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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】移動体
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/54 20060101AFI20250107BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B60Q1/54
B60Q1/04 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022203547
(22)【出願日】2022-12-20
(65)【公開番号】P2024088407
(43)【公開日】2024-07-02
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 学
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-158866(JP,A)
【文献】特開2022-178117(JP,A)
【文献】特開2021-030877(JP,A)
【文献】特開2017-100490(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0112821(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/54
B60Q 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
第三者から視認可能な表示装置と、
を備え、
前記プロセッサは、
移動体の上限速度が切り替えられた場合、切り替え後の前記上限速度に応じて、前記表示装置の表示状態を切り替え、
前記移動体の上限速度が、現在走行中の走行レーンに応じた上限速度となっていない場合、前記表示装置の表示状態を切り替える、
移動体。
【請求項2】
前記表示装置は、前照灯である請求項1に記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第三者が車両の速度を一目で分かるようにするため、車両の適所に外部から見える速度表示手段が設けられた車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-181469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動キックスケータ等の歩道を走行できる移動体においては、歩行者自身が移動体の上限速度を判別し、予め移動体から距離をとる等の危険回避行動がとれることが望ましい。例えば特許文献1の技術を電動キックスケータに適用した場合、歩行者は電動キックスケータのその瞬間の速度を認識することは可能であるが、設定された上限速度までは判別できないため、予め危険回避行動をとることが困難となる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、歩行者が移動体に設定された上限速度を認識することができる移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る移動体は、プロセッサと、第三者から視認可能な表示装置と、を備え、前記プロセッサが、移動体の上限速度が切り替えられた場合、切り替え後の前記上限速度に応じて、前記表示装置の表示状態を切り替える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、歩行者が移動体に設定された上限速度を認識することができるため、予め危険回避行動をとることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る移動体の構成を示す側面図である。
図2図2は、実施形態1に係る移動体の構成を示す正面図である。
図3図3は、実施形態1に係る移動体の内部構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態2に係る移動体の構成を示す側面図である。
図5図5は、実施形態2に係る移動体の構成を示す正面図である。
図6図6は、実施形態3に係る移動体の構成を示す側面図である。
図7図7は、実施形態3に係る移動体の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態に係る移動体について、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
(実施形態1)
実施形態1に係る移動体について、図1図3を参照しながら説明する。移動体1は、歩道および車道の両方を移動(走行)可能な小型の電動モビリティを想定している。この移動体1としては、例えば電動キックボード、電動自転車、電動立ち乗り二輪車、電動スケートボード等が挙げられる。以下では、移動体1が電動キックボードであることを想定して説明を行う。
【0011】
移動体1は、図1および図2に示すように、表示装置21,22,23と、搭乗台31と、前輪32と、後輪33と、ハンドル台34と、ハンドル35と、を備えている。
【0012】
表示装置21,22,23としては、例えばLED(Light Emitting Diode)ランプ、ハロゲンランプ、ディスチャージランプ等が挙げられる。この表示装置21,22,23は、第三者から視認可能な位置に設けられている。
【0013】
表示装置21は、ハンドル35の上部に設けられている。また、表示装置22は、例えば前照灯であり、ハンドル台34に前側に設けられている。また、表示装置23は、例えば後照灯であり、椅子36の側面および後面に設けられている。
【0014】
図3は、移動体1の内部構成を示すブロック図である。移動体1は、同図に示すように、制御部10と、表示装置21,22,23と、を有している。制御部10は、プロセッサと、メモリ(主記憶部)と、を備えている。また、プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等から構成される。また、メモリは、例えばRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成される。
【0015】
制御部10は、各種プログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、各種プログラムの実行を通じて各構成部等を制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。制御部10は、各種プログラムの実行を通じて、上限切替部11および表示制御部12として機能する。
【0016】
上限切替部11は、移動体1の上限速度(走行上限速度)を切り替える。上限速度の切り替え方法は特に限定されず、移動体1のユーザが手動で切り替えてもよく、あるいは何らかの条件に基づいて自動で切り替えてもよい。
【0017】
上限速度を手動で切り替える場合、例えば移動体1のハンドル、ハンドルを取り付けるハンドル台等に上限速度切替用のダイヤル、スイッチ等を設ける方法、移動体1の搭乗台に上限速度切替用のフットペダルを設ける方法等を用いることができる。また、上限速度を自動で切り替える場合、GPS(Global Positioning System)や周囲の画像を利用して走行路を判別し、その判別結果に基づいて切り替える方法等を用いることができる。
【0018】
上限切替部11は、移動体1の上限速度を、第一の上限速度または第二の上限速度に切り替える。ここで、「第一の上限速度」とは、移動体1が歩道を走行する際の上限速度のことを示している。また、「第二の上限速度」とは、移動体1が車道を走行する際の上限速度のことを示している。第一の上限速度および第二の上限速度は、例えば国や地方自治体が定める法規等に基づいて設定される。第一の上限速度としては例えば「6km/h」等であり、第二の上限速度としては例えば「20km/h」等である。
【0019】
表示制御部12は、表示装置21,22,23の表示を制御する。表示制御部12は、上限切替部11によって移動体1の上限速度が切り替えられた場合、切替後の上限速度に応じて、表示装置21,22,23の表示状態を切り替える。表示制御部12による表示装置21,22,23の表示状態の切り替え方法としては、例えば発光色の変更、照度の変更、点灯/点滅の切り替え、点滅速度の変更等が挙げられる。
【0020】
また、表示制御部12は、表示装置21,22,23を同じ表示状態にまとめて切り替えてもよく、表示装置21,22,23をそれぞれ異なる表示状態に切り替えてもよい。例えば移動体1が歩道を走行しており、上限速度が「第一の上限速度」に設定されている場合、移動体1の前方に設けられている表示装置21,22を青色に点灯させ、移動体1の後方に設けられている表示装置23を黄色に点灯させることが考えられる。また、例えば移動体1が車道を走行しており、上限速度が「第二の上限速度」に設定されている場合、移動体1の前方に設けられている表示装置21,22を白色に点灯させ、移動体1の後方に設けられている表示装置23を赤色に点灯させることが考えられる。
【0021】
また、表示制御部12は、移動体1の上限速度が、現在走行中の走行レーンに応じた上限速度となっていない場合に、表示装置21,22,23の表示状態を切り替えてもよい。例えば移動体1が歩道を走行している際に、上限速度が「第二の上限速度」に設定されている場合、表示装置21,22,23の表示状態を切り替えることにより、周囲の歩行者等に注意を促してもよい。
【0022】
(実施形態2)
実施形態2に係る移動体について、図4および図5を参照しながら説明する。移動体1Aは、表示装置24,25と、搭乗台31と、前輪32と、後輪33と、ハンドル台34と、ハンドル35と、を備えている。
【0023】
表示装置24,25としては、例えばLED(Light Emitting Diode)ランプ、ハロゲンランプ、ディスチャージランプ等が挙げられる。この表示装置24,25は、第三者から視認可能な位置に設けられている。表示装置24は、例えば方向指示器であり、ハンドル35の左右の端部にそれぞれ設けられている。また、表示装置25は、例えば前照灯であり、ハンドル台34に前側に設けられている。
【0024】
移動体1Aの内部構成は、図2と同様である。すなわち、上限切替部11は、移動体1Aの上限速度を手動または自動で切り替える。また、表示制御部12は、移動体1Aの上限速度に応じて、表示装置24,25の表示状態を切り替える。
【0025】
(実施形態3)
実施形態3に係る移動体について、図6および図7を参照しながら説明する。移動体1Bは、表示装置26と、搭乗台31と、前輪32と、後輪33と、ハンドル台34と、ハンドル35と、フットペダル37と、を備えている。
【0026】
表示装置26としては、例えばLED(Light Emitting Diode)ランプ、ハロゲンランプ、ディスチャージランプ等が挙げられる。この表示装置26は、第三者から視認可能な位置に設けられている。また、表示装置26は、例えば後照灯であり、搭乗台31の後方に設けられている。フットペダル37は、移動体1Bの上限速度を手動で切り替えるためのものである。
【0027】
移動体1Bの内部構成は、図2と同様である。すなわち、上限切替部11は、移動体1Bの上限速度を手動または自動で切り替える。また、表示制御部12は、移動体1Bの上限速度に応じて、表示装置26の表示状態を切り替える。
【0028】
ここで、電動キックボードの走行速度に関する法規として、例えば歩道と車道とでそれぞれ上限速度(例えば歩道6km/h、車道20km/h等)を分ける検討がなされている。このような検討の中で、例えば歩道の走行中に何らかの事故を起こした場合、歩道の上限速度を超えていたか否かが論点になる可能性がある。
【0029】
そこで、実施形態に係る移動体では、周囲の歩行者等に対して上限速度の設定状態を認識可能とする表示機能を移動体1,1A,1Bに設けた。これにより、歩行者が移動体1,1A,1Bに設定された上限速度を認識することができるため、予め危険回避行動をとることが可能となる。
【0030】
また、実施形態に係る移動体によれば、移動体1,1A,1Bに設定された上限速度を周囲から視認できるため、例えば電動キックボードの歩道/車道の上限速度の設定が法制化された際に、速度設定違反等の取り締まりが容易となる。
【0031】
また、実施形態に係る移動体によれば、移動体1,1A,1Bの上限速度の設定状態が周囲の目撃者により視認可能となり、仮に歩行者との接触事故等が歩道で発生ような場合においても、エビデンスとすることが可能となる。
【0032】
また、実施形態に係る移動体によれば、車道走行のために必要となる前照灯(例えば表示装置22,25)、後照灯(例えば表示装置23,26)を活用することにより、追加構造を簡素化することができる。その結果、移動体1,1A,1Bの原価低減、質量低減に貢献することができる。
【0033】
更なる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、以上のように表わし、かつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0034】
例えば実施形態に係る移動体1,1A,1Bでは、上限速度の設定状態を表示装置21,22,23,24,25,26によって表示する構成としたが、上限速度設定に対応した専用の照明機能を移動体1,1A,1Bに設けてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1,1A,1B 移動体
10 制御部
11 上限切替部
12 表示制御部
21,22,23,24,25,26 表示装置
31 搭乗台
32 前輪
33 後輪
34 ハンドル台
35 ハンドル
36 椅子
37 フットペダル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7