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特許7613679施工計画管理システム、施工計画管理方法、及び施工計画管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】施工計画管理システム、施工計画管理方法、及び施工計画管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20250107BHJP
【FI】
G06Q50/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2024034552
(22)【出願日】2024-03-07
【審査請求日】2024-04-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508032491
【氏名又は名称】株式会社リバスタ
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】平井 孝典
(72)【発明者】
【氏名】入嶋 志郎
(72)【発明者】
【氏名】小畑 秀貴
(72)【発明者】
【氏名】小林 卓人
(72)【発明者】
【氏名】平井 智也
(72)【発明者】
【氏名】井上 洋二
(72)【発明者】
【氏名】田中 友貴
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-355526(JP,A)
【文献】特開2017-059033(JP,A)
【文献】特開2013-045386(JP,A)
【文献】特開2024-028054(JP,A)
【文献】特開2023-049318(JP,A)
【文献】特開2011-022723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工現場の施工計画を管理する施工計画管理システムであって、
前記施工計画管理システムは、記憶部と、受付部と、選択部と、を備え、
前記記憶部は、前記施工現場における特性を示す属性と、工種を含んだ施工作業と、該施工作業に関連する複数のタスクを含んだ階層構造からなる雛形と、を対応付けて格納し、
前記受付部は、ユーザが前記施工計画において希望する属性及び工種を受け付け、
前記選択部は、前記ユーザから受け付けた属性及び工種に対応した複数の雛形のうち、前記ユーザからの選択要求の入力に基づいて、特定の雛形を選択処理し、該特定の雛形と、前記ユーザと、を対応付けて、前記施工作業に関連する複数のユーザが共有可能な施工計画として前記記憶部に格納する、
施工計画管理システム。
【請求項2】
前記施工計画管理システムは、更に、送信部及び作成処理部を備え、
前記送信部は、前記特定の雛形の変更要求を促すコメントを前記ユーザに送信し、
前記作成処理部は、前記特定の雛形と、前記ユーザからの変更要求の入力と、に基づいて、該ユーザが希望するタスクを含んだ専用雛形を作成処理し、その作成処理の結果を前記ユーザと対応付けて前記施工計画として前記記憶部に格納する、
請求項1に記載の施工計画管理システム。
【請求項3】
前記受付部は、前記ユーザから、前記施工作業を受け付け、
前記選択部は、前記ユーザからの再利用要求の入力に基づいて、前記専用雛形を再利用可能に選択処理し、該専用雛形と、前記ユーザと、を対応付けて前記施工計画として前記記憶部に格納する、
請求項2に記載の施工計画管理システム。
【請求項4】
前記受付部は、ユーザ属性の異なる複数のユーザから、前記タスクに関する実施状況を受け付け、前記施工計画に、前記実施状況を対応付ける、
請求項1に記載の施工計画管理システム。
【請求項5】
前記施工計画管理システムは、更に、設定部を備え、
前記受付部は、前記ユーザから前記タスクを分類するための分類指示を受け付け、
前記設定部は、前記ユーザから受け付けた前記分類指示に基づいて、前記階層構造に対応するタスクに対し、該タスクを分類するための分類ラベルを設定する、
請求項1に記載の施工計画管理システム。
【請求項6】
前記施工計画管理システムは、更に、表示処理部を備え、
前記階層構造は、項目と、該項目を細分する1以上の細目と、を含み、
前記表示処理部は、前記雛形における項目と、1以上の細目と、を対応付けて表示処理し、その表示処理の結果をユーザが使用する端末へ送信する、
請求項1に記載の施工計画管理システム。
【請求項7】
前記施工計画管理システムは、更に、設定部及び表示処理部を備え、
前記設定部は、特定の施工現場において利用予定のある作業内容が含まれる雛形を重点項目として登録し、
前記表示処理部は、前記ユーザからの入力に基づいて、前記重点項目を含んだ複数の施工計画を表示処理し、その表示処理の結果を送信する、
請求項1に記載の施工計画管理システム。
【請求項8】
前記施工計画管理システムは、更に、表示処理部を備え、
前記表示処理部は、前記タスクの分類に応じて識別可能な分類マークを表示処理し、その表示処理の結果を前記ユーザが使用する端末へ送信する、
請求項5に記載の施工計画管理システム。
【請求項9】
前記施工計画管理システムは、更に、表示処理部を備え、
前記表示処理部は、複数の施工計画を一覧で表示処理し、その表示処理の結果を、前記ユーザが使用する端末へ送信する、
請求項1に記載の施工計画管理システム。
【請求項10】
前記施工計画管理システムは、更に、表示処理部を備え、
前記受付部は、前記ユーザから特定の分類ラベルを受け付け、
前記表示処理部は、前記受付部が受け付けた特定の分類ラベルに基づいて、複数の施工計画及び/又は前記タスクを一覧で表示処理し、その表示処理の結果を、前記ユーザが使用する端末へ送信する、
請求項5又は請求項8に記載の施工計画管理システム。
【請求項11】
前記施工計画管理システムは、更に、設定部と、表示処理部と、を備え、
前記受付部は、前記タスクに関する実施状況を受け付け、
前記設定部は、前記実施状況の進捗に基づいたステータスを設定し、該設定されたステータスを前記施工計画及び/又はタスクに対応付けて前記記憶部に格納し、
前記表示処理部は、前記ステータスを、前記進捗に応じて識別可能に表示処理し、その表示処理の結果を前記ユーザが使用する端末へ送信する、
請求項1に記載の施工計画管理システム。
【請求項12】
施工現場の施工計画を管理する施工計画管理システムが実行する施工計画管理方法であって、
前記施工計画管理システムは、記憶部と、受付部と、選択部と、を備え、
前記記憶部が、前記施工現場における特性を示す属性と、工種を含んだ施工作業と、該施工作業に関する複数のタスクを含んだ階層構造からなる雛形と、を対応付けて格納するステップと、
前記受付部が、ユーザが前記施工計画において希望する属性及び工種を受け付けるステップと、
前記選択部が、前記ユーザから受け付けた属性及び工種に対応した複数の雛形のうち、前記ユーザからの選択要求の入力に基づいて、特定の雛形を選択処理し、該特定の雛形と、前記ユーザと、を対応付けて、前記施工作業に関連する複数のユーザが共有可能な施工計画として前記記憶部に格納するステップと、を含む、
施工計画管理方法。
【請求項13】
施工現場の施工計画を管理する施工計画管理プログラムであって、
コンピュータを、記憶部と、受付部と、選択部と、として機能させ、
前記記憶部は、前記施工現場における特性を示す属性と、工種を含んだ施工作業と、該施工作業に関する複数のタスクを含んだ階層構造からなる雛形と、を対応付けて格納し、
前記受付部は、ユーザが前記施工計画において希望する属性及び工種を受け付け、
前記選択部は、前記ユーザから受け付けた属性及び工種に対応した複数の雛形のうち、前記ユーザからの選択要求の入力に基づいて、特定の雛形を選択処理し、該特定の雛形と、前記ユーザと、を対応付けて、前記施工作業に関連する複数のユーザが共有可能な施工計画として前記記憶部に格納する、
施工計画管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工計画管理システム、施工計画管理方法、及び施工計画管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から施工現場において施工計画や作業実施等を管理するための管理システムが開発されている。そして昨今では、これら施工計画や作業実績等の情報を共有するための様々な工夫がなされている。
【0003】
例えば特許文献1には、プラント建設において、テンプレートを活用して、プラント成果物を作成するプラント成果物管理システムが開示されている。本プラント成果物管理システムによれば、新規の建設プロジェクトに対して過去の経験から作成された検査レポートなどのテンプレートを利用することできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2013-514597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の技術は、作業完了後に成果物を報告するためにテンプレートを利用するものである。すなわち、ユーザはあらかじめ用意されたテンプレートによって成果物を記載できるので、個々の作業における成果物の報告を簡略化することができる。
【0006】
しかしながら実際の施工現場では、複数の協力会社が複雑な対応関係のもとで作業を行っており、さらに複数の作業や工程が複雑に対応しているため、単純にテンプレートを利用する特許文献1の技術ではこれら各種作業の施工計画等を適切に管理することは困難である。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的は、施工現場において複雑な対応関係を有する各作業の施工計画等を簡単且つ効果的に管理することができる施工計画管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、施工現場の施工計画を管理する施工計画管理システムであって、
前記施工計画管理システムは、記憶部と、受付部と、選択部と、を備え、
前記記憶部は、前記施工現場における属性及び/又は工種を含んだ施工作業と、該施工作業に関連する複数のタスクを含んだ階層構造からなる雛形と、を対応付けて格納し、
前記受付部は、ユーザが前記施工計画において希望する前記施工作業を受け付け、
前記選択部は、前記ユーザから受け付けた施工作業に対応した複数の雛形のうち、前記ユーザからの選択要求の入力に基づいて、特定の雛形を選択処理し、該特定の雛形と、前記ユーザと、を対応付けて、前記施工作業に関連する複数のユーザが共有可能な施工計画として前記記憶部に格納する。
【0009】
また、本発明は、施工現場の施工計画を管理する施工計画管理システムが実行する施工計画管理方法であって、
前記施工計画管理システムは、記憶部と、受付部と、選択部と、を備え、
前記記憶部が、前記施工現場における属性及び/又は工種を含んだ施工作業と、該施工作業に関する複数のタスクを含んだ階層構造からなる雛形と、を対応付けて格納するステップと、
前記受付部が、ユーザが前記施工計画において希望する前記施工作業を受け付けるステップと、
前記選択部が、前記ユーザから受け付けた施工作業に対応した複数の雛形のうち、前記ユーザからの選択要求の入力に基づいて、特定の雛形を選択処理し、該特定の雛形と、前記ユーザと、を対応付けて、前記施工作業に関連する複数のユーザが共有可能な施工計画として前記記憶部に格納するステップと、を含む。
【0010】
また、本発明は、施工現場の施工計画を管理する施工計画管理プログラムであって、
コンピュータを、記憶部と、受付部と、選択部と、として機能させ、
前記記憶部は、前記施工現場における属性及び/又は工種を含んだ施工作業と、該施工作業に関する複数のタスクを含んだ階層構造からなる雛形と、を対応付けて格納し、
前記受付部は、ユーザが前記施工計画において希望する前記施工作業を受け付け、
前記選択部は、前記ユーザから受け付けた施工作業に対応した複数の雛形のうち、前記ユーザからの選択要求の入力に基づいて、特定の雛形を選択処理し、該特定の雛形と、前記ユーザと、を対応付けて、前記施工作業に関連する複数のユーザが共有可能な施工計画として前記記憶部に格納する。
【0011】
このような構成にすることで、施工現場において複雑な対応関係を有する各作業の施工計画等を簡単且つ効果的に管理することができる。本発明では、階層構造からなる雛形(テンプレート)を利用することで、複雑な対応関係を有する各作業を整理して可視化し、適切な管理を実現することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記施工計画管理システムは、更に、作成処理部を備え、
前記作成処理部は、前記特定の雛形と、前記ユーザからの変更要求の入力と、に基づいて、該ユーザが希望するタスクを含んだ専用雛形を作成処理し、その作成処理の結果を前記ユーザと対応付けて、前記施工計画として前記記憶部に格納する。
【0013】
このような構成にすることで、フォーマットをユーザの希望に応じてカスタマイズして
利用することができる。例えば、複数のタスクを含んだ階層構造からなる雛形をベースとして、ユーザの希望に応じて当該雛形に含まれるタスクを追加、変更、削除して利用することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記受付部は、前記ユーザから、前記施工作業を受け付け、
前記選択部は、前記ユーザからの再利用要求の入力に基づいて、前記専用雛形を再利用可能に選択処理し、該専用雛形と、前記ユーザと、を対応付けて、前記施工計画として前記記憶部に格納する。
【0015】
このような構成にすることで、類似した施工現場においてユーザが過去の現場で作成した専用雛形を再利用することができる。例えばユーザは再利用する専用雛形を、さらにカスタマイズして使用することもできる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記受付部は、ユーザ属性の異なる複数のユーザから、前記タスクに関する実施状況を受け付け、前記施工計画に、前記実施状況を対応付ける。
【0017】
このような構成にすることで、異なるユーザ同士の情報共有が可能となる。例えば、実際に作業を行った作業者が施工計画等に実施状況を入力し、それを管理者や当該施工計画に関連する他の作業者が閲覧等することができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記施工計画管理システムは、更に、設定部を備え、
前記受付部は、前記ユーザから前記タスクを分類するための分類指示を受け付け、
前記設定部は、前記ユーザから受け付けた前記分類指示に基づいて、前記階層構造に対応するタスクに対し、該タスクを分類するための分類ラベルを設定する。
【0019】
このような構成にすることで、所定条件に基づいて複数のタスクに分類ラベルを設定することができる。例えば施工現場における複雑な対応関係を有する作業に対するタスクであっても、簡単且つ迅速にユーザが要求するタスク(複数に分類されたタスクのうち、ユーザが必要とする分類)を検索することができる。
【0020】
本発明の好ましい形態では、前記施工計画管理システムは、更に、表示処理部を備え、
前記階層構造は、項目と、該項目を細分する1以上の細目と、を含み、
前記表示処理部は、前記雛形における項目と、1以上の細目と、を対応付けて表示処理し、その表示処理の結果をユーザが使用する端末へ送信する。
【0021】
このような構成にすることで、例えば大項目、中項目、小項目などのような階層構造による施工計画(特定の雛形)を表示処理することができる。ユーザは、この階層構造の施工計画が表示処理されることによって、整理された閲覧しやすい形式で施工計画を確認することができる。
【0022】
本発明の好ましい形態では、前記表示処理部は、更に、前記細目に含まれる細目内容の一部を表示処理し、その表示処理の結果をユーザが使用する端末へ送信する。
【0023】
このような構成にすることで、ユーザは中項目や小項目などの細目における内容の一部を端末画面で確認できるので、当該端末画面に複数表示されたタスクのうち、必要なタスクを選択し、詳細内容を確認することができる。
【0024】
本発明の好ましい形態では、前記施工計画管理システムは、更に、表示処理部を備え、
前記表示処理部は、前記タスクの分類に応じて識別可能な分類マークを表示処理し、その表示処理の結果を前記ユーザが使用する端末へ送信する。
【0025】
このような構成にすることで、施工計画において分類されたタスクを表示処理することができる。ユーザは簡単に分類ごとのタスクを把握することができる。
【0026】
本発明の好ましい形態では、前記施工計画管理システムは、更に、表示処理部を備え、
前記表示処理部は、複数の施工計画(特定の雛形)を一覧で表示処理し、その表示処理の結果を、前記ユーザが使用する端末へ送信する。
【0027】
このような構成にすることで、ユーザは、自身の属性や権限に応じて必要な雛形(施工計画や個々の作業に関するタスクなど)を確認することができる。例えばユーザは、自分が担当する作業に関する施工計画を一覧で確認することができる。
【0028】
本発明の好ましい形態では、前記受付部は、前記ユーザから特定の分類ラベルを受け付け、
前記表示処理部は、前記受付部が受け付けた特定の分類ラベルに基づいて、複数の施工計画及び/又は前記タスクを一覧で表示処理し、その表示処理の結果を、前記ユーザが使用する端末へ送信する。
【0029】
このような構成にすることで、分類ラベルに基づいたソートや並び替えを行いながらユーザによって雛形から作成された複数の施工計画を一覧表示することができる。例えば当該表示処理によって、表示処理部(または選択部)がユーザからの入力に基づいて特定の分類ラベルを選択することで特定のタスクだけを上にもってくる、これに加えて日付や納期の近い順から並べて表示することもできる。
【0030】
本発明の好ましい形態では、前記施工計画管理システムは、更に、設定部と、表示処理部と、を備え、
前記受付部は、前記タスクに関する実施状況を受け付け、
前記設定部は、前記実施状況の進捗に基づいたステータスを設定し、該設定されたステータスを前記施工計画及び/又はタスクに対応付けて前記記憶部に格納し、
前記表示処理部は、前記ステータスを、前記進捗に応じて識別可能に表示処理し、その表示処理の結果を前記ユーザが使用する端末へ送信する。
【0031】
このような構成にすることで、それぞれのタスクに進捗のステータス(未着手、進行中、完了など)を設定し、進捗に応じて識別可能に表示することができる。また、項目(大項目)や細目(中項目や小項目)ごとにそれぞれステータスを設定することもできる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、階層構造を有する雛形を利用して所定の処理を実行することで、施工計画管理システムに係る新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係るシステム構成のブロック図を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置及び端末のハードウェア構成の一例の概略図を示す。
図3】本発明の一実施形態に係る施工計画管理システムの処理手順のフローチャートを示す。
図4】本発明の一実施形態に係る施工計画管理システムで利用される各情報の一例を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る施工計画管理システムで利用される各情報の一例を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る施工計画管理システムにおいて専用雛形を再利用する場合の流れのフローチャートを示す。
図7】本発明の一実施形態に係る端末における表示処理結果(登録画面)の一例を示す。
図8】本発明の一実施形態に係る端末における表示処理結果(施工計画)の一例を示す。
図9】本発明の一実施形態に係る端末に表示される施工現場ごとの初期画面(ポータル画面)の一例を示す。
図10】本発明の一実施形態に係る端末に表示されるタスクの詳細内容の表示処理結果の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0035】
例えば、本実施形態では施工計画管理システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法(ステップ)、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよい。
【0036】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。
【0037】
本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0038】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0039】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム構成を示すブロック図である。図1に示すように施工計画管理システム1は、情報処理装置10及びデータベースDBを備える。施工計画管理システム1は、ネットワークNWを介して複数の管理端末2(図1では符号2(a)~2(c))、及び作業端末3(符号3(a)~3(c))と通信可能に構成されている。なお、本実施形態において、管理者や作業者等をあわせてユーザと呼び、管理端末2及び作業端末3をあわせてユーザ端末と呼ぶこともある。
【0040】
情報処理装置10は、サーバとして動作し、管理端末2は施工現場における元請業者などが後述する施工計画や各タスクを登録等するために利用する端末であり、作業端末3は協力会社や作業者が各タスクへ作業状況を入力等するために利用する端末である。
【0041】
ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0042】
なお、情報処理装置10として、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、後述の機能構成要素を複数のコンピュータに実現させ、施工計画管理システム1を構成することも可能である。
【0043】
管理端末2は、元請業者(元請業者の管理者や担当者)などが利用する端末である。管理端末2として、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。管理端末2は、管理用の施工計画管理アプリプログラムを記憶し、このアプリプログラムはユーザにおいて施工計画の雛形や各タスクなどを登録し、あるいは施工計画を閲覧等するための機能を有して構成される。
【0044】
作業端末3は、協力会社や作業者などが利用する端末である。作業端末2として、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等を利用することができる。作業端末3は、作業用の施工計画管理アプリプログラムを記憶し、各タスクにおける実施状況等の入力や閲覧等をするための機能を有して構成される。
【0045】
なお、管理端末2及び作業端末3は、それぞれの施工計画管理アプリプログラムを有していない構成にすることもできる。この場合、管理端末2及び作業端末3はウェブブラウザ等を利用して各情報を閲覧、送信等することができる。
【0046】
<ハードウェア構成>
図2(a)は、情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置10は、ハードウェア構成として、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、を備える。
【0047】
制御部11は、CPU等の1又は2以上のプロセッサを含み、本発明に係る施工計画管理プログラム、OS、その他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の動作処理全体を制御する。
【0048】
記憶部12は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、本発明に係る施工計画管理プログラム及び、制御部11がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部11が、記憶部12に記憶されている施工計画管理プログラムに基づき、処理を実行することによって、後述する機能構成が実現される。
【0049】
通信部13は、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報処理装置10を動作させるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0050】
図2(b)は端末90(図1における管理端末2及び作業端末3)のハードウェア構成の一例を示す図である。端末90は、ハードウェア構成として、制御部91と、記憶部92と、通信部93と、入力部94と、出力部95と、を備える。
【0051】
端末90の制御部91は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、端末90の動作処理全体を制御する。端末90の記憶部92は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、上述の施工計画管理アプリプログラム並びに、制御部91がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。
【0052】
端末90の通信部93は、ネットワークとの通信を制御する。端末90の入力部94は、タッチパネル、マウス及びキーボード等であって、ユーザによる操作要求を制御部91に入力する。端末90の出力部95は、ディスプレイ等であって、制御部91の処理の結果等を表示する。
【0053】
<機能構成>
図2(a)に示すように、情報処理装置10は、機能構成として、受付部101、送信部102、選択部103、作成処理部104、設定部105、表示処理部106、を備える。これらは、ソフトウェア(記憶部12に記憶されている)による情報処理が、ハードウェア(制御部11等)によって具体的に実現されたものである。
【0054】
受付部101は、ユーザ端末から各種情報を受け付ける。また、受付部101は、階層構造を有する雛形を登録するための各種情報を受け付ける。本実施形態において、受付部101はユーザが管理予定の施工計画に関連する施工作業を受け付ける。受付部101は、ユーザからの選択要求、雛形の変更要求、再利用要求、などを受け受ける。
【0055】
さらに受付部101は、ユーザ属性の異なる複数のユーザ(例えば実際の作業者など)から、タスクに関する実施状況を受け付け、特定の雛形(ユーザに選択された雛形から作成された施工計画)に、実施状況を対応付ける。受付部101は、ユーザからタスクを分類するための分類指示を受け付ける。
【0056】
送信部102は、ユーザ端末へ各種情報を送信する。本実施形態における送信部102は、ユーザからの要求に基づいて、施工作業に対応する複数の雛形をユーザ端末へ送信する。また、送信部102は、雛形の変更要求や再利用要求など、ユーザからの各種要求の入力に基づいて、それぞれに対応した情報をユーザ端末へ送信する。
【0057】
選択部103は、ユーザからの要求に基づいて施工計画を管理するために必要な情報を選択する。本実施形態における選択部103は、ユーザから受け付けた施工作業に対応した複数の雛形のうち、ユーザからの選択要求の入力に基づいて特定の雛形を選択処理し、この特定の雛形と、ユーザと、を対応付けて施工計画として記憶部12に格納する。
【0058】
また、選択部103は、ユーザからの再利用要求の入力に基づいて、専用雛形を再利用可能に選択処理し、該専用雛形と、ユーザと、を対応付けて施工計画として前記記憶部に格納する。
【0059】
作成処理部104は、施工現場において利用可能な雛形を作成処理する。本実施形態における作成処理部104は、特定の雛形と、ユーザからの変更要求の入力と、に基づいて、ユーザが希望するタスクを含んだ専用雛形を作成処理し、その作成処理の結果をユーザと対応付けて施工計画として記憶部12に格納する。
【0060】
設定部105は、各タスクにラベル等を設定する。本実施形態における設定部105は、ユーザから受け付けた分類指示に基づいて、階層構造に対応するタスクに対し、該タスクを分類するための分類ラベルを設定する。設定部105は、実施状況の進捗に基づいたステータスを設定する。
【0061】
表示処理部106は、管理端末2及び作業端末3の表示画面等を表示処理する。本実施形態における表示処理部106は、雛形における項目(例えば大項目)と、1以上の細目(例えば中項目や小項目)と、を対応付けて表示処理し、その表示処理の結果をユーザが使用する端末へ送信する。表示処理部106は、更に、細目に含まれる細目内容の一部を表示処理し、その表示処理の結果をユーザが使用する端末へ送信することができる。
【0062】
表示処理部106は、タスクの分類に応じて識別可能な分類マークを表示処理し、あるいは複数の施工計画(特定の雛形)を一覧で表示処理することができる。さらに表示処理部106は、受付部101が受け付けた特定の分類ラベルに基づいて、複数の施工計画及び/又はタスクを一覧で表示処理し、その表示処理の結果を、ユーザが使用する端末へ送信することもできる。表示処理部106は、ステータスを、進捗に応じて識別可能に表示処理し、その表示処理の結果をユーザ端末へ送信する。
【0063】
<データベースDB>
図1のデータベースDBは、作業者や管理者などのユーザに関するユーザ情報、元請会社や協力会社などの会社情報、施工現場に関する施工現場情報、施工作業に関する作業情報、施工現場における施工体制に関する施工体制情報、タスクや各項目等に関する情報、雛形情報、施工計画情報(利用情報)、専用雛形情報、再利用雛形情報、その他施工計画の管理に必要な情報などを格納する。これらの一部又は全部は、記憶部12等に格納されてもよいし、これらの一部が別のデータベース等に格納されてもよい。
【0064】
以下、図3~10を参照して、施工計画管理システム1の説明及び各機能構成要素による処理内容について説明する。
【0065】
<施工計画管理システムの概要>
本実施形態に係る施工計画管理システム1は、施工現場における施工計画を簡単且つ適切に管理するためのシステムである。本発明に係る施工計画管理システム1は、複数のタスクを含んだ階層構造からなる雛形(テンプレートとも呼ぶ)をあらかじめ複数用意し、この特徴的な雛形をユーザが選択的に(あるいはユーザの希望に応じてカスタマイズして)利用することで、複雑な対応関係を有する施工現場の施工計画や作業を適切に管理することができる。
【0066】
また、施工計画管理システム1で管理される施工計画は、それ自体が従来にはない新規な情報である。例えば従来は、ある現場を任された元請業者の担当者がその現場の工程などを管理する過程において、当該担当者の上司などに現場経験によるノウハウや重点ポイントを確認しながら現場作業者に実施をしてもらう最終的な施工計画を作成していたところ、本施工計画管理システム1では、このようなノウハウ等の従来は共有が困難であった情報を適切に管理し共有可能にしたものである。以下、施工計画管理システム1における処理の流れについて詳しく説明する。
【0067】
なお、本明細書では、後述するいずれの雛形から作成された施工計画であるかを分かりやすく説明するために、作成された施工計画(施工計画情報)のことを当該施工計画の作成元となった雛形(特定の雛形、専用雛形等)の名称で表現することもある。また、本明細書に係る施工計画は、施工現場の作業タスクや工程等、その他現場作業を進めるために必要な情報を管理するためのデータを意味するものである(例外的に施工計画を、単に施工現場における今後の施工の計画として表現することもある)。
【0068】
本明細書においてタスクという表現は、必ずしも作業が必要なものではなく、例えば作業者による作業はないが、作業内容を周知するための情報等も含まれるものである。また、階層構造とは、互いに対応する複数のタスクが親子関係(例えば施工方法(上位概念)とその具体的なやり方(下位概念)等)で構成されるツリー構造の繋がりがある構造などである。
【0069】
<各種情報の登録>
図3には、本発明の一実施形態に係る施工計画管理システムにおける処理手順のフローチャートを示す。S201において、元請会社や協力会社(及びこれらに属する個人)などのユーザは、事前にユーザ情報を登録する。情報処理装置10の受付部101は、施工計画の管理に利用される各種情報を登録する。なお、本実施形態におけるユーザには、元請会社(元請業者)や協力会社(請負業者)に加え、元請会社の現場担当者や協力会社の作業者など(施工作業に関連する人)も含まれる。
【0070】
図4(a)に示すように、ユーザ情報は、ユーザの氏名、連絡先、職務に関する情報、保有する資格に関する情報、顔画像、ユーザ特定情報、登録日、ユーザが属する会社(元請会社や請負業者)に関する情報(後述する会社ID)、などを含んでユーザIDで管理される。なお、ユーザには、現場監督や現場管理者の他、例えば実際に施工現場に訪れることはないが現場状況を管理等する責任者(元請会社の本社に属する責任者)なども含まれる。
【0071】
本実施形態における施工計画管理システム1では、ユーザ情報に加えて、ユーザが属する元請会社や協力会社などに関する会社情報、それぞれの施工現場に関する施工現場情報、及び施工現場における作業に関する施工作業情報、施工体制情報、についても事前に登録される。
【0072】
図4(b)に示すように、会社情報は、A組やB建設などの会社名、会社の連絡先、会社住所、元請会社か協力会社かを示す受注形態、対応可能な職務、などを含んで会社IDで管理される。この会社情報には、例えば一人親方などに関する情報を含めることもできる。
【0073】
また、図4(c)に示すように、施工現場情報は、a施工現場やb施工現場などの現場名、SKパークやJ橋などの建造物名称、大規模娯楽施設や高層ビルなどの施工現場の属性、現場住所、施工期間、などを含んで施工現場IDで管理される。
【0074】
さらに、図4(d)に示すように、施工作業情報は、「地下(基礎)躯体工事/RC順打ち」や「建築工事」などの工事種別、鉄筋やコンクリートなどの工種、などを含んで作業IDで管理される。なお、本明細書では、工種や施工現場の属性など(及びある属性における工種、高層ビルにおける鉄筋作業など)を含めて施工作業と表現する。
【0075】
図4(e)に示すように、施工体制情報は、現場ID、作業ID、会社ID、ユーザID、従属関係、親会社を示す情報(会社ID)、職務に関する情報、などを含んで施工体制IDで管理される。本実施形態では、この施工体制情報に含まれる会社同士の従属関係を、施工計画の管理に利用することができる。
【0076】
<新規雛形の登録>
図3のS202において、情報処理装置10の受付部101は、元請会社の担当者から管理端末2を介して新規雛形の作成要求を受け付け、新規雛形の登録をする(S203)。なお、本実施形態において雛形を登録できるのは元請会社に属する担当者(及び管理者等)に限られるが、施工現場における実際の作業者が作業端末3を介して新規雛形を登録できる構成にしても良い。このように作業者が雛形を登録できる構成にすることで、実際の入力作業の経験に基づいて、より良い雛形を作成(登録)することができる。
【0077】
受付部101は、施工計画の雛形に関する情報を管理端末2から受け付け、この情報に基づいて複数の雛形を記憶部12に格納する。この雛形は、階層構造を有する複数のタスクを含んで構成されている。
【0078】
例えば雛形は、大項目(施工方法と前提事項)、中項目(施工方法の安全-仮設計画確認)、小項目(総合仮設計画確認)、などのように、それぞれのタスクが作業や工程等において関連する階層構造を有している(後述する図8)。この雛形は、工種(鉄筋やコンクリート)や属性(高層ビルや病院など、施工現場の特性による属性)に紐づけられている。詳細は後述するが、ユーザはこの工種や属性(及び施工現場)に基づいて施工計画を簡単に作成するための雛形を適宜選択することができる。
【0079】
図4(f)に示すように、タスク情報は、大項目ID、中項目ID、小項目ID、などを含んで、タスクIDで管理される。本実施形態では、大項目ID、中項目ID、小項目IDそれぞれをタスクと表現している。タスクIDは雛形に含まれ、すなわち、タスクID(各項目の組み合わせ)によって階層構造からなる雛形が構成される。
【0080】
本実施形態では、1つの雛形(施工計画)において大項目が複数あり、その大項目ごとにそれぞれ中項目が複数あり、さらにその中項目ごとにそれぞれ複数の小項目を有する構成にすることができる(図4(f)はタスク情報を説明するためのイメージ)。
【0081】
例えば図4(g)に小項目における内容の一例を示すように、小項目名(項目や細目ごとの名称)、詳細内容、完了期限、ステータス、保存先やコメント(コメントの保存先)に関する情報、などを含んで小項目IDで管理される。
【0082】
本実施形態では、担当者や作業者からコメントを入力してもらい、そのコメントを保存することができるが、このコメントは項目ごとに管理することもできるし、あるいはコメントをひとまとめにして管理することもできる(大項目のコメントも小項目のコメントもコメント情報として1つのテーブルに纏めて管理することもできる)。
【0083】
なお、本明細書では、大項目のことを「項目」と表現し、その大項目を細分する複数の中項目や小項目のことを細目と表現することもある。本実施形態では、大項目に関連する詳細なタスクを中項目とし、その中項目に関連するさらに詳細なタスクを小項目としている。例えば、大項目を「施工方法」とした場合、中項目を「壁ボードの取り付け」、小項目を「施工対象ビルにおける2階の壁ボードの取り付け」などとすることができる。
【0084】
本実施形態では、施工計画を管理しやすいように予め工種や現場の属性ごとに雛形を登録している。この雛形は、例えばユーザの過去の経験や汎用性を考慮して作成することができる。
【0085】
図5(a)に示すように雛形情報は、雛形名、現場ID、タスクID、施工体制ID、などの情報を含んで雛形IDで管理される。この構成では、施工体制の情報を利用して複雑な従属関係を有する現場において施工計画を適切に管理することができる。
【0086】
なお、本実施形態では雛形情報に施工体制IDを含んで構成しているが、雛形情報に施工体制IDを含まない構成にすることもできる。この場合、ユーザは、施工現場の属性(現場ID)や工種(作業ID)などによって必要な雛形を特定(選択)することができる。
【0087】
<施工計画の作成>
図3のS204において、受付部101は、ユーザが使用する管理端末2から、施工計画に関連する施工作業の情報を受け付ける。例えば、元請業者の担当者から鉄筋やコンクリートなどの工種に関する情報や、施工現場における属性に関する情報を受け付ける。この属性は、大規模娯楽施設や中規模橋梁などの施工現場に特有の作業やルールごとに分類されたものである。
【0088】
例えば大規模娯楽施設では区画ごとの検査等が生じる一方、中規模橋梁の現場ではそのような検査が必要ない等(別の検査等が生じる等)、現場の種別ごとに作業内容や特性が異なることが想定され、これら異なる特性を分類したものが施工現場における属性である。
【0089】
本実施形態における属性は、高層ビルでは高所作業に関するルールや特例があり、病院では医療機器のノイズに関する測定(またはノイズの遮蔽等)が必要である等、現場ごとに異なる特性を分類したものである。受付部101は、高層ビル建設の現場(属性)における鉄筋作業のように工種と属性とを組み合わせた情報を管理端末2から受け付けることもできる。例えば、ある特定の施工現場の施工計画を作成する場合、受付部101が管理端末2からその施工現場に対応する属性やユーザが施工計画を作成予定の工種を受け付けることができる。
【0090】
S205において、情報処理装置10の送信部102は、階層構造から成る複数の雛形をユーザに提示する。ユーザはこの複数の雛形の中から、施工計画を作成するために利用する雛形を選択する。具体的には、S206において受付部101は、ユーザ端末からユーザの選択要求を受け付ける。選択部103は、S206においてユーザから受け付けた選択要求の入力に基づいて、特定の雛形を選択処理し、この特定の雛形と、ユーザと、を対応付けて施工計画として記憶部12に格納する。
【0091】
この施工計画は、施工計画情報として管理される。施工計画情報は図5(b)に示すように、雛形ID、雛形名、管理担当、作業担当、担当会社、タスクID、完了期限、ステータスなどを含んで利用IDで管理される。
【0092】
<雛形の変更(カスタマイズ)>
次にユーザによって選択された雛形(ユーザによって作成された施工計画)のカスタマイズ機能の流れについて説明する。図3のS207において、受付部101はユーザからの雛形の変更要求を確認する。
【0093】
受付部101がユーザから変更要求を受け付けた場合(S208)、作成処理部104は、変更要求に基づいてユーザが希望するタスクを含んだ専用雛形を作成処理し(S209)、すなわち、元の雛形に含まれるタスクを変更し、あるいはタスクを追加したりして専用雛形を作成処理し、この作成処理された専用雛形(作成処理の結果)を施工計画として記憶部12へ登録(格納)する(S210)。ユーザはこのカスタマイズされた専用雛形を施工計画として利用することができる。
【0094】
この専用雛形は、上述した雛形とは別に管理される。図5(c)に示すように専用雛形情報は、利用ID、雛形名(施工計画名)、大項目ID、中項目ID、小項目ID、などの複数のタスクを含んで専用IDで管理される。
【0095】
なお、本実施形態では、S208において受付部101がユーザから変更要求を受け付けていない場合、ユーザがS206において選択した雛形を施工計画としてそのまま利用することになる。本実施形態における送信部102は、雛形の選択処理が完了した段階で、ユーザ(ユーザ端末)に対して雛形の変更要求を促すコメントを送信することもできる。
<ラベルの設定>
【0096】
次にS211において、専用雛形(またはユーザに選択された雛形そのもの)に分類ラベルを設定する。受付部101は、ユーザからタスクを分類するための分類指示を受け付け、設定部105は、ユーザから受け付けた分類指示に基づいて、階層構造ごとの複数のタスクに対し、これらのタスクを分類するための分類ラベルを設定する。
【0097】
本実施形態における分類ラベルには、「協力会社と協議」、「元請で決定する」、「設計図で確認」などを設けることができる。例えばこの分類ラベルは、ラベルに応じて色分け(分類マークとも呼ぶ)するなどのようにユーザが視認可能に表示させることができる。
【0098】
なお、図3ではラベルなどの設定を行っているが、必ずしも施工計画にラベルなどを設定する必要はなく、ユーザが適宜選択すれば良い。また、ラベルなどの設定は、S206において雛形の選択要求を受け付けると同時にユーザが行うようにすることもできる。
【0099】
<ステータスの設定>
設定部105は、ステータスの設定も行うことができる。設定部105は、ユーザからの入力に基づいて、未着手、進行中、完了などのステータスをタスクごとに設定することができる。そしてS212において、全ての設定等が完了した後に施工計画の作成が完了する。ラベルやステータスなどが設定された施工計画は記憶部12へ格納される。
【0100】
なお、ステータスについても必ずしも設定する必要はなく、ユーザが適宜選択できる構成であることが好ましい。本実施形態では、ステータスも上記分類ラベルと同様に、表示処理部によってステータスに応じて色分けや強調表示するなどしてユーザが視認可能に表示させることができる。
【0101】
また、本実施形態において設定部105は、担当者(ユーザ)に加えて、専用雛形に作業者や作業者の属する会社などの情報を設定することができる。この紐づけられた作業者は、専用雛形(施工計画)を編集等することができる。例えば、実際の作業者は、作業完了後、あるいは作業中における作業状況をこの専用雛形に入力することができる。また、設定された作業者は、専用雛形において元請会社の担当者とコメントのやりとりを行うことができる。
【0102】
<専用雛形の再利用>
次に専用雛形の再利用について説明する。図6には、本実施形態において専用雛形を再利用する場合の流れのフローチャートを示す。
【0103】
S301において受付部101は、過去に作成した専用雛形(図5(c))の再利用要求を管理端末2から受け付け、複数の専用雛形を提示する(S302)。そしてS303において受付部101は、再利用する専用雛形の選択要求を受け付ける。このように本実施形態では、ユーザが施工現場の特性に応じて作成した(カスタマイズして作成した)専用雛形を、特徴が類似する他の施工現場でも再利用することできる。その結果、ユーザの利便性を更に向上させることができる。
【0104】
例えば、大規模病院の鉄筋作業に関する専用雛形を過去に作成していた場合、その後に作業予定となる大規模病院の施工現場にこの専用雛形を再利用することができる。その結果、既存の雛形では利用困難である特徴的な施工現場においても、特徴的な階層構造を有する専用雛形を利用して(過去の経験値を専用雛形として蓄積して)、複雑な対応関係を有する各作業の施工計画を簡単に作成(管理)することできる。
【0105】
図6に示すように、受付部101が再利用する専用雛形の選択要求を受け付けると、図3で説明した流れと同様に、すなわち、S304~S310までの一連の流れによって専用雛形を再利用した施工計画の作成が完了する。
【0106】
このように本実施形態では、複数のタスクを含んだ階層構造から成る雛形をあらかじめ用意し、一連の流れを経ることで、複雑な対応関係を有する施工現場の施工計画や作業を適切に管理することができる。
【0107】
<表示処理>
図7は、本発明の一実施形態に係る端末における表示処理結果の一例を示す。図7は複数のタスクを含んだ階層構造を有する雛形を登録するための設定画面の一例である。図7は左右上下方向にスクロール可能に表示されている(表示画面W10の表示は設定画面の一部である)。
【0108】
図7では、施工計画のテンプレートを重点項目として登録している。この重点項目は、特に利用頻度の高い、あるいはすでに特定の施工現場において利用予定のある作業内容が示されたものである。重点項目は必要に応じて設定すれば良く、本発明を実施するために必ずしも必要なものではない。
【0109】
同図に示すように表示画面W10には、工種、テンプレート名、テンプレートの説明などを登録する画面が表示される。これに加えて計画期間や施工日などの登録画面も表示される。図7に示すように工種やテンプレート名はユーザによるスクロール操作によって所定の選択肢の中から適宜選択することができる。図7では、「施工方法と前提事項」や「具体計画・素案」などの大項目W12、「安全-仮設計画確認」などの中項目W14、「総合仮設計画確認」などの小項目W16が端末の表示画面W10に表示されている。
【0110】
図7では、大項目が複数表示され、その大項目に紐づいた中項目が複数表示され、それぞれの中項目に紐づいた複数の小項目が表示されている。例えば表示処理部106は、大項目を左側から右側へ作業の時系列に並べて表示処理することができる。
【0111】
図8には、本実施形態に係る施工計画(特定の雛形、または専用雛形)の表示処理結果の一例を示す。図8は、左右上下方向にスクロール可能に表示されている(図7と同様に、表示画面W10の表示は施工計画の一部である)。同図に示すように、複数のタスクが大項目W12、中項目W14、小項目W16のような階層構造で表示処理される。階層構造は、項目と、該項目を細分する1以上の細目と、を含む。
【0112】
表示処理部106は、雛形(テンプレート)における項目と、1以上の細目と、を対応付けて表示処理し、その表示処理の結果をユーザが使用する端末へ送信する。例えば本実施形態では、小項目や中項目に含まれる内容(細目内容)の一部をユーザが視認可能に表示処理し、その表示処理の結果をユーザが使用する端末へ送信することができる。
【0113】
また、図8に示すように表示処理部106は、階層構造を有する複数のタスクと共に、施工期限までの日数や着工日までの日数をあわせて表示処理することもできる。さらに表示処理部106は、タスクごとの進捗状況を「完了」や「進行中」などのステータスとして表示処理することもできる。また、表示処理部106は、上述したようにタスクを分類するための分類マークを、それぞれのラベルごとにユーザが区別可能に表示処理することもでき、さらに各タスクにおける未読のコメント数を表示処理することもできる。
【0114】
図9には、ユーザ端末の表示画面W10に表示される施工現場ごとの初期画面(ポータル画面)の一例を示す。同図に示すように表示画面W10には、工種ごとに整理された情報が表示される。
【0115】
例えば図8における鉄筋では、未読コメントが14件、未着手のタスクが16件、進行中のタスクが13件、完了済みのタスクが1件であることが分かる。またコンクリートでは、未読コメントが4件、未着手のタスクが10件、進行中のタスクが7件、完了済みのタスクが23件であることが分かる。すなわち本実施形態では、施工現場ごとのポータル画面を確認することで、当該施工現場における全体の状況をユーザが簡単且つ正確に把握することができる。
【0116】
図10は、ユーザ端末の表示画面W10に表示されるタスクの詳細内容(細目内容)の表示処理結果の一例を示す。例えばユーザの選択操作(タッチ操作など)によって図7図8に例示したような小項目W16のタスクが選択されることで当該小項目W16の詳細内容が表示処理される。表示処理部106は、ユーザからのタスク選択要求に基づいて、細目内容を表示処理する。
【0117】
例えば図10に示すように、細目内容には、当該タスクの名称の他、鉄筋などの工種、階層構造において当該タスクの最上位に位置する「施工方針と前提事項」などの大項目、当該タスクの上位に位置する「安全-仮設計画確認」などの中項目などが表示される。また、詳細内容には、進行中などのステータス、施工期限(及び期限までの日数)、着工日(及び着工日までの日数)、担当者、更新日時、なども含んで表示される。
【0118】
さらに細目内容には、施工現場において従来であれば共有が困難であった施工計画を作成する際のポイントや注意点なども表示される。また、ユーザ同士が情報共有を行うためのコメントと共に、担当者メモを残して表示することもできるので、担当者とその上司とが密に情報共有を行うことができる。本実施形態では、ノウハウ等の従来は共有が困難であった情報を適切に管理し共有可能にすることができる。
【0119】
以上のように本発明に係る施工計画管理システム1によれば、複数のタスクを含んだ階層構造からなる雛形を利用して所定の処理を実行することで、施工現場において複雑な対応関係を有する各作業の施工計画等を簡単且つ効果的に管理することができる。
【0120】
また、本実施形態では施工現場における施工計画の管理について説明したが、施工計画管理システム1を施工現場以外の他の分野で利用する場合にも本発明と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0121】
1 施工計画管理システム
2 管理端末
3 作業端末
10 情報処理装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
90 端末(管理端末2、作業端末3)
91 制御部
92 記憶部
93 通信部
94 入力部
95 出力部
101 受付部
102 送信部
103 選択部
104 作成処理部
105 設定部
106 表示処理部
NW ネットワーク
W10 表示画面
W12 大項目
W14 中項目
W16 小項目
【要約】
【課題】 本発明は、施工計画管理システム、施工計画管理方法、施工計画管理プログラムに関する。
【解決手段】 施工計画管理システム1は、記憶部、受付部、選択部、を備える。
記憶部は、施工現場における属性及び/又は工種を含んだ施工作業と、該施工作業に関連する複数のタスクを含んだ階層構造からなる雛形と、を対応付けて格納する。
受付部は、ユーザが施工計画において希望する施工作業を受け付け、選択部は、ユーザから受け付けた施工作業に対応した複数の雛形のうち、ユーザからの選択要求の入力に基づいて、特定の雛形を選択処理し、該特定の雛形と、前記ユーザと、を対応付けて、施工作業に関連する複数のユーザが共有可能な施工計画として記憶部に格納する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10