(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】光化学反応処理方法
(51)【国際特許分類】
A61L 9/18 20060101AFI20250107BHJP
C02F 1/30 20230101ALI20250107BHJP
【FI】
A61L9/18
C02F1/30
(21)【出願番号】P 2020186249
(22)【出願日】2020-11-09
【審査請求日】2021-11-10
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】322014451
【氏名又は名称】MFオプテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中原 秀起
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】増山 淳子
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-036179(JP,A)
【文献】特表2010-513737(JP,A)
【文献】特開2009-183802(JP,A)
【文献】特開2019-013901(JP,A)
【文献】特開2005-345518(JP,A)
【文献】特開2019-191393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L9/00-9/22
B01D53/34-53/96
C02F1/20-1/26,1/30-1/38,1/70-1/78
G02B6/00,6/02,6/245-6/25,6/46-6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側方に光を発する光拡散部分を有する光拡散ファイバを、生物系光化学反応媒体を含む海水内に、二次元的又は三次元的な拡がりを有して配索されるように配置し、前記光拡散ファイバの前記光拡散部分から光を発して前記生物系光化学反応媒体を光化学反応させる光化学反応処理方法であって、
前記光拡散ファイバは、コアと、クラッドと、被覆層とを備え、前記光拡散部分では、前記コ
ア及び前記クラッ
ドのうちの少なくとも1つが光散乱体を分散して含み、
前記海水内への電気配線を設けない光化学反応処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光化学反応処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光化学反応により殺菌等を行うことが知られている。例えば、特許文献1には、洗濯機の水槽の内面に紫外線を照射して光化学反応によりカビ等の細菌の増殖を防止することが開示されている。特許文献2には、手術台の表面を光透過性媒体で形成するとともに、その下の通路に光拡散ファイバを設け、光拡散ファイバから光を出射して光化学反応により手術台の表面を殺菌することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-73989号公報
【文献】特開2020-72862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
酸化チタンや酸化タングステン等の光触媒を含んだフィルタに、ランプやLED等の光源から光を照射すると、光触媒反応により活性酸素が生成され、それによってフィルタに捕獲されたウィルス等の不活性化や殺菌の処理が行われる。このとき、通常、光源には点光源が用いられるが、フィルタの面積を大きくするためには、多数の点光源を縦横に配列させる必要がある。
【0005】
しかしながら、この場合、フィルタの面積に対する点光源や配線の占有面積が大きくなるので、空気や水等の流体が透過する際の抵抗を低く抑えることが困難である。そのためフィルタの大面積化を図っても、単位時間及び単位面積当たりの殺菌等の処理能力の向上を期待することができないという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、生物系光化学反応媒体の光化学反応を効率的に生じさせることができる光化学反応処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、側方に光を発する光拡散部分を有する光拡散ファイバを、生物系光化学反応媒体を含む海水内に、二次元的又は三次元的な拡がりを有して配索されるように配置し、前記光拡散ファイバの前記光拡散部分から光を発して前記生物系光化学反応媒体を光化学反応させる光化学反応処理方法であって、前記光拡散ファイバは、コアと、クラッドと、被覆層とを備え、前記光拡散部分では、前記コア及び前記クラッドのうちの少なくとも1つが光散乱体を分散して含み、前記海水内への電気配線を設けない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、占有面積の小さい光拡散ファイバの光拡散部分の長さ方向に沿って光化学反応媒体が設けられているので、生物系光化学反応媒体の光化学反応を効率的に生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】実施形態1に係るフィルタの斜視図である。
【
図1B】実施形態1に係るフィルタの断面拡大図である。
【
図3】実施形態1に係るフィルタの変形例の断面図である。
【
図4A】実施形態1に係るフィルタの別の変形例の平面図である。
【
図4B】実施形態1に係るフィルタの他の別の変形例の平面図である。
【
図5A】実施形態2に係る光化学反応材の横断面図である。
【
図5B】実施形態2に係る光化学反応材の縦断面図である。
【
図6A】実施形態2に係る光化学反応材で構成されるフィルタの断面拡大図である。
【
図6B】実施形態2に係る光化学反応材で構成される別のフィルタの断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について詳細に説明する。
【0012】
(実施形態1)
図1A及びBは、実施形態1に係るフィルタ100を示す。このフィルタ100は、例えば、エアコン、空気清浄機、浄水器等において、空気等の気体や水等の液体といった流体F内に設けられて用いられる。
【0013】
実施形態1に係るフィルタ100は、基材となるフィルタ本体110と、光拡散ファイバ120とを備える。
【0014】
フィルタ本体110としては、例えば、流体F(気体、液体)の透過性を有する織布、編布、不織布等の繊維シートが挙げられる。フィルタ本体110は、光化学反応媒体を有する。
【0015】
フィルタ本体110を形成する繊維材料としては、無機繊維及び有機繊維が挙げられる。無機繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、セラミックス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維等が挙げられる。金属繊維としては、例えば、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維等が挙げられる。有機繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、アラミド繊維、天然繊維等が挙げられる。天然繊維としては、例えば、綿や麻などのセルロース系繊維、羊毛等が挙げられる。フィルタ本体110を形成する繊維材料は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0016】
光化学反応媒体としては、例えば、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、金属リン化物等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、酸化チタン、酸化タングステン、酸化鉄、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化銅(I)、酸化銅(II)、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、ニオブ酸ストロンチウム、バナジン酸ビスマス等が挙げられる。金属硫化物としては、例えば、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化モリブデン等が挙げられる。金属窒化物としては、例えば、窒化ガリウム、窒化炭素等が挙げられる。金属リン化物としては、例えば、リン化インジウム、リン化ガリウム等が挙げられる。光化学反応媒体としては、これらの物質に窒素、硫黄、リン、炭素、フッ素等のアニオンがドープされたもの、これらの物質にロジウム、クロム等のカチオンがドープされたものも挙げられる。光化学反応媒体は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましく、可視レーザ光により光化学反応を生じやすいという観点から、酸化タングステンを含むことがより好ましい。
【0017】
光化学反応媒体は、フィルタ本体110を形成する繊維材料に混入されていてもよい。光化学反応媒体は、フィルタ本体110を形成する繊維材料の表面に担持されていてもよい。光化学反応媒体は、フィルタ本体110を形成する繊維材料自体を構成していてもよい。
【0018】
図2A及びBは、光拡散ファイバ120を示す。光拡散ファイバ120は、コア121と、クラッド122と、被覆層123とを備える。光拡散ファイバ120は、その中間部に、側方に光を発するための所定長の光拡散部分120aを有する。
【0019】
光拡散部分120aでは、コア121、クラッド122、及び被覆層123のうちの少なくとも1つが光散乱体124を分散して含む。光拡散部分120aでは、
図2Bに示すように、クラッド122が光散乱体124を含むことが好ましいが、コア121又は被覆層123が光散乱体124を含んでいてもよい。また、コア121及びクラッド122、クラッド122及び被覆層123、又は、コア121、クラッド122、及び被覆層123のように複数の層が光散乱体124を含んでいてもよい。複数の層が光散乱体124を含む場合、それらの層が含む光散乱体124は、同一であっても、異なっていても、どちらでもよい。
【0020】
コア121は、ファイバ中心に1個設けられている。コア121の直径は、例えば50μm以上1mm以下である。なお、コア121は、偏心して設けられていてもよく、また、複数設けられていてもよい。コア121は、相対的に屈折率が高い材料で形成されている。コア121の形成材料としては、例えば、石英などのガラス材料、アクリル系樹脂やフッ素系樹脂などの有機材料等が挙げられる。コア121は、ゲルマニウム等の屈折率を高めるドーパントがドープされて屈折率調整が図られていてもよい。
【0021】
クラッド122は、コア121を被覆するように設けられている。クラッド122の外径は、例えば125μm以上5mm以下である。クラッド122は、相対的に屈折率が低い材料で形成されている。クラッド122の形成材料としては、例えば、シリコーン系樹脂やアクリル系樹脂やフッ素系樹脂などの有機材料、石英などのガラス材料等が挙げられる。クラッド122は、フッ素等の屈折率を下げるドーパントがドープされて屈折率調整が図られていてもよい。
【0022】
クラッド122は、光拡散部分120aに光散乱体124を含む場合、有機材料で形成されていることが好ましく、シリコーン系樹脂で形成されていることがより好ましい。シリコーン系樹脂製のクラッド122は、光散乱体124との親和性が高い。そのため、光散乱体124が長さ方向にも厚さ方向にも均一に分散して含まれることとなるので、クラッド122全体で均一な光散乱を得ることができる。また、シリコーン系樹脂製のクラッド122に均一に分散した光散乱体124は、コア121とクラッド122との境界面に、コア伝搬光をクラッド伝搬光にモード変換するための構造的で且つ屈折率差を生じる光学的な凹凸を長さ方向に沿って均一に形成する。そのため、コア伝搬光のクラッド伝搬光へのモード変換が長さ方向に沿って均一に起こるので、長さ方向に沿った側面発光の明暗ムラを抑制することができる。さらに、シリコーン系樹脂製のクラッド122は、放熱性が高いので、光散乱体124が耐熱性の低い有機材料の場合、その劣化を抑制することができる。加えて、シリコーン系樹脂製のクラッド122は、コア121がガラス材料で形成されている場合、コア121との高い密着性を得ることができる。このシリコーン系樹脂は、量産性及び再現性の観点から、熱硬化型又は紫外線硬化型であることが好ましい。
【0023】
被覆層123は、クラッド122を被覆するように設けられている。被覆層123の外径、すなわち、光拡散ファイバ120の外径は、例えば200μm以上10mm以下である。被覆層123の形成材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等の光透過性の樹脂が挙げられる。
【0024】
光散乱体124としては、例えば、粉状のポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)やポリスチレン樹脂(PS)などの粉状有機材料、粉状の光透過性のセラミックス(TiO2)や金属(AlやAu)や石英などの粉状無機材料、気泡等が挙げられる。光散乱体124は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましい。光散乱体124の平均粒径は、例えば1μm以上10μm以下である。光散乱体124の平均粒径は、例えば、コールター法を用いた精密粒度分布測定装置、気泡に関してX線観察や各種顕微鏡観察により計測される。各層における光散乱体124の含有量は、例えば0.01質量%以上10質量%以下である。
【0025】
なお、光拡散ファイバ120は、クラッド122と被覆層123との間に、クラッド122を被覆するように設けられたサポート層を備えていてもよく、そのサポート層が光散乱体124を分散して含んでいてもよい。
【0026】
光拡散ファイバ120は、母材を線引きした後に樹脂で被覆することにより製造することができる。このとき、母材のコア121を形成する部分及びクラッド122を形成する部分、並びに被覆層123を形成する樹脂材料に、予め光散乱体124を含有させておけばよい。
【0027】
光拡散ファイバ120は、フィルタ本体110に、光拡散部分120aが、フィルタ本体110内の糸間又は繊維間を縫うとともに、フィルタ本体110の平面視において、九十九折り状に繰り返し往復するように配索されて取り付けられ、それによりフィルタ本体110内に二次元的な発光面を形成している。これにより、光拡散ファイバ120の光拡散部分120aの長さ方向に沿って光化学反応媒体が設けられた光化学反応処理構造が構成されている。光拡散ファイバ120の両端部分のそれぞれは、フィルタ本体110の外部に引き出されている。
【0028】
実施形態1に係るフィルタ100は、空気等の気体や水等の液体といった流体F内に設けられる。このとき、フィルタ100は、複数枚が積層等されて用いられてもよい。そして、光拡散ファイバ120の一端に光源LDが接続される。光源LDとしては、例えば、半導体レーザ、LED等が挙げられる。光源LDは、光拡散ファイバ120への接続が容易であるという観点から、半導体レーザであることが好ましい。光源LDが発する光の波長は、光化学反応媒体による光化学反応が有効に起こるものであって、例えば300nm以上900nm以下である。光源LDの出力パワーは、光拡散ファイバ120の長さや光化学反応にもよるが、例えば数mW乃至数10Wである。なお、フィルタ100への流体Fの接触を促進させる観点からは、流体Fを一方向又は双方向に輸送するための送風機やポンプが設けられていてもよい。
【0029】
実施形態1に係るフィルタ100は、光源LDから光が出力されると、その光を光拡散ファイバ120が伝送する。光拡散ファイバ120は、その伝送する光を、光拡散部分120aにおいて、コア121、クラッド122、及び被覆層123のうちの少なくとも1つに含まれた光散乱体124により散乱させて側方に発する。フィルタ本体110は、光拡散ファイバ120の光拡散部分120aからの光が照射され、その光によりフィルタ本体110が有する光化学反応媒体が光化学反応して例えば活性酸素等を生成し、その滅菌、殺菌、消毒等の作用を流体Fに対して及ぼす。
【0030】
以上の構成の実施形態1に係るフィルタ100によれば、占有面積の小さい光拡散ファイバ120の光拡散部分120aの長さ方向に沿って光化学反応媒体が設けられているので、流体Fが透過できる開口面積を広く確保でき、そのため光化学反応媒体の光化学反応を効率的に生じさせることができる。そして、その結果、流体Fに対して光化学反応の作用を効率的に及ぼすことができる。また、流体Fが透過する際の抵抗を低く抑えることができるので、単位時間及び単位面積当たりの高い処理能力を得ることができる。したがって、フィルタ100を大面積化して用いた場合には、それ相応の効果を得ることができる。さらに、流体Fに対して光化学反応の作用を効率的に及ぼすことができるので、省電力化を図ることもできる。
【0031】
その一方、実施形態1に係るフィルタ100は、光化学反応媒体が光化学反応するための光を発する光拡散ファイバ120が、光化学反応媒体を有するフィルタ本体110自体に取り付けられているので、これを含む装置の薄型化を図ることができ、それを、例えば室内の壁パネルやパーティション、或いは、既設の空調設備の吹き出し口や吸い込み口に取り付けることができる。また、このフィルタ100は、小型化した場合でも高い処理能力を得ることができるので、例えばウェアラブルな装置に用いることができる。
【0032】
なお、実施形態1に係るフィルタ100では、光拡散ファイバ120が、フィルタ本体110に、九十九折り状に繰り返し往復するように配索されて取り付けられ、それによって二次元的な発光面を形成した構成としたが、特にこれに限定されるものではない。細径の光拡散ファイバ120は自由に配置することができるので、例えば、
図3に示すように、光拡散ファイバ120が、フィルタ本体110に、その厚さ方向にも折り返すように配索されて取り付けられ、それによって三次元的な発光体を形成した構成であってもよい。
図4A及びBに示すように、複数本の光拡散ファイバ120がフィルタ本体110に配索されて取り付けられた構成であってもよい。
【0033】
(実施形態2)
図5A及びBは、実施形態2に係る光化学反応材200を示す。なお、実施形態1と同一名称の部分は、実施形態1と同一符号で示す。
【0034】
実施形態2に係る光化学反応材200は、実施形態1に係るフィルタ100と同様の構成の光拡散ファイバ120と、その光拡散ファイバ120を被覆するように設けられた光化学反応媒体で形成された光化学反応媒体層210とを備える。これにより、光拡散ファイバ120の光拡散部分120aの長さ方向に沿って光化学反応媒体が設けられた光化学反応処理構造が構成されている。
【0035】
実施形態2に係る光化学反応材200は、そのまま二次元的又は三次元的に配置して用いることができる。また、実施形態2に係る光化学反応材200は、
図6Aに示すように、織布等の基材220に取り付けられたシート状のフィルタを構成して用いることができる。さらに、実施形態2に係る光化学反応材200は、
図6Bに示すように、それ自体を織製等したシート状のフィルタを構成して用いることもできる。
【0036】
実施形態2に係る光化学反応材200は、空気等の気体や水等の液体といった流体F内に設けられる。そして、光拡散ファイバ120の一端に光源LDが接続される。実施形態2に係る光化学反応材200は、光源LDから光が出力されると、その光を光拡散ファイバ120が伝送する。光拡散ファイバ120は、その伝送する光を、光拡散部分120aにおいて、コア121、クラッド122、及び被覆層123のうちの少なくとも1つに含まれた光散乱体124により散乱させて側方に発する。光化学反応媒体層210は、光拡散ファイバ120の光拡散部分120aからの光が照射され、その光により光化学反応媒体層210を形成する光化学反応媒体が光化学反応して例えば活性酸素等を生成し、その滅菌、殺菌、消毒等の作用を流体Fに対して及ぼす。
【0037】
その他の構成及び作用効果は実施形態1と同一である。
【0038】
(実施形態3)
実施形態3に係る光化学反応処理方法では、
図2A及びBに示す光拡散ファイバ120を、藻やプランクトン等の生物系光化学反応媒体を含む海水(流体)内に、二次元的又は三次元的な拡がりを有して配索されるように配置する。そして、光拡散ファイバ120の光拡散部分120aから可視光を発して生物系光化学反応媒体を光化学反応(例えば光合成)させる。このような実施形態3に係る光化学反応処理方法によれば、生物系光化学反応媒体の育成を早めたり、栄養成分を高めることができる。
【0039】
海は深くて広い面積を有するので、その深さに面積を乗じた体積に十分に光を照射することは難しく、LED等の点光源では非常に効率が悪いことが考えられる。また、海水中では可視光の吸収が大きいため、海上乃至海面から光を照射しても、深部まで均一な光量を届かせることは困難である。しかしながら、実施形態3に係る光化学反応処理方法のように光拡散ファイバ120を用いれば、海中深く且つ広い面積に渡って光を照射することが可能となり、また、LED等と異なり、電気配線が不要であるので、メンテナンス性にも非常に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、光化学反応処理方法の技術分野について有用である。
【符号の説明】
【0041】
100 フィルタ
110 フィルタ本体
120 光拡散ファイバ
120a 光拡散部分
121 コア
122 クラッド
123 被覆層
124 光散乱体
200 光化学反応材
210 光化学反応媒体層
220 基材
F 流体
LD 光源