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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】吸収装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/18 20060101AFI20250107BHJP
   B01D 53/92 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
B01D53/18 110
B01D53/18 ZAB
B01D53/92 240
B01D53/92 331
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023204396
(22)【出願日】2023-12-04
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 健二
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-118716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14-53/18
B01D 53/34-53/85、53/92-53/96
B01J 4/00-4/04
C01B 32/50
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の気体に含まれる所定の成分と反応して析出物を生成する溶液を収容する収容部と、
前記収容部の前記溶液中に前記所定の気体を供給する供給口を有する管と、
前記管の内部に長手方向に沿って移動可能に設けられた連結部材と、
前記連結部材の軸方向の一端と連結しており、前記供給口を閉塞する閉塞位置と、前記供給口を開放する開放位置との間で移動可能な円形の板部材である開閉部材と、
前記連結部材の前記軸方向の他端と連結しているバネ部材と、
前記連結部材の前記軸方向の前記一端側に設けられている摺動部と、
を有し、
前記開閉部材は、前記管の内部の前記気体の圧力と前記管の外側の圧力との差と、前記バネ部材の引っ張り力とによって、前記連結部材と共に前記閉塞位置と前記開放位置の間で往復移動し、
前記摺動部は、前記連結部材が往復移動する際に、前記管の供給口側の内壁面に対して摺動する、吸収装置。
【請求項2】
前記摺動部は、前記連結部材よりも直径が大きい大径部の外周面に溝が形成された形状であり、
前記外周面が、前記内壁面に対して摺動する、
請求項1に記載の吸収装置。
【請求項3】
前記供給口は、前記管の先端部において前記管の長手方向に直交する開口であ
請求項1に記載の吸収装置。
【請求項4】
前記管は、前記気体が流入する第1管路と、前記第1管路と直交しており前記連結部材が設けられた第2管路と、を含み、
前記バネ部材は、前記第1管路と前記第2管路の接続部に位置している、
請求項に記載の吸収装置。
【請求項5】
前記管内を前記気体が流れていない際に、前記摺動部を加熱する加熱部材を更に備える、
請求項1に記載の吸収装置。
【請求項6】
記連結部材は、中空の軸部材であり、
前記加熱部材は、前記連結部材内に設けられている、
請求項に記載の吸収装置。
【請求項7】
前記気体は、内燃機関から排出された排ガスであり、
前記所定の成分は、二酸化炭素である、
請求項1に記載の吸収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体の中から所定の成分を吸収する吸収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、気体から二酸化炭素(所定の成分)を回収する回収装置が開示されている。この回収装置は、溶液である吸収液を気体と接触させて気体に含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収部を有する。気体は、管を流れて供給口から、吸収液を収容する吸収部に供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-24374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、気体が溶液と反応することで、析出物が生成される。生成した析出物は、管の供給口に付着し、供給口を閉塞してしまうおそれがある。供給口が閉塞されると、気体を吸収部に適切に供給できないため、所定の成分を回収できなくなる。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、吸収装置において析出物の管への付着を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、所定の気体に含まれる所定の成分と反応して析出物を生成する溶液を収容する収容部と、前記収容部の前記溶液中に前記所定の気体を供給する供給口を有する管と、前記管の内部の前記所定の気体の圧力に応じて、前記供給口を閉塞する閉塞位置と、前記供給口を開放する開放位置との間で移動可能な開閉部材と、前記管の内部に設けられ、前記開閉部材と連動して移動する摺動部と、を有し、前記摺動部は、前記管の供給口側の内壁面に対して摺動する、吸収装置を提供する。
【0007】
また、前記摺動部は、軸部の外周面に溝が形成された形状であり、前記外周面が、前記内壁面に対して摺動することとしてもよい。
【0008】
また、前記供給口は、前記管の先端部において前記管の長手方向に直交する開口であり、前記開閉部材は、前記開口を閉塞可能な円形の板部材であることとしてもよい。
【0009】
また、軸方向の一端が前記開閉部材と連結しており、前記開閉部材と共に前記管の長手方向に移動可能な連結部材と、前記連結部材の前記軸方向の他端を引っ張り、前記開閉部材を前記閉塞位置へ移動させるバネ部材と、を更に備えることとしてもよい。
【0010】
また、前記連結部材は、前記管内を前記気体が流れる際に、前記気体の圧力と前記バネ部材の引っ張り力とによって、前記閉塞位置と前記開放位置の間で往復移動する前記開閉部材と連動して移動することとしてもよい。
【0011】
また、前記管は、前記気体が流入する第1管路と、前記第1管路と直交しており前記連結部材が設けられた第2管路と、を含み、前記バネ部材は、前記第1管路と前記第2管路の接続部に位置していることとしてもよい。
【0012】
また、前記管内を前記気体が流れていない際に、前記摺動部を加熱する加熱部材を更に備えることとしてもよい。
【0013】
また、軸方向の一端が前記開閉部材と連結しており、前記開閉部材と共に前記管の長手方向に移動可能な連結部材を更に備え、前記連結部材は、中空の軸部材であり、前記加熱部材は、前記連結部材内に設けられていることとしてもよい。
【0014】
また、前記気体は、内燃機関から排出された排ガスであり、前記所定の成分は、二酸化炭素であることとしてもよい。
また、前記摺動部は、前記開閉部材と連動して移動する場合において、少なくとも前記管の前記供給口を軸方向に跨いで移動することとしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吸収装置において析出物の管への付着を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一の実施形態に係る回収装置1の構成を示す模式図である。
図2】供給管10への析出物90の付着を説明するためも模式図である。
図3】供給管10の内部の構成を示す模式図である。
図4】摺動部40の構成の一例を説明するための模式図である。
図5】変形例に係る構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<回収装置の構成>
図1は、一の実施形態に係る回収装置1の構成を示す模式図である。回収装置1は、気体から所定の成分を回収するための装置である。例えば、回収装置1は、内燃機関から排出される排ガスから、所定の成分として二酸化炭素を回収する。内燃機関は、例えばトラック等の車両に搭載されているディーゼルエンジンであるとする。なお、回収装置1は、上記に限定されず、内燃機関の排ガスの代わりに大気(空気)から二酸化炭素を回収してもよい。また、回収装置1は、二酸化炭素以外の成分を回収してもよい。
【0018】
回収装置1は、いわゆる化学吸収法を用いて気体から所定の成分を吸収する吸収装置の機能を有する。化学吸収法では、気体から所定の成分を吸収液で吸収する。回収装置1は、吸収した所定の成分を回収する機能も有する。例えば、回収装置1は、所定の成分を吸収した吸収液を加熱再生することで、所定の成分と吸収液を分離し、分離された所定の成分を回収する。
【0019】
回収装置1は、図1に示すように、筐体5と、供給管10と、収容部20を有する。
筐体5は、箱状に構成されている。筐体5内には、溶液を収容する空間が形成されており、当該空間に外部から気体が供給される。筐体5の上部5aには、供給管10が挿通する穴が形成されている。
【0020】
供給管10は、所定の成分を含む気体が流れる管である。ここでは、二酸化炭素を含む排ガスが、供給管10を流れる。供給管10は、外部から筐体5内の収容部20に気体を供給する供給路を成している。供給管10の先端部には、供給口12が設けられている。供給口12は、供給管10の長手方向に直交する開口である。供給管10は、供給口12が筐体5の底部5bから所定距離だけ離れて位置するように、筐体5内に垂直に配置されている。所定距離は、例えば筐体5の高さの半分よりも小さい距離である。
【0021】
供給管10を流れる気体は、供給口12から筐体5内の収容部20に供給される。供給管10を流れる気体の圧力が大きくなるように、例えばポンプによって気体が供給管10に圧送されてもよい。
【0022】
収容部20は、溶液を収容する。収容部20は、筐体5内にて供給口12を囲んでいる。収容部20に収容された溶液は、供給口12から供給された気体から所定の成分である二酸化炭素を吸収する吸収液である。吸収液は、所定の成分との反応性が高い薬品を含む溶液であり、一例として水酸化カルシウムを含む溶液である。筐体5内での溶液の水位は、供給口12よりも高い。このため、供給口12から流出した気体は、直ぐに溶液に接触する。
【0023】
ところで、所定の成分の吸収効率を高めるため、所定の成分との化学反応の速度が速い物質を含む溶液が用いられる。この場合には、供給口12から流出した気体が溶液と接触した段階で、化学反応が開始される。化学反応で生成される物質は、粘度が高い物質又は固体である析出物となるが、当該析出物が供給口12を塞ぐおそれがある。供給口12が析出物で塞がれると、収容部20に気体が供給できないため、気体から所定の成分を回収できなくなる。
【0024】
図2は、供給管10への析出物90の付着を説明するためも模式図である。図2に示す状態B1は、気体が供給される前の状態を示しており、供給口12に析出物が付着していない。状態B2は、気体の供給が開始された所定時間だけ経過した状態を示しており、供給口12に周囲の内壁面14に析出物90が付着している。状態B3は、状態B2から気体の供給が継続した後の状態を示している。状態B2から時間が経つにつれて、生成した析出物が、内壁面14に付着している析出物90にくっつくことになる。これにより、析出物90が、供給口12を塞いでしまい、その後、収容部20に気体を供給できなくなる。この結果、溶液による所定の成分の吸収を継続できなくなる。
【0025】
これに対して、本実施形態の回収装置1は、詳細は後述するが、気体が収容部20に供給される際に、内壁面14に付着した析出物を除去するための摺動部を有している。これにより、収容部20への気体の供給を継続しながら、内壁面14への析出物の付着を抑制できる。
【0026】
<析出物の付着を抑制する構成>
図3は、供給管10の内部の構成を示す模式図である。なお、図3では、図1の矢印Aの方向から見た供給管10が示されている。また、図3では、図4とは異なり、摺動部40が簡略化して示されている。
【0027】
供給管10は、第1管路11aと、第2管路11bと、接続部11cを有する。第1管路11aと第2管路11bは、ここでは互いに直交しており、L字状の供給管10を形成している。
【0028】
第1管路11aは、外部から気体が流入する流路である。第2管路11bは、第1管路11aから流入した気体を収容部20へ流すための流路である。第2管路11bの先端に供給口12が形成されている。接続部11cは、第1管路11aと第2管路11bを接続する部分であり、供給管10において角の部分である。
【0029】
回収装置1は、析出物の内壁面14への付着を抑制するために、開閉部材30と、連結部材33と、バネ部材36と、摺動部40を有する。
【0030】
開閉部材30は、供給口12を閉塞又は開放する部材である。開閉部材30は、供給口12を閉塞する閉塞位置と、供給口12を開放する開放位置との間で移動可能である。開閉部材30は、供給口12を閉塞可能な円形の平板部材である。開閉部材30の平板面の大きさは、供給口12と同じであってもよいし、供給口12よりも大きくてもよい。これにより、開閉部材30が閉塞位置に位置する場合には、開閉部材30が供給口12を密閉可能である。
【0031】
開閉部材30が閉塞位置に位置する際には、供給口12から収容部20に気体が流れず、開閉部材30が開放位置に位置する際には、供給口12から収容部20に気体が流れる。開閉部材30が閉塞位置に位置した状態で、供給管10内に気体が供給されると、供給管10内の気体の圧力が大きくなる。
【0032】
開閉部材30は、供給管10の第2管路11b内の気体の圧力が大きくなると、閉塞位置から開放位置へ移動する。具体的には、開閉部材30は、供給管10の第2管路11bの内部の気体の圧力と供給管10の外側の圧力との差が、後述するバネ部材36の弾性力よりも大きくなると、閉塞位置から開放位置へ移動する。すなわち、開閉部材30の平板面が気体に押されて、開閉部材30が閉塞位置から開放位置へ移動する。これにより、開閉部材30を開放位置へ移動させる駆動機構を設けなくても、収容部20に気体を供給する際に、開閉部材30を開放位置へ移動させることができる。
【0033】
連結部材33は、供給管10内にて開閉部材30及びバネ部材36と連結している。連結部材33は、供給管10の第2管路11bに設けられている。連結部材33は、供給管10内に供給管10の長手方向と平行に位置している軸部材である。連結部材33の軸方向の一端が、開閉部材30の中央と連結しており、連結部材33の軸方向の他端が、バネ部材36と連結している。
【0034】
連結部材33は、開閉部材30と共に移動可能な構成となっている。すなわち、開閉部材30が閉塞位置と開放位置の間で移動する際に、連結部材33も連動して移動する。具体的には、第2管路11bを流れる空気が開閉部材30の平板面を押すことで、開閉部材30及び連結部材33が移動する。
【0035】
バネ部材36は、供給管10内に設けられており、連結部材33を引っ張る機能を有する。バネ部材36は、供給管10の接続部11cに位置している。バネ部材36は、ここでは連結部材33の軸方向の他端を引っ張る引っ張りバネである。バネ部材36の一端は、接続部11cに連結され、バネ部材36の他端は、連結部材33に連結されている。
【0036】
バネ部材36が連結部材33を引っ張ることで、連結部材33が連結した開閉部材30が閉塞位置に位置する。例えば、第2管路11b内の気体の圧力が供給管10の外側の圧力よりも小さい場合には、バネ部材36による引っ張り力によって、連結部材33に連結された開閉部材30を開放位置から閉塞位置へ移動させるように連結部材33に力がかかる。より具体的には、開閉部材30の前後の圧力差が、バネ部材36により発生する引っ張り力よりも小さい場合、連結部材33は開閉部材30を開放位置から閉塞位置へ移動させるように移動する。また、供給管10側の気体の供給圧力が高く、開閉部材30の前後の圧力差がバネ部材36により発生する引っ張り力よりも大きければ、連結部材33には、開閉部材30を閉塞位置から開放位置へ移動させる方向に力が働く。
【0037】
上述した開閉部材30、連結部材33及びバネ部材36を設けた場合には、供給管10内に気体が流れると、以下のような動作が行われる。
ここでは、開閉部材30が、バネ部材36に引っ張られて閉塞位置に位置した状態で、供給管10に気体を供給するものとする。この場合には、開閉部材30が閉塞位置に位置しているため、供給管10の第2管路11b内の気体の圧力が大きくなる。第2管路11b内の気体の圧力が大きくなり供給管10の内外の圧力差が大きくなると、バネ部材36の引っ張り力に逆らって、開閉部材30が閉塞位置から開放位置へ移動し、連結部材33も移動する。開閉部材30が開放位置へ移動すると、第2管路11b内の気体が供給口12から収容部20へ流れる。そして、気体が収容部20へ流れる状態になると、第2管路11b内の気体の圧力が小さくなり開閉部材30を挟んだ圧力差が小さくなる。圧力差がバネ部材36による引っ張り力よりも小さくなると、バネ部材36が開閉部材30を開放位置から閉塞位置へ移動させる。この際、連結部材33も、開閉部材30と共に移動する。
開閉部材30が閉塞位置に位置しても、供給管10への気体の供給が継続する場合には、再び供給管10内の気体の圧力が増加し、圧力差が引っ張り力よりも大きくなると、開閉部材30は気体の圧力によって開放位置へ移動する。このように開閉部材30が閉塞位置と開放位置との間の移動を往復することで、連結部材33も第2管路11b内で往復移動することになる。
【0038】
摺動部40は、供給管10の供給口12側の内壁面14に対して摺動する。摺動部40は、連結部材33の軸方向の開閉部材30側の端部に設けられている。摺動部40は、連結部材33が移動する際に内壁面14に対して摺動する。具体的には、摺動部40は、連結部材33が移動する際に、開閉部材30の移動と連動して摺動部40が内壁面14に対して摺動する。
【0039】
摺動部40が内壁面14に対して摺動する際に、摺動部40が、内壁面14に付着している析出物を掻き取ることで、析出物を除去できる。特に、連結部材33と共に摺動部40が供給管10内で往復移動をすることで、内壁面14に付着している析出物を効果的に除去できる。摺動部40は、少なくとも供給管10の出口である供給口12を跨ぐように移動することが望ましい。供給管10の供給口12を摺動部40が移動することにより、供給口12近傍に付着した析出物を取り除き、供給管10の供給口12が付着物により閉塞することを抑制することができる。
【0040】
図4は、摺動部40の構成の一例を説明するための模式図である。摺動部40は、大径部42と、溝44を有する。
大径部42は、連結部材33よりも直径が大きい軸部である。大径部42は、連結部材33の軸方向の開閉部材30側の端部に設けられている。大径部42の外周面43が、供給管10の内壁面14に対して摺動する。外周面43が内壁面14に対して摺動する際に、第2管路11bの内壁面14に付着した析出物を除去できる。
【0041】
溝44は、大径部42の外周面43に所定深さだけ形成されている。溝44は、例えば摺動部40がドリルの刃の形状になるように形成されている。溝44は、一例として螺旋状に形成されている。外周面43に溝44が形成されていることで、摺動部40が内壁面14に対して摺動する際にも、気体が溝44を通過して収容部20に流れることができる。
【0042】
なお、摺動部40は、連結部材33の外周面に設けられたブラシであってもよい。この場合には、連結部材33の移動の際に、ブラシが第2管路11bの内壁面14に対して摺動し、内壁面14に付着した析出物を除去できる。
【0043】
また、摺動部40は、連結部材33の外周面に螺旋状に設けられた突起であってもよい。かかる場合にも、連結部材33の移動の際に、突起が第2管路11bの内壁面14に対して摺動し、内壁面14に付着した析出物を除去できる。
【0044】
(変形例)
上記では、析出物が、供給管10の内壁面14に付着することとしたが、摺動部40にも付着しうる。例えば、開閉部材30が開放位置へ位置する際に、摺動部40が溶液に接触するため、摺動部40(具体的には、溝44)に析出物が付着するおそれがある。そこで、変形例においては、摺動部40に付着した析出物を除去するために、摺動部40を加熱する加熱部材が連結部材33内に設けられている。
【0045】
図5は、変形例に係る構成を示す模式図である。連結部材33は、中空の軸部材あり、具体的には内管35aと外管35bを有する二重管となっている。加熱部材50は、内管35aと外管35bの間に設けられている。加熱部材50は、例えばヒータである。加熱部材50は、内管35aにおいて摺動部40に隣接する位置に設けられている。これにより、加熱部材50が発熱すると、熱が連結部材33を介して摺動部40に伝達されるので、摺動部40を効率良く加熱できる。
【0046】
回収装置1は、加熱部材50の発熱を制御する制御部を有しており、供給管10内に気体が流れていない際に、加熱部材50を発熱させることで、摺動部40を加熱させる。例えば、制御部は、収容部20への気体の供給が停止する度に、加熱部材50を所定時間だけ発熱させてもよい。
【0047】
上述した加熱部材50を設けた場合には、摺動部40が加熱されることで、摺動部40(具体的には、溝44)に付着した析出物が熱分解される。析出物は、熱分解されることで液体となり、開閉部材30が開放位置へ移動する際に収容部20の溶液に取り込まれる。この結果、摺動部40に付着していた析出物を除去できる。
【0048】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態の回収装置1は、供給管10を流れる気体の圧力に応じて、閉塞位置と開放位置の間で移動可能な開閉部材30と、供給管10の内部に設けられ開閉部材30と連動して移動する摺動部40を有する。そして、摺動部40は、供給管10の供給口12側の内壁面14に対して摺動する。
これにより、気体が供給管10を流れて収容部20に供給される際に、気体の圧力による開閉部材30の移動に伴い摺動部40が内壁面14に対して摺動することで、内壁面14に付着している析出物を除去できる。この結果、収容部20への気体の供給を継続しながら、供給管10への析出物の付着を抑制できる。特に、本実施形態では、連結部材33が供給管10内で往復運動することで、摺動部40も往復運動することになり、内壁面14に付着している析出物を除去しやすくなる。
【0049】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0050】
1 回収装置
10 供給管
12 供給口
14 内壁面
20 収容部
30 開閉部材
33 連結部材
36 バネ部材
40 摺動部
50 加熱部材
【要約】
【課題】吸収装置において析出物の管への付着を抑制する。
【解決手段】吸収装置は、所定の気体に含まれる所定の成分と反応して析出物を生成する溶液を収容する収容部20と、収容部20の溶液中に所定の気体を供給する供給口12を有する供給管10と、供給管10の内部の気体の圧力に応じて供給口12の閉塞位置と開放位置との間で移動可能な開閉部材30と、供給管10の内部に設けられ開閉部材30と連動して移動する摺動部40を有する。摺動部40は、供給管10の供給口12側の内壁面14に対して摺動する。
【選択図】図3


図1
図2
図3
図4
図5