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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20250107BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G03G15/08 310
G03G15/08 366
G03G21/00 370
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021053195
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150550
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末浪 浩二
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-047340(JP,A)
【文献】特開2012-063548(JP,A)
【文献】特開2011-048117(JP,A)
【文献】特開2021-110815(JP,A)
【文献】特開2019-128441(JP,A)
【文献】特開2018-004985(JP,A)
【文献】特開2020-187260(JP,A)
【文献】特開2010-243766(JP,A)
【文献】特開2015-114507(JP,A)
【文献】特開2016-004199(JP,A)
【文献】特開2011-175095(JP,A)
【文献】特開2018-077339(JP,A)
【文献】特開平11-065251(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0060030(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/08
13/095
15/08
15/095
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列配置される第1搬送室および第2搬送室と、前記第1搬送室および前記第2搬送室を長手方向に沿って区画する第1仕切壁と、前記第1仕切壁の両端部側で前記第1搬送室および前記第2搬送室を連通させる連通部と、磁性を有するキャリアとトナーとを含む現像剤を補給する現像剤補給口と、前記第2搬送室の下流側端部に設けられ、余剰の前記現像剤が排出される現像剤排出部と、を有する現像容器と、
前記現像容器に回転可能に支持され、前記第2搬送室内の前記現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、
前記第1搬送室に配置された第1回転軸と、前記第1回転軸の外周面に形成される第1搬送羽根と、を有し、前記第1回転軸の正回転時に、前記第1搬送室内の前記現像剤を第1方向に攪拌、搬送する第1攪拌搬送部材と、
前記第2搬送室に配置された第2回転軸と、前記第2回転軸の外周面に形成される第2搬送羽根とを有し、前記第2回転軸の正回転時に、前記第2搬送室内の前記現像剤を前記第1方向と逆方向である第2方向に攪拌、搬送する第2攪拌搬送部材と、
前記第2方向に対し前記第2搬送羽根の下流側に形成され、前記第2回転軸の正回転時に、前記第2搬送羽根と同方向に現像剤を搬送して前記現像剤排出部から前記現像剤を排出する排出羽根と、
前記第2搬送羽根と前記排出羽根の間に形成され、前記第2回転軸の正回転時に、前記第2搬送室内の前記現像剤に前記第2搬送羽根および前記排出羽根と逆方向の搬送力を付与する逆搬送羽根と、
を有する現像装置と、
前記現像装置に補給される前記現像剤を貯留するトナー収容部と、
前記第2回転軸に接続され、前記第2回転軸を正逆両方向に回転させる駆動部と、
前記駆動部に接続され、前記第2回転軸を正回転させつつ、所定の間隔で、所定回転量逆回転させる制御部と、
静電潜像が形成される像担持体と、
を備え、
前記逆搬送羽根は、前記第2回転軸の正逆回転時における前記現像剤の搬送力が前記第2搬送羽根および前記排出羽根よりも大きく、
前記制御部は、非画像形成時に前記第1回転軸および前記第2回転軸を逆回転させることにより、前記現像剤排出部から前記逆搬送羽根の周囲に存在する前記現像剤を排出する現像剤排出モードを実行可能であり、
前記制御部は、前記第2搬送室内の前記逆搬送羽根の周囲に存在する前記現像剤の体積と略同一の体積の前記キャリアが前記トナー収容部から補給されたとき前記現像剤排出モードを実行する画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、所定の印字枚数ごとに前記現像剤排出モードを実行することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置内の湿度を検知可能な湿度検知センサーを備え、
前記制御部は、前記湿度検知センサーにより検知された湿度が所定値より大きいときに、前記現像剤排出モードの実行間隔を短くすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像容器内の前記現像剤のトナー濃度を検知可能なトナー濃度検知センサーを備え、
前記制御部は、前記トナー濃度検知センサーにより検知された前記トナー濃度が所定値よりも大きいときに、前記現像剤排出モードの実行間隔を短くすることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2回転軸の回転速度が所定値よりも遅い低速モードで画像形成を行うときに、前記現像剤排出モードの実行間隔を短くすることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記逆搬送羽根の直径は、前記第2搬送羽根の直径以上であり、前記逆搬送羽根のピッチは、前記第2搬送羽根のピッチよりも小さいことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置は、感光体ドラム等の像担持体上に形成した潜像を現像装置により現像し、トナー像として可視化する現像装置が設けられている。このような現像装置の一つとして、キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を用いる二成分現像方式を採用するものがある。この方式の現像装置は、内部に現像剤を収容する現像容器と、像担持体に現像剤を供給する現像ローラー(現像剤担持体)と、現像容器内の現像剤を搬送攪拌しながら現像ローラーへと供給する攪拌搬送部材と、を備えている。
【0003】
上記のような二成分現像方式の現像装置において、トナーは現像動作によって消費されていく一方、キャリアは消費されずに現像装置内に残る。すると、現像容器内のキャリアは攪拌され続け、次第に劣化する。その結果、トナーに対するキャリアの帯電付与性能が徐々に低下してしまう。
【0004】
そこで、キャリアを含む新たな現像剤を現像容器内に補給する一方で、余剰となった現像剤を排出するCASS(Carrier Auto Streaming System)を備え、劣化によるキャリアの帯電性性能の低下を抑制した現像装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1の現像装置は、新たな二成分現像剤を補給しつつ、現像容器内の現像剤の嵩が所定量を越えた場合に、キャリアを含む余剰な現像剤を排出する構成となっており、現像容器内のキャリアが入れ替わるものとなっている。
【0005】
特許文献1の現像装置の具体的な構成は、現像容器内の搬送スクリューに対して排出方向の下流側に、搬送スクリューとは逆巻き状の返しスクリューを設けるものである。返しスクリューは、現像剤の排出経路上に配置されている。現像剤の嵩が所定量以下である場合、現像剤は返しスクリューによって押し返され、現像容器外への排出を妨げられる。新たな現像剤が補給され、現像剤の嵩が増して所定量を越えると、余剰分の現像剤が、返しスクリューの最外周部分と現像容器の内壁面との隙間を通って、返しスクリューを乗り越えるように、現像容器から排出される。
【0006】
また、特許文献1の現像装置は、現像剤の排出経路中の、返しスクリュー周辺に円板部が設けられている(特許文献1の図5参照)。この円板部によって、現像剤の排出量を安定させつつ、現像剤の跳ね上げを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-11158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、現像剤は高湿環境になると嵩が減少し、低湿環境になると嵩が増加する傾向にある。このため、画像形成装置の使用環境等によって現像容器内の現像剤の排出量が不安定になり、現像剤の重量が意図せずに変動する可能性がある。また、現像剤は、湿度の変化に応じて流動性も変化しやすい。特に、特許文献1の画像形成装置は、現像容器内の現像剤の流動性が変化した際に、円板部付近の現像剤の流れが不安定になることがあり、現像容器内の現像剤の嵩が不安定になることがある。これにより、さらに現像剤の排出量が不安定になり、現像剤の重量に変動をきたすおそれがある。
【0009】
そして、現像容器内の現像剤の重量が小さくなり過ぎると現像ローラーへの現像剤の供給量が不足し、画像濃度の低下や濃度ムラが発生するおそれがある。反対に、現像容器内の現像剤の重量が大きくなり過ぎると補給されたトナーと現像剤との攪拌が不足し、トナーの帯電不良によりかぶり画像が発生するおそれがある。
【0010】
本発明は、湿度の変化により現像剤の流動性が変化した場合でも、現像容器内の現像剤の嵩の変化幅を小さくするとともに、現像容器中の重量の変化幅も小さくすることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、現像装置と、トナー収容部と、駆動部と、制御部と、像担持体と、を備える画像形成装置である。現像装置は、現像容器と、現像剤担持体と、第1攪拌搬送部材と、第2攪拌搬送部材と、排出羽根と、逆搬送羽根と、を有する。現像容器は、互いに並列配置される第1搬送室および第2搬送室と、第1搬送室および第2搬送室を長手方向に沿って区画する第1仕切壁と、第1仕切壁の両端部側で第1搬送室および第2搬送室を連通させる連通部と、磁性を有するキャリアとトナーとを含む現像剤を補給する現像剤補給口と、第2搬送室の下流側端部に設けられ、余剰の現像剤が排出される現像剤排出部と、を有する。現像剤担持体は、現像容器に回転可能に支持され、第2搬送室内の現像剤を表面に担持する。第1攪拌搬送部材は、第1搬送室に配置された第1回転軸と、第1回転軸の外周面に形成される第1搬送羽根と、を有し、第1回転軸の正回転時に、第1搬送室内の現像剤を第1方向に攪拌、搬送する。第2攪拌搬送部材は、第2搬送室に配置された第2回転軸と、第2回転軸の外周面に形成される第2搬送羽根とを有し、第2回転軸の正回転時に、第2搬送室内の現像剤を第1方向と逆方向である第2方向に攪拌、搬送する。排出羽根は、第2方向に対し第2搬送羽根の下流側に形成され、第2回転軸の正回転時に、第2搬送羽根と同方向に現像剤を搬送して現像剤排出部から現像剤を排出する。逆搬送羽根は、第2搬送羽根と排出羽根の間に形成され、第2回転軸の正回転時に、第2搬送室内の現像剤に第2搬送羽根および排出羽根と逆方向の搬送力を付与する。トナー収容部は、現像装置に補給される現像剤を貯留する。駆動部は、第2回転軸に接続され、第2回転軸を正逆両方向に回転させる。制御部は、駆動部に接続され、第2回転軸を正回転させつつ、所定の間隔で、所定回転量逆回転させる。像担持体は、静電潜像が形成される。逆搬送羽根は、第2回転軸の正逆回転時における現像剤の搬送力が第2搬送羽根および排出羽根よりも大きい。制御部は、非画像形成時に第1回転軸および第2回転軸を逆回転させることにより、現像剤排出部から逆搬送羽根の周囲に存在する現像剤を排出する現像剤排出モードを実行可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の構成によれば、第2回転軸の正逆回転時における逆搬送羽根の現像剤の搬送する搬送力が、第2搬送羽根および排出羽根よりも大きい。そして、制御部は、非画像形成時に第1回転軸および第2回転軸を逆回転させることで現像剤排出モードを実行可能となっている。このため、制御部によって、所定の間隔で定期的に現像剤排出モードを実行することで、使用環境下の湿度に関わらず、一定量の現像剤の排出が可能となり、現像容器内の現像剤の変化幅、および重量の変化幅を小さくすることができる。
【0013】
従って、湿度の変化により現像剤の流動性が変化した場合でも現像容器内の現像剤の嵩の変化幅を小さくするとともに、現像容器中の重量の変化幅も小さくすることができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】現像装置3a~3dが搭載された本発明の画像形成装置100の内部構造を示す断面図
図2】画像形成装置100に搭載される現像装置3aの側面断面図
図3】現像装置3aの攪拌部を示す平面断面図
図4図3における現像剤排出部20h周辺の部分拡大図
図5】画像形成装置100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図
図6】本実施形態の画像形成装置100における現像装置3a~3dの駆動制御例を示すフローチャート
図7】実施例における現像剤の重量の測定結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、現像装置3a~3dが搭載された本発明の画像形成装置100の内部構造を示す断面図である。画像形成装置100(ここではカラープリンター)内には4つの画像形成部Pa、Pb、PcおよびPdが、搬送方向上流側(図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像および転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの画像を順次形成する。
【0016】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム(像担持体)1a、1b、1cおよび1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳される。その後、中間転写ベルト8上に一次転写されたトナー像は、二次転写ローラー9によって記録媒体の一例としての転写紙S上に二次転写される。さらに、トナー像が二次転写された転写紙Sは、定着部13においてトナー像が定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a~1dを図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0017】
トナー像が二次転写される転写紙Sは、画像形成装置100の本体下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0018】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a~1dの周囲および下方には、感光体ドラム1a~1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2cおよび2dと、各感光体ドラム1a~1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a~1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3cおよび3dと、感光体ドラム1a~1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング装置7a、7b、7cおよび7dが設けられている。
【0019】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a~2dによって感光体ドラム1a~1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a~1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a~3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはコンテナ4a~4d(トナー収容部)から各現像装置3a~3dにトナーおよびキャリアを含む現像剤が補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dにより感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0020】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、一次転写後に感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナー等がクリーニング装置7a~7dにより除去される。
【0021】
中間転写ベルト8は、上流側の従動ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、ベルト駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Sがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙S上に二次転写される。トナー像が二次転写された転写紙Sは定着部13へと搬送される。
【0022】
定着部13に搬送された転写紙Sは、定着ローラー対13aにより加熱および加圧されてトナー像が転写紙Sの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、両面搬送路18に送られて両面に画像が形成された後に)、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0023】
図2は、画像形成装置100に搭載される現像装置3aの側面断面図である。なお、以下の説明では図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aを例示するが、画像形成部Pb~Pdに配置される現像装置3b~3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0024】
図2に示すように、現像装置3aは、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は第1仕切壁20aによって攪拌搬送室21、供給搬送室22に区画されている。攪拌搬送室21および供給搬送室22には、コンテナ4a(図1参照)から供給されるトナーおよびキャリアを現像容器20内の現像剤と混合して攪拌し、トナーを帯電させるための攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26がそれぞれ回転可能に配設されている。
【0025】
攪拌搬送室21内に配設される攪拌搬送スクリュー25は、回転軸25a(第1回転軸)と、回転軸25aに一体に設けられ、回転軸25aの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1搬送羽根25bとを有する。回転軸25aは現像容器20に回転可能に軸支されている。攪拌搬送スクリュー25が回転することによって、攪拌搬送室21内の現像剤を攪拌しながら所定方向(現像ローラー31の軸方向の一方側)に搬送する。
【0026】
供給搬送室22内に配設される供給搬送スクリュー26は、回転軸26a(第2回転軸)と、回転軸26aに一体に設けられ、第1搬送羽根25bと同方向を向く(巻き方向が同一の)羽根で螺旋状に形成される第2搬送羽根26bとを有する。回転軸26aは、攪拌搬送スクリュー25の回転軸25aと平行に配置され、現像容器20に回転可能に軸支されている。供給搬送スクリュー26が回転することによって、供給搬送室22内の現像剤を攪拌しながら攪拌搬送スクリュー25と反対方向に搬送し、現像ローラー31に供給する。
【0027】
攪拌搬送スクリュー25および供給搬送スクリュー26によって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、第1仕切壁20aの両端部に形成された上流側連通部20eおよび下流側連通部20f(図3参照)を介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、上流側連通部20e、下流側連通部20fによって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
【0028】
現像容器20は図2の右斜め上方(感光体ドラム1aに近づく方向)に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー26の右斜め上方(感光体ドラム1aに近づく方向)には現像ローラー31が配置されている。そして、現像ローラー31の外周面の一部が現像容器20の開口部20bから露出し、感光体ドラム1aに対向している。現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する。現像ローラー31には、直流電圧に交流電圧を重畳した現像電圧が印加される。
【0029】
現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された複数の磁極を有するマグネット(図示せず)とで構成されている。なお、ここでは表面がローレット加工された現像スリーブを用いているが、表面に多数の凹形状(ディンプル)を形成したものや、表面がブラスト加工された現像スリーブを用いることもできる。
【0030】
また、現像容器20には規制ブレード27が現像ローラー31の長手方向(図2の紙面と垂直方向)に沿って取り付けられている。規制ブレード27の先端部と現像ローラー31の表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0031】
また、現像容器20には、内部の現像剤のトナーの濃度を検知可能なトナー濃度検知センサー28が設けられている(図3参照)。トナー濃度検知センサー28は、後述する制御部90に接続されており、検知結果を制御部90(図5参照)に送信する。
【0032】
次に、現像装置3aの攪拌部の構成について詳細に説明する。図3は現像装置3aの攪拌部を示す平面断面図(図2のAA′矢視断面図)であり、図4は、図3における現像剤排出部20h周辺の部分拡大図である。
【0033】
図3図4に示すように、現像容器20には、攪拌搬送室21、供給搬送室22、第1仕切壁20a、第2仕切壁20c、上流側連通部20e、および下流側連通部20fが形成され、その他に、現像剤補給口20g、現像剤排出部20h、上流側壁部20i、および下流側壁部20jが形成されている。なお、攪拌搬送室21において、図3の左側を上流側、図3の右側を下流側とし、また、供給搬送室22において、図3の右側を上流側、図3の左側を下流側とする。従って、連通部および壁部は、供給搬送室22を基準として上流側および下流側と呼称している。
【0034】
第1仕切壁20aは、現像容器20の長手方向に延びて攪拌搬送室21と供給搬送室22を並列させるように区画している。第2仕切壁20cは、下流側壁部20jの内壁面から突出し、逆搬送羽根52を構成する螺旋羽根の外周面に対向するように第1仕切壁20aの延長線上に形成されている。
【0035】
第1仕切壁20aの長手方向の右側端部は、上流側壁部20iの内壁部とともに上流側連通部20eを形成する。一方、第1仕切壁20aの長手方向の左側端部は、第2仕切壁20cとともに下流側連通部20fを形成する。
【0036】
現像剤補給口20gは、現像容器20の上部に設けられたコンテナ4aから新たなトナーおよびキャリアを現像容器20内に補給するための開口であり、攪拌搬送室21の上流側(図3の左側)に配置される。
【0037】
現像剤排出部20hは、現像剤の補給によって攪拌搬送室21および供給搬送室22内で余剰となった現像剤を排出する。現像剤排出部20hは、供給搬送室22の下流側端部に供給搬送室22の長手方向に連続して設けられる。
【0038】
攪拌搬送スクリュー25は、攪拌搬送室21の長手方向の両端部側まで延び、第1搬送羽根25bは上流側連通部20eおよび下流側連通部20fにも対向して設けられている。回転軸25aは現像容器20の上流側壁部20iと下流側壁部20jに回転可能に軸支されている。
【0039】
供給搬送スクリュー26は現像ローラー31の軸方向長さ以上の長さを有し、更に、上流側連通部20eに対向する位置まで延びている。回転軸26aは、攪拌搬送スクリュー25の回転軸25aと平行に配置され、現像容器20の上流側壁部20iと現像剤排出部20hに回転可能に軸支されている。供給搬送スクリュー26の回転軸26aには、第2搬送羽根26bとともに、逆搬送羽根52および排出羽根53が一体に成型されている。
【0040】
逆搬送羽根52は、供給搬送室22内で下流側に搬送された現像剤を塞き止め、且つ、所定量以上になった現像剤を現像剤排出部20hに搬送する。逆搬送羽根52は、回転軸26aに設けられる螺旋羽根からなり、第2搬送羽根26bと逆方向を向く(逆巻きの)螺旋羽根で形成されている。逆搬送羽根52の外径は、第2搬送羽根26bの外径以上に設定され、逆搬送羽根52のピッチは、第2搬送羽根26bのピッチより小さく設定されている。逆搬送羽根52は、周辺の現像剤を、第2搬送羽根26bとは反対方向に搬送する。
【0041】
現像剤排出部20h内の回転軸26aには排出羽根53が設けられている。排出羽根53は、第2搬送羽根26bと同じ方向を向く螺旋羽根からなり、第2搬送羽根26bより螺旋羽根のピッチおよび外径が小さくなっている。
【0042】
逆搬送羽根52が現像剤を搬送する搬送力は、第2搬送羽根26b、および排出羽根53が現像剤を搬送する搬送力よりも大きい。
【0043】
図3に示すように、現像容器20の外側には、回転軸25a、26a、および現像ローラー31を、正逆両方向に回転可能な駆動部46が設けられている。駆動部46は、画像形成装置100の任意の箇所に設けられた現像駆動モーターMと、現像駆動モーターMの回転駆動力を回転軸25a、26aに伝達する歯車61~64とを含んで構成される。歯車61は回転軸25aの一端に固着され、現像駆動モーターMに接続されている。歯車62は、回転軸25aの他端(歯車61の固着された端部と反対側の端部)に固着されている。歯車64は回転軸26aに固着され、歯車63は、現像容器20に回転可能に保持されて、歯車62、64に噛合している。現像駆動モーターMは、後述する制御部90に接続されている(図5参照)。
【0044】
現像駆動モーターMによって歯車61が回転すると、攪拌搬送スクリュー25が回転する。攪拌搬送室21内の現像剤は第1搬送羽根25bによって主搬送方向(第1方向、矢印P方向)に搬送され、その後、上流側連通部20eを通って供給搬送室22内に搬送される。更に、歯車62~64を介して供給搬送スクリュー26が正回転すると、供給搬送室22内の現像剤が第2搬送羽根26bによって主搬送方向(第2方向、矢印Q方向)に搬送される。
【0045】
現像によってトナーが消費されると、現像剤補給モーター41(図5参照)を駆動し、トナー及び磁性キャリアを含む現像剤がコンテナ4aから現像剤補給口22gを介して現像容器20内に補給される。現像剤は現像容器20内のトナー消費量に応じて補給されるが、トナー消費量は印刷する画像の印字率や用紙サイズによって変動するため、現像剤の補給量や補給タイミングも印字率や用紙サイズによって変動する。なお、現像装置3a内の現像剤は、キャリアに対して10重量%程度のトナーを含有しており、キャリアの周りにトナーが付着した状態である。その一方、補給現像剤(現像剤補給口22gから補給される現像剤)は、約3重量%のキャリアを含有しており、トナー中にキャリアが点在している状態である。
【0046】
現像剤が補給されると、現像時と同様に、攪拌搬送スクリュー25によって、現像剤が攪拌搬送室21内を主搬送方向(矢印P方向)に搬送され、その後、上流側連通部20eを通って供給搬送室22内に搬送される。更に、供給搬送スクリュー26によって、現像剤は供給搬送室22内の現像剤を主搬送方向(矢印Q方向)に搬送される。上述の通り、逆搬送羽根52は、第2搬送羽根26bと逆巻きの螺旋羽根である。このため、回転軸26aの回転に伴って逆搬送羽根52が回転すると、逆搬送羽根52によって、主搬送方向とは逆方向(逆搬送方向、矢印Q´方向)の搬送力が現像剤に付与される。すると、逆搬送羽根52の周辺の現像剤は、主搬送方向と反対方向に搬送される。すなわち、供給搬送スクリュー26の正回転時には、現像剤はその嵩を大きく変動させながら攪拌搬送室21から上流側連通部20eを通って供給搬送室22内に搬送され、逆搬送羽根52によって押し返されながら、下流側連通部20fを通って攪拌搬送室21に搬送される。
【0047】
このように現像剤は、攪拌搬送室21から、上流側連通部20e、供給搬送室22、および下流側連通部20fと循環しながら攪拌されて、攪拌された現像剤が現像ローラー31に供給される。
【0048】
図4に示すように、供給搬送スクリュー26は、第2搬送羽根26bと逆搬送羽根52との間に円板55が配置されている。円板55は、第2搬送羽根26b、逆搬送羽根52、および排出羽根53と共に合成樹脂によって回転軸26aと一体に成型される。
【0049】
第2搬送羽根26bによって主搬送方向(矢印Q方向)に搬送される現像剤の搬送力が円板55により塞き止められて一旦弱められる。そして、逆搬送羽根52により現像剤に逆方向の搬送力が付与されて現像剤を主搬送方向と逆方向に押し戻す。即ち、円板55は供給搬送室22から逆搬送羽根52に向かう現像剤の搬送力(圧力)を低減する役割を果たしている。その結果、逆搬送羽根52および下流側連通部20fへ移動する現像剤面の波立ち(変動)が抑制され、現像剤の搬送速度に係わらず逆搬送羽根52付近にほぼ一定量の現像剤を滞留させることができる。
【0050】
本発明の画像形成装置100では、搬送される転写紙Sの厚みや種類、出力画像の種類に応じてプロセス速度が二段階に切り換えられる。即ち、転写紙Sが普通紙である場合や文字原稿を出力する場合は通常の駆動速度(以下、全速モードという)で画像形成処理が行われ、転写紙Sが厚紙である場合や写真画像を出力する場合は通常よりも低速(以下、減速モードという)で画像形成処理が行われる。これにより、転写紙Sとして厚紙を用いる場合や写真画像を出力する場合に十分な定着時間を確保して画質を向上させることができる。
【0051】
次に、供給搬送スクリュー26が逆回転する場合(現像剤排出モード)について説明する。駆動部46によって供給搬送スクリュー26が逆回転すると、第2搬送羽根26bおよび排出羽根53は、周囲の現像剤を逆搬送方向(矢印Q´方向)に搬送する。ここで、上述の通り、逆搬送羽根52が現像剤を搬送する搬送力は、第2搬送羽根26b、および排出羽根53が現像剤を搬送する搬送力よりも大きい。このため、逆搬送羽根52が、下流側連通部20fから逆搬送羽根52にかけての領域周辺にある現像剤を、第2搬送羽根26bおよび排出羽根53の逆搬送方向の搬送力に抗して、主搬送方向(矢印Q方向)に搬送し、図4の左側に送られて図示しない現像剤排出口より現像容器20の外部に排出する。
【0052】
次に、画像形成装置100の制御経路について説明する。図5は、画像形成装置100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
【0053】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き可能な記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部80からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、画像形成装置100の本体内部の任意の場所に配置可能である。
【0054】
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。カウンター95は、印字枚数を積算してカウントする。
【0055】
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa~Pd、露光装置5、一次転写ローラー6a~6d、中間転写ベルト8、二次転写ローラー9、現像駆動モーターM、現像剤補給モーター41、トナー濃度検知センサー28、電圧制御回路42、操作部80等が挙げられる。
【0056】
画像入力部60は、画像形成装置100にパソコン等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部60より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
【0057】
電圧制御回路42は、帯電電圧電源43、現像電圧電源44、転写電圧電源45と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させる。これらの各電源は、電圧制御回路42からの制御信号によって、帯電電圧電源43は帯電装置2a~2dに、現像電圧電源44は現像装置3a~3d内の現像ローラー31に、転写電圧電源45は一次転写ローラー6a~6dおよび二次転写ローラー9に、それぞれ所定の電圧を印加する。
【0058】
操作部80には、液晶表示部81、送受信部82が設けられている。液晶表示部81は、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。画像形成装置100の各種設定はパソコンのプリンタードライバーから行われる。送受信部82は、電話回線やインターネット回線を用いて外部との通信を行う。
【0059】
現像駆動モーターMは、上述の通り制御部90に接続されており、制御部90によって回転数、回転速度、回転方向等を調整可能なよう制御される。ROM92には、上述した各種動作モード(現像剤排出モード、全速モード、減速モード等)における現像駆動モーターMの回転数等が記録されており、制御部90によって各種動作モードの切り替えが行われる。
【0060】
次に、本実施形態の画像形成装置100における現像装置3a~3dの駆動制御例を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0061】
制御部90は、パソコン等の上位機器から画像形成コマンドが入力されたか否かを判定する(ステップS1)。画像形成コマンドが入力されない場合は(ステップS1でNo)そのまま画像形成コマンドの待機状態を継続する。画像形成コマンドが入力されると(ステップS1でYes)、その際のトナー消費量に応じて、現像容器20内に現像剤を補給する(ステップS2)。このとき、制御部90は、現像容器20内に補給されたキャリアの量(以下、キャリア補給量Aと称する)を算出する(ステップS3)。具体的には、補給された現像剤の量にキャリアの濃度割合を積算してキャリア補給量Aを算出する。算出されたキャリア補給量Aは一時記憶部94に記録される。
【0062】
次に、制御部90は画像形成を終了したか否かを判定する(ステップS4)。画像形成中である場合は(ステップS4でNo)、ステップS1に戻り、画像形成を継続するとともに、現像剤の補給およびキャリア補給量の算出を継続する。ステップS4において、画像形成が終了している場合は(ステップS4でYes)、ステップ3で算出されたキャリア補給量Aが、所定値A1に達したか否か判定する(ステップS5)。この所定値A1は、標準状態での逆搬送羽根52の周囲に存在する現像剤の量であって、ROM92にあらかじめ記録された値である。
【0063】
ステップS5においてキャリア補給量Aが所定値A1を超えている場合(ステップS5でYes)、現像剤排出モードを実行する(ステップS6)。具体的には、供給搬送スクリュー26を、所定量の回転量だけ、逆回転させる。ROM92には、供給搬送スクリュー26の逆回転時の回転数ごとの現像剤の排出量が記録されている。制御部90は、この記録に基づいて、現像剤の排出量が上記のキャリア補給量Aと等しくなるように供給搬送スクリュー26の逆回転の回転数を決定する。次に、ステップS3で記録したキャリア補給量Aの値をリセットする(ステップS7)。
【0064】
ステップS5においてキャリア補給量Aが所定値A1を超えていない場合は(ステップS5でNo)、ステップS1に戻り、画像形成コマンドの待機状態を継続する。
【0065】
上述の通り、回転軸26aの正逆回転時における逆搬送羽根52の現像剤の搬送する搬送力が、第2搬送羽根26bおよび排出羽根よりも大きい。そして、制御部90は、非画像形成時に回転軸25aおよび回転軸26aを逆回転させることで現像剤排出モードを実行可能となっている。このため、制御部90によって、所定の間隔で定期的に現像剤排出モードを実行することで、使用環境下の湿度に関わらず、一定量の現像剤の排出が可能となり、現像容器20内の現像剤の変化幅、および重量の変化幅を小さくすることができる。
【0066】
従って、湿度の変化により現像剤の流動性が変化した場合でも、現像容器20内の現像剤の嵩の変化幅を小さくするとともに、現像容器20中の重量の変化幅も小さくすることができる画像形成装置100を提供することができる。
【0067】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では図2に示したような現像ローラー31を備えた現像装置3a~3dを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、現像剤を担持する磁気ローラーを設け、磁気ローラーから現像ローラー31にトナーのみを移動させてトナー層を形成し、現像ローラー31上のトナー層を用いて静電潜像を現像する現像装置等、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる種々の現像装置に適用可能である。
【0068】
また、制御部90は、上述のキャリア供給量の所定値A1(現像剤排出モードを実行する時のキャリア供給量の閾値)について、トナー濃度検知センサー28の検知結果に応じて値を変更するようにできる。この場合、現像容器20内のトナー濃度が所定値よりも大きいときに、所定値A1を小さくする。すると、現像容器20内のトナー濃度が高くなって現像剤の流動性が変化したときに、現像剤排出モードが実行される間隔が短くなる。これにより、現像剤の流動性が変化しても、現像剤の嵩、および重量が変化しにくく安定的なものとなる。
【0069】
また、制御部90は、供給搬送スクリュー26の回転速度が所定値よりも遅い低速モードで画像形成を実行する場合には、上述のキャリア供給量の所定値A1を小さく設定することができる。
【0070】
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンターに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンター、カラー複写機、ファクシミリ等、二成分現像方式を用いた種々の画像形成装置に適用可能である。以下、実施例により本発明の効果について更に詳細に説明する。
【実施例
【0071】
図1に示すような画像形成装置100において、使用環境中の湿度が変化した場合の、現像装置3a~3d内の現像剤の変化について調査した。なお、試験は感光体ドラム1aおよび現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて行った。
【0072】
試験方法としては、図1に示すような画像形成装置100を使用し、所定の画像形成を20000枚の転写紙Sに印字し、印字枚数が1000枚に達するごとの、現像容器20内の現像剤の重量を測定した。上述した現像剤排出モードを実行するものを本発明とし、現像剤排出モードを実行しないものを比較例とした(本発明、および比較例の現像装置の具体的な構成は後述する)。
【0073】
本発明および比較例の画像形成装置100に用いる現像装置3aの攪拌搬送スクリュー25、供給搬送スクリュー26の第1搬送羽根25b、第2搬送羽根26bは、外径が18mmの螺旋羽根であり、第1仕切壁20aの高さは15mmである。また、本発明および比較例の第2仕切壁20cの高さは8mm、排出羽根53は、外径8mmの螺旋羽根である。また、本発明および比較例の排出羽根53と現像剤排出部22hの上面との間隔は1.5mmである。
【0074】
本発明の画像形成装置100に用いる現像装置3aの逆搬送羽根52の搬送力は、比較例の規制部の搬送力よりも強く設定されている。具体的には、逆搬送羽根52は、外径18mmの3枚の逆巻きの螺旋羽根で構成されている。一方、比較例の画像形成装置100に用いる現像装置3aの逆搬送羽根52は、外径16mmの3枚の逆巻きの螺旋羽根で構成されている。また、本発明の第2搬送羽根26b、逆搬送羽根52と供給搬送室22の上面との間隔(クリアランス)は1.5mmである。一方、比較例の規制部と供給搬送室22の上面との間隔(クリアランス)は、2.5mmである。
【0075】
また、本発明、および比較例の画像形成装置100に用いる現像装置3aの供給搬送スクリュー26の第2搬送羽根26bと逆搬送羽根52との間に、直径18mmの円板55を形成している。円板55は、下流側連通部20fの下流側端部から供給搬送室22内の現像剤搬送方向の上流側(図4の右側)に2mmの位置となるように配置した。
【0076】
本発明、および比較例の画像形成装置100は、印字枚数1000枚ごとにキャリアが3g供給されるように、現像剤をコンテナ4aから補給する。比較例の画像形成装置100は、現像剤の嵩が所定量を超えた場合に、逆搬送羽根52を乗り越えた分の現像剤が、余剰の現像剤として現像容器20から排出される仕組みとなっている。対して、本発明の画像形成装置100の現像装置3a~3dは、上述の通り、キャリアの供給量が逆搬送羽根52周辺の現像剤の量と略同一になったときに現像剤排出モードを実行し、キャリアの供給量と同程度の現像剤を排出する仕組みとなっている。
【0077】
トナー濃度8%、キャリア比率10%の現像剤を使用し、現像剤量の初期値を300gとして、試験を行う。また、絶対湿度の初期値は5g/mとし、順次10g/m、20g/m、2g/m、と変化させた。
【0078】
現像剤量の具体的な測定方法は、本発明および比較例の画像形成装置100において、20000枚の転写紙Sに対して印字動作を行い、印字枚数が1000枚に達するごとに、現像装置3aを取り外して現像容器20の重量を測定するものである。測定された現像容器20の重量から現像剤を除く空の現像容器20の重量を差し引いて現像剤重量(安定重量)を算出した。また、印字枚数が0~4000枚のときには絶対湿度を5g/mに、印字枚数が4001~8000枚のときには絶対湿度を10g/mに、印字枚数が8001~12000枚のときには絶対湿度を20g/mに、印字枚数が12001~16000枚のときには絶対湿度を5g/mに、印字枚数が16001~20000枚のときには絶対湿度を2g/mに設定した。
【0079】
その測定結果を図7のグラフに示す。図7のグラフにおいて、本発明は、〇のデータ系列、比較例は×のデータ系列とした。また、基準として、初期値である300gのラインを△のデータ系列で示している。また、この結果から、絶対湿度が2g/m、5g/m、10g/m、20g/mのときの、比較例、および本発明の画像形成装置100の現像容器20の重量の平均値を、表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
まず、絶対湿度が初期状態と同じ5g/mの時(印字枚数が0~4000枚の時、および12001枚~16000枚の時)の現像容器内の現像剤の重量(以下、単に現像剤の重量と称する)について説明する。図7のグラフに示すように、印字枚数が0~4000枚の時に、比較例の現像剤の重量は、最大で303.4gまで増加している。対して、本発明の現像剤の重量は、大きな変化はなく、最大値が300.9gである。また、印字枚数が12001枚~16000枚の時に、比較例の現像剤の重量の最大値は、313.6gである。対して、本発明の現像剤の重量の最大値は、301.2gであり、比較例に比べて初期状態に対する増加量が少なくなっている。
【0082】
また、表1に示すように、絶対湿度が5g/mの時における比較例の現像剤の重量平均値は306.6gであり、初期状態の現像剤の重量(300g)に比べて6.6g増加している。一方、本発明の現像剤の重量平均値は300.8gであり、初期状態の現像剤に比べて僅かに増加しているものの、増加量は0.8gであり比較例よりも少ない。このように、本発明の現像装置3a~3dは、比較例の現像装置に比べて、現像剤の重量の増加を抑制することができている。
【0083】
次に、絶対湿度が初期状態から増加した10g/mの時(印字枚数が4001~8000枚の時)の現像剤の重量について説明する。図7のグラフに示すように、印字枚数が4001枚~8000枚の時に、比較例の現像剤の重量は、増加し続け、最大312.9gまで増加している。対して、本発明の現像剤の重量は、大きな変化はなく、最大値が301.8gである。
【0084】
また、表1に示すように、絶対湿度10g/mの時における比較例の現像剤の重量平均値は309.2gであり、初期状態の現像剤の重量(300g)に比べて9.2g増加している。一方、本発明の現像剤の重量平均値は301.5gであり、初期状態の現像剤に比べて僅かに増加しているものの、増加量は1.5gと比較例よりも増加量が少なくなっている。このように、絶対湿度の増加に伴って、比較例の現像剤の重量は増加するものの、本発明の現像装置3a~3dは、比較例の現像装置に比べて、現像剤の増加量を抑制することができている。
【0085】
次に、絶対湿度が初期状態からさらに増加した20g/mの時(印字枚数が8001~12000枚の時)の現像剤の重量について説明する。図7のグラフに示すように、印字枚数が8001枚~12000枚の時に、比較例の現像剤の重量は、増加し続け、最大323.4gまで増加する。対して、本発明の現像剤の重量は、比較例ほど大きな変化はなく、最大値が304.3gである。
【0086】
また、表1に示すように、絶対湿度20g/mの時における比較例の現像剤の重量平均値は319.6gであり、初期状態の現像剤の重量(300g)に比べて19.6g増加している。一方、本発明の現像剤の重量平均値は303.6gであり、初期状態の現像剤に比べて増加しているものの、増加量は3.6gと比較例よりも増加量が少なくなっている。このように、絶対湿度の増加に伴って、現像剤の重量は増加するものの、本発明の画像形成装置100は、比較例の画像形成装置100に比べて、現像装置3a~3d内の現像剤の増加量を抑制することができている。
【0087】
次に、絶対湿度が初期状態から低下した2g/mの時(印字枚数が16001~20000枚の時)の現像剤の重量について説明する。図7のグラフに示すように、印字枚数が16001~20000枚の時に、比較例の現像剤の重量は、急激に低下し、最小で292.8gまで低下している。対して本発明の現像剤の重量は、僅かに低下するものの、最小値は298.6gである。
【0088】
また、表1に示すように、絶対湿度2g/mの時における比較例の現像剤の重量平均値は296.9gであり、初期状態の現像剤の重量(300g)に比べて3.1g低下している。一方、本発明の現像剤の重量平均値は299gであり、初期状態の現像剤に比べて低下しているものの、低下量は1.0gと比較例よりも増加量が少なくなっている。このように、絶対湿度の低下に伴って、現像剤の重量は低下するものの、本発明の画像形成装置100は、比較例の画像形成装置100に比べて、現像装置3a~3d内の現像剤の重量の低下量を抑制することができている。
【0089】
以上より、本発明の画像形成装置100は、使用環境下の湿度が変化する場合であっても、比較例の画像形成装置100に比べて、より現像剤の補給量と排出量との差が小さなものとなっており、現像剤の重量を安定的に維持できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤の補給を行うとともに余剰現像剤を排出する現像装置を備えた画像形成装置に利用可能である。本発明の利用により、現像剤の流動性が変化した場合でも現像容器内の現像剤の嵩および重量の変化幅を小さくできる画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0091】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
3a~3d 現像装置
4a~4d コンテナ(トナー収容部)
20 現像容器
20a 第1仕切壁
20e 上流側連通部(連通部)
20f 下流側連通部(連通部)
20g 現像剤補給口
20h 現像剤排出部
20i 上流側壁部
20j 下流側壁部
21 攪拌搬送室
22 供給搬送室
22g 現像剤補給口
22h 現像剤排出部
25 攪拌搬送スクリュー
25a 回転軸(第1回転軸)
25b 第1搬送羽根
26 供給搬送スクリュー
26a 回転軸(第2回転軸)
26b 第2搬送羽根
28 トナー濃度検知センサー
31 現像ローラー
46 駆動部
52 逆搬送羽根
53 排出羽根
90 制御部
100 画像形成装置
Pa~Pd 画像形成部
S 転写紙(シート)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7