(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20250107BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20250107BHJP
B65H 23/038 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G21/16 180
B65H23/038 Z
(21)【出願番号】P 2020058859
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘一
(72)【発明者】
【氏名】金山 清俊
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 響
(72)【発明者】
【氏名】松下 薫
(72)【発明者】
【氏名】岩本 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】上山 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】横山 貴也
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-054778(JP,A)
【文献】特開2018-180088(JP,A)
【文献】特開2014-134718(JP,A)
【文献】特開平11-084543(JP,A)
【文献】特開2005-148255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
G03G 13/02
G03G 13/14-13/16
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 15/14-15/16
G03G 21/16-21/18
B65H 23/00-23/16
B65H 23/24-23/34
B65H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状の帯状手段と、前記帯状手段を支持して回転する第1の回転手段と、を有する第1のユニットと、
前記帯状手段を挟んで前記第1の回転手段と対向して配置されて回転可能な第2の回転手段、を有する第2のユニットと、
前記第1のユニットおよび前記第2のユニットの一方に設けられ、
画像が記録される媒体の厚さに応じて、前記第1の回転手段と前記第2の回転手段との間の荷重を調整する第1の調整手段と、
前記第1のユニットおよび前記第2のユニットの他方に設けられ、
前記第1の回転手段と前記第2の回転手段との位置関係に応じて、前記第1の調整手段とは独立して、前記第1の回転手段と前記第2の回転手段との間の平行度を調整する第2の調整手段と、
を備え、
画像が記録される媒体であって、媒体の搬送方向に沿って予め定められた長さを有する前記媒体を、1枚ずつ前記帯状手段と前記第2の回転手段との間で挟んで搬送する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の回転手段に支持されて回転する無端状の第2の帯状手段、を有する前記第2のユニット、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2の帯状手段の幅方向への片寄りを抑制する抑制手段、を有する前記第2のユニット、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
表面に画像を保持する前記帯状手段と、
前記帯状手段の表面から媒体に画像を転写しながら搬送する前記第2の帯状手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の回転手段および前記第2の回転手段の内の一方の回転手段に対して、前記一方の回転手段の回転軸の両端部の位置を調整することで荷重を調整する前記第1の調整手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記一方の回転手段の回転軸の両端部に支持された第1の偏心手段により構成され、第1の偏心手段の回転に伴って前記第2のユニットとの間隔を調整することで回転軸の両端部の位置を調整する前記第1の調整手段、
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の回転手段および前記第2の回転手段の内の他方の回転手段に対して、前記他方の回転手段の回転軸の片側の端部の位置を調整することで平行度を調整する前記第2の調整手段、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記他方の回転手段の回転軸に支持された第2の偏心手段により構成され、前記第2の偏心手段の回転に伴って前記第1のユニットに対する前記他方の回転手段の回転軸の片側の端部の間隔を調整することで前記片側の端部の位置を調整する前記第2の調整手段、
を備えたことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1のユニットに設けられた前記第1の調整手段と、
前記第2のユニットに設けられた前記第2の調整手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2のユニットに対する間隔を調整することで、前記荷重を調整する前記第1の調整手段と、
前記第1のユニットに対する間隔を調整することで、前記平行度を調整する前記第2の調整手段と、
を備えたことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
重力方向において、前記第1のユニットの下側に配置され、画像形成装置の本体に対して着脱可能な前記第2のユニット、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第2の回転手段に支持されて回転する無端状の第2の帯状手段であって、前記第1のユニットの帯状手段に比べて剛性が低い前記第2の帯状手段、を有する前記第2のユニット、
を備えたことを特徴とする請求項10または11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置において、中間転写ベルトのような無端状の部材と、無端状の部材に対向する部材との間の位置を調整するために移動可能な技術に関して、以下の特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2017-68186号公報には、中間転写ベルト(151)を支持するバックアップローラ(165)と二次転写ベルト(153)を支持する二次転写ローラ(154)との位置を調整するために、バックアップローラ(165)側に移動機構(100)が設けられた構成が記載されている。特許文献1の移動機構(100)は、バックアップローラ(165)の水平方向の位置を調整する機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-68186号公報(「0040」-「0059」、
図3-
図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、無端状の帯状手段を支持する第1の回転手段と、第1の回転手段に対向する第2の回転手段との間の荷重を調整する第1の調整手段と、前記第1の回転手段と前記第2の回転手段との間の平行度を調整する調整手段と、が第1の回転手段側に設けられている場合に比べて、平行度の調整と荷重の調整を精度よく行うことを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の画像形成装置は、
無端状の帯状手段と、前記帯状手段を支持して回転する第1の回転手段と、を有する第1のユニットと、
前記帯状手段を挟んで前記第1の回転手段と対向して配置されて回転可能な第2の回転手段、を有する第2のユニットと、
前記第1のユニットおよび前記第2のユニットの一方に設けられ、画像が記録される媒体の厚さに応じて、前記第1の回転手段と前記第2の回転手段との間の荷重を調整する第1の調整手段と、
前記第1のユニットおよび前記第2のユニットの他方に設けられ、前記第1の回転手段と前記第2の回転手段との位置関係に応じて、前記第1の調整手段とは独立して、前記第1の回転手段と前記第2の回転手段との間の平行度を調整する第2の調整手段と、
を備え、
画像が記録される媒体であって、媒体の搬送方向に沿って予め定められた長さを有する前記媒体を、1枚ずつ前記帯状手段と前記第2の回転手段との間で挟んで搬送する
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、
前記第2の回転手段に支持されて回転する無端状の第2の帯状手段、を有する前記第2のユニット、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、
前記第2の帯状手段の幅方向への片寄りを抑制する抑制手段、を有する前記第2のユニット、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の画像形成装置において、
表面に画像を保持する前記帯状手段と、
前記帯状手段の表面から媒体に画像を転写しながら搬送する前記第2の帯状手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記第1の回転手段および前記第2の回転手段の内の一方の回転手段に対して、前記一方の回転手段の回転軸の両端部の位置を調整することで荷重を調整する前記第1の調整手段、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、
前記一方の回転手段の回転軸の両端部に支持された第1の偏心手段により構成され、第1の偏心手段の回転に伴って前記第2のユニットとの間隔を調整することで回転軸の両端部の位置を調整する前記第1の調整手段、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記第1の回転手段および前記第2の回転手段の内の他方の回転手段に対して、前記他方の回転手段の回転軸の片側の端部の位置を調整することで平行度を調整する前記第2の調整手段、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、
前記他方の回転手段の回転軸に支持された第2の偏心手段により構成され、前記第2の偏心手段の回転に伴って前記第1のユニットに対する前記他方の回転手段の回転軸の片側の端部の間隔を調整することで前記片側の端部の位置を調整する前記第2の調整手段、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記第1のユニットに設けられた前記第1の調整手段と、
前記第2のユニットに設けられた前記第2の調整手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像形成装置において、
前記第2のユニットに対する間隔を調整することで、前記荷重を調整する前記第1の調整手段と、
前記第1のユニットに対する間隔を調整することで、前記平行度を調整する前記第2の調整手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置において、
重力方向において、前記第1のユニットの下側に配置され、画像形成装置の本体に対して着脱可能な前記第2のユニット、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の画像形成装置において、
前記第2の回転手段に支持されて回転する無端状の第2の帯状手段であって、前記第1のユニットの帯状手段に比べて剛性が低い前記第2の帯状手段、を有する前記第2のユニット、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、無端状の帯状手段を支持する第1の回転手段と、第1の回転手段に対向する第2の回転手段との間の荷重を調整する第1の調整手段と、前記第1の回転手段と前記第2の回転手段との間の平行度を調整する調整手段と、が第1の回転手段側に設けられている場合に比べて、平行度の調整と荷重の調整を精度よく行うことができる。
請求項2に記載の発明によれば、2つの帯状手段が対向する構成でも、荷重の調整と平行度の調整を精度よく行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、第2の調整手段で平行度の調整と片寄りの抑制を行う場合に比べて、平行度の調整と片寄りの抑制を安定して行うことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、転写領域において第2の帯状手段を有しない場合に比べて、媒体の姿勢を安定させることができ、転写不良を抑制できる。
請求項5に記載の発明によれば、回転軸の両端部の位置を調整して、他方の回転手段に対する一方の回転手段の食い込み量を変更でき、荷重を調整することができる。
請求項6に記載の発明によれば、偏心手段を使用しない場合に比べて、製造費用を抑制しやすい。
請求項7に記載の発明によれば、回転軸の一方の位置を調整して、一方の回転手段に対して他方の回転手段の回転軸を相対的に傾斜させることができ、平行度を調整できる。
請求項8に記載の発明によれば、偏心手段を使用しない場合に比べて、製造費用を抑制しやすい。
【0020】
請求項9に記載の発明によれば、帯状手段のある第1のユニット側で荷重を調整して、第2のユニット側で平行度を調整することができる。
請求項10に記載の発明によれば、第2のユニット側の第2の調整手段で間隔の微調整を行うことができる。
請求項11に記載の発明によれば、下側の第2のユニットを画像形成装置から離脱させることができ、利用者が上から確認しながら第2の調整手段で微調整を行うことができる。
請求項12に記載の発明によれば、第1のユニットの帯状手段に比べて剛性が低く、調整が必要になりやすい第2の帯状手段を、第2の調整手段で微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【
図2】
図2は実施例1の可視像形成装置の拡大説明図である。
【
図4】
図4はバックアップロールユニットの説明図である。
【
図5】
図5は実施例1の2次転写ユニットの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,-X,Y,-Y,Z,-Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0023】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2は実施例1の可視像形成装置の拡大説明図である。
図1において、画像形成装置の一例としての複写機Uは、操作部の一例としてのユーザインタフェースUI、画像読取装置の一例としてのスキャナ部U1、媒体供給装置の一例としてのフィーダ部U2、画像記録装置の一例としての作像部U3、および媒体処理装置U4を有している。
【0024】
(ユーザインタフェースUIの説明)
ユーザインタフェースUIは、複写開始や複写枚数の設定などに用いられる入力ボタンUIaを有する。また、前記ユーザインタフェースUIは、前記入力ボタンUIaにより入力された内容や、複写機Uの状態が表示される表示部UIbを有する。
【0025】
(フィーダ部U2の説明)
図1において、フィーダ部U2は、媒体収容手段の一例としての複数の給紙トレイTR1,TR2,TR3,TR4を有している。また、前記フィーダ部U2は、前記各給紙トレイTR1~TR4に収容された画像記録用の媒体の一例としての記録用紙Sを取り出して、作像部U3に搬送する媒体供給路SH1等を有している。
【0026】
(作像部U3及び媒体処理装置U4の説明)
図1において、作像部U3は、前記フィーダ部U2から搬送された記録用紙Sにスキャナ部U1により読み取った原稿画像に基づいて画像記録を行う画像記録部U3aを有する。
図1、
図2において、作像部U3の潜像形成装置の駆動回路Dは、スキャナ部U1から入力された画像情報に基づいて、それに応じた駆動信号を予め設定された時期に、潜像形成手段の一例としての各色Y~Kの潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。各潜像形成装置ROSy~ROSkの下方には、像保持手段の一例としての感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkが配置されている。
【0027】
回転する感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pk表面は、それぞれ、帯電手段の一例としての帯電ロールCRy,CRm,CRc,CRkにより一様に帯電される。表面が帯電された感光体ドラムPy~Pkの表面には、潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkにより静電潜像が形成される。感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkの表面の静電潜像は、現像手段の一例としての現像装置Gy,Gm,Gc,Gkによりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の可視像の一例としてのトナー像に現像される。
なお、現像装置Gy~Gkにおいて、現像により消費された現像剤は、現像剤の収容容器の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkから補給される。トナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkは、現像剤補給装置U3bに着脱可能に装着される。
【0028】
感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pk表面上のトナー像は、一次転写手段の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、中間転写手段の一例としての中間転写ベルトB上に1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kで順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色可視像の一例としてのカラートナー像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラートナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、K色の画像情報のみの場合はK色の感光体ドラムPkおよび現像装置Gkのみが使用され、K色のトナー像のみが形成される。
1次転写後の感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkは、像保持手段の清掃手段の一例としてのドラムクリーナCLy,CLm,CLc,CLkにより、表面に付着した残留現像剤や紙粉等の残留物が除去される。
【0029】
実施例1では、感光体ドラムPk、帯電ロールCRk、ドラムクリーナCLkが、像保持体ユニットの一例としてのK色の感光体ユニットUKとして一体化されている。そして、他の色Y,M,Cについても同様に、感光体ドラムPy,Pm,Pc、帯電ロールCRy,CRm,CRc、ドラムクリーナCLy,CLm,CLcにより、感光体ユニットUY,UM,UCが構成されている。
また、K色の感光体ユニットUKと、現像剤保持手段の一例としての現像ロールR0kを有する現像装置Gkとにより、K色の可視像形成装置UK+Gkが構成される。同様に、Y,M,C色の感光体ユニットUY,UM,UCと、現像ロールR0y,R0m,R0cを有する現像装置Gy,Gm,Gcとにより、それぞれ、Y,M,C色の可視像形成装置UY+Gy,UM+Gm,UC+Gcが構成される。
【0030】
感光体ドラムPy~Pkの下方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。ベルトモジュールBMは、像保持手段の一例としての中間転写ベルトBと、中間転写体の駆動手段の一例としての駆動ロールRd、張力付与手段の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止手段の一例としてのウォーキングロールRw、従動手段の一例としての複数のアイドラロールRfおよび対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、前記1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kとを有する。中間転写ベルトBは矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
【0031】
前記バックアップロールT2aの下方には、2次転写ユニットUtが配置されている。前記2次転写ユニットUtは、無端状部材の一例としての2次転写ベルトBTBと、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bを有する。前記2次転写ロールT2bが、2次転写ベルトBTBを挟んで中間転写ベルトBと接触する領域により2次転写領域Q4が形成されている。また、2次転写ロールT2bには、2次転写ベルトBTBおよび中間転写ベルトBを挟んで、対向部材の一例としてのバックアップロールT2aが対向している。バックアップロールT2aには、給電部材の一例としてのコンタクトロールT2cが接触している。コンタクトロールT2cには、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
前記バックアップロールT2a、2次転写ロールT2b及びコンタクトロールT2cにより、2次転写手段の一例としての2次転写器T2が構成されている。
【0032】
前記ベルトモジュールBMの下方には、媒体の搬送路SH2が配置されている。前記フィーダ部U2の媒体供給路SH1から給紙された記録用紙Sは、媒体の搬送手段の一例としての搬送ロールRaにより、搬送時期の調節部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。レジロールRrは、中間転写ベルトB上に形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期に合わせて、記録用紙Sを下流側に搬送する。レジロールRrにより送り出された記録用紙Sは、レジ側の用紙ガイドSGr、転写前の用紙ガイドSG1で案内されて、2次転写領域Q4に搬送される。
中間転写ベルトB上のトナー像は、2次転写領域Q4を通過する際に、2次転写器T2により記録用紙Sに転写される。なお、カラートナー像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
前記1次転写ロールT1y~T1k、前記2次転写器T2、中間転写ベルトBにより、転写手段の一例としての実施例1の転写装置T1y~T1k+T2+Bが構成されている。
【0033】
2次転写後の中間転写ベルトBは、2次転写領域Q4の下流側に配置された中間転写清掃手段の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃される。除去手段の一例としてのベルトクリーナCLBは、2次転写領域Q4において、転写されずに残った現像剤や紙粉などの残留物を、中間転写ベルトBから除去する。
【0034】
トナー像が転写された記録用紙Sは、搬送手段の一例としての媒体搬送ベルトBHに送られる。媒体搬送ベルトBHは、記録用紙Sを定着装置Fに搬送する。
定着手段の一例としての定着装置Fは、加熱手段の一例としての加熱ロールFhと加圧手段の一例としての加圧ロールFpとを有する。記録用紙Sは、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが接触する領域である定着領域Q5に搬送される。記録用紙Sのトナー像は、定着領域Q5を通過する際に、定着装置Fにより加熱および加圧されて、定着される。
前記可視像形成装置UY+Gy~UK+Gk、転写装置T1y~T1k+T2+B、定着装置Fにより、実施例1の画像形成手段の一例としての画像記録部U3aが構成されている。
【0035】
前記定着装置Fの下流側には、切替部材の一例としての切替ゲートGT1が設けられている。前記切替ゲートGT1は、定着領域Q5を通過した記録用紙Sを、媒体処理装置U4側の排出路SH3または反転路SH4のいずれかに、選択的に切り替える。排出路SH3に搬送された記録用紙Sは、媒体処理装置U4の用紙搬送路SH5に搬送される。用紙搬送路SH5には、反りの補正手段の一例としてのカール補正部材U4aが配置されている。カール補正部材U4aは、搬入された記録用紙Sの反り、いわゆるカールを補正する。カールが補正された記録用紙Sは、媒体の排出手段の一例としての排出ロールRhにより、媒体の排出部の一例としての排出トレイTH1に、用紙の画像定着面が上向きで排出される。
【0036】
前記切替ゲートGT1により作像部U3の反転路SH4側に搬送された記録用紙Sは、切替手段の一例としての第2のゲートGT2を通って作像部U3の反転路SH4に搬送される。
このとき、記録用紙Sの画像定着面を下向きに排出する場合には、第2のゲートGT2を記録用紙Sの搬送方向後端が通過した後に、記録用紙Sの搬送方向を逆転させる。ここで、実施例1の第2のゲートGT2は、薄膜状の弾性部材により構成されている。したがって、第2のゲートGT2は、反転路SH4に搬送されてきた記録用紙Sをそのまま一旦通過させ、通過した記録用紙Sが反転、いわゆるスイッチバックされてくると、搬送路SH3,SH5側に案内する。そして、スイッチバックされた記録用紙Sは、カール補正部材U4aを通過して、画像定着面が下を向いた状態で排出トレイTH1に排出される。
【0037】
前記作像部U3の反転路SH4には循環路SH6が接続されており、その接続部には、切替手段の一例としての第3のゲートGT3が配置されている。また、反転路SH4の下流端は、媒体処理装置U4の反転路SH7に接続されている。
前記切替ゲートGT1を通って反転路SH4に搬送された記録用紙Sは、第3のゲートGT3により前記媒体処理装置U4の反転路SH7側に搬送される。実施例1の第3のゲートGT3は、第2のゲートGT2と同様に、薄膜状の弾性部材により構成されている。したがって、第3のゲートGT3は、反転路SH4を搬送されてきた記録用紙Sを、一旦通過させ、通過した記録用紙Sがスイッチバックされてくると、循環路SH6側に案内する。
【0038】
前記循環路SH6に搬送された記録用紙Sは、媒体の搬送路SH2を通って2次転写領域Q4に再送され、二面目の印刷が行われる。
前記符号SH1~SH7で示された要素により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,BTB,BH,GT1~GT3で示された要素により、実施例1の用紙搬送装置SUが構成されている。
【0039】
(調整機構の説明)
図3は実施例1の調整機構の説明図である。
図4はバックアップロールユニットの説明図である。
図3において、第1のユニットの一例としてのベルトモジュールBMの下部には、第1の調整ユニットの一例としてのバックアップロールユニット1が支持されている。バックアップロールユニット1は、第1の回転手段の一例としてのバックアップロールT2aと、バックアップロールT2aの軸方向の両端部および上方を覆うハウジング2とを有する。ハウジング2の前後両端部には、バックアップロールT2aの回転軸3を支持する軸受け部材4が、2次転写ロールT2bに対して接近離間可能に支持されている。前記軸受け部材4とハウジング2との間には、付勢部材の一例としてのコイルスプリング6が装着されている。コイルスプリング6は、バックアップロールT2aを2次転写ロールT2b側に押す力を作用させる。
【0040】
ハウジング2の前後両端面には、バックアップロールT2aの回転軸3と同軸の位置に、第1の偏心手段の一例としての切替カム7が支持されている。なお、
図3、
図4には、前側の切替カム7のみ図示されているが、後側にも同様な構成が配置されている。切替カム7は、周方向に行くにつれて外径が変化する外表面7aを有し、いわゆる偏心カムで構成されている。
切替カム7には、歯車部の一例としてのギア部7bが形成されている。ギア部7bには、歯車の一例としての第1の中間ギア8が噛み合っている。第1の中間ギア8は、ハウジング2の外表面に回転可能に支持されている。
第1の中間ギア8には、歯車の一例としての第1の伝達ギア9が噛み合っている。第1の中間ギア8は、伝達手段の一例としての伝達シャフト10が支持されている。伝達シャフト10は、前後方向に延び、ハウジング2の前後両端に回転可能に支持されている。
【0041】
伝達シャフト10の後端には、歯車の一例としての被駆動ギア11が支持されている。被駆動ギア11には、図示しない後側の中間ギアが噛み合い、後側の中間ギアには図示しない切替カムのギア部が噛み合っている。
被駆動ギア11には、複写機Uの本体に設けられた図示しない駆動ギアから駆動が伝達される。したがって、被駆動ギア11に駆動が伝達されると、伝達シャフト10や第1の伝達ギア9、第1の中間ギア8を介して前側の切替カム7が回転すると共に、後側の図示しない中間ギアや切替カムも回転する。
前記切替カム7、第1の中間ギア8、第1の伝達ギア9、伝達シャフト10および被駆動ギア11等により、第1の調整手段の一例としての荷重調整機構7~11が構成されている。
【0042】
図5は実施例1の2次転写ユニットの説明図である。
図2、
図3において、ベルトモジュールBMの下方には、第2のユニットの一例としての2次転写ユニットUtが配置されている。
図3、
図5において、2次転写ユニットUtは、第2の帯状手段の一例としての2次転写ベルトBTBを有する。実施例1の2次転写ベルトBTBは、弾性を有するゴムベルトにより構成されており、ポリイミドやポリアミドイミド等で構成される中間転写ベルトBに比べて、剛性、硬度が低い材料で構成されている。2次転写ベルトBTBは、第2の回転手段の一例としての2次転写ロールT2bおよび従動ロール31とで張架された状態で支持されている。2次転写ユニットUtは、枠体の一例として、前後一対のフレーム32,33を有する。
【0043】
前側フレーム32の前面には、可動支持手段の一例としての支持プレート34が支持されている。支持プレート34は、可動軸34aを中心として前側フレーム32に回転可能に支持されている。支持プレート34には、可動軸34aの右側に2次転写ロールT2bが支持されている。支持プレート34には、可動軸34aの左側には、被作動手段の一例としてのカムフォロア36が支持されている。また、支持プレート34には、可動軸34aの下方に、付勢手段の一例としてのコイルスプリング37の一端が連結されている。コイルスプリング37の他端は、前側フレーム32に支持されている。実施例1のコイルスプリング37は、支持プレート34の下端を右方に引っ張り、2次転写ロールT2bをバックアップロールT2a側に付勢する方向の力を作用させる。
【0044】
カムフォロア36の下方には、離間手段の一例としてのリトラクトカム38が、前側フレーム32にカム軸38aを中心として回転可能に支持されている。リトラクトカム38は、カム軸38aに対して偏心し且つカムフォロア36に接触する接触部38bを有する。また、リトラクトカム38のカム軸38aは2次転写ユニットUtの後端まで延びており、カム軸38aの後端には、駆動伝達手段の一例としてのリトラクトギア39が支持されている。リトラクトギア39には、複写機Uに設けられた図示しない駆動源から駆動が伝達可能に構成されている。
前記支持プレート34やカムフォロア36、コイルスプリング37、リトラクトカム38は、前側フレーム32だけでなく、後側フレーム33にも同様の構成が支持されている。そして、カム軸38aを通じて前後のリトラクトカム38は連動して回転するように構成されている。
前記符号34~39を付した各部により、離接手段の一例として、実施例1のリトラクト機構34~39が構成されている。
【0045】
2次転写ロールT2bの軸41の前端部には、第2の偏心手段の一例としての微調カム42が支持されている。微調カム42の外表面42aは、切替カム7の外表面7aに接触可能に構成されている。微調カム42の外表面42aは、最小部42bから最大部42cに向かうにつれて外径が少しずつ大きくなるように形状が形成されている。また、微調カム42の前側には、被停止手段の一例として凹凸リング43が形成されている。凹凸リング43には、周方向に沿って間隔をあけて複数の凹部43aが形成されている。実施例1では一例として、凹部43aが12個=30°間隔で形成されている。また、実施例1では、一例として、外表面42aの外径は、凹部43aの1個分=30°周方向に進むにつれて75μmずつ外径が変化するように形成されている。
【0046】
2次転写ロールT2bの軸41の左下方には、停止手段の一例としての停止ロッド44が配置されている。停止ロッド44は、前側フレーム32に移動可能に支持されている。実施例1の停止ロッド44は、バックアップロールT2aの回転軸3と2次転写ロールT2bの軸41とを結ぶ方向に沿って移動可能に構成されている。停止ロッド44は、先端部44aが半球状に形成されており、先端部44aが凹凸リング43に向かう方向の力を付勢手段の一例としてのバネ46から受けている。
前記符号42~46を付した各部により、第2の調整手段の一例としての微調機構42~46が構成されている。
なお、実施例1では、微調機構42~46は、2次転写ユニットUtの前側だけでなく、後側にも配置されている。そして、前後の微調機構42~46は、リトラクト機構34~39と異なり、前後で連動しておらず、前側と後側で個別に作動可能に構成されている。
【0047】
2次転写ユニットUtにおいて、2次転写ベルトBTBの従動ロール31の従動軸31aの前後両端には、抑制手段の一例としてのウォーク調整機構51が配置されている。ウォーク調整機構51は、抑制手段本体の一例としての調整板52を有する。調整板52は、前後のフレーム32,33の外面側にそれぞれ配置されている。実施例1の調整板52は上下方向に延びる板状に形成されている。調整板52には、従動軸31aの外端が回転可能に支持されている。なお、ウォーク調整機構51は、前後両側にそれぞれ配置されているが、以降の説明では前側について詳細に説明し、後側については同様であるため詳細な説明は省略する。
調整板52の上下両端部には、被案内部の一例としてのガイド溝53,53が形成されている。ガイド溝53,53には、案内手段の一例としてのガイド突起54,54が嵌まっている。ガイド突起54,54は、前後のフレーム32,33から外方に突出して形成されている。したがって、ガイド溝53,53とガイド突起54,54で調整板52は、ガイド溝53,53に沿った方向に移動可能に構成されている。
【0048】
従動軸31aの上下両側には、被締結手段の一例としての固定孔56,56が形成されている。固定孔56,56は、調整板52に移動方向に沿った長孔状に形成されている。固定孔56,56には、締結手段の一例としてのネジ57,57が貫通しており、ネジ57,57は前側フレーム32にねじ込まれている。したがって、ネジ57,57が締められると、ネジ頭が調整板52に接触して、調整板52が移動不能な状態で固定され、ネジ57,57が緩められると、調整板52がガイド溝53,53に沿って移動可能な状態となる。
下側の固定孔56の下方には、被作動手段の一例としてのカムフォロア孔58が形成されている。カムフォロア孔58は、調整板52の短手方向に延びる長孔状に形成されている。カムフォロア孔58には、作動手段の一例であって、第3の偏心手段の一例としてのウォーク調整カム59が収容されている。ウォーク調整カム59は、回転軸59aが前側フレーム32に回転可能に支持されている。ウォーク調整カム59は、回転軸59aに対して略楕円状の外径を有するいわゆる偏心カムで構成されている。ウォーク調整カム59は、回転軸59aを利用者が指または器具を使用して回転可能に構成されている。
前記符号52~59を付した各部により、実施例1のウォーク調整機構51が構成されている。
【0049】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、画像形成が実行される際には、リトラクト機構34~39は、2次転写ロールT2bをバックアップロールT2aに対して接近させて、帯状手段の一例としての中間転写ベルトBと、第2の帯状手段の一例としての2次転写ベルトBTBとを接触させる。この状態で2次転写領域Q4を通過する記録用紙Sに転写が行われる。実施例1では、印刷動作が終了した場合には、2次転写ベルトBTBが中間転写ベルトBから離間される。具体的には、リトラクトギア39を通じて、リトラクトカム38に駆動が伝達されて、接触部38bが回転してカムフォロア36が上方に押し上げられ、コイルスプリング37が伸びて、2次転写ロールT2bがバックアップロールT2aから離間する方向に移動する。よって、2次転写ロールT2bに支持された2次転写ベルトBTBも中間転写ベルトBから離間する。なお、実施例1では、カム軸38aを通じて前後の支持プレート34が連動して移動するため、2次転写ロールT2bの軸41の前後両端が同時にバックアップロールT2aに対して接触、離間する方向に移動する。
【0050】
印刷動作が実行される場合に、使用される記録用紙Sの種類が厚紙の場合には、中間転写ベルトBと2次転写ベルトBTBとの間に、普通紙よりも厚い媒体が進入することとなり、接触圧、荷重が過剰になることがある。これに対応して、実施例1では、厚紙の場合には、荷重調整機構7~11が作動して、バックアップロールT2aを2次転写ロールT2bから離間する方向に移動させて、荷重を軽減する。一方で、使用される記録用紙Sが厚紙から普通紙に戻されると、荷重調整機構7~11が作動して、バックアップロールT2aが2次転写ロールT2bに接近する方向に移動させて、荷重を増加させる。具体的には、実施例1の荷重調整機構7~11は、被駆動ギア11へ駆動が伝達されると切替カム7が回転して、切替カム7の外表面7aにおける微調カム42の外表面42aに接触する位置が変化する。したがって、切替カム7と同軸のバックアップロールT2aの2次転写ロールT2bに対する相対位置が変化する。よって、一方の回転手段の一例としてのバックアップロールT2aと、他方の回転手段の一例としての2次転写ロールT2bとの間隔、位置関係が変化し、いわゆる食い込み量が変化する。よって、2次転写領域Q4における接触圧、荷重が変化する。
【0051】
また、実施例1の複写機Uにおいて、個体差や製造誤差、組立誤差、経時的な損耗等で、バックアップロールT2aと2次転写ロールT2bとの位置関係、具体的にはバックアップロールT2aの回転軸3の軸方向と2次転写ロールT2bの軸41の軸方向とが平行な状態からどの程度ずれているかの指標である平行度が設計された理想的な状態から微視的には異なっている。平行度が設計とは異なると、2次転写領域Q4における記録用紙Sの幅方向での圧力の分布が変化し、転写のムラ等の転写不良が発生したり、記録用紙Sが通過中に搬送方向に対して傾斜していったり、紙しわが発生したり、中間転写ベルトBや2次転写ベルトBTBの蛇行や片寄ったりする等の原因となる。これに対応して、実施例1では、微調機構42~46が設けられている。実施例1の微調機構42~46では、微調カム42を利用者が手または器具を使用して回転させると、微調カム42の外表面42aが回転して、切替カム7の外表面7aと接触する位置が変わる。したがって、切替カム7に接触する微調カム42の外径が変化し、微調カム42と同軸の2次転写ロールT2bと、切替カム7と同軸のバックアップロールT2aとの間隔が変わる。実施例1では、微調機構42~46が前後に設けられており、個別に操作可能になっている。したがって、一端側の一例としての前側と、他端側の一例としての後側とについて、2次転写ロールT2bとバックアップロールT2aとの間隔を個別に調整可能である。したがって、2次転写ロールT2bとバックアップロールT2aの間の平行度の調整が可能である。
【0052】
なお、実施例1の2次転写ユニットUtは、リトラクト機構34~39が作動して2次転写ベルトBTBが中間転写ベルトBから離間した状態で、複写機Uから取り外し可能に構成されている。そして、2次転写ユニットUtが取り外された状態で、2次転写ユニットUtの前後の微調機構42~46をそれぞれ操作することが可能である。したがって、複写機Uから取り外せない場合に比べて、微調機構42~46の操作がしやすい。なお、前側の微調機構42~46は、2次転写ユニットUtを複写機Uから取り外さなくても、複写機Uのフロントパネル(図示せず)を開放するだけで操作可能ではあるが、後側の微調機構42~46は2次転写ユニットUtを複写機Uから取り外した状態で操作可能である。特に、2次転写ユニットUtは、ベルトモジュールBMに対して重力方向で下方に配置されており、操作時に上から覗き込む形となりやすく、2次転写ベルトBTBを確認しながら操作することも可能であり、見上げる形に比べて操作しやすい。
【0053】
なお、2次転写ユニットUtは取り外し不能な構成とすることも可能である。この場合、後側の微調機構42~46も設けない構成とすることが可能である。すなわち、実施例1では、前後の両側で調整可能であるが、これに限定されない。例えば、後側は調整不能=2次転写ロールT2bとバックアップロールT2aとの間隔を固定として、前側のみで後側に対する相対的な間隔を調整することで平行度を調整するような構成とすることも可能である。ただし、前後両側で調整可能な場合に比べて調整範囲が狭くなりやすいことから、外表面42aの外径が大きくなる割合を大きくしたり、凹部43aの個数を増やす等の変更を行うことが好ましい。
【0054】
ここで、特許文献1に記載の構成では、実施例1の微調機構42~46に相当する移動機構(100)がベルトモジュール側に設けられている。すなわち、特許文献1では、2次転写ローラ(154)とバックアップローラ(165)との平行度の調整と、2次転写ベルト(153)のウォークの制御を、対向する中間転写ベルト(151)側のバックアップローラ(165)の調整で行っている。2次転写ベルト(153)のウォークは、2次転写ベルト(153)を張架する2次転写ローラ(154)と剥離ローラ(155)との平行度も関係している。したがって、バックアップローラ(165)の平行度の調整とウォークの制御とが相反する場合があり、平行度とウォークの一方が良化すれば他方が悪化する場合があった。また、2次転写ベルト(153)のウォークをバックアップローラ(165)で調整する場合に、2次転写ベルト(153)の接触状態が変化するとウォークの調整も影響を受けやすい。したがって、特許文献1に記載の構成で、2次転写ベルト(153)側で2次転写領域の接触圧を調整すると、ウォークが調整しにくくなる。したがって、市販の画像形成装置では、移動機構(100)においてバックアップローラ(165)が水平方向だけでなく2次転写ローラ(154)に接近、離間する方向にも移動可能にして、ベルトモジュール側に平行度の調整機構と接触圧の調整機構を設けていた。
【0055】
しかしながら、ベルトモジュールに平行度の調整機構と接触圧の調整機構を設けると構成が複雑化する問題があった。また、平行度と接触圧の調整を行う際に、一方の調整を行うと他方に影響が及び、平行度と接触圧の調整の精度を向上させることが困難であった。
これに対して、実施例1では、ベルトモジュールBM側に設けられた荷重調整機構7~11でバックアップロールT2aと2次転写ロールT2bとの間の荷重を調整が可能であるとともに、2次転写ユニットUt側に設けられた微調機構42~46でバックアップロールT2aと2次転写ロールT2bとの間の平行度を調整が可能である。したがって、荷重の調整と平行度の調整を独立して行うことが可能であり、一方の調整が他方に影響を及ぼしにくい。よって、荷重調整機構7~11と微調機構42~46がベルトモジュールBMに設けられた構成に比べて、平行度の調整と荷重の調整を精度よく行うことが可能である。
【0056】
特に、実施例1では、切替カム7がバックアップロールT2aと同軸に配置されている。特許文献1に記載の構成のように、調整対象であるバックアップローラ(165)に対して支持プレート(101)のガイド用の長孔(104d)が離れている場合、部品誤差や組立誤差等の影響が大きくなりやすいが、実施例1では、同軸上であり近接している。よって、荷重の調整の精度を向上させやすい。
同様に、実施例1では、微調カム42が2次転写ロールT2bと同軸に配置されている。よって、微調カム42が2次転写ロールT2bから離れた位置に配置されている場合に比べて、平行度の調整の精度も向上させやすい。
また、実施例1では2次転写ベルトBTBを使用している。よって、2次転写ベルトBTBを有しない場合に比べて、2次転写領域Q4で記録用紙Sの姿勢が安定しやすく、転写不良の発生が抑制される。特に、2次転写ユニットUt側に配置された微調機構42~46で2次転写ロールT2bの平行度が精度よく調整されており、2次転写ベルトBTBでの搬送も安定しやすい。
【0057】
さらに、実施例1では、2次転写ベルトBTBには、ウォーク調整機構51が設けられている。実施例1のウォーク調整機構51では、2次転写ベルトBTBが蛇行したり片寄る場合には、片寄り等を打ち消す方向に従動軸31aを傾斜させることで片寄りを抑制する。具体的には、ネジ57,57を緩めた状態で、ウォーク調整カム59が回転されると、調整板52が移動して、調整板52に支持された従動軸31aが移動する。前後の調整板52の位置をそれぞれ調整して調整板52の相対位置を調整することで、従動ロール31を目的の方向に傾けることが可能である。そして、ネジ57,57を締めると従動ロール31の位置が固定される。よって、実施例1のウォーク調整機構51では、従動軸31aの傾きを調整することが可能であり、2次転写ベルトBTBの幅方向への蛇行や片寄りが抑制される。
ここで、特許文献1に記載の構成のように平行度の調整とウォークの調整を1つの移動機構(100)で実行する構成に対して、実施例1では、微調機構42~46とウォーク調整機構51とで独立して個別に実行可能である。実施例1では、ウォーク調整機構51は、平行度を調整する微調機構42~46が設けられている2次転写領域Q4とは別の場所に配置されている。したがって、平行度の調整とウォークの調整が相反する恐れのあった特許文献1に比べて、2次転写ロールT2bの平行度の調整も2次転写ベルトBTBのウォークの調整も確実に行うことができる。
【0058】
また、実施例1では、微調カム42は、凹部43aに停止ロッド44の先端部44aが嵌まった状態で保持されており、利用者が操作を行わない状態では微調カム42が回転せず、停止した状態で保持される。そして、微調カム42が回転する際には、バネ46が縮んで停止ロッド44が凹部43aどうしの間の凸部を乗り越える形で隣の凹部43aに移行して、バネ46が弾性復元して停止ロッド44が隣の凹部43aに嵌まる。よって、利用者が微調カム42を回転させる際にバネが縮む際の抵抗と、停止ロッド44が隣の凹部43aに嵌まる際に発生するクリック音で、凹部43aが1つ分移行したことを知覚しやすくなっている。よって、凹部43aや停止ロッド44を有しない構成に比べて、操作性が向上している。
【0059】
実施例1では、下側の2次転写ベルトBTBの方が、上側の中間転写ベルトBよりも剛性、硬度が低い。よって、例えば、2次転写ベルトBTBと中間転写ベルトBとが接触する2次転写領域Q4において、互いに逆方向の片寄りが発生した場合に、剛性の低い2次転写ベルトBTBの方が位置ずれしやすい。よって、2次転写ベルトBTBの方が、微調整が必要になりやすい。したがって、微調機構42~46は、ベルトモジュールBM側に設ける場合に比べて、2次転写ユニットUt側に設ける実施例1の方が、位置ずれ等に対して適切に対応しやすい。
【0060】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)~(H011)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機Uを例示したが、これに限定されず、FAXに適用したり、FAXや、プリンタ、複写機などの複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、例示した具体的な数値は、設計や仕様の変更に応じて適宜変更可能である。
【0061】
(H03)前記実施例において、荷重調整機構7~11をバックアップロールT2a側に設け、微調機構42~46を2次転写ロールT2b側に設ける構成を例示したが、これに限定されない。荷重調整機構7~11を2次転写ロールT2b側に設け、微調機構42~46をバックアップロールT2a側に設けることも可能である。
(H04)前記実施例において、2次転写ベルトBTBを有する構成が好ましいが、2次転写ベルトBTBを有しない構成にも荷重調整機構7~11および微調機構42~46を適用可能である。なお、2次転写ベルトBTBを有しない構成では、ウォーク調整機構51も不要となる。
【0062】
(H05)前記実施例において、2次転写ベルトBTBを有する構成では、ウォーク調整機構51を設けることが望ましいが、ウォーク調整機構51を設けず、微調機構42~46で対応することも不可能ではない。
(H06)前記実施例において、中間転写ベルトBと2次転写ベルトBTBとが接触する部位に荷重調整機構7~11および微調機構42~46を適用する構成を例示したがこれに限定されない。例えば、感光体ベルトと中間転写ベルトとの接触領域や、一対の定着ベルトの接触する領域、一対の搬送ベルトが接触する領域、感光体ドラムと中間転写ベルトとが対向する領域等、荷重の調整と平行度の調整を行いたい2つの部材間に適用することが可能である。
【0063】
(H07)前記実施例において、荷重調整機構7~11は伝達シャフト10でバックアップロールT2aの前後両端部を同時に移動させる構成を例示したが、これに限定されない。バックアップロールT2aの前後両端部を個別の機構で移動させることも可能である。このとき、前後両側の機構を連動して移動させることが望ましいが、タイムラグをもって移動する機構とすることも可能である。
(H08)前記実施例において、荷重調整機構7~11として切替カム7で作動する構成を例示したがこれに限定されない。偏心カムに替えて、モータとギアや、ソレノイドとバネといった構成を採用することが可能である。また、軸どうしの位置を調整する構成に限定されず、押し付けるコイルスプリングの弾性変形量を変化させて荷重を調整する構成とすることも可能である。なお、偏心カムの方が構成として簡素になりやすく、製造費用を抑制しやすい。
また、微調機構42~46も微調カム42を使用しているが、同様に、モータとギア等に変更することも可能である。
【0064】
(H09)前記実施例において、ウォーク調整機構51は従動ロール31を略上下方向に移動させる構成を例示したがこれに限定されない。従動ロール31を略水平方向に移動させる構成とすることも可能である。
(H010)前記実施例において、2次転写ベルトBTBを中間転写ベルトBよりも剛性の低いゴムベルトで構成することが望ましいが、これに限定されない。中間転写ベルトBと同一の材料で構成することも可能であり、中間転写ベルトBよりも高剛性の材料で構成することも可能である。
(H011)前記実施例において、ベルトモジュールBMが上側、2次転写ユニットUtが下側に配置された構成を例示したがこれに限定されない。上下が逆に配置された構成や、ベルトモジュールBMと2次転写ユニットUtが水平方向に並んで配置された構成にも適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
7…第1の偏心手段、
7~11…第1の調整手段、
42…第2の偏心手段、
42~46…第2の調整手段、
51…抑制手段、
B…帯状手段、
BM…第1のユニット、
BTB…第2の帯状手段、
S…媒体、
T2a…第1の回転手段、
T2b…第2の回転手段、
U…画像形成装置、
Ut…第2のユニット。