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特許7613554情報提供システム、情報提供方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】情報提供システム、情報提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/005 20060101AFI20250107BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20250107BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20250107BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20250107BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20250107BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20250107BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20250107BHJP
【FI】
G08G1/005
G08G1/123 A
G01C21/26 P
G01C21/34
G06Q50/10
G06Q50/40
G06T7/00 650A
G06T7/00 660B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023508141
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2021011579
(87)【国際公開番号】W WO2022201215
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】網中 洋明
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 慶
(72)【発明者】
【氏名】尾形 一気
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-215629(JP,A)
【文献】特開2017-020853(JP,A)
【文献】特開2021-033868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0287408(US,A1)
【文献】特表2018-510330(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0290652(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 ~ 1/16
G01C 21/26 ~ 21/36
G06Q 50/10
G06Q 50/40 ~ 50/47
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラから入力された画像に基づいて、公共交通機関の利用可能性のある評価対象者を検出する検出手段と、
前記評価対象者の現在地から地理的に最寄りの公共交通機関の時刻表に基づいて、前記評価対象者が前記公共交通機関を利用する可能性を示す第1の評価値と、前記評価対象者が代替交通手段を利用する可能性を示す第2の評価値との少なくとも一方を計算する評価手段と、
所定の端末に対し、前記第1の評価値及び第2の評価値のうちの前記少なくとも一方を送信する送信手段と、
を備える情報提供システム。
【請求項2】
前記評価手段は、現在時刻から、前記時刻表における前記公共交通機関の次の車両の到着時刻までの時間の長さに基づいて、前記評価対象者の前記公共交通機関の利用可能性を計算する請求項1の情報提供システム。
【請求項3】
前記評価手段は、前記カメラに写った、前記評価対象者の背景画像に基づいて、前記評価対象者の所在地の天気を推測し、該推測した天気に基づいて、前記第2の評価値を補正する請求項1又は2の情報提供システム。
【請求項4】
前記評価手段は、前記カメラの画像中の路面の色が濃い場合、前記画像中に開傘状態の傘が写っている場合、又は、画像中の車両のワイパーが作動している場合、雨が降り出していると判定し、前記第2の評価値が高くなるように補正する請求項3の情報提供システム。
【請求項5】
前記公共交通機関は、バスであり、前記代替交通手段は、タクシーである請求項1から4いずれか一の情報提供システム。
【請求項6】
情報提供システムが、
カメラから入力された画像に基づいて、公共交通機関の利用可能性のある評価対象者を検出し、
前記評価対象者の現在地から地理的に最寄りの公共交通機関の時刻表に基づいて、前記評価対象者が前記公共交通機関を利用する可能性を示す第1の評価値と、前記評価対象者が代替交通手段を利用する可能性を示す第2の評価値との少なくとも一方を計算し、
所定の端末に対し、前記第1の評価値及び第2の評価値のうちの前記少なくとも一方を送信する、
情報提供方法。
【請求項7】
情報提供システムの構成するコンピュータに、
カメラから入力された画像に基づいて、公共交通機関の利用可能性のある評価対象者を検出する処理と、
前記評価対象者の現在地から地理的に最寄りの公共交通機関の時刻表に基づいて、前記評価対象者が前記公共交通機関を利用する可能性を示す第1の評価値と、前記評価対象者が代替交通手段を利用する可能性を示す第2の評価値との少なくとも一方を計算する処理と、
所定の端末に対し、前記第1の評価値及び第2の評価値のうちの少なくとも一方を送信する処理と、
を実行させるプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、情報提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、タクシーを最適に配車するため、見込み客と判定された人物と実際に乗車した人物とが同一人物であったかどうかの検証を効率化することができるという同一人物検証システムが開示されている。また、同文献には、タクシーに乗車する可能性が高い客として、例えば、手を挙げている人物や、覗き込む動作をしている人物などを挙げている(段落0043)。また、同文献の段落0045には、手を挙げている人物の方が覗き込む動作をしている人物よりも乗車する可能性が高い場合、手を挙げている人物の乗車確率を高く設定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-218895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本発明者によって与えられたものである。タクシー等をより効率よく配車するには、上記見込み客の判定精度をより向上させる必要があるが、カメラから得られる画像だけではさらなる向上は困難である。
【0005】
本発明は、カメラで捉えられた人物(評価対象者)がどのような交通機関を選択するのかについてより精度の高い情報を提供することのできる情報提供システム、情報提供方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の視点によれば、カメラから入力された画像に基づいて、公共交通機関の利用可能性のある評価対象者を検出する検出手段と、前記評価対象者の現在地から地理的に最寄りの公共交通機関の時刻表に基づいて、前記評価対象者が前記公共交通機関を利用する可能性を示す第1の評価値と、前記評価対象者が代替交通手段を利用する可能性を示す第2の評価値との少なくとも一方を計算する評価手段と、所定の端末に対し、前記第1の評価値及び第2の評価値のうちの前記少なくとも一方を送信する送信手段と、を備える情報提供システムが提供される。
【0007】
第2の視点によれば、情報提供システムが、カメラから入力された画像に基づいて、公共交通機関の利用可能性のある評価対象者を検出し、前記評価対象者の現在地から地理的に最寄りの公共交通機関の時刻表に基づいて、前記評価対象者が前記公共交通機関を利用する可能性を示す第1の評価値と、前記評価対象者が代替交通手段を利用する可能性を示す第2の評価値との少なくとも一方を計算し、所定の端末に対し、前記第1の評価値及び第2の評価値のうちの前記少なくとも一方を送信する情報提供方法が提供される。本方法は、カメラから入力された画像に基づいて評価対象者の分析を行う情報提供システムという、特定の機械に結びつけられている。
【0008】
第3の視点によれば、上記した制御装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム(以下、プログラム)が提供される。なお、このコンピュータプログラムは、コンピュータ装置に入力装置又は外部から通信インタフェースを介して入力され、記憶装置に記憶されて、プロセッサを所定のステップないし処理に従って駆動させる。また、このプログラムは、必要に応じ中間状態を含めその処理結果を段階毎に表示装置を介して表示することができ、あるいは通信インタフェースを介して、外部と通信することができる。そのためのコンピュータ装置は、一例として、典型的には互いにバスによって接続可能なプロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジトリーな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カメラで捉えられた人物(評価対象者)がどのような交通機関を選択するのかについてより精度の高い情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態の情報提供システムの構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態の情報提供システムが参照する時刻表の一例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態の情報提供システムが参照する時刻表の別の一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態の情報提供システムの動作を表した流れ図である。
図6】本発明の第2の実施形態の情報提供システムの構成を示す図である。
図7】本発明の第2の実施形態の情報提供システムの動作を表した流れ図である。
図8】本発明の情報提供システムとして機能可能なコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インタフェースがあるが図示省略する。プログラムはコンピュータ装置を介して実行され、コンピュータ装置は、例えば、プロセッサ、記憶装置、入力装置、通信インタフェース、及び必要に応じ表示装置を備える。また、このコンピュータ装置は、通信インタフェースを介して装置内又は外部の機器(コンピュータを含む)と、有線、無線を問わず、通信可能に構成される。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インタフェースがあるが図示を省略する。
【0012】
本発明は、その一実施形態において、図1に示すように、検出手段11と、評価手段12と、送信手段13と、を備える情報提供システム10にて実現できる。
【0013】
より具体的には、検出手段11は、カメラ30から入力された画像に基づいて、公共交通機関の利用可能性のある評価対象者Pを検出する。
【0014】
評価手段12は、前記評価対象者Pの現在地から地理的に最寄りの公共交通機関の時刻表14に基づいて、第1の評価値と、第2の評価値との少なくとも一方を計算する。ここで、第1の評価値は、前記評価対象者Pが前記公共交通機関を利用する可能性を示す評価値である。また、前記第2の評価値は、前記評価対象者Pが代替交通手段を利用する可能性を示す評価値である。なお、前記評価対象者Pの現在地から地理的に最寄りの公共交通機関の時刻表14としては、カメラ30の設置位置の近くのバス停や鉄道駅等の時刻表を用いることができる。カメラ30が複数ある場合には、それぞれのカメラ30の位置に応じたバス停や鉄道駅等の時刻表を事前に選択しておけばよい。
【0015】
前記評価対象者Pが前記公共交通機関を利用する可能性を示す第1の評価値は、例えば、時刻表14に記載された、該当公共交通機関の次の車両が来る時刻までの期間に基づいて計算することができる。例えば、該当公共交通機関の次の車両が来る時刻までの期間が比較的短い場合、第1の評価値が高い値になるように計算される。
【0016】
一方、第2の評価値は、前記評価対象者Pが代替交通手段を利用する可能性であるので、第1の評価値が低ければ高い値を取り、第1の評価値が高ければ低い値を取る。また、第1の評価値が確率pで表される場合、第2の評価値は、(1―p)以下の値となる(さらなる代替交通手段がある場合があるので、必ずしも(1―p)とはならない)。
【0017】
送信手段13は、所定の端末20に対し、前記第1の評価値及び第2の評価値のうちの前記少なくとも一方を送信する。
【0018】
以上のように、本実施形態の情報提供システム10は、所定の端末20に対し、前記第1の評価値及び第2の評価値のいずれかを提供する。これにより、所定の端末20のユーザーは、評価対象者Pが見込み客となり得るか否かの情報を得ることができる。例えば、所定の端末20のユーザーがタクシー会社である場合、評価対象者Pの付近に位置するタクシーに配車指示をするか否かを決定することが可能となる。また、所定の端末20のユーザーは一般の旅行者等であってもよい。この場合、一般の旅行者等は、自身の関心のある行先に関し、その付近にいる評価対象者Pが利用する交通手段の傾向を知ることができる。
【0019】
[第1の実施形態]
続いて、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図2は、本発明をタクシー、ハイヤー等(自動運転車であるものを含む)の乗用旅客車両の配車を行う配車支援システムに適用した第1の実施形態の構成を示す図である。図2を参照すると、カメラ300と接続され、検出部101と、評価部102と、送信部103と、時刻表記憶部104と、を備えた配車支援システム100が示されている。
【0020】
カメラ300は、交通信号機等の交通インフラストラクチャー(以下、「交通インフラ」)、バス停、タクシー乗り場等に設置されたカメラを用いることができる。
【0021】
検出部101は、カメラ300から入力された画像に基づいて、公共交通機関の利用可能性のある評価対象者Pを検出する。この評価対象者Pの検出には、画像からの人物領域の検出技術を用いることができる。
【0022】
評価対象者Pが検出されると、評価部102は、時刻表記憶部104から前記評価対象者Pの現在地から地理的に最寄りの公共交通機関の時刻表を選択する。そして、評価部102は、前記選択した時刻表を参照して、前記評価対象者Pが前記公共交通機関を利用する可能性を示す第1の評価値と、前記評価対象者Pが代替交通手段を利用する可能性を示す第2の評価値とを計算する。
【0023】
図3は、時刻表記憶部104に記憶されている時刻表の一例を示す図である。第1の評価値は、時刻表の次の便が来るまでの時間の長さに基づいて計算することができる。例えば、現在時刻が朝5時10分である場合、次の便が来るまでの時間は、6時5分までの55分となる。この場合、前記評価対象者Pが前記公共交通機関を利用する可能性は低くなり、代替交通手段を利用する可能性が高くなる。一方、現在時刻が朝6時00分である場合、次の便が来るまでの時間は、6時5分までの5分となる。この場合、前記評価対象者Pが前記公共交通機関を利用する可能性は高くなり、代替交通手段を利用する可能性が低くなる。例えば、現在時刻が朝5時10分である場合、(60-55)/60=8.3%を第1の評価値とすることができる。現在時刻が朝6時00分である場合、(60-5)/60=91.6%を第1の評価値とすることができる。
【0024】
なお、前記時刻表の選択にあたり、評価対象者Pが位置している道路の車線の通行区分を考慮に入れても良い。例えば、評価対象者Pが位置している道路の車線がB駅に向かうバス路線の車線である場合、図4の右側の時刻表を選択することで、第1の評価値をより精度の高いものとすることができる。同様に、評価対象者Pが位置している道路の車線がA駅に向かうバス路線の車線である場合、図4の左側の時刻表を選択することで、第1の評価値をより精度の高いものとすることができる。
【0025】
一方、評価対象者Pが代替交通手段を利用する可能性を示す第2の評価値は、第1の評価値が低ければ高い値を取り、第1の評価値が高ければ低い値を取る。ごく簡単には、第1の評価値が確率pで表される場合、第2の評価値は、(1―p)で計算される。さらに、その際に、評価対象者Pの挙動、評価対象者Pの推定年齢、評価対象者Pの荷物の大きさ等を考慮に入れても良い。
【0026】
例えば、評価対象者Pが道路に向かって手を挙げる、道路をのぞき込む等の動作を行っている場合、評価対象者Pが代替交通手段としてタクシーを選択する可能性が高くなる。この場合、第2の評価値に所定の加点を行ってもよい。
【0027】
同様に例えば、評価対象者Pが高齢者である場合や大きな荷物を携行している場合、代替交通手段としてタクシーを選択する可能性が高くなる。これらの場合も、第2の評価値に所定の加点を行ってもよい。
【0028】
送信部103は、タクシー会社の端末200に対し、上記のようにして算出した第1、第2の評価値の少なくとも一方又は双方を送信する。
【0029】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図5は、本発明の第1の実施形態の配車支援システム100の動作を表した流れ図である。図5を参照すると、まず、配車支援システム100は、カメラ300で撮影された画像から公共交通機関の利用可能性のある評価対象者Pを検出する(ステップS001)。なお、公共交通機関の利用可能性のある評価対象者Pの検出方法としては、カメラ300に写った人物像の動き、推定年齢、荷物の有無等から判定する方法を用いることができる。
【0030】
配車支援システム100は、評価対象者Pの位置と、現在時刻を取得する(ステップS002)。なお、評価対象者Pの位置としては、カメラ300が設定されている場所の位置を用いることができる。もちろん、カメラ300で撮影した画像中の評価対象者Pの位置から詳細な位置を計算してもよい。
【0031】
次に、配車支援システム100は、時刻表記憶部104から、評価対象者Pの位置の最寄りのバス停の時刻表を取得する(ステップS003)。例えば、このような時刻表のデータは、カメラ300の近くにあるバス停の時刻表を用意し、時刻表記憶部104に保存させておけばよい。
【0032】
次に、配車支援システム100は、前記取得したバス停の時刻表を参照して、評価対象者Pがバスを利用する場合の次のバスの到着までの時間を計算する。さらに、配車支援システム100は、前記計算した次のバスの到着までの時間に基づいて、評価対象者Pがバスを利用する可能性を示す第1の評価値を計算する(ステップS004)。
【0033】
次に、配車支援システム100は、前記評価対象者Pが代替交通手段を利用する可能性を示す第2の評価値を計算する(ステップS005)。
【0034】
最後に、配車支援システム100は、タクシー会社の端末200に対して、前記計算した、第1の評価値及び第2の評価値を送信する(ステップS006)。
【0035】
タクシー会社は、前記第1の評価値及び前記第2の評価値を用いて、前記評価対象者Pに向けて、空車状態のタクシーを配車するか否かを決定する。例えば、前記第1の評価値が所定のしきい値(第1のしきい値)より高い場合、前記評価対象者Pはバスを使う可能性が高いといえるので、タクシー会社は、タクシーの配車を抑止する。これにより、無駄な配車を抑えることが可能となる。一方、前記第2の評価値が所定のしきい値(第2のしきい値)より高い場合、前記評価対象者Pはバスを使わずタクシーを使い可能性が高いといえるので、タクシー会社は、タクシーの配車を行う。
【0036】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、タクシー会社に、カメラで捉えられた人物(評価対象者P)がどのような交通機関を選択するのかについてより精度の高い情報を提供し、その配車を効率化させることが可能となる。
【0037】
[第2の実施形態]
続いて、評価対象者Pの背景画像を利用した上記した第2の評価値の精度をより向上させることのできる本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、本発明の第2の実施形態の配車支援システム100aの構成を示す図である。図2に示した第1の実施形態の配車支援システム100との相違点は、検出部101a、評価部102aの機能に変更が加えられている点である。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、以下、その相違点を中心に説明する。
【0038】
検出部101aは、評価対象者Pを検出する機能に加え、カメラ300で得られた画像中の評価対象者Pの背景画像を切り出して評価部102aに送る機能を備えている。
【0039】
評価部102aは、第1、第2の評価値を計算する機能に加え、評価対象者Pの背景画像から評価対象者Pの所在地の天気を推定し、第2の評価値を補正する機能を備える。より具体的には、評価部102aは、図6に示すように、評価対象者Pの背景画像に写った路面の色が、晴天時の基準画像より濃い場合、雨が降り出していると判定する。そして、評価部102aは、評価対象者Pが代替交通手段を利用する可能性を示す第2の評価値の値を増補正する。これは、雨が降り出している場合、バスではなく、タクシーを利用する可能性が高くなるとの経験則に基づくものである。従って、カメラ300で得られた画像から、雨の強度等が得られる場合、第2の評価値の値を増補正する量を変更してもよい。
【0040】
なお、評価対象者Pの背景画像から評価対象者Pの所在地の天気を推定する方法は、上記の路面の色を用いるものに限られない。例えば、画像中に開傘状態の傘が写っている場合や、画像中の車両のワイパーが作動している場合、雨が降り出していると判定してもよい。
【0041】
また、背景画像全体が所定の基準画像よりも明るい場合、背景画像中の影が濃い場合、日差しが強いと判定してもよい。気温が高く日差しが強い場合、バスではなく、タクシーを利用する可能性が高くなるとの経験則が成り立つことから、この場合も第2の評価値の値を増補正することができる。
【0042】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図7は、本発明の第2の実施形態の配車支援システム100aの動作を表した流れ図である。図7のステップS001~S005までの動作は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0043】
ステップS004、S005で、第1、第2の評価値の計算が完了すると、配車支援システム100aは、評価対象者Pの背景画像により天気を推定し、第2の評価値を補正する(ステップS010)。
【0044】
最後に、配車支援システム100aは、タクシー会社の端末200に対して、前記計算した、第1の評価値及び補正後の第2の評価値を送信する(ステップS006)。
【0045】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、前記評価対象者Pの現在地の天気を加味した精度の高い情報を提供し、その配車を効率化させることが可能となる。
【0046】
なお、上記した第2の実施形態では、評価対象者Pの背景画像により天気を推定し、第2の評価値を補正するものとして説明したが、推定した天気の内容によっては、必要に応じて、第1の評価値も補正してもよい。
【0047】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的な技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示した装置構成、各要素の構成、データ等の表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。例えば、上記した実施形態では、公共交通機関がバスであり、第1の評価値が、評価対象者Pがバスを利用する可能性を示す値であるものとして説明したが、公共交通機関はバス以外であってもよい。例えば、公共交通機関は、鉄道、路面電車、モノレール等であってもよい。
【0048】
また、上記した実施形態では、公共交通機関の代替交通手段がタクシーのみであるものとして説明したが、タクシー以外の代替交通手段の存在を考慮に入れて第2の評価値を計算してもよい。代替交通手段の選択肢が増える場合、第2の評価値はその数や利用可能性に応じて減ることになる。このような代替交通手段としては、徒歩、自転車、レンタカーなどが挙げられる。また、これらの選択肢を考慮する際に、第2の実施形態と同様に、評価対象者Pの所在地の天気を考慮してもよい。例えば、雨が降っている場合、代替交通手段のうち、徒歩や自転車の利用可能性が低くなり、タクシーやレンタカーの利用可能性が高くなるので、これらを考慮して第2の評価値を補正すればよい。
【0049】
また、上記した実施形態では、配車支援システム100、100aが時刻表記憶部104を備えるものとして説明したが、インターネット等から時刻表を取得する構成も採用可能である。
【0050】
また、上記した各実施形態に示した手順は、配車支援システム100、100aとして機能するコンピュータ(図8の9000)に、これらの装置としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、図8のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、図8のCPU9010にて、評価対象者検出プログラムや評価値計算プログラムを実行させればよい。
【0051】
即ち、上記した配車支援システム100、100aの各部(処理手段、機能)は、これらの装置に搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0052】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による情報提供システム参照)
[第2の形態]
上記した情報提供システムの前記評価手段は、現在時刻から、前記時刻表における前記公共交通機関の次の車両の到着時刻までの時間の長さに基づいて、前記評価対象者の前記公共交通機関の利用可能性を計算する構成を採ることができる。
[第3の形態]
上記した情報提供システムの前記評価手段は、前記カメラに写った、前記評価対象者の背景画像に基づいて、前記評価対象者の所在地の天気を推測し、該推測した天気に基づいて、前記第2の評価値を補正する構成を採ることができる。
[第4の形態]
上記した情報提供システムの前記評価手段は、前記カメラの画像中の路面の色が濃い場合、前記画像中に開傘状態の傘が写っている場合、又は、画像中の車両のワイパーが作動している場合、雨が降り出していると判定し、前記第2の評価値が高くなるように補正する構成を採ることができる。
[第5の形態]
上記した情報提供システムは、
前記公共交通機関はバスであり、前記代替交通手段はタクシーであるとして、前記第1の評価値及び前記第2の評価値を計算する構成を採ることができる。
[第6の形態]
(上記第2の視点による情報提供方法参照)
[第7の形態]
(上記第3の視点によるプログラム参照)
なお、上記第6~第7の形態は、第1の形態と同様に、第2~第5の形態に展開することが可能である。
【0053】
なお、上記の特許文献の各開示は、本書に引用をもって繰り込み記載されているものとし、必要に応じて本発明の基礎ないし一部として用いることが出来るものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。さらに、上記引用した文献の各開示事項は、必要に応じ、本発明の趣旨に則り、本発明の開示の一部として、その一部又は全部を、本書の記載事項と組み合わせて用いることも、本願の開示事項に含まれるものと、みなされる。
【符号の説明】
【0054】
10 情報提供システム
11 検出手段
12 評価手段
13 送信手段
14 時刻表
20、200 端末
30、300 カメラ
100、100a 配車支援システム
101、101a 検出部
102、102a 評価部
103 送信部
104 時刻表記憶部
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インタフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置
P 評価対象者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8