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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】吸着部材及びそれを備えた真空断熱材
(51)【国際特許分類】
   F16L 59/065 20060101AFI20250107BHJP
   F25D 23/06 20060101ALI20250107BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
F16L59/065
F25D23/06 V
B65D81/38 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020167405
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2021088411
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2019213149
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313012349
【氏名又は名称】旭ファイバーグラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀哉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 祥平
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-178853(JP,A)
【文献】特許第3105542(JP,B2)
【文献】特開2018-194016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 59/065
B65D 81/38
F25D 23/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空断熱材に用いられる吸着部材であって、
水分を吸着する吸着剤と、
薄膜状のフィルムであって、折り重ねられることによって、前記吸着剤を収容する吸着剤収容空間と、該吸着剤収容空間から前記フィルムの外部まで屈曲しながら延びる通気路と、を形成している前記フィルムと、を備え、
前記フィルムは、金属材料によって形成されガスバリア性を有し、そのガスバリア性を維持する状態で前記吸着剤収容空間及び前記通気路を形成しており、
前記吸着剤は、前記フィルム上に配置され、
前記吸着剤収容空間は、前記フィルムが複数の線に沿って谷折りされることによって形成され、
前記フィルムは、第1のフィルム及び第2のフィルムを有し、
前記第1のフィルムは、折り重ねられることによって、前記吸着剤収容空間と、該吸着剤収容空間から該第1のフィルムの外部まで屈曲しながら延びる第1の通気路と、を有するコアを形成し、
前記第2のフィルムは、折り重ねられることによって、前記コアを収容するコア収容空間と、該コア収容空間から該第2のフィルムの外部まで屈曲しながら延びる第2の通気路と、を形成している、吸着部材。
【請求項2】
谷折りされる前の前記フィルムは、底部と、該底部の周縁から上方に延びる周側部と、を有し、
前記底部の上面に、前記吸着剤が配置される吸着剤配置領域が設けられ、
前記周側部は、前記吸着剤配置領域の周囲を覆っている、請求項に記載の吸着部材。
【請求項3】
前記複数の線は、互いに交差している、請求項1又は2に記載の吸着部材。
【請求項4】
前記吸着剤収容空間は、前記フィルムが、互いに対向する第1の一対の線と、互いに対向するとともに前記第1の一対の線と交差する第2の一対の線と、に沿って谷折りされることによって形成されている、請求項に記載の吸着部材。
【請求項5】
前記金属材料は、アルミニウムである、請求項1からのいずれか一項に記載の吸着部材。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の吸着部材と、
芯材と、
前記吸着部材及び前記芯材が封入される袋体と、を備える真空断熱材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着部材及びそれを備えた真空断熱材に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物、自動販売機、クーラーボックス等に適用される真空断熱材が普及している。真空断熱材は、ガスバリア性を有する袋体の内部に芯材を収容することによって形成されている。芯材が収容される領域から空気を排出し、当該領域を真空に近い状態とした後に袋体を密閉することにより、真空断熱材は高い断熱性能を発揮する。
【0003】
密閉後に袋体内に残存する水分は、真空断熱材の断熱性能の低下を招くおそれがある。これに対し、特許文献1は、水分を吸着する吸着剤を備えた真空断熱材を開示している。当該吸着剤は包材によって包装され、芯材とともに袋体内に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-178853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、吸着剤を包装する包材として、通気性を有する紙や不織布が提案されている。このため、活性が高い吸着剤(つまり、水分の吸着速度が大きい吸着剤)を採用する場合、当該吸着剤は、袋体に収容される前に、包材を介して大気中の水分を吸着してしまうおそれがある。この結果、吸着剤の活性が失われ、当該吸着剤は袋体に収容された後にその水分吸着性能を発揮できず、真空断熱材の断熱性能低下を招くおそれがある。
【0006】
また、吸着剤として酸化カルシウムやゼオライト等が用いられている場合、使用済みの真空断熱材等から回収された吸着剤を加熱し、除水することによって、当該吸着剤を再利用することができる。しかしながら、特許文献1記載の発明において包材として用いられている紙、不織布、多孔質プラスチックフィルム等は加熱に適しておらず、再利用の手間を増加させるおそれがある。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、吸着剤を活性が高い状態で真空断熱材に用いることを可能にしつつ、再利用が容易な吸着部材と、それを備えた真空断熱材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、真空断熱材に用いられる吸着部材であって、水分を吸着する吸着剤と、薄膜状のフィルムであって、折り重ねられることによって、吸着剤を収容する吸着剤収容空間と、吸着剤収容空間からフィルムの外部まで屈曲しながら延びる通気路と、を形成しているフィルムと、を備え、フィルムは、金属材料によって形成されている、吸着部材が提供される。
【0009】
この構成によれば、吸着剤は金属材料によって形成されたフィルムに収容されているため、当該フィルムを介した水分の吸着が抑制される。また、吸着剤は、通気路を介してフィルムの外部から水分を吸着することができるが、当該通気路は屈曲しながら延びている。したがって、当該通気路の屈曲の程度を調整することにより、当該通気路を介した水分の吸着を調整することができる。この結果、吸着剤を活性が高い状態で真空断熱材に用いることが可能になる。
【0010】
また、金属材料によって形成されたフィルムは、高い耐熱性を有する。このため、吸着剤を除水する際に、フィルムに収容された状態のまま吸着剤を加熱することができる。すなわち、本発明によれば、吸着部材の再利用が容易になる。
【0011】
本発明において、好ましくは、吸着剤は、フィルム上に配置され、吸着剤収容空間は、フィルムが複数の線に沿って谷折りされることによって形成されている。
【0012】
この構成によれば、吸着剤収容空間及び通気路を薄膜状のフィルムによって容易に形成することが可能になる。
【0013】
本発明において、好ましくは、谷折りされる前のフィルムは、底部と、底部の周縁から上方に延びる周側部と、を有し、底部の上面に、吸着剤が配置される吸着剤配置領域が設けられ、周側部は、吸着剤配置領域の周囲を覆っている。
【0014】
この構成によれば、底部の上面の吸着剤配置領域に配置された吸着剤の移動が、周側部によって制限される。この結果、吸着剤をこぼすことなく吸着剤配置領域に安定的に配置した状態で、フィルムを谷折りすることが可能になる。
【0015】
本発明において、好ましくは、フィルムは、第1のフィルム及び第2のフィルムを有し、第1のフィルムは、折り重ねられることによって、吸着剤収容空間と、吸着剤収容空間から第1のフィルムの外部まで屈曲しながら延びる第1の通気路と、を有するコアを形成し、第2のフィルムは、折り重ねられることによって、コアを収容するコア収容空間と、コア収容空間から第2のフィルムの外部まで屈曲しながら延びる第2の通気路と、を形成している。
【0016】
この構成によれば、吸着剤収容空間からフィルムの外部まで延びる通気路を、第2のフィルムを設けることによって長くし、当該通気路を介した水分の吸着を調整することが可能になる。
【0017】
本発明において、好ましくは、複数の線は、互いに交差している。
【0018】
この構成によれば、通気路を、その端部においても屈曲するように形成することができる。この結果、屈曲の程度の調整の自由度を高め、通気路を介した水分の吸着を調整することが可能になる。
【0019】
本発明において、好ましくは、吸着剤収容空間は、フィルムが、互いに対向する第1の一対の線と、互いに対向するとともに第1の一対の線と交差する第2の一対の線と、に沿って谷折りされることによって形成されている。
【0020】
この構成によれば、吸着剤収容空間を囲む4つの線に沿ってフィルムが折り重ねられる。この結果、吸着剤収容空間から屈曲することなくフィルムの外部まで延びる隙間が無くなり、通気路を介した水分の吸着が制限されるように調整することが可能になる。
【0021】
本発明において、好ましくは、フィルムは、一端に開口が形成された袋状部を有しており、フィルムは、さらに、袋状部の開口よりも内側において谷折りされることによって、袋状部内に吸着剤収容空間を形成している。
【0022】
この構成によれば、袋状部内に吸着剤収容空間が形成されるため、当該吸着剤収容空間に収容された吸着剤の移動が、袋状部内で制限される。この結果、吸着剤をこぼすことなく袋状部内に安定的に配置した状態で、フィルムを折り重ねることが可能になる。
【0023】
本発明において、好ましくは、金属材料は、アルミニウムである。
【0024】
この構成によれば、フィルムを介した水分の吸着を抑制しつつ、フィルムを容易に折り重ねて吸着剤収容空間を形成することが可能になる。
【0025】
また、上記吸着部材と、芯材と、吸着部材及び芯材が封入される袋体と、を備える真空断熱材によれば、吸着剤を活性が高い状態で用いて、当該真空断熱材の断熱性能の低下を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、吸着剤を活性が高い状態で真空断熱材に用いることを可能にしつつ、再利用が容易な吸着部材と、それを備えた真空断熱材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態に係る真空断熱材を示す斜視図である。
図2図1のII-II断面を示す断面図である。
図3】第1実施例に係る吸着部材を示す平面図である。
図4図3のIV-IV断面を示す断面図である。
図5】第1実施例に係る吸着部材の製造工程を示す説明図である。
図6】第2実施例に係る吸着部材を示す斜視図である。
図7】第2実施例に係る吸着部材の製造工程を示す説明図である。
図8】第3実施例に係る吸着部材の製造工程を示す説明図である。
図9】第4実施例に係る吸着部材の製造工程を示す説明図である。
図10】第5実施例に係る吸着部材の製造工程を示す説明図である。
図11】第6実施例に係る吸着部材の製造工程を示す説明図である。
図12】第7実施例に係る吸着部材の製造工程を示す説明図である。
図13】第1比較例に係る吸着部材を示す斜視図及びその製造工程を示す説明図である。
図14】第2比較例に係る吸着部材を示す斜視図及びその製造工程を示す説明図である。
図15】第3比較例に係る吸着部材を示す斜視図及びその製造工程を示す説明図である。
図16】第4比較例に係る吸着部材を示す斜視図及びその製造工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0029】
まず、図1及び図2を参照しながら、実施形態に係る真空断熱材1の概略を説明する。図1は、真空断熱材1を示す斜視図であり、図2は、図1のII-II断面を示す断面図である。説明の理解を容易にするため図1及び図2は、後述する外装フィルム21,22の厚み等を誇張して示している。
【0030】
図1に示されるように、真空断熱材1は全体として略平板形状を呈している。真空断熱材1は平面視で略矩形状を呈しており、長辺1Lと、短辺1Sと、を有している。
【0031】
真空断熱材1は、袋体2と、芯材3と、吸着部材4と、を備えている。
【0032】
[袋体]
袋体2は、外装フィルム21,22を有している。外装フィルム21,22は積層シートであり、最外層に保護フィルムを、中間層にガスバリア性フィルムを、最内層に融着性フィルムを備えている。保護フィルムは、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート)系フィルム、ポリスチレンフィルム、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリルーブタジエンースチレンフィルム、メタクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、ナイロンフィルム、ポリアミド樹脂フィルムにより構成される。保護フィルムの厚さを10μm以上とすることにより、外装フィルム21,22の破損を有効に防止することができる。
【0033】
ガスバリア性フィルムは、アルミニウム、ステンレス、銅などの金属箔、アルミニウム、シリカ、アルミナの蒸着フィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールなどの樹脂フィルムから構成される。ガスバリア性フィルムの厚さを10μm以上とすることにより、外装フィルム21,22の破損を有効に防止することができる。
【0034】
融着性フィルムは、外装フィルム21,22同士を融着させる目的で積層シートの最内層に配置されている。融着性フィルムとして、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂又はエチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマーのフィルムが挙げられる。また融着性フィルムの厚さは、25μm以上とすることにより、融着性フィルム同士を融着させた融着部の密封性を高めることができ、真空包装後において融着部からの漏れを防止できる。
【0035】
袋体2は、このように構成された外装フィルム21,22を、融着性フィルムが配置された面を対向させるように重ね合わせて配置されている。そして、外装フィルム21,22は、面内において部分的に融着している。
【0036】
詳細には、外装フィルム21,22は、いずれも長辺側融着部23a,23bと、短辺側融着部25a,25bにおいて融着している。長辺側融着部23a,23bは、真空断熱材1の長辺1Lに沿って直線的に延びている。短辺側融着部25a,25bは、真空断熱材1の短辺1Sに沿って直線的に延びるとともに、長辺側融着部23a,23bの端部と連続している。
【0037】
外装フィルム21と外装フィルム22とが長辺側融着部23a,23及び短辺側融着部25a,25bにおいて融着することにより、図2に示されるように、袋体2の内部に芯材収容空間27が形成されている。芯材収容空間27は、長辺側融着部23b,23b及び短辺側融着部25a,25bにより囲まれており、これらの融着部により封止され、気密性を有している。
【0038】
[芯材]
芯材3は扁平形状を呈しており、袋体2の芯材収容空間27に収容されている。芯材3は、真空断熱材1の断熱性能を担う部材であり、無機繊維マット、多孔性材料、粉末成型体からなる。無機繊維とは、無機物からなる繊維であり、例えば短繊維からなるグラスウール、長繊維からなるガラス繊維を挙げることができる。また、多孔性材料としてエアロゲル等を挙げることができ、粉末成型体としてシリカ粒子、パーライト等を挙げることができる。具体的には、断熱吸音材として一般的に用いられているグラスウール、ガラス繊維を好適に用いることができる。芯材3は、無機繊維マット1枚からなる単層体であってもよく、無機繊維マットが2~4枚積層された積層体であってもよい。
【0039】
上記無機繊維マットは、有機バインダ、無機バインダ、又はこれらの混合物に由来する熱硬化性バインダが付与されていてもよい。このような無機繊維マットは、適度な剛性を有し、潰れ難いため、芯材密度や無機繊維間の熱伝導率が上昇し難い。したがって、このような無機繊維マットは、高い断熱性能を維持することが可能になる。
【0040】
[吸着部材]
図2に示されるように、吸着部材4は、芯材3とともに袋体2の芯材収容空間27に収容されている。具体的には、吸着部材4は、芯材3に埋設されている。吸着部材4は、後述する第1実施例及び第2実施例のように、種々の形態を採用することができる。
【0041】
[真空断熱材の製造工程]
このような真空断熱材1を製造する際は、まず、外装フィルム21と外装フィルム22とを重ね合わせるとともに、長辺側融着部23a,23b及び短辺側融着部25aに対応する部位を加熱する。加熱によって融着性フィルムが溶融すると、長辺側融着部23a,23b及び短辺側融着部25aが設けられる。このとき、短辺側融着部25bはまだ設けられていないため、芯材収容空間27は、1つの短辺1Sにおいて外部と連通している。
【0042】
次に、短辺1S側から、芯材収容空間27に芯材3及び吸着部材4を挿入する。そして、真空包装機を用いて、芯材3及び吸着部材4が収容された芯材収容空間27から、短辺1Sを介して空気を排出する。これにより、芯材収容空間27内の圧力が1~2Pa程度まで低下する。
【0043】
次に、外装フィルム21,22のうち、上述した短辺側融着部25bに対応する部位を加熱する。加熱によって融着性フィルムが溶融すると、短辺側融着部25bが設けられる。これにより、芯材収容空間27が封止され、芯材収容空間27に芯材3及び吸着部材4が真空包装される。その後、真空包装機の内部が大気解放されることによって、袋体2の内外で圧力差が生じ、芯材3が外装フィルム21,22によって圧縮され、真空断熱材1が完成する。
【0044】
このようにして製造された真空断熱材1は、高い断熱性能を発揮し、建築物、自動販売機、クーラーボックス等に適用することができる。実用性の観点から、真空断熱材1の熱伝導率は2.5mW/(m・K)以下であることが好ましい。
【0045】
上述した製造工程では、芯材収容空間27に空気が残存することがある。この空気が含む水分(つまり、水蒸気)は、芯材収容空間27において熱伝達物質として機能し、これにより、真空断熱材1の断熱性能の低下を招くおそれがある。そこで、真空断熱材1は、吸着部材4に芯材収容空間27の水分を吸着させることによって、断熱性能の低下を抑制している。
【0046】
<第1実施例>
次に、図3図5を参照しながら、第1実施例に係る吸着部材4Aについて説明する。第1実施例に係る吸着部材4Aは、上述した真空断熱材1に用いられる吸着部材4として機能し得る。図3は、吸着部材4Aを示す平面図であり、図4は、図3のIV-IV断面を示す断面図である。図5は、吸着部材4Aの製造工程を示す説明図である。
【0047】
吸着部材4Aは、吸着剤41と、フィルム42と、を備えている。
【0048】
[吸着剤]
吸着剤41は水分を吸着する物質であり、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ゼオライト、MOF(金属有機構造体)シリカゲル、活性炭、酸化バリウム、バリウム-リチウム合金又はこれらの混合物等である。水分吸着性能及び生産性の観点や、加熱・再利用の容易性の観点から、吸着剤41は、酸化カルシウム又はゼオライトであることが好ましい。第1実施例に係る吸着剤41は粉末状又は顆粒状を呈しており、定形を有しない。
【0049】
[フィルム]
フィルム42は薄膜状を呈しており、後述するように主面420a,420bを有している(図5参照)。具体的には、フィルム42は略正方形のアルミ箔であり、その厚さは11μm、一辺の寸法は150mmである。フィルム42は、アルミニウム材料に圧延加工を施すことによって形成されており、展性を有している。また、フィルム42は、紙や不織布等と比較して高いガスバリア性を有している。換言すると、フィルム42は、紙や不織布等よりも空気や水蒸気を通し難い性質を有している。後述するようにフィルム42を破損無くかつ容易に折り重ねることができるようにするため、フィルム42の厚さは25μm以下であることが好ましい。
【0050】
図4に示されるように、フィルム42は、折り重ねられることにより、その内部に吸着剤収容空間43を形成している。また、フィルム42の折り重ねられた部位の間には、微小な隙間である通気路45が形成されている。通気路45は、吸着剤収容空間43からフィルム42の外部まで屈曲しながら延びている。すなわち、吸着剤収容空間43は、通気路45を介してフィルム42の外部と連通している。吸着剤41は、吸着剤収容空間43に収容されている。
【0051】
[吸着部材の製造工程]
このような第1実施例に係る吸着部材4Aを製造する際は、まず、図5(A)に示されるように、フィルム42の吸着剤配置領域421内に吸着剤41を配置する。吸着剤配置領域421は、フィルム42の一方の主面420a上の中央部に位置する略正方形状の仮想の領域である。
【0052】
次に、フィルム42を、仮想線V11,V12に沿って谷折りする。仮想線V11,V12は、本発明に係る「第1の一対の線」の一例であり、互いに対向し、略平行に延びる直線である。仮想線V11は、吸着剤配置領域421よりも辺42a側に位置しており、仮想線V12は、吸着剤配置領域421よりも辺42b側に位置している。
【0053】
詳細には、まず、仮想線V11に沿って、矢印F11で示されるようにフィルム42を谷折りする。これにより、フィルム42のうち辺42a寄りの部位によって、吸着剤配置領域421が覆われる。その後、仮想線V12に沿って、矢印F12で示されるようにフィルム42を谷折りする。図5(B)は、仮想線V11,V12に沿って谷折りされたフィルム42を示している。
【0054】
次に、フィルム42を、仮想線V13,V14に沿って谷折りする。仮想線V13,V14は、本発明に係る「第2の一対の仮想線」の一例であり、互いに対向し、略平行に延びる直線である。また、仮想線V13,V14は、仮想線V11,V12と交差する。仮想線V13は、吸着剤配置領域421よりも辺42c側に位置しており、仮想線V14は、吸着剤配置領域421よりも辺42d側に位置している。
【0055】
詳細には、まず、仮想線V13に沿って、矢印F13で示されるようにフィルム42を谷折りする。その後、仮想線V14に沿って、矢印F14で示されるようにフィルム42を谷折りする。
【0056】
これにより、図3に示されるように、平面視で略正方形を呈する吸着部材4Aが構成される。すなわち、吸着部材4Aは、フィルム42を4回谷折りし、折り重ねることによって構成される。
【0057】
<第2実施例>
次に、図6及び図7を参照しながら、第2実施例に係る吸着部材4Bについて説明する。第2実施例に係る吸着部材4Bも、上述した真空断熱材1に用いられる吸着部材4として機能し得る。図6は、吸着部材4Bを示す斜視図であり、図7は、吸着部材4Bの製造工程を示す説明図である。吸着部材4Bの構成のうち、第1実施例に係る吸着部材4Aの構成と共通する部分については、その説明を適宜省略する。
【0058】
吸着部材4Bを製造する際は、まず、図7(A)に示されるように、フィルム42の吸着剤配置領域422内に吸着剤41を配置する。吸着剤配置領域421は、フィルム42の一方の主面420a上の中央部に位置する略三角形状の仮想の領域である。
【0059】
次に、フィルム42を、仮想線V21に沿って、矢印F21で示されるように谷折りする。仮想線V21は直線であり、吸着剤配置領域421の一辺に沿うように位置している。図7(B)は、仮想線V21に沿って谷折りされたフィルム42を示している。
【0060】
次に、フィルム42を、仮想線V22に沿って、矢印F22で示されるように谷折りする。仮想線V22は直線であり、吸着剤配置領域421の他の一辺に沿うように位置している。また、仮想線V22は、仮想線V21と交差する。図7(C)は、仮想線V22に沿って谷折りされたフィルム42を示している。
【0061】
次に、フィルム42を、仮想線V23に沿って、矢印F23で示されるように谷折りする。仮想線V23は直線であり、吸着剤配置領域421のさらに他の一辺に沿うように位置している。また、仮想線V23は、仮想線V21,V22と交差する。
【0062】
これにより、図6に示されるように、平面視で多角形を呈する吸着部材4Bが構成される。すなわち、吸着部材4Bは、フィルム42を3回谷折りし、折り重ねることによって構成される。フィルム42は、その内部に、吸着剤収容空間(不図示)と、当該吸着剤収容空間からフィルム42の外部まで屈曲しながら延びる通気路(不図示)と、を形成している。
【0063】
<第3実施例>
次に、図8を参照しながら、第3実施例に係る吸着部材4Cについて説明する。第3実施例に係る吸着部材4Cも、上述した真空断熱材1に用いられる吸着部材4として機能し得る。図8は、吸着部材4Cの製造工程を示す説明図である。吸着部材4Cの構成のうち、第1実施例に係る吸着部材4Aの構成と共通する部分については、その説明を適宜省略する。
【0064】
第3実施例に係る吸着部材4Cに用いられるフィルム44は、カップ形状を呈している。詳細には、フィルム44は、略円形状のアルミ箔を折り曲げることによって形成されており、平面視で略円形状を呈する底部44aと、底部44aの周縁から上方に延びる周側部44bと、を有している。
【0065】
吸着部材4Cを製造する際は、まず、図8(A)に示されるように、フィルム44の吸着剤配置領域441内に吸着剤41を配置する。吸着剤配置領域441は、底部44aの上面に位置する略円形状の仮想の領域である。周側部44bはこの吸着剤配置領域441の周囲を覆っているため、吸着剤配置領域441内に配置された吸着剤41の移動は周側部44bによって制限される。
【0066】
次に、フィルム44を、仮想線V31に沿って、矢印F31で示されるように谷折りし、さらに、仮想線V32に沿って、矢印F32で示されるように谷折りする。仮想線V31,V32はいずれも直線であり、吸着剤配置領域443の一側部と他側部とに位置している。図8(B)は、仮想線V31,V32に沿って谷折りされたフィルム44を示している。
【0067】
次に、フィルム44を、仮想線V33に沿って、矢印F33で示されるように谷折りし、さらに、仮想線V34に沿って、矢印F34で示されるように谷折りする。仮想線V33,V34はいずれも直線であり、仮想線V31,V32と交差する。
【0068】
これにより、平面視で略正方形を呈する吸着部材4C(図10参照)が構成される。すなわち、吸着部材4Cは、フィルム44を4回谷折りし、折り重ねることによって構成される。フィルム44は、その内部に、吸着剤収容空間(不図示)と、当該吸着剤収容空間からフィルム44の外部まで屈曲しながら延びる通気路(不図示)と、を形成している。
【0069】
<第4実施例>
次に、図9を参照しながら、第4実施例に係る吸着部材4Dについて説明する。第4実施例に係る吸着部材4Dも、上述した真空断熱材1に用いられる吸着部材4として機能し得る。図9は、吸着部材4Cの製造工程を示す説明図である。吸着部材4Dの構成のうち、第1実施例に係る吸着部材4Aの構成と共通する部分については、その説明を適宜省略する。
【0070】
第4実施例に係る吸着部材4Dに用いられるフィルム46も、カップ形状を呈している。詳細には、フィルム46は、略矩形状のアルミ箔を折り曲げることによって形成されており、平面視で略矩形状を呈する底部46aと、底部46aの周縁から上方に延びる周側部46bと、を有している。
【0071】
吸着部材4Dを製造する際は、まず、図9(A)に示されるように、フィルム46の吸着剤配置領域461内に吸着剤41を配置する。吸着剤配置領域461は、底部46aの上面に位置する略矩形状の仮想の領域である。周側部46bはこの吸着剤配置領域461の周囲を覆っているため、吸着剤配置領域461内に配置された吸着剤41の移動は周側部46bによって制限される。
【0072】
次に、フィルム46を、仮想線V41に沿って、矢印F41で示されるように谷折りし、さらに、仮想線V42に沿って、矢印F42で示されるように谷折りする。仮想線V41,V42はいずれも直線であり、吸着剤配置領域461の一側部と他側部とに位置している。図9(B)は、仮想線V41,V42に沿って谷折りされたフィルム46を示している。
【0073】
次に、フィルム46を、仮想線V43に沿って、矢印F43で示されるように谷折りし、さらに、仮想線V44に沿って、矢印F44で示されるように谷折りする。仮想線V43,V44はいずれも直線であり、仮想線V41,V42と交差する。
【0074】
これにより、平面視で略正方形を呈する吸着部材4D(図11参照)が構成される。すなわち、吸着部材4Cは、フィルム46を4回谷折りし、折り重ねることによって構成される。フィルム46は、その内部に、吸着剤収容空間(不図示)と、当該吸着剤収容空間からフィルム46の外部まで屈曲しながら延びる通気路(不図示)と、を形成している。
【0075】
<第5実施例>
次に、図10を参照しながら、第5実施例に係る吸着部材4Eについて説明する。第5実施例に係る吸着部材4Eも、上述した真空断熱材1に用いられる吸着部材4として機能し得る。図10は、吸着部材4Eの製造工程を示す説明図である。吸着部材4Eの構成のうち、第1実施例に係る吸着部材4Aの構成と共通する部分については、その説明を適宜省略する。
【0076】
第5実施例に係る吸着部材4Eで用いられるフィルムは、フィルム44Iとフィルム44IIとを有している。フィルム44Iは、本発明に係る「第1のフィルム」の一例であり、フィルム44IIは、本発明に係る「第2のフィルム」の一例であり、いずれも上述した第3実施例に係るフィルム44と同一である。
【0077】
吸着部材4Eは、第3実施例に係る吸着部材4Cをフィルム44IIで包装することによって製造される。換言すると、吸着部材4Cは、2枚のフィルム44を用いて吸着剤41を2重に包装することによって製造される。詳細には、まず、フィルム44Iを用いて、第3実施例に係る吸着部材4Cを製造する。以下の説明では、吸着部材4Cを「コア4C」と称する。コア4Cの内部の吸着剤収容空間(不図示)からフィルム44Iの外部まで屈曲しながら延びる通気路(不図示)は、本発明に係る「第1の通気路」の一例である。
【0078】
次に、図10(A)に示されるように、フィルム44IIのコア配置領域442内にコア4Cを配置する。コア配置領域442は、底部44aの上面に位置する略円形状の仮想の領域である。周側部44bはこのコア配置領域442の周囲を覆っているため、コア配置領域442内に配置されたコア4Cの移動は周側部44bによって制限される。
【0079】
次に、フィルム44IIを、仮想線V51に沿って、矢印F51で示されるように谷折りし、さらに、仮想線V52に沿って、矢印F52で示されるように谷折りする。仮想線V51,V52はいずれも直線であり、コア配置領域442の一側部と他側部とに位置している。図10(B)は、仮想線V51,V52に沿って谷折りされたフィルム44IIを示している。
【0080】
次に、フィルム44IIを、仮想線V53に沿って、矢印F53で示されるように谷折りし、さらに、仮想線V54に沿って、矢印F54で示されるように谷折りする。仮想線V53,V54はいずれも直線であり、仮想線V51,V52と交差する。
【0081】
これにより、平面視で略正方形を呈する吸着部材4Eが構成される。すなわち、吸着部材4Eは、フィルム44I,44IIをそれぞれ4回谷折りし、折り重ねることによって構成される。フィルム44IIの内部には、コア4Cを収容するコア収容空間(不図示)と、当該コア収容空間からフィルム44IIの外部まで延びる通気路(不図示)と、が形成されている。当該通気路は、本発明に係る「第2の通気路」の一例である。
【0082】
吸着部材4Eの吸着剤収容空間は、吸着剤収容空間からコア収容空間まで屈曲しながら延びる通気路(第1の通気路)と、コア収容空間からフィルム44IIの外部まで屈曲しながら延びる通気路(第2の通気路)と、を介して、フィルム44IIの外部と連通している。これにより、吸着剤41(図8(A)参照)は、両通気路を介して、フィルム44IIの外部から水分を吸着する。
【0083】
<第6実施例>
次に、図11を参照しながら、第6実施例に係る吸着部材4Fについて説明する。第6実施例に係る吸着部材4Fも、上述した真空断熱材1に用いられる吸着部材4として機能し得る。図11は、吸着部材4Fの製造工程を示す説明図である。吸着部材4Fの構成のうち、第1実施例に係る吸着部材4Aの構成と共通する部分については、その説明を適宜省略する。
【0084】
第6実施例に係る吸着部材4Eで用いられるフィルムは、フィルム46Iとフィルム46IIとを有している。フィルム46Iは、本発明に係る「第1のフィルム」の一例であり、フィルム46IIは、本発明に係る「第2のフィルム」の一例であり、いずれも上述した第4実施例に係るフィルム46と同一である。
【0085】
吸着部材4Fは、第4実施例に係る吸着部材4Dをフィルム46IIで包装することによって製造される。換言すると、吸着部材4Fは、2枚のフィルム46を用いて吸着剤41を2重に包装することによって製造される。詳細には、まず、フィルム46Iを用いて、第4実施例に係る吸着部材4Dを製造する。以下の説明では、吸着部材4Dを「コア4D」と称する。コア4Dの内部の吸着剤収容空間(不図示)からフィルム46Iの外部まで屈曲しながら延びる通気路(不図示)は、本発明に係る「第1の通気路」の一例である。
【0086】
次に、図11(A)に示されるように、フィルム46IIのコア配置領域462内にコア4Dを配置する。コア配置領域462は、底部46aの上面に位置する略矩形状の仮想の領域である。周側部46bはこのコア配置領域462の周囲を覆っているため、コア配置領域462内に配置されたコア4Dの移動は周側部46bによって制限される。
【0087】
次に、フィルム46IIを、仮想線V61に沿って、矢印F61で示されるように谷折りし、さらに、仮想線V62に沿って、矢印F62で示されるように谷折りする。仮想線V61,V62はいずれも直線であり、コア配置領域462の一側部と他側部とに位置している。図11(B)は、仮想線V61,V62に沿って谷折りされたフィルム44IIを示している。
【0088】
次に、フィルム46IIを、仮想線V63に沿って、矢印F63で示されるように谷折りし、さらに、仮想線V64に沿って、矢印F64で示されるように谷折りする。仮想線V63,V64はいずれも直線であり、仮想線V61,V62と交差する。
【0089】
これにより、平面視で略正方形を呈する吸着部材4Fが構成される。すなわち、吸着部材4Fは、フィルム46I,46IIをそれぞれ4回谷折りし、折り重ねることによって構成される。フィルム46IIの内部には、コア4Dを収容するコア収容空間(不図示)と、当該コア収容空間からフィルム46IIの外部まで延びる通気路(不図示)と、が形成されている。当該通気路は、本発明に係る「第2の通気路」の一例である。
【0090】
吸着部材4Fの吸着剤収容空間は、吸着剤収容空間からコア収容空間まで屈曲しながら延びる通気路(第1の通気路)と、コア収容空間からフィルム46IIの外部まで屈曲しながら延びる通気路(第2の通気路)と、を介して、フィルム46IIの外部と連通している。これにより、吸着剤41(図9(A)参照)は、両通気路を介して、フィルム46IIの外部から水分を吸着する。
【0091】
<第7実施例>
次に、図12を参照しながら、第7実施例に係る吸着部材4Gについて説明する。第7実施例に係る吸着部材4Gも、上述した真空断熱材1に用いられる吸着部材4として機能し得る。図12は、吸着部材4Gの製造工程を示す説明図である。吸着部材4Gの構成のうち、第1実施例に係る吸着部材4Aの構成と共通する部分については、その説明を適宜省略する。
【0092】
第7実施例に係る吸着部材4Gに用いられるフィルム49は、袋形状を呈している。詳細には、フィルム49は、平面視で略矩形状を呈する第1のフィルム部分49Iと第2のフィルム部分49IIとが重ね合わせて配置され、その3辺に沿う融着部491が設けられることによって形成されている。これにより、フィルム49は、開口492aが形成された袋状部492を有している。袋状部492は、開口492aにおいて外部と連通している。
【0093】
吸着部材4Gを製造する際は、まず、開口492aから、袋状部492内に吸着剤41を挿入する。袋状部492内に配置された吸着剤41の移動は、融着部491によって制限される。
【0094】
次に、フィルム49を、仮想線V71,V72,V73に沿って、矢印F71,F72,F73で示されるように順に谷折りする。仮想線V71,V72,V3はいずれも直線であり、開口492aよりも袋状部492の内側において、互いに略平行に位置している。
【0095】
これにより、平面視で略正方形を呈する吸着部材4Gが構成される。すなわち、吸着部材4Gは、フィルム49を3回谷折りし、折り重ねることによって構成される。フィルム49は、袋状部492内の吸着剤収容空間493と、吸着剤収容空間493からフィルム49の外部まで(つまり、開口492aまで)屈曲しながら延びる通気路(不図示)と、を形成している。
【0096】
本発明者らは、第1~第7実施例に係る吸着部材4A~4Gを対象として、後述する評価試験を実施し、その性能を評価した。当該評価試験では、吸着部材4A~4Gの他にも、比較例に係る吸着部材の性能を評価した。以下、比較例に係る吸着部材について説明する。
【0097】
<第1比較例>
まず、図13を参照しながら、第1比較例に係る吸着部材4Hについて説明する。図13は、吸着部材4Hを示す斜視図及びその製造工程を示す説明図である。吸着部材4Hの構成のうち、第1実施例に係る吸着部材4Aの構成と共通する部分については、その説明を適宜省略する。
【0098】
吸着部材4Hを製造する際は、図13(B)に示されるように、フィルム42の吸着剤配置領域423内に吸着剤41を配置する。吸着剤配置領域423は、フィルム42の一方の主面420a上の中央部のうち辺42b寄りに位置する仮想の領域である。
【0099】
次に、フィルム42を、仮想線V81に沿って、矢印F81で示されるように谷折りする。仮想線V81は直線であり、フィルム42の一方の主面420aを略二等分するように延びている。
【0100】
これにより、図13(A)に示されるように、平面視で略長方形を呈する吸着部材4Hが構成される。すなわち、吸着部材4Hは、フィルム42を1回谷折りし、折り重ねることによって構成される。
【0101】
<第2比較例>
次に、図14を参照しながら、第2比較例に係る吸着部材4Iについて説明する。図14は、吸着部材4Iを示す斜視図及びその製造工程を示す説明図である。吸着部材4Iの構成のうち、第1実施例に係る吸着部材4Aの構成と共通する部分については、その説明を適宜省略する。
【0102】
吸着部材4Iを製造する際は、図14(B)に示されるように、フィルム42の吸着剤配置領域424内に吸着剤41を配置する。吸着剤配置領域424は、フィルム42の一方の主面420a上の中央部に位置する仮想の領域である。
【0103】
次に、フィルム42を、仮想線V91,V92に沿って谷折りする。仮想線V92,V92は、略平行に延びる直線である。仮想線V92は、吸着剤配置領域421よりも辺42a側に位置しており、仮想線V92は、吸着剤配置領域421よりも辺42b側に位置している。
【0104】
詳細には、まず、仮想線V91に沿って、矢印F91で示されるようにフィルム42を谷折りする。これにより、フィルム42のうち辺42a寄りの部位によって、吸着剤配置領域424が覆われる。その後、仮想線V92に沿って、矢印F92で示されるようにフィルム42を谷折りする。
【0105】
これにより、図14(A)に示されるように、平面視で略長方形を呈する吸着部材4Iが構成される。すなわち、吸着部材4Iは、フィルム42を2回谷折りし、折り重ねることによって構成される。
【0106】
<第3比較例>
次に、図15を参照しながら、第3比較例に係る吸着部材4Jについて説明する。図15は、吸着部材4Jを示す斜視図及びその製造工程を示す説明図である。吸着部材4Jの構成のうち、第1実施例に係る吸着部材4Aの構成と共通する部分については、その説明を適宜省略する。
【0107】
吸着部材4Jを製造する際は、図15(B)に示されるように、フィルム42の吸着剤配置領域425内に吸着剤41を配置する。吸着剤配置領域425は、フィルム42の一方の主面420a上の中央部に位置する仮想の領域である。
【0108】
次に、矢印R11,R12で示されるようにフィルム42をロールさせ、フィルム42を筒形状にする。すなわち、フィルム42のうち辺42a寄りの部位を矢印R11で示されるように湾曲させ、当該部位を吸着剤配置領域425の上方に配置する。さらに、フィルム42のうち辺42b寄りの部位を矢印R12で示されるように湾曲させ、当該部位を、上記辺42a寄りの部位の上方に配置する。
【0109】
次に、筒形状となったフィルム42(不図示)のうち、辺42c,42dから主面420aの中央側に離間した部位で、フィルム42を約180°ひねる。
【0110】
これにより、図15(A)に示されるように、ひねり部47,47を有する吸着部材4Jが構成される。すなわち、吸着部材4Jは、フィルム42を折り重ねることなく構成される。
【0111】
<第4比較例>
次に、図16を参照しながら、第4比較例に係る吸着部材4Kについて説明する。図16は、吸着部材4Kを示す斜視図及びその製造工程を示す説明図である。吸着部材4Kの構成のうち、第1実施例に係る吸着部材4Aの構成と共通する部分については、その説明を適宜省略する。
【0112】
吸着部材4Kを製造する際は、図16(B)に示されるように、フィルム42の吸着剤配置領域426内に吸着剤41を配置する。吸着剤配置領域426は、フィルム42の一方の主面420a上の中央部に位置する仮想の領域である。
【0113】
次に、矢印R21,R22で示されるようにフィルム42をロールさせ、フィルム42を筒形状にする。すなわち、フィルム42のうち辺42a寄りの部位を矢印R21で示されるように湾曲させ、当該部位を吸着剤配置領域426の上方に配置する。さらに、フィルム42のうち辺42b寄りの部位を矢印R22で示されるように湾曲させ、当該部位を、上記辺42a寄り部位の上方に配置する。
【0114】
次に、筒形状となったフィルム42(不図示)のうち、辺42c,42dから主面420aの中央側に離間した部位で、フィルム42を谷折りし、折り返し部48,48を形成する。
【0115】
これにより、図16(A)に示される吸着部材4Kが構成される。すなわち、吸着部材4Kは、フィルム42を円筒形状とした後に2回谷折りすることによって構成される。
【0116】
<第5比較例>
次に、第5比較例に係る吸着部材(不図示)について説明する。第5比較例に係る吸着部材は、吸着剤41を収容するフィルムとして不織布が用いられている。当該不織布は、ポリエステルによって形成され、一辺の寸法が150mmの略正方形の薄膜状を呈しており、その坪量は50g/m2である。また、当該不織布は、上述した第1実施例に係るフィルム42と同様に、4回谷折りされ、折り重ねられることにより、その内部に吸着剤収容空間を形成している。
【0117】
<第6比較例>
次に、第6比較例に係る吸着部材(不図示)について説明する。第6比較例に係る吸着部材は、第5比較例に係る吸着部材と同様に、吸着剤41を収容するフィルムとして不織布が用いられている。当該不織布は、上述した特許文献1の図2に示されるように、その一部がひねられることにより、その内部に吸着剤収容空間を形成している。
【0118】
<評価試験>
次に、第1~第7実施例に係る吸着部材と、第1~第6比較例に係る吸着部材とを対象として実施した評価試験について説明する。本評価試験では、各実施例及び各比較例において、用いられる吸着剤41が異なる2種類の吸着部材をそれぞれ製造した。具体的には、吸着剤41として5gの酸化カルシウムを用いた吸着部材と、吸着剤41として5gのMFI型のゼオライトを用いた吸着部材と、を製造した。
【0119】
まず、各吸着部材に用いられる吸着剤41を十分に除水した。詳細には、フィルムとしてアルミ箔が用いられている第1~第7実施例に係る吸着部材4A~4G、及び第1~第4比較例に係る吸着部材4H~4Kについては、その吸着剤41を、フィルムに収容された状態で、電気炉によって加熱した。一方、フィルムとして不織布が用いられている第5,第6比較例に係る吸着部材については、不織布が電気炉による加熱に耐えられないため、吸着剤41のみを電気炉によって加熱した。
【0120】
次に、各吸着部材を、温度が35℃、相対湿度が80%に維持された恒温恒湿槽内に配置した。当該温度及び相対湿度は、夏期に高温多湿の環境に各吸着部材が置かれた場合を想定して設定されたものである。
【0121】
恒温恒湿槽内への配置から90時間が経過した後、各吸着部材を恒温恒湿槽内から取り出した。そして、各吸着部材を上述した吸着部材4として用いた真空断熱材を製造した。ここでは、ロータリーポンプとメカニカルブースターポンプとを併用して、真空包装機の内部が2Pa以下となるまで真空引きした。その後、拡散ポンプを用いて、3分間真空引きした。さらにその後、外装フィルム21,22のうち、上述した短辺側融着部25bに対応する部位を加熱し、短辺側融着部25bを設けた(図1参照)。
【0122】
次に、このようにして製造された各真空断熱材の熱伝導率を測定した。ここでは、熱伝導率測定装置HC076-600(英弘精機株式会社製)を用いて、上面プレートの温度を10℃、下面プレートの温度を30℃に設定し、各真空断熱材の熱伝導率を測定した。これにより、表1に示される結果が得られた。
【0123】
【表1】

単位:mW/(m・K)
【0124】
上述したように、実用性の観点から、真空断熱材の熱伝導率は2.5mW/(m・K)以下であることが好ましい。表1に示されるように、第1実施例に係る吸着部材4A(図3図5参照)、及び、第3~第7実施例に係る吸着部材4C~4G(図8図12参照)を用いた真空断熱材では、酸化カルシウムとゼオライトのいずれを吸着剤41として用いた場合も、熱伝導率は2.5mW/(m・K)を下回った。すなわち、吸着部材4A,4C~4Gが高温多湿の恒温恒湿槽内に90時間配置された後でも、当該吸着部材4A,4C~4Gを用いた真空断熱材は、実用上十分な断熱性能を有していた。
【0125】
この良好な結果は、吸着部材4A,4C~4Gの吸着剤41が、芯材収容空間27(図2参照)に残存していた水分を、通気路を介して吸着したことに起因すると考えられる。換言すると、この結果は、吸着部材4A,4C~4Gが恒温恒湿槽内に90時間配置された後でも、その吸着剤41は十分な水分吸着性能を有していたことを示している。これより、吸着部材4A,4C~4Gが恒温恒湿槽内に配置されている間の、通気路を介した吸着剤41の水分吸着は、通気路が屈曲していることにより、適切に制限されていたと考えられる。
【0126】
第2実施例に係る吸着部材4B(図6及び図7参照)を用いた真空断熱材では、吸着剤41が酸化カルシウムである場合に、測定された熱伝導率の値は2.5mW/(m・K)を上回った。しかしながら、吸着剤41がゼオライトである場合は、測定された熱伝導率の値は2.41mW/(m・K)であり、十分実用性のある真空断熱材であることが判る。
【0127】
一方、第1~第4比較例に係る吸着部材4H~4K(図13図16参照)を用いた真空断熱材では、酸化カルシウムとゼオライトのいずれを吸着剤41として用いた場合も、熱伝導率は2.5mW/(m・K)を上回った。すなわち、恒温恒湿槽内に90時間配置された後の吸着部材4H~4Kを用いた真空断熱材の断熱性能は、実用上十分なものではなかった。
【0128】
この結果は、吸着部材4H~4Kの吸着剤41が、芯材収容空間27に残存していた水分を十分に吸着できなかったことに起因すると考えられる。換言すると、この結果は、吸着部材4H~4Kが恒温恒湿槽内に90時間配置された後に、その吸着剤41が十分な水分吸着性能を有していなかったことを示している。吸着部材4H~4Kは、恒温恒湿槽内に配置されている間に、フィルム42の隙間を介してフィルム42の外部から過度に水分を吸着し、その水分吸着性能が失われたと考えられる。
【0129】
また、第5,第6比較例に係る吸着部材を用いた真空断熱材では、酸化カルシウムとゼオライトのいずれを吸着剤41として用いた場合も、熱伝導率は2.5mW/(m・K)を上回った。すなわち、恒温恒湿槽内に90時間配置された後の吸着部材を用いた真空断熱材の断熱性能は、実用上十分なものではなかった。
【0130】
この結果は、第5,第6比較例に係る吸着部材の吸着剤41が、芯材収容空間27に残存していた水分を十分に吸着できなかったことに起因すると考えられる。換言すると、この結果は、各吸着部材が恒温恒湿槽内に90時間配置された後に、その吸着剤41が十分な水分吸着性能を有していなかったことを示している。各吸着部材は、恒温恒湿槽内に配置されている間に、不織布であるフィルムを介してフィルムの外部から過度に水分を吸着し、その水分吸着性能が失われたと考えられる。
【0131】
[作用効果]
次に、第1~第7実施例に係る吸着部材4A~4Gの構成に基づく作用効果について説明する。
【0132】
吸着部材4A~4Gの構成によれば、吸着剤41は金属材料によって形成されたフィルム42,44,46,49に収容されているため、フィルム42,44,46,49を介した水分の吸着が抑制される。また、吸着剤41は、通気路を介してフィルム42,44,46,49の外部から水分を吸着することができるが、通気路は屈曲しながら延びている。したがって、通気路の屈曲の程度を調整することにより、通気路を介した水分の吸着を調整することができる。この結果、吸着剤41を活性が高い状態で真空断熱材1に用いることが可能になる。
【0133】
酸化カルシウムやゼオライトは、500℃程度まで加熱して除水することによって、その水分吸着性能を回復させ、活性が高い状態に戻すことが可能になる。金属材料によって形成されたフィルム42,44,46,49は、高い耐熱性を有する。このため、吸着剤41を除水する際に、フィルム42,44,46,49に収容された状態のまま吸着剤41を加熱することができる。すなわち、吸着部材4A~4Gの構成によれば、吸着部材4A~4Gの再利用が容易になる。
【0134】
また、吸着剤41は、フィルム42,44,46上に配置され、吸着剤収容空間は、フィルム42,44,46が複数の仮想線に沿って谷折りされることによって形成されている。この構成によれば、吸着剤収容空間及び通気路を薄膜状のフィルムによって容易に形成することが可能になる。
【0135】
また、谷折りされる前のフィルム44,46は、底部44a,46aと、底部44a,46aの周縁から上方に延びる周側部44b,46bと、を有している。底部44a,46aの上面に、吸着剤41が配置される吸着剤配置領域441,461が設けられ、周側部44b,46bは、吸着剤配置領域441,461の周囲を覆っている。この構成によれば、底部44a,46aの上面の吸着剤配置領域441,461内に配置された吸着剤41の移動が、周側部44b,46bによって制限される。この結果、吸着剤41をこぼすことなく吸着剤配置領域441,461に安定的に配置した状態で、フィルム44,46を谷折りすることが可能になる。
【0136】
また、第5実施例に係る吸着部材4Eで用いられるフィルムは、フィルム44I(「第1のフィルム」相当)及びフィルム44II(「第2のフィルム」相当)を有している。フィルム44Iは、折り重ねられることによって、吸着剤収容空間と、吸着剤収容空間からフィルム44Iの外部まで屈曲しながら延びる通気路(「第1の通気路」相当)と、を有するコア4Cを形成している。フィルム44IIは、折り重ねられることによって、コア4Cを収容するコア収容空間と、コア収容空間からフィルム44IIの外部まで屈曲しながら延びる通気路(「第2の通気路」相当)と、を形成している。この構成によれば、吸着剤収容空間からフィルムの外部まで延びる通気路を、フィルム44IIを設けることによって長くし、当該通気路を介した水分の吸着を調整することが可能になる。
【0137】
また、第1~第6実施例に係る吸着部材4A~4Fにおいて、複数の仮想線は、互いに交差している。この構成によれば、通気路を、その端部においても屈曲するように形成することができる。この結果、屈曲の程度の調整の自由度を高め、通気路45を介した水分の吸着を調整することが可能になる。
【0138】
また、第1実施例に係る吸着部材4Aを例にとると、吸着剤収容空間43は、フィルム42が、互いに対向する一対の仮想線V11,V12(「第1の一対の線」相当)と、互いに対向するとともに一対の仮想線V11,V12と交差する一対の仮想線V13,V14(「第2の一対の線」相当)と、に沿って谷折りされることによって形成されている。この構成によれば、吸着剤収容空間43を囲む4つの仮想線V11~V14に沿ってフィルム42が折り重ねられる。この結果、吸着剤収容空間43から屈曲することなくフィルム42の外部まで延びる隙間が無くなり、通気路45を介した水分の吸着が制限されるように調整することが可能になる。
【0139】
また、第7実施例に係る吸着部材4Gで用いられるフィルム49は、一端に開口492aが形成された袋状部492を有している。フィルム49は、さらに、袋状部492の開口492aよりも内側において谷折りされることによって、袋状部492内に吸着剤収容空間を形成している。この構成によれば、袋状部492内に吸着剤収容空間が形成されるため、当該吸着剤収容空間に収容された吸着剤41の移動が、袋状部492内で制限される。この結果、吸着剤41をこぼすことなく袋状部492内に安定的に配置した状態で、フィルム49を折り重ねることが可能になる。
【0140】
また、フィルム42,44,46,49を形成する金属材料は、アルミニウムである。この構成によれば、フィルム42,44,46,49を介した水分の吸着を抑制しつつ、フィルム42,44,46,49を容易に折り重ねて吸着剤収容空間を形成することが可能になる。
【0141】
また、吸着部材4A~4Gと、芯材3と、吸着部材4A,4B及び芯材3が封入される袋体2と、を備える真空断熱材1によれば、吸着剤41を活性が高い状態で用いて、真空断熱材1の断熱性能の低下を抑制することが可能になる。
【0142】
以上、具体例を参照しつつ本発明の具体例について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。上述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されず、適宜変更することができる。
【0143】
例えば、上述した真空断熱材1では、袋体2に単一の吸着部材4が収容されているが、本発明はこのような形態に限定されない。つまり、本発明に係る真空断熱材は、その袋体に複数の吸着部材が収容されていてもよい。
【0144】
また、袋体に収容される複数の吸着部材の一部が、非金属材料によって形成されたフィルム(例えば、不織布)を用いるものであってもよい。不織布を用いる吸着部材は、上述したように加熱による再利用には適さないものの、金属材料によって形成されたフィルムを用いる吸着部材と比べて安価に製造できる。したがって、金属材料によって形成されたフィルムを用いる吸着部材と、不織布を用いる吸着部材とを併せて袋体に収容して真空断熱材を構成することにより、製造コストと水分吸着性能とのバランスを調整することが可能になる。
【符号の説明】
【0145】
1:真空断熱材
2:袋体
3:芯材
4,4A~4G:吸着部材
4C,4D:コア
41:吸着剤
42,44,46,49:フィルム
43,493:吸着剤収容空間
44I,46I:第1のフィルム
44II,46II:第2のフィルム
44a,46a:底部
44b,46b:周側部
45:通気路
421,422,441,461:吸着剤配置領域
442,462:コア配置領域
492:袋状部
492a:開口
図1
図2
図3
図4
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