(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-27
(45)【発行日】2025-01-14
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/49 20070101AFI20250106BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20250106BHJP
【FI】
H02M7/49
H02M7/48 M
(21)【出願番号】P 2024517100
(86)(22)【出願日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 JP2023037499
【審査請求日】2024-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小堀 晃平
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/193606(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/216208(WO,A1)
【文献】特開2011-174797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0313387(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42- 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の単位変換器を含み、交流電源に接続される電力変換器と、
前記複数の単位変換器の各々に制御信号を出力する制御装置とを備え、
各単位変換器は、
直流電力を蓄えるコンデンサと、前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して前記コンデンサに供給する整流素子と、前記コンデンサの直流電力を交流電力に変換して前記交流電源に供給するスイッチング素子とを含む主回路と、
前記コンデンサの端子間電圧を検出する電圧センサと、
前記制御信号に従って前記スイッチング素子を駆動させる駆動回路とを含み、
前記コンデンサの端子間電圧は直流成分および交流成分を含み、
前記制御装置は、
前記電圧センサによって検出される前記コンデンサの端子間電圧が参照直流電圧になり、かつ前記電力変換器の交流出力電圧が参照交流電圧になるように、前記制御信号を生成する制御部と、
前記各単位変換器に対応して設けられ、対応する単位変換器に含まれる前記コンデンサを検査する検査部とを備え、
前記検査部は、対応する前記コンデンサの端子間電圧に含まれる前記交流成分の電圧がしきい値電圧よりも高い場合に、対応する前記コンデンサを新品と交換する必要があると判定する判定部を含
み、
前記検査部は、
前記交流成分の電圧を予め定められた周期で順次記憶する記憶部と、
前記交流成分の電圧が前記しきい値電圧よりも小さい場合に、前記記憶部の記憶内容に基づいて、対応する前記コンデンサを新品と交換すべき時期を推定する推定部とをさらに含む、電力変換装置。
【請求項2】
前記交流成分の電圧は、前記コンデンサの端子間電圧の最大値と最小値の差電圧である、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記各単位変換器は、前記コンデンサの端子間電圧の最大値と最小値を検出し、それらの検出値を示す信号を出力するピーク値検出部をさらに含み、
前記検査部は、前記ピーク値検出部の出力信号によって示される前記最大値と前記最小値の差電圧を求める演算部をさらに含み、
前記判定部は、前記演算部によって求められる前記差電圧が前記しきい値電圧よりも高い場合に、対応する前記コンデンサを新品と交換する必要があると判定する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
複数の前記判定部の判定結果を表示する表示部をさらに備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
複数の前記推定部の推定結果を表示する表示部をさらに備える、請求項
1に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関し、特に、直列接続された複数の単位変換器を含む電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば国際公開第2018/193606号(特許文献1)には、交流電源に接続される電力変換器と、電力変換器を制御する制御装置とを備えた電力変換装置が開示されている。電力変換器は、直列接続された複数の単位変換器を含む。各単位変換器は、直流電力を蓄えるコンデンサと、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換してコンデンサに供給する整流素子と、コンデンサの直流電力を交流電力に変換して交流電源に供給するスイッチング素子とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電力変換装置では、複数の単位変換器に含まれる複数のコンデンサの経年劣化が発生し、装置性能が低下するという問題がある。
【0005】
この対策として、定期的に電力変換装置の運転を停止し、各コンデンサの容量値を測定し、劣化したコンデンサを新品と交換する方法がある。しかし、この方法では、複数のコンデンサの容量値を測定するための時間が長くなり、装置の運転停止時間が長くなるという問題がある。
【0006】
それゆえに、本開示の主たる目的は、電力変換装置を運転しながら、複数の単位変換器に含まれる複数のコンデンサの各々を新品と交換する必要があるか否かを判定することが可能な電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電力変換装置は、電力変換器および制御装置を備える。電力変換器は、直列接続された複数の単位変換器を含み、交流電源に接続される。制御装置は、複数の単位変換器の各々に制御信号を送信する。
【0008】
各単位変換器は、主回路、電圧センサ、および駆動回路を含む。主回路は、直流電力を蓄えるコンデンサと、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換してコンデンサに供給する整流素子と、コンデンサの直流電力を交流電力に変換して交流電源に供給するスイッチング素子とを含む。電圧センサは、コンデンサの端子間電圧を検出する。駆動回路は、制御信号に従ってスイッチング素子を駆動させる。コンデンサの端子間電圧は直流成分および交流成分を含む。
【0009】
制御装置は、制御部および検査部を含む。制御部は、電圧センサによって検出されるコンデンサの端子間電圧が参照直流電圧になり、かつ電力変換器の交流出力電圧が参照交流電圧になるように、制御信号を生成する。検査部は、各単位変換器に対応して設けられ、対応する単位変換器に含まれるコンデンサを検査する。この検査部は、対応するコンデンサの端子間電圧に含まれる交流成分の電圧がしきい値電圧よりも高い場合に、対応するコンデンサを新品と交換する必要があると判定する判定部を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示の電力変換装置では、各単位変換器に対応して検査部が設けられ、この検査部は、対応するコンデンサの端子間電圧に含まれる交流成分の電圧がしきい値電圧よりも高い場合に、対応するコンデンサを新品と交換する必要があると判定する。したがって、電力変換装置を運転しながら、複数の単位変換器に含まれる複数のコンデンサの各々を新品と交換する必要があるか否かを判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施の形態に従う電力変換装置の構成を示す回路ブロック図である。
【
図2】
図1に示す単位変換器の構成を示す回路ブロック図である。
【
図3】
図2に示すコンデンサの端子間電圧の波形を示すタイムチャートである。
【
図4】
図2に示すコンデンサの端子間電圧の波形を示す他のタイムチャートである。
【
図5】
図1に示す制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図5に示す制御回路の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図2に示すコンデンサの初期充電を説明するための回路ブロック図である。
【
図8】
図6に示す検査部の構成を示すブロック図である。
【
図9】
図8に示す推定部の動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図10】コンデンサの検査方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本開示の一実施の形態に従う電力変換装置1の構成を示す回路ブロック図である。
図1において、この電力変換装置1は、商用交流電源8から負荷に三相交流電力を供給するための送電線9u,9v,9wに接続され、負荷などで発生する無効電力を補償する無効電力補償装置として使用される。
【0013】
この電力変換装置1は、スイッチS1~S6、変圧器2,3、限流抵抗器R1~R3、交流ラインUL,VL,WL、変流器C1~C3、リアクトルL1~L3、アームA1~A3、操作部6、および制御装置7を備える。
【0014】
スイッチS1~S3の一方端子はそれぞれ送電線9u,9v,9wに接続され、それらの他方端子はそれぞれ変圧器2の3つの一次巻線に接続される。スイッチS1~S3は、制御装置7によって制御され、通常時にオンされ、電力変換装置1の検査およびメンテナンス時にオフされる。変圧器2は、3つの一次巻線と3つの二次巻線とを含み、三相交流電力を授受する。
【0015】
限流抵抗器R1~R3の一方端子はそれぞれ変圧器2の3つの二次巻線に接続され、それらの他方端子はそれぞれ交流ラインUL,VL,WLの一方端に接続される。限流抵抗器R1~R3は、電力変換装置1の起動時に商用交流電源8からアームA1~A3にそれぞれ流れる電流を制限する。
【0016】
スイッチS4~S6は、それぞれ限流抵抗器R1~R3に並列接続される。スイッチS4~S6は、制御装置7によって制御され、電力変換装置1の起動時においてアームA1~A3に流れる電流が安定した後にオンされる。変圧器3は、交流ラインUL,VL,WLの交流電圧に応じた値の三相交流電圧Vu,Vv,Vwを制御装置7にフィードバックする。
【0017】
リアクトルL1およびアームA1は、交流ラインULと交流ラインVLとの間に直列接続される。リアクトルL2およびアームA2は、交流ラインVLと交流ラインWLとの間に直列接続される。リアクトルL3およびアームA3は、交流ラインWLと交流ラインULとの間に直列接続される。すなわち、アームA1~A3はデルタ接続されている。アームA1~A3(電力変換器)は、制御装置7によって制御され、三相交流電力を発生する。
【0018】
アームA1~A3の各々は、直列接続されたN個の単位変換器5を含む。N個の単位変換器5の各々は、制御装置7からの制御信号に従って交流電力を発生する。Nは、2以上の整数であり、たとえば60である。
【0019】
アームA1の初段の単位変換器5の第1端子5aは、リアクトルL1の一方端子に接続されている。アームA1において、最終段以外の各単位変換器5の第2端子5bは、隣接する単位変換器5の第1端子5aに接続されている。アームA1の最終段の単位変換器5の第2端子5bは、リアクトルL2の一方端子に接続されている。
【0020】
アームA2の初段の単位変換器5の第1端子5aは、リアクトルL2の他方端子に接続されている。アームA2において、最終段以外の各単位変換器5の第2端子5bは、隣接する単位変換器5の第1端子5aに接続されている。アームA2の最終段の単位変換器5の第2端子5bは、リアクトルL3の一方端子に接続されている。
【0021】
アームA3の初段の単位変換器5の第1端子5aは、リアクトルL3の他方端子に接続されている。アームA3において、最終段以外の各単位変換器5の第2端子5bは、隣接する単位変換器5の第1端子5aに接続されている。アームA3の最終段の単位変換器5の第2端子5bは、リアクトルL1の他方端子に接続されている。
【0022】
リアクトルL1~L3は、アームA1~A3に流れる循環電流をそれぞれ抑制する。リアクトルL1~L3は、アームA1~A3とは別に設けられていてもよいし、アームA1~A3のインダクタンス成分であっても構わない。変流器C1~C3は、アームA1~A3に流れる交流電流Iuv,Ivw,Iwuをそれぞれ検出して、制御装置7にフィードバックする。
【0023】
操作部6は、電力変換装置1の使用者によって操作される複数のボタン、種々の情報を表示する画像表示部などを含む。使用者が操作部6を操作することにより、種々の情報を設定したり、電力変換装置1を起動および停止させることが可能となっている。操作部6は、操作内容を示す信号を制御装置7に出力する。
【0024】
制御装置7は、操作部6からの信号に従って、スイッチS1~S3をオンおよびオフさせる。また、制御装置7は、無効電力指令値Qr、三相交流電圧Vu,Vv,Vw、三相交流電流Iuv,Ivw,Iwu、後述する直流電圧VDCなどに基づいて、後述する制御信号GC、制御信号GB、オン指令信号Sonなどを生成することにより、3つのアームA1~A3の各々(すなわち3×N個の単位変換器5の各々)を制御する。
【0025】
無効電力指令値Qrは、たとえば商用交流電源8を含む電力系統の中央指令室(図示せず)から与えられる。電力変換装置1は、無効電力指令値Qrに応じた値の無効電力を送電線9u,9v,9wに供給する。
【0026】
図2は、
図1に示した単位変換器5の構成を示す回路ブロック図である。
図2において、単位変換器5は、主回路10、抵抗素子R4、電源20、および制御回路30を含む。主回路10は、コンデンサを備えたフルブリッジ回路により構成される。
【0027】
具体的には、主回路10は、スイッチング素子11~14、ダイオード(整流素子)D1~D4、およびコンデンサ15を含む。主回路10は、スイッチング素子11~14のオンおよびオフによりコンデンサ15の端子間電圧VDCに応じた振幅の電圧パルスを第1端子5aおよび第2端子5b間に出力することにより、直流電力を交流電力に変換する。
【0028】
スイッチング素子11~14の各々は、自己消弧型電力用半導体素子であり、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成されている。スイッチング素子11,13は直流ラインPLおよび直流ラインNLの間に直列に接続されている。スイッチング素子12,14は直流ラインPLおよび直流ラインNLの間に直列に接続されている。スイッチング素子11,12のコレクタはともに直流ラインPLに接続され、スイッチング素子13,14のエミッタはともに直流ラインNLに接続されている。スイッチング素子11のエミッタとスイッチング素子13のコレクタとの接続点は第1端子5aに接続されている。スイッチング素子12のエミッタとスイッチング素子14のコレクタとの接続点は第2端子5bに接続されている。
【0029】
ダイオードD1~D4は、スイッチング素子11~14にそれぞれ逆並列に接続されている。コンデンサ15は、直流ラインPLおよび直流ラインNLの間に接続され、直流電力を蓄える。
【0030】
スイッチング素子11~14の導通状態(オンおよびオフ)は制御回路30によって制御される。スイッチング素子11,13は、互いに相補的にオンおよびオフされる。スイッチング素子12,14は、互いに相補的にオンおよびオフされる。
図2に示されるように、第2端子5bを基準とした第1端子5aまでの電圧をセル電圧Vcellと定義すると、セル電圧Vcellは、スイッチング素子11~14の各々のオンおよびオフによって制御される。
【0031】
具体的には、スイッチング素子11,14が共にオンであり、スイッチング素子12,13が共にオフである場合、セル電圧Vcellはコンデンサ15の端子間電圧VDCと等しい。スイッチング素子11,12が共にオンであり、スイッチング素子13,14が共にオフである場合、セル電圧Vcellは0Vである。スイッチング素子11,12が共にオフであり、スイッチング素子13,14が共にオンである場合、セル電圧Vcellは0Vである。スイッチング素子11,14が共にオフであり、スイッチング素子12,13が共にオンである場合、セル電圧Vcellはコンデンサ15の端子間電圧VDCの極性を反転させた電圧に等しい。
【0032】
なお、
図2では、主回路10がフルブリッジ回路により構成される例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、主回路10がハーフブリッジ回路により構成されてもよい。
【0033】
アームA1~A3の各々の全体の電圧は、該アームA1~A3の各々に含まれるN個の単位変換器5のセル電圧Vcellの和となる。したがって、各単位変換器5のスイッチング素子11~14の各々のオンおよびオフ状態によって制御することにより、アームA1~A3の各々の全体の電圧を制御することができる。
【0034】
また、主回路10は、スイッチS7をさらに含む。スイッチS7は、第1端子5aと第2端子5bとの間に接続されている。スイッチS7は、制御回路30からの指令に応じて閉成することにより、第1端子5aおよび第2端子5bを短絡することが可能に構成されている。
【0035】
抵抗素子R4は、直流ラインPLと電源20の入力端子20aとの間に接続されている。抵抗素子R4は、コンデンサ15の端子間電圧VDCを降圧して電源20に供給するとともに、コンデンサ15から電源20に流れる電流を制限する。
【0036】
電源20の入力端子20bは直流ラインNLに接続される。電源20は、コンデンサ15から抵抗素子R4を介して供給される直流電圧Vinをさらに降圧して制御回路30の電源電圧を生成する。すなわち、各単位変換器5は、主回路10から制御回路30に電力を供給することができる自給式のセルを形成する。
【0037】
制御回路30は、通信回路31、駆動回路32,33、スイッチ操作回路34、電圧センサ35、およびピーク値センサ36を含む。制御回路30は、電源20から供給される電源電圧によって駆動され、制御装置7と信号を授受するとともに、主回路10を制御する。
【0038】
通信回路31は、通信回線(図示せず)を介して制御装置7と通信する。すなわち、通信回路31は、スイッチング素子11~14を制御するための制御信号GCと、スイッチング素子11~14を全てオフさせるための制御信号GBとを受信し、受信した制御信号GC,GBを駆動回路32,33に与える。また、通信回路31は、スイッチS7をオンさせるためのオン指令信号Sonを受信し、受信したオン指令信号Sonをスイッチ操作回路34に与える。
【0039】
駆動回路32は、制御信号GCに応答してスイッチング素子11,13の各々をオンまたはオフさせる。また、駆動回路32は、制御信号GBに応答して、スイッチング素子11,13をオフさせる。
【0040】
駆動回路33は、制御信号GCに応答してスイッチング素子12,14の各々をオンまたはオフさせる。また、駆動回路33は、制御信号GBに応答して、スイッチング素子12,14をオフさせる。
【0041】
スイッチ操作回路34は、オン指令信号Sonに応答して励磁コイル18に電流を供給し、スイッチS7をオンさせる。通常動作時、励磁コイル18への電流供給が停止されているため、スイッチS7はオフ(開放)状態とされる。
【0042】
電圧センサ35は、コンデンサ15の端子間電圧VDCの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号を通信回路31に出力する。通信回路31は、コンデンサ15の端子間電圧VDCの検出値を示す信号を制御装置7へ送信する。
【0043】
図3は、コンデンサ15の端子間電圧VDCの波形を示すタイムチャートである。
図3において、(A)はコンデンサ15の端子間電圧VDCの波形を示し、(B)は(A)のα部の拡大図である。
図3では、コンデンサ15の容量値が比較的大きい場合、すなわちコンデンサ15の劣化レベルが小さい場合が示されている。
【0044】
制御装置7は、コンデンサ15の端子間電圧VDCが参照直流電圧VDRになるように制御信号GCを生成する。制御装置7は、電圧VDCが参照直流電圧VDRよりも低い場合には、電圧VDCが上昇するように制御信号GCを生成し、電圧VDCが参照直流電圧VDRよりも高い場合には、電圧VDCが低下するように制御信号GCを生成する。
【0045】
このため、電圧VDCは、一定値にはならず、参照直流電圧VDRよりも低い最小値VLと参照直流電圧VDRよりも高い最大値VHとの間で振動する。換言すると、電圧VDCは、直流成分Vdcと交流成分Vacを含む。直流成分Vdcは、参照直流電圧VDRと一致する。交流成分Vacは、リップル電圧と呼ばれ、直流成分Vdcに重畳している。
【0046】
電圧VDCの最大値VHと最小値VLの差電圧VPP=VH-VLを交流成分Vacの電圧とすると、交流成分Vacの電圧VPPはコンデンサ15の容量値、すなわちコンデンサ15の劣化レベルに応じて変化する。
【0047】
図4は、コンデンサ15の端子間電圧VDCの波形を示す他のタイムチャートであって、
図3と対比される図である。
図4において、(A)はコンデンサ15の端子間電圧VDCの波形を示し、(B)は(A)のβ部の拡大図である。
図4では、コンデンサ15の容量値が比較的小さい場合、すなわちコンデンサ15の劣化レベルが大きい場合が示されている。
【0048】
図4における交流成分Vacの電圧VPP=VH-VLは、
図3における交流成分Vacの電圧VPP=VH-VLよりも増大している。コンデンサ15の劣化レベルが増大すると、コンデンサ15の容量値が減少し、交流成分Vacの電圧VPPが増大する。したがって、交流成分Vacの電圧VPPからコンデンサ15の劣化レベルを判定することができる。
【0049】
再び
図2を参照して、ピーク値センサ36は、コンデンサ15の端子間電圧VDCの最大値VHと最小値VLを検出し、それらの検出値を示す信号を通信回路31に出力する。通信回路31は、最大値VHと最小値VLを示す信号を制御装置7へ送信する。
【0050】
なお、ピーク値センサ36は、最大値VHおよび最小値VLをコンデンサ15から直接検出してもよいし、電圧センサ35の出力信号から検出してもよい。また、ピーク値センサ36は、高域通過フィルタを用いてコンデンサ15の端子間電圧VDCから交流成分Vacを抽出し、抽出した交流成分Vacの正側ピーク値および負側ピーク値を検出し、検出した正側ピーク値および負側ピーク値をそれぞれ最大値VHおよび最小値VLとしても構わない。
【0051】
図5は、制御装置7の構成を示すブロック図である。
図5において、制御装置7は、電源40、通信回路41、および制御回路42を含む。電力変換装置1が送電線9u,9v,9w(
図1)に接続されている場合には、電源40は常時、通信回路41用の電源電圧VC11と、制御回路42用の電源電圧VC12とを生成する。したがって、通信回路41および制御回路42は、電力変換装置1が停止されている場合でも動作可能になっている。
【0052】
通信回路41は、電源40から供給される電源電圧VC11によって駆動され、3つのアームA1~A3(
図1)に含まれる3×N個の単位変換器5と制御回路42との間で信号を授受する。すなわち通信回路41は、各単位変換器5から送信されるコンデンサ15の端子間電圧VDCを示す信号と、電圧VDCの最大値VHを示す信号と、電圧VDCの最小値VLを示す信号とを受信し、受信したそれらの信号を制御回路42に与える。また、通信回路41は、制御回路42によって生成される3×N組の信号GC,GB,Sonをそれぞれ3×N個の単位変換器5に送信する。
【0053】
図6は、制御回路42の構成を示すブロック図である。
図6において、制御回路42は、制御部50,51、計時部52、3×N個の検査部53、および画像表示部54を含む。制御部50は、操作部6からの信号に従って、スイッチS1~S6を制御する。すなわち、電力変換装置1の使用者によって操作部6(
図1)が操作され、電力変換装置1の起動が指示されると、操作部6は、電力変換装置1の起動を指令する信号を出力する。
【0054】
その信号に応答して制御部50は、スイッチS1~S3をオンさせる。スイッチS1~S3がオンされると、商用交流電源8からスイッチS1~S3、変圧器2、限流抵抗器R1~R3、およびリアクトルL1~L3を介してアームA1~A3に交流電力が供給され、コンデンサ15の初期充電が開始される。
【0055】
図7は、コンデンサ15の初期充電を説明するための回路ブロック図である。
図7では、隣接する2個の単位変換器5が示されている。
図7中の左側の単位変換器5はアームA1の初段の単位変換器5であり、
図7中の右側の単位変換器5はアームA1の2段目の単位変換器5であるものとする。初期充電時には、スイッチS7が開放され、かつ、スイッチング素子11~14がオフされている。
【0056】
交流ラインUL(
図1)の交流電圧Vuが交流ラインVLの交流電圧Vvよりも高い場合には、
図7中の矢印で示されるように、左側の単位変換器5の第1端子5aからダイオードD1、コンデンサ15、およびダイオードD4を介して第2端子5bに至る経路に電流Icが流れる。この電流Icによってコンデンサ15が充電され、コンデンサ15の端子間電圧VDCが上昇する。
【0057】
この電流Icは、左側の単位変換器5の第2端子5bから右側の単位変換器5の第1端子5aに流入し、ダイオードD1、コンデンサ15、およびダイオードD4を介して第2端子5bに流れる。この電流Icによって右側の単位変換器5のコンデンサ15が充電され、コンデンサ15の端子間電圧VDCが上昇する。
【0058】
逆に、交流ラインULの交流電圧Vuが交流ラインVLの交流電圧Vvよりも低い場合には、右側の単位変換器5の第2端子5bからダイオードD2、コンデンサ15、およびダイオードD3を介して第1端子5aに至る経路に電流Icが流れる。この電流Icによってコンデンサ15が充電され、コンデンサ15の端子間電圧VDCが上昇する。
【0059】
この電流Icは、右側の単位変換器5の第1端子5aから左側の単位変換器5の第2端子5bに流入し、ダイオードD2、コンデンサ15、およびダイオードD3を介して第1端子5aに至る経路に流れる。この電流Icによって左側の単位変換器5のコンデンサ15が充電され、コンデンサ15の端子間電圧VDCが上昇する。このようにして、アームA1~A3の全ての単位変換器5のコンデンサ15が充電される。
【0060】
アームA1~A3の各々においてN個の単位変換器5は直列に接続されているので、各単位変換器5のコンデンサ15の電圧VDCは、アームA1~A3の各々に印加される電圧(相間電圧Vuv,Vvw,Vwu)のピーク値をアームA1~A3の各々に含まれる単位変換器5の数Nで除算した値まで上昇する。
【0061】
再び
図6を参照して、コンデンサ15の初期充電が終了すると、制御部50はスイッチS4~S6をオンさせる。これにより、限流抵抗器R1~R3(
図1)の各々の端子間が短絡され、変圧器2の3つの二次巻線がそれぞれ交流ラインUL,VL,WLに直接接続される。
【0062】
また、電力変換装置1の使用者によって操作部6(
図1)が操作され、電力変換装置1の停止が指示されると、操作部6は、電力変換装置1の停止を指令する信号を出力する。制御部50は、その信号に応答してスイッチS1~S6をオフさせる。これにより、商用交流電源8からアームA1~A3への電力供給が停止される。
【0063】
また、コンデンサ15の初期充電が終了すると制御部51は、変圧器3からの三相交流電圧Vu,Vv,Vw、変流器C1~C3によって検出される三相交流電流Iuv,Ivw,Iwu、3×N個の単位変換器5から通信回路41を介して与えられる3×N個の直流電圧VDCを示す信号などに基づき、3×N組の制御信号GC,GBを生成して通信回路41に出力する。
【0064】
すなわち、制御部51は、変流器C1~C3からの交流電流Iuv,Ivw,Iwuに基づいて、交流ラインUL,VL,WLに流れる交流電流に応じたレベルの三相交流電流Iu,Iv,Iwを求める。ただし、Iu=Iuv-Iwu、Iv=Ivw-Iuv、Iw=Iwu-Ivwである。
【0065】
制御部51は、変圧器3からの三相交流電圧Vu,Vv,Vwと上記三相交流電流Iu,Iv,Iwとに基づいて無効電力Qを求め、無効電力指令値Qrと無効電力Qとの偏差ΔQ=Qr-Qを求める。
【0066】
制御部51は、変流器C1~C3からの交流電流Iuv,Ivw,Iwu、変圧器3からの三相交流電圧Vu,Vv,Vwなどに基づいて、それぞれ3×N個の単位変換器5に対応する3×N個の参照直流電圧VDRを生成する。
【0067】
制御部51は、各参照直流電圧VDRと、それに対応する直流電圧VDCとの偏差ΔVDCを求める。制御部51は、電圧偏差ΔVDCの積分値が0になり、かつ無効電力偏差ΔQの積分値が0になるように、三相の参照交流電圧Vuvr,Vvwr,Vwurを生成する。
【0068】
換言すると、制御部51は、電圧偏差ΔVDCの積分値が0になるように各単位変換器5の有効電流制御を行なうとともに、無効電力偏差ΔQの積分値が0になるように各単位変換器5の無効電流制御を行なう。三相の参照交流電圧Vuvr,Vvwr,Vwurを基に、アームA1~A3の各単位変換器5が運転され、直流電圧VDCが参照直流電圧VDRにされるとともに、無効電力Qが無効電力指令値Qrにされる。
【0069】
具体的には、制御部51は、たとえばPWM(Pulse Width Modulation)制御に従って、アームA1~A3から出力される三相交流電圧Vuv,Vvw,Vwuが三相の参照交流電圧Vuvr,Vvwr,Vwurになるように、3×N組の制御信号GC,GBを生成する。
【0070】
通信回路41は、制御部51によって生成される3×N組の制御信号GC,GBをアームA1~A3に含まれる3×N個の単位変換器5に送信する。各単位変換器5において、制御信号GC,GBが通信回路31によって受信されて駆動回路32,33に与えられる。駆動回路32,33は、制御信号GC,GBに従って、スイッチング素子11~14をオンおよびオフさせる。これにより、コンデンサ15の端子間電圧VDCが交流電圧に変換される。
【0071】
また、制御部51は、3×N個の電圧VDCなどに基づいて、3×N個の単位変換器5のうちのいずれかの単位変換器5において、スイッチング素子の短絡故障等の異常を検知した場合には、この故障した単位変換器5に向けてスイッチS7のオン指令信号Sonを出力する。このオン指令信号Sonは、通信回路41,31を介して、故障した単位変換器5のスイッチ操作回路34に与えられる。
【0072】
スイッチ操作回路34は、オン指令信号Sonに応答して励磁コイル18に電流を供給し、スイッチS7をオンさせる。これにより、故障した単位変換器5の第1端子5aおよび第2端子5b間が短絡される。また、故障した単位変換器5を特定する情報は、たとえば操作部6の画像表示部に表示される。
【0073】
また、電力変換装置1の使用者によって操作部6(
図1)が操作され、電力変換装置1の停止が指示されると、操作部6は、電力変換装置1の停止を指令する信号を出力する。その信号に応答して制御部51による単位変換器5の運転が停止され、全単位変換器5のスイッチング素子11~14がオフ状態にされる。
【0074】
計時部52は、制御部51によって単位変換器5が運転されている時間を計測し、計測結果に基づいて信号φ52を出力する。信号φ52は、通常は非活性化レベルの「L」レベルにされている。信号φ52は、所定周期(たとえば1年)で所定時間だけ活性化レベルの「H」レベルにされる。信号φ52は、各検査部53に与えられる。
【0075】
また、検査部53は、対応する単位変換器5からの最大値VHを示す信号および最小値VLを示す信号と、計時部52からの信号φ52とに従って、対応するコンデンサ15を検査する。
【0076】
図8は、検査部53の構成を示すブロック図である。
図8において、検査部53は、演算部61、判定部62、記憶部63、および推定部64を含む。演算部61は、対応する単位変換器5からの信号によって示される最大値VHと最小値VLの差電圧VPP=VH-VLを求め、求めた電圧VPPを示す信号DVPPを判定部62および記憶部63に与える。
【0077】
判定部62は、演算部61からの信号DVPPによって示される電圧VPPとしきい値電圧Vtとの高低を比較し、比較結果を示す信号φ62を出力する。電圧VPPがしきい値電圧Vtよりも低い場合には、信号φ62は「L」レベルにされる。電圧VPPがしきい値電圧Vtよりも高い場合には、信号φ62は「H」レベルにされる。しきい値電圧Vtは、予め実験により求められている。
【0078】
「L」レベルの信号φ62は、対応するコンデンサ15の劣化レベルが小さく、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要がないことを示している。「H」レベルの信号φ53は、対応するコンデンサ15の劣化レベルが大きく、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要があることを示している。信号φ62は、推定部64および画像表示部54に与えられる。
【0079】
記憶部63は、計時部52(
図6)の出力信号φ52が「H」レベルであるか否かを判定する。信号φ52が「H」レベルである場合には、記憶部63は演算部61の出力信号DVPPを取り込み、取り込んだ信号DVPPを記憶する。信号φ52が「L」レベルである場合には、記憶部63は演算部61の出力信号DVPPを記憶しない。記憶部63には、複数の信号DVPPが順次記憶される。
【0080】
推定部64は、判定部62の出力信号φ62が「L」レベルである場合、すなわち対応するコンデンサ15を新品と交換する必要がないと判定された場合に、記憶部63に記憶された複数の信号DVPPに基づいてコンデンサ15の交換時期を推定し、推定結果を示す信号を出力する。
【0081】
図9は、推定部64の動作を説明するための図である。計時部52の出力信号φ52がm回、「H」レベルにされ、m個の信号DVPPが記憶部63に記憶されているものとする。mは、2以上の整数である。
図9では、m=3の場合が示されている。
【0082】
推定部64は、記憶部63からm個の信号DVPPを読み出し、読み出したm個の信号DVPPを交流成分Vacの電圧VPP1~VPPmに変換する。次に推定部64は、横軸が時間を示し、縦軸が電圧VPPを示す
図9に電圧VPP1~VPPmを書き込む。
【0083】
次いで推定部64は、電圧VPP1~VPPmを通る近似曲線B1を描き、その曲線B1がしきい値電圧Vtを超える時間tXを求める。推定部64は、電力変換装置1の運転時間がtXに到達したときが、コンデンサ15を新品と交換すべき時期である、と推定する。推定部64は、推定結果を示す信号φ65を画像表示部54に出力する。
【0084】
画像表示部54は、判定部62の出力信号φ62によって示される判定結果と、推定部64の出力信号φ65によって示される推定結果とを表示する。画像表示部54は、3×N個のコンデンサ15の各々について判定結果および推定結果を表示する。
【0085】
なお、新品と交換すべきと判定されたコンデンサ15を特定する情報や、推定された交換時期が近いコンデンサ15を特定する情報を画像表示部54に表示させてもよい。また、画像表示部54が操作部6(
図1)に含まれていても構わない。
【0086】
図10は、コンデンサ15の検査方法を示すフローチャートである。ステップST1において、ピーク値センサ36(
図2)によってコンデンサ15の端子間電圧VDCの最大値VHおよび最小値VLが検出される。最大値VHおよび最小値VLを示す信号は、通信回路31,41(
図2,
図5)を介して検査部53の演算部61(
図8)に送信される。
【0087】
ステップST2において、演算部61によって最大値VHと最小値VLの差電圧VPP=VH-VLが求められる。ステップST3において、計時部52(
図6)の出力信号φ52が「H」レベルであるか否かが記憶部63(
図8)によって判定される。信号φ52は、所定周期で所定時間だけ「H」レベルにされる信号である。
【0088】
信号φ52が「H」レベルである場合には、ステップST4において、差電圧VPPを示す信号DVPPが記憶部63に記憶される。信号φ52が「H」レベルでない場合には、ステップST5において判定部62により、信号DVPPによって示される電圧VPPがしきい値電圧Vtよりも高いか否かが判定される。
【0089】
VPP>Vtである場合には、ステップST6において判定部62によって信号φ62が「H」レベルにされる。「H」レベルの信号φ62は、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要があることを示す。
【0090】
VPP>Vtでない場合には、ステップST7において判定部62によって信号φ62が「L」レベルにされる。「L」レベルの信号φ62は、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要がないことを示す。
【0091】
ステップST8において、記憶部63に記憶された複数の信号DVPPに基づいて、推定部64によって対応するコンデンサ15を新品と交換すべき時期が推定される。ステップST9において、判定部62の判定結果と推定部64の推定結果とが画像表示部54によって表示される。ステップST1~ST9は、繰り返し実行される。
【0092】
電力変換装置1の使用者は、画像表示部54の表示結果に基づいてコンデンサ15を交換するか否かを判断する。すなわち使用者は、コンデンサ15を新品と交換すべきと判定された場合には、電力変換装置1を停止させてコンデンサ15を新品と交換する。また、使用者は、コンデンサ15を新品と交換すべき時期が推定された場合には、その時期に必要となる新品のコンデンサ15を用意する。
【0093】
以上のように、本実施の形態では、各単位変換器5に対応して検査部53が設けられ、この検査部53は、対応するコンデンサ15の端子間電圧VDCに含まれる交流成分Vacの電圧VPPがしきい値電圧Vtよりも高い場合に、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要があると判定する。したがって、電力変換装置1を運転しながら、3×N個の単位変換器5に含まれる3×N個のコンデンサ15の各々を新品と交換する必要があるか否かを判定することができる。
【0094】
また、コンデンサ15を新品と交換する必要がないと判定した場合でも、コンデンサ15を新品と交換すべき時期を推定する。したがって、推定された時期に新品のコンデンサ15を用意することができ、新品のコンデンサ15が不足することを未然に防止することができる。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0096】
1 電力変換装置、S1~S6 スイッチ、2,3 変圧器、R1~R3 限流抵抗器、UL,VL,WL 交流ライン、C1~C3 変流器、L1~L3 リアクトル、A1~A3 アーム、5 単位変換器、6 操作部、7 制御装置、8 商用交流電源、9u,9v,9w 送電線、10 主回路、11~14 スイッチング素子、PL,NL 直流ライン、15 コンデンサ、18 励磁コイル、R4 抵抗素子、20,40 電源、30,42 制御回路、31,41 通信回路、32,33 駆動回路、34 スイッチ操作回路、35 電圧センサ、36 ピーク値センサ、50,51 制御部、52 計時部、53 検査部、54 画像表示部、61 計時部、62 判定部、63 記憶部、64 推定部。
【要約】
この電力変換装置(1)は、直列接続された複数の単位変換器(5)を含み、交流電源(8)に接続されるアーム(A1~A3)と、アームを制御する制御装置(7)とを備える。各単位変換器はコンデンサ(15)を含む。制御装置は、各単位変換器に対応して設けられ、対応するコンデンサを検査する検査部(53)を含む。検査部は、対応するコンデンサの端子間電圧(VDC)に含まれる交流成分(Vac)の電圧(VPP)がしきい値電圧(Vt)よりも高い場合に、対応するコンデンサを新品と交換する必要があると判定する。したがって、電力変換装置を運転しながら、複数のコンデンサの各々を新品と交換する必要があるか否かを判定できる。