(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】光ファイバ接続部品及び光ファイバ接続部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/40 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
G02B6/40
(21)【出願番号】P 2022508219
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2021008825
(87)【国際公開番号】W WO2021187178
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2020045286
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】森島 哲
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/135368(WO,A1)
【文献】特開平11-174274(JP,A)
【文献】国際公開第2018/008399(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0063755(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第87101894(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/36 - 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと前記コアを覆うクラッドとを有するガラスファイバであって、前記ガラスファイバの中心軸に垂直な断面において前記中心軸に対して軸対称でない構造を有するガラスファイバと、前記ガラスファイバを覆う樹脂被覆部とを有し、前記ガラスファイバの端部が前記樹脂被覆部から露出した一または複数の光ファイバを用意する工程と、
前記樹脂被覆部から露出した一または複数のガラスファイバが第1方向に配列されると共に、第1光ファイバ保持部材から外部に突出するように、前記一または複数の光ファイバを前記第1光ファイバ保持部材に搭載する第一搭載工程と、
前記一または複数の光ファイバの中心軸周りの方位を調整する回転調心工程と、
第1接着剤を用いて前記一または複数のガラスファイバを前記第1光ファイバ保持部材に接着する第一接着工程と、
前記第1光ファイバ保持部材から外部に突出した一または複数のガラスファイバが前記第1方向に配列されるように、前記一または複数のガラスファイバを第2光ファイバ保持部材に搭載する第二搭載工程と、
第2接着剤を用いて前記一または複数のガラスファイバを前記第2光ファイバ保持部材に接着する第二接着工程と、
前記一または複数のガラスファイバの端面が前記第2光ファイバ保持部材の端面と面一となるように、前記一または複数のガラスファイバの端面と前記第2光ファイバ保持部材の端面とを研磨する工程と、を含
み、
前記第1光ファイバ保持部材は、
各々が前記一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第1溝部を有する第1基板と、
前記一または複数のガラスファイバを介して前記第1基板と対向する第1蓋部と、
を備え、
前記第2光ファイバ保持部材は、
各々が前記一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第2溝部を有する第2基板と、
前記一または複数のガラスファイバを介して前記第2基板と対向する第2蓋部と、
を備え、
前記第一搭載工程は、
前記樹脂被覆部から露出した一または複数のガラスファイバの各々が前記一または複数の第1溝部のうちの対応する一つに保持されると共に、前記第1基板から外部に突出するように、前記一または複数の光ファイバを前記第1基板に搭載することを含み、
前記第一接着工程は、
前記一または複数のガラスファイバが前記第1基板及び前記第1蓋部に接着されるように、前記第1接着剤を前記一または複数の第1溝部内に設けることを含み、
前記第二搭載工程は、
前記第1基板から外部に突出した一または複数のガラスファイバの各々が前記一または複数の第2溝部のうちの対応する一つに保持されるように、前記一または複数のガラスファイバを前記第2基板に搭載することを含み、
前記第二接着工程は、
前記一または複数のガラスファイバが前記第2基板及び前記第2蓋部に接着されるように、前記第2接着剤を前記一または複数の第2溝部内に設けることを含み、
前記研磨する工程は、
前記一または複数のガラスファイバの端面が前記第2基板の端面及び前記第2蓋部の端面と面一となるように、前記一または複数のガラスファイバの端面と、前記第2基板の端面と、前記第2蓋部の端面とを研磨することを含み、
前記第2蓋部は、前記第1基板及び前記第2基板に対向しており、
前記第二接着工程では、
前記第2基板が前記第2蓋部を介して前記第1基板に固定されるように、前記第2接着剤が前記第1基板と前記第2蓋部との間に設けられる、光ファイバ接続部品の製造方法。
【請求項2】
前記第1光ファイバ保持部材と前記第2光ファイバ保持部材とを互いに接着する保持部材接着工程をさらに含む、請求項1に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【請求項3】
前記一または複数の光ファイバは、間欠接着型ファイバリボンに含まれる複数の光ファイバである、請求項1
または請求項
2に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【請求項4】
前記一または複数の光ファイバは、互いに接着されていない複数の単芯光ファイバである、請求項1から請求項
3のうちいずれか一項に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【請求項5】
前記一または複数の光ファイバの各々は、複数のコアを有するマルチコアファイバである、請求項1から請求項
4のうちいずれか一項に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【請求項6】
前記一または複数の光ファイバの各々は、偏波保持ファイバである、請求項1から請求項
4のうちいずれか一項に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【請求項7】
コアと前記コアを覆うクラッドとを有するガラスファイバであって、前記ガラスファイバの中心軸に垂直な断面において前記中心軸に対して軸対称でない構造を有するガラスファイバと、前記ガラスファイバを覆う樹脂被覆部とを有し、前記ガラスファイバの端部が前記樹脂被覆部から露出した一または複数の光ファイバと、
前記樹脂被覆部から露出した一または複数のガラスファイバが第1方向に配列されるように前記一または複数のガラスファイバを保持する第1光ファイバ保持部材と、
前記第1光ファイバ保持部材から突出した前記一または複数のガラスファイバが前記第1方向に配列されるように前記一または複数のガラスファイバを保持する第2光ファイバ保持部材と、を備え、
前記第2光ファイバ保持部材の端面は、前記一または複数のガラスファイバの端面と面一であ
り、
前記第1光ファイバ保持部材は、
各々が前記一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第1溝部を有する第1基板と、
前記一または複数のガラスファイバを介して前記第1基板と対向する第1蓋部と、
を備え、
前記第2光ファイバ保持部材は、
各々が前記一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第2溝部を有する第2基板と、
前記一または複数のガラスファイバを介して前記第2基板と対向する第2蓋部と、
を備え、
前記第2蓋部は、前記第1基板及び前記第2基板に対向しており、
前記第2基板は、前記第2蓋部を介して前記第1基板に固定されている、光ファイバ接続部品。
【請求項8】
前記第1光ファイバ保持部材は、接着剤を介して前記第2光ファイバ保持部材に固定されている、請求項
7に記載の光ファイバ接続部品。
【請求項9】
前記一または複数の光ファイバは複数の光ファイバであり、
前記一または複数の第1溝部は、互いに平行に配列されると共に、各々が前記複数の光ファイバ各々の端部で露出した複数のガラスファイバの対応する一つを保持する複数の第1溝部であり、
前記一または複数の第2溝部は、互いに平行に配列されると共に、各々が前記複数のガラスファイバの対応する一つを保持する複数の第2溝部である、請求項
7または請求項8に記載の光ファイバ接続部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ファイバ接続部品及び光ファイバ接続部品の製造方法に関する。
本出願は、2020年3月16日出願の日本出願第2020―045286号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マルチコアファイバを備えた光コネクタの製造方法が開示されている。特許文献1に開示された製造方法によれば、マルチコアファイバがコネクタフェルールに設けられたV溝に配置された後に、マルチコアファイバの中心軸周りの方位が調整(即ち、マルチコアファイバが回転調心)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の一態様の光ファイバ接続部品の製造方法は、コアとコアを覆うクラッドとを有するガラスファイバであって、ガラスファイバの中心軸に垂直な断面において中心軸に対して軸対称でない構造を有するガラスファイバと、ガラスファイバを覆う樹脂被覆部とを有し、ガラスファイバの端部が樹脂被覆部から露出した一または複数の光ファイバを用意する工程と、樹脂被覆部から露出した一または複数のガラスファイバが第1方向に配列されると共に、第1光ファイバ保持部材から外部に突出するように、一または複数の光ファイバを第1光ファイバ保持部材に搭載する第一搭載工程と、一または複数の光ファイバの中心軸周りの方位を調整する回転調心工程と、第1接着剤を用いて一または複数のガラスファイバを第1光ファイバ保持部材に接着する第一接着工程と、第1光ファイバ保持部材から外部に突出した一または複数のガラスファイバが前記第1方向に配列されるように、一または複数のガラスファイバを第2光ファイバ保持部材に搭載する第二搭載工程と、第2接着剤を用いて一または複数のガラスファイバを第2光ファイバ保持部材に接着する第二接着工程と、一または複数のガラスファイバの端面が第2光ファイバ保持部材の端面と面一となるように、一または複数のガラスファイバの端面と前記第2光ファイバ保持部材の端面とを研磨する工程と、を含む。
【0005】
本開示の一態様の光ファイバ接続部品は、コアとコアを覆うクラッドとを有するガラスファイバであって、ガラスファイバの中心軸に垂直な断面において中心軸に対して軸対称でない構造を有するガラスファイバと、ガラスファイバを覆う樹脂被覆部とを有し、ガラスファイバの端部が樹脂被覆部から露出した一または複数の光ファイバと、第1光ファイバ保持部材であって、樹脂被覆部から露出した一または複数のガラスファイバが第1方向に配列されると共に、第1光ファイバ保持部材から外部に突出するように、一または複数のガラスファイバを保持する第1光ファイバ保持部材と、第1光ファイバ保持部材から突出した一または複数のガラスファイバが第1方向に配列されるように一または複数のガラスファイバを保持する第2光ファイバ保持部材と、を備える。第2光ファイバ保持部材の端面は、一または複数のガラスファイバの端面と面一である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る光ファイバ接続部品を示す斜視図である。
【
図2】本開示の光ファイバ接続部品に含まれるガラスファイバの一例を示す断面図である。
【
図3】本開示に係る光ファイバ接続部品の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本開示に係る光ファイバ接続部品の製造方法における第一搭載工程において、複数の光ファイバが第1基板に搭載された状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示すV―V線に沿って切断された断面図である。
【
図6】本開示に係る光ファイバ接続部品の製造方法における第一搭載工程において、各ガラスファイバが第1光ファイバ保持部材により保持された状態を示す斜視図である。
【
図7A】各ガラスファイバが第1接着剤により第1基板及び第1蓋部に接着された状態を示す
図6に示すVIIA―VIIA線に沿って切断された断面図である。
【
図7B】
図7Aに示すVIIB-VIIB線に沿って切断されたガラスファイバと、第1基板と、第1蓋部の断面図である。
【
図8】本開示に係る光ファイバ接続部品の製造方法における第二搭載工程において、第1光ファイバ保持部材から突出した各ガラスファイバが第2基板に搭載された状態を示す斜視図である。
【
図9】本開示に係る光ファイバ接続部品の製造方法における第二接着工程において、各ガラスファイバが第2光ファイバ保持部材により保持された状態を示す斜視図である。
【
図10】本開示の第1実施形態に係る光ファイバ接続部品におけるガラスファイバと、第2基板と、第2蓋部の断面図である。
【
図11】本開示の第2実施形態に係る光ファイバ接続部品の製造方法を説明するための図である。
【
図12】第2実施形態に係る光ファイバ接続部品を示す斜視図である。
【
図13A】変形例に係る第1光ファイバ保持部材を示す図である。
【
図13B】変形例に係る第2光ファイバ保持部材を示す図である。
【
図14】偏波保持ファイバのガラスファイバの一例を示す断面図である。
【
図15】間欠接着型ファイバリボンの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[本開示が解決しようとする課題]
マルチコアファイバを備えた光コネクタの製造方法では、マルチコアファイバが回転調心された後に、マルチコアファイバとコネクタフェルールが接着剤により固定される。その後、マルチコアファイバの端面とコネクタフェルールの端面が面一となるようにコネクタフェルールから突出したマルチコアファイバの端面が研磨される。
【0008】
ところで、マルチコアファイバのコアの位置は、マルチコアファイバの長手方向に沿って変動していることが多い。この場合、マルチコアファイバの研磨工程後におけるマルチコアファイバの端面上のコアの位置は、マルチコアファイバの端面の研磨量に応じて回転調心工程で観察したマルチコアファイバの端面上のコアの位置から変動する場合がある。このため、製造された光コネクタにおけるマルチコアファイバの端面上のコアの位置が回転調心工程で調整した所望の位置からずれてしまい、光コネクタと光導波路回路等の外部光学部品との間の結合損失が増大してしまう虞がある。このように、マルチコアファイバを備えた光コネクタの光学特性を改善する余地がある。
【0009】
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)コアとコアを覆うクラッドとを有するガラスファイバであって、ガラスファイバの中心軸に垂直な断面において中心軸に対して軸対称でない構造を有するガラスファイバと、ガラスファイバを覆う樹脂被覆部とを有し、ガラスファイバの端部が樹脂被覆部から露出した一または複数の光ファイバを用意する工程と、樹脂被覆部から露出した一または複数のガラスファイバが第1方向に配列されると共に、第1光ファイバ保持部材から外部に突出するように、一または複数の光ファイバを第1光ファイバ保持部材に搭載する第一搭載工程と、一または複数の光ファイバの中心軸周りの方位を調整する回転調心工程と、第1接着剤を用いて一または複数のガラスファイバを第1光ファイバ保持部材に接着する第一接着工程と、第1光ファイバ保持部材から外部に突出した一または複数のガラスファイバが第1方向に配列されるように、一または複数のガラスファイバを第2光ファイバ保持部材に搭載する第二搭載工程と、第2接着剤を用いて一または複数のガラスファイバを第2光ファイバ保持部材に接着する第二接着工程と、一または複数のガラスファイバの端面が第2光ファイバ保持部材の端面と面一となるように、一または複数のガラスファイバの端面と第2光ファイバ保持部材の端面とを研磨する工程と、を含む、光ファイバ接続部品の製造方法。
【0010】
上記製造方法によれば、各ガラスファイバの端面の研磨量を低減することが可能となる。このため、ガラスファイバのコアの位置がガラスファイバの長手方向に沿って変動する場合であっても、ガラスファイバの端面の研磨が終了した時点でのガラスファイバの端面上におけるコアの位置は、光ファイバの回転調心工程直後に観察したガラスファイバの端面上におけるコアの位置からは大きく変動しない。このため、光ファイバ接続部品と外部光学部品(例えば、光導波路回路)との間の結合損失が増大してしまうといった状況を防止可能となる。
【0011】
(2)第1光ファイバ保持部材と第2光ファイバ保持部材とを互いに接着する保持部材接着工程をさらに含む、項目(1)に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【0012】
上記製造方法によれば、第1光ファイバ保持部材と第2光ファイバ保持部材が互いに固定されているため、光ファイバ接続部品の強度を上げることができる。
【0013】
(3)前記第1光ファイバ保持部材は、各々が前記一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第1溝部を有する第1基板と、前記一または複数のガラスファイバを介して前記第1基板と対向する第1蓋部と、を備え、第2光ファイバ保持部材は、各々が一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第2溝部を有する第2基板と、一または複数のガラスファイバを介して前記第2基板と対向する第2蓋部と、を備え、第一搭載工程は、樹脂被覆部から露出した一または複数のガラスファイバの各々が一または複数の第1溝部のうちの対応する一つに保持されると共に、第1基板から外部に突出するように、一または複数の光ファイバを第1基板に搭載することを含み、第一接着工程は、一または複数のガラスファイバが第1基板及び第1蓋部に接着されるように、第1接着剤を一または複数の第1溝部内に設けることを含み、第二搭載工程は、第1基板から外部に突出した一または複数のガラスファイバの各々が一または複数の第2溝部のうちの対応する一つに保持されるように、一または複数のガラスファイバを前記第2基板に搭載することを含み、第二接着工程は、一または複数のガラスファイバが第2基板及び前記第2蓋部に接着されるように、第2接着剤を一または複数の第2溝部内に設けることを含み、研磨する工程は、一または複数のガラスファイバの端面が第2基板の端面及び第2蓋部の端面と面一となるように、一または複数のガラスファイバの端面と、第2基板の端面と、第2蓋部の端面とを研磨することを含む、項目(1)または項目(2)に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【0014】
上記製造方法によれば、光ファイバを第1光ファイバ保持部材上へ容易に搭載でき、かつ第1光ファイバ保持部材上で高精度に配列させることができる。
【0015】
(4)第2蓋部は、第1基板及び前記第2基板に対向しており、第二接着工程では、第2基板が第2蓋部を介して第1基板に固定されるように、第2接着剤が第1基板と第2蓋部との間に設けられる、項目(3)に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【0016】
上記製造方法によれば、第1基板と第2基板とを接着剤によって直接的に接着する工程を設けずに、第1基板と第2基板とを互いに間接的に固定することができる。
【0017】
(5)第1光ファイバ保持部材は、各々が一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第1孔部を有する第1ホールキャピラリを備え、第2光ファイバ保持部材は、各々が一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第2孔部を有する第2ホールキャピラリを備える、項目(1)または項目(2)に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【0018】
上記製造方法によれば、部品点数を少なくでき、組み立ての工数を減らすことができる。
【0019】
(6)一または複数の光ファイバは、間欠接着型ファイバリボンに含まれる複数の光ファイバである、項目(1)から項目(5)のうちいずれか一項に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【0020】
上記製造方法によれば、間欠接着型ファイバリボンのうち光ファイバが一体化していない箇所を第1光ファイバ保持部材に搭載することで、各光ファイバを分離させる工程を省くことができる。
【0021】
(7)一または複数の光ファイバは、互いに接着されていない複数の単芯光ファイバである、項目(1)から項目(5)のうちいずれか一項に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【0022】
上記製造方法によれば、各光ファイバを分離させる工程を省くことができる。
【0023】
(8)一または複数の光ファイバの各々は、複数のコアを有するマルチコアファイバである、項目(1)から項目(7)のうちいずれか一項に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【0024】
上記製造方法によれば、一または複数のマルチコアファイバを低損失で接続可能な光ファイバ接続部品を製造することができる。
【0025】
(9)一または複数の光ファイバの各々は、偏波保持ファイバである、項目(1)から項目(7)のうちいずれか一項に記載の光ファイバ接続部品の製造方法。
【0026】
上記製造方法によれば、一または複数の偏波保持ファイバを低クロストークで接続可能な光ファイバ接続部品を製造することができる。
【0027】
(10)コアとコアを覆うクラッドとを有するガラスファイバであって、ガラスファイバの中心軸に垂直な断面において中心軸に対して軸対称でない構造を有するガラスファイバと、ガラスファイバを覆う樹脂被覆部とを有し、ガラスファイバの端部が樹脂被覆部から露出した一または複数の光ファイバと、樹脂被覆部から露出した一または複数のガラスファイバが第1方向に配列されるように一または複数のガラスファイバを保持する第1光ファイバ保持部材と、第1光ファイバ保持部材から突出した一または複数のガラスファイバが第1方向に配列されるように一または複数のガラスファイバを保持する第2光ファイバ保持部材と、を備え、第2光ファイバ保持部材の端面は、一または複数のガラスファイバの端面と面一である、光ファイバ接続部品。
【0028】
上記構成によれば、第1光ファイバ保持部材から突出した一または複数のガラスファイバが第2光ファイバ保持部材によって保持されるため、第1光ファイバ保持部材から外部に突出した各ガラスファイバの端面の研磨量を低減することが可能となる。このため、製造された光ファイバ接続部品のガラスファイバの端面上におけるコアの位置が回転調心工程で調整した所望の位置からずれてしまうといった状況を防止することができるため、光ファイバ接続部品と外部光学部品(例えば、光導波路回路)との間の結合損失が増大してしまうといった状況を防止可能となる。このように、光ファイバ接続部品の光学特性を向上させることが可能となる。
【0029】
(11)第1光ファイバ保持部材は、接着剤を介して第2光ファイバ保持部材に固定されている、項目(10)に記載の光ファイバ接続部品。
【0030】
上記構成によれば、第1光ファイバ保持部材が接着剤を介して第2光ファイバ保持部材に固定されているため、光ファイバ接続部品の強度を上げることができる。
【0031】
(12)前記第1光ファイバ保持部材は、各々が一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第1溝部を有する第1基板と、一または複数のガラスファイバを介して前記第1基板と対向する第1蓋部と、を備え、第2光ファイバ保持部材は、各々が一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第2溝部を有する第2基板と、一または複数のガラスファイバを介して前記第2基板と対向する第2蓋部と、を備える、項目(10)または項目(11)に記載の光ファイバ接続部品。
【0032】
上記構成によれば、第1基板と第1蓋部によって樹脂被覆部から露出したガラスファイバを第1方向に配列させるように保持することができると共に、第2基板と第2蓋部によって第1基板から突出したガラスファイバを第1方向に配列させるように保持することができる。
【0033】
(13)一または複数の光ファイバは複数の光ファイバであり、一または複数の第1溝部は、互いに平行に配列されると共に、各々が前記複数の光ファイバ各々の端部で露出した複数のガラスファイバの対応する一つを保持する複数の第1溝部であり、一または複数の第2溝部は、互いに平行に配列されると共に、各々が前記複数のガラスファイバの対応する一つを保持する複数の第2溝部である、項目(12)に記載の光ファイバ接続部品。
【0034】
上記構成によれば、複数の第1溝部によって複数の光ファイバを第1方向に配列させることができると共に、複数の第2溝部によって複数の光ファイバを第1方向に配列させることができる。
【0035】
(14)第2蓋部は、前記第1基板及び前記第2基板に対向しており、第2基板は、前記第2蓋部を介して前記第1基板に固定されている、項目(12)または項目(13)に記載の光ファイバ接続部品。
【0036】
上記構成によれば、第2基板が第2接着剤及び第2蓋部を介して第1基板に固定されているため、光ファイバ接続部品の強度を上げることができる。
【0037】
(15)第1光ファイバ保持部材は、各々が一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第1孔部を有する第1ホールキャピラリを備え、第2光ファイバ保持部材は、各々が一または複数のガラスファイバの対応する一つを保持する一または複数の第2孔部を有する第2ホールキャピラリを備える、項目(10)または項目(11)に記載の光ファイバ接続部品。
【0038】
上記構成によれば、第1ホールキャピラリによって樹脂被覆部から露出したガラスファイバを第1方向に配列させるように保持することができると共に、第2ホールキャピラリによって第1ホールキャピラリから突出したガラスファイバを第1方向に配列させるように保持することができる。
【0039】
(16)一または複数の光ファイバは複数の光ファイバであり、一または複数の第1孔部は、互いに平行に配列されると共に、各々が複数の光ファイバ各々の端部で露出した複数のガラスファイバの対応する一つを保持する複数の第1孔部であり、一または複数の第2孔部は、互いに平行に配列されると共に、各々が複数のガラスファイバの対応する一つを保持する複数の第2孔部である、項目(15)に記載の光ファイバ接続部品。
【0040】
上記構成によれば、複数の第1孔部によって複数の光ファイバを第1方向に配列させることができる共に、複数の第2孔部によって複数の光ファイバを第1方向に配列させることができる。
【0041】
〔本開示の効果〕
本開示によれば、光ファイバ接続部品の光学特性を向上させることが可能な光ファイバ接続部品の製造方法を提供することができると共に、光学特性が向上した光ファイバ接続部品を提供することができる。
【0042】
[本開示の実施形態の説明]
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。各図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。実施形態の説明では、理解を容易にするために、光ファイバ保持部材に保持された光ファイバの中心軸に沿ったZ軸、Z軸に対して垂直で複数の光ファイバの並びに沿ったX軸、Z軸とX軸に対して垂直なY軸について言及する。また、本実施形態では、光ファイバ接続部品1は、複数の光ファイバ2を含む光ファイバアレイとして機能する。光ファイバ接続部品1の光ファイバが他の光ファイバと光学的に接続される場合には、光ファイバ接続部品1は、光コネクタとして機能する。
【0043】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光ファイバ接続部品1を示す斜視図である。光ファイバ接続部品1は、X軸方向(第1方向)に配列された複数の光ファイバ2(第1実施形態では12本の光ファイバ2)と、複数の光ファイバ2を保持する第1光ファイバ保持部材3と、複数の光ファイバ2のガラスファイバ20を保持する第2光ファイバ保持部材6とを備える。
【0044】
各光ファイバ2は、互いに分離した状態でX軸方向に配列されている。
図2に示すように、各光ファイバ2は、光ファイバ2の長手方向に延びる中心軸(図示せず)に垂直な断面において当該中心軸に対して軸対称ではない構造を有する。このため、各光ファイバ2に対して回転調心を行う必要がある。第1実施形態では、各光ファイバ2は、複数のコア24を有するマルチコアファイバである。各光ファイバ2は、ガラスファイバ20と、ガラスファイバ20を覆う樹脂被覆部21とを有する。
【0045】
ガラスファイバ20は、信号光が伝搬する複数のコア24と、マーカ25と、複数のコア24とマーカ25とを覆うクラッド23とを有する。各コア24の屈折率はクラッド23の屈折率よりも大きい。マーカ25の屈折率は、クラッド23の屈折率と異なっている。マーカ25は、後述する光ファイバ2の回転調心工程において利用される。
【0046】
図1に示すように、各光ファイバ2では、ガラスファイバ20の端部が樹脂被覆部21から露出している。第1光ファイバ保持部材3は、樹脂被覆部21から露出した複数のガラスファイバ20がX軸方向に配列されるように複数のガラスファイバ20を保持する。第1光ファイバ保持部材3は、第1基板4と、複数のガラスファイバ20を介して第1基板4と対向する第1蓋部5とを有する。第1基板4は、樹脂被覆部21を保持する保持領域43と、樹脂被覆部から露出した各ガラスファイバ20を保持する保持領域44とを有する。保持領域44には、各々が対応するガラスファイバ20の一つを保持する断面がV字形状の複数の第1溝部46(
図4参照)が設けられている。
【0047】
第2光ファイバ保持部材6は、Z軸方向において第1光ファイバ保持部材3から突出した複数のガラスファイバ20がX軸方向に配列されるように複数のガラスファイバ20を保持する。第2光ファイバ保持部材6は、第2基板7と、複数のガラスファイバ20を介して第2基板7と対向する第2蓋部8とを有する。第2基板7には、各々が対応するガラスファイバ20の一つを保持する断面がV字形状の複数の第2溝部76(
図8参照)が設けられている。
【0048】
第2光ファイバ保持部材6は、接着剤を介して第1光ファイバ保持部材3に固定されている。特に、第2基板7が接着剤を介して第1基板4に固定されていると共に、第2蓋部8が接着剤を介して第1蓋部5に固定されている。また、第2光ファイバ保持部材6の端面は、各ガラスファイバ20の端面22と面一となっている。特に、第2基板7の端面72と第2蓋部8の端面82が各ガラスファイバ20の端面22と面一となっている。
【0049】
図3は、本開示に係る光ファイバ接続部品1の製造方法を説明するためのフローチャートである。準備工程S1において、ガラスファイバ20の端部が樹脂被覆部21から露出した複数の光ファイバ2が用意される。第1実施形態では、複数の光ファイバ2は、互いに接着されていないため、各光ファイバ2を分離させる工程を別途設ける必要がない。さらに、所定の工具を用いることで各ガラスファイバ20の端部を樹脂被覆部21から露出させることができる。
【0050】
次に、第1搭載工程S2において、複数の光ファイバ2が第1光ファイバ保持部材3に搭載される。
図4に示すように、樹脂被覆部21から露出した各ガラスファイバ20がX軸方向に配列されると共に、Z軸方向において第1基板4から外部に突出するように、各光ファイバ2が第1基板4に搭載される。また、樹脂被覆部21が第1基板4の保持領域43に保持されると共に、樹脂被覆部21から露出した複数のガラスファイバ20の各々が第1基板4の保持領域44にある複数の第1溝部46のうちの対応する一つに保持される(
図5参照)。
【0051】
次に、回転調心工程S3において、各光ファイバ2の中心軸周りの方位(回転位置)が調整される(つまり、各光ファイバ2の回転調心が行われる)。例えば、第1光ファイバ保持部材3から突出した各ガラスファイバ20の表面が図示しないカメラによって撮像されてもよい。その後、図示しない回転調心装置は、カメラにより取得されたガラスファイバ20の表面を示す撮像画像に基づいて、各ガラスファイバ20の回転位置を自動的に調整してもよい。この点において、ガラスファイバ20のマーカ25(
図2参照)の回転位置が所定の回転位置に一致するようにガラスファイバ20の回転位置が調整されてもよい。このように、光ファイバ2の回転調心工程を通じて、複数のコア24の回転位置が所望の回転位置に調整される。
【0052】
次に、第一接着工程S4において、紫外線硬化樹脂(第1接着剤
10の一例)を用いて複数のガラスファイバ20が第1光ファイバ保持部材3に接着される。具体的には、回転調心工程S3において光ファイバ2の回転調心が実行された後に、第1蓋部5が各ガラスファイバ20を介して第1基板4の保持領域44上に配置される(
図6参照)。次に、各ガラスファイバ20が第1蓋部5と第1基板4の第1溝部46によって固定された状態で、紫外線硬化樹脂が第1溝部46及び第1基板4と第1蓋部5との間の隙間に導入される(
図7A,
図7B参照)。紫外線硬化樹脂は、保持領域43側から第1蓋部5と第1基板4との間の隙間に流し込まれてもよい。その後、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することで紫外線硬化樹脂が硬化される。このように、紫外線硬化樹脂により各ガラスファイバ20が第1基板4及び第1蓋部5に接着される。
【0053】
次に、第二搭載工程S5において、Z軸方向において第1光ファイバ保持部材3から外部に突出した複数のガラスファイバ20が第2光ファイバ保持部材6に搭載される。
図8に示すように、第1光ファイバ保持部材3から突出した各ガラスファイバ20がX軸方向に配列されるように、各光ファイバ2が第2基板7に搭載される。特に、複数のガラスファイバ20の各々が第2基板7にある複数の第2溝部76のうちの対応する一つに保持される。この状態で、各ガラスファイバ20の先端は、Z軸方向において第2基板7の端面72から僅かに突出している。また、本工程において、第2基板7が接着剤を介して第1基板4に接着される。
【0054】
次に、第二接着工程S6において、紫外線硬化樹脂(第2接着剤
12の一例)を用いて複数のガラスファイバ20が第2光ファイバ保持部材6に接着される。具体的には、
図9に示すように、第2蓋部8が各ガラスファイバ20を介して第2基板7上に配置される。次に、各ガラスファイバ20が第2蓋部8と第2基板7の第2溝部76によって固定された状態で、紫外線硬化樹脂が第2溝部76及び第2基板7と第2蓋部8との間の隙間に導入される。紫外線硬化樹脂は、各ガラスファイバ20の端面22の側から第2蓋部8と第2基板7との間の隙間に流し込まれてもよい。その後、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することで紫外線硬化樹脂が硬化される。このように、紫外線硬化樹脂により各ガラスファイバ20が第2基板7及び第2蓋部8に接着される。また、本工程において、第2蓋部8が接着剤を介して第1蓋部5に接着される。
【0055】
次に、研磨工程S7において、複数のガラスファイバ20の端面22と第2光ファイバ保持部材6の端面とが研磨される。具体的には、各ガラスファイバ20の端面22と、第2基板7の端面72と、第2蓋部8の端面82とが面一となるように、各ガラスファイバ20の端面22と、第2基板7の端面72と、第2蓋部8の端面82が研磨される。例えば、
図10に示すように、Z軸方向において、第2基板7の端面72及び第2蓋部8の端面82から突出したガラスファイバ20の突出量がD2(mm)である場合、ガラスファイバ20の研磨量はD2以上となる。このように、研磨工程S7を通じて、
図1に示すような光ファイバ接続部品1が製造される。
【0056】
図6に示すような第1光ファイバ保持部材3から突出した各ガラスファイバ20の突出量D1(mm)と比較して、第2光ファイバ保持部材6から突出した各ガラスファイバ20の突出量D2は短くなるため、第1実施形態によれば研磨工程を通じた各ガラスファイバ20の端面22の研磨量を低減することが可能となる。このように、ガラスファイバ20のコア24の位置がガラスファイバ20の長手方向に沿って変動する場合であっても、ガラスファイバ20の端面22の研磨が終了した時点でのガラスファイバ20の端面22上におけるコア24の回転位置は、光ファイバ2の回転調心で観察したガラスファイバ20の端面22上におけるコア24の回転位置からは大きく変動しない。
【0057】
したがって、ガラスファイバ20の研磨工程を通じて製造された光ファイバ接続部品1のガラスファイバ20の端面22上におけるコア24の回転位置が回転調心工程で調整された所望の位置からずれてしまうといった状況を防止することができる。このため、光ファイバ接続部品1と外部光学部品(光導波路回路や別の光ファイバ)との間の結合損失が増大してしまうといった状況を防止可能となる。このように、第1実施形態に係る光ファイバ接続部品1の製造方法を通じて、光ファイバ接続部品1の光学特性を向上させることが可能となる。また、第1実施形態によれば、第1光ファイバ保持部材3と第2光ファイバ保持部材6が接着剤を介して互いに固定されるため、光ファイバ接続部品1の強度を確保することができる。
【0058】
尚、第1実施形態では、接着剤の一例として紫外線硬化樹脂を用いて各ガラスファイバ20と第1光ファイバ保持部材3が接着されると共に、各ガラスファイバ20と第2光ファイバ保持部材6が接着されているが、第1実施形態はこれに限定されるべきではない。例えば、接着剤の他の一例として紫外線硬化樹脂の代わりに熱硬化性樹脂が使用されてもよい。また、第1実施形態では、光ファイバ接続部品1は、12本の光ファイバ2を備えているが、光ファイバ接続部品1に搭載される光ファイバ2の本数は特に限定されるものではない。例えば、光ファイバ接続部品1に搭載される光ファイバ2の本数は1本であってもよい。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に係る光ファイバ接続部品1A及びその製造方法について
図3、
図11及び
図12を主に参照して以下に説明する。
図11は、第2実施形態に係る光ファイバ接続部品1Aの製造方法を説明するための図である。
図12は、光ファイバ接続部品1Aを示す斜視図である。
【0060】
図12に示すように、第2実施形態に係る光ファイバ接続部品1Aは、第1蓋部5Aと第2蓋部8Aの外形サイズが異なる点で第1実施形態に係る光ファイバ接続部品1と相違する。以降の説明では、第1実施形態に係る光ファイバ接続部品1と第2実施形態に係る光ファイバ接続部品1Aとの間の相違点について主に述べる。尚、第2実施形態において、第1実施形態で説明された構成要素と同一の参照番号を有する構成要素について繰り返して説明はしない。
【0061】
図12に示すように、光ファイバ接続部品1Aは、複数の光ファイバ2と、第1光ファイバ保持部材3Aと、第2光ファイバ保持部材6Aとを備える。第1光ファイバ保持部材3Aは、第1基板4と、各ガラスファイバ20を介して第1基板4に対向する第1蓋部5Aとを有する。第2実施形態では、Z軸方向における第1蓋部5Aの外形サイズは、Z軸方向における第1実施形態の第1蓋部5の外形サイズよりも小さい。第2光ファイバ保持部材6Aは、第2基板7と、各ガラスファイバ20を介して第1基板4及び第2基板7に対向する第2蓋部8Aとを有する。第2実施形態では、Z軸方向における第2蓋部8Aの外形サイズは、Z軸方向における第1実施形態の第2蓋部8の外形サイズよりも大きい。
【0062】
第2蓋部8Aの一部は、紫外線硬化樹脂によって各ガラスファイバ20及び第1基板4に接着されていると共に、第2蓋部8Aの他の一部は、紫外線硬化樹脂によって各ガラスファイバ20及び第2基板7に接着されている。このように、第2実施形態に係る光ファイバ接続部品1Aでは、第2基板7は第2蓋部8Aを介して第1基板4に固定されているため、光ファイバ接続部品1Aの強度を上げることができる。
【0063】
次に、
図3を参照することで光ファイバ接続部品1Aの製造方法について以下に説明する。
図3に示すように、準備工程S1~回転調心工程S3が実行された後に、紫外線硬化樹脂を用いて各ガラスファイバ20が第1光ファイバ保持部材3Aに接着される(第一接着工程S4)。より詳細には、第1蓋部5Aが各ガラスファイバ20を介して第1基板4の保持領域44上に配置される(
図11参照)。次に、各ガラスファイバ20が第1蓋部5Aと第1基板4の第1溝部46によって固定された状態で、紫外線硬化樹脂が第1溝部46及び第1基板4と第1蓋部5Aとの間の隙間に導入される。その後、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することで紫外線硬化樹脂が硬化される。このように、紫外線硬化樹脂により各ガラスファイバ20が第1基板4及び第1蓋部5Aに接着される。
【0064】
次に、第二搭載工程S5において、Z軸方向において第1光ファイバ保持部材3Aから外部に突出した複数のガラスファイバ20が第2光ファイバ保持部材6Aに搭載される。その後、第二接着工程S6において、紫外線硬化樹脂を用いて複数のガラスファイバ20が第2光ファイバ保持部材6Aに接着される。
図12に示すように、第2蓋部8Aの一部が各ガラスファイバ20を介して第1基板4上に搭載されると共に、第2蓋部8Aの残りの一部が各ガラスファイバ20を介して第2基板7上に搭載される。次に、各ガラスファイバ20が第2蓋部8Aと第2基板7によって固定された状態で、紫外線硬化樹脂が第2基板7と第2蓋部8Aとの間の隙間及び第1基板4と第2蓋部8Aとの間の隙間に導入される。
【0065】
紫外線硬化樹脂は、各ガラスファイバ20の端面22の側から第2蓋部8Aと第2基板7との間の隙間及び第2蓋部8Aと第1基板4との間の隙間に流し込まれてもよい。その後、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射することで紫外線硬化樹脂が硬化される。このように、各ガラスファイバ20は、紫外線硬化樹脂により、第2基板7、第2蓋部8A及び第1基板4のそれぞれに接着される。
【0066】
その後、研磨工程S7において、各ガラスファイバ20の端面22と第2光ファイバ保持部材6Aの端面が研磨される。この点において、各ガラスファイバ20の端面22と、第2基板7の端面72と、第2蓋部8Aの端面82Aとが面一となるように、各ガラスファイバ20の端面22と、第2基板7の端面72と、第2蓋部8Aの端面82Aが研磨される。
【0067】
このように、第2実施形態に係る光ファイバ接続部品1Aの製造方法では、第2基板7が第2蓋部8Aを介して第1基板4に固定されているため、第1光ファイバ保持部材3Aと第2光ファイバ保持部材6Aとを直接的に接着する工程を設けずに、第1光ファイバ保持部材3Aと第2光ファイバ保持部材6Aとを互いに間接的に固定することができる。
【0068】
(第1光ファイバ保持部材及び第2光ファイバ保持部材の変形例)
図13Aは、変形例に係る第1光ファイバ保持部材3Bを示す図である。
図13Bは、変形例に係る第2光ファイバ保持部材6Bを示す図である。
【0069】
第1実施形態に係る第1光ファイバ保持部材3に代わって、第1光ファイバ保持部材3Bが光ファイバ接続部品1に使用されてもよい。第1光ファイバ保持部材3Bは、X軸方向に配列された複数の第1孔部3bを有する第1ホールキャピラリである。複数のガラスファイバ20の各々は、複数の第1孔部3bのうちの対応する一つに挿入される。このように、複数の第1孔部3bの各々は、複数のガラスファイバ20のうちの対応する一つを保持する。
【0070】
また、第1実施形態に係る第2光ファイバ保持部材6に代わって、第2光ファイバ保持部材6Bが光ファイバ接続部品1に使用されてもよい。第2光ファイバ保持部材6Bは、X軸方向に配列された複数の第2孔部6bを有する第2ホールキャピラリである。Z軸方向において第1光ファイバ保持部材3Bから突出した複数のガラスファイバ20の各々は、複数の第2孔部6bのうちの対応する一つに挿入される。このように、複数の第2孔部6bの各々は、第1光ファイバ保持部材3Bから突出した複数のガラスファイバ20のうちの対応する一つを保持する。
【0071】
次に、
図3を参照して第1光ファイバ保持部材3B及び第2光ファイバ保持部材6Bが光ファイバ接続部品1に適用された場合における光ファイバ接続部品1の製造方法について以下に簡潔に説明する。
【0072】
第1搭載工程S2において、各ガラスファイバ20が複数の第1孔部3bのうちの対応する一つに挿入されることで、各光ファイバ2が第1光ファイバ保持部材3Bに搭載される。次に、各光ファイバ2の回転調心が実行された後に、各ガラスファイバ20が紫外線硬化樹脂によって第1光ファイバ保持部材3Bに接着される(第一接着工程S4)。
【0073】
第二搭載工程S5において、第1光ファイバ保持部材3Bから突出した各ガラスファイバ20が複数の第2孔部6bのうちの対応する一つに挿入されることで、各ガラスファイバ20が第2光ファイバ保持部材6Bに搭載される。次に、第二接着工程S6において、各ガラスファイバ20が紫外線硬化樹脂によって第2光ファイバ保持部材6Bに接着された後に、第2光ファイバ保持部材6Bの端面と各ガラスファイバ20の端面22が研磨される。
【0074】
本変形例でも同様に、各ガラスファイバ20の研磨量を低減することができるので、ガラスファイバ20の研磨工程を通じて製造された光ファイバ接続部品1のコアの回転位置が回転調心工程で調整された所望の回転位置からずれてしまう状況を防止することができる。このように、光ファイバ接続部品1の光学特性を向上させることが可能な光ファイバ接続部品1の製造方法を提供することができる。
【0075】
以上、実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。実施形態はあくまでも一例であって、請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解される。このように、本発明の技術的範囲は請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0076】
本開示では、光ファイバは複数のコアを有するマルチコアファイバであったが、光ファイバはマルチコアファイバには限定されるものではない。この点において、光ファイバのガラスファイバがその中心軸に対して軸対称ではない構造を有する限りにおいて光ファイバの構造は特に限定されるものではない。例えば、
図14に示すように、光ファイバ2に代わって、偏波保持ファイバ2Aが光ファイバ接続部品1に適用されてもよい。この点において、偏波保持ファイバ2Aは、ガラスファイバ20Aと、ガラスファイバ20Aを覆う樹脂被覆部(図示せず)を有する。ガラスファイバ20Aは、一対の応力付与部26Aと、一対の応力付与部26Aの間に配置され、信号光が伝搬するコア24Aと、一対の応力付与部26Aと、コア24Aを覆うクラッド23Aとを有してもよい。光ファイバ2に代わって偏波保持ファイバ2Aが光ファイバ接続部品に適用される場合、偏波保持ファイバを低クロストークで接続可能な光ファイバ接続部品を提供することができる。
【0077】
また、本開示では、複数の光ファイバは互いに接着されていない複数の単芯光ファイバであったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図15に示すように、光ファイバ2に代わって、間欠接着型ファイバリボン120に含まれる複数の光ファイバ2Bが光ファイバ接続部品1に適用されてもよい。間欠接着型ファイバリボン120では、隣接する光ファイバ2Bが接着されていない領域である非接着領域122がZ軸方向に沿って間欠的に設けられている。間欠接着型ファイバリボン120に含まれる各光ファイバ2Bが光ファイバ接続部品1に適用されることで、各光ファイバ2Bを第1光ファイバ保持部材に搭載する前に各光ファイバ2Bを容易に分離することができる。
【0078】
また、間欠接着型ファイバリボンは、各光ファイバが互いに完全に分離した完全分離領域と、各光ファイバが互いに接着された接着領域がZ軸方向(長手方向)において交互に設けられた間欠接着型ファイバリボンであってもよい。この場合、各光ファイバを第1光ファイバ保持部材に搭載する工程の前に各光ファイバを分離する工程を別途設ける必要がない。
【0079】
また、本開示の説明において、第1光ファイバ保持部材及び第2光ファイバ保持部材は、光ファイバを保持できればよく、その構造は特に限定されるものではない。例えば、第1光ファイバ保持部材及び第2光ファイバ保持部材は、円筒状フェルールまたはMTフェルールであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1,1A:光ファイバ接続部品
2,2A,2B:光ファイバ
3,3A,3B:第1光ファイバ保持部材
3b:第1孔部
4:第1基板
5,5A:第1蓋部
6,6A,6B:第2光ファイバ保持部材
6b:第2孔部
7:第2基板
8,8A:第2蓋部
10:第1接着剤
12:第2接着剤
20,20A:ガラスファイバ
21:樹脂被覆部
22:端面
23,23A:クラッド
24,24A:コア
25:マーカ
26A:応力付与部
43,44:保持領域
46:第1溝部
76:第2溝部
120:間欠接着型ファイバリボン
122:非接着領域