬送される。その後荷物は昇降コンベアにより搬出方向に搬出されて荷室内から荷降ろしされる。これによりアーム装置の荷降ろしのための1回の動作範囲は、荷物を荷積み位置から受取コンベア上に移載させる範囲で足りる。従って荷物を側方の昇降コンベア上に移載するための旋回動作が省略されることでアーム装置の動作時間の短縮化が図られる。これにより荷降ろしのための作業時間の短縮化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】荷降ろし装置の全体斜視図である。本図は、トラックヤードのプラットホーム上に待機した状態を示している。
【
図2】荷降ろし装置の全体斜視図である。本図は、荷室の開口側上段の荷物を保持した状態を示している。
【
図3】荷降ろし装置の全体斜視図である。本図は、荷室の開口側中段の荷物を保持した状態を示している。
【
図4】荷降ろし装置の全体斜視図である。本図は、荷室の開口側最下段の荷物を保持した状態を示している。
【
図5】荷降ろし装置の全体斜視図である。本図は、荷室の奥側最下段の荷物を保持した状態を示している。
【
図7】受取コンベアの斜視図である。本図は、右斜め上方から見た状態を示している。
【
図8】
図7のVIII矢視図であって、受取コンベアの斜視図である。
【
図9】受取コンベアと昇降コンベアの結合部の平面図である。
【
図10】受取コンベアと昇降コンベアの結合部の右側面図である。本図は、昇降コンベアがほぼ平行に位置する状態を示している。
【
図11】受取コンベアと昇降コンベアの結合部の右側面図である。本図は、昇降コンベアが下降端に至って受取コンベアが荷室床面に接地された状態を示している。
【
図12】
図2のXII矢視図であって、荷降ろし装置の左側面図である。
【
図13】多数個の荷物が段積みされた荷室の後面図である。
【
図14】大きさが異なる多数個の荷物が段積みされた荷室の後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例えば1つの実施形態によれば、荷降ろし装置は、昇降コンベアの下流側に設けられ、搬出方向に伸縮可能な伸縮コンベアを有する。従って、荷降ろし装置により荷降ろしされる荷物の荷降ろし領域が搬出方向の後方に拡大される。
【0009】
例えば1つの実施形態によれば、受取コンベアには、荷物を受取コンベア上に案内するスロープ部が設けられ、スロープ部は、搬出方向と交差する方向に拡縮可能である。従って、スロープ部が荷室の幅に合わせて拡縮されることで荷物が確実に受取コンベア上に案内される。
【0010】
例えば1つの実施形態によれば、受取コンベアには、搬出方向の下流側において起立し、かつ荷物を横方向に搬送するガイドコンベアが設けられる。従って、受取コンベアにおいて荷物の横方向への搬送が確実になされる。また、受取コンベアにおいて荷物の搬出方向下流側への脱落が防止される。
【0011】
例えば1つの実施形態によれば、昇降装置は、昇降コンベアの上流側を上下に変位させる方向に昇降コンベアを傾動させる。従って、荷積み位置の高さに合わせて昇降コンベアが昇降されることで荷物の搬送時間が短縮される。これにより荷降ろしの作業時間が短縮化される。
【0012】
例えば1つの実施形態によれば、受取コンベアは、昇降コンベアの上流側に上下方向に傾動可能に連結され、受取コンベアの下方への傾動を規制し、かつ上方への傾動を許容するストッパが設けられる。従って、受取コンベアが昇降コンベアに対して相対的に一定の範囲で上下に傾動可能に設けられる。これにより、例えば昇降コンベアが下方へ傾動されて、荷積み高さが最も低い位置において受取コンベアを荷室床面に当接させることで、受取コンベアを荷室床面に平行な姿勢に位置させることができる。これによりアーム装置により荷物の受取コンベアへの移載が確実かつ迅速になされる。
【0013】
例えば1つの実施形態によれば、荷降ろし装置は、アーム装置に設けられたカメラと、カメラからの映像に基づいて荷物を認識してアーム装置と保持部を作動させるコントローラを有する。従って、カメラとコントローラによりアーム装置と保持部が動作して荷物の荷降ろしがなされる。
【0014】
例えば1つの実施形態によれば、コントローラは、横方向に並んだ複数の荷物を認識した際、昇降コンベアに近い側から遠い側の順に受取コンベアに荷物を渡すようにアーム装置と保持部を動作させる。従って、横方向に荷積みされた複数の荷物の荷降ろしが効率よくなされて作業時間の短縮化が図られる。
【実施例】
【0015】
図1-5に示すように本実施例の荷降ろし装置1は、トラックヤード2に停車したトラックの荷室(コンテナ)3に積み込んだ多数個の荷物5を荷降ろしする際に用いられる。
図13に示すように多数個の荷物5は、例えば段ボール箱で荷室3内に左右に並んで上下に多数段に段積みされている。多数個の荷物5が荷降ろし装置1によりトラックヤード2のプラットホーム4上に順次荷降ろしされる。本実施例では、荷室3の後部開口から荷物5を荷降ろしする場合を例示する。以下の説明では、前後方向、上下方向及び左右方向の各方向については、トラック若しくは荷室3を基準とする。
【0016】
荷降ろし装置1は、台車10とアーム装置20を有する。台車10は左右に無端軌道11を有する。左右の無端軌道11は駆動モータ12により前後方向に回転する。これにより台車10は前後方向に自走可能となっている。台車10にアーム装置20が搭載されている。
【0017】
アーム装置20は多関節形のロボットアームで、本実施例では6軸の多関節ロボットが用いられている。台車10の後部に制御台車13が連結されている。制御台車13の下部に複数個のキャスタ14が設けられている。複数個のキャスタ14を接地させて制御台車13はプラットホーム4上を台車10と一体で前後進する。制御台車13にコントローラ21が搭載されている。コントローラ21には主としてアーム装置20の動作を制御するための制御プログラムを含む制御基板等が収容されている。
【0018】
アーム装置20の先端に保持部30が設けられている。
図6に示すように矩形平板形の基台部35を有する。基台部35の前面には複数個の吸着パッド31が設けられている。各吸着パッド31は真空発生器(図では見えていない)に接続されている。吸着パッド31により荷物5が真空吸着されて保持される。
【0019】
基台部35の上部と中段位置には照明器具32が設けられている。上下2段の照明器具32により保持する前方の荷物5が明るく照らされる。基台部35の上部に2種類のカメラ33,34が配置されている。2種類のカメラ33,34には、例えば2Dカメラと3Dカメラが用いられている。3Dカメラには例えばTOF(Time of Flight)カメラが用いられている。これらの撮影データを画像処理することで荷物5までの距離と外形が算出される。得られた座標値等はコントローラ21に入力される。これに基づいて主としてアーム装置20の動作がコントローラ21により制御される。
【0020】
台車10及びアーム装置20の左側方に昇降コンベア40が並列に配置されている。昇降コンベア40は、ベースフレーム15と傾斜コンベア44を備える。
図12に示すように台車10の左側部にはベースフレーム15が連結されている。ベースフレーム15の下部には複数個のキャスタ16が設けられている。複数個のキャスタ16がプラットホーム4上若しくは荷室3の床面6に接地されてベースフレーム15が台車10と一体で前後に移動する。
【0021】
ベースフレーム15に1つの傾斜コンベア44が支持されている。傾斜コンベア44にはベルトコンベアが用いられている。昇降コンベア40は台車10及びアーム装置20の左側方に支持されている。傾斜コンベア44の後部はベースフレーム15に昇降軸41を介して上下に傾動可能に支持されている。昇降軸41に同軸に傾斜コンベア44の駆動ローラが配置されている。
【0022】
傾斜コンベア44とベースフレーム15との間に、昇降装置42が介装されている。昇降装置42には、電動モータとネジ軸装置を組み合わせた電動シリンダが用いられている。昇降装置42の伸縮により傾斜コンベア44が上下に傾動する。傾斜コンベア44は水平姿勢から上下にそれぞれ約20°の範囲で傾動可能となっている。昇降コンベア40は前部側(上流側)を上方へ変位させた後傾姿勢に傾動可能である。上方へ約20°傾動させた後傾姿勢では傾斜コンベア44の前部側が荷室3の上部(天井)に接近する。昇降コンベア40は前部側(上流側)を下方へ変位させた前傾姿勢に傾動可能である。下方へ約20°傾動させた前傾姿勢では傾斜コンベア44の前部側がプラットホーム4若しくは荷室3の床面6に近接される。
【0023】
昇降コンベア40により荷物5が後方に搬送される。昇降コンベア40の搬送方向が
図12中白抜き矢印で示す荷降ろしのための搬出方向に相当する。
【0024】
昇降コンベア40の前部側に受取コンベア50が設けられている。受取コンベア50は左右に長い矩形の受取フレーム51を有する。受取フレーム51の下面には、荷室3の床面6に対する接地用のキャスタ55が取り付けられている。受取フレーム51はその後面左側が左右一対の支軸52を介して傾斜コンベア44のコンベアフレーム45に連結されている。左右の支軸52は同軸に配置されている。左右の支軸52を介して受取コンベア50は傾斜コンベア44に対して一定角度の範囲で上下に回動可能に支持されている。
【0025】
受取フレーム51の後面左側には左右一対のストッパ片53が設けられている。左右のストッパ片53は後方へ延びている。傾斜コンベア44のコンベアフレーム45には左右一対のストッパボルト46が設けられている。
図10に示すように左右のストッパ片53がストッパボルト46に下方から当接されることで、受取コンベア50の下方(
図10において反時計回り方向)への傾動端が規制される。下方への傾動端では、受取コンベア50の搬送面と傾斜コンベア44の搬送面は約165°の角度を有する。これにより受取コンベア50は荷室3の床面6付近に下降した段階を除いて常時前側が上方へ変位した後傾姿勢に保持される。
【0026】
図11に示すように昇降コンベア40が前傾姿勢に変位して受取コンベア50がキャスタ55を介して荷室3の床面6に接地されると、受取コンベア50が支軸52を中心にしてその前部側を上方へ相対的に変位させる方向(
図11において時計回り方向)に傾動される。これにより左右のストッパ片53がストッパボルト46から離間する。受取コンベア50が傾斜コンベア44に対して相対的に上方に傾動された状態では両者の搬送面は約158°の角度を有する。昇降コンベア40が上方へ戻されて受取コンベア50が荷室3の床面6から離間されると、受取コンベア50と傾斜コンベア44の両者の搬送面は約165°の角度を有する位置関係に戻される。
【0027】
図では見えていないが右側のストッパボルト46の内側(左隣り)には近接センサが併設されている。この近接センサによりストッパ片53が検知されることで、受取コンベア50が下方への傾動端に位置することが確認される。近接センサによる検知がなされないと、受取コンベア50が相対的に上方へ傾動されて例えば荷室3の床面6に接地されたことが確認される。
【0028】
受取コンベア50は、アーム装置20の前方を左右に横切るように配置される。受取コンベア50は、複数本の上流側ローラ56と複数本の下流側ローラ57を有する。上流側ローラ56は受取フレーム51の右側ほぼ3/4の領域に配置されている。上流側ローラ56は受取フレーム51の前フレーム51aと後フレーム51bに跨って前後に延在された姿勢で回転可能に支持されている。これにより上流側ローラ56の搬送方向は右側から左側へ向かう横方向となっている。
【0029】
下流側ローラ57は受取フレーム51の左側ほぼ1/4の領域に配置されている。下流側ローラ57は受取フレーム51の中間フレーム51cと左フレーム51dに跨って左右に延在された姿勢で回転可能に支持されている。これにより下流側ローラ57の搬送方向は後方へ向けた方向であって昇降コンベア40の搬出方向に一致している。下流側ローラ57の左方であって受取フレーム51の左フレーム51dにはストッパ壁58が上方へ起立する状態に設けられている。ストッパ壁58により荷物5が下流側ローラ57上から左方へ脱落することが防止される。
【0030】
上流側ローラ56と下流側ローラ57はそれぞれ個別の駆動モータ(図では見えていない)により搬送方向に回転する。上流側ローラ56に移載された荷物5は左方へ搬送されて下流側ローラ57上に至る。上流側ローラ56から下流側ローラ57上に搬送された荷物5、あるいは下流側ローラ57上に直接移載された荷物5は後方へ搬送されて昇降コンベア40上に移載される。
【0031】
下流側ローラ57と昇降コンベア40との間に1つの受け渡しローラ59が支持されている。受け渡しローラ59は下流側ローラ57と平行な回転軸線回りに回転可能に支持されている。受け渡しローラ59により下流側ローラ57から昇降コンベア40への荷物の搬送がよりスムーズになされる。
【0032】
受取コンベア50の前部にはスロープ部60が設けられている。スロープ部60は中央の固定スロープ61と、左右の可動スロープ62,63を有する。固定スロープ61は、前フレーム51aの左右方向の中央に移動不能に固定されている。左右の可動スロープ62,63は、前フレーム51aに沿って左右に移動可能に支持されている。固定スロープ61と左右の可動スロープ62,63は、前部が下方へ変位する方向に傾斜している。スロープ部60により荷物5がスムーズに受取コンベア50上に移載される。
【0033】
図8に示すように左右の可動スロープ62,63は、スライドガイド62a,63aを介して前フレーム51aに支持されている。左右の可動スロープ62,63は、それぞれスライドシリンダ62b,63bの伸縮動作により左右にスライドされる。左右の可動スロープ62,63はそれぞれ最大で約200ミリメートルスライドされる。これによりスロープ部60は左右幅が約1850~2250ミリメートルの範囲で伸縮される。
【0034】
左右の可動スロープ62,63は、荷室3の左右幅に合わせて拡張方向又は縮小方向にスライドされる。これにより荷室3の全幅にわたってスロープ部60が展開される。これにより荷室3の左右端部寄りの荷物5についてもスロープ部60を経て受取コンベア50上に確実に移載される。
【0035】
図7~9に示すように受取コンベア50の後部にはガイドコンベア70が設けられている。ガイドコンベア70は受取フレーム51の後フレーム51bに支持されている。ガイドコンベア70にはベルトコンベアが用いられている。ガイドコンベア70は、独自の電動モータ71により駆動する無端ベルト72を有する。電動モータ71の出力はギヤヘッド71aで減速されて出力される。ギヤヘッド71aの出力軸に取り付けた駆動プーリ71bと従動プーリ71cとの間に無端ベルト72が掛け渡されている。
【0036】
ガイドコンベア70は、受取コンベア50の上流側ローラ56の後方領域において、受取コンベア50の搬送面よりも上方へ起立する状態に設けられている。ガイドコンベア70の搬送面(無端ベルト72)は前方に向けられている。
【0037】
ガイドコンベア70により、受取コンベア50上に移載された荷物5の後方へ脱落が防止される。ガイドコンベア70の搬送方向は受取コンベア50の上流側ローラ56の搬送方向に一致している。受取コンベア50上に移載された荷物5がガイドコンベア70によっても左方へ(下流側ローラ57上に)搬送される。
【0038】
図1~5に示すように昇降コンベア40の下流側(後方)には伸縮コンベア80が接続されている。伸縮コンベア80は上下6段のスライドコンベア81~86を有する。最下段のスライドコンベア86を除いて各スライドコンベア81~85が前後にスライドすることで伸縮コンベア80が前後に伸縮される。最上段のスライドコンベア81の前部に前脚部80aが設けられている。上下6段のスライドコンベア81~86の後部に後脚部80bが設けられている。前後の脚部80a,80bがプラットホーム4若しくは荷室3の床面6に接地される。
【0039】
図5,12に示すように最上段のスライドコンベア81の前部がベースフレーム15に支持されている。これにより昇降コンベア40の後部に伸縮コンベア80の前部が連接されている。昇降コンベア40上の荷物5が伸縮コンベア80にスムーズに移載される。
【0040】
台車10の前進に伴って上段側のスライドコンベアが下段側のスライドコンベアに対して前方へ引き出されていく。
図5に示すように台車10が荷室3の奥部に至ると、すべての上段側のスライドコンベアが下段側のスライドコンベアに対して前方へ引き出された最大伸長状態となる。最下段のスライドコンベア86は待機位置に固定されている。
【0041】
各スライドコンベア81~86は概ね水平姿勢で前後にスライドされる。各スライドコンベア81~86は独自の電動モータにより駆動する無端ベルトを有する。昇降コンベア40から移載された荷物5が順次スライドコンベア81~86上を後方へ搬送される。
【0042】
台車10が後退することで上段側のスライドコンベアが下段側のスライドコンベアの上方に戻される。これにより伸縮コンベア80が待機位置に向けて縮小される。
【0043】
台車10が
図1に示す待機位置から
図2に示す荷室3の後部開口まで前進する。
図2に示す後部開口位置に至る過程において、保持部30に設けた2つのカメラ33,34により保持対象の荷物5の撮影データを画像処理し、荷物5までの距離と外形(例えば四つの辺5a,5b,5c,5d)が算出される。これに基づいて後部開口位置において主としてアーム装置20の動作が制御されることで荷物5の保持動作が開始される。保持動作では例えば
図13に示すように先ず最上段の左側の荷物5の後面に保持部30の各吸着パッド31が当接される。
【0044】
アーム装置20と保持部30の動作に合わせて昇降コンベア40が上方へ傾動される。これにより受取コンベア50が保持部30の直下まで移動される。各吸着パッド31が当接されて荷物5が吸着保持された状態でアーム装置20の動作によりこの荷物5が受取コンベア50の上方へ引き出される。引き出された荷物5はアーム装置20の動作により受取コンベア50の例えば下流側ローラ57に移載される。荷室3の右側の荷物の場合には上流側ローラ56に移載される。荷物5は荷積み位置からより近い部位に移載されることで、アーム装置20の動作時間の短縮化が図られる。
【0045】
受取コンベア50上に移載された荷物5は上流側ローラ56及びガイドコンベア70により左方に向けて横方向に搬送される。横方向に搬送されて下流側ローラ57上に移載された荷物5が荷降ろし方向(後方)に搬送されて昇降コンベア40上に移載される。昇降コンベア40に移載された荷物5が荷降ろし方向に搬出される。その後荷物5は、伸縮コンベア80によりプラットホーム4上に荷降ろしされる。
【0046】
荷室3の左側の荷物5が受取コンベア50上に移載された後、アーム装置20の動作により保持部30が右側の荷物5に当接されて、これが受取コンベア50に移載される。このようにアーム装置20と昇降コンベア40及び伸縮コンベア80による荷降ろし方向の搬出が並行してなされる。
【0047】
荷室3の荷物5は左側から右側へ保持部30が移動して順次受取コンベア50上に移載される。段積みされた上段側の荷物5が荷降ろしされると、中段側の左側から荷物5が順次保持されて荷降ろしされる。
図3に示すように昇降コンベア40がほぼ水平姿勢に移動されて、荷積みされた中段の荷物5が保持部30により保持されて受取コンベア50上に移載される。
【0048】
中段側の荷物5が荷降ろしされると、
図4に示すように昇降コンベア40が下方へ変位して受取コンベア50が荷室3の床面6又はプラットホーム4上に接地された状態で荷降ろし作業が続行される。この場合も、荷物5の受取コンベア50への移載動作と、昇降コンベア40による搬出動作が同時並行してなされる。アーム装置20の動作は保持部30を荷積み位置と受取コンベア50上の保持解除位置との間で移動させる動作に限定される。
【0049】
荷室3の後部開口から荷降ろしが進行していくことで台車10が荷室3の奥部に向けて順次前進する。これに伴って伸縮コンベア80が伸長する。
図5に示すように荷室3の奥部において下段側の荷物5が荷降ろしされる。この段階では
図4に示す荷室3の開口側下段と同じく昇降コンベア40が下方へ変位して受取コンベア50が床面6に接地された状態で荷降ろしが進行される。荷室3の奥部において最後の荷物5が受取コンベア50上に移載される。その後この最後の荷物5が昇降コンベア40及び伸縮コンベア80を経て荷降ろしされる。こうして荷室3内の全ての荷物5の荷降ろしが完了すると、アーム装置20及び保持部30が初期位置に戻されるとともに、台車10が荷室3内からプラットホーム4上に戻される。これにより荷降ろし装置1が待機位置に戻される。
【0050】
以上説明した実施例によれば、荷降ろし装置1は、台車10と、台車10に搭載された多関節のアーム装置20と、アーム装置20の先端に設けられて荷物5を保持する保持部30を有する。荷降ろし装置1は、アーム装置20の側方にて搬出方向に延出し、かつ昇降装置42によって昇降される昇降コンベア40を有する。荷降ろし装置1は、昇降コンベア40の上流側に設けられ、保持部30から受けた荷物5を搬出方向と交差する横方向に搬送する受取コンベア50を有する。
【0051】
従って、例えば荷室3内の荷積み位置で保持部30に保持された荷物5は、アーム装置20の動作により受取コンベア50上に移載される。受取コンベア50上に移載された荷物5は横方向に(右方から左方に向けて)搬送されて側方の昇降コンベア40の上流側に搬送される。その後荷物5は昇降コンベア40により搬出方向に搬出されて荷室3内から荷降ろしされる。これによりアーム装置20の荷降ろしのための1回の動作範囲は、荷物5を荷積み位置から受取コンベア50上に移載させる範囲で足りる。従って荷物5を側方の昇降コンベア40上に移載するための旋回動作が省略されることでアーム装置20の動作時間の短縮化が図られる。これにより荷降ろしのための作業時間の短縮化が図られる。
【0052】
実施例によれば、荷降ろし装置1は、昇降コンベア40の下流側に設けられ、搬出方向に伸縮可能な伸縮コンベア80を有する。従って、荷降ろし装置1により荷降ろしされる荷物5の荷降ろし領域が搬出方向の後方に拡大される。これにより広いプラットホーム4上での荷降ろし作業が効率良くなされる。
【0053】
実施例によれば、受取コンベア50には、搬出方向の下流側において起立し、かつ荷物5を横方向に搬送するガイドコンベア70が設けられる。従って、受取コンベア50において荷物5の横方向への搬送が確実になされる。また、受取コンベア50において荷物5の搬出方向下流側への脱落がガイドコンベア70によって防止される。
【0054】
実施例によれば、昇降装置42は、昇降コンベア40の上流側(前側)を上下に変位させる方向に傾斜コンベア44を傾動させる。これにより受取コンベア50が上下に変位される。従って、荷積み位置の高さに合わせて受取コンベア50が昇降されることで荷物5の搬送時間が短縮される。これにより荷降ろしの作業時間が短縮化される。
【0055】
実施例によれば、受取コンベア50は、昇降コンベア40の上流側に上下方向に傾動可能に連結され、受取コンベア50の下方への傾動を規制し、かつ上方への傾動を許容するストッパボルト46が設けられる。従って、受取コンベア50が傾斜コンベア44に対して相対的に一定の範囲で上下に傾動可能に設けられる。これにより、例えば昇降コンベア40が下方へ傾動されて、荷積み高さが最も低い位置において受取コンベア50を荷室3の床面6に当接させることで、受取コンベア50を荷室3の床面6に平行な接地姿勢に位置させることができる。これによりアーム装置20により荷物5の受取コンベア50への移載が確実かつ迅速になされる。
【0056】
実施例によれば、荷降ろし装置1は、保持部30に設けられた2つのカメラ33,34からの映像に基づいて荷物5の例えば4つの辺5a~5dを認識してアーム装置20と保持部30を作動させるコントローラ21を有する。従って、2つのカメラ33,34により得られる画像データに基づいてアーム装置20と保持部30が動作して荷物の荷降ろしがなされる。
【0057】
実施例によれば、コントローラ21は、荷積み位置において横方向に並んだ複数の荷物5を認識した際、昇降コンベア40に近い左側から遠い右側の順に受取コンベア50に荷物5を渡すようにアーム装置20と保持部30を動作させる。従って、横方向に荷積みされた複数の荷物5の荷降ろしが効率よくなされて作業時間の短縮化が図られる。
【0058】
以上説明した実施例には種々変更を加えることができる。例えば、昇降コンベア40は昇降軸41を中心にして上下に傾動する構成を例示したが、上下に平行に昇降動させる構成としてもよい。
【0059】
受取コンベア50は上流側ローラ56と下流側ローラ57を有するローラコンベアを例示したが、搬送方向を横方向とする上流側ベルトコンベアと搬送方向を荷降ろし方向とする下流側ベルトコンベアに変更してもよい。
【0060】
昇降コンベア40はベルトコンベアに代えてローラコンベアを用いることができる。この場合、荷物に対するグリップ力の大きなローラコンベアを用いることが望ましい。また、ガイドコンベア70はベルトコンベアに代えてローラコンベアを用いることができる。
【0061】
伸縮コンベア80は省略してもよい。
【0062】
保持部30を先端に取り付けるアーム装置20として6軸制御の多関節ロボットアームを例示したが、これに代えて例えばX-Y-Z方向のスライド機構及び回転機構を組み合わせたアーム装置を用いることができる。
【0063】
例示した荷降ろし装置1は、
図13に示すように荷室3内に段積みされた荷物5が同じ大きさである場合に限らず、例えば
図14に示すように荷室3内に混載された大きな荷物5と小さな荷物7の荷降ろし作業についても同様に適用することができる。小さな荷物7についても四辺7a,7b,7c,7dのうちの1辺若しくは複数の辺をカメラ33,34により認識することで荷物7の大きさ(外形)が算出される。
【0064】
例示した荷降ろし装置1は、プラットホーム4上の荷降ろし作業に限らず、昇降コンベア40あるいは伸縮コンベア80の下流側であってプラットホーム4に隣接する仕分け作業場において、荷降ろしした荷物5を人手やロボット装置により仕分けする作業がなされる場合にも適用可能である。
【0065】
例示した荷降ろし装置1は、荷室3内から荷物5を荷降ろしする場合に限らず、例えば倉庫内に段積みした荷物を倉庫外へ搬出する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1…荷降ろし装置
2…トラックヤード
3…荷室(コンテナ)
4…プラットホーム
5…荷物(大)
5a,5b,5c,5d…辺
6…床面
7…荷物(小)
7a,7b,7c,7d…辺
10…台車
11…無端軌道
12…駆動モータ
13…制御台車
14…キャスタ
15…ベースフレーム
16…キャスタ
20…アーム装置
21…コントローラ
30…保持部
31…吸着パッド
32…照明器具
33,34…カメラ
35…基台部
40…昇降コンベア
41…昇降軸
42…昇降装置
44…傾斜コンベア
45…コンベアフレーム
46…ストッパボルト
50…受取コンベア
51…受取フレーム
51a…前フレーム、51b…後フレーム、51c…中間フレーム、51d…左フレーム
52…支軸
53…ストッパ片
55…キャスタ
56…上流側ローラ
57…下流側ローラ
58…ストッパ壁
59…受け渡しローラ
60…スロープ部
61…固定スロープ
62…可動スロープ(左)
62a…スライドガイド、62b…スライドシリンダ
63…可動スロープ(右)
63a…スライドガイド、63b…スライドシリンダ
70…ガイドコンベア
71…電動モータ
71a…ギヤヘッド、71b…駆動プーリ、71c…従動プーリ
72…無端ベルト
80…伸縮コンベア
80a…前脚部、80b…後脚部
81~86…スライドコンベア
【要約】
【課題】例えばコンテナ内の多数後の荷物を荷降ろしする装置において、多関節形のロボットアームを用いて吸着パッドにより荷物を保持して荷降ろしするものが提供されている。荷降ろし装置では荷降ろし作業時間のさらなる短縮化が望まれている。
【解決手段】保持部30を有するアーム装置20の下方に搬送方向を横方向とする受取コンベア50を設ける。受取コンベア50の下流側に搬送方向を荷降ろし方向とする昇降コンベア40を設ける。保持部30で把持した荷物5はアーム装置20の動作により受取コンベア50上に移載される。荷物5は横方向に搬送されて昇降コンベア40に移載される。昇降コンベア40により荷物5が後方へ荷降ろしされる。これによりアーム装置20の昇降コンベア40上への旋回動作が省略されることで荷降ろし作業時間の短縮化が図られる。
【選択図】
図1