(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】酒造用精米装置
(51)【国際特許分類】
B02B 3/06 20060101AFI20250107BHJP
B02B 7/02 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B02B3/06 104
B02B7/02 101A
(21)【出願番号】P 2020125443
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梶原 一信
(72)【発明者】
【氏名】平田 悠達
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-243550(JP,A)
【文献】特開2005-000080(JP,A)
【文献】特開昭58-074147(JP,A)
【文献】特開2018-140369(JP,A)
【文献】特開2017-113720(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107824244(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02B 1/00-7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米粒を貯留することが可能な貯留タンクと、前記貯留タンクから米粒の供給を受けて研削ロールによる米粒の搗精が行われる精白部と、前記精白部から排出された精白米を前記貯留タンクへ揚送可能な揚穀部と、を少なくとも有し、米粒を前記精白部に複数回通過させることが可能な酒造用精米装置であって、
精白米の複数種類の搗精形状から所定の搗精形状を選択可能な制御部を有し、
前記制御部は、選択された前記所定の搗精形状に対応する前記研削ロールを用いて前記精白部における米粒の搗精を行わせ
、
前記精白部から排出される精白米の搗精度を検出可能な品質検査部を有し、
前記制御部は、前記精白米の搗精度を設定可能な搗精度設定手段を備え、前記品質検査部における前記精白米の搗精度の検出結果に応じて、設定された搗精度となるまで複数回前記精白部に前記精白米を供給することが可能である
ことを特徴とする酒造用精米装置。
【請求項2】
前記精白部における米粒の充満率を検出可能な充満率検出部を有し、
前記制御部は、前記精白部への米粒の供給量を調整可能な供給量調整手段を備え、選択された精白米の搗精形状と前記搗精度設定手段によって設定された精白米の搗精度に基づいて、前記充満率を制御することが可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の酒造用精米装置。
【請求項3】
米粒を貯留することが可能な貯留タンクと、前記貯留タンクから米粒の供給を受けて研削ロールによる米粒の搗精が行われる精白部と、前記精白部から排出された精白米を前記貯留タンクへ揚送可能な揚穀部と、を少なくとも有し、米粒を前記精白部に複数回通過させることが可能な酒造用精米装置であって、
精白米の複数種類の搗精形状から所定の搗精形状を選択可能な制御部を有し、
前記制御部は、選択された前記所定の搗精形状に対応する前記研削ロールを用いて前記精白部における米粒の搗精を行わせ、
選択された精白米の搗精形状に応じて前記研削ロールを選択可能な搗精ロール選択機構を有し、
前記搗精ロール選択機構は、前記制御部において選択された搗精形状に応じて、該搗精形状に対応する前記研削ロールを、前記精白部に設置することが可能である
ことを特徴とす
る酒造用精米装置。
【請求項4】
米粒を貯留することが可能な貯留タンクと、前記貯留タンクから米粒の供給を受けて研削ロールによる米粒の搗精が行われる精白部と、前記精白部から排出された精白米を前記貯留タンクへ揚送可能な揚穀部と、を少なくとも有し、米粒を前記精白部に複数回通過させることが可能な酒造用精米装置であって、
精白米の複数種類の搗精形状から所定の搗精形状を選択可能な制御部を有し、
前記制御部は、選択された前記所定の搗精形状に対応する前記研削ロールを用いて前記精白部における米粒の搗精を行わせ、
前記精白部から排出される精白米の搗精度を検出可能な品質検査部を有し、
前記制御部は、前記精白米の搗精度を設定可能な搗精度設定手段を備え、前記品質検査部における前記精白米の搗精度の検出結果に応じて、設定された搗精度となるまで複数回前記精白部に前記精白米を供給することが可能であり、
選択された精白米の搗精形状に応じて前記研削ロールを選択可能な搗精ロール選択機構を有し、
前記搗精ロール選択機構は、前記制御部において選択された搗精形状に応じて、該搗精形状に対応して設けられた前記精白部に、米粒を供給することが可能である
ことを特徴とす
る酒造用精米装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊な精米加工である原形精米や扁平精米といった酒造りに最適な精白米を誰でも簡単に製造することのできる酒造用精米装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酒造用に適した精米に加工するための手法として、原形精米(玄米の形状であるラグビーボールのような形のままで精米する手法)、球状精米(玄米の形状であるラグビーボールのような形から球状に精米する手法)、扁平精米(玄米の形状であるラグビーボールのような形からハンバーグのように潰れた形状に精米する手法)などが知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
上記の各精米手法のうち、酒造用の精米手法としては、球状精米とすることが一般的である。一方、原形精米及び扁平精米は実用的な手法ではなく、ごく限られた範囲で実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
すなわち、従来型の精米装置は、所望の搗精形状(原形・扁平・球状)や搗精度を有する酒造用の精白米を、誰でも簡単に得ることができるようなものではなく、それぞれの搗精形状や搗精度等に応じた精米装置を準備する必要があり、さらに、精米作業の都度、精米装置において細かな運転制御が必要となっていた。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、酒造りに必要な精白米を、誰でも簡単に製造することのできる酒造用精米装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に係る発明は、米粒を貯留することが可能な貯留タンクと、前記貯留タンクから米粒の供給を受けて研削ロールによる米粒の搗精が行われる精白部と、前記精白部から排出された精白米を前記貯留タンクへ揚送可能な揚穀部と、を少なくとも有し、米粒を前記精白部に複数回通過させることが可能な酒造用精米装置であって、精白米の複数種類の搗精形状から所定の搗精形状を選択可能な制御部を有し、前記制御部は、選択された前記所定の搗精形状に対応する前記研削ロールを用いて前記精白部における米粒の搗精を行わせることを特徴とする酒造用精米装置である。
【0008】
本願請求項2に係る発明は、前記制御部において選択可能な精白米の搗精形状は、原形、扁平、球状のうち少なくとも2以上の搗精形状であることを特徴とする請求項1に記載の酒造用精米装置である。
【0009】
本願請求項3に係る発明は、前記精白部から排出される精白米の搗精度を検出可能な品質検査部を有し、前記制御部は、前記精白米の搗精度を設定可能な搗精度設定手段を備え、前記品質検査部における前記精白米の搗精度の検出結果に応じて、設定された搗精度となるまで複数回前記精白部に前記精白米を供給することが可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酒造用精米装置である。
【0010】
本願請求項4に係る発明は、前記精白部における米粒の充満率を検出可能な充満率検出部を有し、前記制御部は、前記精白部への米粒の供給量を調整可能な供給量調整手段を備え、選択された精白米の搗精形状と前記搗精度設定手段によって設定された精白米の搗精度に基づいて、前記充満率を制御することが可能であることを特徴とする請求項3に記載の酒造用精米装置である。
【0011】
本願請求項5に係る発明は、選択された精白米の搗精形状に応じて前記研削ロールを選択可能な搗精ロール選択機構を有し、前記搗精ロール選択機構は、前記制御部において選択された搗精形状に応じて、該搗精形状に対応する前記研削ロールを、前記精白部に設置することが可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の酒造用精米装置である。
【0012】
本願請求項6に係る発明は、選択された精白米の搗精形状に応じて前記研削ロールを選択可能な搗精ロール選択機構を有し、前記搗精ロール選択機構は、前記制御部において選択された搗精形状に応じて、該搗精形状に対応して設けられた前記精白部に、米粒を供給することが可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の酒造用精米装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、精白米の複数種類の搗精形状から所定の搗精形状を選択可能な制御部を有しており、当該制御部では、選択された所定の搗精形状に対応する研削ロールを用いて米粒の搗精を行わせることが可能となっている。すなわち、従来は、搗精形状に応じた装置構成を準備して、その都度、細かな運転制御を行う必要があったわけであるが、本発明の上記構成によって、酒造用精米装置の運転管理者が制御部に対して所望の搗精形状を選択することが可能となり、さらに、搗精形状ごとに都度細かな設定を行う手間が大幅に削減できる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、制御部において選択可能な精白米の搗精形状は、原形、扁平、球状のうち少なくとも2以上の搗精形状となっているので、酒造用として一般的な球状に限らず、原形や扁平などの複数種類の搗精形状を選択することが可能となる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、精白部から排出される精白米の搗精度を検出可能な品質検査部を有して、制御部は、精白米の搗精度を設定可能な搗精度設定手段を備えるとともに、上記品質検査部の検出結果に応じて、設定された搗精度となるまで複数回精白部に精白米が供給されるように構成されている。このように構成することによって、運転管理者等が度々精白部から排出される精白米の搗精度を確認して、酒造用精米装置を動作させる手間を大幅に抑制することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、精白部における米粒の充満率を検出可能な充満率検出部を有して、制御部は、精白部への米粒の供給量を調整可能な供給量調整手段を備えるとともに、選択された精白米の搗精形状と搗精度に基づいて、精白部における充満率が調整制御されるように構成されている。このように構成することによって、制御部において自動的に適切な充満率が維持されるので、運転管理者が都度充満率を調整する手間を、大幅に削減できる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、制御部において選択された搗精形状に応じて、当該搗精形状に対応する研削ロールを、精白部に設置することが可能な搗精ロール選択機構を有している。このように構成されることにより、例えば、
図1に示されるように、選択された搗精形状に応じて、研削ロール選択機構7により、球形精白用ロール28A、原形精白用ロール28B、扁平精白用ロール28Cのうちいずれかが自動的に精白部2に設置され、誰でも簡単に所望の搗精形状の精白米を得ることが可能となる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、制御部において選択された搗精形状に応じて、当該搗精形状に対応して設けられた精白部へ、米粒を供給することが可能となっている。例えば、
図5に示されるように、精白米の搗精形状に対応する複数の精白筒22を設け、選択された搗精形状に応じて米粒の供給流路を切り替えることにより、所望の搗精形状の精白米を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態における、酒造用精米装置の概略断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態における、酒造用精米装置の拡大断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態における、操作表示部の表示態様を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態において、搗精形状に応じた制御構成を示す表である。
【
図5】本発明の別実施形態における、酒造用精米装置の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の酒造用精米装置について、その一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における酒造用精米装置1の全体構成を示す概略断面図である。また、
図2には、酒造用精米装置1における、流量調整部4及び精白部2、万石部5の拡大断面図が示されている。
【0021】
本実施形態における酒造用精米装置1は、
図1に示されるように、循環式の竪型精米装置であり、主に、精白部2、貯留タンク3、流量調整部4、万石部5、揚穀部6、研削ロール選択機構7及び制御部8を備えている。
【0022】
精白部2は、精白部機台9に設置され、研削作用によって米粒を精白する部分である。精白部2の上部には、精白部2へ供給する米粒の流量を調整する流量調整部4と、貯留タンク3が設けられている。貯留タンク3は、精白の循環作業のために、精白作業中の米粒を一時的に貯留するものである。
【0023】
万石部5は、精白部2で精白された米粒を下方に移動させながら、米粒と糠を分離する部分であり、分離された米粒は揚穀部機台10に設置された揚穀部6の下部に移送させられる。揚穀部6は、万石部5から移送された米粒を貯留タンク3の頂部へ揚穀し、揚穀された米粒は、一時的に貯留タンク3に貯留され、再び流量調整部4を介して米粒が循環するように構成されている。
【0024】
本実施形態における研削ロール選択機構7は、研削ロール28を、人力を介することなく精白部2に設置することが可能となっている。さらに、研削ロール選択機構7は研削ロール28を入れ替えることも可能となっており、後述する球形精白用ロール28A、原形精白用ロール28B、扁平精白用ロール28Cを、制御部8の制御指示に基づいて精白部2に設置することが可能となっている。
【0025】
制御部8は、上記した酒造用精米装置1の各部を制御するものであり、運転管理者などが制御部8に設定する設定条件等に基づいて、一連の精米作業を実行する。すなわち、制御部8による制御により、貯留タンク3に貯留された米粒は、精白部2において精白された後に万石部5に送られる。当該万石部5で糠と分離された米粒は、揚穀部6により貯留タンク3の投入口へ揚穀される。米粒はこの循環サイクルを繰り返して、所望の酒米に仕上げられる。
【0026】
続いて、
図2には、主に精白部2、流量調整部4、万石部5の拡大断面図が図示されている。精白部2と貯留タンク3との間には、貯留タンク3から精白部2への米粒の流量を調整する流量調整部4が設けられている。貯留タンク3の下方は逆円錐筒形状に成形されており、さらにその下方には円筒形の弁筒44が成形されている。そして、流量調整部4は、上記逆円錐筒の内部に、昇降可能な、ほぼ円錐状に形成された弁本体41を備えている。
【0027】
弁本体41の昇降を司る弁レバー42の一方側は、弁本体41の下方に延設されている軸部41aに係合し、弁筒44の外側に突出している当該弁レバー42の他方側は、支持アーム45に支持された電動式のジャッキ43の下端に回動自在に係合している。このような構成により、制御部8からの制御信号によりジャッキ43が制御され、精白部2へ流入される米粒の流量が調整される。
【0028】
精白部2は、研削アセンブリ21と精白筒22及び排出樋23を備えている。精白筒22は、その上部が米粒の受け口24とされ、基部が精白部機台9に固定されている。基部の一部は切り欠かれて送り口25となっている。研削アセンブリ21は、竪軸26、押さえ部材27、研削ロール28、ロール受け台29を備え、竪軸26を中心に組み付けられている。研削ロール28、押さえ部材27およびロール受け台29はいずれも平面視で円形であり、中央に竪軸26に対するボスを有している。竪軸26は精白部機台9に対して竪方向に軸支され、2箇所の軸受け機構30によって、スラスト方向に維持され、また、ラジアル方向で回転可能に軸支されている。
【0029】
竪軸26には、ロール受け台29が嵌挿されてボス31の箇所で竪軸26に固定されている。そして、上記ロール受け台29の上に研削ロール28がボス32の箇所で竪軸26に対して遊嵌されている。さらに、研削ロール28の上方に押さえ部材27がボス33の箇所で竪軸26に嵌挿されている。押さえ部材27は、下縁が上記研削ロール28の上面に接触するとともに、ボス33の上方から差し込まれる留めボルト34によって竪軸26の上端に固定されている。以上のような構成により、研削アセンブリ21は精白部機台9に取り付けられ、研削ロール28は留めボルト34によってロール受け台29と押さえ部材27との間に挟まれて固定される。したがって、研削アセンブリ21は、竪軸26とともに回転することとなる。
【0030】
精白筒22の内面と上記研削ロール28の外周面との間には、精白室35が形成されており、その底部は上記ロール受け台29の外周部分36で閉じられている。そして、竪軸26の下端には受動プーリー37が固定され、モーターMの駆動プーリーとVベルトによって連動するように連結されている。精白筒22の基部に設けた上記送り口25は、万石部5へと米粒を案内する排出樋23に対して開口しており、この開口にはエア圧式構造による圧力調整弁38が配置されている。圧力調整弁38は精白室35における米粒圧力に応じて開度が変化するものであり、圧力調整弁38のエア圧と精白筒22への米粒の流量に応じて、後述する精白室35の充満率が調整・制御される。
【0031】
研削ロール28は、環状の複数の部分ロールが上下に積層して一体に構成されている。本実施形態における各部分ロールはアルミ合金製であり、各部分ロールの外周面にCBN砥粒が電着によって固定されている。従来のGC砥石(焼成砥石)ではミリ単位の凹凸を無くすことや、砥石を真円に焼成することが困難であったが、上記したCBN砥粒の電着砥石は、研削ロール28の台金が機械加工品であるため、ロール本体が真円であり、研削ロール28の表面に対して米粒の側面を向けた状態で整列させながら精米するのに適している。これにより、特に原形精白及び扁平精白を好適に行うことができる。そして、モーターMを駆動すると受動プーリー37を介して竪軸26が駆動され、精白筒22内で研削ロール28が回転するように構成されている。
【0032】
精白部2には、貯留タンク3から受け口24を通じて精白室35に米粒が送り込まれ、精白筒22と研削ロール28との間で米粒が研削(精白)される。精白室35を通過した米粒はロール受け台29の外周部分36で受け止められ、やがて、送り口25から排出樋23に送り出される。
【0033】
排出樋23に送り出された米粒と糠の混合物は、万石部5を流下しながら米粒と糠に分離され、分離された米粒は揚穀部機台10に設置された揚穀部6によって貯留タンク3の頂部へ揚穀される。米粒はこの循環サイクルを繰り返して、所望の酒米に仕上げられる。
【0034】
本実施形態における制御部8は、酒造用精米装置1における各種設定操作が可能となっており、運転管理者による設定条件や、不図示の穀粒判別機による精白米の品質状態等に基づいて、酒造用精米装置1が制御される。また、
図1に示されるように、制御部8は各種設定操作や品質等に関する表示を行うことが可能な操作表示部80を有している。操作表示部80はタッチパネルを有する液晶ディスプレイから構成されており、例えば、
図3には、操作表示部80における設定操作画面の表示態様の一例が示されている。
【0035】
図3に示された操作表示部80における表示画面には、精白米の搗精形状を選択することが可能な、原形精米アイコン84、扁平精米アイコン85、球状精米アイコン86が表示されている。そして、運転管理者が所望の搗精形状の種類を指でタッチすることによって搗精形状が決定され、研削ロール選択機構7によって、球形精白用ロール28A、原形精白用ロール28B、扁平精白用ロール28Cのうちのいずれかが、精白部2に自動的に設置されるように構成されている。
【0036】
さらに、操作表示部80において、精白米の搗精度を設定することが可能となっており、搗精度DOWNアイコン81及び搗精度UPアイコン82を適宜タッチすることにより、搗精度表示部87に設定する搗精度が表示されるように構成されている。そして、決定アイコン83をタッチすることにより、設定条件が確定し、酒造用精米装置1が稼働するように構成されている。
【0037】
続いて、
図4に記載された表に基づいて、本実施形態における酒造用精米装置1の制御態様について説明する。
【0038】
前述したように、本実施形態では、運転管理者による設定条件に基づいて、図に示される3種類の搗精形状が選択可能となっており、設定された搗精形状の種類に応じて、研削ロール選択機構7によって、球形精白用ロール28A、原形精白用ロール28B、扁平精白用ロール28Cのうちのいずれかが精白部2に設置される。各研削ロール28のロール砥粒の粒度は、球形精白用ロール28Aで40メッシュ、原形精白用ロール28Bで60メッシュ、扁平精白用ロール28Cで80メッシュとなっている。また、各搗精形状に応じて、精白負荷に相当する電流値、研削ロール28の回転数、精白室35への米粒の流量が図示されるように制御されることで、所望の搗精形状を有する精白米を製造することが可能となっている。
【0039】
また、前述したように、本実施形態では所望の搗精度を設定することが可能となっている。
図4に示されるようなパラメータを制御部8にプリセットしておくことによって、さらに細かく精白負荷に相当する電流値や研削ロール28の回転数、精白室35への米粒の流量が調整制御され、所望の搗精度を有する精白米を製造すること可能となっている。「80%精白」といえば搗精度20%、「60%精白」といえば搗精度40%、「40%精白」といえば搗精度60%にそれぞれ相当するが、例えば、搗精度60%の扁平精米を操作表示部80において設定した場合には、前述した精白負荷に相当する電流値、研削ロール28の回転数、精白室35への米粒の流量が
図4に示されるように制御され、精白室35内の米粒の充満率が33~50%となるように制御される。
【0040】
(その他の実施形態)
以上、本発明の酒造用精米装置における一の実施形態について説明した。しかし、本発明は前述の実施形態に必ずしも限定されるものではなく、例えば以下のような変形例も含まれる。
【0041】
例えば、
図1に基づく前述の実施形態では、制御部8において選択された精白米の搗精形状に応じて、研削ロール選択機構7が球形精白用ロール28A、原形精白用ロール28B、扁平精白用ロール28Cのうちのいずれかを精白部2に設置するように構成した。しかし、必ずしもこのような態様に限定されるものではなく、例えば、
図5に示されるように、酒造用精米装置1において、精白米の搗精形状に対応して、複数の精白筒22を備えるように構成することも可能である。
【0042】
すなわち、精白部機台9の上部に、球形精白用ロール28Aを備えた精白筒22と、原形精白用ロール28Bを備えた精白筒22と、扁平精白用ロール28Cを備えた精白筒22を全て配置し、制御部8において選択された精白米の搗精形状に応じて、流量調整部4から供給される米粒を、米粒振分部70によって振り分けるように構成することも可能である。このように構成することで、酒造用精米装置1自体は大きくなるが、各種研削ロールを保管場所から運搬して精白筒22内に設置する設備構成よりも、付帯する設備を大幅に減らして単純化することが可能となる。加えて、貯留タンク3や万石部5、揚穀部6などを共用することが可能となり、設備コストを抑えつつ、所望の搗精形状の精白米を効率的に製造することが可能となる。
【0043】
また、前述の実施形態では、酒造用精米装置1の側方にタッチパネルを備えた操作表示部80を設置したが、必ずしもこのような形態に限定されるものではなく、例えば、操作室において遠隔操作することや、PC端末によって操作設定することも可能である。
【0044】
また、前述の実施形態では、搗精形状として球形、原形、扁平の3種類の搗精形状から所望の搗精形状を選択するように構成したが、球形、原形、扁平の3種類の搗精形状のうち、少なくとも2種類の搗精形状を選択するように構成することも可能である。
【0045】
以上、本発明の実施形態及びいくつかの変形例について説明したが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 酒造用精米装置
2 精白部
3 貯留タンク
4 流量調整部
5 万石部
6 揚穀部
7 研削ロール選択機構
8 制御部
9 精白部機台
21 研削アセンブリ
22 精白筒
23 排出樋
24 受け口
25 送り口25
26 竪軸
27 押さえ部材
28 研削ロール
28A 球形精白用ロール
28B 原形精白用ロール
28C 扁平精白用ロール
29 ロール受け台
30 軸受け機構
31 ボス
32 ボス
33 ボス
34 留めボルト
35 精白室
36 外周部分
37 受動プーリー
38 圧力調整弁
41 弁本体
41a 軸部
42 弁レバー
44 弁筒
43 ジャッキ
45 支持アーム
80 操作表示部
81 搗精度DOWNアイコン
82 搗精度UPアイコン
84 原形精米アイコン
83 決定アイコン
85 扁平精米アイコン
86 球状精米アイコン
87 搗精度表示部