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<図1>
  • 特許-洋上観測システム 図1
  • 特許-洋上観測システム 図2
  • 特許-洋上観測システム 図3
  • 特許-洋上観測システム 図4
  • 特許-洋上観測システム 図5
  • 特許-洋上観測システム 図6
  • 特許-洋上観測システム 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】洋上観測システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/00 20060101AFI20250107BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20250107BHJP
   F03D 9/11 20160101ALI20250107BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20250107BHJP
   B63B 35/44 20060101ALI20250107BHJP
   B63J 3/04 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
H02P9/00 F
F03D13/25
F03D9/11
H02P9/04 K
B63B35/44 Z
B63J3/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020166885
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2022059261
(43)【公開日】2022-04-13
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】沼崎 孝義
(72)【発明者】
【氏名】青山 裕作
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-151192(JP,A)
【文献】特開2012-045981(JP,A)
【文献】特開2016-171713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/00
F03D 13/25
F03D 9/11
H02P 9/04
B63B 35/44
B63J 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン発電機と、
風車が発電した電力を蓄電する蓄電池を有する風力発電機と、
風況を観測する観測器を含む電力供給対象と、
前記電力供給対象への電力供給源を前記エンジン発電機と前記風力発電機との間で切り替えるインターロック回路と、
前記蓄電池の蓄電量に応じて前記インターロック回路を制御する制御装置と、を備え、
前記電力供給対象は、前記制御装置が設置された空調対象室を空調する空調機を含み、
前記制御装置は、前記空調機を起動する際に、前記電力供給源を前記エンジン発電機に切り替える
洋上観測システム。
【請求項2】
エンジン発電機と、
風車が発電した電力を蓄電する蓄電池を有する風力発電機と、
風況を観測する観測器を含む電力供給対象と、
前記電力供給対象への電力供給源を前記エンジン発電機と前記風力発電機との間で切り替えるインターロック回路と、
前記蓄電池の蓄電量に応じて前記インターロック回路を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記蓄電量として前記蓄電池の電圧である蓄電池電圧を取得し、
前記電力供給源が前記風力発電機であるときに前記蓄電池電圧が第1電圧まで低下すると前記電力供給源を前記エンジン発電機に切り替え、その後、前記蓄電池電圧が前記第1電圧よりも高い第2電圧に到達すると前記電力供給源を前記風力発電機に切り替える
洋上観測システム。
【請求項3】
前記制御装置と相互通信可能に構成された遠隔操作装置をさらに備え、
前記遠隔操作装置は、オペレータの操作によって前記電力供給対象への電力供給源を切替可能に構成されている
請求項1または2に記載の洋上観測システム。
【請求項4】
前記電力供給対象は、前記制御装置が設置された空調対象室を空調する空調機を含み、
前記制御装置は、前記空調対象室の室内温度を取得し、前記室内温度が起動温度まで上昇すると前記空調機を起動する
請求項1~のいずれか一項に記載の洋上観測システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記室内温度が停止温度まで低下すると前記空調機を停止する
請求項に記載の洋上観測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋上観測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、風力発電システムを設置する際には、まず、その設置位置に、風速や風向などの風況を観測する観測システムが設置される。近年では、洋上に風力発電システムを設置することも少なくない。洋上に風力発電システムを設置する際にも、同様に、その設置位置に洋上観測システムが設置される。洋上観測システムは、風速や風向などの風況を観測し、その観測した風況を風況情報として送信する。洋上観測システムが送信した風況情報は、陸地に設置された受信装置が受信する。そして、その風況情報に基づいて風力発電システムの詳細な設計などが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-340924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、風況の観測、風況情報の送信など、洋上観測システムの運用には電力が必要である。洋上観測システムにおいては、各種機器に安定して電力が供給されるように、軽油などを燃料とするエンジン発電機が用いられる。
【0005】
しかしながら、エンジン発電機への給油には船舶による燃料の運搬が必要となる。船舶による燃料の運搬は、波の高さといった海の状態に応じて可否が判断されるため、エンジン発電機の燃料消費量を低減させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する洋上観測システムは、エンジン発電機と、風車が発電した電力を蓄電する蓄電池を有する風力発電機と、風況を観測する観測器を含む電力供給対象と、前記電力供給対象への電力供給源を前記エンジン発電機と前記風力発電機との間で切り替えるインターロック回路と、前記蓄電池の蓄電量に応じて前記インターロック回路を制御する制御装置と、を備える。
【0007】
上記構成の洋上観測システムは、前記制御装置と相互通信可能に構成された遠隔操作装置をさらに備え、前記遠隔操作装置は、オペレータの操作によって前記電力供給対象への電力供給源を切替可能に構成されていることが好ましい。
【0008】
上記構成の洋上観測システムにおいて、前記電力供給対象は、前記制御装置が設置された空調対象室を空調する空調機を含み、前記制御装置は、前記空調対象室の室内温度を取得し、前記室内温度が起動温度まで上昇すると前記空調機を起動することが好ましい。
【0009】
上記構成の洋上観測システムにおいて、前記制御装置は、前記室内温度が停止温度まで低下すると前記空調機を停止することが好ましい。
上記構成の洋上観測システムにおいて、前記電力供給対象は、前記制御装置が設置された空調対象室を空調する空調機を含み、前記制御装置は、前記空調機を起動する際に、前記電力供給対象に対する電力供給源を前記エンジン発電機に切り替えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エンジン発電機の燃料消費量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】洋上観測システムの一実施形態の概略構成を示す斜視図。
図2図1において二点鎖線2で囲んだ部分を示す部分拡大図。
図3】洋上観測システムを示す機能ブロック図。
図4】遠隔操作装置におけるモニター画面の一例を示す図。
図5】自動運転処理の一例を示すフローチャート。
図6】自動空調処理の一例を示すフローチャート。
図7】残油量管理処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図7を参照して、洋上観測システムの一実施形態について説明する。
図1に示すように、洋上観測システム10は、基礎構造体11を備えている。
基礎構造体11は、基礎部12、柱部13、および、ステージ部14を有している。基礎部12は、海中に配置されている。基礎部12は、海底に支持されている。柱部13は、基礎部12から上方に延びている。柱部13は、海中に配置される部分と海上に配置される部分とを有している。ステージ部14は、柱部13の上端部に設けられている。ステージ部14は、上面視において正八角形の外形形状を有している。
【0013】
図2に示すように、ステージ部14には、上方に向かって延びる複数の避雷針15が設けられている。避雷針15は、ステージ部14の外周部において、正八角形の各頂点に対応する位置に設置されている。ステージ部14の中央付近には、観測器16が設けられている。ステージ部14には、観測器16を取り囲むように、エンジン発電機17、燃料タンク18、風車19、バッテリー室20、空調対象室21などが設けられている。
【0014】
観測器16は、上空の風向や風速などの風況情報を観測する。観測器16は、例えばドップラーライダーである。
エンジン発電機17は、燃料タンク18に貯留された燃料でエンジンを所定回転数で駆動することにより発電する。燃料タンク18の燃料は、エンジン発電機17による消費量に基づいて適宜補充される。補充される燃料は、船舶などによって洋上観測システム10まで運搬され、ステージ部14に設けられた図示されないウインチなどを用いてステージ部14まで揚重される。
【0015】
本実施形態では、ステージ部14に4つの風車19が設けられている。各風車19は、正八角形のステージ部14の外周部において等間隔で設置されている。各風車19は、ステージ部14の周方向において、一辺置きに各辺の中央部で、互いに隣接する一対の避雷針15の中間位置に設置されている。これにより、風車19と避雷針15との接触を回避しつつ、4つの風車19の内側に十分なスペースを確保することができる。
【0016】
各風車19には、風速センサーが設けられている。各風車19は、所定の風速(例えば3m/s)以上であるときに発電するように構成されている。各風車19が発電した電力は、バッテリー室20に配置された蓄電池22に蓄電される。蓄電池22に蓄電された電力は、バッテリー室20に設けられたインバータ23によって交流に変換されたうえで出力される。これら風車19、蓄電池22、インバータ23は、図3に示すように風力発電機24を構成する。
【0017】
図3に示すように、洋上観測システム10は、インターロック回路25、無停電電源装置26、制御装置27が配置されている。これらは、空調機28によって空調可能な空調対象室21に設置されている。なお、以下、空調機28について、場合によっては「エアコン」という。
【0018】
インターロック回路25には、上述したインバータ23およびエンジン発電機17が接続されている。インターロック回路25は、電力供給対象である各種計測器30や制御装置27、空調機28への電力供給源を風力発電機24とエンジン発電機17との間で切り替える。
【0019】
無停電電源装置26は、インターロック回路25による電力供給源の切替にともなって電力供給が一時的に遮断される期間において、エンジン発電機17および風力発電機24に代わって電力供給対象に電力を供給する。
【0020】
制御装置27は、遠隔操作装置31と相互通信可能に構成されている。制御装置27おび遠隔操作装置31は、各種情報を取得し、その取得した各種の情報、および、メモリーに記憶したプログラムや各種のデータに基づいて各種の処理を実行する。制御装置27および遠隔操作装置31は、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、或いは、それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0021】
遠隔操作装置31は、陸地に設置されている。遠隔操作装置31は、オペレータによって操作可能に構成されている。遠隔操作装置31は、オペレータの操作情報を制御装置27に送信する。操作情報は、モード情報、自動運転情報、手動運転情報などを含む。
【0022】
モード情報は、洋上観測システム10の運転モードを制御装置27に指示する情報である。モード情報は、制御装置27が洋上観測システム10を自動で制御する自動運転モード、遠隔操作装置31からの指示にしたがって制御装置27が洋上観測システム10を制御する手動運転モードで構成されている。自動運転情報は、自動運転モードにおいて、空調機28を起動する起動温度T1と空調機28を停止する停止温度T2とを示す情報である。手動運転情報は、手動運転モードにおいて、空調機28やエンジン発電機17に対する起動指示や停止指示を示す情報である。
【0023】
制御装置27は、上述した操作情報のほか、下記の情報を取得する。
制御装置27は、観測器16が観測した風況情報を取得する。制御装置27は、各種計測器30が計測した各種情報などを取得する。各種計測器30には、室内上部温度センサー、室温下部温度センサー、室外温度センサー、風速センサー、電圧センサー、電流センサー、歪みゲージ、エンジン回転数センサー、残油量センサーなどが含まれる。
【0024】
室内上部温度センサーおよび室温下部温度センサーは空調対象室21に設けられており、室内上部温度および室内下部温度を室内温度情報として計測する。室外温度センサーは、空調対象室21の外に設けられており、屋外温度を屋外温度情報として計測する。風速センサーは、各風車19に設けられており、風速を風速情報として計測する。電圧センサーは、蓄電池22に設けられており、蓄電池電圧Vを蓄電池電圧情報として計測する。電流センサーは、空調機28に設けられており、空調機28を流れるエアコン電流を電流情報として計測する。歪みゲージは、基礎構造体11の各所に設けられており、各所の歪みを歪み情報として計測する。エンジン回転数センサーは、エンジン発電機に設けられており、エンジン回転数をエンジン発電機17の駆動情報として計測する。残油量センサーは、燃料タンク18に設けられており、燃料タンク18内の残油量Qを残油量情報として計測する。そして、制御装置27は、各種計測器30が計測した情報を取得して、遠隔操作装置31に送信する。
【0025】
図4に示すように、制御装置27が送信した各種情報は、遠隔操作装置31のモニター画面35に表示される。また、エンジン発電機17や空調機28の起動や停止は、履歴としてモニター画面35に表示される。
【0026】
遠隔操作装置31は、モニター画面35のモード選択ボックス36において、洋上観測システム10の運転モードを自動運転モードあるいは手動運転モードに選択可能に構成されている。
【0027】
遠隔操作装置31は、モニター画面35のエアコン選択ボックス37において、自動運転モードにおける空調機28の起動温度T1および停止温度T2を選択可能に構成されている。選択された起動温度T1および停止温度T2は、自動運転情報として制御装置27に送信される。
【0028】
遠隔操作装置31は、モニター画面35のエアコン選択ボックス37において、手動運転モード選択時に空調機28の起動・停止を指示可能に構成されている。また、遠隔操作装置31は、モニター画面35の発電機選択ボックス38において、手動運転モード選択時にエンジン発電機17の起動・停止を指示可能に構成されている。選択された空調機28およびエンジン発電機17の起動指示・停止指示は、手動運転情報として制御装置27に送信される。
【0029】
制御装置27は、遠隔操作装置31からのモード情報に基づく運転モードで洋上観測システム10を制御する。
手動運転モードにおいて、制御装置27は、遠隔操作装置31からの手動運転情報にしたがって、風力発電機24のインバータ23、インターロック回路25、エンジン発電機17、空調機28を制御する。
【0030】
具体的には、制御装置27は、空調機28の起動指示および停止指示にしたがって空調機28を駆動する。
制御装置27は、エンジン発電機17の起動指示にしたがって、エンジン発電機17を起動するとともに風力発電機24のインバータ23を停止する。また、制御装置27は、インターロック回路25を制御して、電力供給対象への電力供給を風力発電機24からエンジン発電機17に切り替える。
【0031】
制御装置27は、エンジン発電機17の停止指示にしたがって、エンジン発電機17を停止するとともに風力発電機24のインバータ23を起動する。また、制御装置27は、インターロック回路25を制御して、電力供給対象への電力供給をエンジン発電機17から風力発電機24に切り替える。
【0032】
自動運転モードにおいて、制御装置27は、自動運転情報に基づいて、風力発電機24のインバータ23、インターロック回路25、エンジン発電機17を制御する自動運転処理を実行する。
【0033】
図5に示すように、自動運転処理において、制御装置27は、まず、例えばエンジン発電機17の駆動情報に基づいて、現在、第1供給制御を実行中であるか、第2供給制御を実行中であるかを判断する(ステップS101)。
【0034】
第1供給制御は、エンジン発電機17が電力供給源であるとともに、各風車19が発電した電力が蓄電池22に蓄電されることで蓄電池電圧Vが上昇する状態である。
第2供給制御は、風力発電機24が電力供給源であるとともに、蓄電池22に蓄電された電力が電力供給対象に供給されることで蓄電池電圧Vが減少する状態である。
【0035】
制御装置27は、第1供給制御を実行中である場合(ステップS101:YES)にはステップS102の処理に移行し、第2供給制御を実行中である場合(ステップS101:NO)にはステップS104の処理に移行する。
【0036】
ステップS102において、制御装置27は、蓄電池電圧Vを取得し、その取得した蓄電池電圧Vが第2電圧V2以上であるか否かを判断する。第2電圧V2は、蓄電池22に十分な電力が蓄電されていると判断される蓄電池電圧Vである。
【0037】
蓄電池電圧Vが第2電圧V2以上である場合(ステップS102:YES)、制御装置27は、第2供給制御を選択する(ステップS103)。第2供給制御を選択した制御装置27は、インターロック回路25を制御することで、電力供給源をエンジン発電機17から風力発電機24に切り替える。この切替にともなって、制御装置27は、エンジン発電機17をアイドリング状態に制御したのちに停止するとともにインバータ23の動作確認を行う。エンジン発電機17が停止するまでの期間は、エンジン発電機17および風力発電機24から電力供給対象への電力供給が一時的に遮断する期間である。この期間では、無停電電源装置26が電力供給対象への電力供給を行う。
【0038】
ステップS104において、制御装置27は、蓄電池電圧Vを取得し、その取得した蓄電池電圧Vが第1電圧V1未満であるか否かを判断する。第1電圧V1は、第2電圧V2よりも小さな値である。第1電圧V1は、蓄電池22に十分な電力が蓄電されていないと判断される蓄電池電圧Vである。
【0039】
蓄電池電圧Vが第1電圧V1以上である場合(ステップS104:NO)、制御装置27は、第2供給制御を実行したまま、ステップS104の処理を繰り返し実行する。一方、蓄電池電圧Vが第1電圧V1未満である場合(ステップS104:YES)、制御装置27は、第1供給制御を選択する(ステップS105)。第1供給制御を選択した制御装置27は、インターロック回路25を制御して、電力供給源を風力発電機24からエンジン発電機17に切り替える。
【0040】
この切替にともなって、制御装置27は、インバータ23を停止するとともにエンジン発電機17を起動する。エンジン発電機17が起動するまでの期間は、エンジン発電機17および風力発電機24から電力供給対象への電力供給が一時的に遮断する期間である。この期間では、無停電電源装置26が電力供給対象への電力供給を行う。その後、制御装置27は、ステップS102~ステップS105の処理を繰り返し実行する。
【0041】
図6に示すように、制御装置27は、自動運転情報に基づいて、空調機28を制御する自動空調処理を実行する。
自動空調処理において、制御装置27は、空調対象室21の室内温度Tが起動温度T1以上に上昇したか否かを判断する(ステップS201)。
【0042】
室内温度Tが起動温度T1以上になると(ステップS201:YES)、制御装置27は、空調機28を起動して空調を開始する(ステップS202)。その後、制御装置27は、室内温度Tが停止温度T2まで低下したか否かを判断する(ステップS203)。室内温度Tが停止温度T2まで低下すると(ステップS203:YES)、制御装置27は、空調機28を停止して空調を停止する(ステップS204)。これにより、制御装置27などが設置された空調対象室21の室内温度Tを、各種機器への熱影響が抑えられる適正な温度に保持することができる。なお、室内温度Tは、空調対象室21内の温度であればよく、室内上部温度であってもよいし、室内下部温度であってもよい。また、室内上部温度と室内下部温度との平均温度などであってもよい。
【0043】
図7に示すように、制御装置27は、燃料タンク18の残油量Qを管理する残油量管理処理を実行する。具体的には、制御装置27は、残油量センサーの計測値に基づいて燃料タンク18の残油量Qを取得し、その取得した残油量Qが給油必要量Q1に到達したか否かを判断する(ステップS301)。残油量Qが給油必要量Q1に到達すると(ステップS301:YES)、制御装置27は、燃料タンク18への給油が必要なことを示す給油情報を遠隔操作装置31に送信する(ステップS302)。給油必要量Q1は、ある程度の日数、エンジン発電機17を連続して運転可能な量に設定される。
【0044】
(作用)
上述した洋上観測システム10においては、エンジン発電機17に加えて風力発電機24を備えている。そのため、電力供給対象に対して風力発電機24の蓄電池22に蓄電された電力を供給することができる。
【0045】
本実施形態の効果について説明する。
(1)洋上観測システム10は、エンジン発電機17に加えて風力発電機24を備え、蓄電池22の蓄電量に応じて、電力供給対象への電力供給源を切り替える。そのため、エンジン発電機17による燃料消費量を抑えることができる。
【0046】
(2)また、給油に際しては、強風時など、海が荒れているときに船舶が出航できない場合もある。このようなときは、その強風を利用して風力発電機24が効率よく発電するため、エンジン発電機17を駆動させなくとも電力供給対象への電力供給を賄うことができる。すなわち、船舶が出航できないときにエンジン発電機17の燃料消費量を効果的に減少させることができる。
【0047】
(3)洋上観測システム10は、遠隔操作装置31によって電力供給源を手動で切替可能に構成されている。これにより、例えば、風力発電機24に何らかのトラブルが発生したときに電力供給源をエンジン発電機17に手動で切り替えることができる。
【0048】
(4)洋上観測システム10において、制御装置27は、室内温度Tが起動温度T1まで上昇すると空調機28を起動する。これにより、空調機28の電力消費量を抑えつつ、空調対象室21内の各種機器に対する熱影響を抑えることができる。
【0049】
(5)洋上観測システム10において、制御装置27は、室内温度Tが停止温度T2まで低下すると空調機28を停止する。これにより、空調機28の電力消費量を効果的に抑えることができる。
【0050】
(6)制御装置27は、残油量Qが給油必要量Q1まで減少すると遠隔操作装置31へと給油情報を送信する。遠隔操作装置31において給油情報を確認したオペレータは、関係各所へ給油を手配する。これにより、燃料タンク18への給油をより確実に行うことができる。
【0051】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・制御装置27は、空調機28を起動する際に、電力供給源をエンジン発電機17に制御してもよい。これにより、消費電力の大きい空調機28に対して確実に電力を供給することができる。
【0052】
・制御装置27は、空調対象室21の室内温度Tが停止温度T2まで低下したときに空調機28を停止する構成に限らず、室内温度Tが起動温度T1に到達すると一定時間だけ空調機28を駆動する構成であってもよい。
【0053】
・制御装置27は、空調対象室21の室内温度Tが起動温度T1まで上昇したときに空調機28を起動する構成に限らず、室内温度Tにかかわらず常時空調機28を駆動する構成であってもよい。
【0054】
・残油量Qは、エンジン発電機17の駆動時間に基づく燃料消費量を初期残油量から減算されることにより演算されてもよい。この場合、初期残油量は、給油時における残油量と燃料タンク18への給油量とを加算した値にセットされる。
【0055】
・電力供給対象への電力供給源は、常時自動で切り替わる構成であってもよい。
・風力発電機24は、1以上の風車19を有する構成であればよい。
【符号の説明】
【0056】
10…洋上観測システム、11…基礎構造体、12…基礎部、13…柱部、14…ステージ部、15…避雷針、16…観測器、17…エンジン発電機、18…燃料タンク、19…風車、20…バッテリー室、21…空調対象室、22…蓄電池、23…インバータ、24…風力発電機、25…インターロック回路、26…無停電電源装置、27…制御装置、28…空調機、30…計測器、31…遠隔操作装置、35…モニター画面、36…モード選択ボックス、37…エアコン選択ボックス、38…発電機選択ボックス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7