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特許7613051画像処理装置、画像形成装置、及び画像処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像形成装置、及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/00 20060101AFI20250107BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G06T11/00
H04N1/387 200
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020180318
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2021072117
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】16/670,913
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(72)【発明者】
【氏名】中村 匡芳
(72)【発明者】
【氏名】ウォン、ケンドリック エスペランザ
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-260871(JP,A)
【文献】特開2005-149325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/00
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に搭載されるラスターイメージプロセッサー(RIP)用の画像処理装置であって、
画像処理の命令を取得する命令取得部と、
前記命令取得部により取得された前記命令によりクリッピングが設定された場合、該クリッピングはインクルーシブモードかエクスクルーシブモードかを判断し、前記エクスクルーシブモードの場合、画像処理を行うフレームの保護される画素を算出して、クリップ処理に必要な画素数を設定する判断部と、
インクルーシブモードでは、前記クリッピングを行う形状単位が矩形の場合に前記形状単位を含むクリップ領域と画像処理を行うフレームとを評価して別のフレームを設定し、前記形状単位が台形又はスキャンラインの場合に前記フレームと処理中のラインの位置関係を評価し別のラインを設定してクリッピングを行い、
エクスクルーシブモードでは、別のラインを設定せず、前記判断部により算出された画素数の設定により、前記クリップ領域とライン毎の評価を行いクリッピングを行うクリップ処理部とを備える
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記判断部は、
前記フレームの読み込みアドレス及び読み込み量を前記クリップ領域としてクリップ処理部に伝えるかを決定し、保護しない画素に対する命令と、前記フレームのデータを読み込んで前記クリップ処理部に伝える命令とで、前記フレームのデータを送り出す順序を管理する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判断部は、前処理を実行可能な汎用プロセッサで構成され、
前記クリップ処理部は、前記フレームのデータの読み込みを含む処理を実行する専用回路であって、
前記専用回路は、前記判断部の前記命令をキューイング可能なバッファーを含む内部データ保持部を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記クリップ処理部は、
予め演算可能なライン単位での演算結果データを前記内部データ保持部に格納しておき、ライン単位での演算の際に読み出して使用する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
ラスターイメージプロセッサー(RIP)用の画像処理装置を含む画像形成装置であって、
前記画像処理装置は、
画像処理の命令を取得する命令取得部と、
前記命令取得部により取得された前記命令によりクリッピングが設定された場合、該クリッピングはインクルーシブモードかエクスクルーシブモードかを判断し、前記エクスクルーシブモードの場合、画像処理を行うフレームの保護される画素を算出して、クリップ処理に必要な画素数を設定する判断部と、
インクルーシブモードでは、前記クリッピングを行う形状単位が矩形の場合に前記形状単位を含むクリップ領域と画像処理を行うフレームとを評価して別のフレームを設定し、前記形状単位が台形又はスキャンラインの場合に前記フレームと処理中のラインの位置関係を評価し別のラインを設定してクリッピングを行い、
エクスクルーシブモードでは、別のラインを設定せず、前記判断部により算出された画素数の設定により、前記クリップ領域とライン毎の評価を行いクリッピングを行うクリップ処理部とを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置に搭載されるラスターイメージプロセッサー(RIP)用の画像処理装置により実行される画像処理方法であって、
画像処理の命令を取得し、
取得された前記命令によりクリッピングが設定された場合、該クリッピングはインクルーシブモードかエクスクルーシブモードかを判断し、前記エクスクルーシブモードの場合、画像処理を行うフレームの保護される画素を算出して、クリップ処理に必要な画素数を設定し、
インクルーシブモードでは、前記クリッピングを行う形状単位が矩形の場合に前記形状単位を含むクリップ領域と画像処理を行うフレームとを評価して別のフレームを設定し、前記形状単位が台形又はスキャンラインの場合に前記フレームと処理中のラインの位置関係を評価し別のラインを設定してクリッピングを行い、
エクスクルーシブモードでは、別のラインを設定せず、算出された画素数の設定により、前記クリップ領域とライン毎の評価を行いクリッピングを行う
ことを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Raster Image Processor(RIP)におけるクリッピング処理を行う画像処理装置、画像形成装置、及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
文書や画像を印刷可能な複合機(Multifunctional Peripheral, MFP)等の画像形成装置が存在する。
画像形成装置では、ポストスクリプト(登録商標)等のページ記述言語で記載された頁データを画像形成するRaster Image Processor(RIP)の画像処理が行われる。
このRIP処理では、クリッピング処理が行われることがある。クリッピング処理は、クリッピング領域を定義し、この領域に応じて画像のクリップを行う処理である。
【0003】
特許文献1によると、典型的な画像処理装置によるクリッピング処理では、クリッピング領域の垂直方向毎にラインスキャンをして水平ラインに交わる開始点及び終点の値によるパターンが生成される。このパターンの情報が記憶され、画像データにマスクビットが描画される。描画されたマスクビットが読み込まれ、このマスクビットの値に対応して、写真画像の描画がメモリ上に行われる。これにより、高速に任意のクリップ領域のクリッピングが可能なる。
【0004】
一方、典型的なクリッピング処理では、インクルーシブモードと、エクスクルーシブモードが設定されている。その違いは、クリッピングされる領域の外側領域(クリッピング領域外)の取り扱いと、マスクビットの値の取り扱いの違いである。
インクルーシブモードでは、マスクビットが1の画素の画像が、メモリ上に出力される。逆に、マスクビットが0の場合、その箇所は保護され、画像がメモリ上に書き出されない。クリップ領域外は、全て保護される。
エクスクルーシブモードでは、マスクビットが0の画素の画像が、メモリ上に出力される。逆に、マスクビットが1の画素は、保護される。加えて、クリップ領域外は、メモリ上に、すべて上書きされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-169584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、インクルーシブモードと、エクスクルーシブモードとで同様のクリッピング処理を行っていたため、効率が悪かった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、上述の問題点を解消する画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、画像形成装置に搭載されるラスターイメージプロセッサー(RIP)用の画像処理装置であって、画像処理の命令を取得する命令取得部と、前記命令取得部により取得された前記命令によりクリッピングが設定された場合、該クリッピングはインクルーシブモードかエクスクルーシブモードかを判断し、前記エクスクルーシブモードの場合、画像処理を行うフレームの保護される画素を算出して、クリップ処理に必要な画素数を設定する判断部と、インクルーシブモードでは、前記クリッピングを行う形状単位が矩形の場合に前記形状単位を含むクリップ領域と画像処理を行うフレームとを評価して別のフレームを設定し、前記形状単位が台形又はスキャンラインの場合に前記フレームと処理中のラインの位置関係を評価し別のラインを設定してクリッピングを行い、エクスクルーシブモードでは、別のラインを設定せず、前記判断部により算出された画素数の設定により、前記クリップ領域とライン毎の評価を行いクリッピングを行うクリップ処理部とを備えることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、ラスターイメージプロセッサー(RIP)用の画像処理装置を含む画像形成装置であって、前記画像処理装置は、画像処理の命令を取得する命令取得部と、前記命令取得部により取得された前記命令によりクリッピングが設定された場合、該クリッピングはインクルーシブモードかエクスクルーシブモードかを判断し、前記エクスクルーシブモードの場合、画像処理を行うフレームの保護される画素を算出して、クリップ処理に必要な画素数を設定する判断部と、インクルーシブモードでは、前記クリッピングを行う形状単位が矩形の場合に前記形状単位を含むクリップ領域と画像処理を行うフレームとを評価して別のフレームを設定し、前記形状単位が台形又はスキャンラインの場合に前記フレームと処理中のラインの位置関係を評価し別のラインを設定してクリッピングを行い、エクスクルーシブモードでは、別のラインを設定せず、前記判断部により算出された画素数の設定により、前記クリップ領域とライン毎の評価を行いクリッピングを行うクリップ処理部とを備えることを特徴とする。
本発明の画像処理方法は、画像形成装置に搭載されるラスターイメージプロセッサー(RIP)用の画像処理装置により実行される画像処理方法であって、画像処理の命令を取得し、取得された前記命令によりクリッピングが設定された場合、該クリッピングはインクルーシブモードかエクスクルーシブモードかを判断し、前記エクスクルーシブモードの場合、画像処理を行うフレームの保護される画素を算出して、クリップ処理に必要な画素数を設定し、インクルーシブモードでは、前記クリッピングを行う形状単位が矩形の場合に前記形状単位を含むクリップ領域と画像処理を行うフレームとを評価して別のフレームを設定し、前記形状単位が台形又はスキャンラインの場合に前記フレームと処理中のラインの位置関係を評価し別のラインを設定してクリッピングを行い、エクスクルーシブモードでは、別のラインを設定せず、算出された画素数の設定により、前記クリップ領域とライン毎の評価を行いクリッピングを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インクルーシブモードでは、クリッピングを行う形状単位が矩形の場合にクリップ領域と画像処理を行うフレームとを評価して別のフレームを設定し、形状単位が台形及びスキャンラインの場合にフレームと処理中のラインの位置関係を評価して別のラインを設定し、エクスクルーシブモードでは、フレームの保護される画素を判断部に伝えて、画像処理に必要な画素数を設定させることで、インクルーシブモードと、エクスクルーシブモードとで最適な処理を行うことが可能な画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置のシステム構成図である。
図2図1に示す画像処理部の制御構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る形状単位の概念図である。
図4】本発明の実施の形態に係るクリッピング処理のフローチャートである。
図5図4に示すインクルーシブモード処理の概念図である。
図6図4に示すインクルーシブモード処理の概念図である。
図7図4に示すエクスクルーシブモード処理の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態>
〔画像形成装置1のシステム構成〕
まず、図1を参照して、画像形成装置1のシステム構成について説明する。
【0012】
画像形成装置1は、画像処理部11、原稿読取部12、原稿給送部13、給紙部14、ネットワーク送受信部15、操作パネル部16、画像形成部17(画像形成手段)、FAX送受信部18、及び記憶部19等を含む。各部は、制御部10に接続され、制御部10によって動作制御される。
【0013】
制御部10は、GPP(General Purpose Processor)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等の情報処理部である。
制御部10は、記憶部19のROMやHDDに記憶されている制御プログラムを読み出して、この制御プログラムをRAMに展開させて実行する。また、制御部10は、図示しない外部の端末や操作パネル部16から入力された所定の指示情報に応じて、装置全体の制御を行う。
【0014】
本実施形態においては、制御部10は、下記で説明する画像処理部11のASICにより、RIP処理を高速に実行(アクセレレーション)させることが可能である。
制御部10は、ページファイルを解釈して、画像処理部11に実行させるRIP処理の命令(オーダー)の集合であるオーダーリストと呼ばれるデータを作成し、記憶部19に格納する。そして、画像処理部11に、記憶部19上でオーダーリストの配置されたアドレスを指定し、実行を指示する。
【0015】
画像処理部11は、画像データに対して所定の画像処理を行う、画像処理の専用の制御演算手段である。画像処理部11は、所定の画像処理として、例えば、拡大縮小、濃度調整、階調調整、画像改善等の処理も行うことが可能である。
また、画像処理部11は、原稿読取部12で読み取られた画像を、記憶部19に印刷データとして記憶する。この際、画像処理部11は、印刷データを、PDF等の電子文書やTIFF等の画像データのファイルに変換することも可能である。また、画像処理部11は、OCR(Optical Character Recognition)の少なくとも一部の処理を実行可能であってもよい。
【0016】
本実施形態においては、画像処理部11は、RIPのアクセラレータのASIC等を含む。
本実施形態のRIPでは、画像処理部11は、各ピクセルについての画像処理を行うことが可能である。画像処理部11は、制御部10にてオーダーリストの実行が指示された場合、オーダーリストを読み込み、オーダーリストに含まれるオーダーの指示に従って画像処理を行い、描画された画像データであるバンドデータを作成する。
この際に、本実施形態では、画像処理部11は、上述のクリッピング処理を行う。
【0017】
原稿読取部12は、セットされた原稿を読み取る。また、原稿読取部12は、画像形成装置1の本体部の上部に配設される。
原稿読取部12は、スキャナーと、プラテンガラスと、原稿読取スリットとを備えている。原稿読取部12は、プラテンガラスに載置された原稿を読み取る場合には、スキャナーをプラテンガラスに対向する位置に移動させ、プラテンガラスに載置された原稿を走査しながら読み取って画像データを取得し、取得した画像データを制御部10に出力する。
【0018】
また、原稿読取部12は、原稿給送部13から給送された原稿を読み取る場合には、スキャナーを、原稿読取スリットと対向する位置に移動させる。そして、原稿読取部12は、原稿読取スリットを介し、原稿給送部13による原稿の搬送動作と同期して原稿を読み取って、画像データを取得する。原稿読取部12は、取得した画像データを、制御部10に出力する。
【0019】
原稿給送部13は、原稿読取部12で読み取られる原稿を搬送する。原稿給送部13は、原稿読取部12の上部に配設されている。
原稿給送部13は、原稿載置部と、原稿搬送機構とを備えている。原稿給送部13は、原稿載置部に載置された原稿を、原稿搬送機構によって1枚ずつ順に繰り出して、原稿読取部12に給送する。
【0020】
給紙部14は、記録紙を1枚ずつ画像形成部17に向けて繰り出す。給紙部14は、本体部に備えられている。
【0021】
ネットワーク送受信部15は、LAN、無線LAN、WAN、携帯電話網等の外部ネットワークに接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続部である。
ネットワーク送受信部15は、データ通信用の回線ではデータを送受信し、音声電話回線では音声信号を送受信する。
【0022】
操作パネル部16は、ボタンやタッチパネル等の入力部と、LCD(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ等の表示部とを備えている。また、操作パネル部16は、画像形成装置1のフロント側に配設されている。
操作パネル部16の入力部のボタンは、テンキー、スタート、キャンセル、動作モードの切り換え、ジョブの実行に係る指示を行うボタン等である。この動作モードは、複写、FAX送信、スキャナー、ネットワークスキャナー等の種類のモードを備えていてもよい。また、ジョブは、選択された文書の印刷、送信、保存、及び記録等を含んでいる。操作パネル部16の入力部は、ユーザーによる画像形成装置1の各種ジョブの指示を取得する。また、操作パネル部16から取得したユーザーの指示により、各ユーザーの情報を入力、変更することも可能である。
【0023】
画像形成部17は、ユーザーの出力指示により、記憶部19に記憶され、原稿読取部12で読み取られ、又は外部の端末から取得されたデータから記録紙への画像形成を行わせる。
画像形成部17は、感光体ドラム、露光部、現像部、転写部、及び定着部等を備えている。画像形成部17は、帯電、露光、現像、転写、定着からなる画像形成プロセスを実行することで記録紙にトナー像を記録する。
【0024】
FAX送受信部18は、ファクシミリの送受信を行う。FAX送受信部18は、音声回線により、他のFAX装置(図示せず)からファクシミリ受信して、記憶部19に保存し、画像形成部17で画像形成させることが可能である。また、FAX送受信部18は、原稿読取部12で読み取られた原稿や外部の端末から送信されたネットワークFAXのデータを画像データに変換して、他のFAX装置へ音声回線でファクシミリ送信することが可能である。
【0025】
記憶部19は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等の一時的でない記録媒体である。
記憶部19のRAMは、省電力状態であっても、セルフリフレッシュ等の機能により、記憶内容が保持されてもよい。
記憶部19のROMやHDDには画像形成装置1の動作制御を行うための制御プログラムやデータ、画像処理部11に使用されるデータ等が記憶されている。加えて、記憶部19は、ユーザーのアカウント設定等の他のデータも記憶している。また、記憶部19には、ユーザー毎の保存フォルダーの領域が含まれていてもよい。
【0026】
本実施形態の記憶部19は、画像処理部11に使用されるデータとして、ジョブ及びオーダーリストのデータを格納する。また、記憶部19は、RIP処理にて、オーダーリストが実行された際に、描画された画像データであるバンドデータ(ピクセルデータ)を格納する。
【0027】
ジョブは、ページ記述言語で記載されたページデータを含む印刷データである。
【0028】
オーダーリストは、制御部にてジョブ内のページデータが解釈されたオーダーと呼ばれる画像処理命令をまとめたデータである。このオーダーは、本実施形態のRIP処理に関連するデータであり、画像処理部11に対する画像処理命令及びデータを含む。オーダーリストは、複数のオーダーを含み、オーダーは逐次処理される。
【0029】
加えて、本実施形態では、記憶部19のRAMと、制御部10と、画像処理部11との間は、128ビットのデータバス幅の専用のバスで接続されている例について説明する。
【0030】
なお、画像形成装置1において、制御部10及び画像処理部11は、GPU内蔵CPU、チップ・オン・モジュールパッケージ、SOC(System On a Chip)等のように、一体的に形成されていてもよい。
また、制御部10及び画像処理部11は、RAMやROMやフラッシュメモリー等を内蔵していてもよい。
【0031】
〔画像処理部11の制御構成〕
次に、図2及び図3を参照して、画像処理部11の制御構成について説明する。
画像処理部11は、MCU100、クリップ処理部130、ライン処理部140、データパイプライン150、ピクセル処理部160、及びライトDMA220を含む。
【0032】
MCU100は、画像処理部11の各回路を制御する画像処理制御部である。
本実施形態のRIP処理では、MCU100は、オーダーリストを記憶部19から読込み、それに応じた処理を行う。具体的には、MCU100は、データパイプライン150で読み込まれたオーダーリストに含まれるオーダーを解釈して実行し、他の回路に対して、オーダーに対応した各処理を行わせる。この処理は、データパイプライン150のデータの処理の制御を含む。
【0033】
本実施形態において、MCU100は、クリッピング処理の前処理を実行可能なGMCU(General Micro Controller Unit)等の汎用プロセッサとして構成される。
MCU100は、内蔵されたEEPROMやフラッシュメモリー等の不揮発性の記憶部に、各オーダーを処理するためのマイクロコード等を含む制御プログラム等が格納されている。さらに、MCU100に内蔵された記憶部は、RAM等の一時データの格納領域も含んでいる。
【0034】
クリップ処理部130は、画像のクリッピング処理を行うための回路である。このクリッピング処理では、他の画像を、設定されたクリッピング領域によりクリッピング(削除、合成)を行う回路である。
【0035】
本実施形態においては、クリップ処理部130は、クリッピング用の描画を行う箇所を示すデータ(画像データ)であるトランスファーフレーム(以下、単に「フレーム」という。)のデータを読み込み、クリッピングのために評価する処理等を実行する専用回路として構成される。
具体的には、クリップ処理部130は、ライン処理部140により算出(演算)されたアドレスと処理データ量に対応して、リードDMA210、データパイプライン150、及びライトDMA220を用いたクリッピング処理を実行させる。
本実施形態におけるクリップ処理部130の詳細構成については後述する。
【0036】
ライン処理部140は、ライン処理の座標を算出する回路である。ライン処理部140は、MCU100により設定された原点座標における、オーダーで指定された形状単位(コンポーネント)の記憶部19でのアドレスを算出する。この形状単位の詳細については後述する。
具体的には、ライン処理部140は、後述するクリッピングにおいて、MCU100からの座標情報(X,Y)と、ラインの画素数に基づいて、記憶部19のアドレスと処理データ量を算出する。この処理データ量は、クリップ処理に必要な画素数(読み込み量)を含む。
【0037】
データパイプライン150は、記憶部19からデータを読み出し、実際の描画処理等の処理を行う回路である。
データパイプライン150は、読み出し部の構成として、リードDMA210を含んでいる。
【0038】
リードDMA210は、記憶部19からオーダーリストを読み込むDMA(Direc Memory Access)である。
リードDMA210は、共通の専用のバスに対応して、記憶部19とのDMAの読み出しを行う。
【0039】
ピクセル処理部160は、ピクセル処理を行う回路である。ピクセル処理部160は、このピクセル処理として、ブール(論理)演算処理(Boolean process)、ブレンド等のフィルタリング処理を、複数ピクセルをまとめて行うことが可能である。
【0040】
ライトDMA220は、ピクセル処理部160で処理されたピクセルのデータを、記憶部19にバンドデータとして書き出すDMAである。本実施形態において、このバンドデータは、例えば、シアン(Cyan、C)、マゼンタ(Magenta、M)、イエロー(Yellow、Y)、黒(blacK、K)の各色について作成される。
【0041】
本実施形態では、データパイプライン150のデータ幅は、64ビット(dword)又は128ビット(qword)である例について説明する。
【0042】
(MCU100及びクリップ処理部130の機能構成)
次に、MCU100及びクリップ処理部130のクリッピング処理を行うための機能的な詳細について説明する。
【0043】
まず、図3により本実施形態のRIP処理における形状単位について説明する。
本実施形態では、画像処理に関連するオーダーにおいて、形状単位として、例えば、矩形、台形、スキャンライン等の形状が指定される。これらの形状単位は、クリップ領域を指定するのに用いられる。また、その他のオーダーにおける記憶部19のバンドデータ上への描画についても、この形状単位で指定された形状で実行される。これらの形状は、ライン処理部140で算出されたアドレスを基に、一ライン毎に順に処理される。
【0044】
上述の形状単位のうち、図3(a)に示す矩形(長方形)は基本的な形状で、固定された幅と高さが指定される。
図3(b)に示す台形は、最初のラインにおける幅と、この最初のラインの描画開始位置(左端)の傾きと、描画終了位置(右端)の傾きが設定される。これらの傾きは、例えば、浮動小数点で指定される。すなわち、これらの傾きの設定により、描画される各ラインで、ライン幅が変動する。
図3(c)に示すスキャンラインは、オーダー内のテーブルにて設定されたスキャンラインリストを逐次描画することで、文字等の任意の形状の描画を行う。すなわち、一ライン毎にテーブルで指定された大きさから算出された長さのラインが描画される。スキャンラインが描画される領域の長さ及び高さも設定できる。
【0045】
図3(d)は、矩形で定義されたクリップ領域Pと、画像処理を行うフレームFとの関係を示す。フレームFは、各バンドデータに含まれるフレームの一つを示す。クリップ領域P内にある六角形Hは、実際にクリッピングが行われる形状を示す。すなわち、本実施形態においては、保護する又は保護しない画素を決定する値を含むデータとして、クリップデータが設定される。図3(d)の例では、クリップ領域Pにおいて、このクリップデータが六角形Hの形状で設定される。
【0046】
図3(e)は、図3(d)のフレームF内の一ラインを示すラインLについてのクリッピングの判断の例を示す。本実施形態においては、MCU100から、ライン処理部140に対して、一ライン毎にアドレスを算出し、クリップ処理部130でのクリップ処理を実行させる。この際、MCU100は、クリップ領域外、クリップ領域内、クリップ領域外の三領域について判断して、クリップ処理部130に順番に処理を行わせる。
【0047】
再び図2を参照して、具体的に説明すると、MCU100は、命令取得部110及び判断部120を備える。
クリップ処理部130は、内部データ保持部200を備える。
【0048】
命令取得部110は、画像処理の命令(オーダー)を取得する。具体的には、命令取得部110は、制御部10で生成され、記憶部19上に配置されたオーダーリストを取得し、解釈する。そして、命令取得部110は、このオーダーリストに含まれるクリッピング処理のためのオーダーを取得する。
【0049】
判断部120は、命令取得部110により取得されたオーダーによりクリッピングが設定された場合、当該クリッピングはインクルーシブモードかエクスクルーシブモードかを判断する。判断部120は、エクスクルーシブモードの場合、画像処理を行うフレームの保護される画素を算出して、クリップ処理に必要な画素数を内部データ保持部200に設定する。
具体的には、判断部120は、フレームの読み込みアドレス及び処理データ量をクリップ領域としてクリップ処理部130に伝えるか否かを決定する。この際、判断部120は、保護しない画素に対する命令と、フレームのデータを読み込んでクリップ処理部130に伝える命令とで変更するよう、フレームのデータを送り出す順序を管理する。この管理は、内部データ保持部200に格納されたデータのバッファー内のデータの順序を調整することで行う。
【0050】
内部データ保持部200は、判断部120の命令をキューイング可能なバッファーである。具体的には、内部データ保持部200は、各形状単位について、ライン処理部140により算出されたアドレス及び処理データ量をクリップ領域のデータとしてクリップ処理部130に伝える順序を命令として格納する。さらに、内部データ保持部200は、エクスクルーシブモード用に、フレームの保護される画素のアドレス及び処理データ量を含む、クリップ領域外を設定する命令も含んでいる。加えて、内部データ保持部200は、再利用可能な、ライン単位での演算結果データも含んでいる。
【0051】
ここで、本実施形態のクリップ処理部130は、インクルーシブモードでは、クリッピングを行うクリップ領域が矩形の場合にクリップ領域と画像処理を行うフレームとを評価して別のフレームを設定し、クリップ領域が台形及びスキャンラインの場合にフレームと処理中のラインの位置関係を評価して別のラインを設定する。一方、クリップ処理部130は、エクスクルーシブモードでは、別のラインを設定せず、判断部120により算出され内部データ保持部200に格納されたデータにより、クリップ領域とのライン毎の評価を行い、クリッピングを行う。具体的には、クリップ処理部130は、内部データ保持部200に格納された、クリップ領域外を設定する命令に含まれるフレームの保護される画素のデータを基に、画像処理に必要な画素数を設定させる。
加えて、クリップ処理部130は、予め、ライン単位での演算の結果データを算出し、命令と結びつけて内部データ保持部200に格納しておくことも可能である。本実施形態では、クリップ処理部130は、クリッピング領域及びクリッピング領域外の評価のデータを、内部データ保持部200に格納可能である。クリップ処理部130は、この演算結果データを、ライン単位での演算の際に読み出して使用する。
【0052】
〔画像形成装置1によるクリッピング処理〕
次に、図3図6を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1によるクリッピング処理の説明を行う。
本実施形態のRIP処理の実行時に、制御部10は、記憶部19に格納されたジョブのページデータ等を解釈して、オーダーリストを生成して記憶部19上に配置する。そして、制御部10が画像処理部11に描画を指示することで、本実施形態のクリッピング処理が実行される。
【0053】
本実施形態のRIP処理では、画像処理部11は、記憶部19に格納されたオーダーリストの配置されているメモリ空間上のアドレスを制御部10に提示されると、このオーダーリストを記憶部19から読み込み、当該オーダーリストに対応した画像処理を行う。このオーダーリストは、上述のように複数のオーダーを含み、これらのオーダーは、画像処理部11により、逐次処理される。
【0054】
本実施形態のクリッピング処理は、主に画像処理部11の各回路が、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、図4のフローチャートを参照して、本実施形態のクリッピング処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0055】
(ステップS101)
まず、命令取得部110が、オーダー取得処理を行う。
命令取得部110は、オーダーリストを記憶部19から取得して、これに含まれるオーダーを、逐次解釈する。すなわち、本実施形態においては、クリッピングの前処理をMCU100にて実行する。
【0056】
(ステップS102)
次に、判断部120が、オーダーがクリッピングの処理であるクリッピングのオーダーであったか否かを判断する。判断部120は、解釈されたオーダーによりクリッピングが設定された場合に、Yesと判断する。判断部120は、それ以外の場合には、Noと判断する。
Yesの場合、判断部120は、処理をステップS103に進める。
Noの場合、判断部120は、本実施形態のクリッピング処理を終了する。
【0057】
(ステップS103)
クリッピング設定であった場合、判断部120は、フレーム順序管理処理を行う。
判断部120は、オーダーを解釈し、形状単位毎に、ライン処理部140にフレームの読み込みアドレス及び読み込み量(処理データ量)を算出させる。すなわち、ライン処理部140は、これらの形状単位の座標に対応した記憶部19上のアドレスを、フレームとして書き出す箇所として算出する。判断部120は、算出されたアドレス及び読み込み量をクリップ領域としてクリップ処理部130に伝える順序を決定し、内部データ保持部200にこの順序に対応して命令をキューイングする。
【0058】
具体的には、判断部120は、上述したインクルーシブモード又はエクスクルーシブモードにおいて、保護しない画素に対するオーダーと、フレームのデータを読み込んでクリップ処理部130に伝えるオーダーとで、フレームのデータを送り出す順序を管理する。たとえば、判断部120は、ライン単位での演算に使用されるライン処理部140による計算結果で、あらかじめ計算できるものを事前に行って、順序を管理する。
【0059】
より具体的に説明すると、上述したように、エクスクルーシブモードでは、クリップ領域外において画像処理結果が記憶部19のフレーム上に書きだされ、反映される。このため、まず、判断部120は、クリップ処理部130において、クリップ領域外のフレーム上の画素を保護しないように設定する命令を作成し、内部データ保持部200に格納する。判断部120は、この内部データ保持部200に格納された命令を基に、クリップ処理部130に指示する。すなわち、判断部120により、保護されない箇所のアドレス及び画素数(処理データ量)の設定を行うことが可能である。
さらに、判断部120は、クリップ領域としてどのアドレスから何画素分のデータを読み込むかについてもクリップ領域として設定して内部データ保持部200に格納し、このデータを基に、クリップ処理部130に指示する。
【0060】
このように構成し、判断部120は、内部データ保持部200に格納された命令について、保護しない画素の命令と、データを読み込んでクリップ処理部130に伝える命令とで、データを送り出す順序を管理することが可能となる。
【0061】
(ステップS104)
次に、判断部120が、クリッピングの設定がインクルーシブモードであったか否かを判断する。判断部120は、インクルーシブモードであった場合に、Yesと判断する。判断部120は、それ以外の場合、すなわち、エクスクルーシブモードであった場合、Noと判断する。
Yesの場合、判断部120は、処理をステップS105に進める。
Noの場合、判断部120は、処理をステップS106に進める。
【0062】
(ステップS105)
インクルーシブモードであった場合、クリップ処理部130が、インクルーシブモード処理を行う。
クリップ処理部130は、インクルーシブモードでは、クリッピングを行うクリップ領域が矩形の場合に、画像処理を行うため読み込むフレーム(オリジナルフレーム)とクリップ領域とを評価して、別のフレームを設定する。
【0063】
図5により、インクルーシブモードで、形状単位が矩形の場合の処理について説明する。
インクルーシブモードではクリップ領域外は保護されるため、その他の箇所のバンドデータを読み込む必要がない。出力に影響しないデータの読み込みを減らすことで、記憶部19と画像処理部11との間の読み込みに関するバスの負荷を軽減することができ、効率的な処理が行える。
具体的には、図5に示すように、クリップ処理部130は、元のフレームとクリップ領域とを評価し、クリップされた状態の新しいフレームを作成して書き出す。
【0064】
図6により、インクルーシブモードで、形状単位がスキャンライン又は台形の場合の処理について説明する。
クリップ処理部130は、インクルーシブモードで、形状単位が台形及びスキャンラインの場合にフレームと処理中のラインの位置関係を評価して別のラインを設定する。
具体的には、クリップ処理部130は、台形又はスキャンラインは、一ライン毎にラインの位置や長さが異なるので、矩形の様に新しいフレームを設定しないで、各ラインとクリップする形状単位の箇所Sの評価を行う。
この際、図6A図6Fに示すように、クリップ処理部130は、一ライン毎にクリップする形状単位の箇所Sがクリップ領域内にある、すなわち重なっているか否かを判別する。クリップ処理部130は、重なりがなければそのラインはスキップすることが可能である。または、クリップ処理部130は、一部重なっている場合は、その重なっている箇所Sについての箇所の評価を行い、重なっていない箇所Sの画素の読み込みのみをスキップする。
このように、クリップ処理部130は、不要な画素の読み込みを省略するため、記憶部19と画像処理部11との間の読み込みに関するバスの負荷を軽減することができる。
【0065】
(ステップS106)
エクスクルーシブモードであった場合、クリップ処理部130が、エクスクルーシブモード処理を行う。
クリップ処理部130は、エクスクルーシブモードでは、フレームの保護される画素を判断部120に伝えて、画像処理に必要な画素数を設定させる。
【0066】
図7により、エクスクルーシブモードで、形状単位が矩形の場合の処理について説明する。
エクスクルーシブモードでは、クリップ領域外であっても、画像処理結果がメモリ上に反映される。図7では、この画素が反映されるフレーム内の箇所をハッチング(ストライプ)で示している。
すなわち、エクスクルーシブモードでは、上述のインクルーシブモードのように、新たなフレーム及びラインを設定して出力する必要はない。このため、エクスクルーシブモードの場合、クリップ処理部130は、矩形の処理であってもライン単位で処理を行う。すなわち、クリップ処理部130は、矩形であってもライン単位で、クリップされる箇所について、クリップ領域を評価して処理する。この際、クリップ処理部130は、内部データ保持部200に格納されたクリップ領域のアドレス及び読み込み量を基に、この評価を行う。具体的には、クリップ処理部130は、各ラインLについて、上述の図3Eで示したように、クリップ領域外、クリップ領域内、クリップ領域外の三領域について評価して処理を行う。すなわち、クリップ処理部130は、内部データ保持部200に格納されたクリップ領域外を示す命令を読み込み、アドレス及び画素数の設定により、クリップ領域とライン毎の評価を行いクリッピングを行う。この際、クリップ処理部130は、クリップ領域外の領域は、「0」で塗りつぶす。
【0067】
一方、エクスクルーシブモードで、形状単位がスキャンライン、台形の場合も、同様に、ライン単位で、クリップされる箇所について、クリップ領域及びクリップ領域外を評価して処理する。スキャンライン、台形の場合、ラインの幅が非固定であるため、各ラインについての処理を行う。
【0068】
これらのインクルーシブモード及びエクスクルーシブモードにおいて、クリップ処理部130は、各ラインにおける演算結果データを内部データ保持部200に格納しておき、適宜、再使用することも可能である。
以上により、本発明の実施の形態に係るクリップ処理を終了する。
【0069】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
典型的な技術では、インクルーシブモードと、エクスクルーシブモードとで同様のクリッピング処理を行っていたため、効率が悪かった。
【0070】
これに対して、本発明の実施の形態に係る画像処理部11は、画像形成装置に搭載されるラスターイメージプロセッサー(RIP)用の画像処理装置であって、画像処理の命令であるオーダーを取得する命令取得部110と、命令取得部110により取得された命令によりクリッピングが設定された場合、該クリッピングはインクルーシブモードかエクスクルーシブモードかを判断し、エクスクルーシブモードの場合、画像処理を行うフレームの保護される画素を算出して、クリップ処理に必要な画素数を設定する判断部120と、インクルーシブモードでは、クリッピングを行う形状単位が矩形の場合に形状単位を含むクリップ領域と画像処理を行うフレームとを評価して別のフレームを設定し、形状単位が台形又はスキャンラインの場合にフレームと処理中のラインの位置関係を評価し別のラインを設定してクリッピングを行い、エクスクルーシブモードでは、別のラインを設定せず、判断部120により算出された画素数の設定により、クリップ領域とライン毎の評価を行いクリッピングを行うクリップ処理部130とを備えることを特徴とする。
【0071】
このように構成することで、インクルーシブモードと、エクスクルーシブモードとで最適な処理を行うことが可能な画像処理部11を提供することができる。
具体的には、インクルーシブモードで形状単位が矩形の場合は、別のフレームを設定し、スキャンライン及び台形の場合は、ライン毎にクリップ領域と処理中の画素の位置関係を評価するようにして、不要な画素の読み込みを省略することができる。このように、不要画素を読み込まないことで、処理の高速化が可能となる。またシステムバスに対して不要なトランザクションを発生させないので、システムのパフォーマンスを向上させることができる。
【0072】
さらに、エクスクルーシブモードではクリップ領域外では処理結果が記憶部19上に書きだされて反映されるため、該当画素を保護しないように設定することができる。
加えて、内部データ保持部200に格納されたアドレス及び処理データ量を基に、逐次、クリップ領域の評価を行うことで、エクスクルーシブモードで最適な処理を行うことが可能である。
【0073】
本発明の実施の形態に係る画像処理部11は、判断部120は、フレームの読み込みアドレス及び読み込み量をクリップ領域としてクリップ処理部130に伝えるかを決定し、保護しない画素に対する命令と、フレームのデータを読み込んでクリップ処理部130に伝える命令とで、フレームのデータを送り出す順序を管理することを特徴とする。
このように構成することで、ライン単位での演算負荷を減らし、高速処理を実現することができる。さらに、クリップ処理部130が一つのラインの処理をしている際に、判断部120は、他のラインの処理を先に行うこともできる。
なお、内部データ保持部200のバッファーに空きがなくなった場合は、判断部120は、待ち状態としてもよい。
【0074】
本発明の実施の形態に係る画像処理部11は、判断部120は、前処理を実行可能な汎用プロセッサであるMCU100で構成され、クリップ処理部130は、フレームのデータの読み込みを含む処理を実行する専用回路であって、専用回路は、判断部120の命令をキューイング可能なバッファーを含む内部データ保持部200を備えることを特徴とする。
このように構成し、前処理をMCU100で行い、実際のクリッピング処理を専用回路で行い、専用回路にはMCU100の命令をキューイングできるバッファーを含む内部データ保持部200を備える。これにより、画像読み込みにより発生する遅延やクリップ処理で発生する遅延等を吸収し、処理を最適化することができる。
【0075】
本発明の実施の形態に係る画像処理部11は、クリップ処理部130は、予め演算可能なライン単位での演算結果データを内部データ保持部200に格納しておき、ライン単位での演算の際に読み出して使用することを特徴とする。
このように構成することで、ライン単位での演算に使用される計算結果で、あらかじめ計算できるものを内部データ保持部200に入れておくことが可能である。これにより、ライン単位での演算負荷を減らし、高速処理を実現することができる。
【0076】
また、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1は、ラスターイメージプロセッサー(RIP)用の画像処理部11を含む画像形成装置であることを特徴とする。
このように構成することで、RIP処理を高速化させる画像形成装置を提供することが可能となる。
【0077】
〔他の実施の形態〕
なお、上述の機能構成の一部又は任意の組み合わせは、ASIC以外のプログラマブルロジックやFPGA(Field-Programmable Gate Array)等で構成してもよい。
【0078】
また、本発明は、画像形成装置以外の情報処理装置にも適用できる。たとえば、ネットワークスキャナー、スキャナーをUSB等で別途接続したサーバー、PC(Personal Computer)、携帯端末等にも用いることが可能である。さらに、カラー電子ペーパー、プロジェクター等のASICにも用いることが可能である。
【0079】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0080】
1 画像形成装置
10 制御部
11 画像処理部
12 原稿読取部
13 原稿給送部
14 給紙部
15 ネットワーク送受信部
16 操作パネル部
17 画像形成部
18 FAX送受信部
19 記憶部
100 MCU
110 命令取得部
120 判断部
130 クリップ処理部
140 ライン処理部
150 データパイプライン
160 ピクセル処理部
200 内部データ保持部
210 リードDMA
220 ライトDMA
F フレーム
H 六角形
L ライン
P クリップ領域
S 箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7