(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/32 20060101AFI20250107BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20250107BHJP
H04L 51/00 20220101ALI20250107BHJP
【FI】
H04N1/32 400
H04N1/00 J
H04N1/00 127A
H04L51/00
(21)【出願番号】P 2020210538
(22)【出願日】2020-12-18
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 卓史
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-239577(JP,A)
【文献】特開2018-125708(JP,A)
【文献】特開2015-127941(JP,A)
【文献】特開2000-032037(JP,A)
【文献】特開2003-050685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/32
H04N 1/00
H04L 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
ファクシミリ通信によりユーザに対するデータを受信した場合に、
予め登録された業務拠点における、前記ユーザの所在状況に応じた前記データの提供態様による処理を実行
し、
前記所在状況として、前記業務拠点の中、又は前記業務拠点の外であるかを特定すると共に、ログイン履歴をもとに、ユーザが勤務中又は非勤務中であるかを判別し、
前記所在状況が前記業務拠点の外であると特定され、かつ、前記勤務中と判別された場合は、一定時間の間、前記データを保持し、前記一定時間の経過後、前記提供態様をメール送信として、前記処理を実行し、
前記所在状況が前記業務拠点の外であると特定され、かつ、前記非勤務中と判別された場合は、一定時間の間に前記データを保持することなく、前記提供態様をメール送信とし、前記ユーザの設定に応じて、当該ユーザ及び関連するユーザにメール送信するように、前記処理を実行する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記提供態様を、印刷、メール送信、及びサーバへの格納の少なくとも一つの態様として、前記処理を実行する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所在状況として、前記業務拠点の中、又は前記業務拠点の外であるかが特定される請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所在状況が前記業務拠点の中であると特定され、当該業務拠点に印刷が可能な機器がある場合、
前記提供態様を、前記機器による前記データの印刷として、前記処理を実行する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記業務拠点に複数の機器がある場合、
前記複数の機器の利用履歴から特定された前記ユーザが利用した機器により前記データを印刷する請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所在状況が前記業務拠点の外であると特定された場合、
前記提供態様をメール送信、又はサーバへの格納として、前記処理を実行する請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザを管理する管理サーバの利用情報として、前記業務拠点に対応付けられた、ログイン情報、アクセス元情報、及び在拠点情報の少なくとも一つを含み、
前記利用情報に応じて前記所在状況が特定される請求項1~請求項
6の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ログイン情報は、前記ユーザの出勤時にログインされ、退勤時にログアウトされる情報であり、
前記ログイン情報においてログインしている場合は、前記所在状況が前記業務拠点の中であると特定され、
前記ログイン情報においてログアウトしている場合は、前記所在状況が前記業務拠点の外であると特定される請求項
7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記アクセス元情報は、前記ユーザが業務に用いた機器から前記管理サーバにアクセスした情報であり、
前記所在状況として前記アクセス元情報に対応する前記業務拠点の区画が特定される請求項
7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記区画に印刷が可能な機器がある場合、前記提供態様を、前記機器による前記データの印刷として、前記処理を実行する請求項
9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記在拠点情報は、複数の業務拠点のいずれの業務拠点に前記ユーザがいるかを識別する情報であり、
前記所在状況として前記在拠点情報に対応する前記業務拠点が特定される請求項
7に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記利用情報の前記ログイン情報、前記アクセス元情報、及び前記在拠点情報の2以上の組み合わせにより前記所在状況が特定される請求項9~請求項
11の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記業務拠点が複数ある場合、前記業務拠点ごとに、当該業務拠点の印刷の可否に応じて、印刷が可能である場合には印刷とし、印刷が不可である場合にはメール送信、又はサーバへの格納とするように前記提供態様を定める請求項1~請求項
12の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
コンピュータに、
ファクシミリ通信によりユーザに対するデータを受信した場合に、予め登録された業務拠点における、前記ユーザの所在状況に応じた前記データの提供態様による処理を実行させ
、
前記所在状況として、前記業務拠点の中、又は前記業務拠点の外であるかを特定すると共に、ログイン履歴をもとに、ユーザが勤務中又は非勤務中であるかを判別させ、
前記所在状況が前記業務拠点の外であると特定され、かつ、前記勤務中と判別された場合は、一定時間の間、前記データを保持し、前記一定時間の経過後、前記提供態様をメール送信として、前記処理を実行させ、
前記所在状況が前記業務拠点の外であると特定され、かつ、前記非勤務中と判別された場合は、一定時間の間に前記データを保持することなく、前記提供態様をメール送信とし、前記ユーザの設定に応じて、当該ユーザ及び関連するユーザにメール送信するように、前記処理を実行させる、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ファクシミリ通信によって受信されたデータをユーザの状況に応じて出力することが開示されている。特許文献1の情報処理装置は、送信元からファクシミリ通信によってデータを受信し、転送条件に応じて、転送先への電子メールによるデータの転送、又は、記録媒体へのデータの印刷、のいずれかの実行を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、テレワークの進展に伴い、業務の取り組み方が多様化しており、メインオフィス、サテライトオフィス、コワーキングスペース、及び自宅等、様々な業務拠点で業務が行われるようになってきている。ユーザが業務を行う業務拠点はその時々に応じて様々である。また、業務拠点にいる場合もあれば、退勤、及び休暇等により業務拠点外にいる場合もある。このような背景において、受信したFAX等のデータをどのような提供態様でユーザに提供すればよいかが問題となる。例えば、業務拠点にユーザがいる場合にはその業務拠点でデータを印刷すれば、ユーザは受け取ることができる。一方、業務拠点外にユーザがいる場合に、データを印刷してもユーザは受け取ることができない。そのため業務拠点におけるユーザの所在状況に関わらず、画一的な提供態様でデータを提供してしまうと、ユーザにとって不便な場合がある。
【0005】
本発明は、画一的な提供態様により提供する場合に比べ、ユーザの所在状況に応じてデータの提供態様を多様化できる情報処理装置及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、ファクシミリ通信によりユーザに対するデータを受信した場合に、予め登録された業務拠点における、前記ユーザの所在状況に応じた前記データの提供態様による処理を実行する。
【0007】
本発明の第2態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記提供態様を、印刷、メール送信、及びサーバへの格納の少なくとも一つの態様として、前記処理を実行する。
【0008】
本発明の第3態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様又は第2態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサによって、前記所在状況として、前記業務拠点の中、又は前記業務拠点の外であるかが特定される。
【0009】
本発明の第4態様に係る情報処理装置は、本発明の第3態様に係る情報処理装置であって、前記所在状況が前記業務拠点の中であると特定され、当該業務拠点に印刷が可能な機器がある場合、前記プロセッサは、前記提供態様を、前記機器による前記データの印刷として、前記処理を実行する。
【0010】
本発明の第5態様に係る情報処理装置は、本発明の第4態様に係る情報処理装置であって、前記業務拠点に複数の機器がある場合、前記プロセッサは、前記複数の機器の利用履歴から特定された前記ユーザが利用した機器により前記データを印刷する。
【0011】
本発明の第6態様に係る情報処理装置は、本発明の第3態様に係る情報処理装置であって、前記所在状況が前記業務拠点の外であると特定された場合、前記プロセッサは、前記提供態様をメール送信、又はサーバへの格納として、前記処理を実行する。
【0012】
本発明の第7態様に係る情報処理装置は、本発明の第3態様に係る情報処理装置であって、前記所在状況が前記業務拠点の外であると特定された場合、前記プロセッサは、一定時間の間、前記データを保持するように、前記処理を実行する。
【0013】
本発明の第8態様に係る情報処理装置は、本発明の第7態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記一定時間の経過後、前記提供態様をメール送信として、前記処理を実行する。
【0014】
本発明の第9態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様~第8態様の何れかに係る情報処理装置であって、ユーザを管理する管理サーバの利用情報として、前記業務拠点に対応付けられた、ログイン情報、アクセス元情報、及び在拠点情報の少なくとも一つを含み、前記プロセッサによって、前記利用情報に応じて前記所在状況が特定される。
【0015】
本発明の第10態様に係る情報処理装置は、本発明の第9態様に係る情報処理装置であって、前記ログイン情報は、前記ユーザの出勤時にログインされ、退勤時にログアウトされる情報であり、前記プロセッサによって、前記ログイン情報においてログインしている場合は、前記所在状況が前記業務拠点の中であると特定され、前記ログイン情報においてログアウトしている場合は、前記所在状況が前記業務拠点の外であると特定される。
【0016】
本発明の第11態様に係る情報処理装置は、本発明の第9態様に係る情報処理装置であって、前記アクセス元情報は、前記ユーザが業務に用いた機器から前記管理サーバにアクセスした情報であり、前記プロセッサによって、前記所在状況として前記アクセス元情報に対応する前記業務拠点の区画が特定される。
【0017】
本発明の第12態様に係る情報処理装置は、本発明の第11態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記区画に印刷が可能な機器がある場合、前記提供態様を、前記機器による前記データの印刷として、前記処理を実行する。
【0018】
本発明の第13態様に係る情報処理装置は、本発明の第9態様に係る情報処理装置であって、前記在拠点情報は、複数の業務拠点のいずれの業務拠点に前記ユーザがいるかを識別する情報であり、前記プロセッサによって、前記所在状況として前記在拠点情報に対応する前記業務拠点が特定される。
【0019】
本発明の第14態様に係る情報処理装置は、本発明の第9態様~第13態様の何れかに係る情報処理装置であって、前記プロセッサによって、前記利用情報の前記ログイン情報、前記アクセス元情報、及び前記在拠点情報の組み合わせにより前記所在状況が特定される。
【0020】
本発明の第15態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様~第14態様の何れかに係る情報処理装置であって、前記業務拠点が複数ある場合、前記業務拠点ごとに、当該業務拠点の印刷の可否に応じて、印刷が可能である場合には印刷とし、印刷が不可である場合にはメール送信、又はサーバへの格納とするように前記提供態様を定める。
【0021】
本発明の第16態様に係る情報処理プログラムは、コンピュータに、ファクシミリ通信によりユーザに対するデータを受信した場合に、予め登録された業務拠点における、前記ユーザの所在状況に応じた前記データの提供態様による処理を実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1態様及び第16態様によれば、画一的な提供態様により提供する場合に比べ、ユーザの所在状況に応じてデータの提供態様を多様化できる。
【0023】
本発明の第2態様によれば、多様な提供態様によってユーザにデータを提供することができる。
【0024】
本発明の第3態様によれば、業務拠点の中又は外であるかのユーザの所在を特定し、ユーザの業務状況を把握できる。
【0025】
本発明の第4態様によれば、業務拠点の中にいるユーザに印刷してデータを提供できる。
【0026】
本発明の第5態様によれば、ユーザに近い機器で印刷することによりデータの提供を円滑に行うことができる。
【0027】
本発明の第6態様によれば、業務拠点の外にいるユーザのために、遠隔からデータを閲覧可能とするように提供できる。
【0028】
本発明の第7態様によれば、ユーザが業務拠点の外から中に移動する場合を想定して、提供態様を決定するまでの猶予を設けることができる。
【0029】
本発明の第8態様によれば、ユーザが業務拠点の外から戻らなかった場合に、遠隔からデータを閲覧可能とするように提供できる。
【0030】
本発明の第9態様によれば、利用情報によって、具体的なユーザの所在状況を特定できる。
【0031】
本発明の第10態様によれば、利用情報から、ユーザの出勤、退勤、及び外出を特定できる。
【0032】
本発明の第11態様によれば、ユーザがいる業務拠点内の区画を特定できる。
【0033】
本発明の第12態様によれば、区画にある機器でデータを印刷できる。
【0034】
本発明の第13態様によれば、複数の業務拠点のいずれにユーザがいるかを特定し、ユーザがいる業務拠点にデータを転送できる。
【0035】
本発明の第14態様によれば、ユーザの推移をたどって、直近のユーザの所在状況を特定できる。
【0036】
本発明の第15態様によれば、業務拠点の印刷可否の状況に応じた提供態様でデータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本実施形態に係るデータ管理システムの概略構成を示す図である
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置の機能構成の例を示すブロック図である。
【
図4】情報記憶部に格納される利用情報の一例を示す図である。
【
図5】あるユーザの行動テーブル(A)及び(B)について、時間帯別に所在状況を判別するケースの一例を示す図である。
【
図6】ユーザそれぞれの所在状況及び提供態様の一例を模式的に示した図である。
【
図7】情報処理装置によるデータ提供処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】従たる業務拠点に複数の画像形成装置がある場合のケースを模式的に示した図である。
【
図9】1つ目の変形例におけるデータ提供処理のフローチャートである。
【
図10】複数の画像形成装置から取得した機器利用情報の一例を示す図である。
【
図11】従たる業務拠点に複数の区画があり、区画ごとに画像形成装置が設置されているケースを模式的に示した図である。
【
図12】2つ目の変形例におけるデータ提供処理のフローチャートである。
【
図13】3つ目の変形例におけるデータ提供処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0039】
図1は、本実施形態に係るデータ管理システムの概略構成を示す図である。
図1に示したように、データ管理システム1は、ユーザ管理サーバ2と、業務拠点全体3内の情報処理装置10と、ユーザが所持する端末40とがネットワークNを介して接続されている。データ管理システム1では、ファクシミリ通信によりユーザに対するFAXなどの業務用のデータ20を受信した場合に、情報処理装置10によってデータ20のユーザへの提供態様を管理する。業務拠点全体3は、メインオフィスである主たる業務拠点3A、サテライトオフィスである従たる業務拠点3Bが含まれる。なお、サテライトオフィスは複数あってもよい。主たる業務拠点3A、及び従たる業務拠点3Bは、それぞれ画像形成装置30(30A及び30B)を有している。画像形成装置30は、各業務拠点で適宜必要な台数が設置されている。なお、業務拠点全体3内の装置及び機器、並びに端末40は、ネットワークNとは異なるVPN(Virtual Private Network)等の専用回線で接続されていてもよい。なお、以下の説明において、業務拠点全体3、主たる業務拠点3A、及び従たる業務拠点3Bについて特定しない場合には単に「業務拠点」と表記する。
【0040】
ユーザ管理サーバ2は、ユーザを管理するための機能を備えたサーバである。ユーザ管理サーバ2は、データ収集を目的としたディレクトリサービス、及びSaaS(Software as a Service)等として提供されている勤怠管理サービス等、ユーザの業務状況を管理することができれば、いかなるサービスで提供されるサーバであってもよい。本実施形態では、ユーザ管理サーバ2が提供する勤怠管理サービスにユーザがログイン及びログアウトして業務を行うことを想定している。ユーザ管理サーバ2には、ユーザのユーザ管理サーバ2の利用情報が蓄積され、この利用情報を情報処理装置10が取得する。利用情報の具体的態様については後述する。
【0041】
情報処理装置10は、ファクシミリ通信によって受信したデータ20(例えば画像形式のデータ)の提供態様を制御する装置である。情報処理装置10は、ユーザの所在状況に応じた提供態様による処理を行うが、提供態様には、画像形成装置30によるデータ20の印刷、メール送信、及びデータ格納等がある。なお、情報処理装置10は、ユーザの所在状況から、適宜、画像形成装置30にデータ20を転送して、転送した画像形成装置30によってデータ20を印刷させる。なお、情報処理装置10は、画像形成装置30の機能を有していてもよい。
【0042】
データ20は、ファクシミリ通信により受信したファクシミリデータである。データ20は、ファクシミリデータ以外にも電子メール、又はその他のデータ等を受信してもよい。データ20には、ユーザ情報が含まれており、宛先のユーザが特定可能な形式で送信されているとする。データ20に含まれるユーザ情報の形式は、例えば、メタデータ、及び画像データがあり、それぞれに応じた特定手法により宛先のユーザが特定できる。メタデータであれば、会社名、ユーザID、又はメールアドレス等がユーザ情報として含まれている。ユーザ情報がメタデータである場合にはメタデータを参照して宛先のユーザを特定すればよい。ユーザ情報が画像データである場合にはOCRで読み取った文字列情報を照合して宛先のユーザを特定すればよい。
【0043】
画像形成装置30は、少なくともファクシミリ機能とプリント機能を有する装置である。具体的には、画像形成装置30は、情報処理装置10から転送されたデータ20を記録媒体としての用紙に印刷する機能、データ20を外部装置に転送する機能等を有する。また、画像形成装置30は、更に、スキャン機能及びコピー機能の中の少なくとも1つの機能を有してもよい。また、画像形成装置は、ユーザに紐付くアドレス帳を備えている。
【0044】
端末40は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、スマートフォン、及び携帯電話、等の端末である。端末40は、
図1では説明の便宜のため業務拠点全体3とネットワークNを介して接続するように表しているが、業務拠点全体3内の内部ネットワークを利用することが可能であり、外出先からVPN接続してもよい。ユーザは、端末40から、ユーザ管理サーバ2の勤怠管理サービスにログイン又はログアウトを行う。
【0045】
図2は、情報処理装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0046】
図2に示すように、情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16、及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0047】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12またはストレージ14には、データ提供処理プログラムが格納されている。
【0048】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0049】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0050】
表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0051】
通信インタフェース17は、端末40等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0052】
情報処理装置10は、センサ18として、GPS(Global Positioning System)センサ等の、現在位置の情報を取得する位置情報センサが備えられていてもよい。
【0053】
上記の情報記録プログラムを実行する際に、情報処理装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。情報処理装置10が実現する機能構成について説明する。
【0054】
図3は、情報処理装置10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0055】
図3に示すように、情報処理装置10は、機能構成として、通信部101と、情報記憶部102と、判別部103と、制御部104とを有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された情報記録プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0056】
通信部101は、ユーザに対するデータ20を受信する。また、通信部101は、ユーザ管理サーバ2との通信により、データ20の対象のユーザについての利用情報をユーザ管理サーバ2から取得する。また、通信部101は、必要に応じてデータ20を画像形成装置30に転送する。
【0057】
情報記憶部102には、管理情報、提供態様のルール、及びユーザ管理サーバ2から受信した利用情報が格納される。管理情報には、ユーザ識別情報、及びデバイス識別情報が含まれる。ユーザ識別情報は、例えば、ユーザを識別するための情報であり、例えばユーザID、氏名、及びメールアドレス等の情報である。デバイス識別情報は、画像形成装置30を識別するための情報である、例えば、画像形成装置30のデバイスID、名称、FAXID、メールアドレス、IPアドレス、MACアドレス等の情報である。提供態様のルールについては後述する。以下、利用情報の例を説明する。
【0058】
図4は、情報記憶部102に格納される利用情報の一例を示す図である。
図4における利用情報102Aは、テーブル形式で各項目として、ログイン履歴、及び接続元IPアドレスを有する。
図4に示す例の項目について説明する。ログイン履歴のログイン及びログアウトは、ユーザ管理サーバ2にアクセスしてログインした時刻、及びログアウトした時刻を示している。接続元IPアドレスは、業務拠点全体3内外からユーザ管理サーバ2にアクセスが可能な端末40から最終ログインした際の接続元のIPアドレスである。ログイン及びログアウトの時刻は「YYYY/MM/DD hh:mm:ss」の形式で記録される。ログイン履歴はログイン情報の一例であり、接続元IPアドレスはアクセス元情報の一例である。ログイン履歴について、ログインは業務拠点でユーザが業務を行う際、すなわち出勤時、社内システムの利用時、又は外出先からの帰社時等の際に記録され、ログアウトは業務拠点の外に出る場合、すなわち外出時、又は退勤時に記録される情報とする。よって、直近のログイン履歴がログインであれば通常は社内にいるとし、ログアウトであれば社外にいるとする。アクセス元情報によっては業務拠点にいるのか、又はVPNによるリモートアクセスであるかが判別できる。なお、ログイン情報、アクセス元情報は利用情報の一例であり、他のユーザの所在に関する情報を利用情報として用いてもよい。例えば、ユーザ管理サーバ2からユーザが業務拠点全体3のいずれの業務拠点にいるかを示す在拠点情報を、利用情報として取得するようにしてもよい。在拠点情報は、勤怠管理サービスへのログイン又はログアウトのためのアクセスに限らず、ユーザ管理サーバ2で提供されるサービス全般の利用のためのアクセスの際の接続元IPアドレスから、アクセスしている業務拠点を記録しておけばよい。
【0059】
判別部103は、データ20に含まれるユーザ情報から、宛先のユーザを特定する。次に、判別部103は、利用情報に基づいてユーザの所在状況を判別する。ここで、判別部103において、利用情報を用いたユーザの所在状況の判別の態様の一例について説明する。判別部103においては、例外を除いて、最終ログインがされた接続元IPアドレスが業務拠点内のIPアドレスである場合には、当該IPアドレスに対応した業務拠点の社内にユーザがいると判別する。また、最終ログインより後にログアウトされている場合、又は接続元IPアドレスがVPNのIPアドレスである場合には業務拠点外、すなわち社外にいると判別する。また、当日中のログインがない場合には、未出勤であるため、社外であると判別する。
図5は、あるユーザの行動テーブル(A)及び(B)について、時間帯別に所在状況を判別するケースの一例を示す図である。
【0060】
図5に示す行動テーブル(A)は、ユーザの行動を「午前(09:00~12:00)」、「昼(12:00~14:00)」、「午後(14:00~)」に区切って捉えた場合の例である。(A)の行動テーブルでは昼に外出し、外出先からユーザ管理サーバ2にログインした態様である。ユーザは、「午前」の時間帯において、主たる業務拠点3Aに出社し、デスクトップPCの端末40から管理サーバ2の勤怠管理サービスにログインする。「午前」の時間帯の時刻“09:00”にログインがあり、最終ログインの接続元IPアドレスが業務拠点3Aである。ログインがあり、かつ、最終ログインの接続元IPアドレスが主たる業務拠点3A内であることから、判別部103は、「午前」において主たる業務拠点3Aの社内にユーザがいると所在状況を判別する。次に「昼」の時間帯では、ユーザは、主たる業務拠点3Aから外出先(社外)に移動をするため、移動前にデスクトップPCの端末40からログアウトする。最終ログインの接続元IPアドレスが主たる業務拠点3Aであったとしても、「昼」の時間帯の時刻“12:00”にログアウトしているため、判別部103は、「昼」において社外にユーザがいると所在状況を判別する。「午後」の時間帯では、ユーザは、外出先(社外)に到着し、ノートPCの端末40からログインする。「午後」の時間帯の時刻“14:00”に新たにログインがあり、最終ログインの接続元IPアドレスがVPNである。新しいログインがあり、かつ、最終ログインの接続元IPアドレスがVPNであるため、判別部103は、「午後」において社外にユーザがいると所在状況を判別する。なお、ここでいう社外は、外出先、自宅、又はコワーキングスペースなどを問わない。
【0061】
行動テーブル(B)では、ユーザの行動を「日中(09:00~17:00)」、「夕方(17:00~20:00)」、「夜(20:00~」に区切って捉えた場合の例である。(B)の行動テーブルでは、午前にログインしたまま、夜に社外からVPNでログインした場合を示している。ユーザは、「午前」の時間帯において、従たる業務拠点3Bに出社し、デスクトップPCの端末40から管理サーバ2の勤怠管理サービスにログインする。「日中」の時間帯の時刻“09:00”にログインがあり、最終ログインの接続元IPアドレスが従たる業務拠点3Bである。ログインがあり、かつ、最終ログインの接続元IPアドレスが従たる業務拠点3B内であることから、判別部103は、「日中」において主たる業務拠点3Aの社内にユーザがいると所在状況を判別する。次に「夕方」の時間帯では、ユーザは、主たる業務拠点3AのデスクトップPCはログインしたままログアウトせずに、アカウントをロックした状態であるとする。この場合、接続元IPアドレスが従たる業務拠点3Bから最終ログインした時刻が一定時間を経過しているとして、判別部103は、「夕方」において社外にユーザがいると所在状況を判別する。このように、最終ログインの接続元IPアドレスが業務拠点内であったとしても、一定時間を経過している場合には、業務拠点内で業務を行っていない可能性が高いと推測して、社外にいると判別すればよい。「午後」の時間帯では、ユーザは、自宅でノートPCの端末40を起動し、ノートPCからログインする。「夜」の時間帯の時刻“20:00”に新たにログインがあり、最終ログインの接続元IPアドレスがVPNである。新しいログインがあり、かつ、最終ログインの接続元IPアドレスがVPNであるため、判別部103は、「夜」において社外にユーザがいると所在状況を判別する。
【0062】
以上が
図5の行動テーブル(A)及び(B)の説明である。上記のように利用情報のログイン情報(ログイン履歴のログイン又はログアウト)及びアクセス元情報(接続元IPアドレス)の組み合わせから所在状況を判別することができる。なお、単に社外に移動する場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、主たる業務拠点3Aから従たる業務拠点3Bへと業務拠点間を移動するケース、自宅から業務拠点に移動するケース等、様々なケースが想定されることはもちろんである。また、利用情報の組み合わせにおいて、在拠点情報を取得して、利用情報の全ての組み合わせが一致する場合に、社内又は社外であると判別するようにしもよい。これにより、より確実にユーザの所在状況を特定することができる。以上の判別部103の処理により、ユーザの所在状況について、いずれかの業務拠点内(社内)にいるのか、又は業務拠点外(社外)にいるのかを特定することができる。
【0063】
制御部104は、判別部103で判別した所在状況に応じたデータ20の提供態様を、提供態様のルールに従って決定し、決定した提供態様によるデータ20の処理を実行する。提供態様は、例えば、印刷、メール送信である。メール送信に代えてサーバへの格納を行ってもよい。印刷は、宛先のユーザがいる業務拠点の画像形成装置30によって印刷することである。メール送信は、宛先のユーザのユーザ識別情報のメールアドレスに対してデータ20を添付して送信することである。サーバへの格納は、情報処理装置10内のストレージ14にユーザがアクセス可能なデータ格納ディレクトリ(図示省略)を設け、当該データ格納ディレクトリにデータ20を格納することである。以下の説明では、印刷、又はメール送信する場合について説明する。なお、情報記憶部102に格納されている提供態様のルールにおいて、所在状況が業務拠点の社内、又は社外であるかに応じたルールを定めているとする。本実施形態の提供態様のルールでは、社内にいると判別されている場合には、印刷による提供と決定し、社外にいると判別されている場合には、メール送信による提供と決定するように定めているものとする。なお、提供態様のルールはこれに限定されるものではなく、例えば、所在状況の判別結果が社外であったとしても、勤怠管理サービスのスケジュール管理において帰社予定が予め定められている場合には、メール送信でなく印刷による提供と決定してもよい。
【0064】
図6は、ユーザそれぞれの所在状況及び提供態様の一例を模式的に示した図である。
図6に示す例では、3つのデータ20を受信し、宛先のユーザとして、ユーザA、ユーザB、及びユーザCを特定し、それぞれのユーザの所在状況を利用情報から特定した上で、所在状況に応じた提供態様を決定している。また、ユーザ管理サーバ2では、端末40(図示省略)を介してユーザA、ユーザB、及びユーザCの利用情報を収集し、情報処理装置10は利用情報を取得している。ユーザAについては、従たる業務拠点3Bの端末40からログインしており、所在状況が従たる業務拠点3Bの社内であると判別されている。よってユーザAについて、制御部104は、従たる業務拠点3Bの画像形成装置30へデータ20を転送して印刷する提供態様で処理する。ユーザBについては、自宅からVPN接続しており、所在状況が社外であると判別されている。また、ユーザCについては、当日中のログインがなく未出勤であり、所在状況が社外であると判別されている。よってユーザB及びユーザCについて、制御部104は、所在状況が社外である場合には、データ20をメール送信する提供態様で処理する。なお、ユーザが社内にいる場合であっても、ユーザがいる業務拠点に画像形成装置30がない場合も想定される。そのような場合には、業務拠点の印刷の可否(つまり画像形成装置30の有無)に応じて、印刷が可能である場合には印刷し、メール送信とするように、提供態様のルールを定めておけばよい。
【0065】
次に、情報処理装置10の作用について説明する。
【0066】
図7は、情報処理装置10によるデータ提供処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から情報記録プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、データ提供処理が行なわれる。
図7に示したデータ提供処理は、通信部101でデータ20を受信した場合に実施される。
【0067】
ステップS101では、CPU11は、受信したデータ20から宛先のユーザを特定する。宛先のユーザの特定手法は、上述した通りデータ20に含まれるユーザ情報の形式に応じた手法を用いればよい。
【0068】
ステップS102では、CPU11は、ユーザ管理サーバ2から、特定した宛先のユーザの利用情報を取得する。
【0069】
ステップS103では、CPU11は、ステップS102で取得した利用情報に基づいてユーザの所在状況を判別する。
【0070】
ステップS104では、CPU11は、ステップS103で判別した所在状況が社内であるか又は社外であるかを判定する。所在状況が社内である場合には、ステップS105へ移行する。所在状況が社外である場合には、ステップS107へ移行する。
【0071】
ステップS105では、CPU11は、提供態様のルールに従って、提供態様を印刷による提供と決定する。
【0072】
ステップS106では、CPU11は、所在状況に対応する業務拠点の画像形成装置30によってデータ20を印刷する。ユーザが所在する業務拠点が主たる業務拠点3Aの場合には、画像形成装置30Aに転送して印刷する。ユーザが所在する業務拠点が従たる業務拠点3Bである場合には、画像形成装置30Bに転送して印刷する。
【0073】
ステップS107では、CPU11は、提供態様のルールに従って、提供態様をメール送信による提供と決定する。
【0074】
ステップS108では、CPU11は、宛先のユーザのユーザ識別情報からメールアドレスを取得し、当該メールアドレス宛にデータ20を添付して送信する。
【0075】
このように本実施形態によれば、画一的な提供態様により提供する場合に比べ、ユーザの所在状況に応じてデータの提供態様を多様化できる。
【0076】
(変形例1)
続いて、本実施形態に係るデータ管理システム1の変形例を説明する。まず、1つ目の変形例として、ユーザがいる業務拠点に複数の画像形成装置30がある場合を説明する。
図8は、従たる業務拠点3Bに複数の画像形成装置30(30B1~30B3)がある場合のケースを模式的に示した図である。このような場合、いずれの画像形成装置30でデータ20を印刷すればよいかが問題となる。そこで、判別部103は、宛先のユーザが業務のために利用した画像形成装置30を特定する。
【0077】
図9に、1つ目の変形例におけるデータ提供処理のフローチャートを示す。
図9に示すように、ステップS105で印刷による提供を決定した後、ステップS201以降の処理を行う。
【0078】
ステップS201では、CPU11は、複数の画像形成装置30(30B1~30B3)の各々から機器利用情報を収集する。
【0079】
ステップS202では、CPU11は、収集した機器利用情報に基づいて、宛先のユーザが利用した直近の画像形成装置30を特定する。画像形成装置30の特定の例を説明する。
図10は、複数の画像形成装置30から取得した機器利用情報の一例を示す図である。宛先のユーザは、ユーザAであるとすると、ユーザAが利用した画像形成装置30は日時「2020/09/28 16:25:00」に利用した画像形成装置30B3が最後であることがわかる。よって、宛先のユーザAが利用した直近の画像形成装置30は画像形成装置30B3であると特定される。
【0080】
ステップS203では、CPU11は、ステップS202で特定した画像形成装置30によってデータ20を印刷する。
【0081】
2つ目の変形例として、業務拠点の区画が複数ある場合に、アクセス元情報に対応する区画を特定して、当該区画に設置されている画像形成装置30を特定する場合を説明する。
図11は、従たる業務拠点3Bに複数の区画があり、区画ごとに画像形成装置30が設置されているケースを模式的に示した図である。業務拠点の区画には、区画を特定可能なIPアドレスが割り当てられており、区画にある端末40から管理サーバ2にログインすると、区画が特定可能なIPアドレスが接続元IPアドレスとして利用情報に記録される。よって所在状況における接続元IPアドレスからユーザがいる区画を特定することができる。区画を特定すれば、当該区画に設置されている画像形成装置30が特定できる。また、上記のように画像形成装置30の機器利用情報を参照しなくてもよい。
【0082】
図12に、2つ目の変形例におけるデータ提供処理のフローチャートを示す。
図12に示すように、ステップS105で印刷による提供を決定した後、ステップS301以降の処理を行う。なお、ステップS103の判別において、所在状況に接続元IPアドレスを含めて保持しておく。
【0083】
ステップS301では、CPU11は、ステップS103で判別した所在状況における接続元IPアドレスから、ユーザがいる業務拠点及び区画を特定する。
【0084】
ステップS302では、CPU11は、ステップS301で特定した区画に設置されている画像形成装置30でデータ20を印刷する。
【0085】
3つ目の変形例として、保留する場合を説明する。制御部104は、提供態様をメール送信と決定した後、一定時間の間、データ20を保持して、メール送信を保留する。そして、一定期間の経過する前に、ユーザが社外から戻った場合には、印刷するように提供態様を切り替えて処理し、ユーザが社外から戻らずに一定期間の経過した場合は、メール送信する。
【0086】
図13に、3つ目の変形例におけるデータ提供処理のフローチャートを示す。
図13に示すように、ステップS107でメール送信による提供を決定した後、ステップS401以降の処理を行う。
【0087】
ステップS401では、CPU11は、一定時間が経過したか否かを判定する。一定時間が経過した場合には、ステップS108へ移行する。一定時間が経過していない場合にはステップS402へ移行する。
【0088】
ステップS402では、CPU11は、ユーザは社内に戻っているか否かを判定する。社内に戻っている場合には、ステップS106へ移行する。社内に戻っていない場合にはステップS401に戻って処理を繰り返す。これにより、一定時間が経過するまでデータ20の処理が保持される。
【0089】
その他の実施形態の態様について説明する。判別部103は、所在状況だけでなく、ログイン履歴をもとに、ユーザが勤務中又は非勤務中(退勤済み)であるかを示す勤務状況を判別するようにしてもよい。この場合、制御部104は、所在状況及び勤務状況に応じた提供態様によってデータ20を処理してよい。例えば、勤務中で業務拠点内にいない場合には、一定時間データ20を保持しておき、非勤務中であれば即座にメール送信するようにしてもよい。また、非勤務中の場合、当該ユーザの設定に応じて、当該ユーザと共に関連するユーザにデータ20をメール送信してもよい。
【0090】
なお、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行したデータ提供処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、データ提供処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0091】
また、上記実施形態では、データ提供処理のプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0092】
また上記実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 データ管理システム
2 ユーザ管理サーバ
3 業務拠点全体
3A 主たる業務拠点
3B 従たる業務拠点
10 情報処理装置
20 情報格納装置
30 画像形成装置
40 端末
101 通信部
102 情報記憶部
103 判別部
104 制御部