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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】蓄電セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/572 20210101AFI20250107BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20250107BHJP
【FI】
H01M50/572
H01M50/15
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022180229
(22)【出願日】2022-11-10
(65)【公開番号】P2024069930
(43)【公開日】2024-05-22
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 聡美
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 正宜
(72)【発明者】
【氏名】千原 真志
(72)【発明者】
【氏名】池田 丈典
(72)【発明者】
【氏名】倉下 那奈
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-179589(JP,A)
【文献】特開2017-157341(JP,A)
【文献】特開2015-153747(JP,A)
【文献】特開2011-124214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0270528(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極体と、
前記電極体を収容するセルケースと、
前記セルケースの上面に固定された外部端子と、を備え、
前記セルケースは、
前記電極体を収容するとともに上向きに開口する開口部を有するケース本体と、
前記ケース本体の前記開口部を塞ぐように前記ケース本体に接続された蓋と、を有し、
前記蓋は、
前記ケース本体の前記開口部に接続されており、前記電極体における正極又は負極に帯電した蓋本体と、
前記蓋本体に接続されており、前記蓋本体と前記外部端子とを短絡させることが可能な反転板と、
前記反転板から前記外部端子に向かって突出する突起と、を有し、
前記反転板は、前記外部端子から離間する向きに凸となるように湾曲する定常形状と、前記外部端子に向かって凸となるように湾曲しており前記外部端子に接触する反転形状と、の間で変形可能であり、
前記外部端子は、前記反転板が前記定常形状であるときに前記突起から離間しており、前記反転板が前記反転形状であるときに前記突起を保持する保持部を有する、蓄電セル。
【請求項2】
前記保持部は、前記反転形状における前記反転板の上面に沿う形状を有する接触面を有する、請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項3】
前記突起は、
前記反転板のうち当該反転板の頂部を挟む部位から前記外部端子に向かって起立する起立片と、
前記起立片の上端部から前記反転板の前記頂部側に向かって突出する爪部と、を有し、
前記保持部は、
前記反転板の頂部と対向する部位を挟む位置から前記反転板に向かって突出する突出部と、
前記突出部の下端部から前記頂部と対向する前記部位から離間する向きに突出する保持爪と、を有する、請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項4】
前記起立片は、上方に向かって凸となるように湾曲する形状を有する上端面を有し、
前記突出部は、下方に向かって凸となるように湾曲する形状を有する下端面を有する、請求項3に記載の蓄電セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電セルに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2015-204284号公報には、電極組立体と、電極組立体を収容するケースと、ケースの接続されたキャップ組立体と、を備える蓄電セルが開示されている。ケースは、上向きに開口している。キャップ組立体は、ケースの開口部に固定されたキャッププレートと、キャッププレートの上面に接続された一対の端子プレートと、キャッププレートに接続された反転プレートと、を有している。キャッププレートは、正極の端子プレートと電気的に接続されており、反転プレートは、キャッププレートと電気的に接続されている。反転プレートの上方には、負極の端子プレートが配置されている。
【0003】
上記蓄電セルにおいて反転プレートが反転すると、反転プレートが負極の端子プレートに接触する。そうすると、反転プレート及びキャッププレートを介して正極の端子プレート及び負極の端子プレートが短絡するため、反転プレートに短絡電流が流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-204284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2015-204284号公報に記載される蓄電セルでは、振動等に起因して反転プレートが端子プレートから離間する方向に再反転する懸念がある。
【0006】
本開示の目的は、反転板の再反転を抑制することが可能な蓄電セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面に従った蓄電セルは、電極体と、前記電極体を収容するセルケースと、前記セルケースの上面に固定された外部端子と、を備え、前記セルケースは、前記電極体を収容するとともに上向きに開口する開口部を有するケース本体と、前記ケース本体の前記開口部を塞ぐように前記ケース本体に接続された蓋と、を有し、前記蓋は、前記ケース本体の前記開口部に接続されており、前記電極体における正極又は負極に帯電した蓋本体と、前記蓋本体に接続されており、前記蓋本体と前記外部端子とを短絡させることが可能な反転板と、前記反転板から前記外部端子に向かって突出する突起と、を有し、前記反転板は、前記外部端子から離間する向きに凸となるように湾曲する定常形状と、前記外部端子に向かって凸となるように湾曲しており前記外部端子に接触する反転形状と、の間で変形可能であり、前記外部端子は、前記反転板が前記定常形状であるときに前記突起から離間しており、前記反転板が前記反転形状であるときに前記突起を保持する保持部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、反転板の再反転を抑制することが可能な蓄電セルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態における蓄電セルを概略的に示す斜視図である。
図2図1に示される蓄電セルの分解斜視図である。
図3図1に示される蓄電セルの断面図である。
図4】反転板の近傍の拡大断面図である。
図5】反転板の動作後の状態を概略的に示す断面図である。
図6】変形例における反転板の近傍の拡大断面図である。
図7】変形例における反転板の近傍の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態における蓄電セルを概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示される蓄電セルの分解斜視図である。図3は、図1に示される蓄電セルの断面図である。
【0012】
図1図3に示されるように、蓄電セル1は、電極体100と、セルケース200と、外部端子300と、連結部材400と、絶縁部材500と、を備えている。
【0013】
電極体100は、複数の単位電極体111,112と、絶縁フィルム120と、を有している。本実施形態では、複数の単位電極体は、2つの単位電極体111,112を含んでいる。各単位電極体111,112は、複数のタブ、すなわち、複数の正極タブ110P及び複数の負極タブ110Nを含んでいる。各単位電極体111,112は、互いに同じ構造を有している。このため、以下、単位電極体111について説明する。
【0014】
単位電極体111は、正極シートと、セパレータと、負極シートと、を含んでいる。正極シート、負極シートおよびセパレータは、長尺な長方形形状に形成されている。
【0015】
正極シートは、金属箔と、金属箔に設けられた正極合材層と、を含んでいる。金属箔の上側の長辺部には、正極合材層が形成されていない未塗工部が形成されており、この未塗工部には、前記複数の正極タブ110Pが互いに間隔をあけて形成されている。
【0016】
負極シートは、金属箔と、金属箔に形成された負極合材層と、を含んでいる。金属箔の上側の長辺部には、負極合材層が形成されていない未塗工部が形成されており、この未塗工部には、前記複数の負極タブ110Nが互いに間隔をあけて形成されている。
【0017】
各シートを巻回した状態においては、各正極タブ110Pが厚さ方向(図3において紙面と直交する方向)に配列されるとともに、各負極タブ110Nが厚さ方向に配列されるように形成されている。なお、正極タブ110Pおよび負極タブ110Nは、幅方向(厚さ方向及び高さ方向の双方と直交する方向)に間隔をあけて配置されている。
【0018】
絶縁フィルム120は、複数の単位電極体111,112の周面と底面とをまとめて覆う形状を有している。
【0019】
セルケース200は、電極体100を収容している。セルケース200は、図示略の電解液も収容している。セルケース200は、密封されている。セルケース200は、ケース本体210と、蓋220と、を有している。
【0020】
ケース本体210は、上向きに開口する開口部211を有している。ケース本体210は、アルミニウム等の金属からなる。ケース本体210は、底壁212と、周壁214と、を有している。底壁212は、矩形かつ平板状に形成されている。周壁214は、底壁212から起立している。周壁214は、四角筒状に形成されている。幅方向における周壁214の長さは、厚さ方向における周壁214の長さよりも長い。高さ方向における周壁214の長さは、厚さ方向における周壁214の長さよりも長い。
【0021】
蓋220は、ケース本体210の開口部211を閉塞している。蓋220は、溶接等によって開口部211に接続されている。蓋220は、平板状に形成されている。蓋220は、アルミニウム等の金属からなる。蓋220は、蓋本体222と、反転板224と、突起226と、を有している。
【0022】
蓋本体222は、ケース本体210に溶接等によって接続されている。蓋本体222には、圧力解放弁222aと、注液孔222bと、封止部材222cと、一対のピン挿通孔222dと、が形成されている。
【0023】
圧力解放弁222aは、蓋本体222の中央部に形成されている。圧力解放弁222aは、セルケース200の内圧が所定圧以上となると破断するように形成されている。圧力解放弁222aが破断することで、セルケース200内のガスが当該圧力解放弁222aを通じてセルケース200外に放出されるため、セルケース200の内圧が低下する。
【0024】
注液孔222bは、蓄電セル1の製造過程において、セルケース200内に電解液を注入するための貫通孔である。
【0025】
封止部材222cは、注液孔222bを封止する部材である。注液孔222bは、ケース本体210への電解液の注入後、封止部材222cによって封止される。
【0026】
一対のピン挿通孔222dは、幅方向に互いに間隔をあけて形成されている。各ピン挿通孔222dは、後述の連結ピン420を挿通するための貫通孔である。
【0027】
反転板224は、溶接等によって蓋本体222に接続されている。反転板224は、蓋本体222と外部端子300とを短絡させることが可能である。図4に示されるように、反転板224は、基部224aと、反転部224bと、を有している。
【0028】
基部224aは、溶接等によって蓋本体222に接続されている。本実施形態では、基部224aは、蓋本体222のうち後述の負極端子板330の下方に位置する部位に接続されている。基部224aは、環状、より詳細には、円環状に形成されている。
【0029】
反転部224bは、基部224aの内側につながっている。反転部224bは、円板状に形成されている。反転部224bは、負極端子板330から離間する向きに凸となるように湾曲する定常形状(図4に示される形状)と、負極端子板330に向かって凸となるように湾曲しており負極端子板330に接触する反転形状(図5に示される形状)と、の間で変形可能である。セルケース200の内圧が所定圧未満(通常時)のときに、反転部224bは、図4に示されるように、定常形状を呈している。セルケース200の内圧が所定圧以上となると、反転部224bは、図5に示されるように、定常形状から反転形状に変形する。これにより、反転部224bが負極端子板330に接触する。
【0030】
突起226は、反転板224に接続されている。より詳細には、突起226は、反転部224bの上面から負極端子板330に向かって突出する形状を有している。突起226は、反転部224bの反転形状から定常形状への変形、すなわち、反転部224bの再反転を規制する規制部の一部を構成している。突起226は、起立片226aと、爪部226bと、を有している。
【0031】
起立片226aは、反転板224のうち当該反転板224の頂部224b1を挟む部位から負極端子板330に向かって起立している。
【0032】
爪部226bは、起立片226aの上端部から、反転板224の頂部224b1から離間する向き(幅方向における外向き)に突出している。
【0033】
外部端子300は、セルケース200の上面に固定されている。外部端子300には、図示略のバスバーが溶接等によって接続される。外部端子300は、正極部材300Pと、負極部材300Nと、を有している。
【0034】
正極部材300Pは、セルケース200の上面に溶接等によって接続されている。正極部材300Pは、正極端子板310と、端子ブロック320と、を有している。
【0035】
正極端子板310は、直方体形状に形成されている。正極端子板310は、アルミニウム等の金属からなる。
【0036】
端子ブロック320は、直方体形状に形成されている。端子ブロック320は、正極端子板310を構成する金属とは異なる金属(鉄など)からなる。端子ブロック320は、蓋本体222の上面に溶接によって接続されており、この端子ブロック320の上面に、正極端子板310が溶接等によって接続されている。つまり、ケース本体210及び蓋220は、端子ブロック320を介して正極端子板310に電気的に接続されており、正極端子板310と同じ極性に帯電している。正極端子板310及び端子ブロック320の各々には、後述の正極連結ピン420Pを挿通させるための貫通孔が形成されている。
【0037】
負極部材300Nは、セルケース200の上面に溶接等によって接続されている。負極部材300Nは、正極部材300Pから幅方向に間隔をあけて配置されている。負極部材300Nは、負極端子板330と、絶縁プレート340と、を有している。
【0038】
負極端子板330は、略直方体形状に形成されている。負極端子板330は、反転板224の上方に配置されている。図4に示されるように、負極端子板330は、反転板224に対向する対向部332を有している。対向部332は、平坦に形成されている。
【0039】
本実施形態では、負極端子板330は、保持部333を有している。保持部333は、対向部332から反転板224に向かって突出する形状を有している。保持部333は、反転板224が定常形状であるときに突起226から離間しており、反転板224が反転形状であるときに突起226を保持する。つまり、保持部333は、突起226とともに、反転板224の再反転を規制する前記規制部を構成している。保持部333は、円環状に形成されていてもよいし、幅方向に反転部224bの頂部224b1を挟んだ位置に配置された一対の保持要素を有していてもよい。保持部333は、突出部333aと、保持爪333bと、を有している。
【0040】
突出部333aは、対向部332のうち反転板224の頂部224b1と対向する部位を挟む位置から反転板224に向かって突出している。
【0041】
保持爪333bは、突出部333aの下端部から、対向部332のうち頂部224b1と対向する前記部位に向かって突出している。
【0042】
図4及び図5に示されるように、保持部333は、反転形状における反転板224の外形に沿う形状を有する接触面336を有している。上述のように、セルケース200の内圧が所定圧未満(通常時)の場合、反転板224の反転部224bは、接触面336から離間している一方、セルケース200の内圧が所定圧以上の場合、反転部224bは、接触面336に接触する。反転部224bが反転することにより、突起226の爪部226bは、保持部333の保持爪333bに幅方向における内側から係合する。
【0043】
絶縁プレート340は、蓋220の上面に固定されている。絶縁プレート340は、負極端子板330を保持している。絶縁プレート340は、蓋220と負極端子板330との間を絶縁している。負極端子板330及び絶縁プレート340の各々には、後述の負極連結ピン420Nを挿通させるための貫通孔が形成されている。図3及び図4に示されるように、絶縁プレート340は、対向部332を露出させる露出口342を有している。
【0044】
連結部材400は、複数のタブ110P,110Nと外部端子300とを連結している。連結部材400は、集電板410と、連結ピン420と、を有している。
【0045】
集電板410は、複数のタブに接続されている。集電板410は、正極集電板410Pと、負極集電板410Nと、を有している。
【0046】
正極集電板410Pは、溶接等によって複数の正極タブ110Pに接続されている。正極集電板410Pは、第1平板部411と、第2平板部412と、を有している。
【0047】
第1平板部411には、複数の正極タブ110Pが超音波溶接等によって接続されている。第1平板部411には、貫通孔が形成されている。複数の正極タブ110Pは、第1平板部411の下面に接続されている。ただし、複数の正極タブ110Pは、第1平板部411の上面に接続されてもよい。
【0048】
第2平板部412は、幅方向における第1平板部411の外側に配置されている。第2平板部412には、連結孔412hと、ヒューズ部412aと、が形成されている。ヒューズ部412aは、第2平板部412をその厚み方向に貫通する貫通孔で構成されている。なお、図3に示されるように、第2平板部412と第1平板部411との間に薄肉部が形成されていてもよい。
【0049】
負極集電板410Nは、溶接等によって複数の負極タブ110Nに接続されている。負極集電板410Nの構成は、正極集電板410Pの構成と実質的に同じである。
【0050】
連結ピン420は、集電板410と外部端子300とを連結している。連結ピン420は、正極連結ピン420Pと、負極連結ピン420Nと、を有している。
【0051】
正極連結ピン420Pは、正極集電板410Pと正極端子板310とを連結している。正極連結ピン420Pは、円柱状に形成されている。正極連結ピン420Pの下端部は、連結孔412hに挿入された状態で第2平板部412に接続されている。正極連結ピン420Pの上端部は、正極端子板310にカシメられている。
【0052】
負極連結ピン420Nは、負極集電板410Nと負極端子板330とを連結している。負極連結ピン420Nは、円柱状に形成されている。負極連結ピン420Nの下端部は、連結孔412hに挿入された状態で第2平板部412に接続されている。負極連結ピン420Nの上端部は、負極端子板330にカシメられている。
【0053】
絶縁部材500は、連結部材400とセルケース200との間を絶縁している。絶縁部材500は、絶縁シート510と、インシュレータ520と、を有している。
【0054】
絶縁シート510は、蓋本体222の下面に接続されている。絶縁シート510のうち、高さ方向に圧力解放弁222aと重なる部位、注液孔222bと重なる部位、各ピン挿通孔222dと重なる部位、及び、反転板224と重なる部位に、貫通孔が形成されている。
【0055】
インシュレータ520は、連結ピン420を包囲する形状を有しており、連結ピン420とセルケース200との間を絶縁している。インシュレータ520は、正極側インシュレータ520Pと、負極側インシュレータ520Nと、を有している。
【0056】
正極側インシュレータ520Pは、正極連結ピン420Pを被覆している。正極側インシュレータ520Pは、円筒状に形成されている。正極側インシュレータ520Pは、正極連結ピン420Pと蓋本体222との間を絶縁している。
【0057】
負極側インシュレータ520Nは、負極連結ピン420Nを被覆している。負極側インシュレータ520Nの構造は、正極側インシュレータ520Pの構造と同じである。
【0058】
以上に説明した蓄電セル1において、電極体100への異常の発生等に起因してセルケース200の内圧が前記所定圧以上まで上昇すると、図5に示されるように、反転板224の反転部224bは、反転する(定常形状から反転形状に変形する)ことによって負極端子板330の接触面336に接触する。これにより、蓋220を介して外部端子300、連結部材400及び電極体100が閉回路を形成するため、この回路に大電流が流れる。そうすると、第2平板部412に形成されたヒューズ部412aが溶断する。その結果、電極体100とセルケース200との電気的な接続が遮断される。
【0059】
ここで、反転板224が反転する(定常形状から反転形状へ変形する)と、図5に示されるように、突起226が保持部333に保持されるため、反転板224の反転形状から定常形状への変形、すなわち、反転板224の再反転が抑制される。
【0060】
以下、上記実施形態における変形例について説明する。
【0061】
(第1変形例)
図6に示されるように、突起226の爪部226bは、起立片226aの上端部から反転板224の頂部に向かって突出している。保持部333の保持爪333bは、突出部333aの下端部から、対向部332のうち反転板224の頂部と対向する前記部位から離間する向きに突出している。この例では、反転部224bが反転することにより、爪部226bは、保持爪333bに幅方向における外側から係合する。なお、図6では、定常形状における反転板224及び突起226が二点鎖線で示されている。
【0062】
また、この例では、反転板224が反転形状から定常形状に戻ろうとする際、突起226は、保持部333に近づく方向に変形しようとする。よって、反転板224の再反転がより確実に抑制される。
【0063】
起立片226aは、上方に向かって凸となるように湾曲する形状を有する上端面226cを有している。突出部333aは、下方に向かって凸となるように湾曲する形状を有する下端面333cを有している。このため、反転部224bの反転時に起立片226aが突出部333aに干渉することが抑制される。
【0064】
(第2変形例)
図7に示されるように、突起226の起立片226aは、反転部224bの頂部から上方に向かって突出している。爪部226bは、起立片226aの上端部から起立片226aの軸方向と直交する方向(例えば幅方向)に張り出す形状を有している。なお、図7では、定常形状における反転板224及び突起226が二点鎖線で示されている。
【0065】
負極端子板330の対向部332には、反転板224から離間する向きに窪む凹部334が形成されており、この凹部334の下端部に保持部333が形成されている。保持部333は、反転板224が定常形状から反転形状へ変形するときにおける爪部226bの通過を許容する。一方、保持部333は、反転板224が反転形状であるときに爪部226bに当接することによって反転形状における反転板224が定常形状に向けて変形するのを規制する。
【0066】
幅方向における爪部226bの外端部間の長さは、幅方向における保持部333の内側の端部間の長さよりも大きい。ただし、反転部224bが定常形状から反転形状に変形する際、爪部226bは、弾性変形することによって保持部333を通過する。そして、反転部224bの反転時に爪部226bが保持部333を通過した後、爪部226bは、保持部333に当接する。
【0067】
負極端子板330は、対向部332から下方に突出する突出部335を有し、この突出部335の下面が接触面336を構成している。
【0068】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0069】
[態様1]
電極体と、
前記電極体を収容するセルケースと、
前記セルケースの上面に固定された外部端子と、を備え、
前記セルケースは、
前記電極体を収容するとともに上向きに開口する開口部を有するケース本体と、
前記ケース本体の前記開口部を塞ぐように前記ケース本体に接続された蓋と、を有し、
前記蓋は、
前記ケース本体の前記開口部に接続されており、前記電極体における正極又は負極に帯電した蓋本体と、
前記蓋本体に接続されており、前記蓋本体と前記外部端子とを短絡させることが可能な反転板と、
前記反転板から前記外部端子に向かって突出する突起と、を有し、
前記反転板は、前記外部端子から離間する向きに凸となるように湾曲する定常形状と、前記外部端子に向かって凸となるように湾曲しており前記外部端子に接触する反転形状と、の間で変形可能であり、
前記外部端子は、前記反転板が前記定常形状であるときに前記突起から離間しており、前記反転板が前記反転形状であるときに前記突起を保持する保持部を有する、蓄電セル。
【0070】
この蓄電セルでは、反転板が反転する(定常形状から反転形状へ変形する)と、突起が保持部に保持されるため、反転板の反転形状から定常形状への変形、すなわち、反転板の再反転が抑制される。
【0071】
[態様2]
前記保持部は、前記反転形状における前記反転板の上面に沿う形状を有する接触面を有する、態様1に記載の蓄電セル。
【0072】
この態様では、反転板と外部端子との接触面積が確保されるため、反転板及び外部端子間の接触抵抗が低減する。よって、反転板に通電しているときにおける反転板の発熱が抑制される。
【0073】
[態様3]
前記突起は、
前記反転板のうち当該反転板の頂部を挟む部位から前記外部端子に向かって起立する起立片と、
前記起立片の上端部から前記反転板の前記頂部側に向かって突出する爪部と、を有し、
前記保持部は、
前記反転板の頂部と対向する部位を挟む位置から前記反転板に向かって突出する突出部と、
前記突出部の下端部から前記頂部と対向する前記部位から離間する向きに突出する保持爪と、を有する、態様1に記載の蓄電セル。
【0074】
この態様では、反転板が反転形状から定常形状に戻ろうとする際、突起は、保持部に近づく方向に変形しようとする。よって、反転板の再反転がより確実に抑制される。
【0075】
[態様4]
前記起立片は、上方に向かって凸となるように湾曲する形状を有する上端面を有し、
前記突出部は、下方に向かって凸となるように湾曲する形状を有する下端面を有する、態様3に記載の蓄電セル。
【0076】
この態様では、反転板の反転時に起立片が突出部に干渉することが抑制される。
【0077】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1 蓄電セル、100 電極体、110N 負極タブ、110P 正極タブ、111,112 単位電極体、120 絶縁フィルム、200 セルケース、210 ケース本体、211 開口部、220 蓋、222 蓋本体、224 反転板、224a 基部、224b 反転部、226 突起、226a 起立片、226b 爪部、226c 上端面、300 外部端子、300N 負極部材、300P 正極部材、310 正極端子板、320 端子ブロック、330 負極端子板、332 対向部、333 保持部、333a 突出部、333b 保持爪、334 凹部、335 突出部、336 接触面、340 絶縁プレート、400 連結部材、410 集電板、410N 負極集電板、410P 正極集電板、420 連結ピン、420N 負極連結ピン、420P 正極連結ピン、422 被覆部、422a ヒューズ部、500 絶縁部材、510 絶縁シート、520 インシュレータ、520N 負極側インシュレータ、520P 正極側インシュレータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7