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  • 特許-資源化支援システム 図1
  • 特許-資源化支援システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】資源化支援システム
(51)【国際特許分類】
   A01G 33/00 20060101AFI20250107BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20250107BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20250107BHJP
   C08B 37/04 20060101ALI20250107BHJP
   C12P 7/06 20060101ALI20250107BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20250107BHJP
【FI】
A01G33/00
A23K10/30
A23L33/105
C08B37/04
C12P7/06
G06Q50/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022150936
(22)【出願日】2022-09-22
(65)【公開番号】P2024045873
(43)【公開日】2024-04-03
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】角谷 忠義
(72)【発明者】
【氏名】関 康伸
(72)【発明者】
【氏名】杉山 宏石
(72)【発明者】
【氏名】河田 優人
(72)【発明者】
【氏名】粟野 宏基
(72)【発明者】
【氏名】米川 紘輔
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-165666(JP,A)
【文献】特開2008-297531(JP,A)
【文献】特開2017-016181(JP,A)
【文献】特開2019-135622(JP,A)
【文献】特開2020-140677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0115432(US,A1)
【文献】特開平06-314310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 33/00
A23K 10/30
A23L 33/105
C08B 37/04
C12P 7/06
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋植物を用いた複数の種類の資源化の処理を行うプラントの資源化支援システムであって、
前記プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量を測定する測定部と、
前記測定部によって測定された前記プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量に応じて、前記プラントにおいて行われる前記複数の種類の資源化のそれぞれの処理の割合を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量が所定量以下の場合、前記複数の種類の資源化の処理うち、処理時間が所定時間以上の資源化の処理の割合を低下させる、
資源化支援システム。
【請求項2】
前記複数の種類の資源化の処理は、前記海洋植物から特定の養分を抽出する処理、前記海洋植物を乾燥させる処理、及び、前記海洋植物を発酵させてエタノール化する処理、を少なくとも含む、
請求項1に記載の資源化支援システム。
【請求項3】
前記測定部は、自然エネルギーから得られる電気の蓄電量に基づいて、前記プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量を測定する、
請求項1に記載の資源化支援システム。
【請求項4】
前記測定部は、ガソリン又はエタノールを含む燃料の残量に基づいて、前記プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量を測定する、
請求項1に記載の資源化支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、資源化支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、海洋植物の資源化を効果的に行うことが求められている。関連する技術は、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1には、海藻からメタノールを生成する海洋プランテーションが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-35967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、海藻からメタノールを生成するプラントの稼働に用いられるエネルギーの残量が少ない場合、メタノールの生成途中でプラントの稼働が停止してしまう可能性がある。そのため、特許文献1では、海洋植物の資源化を効果的に行うことができない、という課題があった。このような課題は、海上などのエネルギー補給の困難な場所に建設されたプラント等においては、特に深刻である。
【0005】
本開示は、以上の背景に鑑みなされたものであり、海洋植物の資源化を効果的に行うことが可能な資源化支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる資源化支援システムは、海洋植物を用いた複数の種類の資源化の処理を行うプラントの資源化支援システムであって、前記プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量を測定する測定部と、前記測定部によって測定された前記プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量に応じて、前記プラントにおいて行われる前記複数の種類の資源化のそれぞれの処理の割合を制御する制御部と、を備える。この資源化支援システムは、プラントの稼働に用いられるエネルギー残量に応じて、プラントにおいて行われる複数種類の資源化のそれぞれの処理の割合を制御することにより、資源化の処理の途中でプラントの稼働が停止するのを防ぐことができるため、海洋植物の資源化を効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示により、海洋植物の資源化を効果的に行うことが可能な資源化支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1にかかる資源化支援システムの構成例を示すブロック図である。
図2図1に示す資源化支援システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0010】
<実施の形態1>
図1は実施の形態1にかかる資源化支援システム1の構成例を示すブロック図である。本実施の形態にかかる資源化支援システム1は、例えば海上などのエネルギー補給の困難な場所に建設されたプラントに適用される。ここで、本実施の形態にかかる資源化支援システム1は、プラントの稼働に用いられるエネルギー残量に応じて、プラントにおいて行われる複数種類の資源化のそれぞれの処理の割合を制御することにより、資源化の処理の途中でプラントの稼働が停止するのを防ぐことができるため、海洋植物の資源化を効果的に行うことができる。以下、具体的に説明する。
【0011】
図1に示すように、資源化支援システム1は、資源化支援装置10と、n(nは2以上の整数)個の処理装置20_1~20_nと、ネットワーク50と、を備える。資源化支援装置10は、単体で資源化支援システムということもできる。資源化支援装置10と、処理装置20_1~20_nとは、有線又は無線のネットワーク50を介して互いに通信可能に構成されている。
【0012】
処理装置20_1~20_nは、例えば、海上などのエネルギー補給の困難な場所に建設されたプラントに設置され、それぞれ異なる種類の資源化処理を行う。例えば、処理装置20_1は、海藻などの海洋植物から、マグネシウム、リチウム、又は、アルギン酸など、の特定の養分を抽出する処理を行う。また、例えば、処理装置20_2は、海洋植物を、バイオ炭などの肥料や家畜の餌に用いるために、乾燥させる処理を行う。また、例えば、処理装置20_3は、海洋植物を発酵させてエタノール化する処理を行う。なお、海洋植物を発酵させてエタノール化する処理は、他の処理よりも、プラント稼働によるエネルギー消費量が大きい。
【0013】
資源化支援装置10は、プラントの稼働に用いられるエネルギー残量に応じて、プラントにおいて行われる複数の種類の資源化のそれぞれの処理の割合を制御する装置である。
【0014】
具体的には、資源化支援装置10は、測定部11と、制御部12と、を備える。
【0015】
測定部11は、プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量を測定する。例えば、測定部11は、プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量として、ガソリンやエタノールなどの燃料の残量、及び、蓄電池に蓄積された電気の残量、の少なくとも何れかを測定する。蓄電池には、例えば、太陽電池パネルや風力によって発電された電気(即ち、自然エネルギーから得られる電気)が蓄積される。
【0016】
制御部12は、測定部11によって測定された、プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量、に応じて、プラントの処理装置20_1~20_nによって行われる複数種類の資源化のそれぞれの処理の割合を制御する。例えば、制御部12は、プラントの稼働に用いられるエネルギー残量が残り少なくなった場合、処理装置20_1~20_nの何れかの稼働を停止させる。それにより、稼働中の残りの処理装置が、資源化の処理の途中で意図せず稼働を停止させてしまうことを防ぐことができる。
【0017】
このように、本実施の形態にかかる資源化支援システム1は、プラントの稼働に用いられるエネルギー残量に応じて、プラントにおいて行われる複数種類の資源化のそれぞれの処理の割合を制御することにより、資源化の処理の途中でプラントの稼働が停止するのを防ぐことができるため、海洋植物の資源化を効果的に行うことができる。
【0018】
(資源化支援システム1の動作)
続いて、図2を用いて、資源化支援システム1の動作を説明する。図2は、資源化支援システム1による動作を示すフローチャートである。
【0019】
資源化支援システム1において、資源化支援装置10は、まず、プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量を測定する(ステップS101)。その後、資源化支援装置10は、プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量、に応じて、プラントに設置された処理装置20_1~20_nによって行われる複数種類の資源化のそれぞれの処理の割合を制御する(ステップS102)。
【0020】
例えば、資源化支援装置10は、プラントの稼働に用いられるエネルギー残量が残り少なくなった場合、処理装置20_1~20_nの何れかの稼働を停止させる。それにより、稼働中の残りの処理装置が、資源化の処理の途中で意図せず稼働を停止させてしまうことを防ぐことができる。或いは、資源化支援装置10は、プラントの稼働に用いられるエネルギー残量が残り少なくなった場合、例えば、エネルギー消費量の多いエタノール生成処理の割合を減らし、エネルギー消費量の少ない別の資源化処理の割合を増加させてもよい。
【0021】
このように、本実施の形態にかかる資源化支援システム1は、プラントの稼働に用いられるエネルギー残量に応じて、プラントにおいて行われる複数種類の資源化のそれぞれの処理の割合を制御することにより、資源化の処理の途中でプラントの稼働が停止するのを防ぐことができるため、海洋植物の資源化を効果的に行うことができる。
【0022】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。本発明は、ブルーカーボン(海藻)の利用を促進させ、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)やカーボンニュートラルに貢献するものである。
【0023】
また、本開示は、資源化支援システム1の処理の一部又は全部を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。
【0024】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM(Random-Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid-State Drive)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0025】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0026】
(付記1)
海洋植物を用いた複数の種類の資源化の処理を行うプラントの資源化支援方法であって、
前記プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量を測定し、
測定した前記プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量に応じて、前記プラントにおいて行われる前記複数の種類の資源化のそれぞれの処理の割合を制御する、
資源化支援方法。
【0027】
(付記2)
海洋植物を用いた複数の種類の資源化の処理を行うプラントの資源化支援処理をコンピュータに実行させる制御プログラムであって、
前記プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量を測定する処理と、
測定した前記プラントの稼働に用いられるエネルギーの残量に応じて、前記プラントにおいて行われる前記複数の種類の資源化のそれぞれの処理の割合を制御する処理と、
をコンピュータに実行させる制御プログラム。
【符号の説明】
【0028】
1 資源化支援システム
10 資源化支援装置
11 測定部
12 制御部
50 ネットワーク
20_1~20_n 処理装置
図1
図2