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  • 特許-焼却システム及び焼却方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】焼却システム及び焼却方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/04 20060101AFI20250107BHJP
   F01K 17/02 20060101ALI20250107BHJP
   F01K 17/06 20060101ALI20250107BHJP
   F01K 27/02 20060101ALI20250107BHJP
   F23G 5/46 20060101ALI20250107BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
F23G5/04 D
F01K17/02
F01K17/06
F01K27/02 Z
F23G5/04 A
F23G5/46 A
F23G5/50 Q
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021076624
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170474
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】三島 俊一
(72)【発明者】
【氏名】河合 卓也
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-000983(JP,A)
【文献】特開昭55-127197(JP,A)
【文献】実開昭58-046928(JP,U)
【文献】特開2015-194308(JP,A)
【文献】特開2013-184147(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0316493(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111170603(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23G5/00-5/50
F01K17/02,17/06,27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却炉と、
前記焼却炉からの廃熱で加熱された第1熱媒の熱エネルギーにより発電する熱電併給システムと、
前記第1熱媒の熱エネルギーで加熱された第2熱媒の熱エネルギーにより前記焼却炉に供給する被焼却物を乾燥する乾燥機と、
前記第2熱媒の熱エネルギーにより動作する、前記乾燥機ではない機器と、を備えた、焼却システム。
【請求項2】
前記機器は、前記焼却炉から排出された排ガスを排煙処理塔内に誘引する誘引ファン、排煙処理された前記排ガスを前記排煙処理塔外に排出する誘引ファン、または、前記焼却炉に空気を供給する供給ファンである、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項3】
前記被焼却物の性状に基づいて、前記機器に供給する第2熱媒の量と前記乾燥機に供給する第2熱媒の量とを制御する制御装置を備えた、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項4】
前記熱電併給システムは、前記廃熱により前記第1熱媒を直接加熱する、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項5】
前記熱電併給システムは、
前記第1熱媒の熱エネルギーにより回転するタービンを有する発電機と、
前記タービンからの前記第1熱媒を凝縮する凝縮器と、を備えた、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項6】
前記熱電併給システムは、前記焼却炉からの排ガスの熱エネルギーにより、他の熱媒を介在することなく前記第1熱媒を直接加熱して蒸発させる蒸発器を備え、
前記発電機は、前記蒸発器によって蒸発された前記第1熱媒によって前記タービンを回転させる、請求項5に記載の焼却システム。
【請求項7】
焼却炉と、前記焼却炉からの廃熱で加熱された第1熱媒の熱エネルギーにより発電する熱電併給システムと、前記第1熱媒の熱エネルギーで加熱された第2熱媒の熱エネルギーにより前記焼却炉に供給する被焼却物を乾燥する乾燥機と、前記第2熱媒の熱エネルギーにより動作する、前記乾燥機ではない機器と、を備えた、焼却システムにおける焼却方法であって、
前記被焼却物の性状に基づいて、前記機器に供給する前記第2熱媒の量と前記乾燥機に供給する前記第2熱媒の量とを制御する、焼却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却システム及び焼却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
汚泥等の被焼却物(以下、単に被焼却物とも呼ぶ)を焼却する焼却炉の排ガスは、800~900℃程度の高温の排ガスである。そのため、例えば、この高温の排ガスをボイラーに導いて水蒸気を発生させ、蒸気タービンにより発電機を回転させる廃熱発電を行う廃熱発電システムを備えた焼却システムが提案されている。
【0003】
そして、上記のような焼却システムでは、例えば、焼却前の被焼却物を乾燥する熱源として、廃熱発電システムから回収された熱エネルギーが利用される(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-000983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような焼却システムでは、焼却システムにおいて稼働する各機器の省電力化が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明における焼却システムは、焼却炉と、前記焼却炉からの廃熱で加熱された第1熱媒の熱エネルギーにより発電する熱電併給システムと、前記第1熱媒の熱エネルギーで加熱された第2熱媒の熱エネルギーにより前記焼却炉に供給する被焼却物を乾燥する乾燥機と、前記第2熱媒の熱エネルギーにより動作する機器と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明における焼却システムによれば、稼働する各機器の省電力化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成例を説明する図である。
図2図2は、第2の実施の形態における焼却システム200の構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
[第1の実施の形態における焼却システム100]
初めに、第1の実施の形態における焼却システム100について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成例を説明する図である。なお、以下に示すライン(配管)やポンプ等の配置位置や数は、例示であり、これに限られるものではない。
【0011】
焼却システム100は、図1に示すように、例えば、焼却炉1と、熱媒ヒータ2と、白煙防止空気予熱器3と、排煙処理塔4と、乾燥機5と、スクラバ6と、熱電併給システム10とを有する。
【0012】
焼却炉1は、例えば、汚泥を焼却する流動焼却炉である。焼却炉1は、いわゆる流動層1aを有する。また、焼却対象の汚泥は、脱水ケーキとも呼ばれる。以下、焼却炉1を流動焼却炉として説明を行う。
【0013】
具体的に、焼却炉1は、例えば、ラインL11を介して燃焼用空気ファンP1(以下、供給ファンP1とも呼ぶ)から供給された空気を燃焼用空気として用いることにより、乾燥機5から供給された汚泥S(以下、乾燥汚泥Sとも呼ぶ)を焼却する。ラインL11は、少なくとも燃焼用空気ファンP1と焼却炉1とを接続する配管である。そして、焼却炉1は、汚泥Sを焼却することによって発生した排ガスGをラインL2に排出する。ラインL2は、少なくとも焼却炉1と熱媒ヒータ2と白煙防止空気予熱器3と排煙処理塔4とを順に接続する配管である。
【0014】
熱媒ヒータ2は、焼却炉1からラインL2を介して供給された排ガスGと、ラインL31を介して熱電併給システム10から供給される流体との間において熱交換を行う。ラインL31は、少なくとも熱媒ヒータ2と熱電併給システム10とを接続する配管である。具体的に、熱媒ヒータ2は、焼却炉1から排出された排ガスGを用いることによって流体を昇温し、昇温後の流体を熱電併給システム10に供給する。そして、熱媒ヒータ2は、この流体を昇温した後の排ガスG(冷却された排ガスG)を、ラインL2を介して白煙防止空気予熱器3に供給する。
【0015】
なお、以下、ラインL31を介して熱電併給システム10に供給される流体が水(水蒸気)であるものとして説明を行うが、他の種類の流体(気体または液体)が熱電併給システム10に供給されるものであってもよい。
【0016】
白煙防止空気予熱器3は、熱媒ヒータ2の後段に配置された熱交換器であり、例えば、焼却炉1から排出された高温の排ガスGが有する熱エネルギーを用いることによって、ラインL12を介して白煙防止空気ファンP2から供給された空気を昇温して白煙防止空気Aを生成する。白煙防止空気Aは、煙突から放出される排ガスG中の水蒸気が白煙として見えることを防止するために用いられる加熱空気である。また、ラインL12は、少なくとも白煙防止空気ファンP2と白煙防止空気予熱器3と排煙処理塔4(排煙処理塔4の煙突)とを順に接続する配管である。なお、白煙防止空気Aの温度は、例えば、100~200℃程度である。また、白煙防止空気予熱器3を通過した排ガスGの温度は、例えば、200℃程度である。そして、白煙防止空気予熱器3は、焼却炉1から排出された排ガスGを冷却し、ラインL2を介して冷却後の排ガスGを排煙処理塔4に供給する。
【0017】
排煙処理塔4は、白煙防止空気予熱器3の後段に配置され、例えば、塔の下部から排ガスGを導入する。そして、排煙処理塔4は、上部の散水ノズル(図示せず)から散水される水に接触させることによって、排ガスG中のSOやHCl等の成分を水に含ませて除去する。また、排煙処理塔4の上部には、排煙処理塔4において洗浄された排ガスGを大気に放出する煙突が配置される。
【0018】
誘引機P3は、例えば、焼却炉1から排出された排ガスGを排煙処理塔4まで誘引するファンまたはブロアであり、排煙処理塔4において洗浄された排ガスGを煙突に送出する。
【0019】
なお、焼却システム100は、例えば、白煙防止空気予熱器3と排煙処理塔4との間において、白煙防止空気予熱器3から供給される排ガスGをさらに冷却する冷却塔(図示せず)を有するものであってもよい。また、焼却システム100は、例えば、白煙防止空気予熱器3と排煙処理塔4との間において、冷却塔から供給された排ガスGのばいじんを除去(除塵)する集塵機(図示せず)を有するものであってもよい。
【0020】
熱電併給システム10は、熱媒ヒータ2から供給された流体の熱エネルギーを回収して他のエネルギーに変換する機能を有し、例えば、蒸発器11と、蒸気タービン12と、発電機13と、凝縮器14とを有する。そして、熱電併給システム10では、ラインL32において作動媒体(図示せず)を循環させることによって、ランキンサイクルやカリーナサイクル等の熱サイクルを形成する。ラインL32は、少なくとも蒸発器11と蒸気タービン12と凝縮器14とを順に接続する配管であり、図示しない循環ポンプにより作動媒体がラインL32を循環する。以下、熱電併給システム10(ラインL32)内を循環する作動媒体を第1熱媒とも呼ぶ。また、作動媒体は、作動流体とも呼ばれ、例えば、水より低沸点のフロン、代替フロン、アンモニアまたはアンモニアと水との混合流体等の低沸点媒体や、水より高沸点のオイル等の高沸点媒体である。なお、熱電併給システム10は、例えば、ラインL32において作動媒体を循環させる循環ポンプ(図示せず)を有するものであってよい。
【0021】
蒸発器11は、熱媒ヒータ2からラインL31を介して供給された流体が有する熱エネルギーを用いることにより、作動媒体を蒸発させる。
【0022】
蒸気タービン12は、蒸発器11によって生成された作動媒体の蒸気によって回転する。そして、蒸気タービン12の回転軸に接続された発電機13は、蒸気タービン12の回転によって発電を行う。
【0023】
凝縮器14は、例えば、ラインL33を介して乾燥機5から供給された熱媒(図示せず)によって蒸気タービン12から出力された気体状の作動媒体を凝縮する。ラインL33は、少なくとも凝縮器14と乾燥機5とを接続する配管であり、図示しない循環ポンプにより熱媒がラインL33を循環する。そして、凝縮器14は、例えば、凝縮した作動媒体を循環ポンプによって蒸発器11に供給する。以下、ラインL33、さらに後記するラインL33aを循環する熱媒を第2熱媒とも呼ぶ。
【0024】
なお、熱電併給システム10は、例えば、蒸発器11、蒸気タービン12、発電機13及び凝縮器14に加えて、再生器(図示せず)を有するものであってもよい。再生器は、例えば、蒸気タービン12から出力された第1熱媒の蒸気と、凝縮器14によって凝縮済の第1熱媒との熱交換を行い、凝縮器14から供給された第1熱媒を加熱して蒸発器11に供給する。そして、凝縮器14は、この場合、再生器から供給された第1熱媒の蒸気を液体状の第2熱媒によって凝縮する。
【0025】
乾燥機5は、例えば、水蒸気乾燥機であり、凝縮器14から供給された気体状の第2熱媒が有する熱エネルギーを用いることにより、機内に投入された汚泥S(以下、脱水汚泥Sとも呼ぶ)を乾燥させる。そして、乾燥機5は、乾燥させた汚泥S(乾燥汚泥S)をラインL4に排出するとともに、汚泥Sの乾燥によって発生した空気をラインL13に排出する。ラインL4は、少なくとも乾燥機5と焼却炉1とを接続する配管である。また、ラインL13は、少なくとも乾燥機5とスクラバ6と焼却炉1とを順に接続する配管である。
【0026】
スクラバ6は、例えば、乾燥機5から供給された空気に含まれている水蒸気を除去する。そして、スクラバ6は、例えば、燃焼用空気ファンP4(以下、供給ファンP4とも呼ぶ)を用いることによって、水蒸気を除去した空気を燃焼用空気として焼却炉1に供給する。
【0027】
すなわち、水蒸気が十分に除去されてない空気が焼却炉1に供給されると、焼却炉1の温度を上げるための余分な熱が必要になる場合や、焼却炉1の後段(例えば、熱媒ヒータ2)において十分に熱回収を行うことができない場合等が発生し得る。そのため、焼却システム100では、スクラバ6において水蒸気を除去した空気を焼却炉1に供給する。
【0028】
また、焼却システム100では、乾燥機5から供給された空気を燃焼用空気として焼却炉1において燃焼させることによって、乾燥機5から供給された空気についての脱臭処理を併せて行う。
【0029】
さらに、凝縮器14は、ラインL33から分岐したラインL33aを介して、第2熱媒の少なくとも一部を誘引機P3に供給する。誘引機P3は、第2熱媒の熱エネルギーにより動作する機器の一例である。ラインL33aは、ラインL33(凝縮器14から乾燥機5に第2熱媒を供給するライン)から分岐した後、誘引機P3を経由してラインL33(乾燥機5から凝縮器14に第2熱媒を供給するライン)と再度合流する配管である。そして、凝縮器14から供給された第2熱媒の熱エネルギーによって誘引機P3を動作させる。その後、誘引機P3は、ラインL33を介して第2熱媒を乾燥機5に供給する。
【0030】
具体的に、誘引機P3は、例えば、タービン(図示せず)と、このタービンに接続するファン(図示せず)と有する。そして、誘引機P3は、例えば、凝縮器14から供給された第2熱媒(例えば、水蒸気)によってタービンが回転させ、さらに、これに伴ってファンを回転させることによって排ガスGを排煙処理塔4に誘引する。
【0031】
以下、乾燥機5、誘引機P3に対する第2熱媒の供給制御について説明する。乾燥機5が脱水汚泥Sの乾燥を行うために必要な熱エネルギーは、脱水汚泥Sの含水率や脱水汚泥Sに含まれる有機物の発熱量等の、汚泥の性状によって異なる。そのため、例えば、乾燥機5の前段に取り付けられた計器(図示せず)によって計測された脱水汚泥Sの性状から、凝縮器14から供給された第2熱媒の全てを乾燥機5に供給することが適切でないと判定される場合、焼却システム100では、凝縮器14から供給された第2熱媒の一部を誘引機P3に供給する。そして、焼却システム100では、この場合、凝縮器14から供給された第2熱媒が有する熱エネルギーを誘引機P3の動力として用いる。
【0032】
具体的に、作業者は、例えば、計測された脱水汚泥Sの含水率が所定の閾値よりも低い場合、乾燥機5において脱水汚泥Sの乾燥を十分に行う必要がないと判断し、凝縮器14から供給された第2熱媒の一部を誘引機P3に供給する。一方、作業者は、例えば、計測された脱水汚泥Sの含水率が所定の閾値よりも高い場合、乾燥機5において脱水汚泥Sの乾燥を十分に行う必要があると判断し、凝縮器14から供給された第2熱媒の全てを乾燥機5に供給する。
【0033】
これにより、本実施の形態における焼却システム100では、誘引機P3の駆動に要する電力を抑えることが可能になり、省電力化を図ることが可能になる。
【0034】
なお、作業者は、例えば、脱水汚泥Sの性状に依らず、凝縮器14から供給された第2熱媒の一部(例えば、一定量の第2熱媒)を誘引機P3に供給するものであってもよい。これにより、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、誘引機P3の駆動に要する電力を安定的に抑制することが可能になる。
【0035】
また、作業者は、例えば、ラインL33のうち、凝縮器14から乾燥機5に第2熱媒を供給するラインに設けられた弁(図示せず)の開閉制御を行うことによって、誘引機P3に供給する第2熱媒の量を調整するものであってもよい。
【0036】
また、作業者は、例えば、乾燥機5の後段であって焼却炉1の前段(ラインL4)に取り付けられた計器(図示せず)によって計測された乾燥汚泥Sの性状に基づいて、凝縮器14から供給された第2熱媒の一部を誘引機P3に供給するか否かを判定するものであってもよい。
【0037】
また、焼却システム100は、例えば、誘引機P3に供給する第2熱媒の量を制御する制御装置(図示せず)を有するものであってもよい。制御装置は、例えば、CPU(Central Computing Unit)及びメモリ等を有するコンピュータである。そして、制御装置は、例えば、計測された脱水汚泥Sの含水率に基づいて、誘引機P3に供給する第2熱媒の量を自動的に制御するものであってもよい。
【0038】
具体的に、制御装置は、例えば、脱水汚泥Sの含水率が所定の閾値よりも高い場合、ラインL33aに設けられた弁の閉制御を行うことにより、凝縮器14から供給された第2熱媒の全てが乾燥機5に供給されるように制御を行うものであってよい。また、制御装置は、例えば、脱水汚泥Sの含水率が所定の閾値よりも低い場合、ラインL33aに設けられた弁の開制御を行うことにより、凝縮器14から供給された第2熱媒の一部が誘引機P3に供給されるように制御を行うものであってよい。さらに具体的に、制御装置は、例えば、脱水汚泥Sの含水率が所定の閾値よりも低い場合、脱水汚泥Sの含水率が低いほど誘引機P3に供給される第2熱媒の量が多くなるように、ラインL33に設けられた弁の開閉制御を行うものであってよい。
【0039】
また、上記の例では、凝縮器14から供給された第2熱媒の一部を誘引機P3に供給する場合について説明を行ったが、例えば、凝縮器14から供給された第2熱媒の一部を他の機器に供給し、第2熱媒が有する熱エネルギーを他の機器の動力として用いるものであってもよい。具体的に、焼却システム100では、例えば、凝縮器14から供給された第2熱媒の一部を燃焼用空気ファンP1や白煙防止空気ファンP2や燃焼用空気ファンP4に供給するものであってもよい。
【0040】
なお、上記の例では、乾燥機5が水蒸気乾燥機であり、乾燥機5と凝縮器14との間(ラインL33)を循環する第2熱媒が例えば水(水蒸気)である場合について説明を行ったが、これに限られない。具体的に、例えば、乾燥機5が熱媒油乾燥機であり、乾燥機5と凝縮器14との間を熱媒油が循環するものであってもよい。
【0041】
[第2の実施の形態における焼却システム200]
次に、第2の実施の形態における焼却システム200について説明を行う。図2は、第2の実施の形態における焼却システム200の構成例を説明する図である。なお、以下、第1の実施の形態における焼却システム100と異なる点についてのみ説明を行う。
【0042】
焼却システム200は、図1に示すように、例えば、焼却炉1と、白煙防止空気予熱器3と、排煙処理塔4と、乾燥機5と、スクラバ6と、熱電併給システム10とを有する。
【0043】
そして、本実施の形態における熱電併給システム10は、焼却炉1から排出された排ガスGの熱エネルギーを回収して他のエネルギーに変換する機能を有し、例えば、蒸発器11と、蒸気タービン12と、発電機13と、凝縮器14とを有する。
【0044】
さらに、本実施の形態における蒸発器11は、焼却炉1からラインL2を介して供給された排ガスGが有する熱エネルギーを用いることにより、作動媒体を蒸発させる。その後、蒸発器11は、排ガスGを白煙防止空気予熱器3に供給する。
【0045】
すなわち、本実施の形態における焼却システム200では、例えば、焼却炉1からラインL2を介して供給された排ガスGと、熱電併給システム10に熱エネルギーを供給するための流体との間において熱交換を行うための熱交換器(焼却システム100における熱媒ヒータ2)を用いない代わりに、焼却炉1から排出された排ガスGを蒸発器11に直接供給し、排ガスGが有する熱エネルギーによって熱電併給システム10における第1熱媒を直接加熱する。すなわち、蒸発器11は、焼却炉1からの排ガスの熱エネルギーにより、他の熱媒を介在することなく第1熱媒を直接加熱して蒸発させている。換言すれば、本実施の形態における焼却システム100では、排ガスGの熱エネルギーを、熱媒ヒータ2を介さずに、蒸発器11で直接回収し、回収した熱エネルギーを第1熱媒に供給している。
【0046】
これにより、本実施の形態における焼却システム200では、熱交換器の数を抑えることが可能になり、熱交換器における熱交換による熱エネルギーのロスを低減することが可能になる。そのため、本実施の形態における焼却システム200では、熱電併給システム10における発電量を増加させることが可能になる。
【0047】
以上説明した本発明では、例えば、凝縮器14から供給された第2熱媒の少なくとも一部を誘引機P3等の機器に供給し、凝縮器14から供給された第2熱媒が有する熱エネルギーを機器の動力として用いることにより、各機器の省電力化を行うことが可能になる。
【0048】
なお、乾燥機5は、熱風乾燥機やバンド乾燥機でもよい。乾燥機5が熱風乾燥機やバンド乾燥機の場合、乾燥機5に供給する乾燥用空気を吐出する乾燥用空気ファンと、熱交換器とを別途設ける。この熱交換器は、乾燥用空気ファンが吐出する乾燥用空気と第2熱媒とを熱交換して、乾燥用空気を昇温する。また、ラインL33は、熱電併給システム10とこの熱交換器との間に第2熱媒が循環するように配置される。
【0049】
乾燥機5は、昇温された乾燥用空気により汚泥を乾燥する。乾燥機5は、乾燥後の乾燥用空気の全部を焼却炉1に供給してもよいし、または、乾燥後の乾燥用空気の一部を焼却炉1に供給し、他の乾燥後の乾燥用空気を乾燥用空気ファンの1次側に供給してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1:焼却炉 1a:流動層
2:熱媒ヒータ 3:白煙防止空気予熱器
4:排熱処理塔 5:乾燥機
6:スクラバ 10:熱電併給システム
11:蒸発器 12:蒸気タービン
13:発電機 14:凝縮器
100:焼却システム 200:焼却システム
A:白煙防止空気 G:排ガス
L1:ライン L2:ライン
L11:ライン L12:ライン
L13:ライン L31:ライン
L32:ライン L33:ライン
L33a:ライン P1:燃焼用空気ファン
P2:白煙防止空気ファン P3:誘引機
P4:燃焼用空気ファン S:汚泥
図1
図2