(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-01-06
(45)【発行日】2025-01-15
(54)【発明の名称】噴射ノズル
(51)【国際特許分類】
F23D 14/48 20060101AFI20250107BHJP
B05B 7/06 20060101ALI20250107BHJP
F01K 21/00 20060101ALI20250107BHJP
F01K 27/00 20060101ALI20250107BHJP
【FI】
F23D14/48 B
B05B7/06
F01K21/00 Z
F01K27/00 Z
(21)【出願番号】P 2021070765
(22)【出願日】2021-04-20
【審査請求日】2024-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】501261115
【氏名又は名称】株式会社アトマックス
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】池田 大祐
(72)【発明者】
【氏名】根本 貴宏
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-132993(JP,A)
【文献】特開2022-132992(JP,A)
【文献】特開2017-170422(JP,A)
【文献】国際公開第2013/161897(WO,A1)
【文献】特開2013-24500(JP,A)
【文献】特開2012-110875(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0303758(US,A1)
【文献】特開2000-45776(JP,A)
【文献】特開2020-78771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 7/06
F01K 27/00
F01K 21/00
F23D 14/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器で使用される噴射ノズルであって、
前記木質ガスが流れる本体側第1流路が中心に形成される筒状のノズル本体と、前記ノズル本体の先端側に固定される筒状のキャップ部材とを備え、
前記ノズル本体は、前記ノズル本体の先端部を構成する円筒状の小径筒部と、前記小径筒部に繋がるとともに前記小径筒部よりも外径が大きい円筒状の大径筒部とを備え、
前記ノズル本体には、圧縮空気が流れる本体側第2流路と、補助燃料ガスが流れる本体側第3流路とが形成され、
前記本体側第2流路の一端および前記本体側第3流路の一端は、前記大径筒部の外周面で開口し、前記本体側第2流路の他端および前記本体側第3流路の他端は、前記ノズル本体の外周側で前記小径筒部と前記大径筒部との境界部分に形成される段差面で開口し、
前記キャップ部材は、前記小径筒部の外周側に配置される円筒状の第1筒部と、前記第1筒部に繋がるとともに前記大径筒部に固定される円筒状の第2筒部とを備え、
前記第1筒部の内径は、前記第2筒部の内径よりも小さくなっており、
前記キャップ部材には、前記本体側第2流路の他端の開口および前記本体側第3流路の他端の開口から流出した前記圧縮空気および前記補助燃料ガスが流入する環状のキャップ側第1流路と、前記キャップ側第1流路から前記第1筒部の内周面に通じる複数のキャップ側第2流路とが形成され、
前記キャップ側第1流路は、前記キャップ部材の内周側で前記第1筒部と前記第2筒部との境界部分に形成される段差面から前記第1筒部側に向かって窪むように形成されるとともに、筒状に形成される前記キャップ部材の軸方向から見たときの前記キャップ側第1流路の形状は、円環状となっており、
前記キャップ側第2流路の一端は、前記キャップ側第1流路に繋がり、前記キャップ側第2流路の他端は、前記第1筒部の内周面で開口するとともに、前記キャップ側第2流路の一端と前記キャップ側第2流路の他端とは、前記第1筒部の周方向でずれており、
前記小径筒部の先端の開口から前記木質ガスが噴射され、
前記小径筒部および前記第1筒部の先端側における前記小径筒部の外周面と前記第1筒部の内周面との間から前記圧縮空気と前記補助燃料ガスとが混合された混合ガスが噴射されることを特徴とする噴射ノズル。
【請求項2】
前記本体側第2流路の他端および前記本体側第3流路の他端は、前記小径筒部の外周面と前記第1筒部の内周面との間にも直接、通じており、
前記本体側第2流路の他端の開口および前記本体側第3流路の他端の開口から流出する前記圧縮空気および前記補助燃料ガスは、前記小径筒部の外周面と前記第1筒部の内周面との間にも直接、流入することを特徴とする請求項1記載の噴射ノズル。
【請求項3】
前記ノズル本体には、2個の前記本体側第2流路と、2個の前記本体側第3流路とが形成され、
前記本体側第2流路と前記本体側第3流路とが、円筒状に形成される前記大径筒部の軸心に対して90°ピッチで交互に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の噴射ノズル。
【請求項4】
2個の前記本体側第3流路のうちの一方の前記本体側第3流路を流れる前記補助燃料ガスは、水素ガスであり、他方の前記本体側第3流路を流れる前記補助燃料ガスは、プロパンガスであることを特徴とする請求項3記載の噴射ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器で使用される噴射ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の流体を混合して対象物に吹き付ける流体ノズルが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の流体ノズルは、第1流体が流れる流路が中心に形成されるとともに先端が開口するノズル部を有する本体部と、ノズル部を覆う筒状のキャップとを備えている。キャップの内周側には、第2流体を通過させる旋回溝が形成されている。また、キャップには、旋回溝を通過した第2流体を通過させる貫通穴が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器で使用される噴射ノズル(流体ノズル)の構造を検討している。この噴射ノズルは、木質ガスを噴射する。一般に、木質ガスに含まれる水分量は比較的多いため、木質ガスは燃えにくい。すなわち、ガス燃焼器において、木質ガスを燃焼させることは容易ではない。
【0005】
そこで、本発明の課題は、木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器で使用される噴射ノズルにおいて、木質ガスを容易に燃焼させることが可能となる噴射ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の噴射ノズルは、木質チップから生成される木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器で使用される噴射ノズルであって、木質ガスが流れる本体側第1流路が中心に形成される筒状のノズル本体と、ノズル本体の先端側に固定される筒状のキャップ部材とを備え、ノズル本体は、ノズル本体の先端部を構成する円筒状の小径筒部と、小径筒部に繋がるとともに小径筒部よりも外径が大きい円筒状の大径筒部とを備え、ノズル本体には、圧縮空気が流れる本体側第2流路と、補助燃料ガスが流れる本体側第3流路とが形成され、本体側第2流路の一端および本体側第3流路の一端は、大径筒部の外周面で開口し、本体側第2流路の他端および本体側第3流路の他端は、ノズル本体の外周側で小径筒部と大径筒部との境界部分に形成される段差面で開口し、キャップ部材は、小径筒部の外周側に配置される円筒状の第1筒部と、第1筒部に繋がるとともに大径筒部に固定される円筒状の第2筒部とを備え、第1筒部の内径は、第2筒部の内径よりも小さくなっており、キャップ部材には、本体側第2流路の他端の開口および本体側第3流路の他端の開口から流出した圧縮空気および補助燃料ガスが流入する環状のキャップ側第1流路と、キャップ側第1流路から第1筒部の内周面に通じる複数のキャップ側第2流路とが形成され、キャップ側第1流路は、キャップ部材の内周側で第1筒部と第2筒部との境界部分に形成される段差面から第1筒部側に向かって窪むように形成されるとともに、筒状に形成されるキャップ部材の軸方向から見たときのキャップ側第1流路の形状は、円環状となっており、キャップ側第2流路の一端は、キャップ側第1流路に繋がり、キャップ側第2流路の他端は、第1筒部の内周面で開口するとともに、キャップ側第2流路の一端とキャップ側第2流路の他端とは、第1筒部の周方向でずれており、小径筒部の先端の開口から木質ガスが噴射され、小径筒部および第1筒部の先端側における小径筒部の外周面と第1筒部の内周面との間から圧縮空気と補助燃料ガスとが混合された混合ガスが噴射されることを特徴とする。
【0007】
本発明の噴射ノズルでは、キャップ部材は、ノズル本体の小径筒部の外周側に配置される第1筒部を備えており、キャップ部材には、ノズル本体に形成される本体側第2流路の他端の開口および本体側第3流路の他端の開口から流出した圧縮空気および補助燃料ガスが流入する円環状のキャップ側第1流路と、キャップ側第1流路から第1筒部の内周面に通じる複数のキャップ側第2流路とが形成されている。また、本発明では、キャップ側第1流路は、キャップ部材の内周側で第1筒部と第2筒部との境界部分に形成される段差面から第1筒部側に向かって窪むように形成され、キャップ側第2流路の一端は、キャップ側第1流路に繋がり、キャップ側第2流路の他端は、第1筒部の内周面で開口している。
【0008】
そのため、本発明では、キャップ側第2流路を通過した圧縮空気および補助燃料ガスは、第1筒部の内周側に向かって流出する。したがって、本発明では、キャップ側第2流路を通過した圧縮空気および補助燃料ガスをノズル本体の小径筒部の外周面に衝突させて、小径筒部の外周面と第1筒部の内周面との間で乱流を効率的に発生させることが可能になる。その結果、本発明では、小径筒部の先端の開口から噴射される木質ガスと、小径筒部および第1筒部の先端側における小径筒部の外周面と第1筒部の内周面との間から噴射される混合ガスとを効率的に混ぜ合わせることが可能になる。したがって、本願発明者の検討によると、本発明の噴射ノズルを使用したガス燃焼器では、木質ガスを容易に燃焼させることが可能になる。
【0009】
本発明において、本体側第2流路の他端および本体側第3流路の他端は、小径筒部の外周面と第1筒部の内周面との間にも直接、通じており、本体側第2流路の他端の開口および本体側第3流路の他端の開口から流出する圧縮空気および補助燃料ガスは、小径筒部の外周面と第1筒部の内周面との間にも直接、流入することが好ましい。このように構成すると、第1筒部の内周側に向かって小径筒部の外周面と第1筒部の内周面との間に流入する圧縮空気および補助燃料ガスと、小径筒部および第1筒部の先端側に向かって小径筒部の外周面と第1筒部の内周面との間に直接流入する圧縮空気および補助燃料ガスとによって、小径筒部の外周面と第1筒部の内周面との間でより複雑な乱流を発生させることが可能になる。したがって、小径筒部の先端の開口から噴射される木質ガスと、小径筒部および第1筒部の先端側における小径筒部の外周面と第1筒部の内周面との間から噴射される混合ガスとをより効率的に混ぜ合わせることが可能になる。
【0010】
本発明において、ノズル本体には、2個の本体側第2流路と、2個の本体側第3流路とが形成され、本体側第2流路と本体側第3流路とが、円筒状に形成される大径筒部の軸心に対して90°ピッチで交互に配置されていることが好ましい。このように構成すると、小径筒部の外周面と第1筒部の内周面との間で発生する乱流の、小径筒部の周方向における偏りを抑制することが可能になる。したがって、小径筒部の先端の開口から噴射される木質ガスと、小径筒部および第1筒部の先端側における小径筒部の外周面と第1筒部の内周面との間から噴射される混合ガスとをより効率的に混ぜ合わせることが可能になる。
【0011】
本発明において、2個の本体側第3流路のうちの一方の本体側第3流路を流れる補助燃料ガスは、水素ガスであり、他方の本体側第3流路を流れる補助燃料ガスは、プロパンガスであることが好ましい。本願発明者の検討によれば、このように構成すると、本発明の噴射ノズルを使用したガス燃焼器において、木質ガスをより容易に燃焼させることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明の噴射ノズルを使用したガス燃焼器では、木質ガスを容易に燃焼させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる発電システムの構成を説明するための概略図である。
【
図2】
図1に示すガス燃焼器の構成を説明するための概略図である。
【
図4】(A)は、
図3に示すノズル本体の側面図であり、(B)は、(A)のE-E断面の断面図である。
【
図5】(A)は、
図3に示すキャップ部材の側面図であり、(B)は、(A)のF-F断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(発電システム、ガス化炉およびガス燃焼器の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる発電システム1の構成を説明するための概略図である。
図2は、
図1に示すガス燃焼器5の構成を説明するための概略図である。
【0021】
本形態の発電システム1は、ガス化炉2とボイラー3と発電機4とを備えている。ガス化炉2は、木質チップを乾留して木質チップから木質ガスを生成する。本形態の木質チップは、チップ状に粉砕された木材からなる木材チップである。木材チップの大きさは、数mm程度となっている。ボイラー3には、ガス化炉2で生成された木質ガスが供給される。具体的には、ガス化炉2で生成された木質ガスがそのまま、ボイラー3に供給される。ボイラー3は、木質ガスを燃焼させて水蒸気を生成する。ボイラー3は、木質ガスを燃焼させるためのガス燃焼器5等を備えている。発電機4には、ボイラー3で生成された水蒸気が供給される。発電機4は、ボイラー3で生成された水蒸気によって回転する蒸気タービン6等を備えている。
【0022】
ガス化炉2は、内部に1次燃焼室10および2次燃焼室11が形成されるガス化炉本体12と、ガス化炉本体12の内部に配置される仕切り部材13とを備えている。仕切り部材13は、上下方向でガス化炉本体12の内部を仕切っている。ガス化炉本体12では、ガス化炉本体12の内部の、仕切り部材13の上側が1次燃焼室10となっており、ガス化炉本体12の内部の、仕切り部材13の下側が2次燃焼室11となっている。1次燃焼室10には、上側から木質チップが供給される。1次燃焼室10では、たとえば、300~600℃程度で木質チップが加熱されて、炭化した木質チップからなる炭化物と1次生成ガスとが生成される。
【0023】
仕切り部材13は、たとえば、パンチングメタルであり、仕切り部材13には、1次燃焼室10で生成された炭化物が2次燃焼室11に向かって通過する複数の通過穴が形成されている。1次燃焼室10で生成された炭化物は、自重によって仕切り部材13の通過穴を通過して2次燃焼室11に落下する。2次燃焼室11では、1次燃焼室10で生成された炭化物が、たとえば、1000~1200℃程度で加熱される。2次燃焼室11には、1次燃焼室10で生成された1次生成ガスが供給される。2次燃焼室11では、炭化物と1次生成ガスとを用いて木質ガスが生成される。なお、2次燃焼室11には、圧縮空気が供給されても良い。
【0024】
また、ガス化炉2は、ガス化炉本体12に供給される木質チップが収容されるチップ収容部14と、2次燃焼室11で生成された木質ガスを取り出すための取出用配管15と、1次燃焼室10で生成された1次生成ガスを2次燃焼室11に供給するための供給用配管16とを備えている。チップ収容部14は、ガス化炉本体12の上側に配置されている。チップ収容部14には、上側から木質チップが供給される。具体的には、粉砕機で粉砕された木材チップがコンベヤ等によって上側からチップ収容部14に供給される。ガス化炉本体12には、チップ収容部14に収容される木質チップが自重で順次供給される。
【0025】
取出用配管15は、2次燃焼室11とガス燃焼器5との間に配置されている。取出用配管15の一端は、2次燃焼室11の上面側に繋がっている。取出用配管15は、2次燃焼室11から上側に向かって引き回されており、取出用配管15の一部は、1次燃焼室10の内部およびチップ収容部14の内部に配置されている。2次燃焼室11から取り出される木質ガスは、1次燃焼室10の内部およびチップ収容部14の内部に配置される取出用配管15の一部を通過する。取出用配管15の途中には、2次燃焼室11で生成された木質ガスをガス燃焼器5に送る送風機が配置されている。
【0026】
供給用配管16は、1次燃焼室10と2次燃焼室11との間に配置されている。供給用配管16の途中には、1次燃焼室10で生成された1次生成ガスを2次燃焼室11に送る送風機17が配置されている。供給用配管16の一端は、2次燃焼室11の内壁の接線方向に1次生成ガスが供給されるように2次燃焼室11の外周側から2次燃焼室11に繋がっている。そのため、2次燃焼室11では、炭化物と1次生成ガスとが旋回する。すなわち、2次燃焼室11では、炭化物と1次生成ガスとが旋回しながら燃焼する。
【0027】
上述のように、ボイラー3は、ガス燃焼器5を備えている。ガス燃焼器5は、ボイラー3の燃焼室の中に設置されており、ボイラー3は、ガス燃焼器5で発生する熱によって水蒸気を生成する。ガス燃焼器5は、有底の筒状に形成される金属製の外筒20と、有底の筒状に形成され外筒20の内側に配置される金属製の内筒21と、内筒21の内側に配置されるセラミック製のセラミック部材22と、ガス化炉2から供給される木質ガス(すなわち、木質チップから生成される木質ガス)を内筒21の内側に向かって噴射する噴射ノズル23とを備えている。外筒20および噴射ノズル23は、ガス燃焼器5のフレーム(図示省略)に固定されている。また、ガス燃焼器5は、木質ガスに火をつけるための着火機構(図示省略)を備えている。
【0028】
外筒20は、たとえば、ステンレス鋼で形成されている。外筒20は、筒状の外側筒部20aと、外側筒部20aの一端を塞ぐ外側底部20bとを備えている。本形態の外筒20は、有底の円筒状に形成されている。すなわち、外側筒部20aは、円筒状に形成され、外側底部20bは、円板状に形成されている。外側筒部20aおよび外側底部20bには、多数の貫通穴20cが形成されている。すなわち、外筒20には、多数の貫通穴20cが形成されている。貫通穴20cは、たとえば、丸穴である。
【0029】
内筒21は、たとえば、ステンレス鋼で形成されている。内筒21は、筒状の内側筒部21aと、内側筒部21aの一端を塞ぐ内側底部21bとを備えている。本形態の内筒21は、有底の円筒状に形成されており、内側筒部21aは、円筒状に形成され、内側底部21bは、円板状に形成されている。内側筒部21aの外径は、外側筒部20aの内径よりも小さくなっている。内側筒部21aおよび内側底部21bには、多数の貫通穴21cが形成されている。すなわち、内筒21には、多数の貫通穴21cが形成されている。貫通穴21cは、たとえば、丸穴である。内筒21は、外筒20を介してガス燃焼器5のフレーム(図示省略)に固定されている。
【0030】
内筒21は、内側底部21bが外側底部20b側に配置されるように外筒20の内側に挿入されている。すなわち、内筒21の開口は、外筒20の開口側に配置されている。本形態では、内筒21の全体が外筒20の内側に配置されている。外側筒部20aと内側筒部21aとの間には隙間が形成されている。すなわち、外側筒部20aの内周面と内側筒部21aの外周面との間には隙間が形成されている。また、外側底部20bと内側底部21bとの間にも隙間が形成されている。セラミック部材22は、円板状に形成されている。セラミック部材22には、所定の大きさの空隙が形成されている。セラミック部材22は、内側底部21bに固定されている。セラミック部材22は、噴射ノズル23から噴射された木質ガスが衝突する位置に配置されている。
【0031】
噴射ノズル23は、外筒20および内筒21の開口側に配置されている。また、噴射ノズル23は、外筒20および内筒21の外側に配置されている。噴射ノズル23には、取出用配管15が繋がっており、ガス化炉2で生成された木質ガスが供給される。噴射ノズル23は、上述のように、内筒21の内側に向かって木質ガスを噴射する。噴射ノズル23の具体的な構成については後述する。
【0032】
噴射ノズル23から噴射された木質ガスは、内筒21の内側に配置されるセラミック部材22に衝突した後、内筒21の貫通穴21cから内筒21と外筒20との間の隙間に噴き出す。内筒21と外筒20との間の隙間に噴き出した木質ガスは、その後、外筒20の貫通穴20cから外筒20の外側に噴き出す。木質ガスは、少なくとも外側筒部20aの外側および外側底部20bの外側で燃える。すなわち、ガス燃焼器5では、少なくとも外側筒部20aの外側および外側底部20bの外側で炎Bが発生する。なお、炎Bは、外筒20の内側で発生することもある。
【0033】
(噴射ノズルの構成)
図3は、
図2に示す噴射ノズル23の断面図である。
図4(A)は、
図3に示すノズル本体27の側面図であり、
図4(B)は、
図4(A)のE-E断面の断面図である。
図5(A)は、
図3に示すキャップ部材28の側面図であり、
図5(B)は、
図5(A)のF-F断面の断面図である。
図6は、
図5(B)のG-G断面の断面図である。
【0034】
上述のように、ガス燃焼器5は、噴射ノズル23を備えている。すなわち、噴射ノズル23は、ガス燃焼器5で使用される。噴射ノズル23は、多流体ノズルである。噴射ノズル23には、木質ガスに加えて、圧縮空気と補助燃料ガスとが供給される。本形態では、補助燃料ガスとして、水素ガスおよびプロパンガスが噴射ノズル23に供給される。噴射ノズル23は、補助燃料ガスと圧縮空気とが混合された混合ガスが混ざった木質ガスを内筒21の内側に向かって噴射する。すなわち、噴射ノズル23は、主成分となる木質ガスに、水素ガスとプロパンガスと圧縮空気とが混合された混合ガスが混ざっているガスを内筒21の内側に向かって噴射する。
【0035】
噴射ノズル23は、木質ガスが流れる流路27aが中心に形成される筒状のノズル本体27と、ノズル本体27の先端側に固定される筒状のキャップ部材28と、ノズル本体27に固定される円環状の固定部材29とを備えている。筒状に形成されるノズル本体27の軸心と、筒状に形成されるキャップ部材28の軸心と、円環状に形成される固定部材29の軸心とは一致している。
【0036】
以下の説明では、噴射ノズル23の軸方向を左右方向とする。また、左右方向の一方側である
図3等のX1方向側を「左」側とし、その反対側である
図3等のX2方向側を「右」側とする。左右方向は、筒状に形成されるノズル本体27の軸方向であるとともに、筒状に形成されるキャップ部材28の軸方向である。本形態では、噴射ノズル23の左端が噴射ノズル23の先端となっている。また、ノズル本体27の左端がノズル本体27の先端となっており、キャップ部材28の左端がキャップ部材28の先端となっている。
【0037】
また、以下の説明では、噴射ノズル23の径方向を「径方向」とし、噴射ノズル23の周方向を「周方向」とする。噴射ノズル23の径方向は、ノズル本体27およびキャップ部材28の径方向でもある。また、噴射ノズル23の径方向は、ノズル本体27の一部を構成する後述の小径筒部27b、大径筒部27c、および、キャップ部材28の一部を構成する後述の第1筒部28a、第2筒部28bの径方向でもある。また、噴射ノズル23の周方向は、ノズル本体27およびキャップ部材28の周方向でもあるとともに、小径筒部27b、大径筒部27c、第1筒部28aおよび第2筒部28bの周方向でもある。
【0038】
ノズル本体27は、ノズル本体27の先端部(左端部)を構成する円筒状の小径筒部27bと、小径筒部27bよりも外径が大きい円筒状の大径筒部27cと、ガス燃焼器5のフレーム(図示省略)に固定される四角筒状の被固定部27dとを備えている。大径筒部27cは、小径筒部27bの右端に繋がっている。被固定部27dは、大径筒部27cの右端に繋がっている。本形態のノズル本体27は、小径筒部27bと大径筒部27cと被固定部27dとによって構成されている。小径筒部27bの軸心と大径筒部27cの軸心と被固定部27dの軸心とは一致している。
【0039】
小径筒部27b、大径筒部27cおよび被固定部27dの内周側が流路27aとなっている。流路27aは、左右方向でノズル本体27を貫通している。流路27aの一端は、小径筒部27bの左端(先端)で開口し、流路27aの他端は、被固定部27dの右端で開口している。流路27aには、ガス化炉2で生成された木質ガスが右側から流れ込む。すなわち、噴射ノズル23には、被固定部27dの右端の開口から木質ガスが流れ込む。小径筒部27bの左端の開口は、木質ガスを噴射する噴射口となっている。すなわち、噴射ノズル23では、小径筒部27bの先端の開口から木質ガスが噴射される。本形態の流路27aは、本体側第1流路である。
【0040】
小径筒部27bの外径は一定になっている。一方、大径筒部27cは段付きの円筒状に形成されており、大径筒部27cの外径は一定にはなっていない。大径筒部27cは、大径筒部27cの左端部を構成する円筒状の第1大径筒部27eと、第1大径筒部27eよりも外径が大きい円筒状の第2大径筒部27fと、第2大径筒部27fより外径が大きい円筒状の第3大径筒部27gとによって構成されている。第1大径筒部27eは、小径筒部27bの右端に繋がっている。また、第2大径筒部27fは、第1大径筒部27eの右端に繋がり、第3大径筒部27gは、第2大径筒部27fの右端に繋がっている。
【0041】
第1大径筒部27eの外周面には、キャップ部材28の内周面に形成されるメネジが係合するオネジが形成されている。第2大径筒部27fの外周面には、固定部材29の内周面に形成されるメネジが係合するオネジが形成されている。大径筒部27cの内径は一定になっている。また、小径筒部27bの内径は一定になっている。大径筒部27cの内径は、小径筒部27bの内径と等しくなっている。
【0042】
ノズル本体27には、圧縮空気が流れる2個の流路27hと、水素ガスが流れる1個の流路27jと、プロパンガスが流れる1個の流路27jとが形成されている。すなわち、ノズル本体27には、圧縮空気が流れる2個の流路27hと、補助燃料ガスが流れる2個の流路27jとが形成されている。本形態の流路27hは、本体側第2流路である。また、本形態の流路27jは、本体側第3流路であり、2個の本体側第3流路のうちの一方の本体側第3流路を流れる補助燃料ガスが水素ガスとなっており、他方の本体側第3流路を流れる補助燃料ガスがプロパンガスとなっている。
【0043】
流路27h、27jは、径方向において、流路27aよりも外側に形成されている。流路27h、27jの一端は、大径筒部27cの外周面で開口している。具体的には、流路27h、27jの一端は、第3大径筒部27gの外周面で開口している。流路27h、27jの他端は、ノズル本体27の外周側で小径筒部27bと大径筒部27cとの境界部分(より具体的には、小径筒部27bと第1大径筒部27eとの境界部分)に形成される段差面27kで開口している。流路27hと流路27jとは、円筒状に形成される大径筒部27cの軸心に対して90°ピッチで交互に配置されている。
【0044】
流路27h、27jは、第3大径筒部27gの外周面から径方向の内側に向かって伸びる直線状の径方向流路27pと、径方向流路27pの径方向の内側端から左側に向かって伸びる直線状の軸方向流路27rとから構成されている。すなわち、流路27h、27jの一端と流路27h、27jの他端とは、周方向において同じ位置に配置されており、流路27h、27jの断面形状は、
図4(B)等に示すように、L形状となっている。径方向流路27pおよび軸方向流路27rは丸穴である。本形態では、径方向流路27pの内径が軸方向流路27rの内径よりも大きくなっている。
【0045】
第3大径筒部27gの外周面に形成される流路27hの一端の開口には、配管を介して圧縮空気の供給装置(図示省略)が接続されている。流路27hに供給された圧縮空気は、段差面27kに形成される流路27hの他端の開口から流出する。第3大径筒部27gの外周面に形成される一方の流路27jの一端の開口には、配管を介して水素ガスの供給装置(図示省略)が接続され、第3大径筒部27gの外周面に形成される他方の流路27jの一端の開口には、配管を介してプロパンガスの供給装置(図示省略)が接続されている。流路27jに供給された水素ガスやプロパンガスは、段差面27kに形成される流路27jの他端の開口から流出する。
【0046】
キャップ部材28は、ノズル本体27の小径筒部27bの外周側に配置される円筒状の第1筒部28aと、大径筒部27cに固定される円筒状の第2筒部28bとを備えている。第1筒部28aは、キャップ部材28の左端部(先端部)を構成している。第2筒部28bは、第1筒部28aの右端に繋がっている。本形態のキャップ部材28は、第1筒部28aと第2筒部28bとによって構成されている。第1筒部28aの軸心と第2筒部28bの軸心とは一致している。第1筒部28aの内径は、第2筒部28bの内径よりも小さくなっている。
【0047】
第2筒部28bの外径および内径は一定となっている。第2筒部28bの内周面には、第1大径筒部27eの外周面に形成されるオネジに係合するメネジが形成されている。第2筒部28bの内周面のメネジと第1大径筒部27eの外周面のオネジとが係合することで、キャップ部材28は、ノズル本体27に固定されている。キャップ部材28の内周側で第1筒部28aと第2筒部28bとの境界部分に形成される段差面28cは、ノズル本体27の段差面27kと所定の接触圧で接触している。
【0048】
キャップ部材28には、ノズル本体27の流路27h、27jの他端の開口から流出した圧縮空気および補助燃料ガス(すなわち、圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガス)が流入する環状の流路28dと、流路28dから第1筒部28aの内周面に通じる複数の流路28eが形成されている。本形態では、8個の流路28eがキャップ部材28に形成されている。本形態の流路28dは、キャップ側第1流路であり、流路28eは、キャップ側第2流路である。
【0049】
流路28dは、段差面28cから左側に向かって窪むように形成されている。すなわち、流路28dは、段差面28cから第1筒部28a側に向かって窪むように形成されている。流路28dは、第1筒部28aの右端から、第1筒部28aの左右方向の中間位置まで形成されている。左右方向から見たときの流路28dの形状(すなわち、筒状に形成されるキャップ部材28の軸方向から見たときの流路28dの形状)は、円環状になっている。左右方向から見たときの流路28dの曲率中心は、キャップ部材28の軸心と一致している。
【0050】
径方向における流路28dの外側面は、径方向における軸方向流路27rの外側端よりも径方向において内側に配置され、径方向における流路28dの内側面は、径方向における軸方向流路27rの内側端よりも径方向において外側に配置されている。第1筒部28aの、径方向において流路28dの内側に配置される部分は、円筒状の内側第1筒部28fとなっている。内側第1筒部28fの右端面は、段差面28cよりも左側に配置されている。
【0051】
第1筒部28aの外周面は、左側に向かうにしたがって(すなわち、キャップ部材28の先端側に向かうにしたがって)径方向の内側に向かって傾斜する傾斜面となっている。第1筒部28aの内周面の左端部は、左側に向かうにしたがって径方向の外側に向かって傾斜する傾斜面28gとなっている。第1筒部28aの、傾斜面28gを除いた部分の内径は一定になっている。第1筒部28aの内径は、小径筒部27bの外径よりも大きくなっている。小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間には、周方向の全域に亘って隙間が形成されている。第1筒部28aの内周面は、径方向における軸方向流路27rの内側端よりも径方向においてわずかに外側に配置されている。第1筒部28aの左端面は、小径筒部27bの左端面と左右方向において同じ位置に配置されているか、小径筒部27bの左端面よりもわずかに左側に配置されている。
【0052】
流路28eは丸穴である。流路28eの一端は、流路28dに繋がっている。流路28eの他端は、第1筒部28aの内周面で開口している。具体的には、流路28eの他端は、内側第1筒部28fの内周面で開口している。流路28eの一端と流路28eの他端とは、左右方向において同じ位置に配置されている。また、流路28eの一端と流路28eの他端とは、周方向でずれている。本形態の流路28eは、渦巻き状に形成されており、左右方向から見たときの流路28eの形状は、曲線状となっている。8個の流路28eは、周方向において一定のピッチで配置されている。すなわち、8個の流路28eは、第1筒部28aの軸心に対して45°ピッチで配置されている。
【0053】
噴射ノズル23では、ノズル本体27の流路27h、27jの他端の開口から流出する圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガスは、流路28dを通過した後、流路28eを通過して、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間に流入する。本形態では、流路27h、27jの他端の開口から流出する圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガスが円環状の流路28dに流入するため、流路28dにおいて圧縮空気と水素ガスとプロパンガスとを混合させることが可能になっている。
【0054】
また、上述のように、内側第1筒部28fの右端面は、段差面28cよりも左側に配置されており、内側第1筒部28fの右端面と段差面27kとの間には隙間が形成されているため、流路27h、27jの他端は、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間にも直接、通じている。したがって、流路27h、27jの他端の開口から流出する圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガスは、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間にも直接、流入する。
【0055】
小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間に流入した圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガスは、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間で混合されて、小径筒部27bおよび第1筒部28aの左端側における小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間から噴射される。すなわち、噴射ノズル23では、小径筒部27bおよび第1筒部28aの先端側における小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間から圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガスとが混合された混合ガスが噴射されており、噴射ノズル23の先端の、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間には、混合ガスを噴射する噴射口が形成されている。
【0056】
上述のように、流路28eの一端と流路28eの他端とが周方向でずれているため、噴射ノズル23の先端の、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間から噴射される混合ガスは、概ね渦巻き状に旋回している。噴射ノズル23の先端の、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間から噴射される混合ガスは、噴射ノズル23の先端において、小径筒部27bの先端の開口から噴射される木質ガスと混合される。噴射ノズル23から噴射されるガス(すなわち、混合ガスが混ざっている木質ガス)は、圧縮空気の作用によって細かな霧状になっている。また、噴射ノズル23から噴射されるガスは、概ね渦巻き状に旋回している。すなわち、噴射ノズル23から噴射されるガスの流れは渦流となっている。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の噴射ノズル23では、キャップ部材28は、ノズル本体27の小径筒部27bの外周側に配置される第1筒部28aを備えており、キャップ部材28には、ノズル本体27に形成される流路27h、27jの他端の開口から流出した圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガスが流入する円環状の流路28dと、流路28dから第1筒部28aの内周面に通じる8個の流路28eとが形成されている。また、本形態では、流路28eの一端は、流路28dに繋がり、流路28eの他端は、第1筒部28aの内周面で開口している。
【0058】
そのため、本形態では、流路28eを通過した圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガスは、第1筒部28aの内周側に向かって流出する。したがって、本形態では、流路28eを通過した圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガスを小径筒部27bの外周面に衝突させて、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間で乱流を効率的に発生させることが可能になる。その結果、本形態では、小径筒部27bの先端の開口から噴射される木質ガスと、噴射ノズル23の先端の、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間から噴射される混合ガスとを効率的に混ぜ合わせることが可能になる。したがって、本願発明者の検討によると、本形態の噴射ノズル23を使用したガス燃焼器5では、木質ガスを容易に燃焼させることが可能になる。
【0059】
本形態では、流路27h、27jの他端は、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間にも直接、通じており、流路27h、27jの他端の開口から流出する圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガスは、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間にも直接、流入する。そのため、本形態では、第1筒部28aの内周側に向かって小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間に流入する圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガスと、噴射ノズル23の先端側に向かって小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間に直接流入する圧縮空気、水素ガスおよびプロパンガスとによって、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間でより複雑な乱流を発生させることが可能になる。したがって、本形態では、小径筒部27bの先端の開口から噴射される木質ガスと、噴射ノズル23の先端の、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間から噴射される混合ガスとをより効率的に混ぜ合わせることが可能になる。
【0060】
本形態では、ノズル本体27において、圧縮空気が流れる流路27hと、水素ガスまたはプロパンガスが流れる流路27jとが大径筒部27cの軸心に対して90°ピッチで交互に配置されている。そのため、本形態では、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間で発生する乱流の周方向における偏りを抑制することが可能になる。したがって、本形態では、小径筒部27bの先端の開口から噴射される木質ガスと、噴射ノズル23の先端の、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間から噴射される混合ガスとをより効率的に混ぜ合わせることが可能になる。
【0061】
本形態では、ガス燃焼器5は、外筒20と、外筒20の内側に配置される内筒21と、内筒21の内側に配置されるセラミック部材22とを備えている。また、本形態では、外側筒部20aと内側筒部21aとの間、および、外側底部20bと内側底部21bとの間に、隙間が形成されている。さらに、本形態では、外側筒部20aおよび外側底部20bに多数の貫通穴20cが形成されるとともに、内側筒部21aおよび内側底部21bに多数の貫通穴21cが形成されており、少なくとも外側筒部20aの外側および外側底部20bの外側で炎Bが発生する。そのため、本願発明者の検討によれば、本形態のガス燃焼器5では、木質ガスをより容易に燃焼させることが可能になる。
【0062】
なお、本形態では、内筒21の内側に配置されるセラミック部材22の作用によって、内筒21の内側で木質ガスの水分量を低減することが可能になる。また、本形態では、熱せられたセラミック部材22の作用によって、内筒21の内側の温度低下を抑制することが可能になる。さらに、本形態では、内筒21の貫通穴21cから噴き出した木質ガスを内筒21と外筒20との間の隙間に滞留させることで、内筒21と外筒20との間の隙間の温度低下を抑制することが可能になる。
【0063】
また、本形態では、内筒21の貫通穴21cから噴き出す木質ガスの作用によって、内筒21と外筒20との間の隙間で滞留する木質ガスに乱流を生じさせて、内筒21と外筒20との間の隙間で滞留する木質ガスを攪拌させるとともに、攪拌されて均質化された木質ガスを外筒20の貫通穴20cから噴き出させて外側筒部20aの外側および外側底部20bの外側で燃やすことが可能になる。本形態では、これらが相まって、ガス燃焼器5において、木質ガスをより容易に燃焼させることが可能になると推定される。
【0064】
本形態では、補助燃料ガスとして水素ガスおよびプロパンガスが噴射ノズル23に供給されている。そのため、本願発明者の検討によれば、本形態では、噴射ノズル23を使用したガス燃焼器5において、木質ガスをより容易に燃焼させることが可能になる。また、本形態では、セラミック部材22が内側底部21bに固定されているため、内筒21の内側に配置されるセラミック部材22を容易に位置決めすることが可能になるとともに容易に固定することが可能になる。
【0065】
(他の実施の形態)
上述した形態において、ノズル本体27の大径筒部27cの外径は一定であっても良い。また、上述した形態において、キャップ部材28の流路28eの一端と流路28eの他端とが左右方向においてずれていても良い。また、上述した形態において、流路28eは、直線状に形成されていても良い。さらに、上述した形態において、キャップ部材28に形成される流路28eの数は、7個以下の複数個であっても良いし、9個以上であっても良い。また、上述した形態において、流路27h、27jの他端は、小径筒部27bの外周面と第1筒部28aの内周面との間に直接、通じていなくても良い。
【0066】
上述した形態において、流路27h、27jの一端と流路27h、27jの他端とが周方向においてずれていても良い。また、上述した形態において、圧縮空気が流れる3個以上の流路27hがノズル本体27に形成されていても良い。また、上述した形態において、水素ガスが流れる2個以上の流路27jがノズル本体27に形成されていても良いし、プロパンガスが流れる2個以上の流路27jがノズル本体27に形成されていても良い。さらに、上述した形態において、噴射ノズル23に、水素ガスおよびプロパンガスのいずれか一方が供給されなくても良い。
【0067】
上述した形態において、セラミック部材22は、内側筒部21aに、直接または所定の部材を介して固定されていても良い。この場合には、セラミック部材22と内側底部21bとの間に隙間が形成されていても良い。また、上述した形態において、内筒21の一部分が外筒20の外側に配置されていても良い。さらに、上述した形態において、取出用配管15の一端は2次燃焼室11の側面に繋がっていても良いし、ガス化炉本体12の内部に1個のみの燃焼室が形成されていても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 発電システム
2 ガス化炉
3 ボイラー
4 発電機
5 ガス燃焼器
6 蒸気タービン
20 外筒
20a 外側筒部
20b 外側底部
20c 貫通穴
21 内筒
21a 内側筒部
21b 内側底部
21c 貫通穴
22 セラミック部材
23 噴射ノズル
27 ノズル本体
27a 流路(本体側第1流路)
27b 小径筒部
27c 大径筒部
27h 流路(本体側第2流路)
27j 流路(本体側第3流路)
27k 段差面
28 キャップ部材
28a 第1筒部
28b 第2筒部
28c 段差面
28d 流路(キャップ側第1流路)
28e 流路(キャップ側第2流路)