(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】デブリ除去システム及びデブリ除去方法
(51)【国際特許分類】
B64G 1/62 20060101AFI20250106BHJP
B64G 4/00 20060101ALI20250106BHJP
B64G 1/68 20060101ALI20250106BHJP
B64G 1/66 20060101ALI20250106BHJP
B64G 1/64 20060101ALI20250106BHJP
【FI】
B64G1/62
B64G4/00 105
B64G1/68
B64G1/66 A
B64G1/64 600
(21)【出願番号】P 2024501452
(86)(22)【出願日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2023005773
(87)【国際公開番号】W WO2023157952
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2024-05-10
(31)【優先権主張番号】P 2022022604
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022022598
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516041276
【氏名又は名称】株式会社アストロスケール
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140648
【氏名又は名称】佐藤 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】岩井 隆
(72)【発明者】
【氏名】西田 信一郎
(72)【発明者】
【氏名】リンゼイ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勝
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-2813(JP,A)
【文献】特開2017-210214(JP,A)
【文献】特開2014-226974(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0262589(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙空間に存在するスペースデブリを除去するデブリ除去システムであって、
宇宙空間を移動するように構成された第一及び第二の宇宙航行体と、
前記第一の宇宙航行体によって前記スペースデブリの表面に取り付けられる協力インターフェースと、を備え、
前記第二の宇宙航行体は、前記協力インターフェースを利用して前記スペースデブリに接近して前記スペースデブリを捕獲し、前記スペースデブリとともに大気圏に突入するように構成されている、デブリ除去システム。
【請求項2】
宇宙空間に存在するスペースデブリを除去するデブリ除去システムであって、
宇宙空間を移動するように構成された第一及び第二の宇宙航行体と、
前記第一の宇宙航行体によって前記スペースデブリの表面に取り付けられる協力インターフェースと、を備え、
前記第二の宇宙航行体は、前記協力インターフェースを利用して前記スペースデブリに接近して前記スペースデブリを捕獲し、前記スペースデブリを低高度で放出するように構成されている、デブリ除去システム。
【請求項3】
前記協力インターフェースは、光を反射するように構成された光学マーカを有する板状体である、請求項1又は2に記載のデブリ除去システム。
【請求項4】
前記板状体の表面は、吸着力を具備しており、
前記第一の宇宙航行体は、前記板状体を把持する把持部を有しており、
前記把持部で把持された前記板状体の前記表面が前記スペースデブリの前記表面に押し付けられることにより、前記板状体の前記表面が前記スペースデブリの前記表面に吸着されて、前記板状体が前記スペースデブリに取り付けられる、請求項3に記載のデブリ除去システム。
【請求項5】
前記板状体の前記表面は、Adhesive Textile、Gecko、Belcro、及び/又は、Coldweldingを利用することにより前記吸着力を具備している、請求項4に記載のデブリ除去システム。
【請求項6】
前記第一の宇宙航行体は、前記スペースデブリの前記表面に前記協力インターフェースとしての接近マーカを塗布する塗布部を有している、請求項1又は2に記載のデブリ除去システム。
【請求項7】
前記第一の宇宙航行体は、ロボットアームと、前記ロボットアームの先端に設けられた把持機構と、を有しており、
前記把持機構は、前記協力インターフェースが取り付けられるように、前記スペースデブリを把持するように、かつ、前記ロボットアームから前記協力インターフェースとともに切り離されるように、構成されている、請求項1又は2に記載の協力物体化システム。
【請求項8】
宇宙空間に存在するスペースデブリを除去する方法であって、
宇宙空間を移動するように構成された第一の宇宙航行体によって前記スペースデブリの表面に協力インターフェースを取り付ける取付工程と、
前記協力インターフェースを利用して第二の宇宙航行体を前記スペースデブリに接近させ、前記第二の宇宙航行体で前記スペースデブリを捕獲する捕獲工程と、
前記第二の宇宙航行体を前記スペースデブリとともに大気圏に突入させる再突入工程と、
を含む、デブリ除去方法。
【請求項9】
宇宙空間に存在するスペースデブリを除去する方法であって、
宇宙空間を移動するように構成された第一の宇宙航行体によって前記スペースデブリの表面に協力インターフェースを取り付ける取付工程と、
前記協力インターフェースを利用して第二の宇宙航行体を前記スペースデブリに接近させ、前記第二の宇宙航行体で前記スペースデブリを捕獲する捕獲工程と、
前記捕獲工程で捕獲した前記スペースデブリを低高度で放出する放出工程と、
を含む、デブリ除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デブリ除去システム及びデブリ除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マーカ等のインターフェースを持たないスペースデブリに接近してスペースデブリを捕獲し、スペースデブリとともに大気圏に突入して除去するサービスの提供を行うように構成されたサービス衛星に関する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかるサービス衛星は、形状や熱光学特性等が不明な物体への接近や接続を行うために必要な高度なセンシング機能や、相対的な位置・姿勢の制御機能を具備している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、そのようなサービス衛星は、以下のような問題を抱えている。すなわち、スペースデブリに接近してデブリ除去を行うために必要なセンシング機能や位置姿勢の制御機能は往々にして複雑となることが多く、また、センシングや位置・姿勢の制御を高精度で実施することが困難である、という問題がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、デブリ除去のためにサービス衛星がスペースデブリに接近等する際に必要な複雑な機能や高精度な制御を省くことができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明に係る第一のデブリ除去システムは、宇宙空間に存在するスペースデブリを除去するシステムであって、宇宙空間を移動するように構成された第一及び第二の宇宙航行体と、第一の宇宙航行体によってスペースデブリの表面に取り付けられる協力インターフェースと、を備え、第二の宇宙航行体は、協力インターフェースを利用してスペースデブリに接近してスペースデブリを捕獲し、スペースデブリとともに大気圏に突入するように構成されているものである。
【0007】
本発明に係る第二のデブリ除去システムは、宇宙空間に存在するスペースデブリを除去するシステムであって、宇宙空間を移動するように構成された第一及び第二の宇宙航行体と、第一の宇宙航行体によってスペースデブリの表面に取り付けられる協力インターフェースと、を備え、第二の宇宙航行体は、協力インターフェースを利用してスペースデブリに接近してスペースデブリを捕獲し、スペースデブリを低高度で放出するように構成されているものである。
【0008】
また、本発明に係る第一のデブリ除去方法は、宇宙空間に存在するスペースデブリを除去する方法であって、宇宙空間を移動するように構成された第一の宇宙航行体によってスペースデブリの表面に協力インターフェースを取り付ける取付工程と、協力インターフェースを利用して第二の宇宙航行体をスペースデブリに接近させ、第二の宇宙航行体でスペースデブリを捕獲する捕獲工程と、第二の宇宙航行体をスペースデブリとともに大気圏に突入させる再突入工程と、を含むものである。
【0009】
本発明に係る第二のデブリ除去方法は、宇宙空間に存在するスペースデブリを除去する方法であって、宇宙空間を移動するように構成された第一の宇宙航行体によってスペースデブリの表面に協力インターフェースを取り付ける取付工程と、協力インターフェースを利用して第二の宇宙航行体をスペースデブリに接近させ、第二の宇宙航行体でスペースデブリを捕獲する捕獲工程と、捕獲工程で捕獲したスペースデブリを低高度で放出する放出工程と、を含むものである。
【0010】
かかる構成及び方法を採用すると、宇宙空間を移動するように構成された第一の宇宙航行体によって協力インターフェースをスペースデブリの表面に取り付けることができる。従って、第二の宇宙航行体(例えばサービス衛星)は、協力インターフェースを利用してスペースデブリに容易に接近してスペースデブリを捕獲し、スペースデブリとともに大気圏に突入して(又は低高度でスペースデブリを放出して)デブリ除去を実現させることができる。よって、デブリ除去のために第二の宇宙航行体がスペースデブリに接近等する際に必要な複雑な機能や高精度な制御を省くことができ、デブリ除去作業が容易となる。この結果、デブリ除去に要するコスト削減が実現されるとともに、より安全にデブリ除去サービスを提供できる。また、安全を確保するために必要な各種の設計マージンを必要最低限にとどめられるため、デブリ除去に要するコスト削減をも実現することができる。
【0011】
本発明に係るデブリ除去システムにおいて、光を反射するように構成された光学マーカを有する板状体を協力インターフェースとして採用することができる。かかる場合において、板状体の表面に吸着力を具備させ、板状体を把持する把持部を第一の宇宙航行体に設け、この把持部で把持した板状体の表面をスペースデブリの表面に押し付けることにより板状体の表面をスペースデブリの表面に吸着させて板状体をスペースデブリに取り付けることができる。板状体の表面は、Adhesive Textile、Gecko、Belcro、及び/又は、Coldweldingを利用することにより吸着力を具備することができる。
【0012】
また、本発明に係るデブリ除去システムにおいて、スペースデブリの表面に協力インターフェースとしての接近マーカを塗布する塗布部を第一の宇宙航行体に設けることができる。
【0013】
また、本発明に係るデブリ除去システムにおいて、ロボットアームと、ロボットアームの先端に設けられた把持機構と、を有する第一の宇宙航行体を採用することができる。かかる場合において、協力インターフェースが取り付けられるように、スペースデブリを把持するように、かつ、ロボットアームから協力インターフェースとともに切り離されるように、構成された把持機構を採用することができる。
【0014】
かかる構成を採用すると、宇宙空間を移動するように構成された宇宙航行体のロボットアームの把持機構に協力インターフェースを取り付け、把持機構でスペースデブリを把持し、ロボットアームから把持機構を協力インターフェースとともに切り離すことにより、協力インターフェースとスペースデブリとを一体とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、デブリ除去のためにサービス衛星がスペースデブリに接近等する際に必要な複雑な機能や高精度な制御を省くことができるシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るデブリ除去システムの概要を示す図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るデブリ除去システムの他の適用例(単体の宇宙航行体で複数のスペースデブリを処理する態様)を示す図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係るデブリ除去システムの概要を示すものであって、(A)は第一の宇宙航行体のロボットアームの把持機構でスペースデブリを把持した状態を示す図、(B)は第一の宇宙航行体の把持機構をロボットアームから切り離した状態を示す図、である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の各実施形態について、図面を用いて説明する。
【0018】
まず、
図1を用いて、本発明の第一実施形態に係るデブリ除去システム(以下、「本システム」と称する)1の構成を説明する。本システム1は、宇宙空間に存在するスペースデブリCを除去するシステムであって、宇宙空間を移動するように構成された第一の宇宙航行体S及び第二の宇宙航行体Rと、第一の宇宙航行体SによってスペースデブリCの表面に取り付けられる協力インターフェースMと、を備えている。
【0019】
本実施形態においては、協力インターフェースMとして、光学マーカを有する板状体を採用している。光学マーカは、板状体の一方の表面に取り付けられており、光を反射するように構成されている。光学マーカとしては、例えば、光の出射方向を入射方向と一致させることができる再帰性反射材を有することができる。光学マーカが取り付けられる表面に断熱膜が形成される場合は、この断熱膜で吸収されるような所定波長域の光(例えば300~400nmの波長域を有する近紫外域の光)を反射させるような光学マーカを採用することもできる。また、本実施形態における板状体の他方の表面は、Adhesive Textile、Gecko、Belcro、及び/又は、Coldweldingを利用することにより、吸着力を具備している。
【0020】
本実施形態における第一の宇宙航行体Sは、協力インターフェースMとしての板状体を把持する把持部(ロボットアーム等)を有している。宇宙航行体Sの把持部で板状体を把持し、板状体の表面(光学マーカと反対側にある吸着力を具備する表面)をスペースデブリCの表面に押し付けることにより、板状体の表面をスペースデブリCの表面に吸着させて板状体をスペースデブリCに取り付けることができる。
【0021】
本実施形態における第二の宇宙航行体Rは、いわゆるサービス衛星であり、協力インターフェースMを利用してスペースデブリCに接近してスペースデブリCを捕獲し、スペースデブリCとともに大気圏に突入するように構成されている。なお、スペースデブリCとともに大気圏に突入する機能に代えて(又はこれに加えて)、スペースデブリCとともに低高度(ISS高度よりも有意に低い高度であって、例えば350km程度)に軌道遷移し、当該低高度にてスペースデブリCを放出(リリース)するように構成された第二の宇宙航行体Rを採用することもできる。第二の宇宙航行体Rの構成は、上記機能を果たすことができるものであればいかなる構成を採用してもよく、特に限定されるものではない。
【0022】
本システム1を用いてスペースデブリCを除去する方法(デブリ除去方法)は、宇宙空間を移動するように構成された第一の宇宙航行体SによってスペースデブリCの表面に協力インターフェースMを取り付ける工程(取付工程)と、協力インターフェースMを利用して第二の宇宙航行体RをスペースデブリCに接近させ、第二の宇宙航行体RでスペースデブリCを捕獲する工程(捕獲工程)と、第二の宇宙航行体RをスペースデブリCとともに大気圏に突入させる工程(再突入工程)と、を含むものである。なお、再突入工程に代えて、捕獲工程で捕獲したスペースデブリCを低高度で放出する放出工程を採用することもできる。
【0023】
本実施形態に係る方法の取付工程では、例えば既に説明したように、宇宙航行体Sの把持部で協力インターフェースMとしての板状体を把持し、板状体の表面(光学マーカと反対側にある吸着力を具備する表面)をスペースデブリCの表面に押し付けることにより、板状体の表面をスペースデブリCの表面に吸着させて板状体をスペースデブリCに取り付けることができる。
【0024】
以上の実施形態に係るデブリ除去システム1においては、宇宙空間を移動するように構成された第一の宇宙航行体Sによって協力インターフェースMをスペースデブリCの表面に取り付けることができる。従って、第二の宇宙航行体Rは、協力インターフェースMを利用してスペースデブリCに容易に接近してスペースデブリCを捕獲し、スペースデブリCとともに大気圏に突入して(又は低高度でスペースデブリCを放出して)デブリ除去を実現させることができる。よって、デブリ除去のために第二の宇宙航行体RがスペースデブリCに接近等する際に必要な複雑な機能や高精度な制御を省くことができ、デブリ除去作業が容易となる。この結果、デブリ除去に要するコスト削減が実現されるとともに、より安全にデブリ除去サービスを提供できる。また、安全を確保するために必要な各種の設計マージンを必要最低限にとどめられるため、デブリ除去に要するコスト削減をも実現することができる。
【0025】
なお、第一の宇宙航行体及び協力インターフェースの構成は、本実施形態で説明した構成に限られるものではない。例えば、協力インターフェースとして、スペースデブリCの表面に塗布される接近マーカを採用するとともに、この接近マーカをスペースデブリCの表面に塗布する塗布部を有する第一の宇宙航行体を採用することもできる。
【0026】
また、
図1の実施形態においては、単体の第一の宇宙航行体Sを用いて、「単体」のスペースデブリCに協力インターフェースMを取り付け、当該スペースデブリCを除去した例を示したが、単体の第一の宇宙航行体Sで「複数」のスペースデブリCを除去することもできる。
【0027】
すなわち、
図2に示すように、例えば高度400kmの地球低軌道上を航行している単体のServicer(第一の宇宙航行体S)を、例えば高度800kmの軌道上にあるTarget-A(第一のスペースデブリC)に対して接近させ、協力インターフェースMをTarget-Aに取り付ける。その後、別軌道上又は同一軌道上にあるTarget-B(第二のスペースデブリC)に対して接近させ、協力インターフェースMをTarget-Bに取り付ける。その後再び、別軌道上又は同一軌道上にあるTarget-C(第三のスペースデブリC)に対して接近させ、協力インターフェースMをTarget-Cに取り付ける。
【0028】
このように単体の第一の宇宙航行体S(Servicer)によって協力インターフェースMが取り付けられた「複数」のスペースデブリC(Target-A、Target-B、Target-C)は、別々の又は同一のサービス衛星(第二の宇宙航行体R)によって処理可能となる。例えば、
図2に示すように、「複数」のデブリ除去用のサービス衛星(第二の宇宙航行体R)が、協力インターフェースMを利用して、これら「複数」のスペースデブリCに各々接近することができる。そして、これらサービス衛星(第二の宇宙航行体R)は、「複数」のスペースデブリCを各々捕獲し、「複数」のスペースデブリCとともに大気圏に突入(Re-entry)して(又は低高度でスペースデブリCを放出して)デブリ除去を行うことができる。
【0029】
<第二実施形態>
次に、
図3を用いて、本発明の第二実施形態に係るデブリ除去システム1Aの構成を説明する。本システム1Aは、第一実施形態と同様に、宇宙空間に存在するスペースデブリCを除去するシステムであって、宇宙空間を移動するように構成された第一の宇宙航行体S及び第二の宇宙航行体Rと、第一の宇宙航行体SによってスペースデブリCの表面に取り付けられる協力インターフェースMと、を備えている。なお、本実施形態における第二の宇宙航行体Rは、第一実施形態と実質的に同一であるため、図示を省略するとともに詳細な説明を省略することとする。
【0030】
本実施形態における第一の宇宙航行体Sは、ロボットアームSAと、ロボットアームSAの先端に設けられた把持機構SGと、を有している。把持機構SGは、協力インターフェースMが取り付けられるように、スペースデブリCを把持するように、かつ、ロボットアームSAから協力インターフェースMとともに切り離されるように、構成されている。把持機構SGの構成は、かかる機能を果たすことができるものであればよく、特に限定されるものではない。
【0031】
なお、協力インターフェースMとともに、ドッキングインターフェース、角速度detumblingデバイス、ドラッグセイルデバイス、軌道降下用テザーデバイス、等の各種デバイスを把持機構SGに取り付けておくこともできる。このようにすると、把持機構SGでスペースデブリCを把持し、ロボットアームSAから把持機構SGをデバイスとともに切り離すことにより、デバイスとスペースデブリCとを一体とすることができる。
【0032】
本システム1Aを用いてスペースデブリCを除去する方法(デブリ除去方法)は、宇宙空間を移動するように構成された第一の宇宙航行体SによってスペースデブリCの表面に協力インターフェースMを取り付ける工程(取付工程)と、協力インターフェースMを利用して第二の宇宙航行体RをスペースデブリCに接近させ、第二の宇宙航行体RでスペースデブリCを捕獲する工程(捕獲工程)と、第二の宇宙航行体RをスペースデブリCとともに大気圏に突入させる工程(再突入工程)と、を含むものである。なお、再突入工程に代えて、捕獲工程で捕獲したスペースデブリCを低高度で放出する放出工程を採用することもできることは第一実施形態と同様である。
【0033】
本実施形態においては、宇宙航行体SのロボットアームSAの把持機構SGに協力インターフェースMを取り付け、把持機構SGでスペースデブリCを把持し、ロボットアームSAから把持機構SGを協力インターフェースMとともに切り離すことにより、協力インターフェースMをスペースデブリCに取り付けることができる。
【0034】
以上の実施形態に係るデブリ除去システム1Aにおいても、第一実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
本発明は、以上の各実施形態に限定されるものではなく、これら実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0036】
1・1A…デブリ除去システム
C…スペースデブリ
M…協力インターフェース
S…第一の宇宙航行体
SA…ロボットアーム
SG…把持機構
R…第二の宇宙航行体