(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】コイルバネとピンの保持構造およびそれを備えたインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
B41J2/01 307
(21)【出願番号】P 2021073044
(22)【出願日】2021-04-23
【審査請求日】2024-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 菊之助
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-178736(JP,A)
【文献】特開2012-193804(JP,A)
【文献】特開2001-310729(JP,A)
【文献】特開2006-130830(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0281045(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルバネと、前記コイルバネに挿入されるピンとを挿入状態で保持するコイルバネとピンの保持構造であって、
前記コイルバネは、
前記ピンが挿入される本体部と、
前記ピンの挿入方向の上流側である前記本体部の一端部に一巻き分形成され、前記ピンの先端部を前記本体部に案内するピン挿入部と、
を有し、
前記ピン挿入部は、
周方向の一部が前記本体部よりも径方向外側に突出するガイド部と、
前記ガイド部に対し径方向に対向する位置に形成されるピン固定部と、
を有し、
前記本体部は、前記ピン挿入部に隣接する一巻き目に、
前記本体部の中心軸に対して前記ピン固定部と反対側の第1部分と、
前記ピン固定部と同一側の第2部分と、
を有し、
前記ピン固定部は、前記第2部分よりも径方向内側に形成されており、
外力を加えない状態での前記ピン固定部と前記第1部分との径方向の間隔は、前記ピンの外径よりも小さいことを特徴とするコイルバネとピンの保持構造。
【請求項2】
前記ピン固定部は、前記ピン挿入部の端部を略垂直に折り曲げて直線状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のコイルバネとピンの保持構造。
【請求項3】
前記ガイド部と前記ピン固定部との径方向の間隔は、前記ピンの外径と略同一であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコイルバネとピンの保持構造。
【請求項4】
インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを保持するユニットフレームと、
前記記録ヘッドを構成するヘッド側フレームを前記ユニットフレームに固定する前記ピンとしてのヘッド固定ピンと、
前記ヘッド固定ピンが挿入される前記コイルバネとしてのヘッド固定バネと、
を備え、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の保持構造を用いて前記ヘッド固定ピンと前記ヘッド固定バネとを挿入状態で保持するインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等の電子機器に用いられるコイルバネとピンの保持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の電子機器では、固定ピン(ビス)を用いて複数の部材を固定する際に、ピンにコイルバネを外挿し、コイルバネの付勢力によって一方の部材を他方の部材に対して付勢した状態で固定する場合がある。
【0003】
また、ピンにコイルバネを外挿する構成は、プローブピンにおいても用いられる。プローブピンは、電子機器の電極との電気導通を得るためのICソケットあるいはプローブカード等の接続治具に装備されており、測定対象となる電子機器の複数の電極にプローブピンをそれぞれ接触させることで電気的な接続が行われる。
【0004】
例えば特許文献1には、コイルバネの一端に係合するガイド部を第1の端部側に有し、コイルバネの他端を保持するためのかぎ爪状フックを第2の端部側に有する上部コンタクトおよび下部コンタクトの、ガイド部とかぎ爪状フックとの間にコイルバネが保持されるプローブピン用コンタクトが開示されている。上部コンタクトおよび下部コンタクトを互いに反対方向を向けてコイルバネの内部に挿入することでプローブピンが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来は、コイルバネがピンから外れないようにするため、コイルバネの一端部をD形状に加工し、D形状部にピンを圧入してピンからのコイルバネの脱落を防止していた。しかし、コイルバネの線径が太くなると、コイルバネが硬くなりD形状部が変形し難くなる。そのため、コイルバネおよびピンの部品公差を考慮してD形状部によってピンを確実に保持しようとすると、さらにピンを圧入し難くなり、組み立て作業性が低下する。一方、組み立て作業性を考慮してD形状部を広げると、コイルバネがピンから脱落してしまうという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、コイルバネの内部にピンを容易に挿入することができ、コイルバネにピンを挿入した状態で保持可能なコイルバネとピンの保持構造およびそれを備えたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、コイルバネと、コイルバネに挿入されるピンとを挿入状態で保持するコイルバネとピンの保持構造である。コイルバネは、本体部と、ピン挿入部と、を有する。本体部は、ピンが挿入される。ピン挿入部は、ピンの挿入方向の上流側である本体部の一端部に一巻き分形成され、ピンの先端部を本体部に案内する。ピン挿入部は、ガイド部と、ピン固定部と、を有する。ガイド部は、周方向の一部が本体部よりも径方向外側に突出する。ピン固定部は、ガイド部に対し径方向に対向する位置に形成される。本体部は、ピン挿入部に隣接する一巻き目に、本体部の中心軸に対してピン固定部と反対側の第1部分と、ピン固定部と同一側の第2部分と、を有する。ピン固定部は、第2部分よりも径方向内側に形成されている。外力を加えない状態でのピン固定部と第1部分との径方向の間隔は、ピンの外径よりも小さい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の構成によれば、コイルバネのピン挿入部に径方向外側に突出するガイド部を形成することにより、コイルバネのピン挿入部にピンを挿入する際にピンをガイド部側に傾けるだけで、線径の太いコイルバネに対してピンを円滑に挿入することができる。また、ピンが本体部の一巻き目とピン固定部とに挟持されるため、ピンからのコイルバネの抜けを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】記録部9に配置されるヘッドユニット50の記録ヘッド17b付近の拡大図
【
図4】記録ヘッド17bとヘッドユニット50との連結部分を長手方向と直交する方向に切断した側面断面図
【
図5】ヘッド固定バネ70をヘッド固定ピン60の挿入側から見た斜視図
【
図6】ヘッド固定バネ70をヘッド固定ピン60の挿入側から見た正面図
【
図7】ヘッド固定バネ70のピン挿入部73にヘッド固定ピン60のネジ部65を挿入した状態を示す側面図
【
図8】ヘッド固定バネ70の本体部71にヘッド固定ピン60を挿入する様子を示す斜視図
【
図9】
図8におけるピン挿入部73付近の部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のコイルバネとピンの保持構造を備えたプリンター100の概略構成を示す断面図である。プリンター100は、用紙収容部である給紙カセット2を備えている。給紙カセット2は、プリンター本体1の内部下方に配置されている。給紙カセット2の内部には、記録媒体の一例である用紙Pが収容されている。
【0012】
給紙カセット2の用紙搬送方向下流側、すなわち
図1における給紙カセット2の右側の上方には給紙装置3が配置されている。この給紙装置3により、用紙Pは
図1において給紙カセット2の右上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。
【0013】
プリンター100は、その内部に第1用紙搬送路4aを備えている。第1用紙搬送路4aは、給紙カセット2に対してその給紙方向である右上方に位置する。給紙カセット2から送り出された用紙Pは、第1用紙搬送路4aにより、プリンター本体1の側面に沿って垂直上方に搬送される。
【0014】
用紙搬送方向において第1用紙搬送路4aの下流端には、レジストローラー対13が設けられている。さらに、レジストローラー対13の用紙搬送方向下流側直近には、第1搬送ユニット5および記録部9が配置されている。給紙カセット2から送り出された用紙Pは、第1用紙搬送路4aを通ってレジストローラー対13に到達する。レジストローラー対13は、用紙Pの斜め送りを矯正しつつ、記録部9が実行するインク吐出動作とのタイミングを計り、第1搬送ユニット5に向かって用紙Pを送り出す。
【0015】
レジストローラー対13によって第1搬送ユニット5に送り出された用紙Pは、第1搬送ベルト8によって記録部9(特に後述する記録ヘッド17a~17c)との対向位置に搬送される。記録部9から用紙Pにインクが吐出されることにより、用紙P上に画像が記録される。記録部9におけるインクの吐出は、プリンター100の内部の制御装置110によって制御される。
【0016】
用紙搬送方向において、第1搬送ユニット5の下流側(
図1の左側)には、第2搬送ユニット12が配置されている。記録部9によって画像が記録された用紙Pは、第2搬送ユニット12へ送られる。用紙Pの表面に吐出されたインクは、第2搬送ユニット12を通過する間に乾燥される。
【0017】
用紙搬送方向において、第2搬送ユニット12の下流側であってプリンター本体1の左側面近傍には、デカーラー部14が設けられている。第2搬送ユニット12によってインクが乾燥された用紙Pは、デカーラー部14へ送られて、用紙Pに生じたカールが矯正される。
【0018】
用紙搬送方向において、デカーラー部14の下流側(
図1の上方)には、第2用紙搬送路4bが設けられている。デカーラー部14を通過した用紙Pは、両面記録を行わない場合、第2用紙搬送路4bを通り、プリンター100の左側面外部に設けられた用紙排出トレイ15aに排出される。用紙排出トレイ15aの下方には、印字不良等の発生した不要な用紙P(損紙)を排出するサブ排出トレイ15bが設けられている。
【0019】
プリンター本体1の上部であって記録部9および第2搬送ユニット12の上方には、両面記録を行うための反転搬送路16が設けられている。両面記録を行う場合、用紙Pの一方の面(第1面)への記録が終了して第2搬送ユニット12およびデカーラー部14を通過した用紙Pは、第2用紙搬送路4bを通って反転搬送路16へ送られる。
【0020】
反転搬送路16へ送られた用紙Pは、続いて用紙Pの他方の面(第2面)への記録のために搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは、プリンター本体1の上部を通過して右側に向かって送られ、レジストローラー対13を経て第2面を上向きにした状態で再び第1搬送ユニット5へ送られる。第1搬送ユニット5では、記録部9との対向位置に用紙Pが搬送され、記録部9からのインク吐出によって第2面に画像が記録される。両面記録後の用紙Pは、第2搬送ユニット12、デカーラー部14、第2用紙搬送路4bを順に通過して用紙排出トレイ15aに排出される。
【0021】
また、第2搬送ユニット12の下方には、メンテナンスユニット19およびキャップユニット20が配置されている。メンテナンスユニット19は、パージを実行する際に記録部9の下方に水平移動し、記録ヘッドのインク吐出口から押出されたインクを拭き取り、拭き取られたインクを回収する。なお、パージとは、インク吐出口内の増粘インク、異物、気泡を排出するために、記録ヘッドのインク吐出口からインクを強制的に押し出す動作を言う。キャップユニット20は、記録ヘッドのインク吐出面をキャッピングする際に記録部9の下方に水平移動し、さらに上方に移動して記録ヘッドの下面に装着される。
【0022】
図2は、記録部9の平面図である。記録部9は、ヘッドハウジング10と、ラインヘッド11Y、11M、11C、11Kとを備えている。ラインヘッド11Y~11Kは、駆動ローラー6a、従動ローラー6b、およびテンションローラー(図示せず)を含む複数のローラーに張架された無端状の第1搬送ベルト8の搬送面に対して、所定の間隔(例えば1mm)が形成される高さでヘッドハウジング10に保持される。駆動ローラー6aは、第1搬送ベルト8を用紙Pの搬送方向(矢印A方向)に走行させる。
【0023】
ラインヘッド11Y~11Kは、複数(ここでは3個)の記録ヘッド17a~17cをそれぞれ有している。記録ヘッド17a~17cは、用紙搬送方向(矢印A方向)と直交する用紙幅方向(矢印BB′方向)に沿って千鳥状に配列されている。記録ヘッド17a~17cは、複数のインク吐出口18(ノズル)を有している。各インク吐出口18は、記録ヘッドの幅方向、つまり、用紙幅方向(矢印BB′方向)に等間隔で並んで配置されている。ラインヘッド11Y~11Kからは、記録ヘッド17a~17cのインク吐出口18を介して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインクが、第1搬送ベルト8で搬送される用紙Pに向かってそれぞれ吐出される。
【0024】
図3は、記録部9に配置されるヘッドユニット50の記録ヘッド17b付近の拡大図である。
図4は、記録ヘッド17bとヘッドユニット50との連結部分を長手方向と直交する方向に切断した側面断面図(
図3のCC′矢視断面図)である。記録ヘッド17a~17cは、それぞれヘッドユニット50を構成するユニットフレーム51に個別に着脱可能となっている。より詳細には、ユニットフレーム51にはヘッドマウント部材53が固定されており、各記録ヘッド17a~17cを構成するヘッド側フレーム55の左右両端部が、ヘッド固定ピン60によりヘッドマウント部材53に締結されている。
【0025】
図4に示すように、ヘッドマウント部材53のビス孔53aにはヘッド側フレーム55に形成された長穴状のヘッド位置決め孔55aを通過してヘッド固定ピン60が締結されている。ヘッド固定ピン60とヘッド側フレーム55との間にはヘッド固定バネ70が挟持されている。これにより、ヘッド側フレーム55はヘッド固定バネ70の付勢力によってヘッドマウント部材53に圧接されている。即ち、ヘッド側フレーム55はヘッド固定ピン60およびヘッド固定バネ70によってユニットフレーム51に対し水平方向に移動可能に保持されており、角度調整機構(図示せず)による記録ヘッド17a~17cの角度調整が可能となっている。
【0026】
図5および
図6は、それぞれヘッド固定バネ70をヘッド固定ピン60の挿入側から見た斜視図および正面図である。
図7は、ヘッド固定バネ70のピン挿入部73にヘッド固定ピン60のネジ部65を挿入した状態を示す側面図である。
図8は、ヘッド固定バネ70の本体部71にヘッド固定ピン60を挿入する様子を示す斜視図である。
図9は、
図8におけるピン挿入部73付近の拡大図である。以下、
図5~
図9を参照しながらヘッド固定ピン60とヘッド固定バネ70の保持構造について説明する。
【0027】
図8に示すように、ヘッド固定ピン60は、軸部61と頭部63とを有する。軸部61はヘッド固定バネ70に挿入される円筒状の部分である。本実施形態では、軸部61の外径は4mmである。頭部63は、軸部61の一端に形成される軸部61よりも大径の円板状の部分である。頭部63にはドライバー等の治具が係合する溝形状63a(
図4参照)が形成されている。軸部61の頭部63と反対側の端部にはネジ部65が形成されている。ネジ部65は軸部61よりも小径であり、ヘッドマウント部材53のビス孔53aに螺合する。
【0028】
ヘッド固定バネ70は、弾性を有する金属線材(ばね材)で形成されたコイルバネである。
図5および
図6に示すように、ヘッド固定バネ70は、本体部71と、ピン挿入部73と、当接部75と、を有する。
【0029】
本体部71は、ヘッド固定ピン60が挿入される。本体部71の内径は、ヘッド固定ピン60の外径よりも大きい。本実施形態では、本体部71の内径d1は4.5mmである。ヘッド固定ピン60の挿入方向の上流側である本体部71の一端部(
図8の右端部)には、ヘッド固定ピン60の先端部を本体部71に案内するピン挿入部73が一巻き分だけ形成されている。本体部71は、ピン挿入部73と隣接する一巻き目に、本体部71の中心軸Oに対してピン固定部73bと反対側の第1部分71aと、ピン固定部73bと同一側の(第1部分71aと径方向に対向する)第2部分71bと、を有する。
【0030】
ピン挿入部73は、ガイド部73aとピン固定部73bとを有する。ガイド部73aは、ピン挿入部73の周方向の一部(
図5および
図6では下部)が、本体部71(第1部分71a)に比べて径方向外側に突出した部分である。ピン固定部73bは、ピン挿入部73の端部を略垂直に折り曲げた直線状の部分である。ピン固定部73bは、ガイド部73aに対し径方向に対向する位置に、第2部分71bよりも径方向内側に形成される。本実施形態では、本体部71(第1部分71a)に対するガイド部73aの突出量は0.5mmである。また、ガイド部73aとピン固定部73bとの径方向の間隔d2は3.95±0.2mmであり、ヘッド固定ピン60の軸部61の外径(4mm)と略同一である。
【0031】
ヘッド固定ピン60の挿入方向の下流側である本体部71の他端部(
図8の左端部)には、本体部71よりも外径の大きい当接部75が一巻き分だけ形成されている。当接部75は、ヘッド固定ピン60およびヘッド固定バネ70を用いてヘッド側フレーム55をヘッドマウント部材53に固定する際にヘッド側フレーム55に当接することにより、ヘッド固定バネ70のヘッド位置決め孔55aへの嵌り込みを防止する。
【0032】
ヘッド固定バネ70にヘッド固定ピン60を挿入する場合、先ず、ヘッド固定ピン60の先端部(ネジ部65)をピン挿入部73に挿入する。このとき、
図7に示すように、本体部71の中心軸Oに対してガイド部73a側(
図7の下側)からヘッド固定ピン60の先端部を斜めに挿入する。これにより、ガイド部73に隣接する本体部71の第1部分71aにヘッド固定ピン60が干渉せず、ヘッド固定ピン60の先端部を本体部71に円滑に挿入することができる。
【0033】
次に、
図8および
図9に示すように、ピン挿入部73を超える位置までネジ部65を挿入した後、ヘッド固定ピン60の頭部63側を持ち上げて、軸部61を本体部71の中心軸Oに対して平行にする。この状態で、軸部61を本体部71に押し込んでいく。
【0034】
ここで、ピン固定部73bと本体部71の第1部分71aとの径方向の間隔d3は3.45±0.2mmであり、軸部61の外径よりも小さい。そのため、軸部61はピン固定部73bを上方に押し上げるようにピン挿入部73を弾性変形させながら本体部71に押し込まれる。
【0035】
その後、ヘッド固定ピン60の頭部63がヘッド固定バネ70のピン挿入部73に隣接する位置まで挿入され、ヘッド固定ピン60に対するヘッド固定バネ70の装着が完了する。ヘッド固定ピン60の軸部61は、ヘッド固定バネ70の本体部71の第1部分71aとピン固定部73bとに挟持され、ヘッド固定ピン60のヘッド固定バネ70への装着状態が保持される。
【0036】
本実施形態の構成によれば、ヘッド固定バネ70のピン挿入部73に径方向外側に突出するガイド部73aを形成することにより、ヘッド固定バネ70のピン挿入部73にヘッド固定ピン60を挿入する際にヘッド固定ピン60をガイド部73a側に傾けるだけで、線径の太いヘッド固定バネ70に対してヘッド固定ピン60を円滑に挿入することができる。
【0037】
また、ヘッド固定ピン60の軸部61が本体部71の第1部分71aとピン固定部73bとに挟持されるため、ヘッド固定ピン60からのヘッド固定バネ70の抜けを防止することができる。
【0038】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態では、ピン挿入部73の端部を略垂直に折り曲げた直線状のピン固定部73bを形成しているが、ピン固定部73bを直線状に形成しなくても、本体部71の第1部分71aとの間でヘッド固定ピン60の軸部61を挟持することができる。但し、ピン固定部73bを直線状に形成することで、第1部分71aとの間で軸部61をより強固に挟持することができる。
【0039】
また本発明は、
図1に示したようなインクジェット記録方式のプリンター100に限らず、電子写真方式のプリンター、複写機、デジタル複合機(コピー、ファクシミリ、スキャナー等の諸機能を併せ持つもので、MFP(Multi FunctionPeripheral)とも呼ばれる)等の他の画像形成装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、コイルバネとコイルバネに挿入されるピンの保持構造に利用可能である。本発明の利用により、コイルバネの内部にピンを容易に挿入することができ、コイルバネにピンを挿入した状態で保持可能なコイルバネとピンの保持構造およびそれを備えたインクジェット記録装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0041】
17a~17c 記録ヘッド
18 インク吐出口(ノズル)
50 ヘッドユニット
51 ユニットフレーム
55 ヘッド側フレーム
60 ヘッド固定ピン(ピン)
61 軸部
63 頭部
65 ネジ部
70 ヘッド固定バネ(コイルバネ)
71 本体部
71a 第1部分
71b 第2部分
73 ピン挿入部
73a ガイド部
73b ピン固定部
75 当接部
100 プリンター(インクジェット記録装置)
O 中心軸