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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】携帯装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 19/00 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
E05B19/00 K
E05B19/00 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021157799
(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公開番号】P2023048470
(43)【公開日】2023-04-07
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 亮
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-027824(JP,U)
【文献】特開2021-025355(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0360236(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 19/00
A47G 29/00-29/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のキープレートの後端部を支持するロータと、
前記ロータを格納位置から完全展開位置に回転可能に支持するケースと、
前記ロータに対して前記格納位置から前記完全展開位置へ向けた付勢力を与える付勢手段と、
操作者から操作を受け付けるリリースノブと
を備え、
前記ロータが前記格納位置にある状態において、前記リリースノブに対して押圧してスライドさせる第1操作が行われた時、前記ロータは前記格納位置から解放されて前記格納位置と前記完全展開位置との間の中間位置へと遷移し、前記中間位置で止まる
ことを特徴とする携帯装置。
【請求項2】
前記ロータが前記格納位置もしくは、前記中間位置にある状態において、前記リリースノブに対して押圧してスライドさせる第2操作が行われた時、前記ロータは前記格納位置から解放されて前記完全展開位置へと遷移する、もしくは、前記中間位置から解放されて前記完全展開位置へと遷移する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯装置。
【請求項3】
前記リリースノブは、
円柱形状を有し、当該円柱形状の外周面から半径方向に突出して設けられた規制部を有し、
前記ロータの回転中心軸において、前記ロータとともに回転可能、且つ、前記回転中心軸の軸方向にスライド可能に設けられており、
前記ケースは、
前記ロータが前記中間位置へと遷移した時、前記規制部が当接可能な位置にストッパ部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯装置。
【請求項4】
前記第1操作は、前記リリースノブの前記規制部が、前記格納位置から解放され、かつ前記ストッパ部と当接可能な位置を越えない大きさのストロークに設定され、
前記第2操作は、前記第1操作のストロークよりも大きく、前記リリースノブの前記規制部が前記格納位置から解放され、さらに前記ストッパ部と当接しないよう前記ストッパ部を越える大きさのストロークに設定されている
ことを特徴とする請求項3に記載の携帯装置。
【請求項5】
前記ケースは、
前記ロータが前記格納位置まで遷移した時、前記規制部が嵌まり込む第1係合溝と、
前記ロータが前記中間位置まで遷移した時、前記規制部が嵌まり込む第2係合溝とを有する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の携帯装置。
【請求項6】
前記ストッパ部は、前記ケースから前記リリースノブが回転した際にその軌跡が形成する空間に対して前記リリースノブがスライドされる方向に突出した形状を有する
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の携帯装置。
【請求項7】
前記ストッパ部は、
前記ロータが前記格納位置から前記完全展開位置へ回転する第1方向に対して垂直に設けられ、前記規制部と当接可能な第1表面と、
前記第1方向において、前記第1表面からの距離が離れるに従って前記ケースからの突出量が小さくなる傾斜を含む第2表面と、を有する
ことを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の携帯装置。
【請求項8】
前記ケースは、
前記ロータが前記中間位置へ遷移したときに、前記キープレートの長手方向と直交する方向が長手方向となる長手形状を有する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の携帯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが携帯する携帯装置からの遠隔操作により、車両ドアのロック機構を施錠および解錠できるようにした、いわゆる電子キーシステムが知られている。このような電子キーシステムに用いられる携帯装置として、例えば、ケースに対して回転収容可能且つ収容可能に設けられたメカニカルキーを備えたものがある。メカニカルキーは、主に車両のエンジンを始動させるために用いられる。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、メカニカルキーが格納位置にあるときに、リリースノブが押下されると、トーションスプリングからの付勢力により、メカニカルキーのロータ部材を180°回転させて、メカニカルキーを完全展開位置へ自動的に回転させることが可能な、いわゆるジャックナイフ型のキーユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-172172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のキーユニットは、メカニカルキーの角度をケースに対して180°回転させた状態で保持された状態で使用されることを前提とした構成を有する。しかしながら、車両のエンジンを始動させる際にメカニカルキーを差し込むキーシリンダーは、車両のステアリングコラムの側部に設けられている。そして、そのキーシリンダーの向きは、通常、車体の向きを基準とした前後方向に対して垂直に設けられている。そのため、車両の運転席に着座した操作者が従来のキーユニットに備えられたメカニカルキーを用いて車両のエンジンを始動させる時、操作者は、ケースを把持しながら手首の角度を90°曲げた状態にして捻る操作を行う必要があった。または、操作者は、車両のステアリングコラムに対して90°の角度でキーシリンダーに刺さっているキーユニットのケースを、指先のみで摘まんだ状態で捻る操作を行う必要があった。そのため、従来のキーユニットは、女性等の非力な操作者にとって操作し難かった。また、従来のキーユニットは、トーションスプリングからの付勢力により、メカニカルキーが格納位置から完全展開位置まで高速に一気に180°回転するため、メカニカルキーのロータに支持されているキープレートがケースを握っているユーザの手に勢いよく当接してしまったりする虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る携帯装置は、長尺状のキープレートの後端部を支持するロータと、ロータを格納位置から完全展開位置に回転可能に支持するケースと、ロータに対して格納位置から完全展開位置へ向けた付勢力を与える付勢手段と、操作者から操作を受け付けるリリースノブとを備え、ロータが格納位置にある状態において、リリースノブに対して押圧してスライドさせる第1操作が行われた時、ロータは格納位置から解放されて格納位置と完全展開位置との間の中間位置へと遷移し、中間位置で止まる。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態に係る携帯装置によれば、ロータ、および、キープレートを格納位置と完全展開位置との間の中間位置で停止させることができる。そのため、ケースを把持してキープレートを捻る操作を行う時、操作者は手首の角度を曲げる必要が無い。また、そのため、キープレートを回転させる操作を行う時、回転したキープレートがケースを把持しているユーザの手に勢いよく当接してしまう虞が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る携帯装置の外観斜視図
図2】一実施形態に係る携帯装置の構成を示す分解斜視図
図3】一実施形態に係るメカニカルキーの構成を示す分解斜視図
図4】一実施形態に係るメカニカルキーの構成を示す斜視断面図
図5図1に示す携帯装置のA-A断面線による断面図
図6】一実施形態に係る上側ケースの裏側を表す外観斜視図
図7】一実施形態に係る上側ケースの底面図
図8】一実施形態に係る上側ケースの裏側の一部拡大斜視図
図9】一実施形態に係る携帯装置の動作を説明するための図
図10】一実施形態に係る携帯装置の動作を説明するための図
図11】一実施形態に係る携帯装置の動作を説明するための図
図12】一実施形態に係る携帯装置の動作を説明するための図
図13】一実施形態に係る携帯装置の動作を説明するための図
図14】一実施形態に係る携帯装置の動作を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。
【0010】
(携帯装置10の概要)
図1は、一実施形態に係る携帯装置10の外観斜視図である。図1は、メカニカルキー120が開いた状態(以下、「開状態」と示す)の携帯装置10を表す。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向(ケース100の厚さ方向)を上下方向とし、図中Y軸方向(ケース100の短手方向)を横幅方向とし、図中X軸方向(ケース100の長手方向)を前後方向とする。
【0011】
図1に示す携帯装置10は、ユーザによって携帯される携帯装置であって、車両に搭載される車載機(図示省略)に対して無線信号を送信する通信装置(図示省略)を含む。該車載機と該通信装置とは、電子キーシステムを構成する。ユーザは、携帯装置10に備えられたノブ201a~201cを押圧することによって該通信装置を操作することが出来、該車載機と無線通信を行うことが出来る。このことにより、ユーザは、車両ドアのロック機構の施錠および解錠等を遠隔操作することが出来る。
【0012】
図1に示すように、携帯装置10は、ケース100と、ケース100によって回転可能に支持されたメカニカルキー120とを備えている。ケース100は、ABS樹脂,PC樹脂等の合成樹脂素材から形成される、概ね直方体形状を有する容器状の部品である。携帯装置10は、ユーザからの操作に応じてメカニカルキー120が回転することにより、メカニカルキー120が開いた開状態と、メカニカルキー120が閉じた状態(以下、「閉状態」と示す)との間で、状態遷移することができる。
【0013】
携帯装置10は、閉状態において、メカニカルキー120のキープレート122が、ケース100が有する第1収容空間100Aの内部に収容された状態となる。閉状態において、メカニカルキー120は、詳しくは後述する圧縮されたスプリング124から付勢されながら、ケース100に係止された状態となる。そして、ケース100の上面から突出して設けられたメカニカルキー120のリリースノブ123が押下された時、メカニカルキー120は、ケース100との係止が解除され、ケース100に対して回転し始める。この時、メカニカルキー120は、ケース100の上下方向を軸方向とする回転中心軸AXを回転中心として、方向BXに回転する。方向BXは「第1方向」の一例である。この時、メカニカルキー120は、上方(Z軸正方向)から見て時計回りに回転する。そして、携帯装置10は、閉状態からメカニカルキー120が180°回転すると、図1に示すように、キープレート122が、ケース100の先端面から前方(図中X軸正方向)へ直線状に突出した状態、すなわち、開状態となる。
【0014】
ここで、携帯装置10は、ユーザがリリースノブ123を浅く押圧して下方へスライドさせる操作である第1操作を行った場合、メカニカルキー120を閉状態から90°回転した状態(すなわち、半開状態)で停止させることができる。また、携帯装置10は、ユーザがリリースノブ123を深く押圧して下方へスライドさせる操作である第2操作を行った場合、メカニカルキー120を閉状態、もしくは半開状態から180°回転した状態(すなわち、全開状態)にすることができる。
【0015】
メカニカルキー120のキープレート122は、長尺状の形状を有し、車両に備えられたキーシリンダーを機械的に回転させるための鍵棒として用いられる部材である。メカニカルキー120を開状態にすることにより、ユーザはキープレート122を鍵棒として用いることが出来る。このとき、ユーザは、携帯装置10のケース100を把持しながらリリースノブ123を押下した手を持ち変える事無く、ケース100を取っ手として用いることが出来る。また、ユーザは、ケース100を把持しながらキープレート122を鍵棒として用いることが出来る。ユーザは、開状態にしたメカニカルキー120のキープレート122を車両のステアリングコラムの側部に設けられたキーシリンダー(図示省略)に差込んで捻る操作を行うことによって該キーシリンダーを機械的に軸回転させることが出来る。また、その操作を行うことによって車両のエンジンを始動させることが出来る。また、メカニカルキー120のキープレート122は、車両のドアに設けられ、車両ドアのロック機構を施錠または解錠するために設けられたキーシリンダー(図示省略)を機械的に回転させることが出来る。
【0016】
特に、携帯装置10は、半開状態において、ケース100の長手方向がメカニカルキー120のキープレート122の長手方向と直交するため、ユーザは半開状態にした携帯装置10をレバーハンドルの様に用いることが出来る。そのため、ユーザは、キープレート122の長手方向を中心軸に見立てて、ケース100が該中心軸の円周方向を大きく回転するように操作を行うことにより、比較的小さな操作力を加えるだけで大きなねじりモーメントを発生させることが出来る。また、ユーザは、その大きなねじりモーメントをキープレート122に集中させることが出来る。
【0017】
(携帯装置10の構成)
図2は、一実施形態に係る携帯装置10の構成を示す分解斜視図である。図2に示すように、携帯装置10は、図中上方から順に、上側ケース101、メカニカルキー120、中間ケース103、および下側ケース102を備える。
【0018】
上側ケース101は、中間ケース103の上方に設けられ中間ケース103の上側を覆うカバー状の部材である。下側ケース102は、中間ケース103の下方に設けられ中間ケース103の下側を覆うカバー状の部材である。中間ケース103は、上側ケース101と下側ケース102との間に配置される部材である。上側ケース101、中間ケース103、および下側ケース102は、互いに組み合わされることにより、図1および図2に示すケース100を形成する。
【0019】
図2に示すように上側ケース101の中央部には、上下方向に貫通形成された開口部101Bが設けられている。また、上側ケース101の開口部101Bを塞ぐようにしてラバーシート200が設けられている。ラバーシート200は、通信装置を操作するためのノブ201a~201cを有している。ノブ201a~201cは、開口部101Bの位置に設けられている。例えば、ノブ201aは、車両ドアのロック機構を施錠する際にユーザによって押下される。また、例えば、ノブ201bは、車両ドアのロック機構を解錠する際にユーザによって押下される。また、例えば、ノブ201cは、車両トランクのロック機構を解錠する際にユーザによって押下される。また、上側ケース101の左前角部(X軸正側且つY軸正側の角部)の近傍には、上下方向に貫通形成され、上方(Z軸正方向)からの平面視において円形状を有する開口部101Aが形成されている。開口部101Aは、詳しくは後述するリリースノブ123の柱状部123Aが挿通される貫通孔である。
【0020】
メカニカルキー120は、ケース100に対して回転中心軸AXを回転中心として回転収容可能に設けられる。メカニカルキー120は、ロータ121、キープレート122、およびリリースノブ123を備える。キープレート122は金属からなる部材であり、ロータ121とリリースノブ123とは合成樹脂からなる部材である。
【0021】
リリースノブ123は、概ね円柱状の部材である。リリースノブ123は、その上端部が上側ケース101の上面に形成された開口部101Aから突出するように、回転中心軸AX上に設けられる。リリースノブ123は、回転中心軸AXを回転中心として、ロータ121とともに回転可能である。リリースノブ123は、ユーザによって押下されることにより、ロータ121の回転のロックを解除して、ロータ121を回転可能な状態とすることができる。
【0022】
ロータ121は、中間ケース103の左前角部(X軸正側且つY軸正側の角部)に形成されている第2収容空間100B内に、回転中心軸AXを回転中心として回転可能に設けられる。中間ケース103は、回転中心軸AXと直交する向きに設けられた当接面を有している。該当接面は、一対設けられており、第2収容空間100Bを構成している。一対の該当接面は、互いに対向配置されており、ロータ121を挟持するように支持している。そのため、ロータ121は、方向BXに回転可能となっており、回転中心軸AXの方向には移動できない。ロータ121には、リリースノブ123が上下方向に貫通して設けられている。また、ロータ121は、図3に示す係合溝121Cを有している。係合溝121Cは、方向BXと直交するガイド面を有している。係合溝121Cは、詳しくは後述するリリースノブ123の突起部123Cが嵌合される形状である。ロータ121の係合溝121Cとリリースノブ123の突起部123Cとが嵌合することにより、リリースノブ123とロータ121とは、上下方向にスライドして相対的な位置が遷移可能となる。また、ロータ121の係合溝121Cとリリースノブ123の突起部123Cとが嵌合することにより、ロータ121は、第2収容空間100B内において、リリースノブ123とともに回転中心軸AXを回転中心として回転可能となっている。ロータ121は、キープレート122の後端部を支持している。ロータ121は、回転することにより、キープレート122を、ケース100から前方に突出した状態と、ケース100の第1収容空間100Aに収容された状態との間で、状態遷移させることができる。
【0023】
なお、キープレート122は、ロータ121と一体的に形成されたものであってもよい。
【0024】
中間ケース103は、通信装置を構成する各種構成部品(例えば、回路基板300、電池等)を支持する部材である。図3に示すように、中間ケース103の左前角部(X軸正側且つY軸正側の角部)には、ロータ121が回転可能に収容される第2収容空間100Bが形成されている。また、中間ケース103の左側部(Y軸正側の側部)には、キープレート122が収容される第1収容空間100Aが形成されている。
【0025】
中間ケース103において、第1収容空間100Aの奥底面には、板バネ105が設けられている。板バネ105は、X軸方向に直線状に延在するレバー状の弾性部材である。板バネ105は、前端部(X軸正側の端部)が中間ケース103の第1収容空間100Aの奥底面に固定されている。板バネ105は、後端部(X軸負方向の側の端部)において、第1収容空間100A内に収容されたキープレート122を、外側方向(Y軸正方向)に付勢する。なお、板バネ105は、中間ケース103と一体的に形成される。これにより、一実施形態に係る携帯装置10は、部品点数を増加させたり、組み立て作業工程を増加させたりすることなく、板バネ105を、第1収容空間100A内に容易に設置することができる。
【0026】
(メカニカルキー120の構成)
図3は、一実施形態に係るメカニカルキー120の構成を示す分解斜視図である。図4は、一実施形態に係るメカニカルキー120の構成を示す斜視断面図である。図5は、図1に示す携帯装置10のA-A断面線による断面図である。
【0027】
図3に示すように、メカニカルキー120は、ロータ121、キープレート122、リリースノブ123、スプリング124、およびスプリングホルダ125を備える。
【0028】
図3に示すように、ロータ121の回転中心には、当該ロータ121を上下方向に貫通する貫通孔121Aが形成されている。貫通孔121Aは、上方(Z軸正方向)からの平面視において概ね円形の開口形状を有する。貫通孔121Aの内周面には、一対の係合溝121Bと、一対の係合溝121Cとが形成されている。一対の係合溝121Bは、貫通孔121Aの中心(すなわち、ロータ121の回転中心)に対して点対称に設けられている。一対の係合溝121Cは、貫通孔121Aの中心(すなわち、ロータ121の回転中心)に対して点対称に設けられている。但し、貫通孔121Aの内周面において、一対の係合溝121Bと、一対の係合溝121Cとは、互いに90°異なる位置に設けられている。
【0029】
リリースノブ123は、概ね上下方向を軸方向とする、円柱状且つ中空の部材である。リリースノブ123の下部は、ロータ121の回転中心に形成された貫通孔121A内に、上下方向にスライド可能に嵌め込まれる。これにより、リリースノブ123は、ロータ121の回転軸として機能し、ロータ121とともに回転する。リリースノブ123の上部は、上側ケース101の裏側から、上側ケース101に形成された開口部101A(図2参照)を貫通する。これにより、リリースノブ123の上部は、開口部101Aから突出して設けられ、メカニカルキー120の回転のロックを解除するための押圧操作が可能となる。
【0030】
リリースノブ123は、円柱形状を有する柱状部123A、一対の垂直壁部123B、および、一対の突起部123Cを有する。垂直壁部123B、および、突起部123Cは、柱状部123Aのなす円柱形状の外周面から半径方向に突出して設けられている。垂直壁部123Bは、回転中心軸AXと平行、且つ、方向BXと垂直に設けられた面を有し、上側ケース101、及び、ロータ121に当接する形状である。突起部123Cは、回転中心軸AXと平行、且つ、方向BXと垂直に設けられた面を有し、ロータ121に当接する形状である。柱状部123Aは、中空構造を有し、内部に内部空間123Dが形成されている。垂直壁部123Bは、「規制部」の一例である。一対の垂直壁部123Bは、柱状部123Aの外周面に、柱状部123Aの中心に対して点対称に設けられている。一対の突起部123Cは、柱状部123Aの外周面の下端部に、柱状部123Aの中心に対して点対称に設けられている。柱状部123Aの外周面において、一対の突起部123Cと、一対の垂直壁部123Bとは、互いに90°異なる位置に設けられている。
【0031】
図4および図5に示すように、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bは、ロータ121の貫通孔121Aの内周面に設けられた、一対の係合溝121B内に、上下方向(Z軸方向)にスライド可能に嵌め込まれる。また、リリースノブ123の一対の突起部123C(図3参照)は、ロータ121の貫通孔121Aの内周面に設けられた、一対の係合溝121C(図3参照)内に、上下方向にスライド可能に嵌め込まれる。これにより、リリースノブ123は、ロータ121に対して、上下方向にスライド可能に設けられるとともに、ロータ121に対する回り止めがなされ、ロータ121とともに回転する。
【0032】
なお、図3に示すように、一対の係合溝121Cは、ロータ121の貫通孔121Aの内周面の下端部から、上方に一定の高さ寸法を有して形成されているが、貫通孔121Aの内周面の上端部までは達していない。このため、一対の突起部123Cが、一対の係合溝121Cの上端部に当接することにより、ロータ121に対する、リリースノブ123の上方へのさらなる移動は係止される。これにより、リリースノブ123は、ロータ121から上方へ抜け落ちないようになっている。
【0033】
スプリング124は、「付勢手段」の一例である。スプリング124は、リリースノブ123とスプリングホルダ125との間に、上下方向(Z軸方向)およびロータ121の回転方向に弾性変形可能に設けられる。図4および図5に示すように、スプリング124の上部は、リリースノブ123の柱状部123Aの内部空間123D内に収容される。また、スプリング124の下部は、スプリングホルダ125によって支持される。スプリング124は、自身のバネ力により、リリースノブ123を上方(Z軸正方向)および開回転方向(上方(Z軸正方向)からの平面視において時計回り方向)に付勢する。
【0034】
スプリングホルダ125は、上部が開口した容器状の部材である。スプリングホルダ125は、スプリング124の下部を支持する。スプリングホルダ125は、中間ケース103における第2収容空間100Bの底部に形成された、当該スプリングホルダ125の外形状と同形状を有する開口103A(図3および図5参照)内に嵌め込まれる。これにより、スプリングホルダ125は、第2収容空間100Bの底部に固定される。
【0035】
図3および図4に示す構成により、メカニカルキー120は、リリースノブ123がロータ121に対して上下方向にスライド可能であり、リリースノブ123がスプリング124によって上方および開回転方向に付勢されており、且つ、リリースノブ123がロータ121とともに回転可能となっている。
【0036】
(上側ケース101の周壁部104の構成)
図6は、一実施形態に係る上側ケース101の裏側を表す外観斜視図である。図7は、一実施形態に係る上側ケース101の底面図である。
【0037】
図6および図7に示すように、上側ケース101は、Z軸負方向の側の面104Dから突出して形成された、概ね円筒形状の周壁部104を有している。周壁部104は、開口部101Aを構成する形状であり、円形の開口部101Aを取り囲んで設けられている。
【0038】
周壁部104は、Z負方向の側に形成された、XY平面と平行な円環状の底面104aを有する。底面104aは、リリースノブ123が回転するときに、リリースノブ123の一対の垂直壁部123BのZ正方向の側の上面と当接し、摺動する上側ケース101の形状である。
【0039】
また、周壁部104には、Y軸方向に沿って周壁部104の中心を通る直線上に、当該周壁部104の底面104aから上方に向って凹状に切り欠かれた、一対の第1係合溝104Aが180°間隔で形成されている。一対の第1係合溝104Aは、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bを嵌め込み可能な幅を有する。一対の第1係合溝104Aは、メカニカルキー120が全開状態のときに、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bが嵌まり込むことにより、リリースノブ123およびロータ121の回転を固定する。また、一対の第1係合溝104Aは、メカニカルキー120が格納位置にあるときに、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bが嵌まり込むことにより、リリースノブ123およびロータ121の回転を固定する。
【0040】
また、図6および図7に示すように、周壁部104には、X軸方向に沿って周壁部104の中心を通る直線上に、当該周壁部104の底面104aから上方に向って凹状に切り欠かれた、一対の第2係合溝104Bが180°間隔で形成されている。一対の第2係合溝104Bは、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bを嵌め込み可能な幅を有する。一対の第2係合溝104Bは、メカニカルキー120が半開状態のときに、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bが嵌まり込むことにより、リリースノブ123およびロータ121の回転を固定する。
【0041】
また、図6および図7に示すように、上側ケース101は、周壁部104のZ負方向の側の面(底面104a)からZ負方向に突出したストッパ部104Cを有している。ストッパ部104Cは、方向BXに対して垂直に設けられた第1表面104Caを有している。ストッパ部104Cは、第1表面104Caと連続して第1表面104Caの方向BXに配置される第2表面104Cbを有している。第2表面104Cbは、方向BXにおいて、第1表面104Caからの距離が離れるに従って、上側ケース101は、Z軸負方向の側の面104Dからの突出量が小さくなる傾斜を含んでいる。ストッパ部104Cは一対設けられており、一対のストッパ部104Cは180°間隔で設けられている。上側ケース101ストッパ部104Cは、第2係合溝104Bの開回転方向の側(下方からの平面視において反時計回り方向の側)に連続して設けられている。ストッパ部104Cは、リリースノブ123に対して第1操作が行われ、メカニカルキー120が半開状態まで開回転したときに、リリースノブ123の垂直壁部123Bが当接する上側ケース101の形状である。垂直壁部123Bがストッパ部104Cに当接したとき、リリースノブ123およびロータ121は回転を停止する。
【0042】
(リリースノブ123の回転および停止の原理)
図8は、一実施形態に係る上側ケース101の裏側の一部拡大斜視図である。図8では、上側ケース101とともに、リリースノブ123およびスプリング124が示されており、その他の部材については図示が省略されている。
【0043】
図8では、メカニカルキー120が全開状態のときのリリースノブ123の状態が示されている。図8に示すように、メカニカルキー120が全開状態のとき、リリースノブ123は、一対の垂直壁部123B(123B-1,123B-2)が、一対の第1係合溝104A(104A-1,104A-2)に嵌まり込む。これにより、リリースノブ123およびロータ121は、全開状態で回転が固定される。
【0044】
図8に示すように、リリースノブ123は、内部空間123D内に収容されているスプリング124によって、上方(Z軸正方向、図中矢印D1)、および開回転方向(方向BX)に付勢されている。これにより、リリースノブ123は、一対の垂直壁部123Bの上面が周壁部104の底面104aに摺動しながら、開回転方向、すなわち、下方からの平面視において反時計回り(方向BX)に回転する。
【0045】
リリースノブ123は、閉状態のとき、スプリング124からの付勢力により上方へスライドする。そのため、リリースノブ123の垂直壁部123Bは、上側ケース101の第1係合溝104Aに嵌まり込み係止される。これにより、リリースノブ123およびロータ121は、閉状態で回転が固定される。
【0046】
そして、リリースノブ123は、リリースノブ123の第1操作によって閉状態の固定が解除されて、半開状態まで90°回転したとき、一対の垂直壁部123Bが、一対のストッパ部104Cに当接することにより、回転が停止する。そして、半開状態においてリリースノブ123が操作力から解放された場合、リリースノブ123はスプリング124からの付勢力により上方へスライドする。このことによって、垂直壁部123Bが、第2係合溝104Bに嵌まり込み係止される。これにより、リリースノブ123およびロータ121は、半開状態で回転が固定される。
【0047】
さらに、メカニカルキー120が半開状態のときに第2操作が行われた場合、リリースノブ123は、上側ケース101との係止が解除されて、さらに90°回転して全開状態になる。このとき、リリースノブ123はスプリング124からの付勢力により上方へスライドする。そのため、リリースノブ123の垂直壁部123Bは、上側ケース101の第1係合溝104Aに嵌まり込み係止される。これにより、リリースノブ123およびロータ121は、全開状態で回転が固定される。
【0048】
(携帯装置10の動作)
図9図14は、一実施形態に係る携帯装置10の動作を説明するための図である。図9図14において、(a)は、携帯装置10におけるメカニカルキー120の状態を示す外観斜視図である。また、図9図14において、(b)は、携帯装置10における垂直壁部123Bの係合状態を示す一部拡大断面図である。
【0049】
図9は、携帯装置10の閉状態を示す。図9に示すように、携帯装置10の閉状態において、メカニカルキー120は、キープレート122が、第1収容空間100Aに設けられた第1収容空間100A内に収容された状態(すなわち、格納位置にある状態)となる。また、図9(b)に示すように、携帯装置10の閉状態においては、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bが、上側ケース101の周壁部104に形成された一対の第1係合溝104Aに係合することによって、メカニカルキー120の回転がロックされる。
【0050】
また、図9に示す携帯装置10の閉状態において、第1収容空間100A内に収容されたキープレート122は、当該第1収容空間100Aの奥底面に設けられた板バネ105により、開回転方向(Y軸正方向)に付勢されている。これにより、一実施形態に係る携帯装置10は、メカニカルキー120の回転系におけるガタが抑制され、当該ガタによる不快な音の発生を抑制することができる。
【0051】
また、一実施形態に係る携帯装置10は、当該携帯装置10を落下させてしまった場合であっても、メカニカルキー120を介して中間ケース103(第1収容空間100Aの奥底面)に加わる衝撃を、板バネ105によって吸収することができる。したがって、一実施形態に係る携帯装置10は、当該携帯装置10の落下による、中間ケース103、および、中間ケース103によって保持された電子部品等の破損を抑制することができる。
【0052】
図10は、携帯装置10の閉状態からリリースノブ123の第1操作、もしくは第2操作がなされた直後の状態を示す。図10に示すように、携帯装置10は、閉状態からリリースノブ123が下方へ半押しのストロークで押圧される操作(第1操作、第2操作)がなされると、リリースノブ123がスプリング124を押縮めながら下方へ移動する。そして、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bが、上側ケース101の周壁部104に形成された一対の第1係合溝104Aから下方(Z軸負方向)へ抜け出すのに必要なストロークがなされると、一対の垂直壁部123Bと一対の第1係合溝104Aとの係合が解消され、メカニカルキー120の回転のロックが解除される。
【0053】
図11は、第1操作により、携帯装置10の閉状態からメカニカルキー120が90°回転した状態を示す。図11に示すように、メカニカルキー120は、格納状態から回転のロックが解除されると、板バネ105およびスプリング124からの付勢力によって、キープレート122が開回転方向(Y軸正方向)に押し出されることにより、開回転を開始する。メカニカルキー120が開回転しているとき、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bの上面は、上側ケース101の周壁部104の底面104aを摺動する。そして、図11(b)に示すように、ストッパ部104Cは、リリースノブ123が回転した際にその軌跡が形成する空間Cに対して、リリースノブがスライドする方向(Z軸負方向)に向けて突出する形状を有している。そのため、メカニカルキー120が半開状態まで90°回転したとき、一対の垂直壁部123Bが、ストッパ部104Cの第1表面104Caに当接することにより、メカニカルキー120の回転が停止する。このとき、ユーザがリリースノブ123を操作することを止めた場合、リリースノブ123は操作力から解放されてスプリング124からの付勢力によって上方へスライドする。
【0054】
図12は、メカニカルキー120が90°回転してロックされた状態を示す。図12に示すように、メカニカルキー120が半開状態まで90°回転したとき、スプリング124からの上方への付勢力により、一対の垂直壁部123Bが、一対の第2係合溝104Bに嵌まり込む。そのため、リリースノブ123の垂直壁部123Bが上側ケース101の第2係合溝104Bにはまり込んで係止され、メカニカルキー120とケース100とは、固定され相対的な位置は変化しなくなる。このため、ユーザはキープレートを鍵棒として操作し易くなる。
【0055】
図13は、携帯装置10の閉状態からリリースノブ123の第2操作がなされメカニカルキー120が90°回転した状態、もしくは半開状態からリリースノブ123の第2操作がなされた状態を示す。半開状態で説明すると、図13に示すように、携帯装置10は、リリースノブ123が下方へ全押しのストロークで押圧される操作(第2操作)がなされると、リリースノブ123がスプリング124を押縮めながら下方へ移動する。そして、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bが、上側ケース101の周壁部104に形成された一対の第2係合溝104Bから下方(Z軸負方向)へ抜け出す以上のストロークがなされ、一対の垂直壁部123Bと一対の第1係合溝104Aとの係合が解消される。さらに、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bの上端部が、上側ケース101の周壁部104に形成されたストッパ部104Cよりも下方へ移動するストロークによって、垂直壁部123Bと当接することなく、メカニカルキー120が、全開状態へ向けて回転される。
【0056】
図14は、携帯装置10の閉状態からメカニカルキー120が180°回転した全開状態を示す。図14に示すように、メカニカルキー120は、閉状態、もしくは半開状態から回転のロックが解除され解放されると、スプリング124からの付勢力によって開回転する。メカニカルキー120が開回転しているとき、リリースノブ123の一対の垂直壁部123Bの上面は、上側ケース101の周壁部104の底面104aを摺動する。そして、図14に示すように、メカニカルキー120が全開状態まで回転したとき、ロータ121の側面が第2収容空間100Bの内壁面に当接することにより、メカニカルキー120の回転が停止する。さらに、スプリング124からの上方への付勢力により、一対の垂直壁部123Bが、一対の第1係合溝104Aに嵌まり込む。これにより、リリースノブ123およびロータ121は、全開状態で回転が固定され、メカニカルキー120とケース100とは、固定され相対的な位置は変化しなくなる。このため、ユーザはキープレートを鍵棒として操作し易くなる。
【0057】
携帯装置10は、図14に示す開状態から、ユーザによってリリースノブ123が押下され第1係合溝104Aから下方(Z軸負方向)へ抜け出す以上のストロークがなされ、且つ、ユーザからキープレート122に対して閉回転方向への付勢力が加えられると、メカニカルキー120が、リリースノブ123を回転軸として、閉回転方向(上方(Z軸正方向)からの平面視において反時計回り方向)へ回転する。そして、メカニカルキー120は、図14に示す開状態から閉回転方向へ90°回転したとき、一対の垂直壁部123Bが、一対のストッパ部104Cを乗り越えて、スプリング124からの上方への付勢力により、一対の第2係合溝104Bに嵌まり込む。これにより、リリースノブ123およびロータ121は、半開状態で回転が固定される。さらに、メカニカルキー120は、半開状態から、ユーザによってリリースノブ123が押下され第2係合溝104Bから下方(Z軸負方向)へ抜け出す以上のストロークがなされ、且つ、ユーザからキープレート122に対して閉回転方向への付勢力が加えられ、閉回転方向へさらに90°回転すると、キープレート122が第1収容空間100A内に収容された状態、すなわち、図9に示す閉状態となる。
【0058】
なお、一実施形態に係る携帯装置10は、携帯装置10の閉状態において、リリースノブ123の第2操作がなされた場合、メカニカルキー120が半回転位置で停止せずに、メカニカルキー120を全開位置まで一気に180°回転させることができる。
【0059】
以上説明したように、一実施形態に係る携帯装置10は、長尺状のキープレート122の後端部を支持するロータ121と、ロータ121を格納位置から完全展開位置に回転可能に支持するケース100と、ロータ121に対して格納位置から完全展開位置へ向けた付勢力を与えるスプリング124と、操作者から操作を受け付けるリリースノブ123とを備え、ロータ121が格納位置にある状態において、リリースノブ123に対して第1操作が行われた時、ロータ121は格納位置から格納位置と完全展開位置との間の中間位置へと遷移し、中間位置で止まる。
【0060】
これにより、一実施形態に係る携帯装置10は、リリースノブ123に対して第1操作を行うだけでロータ121、および、キープレート122を中間位置で止めることができる。
【0061】
また、一実施形態に係る携帯装置10は、ロータ121が格納位置にある状態において、リリースノブ123に対して第2操作が行われた時、ロータ121、および、キープレート122は格納位置から完全展開位置へと遷移する。
【0062】
これにより、一実施形態に係る携帯装置10は、リリースノブ123に対して第2操作を行うだけでロータ121、および、キープレート122を完全展開位置へ遷移させることができる。
【0063】
また、一実施形態に係る携帯装置10において、リリースノブ123は、ロータ121の回転中心軸AX上において、ロータ121とともに回転可能、且つ、回転中心軸AXの軸方向にスライド可能に設けられており、リリースノブ123は、円柱形状を有し、当該リリースノブ123の外周面から半径方向に突出して設けられた垂直壁部123Bを有し、ケース100は、ロータ121が中間位置へと遷移した時、垂直壁部123Bが当接するストッパ部104Cを有する。
【0064】
これにより、一実施形態に係る携帯装置10は、ケース100のストッパ部104Cにリリースノブ123の垂直壁部123Bを当接させることにより、ロータ121、および、キープレート122を中間位置で確実に止めることができる。
【0065】
また、一実施形態に係る携帯装置10において、第1操作は、リリースノブ123のなす円柱形状の中心軸に沿ってリリースノブ123をスライドさせる操作であり、リリースノブ123の垂直壁部123Bがストッパ部104Cと当接する位置にリリースノブ123をスライドさせる操作であり、第2操作のストロークは、第1操作のストロークよりも大きい。第1操作は、リリースノブ123の垂直壁部123Bが、格納位置から解放され、かつストッパ部104Cと当接可能な位置を越えない大きさのストロークに設定されている。また、第2操作は、第1操作のストロークよりも大きく、リリースノブ123の垂直壁部123Bが格納位置から解放され、さらにストッパ部104Cと当接しないようストッパ部104Cを越える大きさのストロークに設定されている。
【0066】
これにより、一実施形態に係る携帯装置10は、リリースノブ123を半押し操作することにより、ロータ121、および、キープレート122を中間位置へ遷移させることができ、リリースノブ123を全押し操作することにより、ロータ121、および、キープレート122を完全展開位置へ遷移させることができる。
【0067】
また、一実施形態に係る携帯装置10において、ケース100は、ロータ121が完全展開位置まで遷移した時、垂直壁部123Bが嵌まり込む第1係合溝104Aと、ロータ121が中間位置まで遷移した時、垂直壁部123Bが嵌まり込む第2係合溝104Bとを有する。
【0068】
これにより、一実施形態に係る携帯装置10は、ロータ121、および、キープレート122を完全展開位置および中間位置で確実に固定することができる。
【0069】
また、一実施形態に係る携帯装置10において、ストッパ部104Cは、格納位置側の垂直壁部123Bの当接面が垂直面であり、完全展開位置側の垂直壁部123Bの当接面が傾斜面である。
【0070】
これにより、一実施形態に係る携帯装置10は、ロータ121、および、キープレート122の開回転時には、垂直壁部123Bがストッパ部104Cに当接することによってロータ121、および、キープレート122を中間位置で確実に止めることができ、ロータ121、および、キープレート122の閉回転時には、リリースノブ123の押下操作を保持せずに垂直壁部123Bがストッパ部104Cの傾斜面と接触していても互いに引っかかることなく摺動してストッパ部104Cを乗り越えるようにすることができる。
【0071】
また、一実施形態に係る携帯装置10において、ケース100は、ロータ121、および、キープレート122が中間位置へ遷移したときに、キープレート122の長手方向と直交する方向が長手方向となる長手形状を有する。
【0072】
これにより、一実施形態に係る携帯装置10は、ロータ121、および、キープレート122が中間位置にあるときに、ケース100の長手方向がキープレート122の長手方向と直交するため、レバーハンドルの様に用いることが出来る。そのため、ユーザは、ケース100に対して比較的小さな回転操作力を加えるだけで大きなねじりモーメントを発生させることが出来る。また、ユーザは、その大きなねじりモーメントをキープレート122に集中させることが出来、キーシリンダーを機械的に捻ることができる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 携帯装置
100 ケース
100A 第1収容空間
100B 第2収容空間
101 上側ケース
101A 開口部
101B 開口部
102 下側ケース
103 中間ケース
104 周壁部
104a 底面
104A 第1係合溝
104B 第2係合溝
104C ストッパ部
104D 面
105 板バネ
120 メカニカルキー
121 ロータ
122 キープレート
123 リリースノブ
123A 柱状部
123B 垂直壁部(規制部)
123C 突起部
123D 内部空間
124 スプリング(付勢手段)
125 スプリングホルダ
200 ラバーシート
AX 回転中心軸
BX 方向
C リリースノブが回転した際にその軌跡が形成する空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14