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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】電子機器および表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20250106BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20250106BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20250106BHJP
   H05K 5/04 20060101ALI20250106BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 304Z
G09F9/00 309A
G09F9/00 312
H04N5/64 571Q
H05K5/02 B
H05K5/04
H05K9/00 G
H05K9/00 W
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024159205
(22)【出願日】2024-09-13
【審査請求日】2024-09-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391010116
【氏名又は名称】EIZO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】河内 洋介
(72)【発明者】
【氏名】奥田 昌大
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-222304(JP,A)
【文献】特開2000-148031(JP,A)
【文献】特開2011-116855(JP,A)
【文献】特開2015-040919(JP,A)
【文献】特開2000-267581(JP,A)
【文献】特開2015-040921(JP,A)
【文献】特開2016-149422(JP,A)
【文献】特開2019-197134(JP,A)
【文献】国際公開第2011/077692(WO,A1)
【文献】中国実用新案第212163910(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H04N5/64
H05K5/00-5/06
H05K9/00
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
回路基板と、
防火エンクロージャと
を備え、
前記防火エンクロージャは、
板金で構成された第1部材と、
絶縁層および金属層を含む第2部材と
を含み、
前記第1部材は、1以上の開口の設けられた天面部であって、前記回路基板の一部を覆う天面部を有し、
前記第2部材は、前記1以上の開口を閉塞しており、
前記第2部材の前記絶縁層は、前記金属層と前記回路基板との間に位置し、
前記第1部材は、前記天面部から立ち上がって互いに対向する一対の壁部を有し、
前記壁部は、前記第1部材の内側に向かって延びる支持部を有し、
前記回路基板は、前記第1部材の前記支持部に固定されることにより前記一対の壁部の間で保持される、電子機器。
【請求項2】
電子機器であって、
回路基板と、
防火エンクロージャと
を備え、
前記防火エンクロージャは、
板金で構成された第1部材と、
絶縁層および金属層を含む第2部材と
を含み、
前記第1部材は、1以上の開口の設けられた天面部であって、前記回路基板の一部を覆う天面部を有し、
前記第2部材は、前記1以上の開口を閉塞しており、
前記第2部材の前記絶縁層は、前記金属層と前記回路基板との間に位置し、
前記回路基板の外縁の一部は、前記第1部材の前記天面部の外縁よりも外側に位置する、電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記第2部材は、前記第1部材の前記天面部と前記回路基板との間に位置する、電子機器。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記1以上の開口は、最も広い部分の長さが1.0mm超の形状を有する開口を含む、電子機器。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記金属層は、前記絶縁層に貼り付けられた、アルミニウムの箔である、電子機器。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記絶縁層は、ポリカーボネートのシートである、電子機器。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記絶縁層は、0.25mm以上0.50mm以下の厚さを有する、電子機器。
【請求項8】
請求項1または請求項2に記載の電子機器であって、
前記開口は、1.1mm超の直径または1.1mm 超の面積を有する、電子機器。
【請求項9】
請求項8に記載の電子機器であって、
前記開口は、2.0mm超の直径または3.2mm 超の面積を有する、電子機器。
【請求項10】
ディスプレイパネルおよび筐体を備える表示装置であって、
請求項1または請求項2に記載の電子機器と、
板金で構成された第3部材と
をさらに備え、
前記ディスプレイパネルは、表示面とは反対の背面側から前記第3部材に覆われることによって前記筐体に固定され、
前記回路基板は、前記第1部材により、前記第3部材から間隔をあけて前記筐体中で支持される、表示装置。
【請求項11】
請求項10に記載の表示装置であって、
前記第1部材に接続されたアームをさらに備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火エンクロージャを有する電子機器に関する。本発明は、そのような電子機器を有する表示装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などをはじめとする種々の機器は、電源(商用電源またはバッテリ)に接続される素子が実装された回路基板を筐体の内部に有している。そのような電子機器においては、高温となり得る素子を覆う金属製のエンクロージャを回路基板に取り付けることが一般的に行われている(例えば下記の特許文献1)。
【0003】
エンクロージャには、さらに、EMC(Electromagnetic Compatibility)の確保の機能も求められ得る。エンクロージャは、製造の容易さおよびコストの観点から、板金により形成されることが一般的である(例えば下記の特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2023/171932号明細書
【文献】特開2000-148031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示されているように、例えば、エンクロージャを回路基板の全体を覆う形状とした場合、エンクロージャのサイズの増大を招くだけでなく、剛性の確保の観点からその厚さも増大することとなり、電子機器の全体の重量が増大してしまう。すなわち、電子機器の薄型化および軽量化の要求を満足できないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]電子機器であって、回路基板と、防火エンクロージャとを備え、前記防火エンクロージャは、板金で構成された第1部材と、絶縁層および金属層を含む第2部材とを含み、前記第1部材は、1以上の開口の設けられた天面部であって、前記回路基板の一部を覆う天面部を有し、前記第2部材は、前記1以上の開口を閉塞しており、前記第2部材の前記絶縁層は、前記金属層と前記回路基板との間に位置する、電子機器。
[2][1]に記載の電子機器であって、前記第2部材は、前記第1部材の前記天面部と前記回路基板との間に位置する、電子機器。
[3][1]または[2]に記載の電子機器であって、前記1以上の開口は、最も広い部分の長さが1.0mm超の形状を有する開口を含む、電子機器。
[4][1]から[3]のいずれか1項に記載の電子機器であって、前記第1部材は、前記天面部から立ち上がって互いに対向する一対の壁部を有し、前記壁部は、前記第1部材の内側に向かって延びる支持部を有し、前記回路基板は、前記第1部材の前記支持部に固定されることにより前記一対の壁部の間で保持される、電子機器。
[5][1]から[4]のいずれか1項に記載の電子機器であって、前記金属層は、前記絶縁層に貼り付けられた、アルミニウムの箔である、電子機器。
[6][1]から[5]のいずれか1項に記載の電子機器であって、前記絶縁層は、ポリカーボネートのシートである、電子機器。
[7][1]から[6]のいずれか1項に記載の電子機器であって、前記絶縁層は、0.25mm以上0.50mm以下の厚さを有する、電子機器。
[8][1]から[7]のいずれか1項に記載の電子機器であって、前記回路基板の外縁の一部は、前記第1部材の前記天面部の外縁よりも外側に位置する、電子機器。
[9][1]から[8]いずれか1項に記載の電子機器であって、前記開口は、1.1mm超の直径または1.1mm2超の面積を有する、電子機器。
[10][9]に記載の電子機器であって、前記開口は、2.0mm超の直径または3.2mm2超の面積を有する、電子機器。
[11]ディスプレイパネルおよび筐体を備える表示装置であって、[1]から[10]のいずれか1項に記載の電子機器と、板金で構成された第3部材とをさらに備え、前記ディスプレイパネルは、表示面とは反対の背面側から前記第3部材に覆われることによって前記筐体に固定され、前記回路基板は、前記第1部材により、前記第3部材から間隔をあけて前記筐体中で支持される、表示装置。
[12][11]に記載の表示装置であって、前記第1部材に接続されたアームをさらに備える、表示装置。
【0007】
本発明によれば、板金で構成された第1部材が1以上の開口を有し、絶縁層および金属層を含む第2部材がそれらの開口を閉塞する。さらに、第2部材の絶縁層が金属層と回路基板との間に位置することにより、エンクロージャ全体の重量の増加を回避しながらも、防火とEMCの両方の機能を担保し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のある実施形態による例示的な表示装置の正面を示す斜視図である。
図2】本発明のある実施形態による例示的な表示装置の背面を示す斜視図である。
図3図1に示す表示装置100の筐体300からのアーム500の分離を説明する図である。
図4】表示装置100からアーム500およびリアパネル320を取り除いて示す模式的な背面斜視図である。
図5】表示装置100の概略的な分解斜視図である。
図6】電装200を拡大して模式的に示す分解斜視図である。
図7】第1部材221の例示的な形状を説明するための側面図である。
図8】回路基板210の取り付けられた第1部材221を示す側面図である。
図9】防火エンクロージャ220の外観の一例を示す模式的な斜視図である。
図10】防火エンクロージャ220の第2部材222の模式断面図である。
図11】防火エンクロージャ中の第2部材222の配置の他の例を示す模式断面図である。
図12】第2部材222の本体部222Sの例示的な外観を示す平面図である。
図13】第1部材221の外殻221Qに設けられ得る、複数の曲線を含む形状を有する開口の例を説明するための図である。
図14】防火エンクロージャから回路基板210および第1部材221の外殻221Qを取り出して示す模式的な斜視図である。
図15】防火エンクロージャから第1部材221の外殻221Qを取り出して示す模式的な斜視図である。
図16】第1部材221へのアーム500の接続を説明するための模式的な斜視図である。
図17】アーム500の構成の一例を示す模式的な分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。以下の説明中で開示する数値の末尾には、任意の個数(例えば1つまたは2つ)の「0」を追加してもよい。例えば、「1.4」の後ろに「0」を1つまたは2つ追加して「1.40」または「1.400」としてもよい。
【0010】
<1.表示装置の構成の概略>
ここでは、液晶表示装置を例にとり、本発明の典型的な実施形態を説明する。図1および図2は、本発明のある実施形態による表示装置の正面および背面からの外観の一例をそれぞれ示す。図1および図2に示す表示装置100は、筐体300と、ディスプレイパネル400と、アーム500とを含む。なお、図1および図2には、説明の便宜のために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示す矢印が示されている。図1に示すように、ここでは、Z軸を示す矢印は、表示装置100の正面から背面に向く。以下では、他の図面においてもこれらX軸、Y軸およびZ軸を示す矢印を図示することがある。
【0011】
図1および図2に例示する構成において、筐体300は、フロントパネル310およびリアパネル320を含む。図1に示すように、フロントパネル310は、開口30を有するベゼル312を含んでおり、開口30からディスプレイパネル400の表示面400aが露出される。
【0012】
他方、図2を参照すると、この例では、表示装置100を支持するためのアーム500が表示装置100の背面に取り付けられている。図3は、表示装置100の筐体300からアーム500を分離した状態を示す。アーム500は、表示装置100の内部に配置された部材に対して脱着自在とされる。アーム500の構造、および、接続の詳細は、後述する。
【0013】
図4は、表示装置100からアーム500およびリアパネル320を取り除いて示す。図4に示すように、表示装置100は、筐体300の内側に内部フレーム330を有する。内部フレーム330は、例えば板金で構成され、ディスプレイパネル400を表示面400aとは反対の背面側から覆うことによりディスプレイパネル400を筐体300のフロントパネル310に固定する。
【0014】
図4に示すように、表示装置100は、電子機器としての電装200を内部フレーム330上に有する。電装200は、ディスプレイパネル400のドライバなどが実装された回路基板210をその一部に含み、表示装置100の制御部として機能する。図4中に拡大して示すように、電装200は、上述の回路基板210と、回路基板210の少なくとも一部を覆う防火エンクロージャ220とを含んでいる。
【0015】
後に図面を参照しながら詳しく説明するように、防火エンクロージャ220は、第1部材221および第2部材222を少なくとも含む。電装200は、回路基板210が防火エンクロージャ220の例えば第1部材221に固定されることにより、一体的なユニットとして例えばディスプレイパネル400の背面側の内部フレーム330に着脱可能に構成され得る。後述するように、電装200の回路基板210は、第1部材221に支持されて内部フレーム330から間隔をあけて筐体300中に配置され得る。
【0016】
図5は、表示装置100を分解して表示装置100の内部を模式的に示す。ただし、図面が過度に複雑になることを避けるために、図5では一部の部材を省略して図示している。本開示の他の図面においても、ネジなどの一部の部材の図示を省略することがある。
【0017】
図5に示すように、表示装置100は、フロントパネル310、ディスプレイパネル400、内部フレーム330、電装200およびリアパネル320を含んでいる。ディスプレイパネル400は、例えば、液晶パネルおよびバックライトユニットを含む。すなわち、ここで説明する表示装置100は、液晶表示装置である。ここでは、ディスプレイパネル400は、横長の長方形状を有し、X軸およびY軸は、ディスプレイパネル400の長方形状の長辺および短辺にそれぞれ平行である。もちろん、本発明の表示装置は、液晶表示装置に限定されず、ミニLEDディスプレイ、有機ELディスプレイなどの自発光型の表示装置などであってもかまわない。
【0018】
上述したように、電装200は、回路基板210と、防火エンクロージャ220とを含む。ここでは、防火エンクロージャ220は、第2部材222および第1部材221が表示装置100の正面から背面に向かって配置されて一体とされることにより構成され、表示装置100の背面側から回路基板210を覆う。
【0019】
図5に例示する構成において、表示装置100は、回路基板210と内部フレーム330(またはディスプレイパネル400)との間に位置する絶縁シート201をさらに有している。ただし、このような絶縁シート201の配置は、本発明の実施形態に必須ではなく、省略され得る。
【0020】
<2.電装200>
図6は、図5に示す電装200を分解して示す。電装200の回路基板210は、典型的には、電子部品の実装されたプリント基板(PCB)である。図6に模式的に示すように、回路基板210の上面210aにUSBコネクタ12などの電子部品が実装される。なお、図6では、簡単のために、USBコネクタ12以外の電子部品の図示を省略している。本発明の実施形態では、回路基板210の主面のうち上面210aが、ディスプレイパネル400とは反対側、すなわち防火エンクロージャ220に向けられる。
【0021】
図のZ軸に平行な方向に見た平面視における回路基板210の形状は、例えば矩形状である。図6に示す例では、回路基板210は、Y軸方向と比較してX軸方向に長い長方形状を有する。もちろん、回路基板210の平面視形状は、この例に限定されず、正方形状、円形状などの他の形状であってもよい。
【0022】
電装200の防火エンクロージャ220は、全体として、典型的には回路基板210の概ね全体を覆う。ただし、図4および図6の比較から理解されるように、防火エンクロージャ220は、回路基板210上のコネクタ(例えば図6におけるUSBコネクタ12)などを貫通させる小径の穴を有し得る。防火およびEMCの両方の機能を確保できる限りにおいて、防火エンクロージャ220へのこのような穴の形成は、許容され得る。
【0023】
本発明の実施形態において、防火エンクロージャ220は、複数の部材から構成される。ここでは、防火エンクロージャ220は、概略、第1部材221および第2部材222の少なくとも2つの部材から構成されている。これらのうち第1部材221は、板金で構成され、第2部材222は、後述するように、異なる材料の複数の部材の組み合わせから構成された本体部222Sを含む。この例では、第2部材222は、本体部222Sに加えてそれぞれが帯状を有する2つの被覆部材222Tをさらに含んでいる。
【0024】
図6に例示する構成において、防火エンクロージャ220の第1部材221は、それぞれが板金で構成された中間プレート221Pおよび外殻221Qの2つの部分を含んでいる。これらのうち外殻221Qは、1以上の開口の設けられた天面部20を有する。天面部20は、外殻221Qの形状を構成する複数の面のうち最大の面積を有する1つに対応する板状の部分であり、ここでは、天面部20に、第1開口20x、第2開口20yおよび第3開口20zの3つの開口が設けられている。なお、天面部20が平坦であることは必須ではなく、曲面状の表面を有していたり、厚さの異なる部分を一部に有していたりしてもかまわない。ただし、表示装置100の薄型化の観点からは、天面部20が平坦な板状であると、より有利である。
【0025】
図示する例において、第2開口20yは、第1開口20xと第3開口20zとの間に位置し、第1開口20xおよび第3開口20zのそれぞれよりも大きな面積を有する。本発明の典型的な実施形態において、第1開口20x、第2開口20yおよび第3開口20zのうちの少なくとも1つは、回路基板210に実装された電子部品の2以上を露出可能な大きさを有し得る。
【0026】
第1部材221の中間プレート221Pは、全体として概ね板状を有し、リベット打ちなどにより外殻221Qの天面部20に結合される。この例では、中間プレート221Pは、天面部20のうちリアパネル320(例えば図5参照)に対向する面とは反対側の面に取り付けられている。
【0027】
中間プレート221Pは、図のX方向において天面部20の概ね中央に位置し、外殻221Qに固定された状態において、上述の3つの開口のうち第2開口20yを閉塞する。ここで、本明細書において、2つの部材の組み合わせにおいて一方の部材が他方の部材の開口を「閉塞する」とは、図のZ方向に見たときに一方の部材が開口の全体に重なっていることを指す。ただし、製品に要求される防火およびEMCに関する仕様または規格を満足する限りにおいて、一方の部材が開口の全体を完全に覆っていることは、必須ではない。例えば、開口を閉塞する部材が、要求される仕様または規格を満足する範囲で小径の穴などを有することもあり得る。
【0028】
第2開口20yが第1部材221の中間プレート221Pによって閉塞されることに対し、第1開口20xおよび第3開口20zは、後述するように、第2部材222によって閉塞される。この意味において、防火エンクロージャ220は、全体として回路基板210の概ね全体を覆っているといえる。
【0029】
図7は、側面から見たときの第1部材221の例示的な形状を示す。図7に例示する構成において、第1部材221の外殻221Qは、天面部20に加えて、壁部21、22と、脚部23、24と、屈曲部1~4とを有する。壁部21および壁部22は、天面部20から概ね垂直に立ち上がり、図のY方向において互いに対向する。屈曲部1は、天面部20と壁部21との間に位置し、屈曲部2は、天面部20と壁部22との間に位置する。脚部23は、外殻221Qを構成する板金の一部が壁部21から外側に概ね直角に折れ曲がることにより形成され、脚部24は、板金の他の一部が壁部22から外側に概ね直角に折れ曲がることにより形成されている。屈曲部3は、壁部21と脚部23の間に位置し、屈曲部4は、壁部22と脚部24との間に位置する。
【0030】
図8は、回路基板210の取り付けられた第1部材221を示す。第1部材221の外殻221Qは、ここでは、天面部20、壁部21、22、および、脚部23、24を有することにより、天面部20を底面とする概ねU字状の断面形状を有している。後に詳しく説明するように、回路基板210は、上面210aを外殻221Qの天面部20に向けて壁部21と壁部22との間で第1部材221(ここでは第1部材221の特に外殻221Q)に固定される。このとき、回路基板210の上面210aは、図8に示すように、外殻221Qの天面部20および中間プレート221Pには接触せず、回路基板210と中間プレート221Pとの間には、空間Gpが形成される。本実施形態では、防火エンクロージャ220の第2部材222は、この空間Gpに挿入されることにより、その多くの部分が回路基板210と天面部20との間に配置されている。
【0031】
図9は、防火エンクロージャ220の外観の一例を示す。防火エンクロージャ220の第2部材222は、第1部材221に取り付けられた回路基板210の概ね全体を覆い、第2部材222の本体部222Sの一部は、第1部材221の天面部20に設けられた第1開口20xおよび第3開口20zから外部に露出されている。言い換えれば、図9に示す例示する構成において、第2部材222は、天面部20に設けられた第1開口20xおよび第3開口20zをも閉塞している。
【0032】
上述の図6からも理解されるように、ここでは、第2部材222の本体部222Sの長手方向(ここではX軸に平行)における両端部に被覆部材222Tが取り付けられている。被覆部材222Tの例は、アルミテープである。本発明の実施形態において、第2部材222の本体部222Sが回路基板210の全体を覆っていることは必須ではない。第2部材222が全体として回路基板210を覆っていればよい。
【0033】
図10は、防火エンクロージャ220の第2部材222の断面の一例を模式的に示す。第2部材222は、異なる材料からなる2以上の層を含み、ここでは、絶縁層22Lおよび金属層22Mを含んでいる。絶縁層22Lとしては、樹脂シートを適用し得る。樹脂シートの材料の例は、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリオキシメチレン(POM)などの熱可塑性樹脂である。金属層22Mの材料の例は、アルミニウム、銅、錫、ステンレスなどである。金属層22Mへの例えばアルミニウムの採用は、製造コスト削減および軽量化の面で有利である。
【0034】
本実施形態では、金属層22Mとして、アルミニウムの箔を例示する。上述の被覆部材222T(ここではアルミテープ、図6参照)は、本体部222Sの金属層22Mと第1部材221の特に外殻221Qとの間の電気的接続を確保する機能を発揮し得る。
【0035】
絶縁層22Lおよび金属層22Mの両方が自己支持型の構造であることは、本発明の実施形態において必須ではない。例えば、金属層22Mは、蒸着、スパッタリングなどによって絶縁層22L上に形成された層であってもよい。この場合、絶縁層22Lが、金属層22Mの支持層としての機能を有し得る。後述するように、金属層22Mが絶縁層22Lの全面を覆うことも、本発明の実施形態において必須ではない。
【0036】
図10に示す例では、第2部材222は、絶縁層22Lおよび金属層22Mに加えて、これらの層の間に位置する接着層22Nをさらに有している。すなわち、図10に例示する構成において、第2部材222は、3つの層を含む積層構造を有する複合材である。
【0037】
絶縁層22Lおよび金属層22Mは、それぞれが独立した部材であってもよいし、図10に示すように、接着層22Nなどの他の部材によって互いに接合されていてもよい。本発明の実施形態において、絶縁層22Lと金属層22Mとは、熱の移動を許容可能に接触していればよく、これらが直接に接触していることは、必須ではない。接着層22Nの熱伝導率は、例えば0.50~2.1W/mKの範囲であり、1.5W/mK以上であると有利である。接着層22Nには、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、シリコン系接着剤およびウレタン系接着剤などの一般的な接着剤を用い得る。
【0038】
図10から理解されるように、ここでは、第2部材222の絶縁層22Lが、金属層22Mと回路基板210との間に位置している。第2部材222の金属層22Mと回路基板210との間に絶縁層22Lを介在させることにより、回路基板210上の電子部品と金属層22Mとの間、ひいては、回路基板210上の電子部品と第1部材221との間の電気的短絡を防止し得る。
【0039】
ここでは、第2部材222は、第1部材221の外殻221Qの天面部20または中間プレート221Pと、回路基板210との間に位置する。ただし、防火エンクロージャ220の防火の機能およびEMCの機能の発揮は、防火エンクロージャ220における第1部材221および第2部材222の相互の配置関係に基本的に依存しない。図11に例示する防火エンクロージャ220Aのように、第1部材221の例えば天面部20が第2部材222と回路基板210との間に位置するような配置も可能である。ただし、このような配置とするには、第1部材221と回路基板210との絶縁を確保するためにこれらの間の距離を(つまり、空間Gpを)大きくする必要がある。電装200の薄型化の観点からは、図10に例示するように第2部材222を第1部材221の天面部20と回路基板210との間に介在させる配置の方がより有利であるといえる。
【0040】
<3.本発明者の知見および本発明の効果>
上述の実施形態では、防火エンクロージャ220、220Aの第1部材221が複数の開口(ここでは、第1開口20xおよび第3開口20z)を有している。これら開口は、第1部材221の外殻221Qの肉抜き穴として機能し、第1部材221の重量低減に貢献する。
【0041】
防火エンクロージャには、回路基板上の電子部品が発火しても延焼を防止する機能が求められ、IEC62368などの国際規格が定められている。本発明者の検討によると、例えば樹脂シート単体を板金部材とプリント基板との間に配置するだけでは、防炎に関する規格(例えばIEC 60950-1:2005+AMD1:2009+AMD2:2013)を満足させることが困難であるところ、絶縁層22Lおよび金属層22Mを含む第2部材222を適用することにより、防炎に関する規格を満足させ得る。これは、絶縁層22Lに近接して配置された金属層22Mが絶縁層22Lへの熱を外部へ逃がす機能を発揮するからであると推測される。
【0042】
このように、上述の実施形態によれば、第1部材221に肉抜き穴を設けて軽量化を図りながらも、防火エンクロージャ全体として防炎の機能を確保し得る。さらに、上述の実施形態では、電装200中において、防火エンクロージャ220の第2部材222が、第1部材221に設けられた第1開口20xおよび第3開口20zを閉塞する配置を有している。ここで、第2部材222が金属層22Mを含むことにより、金属層22Mが電磁波の遮蔽の機能を発揮し、軽量化を実現しながらもエンクロージャ全体としてEMCの機能を担保可能である。
【0043】
<4.防火エンクロージャを構成する部材のその他の詳細>
以上のとおり、本明細書に開示の技術は、防火とEMCの両方の機能を担保しながらも電子機器の軽量化に貢献する。以下、防火エンクロージャ220、220Aを構成する部材のその他の詳細を説明する。
【0044】
(4.1 第2部材222)
防火エンクロージャのうち、第2部材222には、第1部材221または回路基板210のような剛性は基本的に求められない。第2部材222の金属層22Mおよび絶縁層22Lには、いずれもシート状の部材を用い得る。本明細書における「シート状」は、自己支持型の構造であるか否かを問わず、膜、箔、薄板などの可撓性を有する形態を広く包含するように解釈される。
【0045】
図10および図11を参照しながら説明した例では、金属層22Mとして、アルミニウムの箔が接着層22Nを介して絶縁層22Lに貼り付けられている。アルミニウムの箔の利用は、例えば蒸着などにより絶縁層22L上に金属膜を形成するよりも簡易であり、製造コスト低減の観点で有利である。一方の表面にあらかじめ接着剤の付与されたアルミニウムのテープを金属層22Mおよび接着層22Nの組として利用してもよい。
【0046】
図12は、第2部材222の本体部222Sの外観の一例を示す。図12に示す例では、本体部222Sの金属層22Mは、絶縁層22L表面の中央付近を覆っておらず、図中に網掛けで模式的に示すように、絶縁層22Lの一部が外部に露出されている。この例のように、本体部222Sの全体が金属層22Mおよび絶縁層22Lの積層構造を有しないこともあり得る。本実施形態では、絶縁層22Lの主面のうち、少なくとも、後述の図17に示すアーム500の基部510に対応する部分は、金属層22Mによって覆われていない。なお、絶縁層22Lのうち金属層22Mで覆われていない部分にスリットなどの構造が形成されていてもよい。
【0047】
絶縁層22Lのうち金属層22Mによって覆われていない部分は、例えば、第2開口20yを図のXY平面に投影した領域と重なりを有し得る。ただし、ここでは、図6を参照しながら説明したように、第2開口20yは、板金で構成された中間プレート221Pによって閉塞される。絶縁層22Lの全面が金属層22Mで覆われていなくとも、中間プレート221Pのような金属製の部材により外殻221Qの開口を閉塞することにより、EMCに関する仕様上の要求を満足させ得る。
【0048】
上述の実施形態では、絶縁層22Lとして、ポリカーボネートのシートを例示している。発明者の検討によると、絶縁層22Lの材料として特にポリカーボネートを適用することにより、防炎の要求を満足させながらも、絶縁層22Lの重量を例えば25g以下とし得る。絶縁層22Lの材料の選択により、防炎の機能を確保しつつも環境基準(典型的には、米国の環境評価システム「EPEAT(Electronic Product Environmental Assessment Tool)」のゴールド登録)を満足させることが可能になる。熱可塑性樹脂は、粉砕および溶融により再生プラスチックとして再利用可能であり、絶縁層22Lの材料に熱可塑性樹脂を用いることは、環境負荷低減に有利である。
【0049】
絶縁層22Lの厚さは、例えば0.25mm以上0.50mm以下の範囲であり、好ましくは、0.39mm以上0.47mm以下の範囲である。防炎機能の確保には、絶縁層22Lに、ある程度の厚さが求められる。その一方で、絶縁層22Lの厚さの増大は、電装200の重量の増大をもたらす。絶縁層22Lの厚さが上記の範囲内であることにより、防炎の機能と軽量化とを両立させ得る。
【0050】
(4.2 第1部材221)
図6を参照しながら説明したように、第1部材221は、1以上の開口を有する。これらの開口の数および配置、ならびに、個々の開口の形状およびサイズは、第1部材221に必要な機能および剛性を確保できる限りにおいて基本的に任意である。
【0051】
本発明の実施形態によれば、防炎およびEMCに関する仕様上の要求を満足させながらも、全体が板金で構成された一般的なエンクロージャでは通常あり得ないサイズの開口を設けることが可能になる。例えば、上述の第1開口20x、第2開口20yおよび第3開口20zの少なくともいずれかは、IEC C62368-1:2018に底面開口として規定されている開口よりも大きなサイズを有し得る。例えば、第1部材221に設けられる開口は、1.1mm超の直径または1.1mm超の面積を有していてもよく、2.0mm超の直径または3.2mm超の面積を有していてもよい。本発明の実施形態によれば、第1部材221に設けられた1以上の開口を第2部材222または中間プレート221Pが閉塞することにより、防炎に関する規格を満足させつつも、これらの開口のサイズおよび/または配置についての設計上の自由度を向上させ得る。
【0052】
第1部材221の例えば外殻221Qに設けられる開口は、最も広い部分の長さが1.0mm超の形状を有する開口を含んでいてもよい。図13は、複数の曲線を含む形状を有する開口の例を示す。図13に示す開口Apにおける、"最も広い部分の長さ"は、図13中に実線の両矢印で模式的に示すように、開口の形状を規定する図形上のある1点Pと他のある1点Qとの間の距離のうち最大のものを指す。第1部材221に設けられる開口における最も広い部分の長さは、典型的には、42mm以下である。
【0053】
この"最も広い部分の長さ"は、第1部材221に設けられる開口のサイズを特徴づけるパラメータの1つと考えることができる。開口の許容可能なサイズの範囲は、第1部材221の厚さとの関係で規定されてもよい。例えば、開口のサイズをD、第1部材221の外殻221Qのうちその開口の設けられた部分の近傍(例えば開口の外縁から5mm以内の範囲)の厚さをTとしたときのこれらの比率(D/T)は、1.45以上14.0以下の範囲であり得る。比率(D/T)は、より好ましくは、5.0以上12.0以下の範囲である。
【0054】
図14は、防火エンクロージャから回路基板210および第1部材221の外殻221Qを取り出して示す。図14に示すように、ここでは、外殻221Qの天面部20は、図のZ軸方向に見た平面視において回路基板210の全部ではなく一部を覆う形状を有する。この例では、X軸に平行な方向において、回路基板210の外縁の一部が天面部20の外縁よりも外側に位置している。言い換えれば、この例では、回路基板210の長方形状の短辺側の端部は、天面部20から露出されている。このように、第1部材221は、X軸方向およびY軸方向の一方に関して一対の壁部(ここでは壁部21および壁部22)が対向することに対して、他方に関して両端が開放された形状を有し得る。
【0055】
上述したように、第1部材221の外殻221Qは、壁部21に接続された脚部23、および、壁部22に接続された脚部24を有する。脚部23は、屈曲部3を介して壁部21に連続し、脚部24は、屈曲部4を介して壁部22に連続する。この例では、脚部23および脚部24に、第3部材としての内部フレーム330への取り付けのための貫通孔34が設けられている。すなわち、この例では、電装200は、例えばネジ留めによって第1部材221が内部フレーム330に結合されることにより内部フレーム330に固定される(図4参照)。
【0056】
図15は、防火エンクロージャから第1部材221の外殻221Qを取り出して示す。図15に例示する構成において、外殻221Qは、第1開口20x、第2開口20yおよび第3開口20zに加えて、これらと比較して小さなサイズの複数の開口を有する。図15に示す例では、外殻221Qは、壁部21または壁部22に位置する4つの開口をさらに有している。より詳細には、外殻221Qは、それぞれが壁部21から天面部20にわたる2つの開口21hと、それぞれが壁部22から天面部20にわたる2つの開口22hを有する。
【0057】
これらの開口21hおよび開口22hは、例えばランシング(lancing)により形成できる。この例では、閉曲線ではない切り目が板金に形成されて板金の一部が折り曲げられることにより、開口21hに対応してタブ21tが、開口22hに対応してタブ22tが外殻221Qに形成されている。図15に示すように、これら4つのタブ21t、22tのそれぞれは、外殻221QのU字状の内側に向かって延びる。すなわち、タブ21tは、壁部21の位置を起点として壁部22に向かって延び、他方、タブ22tは、壁部22の位置を起点として壁部21に向かって延びている。タブ21tおよびタブ22tを、それぞれ、爪部21tおよび爪部22tと呼んでもよい。
【0058】
この例では、タブ21t、22tのそれぞれに、回路基板210の固定のためのネジ穴が設けられている。すなわち、ここでは、タブ21t、22tは、回路基板210を保持するための支持部として機能する。回路基板210は、タブ21t、22tへの例えばネジ留めにより、壁部21および壁部22の間に固定される。
【0059】
図15図8との比較からも理解されるように、この例では、タブ21t、22tは、脚部23および脚部24の下面(内部フレーム330に対向する面)よりも天面部20の近くに位置し、したがって、回路基板210は、第1部材221が固定される部材(ここでは内部フレーム330)の上面から空間的に離れて壁部21および壁部22の間で保持される。回路基板210を第1部材221に支持させることにより、回路基板210と第1部材221以外の部材(例えば内部フレーム330)との直接の接触を回避して、回路基板210の破損、回路基板210と第1部材221以外の部材との間の電気的短絡などを防止し得る。
【0060】
回路基板210を例えば他の金属部材から浮かせて支持するための構造は、上述したようなタブまたは爪部に限定されない。例えば、外殻221Qの壁部21および壁部22に、回路基板210を挿入するためのスロットもしくはノッチ、または、壁部21および壁部22に挟み込んで固定するためのバネ部などを設けてもよい。
【0061】
図16は、第1部材221へのアーム500の接続を示す。本発明の典型的な実施形態において、アーム500は、防火エンクロージャの第1部材221(例えば中間プレート221P)に接続される。筐体300の例えばリアパネル320ではなく第1部材221にアーム500を接続する構成によれば、第1部材221が板金で構成されることにより剛性を確保しやすく、アーム500による表示装置100の支持をより確実とし得る。
【0062】
この例のように、防火エンクロージャにアームの固定具の機能を兼ねさせることにより、アーム500を取り付けるための部品を筐体300に別途に設ける必要がなく、部品点数の削減、表示装置の薄型化の効果を期待できる。ただし、このことは、防火エンクロージャの例えば第1部材221が、表示装置100を支持するアームまたはスタンドを脱着可能に構成されたマウントをさらに有することを妨げるものではない。例えば、アーム500は、中間プレート221Pに代えて、板金で構成された他の中間部材を介してネジ留めなどにより第1部材221に接続されてもかまわない。
【0063】
図17は、アーム500の構成の一例を示す。図17に示す例では、アーム500は、概略、3つの部材から構成されている。すなわち、図17に例示する構成において、アーム500は、基部510、中間腕部520および先端腕部530を含んでいる。図17では、説明の便宜のために、アーム500を構成する複数の部材のうち一部の部材の図示を省略している。
【0064】
基部510は、防火エンクロージャの第1部材221に結合される部分であり、中間腕部520との間の接続のためのジョイント511を有する。このジョイント511は、第1部材221に対してZ軸に平行な軸周りに回転自在に構成され得る。中間腕部520は、ジョイント511に対してY軸に平行なN1軸周りに回転自在に結合され、先端腕部530は、中間腕部520に対してX軸に平行なN2軸周りに回転自在に結合される。先端腕部530の、中間腕部520とは反対側の端部には、デスク、パーティションなどへの一時的な固定のためのクランプなどが取り付けられ得る。
【0065】
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、エンクロージャの機能を維持させつつも電子機器の重量の低減を図ることが可能になる。これまでの説明から明らかなように、本発明は、液晶表示装置のような表示装置に限定されず、一般的な電子機器、例えば家電、パーソナルコンピュータのほか、スマートホンのようなモバイルデバイスなどにも広く適用が可能である。
【0066】
以上、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1~4 :屈曲部
12 :USBコネクタ
20 :天面部
20x :第1開口
20y :第2開口
20z :第3開口
21、22 :壁部
21h、22h :開口
21t、22t :タブ(爪部)
22L :絶縁層
22M :金属層
22N :接着層
23、24 :脚部
30 :開口
34 :貫通孔
100 :表示装置
200 :電装
201 :絶縁シート
202 :アルミテープ
210 :回路基板
210a :上面
220、220A :防火エンクロージャ
221 :第1部材
221P :中間プレート
221Q :外殻
222 :第2部材
222S :本体部
222T :被覆部材
300 :筐体
310 :フロントパネル
312 :ベゼル
320 :リアパネル
330 :内部フレーム
400 :ディスプレイパネル
400a :表示面
500 :アーム
510 :基部
511 :ジョイント
520 :中間腕部
530 :先端腕部
Ap :開口
Gp :空間
【要約】
【課題】エンクロージャ全体の重量の増加を回避しながらも、防火とEMCの両方の機能を担保する。
【解決手段】本発明によれば、回路基板と、防火エンクロージャとを備え、前記防火エンクロージャは、板金で構成された第1部材と、絶縁層および金属層を含む第2部材とを含み、前記第1部材は、1以上の開口の設けられた天面部であって、前記回路基板の一部を覆う天面部を有し、前記第2部材は、前記1以上の開口を閉塞しており、前記第2部材の前記絶縁層は、前記金属層と前記回路基板との間に位置する、電子機器が提供される。
【選択図】図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17