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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】充電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20250107BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20250107BHJP
   H02J 7/04 20060101ALI20250107BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20250107BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20250107BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20250107BHJP
   H01M 10/635 20140101ALI20250107BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20250107BHJP
【FI】
H02J7/02 B
H02J7/00 P
H02J7/04 Q
H02J7/10 Q
B60L53/30
H01M10/613
H01M10/635
H01M10/625
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022095963
(22)【出願日】2022-06-14
(65)【公開番号】P2023182387
(43)【公開日】2023-12-26
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 慶幸
(72)【発明者】
【氏名】横田 和幸
【審査官】新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/061465(WO,A1)
【文献】特開2010-233360(JP,A)
【文献】特開2014-018002(JP,A)
【文献】特開2020-195204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H02J 7/04
H02J 7/10
B60L 53/30
H01M 10/613
H01M 10/635
H01M 10/625
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外部充電を制御する充電制御装置であって、
前記車両は、
前記車両の走行用の電力を蓄える蓄電装置と、
前記車両の外部からの電力を前記蓄電装置に適合した電力に変換する変換装置と、
前記蓄電装置および前記変換装置の少なくとも一方を冷却する冷却装置と、
前記充電制御装置とを備え、
前記充電制御装置は、前記変換装置および前記冷却装置を制御する制御部を含み、
低電力レベルは、前記冷却装置の低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルであり、
前記低電力レベルと比較して高い高電力レベルは、前記低駆動レベルでの冷却制御で前記適正温度範囲を維持不能である一方、前記低駆動レベルと比較して冷却能力が高い高駆動レベルでの冷却制御で前記適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルであり、
前記制御部は、
前記蓄電装置への必要充電量を特定し、
特定した前記必要充電量に到達可能な所定充電量までは、前記高電力レベルで前記蓄電装置を充電するとともに、前記所定充電量に到達した後は、前記低電力レベルで前記蓄電装置を充電するよう、前記変換装置を制御する、充電制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記高電力レベルの充電時には前記高駆動レベルで前記冷却装置を制御する一方、前記低電力レベルの充電時には前記低駆動レベルで前記冷却装置を制御する、請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、次回の走行予定で消費すると予測される電力量から前記必要充電量を特定する、請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項4】
前記所定充電量は、前記必要充電量と等しい、請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
充電完了の予定時刻を取得し、
充電開始時の時刻に、前記所定充電量まで高電力レベルで充電するのに要する期間と、前記所定充電量から前記必要充電量まで低電力レベルで充電するのに要する期間とを加算した時刻が、前記予定時刻より前となるように、前記所定充電量を算出する、請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、車両の走行履歴から推定することで前記必要充電量を特定する、請求項1に記載の充電制御装置。
【請求項7】
車両の外部充電を制御する充電制御装置であって、
前記車両は、
前記車両の走行用の電力を蓄える蓄電装置と、
前記車両の外部からの電力を前記蓄電装置に適合した電力に変換する変換装置と、
前記蓄電装置および前記変換装置の少なくとも一方を冷却する冷却装置と、
前記充電制御装置とを備え、
前記充電制御装置は、前記変換装置および前記冷却装置を制御する制御部を含み、
低電力レベルは、前記冷却装置の低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルであり、
前記低電力レベルと比較して高い高電力レベルは、前記低駆動レベルでの冷却制御で前記適正温度範囲を維持不能である一方、前記低駆動レベルと比較して冷却能力が高い高駆動レベルでの冷却制御で前記適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルであり、
前記制御部は、
前記蓄電装置への必要充電量を特定し、
充電完了の予定時刻を特定し、
特定された前記予定時刻が、充電開始時の時刻に、特定された前記必要充電量まで低電力レベルで充電するのに要する期間を加算した完了時刻以降である場合、前記低電力レベルで前記蓄電装置を充電するよう、前記変換装置を制御する一方、
前記予定時刻が前記完了時刻以降でない場合、特定した前記必要充電量に前記予定時刻までに到達可能な所定充電量までは、前記高電力レベルで前記蓄電装置を充電するとともに、前記所定充電量に到達した後は、前記低電力レベルで前記蓄電装置を充電するよう、前記変換装置を制御する、充電制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記高電力レベルの充電時には前記高駆動レベルで前記冷却装置を制御する一方、前記低電力レベルの充電時には前記低駆動レベルで前記冷却装置を制御する、請求項7に記載の充電制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、現在時刻が騒音の影響が他の時間帯と比較して小さい時間帯である場合、前記低電力レベルに替えて前記高電力レベルで前記蓄電装置を充電するよう、前記変換装置を制御する、請求項7に記載の充電制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、現在地が騒音の影響が他の場所と比較して小さい場所である場合、前記低電力レベルに替えて前記高電力レベルで前記蓄電装置を充電するよう、前記変換装置を制御する、請求項7に記載の充電制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
騒音抑制モードまたは充電優先モードの選択をユーザから受付け、
前記充電優先モードの選択が受付けられた場合、前記低電力レベルに替えて前記高電力レベルで前記蓄電装置を充電するよう、前記変換装置を制御する、請求項7に記載の充電制御装置。
【請求項12】
前記制御部は、車両の走行履歴から推定することで前記予定時刻を特定する、請求項7に記載の充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、充電制御装置に関し、特に、車両の外部充電を制御する充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、急速充電が実行でき、急速充電を行う状態であるときに、騒音レベル関係がファン騒音レベルよりも車両の騒音レベルが大きい関係であると判断される場合、バッテリ冷却ファンの作動水準を高冷却水準に設定し、そのように判断されない場合、バッテリ冷却ファンの作動水準を通常水準よりは冷却能力が高く、高冷却水準よりは冷却能力が低い中冷却水準に設定する、車両用のバッテリ冷却制御システムがあった(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-336691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で示されるように、充電中におけるバッテリ冷却ファンなどの冷却装置の駆動音が、懸念点として挙げられている。特許文献1においては、車速の大きさまたは車載用機器の音量設定から求められる騒音レベルが大きい場合、バッテリ冷却ファンの駆動音の影響が小さいと判断してバッテリ冷却ファンを高冷却水準で駆動する技術が開示されている。この技術に従えば、車両が停車した状態で外部充電を行う場合、走行や車載用機器による騒音が無いため、バッテリ冷却ファンを高冷却水準で駆動できる場面が無いといった問題があった。
【0005】
この開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、充電中における冷却装置の駆動音の騒音の影響を低減することが可能な充電制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示に係る充電制御装置は、車両の外部充電を制御する充電制御装置である。車両は、車両の走行用の電力を蓄える蓄電装置と、車両の外部からの電力を蓄電装置に適合した電力に変換する変換装置と、蓄電装置および変換装置の少なくとも一方を冷却する冷却装置と、充電制御装置とを備える。充電制御装置は、変換装置および冷却装置を制御する制御部を含む。低電力レベルは、冷却装置の低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルである。低電力レベルと比較して高い高電力レベルは、低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持不能である一方、低駆動レベルと比較して冷却能力が高い高駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルである。制御部は、蓄電装置への必要充電量を特定し、特定した必要充電量に到達可能な所定充電量までは、高電力レベルで蓄電装置を充電するとともに、所定充電量に到達した後は、低電力レベルで蓄電装置を充電するよう、変換装置を制御する。
【0007】
このような構成によれば、必要充電量に到達可能な所定充電量までは、高駆動レベルでの冷却制御でなければ適正温度範囲を維持できない高電力レベルで蓄電装置が充電されるが、所定充電量に到達した後は、低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持できる低電力レベルで蓄電装置が充電される。このため、高駆動レベルでの冷却装置の騒音の影響を最小限とすることができる。その結果、充電中における冷却装置の駆動音の騒音の影響を低減することが可能な充電制御装置を提供することができる。
【0008】
制御部は、高電力レベルの充電時には高駆動レベルで冷却装置を制御する一方、低電力レベルの充電時には低駆動レベルで冷却装置を制御するようにしてもよい。このような構成によれば、制御を単純化することができる。
【0009】
制御部は、次回の走行予定で消費すると予測される電力量から必要充電量を特定するようにしてもよい。このような構成によれば、次回も走行に必要な充電量を、最小限の高電力レベルで充電することができる。
【0010】
所定充電量は、必要充電量と等しいようにしてもよい。このような構成によれば、必要充電量までは高電力レベルで急速充電することができる。
【0011】
制御部は、充電完了の予定時刻を取得し、充電開始時の時刻に、所定充電量まで高電力レベルで充電するのに要する期間と、所定充電量から必要充電量まで低電力レベルで充電するのに要する期間とを加算した時刻が、予定時刻より前となるように、所定充電量を算出するようにしてもよい。
【0012】
このような構成によれば、必要充電量となる前に所定充電量までは、高電力レベルで充電され、所定充電量に到達した後は、低電力レベルで充電することができる。その結果、高電力レベルでの充電期間を最小限とすることができる。
【0013】
制御部は、車両の走行履歴から推定することで必要充電量を特定するようにしてもよい。このような構成によれば、必要充電量の推定精度を向上することができる。
【0014】
この開示の他の局面によれば、充電制御装置は、車両の外部充電を制御する充電制御装置である。車両は、車両の走行用の電力を蓄える蓄電装置と、車両の外部からの電力を蓄電装置に適合した電力に変換する変換装置と、蓄電装置および変換装置の少なくとも一方を冷却する冷却装置と、充電制御装置とを備える。充電制御装置は、変換装置および冷却装置を制御する制御部を含む。低電力レベルは、冷却装置の低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルである。低電力レベルと比較して高い高電力レベルは、低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持不能である一方、低駆動レベルと比較して冷却能力が高い高駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルである。制御部は、蓄電装置への必要充電量を特定し、充電完了の予定時刻を特定し、特定された予定時刻が、充電開始時の時刻に、特定された必要充電量まで低電力レベルで充電するのに要する期間を加算した完了時刻以降である場合、低電力レベルで蓄電装置を充電するよう、変換装置を制御する一方、予定時刻が完了時刻以降でない場合、特定した必要充電量に予定時刻までに到達可能な所定充電量までは、高電力レベルで蓄電装置を充電するとともに、所定充電量に到達した後は、低電力レベルで蓄電装置を充電するよう、変換装置を制御する。
【0015】
このような構成によれば、低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持できる低電力レベルで予定時刻までに必要充電量まで充電可能である場合は低電力レベルで充電され、予定時刻までに必要充電量まで充電不能である場合は、必要充電量に到達可能な所定充電量までは、高駆動レベルでの冷却制御でなければ適正温度範囲を維持できない高電力レベルで蓄電装置が充電されるが、所定充電量に到達した後は、低電力レベルで蓄電装置が充電される。このため、高駆動レベルでの冷却装置の騒音の影響を最小限とすることができる。その結果、充電中における冷却装置の駆動音の騒音の影響を低減することが可能な充電制御装置を提供することができる。
【0016】
制御部は、高電力レベルの充電時には高駆動レベルで冷却装置を制御する一方、低電力レベルの充電時には低駆動レベルで冷却装置を制御するようにしてもよい。このような構成によれば、制御を単純化することができる。
【0017】
制御部は、現在時刻が騒音の影響が他の時間帯と比較して小さい時間帯である場合、低電力レベルに替えて高電力レベルで蓄電装置を充電するよう、変換装置を制御するようにしてもよい。このような構成によれば、騒音の影響が小さい時間帯は急速充電することができる。
【0018】
制御部は、現在地が騒音の影響が他の場所と比較して小さい場所である場合、低電力レベルに替えて高電力レベルで蓄電装置を充電するよう、変換装置を制御するようにしてもよい。このような構成によれば、騒音の影響が小さい場所では急速充電することができる。
【0019】
制御部は、騒音抑制モードまたは充電優先モードの選択をユーザから受付け、充電優先モードの選択が受付けられた場合、低電力レベルに替えて高電力レベルで蓄電装置を充電するよう、変換装置を制御するようにしてもよい。このような構成によれば、ユーザの意思に応じて急速充電することができる。
【0020】
制御部は、車両の走行履歴から推定することで予定時刻を特定するようにしてもよい。このような構成によれば、必要充電量の推定精度を向上することができる。
【発明の効果】
【0021】
この開示によれば、充電中における冷却装置の駆動音の騒音の影響を低減することが可能な充電制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この開示の実施の形態に係る電池システムが搭載された車両の全体構成を概略的に示す図である。
図2】第1実施形態における充電制御処理の流れを示すフローチャートである。
図3】第1実施形態における充電制御の流れの例を示すタイミングチャートである。
図4】第2実施形態における充電制御処理の流れを示すフローチャートである。
図5】第2実施形態における充電制御の流れの例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、この開示の実施の形態は説明される。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返されない。
【0024】
以下では、本開示に係る電池システムが車両に搭載された構成を例に説明する。しかし、本開示に係る電池システムの用途は車両用に限定されず、定置用などの他の用途であってもよい。
【0025】
[第1実施形態]
図1は、この開示の実施の形態に係る電池システムが搭載された車両1の全体構成を概略的に示す図である。図1を参照して、車両1は、たとえば電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)である。しかし、この電池システムを搭載可能な車両は電気自動車に限られない。電池システムは、電池システムから供給される電力を用いて駆動力を発生させる車両全般に搭載可能である。車両1は、ハイブリッド車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)であってもよいし、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)であってもいし、燃料電池車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)であってもよい。
【0026】
車両1は、電池パック2と、駆動システム3と、充電システム4と、HMI(Human Machine Interface)5と、EVECU(Electric Vehicle Electronic Control Unit)6とを備える。電池パック2は、バッテリ21と、監視ユニット22と、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)23と、電池ECU24と冷却装置25とを含む。駆動システム3は、パワーコントロールユニット(PCU:Power Control Unit)31と、モータジェネレータ32と、動力伝達ギヤ33と、駆動輪34とを含む。充電システム4は、インレット41と、電力変換装置42と、充電リレー43と、冷却装置45とを含む。
【0027】
バッテリ21は組電池である。バッテリ21は、複数のブロック(モジュールとも呼ばれる)を含む。複数のブロックの各々は、1以上のセル100を含む。各セル100は、二次電池であって、本実施の形態ではリチウムイオン電池である。バッテリ21は、モータジェネレータ32を駆動するための電力を蓄え、PCU31を通じてモータジェネレータ32に電力を供給する。また、バッテリ21は、モータジェネレータ32の発電時にPCU31を通じて発電電力を受けて充電される。
【0028】
監視ユニット22は、バッテリ21を監視するための各種センサを含む。具体的には、監視ユニット22は、電圧センサ221と、電流センサ222と、温度センサ223とを含む。電圧センサ221は、各セル100の電圧VBを検出する。電流センサ222は、バッテリ21に充放電される電流IBを検出する。本実施の形態では放電電流を正値とする。温度センサ223は、バッテリ21の温度TBを検出する。各センサは、その検出結果を示す信号を電池ECU24に出力する。
【0029】
SMR23は、バッテリ21とPCU31とを結ぶ電力線に電気的に接続されている。SMR23は、電池ECU24からの指令に従って開閉される。
【0030】
電池ECU24は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ241と、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリ242と、各種信号が入出力される入出力ポート(図示せず)とを含む。プロセッサ241は、各センサから受ける信号ならびにメモリ242に記憶されたプログラムおよびマップに基づいてバッテリ21を監視する。より具体的には、電池ECU24は、バッテリ21のSOC(State Of Charge)を算出する。
【0031】
PCU31は、SMR23とモータジェネレータ32との間に電気的に接続されている。PCU31は、コンバータおよびインバータ(いずれも図示せず)を含む。PCU31は、EVECU6からの指令に従って、バッテリ21からの放電電力を用いてモータジェネレータ32を駆動する。
【0032】
モータジェネレータ32は、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを有する永久磁石型同期電動機である。モータジェネレータ32の出力トルクは、動力伝達ギヤ33を通じて駆動輪34に伝達され、車両1を走行させる。また、モータジェネレータ32は、車両1の制動動作時には、駆動輪34の回転力によって発電(回生発電)することができる。モータジェネレータ32による発電電力は、PCU31によってバッテリ21の充電電力に変換される。
【0033】
インレット41は、充電ケーブルの先端に設けられた充電コネクタ(図示せず)を機械的な連結を伴って接続することが可能に構成されている。インレット41と充電コネクタとが接続されることで、充電設備(図示せず)と車両1との間の電気的な接続が確保される。
【0034】
電力変換装置42は、たとえばAC/DC変換器である。電力変換装置42は、EVECU6からの指令に従って、充電設備から充電ケーブルを介して供給される交流電力を直流電力に変換し、バッテリ21を充電する(外部充電)。また、電力変換装置42は、EVECU6からの指令に従って、バッテリ21に蓄えられた直流電力を交流電力に変換し、インレット41に接続された外部負荷(図示せず)に放電することも可能である(外部給電)。電力変換装置42は、AC/DC変換器に加えて、DC/DC変換器を備えるようにしてもよく、EVECU6からの指令に従って、充電設備から充電ケーブルを介して供給される高圧の直流電力を、バッテリ21の充電に適した電圧の直流電力に変換し、バッテリ21を充電するようにしてもよい。
【0035】
充電リレー43は、SMR23とPCU31とを結ぶ電力線に電気的に接続されている。充電リレー43は、EVECU6からの指令に従って開閉される。
【0036】
HMI5は、入力装置および表示装置(いずれも図示せず)を含み、ユーザの操作を受け付けたり、各種情報を表示したりする。より具体的には、HMI5は、たとえば、インストルメントパネル(以下、「インパネ」と記載する)と、HUD(Head-Up Display)と、ナビゲーション画面とを含む。インパネは、メータ類が設置された計器盤である。インパネに代えてマルチインフォメーションディスプレイ(MID:Multi-Information Display)も採用され得る。HUDは、ドライバの視界前方に各種情報を虚像として投影する。ナビゲーション画面は、ナビゲーションシステムのディスプレイである。
【0037】
EVECU6は、電池ECU24と同様に、プロセッサ61と、メモリ62と、入出力ポート(図示せず)とを含む。EVECU6は、各センサから受ける信号ならびにメモリ62に記憶されたプログラムおよびマップに基づいて、車両1を統括的に制御する。たとえば、EVECU6は、電池ECU24と協調しながらPCU31または電力変換装置42を制御することによってバッテリ21の充放電を制御する。なお、図1では電池ECU24とEVECU6とが別々に構成されているが、電池ECU24とEVECU6とが一体的に構成されていてもよい。
【0038】
電池パック2の冷却装置25は、バッテリ21を冷却する。充電システム4の冷却装置45は、電力変換装置42を冷却する。冷却装置25,45は、水冷式であり、冷却対象(この実施の形態では、バッテリ21、電力変換装置42)を冷却する冷却水を循環する電動のウォータポンプと、循環する冷却水を冷却するためのラジエータに冷却風を送る電動の冷却ファンとを含む。
【0039】
なお、冷却装置25,45の冷却対象は、バッテリ21および電力変換装置42の少なくても一方であってもよいし、PCU31またはモータジェネレータ32などの車両1の電力系統の他の装置を含んでもよい。
【0040】
また、冷却装置25,45は、電動の空冷ブロワで冷却風を冷却対象に送り冷却風で冷却対象を冷却する空冷式であってもよいし、電動のコンプレッサで圧縮された冷媒を循環させ冷媒で冷却対象を冷却する冷媒式であってもよい。
【0041】
従来、急速充電が実行でき、急速充電を行う状態であるときに、騒音レベル関係がファン騒音レベルよりも車両1の騒音レベルが大きい関係であると判断される場合、バッテリ21の冷却ファン等の冷却装置25,45の作動水準を高冷却水準に設定し、そのように判断されない場合、冷却装置25,45の作動水準を通常水準よりは冷却能力が高く、高冷却水準よりは冷却能力が低い中冷却水準に設定するシステムがあった。
【0042】
充電中における冷却装置25,45の駆動音が、懸念点として挙げられる。車速の大きさまたは車載用機器の音量設定から求められる騒音レベルが大きい場合、冷却装置25,45の駆動音の影響が小さいと判断して冷却装置25,45を高冷却水準で駆動することが考えられる。このようにすれば、車両1が停車した状態で外部充電を行う場合、走行や車載用機器による騒音が無いため、冷却装置25,45を高冷却水準で駆動できる場面が無いといった問題が生じる。
【0043】
そこで、EVECU6および電池ECU24は、バッテリ21への必要充電量を特定し、特定した必要充電量に到達可能な所定充電量までは、高電力レベルでバッテリ21を充電するとともに、所定充電量に到達した後は、低電力レベルでバッテリ21を充電するよう、電力変換装置42を制御する。ここで、低電力レベルは、冷却装置25,45の低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルである。低電力レベルと比較して高い高電力レベルは、低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持不能である一方、低駆動レベルと比較して冷却能力が高い高駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルである。
【0044】
これにより、必要充電量に到達可能な所定充電量までは、高駆動レベルでの冷却制御でなければ適正温度範囲を維持できない高電力レベルでバッテリ21が充電されるが、所定充電量に到達した後は、低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持できる低電力レベルでバッテリ21が充電される。このため、高駆動レベルでの冷却装置25,45の騒音の影響を最小限とすることができる。その結果、充電中における冷却装置25,45の駆動音の騒音の影響を低減することができる。
【0045】
図2は、第1実施形態における充電制御処理の流れを示すフローチャートである。図2を参照して、この充電制御処理は、EVECU6によって所定の制御周期ごとに上位の処理から呼出されて実行される。
【0046】
EVECU6のプロセッサ61は、バッテリ21の外部充電中であるか否かを判断する(ステップS111)。外部充電中でない(ステップS111でNO)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、充電を開始する操作がユーザによって行われたか否かを判断する(ステップS112)。充電を開始する操作が行われていない(ステップS112でNO)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、実行する処理をこの充電制御処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0047】
一方、充電を開始する操作が行われた(ステップS112でYES)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、車両1の走行予定が有るか否かを判断する(ステップS113)。たとえば、ナビゲーションシステムに目的地および出発予定時刻が入力されている場合は、その出発予定時刻にその目的地までの走行予定が有ると判断される。また、平日に通勤に定常的に車両1を用いている場合、平日であれば、通勤の通常の出発時刻に職場までの走行予定が有ると判断される。
【0048】
走行予定が有る(ステップS113でYES)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、その走行予定における必要充電量を算出する(ステップS114)。必要充電量は、たとえば、車両1の燃比、走行予定の目的地までの距離および経路の勾配などの情報から算出される。
【0049】
次に、EVECU6のプロセッサ61は、充電完了希望時刻を取得する(ステップS115)。たとえば、走行予定に出発予定時刻が含まれている場合、出発予定時刻より所定時間前の時刻(たとえば、1時間前の時刻であってもよいし、出発予定時刻と同じ時刻であってもよい。)が充電完了希望時刻として取得される。
【0050】
一方、走行予定が無い(ステップS113でNO)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、必要充電量を所定値(たとえば、80%などの予め定められたSOC(State Of Charge)に相当する充電量であってもよいし、履歴で最も高い必要充電量、または、履歴における平均的な必要充電領であってもよい。)とし(ステップS116)、充電完了希望時刻を所定時刻(たとえば、午前7時等の予め定められた時刻であってもよいし、最も頻度が高い出発時刻であってもよいし、履歴で最も早い出発時刻であってもよい。)とする(ステップS117)。
【0051】
ステップS115またはステップS117の後、EVECU6のプロセッサ61は、低電力レベルでの必要充電量の充電に要する期間を算出する(ステップS118)。ここでは、低電力レベルは、AC3kWの一定値であることとする。また、高電力レベルは、低電力レベルと比較して高いレベルであり、AC22kWの一定値であることとする。
【0052】
EVECU6のプロセッサ61は、ステップS118で算出した充電期間を現在時刻に加算した充電終了予定時刻が充電完了希望時刻より前である、つまり、充電完了希望時刻までに充電が終了するか否かを判断する(ステップS121)。
【0053】
充電完了希望時刻までに充電が終了する(ステップS121でYES)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、低電力レベルでの充電制御を開始するよう電力変換装置42を制御する(ステップS122)。また、EVECU6のプロセッサ61は、低駆動レベルでの冷却装置25,45による充電系の冷却制御を開始するよう、冷却装置45は直接的に制御し、冷却装置25は電池ECU24を介して間接的に制御する(ステップS123)。ここでは、低駆動レベルは、Lowレベルでの駆動と停止とを交互に実行するレベルである。つまり、冷却対象の温度が適正温度範囲より上昇した場合、Lowレベルで冷却装置25,45を駆動し、冷却対象の温度が適正温度範囲となった場合、冷却装置25,45を停止する。
【0054】
一方、充電完了希望時刻までに充電が終了しない(ステップS121でNO)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、高電力レベルでの充電制御を開始するよう電力変換装置42を制御する(ステップS124)。また、EVECU6のプロセッサ61は、高駆動レベルでの冷却装置25,45による充電系の冷却制御を開始するよう、冷却装置45は直接的に制御し、冷却装置25は電池ECU24を介して間接的に制御する(ステップS125)。ここでは、高駆動レベルは、低駆動レベルと比較して冷却能力が高いレベルであり、Maxレベルでの駆動と停止とを交互に実行するレベルである。つまり、冷却対象の温度が適正温度範囲より上昇した場合、Maxレベルで冷却装置25,45を駆動し、冷却対象の温度が適正温度範囲となった場合、冷却装置25,45を停止する。
【0055】
ステップS123もしくはステップS125の後、または、外部充電中である(ステップS111でYES)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、バッテリ21の充電量が必要充電量に到達した時であるか否かを判断する(ステップS131)。
【0056】
必要充電量到達時である(ステップS131でYES)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、低電力レベルで充電制御を継続するよう電力変換装置42を制御する(ステップS132)。また、EVECU6のプロセッサ61は、低駆動レベルでの冷却装置25,45による充電系の冷却制御を継続するよう、冷却装置45は直接的に制御し、冷却装置25は電池ECU24を介して間接的に制御する(ステップS133)。
【0057】
必要充電量到達時でない(ステップS131でNO)と判断した場合、または、ステップS133の後、EVECU6のプロセッサ61は、バッテリ21が満充電となったか否かを判断する(ステップS134)。満充電となった(ステップS134でYES)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、充電制御を終了するよう電力変換装置42を制御する(ステップS135)。また、EVECU6のプロセッサ61は、冷却装置25,45による充電系の冷却制御を終了するよう、冷却装置45は直接的に制御し、冷却装置25は電池ECU24を介して間接的に制御する(ステップS136)。
【0058】
満充電となっていない(ステップS134でNO)と判断した場合、または、ステップS136の後、EVECU6のプロセッサ61は、実行する処理をこの充電制御処理の呼出元の上位の処理に戻す。
【0059】
図3は、第1実施形態における充電制御の流れの例を示すタイミングチャートである。図3を参照して、時刻t1において、ユーザによって充電を開始する操作が行われると、図2のステップS112でYESと判断され、ステップS114からステップS117で、必要充電量r2および充電完了希望時刻t4が特定される。ステップS118およびステップS121で、低電力レベルp1(ここでは、p1=AC3kW)で充電した場合に、充電完了希望時刻t4までに、バッテリ21の残量が必要充電量r2に達し、充電が終了するか否かが判断される。ここでは、具体的には、現在時刻t1+(r2-r1)(kWh)/3(kW)≦t4であるか否かが判断される。
【0060】
この例では、t1+(r2-r1)/3>t4、つまり、低電力レベルp1で充電した場合は、充電完了希望時刻t4までに充電が終了しないため、ステップS121でNOと判断され、ステップS124で、高電力レベルp2(ここでは、p2=AC22kW)での充電制御が開始され、ステップS125で、高駆動レベルでの充電系の冷却制御が開始される。
【0061】
図3で示されるように、高電力レベルp2での充電が開始されてから、しばらくは、冷却水の温度が上昇しないため、冷却装置25,45のラジエータの冷却ファンおよびウォータポンプは、駆動されない。時刻t2になると、冷却装置25,45の冷却水の温度が適正範囲を超えて、冷却装置25,45のMaxレベルでの駆動が開始される。
【0062】
時刻t3になると、バッテリ21の残量が必要充電量r2に達し、ステップS131でYESと判断され、ステップS132で、低電力レベルp1で充電制御が継続され、ステップS133で、低駆動レベルで冷却制御が継続される。時刻t3以降は、冷却装置25,45の冷却水の温度が適正範囲を超えると、冷却装置25,45がLowレベルで駆動され、適正範囲に維持されていると、冷却装置25,45が停止される。ここでは、充電完了希望時刻t4となっても、満充電に達しないため、ステップS134でYESと判断されることなく、充電完了希望時刻t4を経過する。
【0063】
このように、高駆動レベルでの冷却装置25,45の駆動を最小限とできるため、冷却装置25,45の騒音の影響を最小限とすることができる。その結果、充電中における冷却装置25,45の駆動音の騒音の影響を低減することができる。
【0064】
[第2実施形態]
第1実施形態においては、必要充電量までは、高電力レベルp2でバッテリ21を充電するとともに、必要充電量に到達した後は、低電力レベルp1でバッテリ21を充電するようにした。第2実施形態においては、必要充電量に到達可能な所定充電量までは、高電力レベルp2でバッテリ21を充電し、所定充電量に到達した後は、低電力レベルp1でバッテリ21を充電するようにする。
【0065】
図4は、第2実施形態における充電制御処理の流れを示すフローチャートである。図4を参照して、この充電制御処理は、第1実施形態の図2と同様、EVECU6によって所定の制御周期ごとに上位の処理から呼出されて実行される。図4のステップのうち図2と同じ番号のステップは、同じ処理内容であるため、重複する説明は繰返さない。
【0066】
ステップS125の後、EVECU6のプロセッサ61は、必要充電量までの残りの電力量を低電力レベルで充電しても充電完了希望時刻に間に合うバッテリ21の残充電量を算出する(ステップS126)。
【0067】
EVECU6のプロセッサ61は、バッテリ21の充電量が、ステップS126で算出した残充電量に到達した時であるか否かを判断する(ステップS131A)。算出した残充電量の到達時である(ステップS131AでYES)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、実行する処理を、図2で説明したステップS132に進める。一方、算出した残充電量の到達時でない(ステップS131AでNO)と判断した場合、EVECU6のプロセッサ61は、実行する処理を、図2で説明したステップS134に進める。
【0068】
図5は、第2実施形態における充電制御の流れの例を示すタイミングチャートである。図5を参照して、時刻t1において、ユーザによって充電を開始する操作が行われると、図2のステップS112でYESと判断され、ステップS114からステップS117で、必要充電量r4および充電完了希望時刻t6が特定される。ステップS118およびステップS121で、低電力レベルp1(ここでは、p1=AC3kW)で充電した場合に、充電完了希望時刻t6までに、バッテリ21の残量が必要充電量r4に達し、充電が終了するか否かが判断される。ここでは、具体的には、現在時刻t1+(r4-r1)(kWh)/3(kW)≦t6であるか否かが判断される。
【0069】
この例では、t1+(r4-r1)/3>t6、つまり、低電力レベルp1で充電した場合は、充電完了希望時刻t6までに充電が終了しないため、ステップS121でNOと判断され、ステップS124で、高電力レベルp2(ここでは、p2=AC22kW)での充電制御が開始され、ステップS125で、高駆動レベルでの充電系の冷却制御が開始され、ステップS126で、残りの電力量を低電力レベルp1で充電しても充電完了希望時刻t6に間に合うバッテリ21の残充電量r3が算出される。ここでは、具体的に、充電開始時刻t1+(r3-r1)/p2=切替時刻t5、切替時刻t5+(r4-r3)/p1=充電完了希望時刻t6の関係から、切替時刻t5=(r4+p2t1-p1t6)/(p2-p1)と算出される。なお、切替時刻t5は、上式で算出された時刻t5より後かつ充電完了希望時刻t6の前の時刻であってもよい。
【0070】
図5で示されるように、高電力レベルp2での充電が開始されてから、しばらくは、冷却水の温度が上昇しないため、冷却装置25,45のラジエータの冷却ファンおよびウォータポンプは、駆動されない。時刻t2になると、冷却装置25,45の冷却水の温度が適正範囲を超えて、冷却装置25,45のMaxレベルでの駆動が開始される。
【0071】
時刻t5になると、バッテリ21の残量が残充電量r3に達し、ステップS131AでYESと判断され、ステップS132で、低電力レベルp1で充電制御が継続され、ステップS133で、低駆動レベルで冷却制御が継続される。時刻t5以降は、冷却装置25,45の冷却水の温度が適正範囲を超えると、冷却装置25,45がLowレベルで駆動され、適正範囲に維持されていると、冷却装置25,45が停止される。充電完了希望時刻t6になると、必要充電量r4に達する。ここでは、充電完了希望時刻t6となっても、満充電に達しないため、ステップS134でYESと判断されることなく、充電完了希望時刻t6を経過する。
【0072】
このように、高駆動レベルでの冷却装置25,45の駆動を最小限とできるため、冷却装置25,45の騒音の影響を最小限とすることができる。その結果、充電中における冷却装置25,45の駆動音の騒音の影響を低減することができる。
【0073】
[変形例]
(1) 前述した実施の形態においては、必要充電量は、図2および図4のステップS114またはステップS116で示した方法で特定されるようにした。しかし、これに限定されず、必要充電量は、次回の走行で必要とされるであろう充電量であれば、どのような値であってもよく、たとえば、次回の走行予定で消費すると予測される電力量から特定されるようにしてもよいし、車両1の走行履歴から推定することで特定されるようにしてもよい。
【0074】
具体的には、車両1のEVECU6のメモリ62などの制御装置のメモリまたは車両1と通信可能なサーバの記憶部(メモリまたは大容量記憶媒体)に、学習モデルを記憶させておくようにする。その学習モデルは、車両データまたは走行データから、次回走行距離と影響のある因子を自ら探索して相関性の高いパラメータを用いて次回走行距離を予測するための学習モデルである。具体的には、学習モデルは、車両が充電を開始する際の、現在のSOC、車両1の周辺環境、充電を開始した日時および時間帯等を入力値とし、次回走行の距離を教師データとして機械学習、ニューラルネットワークによる学習または深層学習(ディープラーニング)を行った学習モデルである。そして、車両1のEVECU6のプロセッサ61などの制御装置の制御部またはサーバのプロセッサが、車両1が充電を開始した際の、現在のSOC、車両の周辺環境、充電を開始した日時および時間帯等の入力を受付けて、その学習モデルを用いて次回走行の距離の推定値を特定し、その推定値に基づいて必要充電量を算出するようにしてもよい。また、帰宅時の曜日情報または時刻情報など次回の予測と相関の近いであろう因子を用いて条件付き確率分布から次回走行距離を予測する単純ベイズ推定による学習手法を用いるようにしてもよい。
【0075】
(2) 前述した実施の形態においては、充電完了希望時刻は、図2および図4のステップS115またはステップS117で示した方法で特定されるようにした。しかし、これに限定されず、充電完了希望時刻は、どのように特定されるようにしてもよく、たとえば、ユーザから取得されるようにしてもよいし、予め定められた時刻であってもよいし、車両1の過去の充電行動または走行履歴から推定することで特定されるようにしてもよい。
【0076】
具体的には、車両1のEVECU6のメモリ62などの制御装置のメモリまたは車両1と通信可能なサーバの記憶部(メモリまたは大容量記憶媒体)に、学習モデルを記憶させておくようにする。その学習モデルは、車両データまたは走行データから、充電完了希望時刻と影響のある因子を自ら探索して相関性の高いパラメータを用いて充電完了希望時刻を予測するための学習モデルである。具体的には、学習モデルは、車両1の停車場所、充電を開始した日時および時間帯等を入力値とし、コネクタ接続時間の長さまたは充電完了時刻を教師データとして機械学習、ニューラルネットワークによる学習または深層学習(ディープラーニング)を行った学習モデルである。そして、車両1のEVECU6のプロセッサ61などの制御装置の制御部またはサーバのプロセッサが、充電が行われた車両1の停車場所、日時および時間帯の入力を受付けて、その学習モデルを用いて充電コネクタ接続時間の長さまたは充電完了時刻の推定値を特定するようにしてもよい。また、帰宅時の曜日情報または時刻情報など次回の予測と相関の近いであろう因子を用いて条件付き確率分布から充電完了時刻を予測する単純ベイズ推定による学習手法を用いるようにしてもよい。
【0077】
(3) 前述した実施の形態においては、図2および図4のステップS122とステップS123との組合せ、ステップS124とステップS125との組合せ、および、ステップS132とステップS133との組合せで示したように、高電力レベルでの充電制御および高駆動レベルでの冷却制御、ならびに、低電力レベルでの充電制御および低駆動レベルでの冷却制御が、それぞれ、同じタイミングで実行されるようにした。つまり、高電力レベルの充電時には高駆動レベルで冷却装置を制御する一方、低電力レベルの充電時には低駆動レベルで冷却装置を制御するようにした。
【0078】
しかし、これに限定されず、高電力レベルでの充電制御および高駆動レベルでの冷却制御、ならびに、低電力レベルでの充電制御および低駆動レベルでの冷却制御が、異なるタイミングで実行されるようにしてもよい。たとえば、高電力レベルでの充電制御が開始されたタイミングの後のタイミングであって、バッテリ21または電力変換装置42の冷却が必要となったタイミングで、高駆動レベルでの冷却制御が開始されるようにしてもよい。
【0079】
(4) 前述した実施の形態においては、図2および図4のステップS122およびステップS132で示したように、充電完了希望時刻に間に合う場合は、低電力レベルで充電するようにした。しかし、これに限定されず、現在時刻が騒音の影響が他の時間帯(たとえば、夜間)と比較して小さい時間帯(たとえば、昼間)である場合、または、現在時刻が騒音の影響が小さい時間帯となった場合、低電力レベルに替えて高電力レベルでバッテリ21を充電するよう、電力変換装置42を制御するようにしてもよい。これにより、騒音の影響が小さい時間帯は急速充電することができる。
【0080】
また、車両1の現在地が騒音の影響が他の場所(たとえば、住宅街)と比較して小さい場所(たとえば、工業地または商業地)である場合、低電力レベルに替えて高電力レベルでバッテリ21を充電するよう、電力変換装置42を制御するようにしてもよい。これにより、騒音の影響が小さい場所では急速充電することができる。
【0081】
また、騒音抑制モードまたは充電優先モードの選択をユーザから受付け、充電優先モードの選択が受付けられた場合、低電力レベルに替えて高電力レベルでバッテリ21を充電するよう、電力変換装置42を制御するようにしてもよい。これにより、ユーザの意思に応じて急速充電することができる。
【0082】
(5) 前述した実施の形態においては、低電力レベルおよび高電力レベルが、それぞれ一定値(AC3kW,AC22kW)であることとした。しかし、高電力レベルが低電力得レベルと比較して高ければ、これに限定されず、低電力レベルが、複数段階の値(たとえば、AC3kWおよびAC10kWの2段階の値を切替え)であってもよいし、変動値(たとえば、AC3kWからAC10kWまでの間の変動値)であってもよい。同様に、高電力レベルが、複数段階の値(たとえば、AC22kWおよびAC10kWの2段階の値を切替え)であってもよいし、変動値(たとえば、AC22kWからAC10kWまでの間の変動値)であってもよい。
【0083】
(6) 前述した実施の形態においては、低駆動レベルが、複数段階の値(たとえば、Lowレベルと停止との2段階の値を切替え)であることとした。また、高駆動レベルが、常に高駆動(たとえば、Maxレベル、Midレベル)では無く、高駆動と低駆動(Lowレベル,停止)とを切替えるレベルであること、具体的には、複数段階の値(たとえば、Maxレベルと停止との2段階の値を切替え)であることとした。
【0084】
しかし、高駆動レベルの冷却能力が低駆動レベルと比較して高ければ、これに限定されず、低駆動レベルが、一定値(たとえば、Lowレベルまたは停止)であってもよいし、他の複数段階の値(たとえば、MidレベルおよびLowレベルの2段階の値を切替え)であってもよいし、変動値(たとえば、MidレベルからLowレベルまでの間の変動値、Midレベルから停止までの間の変動値)であってもよい。同様に、高駆動レベルが、一定値(たとえば、Maxレベル)であってもよいし、他の複数段階の値(たとえば、MaxレベルとLowレベルとの2段階の値を切替え、MaxレベルとMidレベルとLowレベルとの3段階の値を切替え、MaxレベルとLowレベルと停止との3段階の値を切替え)であってもよいし、変動値(たとえば、MaxレベルからLowレベルまでの間の変動値、Maxレベルから停止までの間の変動値)であってもよい。
【0085】
(7) 前述した実施の形態においては、冷却装置25,45が独立して設けられるようにした。しかし、これに限定されず、冷却装置25,45が一体として設けられるようにしてもよい。たとえば、冷却装置25,45の冷却水の系統が連通しているように構成されていてもよい。また、冷却装置25,45が他の冷却装置(たとえば、PCU31またはモータジェネレータ32の冷却装置)と一体として設けられるようにしてもよい。また、冷却装置25,45の一方のみが設けられるようにしてもよい。
【0086】
(8) 前述した実施の形態においては、図2および図4のステップS115およびステップS117で示したように、充電完了希望時刻が特定されるようにした。しかし、これに限定されず、充電完了希望時刻は、走行開始予定時刻であってもよいし、その時刻に走行を開始するか否かに関わらず単にユーザが充電の完了を希望する時刻であってもよい。
【0087】
(9) 前述した実施の形態においては、EVECU6が、冷却装置25,45による冷却を制御するようにした。しかし、これに限定されず、他の制御装置、たとえば、電池ECU24が、冷却装置25,45による冷却を制御するようにしてもよい。また、EVECU6が、バッテリ21の充電を制御するようにした。しかし、これに限定されず、他の制御装置、たとえば、電池ECU24が、バッテリ21の充電を制御するようにしてもよい。
【0088】
(10) 前述した実施の形態を、EVECU6または電池ECU24のような充電制御装置の開示と捉えることができるし、充電制御装置を含む充電制御システムまたは車両1の開示と捉えることができるし、充電制御装置、充電制御システムまたは車両1による充電制御方法の開示と捉えることができるし、充電制御装置が実行する充電制御処理のプログラムまたはプログラムを記録した記録媒体の開示と捉えることができる。
【0089】
[まとめ]
(1) 図1で示したように、充電制御装置(たとえば、EVECU6、電池ECU24)は、車両1の外部充電を制御する装置である。図1で示したように、車両1は、車両1の走行用の電力を蓄えるバッテリ21と、車両1の外部からの電力をバッテリ21に適合した電力に変換する電力変換装置42と、バッテリ21および電力変換装置42の少なくとも一方を冷却する冷却装置25,45と、充電制御装置とを備える。図1で示したように、充電制御装置は、電力変換装置42および冷却装置25,45を制御するプロセッサ61,241を含む。
【0090】
図2で示したように、低電力レベルは、冷却装置25,45の低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルである。図2で示したように、低電力レベルと比較して高い高電力レベルは、低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持不能である一方、低駆動レベルと比較して冷却能力が高い高駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルである。図2および図4で示したように、プロセッサ61,241は、バッテリ21への必要充電量を特定し(たとえば、ステップS114,ステップS116)、特定した必要充電量に到達可能な所定充電量(たとえば、図2および図3で示したように、所定充電量が必要充電量と等しくてもよいし、図4および図5で示したように、所定充電量が、充電開始時の時刻に、所定充電量まで高電力レベルで充電するのに要する期間と、所定充電量から必要充電量まで低電力レベルで充電するのに要する期間とを加算した時刻が、充電完了予定時刻より前となるような充電量であるようにしてもよい。)までは、高電力レベルでバッテリ21を充電する(たとえば、ステップS124)とともに、所定充電量に到達した後は、低電力レベルでバッテリ21を充電する(たとえば、ステップS132)よう、電力変換装置42を制御する。
【0091】
これにより、必要充電量に到達可能な所定充電量までは、高駆動レベルでの冷却制御でなければ適正温度範囲を維持できない高電力レベルでバッテリ21が充電されるが、所定充電量に到達した後は、低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持できる低電力レベルでバッテリ21が充電される。このため、高駆動レベルでの冷却装置の騒音の影響を最小限とすることができる。その結果、充電中における冷却装置25,45の駆動音の騒音の影響を低減することができる。
【0092】
(2) 図2および図4で示したように、プロセッサ61,241は、高電力レベルの充電時には高駆動レベルで冷却装置25,45を制御する(たとえば、ステップS125)一方、低電力レベルの充電時には低駆動レベルで冷却装置25,45を制御する(たとえば、ステップS123,ステップS133)ようにしてもよい。これにより、制御を単純化することができる。
【0093】
(3) 図2および図4で示したように、プロセッサ61、241は、次回の走行予定で消費すると予測される電力量から必要充電量を特定する(たとえば、ステップS114)ようにしてもよい。これにより、次回も走行に必要な充電量を、最小限の高電力レベルで充電することができる。
【0094】
(4) 図2および図3で示したように、所定充電量は、必要充電量と等しいようにしてもよい。これにより、必要充電量までは高電力レベルで急速充電することができる。
【0095】
(5) 図4および図5で示したように、プロセッサ61,241は、充電完了の予定時刻を取得し(たとえば、ステップS115,ステップS117)、充電開始時の時刻に、所定充電量(たとえば、ステップS126で算出される残充電量)まで高電力レベルで充電するのに要する期間と、所定充電量から必要充電量まで低電力レベルで充電するのに要する期間とを加算した時刻が、予定時刻より前となるように、所定充電量を算出する(たとえば、ステップS126)ようにしてもよい。
【0096】
これにより、必要充電量となる前に所定充電量までは、高電力レベルで充電され、所定充電量に到達した後は、低電力レベルで充電することができる。その結果、高電力レベルでの充電期間を最小限とすることができる。
【0097】
(6) プロセッサ61,241は、車両1の走行履歴から推定することで必要充電量を特定するようにしてもよい。これにより、必要充電量の推定精度を向上することができる。
【0098】
(7) 図1で示したように、充電制御装置(たとえば、EVECU6、電池ECU24)は、車両1の外部充電を制御する装置である。図1で示したように、車両1は、車両1の走行用の電力を蓄えるバッテリ21と、車両1の外部からの電力をバッテリ21に適合した電力に変換する電力変換装置42と、バッテリ21および電力変換装置42の少なくとも一方を冷却する冷却装置25,45と、充電制御装置とを備える。図1で示したように、充電制御装置は、電力変換装置42および冷却装置25,45を制御するプロセッサ61,241を含む。
【0099】
図2で示したように、低電力レベルは、冷却装置25,45の低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルである。低電力レベルと比較して高い高電力レベルは、低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持不能である一方、低駆動レベルと比較して冷却能力が高い高駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持可能である充電電力のレベルである。図2および図4で示したように、プロセッサ61,241は、バッテリ21への必要充電量を特定し(たとえば、ステップS114,ステップS116)、充電完了の予定時刻を特定し(たとえば、ステップS115,ステップS117)、特定された予定時刻が、充電開始時の時刻に、特定された必要充電量まで低電力レベルで充電するのに要する期間を加算した完了時刻以降である場合、低電力レベルでバッテリ21を充電するよう、電力変換装置42を制御する(たとえば、ステップS122)一方、予定時刻が完了時刻以降でない場合、特定した必要充電量に予定時刻までに到達可能な所定充電量までは、高電力レベルでバッテリ21を充電する(たとえば、ステップS124)とともに、所定充電量に到達した後は、低電力レベルでバッテリ21を充電する(たとえば、ステップS132)よう、電力変換装置42を制御する。
【0100】
これにより、低駆動レベルでの冷却制御で適正温度範囲を維持できる低電力レベルで予定時刻までに必要充電量まで充電可能である場合は低電力レベルで充電され、予定時刻までに必要充電量まで充電不能である場合は、必要充電量に到達可能な所定充電量までは、高駆動レベルでの冷却制御でなければ適正温度範囲を維持できない高電力レベルで蓄電装置が充電されるが、所定充電量に到達した後は、低電力レベルでバッテリ21が充電される。このため、高駆動レベルでの冷却装置25,45の騒音の影響を最小限とすることができる。その結果、充電中における冷却装置25,45の駆動音の騒音の影響を低減することができる。
【0101】
(8) 図2および図4で示したように、プロセッサ61,241は、高電力レベルの充電時には高駆動レベルで冷却装置25,45を制御する(たとえば、ステップS125)一方、低電力レベルの充電時には低駆動レベルで冷却装置25,45を制御する(たとえば、ステップS123,ステップS133)ようにしてもよい。これにより、制御を単純化することができる。
【0102】
(9) プロセッサ61,241は、現在時刻が騒音の影響が他の時間帯(たとえば、夜間)と比較して小さい時間帯(たとえば、昼間)である場合、低電力レベルに替えて高電力レベルでバッテリ21を充電するよう、電力変換装置42を制御するようにしてもよい。これにより、騒音の影響が小さい時間帯は急速充電することができる。
【0103】
(10) プロセッサ61,241は、現在地が騒音の影響が他の場所(たとえば、住宅街)と比較して小さい場所(たとえば、工業地または商業地)である場合、低電力レベルに替えて高電力レベルでバッテリ21を充電するよう、電力変換装置42を制御するようにしてもよい。これにより、騒音の影響が小さい場所では急速充電することができる。
【0104】
(11) プロセッサ61,241は、騒音抑制モードまたは充電優先モードの選択をユーザから受付け、充電優先モードの選択が受付けられた場合、低電力レベルに替えて高電力レベルでバッテリ21を充電するよう、電力変換装置42を制御するようにしてもよい。これにより、ユーザの意思に応じて急速充電することができる。
【0105】
(12) プロセッサ61,241は、車両1の走行履歴から推定することで充電完了希望時刻を特定するようにしてもよい。これにより、必要充電量の推定精度を向上することができる。
【0106】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
1 車両、2 電池パック、3 駆動システム、4 充電システム、5 HMI、6 EVECU、21 バッテリ、22 監視ユニット、23 SMR、24 電池ECU、25,45 冷却装置、31 PCU、32 モータジェネレータ、33 動力伝達ギヤ、34 駆動輪、41 インレット、42 電力変換装置、43 充電リレー、61,241 プロセッサ、62,242 メモリ、100 セル、221 電圧センサ、222 電流センサ、223 温度センサ。
図1
図2
図3
図4
図5