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7613243車両に搭載される空調ユニット、車両、車両に空調ユニットを配置する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】車両に搭載される空調ユニット、車両、車両に空調ユニットを配置する方法
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
B60H1/00 102F
B60H1/00 102A
B60H1/00 102R
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021074920
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022169089
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2024-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】財木 啓之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慎也
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/170754(WO,A1)
【文献】特表2018-525956(JP,A)
【文献】国際公開第2019/077960(WO,A1)
【文献】特開2016-120902(JP,A)
【文献】国際公開第2005/113982(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/008434(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 ~ 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される空調ユニットであって、
空調ケース(12)と、
前記空調ケース内の空気を前記車両の車室内に送る送風機(20)と、
前記送風機を駆動する送風機モータ(202)と、
前記空調ケース内において空調機能の一部を実現する機能部品(16、18)と、を備え、
前記機能部品は、前記送風機モータにおいて電磁ノイズを発生するノイズ源(204、206、207)と前記車室内の少なくとも一部である保護領域(G、G1、G2)との間に配置されると共に、前記電磁ノイズを遮蔽する物質を含み、
前記保護領域に含まれる位置と、前記ノイズ源の一部または全部に含まれる位置の、どの組み合わせについても、それら2つの位置を繋ぐ直線が、前記機能部品を貫き、
前記保護領域が、前記車室内において乗員が携帯可能な物を保持するために前記車両の製造時に設けられた保持部材(8、44、51、52)の位置を含むよう、前記ノイズ源および前記機能部品が配置されている、空調ユニット。
【請求項2】
前記ノイズ源の前記車両の幅方向における位置は、運転席と助手席の間であり、
前記保持部材の、前記車両の幅方向における位置は、前記運転席と前記助手席の間である、請求項に記載の空調ユニット。
【請求項3】
前記機能部品の外形は板形状であり、
前記機能部品の一方側の板面(18a)は、前記ノイズ源に対向し、
前記機能部品の他方側の板面(18b)は、前記保持部材に対向する、請求項1または2に記載の空調ユニット。
【請求項4】
前記機能部品は、前記空調ケース内の空気と他の媒体との間で熱交換を行う熱交換器(16、18)である、請求項1ないしのいずれか1つに記載の空調ユニット。
【請求項5】
前記空調ケース内の空気を冷却する冷却用熱交換器(16)を更に備え、
前記熱交換器は、前記空調ケース内の空気を加熱する加熱用熱交換器であって、
前記送風機は、前記空調ケース内の空気流れにおいて、前記冷却用熱交換器よりも下流にあると共に前記加熱用熱交換器よりも上流にある、請求項に記載の空調ユニット。
【請求項6】
空調ユニット(6)および保持部材(8、44、51、52)を備えた車両であって、
前記保持部材は、前記車両の車室内において乗員が携帯可能な物を保持するために前記車両の製造時に設けられたものであり、
前記空調ユニットは、空調ケース(12)と、前記空調ケース内の空気を前記車両の車室内に送る送風機(20)と、前記送風機を駆動する送風機モータ(202)と、前記空調ケース内において空調機能の一部を実現する機能部品(16、18)と、を備え、
前記機能部品は、前記送風機モータにおいて電磁ノイズを発生するノイズ源(204、206、207)と前記車室内の少なくとも一部である保護領域(G、G1、G2)との間に配置されると共に、前記電磁ノイズを遮蔽する物質を含み、
前記保護領域に含まれる位置と、前記ノイズ源の一部または全部に含まれる位置の、どの組み合わせについても、それら2つの位置を繋ぐ直線が、前記機能部品を貫き、
前記保護領域が、前記保持部材(8、44、51、52)の位置を含むよう、前記ノイズ源および前記機能部品が配置されている、車両。
【請求項7】
前記ノイズ源の前記車両の幅方向における位置は、運転席と助手席の間であり、
前記保持部材の、前記車両の幅方向における位置は、前記運転席と前記助手席の間である、請求項6に記載の車両。
【請求項8】
車両に空調ユニットを配置する方法であって、
空調ケース(12)と、前記空調ケース内の空気を前記車両の車室内に送る送風機(20)と、前記送風機を駆動する送風機モータ(202)と、前記空調ケース内において空調機能の一部を実現すると共に電磁ノイズを遮蔽する物質を含んだ機能部品(16、18)と、備えた前記空調ユニットを、前記車両に配置することを含み、
前記配置することは、前記送風機モータにおいて電磁ノイズを発生するノイズ源(204、206、207)と前記車室内の少なくとも一部である保護領域(G、G1、G2)との間に前記機能部品を配置し、かつ、前記保護領域が、前記車室内において乗員が携帯可能な物を保持するために前記車両の製造時に設けられる保持部材(8、44、51、52)の位置を含むよう、前記ノイズ源および前記機能部品を配置することを含み、
前記保護領域に含まれる位置と、前記ノイズ源の一部または全部に含まれる位置の、どの組み合わせについても、それら2つの位置を繋ぐ直線が、前記機能部品を貫く、方法。
【請求項9】
前記配置することは、前記ノイズ源の前記車両の幅方向における位置を、運転席と助手席の間にし、前記保持部材の、前記車両の幅方向における位置を、前記運転席と前記助手席の間にすることを含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される空調ユニッット、車両、車両に空調ユニットを配置する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される空調ユニットは、空調用の空気を車室内に送る送風機を有している。送風機の動力源としては、モータが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-3958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記送風機用モータは、作動時に電磁ノイズを発生することが知られており、この電磁ノイズが、車室内にある電子機器(例えば、電子無線キー)の作動に悪影響を与える可能性がある。
【0005】
そこで、発明者は、電磁ノイズを遮蔽するために、導電性金属のカバーでモータを覆うことを検討した。しかし、発明者の検討によれば、電磁ノイズを遮蔽するために、空調機能のためではない専用の部材を設けると、空調ユニットの体格と、重量が増加する。また、空調ユニットの部品点数が増えるため、コストアップになる。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、空調機能のためではない専用の部材を設けることなく、送風機のモータで発生する電磁ノイズの悪影響を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両に搭載される空調ユニットであって、空調ケース(12)と、前記空調ケース内の空気を前記車両の車室内に送る送風機(20)と、前記送風機を駆動する送風機モータ(202)と、前記空調ケース内において空調機能の一部を実現する機能部品(16、18)と、を備え、前記機能部品は、前記送風機モータにおいて電磁ノイズを発生するノイズ源(204、206、207)と前記車室内の少なくとも一部である保護領域(G、G1、G2)との間に配置されると共に、前記電磁ノイズを遮蔽する物質を含み、前記保護領域に含まれる位置と、前記ノイズ源の一部または全部に含まれる位置の、どの組み合わせについても、それら2つの位置を繋ぐ直線が、前記機能部品を貫き、前記保護領域が、前記車室内において乗員が携帯可能な物を保持するために前記車両の製造時に設けられた保持部材(8、44、51、52)の位置を含むよう、前記ノイズ源および前記機能部品が配置されている、空調ユニットである。
また、請求項6に記載の発明は、空調ユニット(6)および保持部材(8、44、51、52)を備えた車両であって、前記保持部材は、前記車両の車室内において乗員が携帯可能な物を保持するために前記車両の製造時に設けられたものであり、前記空調ユニットは、空調ケース(12)と、前記空調ケース内の空気を前記車両の車室内に送る送風機(20)と、前記送風機を駆動する送風機モータ(202)と、前記空調ケース内において空調機能の一部を実現する機能部品(16、18)と、を備え、前記機能部品は、前記送風機モータにおいて電磁ノイズを発生するノイズ源(204、206、207)と前記車室内の少なくとも一部である保護領域(G、G1、G2)との間に配置されると共に、前記電磁ノイズを遮蔽する物質を含み、前記保護領域に含まれる位置と、前記ノイズ源の一部または全部に含まれる位置の、どの組み合わせについても、それら2つの位置を繋ぐ直線が、前記機能部品を貫き、前記保護領域が、前記保持部材(8、44、51、52)の位置を含むよう、前記ノイズ源および前記機能部品が配置されている、車両である。
また、請求項8に記載の発明は、車両に空調ユニットを配置する方法であって、空調ケース(12)と、前記空調ケース内の空気を前記車両の車室内に送る送風機(20)と、前記送風機を駆動する送風機モータ(202)と、前記空調ケース内において空調機能の一部を実現すると共に電磁ノイズを遮蔽する物質を含んだ機能部品(16、18)と、備えた前記空調ユニットを、前記車両に配置することを含み、前記配置することは、前記送風機モータにおいて電磁ノイズを発生するノイズ源(204、206、207)と前記車室内の少なくとも一部である保護領域(G、G1、G2)との間に前記機能部品を配置し、かつ、前記保護領域が、前記車室内において乗員が携帯可能な物を保持するために前記車両の製造時に設けられる保持部材(8、44、51、52)の位置を含むよう、前記ノイズ源および前記機能部品を配置することを含み、前記保護領域に含まれる位置と、前記ノイズ源の一部または全部に含まれる位置の、どの組み合わせについても、それら2つの位置を繋ぐ直線が、前記機能部品を貫く、方法である。
【0008】
これにより、保護領域内に置かれた電子機器の作動が良好に行われる可能性が高くなる。そして、そのように電磁ノイズを遮蔽するものとして、空調機能の一部を実現する機能部品が用いられている。したがって、空調機能のためでなく電磁ノイズを遮蔽するために空調ユニットの体格、重量、部品点数が過度に増大することを抑制できる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る車両の概略構成図である
図2図1のII-II断面概略図である。
図3】空調ユニットの断面図である。
図4】第2実施形態に係る空調ユニットの断面図である。
図5】第3実施形態に係る空調ユニットの断面図である。
図6】車両の概略構成図である
図7図6のVII-VII断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について説明する。本実施形態にかかる空調装置は、図1に示す車両1に搭載される。図1図2に示すように、車両1には、エンジンルーム2と、ファイアウォール3と、車室4とが設けられている。
【0012】
図1図2の矢印DR1、DR2、DR3は、車両1を基準とする向きを示す。すなわち、矢印DR1は車両1の前後方向を示し、矢印DR2は車両1の上下方向を示し、矢印DR3は車両1の幅方向を示す。
【0013】
エンジンルーム2は、車両前後方向DR1においてファイアウォール3、車室4よりも前方側にあり、車両1を駆動する動力を発生する装置(例えば、内燃機関、車両走行用の電動モータ)等が配置されている。ファイアウォール3は、エンジンルーム2と車室4とを車両前後方向DR1に互いに隔てる隔壁である。
【0014】
車室4は、ファイアウォール3に対して車両前後方向DR1の後側に配置され、車両1の乗員Pが入る室である。車室4には、ダッシュボード40、運転席41、助手席42、後部座席43、カップホルダ44、空調ユニット6等が配置されている。前席に相当する運転席41と助手席42は、図1では前者が右側、後者が左側にあるが、他の例として、運転席41が左側、助手席42が右側にあってもよい。
【0015】
ダッシュボード40は、車両前後方向DR1において運転席41、助手席42よりも前側にあり、かつ、エンジンルーム2の後ろ側にある。ダッシュボード40は、車両前後方向DR1における車両の右端から左端に亘って配置されている。ダッシュボード40は、車両幅方向DR3の中央部に、センターコンソール5を有している。センターコンソール5は、車両幅方向DR3において、運転席41と助手席42の間に配置され、かつ車両前後方向DR1において、運転席41と助手席42よりも前方に配置される。
【0016】
センターコンソール5は、操作表示パネル7および物入8を備えている。操作表示パネル7は、情報を表示すると共に、車載機器を制御するためのユーザ操作を受け付ける装置である。センターコンソール5は、例えば、ナビゲーション装置および空調コントロールパネルの一方または両方を含んでいてもよい。
【0017】
物入8は、車室4内において小物を保持および収納するために設けられた保持部材である。小物とは、車両1の乗員が携帯可能なもので、例えば、硬貨、カード、鍵、電子無線キー、携帯情報通信端末等が該当する。電子無線キーは、乗員に携帯され、車両1と無線通信を行うことで車両のドアの施錠、ドアの解錠、メインスイッチのオン等の操作の許可を行う装置である。
【0018】
メインスイッチは、アクセル操作によって車両1を走行可能化するための主電源を、オン、オフするためのスイッチである。メインスイッチは、車両1が内燃機関を有する場合は内燃機関を始動するための通電を許可するイグニッションスイッチである。メインスイッチは、車両1が内燃機関を有さず走行用の電動モータを有する場合は、アクセル操作に基づく当該電動モータへの通電を許可するスイッチである。
【0019】
物入8は、センターコンソール5の内部に格納された状態と、センターコンソール5から車両前後方向DR1の後方側に突出して小物を出し入れできる状態との間で遷移することが可能であってもよい。前者の状態では、乗員は物入8に保持された小物を触ることができないが、後者の状態では、乗員は物入8に保持された小物を触ることができる。
【0020】
物入8の、車両幅方向DR3における位置は、運転席41の車両幅方向DR3における位置と助手席42の車両幅方向DR3における位置の間である。
【0021】
カップホルダ44は、容器を保持するために設けられた保持部材である。容器は、飲料が充填された容器(例えば、紙コップ、飲料用ペットボトル)でもよいし、上述のような小物を収納可能な容器(例えば、紙コップ、カップ型小物ケース)であってもよい。小物が収容された容器をカップホルダ44が保持する場合は、同時にカップホルダ44が当該小物を保持することになる。乗員は、カップホルダ44に保持された小物を触ることができる。
【0022】
カップホルダ44は、図1、2に示すように、センターコンソール5に取り付けられていてもよい。より具体的には、カップホルダ44は、車両前後方向DR1におけるセンターコンソール5の後方側に、センターコンソール5の表面から突出して配置されていてもよい。カップホルダ44の、車両幅方向DR3における位置は、運転席41の車両幅方向DR3における位置と助手席42の車両幅方向DR3における位置の間であってもよい。あるいは、カップホルダ44は、運転席41と助手席42の間に設けられていてもよい。また、カップホルダ44は、車両1の製造時に設けられたものであってもよい。あるいは、カップホルダ44は後付けの市販品であって、車両1の製造後に車両1を取得したユーザによって車室内の任意の場所に取り付けられたものであってもよい。
【0023】
空調ユニット6は、車室4において、センターコンソール5の内部に配置されている。図3に示すように、空調ユニット6は、空調ケース12、フィルタ14、蒸発器16、ヒータコア18、送風機20、上層エアミックスドア23、下層エアミックスドア24、フェイスドア25、フットドア26、上下連通ドア27を備えている。
【0024】
空調ケース12は、空調ユニット6の外殻を成す樹脂製の部材である。空調ケース12は、複数の空気導入部121と、フェイス開口122と、フット開口123とを有している。空調ケース12の内部には、空気が流れるケース内通路124が形成されている。複数の空気導入部121にはそれぞれ、車室外の空気である外気または車室内の空気である内気を空調ケース12外からケース内通路124に導入するための通気口が形成されており、その通気口はケース内通路124の空気流れ上流側に接続されている。その空気導入部121にはそれぞれ、不図示の内外気切替ドアが設けられており、その内外気切替ドアは、空気導入部121に流入する空気を内気と外気との何れかに切り替える。
【0025】
また、フェイス開口122、フット開口123にはそれぞれ、ケース内通路124から空調ケース12の外部である車室内へ空気を流出させるための通気口が形成されており、その通気口はケース内通路124の空気流れ下流側に接続されている。従って、ケース内通路124の空気は、フェイス開口122、フット開口123を介して車室内へ流出する。なお、図1の矢印FL1、FL2、FL3、FL4は、ケース内通路124における空気流れを示している。
【0026】
フィルタ14は、ケース内通路124において複数の空気導入部121に対し空気流れ下流側に配置され、当該フィルタ14を通過する空気中に含まれるダスト等を捕捉する。
【0027】
蒸発器16は、ケース内通路124においてフィルタ14に対し空気流れ下流側に配置される。そして蒸発器16は、そのケース内通路124に流れる空気を冷却する。例えば、蒸発器16は、不図示のコンプレッサ、コンデンサ、および膨張弁とともに、冷媒を循環させる周知の冷凍サイクル装置を構成している。蒸発器16は、蒸発器16を通過する空気と他の媒体(すなわち冷媒)とを熱交換させ、その熱交換により冷媒を蒸発させると共に空気を冷却する。コンプレッサ、コンデンサは、例えば、エンジンルーム2に配置されていてもよい。このように、蒸発器16は、空調ケース12内から車室4に送られる空気を冷却する機能を実現する冷却用熱交換器である。この冷却機能は、空調機能の一部に該当する。
【0028】
蒸発器16の外形は、板形状となっている。すなわち、蒸発器16の外形は、2つの対向する板面と、それら2つの板面の間をつなぐ側面とを有する。
【0029】
また、蒸発器16は、電磁波遮蔽性のある物質を含んでいる。例えば、電磁波遮蔽性のある物質を10重量%以上含んでいる。具体的には、蒸発器16は、内部に冷媒が流れる複数本のチューブと、当該複数本のチューブの内部の一方側端部と連通する一方側タンクと、当該複数本のチューブの内部の他方側端部と連通する他方側タンクと、を有している。そして、これら複数本のチューブと、一方側タンクと、他方側タンクは、電磁波遮蔽性のある物質で構成されている。電磁波遮蔽性のある物質としては、導電性材料もしくは磁性材料がある。電磁波遮蔽性のある物質は、例えば、アルミニウム等の導電性金属であるが、導電性金属以外の物質(例えばカーボンファイバー)であってもよい。
【0030】
送風機20は、ケース内通路124に配置されファン軸線CLfまわりに回転する送風ファン201と、その送風ファン201を回転駆動する送風機モータ202とを有している。この送風機20は、空調ケース12内において蒸発器16に対する空気流れ下流側に配置されている。
【0031】
送風ファン201は、送風機モータ202により回転させられケース内通路124に空気流れを発生させる遠心ファンである。送風ファン201は、送風ファン201の回転によりファン軸線CLfのファン軸方向DRaの一方側から空気を吸い込み、その吸い込んだ空気を送風ファン201の径方向外側へ吹き出す。その径方向外側へ吹き出された空気は、矢印FL3、FL4のように、空調ケース12の内壁面によって導かれ、ケース内通路124のうち送風ファン201に対する空気流れ下流側へと、すなわち、車両前後方向DR1での後側へと、流れる。
【0032】
送風機モータ202は、通電されることにより送風ファン201を回転させる電動ブラシレスモータである。送風機モータ202は、回路部204、機構部205等を有している。回路部204は、回路基板と、当該回路基板上に実装されたドライバ回路とを有している。機構部205は、ロータ、ステータ、シャフト等を有している。ステータはドライバ回路から供給される電流により磁力を発生し、ロータはその磁力の変化によって回転する。シャフトは、ロータから回転力を伝達されることで、ロータと共に回転し、その回転力により送風ファン201を回転させる。
【0033】
ドライバ回路は、当該ドライバ回路からステータに流れる電流の向き等を、ロータの回転に合わせたタイミングで繰り返し切り替えるインバータ部等を含む。ドライバ回路からステータに流れる電流の向きが繰り返し切り替わることにより、ステータの発生する磁力が繰り返し変化し、上述の通り送風ファン201が持続的に回転する。そして、当該電流の向きをインバータが切り替える際に、電磁ノイズが発生する。
【0034】
このように、送風機モータ202の回路部204は、電磁ノイズを発生するノイズ源である。この電磁ノイズが車室4内の電子機器に強い強度で放射されると、電子機器の作動が不安定になる可能性がある。例えば、この電磁ノイズが上述の電子無線キーに強い強度で放射されると、電子無線キーと車両1との通信が妨害される可能性がある。携帯情報通信端末についても、通信相手は車両1の外部であるが、通信が妨害される可能性がある。
【0035】
送風機20は、送風ファン201が蒸発器16に対して空気流れ下流側に配置された吸込式レイアウトとなっている。送風機20は、送風ファン201の空気吸込み側であるファン軸方向DRaの一方側が蒸発器16の空気流出面16bと対向するように配置されている。従って、送風ファン201は、ファン軸方向DRaの他方側に一致するファン軸線CLfの他方側がケース内通路124の空気流れ下流側へ延びる向きを向くように配置されている。
【0036】
このような構成の送風機20は、空調ケース12内において矢印FL1、FL2のように蒸発器16側から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を矢印FL3、FL4のようにフェイス開口122、フット開口123側に吹き出す。これにより、送風機20は、空調ケース12内の空気を車室4内に送る機能を実現する。なお、送風機20も回路部204も、車両幅方向DR3における位置は、運転席41と助手席42の間である。
【0037】
空調ユニット6は更にケース内仕切壁22を有し、そのケース内仕切壁22は、ケース内通路124のうち送風ファン201よりも空気流れ下流側の通路を、互いに並列に延びる第1下流側通路124a、第2下流側通路124bに仕切っている。第1下流側通路124aはケース内仕切壁22に対し車両上下方向DR2の右側に配置され、第2下流側通路124bはケース内仕切壁22に対し車両上下方向DR2の左側に配置されている。
【0038】
ヒータコア18は、空調ケース12内においてケース内通路124のうち送風ファン201に対する空気流れ下流側に配置されている。ヒータコア18の、車両幅方向DR3における位置は、運転席41の車両幅方向DR3における位置と助手席42の車両幅方向DR3における位置の間である。
【0039】
ヒータコア18の外形は、板形状となっている。すなわち、ヒータコア18の外形は、2つの対向する板面18a、18bと、それら2つの板面18a、18bの間をつなぐ側面18cを有する。
【0040】
ヒータコア18は、送風ファン201から吹き出された空気のうちヒータコア18を通過する空気を加熱する。より具体的には、ヒータコア18は、空気と他の媒体とを熱交換させることで、ヒータコア18を通過する空気を加熱する。他の媒体は、ヒータコア18の内部を流れる高温の熱媒体である。高温の熱媒体は、例えば、上述のコンプレッサによって圧縮された冷媒であってもよいし、高温のエンジン冷却水であってもよい。このように、ヒータコア18は、空調ケース12内から車室4に送られる空気を加熱する機能を実現する加熱用熱交換器である。この加熱機能は、空調機能の一部に該当する。
【0041】
また、ヒータコア18は、第1下流側通路124aと第2下流側通路124bとの両方に跨るように配置されている。従って、ヒータコア18は、第1下流側通路124aに配置された第1加熱部181と、第2下流側通路124bに配置された第2加熱部182とを有している。
【0042】
また、ヒータコア18は、電磁波遮蔽性のある物質を含んでいる。例えば、電磁波遮蔽性のある物質を10重量%以上含んでいる。具体的には、ヒータコア18は、内部に上記熱媒体が流れる複数本のチューブと、当該複数本のチューブの内部の一方側端部と連通する一方側タンクと、当該複数本のチューブの内部の他方側端部と連通する他方側タンクと、を有している。そして、これら複数本のチューブと、一方側タンクと、他方側タンクは、電磁波遮蔽性のある物質で構成されている。電磁波遮蔽性のある物質としては、導電性材料もしくは磁性材料がある。電磁波遮蔽性のある物質は、例えば、アルミニウム等の導電性金属であるが、導電性金属以外の物質(例えばカーボンファイバー)であってもよい。このように、空調ユニット6においては、蒸発器16、送風機20、ヒータコア18は、車両前後方向DR1に、この順で、並んでいる。
【0043】
上層エアミックスドア23と下層エアミックスドア24は、空調ケース12内において送風ファン201に対する空気流れ下流側に配置されている。例えば、上層エアミックスドア23と下層エアミックスドア24はそれぞれスライド式のドア機構であり、電動アクチュエータによってスライドさせられる。
【0044】
具体的には、上層エアミックスドア23は、第1下流側通路124aのうちヒータコア18の第1加熱部181に対し空気流れ上流側に配置されている。そして、上層エアミックスドア23は、第1加熱部181を通過する空気の風量と第1加熱部181を迂回して流れる空気の風量との比率を調整する。これにより、第1下流側通路124aを通って車室内へ吹き出される空気の温度が調整される。
【0045】
また、下層エアミックスドア24は、第2下流側通路124bのうちヒータコア18の第2加熱部182に対し空気流れ上流側に配置されている。そして、下層エアミックスドア24は、第2加熱部182を通過する空気の風量と第2加熱部182を迂回して流れる空気の風量との比率を調整する。これにより、第2下流側通路124bを通って車室内へ吹き出される空気の温度が調整される。
【0046】
空調ケース12は、ヒータコア18の第1加熱部181に対する空気流れ下流側に接続されたフェイス開口122を有し、ヒータコア18の第2加熱部182に対する空気流れ下流側に接続されたフット開口123を有している。フェイス開口122は、運転席41または助手席42に座る乗員の顔付近に空気を吹き出すための開口である。フット開口123は、運転席41または助手席42に座る乗員の脚付近に空気を吹き出すための開口である。空調ケース12には、フェイス開口122、フット開口123以外に車室4に空気を吹き出すための開口を有していてもよい。
【0047】
上下連通ドア27は、ケース内通路124のうちヒータコア18に対する空気流れ下流側で、且つ、第1下流側通路124aと第2下流側通路124bとの境目に配置されている。上下連通ドア27は開閉ドアであり、開位置では第1下流側通路124aと第2下流側通路124bとを互いに連通させ、閉位置では第1下流側通路124aと第2下流側通路124bとの連通を阻止する。
【0048】
ここで、図1図2を用いて、ノイズ源である回路部204と、ヒータコア18と、カップホルダ44と、物入8との位置関係について説明する。ヒータコア18は、回路部204と保護領域Gとの間に配置される。これにより、回路部204の一部または全部は、ヒータコア18によって、保護領域Gから隠される。すなわち、保護領域Gに含まれる位置と、回路部204の当該一部または全部に含まれる位置の、どの組み合わせについても、それら2つの位置を繋ぐ直線が、ヒータコア18を貫く。
【0049】
図1図2に示すように、この保護領域Gは、車室4内における空調ユニット6の外部の空間領域の一部を含む。また保護領域Gは、車室4内におけるダッシュボード40の外部の空間領域の一部を含む。より詳しくは、保護領域Gが、物入8の位置とカップホルダ44の位置を含むよう、回路部204およびヒータコア18が配置されている。物入8は、センターコンソール5に格納された状態においても、センターコンソール5から突出した状態においても、保護領域G内にある。
【0050】
そして、図1図2に示すように、ヒータコア18の外形の一方側の板面18aは、回路部204に対向する。すなわち、回路部204の一部または全部から、当該一方側の板面18aに対して仮想的に垂線X1を下ろすことができる。
【0051】
また、ヒータコア18の外形の他方側の板面18bは、物入8に対向する。すなわち、物入8の一部または全部から、当該他方側の板面18bに対して仮想的に垂線X2を下ろすことができる。なお、物入8がセンターコンソール5に格納されている状態でもセンターコンソール5から突出している状態でも、ヒータコア18の外形の他方側の板面18bは、物入8に対向する。また、ヒータコア18の外形の他方側の板面18bは、カップホルダ44には対向しないが、他の例として、対向してもよい。
【0052】
以上のような構成の空調ユニット6の作動について説明する。空調ユニット6の作動時には、送風機モータ202の回路部204に通電されることで、回路部204から機構部205のステータに電流が流れると共に、電流の向きが繰り返し変化する。これにより、機構部205のロータおよびシャフトが持続的に回転し、ひいては、送風ファン201が持続的に回転する。
【0053】
送風ファン201の回転により、矢印FL1、FL2のように空気が空調ケース12内に導入され、フィルタ14、蒸発器16を通過して送風ファン201内に吸い込まれ、更に送風ファン201の外周から吹き出される。吹き出された空気は、矢印FL3、FL4のように第1下流側通路124a、第2下流側通路124bに流れ、第1加熱部181を通過するか迂回した後、フェイス開口122、フット開口123等の開口を通り、車室4内に吹き出される。その際、冷房時には、空調ケース12内を通って車室4内に入る空気が蒸発器16によって冷却される。また、暖房時には、空調ケース12内を通って車室4内に入る空気が蒸発器16によって冷却される。上層エアミックスドア23、下層エアミックスドア24、フェイスドア25、フットドア26、上下連通ドア27は、そのような作動における必要に応じて、開度が調整される。
【0054】
また、乗員が車両1に搭乗し、空調ユニット6が作動して送風ファン201が持続的に回転している場合、上述の通り、回路部204で電磁ノイズが発生し、電磁ノイズが放射される。しかし、ヒータコア18が、その電磁ノイズを遮蔽する。その結果、車室4内の保護領域Gにおける当該電磁ノイズの影響が大きく低減される。
【0055】
以上説明した通り、ヒータコア18は、送風機モータ202において電磁ノイズを発生する回路部204と車室4内の保護領域Gとの間に配置されて、回路部204で発生して保護領域Gに向かって伝搬する電磁ノイズを遮蔽する。
【0056】
これにより、保護領域G内の物入8、カップホルダ44に置かれた電子機器の作動に影響を与えない。例えば、電子無線キーと車両1に搭載された受信機の通信が当該電磁ノイズに妨害されずに良好に行われる。そして、そのように電磁ノイズを遮蔽するものとして、空調機能の一部を実現する機能部品であるヒータコア18が用いられている。したがって、空調機能のためでなく電磁ノイズを遮蔽するためだけに空調ユニット6の体格、重量、部品点数が過度に増大することを抑制できる。
【0057】
(1)また、保護領域Gは、車室4内において乗員が携帯可能な物を保持するために設けられた物入8、カップホルダ44の位置を含むよう、回路部204およびヒータコア18が配置されている。
【0058】
車室4内において乗員が携帯可能な物を保持するために設けられた物入8、カップホルダ44には、電子無線キー、携帯情報通信端末等の電子機器が置かれる可能性が高い。したがって、このような物入8、カップホルダ44が保護領域Gに含まれることで、物入8に電子機器を置かれても、電子機器の作動に悪影響を与えない。
【0059】
(2)また、回路部204の車両幅方向DR3における位置は、運転席と助手席の間であり、物入8、カップホルダ44の、車両幅方向DR3における位置は、運転席41と助手席42の間である。
【0060】
このように、乗員が電子無線キー、携帯情報通信端末等の電子機器を置くのに適した位置に物入8、カップホルダ44が配置される。しかも、そのような位置に対応した車両幅方向DR3の位置にノイズ源である回路部204がある。このような場合、電磁ノイズが電子機器の作動に悪影響を及ぼし易い。このような状況において、ヒータコア18が回路部204と物入8、カップホルダ44の間にあって電磁ノイズを遮蔽することで、ヒータコア18による電磁ノイズの遮蔽機能が効果的に役立つ。
【0061】
(3)また、ヒータコア18の外形は板形状である。そして、ヒータコア18の一方側の板面18aは、ノイズ源である回路部204に対向する。また、ヒータコア18の他方側の板面18bは、物入8に対向する。このように、ヒータコア18が外形が板形状であることを有効活用したヒータコア18の姿勢により、物入8の位置を電磁ノイズから良好に保護することができる。
【0062】
(4)また、電磁ノイズを遮蔽するための機能部品として、空調ケース12内の空気と熱交換を行う熱交換器が採用されている。熱交換器の本来の機能である高い伝熱性能を維持しつつ、電磁波遮蔽性も実現することができる物質としては、各種導電性金属、カーボンファイバーのように、多くの選択肢がある。つまり、伝熱性能と電磁波遮蔽性とは、親和性が高い。したがって、熱交換器は、電磁ノイズを遮蔽する物として、都合が良い。
【0063】
(5)また、送風機20は、空調ケース12内の空気流れにおいて、蒸発器16よりも下流にあると共にヒータコア18よりも上流にある。空調ケース12内のこのようなレイアウトにより、送風機20がヒータコア18よりも蒸発器16よりも空気流れ上流側にある従来型のレイアウトに比べ、送風機20がヒータコア18に近付いた。その結果、回路部204からの電磁ノイズを遮蔽する機能部品としてヒータコア18がより有効になった。
【0064】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図4を用いて説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、送風機モータ202の構成が異なっている。第1実施形態の送風機モータ202はブラシレスモータであったが、本実施形態の送風機モータ202は、ブラシ付きモータである。
【0065】
具体的には、送風機モータ202は、整流子206、ブラシ207、機構部208等を有している。ブラシ207は、整流子206に電流を供給する。機構部208は、ロータ、ステータ、シャフト等を有している。ステータは整流子206から供給される電流により磁力を発生し、ロータはその磁力の変化によって回転する。シャフトは、ロータから回転力を伝達されることで、ロータと共に回転し、その回転力により送風ファン201を回転させる。整流子206は、ロータと共に回転することで、ブラシ207に対して摺動し、ブラシ207との接点位置が繰り返し切り替わる。この摺動により、ブラシ207から整流子206に流れる電流の向きが変化し、その結果、ロータが発生する磁力が変化し、ステータおよびシャフトが持続的に回転する。そして、シャフトの回転力が送風ファン201に伝達されて、送風ファン201が持続的に回転する。
【0066】
このようなブラシ付きのモータにおいても、整流子206とブラシ207の接点位置が切り替わる際に、火花ノイズが発生する。この火花ノイズは電磁ノイズに相当する。このように、送風機モータ202の整流子206、ブラシ207は、電磁ノイズを発生するノイズ源である。この電磁ノイズは、車室4内の電子機器に強い強度で放射されると、電子機器の作動が不安定になる可能性がある。例えば、この電磁ノイズが上述の電子無線キーに強い強度で放射されると、電子無線キーと車両1に搭載された受信機との通信が妨害される可能性がある。携帯情報通信端末についても、通信相手は異なるが、同様である。
【0067】
空調ユニット6における本実施形態の送風機モータ202の位置は、第1実施形態の送風機モータ202の位置と同様である。したがって、整流子206、ブラシ207に対するヒータコア18、カップホルダ44、物入8の位置関係は、第1実施形態の回路部204に対するヒータコア18、カップホルダ44、物入8の位置関係と同様である。
【0068】
したがって、ヒータコア18は、送風機モータ202において電磁ノイズを発生する整流子206、ブラシ207と車室4内の保護領域Gとの間に配置されて、整流子206、ブラシ207で発生して保護領域Gに向かって伝搬する電磁ノイズを遮蔽する。従って、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
また、保護領域Gとカップホルダ44、物入8との位置関係は、第1実施形態と同じである。また、整流子206、ブラシ207に対するヒータコア18の外形の板面18aの姿勢は、第1実施形態における回路部204に対する板面18aの姿勢と同じである。その他の構成も、第1実施形態と同じである。第1実施形態と同様の構成からは第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
(第3実施形態)
次に第3実施形態について、図5図6図7を用いて説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、センターコンソール5内における空調ユニット6の配置が異なり、その結果、保護領域の範囲が異なっている。
【0071】
具体的には、図5に示すように、ファン軸方向DRaが車両幅方向DR3に沿っている。したがって、空調ユニット6において、蒸発器16、送風機20、ヒータコア18は、車両幅方向DR3に、この順で並んでいる。また、図6図7に示すように、本実施形態の車両1において、ダッシュボード40の運転席41側の車両上下方向DR2下部には、物入51が配置されている。また、ダッシュボード40の助手席42側の車両上下方向DR2下部には、物入52が配置されている。
【0072】
物入51、52は、車室4内において小物を保持および収納するために設けられた保持部材である。物入51、52は、ダッシュボード40の内部に格納された状態と、ダッシュボード40から車両前後方向DR1の後方側に突出して小物を出し入れできる状態との間で遷移することが可能であってもよい。前者の状態では、乗員は物入51、52に保持された小物を触ることができないが、後者の状態では、乗員は物入51、52に保持された小物を触ることができる。
【0073】
物入51の、車両幅方向DR3における位置は、運転席41の車両幅方向DR3における位置を基準として、助手席42側とは反対側である。物入52の、車両幅方向DR3における位置は、助手席42の車両幅方向DR3における位置と重なる。
【0074】
物入51、52の、車両上下方向DR2における位置は、車両上下方向DR2における空調ユニット6の位置よりも、下側である。物入51、物入52の、車両前後方向DR1における位置は、車両前後方向DR1における空調ユニット6の位置と重なる。
【0075】
ここで、ノイズ源である回路部204と、ヒータコア18と、物入51との位置関係について説明する。ヒータコア18は、回路部204と保護領域G1との間に配置される。これにより、回路部204の一部または全部は、ヒータコア18によって、保護領域G1から隠される。すなわち、保護領域G1に含まれる位置と、回路部204の当該一部または全部に含まれる位置の、どの組み合わせについても、それら2つの位置を繋ぐ直線が、ヒータコア18を貫く。
【0076】
この保護領域G1は、車室4内における空調ユニット6の外部の空間領域の一部を含む。また保護領域G1は、車室4内におけるダッシュボード40の内部の空間領域の一部および外部の空間領域(例えば、運転席41の乗員の足元空間F1)の一部を含む。より詳しくは、保護領域G1が、物入51の位置を含むよう、回路部204およびヒータコア18が配置されている。物入51は、ダッシュボード40に格納された状態においても、ダッシュボード40から突出した状態においても、保護領域G1内にある。また、ヒータコア18の外形の一方側の板面が回路部204に対向する。また、ヒータコア18の外形の他方側の板面が物入51に対向してもよいし、対向しなくてもよい。
【0077】
次に、ノイズ源である回路部204と、蒸発器16と、物入52との位置関係について説明する。蒸発器16は、回路部204と保護領域G2との間に配置される。これにより、回路部204の一部または全部は、蒸発器16によって、保護領域G2から隠される。すなわち、保護領域G2に含まれる位置と、回路部204の当該一部または全部に含まれる位置の、どの組み合わせについても、それら2つの位置を繋ぐ直線が、蒸発器16を貫く。
【0078】
この保護領域G2は、車室4内における空調ユニット6の外部の空間領域の一部を含む。また保護領域G2は、車室4内におけるダッシュボード40の内部の空間領域の一部および外部の空間領域(例えば、助手席42の乗員の足元空間F2)の一部を含む。より詳しくは、保護領域G2が、物入52の位置を含むよう、回路部204および蒸発器16が配置されている。物入52は、ダッシュボード40に格納された状態においても、ダッシュボード40から突出した状態においても、保護領域G2内にある。また、蒸発器16の外形の一方側の板面が回路部204に対向する。また、蒸発器16の外形の他方側の板面が物入52に対向してもよいし、対向しなくてもよい。
【0079】
このように、本実施形態では、電磁波遮蔽性を有する2つの機能部品すなわち蒸発器16、ヒータコア18によって、ノイズ源である回路部204が挟まれている。したがって、回路部204を中心とする広い立体角の範囲において、回路部204で発生した電磁ノイズを遮蔽することができる。そして、蒸発器16、ヒータコア18のいずれについても、回路部204の反対側に車室4内の空間がある。これにより、車室4内において、互いに重ならず離れた領域に、複数の保護領域G1、G2が形成される。そして、物入51、52等の保護領域G1、G2内の場所に置かれた電子機器が、回路部204より発生する電磁ノイズの影響を受けにくくなり当該電子機器の作動が良好に行われる。
【0080】
また、ヒータコア18の板面と蒸発器16の板面の両方が、回路部204に対向しているので、ヒータコア18、蒸発器16の外形に適したヒータコア18、蒸発器16の姿勢で、回路部204より発生する電磁ノイズを遮蔽することができる。
【0081】
その他、第1実施形態と類似の構成からは、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1実施形態に第2実施形態が適用されたのと同様に、本実施形態においても、送風機モータ202をブラシ付きモータに置き換えることができる。その場合は、第2実施形態と同様、整流子206、ブラシ207がノイズ源となる。
【0082】
(他の実施形態)
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、ある量について複数個の値が例示されている場合、特に別記した場合および原理的に明らかに不可能な場合を除き、それら複数個の値の間の値を採用することも可能である。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。また、本発明は、上記各実施形態に対する以下のような変形例および均等範囲の変形例も許容される。なお、以下の変形例は、それぞれ独立に、上記実施形態に適用および不適用を選択できる。すなわち、以下の変形例のうち任意の組み合わせを、上記実施形態に適用することができる。
【0083】
(変形例1)
上記実施形態では、ノイズ源からの電磁ノイズを遮蔽する機能部品として、ヒータコア18、蒸発器16が例示されている。しかし、これら以外の機能部品で当該ノイズを遮蔽することで車室4内に保護領域が形成されてもよい。
【0084】
例えば、上層エアミックスドア23、下層エアミックスドア24のような可動部品が、電磁ノイズを遮蔽する物質を含むことで、ノイズ源の電磁ノイズを遮蔽して車室4内に保護領域を形成してもよい。なお、上層エアミックスドア23、下層エアミックスドア24は、空調機能のうち、空気の加熱の程度を調整する機能を実現する。
【0085】
また例えば、送風ファン201のブレードのような可動部品が、電磁ノイズを遮蔽する物質を主要に含むことで、ノイズ源の電磁ノイズを遮蔽して車室4内に保護領域を形成してもよい。この場合、送風ファン201は、ノイズ源よりも車室4側に配置される。なお、送風ファン201のブレードは、空調機能のうち、送風機能を実現する。
【0086】
また、加熱機能、冷却機能、加熱の程度を調整する機能、送風機能以外の空調機能を実現する機能部品が、電磁ノイズを遮蔽する物質を主要に含むことで、ノイズ源の電磁ノイズを遮蔽して車室4内に保護領域を形成してもよい。そのような機能部品は、例えば、車室4内の空気の送り先を調整する配風機能を実現するフェイスドア25、フットドア26であってもよい。また、そのような機能部品は、車室4内の空気を清浄化する機能を実現するフィルタ14であってもよい。また、そのような機能部品は、車室4内の空気に臭いを負荷する機能を実現する装置であってもよい。また、そのような機能部品は、車室4内の空気の湿度を高める加湿機能を実現する装置であってもよい。
【0087】
(変形例2)
上記実施形態では、機能部品による電磁ノイズの遮蔽によって形成される保護領域は、車室4の一部のみを占める。しかし、保護領域が車室4の全体を占めていてもよい。
【0088】
(変形例3)
上記実施形態では、保護領域は、車室4内において乗員が携帯可能な物を保持するために設けられた保持部材の位置を含んでいる。しかし、保護領域は、そのような保持部材の位置を含んでいなくてもよい。
【0089】
(変形例4)
上記実施形態においては、ノイズ源である回路部204、整流子206、ブラシ207の、車両幅方向DR3における位置は、運転席41と助手席42の間であった。しかし、ノイズ源の、車両幅方向DR3における位置は、運転席41と助手席42の間以外であってもよい。
【0090】
(変形例5)
上記実施形態においては、空気流れの上流から順に蒸発器16、送風機20、ヒータコア18が配置されている。しかし、空調ユニット6における蒸発器16、送風機20、ヒータコア18のレイアウトは、このようなものに限られない。例えば、空気流れの上流から順に送風機20、蒸発器16、ヒータコア18が配置されていてもよいし、さらに別のレイアウトでもよい。
【0091】
(変形例6)
上記実施形態においては、空調ユニット6は送風機能、暖房機能、冷房機能を有している。しかし、空調ユニット6はこれらの機能をすべて備えている必要はない。例えば、これらのうち冷房機能と送風機能のみを備えていてもよいし、あるいは送風機能のみを備えていてもよい。あるいは、空調ユニット6は、送風機能と加湿機能のみを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0092】
6 空調ユニット
8、51、52 物入
16 蒸発器
18 ヒータコア
44 カップホルダ
202 送風機モータ
204 回路部
206 整流子
207 ブラシ
G、G1、G2 保護領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7