(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】マスクケース
(51)【国際特許分類】
A45C 11/00 20060101AFI20250107BHJP
【FI】
A45C11/00 Z
(21)【出願番号】P 2020171362
(22)【出願日】2020-10-09
【審査請求日】2023-09-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104526
【氏名又は名称】キタノ製作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】池本 健二
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3091059(JP,U)
【文献】特開2014-141273(JP,A)
【文献】特開平10-241064(JP,A)
【文献】実公昭51-006973(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3227555(JP,U)
【文献】特開2011-103940(JP,A)
【文献】特開2012-011035(JP,A)
【文献】特開2006-290460(JP,A)
【文献】特開平09-290886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに揺動可能に設けられた一対のケース部材と、前記ケース部材を開閉可能に連結するヒンジと、前記ヒンジによって閉じた状態を保持するための固定部から成り、前記一対のケース部材の開閉部側にマスクのマスク紐が向かうように
開いた状態で前記マスクを置き、前記ケース部材を閉じると、前記マスク紐を合わせるように前記マスクの前側中心を縦に折り畳んだ状態で収容されるマスクケースにおいて、
前記ケース部材は、矩形の天面と、前記天面の辺を一周する4つの側面が
前記天面の角部から内側面側に突出して形成され、前記側面は、前記ヒンジが設けられたヒンジ用側面と、前記ヒンジ用側面に対して平行で前記ヒンジにより開閉する開閉部側である開閉部用側面と、前記ヒンジ用側面と前記開閉部用側面に交差する一対の閉鎖用側面が設けられ、
前記ケース部材の前記開閉部用側面には、前記マスクの前記マスク紐が設けられた端部に当接する当接部が設けられ、前記ヒンジには前記一対のケース部材を鈍角に開い
た状態を維持する係止部が設けられ、前記一対のケース部材は互いに同じ重さであり、
前記一対のケース部材を前記係止部により所定の鈍角に開い
た状態を維持し任意の台面に置くと、前記一対のケース部材の前記天面
から突出した前記ヒンジ用側面と前記天面との間の
前記角部が各々前記台面に接する脚部となり、前記一対の脚部が前記台面に接し、同じ重さの前記一対のケース部材の前記一対の開閉部用側面側が、前記脚部から両側に傾斜して均等に開いて前記台面上で自立可能に設けられ、
前記開閉部用側面の互いに対面して閉じられる閉塞面には、前記マスクの前記マスク紐を外側に引き出す紐出し凹部が形成され、前記紐出し凹部は、前記一対のケース部材が閉じた時に前記マスク紐に合致する位置に設けられた一対の紐出し孔となり、
前記一対のケース部材を前記係止部により所定の鈍角に開いた状態で、前記一対のケース部材の前記紐出し凹部に前記マスク紐が向かうようにして前記一対のケース部材に前記マスクを開いた状態で置き、前記ケース部材を閉じることにより、前記マスクの前記端部に前記当接部が接し、折り畳まれた状態で前記マスク紐が前記紐出し凹部から外側に引き出され、前記マスクの前側中心を縦に折り畳んだ状態で前記マスクが収容されることを特徴とするマスクケース。
【請求項2】
前記一対のケース部材は互いに同形状であり、
前記ケース部材の形状は、各々前記天面の中心を通過し前記閉鎖用側面に対して平行な仮想線を挟んで非対称の形状であり、
前記ヒンジ用側面には、前記仮想線を挟んで対称の位置に、一方にはヒンジ用軸部が設けられ、他方には前記ヒンジ用軸部を受ける形状の軸受け部が設けられ、
前記開閉部用側面の中心に隣接して前記固定部が設けられ、前記固定部の前記中心に隣接する部分に係止段部が形成され、前記一対のケース部材を閉じた時に一対の前記固定部の前記係止段部どうしが係止される
請求項1記載のマスクケース。
【請求項3】
前記側面の上端面であり互いに対面して閉じられる閉塞面には、前記マスクの前記端部を内側に位置決めするガイドリブが、前記側面の面方向に前記閉塞面から突出して設けられている請求項1又は2記載のマスクケース。
【請求項4】
互いに揺動可能に設けられた一対のケース部材と、前記ケース部材を開閉可能に連結するヒンジと、前記ヒンジによって閉じた状態を保持するための固定部から成り、前記一対のケース部材の開閉部側にマスクのマスク紐が向かうように
開いた状態で前記マスクを置き、前記ケース部材を閉じると、前記マスク紐を合わせるように前記マスクの前側中心を縦に折り畳んだ状態で収容されるマスクケースの使用方法であって、
前記ケース部材は、矩形の天面と、前記天面の辺を一周する4つの側面が
前記天面の角部から内側面側に突出して形成され、前記側面は、前記ヒンジが設けられたヒンジ用側面と、前記ヒンジ用側面に対して平行で前記ヒンジにより開閉する開閉部側である開閉部用側面と、前記ヒンジ用側面と前記開閉部用側面に交差する一対の閉鎖用側面が設けられ、
前記ケース部材の前記開閉部用側面には、前記マスクの前記マスク紐が設けられた端部に当接する当接部が設けられ、前記ヒンジには前記一対のケース部材を鈍角に開い
た状態を維持する係止部が設けられ、前記一対のケース部材は互いに同じ重さであり、
前記開閉部用側面の互いに対面して閉じられる閉塞面には、前記マスクの前記マスク紐を外側に引き出す紐出し凹部が形成され、前記紐出し凹部は、前記一対のケース部材が閉じた時に前記マスク紐に合致する位置に設けられた一対の紐出し孔となり、
前記一対のケース部材を前記係止部により所定の鈍角に開い
た状態を維持し任意の台面に置き、前記一対のケース部材の、前記ヒンジ用側面と前記天面の間の
前記角部が各々前記台面に接する脚部として前記台面に置き、前記開閉部用側面側が前記脚部で両側に傾斜して均等に開いて前記一対のケース部材を前記台面上で自立させ、
前記マスク紐を保持して、前記マスク紐が設けられた端部が前記開閉部用側面に当接する向きにして、開いた前記一対のケース部材
の前記紐出し凹部に前記マスク紐が向かうようにして前記一対のケース部材に前記マスクを置き、前記一対の当接部の間隔は、前記マスクの前記一対の端部の間隔よりも大きく、前記マスクは前記当接部に干渉することなく自重によって収められ、
前記ケース部材の前記天面の外側面を保持して、前記一対のケース部材の角度を小さくして閉じると、前記マスクは前記前側中心を縦に二つ折りされ、前記マスク本体を折り曲げる際の反発力によって前記マスクがせり上がり、せり上がる前記マスクの前記端部は前記当接部に当接して位置決めされ外れることが無く二つ折りされ、折り畳まれた状態で
前記マスク紐は前記紐出し凹部から外側に引き出され、前記一対のケース部材の前記固定部を互いに係止して前記マスクを収納することを特徴とするマスクケースの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マスクを収容するマスクケースに関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルスによる感染症の拡大により、飛沫感染防止等のために衛生用のマスクを常時着用していることが多い。しかし、食事等の際にはマスクを外す必要があり、外したマスクの取り扱いや収納に困る場合がある。従来、食事等のために一時的に外したマスクを収容するマスクケースがある。従来のマスクケースは、マスクを広げた状態で収納するものや、マスクケース内のフック部にマスクを係止してから折り畳むもの、あるいは係止用の可動壁を折り曲げて固定するもの等がある。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているマスク保管用ケースは、ケース構成体の一部が開閉可能とされ、閉止時にマスク収容空間にマスクを収容するものである。ケース構成体には、ケース本体の底部に倒れ込む倒伏位置とケース本体の底部から立ち上がる起立位置との間で折り畳み展開可能な可動壁を設け、ケース構成体を開くことで可動壁が起立位置へ展開するように構成するとともに、可動壁にマスクの耳掛け紐を係り合わせ得るようにしており、起立位置から倒伏位置に向かう可動壁でマスクの耳掛け紐の動きを規制しつつ耳掛け紐を、マスク収容空間に収まる方向に案内し得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マスクを広げた状態で収納するマスクケースの場合、マスクケース自体が大きくなるため、ポケットや小さなバッグに入れることが困難であり、携帯には向かない。一方、折り畳んで収納するマスクケースの場合、予めマスクを折り畳む必要があったり、係止フックに嵌め込んだり可動壁を折り曲げるなどして固定してから折り畳むものであり、収納作業が煩わしいものである。さらに、マスク面を手で触れて作業しないと収納できないものもあり、マスク表面に付着したウイルス等に触る恐れもある。上記特許文献の場合も、可動壁の引っ掛け部にマスクの耳掛け紐を係止して収容するため、収納作業が面倒である。また、可動壁を取り付けるため部品点数が多く、構造が複雑であった。
【0006】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で、簡単な操作によりワンタッチでマスクを自動的に二つ折りして収容することができるマスクケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いに揺動可能に設けられた一対のケース部材と、前記ケース部材を開閉可能に連結するヒンジと、前記ヒンジによって閉じた状態を保持するための固定部から成り、前記一対のケース部材の開閉部側にマスクのマスク紐が向かうように前記マスクを置き、前記ケース部材を閉じると、前記マスク紐を合わせるように前記マスクの前側中心を縦に折り畳んだ状態で収容されるマスクケースである。前記ケース部材は、矩形の天面と、前記天面の辺を一周する4つの側面が形成され、前記側面は、前記ヒンジが設けられたヒンジ用側面と、前記ヒンジ用側面に対して平行で前記ヒンジにより開閉する開閉部側である開閉部用側面と、前記ヒンジ用側面と前記開閉部用側面に交差する一対の閉鎖用側面が設けられ、前記ケース部材の前記開閉部用側面には、前記マスクの前記マスク紐が設けられた端部に当接する当接部が設けられ、前記ヒンジには前記一対のケース部材を鈍角に開いて維持する係止部が設けられ、前記一対のケース部材は互いに同じ重さであり、前記一対のケース部材を前記係止部により所定の鈍角に開いて維持し任意の台面に置くと、前記一対のケース部材の、前記ヒンジ用側面と前記天面の間の角部が各々前記台面に接する脚部となり、前記一対の脚部が前記台面に接し、同じ重さの前記一対のケース部材の前記一対の開閉部用側面側が、前記脚部から両側に傾斜して均等に開いて前記台面上で自立可能に設けられている。
【0008】
前記一対のケース部材は互いに同形状であり、前記ケース部材の形状は、各々前記天面の中心を通過し前記閉鎖用側面に対して平行な仮想線を挟んで非対称の形状であり、前記ヒンジ用側面には、前記仮想線を挟んで対称の位置に、一方にはヒンジ用軸部が設けられ、他方には前記ヒンジ用軸部を受ける形状の軸受け部が設けられ、前記開閉部用側面の中心に隣接して前記固定部が設けられ、前記固定部の前記中心に隣接する部分に係止段部が形成され、前記一対のケース部材を閉じた時に一対の前記固定部の前記係止段部どうしが係止されるものである。
【0009】
前記側面の上端面であり互いに対面して閉じられる閉塞面には、前記マスクの前記端部を内側に位置決めするガイドリブが、前記側面の面方向に前記閉塞面から突出して設けられている。
【0010】
前記開閉部用側面の互いに対面して閉じられる閉塞面には、前記マスクの前記マスク紐を外側に引き出す紐出し凹部が形成され、前記紐出し凹部は、前記一対のケース部材が閉じた時に前記マスク紐に合致する位置に設けられた一対の紐出し孔となる。
【0011】
前記ケース部材は、合成樹脂により一体に成形されている。また、前記一対のケース部材は、合成樹脂により前記ヒンジとともに一体に成形されたものでもよい。
【0012】
また本発明は、互いに揺動可能に設けられた一対のケース部材と、前記ケース部材を開閉可能に連結するヒンジと、前記ヒンジによって閉じた状態を保持するための固定部から成り、前記一対のケース部材の開閉部側にマスクのマスク紐が向かうように前記マスクを置き、前記ケース部材を閉じると、前記マスク紐を合わせるように前記マスクの前側中心を縦に折り畳んだ状態で収容されるマスクケースの使用方法であって、前記ケース部材は、矩形の天面と、前記天面の辺を一周する4つの側面が形成され、前記側面は、前記ヒンジが設けられたヒンジ用側面と、前記ヒンジ用側面に対して平行で前記ヒンジにより開閉する開閉部側である開閉部用側面と、前記ヒンジ用側面と前記開閉部用側面に交差する一対の閉鎖用側面が設けられ、前記ケース部材の前記開閉部用側面には、前記マスクの前記マスク紐が設けられた端部に当接する当接部が設けられ、前記ヒンジには前記一対のケース部材を鈍角に開いて維持する係止部が設けられ、前記一対のケース部材は互いに同じ重さであり、前記一対のケース部材を前記係止部により所定の鈍角に開いて維持し任意の台面に置き、前記一対のケース部材の、前記ヒンジ用側面と前記天面の間の角部を各々前記台面に接する脚部として前記台面に置き、前記開閉部用側面側が前記脚部で両側に傾斜して均等に開いて前記一対のケース部材を前記台面上で自立させ、前記マスク紐を保持して、前記マスク紐が設けられた端部が前記開閉部用側面に当接する向きにして、開いた前記一対のケース部材に前記マスクを置き、前記一対の当接部の間隔は、前記マスクの前記一対の端部の間隔よりも大きく、前記マスクは前記当接部に干渉することなく自重によって収められ、前記ケース部材の前記天面の外側面を保持して、前記一対のケース部材の角度を小さくして閉じると、前記マスクは前記前側中心を縦に二つ折りされ、前記マスク本体を折り曲げる際の反発力によって前記マスクがせり上がり、せり上がる前記マスクの前記端部は前記当接部に当接して位置決めされ外れることが無く二つ折りされ、折り畳まれた状態で前記一対のケース部材の前記固定部を互いに係止して前記マスクを収納するマスクケースの使用方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のマスクケースは、簡単な構造で、簡単な操作によりワンタッチでマスクを自動的に二つ折りして収容することができる。マスク本体に触らずに収容することができ、ウイルス等の接触感染を抑え衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の一実施形態のマスクケースの斜視図である。
【
図2】この実施形態のマスクケースのマスクを収納する工程を示す斜視図である。
【
図3】この実施形態のマスクケースのマスクを収納した状態を示す斜視図である。
【
図4】この実施形態のマスクケースの分解斜視図である。
【
図5】この実施形態のマスクケースの部分拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1~
図5はこの発明の一実施形態を示すもので、この実施形態のマスクケース10は、回動可能に連結された一対のケース部材12と、ケース部材12を開閉可能に連結するヒンジと、ヒンジによって閉じた状態を保持するための固定部32から成る。一対のケース部材12は同形状であり、ケース本体12はポリスチレン等の樹脂により射出成形等で一体に成形され、一対のケース部材12を合わせて閉じて収容空間11を形成し、収容空間11に後述するマスク48を収納する。
【0016】
ケース部材12について、
図4に基づいて説明する。ケース部材12は、矩形の天面14を有し、天面14の4つの辺から成る周縁には、低い側面16が一周して設けられている。側面16は、天面14の一方の面である内側面14a側に突出して設けられ、側面16の突出した上端面は、一対のケース部材12が閉じられた時に互いに当接して閉鎖される
閉塞面となる。内側面14aの反対側の面は外側面14bであり、マスクケース10が収容物であるマスク48を収容した時に外側となる。天面14は、例えば約10cm×約9cmの矩形であり、一般的な大人用のマスク48を、
マスク48の短辺と平行な前側中心で二つ折りした状態で収納可能な大きさである。
【0017】
天面14の約10cmの長辺に連続する側面16は、一方はヒンジが設けられるヒンジ用側面16aとなり、他方は開閉する開閉部用側面16bとなる。ヒンジ用側面16aと開閉部用側面16bは互いに平行である。ヒンジ用側面16aと開閉部用側面16bに交差し天面14の約9cmの短辺に連続する側面16は、一対の閉鎖用側面16cとなる。
【0018】
ヒンジ用側面16aには、一対のケース部材12を連結するヒンジとなるヒンジ用軸部18が設けられている。ヒンジ用軸部18は、ヒンジ用側面16aの長さの中心よりも、ヒンジ用側面16aを下にして内側面14aを見た時の左側に寄った位置に設けられている。ヒンジ用軸部18は、軸方向はヒンジ用側面16aに対して平行に位置し、ヒンジ用側面16aの少し外側に平行移動した位置にある。ヒンジ用軸部18の両端部には、ヒンジ用軸部18の直径よりも大きい径の円板状の保持突部20が一体に各々設けられ、保持突部20の端部がヒンジ用側面16aの上端面である閉塞面に連続して、ヒンジ用軸部18を支持している。ヒンジ用側面16aの閉塞面には、一対の保持突部20の間で、後述する軸受け部28が揺動可能に差し込まれる軸受け空間22が切り欠かれて形成されている。ヒンジ用側面16aの内側面14a側に位置する内周面は、一対の保持突部20の間で厚みが大きくなり、保持突部20の基端部を補強している。一対の保持突部20のうち、ヒンジ用側面16aを下にして内側面14aを見た時の右側に位置する保持突部20には、一対のケース部材12を組み立ててマスクケース10とした時に、一対のケース部材12の開き角度を制限する係止部24が設けられている。係止部24は、
図5に示すように、ヒンジ用側面16aの近傍で、保持突部20の円周方向に突出する三角形状であり、係止部24にはヒンジ用側面16aの面方向に対して平行に位置する係止面24aを有している。
【0019】
ヒンジ用側面16aの、ヒンジ用軸部18よりも少し右に寄った位置には、ガイドリブ26が設けられている。ガイドリブ26は、ヒンジ用側面16aの閉塞面から突出する矩形の板体であり、面方向はヒンジ用側面16aの面方向に対して平行である。ガイドリブ26の厚さは、ヒンジ用側面16aよりも薄い。そして、ヒンジ用側面16aの内周面は、ガイドリブ26に連続する位置で厚みが、ガイドリブ26の厚さ分が大きくなり、ガイドリブ26はこの厚い内周面と面一に設けられている。つまり、ヒンジ用側面16aの閉塞面の厚さを避けて、ヒンジ用側面16aの内側に設けられている。
【0020】
ヒンジ用側面16aの、右側に寄った位置には、ヒンジ用軸部18を受ける軸受け部28が設けられている。ヒンジ用軸部18と軸受け部28は、ヒンジ用側面16aの長手方向の中心から同じ長さ離れた位置に設けられている。軸受け部28は、ヒンジ用側面16aに対して平行な方向に長い半円筒形状であり、挿通方向の長さはヒンジ用軸部18とほぼ同じであり、一対の保持突部20の間に入る長さである。軸受け部28の内側の空間は、ヒンジ用軸部18が揺動可能に入る直径を有している。軸受け部28は、挿通方向はヒンジ用側面16aに対して平行に位置し、中心軸がヒンジ用側面16aの少し外側に平行移動した位置にあり、軸受け部28の外周面の一部がヒンジ用側面16aに連続して取り付けられ、ヒンジ用側面16aとは反対側が開口されている。ヒンジ用側面16aの閉塞面には、軸受け部28の両端部に隣接する位置に、保持突部20が揺動可能に差し込まれる保持突部用空間30が切り欠かれて形成されている。そして、ヒンジ用側面16aの内周面は、軸受け部28に一致する位置で厚みが大きくなり、軸受け部28の内周面側の厚みを維持し補強している。
【0021】
ヒンジ用側面16aに対して平行な開閉部用側面16bには、固定部32が設けられている。固定部32は、天面14の内側面14aを見て、ヒンジ用側面16aを下方にした時に、開閉部用側面16bの長手方向の中心に対して左側に連続する位置に設けられている。固定部32は、内側面14aに対して平行に、開閉部用側面16bの外側に突出する板状体である。内側面14aを見た時に、変形した直角三角形であり、開閉部用側面16bに一致し開閉部用側面16bに対して平行な長い辺32aと、辺32aに対して直角に交差し開閉部用側面16bの外側に突出する短い辺32bと、辺32aと辺32bを結ぶ斜めの辺32cから成る。固定部32は、厚みの約半分は開閉部用側面16bの外周面に連続し、残りの約半分は開閉部用側面16bの閉塞面から突出している。辺32aは、開閉部用側面16bの閉塞面に連続する面が上方に開放される嵌合段部34が形成されている。辺32bは、開閉部用側面16bの長手方向の中心に一致し、開閉部用側面16bの閉塞面に連続する面が下方に開放される係止段部36が形成されている。
【0022】
開閉部用側面16bの、外周面には、固定部32の辺32bに隣接して、外周面からくぼむ矩形の凹部38が設けられている。凹部38は、天面14の外側面14bに達する幅で、長手方向の長さは固定部32の長さと同じである。開閉部用側面16bの内側面14a側に位置する内周面は、凹部38に一致する位置で厚みが大きくなり、後述するマスク48の端部50aに当接する当接部39となる。当接部39には、ガイドリブ40が設けられている。ガイドリブ40はガイドリブ26と同じ大きさの矩形の板体であり、面方向は開閉部用側面16bの面方向に対して平行である。ガイドリブ40の厚さは、凹部38が形成された部分の開閉部用側面16bの閉塞面の厚さと同じであり、凹部38と当接部39に面一に設けられている。
【0023】
開閉部用側面16bの、固定部32に隣接する左側には、ガイドリブ42が設けられている。ガイドリブ42は、ガイドリブ26と同じ大きさの矩形の板体であり、面方向は開閉部用側面16bの面方向に対して平行である。ガイドリブ42の厚さは、開閉部用側面16bよりも薄い。そして、開閉部用側面16bの内周面は、ガイドリブ42に連続する位置で厚みが、ガイドリブ42の厚さ分が大きくなり、ガイドリブ42はこの厚い内周面と面一に設けられている。つまり、開閉部用側面16bの閉塞面の厚さを避けて、開閉部用側面16bの内側に設けられている。ガイドリブ40とガイドリブ42は、開閉部用側面16bの長手方向中心からの位置は互いに異なり、中心からはガイドリブ40の方が近く、ガイドリブ42は、ガイドリブ40の大きさ分の長さが、中心から遠くに位置している。
【0024】
開閉部用側面16bの、一対の閉鎖用側面16cに近い部分には、開閉部用側面16bの閉塞面に、紐出し孔43を形成する紐出し凹部44が各々切り欠かれて形成されている。一方の紐出し凹部44は、ガイドリブ42に隣接する位置から閉鎖用側面16cと交差する角部の少し手前までの長さを一定深さに切り欠いている。ガイドリブ42とは中心を挟んで反対の位置にも、同じ大きさの紐出し凹部44が形成されている。
【0025】
閉鎖用側面16cの、開閉部用側面16bに近い位置には、各々ガイドリブ46が設けられている。ガイドリブ46は、ガイドリブ26と同じ大きさの矩形の板体であり、面方向は閉鎖用側面16cの面方向に対して平行である。ガイドリブ46の厚さは、閉鎖用側面16cよりも薄い。そして、閉鎖用側面16cの内側面14a側に位置する内周面は、ガイドリブ46に連続する位置で厚みが、ガイドリブ46の厚さ分が大きくなり、ガイドリブ46はこの厚い内周面と面一に設けられている。つまり、閉鎖用側面16cの閉塞面の厚さを避けて、閉鎖用側面16cの内側に設けられている。一対のガイドリブ46は、開閉部用側面16bからの位置が互いに異なり、左側の閉鎖用側面16cのガイドリブ46は開閉部用側面16bと交差する角部の少し手前に設けられ、右側の閉鎖用側面16cのガイドリブ46は、ガイドリブ46の大きさ分が、そこから離れて位置している。
【0026】
次に、マスクケース10の組立方法について説明する。
図4に示すように、同形状のケース部材12一対を、天面14の内側面14aどうしを並べ、ヒンジ用側面16a同どうしを隣接し、各ヒンジ用軸部18を軸受け部28に入れ、連結する。軸受け部28の開口は、ヒンジ用軸部18の直径よりも僅かに狭く設定されているので、ヒンジ用軸部18を軸受け部28の内側空間に強く押し付けることで、軸受け部28が弾性変形して広がり、ヒンジ用軸部18が通過して内側の空間に嵌合する。ヒンジ用軸部18が内側の空間に入ると、軸受け部28の弾性変形が復元し、ヒンジ用軸部18が抜けることを防ぐ。ヒンジ用軸部18の周囲の軸受け空間22には軸受け部28が差し込まれ、揺動可能である。軸受け部28の両脇の保持突部用空間30には、ヒンジ用軸部18を支持する保持突部20が差し込まれ、揺動に支障がない。これでマスクケース10の組立が完了する。
【0027】
一対のケース部材12は、互いのヒンジ用側面16aで連結され、ヒンジ用軸部18と軸受け部28がヒンジとなり、ヒンジ用軸部18と軸受け部28を軸として揺動可能であり、開閉することができる。開いた状態では、
図5に示すように、保持突部20に形成された係止部24の、ヒンジ用側面16aの面方向に対して平行に位置する係止面24aが、他方のケース部材12の保持突部用空間30の端部にヒンジ用側面16aの外周面から当接し、それ以上開かないように開き角度を規制する。これにより、
図1に示すように、所定角度の開きを維持することができる。しかも、一対のケース部材12は同形状で、同じ重さであり、一対のケース部材12を開き、天面14の内側面14aを上向きにしてテーブル等の台面に置いた時、ヒンジ用側面16aと天面14の間の角部が脚部となり、脚部が台面に接し、マスクケース10は開閉部用側面16b側が脚部から両側に傾斜して浮き上がった状態で自立する。さらに、片側のケース部材12の天面14が台面に平行に対面して接触した状態までマスクケース10を倒した位置でも、脚部と脚部の間に重心が残るように開き角度を大きく設定すると、倒れた状態から自然に自立状態に戻るようになり、無造作に台面に置いても確実にケース部材12が上向きに開いて立った状態を維持する。なお、ケース部材12の開き角度は鈍角であり、直角以下角度であると、上記自立状態から一方のケース部材12の天面14が机等に重ねられた状態に倒れると、元の自立状態に戻らず、使用する際に不便なものとなる。
【0028】
次に、マスクケース10の使用方法について説明する。マスクケース10の収容物はマスク48であり、マスク48は、不織布等でつくられた矩形のマスク本体50を有し、マスク本体50は横方向に長い矩形であり、横方向の端部50aには、耳にかけるマスク紐52が設けられている。先ず、
図1に示すようにマスクケース10を、一対のケース部材12を所定の鈍角で開いた状態で机等に置き、自立させる。ケース部材12には、ヒンジ用軸部18の揺動を制御する係止部24が設けられており、ケース部材12を開くと所定の鈍角に開いて係止される。
【0029】
この状態で、マスク紐52を持って、マスク48を、端部50aが開閉部用側面16bの内周面に当接する向きにして、開いたマスクケース10の内側面14aに置く。マスク本体50の端部50aに交差する一対の側縁部50bは、閉鎖用側面16cの内周面に当接する向きとなる。一方のケース部材12のガイドリブ40,42から、他方のケース部材12のガイドリブ40,42までの長さは、マスク48の端部50aから端部50aまでの距離よりも大きくなるようにケース部材12が鈍角で開かれているので、マスク48は干渉することなく、自重によって収められる。この時、一対のマスク紐52は各々環状であり、各紐出し凹部44を通過して開閉部用側面16bの外側に位置する。マスク紐52を保持してマスク48を入れると、マスク本体50に触れなくても置くことができる。
【0030】
次に
図2に示すように、マスク48を所定の位置に置いた後、一対のケース部材12の角度を小さくして閉じる。それによって、マスク48は前側中心付近で二つ折りされる。この時、マスク本体50を折り曲げる際の反発力によってマスク48がせり上がるが、マスク本体50の端部50aは開閉部用側面16bの当接部39、ガイドリブ40,42に当接し、開閉部用側面16bから外側に外れることがなく、二つ折りされる。そして、マスク48はケース部材12から脱落することがなく、折り畳まれた状態でマスクケース10の収容空間11に収納される。
【0031】
マスク48の端部50aが開閉部用側面16bの閉塞面よりも若干浮き上がっていても、一対のケース部材12を閉める時にガイドリブ40,42で押し込まれて確実に収納される。端部50aに交差する一対の側縁部50bは、閉鎖用側面16cのガイドリブ46に当接し、閉鎖用側面16cの側方へもずれることがない。ヒンジ用側面16aにはガイドリブ26が設けられているため、一対のヒンジ用側面16aの間にマスク本体50が挟まることを防ぐ。ケース部材12を閉じる際に、ケース部材12の天面14の外側面14bを保持して閉じると、マスク48のマスク本体50に触れなくても閉じることができる。また、マスクケース10は脚部から開閉部用側面16b側の開口面にかけて両側に傾斜して浮き上がった状態で立てられているので、両側の開口面の傍に手を置き、両側のマスク紐52を手繰ってマスク48の形を整えながら収納位置を調整したりケース部材12を閉めたりする作業が、180°で開いている状態に比べて極めて容易であり、使用中のマスク48を一時収納する時などに大変便利である。
【0032】
そして、一対の開閉部用側面16bを近づけ、完全に閉じると、一対の固定部32は開閉部用側面16bの中心を挟んで辺32bどうしが対向し、辺32bの係止段部36が対面するが、強く押し付けると弾性変形して乗り越え、乗り越えたら弾性変形が復元して互いに係止され、4方の側面16の閉塞面が互いに密接し閉じた状態を保つ。固定部32の辺32aには嵌合段部34が設けられ、対向するケース部材12の開閉部用側面16bの閉塞面に、隙間なく当接する。ガイドリブ40とガイドリブ42は、開閉部用側面16bの長手方向中心からの位置は互いに異なり、中心からはガイドリブ40の方が近く、ガイドリブ42は、ガイドリブ40の大きさ分の長さが、中心から遠くに位置しているため、互に近傍に位置する。そしてガイドリブ40とガイドリブ42は、対向するケース部材12の開閉部用側面16bの内周面に沿って差し込まれて重ねられる。ガイドリブ26はヒンジ用側面16aに、また各ガイドリブ46は閉鎖用側面16cに、内周面に沿って差し込まれて重ねられる。
【0033】
これにより、マスク48のマスク本体50に手を触れることなく、ケース部材12を閉じるだけの簡単な操作でマスク48を自動的に折り畳んで収納する。一対のケース部材12の内側に収容空間11が形成され、
図3に示すように収容空間11にマスク48が収容された状態となる。対向するケース部材12の紐出し凹部44は連続して紐出し孔43となり、開閉部用側面16bに開口し、マスク紐52が外側に引き出された状態となる。マスク紐52を掴んで容易にマスク48を収納するだけでなく、収納後には持ち運び用の取手として使用できる。
【0034】
マスクケース10から収容したマスク48を取り出す時は、互いに係止された固定部32を、離す方向に力を加える。この時、固定部32には、対向するケース部材12の凹部38が隣接するため、固定部32に力を加えやすい。そしてケース部材12は弾性変形し、固定部32の係止段部36どうしが外れて係止が解除され、一対のケース部材12が開く。開いたケース部材12から、マスク48を、マスク紐52を保持して取り出し、耳にかけて顔につける。この時も、マスク本体50に触らずにつけることができる。なお、収納の際にマスク紐52をケース部材12内に畳み込めば、マスク紐52も収納可能である。
【0035】
この実施形態のマスクケース10によれば、簡単な構造で、ワンタッチでマスク48を自動的に二つ折りして収容することができる。マスク48のマスク本体50を手で触らずに収容したり取り出したりすることができ、衛生的である。食事等の時に一時的にマスク48を外して保管することができ、便利である。マスクケース10は同形状のケース部材12を一対組み合わせて設けられ、製造が簡単でコストが安価である。ケース部材12は、天面14の中心から閉鎖用側面16c方向に非対称形状であり、ケース部材12のヒンジ用側面16aを向かい合わせて組み合わせた時、ヒンジ用軸部18と軸受け部28が対応し、固定部32の係止段部36が互いに係止されるように対応し、さらに各ガイドリブ26,40,42,46が重ならないよう配置されることで、ケース部材12とケース部材12が同形状でも組み合わせが可能となる。金型代や製造工程を低減することができる。また異色材料のケース部材12を組み合わせることも可能である。ヒンジは、ヒンジ用軸部18と軸受け部28を組み合わせて設けるため、薄肉のヒンジのようにヒンジ特性のあるポリプロピレン等の樹脂を選択する必要がなく、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、メタクリル樹脂等、色々な種類の樹脂で作ることができる。合成樹脂を射出成形することによって容易に量産することが可能である。
【0036】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、天面や側面、ヒンジ用軸部、軸受け部、固定部等の形状や大きさ、数等、適宜変更可能である。当接部やガイドリブの位置や数も、確実にマスクを位置決めするものであれば良い。一対のケース部材の開き角度は、均等に開いて自立するものであれば良く、脚部の形状も突起や平坦面であってもよい。係止部の形状は、開き角度等に合わせて変更可能であり、ヒンジ用軸部と軸受け部の数や形状は、上記以外でも良く、円滑に開閉するものであれば良い。ヒンジ特性のある樹脂で製造すれば、薄肉のヒンジ部で一対のケース部材があらかじめ連結されて一体に成形されたものでもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 マスクケース
12 ケース部材
14 天面
16 側面
16a ヒンジ用側面
16b 開閉部用側面
16c 閉鎖用側面
18 ヒンジ用軸部
24 係止部
26,40,42,46 ガイドリブ
28 軸受け部
32 固定部
36 係止段部
39 当接部
43 紐出し孔
44 紐出し凹部
48 マスク
50 マスク本体
50a 端部
52 マスク紐