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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 13/40 20110101AFI20250106BHJP
   A63F 13/52 20140101ALI20250106BHJP
   A63F 13/58 20140101ALI20250106BHJP
【FI】
G06T13/40
A63F13/52
A63F13/58
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024010008
(22)【出願日】2024-01-26
【審査請求日】2024-06-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [ウェブサイト]令和6年1月12日掲載 https://www.playstation.com/en-hk/games/granblue-fantasy-relink/ 他417件
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511249637
【氏名又は名称】株式会社Cygames
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】花田 萌美
(72)【発明者】
【氏名】芝 孝次
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/247863(WO,A1)
【文献】特開2023-009135(JP,A)
【文献】原龍, 岩崎晃,“『FINAL FANTASY VII REMAKE』におけるキャラクターアニメーション技術”,[online],CEDEC 2020,2020年,[2024年8月8日検索], インターネット<URL:https://cedil.cesa.or.jp/cedil_sessions/view/2304.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 13/00 - 13/80
G06T 19/00 - 19/20
A63F 13/50 - 13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる微少移動制御手段として機能させ、
前記微少移動制御手段は、
前記微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、前記微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定し、
前記許可エリア内、かつ前記除外エリア外のエリアの中から前記微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返すプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、
前記微少移動とは異なる通常移動での瞳の移動先である基準位置を決定し、決定した前記基準位置に瞳を移動させる通常移動制御手段としてさらに機能させ、
前記微少移動制御手段は、
第1の基準位置にいる瞳に前記第1の動作を行わせる場合、
前記第1の基準位置に基づき前記許可エリアを決定し、
前記第1の基準位置又は少なくとも1回の前記微少移動の後の瞳の位置である現在位置に基づき、次の前記微少移動における瞳の移動先として除外する前記除外エリアを決定する請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記微少移動制御手段は、前記第1の基準位置を中心とした所定エリアの内部を前記許可エリアとして決定する請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記微少移動制御手段は、前記現在位置を中心とした所定エリアの内部を前記除外エリアとして決定する請求項2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記微少移動制御手段は、
瞳に前記第1の動作を行わせるイベントを所定のタイミングで発生させ、
1回の前記イベントに応じて、1回の前記微少移動を行わせるか、複数回連続で前記微少移動を行わせるかを決定し、
1回の前記イベントに応じて、決定した回数の前記微少移動を行わせる請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記微少移動制御手段は、
1回の前記イベントに応じて複数回連続で前記微少移動を行わせる場合、
2回目以降の前記微少移動における瞳の移動先を決定する際には、前記許可エリア及び前記除外エリアの大きさを、1回目の前記微少移動における瞳の移動先を決定する際の前記許可エリア及び前記除外エリアよりも小さくする請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記微少移動制御手段は、
前記微少移動における瞳の移動先を決定する際、予め定められた禁止条件を満たさない移動先を決定し、
前記禁止条件は、瞳の現在位置と移動先とを結ぶ線と、所定方向とのなす角が基準角度未満である請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記微少移動制御手段は、
第1の基準位置にいる瞳に前記第1の動作を行わせる場合において、前記微少移動における瞳の移動先を決定する際、予め定められた禁止条件を満たさない移動先を決定し、
1回の前記イベントに応じて複数回連続で前記微少移動を行わせる場合の2回目以降の前記微少移動における瞳の移動先を決定する場合の前記禁止条件は、
1回目の前記微少移動における瞳の移動方向と2回目以降の前記微少移動における瞳の移動方向が同じ、
2回目以降の前記微少移動における瞳の移動距離が、1回目以降の前記微少移動における瞳の移動距離より大きい、及び、
2回目以降の前記微少移動における移動先が現在位置よりも前記第1の基準位置から離れる、
の少なくとも1つを含む請求項5に記載のプログラム。
【請求項9】
描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる微少移動制御部を有し、
前記微少移動制御部は、
前記微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、前記微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定し、
前記許可エリア内、かつ前記除外エリア外のエリアの中から前記微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返す処理装置。
【請求項10】
1つ以上のコンピュータが、
描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる微少移動制御工程を実行し、
前記微少移動制御工程では、
前記微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、前記微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定し、
前記許可エリア内、かつ前記除外エリア外のエリアの中から前記微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返す処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置、処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の眼球は、視点を固定している時も、マイクロサッカードと呼ばれる微細な眼球運動を行っている。ゲーム画面や各種UI(user interface)画面等においてキャラクタやアバター等が描画されるが、キャラクタやアバター等においてもこの眼球運動を行わせることで、よりリアルな描画が可能となる。
【0003】
関連する技術が非特許文献1に開示されている。非特許文献1は、キャラクタにマイクロサッカードを行わせる技術を開示している。当該技術は、確率モデルを用いて当該眼球運動を生成する。固視微動をする場合、まずは、持続時間が決定され、その後、マイクロサッカードの時間間隔が求められ、一回の固視微動の中で何回マイクロサッカードが発生するかが決まる。固視微動の方向は、被験者全体の観測結果を平均すると大きな偏りが見られなかったため、360°の範囲内で均等になるように乱数で決定される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】岩尾知頼、他4名、“確率モデルに基づく対話時の眼球運動の分析及び合成”、[online]、The Journal of the Institute of Image Electronics Engineers of Japan Vol. 42 No. 5 (2013)、661-670ページ、[令和6年1月11日検索]、インターネット、<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/iieej/42/5/42_661/_pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、非特許文献1では、固視微動の方向は、被験者全体の観測結果を平均すると大きな偏りが見られなかったため、360°の範囲内で均等になるように乱数で決定される。すなわち、非特許文献1では、人間(被験者)の固視微動の観測結果と同様の内容となるように、キャラクタのマイクロサッカードの内容を決定する。
【0006】
しかし、人間の目とキャラクタやアバターの目は、外観が異なる場合がある。例えば、キャラクタやアバターの目は、人間の目に比べて、顔全体に占める割合が大きい場合がある。また、キャラクタやアバターの目は、人間の目に比べて、目全体に対する瞳(黒目部分(瞳孔及び虹彩を含む。以下同様。))の割合が大きい場合がある。また、キャラクタやアバターの瞳(黒目部分)の形状は、人間の瞳(黒目部分)の形状と異なる場合がある。例えば、キャラクタやアバターの瞳の形状は縦長だったりする。
【0007】
人間の目とキャラクタやアバターの目との間には、例えばこのような外観の違いある。このため、人間の目で実際に行われているマイクロサッカードをそのまま真似てキャラクタやアバターに行わせると、不自然に見える場合がある。
【0008】
本開示の目的の一例は、上述した問題を鑑み、描画対象に自然な瞳の動作を行わせる処理装置、処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示によれば、
コンピュータを、
描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる微少移動制御手段として機能させ、
前記微少移動制御手段は、
前記微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、前記微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定し、
前記許可エリア内、かつ前記除外エリア外のエリアの中から前記微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返すプログラムが提供される。
【0010】
また、本開示によれば、
描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる微少移動制御部を有し、
前記微少移動制御部は、
前記微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、前記微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定し、
前記許可エリア内、かつ前記除外エリア外のエリアの中から前記微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返す処理装置が提供される。
【0011】
また、本開示によれば、
1つ以上のコンピュータが、
描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる微少移動制御工程を実行し、
前記微少移動制御工程では、
前記微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、前記微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定し、
前記許可エリア内、かつ前記除外エリア外のエリアの中から前記微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返す処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様によれば、描画対象に自然な瞳の動作を行わせる処理装置、処理方法及びプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示にかかる処理装置の機能ブロック図の一例を示す図である。
図2】本開示にかかる処理装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図3】本開示にかかる処理装置の機能ブロック図の他の一例を示す図である。
図4】本開示にかかる処理装置が表示させる画面の一例を模式的に示す図である。
図5】本開示にかかる処理装置の処理を説明するための図である。
図6】本開示にかかる処理装置の処理を説明するための他の図である。
図7】本開示にかかる処理装置の処理を説明するための他の図である。
図8】本開示にかかる処理装置の処理を説明するための他の図である。
図9】本開示にかかる処理装置の処理を説明するための他の図である。
図10】本開示にかかる処理装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】本開示にかかる処理装置の処理を説明するための他の図である。
図12】本開示にかかる処理装置の処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について、図面を用いて説明する。本開示において図面は、1以上の実施形態に関連付けられる。また、全ての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
<<第1の実施形態>>
図1は、処理装置10の概要を示す機能ブロック図である。図1に示すように、処理装置10は、微少移動制御部11を有する。
【0016】
微少移動制御部11は、描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる。第1の動作は、マイクロサッカードを模擬した動作である。
【0017】
具体的には、微少移動制御部11は、微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定する。そして、微少移動制御部11は、許可エリア内、かつ除外エリア外のエリアの中から微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返す。
【0018】
このような処理装置10によれば、許可エリア及び除外エリアにより、微少移動における瞳の移動先をある程度コントロールすることができる。微少移動における瞳の移動先をある程度コントロールすることで、描画対象に自然な瞳の動作を行わせることが可能となる。
【0019】
<<第2の実施形態>>
<概要>
第2の実施形態の処理装置10は、第1の実施形態の処理装置10の構成を具体化したものである。以下、詳細に説明する。
【0020】
<ハードウエア構成>
処理装置10のハードウエア構成の一例を説明する。処理装置10の各機能部は、ハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。ソフトウエアは、予め装置を出荷する段階から格納されているプログラムや、CD(Compact Disc)等の記録媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラム等を含む。
【0021】
図2は、処理装置10のハードウエア構成を例示するブロック図である。図2に示すように、処理装置10は、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェース3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。処理装置10は周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、処理装置10は物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよい。この場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0022】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェース3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等のメモリである。入出力インターフェース3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサ、カメラ等から情報を取得するためのインターフェースや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェース等を含む。また、入出力インターフェース3Aはインターネット等の通信ネットワークに接続するためのインターフェースを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、物理ボタン、タッチパネル、ゲーム機専用のコントローラ等である。出力装置は、例えばディスプレイ、投影装置、スピーカ、プリンタ、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0023】
<機能構成>
処理装置10の機能構成の一例を説明する。図3に、処理装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、処理装置10は、表示制御部13を有する。表示制御部13は、微少移動制御部11と通常移動制御部12とを有する。
【0024】
表示制御部13は、描画対象が写る画面を出力装置に出力させる。
【0025】
「描画対象」は、キャラクタ及びアバターの少なくとも一方を含む概念である。
【0026】
「画面」は、描画対象を含み、各種情報をユーザに提供するための画面である。
【0027】
画面の一例は、ゲームの一場面を示すゲーム画面である。ゲーム画面は、広く知られたあらゆる技術を利用して実現することができる。
【0028】
画面の他の一例は、ユーザに向けた各種案内を行うUI画面である。このようなUI画面としては、例えばチャットサービス用のUI画面等が例示される。その他、ユーザの選択に応じて予め用意された各種案内を出力するUI画面等も例示される。一例では、このようなUI画面において、描画対象がコンシェルジュ等として表示される。このようなUI画面は、アプリケーション(ソフトウエア)で提供されてもよいし、ウェブページで提供されてもよいし、専用のシステムで提供されてもよいし、その他の手段で提供されてもよい。
【0029】
なお、ここで例示した画面はあくまで一例であり、ここでの例に限定されない。
【0030】
表示制御部13は、画面を生成し、生成した画面を出力装置に出力させてもよい。その他、表示制御部13は、外部装置から画面を受信し、受信した画面を出力装置に出力させてもよい。
【0031】
一例では、処理装置10は、ユーザが操作する操作端末である。この例の場合、操作端末(処理装置10)が表示制御部13を備える。そして、表示制御部13が画面を生成し、操作端末(処理装置10)が備える出力装置や操作端末(処理装置10)に接続された出力装置に、生成した画面を出力させる。
【0032】
「端末装置」は、ゲーム装置、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話、施設等に設置されたサービス専用の端末等であるが、これらに限定されない。
【0033】
他の例では、処理装置10は、ユーザが操作するクライアント端末である。この例の場合、クライアント端末(処理装置10)が表示制御部13を備える。そして、表示制御部13はサーバから画面を受信し、クライアント端末(処理装置10)が備える出力装置やクライアント端末(処理装置10)に接続された出力装置に、受信した画面を出力させる。
【0034】
「クライアント端末」は、ゲーム装置、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、携帯電話、施設等に設置されたサービス専用の端末等であるが、これらに限定されない。クライアント端末はサーバと連携して動作する。
【0035】
他の例では、処理装置10は、サーバである。この例の場合、サーバ(処理装置10)が表示制御部13を備える。そして、表示制御部13が画面を生成し、生成した画面をクライアント端末(出力装置)に出力させる。
【0036】
図4に、表示制御部13が出力装置に出力させた画面の一例を示す。図示する画面には描画対象Cが含まれる。なお、図4の画面の例では、顔がアップになった描画対象Cが含まれるが、全身が見えるように描画対象が含まれてもよいし、上半身のみが見えるように(すなわち、下半身が見えないように)描画対象が含まれてもよいし、その他の態様で描画対象が含まれてもよい。
【0037】
図3に戻り、微少移動制御部11は、描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる。第1の動作は、マイクロサッカードを模擬した動作である。通常移動制御部12は、通常移動で瞳を移動させる。通常移動は、第1の動作の微少移動とは異なる移動であり、例えば描画対象による視線の変更等に起因した瞳の移動である。このような微少移動制御部11と通常移動制御部12との連携により、描画対象に自然な瞳の動作を行わせることができる。以下、詳細に説明する。
【0038】
通常移動制御部12は、通常移動で、画面に含まれる描画対象の瞳を移動させる。
【0039】
図4に示すように、黒目部分が本実施形態の瞳eである。
【0040】
通常移動制御部12は、瞳eの位置を管理している。そして、通常移動制御部12は、通常移動で瞳eの位置を移動させるイベントが発生すると、瞳eの移動先を決定し、決定した移動先に瞳eを移動させる。
【0041】
瞳eの位置は様々な手法で管理可能であり、あらゆる手法を採用可能であるが、本実施形態では瞳eの中心の位置ec(図5参照)を管理するものとする。すなわち、本実施形態で管理している「瞳eの位置」は「瞳eの中心の位置ec」である。
【0042】
「通常移動」は、第1の動作の微少移動、すなわち微少移動制御部11による制御で実現される微少移動とは異なる移動である。通常移動は、例えば描画対象による視線の変更等に起因した瞳の移動である。通常移動は、第1の動作の微少移動を実現する制御とは異なる制御で実現される。
【0043】
「通常移動で瞳eの位置を移動させるイベント」(以下、「通常移動イベント」と呼ぶ場合がある)は、例えばユーザ入力に応じて発生してもよい。通常移動イベントは、第1の動作の微少移動を行う周期よりも長い周期で発生し得る。
【0044】
一例では、ユーザは、入力装置を介して各種入力を行う。この入力は、ゲームの進行に関する入力であってもよいし、画面に表示された描画対象を操作する入力であってもよいし、画面に表示された操作対象(ボタンやその他のオブジェクト等)をタッチする入力であってもよいし、提示された選択肢の中から少なくとも1つを選択する入力であってもよいし、その他であってもよい。
【0045】
通常移動制御部12は、上述のようなユーザ入力が行われると、そのユーザ入力が通常移動イベントを発生させる条件を満たすか判断する。そして、条件を満たす場合に通常移動イベントを発生させる。条件は予め定められている。
【0046】
この例の場合、通常移動制御部12は、ユーザ入力に応じて、瞳の移動先を決定する。ユーザ入力に基づき瞳の移動先を決定するアルゴリズムは設計的事項である。例えば、ユーザ入力が描画対象の視線を変更する入力であった場合、通常移動制御部12は、その入力に基づき瞳の移動先を決定してもよい。その他、ユーザ入力が画面に表示された操作対象(ボタンやその他のオブジェクト等)をタッチする入力である場合、通常移動制御部12は、タッチされた操作対象の方に視線を向けるように瞳の移動先を決定してもよい。
【0047】
その他、通常移動イベントは、ユーザの動作に応じて発生してもよい。この例では、通常移動制御部12は、カメラ、マイク、レーダー等の装置を用いて、ユーザの動作を監視している。そして、通常移動制御部12は、ユーザが予め定められた動作を行ったことを検出すると、それに応じて通常移動イベントを発生させる。
【0048】
この例の場合、通常移動制御部12は、検出したユーザの動作に応じて、瞳の移動先を決定する。検出したユーザの動作に基づき瞳の移動先を決定するアルゴリズムは設計的事項である。例えば、通常移動制御部12は、動きのあったユーザの身体部分を検出し、その身体部分の方向に描画対象の視線を向けるように瞳の移動先を決定してもよい。
【0049】
なお、ここで説明した通常移動イベントの発生の仕方や、通常移動での瞳の移動先の決定の仕方はあくまで一例であり、広く知られたその他のあらゆる手法を用いて描画対象の瞳の通常移動を実現することができる。
【0050】
図5及び図6に、画面に含まれる描画対象の瞳eを通常移動で移動させた例を示す。図5が通常移動の前の状態であり、図6が上述のようにして決定された移動先に瞳eを移動させた状態(通常移動が完了した状態)である。図5の状態から、数フレームかけて、図6の状態まで瞳eを移動させることができる。すなわち、通常移動では、決定された移動先までの瞳eの移動を1~数フレームかけて行うことができる。図5及び図6に示すように、通常移動での瞳eの移動距離は大きくなってもよい。この点で、通常移動は、移動距離が制限される第1の動作の微少移動と異なる。
【0051】
以下、通常移動制御部12により決定された通常移動の移動先を「基準位置」と呼ぶ。描画対象の瞳は、通常移動で決定された複数の基準位置を遷移する。そして、描画対象の瞳は、各基準位置において、第1の動作の微少移動を行う。
【0052】
図3に戻り、微少移動制御部11は、描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる。
【0053】
具体的には、微少移動制御部11は、第1の動作の微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、第1の動作の微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定する。そして、微少移動制御部11は、許可エリア内、かつ除外エリア外のエリアの中から第1の動作の微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返す。
【0054】
ここで、許可エリアの決定方法を説明する。
【0055】
微少移動制御部11は、上述した通常移動で第1の基準位置にいる瞳に第1の動作を行わせる場合、第1の基準位置に基づき許可エリアを決定する。具体的には、微少移動制御部11は、第1の基準位置を中心とした所定エリアの内部を許可エリアとして決定する。所定エリアの形状や大きさは予め定められている。一例では、所定エリアは円であり、円の半径が予め定められている。なお、上述の通り、描画対象の瞳は、通常移動で決定された複数の基準位置を遷移する。第1の基準位置は、描画対象の瞳が現在位置する基準位置である。
【0056】
図7を用いて許可エリアを図解する。図7は、通常移動で位置ecに移動した後の瞳eを示している。この時の基準位置は位置ecである。この場合、微少移動制御部11は、この基準位置(位置ec)を中心とした所定エリアの内部、例えばこの基準位置(位置ec)を中心とした所定の半径の円の内部を、許可エリアaとして決定する。
【0057】
上述の通り、許可エリアaは通常移動の移動先である「基準位置(位置ec)」を基準にして決定される。このため、通常移動による瞳eの移動がない間、許可エリアaの位置は変化しない。すなわち、第1の動作の微少移動で瞳eが移動しても、通常移動による瞳eの移動がなければ、許可エリアaの位置は変化しない。このように通常移動の移動先である「基準位置(位置ec)」を基準にして許可エリアaを決定することで、第1の動作の微少移動を繰り返すことで瞳eの位置が大きく変化してしまう不都合を抑制できる。
【0058】
次に、除外エリアの決定方法を説明する。
【0059】
微少移動制御部11は、瞳の現在位置に基づき除外エリアを決定する。具体的には、微少移動制御部11は、瞳の現在位置を中心とした所定エリアの内部を除外エリアとして決定する。通常移動の後に1回も第1の動作の微少移動を行っていない場合、現在位置は、通常移動の後の基準位置である。一方、通常移動の後に少なくとも1回、第1の動作の微少移動を行った場合、現在位置は、その微少移動の後の瞳の位置である。
【0060】
除外エリアを定めるための所定エリアの形状や大きさは予め定められている。一例では、ここでの所定エリアは横長の楕円であり、横長楕円の形状や大きさが予め定められている。なお、ここでの所定エリアは縦長の楕円や円等のその他の形状であってもよい。しかし、発明者らは、除外エリアを横長楕円にした場合、その他の形状にした場合に比べて、描画対象の瞳に自然な動作を行わせることができることを確認している。例えば、描画対象の瞳の形状が縦長の場合、除外エリアを横長楕円にすることで、その他の形状にした場合に比べて、描画対象の瞳に自然な動作を行わせることができることを確認している。なお、除外エリアの形状は、描画対象のデザイン等に応じて調整することができる。
【0061】
図7を用いて除外エリアを図解する。図7は、通常移動で位置ecに移動した後、1回も第1の動作の微少移動を行っていない瞳eを示している。この時の現在位置は位置ecである。この場合、微少移動制御部11は、この現在位置(位置ec)を中心とした所定エリアの内部、例えばこの現在位置(位置ec)を中心とした所定の形状かつ所定の大きさの横長楕円の内部を、除外エリアfとして決定する。
【0062】
上述の通り、除外エリアfは、通常移動及び第1の動作の微少移動によって変化する現在位置を基準にして決定される。このため、通常移動及び第1の動作の微少移動によって変化するたびに、除外エリアfの位置は変化する。このように「現在位置」を基準にし、現在位置を中心とした所定エリアを除外エリアfとして決定することで、各回の微少移動で一定以上の距離の移動を行わせることができる。
【0063】
次に、許可エリア内かつ除外エリア外のエリアの中から第1の動作の微少移動における瞳の移動先を決定する処理を説明する。
【0064】
図7の例の場合、許可エリアa内かつ除外エリアf外のエリアは、斜線で明示したエリアである。微少移動制御部11は、斜線で明示したエリアの中から、ランダムに、第1の動作の微少移動における瞳eの移動先を決定する。例えば、図8に示すように移動先dが決定される。
【0065】
なお、微少移動制御部11は、許可エリア内かつ除外エリア外のエリアの中から、予め定められた禁止条件を満たさない移動先を決定してもよい。
【0066】
禁止条件は、瞳の現在位置と移動先とを結ぶ線と、所定方向とのなす角が基準角度未満である。発明者は、第1の動作の微少移動で描画対象の瞳を所定方向に移動させると、不自然に見える場合があることを発見した。このような禁止条件を設定することで、第1の動作の微少移動で描画対象の瞳を所定方向、すなわち不自然に見える方向に移動させる不都合を抑制できる。
【0067】
第1の動作の微少移動で不自然に見える瞳の移動方向は、例えば瞳の上下方向(目の上下方向、顔の上下方向と表現することもできる)である。この場合の禁止条件は、瞳の現在位置と移動先とを結ぶ線と、瞳の上下方向(目の上下方向、顔の上下方向と表現することもできる)とのなす角が基準角度未満とすることができる。なお、瞳の移動を禁止する方向は、描画対象のデザイン等に応じて決定することができる。
【0068】
微少移動制御部11は、上述のようにして第1の動作の微少移動における瞳の移動先を決定した後、決定した移動先に瞳を移動させる。なお、第1の動作の微少移動における瞳の移動距離は、許可エリアにより制限され、比較的小さい値となる。このため、微少移動制御部11は、1フレーム、又はそれに準ずる少ないフレームで、決定した移動先に瞳を移動させることができる。微少移動制御部11は、決定した移動先への瞳の移動にかける時間を微少移動の距離によって異ならせず、一定の時間(1フレーム、又はそれに準ずる少ないフレーム)で当該移動を制御してもよい。
【0069】
図8に示すように移動先dが決定された後、決定された移動先dに瞳eを移動させた状態を図9に示す。図9では、瞳eの位置ec(瞳eの中心の位置)が移動先dと一致している。
【0070】
図9に示す微少移動の後に、次の微少移動の移動先を決定する場合には、微少移動制御部11は、図9に示すように許可エリアa及び除外エリアfを決定する。
【0071】
上述の通り、許可エリアaは通常移動の移動先である「基準位置(位置ec)」を基準にして決定される。このため、第1の動作の微少移動で瞳eが移動しても、通常移動による瞳eの移動がなければ、許可エリアaの位置は変化しない。第1の動作の微少移動の前の状態である図8と、第1の動作の微少移動の後の状態である図9を比較すると、許可エリアaの位置が変化していないことが分かる。
【0072】
また、上述の通り、除外エリアfは、通常移動及び第1の動作の微少移動によって変化する現在位置を基準にして決定される。このため、第1の動作の微少移動で瞳eが移動すると、除外エリアfの位置は変化する。第1の動作の微少移動の前の状態である図8と、第1の動作の微少移動の後の状態である図9を比較すると、除外エリアfの位置が変化していることが分かる。
【0073】
図9に示す微少移動の後に、次の微少移動の移動先を決定する場合には、微少移動制御部11は、図9に示す許可エリアa内かつ除外エリアf外のエリアである斜線で明示したエリアの中から、ランダムに、次の微少移動における瞳eの移動先を決定する。第1の動作の微少移動の前の状態である図8と、第1の動作の微少移動の後の状態である図9を比較すると、微少移動に応じて、次の微少移動で移動できるエリア(斜線で明示したエリア)が変化していることが分かる。
【0074】
微少移動制御部11は、描画対象の瞳に第1の動作を行わせるイベント(以下、「第1の動作イベント」と呼ぶ場合がある)を所定のタイミングで発生させる。そして、微少移動制御部11は、第1の動作イベントの発生に応じて、描画対象の瞳に第1の動作を行わせる。
【0075】
例えば、微少移動制御部11は、所定時間に1回、第1の動作イベントを発生させる。所定時間は数秒(例:2~4秒)である。所定時間は数秒(例:2~4秒)の間でランダムに決定されてもよい。この場合、微少移動制御部11は、ある微少移動を行った後、次の微少移動を発生させる時間間隔を、所定時間の間でランダムに決定する。そして、微少移動制御部11は、決定した時間が経過したことに応じて、第1の動作イベントを発生させる。微少移動制御部11は、各回の微少移動毎に、次の微少移動を発生させる時間間隔を、所定時間の間でランダムに決定することができる。
【0076】
なお、詳細な説明は省略するが、表示制御部13は、描画対象のその他のパーツ(眉毛、鼻、口、手、腕、足等)の動作を制御する制御部を有してもよい。
【0077】
次に、図10のフローチャートを用いて、微少移動制御部11により実現される処理装置10の処理の流れの一例を説明する。
【0078】
処理装置10は、第1の動作イベントの発生待ちとなっている(S10)。
【0079】
処理装置10は、第1の動作イベントが発生すると(S10のYes)、許可エリア及び除外エリアに基づき第1の動作の微少移動における瞳の移動先を決定する(S11)。そして、処理装置10は、決定した移動先に瞳を移動させる(S12)。
【0080】
以降、処理を終了する指示がなければ(S13のNo)、処理装置10は、同様の処理を繰り返す。
【0081】
なお、許可エリア及び除外エリアは、第1の動作イベントが発生する前に決定されていてもよいし、第1の動作イベントが発生した後に決定されていてもよい。
【0082】
また、図10の変形例として、処理装置10は、第1の動作イベントの発生前に、S11を行い、次の第1の動作の微少移動における瞳の移動先を決定しておいてもよい。そして、処理装置10は、第1の動作イベントが発生すると(S10のYes)、事前に決定していた移動先に瞳を移動させてもよい(S12)。
【0083】
「作用効果」
本実施形態の処理装置10によれば、第1の実施形態の処理装置10と同用の作用効果が実現される。すなわち、本実施形態の処理装置10によれば、描画対象の瞳に自然な第1の動作(マイクロサッカードを模擬した動作)を行わせることができる。
【0084】
また、本実施形態の処理装置10のように特徴的な手法で許可エリア及び除外エリアを決定することで、第1の動作の微少移動を繰り返すことで瞳eの位置が大きく変化してしまう不都合を抑制しつつ、第1の動作で十分な距離の微少移動を行うことができる。
【0085】
また、本実施形態の処理装置10のように、第1の動作の微少移動における瞳の移動先として禁止する条件(禁止条件)を用いて、第1の動作の微少移動における瞳の移動先を決定することで、描画対象の瞳に自然な第1の動作(マイクロサッカードを模擬した動作)を行わせることができる。
【0086】
<<第3の実施形態>>
本実施形態の処理装置10は、1回の第1の動作イベントの発生に応じて、描画対象の瞳に連続して複数回の微少移動を行わせることができる。そして、本実施形態の処理装置10は、このような連続した複数回の微少移動を自然な動作にするための特徴的な構成を有する。以下、詳細に説明する。
【0087】
微少移動制御部11は、1回の第1の動作イベントの発生に応じて、描画対象の瞳に連続して複数回の微少移動を行わせることができる。
【0088】
「複数回」は2回以上である。ただし、本発明者らは、連続して2回の微少移動を行わせるのが最も自然な動作であり、連続して3回以上微少移動を行わせると多少不自然な動作になり得ることを確認している。このため、1回の第1の動作イベントの発生に応じて連続して行わせる微少移動の回数は2回とするのが好ましい。
【0089】
連続して行う微少移動の時間間隔は、1秒未満であり、例えば0.4~0.8秒程度である。微少移動制御部11は、最初の微少移動が終了したタイミングから当該時間が経過した後に、2回目の微少移動を行わせることができる。連続して行う微少移動の時間間隔は固定であってもよいし、変動してもよい。変動する場合、微少移動制御部11は、所定の時間の中でランダムに当該時間間隔を決定してもよい。
【0090】
なお、微少移動制御部11は、1回の第1の動作イベントの発生に応じて行わせる微少移動の回数をランダムに決定してもよい。1回の第1の動作イベントの発生に応じて行わせる微少移動の回数が1回か2回である場合、微少移動制御部11は、ランダムに、この選択肢の中から回数を決定する。微少移動制御部11は、第1の動作イベントの発生毎に、各回の第1の動作イベントの発生に応じて行わせる微少移動の回数をランダムに決定することができる。そして、微少移動制御部11は、1回の第1の動作イベントの発生に応じて、決定した回数の微少移動を描画対象の瞳に行わせることができる。
【0091】
図11に、当該例の一例を示す。図11では、第1の動作イベントの発生タイミング、及び各々に応じて実行された微少移動の実行タイミングが示されている。
【0092】
第2の実施形態で説明した通り、連続する第1の動作イベント間の時間間隔は所定時間の間でランダムに決定することができる。このため、図のt、t、tの長さは互いに異なっている。
【0093】
図示する例では、図の中の最初の第1の動作イベントの発生に応じて、連続して2回の微少移動が行われている。連続する2回の微少移動の間の時間間隔tは、連続する第1の動作イベント間の時間間隔t、t、tよりも短い。
【0094】
また、図示する例では、図の中の2番目の第1の動作イベントの発生に応じて、1回の微少移動が行われている。また、図の中の3番目の第1の動作イベントの発生に応じて、1回の微少移動が行われている。
【0095】
そして、図示する例では、図の中の4番目の第1の動作イベントの発生に応じて、連続して2回の微少移動が行われている。連続する2回の微少移動の間の時間間隔tは、連続する第1の動作イベント間の時間間隔t、t、tよりも短い。上述の通り、tとtは同じであってもよいし(固定)、異なってもよい(変動)。
【0096】
次に、1回の第1の動作イベントの発生に応じて連続して複数回の微少移動を行わせる場合に、第1の動作を自然な動作にするための特徴を説明する。
【0097】
微少移動制御部11は、1回の第1の動作イベントに応じて複数回連続で微少移動を行わせる場合、2回目以降の微少移動における瞳の移動先を決定する際には、許可エリア及び除外エリアの大きさを、1回目の微少移動における瞳の移動先を決定する際の許可エリア及び除外エリアよりも小さくする。以下、1回目の微少移動における瞳の移動先を決定する際の許可エリア及び除外エリアを「1回目の許可エリア」及び「1回目の除外エリア」と呼ぶ。そして、2回目以降の微少移動における瞳の移動先を決定する際の許可エリア及び除外エリアを「2回目以降の許可エリア」及び「2回目以降の除外エリア」と呼ぶ。
【0098】
微少移動制御部11は、例えば、2回目以降の許可エリア及び除外エリアの大きさを、1回目の許可エリア及び除外エリアの半分の大きさにすることができる。なお、1回目の許可エリアの中心と2回目以降の許可エリアの中心は一致しており、大きさだけが異なる。1回目の除外エリアと2回目以降の除外エリアは、中心及び大きさが異なる。
【0099】
このように2回目以降の許可エリアを1回目の許可エリアよりも小さくすることで、一定の確率で、2回目以降の微少移動で瞳の位置を基準位置(許可エリアの中心)に近づけることができる。
【0100】
また、2回目以降の除外エリアを1回目の除外エリアよりも小さくすることで、一定の確率で、2回目以降の微少移動での瞳の移動距離を1回目の微少移動での瞳の移動距離よりも小さくすることができる。
【0101】
本発明者らは、連続した複数回の微少移動においてこのような動きを行わせることで、描画対象の瞳に自然な第1の動作(マイクロサッカードを模擬した動作)を行わせることができることを確認している。
【0102】
なお、1回の第1の動作イベントの発生に応じて連続して複数回の微少移動を行わせる場合の禁止条件として、次のような条件1乃至3の中の少なくとも1つが定められていてもよい。そして、微少移動制御部11は、許可エリア内かつ除外エリア外のエリアの中から、その禁止条件を満たさない移動先を決定してもよい。
【0103】
(条件1)1回目の微少移動における瞳の移動方向と2回目以降の微少移動における瞳の移動方向が同じ
(条件2)2回目以降の微少移動における瞳の移動距離が、1回目以降の微少移動における瞳の移動距離より大きい
(条件3)2回目以降の微少移動における移動先が、現在位置よりも第1の基準位置から離れる
【0104】
本発明者らは、1回の第1の動作イベントの発生に応じて連続して複数回の微少移動を行わせる場合に、連続する複数回の微少移動の移動方向が同じであると、第1の動作が不自然になることを確認している。条件1によれば、このような不自然な動作を回避できる。そして、描画対象の瞳に自然な第1の動作(マイクロサッカードを模擬した動作)を行わせることができる。
【0105】
上述の通り、2回目以降の許可エリアを1回目の許可エリアよりも小さくすることで、一定の確率で、2回目以降の微少移動で瞳の位置を基準位置(許可エリアの中心)に近づけることができる。しかし、絶対ではない。条件2を設けることで、確実に、2回目以降の微少移動で瞳の位置を基準位置(許可エリアの中心)に近づけることができる。そして、描画対象の瞳に自然な第1の動作(マイクロサッカードを模擬した動作)を行わせることができる。
【0106】
また、上述の通り、2回目以降の除外エリアを1回目の除外エリアよりも小さくすることで、一定の確率で、2回目以降の微少移動での瞳の移動距離を1回目の微少移動での瞳の移動距離よりも小さくすることができる。しかし、絶対ではない。条件3を設けることで、確実に、2回目以降の微少移動での瞳の移動距離を1回目の微少移動での瞳の移動距離よりも小さくすることができる。そして、描画対象の瞳に自然な第1の動作(マイクロサッカードを模擬した動作)を行わせることができる。
【0107】
次に、図12のフローチャートを用いて、微少移動制御部11により実現される処理装置10の処理の流れの一例を説明する。
【0108】
処理装置10は、第1の動作イベントの発生待ちとなっている(S20)。
【0109】
処理装置10は、第1の動作イベントが発生すると(S20のYes)、微少移動の回数をランダムに決定する(S21)。ここでは、1回及び2回の中でランダムに回数を決定するものとする。
【0110】
決定された回数が2回である場合(S22の「2回」)、処理装置10は、許可エリア及び除外エリアに基づき第1の動作の微少移動における瞳の移動先を決定する(S23)。そして、処理装置10は、決定した移動先に瞳を移動させる(S24)。次いで、処理装置10は、許可エリア及び除外エリアに基づき2回目の微少移動における瞳の移動先を決定する(S25)。そして、処理装置10は、決定した移動先に瞳を移動させる(S26)。
【0111】
一方、決定された回数が1回である場合(S22の「1回」)、処理装置10は、許可エリア及び除外エリアに基づき第1の動作の微少移動における瞳の移動先を決定する(S27)。そして、処理装置10は、決定した移動先に瞳を移動させる(S28)。
【0112】
以降、処理を終了する指示がなければ(S29のNo)、処理装置10は、同様の処理を繰り返す。
【0113】
なお、微少移動の回数を決定するタイミング、許可エリアの決定タイミング、除外エリアの決定タイミング、微少移動における瞳の移動先の決定タイミングは、図12に示す例に限定されない。同様の作用効果が得られる範囲で、これらのタイミングを他のタイミングに変更することができる。例えば、1回の第1の動作イベントの発生に応じて連続して2回の微少移動を行わせる場合に、処理装置10は、2回目の微少移動が終わった時点から次の第1の動作イベントの発生タイミングまでの時間を所定時間の間でランダムに決定してもよい。その他、1回の第1の動作イベントの発生に応じて連続して2回の微少移動を行わせる場合に、処理装置10は、1回目の微少移動が終わった時点から次の第1の動作イベントの発生タイミングまでの時間を所定時間の間でランダムに決定してもよい。
【0114】
本実施形態の処理装置10のその他の構成は、第1及び第2の実施形態の処理装置10と同様である。
【0115】
本実施形態の処理装置10によれば、第1及び第2の実施形態の処理装置10と同様の作用効果が実現される。
【0116】
また、本実施形態の処理装置10は、1回の第1の動作イベントの発生に応じて連続して複数回の微少移動を行わせることができる。また、本実施形態の処理装置10は、1回の第1の動作イベントの発生に応じて行わせる微少移動の回数をランダムに決定することができる。このような本実施形態の処理装置10によれば、マイクロサッカードを模擬した第1の動作をよりリアルかつ自然にすることができる。
【0117】
また、本実施形態の処理装置10は、1回の第1の動作イベントの発生に応じて連続して複数回の微少移動を行わせる場合、マイクロサッカードを模擬した第1の動作において上述のような特徴的な制限を加えることができる。本発明者らは、このような制限により、1回の第1の動作イベントの発生に応じて連続して複数回の微少移動を行わせる場合において、マイクロサッカードを模擬した第1の動作を自然なものにできることを確認している。
【0118】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。そして、各実施の形態は、適宜他の実施の形態と組み合わせることができる。
【0119】
また、上述の説明で用いた複数のフローチャートでは、複数の工程(処理)が順番に記載されている。しかし、各実施の形態で実行される工程の実行順序は、その記載の順番に制限されない。各実施の形態では、図示される工程の順番を内容的に支障のない範囲で変更することができる。
【0120】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下に限られない。
1. コンピュータを、
描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる微少移動制御手段として機能させ、
前記微少移動制御手段は、
前記微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、前記微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定し、
前記許可エリア内、かつ前記除外エリア外のエリアの中から前記微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返すプログラム。
2. 前記コンピュータを、
前記微少移動とは異なる通常移動での瞳の移動先である基準位置を決定し、決定した前記基準位置に瞳を移動させる通常移動制御手段としてさらに機能させ、
前記微少移動制御手段は、
第1の基準位置にいる瞳に前記第1の動作を行わせる場合、
前記第1の基準位置に基づき前記許可エリアを決定し、
前記第1の基準位置又は少なくとも1回の前記微少移動の後の瞳の位置である現在位置に基づき、次の前記微少移動における瞳の移動先として除外する前記除外エリアを決定する1に記載のプログラム。
3. 前記微少移動制御手段は、前記第1の基準位置を中心とした所定エリアの内部を前記許可エリアとして決定する2に記載のプログラム。
4. 前記微少移動制御手段は、前前記現在位置を中心とした所定エリアの内部を前記除外エリアとして決定する2又は3に記載のプログラム。
5. 前記微少移動制御手段は、
瞳に前記第1の動作を行わせるイベントを所定のタイミングで発生させ、
1回の前記イベントに応じて、1回の前記微少移動を行わせるか、複数回連続で前記微少移動を行わせるかを決定し、
1回の前記イベントに応じて、決定した回数の前記微少移動を行わせる1から4のいずれかに記載のプログラム。
6. 前記微少移動制御手段は、
1回の前記イベントに応じて複数回連続で前記微少移動を行わせる場合、
2回目以降の前記微少移動における瞳の移動先を決定する際には、前記許可エリア及び前記除外エリアの大きさを、1回目の前記微少移動における瞳の移動先を決定する際の前記許可エリア及び前記除外エリアよりも小さくする5に記載のプログラム。
7. 前記微少移動制御手段は、
前記微少移動における瞳の移動先を決定する際、予め定められた禁止条件を満たさない移動先を決定し、
前記禁止条件は、瞳の現在位置と移動先とを結ぶ線と、所定方向とのなす角が基準角度未満である1から6のいずれかに記載のプログラム。
8. 前記微少移動制御手段は、
前記微少移動における瞳の移動先を決定する際、予め定められた禁止条件を満たさない移動先を決定し、
1回の前記イベントに応じて複数回連続で前記微少移動を行わせる場合の2回目以降の前記微少移動における瞳の移動先を決定する場合の前記禁止条件は、
1回目の前記微少移動における瞳の移動方向と2回目以降の前記微少移動における瞳の移動方向が同じ、
2回目以降の前記微少移動における瞳の移動距離が、1回目以降の前記微少移動における瞳の移動距離より大きい、及び、
2回目以降の前記微少移動における移動先が現在位置よりも前記第1の基準位置から離れる、
の少なくとも1つを含む5又は6に記載のプログラム。
9. 描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる微少移動制御部を有し、
前記微少移動制御部は、
前記微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、前記微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定し、
前記許可エリア内、かつ前記除外エリア外のエリアの中から前記微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返す処理装置。
10. 1つ以上のコンピュータが、
描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる微少移動制御工程を実行し、
前記微少移動制御工程では、
前記微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、前記微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定し、
前記許可エリア内、かつ前記除外エリア外のエリアの中から前記微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返す処理方法。
【符号の説明】
【0121】
10 処理装置
11 微少移動制御部
12 通常移動制御部
13 表示制御部
1A プロセッサ
2A メモリ
3A 入出力I/F
4A 周辺回路
5A バス
【要約】
【課題】描画対象に自然な瞳の動作を行わせる。
【解決手段】本開示の処理装置10は、描画対象の瞳に、微少移動を繰り返す第1の動作を行わせる微少移動制御部11を有する。微少移動制御部11は、微少移動における瞳の移動先として許可する許可エリアと、微少移動における瞳の移動先として除外する除外エリアとを決定する。そして、微少移動制御部11は、許可エリア内、かつ除外エリア外のエリアの中から微少移動における瞳の移動先を決定し、決定した移動先に瞳を移動させる処理を繰り返す。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12