(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】作案装置、作案方法及び作案プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20250106BHJP
H04N 21/2665 20110101ALI20250106BHJP
【FI】
G06Q30/0241
H04N21/2665
(21)【出願番号】P 2024128654
(22)【出願日】2024-08-05
【審査請求日】2024-08-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岸本 渉
(72)【発明者】
【氏名】岡野 孝則
(72)【発明者】
【氏名】金塚 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】荒川 大
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真由子
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-257893(JP,A)
【文献】特開2021-165927(JP,A)
【文献】特開2021-072577(JP,A)
【文献】特開2022-047571(JP,A)
【文献】特開2005-332084(JP,A)
【文献】特表2019-532435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0108052(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
H04N 21/2665
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告主毎及び/又はキャンペーン毎の作案である単体作案を、広告主及び/又はキャンペーンの数に対応する複数の単体作案として取得する取得部と、
前記複数の単体作案の各々の指定枠を合算した合算指定枠の中から、在庫枠を超過した競合枠を抽出する抽出部と、
所定ルールに基づいて、前記競合枠において、前記複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる競合解消部と、
前記複数の単体作案の中のある単体作案の優先度を設定するとともに、前記競合解消部によるある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が消滅されずに前記ある競合枠に割り当てられる度に、前記ある単体作案にカウントアップを行い、前記競合解消部によるある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が消滅される度に、前記ある単体作案にカウントダウン又はカウントリセットを行い、前記競合解消部によるある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が対象とならなかったときに、前記ある単体作案にカウントアップ、カウントダウン及びカウントリセットのいずれも行わず、前記ある単体作案が所定カウントに到達したときに、前記ある単体作案を優先単体作案に設定する優先度設定部と、
を有し、
前記競合解消部は、前記ある競合枠以外のその他の競合枠において、前記優先単体作案の指定枠を消滅させることなく、優先的に割り当てる、
ことを特徴とする作案装置。
【請求項2】
広告主毎及び/又はキャンペーン毎の作案である単体作案を、広告主及び/又はキャンペーンの数に対応する複数の単体作案として取得する取得部と、
前記複数の単体作案の各々の指定枠を合算した合算指定枠の中から、在庫枠を超過した競合枠を抽出する抽出部と、
所定ルールに基づいて、前記競合枠において、前記複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる競合解消部と、
前記合算指定枠の中に前記競合枠が存在しなくなった後に、前記複数の単体作案の指定枠どうしを交換する枠交換部と、
を有し、
前記枠交換部は、前記複数の単体作案の各々について、条件逸脱度合を示すペナルティ値を求め、前記ペナルティ値が高い単体作案を優先しながら、前記複数の単体作案の各々のペナルティ値が所定値を下回るまで、前記複数の単体作案の指定枠どうしの交換を成立させる、
ことを特徴とする作案装置。
【請求項3】
前記ペナルティ値は、前記複数の単体作案の各々に含まれる、CM本数情報、CM単価情報、同番組CM本数上限情報、ターゲット含有情報、及び、不可枠情報に基づいて算出される、
ことを特徴とする請求項2に記載の作案装置。
【請求項4】
前記抽出部は、前記合算指定枠の中に前記競合枠が存在しなくなるまで、前記競合枠の抽出処理を実行し、
前記競合解消部は、前記合算指定枠の中に前記競合枠が存在しなくなるまで、前記競合枠の競合解消処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の作案装置。
【請求項5】
前記合算指定枠の中に含まれる前記競合枠のうち、競合在庫時間に対する合算指定時間の超過時間が長いものを優先競合枠として設定する優先競合枠設定部を有し、
前記競合解消部は、前記優先競合枠において、前記複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の作案装置。
【請求項6】
広告主毎及び/又はキャンペーン毎の作案である単体作案を、広告主及び/又はキャンペーンの数に対応する複数の単体作案として取得する取得ステップと、
前記複数の単体作案の各々の指定枠を合算した合算指定枠の中から、在庫枠を超過した競合枠を抽出する抽出ステップと、
所定ルールに基づいて、前記競合枠において、前記複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる競合解消ステップと、
前記複数の単体作案の中のある単体作案の優先度を設定するとともに
、ある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が消滅されずに前記ある競合枠に割り当てられる度に、前記ある単体作案にカウントアップを行い、前
記ある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が消滅される度に、前記ある単体作案にカウントダウン又はカウントリセットを行い、前
記ある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が対象とならなかったときに、前記ある単体作案にカウントアップ、カウントダウン及びカウントリセットのいずれも行わず、前記ある単体作案が所定カウントに到達したときに、前記ある単体作案を優先単体作案に設定する優先度設定ステップと、
を有し、
前記競合解消ステップでは、前記ある競合枠以外のその他の競合枠において、前記優先単体作案の指定枠を消滅させることなく、優先的に割り当てる、
ような各処理ステップをコンピュータが実行することを特徴とする作案方法。
【請求項7】
広告主毎及び/又はキャンペーン毎の作案である単体作案を、広告主及び/又はキャンペーンの数に対応する複数の単体作案として取得する取得ステップと、
前記複数の単体作案の各々の指定枠を合算した合算指定枠の中から、在庫枠を超過した競合枠を抽出する抽出ステップと、
所定ルールに基づいて、前記競合枠において、前記複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる競合解消ステップと、
前記合算指定枠の中に前記競合枠が存在しなくなった後に、前記複数の単体作案の指定枠どうしを交換する枠交換ステップと、
を有し、
前記枠交換ステップでは、前記複数の単体作案の各々について、条件逸脱度合を示すペナルティ値を求め、前記ペナルティ値が高い単体作案を優先しながら、前記複数の単体作案の各々のペナルティ値が所定値を下回るまで、前記複数の単体作案の指定枠どうしの交換を成立させる、
ような各処理ステップをコンピュータが実行することを特徴とする作案方法。
【請求項8】
広告主毎及び/又はキャンペーン毎の作案である単体作案を、広告主及び/又はキャンペーンの数に対応する複数の単体作案として取得する取得ステップと、
前記複数の単体作案の各々の指定枠を合算した合算指定枠の中から、在庫枠を超過した競合枠を抽出する抽出ステップと、
所定ルールに基づいて、前記競合枠において、前記複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる競合解消ステップと、
前記複数の単体作案の中のある単体作案の優先度を設定するとともに
、ある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が消滅されずに前記ある競合枠に割り当てられる度に、前記ある単体作案にカウントアップを行い、前
記ある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が消滅される度に、前記ある単体作案にカウントダウン又はカウントリセットを行い、前
記ある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が対象とならなかったときに、前記ある単体作案にカウントアップ、カウントダウン及びカウントリセットのいずれも行わず、前記ある単体作案が所定カウントに到達したときに、前記ある単体作案を優先単体作案に設定する優先度設定ステップと、
を有し、
前記競合解消ステップでは、前記ある競合枠以外のその他の競合枠において、前記優先単体作案の指定枠を消滅させることなく、優先的に割り当てる、
ような各処理ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする作案プログラム。
【請求項9】
広告主毎及び/又はキャンペーン毎の作案である単体作案を、広告主及び/又はキャンペーンの数に対応する複数の単体作案として取得する取得ステップと、
前記複数の単体作案の各々の指定枠を合算した合算指定枠の中から、在庫枠を超過した競合枠を抽出する抽出ステップと、
所定ルールに基づいて、前記競合枠において、前記複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる競合解消ステップと、
前記合算指定枠の中に前記競合枠が存在しなくなった後に、前記複数の単体作案の指定枠どうしを交換する枠交換ステップと、
を有し、
前記枠交換ステップでは、前記複数の単体作案の各々について、条件逸脱度合を示すペナルティ値を求め、前記ペナルティ値が高い単体作案を優先しながら、前記複数の単体作案の各々のペナルティ値が所定値を下回るまで、前記複数の単体作案の指定枠どうしの交換を成立させる、
ような各処理ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする作案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作案装置、作案方法及び作案プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
作案は、例えば、スポットCMキャンペーンの発注に対して、放送局がどのCM枠を割り当てるかを決める作業である。特許文献1には、作案を自動で行うための自動作案システムが記載されている。
【0003】
特許文献1の自動作案システムは、入力手段と、第1の記憶手段と、第2の記憶手段と、作案手段と、改案手段と、微調節手段とを備える。入力手段は、引合条件を入力する。第1の記憶手段は、入力手段によって入力された引合条件を記憶する。第2の記憶手段は、タイムテーブルを記憶する。作案手段は、第1の記憶手段によって記憶されている引合条件と、第2の記憶手段によって記憶されているタイムテーブルに基づいて、作案を行う。改案手段は、作案手段による作案結果を改案する。微調節手段は、改案手段による改案結果を微調節する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術は、広告主毎、及び/又は、キャンペーン毎の作案を単体作案と定義した場合において、複数の単体作案が競合したときに、その競合を解消して、全体として優れた作案を実現するという観点において、改良の余地がある。
【0006】
そこで本開示は、複数の単体作案が競合しても全体として優れた作案を実現することができる作案装置、作案方法及び作案プログラムを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る作案装置は、広告主毎及び/又はキャンペーン毎の作案である単体作案を、広告主及び/又はキャンペーンの数に対応する複数の単体作案として取得する取得部と、前記複数の単体作案の各々の指定枠を合算した合算指定枠の中から、在庫枠を超過した競合枠を抽出する抽出部と、所定ルールに基づいて、前記競合枠において、前記複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる競合解消部と、前記複数の単体作案の中のある単体作案の優先度を設定するとともに、前記競合解消部によるある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が消滅されずに前記ある競合枠に割り当てられる度に、前記ある単体作案にカウントアップを行い、前記競合解消部によるある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が消滅される度に、前記ある単体作案にカウントダウン又はカウントリセットを行い、前記競合解消部によるある競合枠の競合解消処理において、前記ある単体作案のある指定枠が対象とならなかったときに、前記ある単体作案にカウントアップ、カウントダウン及びカウントリセットのいずれも行わず、前記ある単体作案が所定カウントに到達したときに、前記ある単体作案を優先単体作案に設定する優先度設定部と、を有し、前記競合解消部は、前記ある競合枠以外のその他の競合枠において、前記優先単体作案の指定枠を消滅させることなく、優先的に割り当てる、ことを特徴とする。
本開示の一態様に係る作案装置は、広告主毎及び/又はキャンペーン毎の作案である単体作案を、広告主及び/又はキャンペーンの数に対応する複数の単体作案として取得する取得部と、前記複数の単体作案の各々の指定枠を合算した合算指定枠の中から、在庫枠を超過した競合枠を抽出する抽出部と、所定ルールに基づいて、前記競合枠において、前記複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる競合解消部と、前記合算指定枠の中に前記競合枠が存在しなくなった後に、前記複数の単体作案の指定枠どうしを交換する枠交換部と、を有し、前記枠交換部は、前記複数の単体作案の各々について、条件逸脱度合を示すペナルティ値を求め、前記ペナルティ値が高い単体作案を優先しながら、前記複数の単体作案の各々のペナルティ値が所定値を下回るまで、前記複数の単体作案の指定枠どうしの交換を成立させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、複数の単体作案が競合しても全体として優れた作案を実現することができる作案装置、作案方法及び作案プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の作案装置を含む作案システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態の作案装置の内部構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】抽出部による抽出処理の一例を示す概念図である。
【
図4】競合解消部による競合解消処理の一例を示す概念図である。
【
図5】本実施形態の作案装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の作案装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において「作案」とは、例えば、スポットCMキャンペーンの発注に対して、放送局がどのCM枠を割り当てるかを決める作業、さらには当該作業に基づいた成果物(いわばCM枠の割り当てマップ)を意味している。
【0011】
作案は、例えば、広告主毎及び/又はキャンペーン毎の作案である「単体作案」として準備・提供される。例えば、ある事業者やメーカーが広告主となって、ある商品や役務を販売や提供するためのキャンペーンを打つべく、CMを発注すると、CMの発注に対する単体作案が行われる(CM枠の割り当てマップが作成される)。あるいは、単体作案は、広告主毎に(キャンペーンに関わらずに)準備・提供されてもよいし、キャンペーン毎に(特定の広告主に限定されずに、例えば複数かつ流動的な広告主に跨ったキャンペーン毎に)準備・提供されてもよい。
【0012】
単体作案は、広告主毎及び/又はキャンペーン毎に準備・提供されるので、広告主及び/又はキャンペーンが複数あれば、当然、複数の単体作案が競合し得る。しかしながら、上述した特許文献1を含んだ従来技術は、複数の単体作案が競合したときに、その競合を解消して、全体として優れた作案を実現するという観点において、改良の余地がある。
【0013】
そこで、本実施形態の作案装置、作案方法及び作案プログラムでは、複数の単体作案が競合しても全体として優れた作案を実現するための自動作案アルゴリズムを提案している(工夫を施している)。この自動作案アルゴリズム(処理の流れ)では、まず、「過去学習ステップ」において、過去作案から、広告主毎及び/又はキャンペーン毎の絵柄の特徴を学習し、対象キャンペーンのCM本数期待値を算出する。ここで、絵柄とは、例えば、CMの放送スケジュールを曜日と時間帯ごとに配置した際に、放送予定枠の固まり具合や配置を表したものとして定義(説明)される。また、「単体作案ステップ」において、広告主毎及び/又はキャンペーン毎の単独で、在庫内で、作案条件・過去学習の結果をなるべく満たすように、作案を行う(複数の単体作案を作成・取得する)。また、「競合解消ステップ」において、単体作案の結果を広告主及び/又はキャンペーンの数だけ集め(複数の単体作案を集め)、在庫を超えた番組枠がある場合には、競合解消シミュレーションを実施する(競合解消シミュレーションについては後に詳しく説明する)。そして、「最終調整ステップ」において、競合解消シミュレーションでも競合解消できなかった場合に再度全在庫から条件を満たす解を探索するステップ1を実行する。さらに、このステップ1に続いて、必要に応じて、2つの広告主及び/又はキャンペーンの間での枠交換を行い、より条件を満たすべき解を探索するステップ2を実行する。
【0014】
図1は、本実施形態の作案装置10を含む作案システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、作案装置10は、広告主20(例えば広告主のサーバ装置)と放送局30(例えば放送局のサーバ装置)の間を介在するように(両者に接続されるように)設けられている。
図1に示すように、広告主20から作案装置10にキャンペーン発注が行われ、作案装置10から放送局30にCM枠発注が行われる。また、放送局30から作案装置10にCM枠納品が行われ、作案装置10から広告主にCMのOAが提供される。作案装置10は、放送局30に代わって、キャンペーンの発注に対してどのCM枠を割り当てるかを作案してもよいし(CM枠の割り当てマップを生成してもよいし)、放送局30の一部として、キャンペーンの発注に対してどのCM枠を割り当てるかを作案してもよいし(CM枠の割り当てマップを生成してもよいし)、放送局30と協働して、キャンペーンの発注に対してどのCM枠を割り当てるかを作案してもよい(CM枠の割り当てマップを生成してもよい)。最後の態様の場合、作案装置10は、放送局30による作案を支援する「作案支援装置」と呼ばれてもよい。
【0015】
広告主20は、例えば、あらゆる分野の事業者やメーカー等を含んでおり、それぞれが取り扱う商品や役務を販売や提供するためのキャンペーンを打つべく、キャンペーンを発注する(例えば、作案装置10を介して放送局30にCM枠の発注を行う)。広告主20やそのキャンペーンが多岐に渡れば(複数に跨れば)、それに応じて当然、キャンペーン発注ひいてはCM枠発注である単体作案も複数となる。
【0016】
放送局30は、放送配信装置と読み替えてもよく、例えば、テレビ(TV:television)に対して放送を配信する装置である。ここで、テレビ(テレビ受像機)は、地上波放送、放送衛星(BS:Broadcasting Satellite)/通信衛星(CS:Communications Satellite)による放送、インターネット放送(インターネットテレビ)などの少なくとも1つを受信する機能を有する装置であってもよい。例えば、テレビは、多機能テレビ、スマートTV、IP(Internet Protocol)TV、セットトップボックスなどであってもよい。なお、放送は、公衆によって直接受信されることを目的とする電気通信の送信を意味し、無線放送、インターネット放送などを含んでもよい。
【0017】
図1には描いていないが、作案システムは、コスト算出装置を有していてもよい(コスト算出装置に接続されていてもよい)。コスト算出装置は、例えば、テレビCMのコストを算出する。コスト算出装置は、テレビCMを挿入する対象番組の視聴率(予測視聴率)を含んだ計算式に基づいて、テレビCMのコストを算出する。コスト算出装置は、例えば、ある放送局(チャンネルで読み替えられてもよい)の所定の期間(例えば、一週間)におけるスポットCMの出稿パターンごとのコストを取得する。ここで、本開示におけるコストは、視聴率1GRP(1%)あたりの料金を示すパーコスト(Cost Per Rating)を意味してもよい。出稿パターンは、既存の(任意の)出稿パターン(例えば、逆L型、全日型、ヨの字型、コの字型、一の字型、深夜型、全日昼型など)を含んでもよい。また、コスト算出装置は、外部からの入力(例えば、放送局による設定)に基づいて、各出稿パターンについてのコスト、出稿パターンを構成する時間帯などを取得してもよい。
【0018】
図1には描いていないが、作案システムは、予測装置(視聴率予測装置)を有していてもよい(予測装置に接続されていてもよい)。予測装置は、テレビにおいて放送される番組の実際の視聴率を集計する装置である。また、予測装置は、テレビにおいてこれから放送される番組(対象番組)の視聴率を予測する装置である。視聴率は、所定の時間単位(例えば、秒、分、時)で記憶されてもよい。予測装置は、ネットワークを介して他の装置(例えば、上記のコスト算出装置)に対して、視聴率に関する情報(例えば、テレビCMを挿入する対象番組の視聴率(予測視聴率))を送信してもよい。予測装置は、例えば、テレビ視聴率調査者によって管理される装置であってもよい。予測装置は、所定の世帯(例えば、調査協力世帯)のテレビに接続された測定機器から視聴履歴のデータを取得して管理してもよい。なお、当該データから視聴率が算出又は予測されてもよい。予測装置には、所定のターゲット(所定の属性に該当するユーザ)ごとの視聴率(ターゲットの個人視聴率)が記録されてもよい。予測装置は、ビッグデータを扱うという新たな分析手法を用いて、テレビの「視聴者の広告視聴率」を高い精度で予測することができるように構成されていてもよい。
【0019】
図2は、本実施形態の作案装置10の内部構成の一例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、作案装置10は、取得部11と、抽出部12と、競合解消部13と、優先競合枠設定部14と、優先度設定部15と、枠交換部16とを有している。
【0020】
作案装置10の各構成要素(例えば、取得部11と抽出部12と競合解消部13と優先競合枠設定部14と優先度設定部15と枠交換部16を含む)は、例えば、CPU(Central Processing Unit)による機能ブロックとして実現されていてもよい。本実施形態の作案方法及び作案プログラムは、作案装置10に含まれるコンピュータ(CPU)の機能ブロックが各種の処理ステップを実行する(実行させる)ことにより実現されてもよい。
【0021】
取得部11は、広告主毎及び/又はキャンペーン毎の作案である単体作案を、広告主及び/又はキャンペーンの数に対応する複数の単体作案として取得する。ここでいう取得は、作成や生成と読み替えてもよい(取得部は、作成部や生成部と読み替えてもよい)。
【0022】
取得部11は、広告主20から入力されるキャンペーン発注(CM枠発注)に基づいて、その広告主及び/又はキャンペーンに対応する単体作案を取得する。取得部11は、異なる複数の広告主20から入力される複数のキャンペーン発注(CM枠発注)に基づいて、それら複数の広告主及び/又はキャンペーンに対応する複数の単体作案を取得する。
【0023】
広告主20から入力されるキャンペーン発注(CM枠発注)には、例えば、以下の情報を含まれてもよい。
・放送局:例えば、XX局など
・広告主:例えば、XXX社など
・キャンペーン:例えば、XXXXXXキャンペーンなど
・指定GRP:例えば、22.9など
・Aタイム(一日のなかで最も単価が高い時間帯)のCM本数:例えば、2本など
・期間:例えば、2024年1月4日~2024年1月10日など
・秒数:例えば、15秒など
・取り方:例えば、オールタイムテーブル、もしくは全日5時~26時など
・ターゲット:例えば、20歳~34歳の男女など
・重要個別リクエスト:例えば、提供番組(タイムCM)を避けること、同じ期間内における同じSB(ステーションブレイク、番組と番組の合間の放送)や同じPT(ピーティー、番組時間内の放送)を避けること、平日18時台を少なくすること、23時~24時台と土日を厚くすること、報道枠のPT(ピーティー、番組時間内の放送)を極力減らすこと、19時台を極力少なくすること、アクチュアル(実測視聴率)の獲得見込みが高い枠を優先的に取得すること、ドラマやヤングバラエティや音楽番組の割り当てを特に希望すること、・・・
【0024】
取得部11による複数の単体作案の取得(作成、生成)に当たっては、過去作案から、広告主毎及び/又はキャンペーン毎の絵柄の特徴を学習し、対象キャンペーンのCM本数期待値を算出する「過去学習ステップ(過去学習フェーズ)」を実行してもよい。これにより、その後の「単体作案ステップ(単体作案フェーズ)」では、広告主毎及び/又はキャンペーン毎の単独で、在庫内で、作案条件・過去学習の結果をなるべく満たすように、作案を行う(複数の単体作案を作成・取得する)ことが可能になる。つまり、発注条件、在庫、CM本数期待値を加味した作案が可能になる。また、単体作案ステップ(単体作案フェーズ)、とりわけ、作案条件・過去学習の結果の利用においては、作案条件の種類と過去学習結果ごとに優先順位と上下方向それぞれへの許容範囲(例えば、基準値に基づく条件逸脱度合を示すペナルティ値で規定される範囲)を設けてもよい。
【0025】
抽出部12は、取得部11が取得した複数の単体作案の各々の指定枠を合算した合算指定枠の中から、在庫枠を超過した競合枠を抽出する。
【0026】
図3は、抽出部12による抽出処理の一例を示す概念図である。
図3の左側には、取得部11が取得した複数の単体作案の一例として、広告主1に対応する単体作案1と、広告主2に対応する単体作案2と、広告主3に対応する単体作案3と、広告主4に対応する単体作案4とを示している。各単体作案1~4において、A~Tの枠は、本実施形態の競合解消前の在庫枠(その時点で指定(リクエスト)可能なCM枠)を意味している。
【0027】
各単体作案1~4において、グレースケールの背景で塗り潰した枠は、各単体作案1~4における指定枠(CM枠としての割り当てを希望する枠)を意味している。単体作案1では、枠A、B、C、F、G、H、K、Lが指定枠となっている。単体作案2では、枠B、C、D、G、H、Iが指定枠となっている。単体作案3では、枠D、E、I、Jが指定枠となっている。単体作案4では、E、Jが指定枠となっている。
【0028】
図3の右側には、各単体作案1~4を合算した合算作案を示している。この合算作案において、各単体作案1~4の指定枠を合算して、これらを合算指定枠として描いている。この例において、枠B、C、G、Hは、単体作案1と単体作案2の指定枠が競合して在庫枠を超過した競合枠となっている。また、枠D、Iは、単体作案2と単体作案3の指定枠が競合して在庫枠を超過した競合枠となっている。また、枠E、Jは、単体作案3と単体作案4の指定枠が競合して在庫枠を超過した競合枠となっている。このようにして、在庫超過枠が同定される。
【0029】
競合解消部13は、所定ルール(競合解消ロジック)に基づいて、競合枠において、複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる。
【0030】
ここで、「消滅」は、完全消滅と一部消滅の双方を含む概念で使用する。例えば、単体作案における指定枠の指定時間が30秒であることを仮定したとき、競合解消ロジックにより指定枠の指定時間が0秒に減らされる(完全に消滅する)場合と、競合解消ロジックにより指定枠の指定時間が15秒に減らされる(一部だけ消滅する)場合との双方が、「単体作案の指定枠の消滅」の概念に含まれる。
【0031】
【0032】
図4Aでは、単体作案1、2の競合枠B、C、G、Hの競合解消を例示しており、競合解消ロジック(所定ルール)に基づいて、競合枠B、Gを単体作案1の指定枠として割り当てて、単体作案2の指定枠としては消滅させている。一方、競合枠C、Hを単体作案2の指定枠として割り当てて、単体作案1の指定枠としては消滅させている。
【0033】
図4Bでは、単体作案2、3の競合枠D、Iの競合解消を例示しており、競合解消ロジック(所定ルール)に基づいて、競合枠D、Iを単体作案2の指定枠として割り当てて、単体作案3の指定枠としては消滅させている。
【0034】
図4Cでは、単体作案3、4の競合枠E、Jの競合解消を例示しており、競合解消ロジック(所定ルール)に基づいて、競合枠Eを単体作案4の指定枠として割り当てて、単体作案3の指定枠としては消滅させている。一方、競合枠Jを単体作案3の指定枠として割り当てて、単体作案4の指定枠としては消滅させている。
【0035】
このように、複数の在庫超過枠(ここでは、単体作案1、2の競合枠B、C、G、Hと、単体作案2、3の競合枠D、Iと、単体作案3、4の競合枠E、Jの3群の在庫超過枠)に1つずつ(1群ずつ)着目して、どのキャンペーン(単体作案の指定枠)を割り当てて、どのキャンペーン(単体作案の指定枠)を諦めさせる(消滅させる)のが最適かを、作案条件等のルールからの逸脱具合等に基づいて判断する。これを全ての在庫超過枠がなくなるまで繰り返す。すなわち、抽出部12は、合算指定枠の中に競合枠が存在しなくなるまで、競合枠の抽出処理を実行し、競合解消部13は、合算指定枠の中に競合枠が存在しなくなるまで、競合枠の競合解消処理を実行する。なお、調整案が採用されなかった(枠が動かなかった)ことが、連続して3回以上生じたら(3ループ以上繰り返されたら)、その時点の案で競合解消処理を終了(確定)させてもよい。
【0036】
このように、競合解消部13は、単体作案の結果を広告主及び/又はキャンペーンの数だけ集め(複数の単体作案を集め)、在庫を超えた番組枠がある場合には、競合解消シミュレーションを実施する。限られた在庫の中で、全キャンペーンの作案条件をなるべく満たすような解を探索する。
【0037】
続いて、競合解消ロジック(所定ルール)の具体的態様について、詳細に説明する。
【0038】
優先競合枠設定部14は、合算指定枠の中に含まれる競合枠のうち、競合在庫時間に対する合算指定時間の超過時間が長いものを優先競合枠として設定する。そして、競合解消部13は、優先競合枠設定部14が設定した優先競合枠において、複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる。このように、優先競合枠設定部14と競合解消部13が協働して、合算指定枠の中に含まれる競合枠のうち、競合在庫時間に対する合算指定時間の超過時間が長いもの(優先順位が高いもの)から順番に調整を行う。
【0039】
優先度設定部15は、複数の単体作案の中のある単体作案の優先度を設定する。より具体的に、優先度設定部15は、競合解消部13によるある競合枠の競合解消処理において、ある単体作案のある指定枠が消滅されずにある競合枠に割り当てられる度に、ある単体作案にカウントアップを行う。優先度設定部15は、競合解消部13によるある競合枠の競合解消処理において、ある単体作案のある指定枠が消滅される度に、ある単体作案にカウントダウン又はカウントリセットを行う。優先度設定部15は、競合解消部13によるある競合枠の競合解消処理において、ある単体作案のある指定枠が対象とならなかったとき(含まれなかったとき)に、ある単体作案にカウントアップ、カウントダウン及びカウントリセットのいずれも行わない。優先度設定部15は、ある単体作案が所定カウント(例えば3カウント)に到達したときに、ある単体作案を優先単体作案に設定する。以上の手順に基づいて、優先度設定部15は、複数の単体作案の各々の単体作案の優先度を設定してもよい(1つの優先単体作案を設定してもよい)。そして、競合解消部13は、ある競合枠以外のその他の競合枠において、優先度設定部15が設定した優先単体作案の指定枠を消滅させることなく、優先的に割り当てる。
【0040】
ここで、単体作案1~4のうちの単体作案1を「ある単体作案」とした場合において、競合枠I、II、III、IVで次のような競合が発生した場合を想定する。
競合枠I:在庫30秒に対して、単体作案1の指定枠が30秒、単体作案2の指定枠が15秒、単体作案3の指定枠が30秒、それぞれ割り当てられていて、45秒超過。
競合枠II:在庫15秒に対して、単体作案1の指定枠が15秒、単体作案2の指定枠が30秒、それぞれ割り当てられていて、30秒超過。
競合枠III:在庫45秒に対して、単体作案1の指定枠が15秒、単体作案2の指定枠が15秒、単体作案4の指定枠が30秒、それぞれ割り当てられていて、15秒超過。
競合枠IV:在庫15秒に対して、単体作案1の指定枠が15秒、単体作案4の指定枠が15秒、それぞれ割り当てられていて、15秒超過。
【0041】
上記の想定において、優先競合枠設定部14は、合算指定枠の中に含まれる競合枠のうち、競合在庫時間に対する合算指定時間の超過時間が長いものを優先競合枠として設定するので、まず、超過秒数が最も多い競合枠I(45秒)を優先競合枠に設定し、次いで、超過秒数が次に多い競合枠II(30秒)を優先競合枠に設定し、次いで、超過秒数が最も少ない競合枠IIIと競合枠IV(15秒)を優先競合枠に設定する。超過秒数が同じ競合枠IIIと競合枠IVのどちらを先に優先競合枠に設定するかは、種々の(任意の)取り決めに従ってもよい。例えば、単一の競合枠に含まれる単体作案の数が多い方を先行させて、優先競合枠に設定してもよい(この場合、競合枠IIIが競合枠IVよりも優先される)。
【0042】
上記の想定において、競合枠Iと競合枠IIと競合枠IIIの調整の結果、単体作案1(ある単体作案)の指定枠(割り当て秒数、枠数)が全く削られなかった場合、競合枠Iと競合枠IIと競合枠IIIの調整の度にカウントアップが行われて、所定カウント(例えば3カウント)に到達する。その時点で、単体作案1(ある単体作案)が優先単体作案(優先CP)に設定される。従って、競合枠IVにおいても、単体作案1(ある単体作案)の指定枠(割り当て秒数、枠数)は減らされない。
【0043】
上記のように、競合解消部13は、「競合解消ステップ」において、単体作案の結果を広告主及び/又はキャンペーンの数だけ集め(複数の単体作案を集め)、在庫を超えた番組枠がある場合には、競合解消シミュレーションを実施する。そして、「最終調整ステップ」において、競合解消シミュレーションでも競合解消できなかった場合に再度全在庫から条件を満たす解を探索するステップ1を実行する。
【0044】
競合解消ステップでは、在庫超過番組について、シミュレーションにより単体作案の指定枠の割り当て上限本数を決め、その上限内に収まる解を探索する。その結果、単体作案の指定枠の割り当て本数が上限本数未満であった場合、余剰在庫が発生する。
【0045】
例えば、ある番組Vの在庫枠4本に対して、単体作案5の指定枠が3本、単体作案6の指定枠が2本ある場合、合計1本減らすには、単体作案5の指定枠を減らした方が全体的な条件逸脱が少ない。そこで、割り当て上限本数を単体作案5、6ともに2本に設定する。また、他の在庫超過番組でも、割り当て上限本数を定め、その範囲内で解を探索する。
【0046】
あるいは、ある番組Vの在庫枠4本に対して、単体作案5の指定枠が2本、単体作案6の指定枠が1本ある場合、在庫枠が1本余ることになる。競合解消ステップ終了後に、まだ在庫不足枠がある場合、その枠を保持する単体作案の指定枠を対象に、余剰在庫も含めて再度解を探索する。
【0047】
枠交換部16は、競合解消部13によるステップ1に続いて、必要に応じて、2つの広告主及び/又はキャンペーンの間での枠交換を行い、より条件を満たすべき解を探索するステップ2を実行する。
【0048】
ステップ2では、ステップ1の後に、2つの広告主及び/又はキャンペーンが保持する枠と余剰在庫を対象として(土俵にあげて)、2つの広告主及び/又はキャンペーンの作案を行う。2つの広告主及び/又はキャンペーンの組み合わせに対して、「探索の優先度」を決める。探索の優先度は、2つの広告主及び/又はキャンペーンの間で枠の交換が起きたとして、どれくらいペナルティ値が改善されるかを示したに基づいていてもよい。例えば、広告主及び/又はキャンペーンのペナルティ値(つまり条件逸脱度合)が大きい程、探索の優先度を高く設定することができる。探索の優先度が大きい順に、広告主及び/又はキャンペーンどうしの組み合わせを選んで、枠交換を実施する。在庫超過秒数が増えない限り、枠交換を成立させる。広告主及び/又はキャンペーンのペナルティ値(つまり条件逸脱度合)が閾値を下回ったら、処理を終了させる。
【0049】
このように、枠交換部16は、競合解消部13の競合解消処理により合算指定枠の中に競合枠が存在しなくなった後に、複数の単体作案の指定枠どうしを交換する。
【0050】
枠交換部16は、複数の単体作案の各々について、条件逸脱度合を示すペナルティ値を求め、ペナルティ値が高い単体作案を優先しながら、複数の単体作案の各々のペナルティ値が所定値を下回るまで、複数の単体作案の指定枠どうしの交換を成立させる。
【0051】
ペナルティ値の算出方法には自由度があり、種々の設計変更が可能であるが、例えば、複数の単体作案の各々に含まれる、CM本数情報、CM単価情報、同番組CM本数上限情報、ターゲット含有情報、及び、不可枠情報に基づいて算出されてもよい。
【0052】
また、ペナルティ値の算出に使用される上記と別の/追加のパラメータとして、例えば、指定GRP(Gross Rating Point)、指定TRP(Target Rating Point)、AGシェア(GRPに対するAタイムだけのGRPの割合)、段積み回避(複数回続けた放送を禁止する)、GRPの期間バランス、本数の期間バランス、Aタイム本数の期間バランス、時間帯含有(G比)、時間帯含有(本数)、リガードG比(30秒CMの%)、ゾーン、秒種別の取得期間、立ち日遵守、ゾーン遵守に関するパラメータを使用することができる。
【0053】
作案装置10は、適宜、大規模言語モデルを参照して動作してもよい。大規模言語モデルは、生成AI(Artificial Intelligence)と読み替えてもよく、作案装置10の各ブロック(例えば、取得部11と抽出部12と競合解消部13と優先競合枠設定部14と優先度設定部15と枠交換部16)の機能を発揮してもよい。
【0054】
大規模言語モデルは、例えば、個別領域データベースの固有情報(例えば選択的評価態様に基づく競合解消情報や枠交換情報)と、共通領域データベースの共通情報(例えば必須評価態様に基づく競合解消情報や枠交換情報)とが自然言語処理のための言語モデルの学習に適応されるように、統一的なデータ形式に正規化された状態で記憶されている。また、個別領域データベース及び共通領域データベースに基づいて、自然言語処理の1種以上を組み合わせることによって、選択的評価態様に基づく競合解消情報や枠交換情報と必須評価態様に基づく競合解消情報や枠交換情報の作成に特化された言語モデルの学習及び調整が行われ、言語モデルをプロンプトの内容に応じて利用することによって、競合解消情報や枠交換情報の作成を支援する支援情報を生成することができる。言語モデルは、クラウドコンピュータに格納されていてもよく、その場合、大規模なデータセットの学習や、高性能な計算リソースを利用した学習が可能になる。
【0055】
ここで、「自然言語処理」は、コンピュータが自然言語で書かれた文章や音声データを理解して目的に応じた処理を実行できるようにするものである。具体的には、自然言語を構成する最小の単位である「形態素」に分解することにより品詞などの情報を付与する形態素解析、自然言語の文法的構造を解析することにより文の構造や意味を明らかにする構文解析、自然言語の意味を解析することにより単語や文の意味を理解し、論理的な判断や推論を行う意味解析、文の前後の文脈を考慮しながら自然言語を理解する文脈解析、自然言語を用いた対話や文章の中から話者や書き手の意図を抽出する意図解析などが例示される。これにより、「自然言語処理」は、形態素解析や構文解析、意味解析、文脈解析、意図解析などの処理を組み合わせて自然言語を処理し、本実施形態の作案処理又は作案支援処理(例えば、競合解消処理や枠交換処理)などを可能にしている。
【0056】
「言語モデル」は、自然言語処理において用いられる確率モデルの一種であり、与えられた単語や文章が自然言語としてどのように起こりやすいかを確率的に予測するためのモデルである。具体的には、言語モデルは、与えられた単語列や文章の出現確率を計算したり、複数の単語列や文章の出現確率を比較したりすることによって、次の単語や文を予測するときに、その文脈に基づいて最もありそうな単語や文を自動的に生成することを可能にしている。
【0057】
「言語モデル」は、自然言語処理の分野において、言語のパターンや文法のルールなどを学習し、自然言語の生成や理解を行うための数学的モデルを意味する。例えば、競合解消処理や枠交換処理において使用される言語モデルは、競合解消部13や枠交換部16の処理に特化して学習されたものであり、プロンプトの内容に応じて、競合解消処理や枠交換処理を好適化するために使用される。
【0058】
「統一的なデータ形式に正規化された状態」は、個別領域データベースや共通領域データベースなどの膨大なデータを扱う際に、共通の形式に変換し、統一的に整理することを意味する。競合解消部13による競合解消処理や枠交換部16による枠交換処理を機械学習する際に、正規化された固有情報や共通情報、システム概要などの情報を入力として用いることにより、処理の効率性や正確性を向上させることが可能になっている。なお、「正規化」は、データベースのテーブルにあるデータを、一定の規則に従って整理・構造化することで、データの冗長性を排除し、データの整合性や一貫性を保つための処理手法である。
【0059】
「プロンプト」は、利用者に対して入力すべき内容や操作方法などを表示し、利用者が指示を与えるための情報のことである。「競合解消部13による競合解消処理や枠交換部16による枠交換処理を好適化するための情報」は、競合解消部13による競合解消処理や枠交換部16による枠交換処理を効率化し、より効果的な作案又は作案支援を実施可能にする情報である。
【0060】
なお、作案装置10は、大規模言語モデルに加えて/代えて、作案装置10の各ブロック(例えば、取得部11と抽出部12と競合解消部13と優先競合枠設定部14と優先度設定部15と枠交換部16)による処理を実行するためのデータベースを保持・参照できるように構成されていてもよい。
【0061】
図5は、作案装置10の機能構成の一例を示す図である。
図5に示すように、作案装置10は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、入力部140と、出力部150と、を有する。なお、
図5では、作案装置10の機能ブロックの一例を示しており、
図5に描いていない他の機能ブロックを有していてもよい。また、一部の機能ブロックを含まない構成としてもよい。
【0062】
制御部110は、作案装置10の制御を実施する。制御部110は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるコントローラ、制御回路又は制御装置により構成することができる。
【0063】
記憶部120は、作案装置10で利用する情報を記憶する。記憶部120は、例えば、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるメモリ、ストレージ、記憶装置などにより構成することができる。
【0064】
通信部130は、作案装置10の通信(例えば外部機器との相互通信)を行う。通信部130は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるトランスミッター/レシーバー、送受信回路又は送受信装置により構成することができる。なお、通信部130は、送信部及び受信部から構成されてもよい。
【0065】
入力部140は、作案装置10における入力を受け付ける。また、入力部140は、所定の機器、記憶媒体などと接続され、データの入力を受け付けてもよい。入力部140は、入力結果を例えば制御部110に出力してもよい。入力部140は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるキーボード、マウス、ボタンなどの入力装置、入出力端子、入出力回路などにより構成することができる。また、入力部140は、表示部と一体となった構成(例えば、タッチパネル)としてもよい。
【0066】
出力部150は、作案装置10における出力を行う。例えば、出力部150は、画像を表示する表示部、音声を出力する音声出力部などを含んで構成されてもよい。表示部は、例えば、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるディスプレイ、モニタなどの表示装置により構成することができる。また、音声出力部は、本発明に係る技術分野での共通認識に基づいて説明されるスピーカーなどの出力装置により構成することができる。
【0067】
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的に分離した2つ以上の装置を有線又は無線によって接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0068】
例えば、本開示の一実施形態における作案装置10は、本開示の作案処理(作案支援処理)を行うコンピュータとして機能してもよい。
図6は、作案装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の作案装置10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0069】
なお、本開示において、装置、回路、デバイス、ユニット、サーバなどは、互いに読み替えることができる。作案装置10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0070】
例えば、プロセッサ1001は1つだけ図示されているが、複数のプロセッサがあってもよい。また、処理は、1のプロセッサによって実行されてもよいし、処理が同時に、逐次に、又はその他の手法を用いて、2以上のプロセッサによって実行されてもよい。なお、プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。
【0071】
作案装置10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みなどを制御することによって実現される。
【0072】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。なお、上述の制御部110などの各部は、プロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0073】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、制御部110は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。
【0074】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、RAM(Random Access Memory)、その他の適切な記憶媒体の少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、一実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0075】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD-ROM(Compact Disc ROM)など)、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、リムーバブルディスク、ハードディスクドライブ、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、キードライブ)、磁気ストライプ、データベース、サーバ、その他の適切な記憶媒体の少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。なお、上述の記憶部120は、メモリ1002及び/又はストレージ1003によって実現されてもよい。
【0076】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、SIMカードを含んでもよい。なお、上述の通信部130は、通信装置1004によって実現されてもよい。
【0077】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウスなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカーなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。なお、上述の入力部140及び出力部150は、それぞれ入力装置1005及び出力装置1006によって実現されてもよい。
【0078】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1008によって接続される。バス1007は、単一のバスによって構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0079】
また、作案装置10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0080】
(変形例)
なお、本開示において説明した用語及び/又は本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0081】
本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。また、本開示においてパラメータなどに使用する名称は、いかなる点においても限定的なものではない。
【0082】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0083】
情報、信号などは、複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。入出力された情報、信号などは、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報、信号などは、上書き、更新又は追記をされ得る。出力された情報、信号などは、削除されてもよい。入力された情報、信号などは、他の装置へ送信されてもよい。
【0084】
また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的な通知に限られず、暗示的に(例えば、当該所定の情報の通知を行わないことによって又は別の情報の通知によって)行われてもよい。
【0085】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0086】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体及び信号波形の少なくとも1つを介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0087】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用され得る。
【0088】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0089】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0090】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素の参照は、2つの要素のみが採用され得ること又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0091】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びこれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0092】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳によって冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0093】
以上、本開示に係る発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示に係る発明が本開示中に説明した実施形態に限定されないということは明らかである。本開示に係る発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて定まる発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に係る発明に対して何ら制限的な意味をもたらさない。
【符号の説明】
【0094】
10 作案装置(作案支援装置)
11 取得部(作成部、生成部)
12 抽出部
13 競合解消部
14 優先競合枠設定部
15 優先度設定部
16 枠交換部
20 広告主(広告主のサーバ装置)
30 放送局(放送局のサーバ装置、放送配信装置)
【要約】
【課題】複数の単体作案が競合しても全体として優れた作案を実現することができる作案装置、作案方法及び作案プログラムを提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係る作案装置は、広告主毎及び/又はキャンペーン毎の作案である単体作案を、広告主及び/又はキャンペーンの数に対応する複数の単体作案として取得する取得部と、前記複数の単体作案の各々の指定枠を合算した合算指定枠の中から、在庫枠を超過した競合枠を抽出する抽出部と、所定ルールに基づいて、前記競合枠において、前記複数の単体作案のいずれの指定枠を割り当てるのかを決定するとともに、割り当てられなかった他の単体作案の指定枠を消滅させる競合解消部と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図4