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特許7613408情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/0227 20240101AFI20250107BHJP
   G06T 7/62 20170101ALI20250107BHJP
   G01N 33/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
G01N15/0227
G06T7/62
G01N33/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022063155
(22)【出願日】2022-04-05
(65)【公開番号】P2023153710
(43)【公開日】2023-10-18
【審査請求日】2024-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村井 祐介
(72)【発明者】
【氏名】矢野 正雄
(72)【発明者】
【氏名】庄司 哲也
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-016172(JP,A)
【文献】特開平02-264845(JP,A)
【文献】特表2015-509208(JP,A)
【文献】国際公開第2014/203687(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/0227
G01N 33/00
G06T 7/62
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料組織が写る材料組織画像を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記材料組織画像に写る粒子のうち最も大きな粒子のサイズを表す最大粒子サイズを取得する粒子サイズ取得部と、
前記材料組織画像に対してパディング領域を設定した際の画像であるパディング済み画像に基づいて前記材料組織画像に存在する粒子のサイズ分布を推定する場合、前記パディング領域のサイズを変更した際の前記最大粒子サイズの推定結果の変動幅が所定閾値以下となるように、前記最大粒子サイズと前記パディング済み画像のサイズを表す画像サイズとの比を決定することにより、前記材料組織画像に設定する前記パディング領域のサイズを決定する決定部と、
前記決定部により決定されたサイズの前記パディング領域を、前記材料組織画像に対して設定することにより、前記パディング済みの前記材料組織画像を生成する設定部と、
前記設定部により生成された前記パディング済みの前記材料組織画像に対してフーリエ変換を実行し、実行結果であるフーリエ変換結果に基づいて、前記材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する計算部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記最大粒子サイズに応じて、前記最大粒子サイズと前記画像サイズとの関係を表すデータをデータベースから取得し、前記関係を表すデータに応じて前記パディング領域のサイズを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記最大粒子サイズと前記画像サイズとの比を繰り返し計算することにより、前記パディング領域のサイズを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記画像サイズに応じて、前記画像サイズと前記フーリエ変換の計算時間との関係を表すデータをデータベースから取得し、前記関係を表すデータに応じて前記パディング領域のサイズを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
材料組織が写る材料組織画像を取得し、
取得された前記材料組織画像に写る粒子のうち最も大きな粒子のサイズを表す最大粒子サイズを取得し、
前記材料組織画像に対してパディング領域を設定した際の画像であるパディング済み画像に基づいて前記材料組織画像に存在する粒子のサイズ分布を推定する場合、前記パディング領域のサイズを変更した際の前記最大粒子サイズの推定結果の変動幅が所定閾値以下となるように、前記最大粒子サイズと前記パディング済み画像のサイズを表す画像サイズとの比を決定することにより、前記材料組織画像に設定する前記パディング領域のサイズを決定し、
決定されたサイズの前記パディング領域を、前記材料組織画像に対して設定することにより、前記パディング済みの前記材料組織画像を生成し、
生成された前記パディング済みの前記材料組織画像に対してフーリエ変換を実行し、実行結果であるフーリエ変換結果に基づいて、前記材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する、
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項6】
材料組織が写る材料組織画像を取得し、
取得された前記材料組織画像に写る粒子のうち最も大きな粒子のサイズを表す最大粒子サイズを取得し、
前記材料組織画像に対してパディング領域を設定した際の画像であるパディング済み画像に基づいて前記材料組織画像に存在する粒子のサイズ分布を推定する場合、前記パディング領域のサイズを変更した際の前記最大粒子サイズの推定結果の変動幅が所定閾値以下となるように、前記最大粒子サイズと前記パディング済み画像のサイズを表す画像サイズとの比を決定することにより、前記材料組織画像に設定する前記パディング領域のサイズを決定し、
決定されたサイズの前記パディング領域を、前記材料組織画像に対して設定することにより、前記パディング済みの前記材料組織画像を生成し、
生成された前記パディング済みの前記材料組織画像に対してフーリエ変換を実行し、実行結果であるフーリエ変換結果に基づいて、前記材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する、
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像処理を用いて、多結晶体上にある金属粒子の粒度を簡易かつ正確に求めることができる粒度測定方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示されている方法は、被測定物質を撮像装置で撮影し、電子データ画像を得る。次に、特許文献1に開示されている方法は、得られた電子画像データに、フーリエ変換を施し、複数の異なる周波数成分からなる画像信号に置き換えた後、バンドパスフィルタ処理によって、測定対象物の粒子によって生じる特定周波数の画像信号を抽出する。そして、特許文献1に開示されている方法は、得られた特定周波数の画像信号に対して、平坦化処理、コントラスト調整を施すことにより、測定対象物の粒子を抽出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-63565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の技術は、電子画像データに対してフーリエ変換を施すことにより、電子画像データに写る測定対象物の粒子を抽出する。
【0005】
なお、材料組織が写る画像(以下、単に材料組織画像とも称する。)内の粒子のサイズ分布を計算する際にも、既知の周波数解析の一例であるフーリエ変換を利用することが可能である。しかし、材料組織画像に対するフーリエ変換結果を利用して、その材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を推定する場合、材料組織画像に写る粒子のサイズと材料組織画像のサイズとの間の関係によっては、その推定精度が低下する場合がある、という課題がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、フーリエ変換を利用して材料組織画像から材料を構成する粒子のサイズ分布を推定する際に、粒子のサイズ分布を精度良く推定することができる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様に係る情報処理装置は、材料組織が写る材料組織画像を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記材料組織画像に写る粒子のうち最も大きな粒子のサイズを表す最大粒子サイズを取得する粒子サイズ取得部と、前記材料組織画像に対してパディング領域を設定した際の画像であるパディング済み画像に基づいて前記材料組織画像に存在する粒子のサイズ分布を推定する場合、前記パディング領域のサイズを変更した際の前記最大粒子サイズの推定結果の変動幅が所定閾値以下となるように、前記最大粒子サイズと前記パディング済み画像のサイズを表す画像サイズとの比を決定することにより、前記材料組織画像に設定する前記パディング領域のサイズを決定する決定部と、前記決定部により決定されたサイズの前記パディング領域を、前記材料組織画像に対して設定することにより、前記パディング済みの前記材料組織画像を生成する設定部と、前記設定部により生成された前記パディング済みの前記材料組織画像に対してフーリエ変換を実行し、実行結果であるフーリエ変換結果に基づいて、前記材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する計算部と、を備える情報処理装置である。
【0008】
情報処理装置は、材料組織が写る材料組織画像を取得する。情報処理装置は、取得された材料組織画像に写る粒子のうち最も大きな粒子のサイズを表す最大粒子サイズを取得する。情報処理装置は、材料組織画像に対してパディング領域を設定した際の画像であるパディング済み画像に基づいて材料組織画像に存在する粒子のサイズ分布を推定する場合、パディング領域のサイズを変更した際の最大粒子サイズの推定結果の変動幅が所定閾値以下となるように、最大粒子サイズとパディング済み画像のサイズを表す画像サイズとの比を決定することにより、材料組織画像に設定するパディング領域のサイズを決定する。情報処理装置は、決定されたサイズのパディング領域を、材料組織画像に対して設定することにより、パディング済みの材料組織画像を生成する。情報処理装置は、生成されたパディング済みの材料組織画像に対してフーリエ変換を実行し、実行結果であるフーリエ変換結果に基づいて、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する。これにより、フーリエ変換を利用して材料組織画像から材料を構成する粒子のサイズ分布を推定する際に、粒子のサイズ分布を精度良く推定することができる。
【0009】
第2態様に係る情報処理装置の前記決定部は、前記最大粒子サイズに応じて、前記最大粒子サイズと前記画像サイズとの関係を表すデータをデータベースから取得し、前記関係を表すデータに応じて前記パディング領域のサイズを決定する。これにより、予め設定された最大粒子サイズと画像サイズとの関係に基づいて、粒子のサイズ分布を精度良くかつ簡易に推定することができる。
【0010】
第3態様に係る情報処理装置の前記決定部は、前記最大粒子サイズと前記画像サイズとの比を繰り返し計算することにより、前記パディング領域のサイズを決定する。これにより、最大粒子サイズと画像サイズとの比の実際の繰り返し計算結果に基づいて粒子のサイズ分布を精度良くかつ簡易に推定することができる。
【0011】
第4態様に係る情報処理装置の前記決定部は、前記画像サイズに応じて、前記画像サイズと前記フーリエ変換の計算時間との関係を表すデータをデータベースから取得し、前記関係を表すデータに応じて前記パディング領域のサイズを決定する。これにより、フーリエ変換を利用して材料組織画像から材料を構成する粒子のサイズ分布を推定する際に、計算コストを低減させつつ、粒子のサイズ分布を精度良く推定することができる。
【0012】
第5態様に係る情報処理方法は、材料組織が写る材料組織画像を取得し、取得された前記材料組織画像に写る粒子のうち最も大きな粒子のサイズを表す最大粒子サイズを取得し、前記材料組織画像に対してパディング領域を設定した際の画像であるパディング済み画像に基づいて前記材料組織画像に存在する粒子のサイズ分布を推定する場合、前記パディング領域のサイズを変更した際の前記最大粒子サイズの推定結果の変動幅が所定閾値以下となるように、前記最大粒子サイズと前記パディング済み画像のサイズを表す画像サイズとの比を決定することにより、前記材料組織画像に設定する前記パディング領域のサイズを決定し、決定されたサイズの前記パディング領域を、前記材料組織画像に対して設定することにより、前記パディング済みの前記材料組織画像を生成し、生成された前記パディング済みの前記材料組織画像に対してフーリエ変換を実行し、実行結果であるフーリエ変換結果に基づいて、前記材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する、処理をコンピュータが実行する情報処理方法である。
【0013】
第6態様に係る情報処理プログラムは、材料組織が写る材料組織画像を取得し、取得された前記材料組織画像に写る粒子のうち最も大きな粒子のサイズを表す最大粒子サイズを取得し、前記材料組織画像に対してパディング領域を設定した際の画像であるパディング済み画像に基づいて前記材料組織画像に存在する粒子のサイズ分布を推定する場合、前記パディング領域のサイズを変更した際の前記最大粒子サイズの推定結果の変動幅が所定閾値以下となるように、前記最大粒子サイズと前記パディング済み画像のサイズを表す画像サイズとの比を決定することにより、前記材料組織画像に設定する前記パディング領域のサイズを決定し、決定されたサイズの前記パディング領域を、前記材料組織画像に対して設定することにより、前記パディング済みの前記材料組織画像を生成し、生成された前記パディング済みの前記材料組織画像に対してフーリエ変換を実行し、実行結果であるフーリエ変換結果に基づいて、前記材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する、処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本開示によれば、フーリエ変換を利用して材料組織画像から材料を構成する粒子のサイズ分布を推定する際に、粒子のサイズ分布を精度良く推定することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る情報処理装置の概略ブロック図である。
図2】実施形態の概要を説明するための図である。
図3】実施形態の概要を説明するための図である。
図4】材料組織画像に写る粒子のサイズ分布の推定誤差を説明するための図である。
図5】材料組織画像のサイズを変化させた場合のフーリエ変換結果から得られるパワースペクトルの積算値を説明するための図である。
図6】材料組織画像のサイズを変化させた場合のフーリエ変換結果から得られるパワースペクトルの積算値を説明するための図である。
図7】パディング済みの画像を説明するための図である。
図8】材料組織画像に写る粒子のサイズ分布の推定精度の飽和を説明するための図である。
図9】計算対象の画像サイズとフーリエ変換の計算時間との関係を説明するための図である。
図10】データベースに格納されるテーブルの一例を示す図である。
図11】データベースに格納されるテーブルの一例を示す図である。
図12】実施形態に係る情報処理装置のコンピュータの構成例を示す図である。
図13】実施形態に係る情報処理装置で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
以下、図面を用いて実施形態の情報処理装置について説明する。
【0017】
図1は、実施形態に係る情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、機能的には、図1に示されるように、取得部100と、粒子サイズ取得部102と、データベース103と、決定部104と、設定部106と、計算部108とを備える。実施形態の情報処理装置10は、顕微鏡を用いて材料を観察した際に撮像された画像である材料組織画像から、その材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する。
【0018】
図2に、実施形態の情報処理装置10を説明するための説明図を示す。図2に示されるように、実施形態の情報処理装置10は、顕微鏡を用いて材料を観察した際に撮像された画像である材料組織画像Imから、その材料組織画像Imに写る粒子のサイズ分布Dを計算する。材料組織画像Imに写る粒子のサイズ分布Dを取得することが可能であれば、そのサイズ分布Dに基づいて、材料組織画像Imに対応する材料の性質に関する情報を得ることが可能となる。
【0019】
図3に、材料組織画像とその材料組織画像に含まれる周波数との間の関係を説明するための図を示す。図3に示されるように、材料組織画像Imは、様々な周波数の画像信号If1,If2,If3の重ね合わせによって構成される。これらの複数の画像信号If1,If2,If3の重ね合わせが材料組織画像Imに相当する。この場合、材料組織画像Imに対して周波数解析の一例であるフーリエ変換を行うことにより、図3に示されるようなフーリエ変換結果FFTが得られる。なお、図3のフーリエ変換結果FFTに対応する画像の画素値がパワースペクトルを表し、画素値が高いほどパワースペクトルの値が高い。図3に示されるフーリエ変換結果FFTから、図3に示されるAからBまでのパワースペクトルの値が抽出される。その際に、AからBの直線をR方向へ回転させつつ、各位置で取得されるパワースペクトルの値を積算した値が、パワースペクトルの積算値PSとして取得される。このようなフーリエ変換結果を用いて、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を求めることも可能である。
【0020】
なお、材料組織画像をそのままフーリエ変換することにより材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を推定した場合と、材料組織画像に写る実際の粒子のサイズ分布との間には誤差が生じる場合がある。この点について、図4を用いて説明する。
【0021】
図4に示されるように、擬似材料組織画像Impのフーリエ変換結果FFTからパワースペクトルの積算値PSが得られる。なお、擬似材料組織画像Impのフーリエ変換結果FFTに基づく推定処理により得られるパワースペクトルの積算値は図4中の「estimated」に相当する。これに対し、擬似材料組織画像Impに写る実際の粒子に対応するフーリエ変換結果から得られるパワースペクトルの積算値の理論値は図4中の「particle integrate」に相当する。このため、擬似材料組織画像Impをそのままフーリエ変換結果することにより推定された粒子のサイズ分布と、擬似材料組織画像Impに写る実際の粒子のサイズ分布との間には誤差が生じ得る。図4に示されるように、推定された粒子のサイズ分布Dにおける最頻値はSであるのに対し、実際の粒子のサイズ分布における最頻値はSrとなる。
【0022】
このような誤差は、材料組織画像のサイズとその材料組織画像に写る粒子のサイズとの間の比に起因している。図5に、材料組織画像のサイズと粒子のサイズとの比と、フーリエ変換結果から得られるパワースペクトルの積算値との関係を説明するための図を示す。
【0023】
図5に示されているように、擬似材料組織画像Imp1から得られるパワースペクトルの積算値(図中では「intensity small」)と、擬似材料組織画像Imp2から得られるパワースペクトルの積算値(図中では「intensity large」)とでは、その値が異なっていることがわかる。擬似材料組織画像Imp1に写る2つの粒子のサイズと、擬似材料組織画像Imp2に写る2つの粒子のサイズとは何れも4μm程度である。その一方で、擬似材料組織画像Imp1のサイズは16μm×16μmであるのに対し、擬似材料組織画像Imp2のサイズは50μm×50μmである。このため、粒子のサイズに対して材料組織画像のサイズが大きいほど精度の高いフーリエ変換結果を得ることができ、粒子のサイズを精度良く推定することが可能となる。
【0024】
図6に、サイズ20pixelの粒子(図中ではrsize20と表記)が写る材料組織画像のサイズ(図中ではpixel100等と表記)を変化させた場合の、フーリエ変換結果から得られるパワースペクトルの積算値を示す。図6に示されるように、材料組織画像のサイズが大きいほど、フーリエ変換結果から得られるパワースペクトルの積算値の精度が高いことがわかる。
【0025】
このため、本実施形態の情報処理装置10は、図7に示されるように、材料組織画像の原画像に対してパディング領域Pを設定してパディング済みの画像Imxを生成する。これにより、材料組織画像のサイズが大きくなり材料組織画像の原画像に写る粒子のサイズ分布の推定精度を向上させることができる。なお、例えば、パディング領域Pの各画素には画素値0が設定される。
【0026】
しかし、その一方で、解析対象の画像のサイズが大きいほどその計算コストは高くなり、粒子のサイズ分布を推定するための計算時間が長くなる、という課題が発生し得る。
【0027】
図8に、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布の推定精度の飽和を説明するための図を示す。なお、図8において解析対象とする材料組織画像では1pixelが10[nm]に相当する。材料組織画像に写る最も大きな粒子のサイズを、以下では「最大粒子サイズ」とも称する。
【0028】
図8における「d40pixel」は、材料組織画像に写る最大粒子サイズ(最大粒子の径)が40pixelに相当することを表し、「d80pixel」は材料組織画像に写る最大粒子サイズが80pixelに相当することを表し、「d160pixel」は材料組織画像に写る最大粒子サイズが160pixelであることを表す。また、図8における「400nm」、「800nm」、及び「1600nm」は最大粒子サイズの真の値を表す。
【0029】
図8の左側のグラフの横軸は、材料組織画像に対してパディング領域を設定することにより生成されたパディング済みの材料組織画像の一辺のサイズを表す。図8の左側のグラフの縦軸は、最大粒子サイズを表す。また、図8の右側のグラフの横軸は、材料組織画像に写る最大の粒子のサイズをパディング済みの材料組織画像の一辺のサイズで除することにより得られる比を表す。図8の右側のグラフの縦軸は、最大粒子サイズを表す。
【0030】
図8の左側のグラフに示されるように、パディング済みの材料組織画像の一辺のサイズが大きいほど、推定される最大粒子サイズ(図中の「d40pixel」、「d80pixel」、及び「d160pixel」)は真の値(図中の「400nm」、「800nm」、及び「1600nm」)に近づくことがわかる。
【0031】
また、図8の右側のグラフに示されるように、材料組織画像に写る最大の粒子のサイズをパディング済みの材料組織画像の一辺のサイズで除することにより得られる比が小さくなるほど、推定される最大粒子サイズ(図中の「d40pixel」、「d80pixel」、及び「d160pixel」)は真の値(図中の「400nm」、「800nm」、及び「1600nm」)に近づくことがわかる。
【0032】
このように、解析対象の画像のサイズが大きいほど、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布の推定精度を向上させることができるものの、その推定精度は飽和する。図8に示されている例では、その比が0.1程度となった箇所Tでは、最大粒子サイズの推定結果の変動幅がほぼ収束していることがわかる。
【0033】
そこで本実施形態の情報処理装置10は、パディング領域のサイズを変更する際に、材料組織画像に写る最も大きな粒子のサイズの推定結果の変動幅が所定閾値以下となるように、最大粒子サイズとパディング領域を含む画像サイズとの比を決定することにより、材料組織画像に設定するパディング領域のサイズを決定する。
【0034】
具体的には、本実施形態では、最大粒子サイズ毎に、最大粒子サイズとパディング済みの材料組織画像の画像サイズとの比をデータベース103へ予め格納しておく。そして、本実施形態の情報処理装置10は、材料組織画像に写る粒子のうちの最大粒子サイズに応じて、最大粒子サイズとパディング済みの材料組織画像の画像サイズとの比をデータベース103から取得し、当該比に基づきパディング領域のサイズを決定する。情報処理装置10は、決定されたサイズのパディング領域を材料組織画像へ付加することにより、パディング済みの材料組織画像を生成する。そして、本実施形態の情報処理装置10は、生成されたパディング済みの材料組織画像をフーリエ変換することにより、その材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を推定する。これにより、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を精度良く推定することができる。
【0035】
なお、計算対象の画像サイズによっては、フーリエ変換の性質により計算速度が低下する場合がある。図9に、計算対象の画像サイズとフーリエ変換の計算時間との関係を説明するための図を示す。図9に示されているように、実際の画像データをフーリエ変換する場合には、解析対象の画像サイズが数ピクセル増加しただけでフーリエ変換に要する計算時間が約5~6倍となる。
【0036】
図9に示されているグラフは、横軸が計算対象の画像サイズ(画像一辺のピクセル数)を表し、縦軸が計算時間を表している。図9に示されているグラフの各プロット点で示されているように、計算対象の画像サイズが数ピクセル異なるだけで、計算時間が大きく増加したり、減少したりしていることがわかる。
【0037】
例えば、図9に示されているように、2000pixelの材料組織画像のフーリエ変換の計算に要する計算時間が0.1秒であったとする。この材料組織画像にパディング領域を設定することにより、約10000pixelとなった場合、約10000pixel付近のプロット点Xとプロット点Yとではその計算時間が大きく異なる。図9に示されているように、プロット点Xにおける計算時間は13.2秒であるのに対し、プロット点Yにおける計算時間は2.6秒である。このため、2000pixelの材料組織画像に対してパディング領域を設定することにより約10000pixelとした場合、プロット点Yに対応する画像サイズ(例えば、10010pixel)では計算時間が2.5秒増加するのに対し、プロット点Xに対応する画像サイズ(例えば、10000pixel)では計算時間が13.1秒増加してしまう。
【0038】
そこで、本実施形態の情報処理装置10は、画像サイズとフーリエ変換の計算時間(又は計算速度)とが対応付けられたテーブルを参照し、パディング済みの材料組織画像の画像サイズを調整する。例えば、本実施形態の情報処理装置10は、パディング済みの材料組織画像の画像サイズが、図9のX点に相当する画像サイズであると算定された場合には、その画像サイズよりも少し大きい画像サイズであるY点の画像サイズとなるように、パディング済みの材料組織画像の画像サイズを調整する。この調整を行うことにより、例えば図9の例では、10.6秒の計算時間を削減することができる。このため、パディング済みの材料組織画像の画像サイズを調整することにより、計算時間を抑制しつつ材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を精度良く推定することができる。以下、具体的に説明する。
【0039】
取得部100は、顕微鏡を用いて材料を観察した際に撮像された画像である材料組織画像を取得する。材料組織画像は、材料の組織を表す画像である。
【0040】
粒子サイズ取得部102は、既知の画像処理技術を利用して、取得部100により取得された材料組織画像に写る粒子のうち、最も大きな粒子のサイズを表す最大粒子サイズを取得する。
【0041】
データベース103には、例えば、最大粒子サイズ毎に、最大粒子サイズと画像サイズとの比に関するデータが対応付けられた第1テーブルが格納されている。また、データベース103には、画像サイズとフーリエ変換の計算時間とが対応付けられた第2テーブルが格納されている。図10及び図11に、データベース103に格納されるテーブルの一例を示す。
【0042】
図10に示されている第1テーブルには、材料組織画像に存在する粒子のサイズ分布を推定する場合において、材料組織画像に付加するパディング領域のサイズを変更した際の最大粒子サイズの推定結果の変動幅が所定閾値以下となるような、最大粒子サイズと画像サイズとの比が対応付けられている。なお、最大粒子サイズと画像サイズとの比は、最大粒子サイズと画像サイズとの関係を表すデータの一例である。
【0043】
例えば、図10に示されているように、最大粒子サイズが20pixelである場合には、最大粒子サイズと画像サイズとの適切な比は0.1であり、適切な画像サイズ(一辺の長さ)は200pixelである。この適切な比が0.1であるということ又は適切な画像サイズ(一辺の長さ)が200pixelであるということは、例えば、上記図8に示されているような計算結果から予め設定される。図8では、最大粒子サイズに応じて、最大粒子サイズの推定結果が変動しているが、その変動幅が所定閾値以下となるような適切な比又は適切な画像サイズが、データベース103の第1テーブルに予め格納される。一方、図11に示されている第2テーブルには、画像サイズとフーリエ変換の計算時間とが対応付けられている。これらのテーブルの利用方法は後述する。
【0044】
決定部104は、粒子サイズ取得部102により取得された最大粒子サイズに応じて、最大粒子サイズと画像サイズとの比を決定することにより、材料組織画像に設定するパディング領域のサイズを決定する。
【0045】
具体的には、決定部104は、データベース103の第1テーブルを参照し、粒子サイズ取得部102により取得された最大粒子サイズに対応付けられている適切な比又は適切な画像サイズを取得する。そして、決定部104は、最大粒子サイズに対応付けられている適切な比又は適切な画像サイズに応じて、パディング領域のサイズを決定する。
【0046】
例えば、材料組織画像における最大粒子サイズが20pixelであり、材料組織画像が128pixelである場合を考える。この場合、決定部104は、データベース103の第1テーブルを参照し、最大粒子サイズ20pixelに対応付けられている適切な比0.1又は適切な画像サイズ200pixelを参照することにより、72pixelのパディング領域を材料組織画像に対して付加することを決定する。
【0047】
さらに、決定部104は、決定したパディング領域のサイズに応じてパディング領域のサイズを調整する。具体的には、決定部104は、データベース103の第2テーブルを参照し、パディング領域のサイズを調整する。
【0048】
例えば、上述したように72pixelのパディング領域が決定され、解析対象の画像サイズが200pixelとなった場合を考える。この場合、決定部104は、データベース103の第2テーブルを参照し、画像サイズ200pixelに対応付けられている計算時間T2と、画像サイズ200pixelよりも大きい画像サイズ(例えば、200pixel,201pixel,202pixel)の計算時間(T3,T4)とを比較し、その中で計算時間が最も短い画像サイズとなるように、パディング領域のサイズを調整する。例えば、決定部104は、画像サイズ202pixelの計算時間T4が最も短い場合には、パディング領域のサイズを調整し、画像サイズ202pixelとなるように、パディング領域のサイズを74pixelと決定する。これにより、計算精度を保ちつつ、計算時間を低減させることができる。
【0049】
設定部106は、決定部104により決定されたサイズのパディング領域を、取得部100により取得された材料組織画像に対して設定することにより、パディング済みの材料組織画像を生成する。例えば、設定部106は、上述したように74pixelのパディング領域を、材料組織画像に対して設定することにより、画像サイズが202pixelのパディング済みの材料組織画像を生成する。
【0050】
計算部108は、設定部106により生成されたパディング済みの材料組織画像に対してフーリエ変換を実行し、実行結果であるフーリエ変換結果に基づいて、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する。具体的には、計算部108は、特開2022-016172号公報に開示されている技術を用いて、パディング済みの材料組織画像のフーリエ変換結果に基づいて、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する。
【0051】
表示部(図示省略)は、計算部108により計算されたサイズ分布を結果として出力する。情報処理装置10のユーザは、表示部(図示省略)に表示されたサイズ分布の結果を確認する。
【0052】
情報処理装置10は、例えば、図12に示すようなコンピュータ50によって実現することができる。情報処理装置10を実現するコンピュータ50は、CPU51、一時記憶領域としてのメモリ52、及び不揮発性の記憶部53を備える。また、コンピュータは、入出力装置等(図示省略)が接続される入出力interface(I/F)54、及び記録媒体59に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部55を備える。また、コンピュータは、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークI/F56を備える。CPU51、メモリ52、記憶部53、入出力I/F54、R/W部55、及びネットワークI/F56は、バス57を介して互いに接続される。
【0053】
記憶部53は、Hard Disk Drive(HDD)、solid state drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部53には、コンピュータを機能させるためのプログラムが記憶されている。CPU51は、プログラムを記憶部53から読み出してメモリ52に展開し、プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0054】
次に、実施形態の情報処理装置10の作用について説明する。
【0055】
解析対象の材料組織画像が情報処理装置10へ入力されると、情報処理装置10は、図13に示す情報処理ルーチンを実行する。
【0056】
ステップS100において、取得部100は、入力された材料組織画像を取得する。
【0057】
ステップS102において、粒子サイズ取得部102は、既知の画像処理技術を利用して、ステップS100で取得された材料組織画像に写る粒子のうち、最も大きな粒子のサイズを表す最大粒子サイズを取得する。
【0058】
ステップS104において、決定部104は、データベース103の第1テーブルを参照し、ステップS102で取得された最大粒子サイズに対応する適切な比又は適切な画像サイズに基づいてパディング領域のサイズを決定する。これにより、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を精度良く推定するためのパディング領域のサイズが決定される。
【0059】
ステップS106において、決定部104は、データベース103の第2テーブルを参照し、ステップS104で決定されたパディング領域のサイズを調整する。これにより、計算時間を抑制しつつ材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を精度良く推定するためのパディング領域のサイズが決定される。
【0060】
ステップS108において、設定部106は、ステップS106で調整されたサイズのパディング領域を、ステップS100で取得された材料組織画像に対して設定することにより、パディング済みの材料組織画像を生成する。
【0061】
ステップS110において、計算部108は、特開2022-016172号公報に開示されている技術を用いて、ステップS108で得られたパディング済みの材料組織画像に対するフーリエ変換結果に基づいて、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する。
【0062】
ステップS112において、計算部108は、ステップS110で計算された粒子のサイズ分布を結果として出力する。
【0063】
以上説明したように、実施形態に係る情報処理装置10は、材料組織が写る材料組織画像に写る粒子のうち最も大きな粒子のサイズを表す最大粒子サイズを取得する。情報処理装置10は、材料組織画像に対してパディング領域を設定した際の画像であるパディング済み画像に基づいて材料組織画像に存在する粒子のサイズ分布を推定する場合、パディング領域のサイズを変更した際の最大粒子サイズの推定結果の変動幅が所定閾値以下となるように、最大粒子サイズとパディング済み画像のサイズを表す画像サイズとの比を決定することにより、材料組織画像に設定するパディング領域のサイズを決定する。情報処理装置10は、決定されたサイズのパディング領域を、材料組織画像に対して設定することにより、パディング済みの材料組織画像を生成する。情報処理装置10は、生成されたパディング済みの材料組織画像に対してフーリエ変換を実行し、実行結果であるフーリエ変換結果に基づいて、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する。これにより、フーリエ変換を利用して材料組織画像から材料を構成する粒子のサイズ分布を推定する際に、粒子のサイズ分布を精度良く推定することができる。
【0064】
具体的には、本実施形態の情報処理装置10は、最大粒子サイズに応じて、最大粒子サイズと画像サイズとの関係を表すデータである第1テーブルをデータベースから取得し、第1テーブルに応じてパディング領域のサイズを決定する。これにより、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を精度良く推定することができる。
【0065】
また、上記図8に示されているように、材料組織画像に写る粒子のうちの最大の粒子のサイズである最大粒子サイズが大きいほど、最大粒子サイズの推定結果の変動幅が収束するパディング領域のサイズは大きいことがわかる。本実施形態の情報処理装置10は、この最大粒子サイズを利用してパディング領域のサイズを決定することにより、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を精度良く推定することができる。
【0066】
また、本実施形態の情報処理装置10は、パディング済み画像の画像サイズに応じて、画像サイズとフーリエ変換の計算時間との関係を表すデータである第2テーブルを参照し、パディング領域のサイズを決定する。これにより、計算時間を抑制しつつ材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を精度良く推定することができる。
【0067】
なお、上記の実施形態における各装置で行われる処理は、プログラムを実行することにより行われるソフトウエア処理として説明したが、ハードウエアで行う処理としてもよい。或いは、ソフトウエア及びハードウエアの双方を組み合わせた処理としてもよい。また、ROMに記憶されるプログラムは、各種記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0068】
さらに、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0069】
例えば、上記実施形態の情報処理装置10は、データベース103に格納されている第1テーブルを参照することによりパディング領域のサイズを決定する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、情報処理装置10は、図8に示されているようにパディング領域のサイズを徐々に増加させて、最大粒子サイズと画像サイズとの比を繰り返し計算することにより、パディング領域のサイズを決定するようにしてもよい。この場合には、情報処理装置10は、パディング領域のサイズを変更した際の最大粒子サイズの推定結果の変動幅が所定閾値以下となったときのパディング領域のサイズを、材料組織画像に対して設定する。
【0070】
また、例えば、上記実施形態の情報処理装置10のデータベース103には、第1テーブル及び第2テーブルが格納されている場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。データベース103には、パディング済み画像のサイズを決定可能なデータであれば、どのような形式のデータが格納されていてもよい。
【0071】
また、上記実施形態の情報処理装置10のデータベース103の第2テーブルには、実装の具体的な形態(例えば、プログラム言語の種類等)を更に対応付け、それらの形態に応じてパディング領域のサイズを決定するようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態の情報処理装置10は、特開2022-016172号公報に開示されている技術を用いて、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。情報処理装置10は、フーリエ変換を利用する他の手法を用いて、材料組織画像に写る粒子のサイズ分布を計算するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 情報処理装置
50 コンピュータ
100 取得部
102 粒子サイズ取得部
103 データベース
104 決定部
106 設定部
108 計算部
図1
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図3
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図5
図6
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図9
図10
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図13